説明

辞書機能を備えた電子機器、複合語検索方法、及びプログラム

【課題】例え長い文字数の複合語であっても、容易且つ正確にその検索文字列を入力して検索することが可能な辞書機能を備えた電子機器を提供する。
【解決手段】メイン表示部16(辞書検索画面G)の検索語入力領域kaに所望の検索語をその先頭から1文字ずつ入力する毎に、入力された検索文字(列)と前方一致する見出し語が検索されて見出し語一覧領域maに表示される。これに伴い、検索された各見出し語を規定語として含む複合語が検索され、各複合語の規定語が抽出されてサブ表示部15の規定語一覧画面GFに一覧表示される。規定語一覧画面GFに一覧表示された各規定語から所望の検索語(複合語)の先頭部分に相当する規定語が指定されると、指定された規定語を含む複合語の見出し語が前記見出し語一覧領域maに一覧表示され、所望の見出し語(複合語)が指定されると、その説明情報がメイン表示部16に表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばドイツ語の複合語を検索するのに適した辞書機能を備えた電子機器、複合語検索方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子辞書装置において所望の語句を検索する場合、検索対象となる語句の文字(検索文字)を先頭から順番にキー入力あるいは手書き入力する。すると、この検索文字が入力される毎に、入力された文字列に前方一致する辞書データの見出し語が検索されて一覧表示される。
【0003】
これにより、所望の語句を構成する全ての文字を最後まで入力しなくても、当該所望の語句に対応する見出し語を検索することができる。
【0004】
ドイツ語では、例えば異なる名詞を結合して1つの単語を成す合成名詞など、2つ以上の語を結合した複合語がある。複合語は、前方の規定語と後方の基礎語の2つの要素から成る。このため、複合語は文字数が多くなり、例えば規定語となる“bildungs”(教育)と基礎語となる“fernsehen”(テレビ)とを結合した複合語“bildungsfernsehen”(教育テレビ)を検索する場合、文字入力の手間が掛かるだけでなく、スペルを間違える可能性も高くなる問題がある。
【0005】
従来の電子辞書装置であって、検索語として入力された複合語と一致する見出し語が検索されない場合に、当該複合語を複合語分離処理プログラムにより規定語部分の単語と基礎語部分の単語とに分離し、分離した各単語の見出し語に対応する説明情報を辞書データから読み出して並列に表示することで、当該複合語の内容を理解できるようにした電子辞書装置が考えられている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−206538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の電子辞書装置において、通常の見出し語検索とは異なる手法により複合語を入力して検索する機能を備えたものはなく、特に長い文字数の複合語を容易に且つ間違いなく入力して検索することはできなかった。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑みなされたもので、例え長い文字数の複合語であっても、容易且つ正確にその検索文字列を入力して検索することが可能になる辞書機能を備えた電子機器、複合語検索方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る辞書機能を備えた電子機器は、メイン表示部とサブ表示部とを有する電子機器であって、複数の見出し語と当該各見出し語の説明情報とを対応付けた辞書データを記憶する辞書記憶手段と、検索文字を入力する文字入力手段と、この文字入力手段により入力された検索文字と前方一致する見出し語を前記辞書データから検索して前記メイン表示部に一覧表示させる見出し語一覧表示手段と、前記文字入力手段により入力された検索文字と前方一致する複合語の見出し語を前記辞書データから検索し当該検索された複合語を構成する異なる規定語をサブ表示部に一覧表示させる規定語一覧表示手段と、この規定語一覧表示手段により一覧表示された規定語からユーザ操作に応じて指定された任意の規定語を含む複合語の見出し語を前記辞書データから検索して前記メイン表示部に一覧表示させる複合語見出し語一覧表示手段と、この複合語見出し語一覧表示手段により一覧表示された複合語の見出し語からユーザ操作に応じて指定された任意の複合語に対応する説明情報を前記辞書データから読み出して前記メイン表示部に表示させる説明情報表示手段と、を備えたことを特徴としている。
【0010】
本発明に係る複合語検索方法は、複数の見出し語と当該各見出し語の説明情報とを対応付けた辞書データを有する電子機器のコンピュータを制御して複合語を検索する方法であって、ユーザ操作に応じて入力された検索文字と前方一致する見出し語を前記辞書データから検索し、この検索された各見出し語の先頭から順番にその見出し語を規定語として前方一致する次以降の見出し語を複合語の見出し語として検索し、この検索された複合語の異なる規定語を表示部に一覧表示させ、この一覧表示された規定語からユーザ操作に応じて指定された任意の規定語を含む複合語の見出し語を前記辞書データから検索して表示部に一覧表示させ、この一覧表示された複合語の見出し語からユーザ操作に応じて指定された任意の複合語に対応する説明情報を前記辞書データから読み出して表示部に表示させる、ことを特徴としている。
【0011】
本発明に係るプログラムは、メイン表示部とサブ表示部とを有する電子機器のコンピュータを、複数の見出し語と当該各見出し語の説明情報とを対応付けた辞書データを記憶する辞書記憶手段と、検索文字を入力する文字入力手段と、この文字入力手段により入力された検索文字と前方一致する見出し語を前記辞書データから検索して前記メイン表示部に一覧表示させる見出し語一覧表示手段と、前記文字入力手段により入力された検索文字と前方一致する複合語の見出し語を前記辞書データから検索し当該検索された複合語を構成する異なる規定語をサブ表示部に一覧表示させる規定語一覧表示手段と、この規定語一覧表示手段により一覧表示された規定語からユーザ操作に応じて指定された任意の規定語を含む複合語の見出し語を前記辞書データから検索して前記メイン表示部に一覧表示させる複合語見出し語一覧表示手段と、この複合語見出し語一覧表示手段により一覧表示された複合語の見出し語からユーザ操作に応じて指定された任意の複合語に対応する説明情報を前記辞書データから読み出して前記メイン表示部に表示させる説明情報表示手段、として機能させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、例え長い文字数の複合語であっても、容易且つ正確にその検索文字列を入力して検索することが可能になる辞書機能を備えた電子機器、複合語検索方法、及びプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の辞書機能を備えた電子機器の実施形態に係る電子辞書装置10の外観構成を示す正面図。
【図2】前記電子辞書装置10の電子回路の構成を示すブロック図。
【図3】前記電子辞書装置10のドイツ語辞書検索処理を示すフローチャート。
【図4】前記電子辞書装置10のドイツ語辞書検索処理に伴う複合語検索処理を示すフローチャート。
【図5】前記電子辞書装置10のドイツ語辞書検索処理に伴うタッチパネル式メイン表示部16およびタッチパネル式サブ表示部15の表示動作を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下図面により本発明の実施の形態について説明する。
【0015】
図1は、本発明の辞書機能を備えた電子機器の実施形態に係る電子辞書装置10の外観構成を示す正面図である。
【0016】
この電子辞書装置10は、以下に説明する電子辞書専用の携帯機器として構成されるか、辞書機能を備えたPDA(personal digital assistants)、PC(personal computer)、携帯電話、電子ブック、携帯ゲーム機等として構成される。
【0017】
この電子辞書装置10は、その本体ケース11と蓋体ケース12とがヒンジ部13を介して展開/閉塞可能な折り畳み型ケースを備えて構成される。この折り畳み型ケースを展開した本体ケース11の表面には、文字入力キー14a、辞書指定キー14b、[訳/決定]キー14c、[戻る]キー14d、カーソルキー14e、ページ送りキー14fなどを備えたキー入力部(QWERTYキーボード)14、およびタッチパネル式サブ表示部15が備えられる。
【0018】
このタッチパネル式サブ表示部15は、ユーザがペンや指等でタッチした位置を検出するタッチ位置検出装置と表示装置が一体となった構造であり、キー入力部14の中央手前側において例えば256×64ドットのバックライト付きカラー液晶表示画面15dに透明タッチパネル15tを重ねて構成される。このサブ表示部15は、必要に応じて、手書き文字を入力するための手書き文字入力領域や各種機能のキー入力領域、あるいは当該各入力領域が混在する領域、あるいは辞書検索された複合語の規定語を一覧にして表示するための規定語一覧領域に切り替えられる。
【0019】
そして、前記サブ表示部15が手書き文字入力領域に切り替えられた状態での手書き入力に伴う軌跡はそのバックライト付きカラー液晶表示画面15dにエコーバックして表示される。
【0020】
また蓋体ケース12の表面には、そのほぼ全面を対象に例えば480×320ドットのバックライト付きのタッチパネル式メイン表示部16が設けられる。このタッチパネル式メイン表示部16も、前記サブ表示部15と同様に、ユーザがペンや指等でタッチした位置を検出するタッチ位置検出装置と表示装置が一体となった構造であり、そのバックライト付きカラー液晶表示画面16dに透明タッチパネル16tを重ねて構成される。
【0021】
そして、この電子辞書装置10は、ユーザ操作に応じて検索された見出し語をメイン表示部16(辞書検索画面G)の見出し語一覧領域maに表示させるのに伴い、検索された見出し語を規定語として含む複合語を検索し、検索された各複合語に含まれる規定語の一覧をサブ表示部15の規定語一覧画面GFに表示させる機能を有する。
【0022】
さらに、前記規定語一覧画面GFに表示された規定語がユーザ操作に応じて指定された際に、指定された規定語を含む複合語をメイン表示部16の見出し語一覧領域maに表示させる機能を有する。
【0023】
図2は、前記電子辞書装置10の電子回路の構成を示すブロック図である。
【0024】
この電子辞書装置10は、各種の記録媒体に記録されたプログラムを読み込んで、その読み込んだプログラムによって動作が制御されるコンピュータによって構成され、その電子回路には、CPU(central processing unit)21が備えられる。
【0025】
CPU21は、記憶装置22内に予め記憶された装置制御プログラム22a、あるいはROMカードなどの外部記録媒体23から記録媒体読み取り部24を介して前記記憶装置22に読み込まれた装置制御プログラム22a、あるいはインターネットN上のWebサーバ(この場合はプログラムサーバ)30から通信部25を介して前記記憶装置22に読み込まれた装置制御プログラム22aに応じて、RAM26を作業用メモリとして回路各部の動作を制御する。
【0026】
前記記憶装置22に記憶された装置制御プログラム22aは、キー入力部14、タッチパネル式サブ表示部15、タッチパネル式メイン表示部16からのユーザ操作に応じた入力信号、あるいは通信部25を介して接続されるインターネットN上の各Webサーバ30…との通信信号に応じて起動される。
【0027】
このように、前記CPU21には、前記記憶装置22、記録媒体読み取り部24、通信部25、RAM26、キー入力部14、タッチパネル式サブ表示部15、タッチパネル式メイン表示部16が接続される。
【0028】
記憶装置22には、装置制御プログラム22aとして、当該電子辞書装置10の全体の動作を司るシステムプログラムや通信部25を介してインターネットN上の各Webサーバ30…や図示しないユーザPC(Personal Computer)などとデータ通信するための通信プログラム等が記憶される。また、前記装置制御プログラム22aとして、検索語入力処理、検索語に対応した見出し語検索処理、検索見出し語の一覧表示処理、検索見出し語からの複合語検索処理、検索複合語からの規定語一覧表示処理、カーソルにより指定された見出し語に対応する訳語・意味内容などの各種説明情報の読み出し表示処理など、同記憶装置22内に記憶された辞書データベース22bに基づく検索・表示処理全般を制御するための辞書検索プログラムが記憶される。
【0029】
辞書データベース22bには、例えば日本語の見出し語に対応付けて日本語の説明情報が記述された[国語辞書]22b1、英語の見出し語に対応付けて日本語の説明情報が記述された[英和辞書]22b2、日本語の見出し語に対応付けて英語の説明情報が記述された[和英辞書]22b3、ドイツ語の見出し語に対応付けて日本語の説明情報が記述された[ドイツ語辞書]22b4をはじめ、複数種類の辞書データが予め記憶されるかあるいはダウンロードされて記憶される。
【0030】
前記RAM26には、メイン画面データメモリ26a、サブ画面データメモリ26b、検索語データメモリ26c、見出し語一覧データメモリ26d、複合語規定語一覧データメモリ26eなどが確保される。
【0031】
メイン画面データメモリ26aには、前記タッチパネル式メイン表示部16に表示させる表示データがビットマップパターンに展開されて記憶される。
【0032】
サブ画面データメモリ26bには、前記タッチパネル式サブ表示部15に表示させる表示データがビットマップパターンに展開されて記憶される。
【0033】
検索語データメモリ26cには、辞書検索画面Gの検索語入力領域kaに検索対象として順次ユーザ入力される文字データが記憶される。
【0034】
見出し語一覧データメモリ26dには、前記検索語データメモリ26cに記憶された検索語の文字(列)データと前方一致する見出し語が辞書データベース22bから検索され一覧にして記憶される。
【0035】
複合語規定語一覧データメモリ26eには、前記見出し語一覧データメモリ26dに記憶された見出し語と一致する規定語を有する複合語が辞書データベース22bから検索され、検索された各複合語に含まれる規定語が一覧にして記憶される。なお、複数の複合語に共通に含まれる規定語は1つだけ記憶される。
【0036】
このように構成された電子辞書装置10は、CPU21が前記装置制御プログラム22a(辞書機能における検索語入力処理、検索語に対応した見出し語検索処理、検索見出し語の一覧表示処理、検索見出し語からの複合語検索処理、検索複合語からの規定語一覧表示処理、カーソルにより指定された見出し語に対応する各種説明情報の読み出し表示処理等を実行するためのプログラムを含む)に記述された命令に従い回路各部の動作を制御し、ソフトウエアとハードウエアとが協働して動作することにより、以下の動作説明で述べる機能を実現する。
【0037】
次に、前記構成による電子辞書装置10の動作について説明する。
【0038】
図3は、前記電子辞書装置10のドイツ語辞書検索処理を示すフローチャートである。
【0039】
図4は、前記電子辞書装置10のドイツ語辞書検索処理に伴う複合語検索処理を示すフローチャートである。
【0040】
図5は、前記電子辞書装置10のドイツ語辞書検索処理に伴うタッチパネル式メイン表示部16およびタッチパネル式サブ表示部15の表示動作を示す図である。
【0041】
辞書指定キー14bのユーザ操作に応じて[ドイツ語辞書]22b4が指定されると、図5(A)に示すように、タッチパネル式メイン表示部16に辞書検索画面Gが表示される(ステップS1)。
【0042】
この辞書検索画面Gの検索語入力領域kaにおいて、文字入力キー14aのユーザ操作に応じて1文字ずつ検索語(例えば「b」「i」「l」)が入力されると(ステップS2)、入力された検索語と前方一致する見出し語が前記[ドイツ語辞書]22b4から検索され(ステップS3)、検索された見出し語の一覧(この場合「Bilabial」「Bilanz」…)が同辞書検索画面Gの見出し語一覧領域maに表示される(ステップS4)。
【0043】
この際、前記検索語入力領域kaに入力されて検索語データメモリ26cに記憶された検索語の文字数が3文字以上か否か判断され(ステップS5)、3文字未満と判断される状態では(ステップS5(No))、サブ画面データメモリ26bはクリアされサブ表示部15は表示無しに維持される(ステップS6)。
【0044】
この後続いて、前記検索語入力領域kaに検索語の文字が追加で入力されると(ステップS7(Yes)→S2)、その都度、前記同様に入力された検索語と前方一致する見出し語が検索され(ステップS3)、見出し語一覧領域maの見出し語一覧が更新されて表示される(ステップS2〜S4)。
【0045】
ここで、前記見出し語一覧領域maに一覧表示された任意の見出し語(この場合「Bilabial」)が、ペンタッチ操作あるいはカーソル操作により指定されて反転表示hされると(ステップS8(Yes))、当該反転表示hにより選択された見出し語「Bilabial」の説明情報が前記[ドイツ語辞書]22b4から読み出され、前記辞書検索画面Gのプレビュー領域paに表示される(ステップS9)。なお、この状態で[訳/決定]キー14cが押下されると、前記プレビュー領域paに表示された選択中の見出し語「Bilabial」の説明情報は、メイン表示部16の全画面領域に展開されて表示される。
【0046】
前記検索語入力領域kaに入力されて検索語データメモリ26cに記憶された検索語の文字数が3文字以上になったと判断されると(ステップS5(Yes))、図4に示す複合語検索処理へ移行される(ステップSA)。
【0047】
この複合語検索処理へ移行されると、先ず、前記見出し語検索されて見出し語一覧データメモリ26dに記憶された先頭の見出し語(この場合「Bilabial」)が第1の見出し語として特定される(ステップA1)。
【0048】
そして、特定された第1の見出し語「Bilabial」が前記見出し語一覧データメモリ26dに記憶された次の見出し語(この場合「Bilanz」)と前方一致するか否か、つまり当該次の見出し語が第1の見出し語を規定語として含む複合語であるか否かが比較判断される(ステップA2,A3)。
【0049】
ここで、前記第1の見出し語「Bilabial」は次の見出し語「Bilanz」と前方一致せず、当該次の見出し語「Bilanz」は複合語ではないと判断されると(ステップA3(No))、当該次の見出し語「Bilanz」が第1の見出し語として特定される(ステップA1)。
【0050】
そして、特定された第1の見出し語「Bilanz」が次の見出し語「Bilanzbuch」と前方一致し(ステップA2)、当該次の見出し語「Bilanzbuch」は前記第1の見出し語「Bilanz」を規定語として含む複合語であると判断されると(ステップA3(Yes))、前記第1の見出し語「Bilanz」は複合語「Bilanzbuch」の規定語として複合語規定語一覧データメモリ26eに記憶され保存される(ステップA4)。
【0051】
すると、前記複合語規定語一覧データメモリ26eに保存された規定語の数が所定数に到達したか否か判断され(ステップA5)、所定数に到達していないと判断されると(ステップA5(No))、前記規定語として抽出された第1の見出し語「Bilanz」について、さらに次の見出し語「Bilanzieren」と前方一致するか否か、つまり当該次の見出し語も第1の見出し語を共通の規定語として含む複合語であるか否かが比較判断される(ステップA6,A7)。
【0052】
ここで、前記第1の見出し語「Bilanz」が次の見出し語「Bilanzieren」とも前方一致し(ステップA6)、当該次の見出し語「Bilanzieren」も第1の見出し語「Bilanz」を共通の規定語として含む複合語であると判断されると(ステップA7(Yes))、同第1の見出し語「Bilanz」とさらに次の見出し語「Bilanzkont」との前方一致比較判断処理が繰り返し実行され、第1の見出し語「Bilanz」を共通の規定語として含む全ての複合語が順次検索される(ステップA6,A7)。
【0053】
この後、ステップA7において、前記共通の規定語として複合語規定語一覧データメモリ26eに保存された第1の見出し語「Bilanz」が次の見出し語と前方一致せず、当該次の見出し語は、少なくとも前記第1の見出し語「Bilanz」を規定語として含まない見出し語であると判断されると(ステップA7(No))、当該次の見出し語が新たに第1の見出し語として特定される(ステップA1)。
【0054】
そして、さらに次の見出し語が前記新たに特定された見出し語を規定語として含む複合語であるか否かが、当該特定された見出し語と次の見出し語との前方一致比較処理によって前記同様に判断される(ステップA2,A3)。
【0055】
すなわち、この複合語検索処理(ステップA1〜A7)では、前記1文字ずつユーザ入力される検索語との前方一致により検索された見出し語一覧を対象とし、先頭の見出し語から順次その見出し語を規定語として含む複合語の見出し語を検索すると共に、新たな規定語が含まれた複合語の見出し語が検索される毎に、当該新たな規定語である見出し語を複合語規定語一覧データメモリ26eに記憶して保存する。
【0056】
これにより、複合語規定語一覧データメモリ26eには、入力された検索語「bil」と先頭一致する各見出し語「Bilabial」「Bilanz」…の中に存在する各複合語「Bilanzbuch」「Bilanzieren」「Bilanzkont」…から、先頭から順番に異なる規定語「Bilanz」「Bild」「Bilder」…だけが抽出されて保存される。
【0057】
この後、前記複合語規定語一覧データメモリ26eに保存された規定語の数が所定数に到達したと判断されると(ステップA5(Yes))、この図4に示す複合語検索処理は終了され、前記図3に示すドイツ語辞書検索処理のメインルーチンに戻る。
【0058】
すると、前記複合語規定語一覧データメモリ26eに保存された各規定語「Bilanz」「Bild」「Bilder」…が読み出され、図5(A)に示すように、サブ表示部15に対して、検索見出し語に含まれる複合語の規定語一覧画面GFとして表示される(ステップS10,S11)。
【0059】
これにより、ユーザ所望の検索語が長い文字列から成る複合語“Bildungsfernsehen”(教育テレビ)であった場合でも、ユーザ入力された先頭数文字の検索語と前方一致する各複合語の規定語だけを抽出し一覧にして表示させることができ、当該検索語(複合語)の規定語部分を素早く見つけることができる。
【0060】
そして、図5(B)に示すように、前記サブ表示部15に規定語一覧画面GFとして表示された規定語一覧の中から、前記所望の検索語である複合語“Bildungsfernsehen”の前方を構成している規定語「Bildung」がペンタッチPされて指定されると(ステップS12(Yes))、図5(C)に示すように、当該指定された規定語「Bildung」がそのままメイン表示部16の辞書検索画面Gにおける検索語入力領域kaに入力されることで、同規定語「Bildung」を先頭に、これを含む複合語の見出し語「Bildungsanstalt」「Bildungsbeflisse」「Bildungschance」…が[ドイツ語辞書]22b4から読み出され、見出し語一覧領域maに一覧表示される(ステップS13)。
【0061】
この際、前記サブ表示部15の規定語一覧画面GFには、前記複合語検索処理(ステップSA)により検索されて複合語規定語一覧データメモリ26eに保存された各規定語の中から、前記ペンタッチPされて指定された規定語「Bildung」の次以降の各規定語「Bill」「Billig」「Binde」…が読み出され表示更新される(ステップS14)。
【0062】
そして、前記辞書検索画面Gの見出し語一覧領域maに表示されたユーザ指定の規定語「Bildung」を含む各複合語の見出し語一覧の中から、所望の検索語である複合語の見出し語(例えば「Bildungsbeflisse」)がペンタッチPされて指定されると(ステップS8(Yes))、この指定により選択された見出し語(複合語)「Bildungsbeflisse」の説明情報が前記[ドイツ語辞書]22b4から読み出されプレビュー領域paに表示される(ステップS9)。なお、この状態で[訳/決定]キー14cが押下されると、前記プレビュー領域paに表示された選択中の見出し語(複合語)「Bildungsbeflisse」の説明情報は、メイン表示部16の全画面領域に展開されて表示される。
【0063】
したがって、前記構成の電子辞書装置10のドイツ語辞書検索表示機能によれば、メイン表示部16(辞書検索画面G)の検索語入力領域kaに所望の検索語をその先頭から1文字ずつ入力する毎に、入力された検索文字(列)と前方一致する見出し語が検索されて見出し語一覧領域maに表示される。これに伴い、検索された各見出し語を規定語として含む複合語が検索され、検索された各複合語の規定語だけが抽出されてサブ表示部15の規定語一覧画面GFに一覧表示される。そして、前記規定語一覧画面GFに一覧表示された各規定語から所望の検索語(複合語)の先頭部分に相当する規定語が指定されると、指定された規定語を含む複合語の見出し語が前記見出し語一覧領域maに一覧表示され、所望の見出し語(複合語)が指定されると、その説明情報が読み出されてメイン表示部16に表示される。
【0064】
これにより、ユーザ所望の検索語が文字列の長い複合語であった場合でも、当該検索語の先頭から数文字入力するだけで、入力された検索文字列と前方一致する規定語だけを一覧にしてサブ表示部15(規定語一覧画面GF)に表示させることができ、表示された規定語一覧から所望の検索語(複合語)の規定語を指定して同規定語を含む複合語の見出し語だけをメイン表示部16(見出し語一覧領域ma)に一覧表示させることができる。
【0065】
よって、例え長い文字数の複合語であっても、容易且つ正確にその検索文字列を入力して検索することが可能になる。
【0066】
なお、前記実施形態において記載した電子辞書装置10による各処理の手法およびデータベース、すなわち、図3のフローチャートに示すドイツ語辞書検索処理、図4のフローチャートに示す前記ドイツ語辞書検索処理に伴う複合語検索処理などの各手法および[ドイツ語辞書22b4]等を含む辞書データベース22bは、何れもコンピュータに実行させることができるプログラムとして、メモリ・カード(ROMカード、RAMカード等)、磁気ディスク(フロッピディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD等)、半導体メモリ等の外部記録媒体23に格納して配布することができる。そして、タッチパネル式メイン表示部16およびタッチパネル式サブ表示部15を備えた電子機器のコンピュータは、この外部記録媒体23に記録されたプログラムを記憶装置22に読み込み、この読み込んだプログラムによって動作が制御されることにより、前記実施形態において説明したドイツ語辞書検索表示機能を実現し、前述した手法による同様の処理を実行することができる。
【0067】
また、前記各手法を実現するためのプログラムのデータは、プログラムコードの形態としてネットワークN上を伝送させることができ、このプログラムデータを、ネットワークNに接続されたタッチパネル式メイン表示部16およびタッチパネル式サブ表示部15を備えた電子機器のコンピュータに通信部25によって取り込むことで、前述したドイツ語辞書検索表示機能を実現することもできる。
【0068】
なお、本願発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。さらに、前記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されたり、幾つかの構成要件が異なる形態にして組み合わされても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除されたり組み合わされた構成が発明として抽出され得るものである。
【0069】
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0070】
[1]
メイン表示部とサブ表示部とを有する辞書機能を備えた電子機器であって、
複数の見出し語と当該各見出し語の説明情報とを対応付けた辞書データを記憶する辞書記憶手段と、
検索文字を入力する文字入力手段と、
この文字入力手段により入力された検索文字と前方一致する見出し語を前記辞書データから検索して前記メイン表示部に一覧表示させる見出し語一覧表示手段と、
前記文字入力手段により入力された検索文字と前方一致する複合語の見出し語を前記辞書データから検索し当該検索された複合語を構成する異なる規定語をサブ表示部に一覧表示させる規定語一覧表示手段と、
この規定語一覧表示手段により一覧表示された規定語からユーザ操作に応じて指定された任意の規定語を含む複合語の見出し語を前記辞書データから検索して前記メイン表示部に一覧表示させる複合語見出し語一覧表示手段と、
この複合語見出し語一覧表示手段により一覧表示された複合語の見出し語からユーザ操作に応じて指定された任意の複合語に対応する説明情報を前記辞書データから読み出して前記メイン表示部に表示させる説明情報表示手段と、
を備えたことを特徴とする電子機器。
【0071】
[2]
前記規定語一覧表示手段は、前記見出し語一覧表示手段により一覧表示された各見出し語の先頭から順番にその見出し語を規定語として前方一致する次以降の見出し語を複合語の見出し語として検索し、当該検索された複合語の異なる規定語をサブ表示部に一覧表示させる、
ことを特徴とする[1]に記載の電子機器。
【0072】
[3]
前記複合語見出し語一覧表示手段は、前記規定語一覧表示手段により一覧表示された規定語からユーザ操作に応じて指定された任意の規定語を、前記文字入力手段による検索文字として入力し、前記見出し語一覧表示手段により前記検索文字として入力された規定語と前方一致する見出し語を前記辞書データから検索して前記メイン表示部に一覧表示させる手段である、
ことを特徴とする[1]に記載の電子機器。
【0073】
[4]
複数の見出し語と当該各見出し語の説明情報とを対応付けた辞書データを有する電子機器のコンピュータを制御して複合語を検索する方法であって、
ユーザ操作に応じて入力された検索文字と前方一致する見出し語を前記辞書データから検索し、
この検索された各見出し語の先頭から順番にその見出し語を規定語として前方一致する次以降の見出し語を複合語の見出し語として検索し、
この検索された複合語の異なる規定語を表示部に一覧表示させ、
この一覧表示された規定語からユーザ操作に応じて指定された任意の規定語を含む複合語の見出し語を前記辞書データから検索して表示部に一覧表示させ、
この一覧表示された複合語の見出し語からユーザ操作に応じて指定された任意の複合語に対応する説明情報を前記辞書データから読み出して表示部に表示させる、
ことを特徴とする複合語検索方法。
【0074】
[5]
メイン表示部とサブ表示部とを有する電子機器のコンピュータを、
複数の見出し語と当該各見出し語の説明情報とを対応付けた辞書データを記憶する辞書記憶手段と、
検索文字を入力する文字入力手段と、
この文字入力手段により入力された検索文字と前方一致する見出し語を前記辞書データから検索して前記メイン表示部に一覧表示させる見出し語一覧表示手段と、
前記文字入力手段により入力された検索文字と前方一致する複合語の見出し語を前記辞書データから検索し当該検索された複合語を構成する異なる規定語をサブ表示部に一覧表示させる規定語一覧表示手段と、
この規定語一覧表示手段により一覧表示された規定語からユーザ操作に応じて指定された任意の規定語を含む複合語の見出し語を前記辞書データから検索して前記メイン表示部に一覧表示させる複合語見出し語一覧表示手段と、
この複合語見出し語一覧表示手段により一覧表示された複合語の見出し語からユーザ操作に応じて指定された任意の複合語に対応する説明情報を前記辞書データから読み出して前記メイン表示部に表示させる説明情報表示手段、
として機能させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0075】
10 …電子辞書装置
11 …本体ケース
12 …蓋体ケース
13 …ヒンジ部
14 …キー入力部
14a…文字入力キー
14b…辞書指定キー
14c…[訳/決定]キー
14d…[戻る]キー
14e…カーソルキー
14f…ページ送りキー
15 …タッチパネル式サブ表示部
15d…カラー液晶表示部(バックライト付き)
15t…透明タッチパネル
16 …タッチパネル式メイン表示部
16d…カラー液晶表示部(バックライト付き)
16t…透明タッチパネル
21 …CPU
22 …記憶装置
22a…装置制御プログラム
22b…辞書データベース
22b1…[国語辞書]
22b2…[英和辞書]
22b3…[和英辞書]
22b4…[ドイツ語辞書]
23 …外部記録媒体
24 …記録媒体読み取り部
25 …通信部
26 …RAM
26a…メイン画面データメモリ
26b…サブ画面データメモリ
26c…検索語データメモリ
26d…見出し語一覧データメモリ
26e…複合語規定語一覧データメモリ
30 …Webサーバ
N …通信ネットワーク
G …辞書検索画面
ka …検索語入力領域
ma …見出し語一覧領域
pa …プレビュー領域
GF …規定語一覧画面
P …ペンタッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メイン表示部とサブ表示部とを有する辞書機能を備えた電子機器であって、
複数の見出し語と当該各見出し語の説明情報とを対応付けた辞書データを記憶する辞書記憶手段と、
検索文字を入力する文字入力手段と、
この文字入力手段により入力された検索文字と前方一致する見出し語を前記辞書データから検索して前記メイン表示部に一覧表示させる見出し語一覧表示手段と、
前記文字入力手段により入力された検索文字と前方一致する複合語の見出し語を前記辞書データから検索し当該検索された複合語を構成する異なる規定語をサブ表示部に一覧表示させる規定語一覧表示手段と、
この規定語一覧表示手段により一覧表示された規定語からユーザ操作に応じて指定された任意の規定語を含む複合語の見出し語を前記辞書データから検索して前記メイン表示部に一覧表示させる複合語見出し語一覧表示手段と、
この複合語見出し語一覧表示手段により一覧表示された複合語の見出し語からユーザ操作に応じて指定された任意の複合語に対応する説明情報を前記辞書データから読み出して前記メイン表示部に表示させる説明情報表示手段と、
を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記規定語一覧表示手段は、前記見出し語一覧表示手段により一覧表示された各見出し語の先頭から順番にその見出し語を規定語として前方一致する次以降の見出し語を複合語の見出し語として検索し、当該検索された複合語の異なる規定語をサブ表示部に一覧表示させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記複合語見出し語一覧表示手段は、前記規定語一覧表示手段により一覧表示された規定語からユーザ操作に応じて指定された任意の規定語を、前記文字入力手段による検索文字として入力し、前記見出し語一覧表示手段により前記検索文字として入力された規定語と前方一致する見出し語を前記辞書データから検索して前記メイン表示部に一覧表示させる手段である、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
複数の見出し語と当該各見出し語の説明情報とを対応付けた辞書データを有する電子機器のコンピュータを制御して複合語を検索する方法であって、
ユーザ操作に応じて入力された検索文字と前方一致する見出し語を前記辞書データから検索し、
この検索された各見出し語の先頭から順番にその見出し語を規定語として前方一致する次以降の見出し語を複合語の見出し語として検索し、
この検索された複合語の異なる規定語を表示部に一覧表示させ、
この一覧表示された規定語からユーザ操作に応じて指定された任意の規定語を含む複合語の見出し語を前記辞書データから検索して表示部に一覧表示させ、
この一覧表示された複合語の見出し語からユーザ操作に応じて指定された任意の複合語に対応する説明情報を前記辞書データから読み出して表示部に表示させる、
ことを特徴とする複合語検索方法。
【請求項5】
メイン表示部とサブ表示部とを有する電子機器のコンピュータを、
複数の見出し語と当該各見出し語の説明情報とを対応付けた辞書データを記憶する辞書記憶手段と、
検索文字を入力する文字入力手段と、
この文字入力手段により入力された検索文字と前方一致する見出し語を前記辞書データから検索して前記メイン表示部に一覧表示させる見出し語一覧表示手段と、
前記文字入力手段により入力された検索文字と前方一致する複合語の見出し語を前記辞書データから検索し当該検索された複合語を構成する異なる規定語をサブ表示部に一覧表示させる規定語一覧表示手段と、
この規定語一覧表示手段により一覧表示された規定語からユーザ操作に応じて指定された任意の規定語を含む複合語の見出し語を前記辞書データから検索して前記メイン表示部に一覧表示させる複合語見出し語一覧表示手段と、
この複合語見出し語一覧表示手段により一覧表示された複合語の見出し語からユーザ操作に応じて指定された任意の複合語に対応する説明情報を前記辞書データから読み出して前記メイン表示部に表示させる説明情報表示手段、
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−84149(P2013−84149A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224083(P2011−224083)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】