農作業システム
【課題】走行車の車輪がレール上で滑ることを防止することにより、地面が傾斜する場合でも走行車をその地面上で安定して走行させることが可能である農作業システムを提供する。
【解決手段】地面2から離れた位置にある農作物6に対して作業者36が作業を行うことを可能とする農作業システムである。地面2上に設けられたレール11と、作業者36が乗ってレール11上を走行する走行車8とを有し、走行車8はレール11上に乗る車輪21a,21bを有しており、レール11は合成樹脂によって形成され、その表面に凹凸形状14が設けられており、凹凸形状14はレール11の延在方向に沿って凹部と凸部とが交互に位置している。
【解決手段】地面2から離れた位置にある農作物6に対して作業者36が作業を行うことを可能とする農作業システムである。地面2上に設けられたレール11と、作業者36が乗ってレール11上を走行する走行車8とを有し、走行車8はレール11上に乗る車輪21a,21bを有しており、レール11は合成樹脂によって形成され、その表面に凹凸形状14が設けられており、凹凸形状14はレール11の延在方向に沿って凹部と凸部とが交互に位置している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばブドウ園における農作業のように、地面から離れた位置にある農作物に対して作業者が作業を行うことを可能とする農作業システムに関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような農作業システムとして、従来、特許文献1に示されているように、走行車の車輪をレールの凹部に嵌合させた状態でレールに沿って走行車を走行させるようにしたシステムが知られている。
【0003】
また、特許文献2に示されているように、円柱形状のレールの外周表面に断面円弧状の車輪を嵌合させた状態で走行車をそのレールに沿って走行させるようにした農作業システムが知られている。
【0004】
さらに、特許文献3に示されているように、畝溝に接触して転動する車輪の外周表面に凹溝を設けることにより車輪の外周表面上に凹凸形状を形成するようにした農作業システムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3086316号公報(第8〜15頁、図1)
【特許文献2】特開2003−250306号公報(第3〜4頁、図1)
【特許文献3】特開平7−184412号公報(第3頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上のように、農作業を行うにあたって、地面上にレールを施設し、そのレールに沿って走行車を走行させ、必要に応じて車輪の外周面に凹凸形状を設けることは、従来から知られている。しかしながら、この農作業システムにおいては、地面がレールに沿って前側又は後ろ側に傾斜している場合に車輪がレール上で滑ってしまい、走行車の安定した走行が得られないという問題があった。
【0007】
特許文献3によれば、車輪の外周面上に凹凸形状を付与する技術が開示されているが、レール側に適切な工夫が施されていないと、やはり、車輪がレール上で滑ってしまうという問題があった。
【0008】
本発明は、従来装置における上記の問題点を解消するために成されたものであって、走行車をレールに沿って走行させるようにした農作業システムにおいて、走行車の車輪がレール上で滑ることを防止することにより、地面が傾斜する場合でも走行車をその地面上で安定して走行させることが可能である農作業システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る農作業システムは、地面上の農作物に対して作業者が作業を行うことを可能とする農作業システムにおいて、地面上に設けられたレールと、前記作業者が乗って前記レール上を走行する走行車とを有し、前記走行車は前記レール上に乗る車輪を有しており、前記レールは合成樹脂によって形成され、その表面に凹凸形状が設けられており、該凹凸形状は前記レールの延在方向に沿って凹部と凸部とが交互に位置していることを特徴とする。
【0010】
農作物は地面の上に直接に置かれている場合もあるし、地面から離れて存在する場合もある。レールは地面の上に直接に置かれる場合もあるし、何等かの介在物を介して地面から離れて置かれる場合もある。
【0011】
上記レールの材質は特定のものに限定されないが、例えばポリエステル樹脂を主成分とする合成樹脂によって形成できる。レールの硬度も特定の値に限定されないが、硬過ぎると作業者によるレール施設時の作業性が悪くなり、柔らか過ぎると走行車がレールに乗ったときにレールの撓み量が大きくなり過ぎて走行車の走行性が悪くなる。発明者の調査によれば、レールに120kg程度の荷重がかかったときに、レールの直径が0.2mm程度変形するようなレールの硬度が好ましい。
【0012】
本発明に係る農作業システムにおいて、前記レールは円筒形状又は円柱形状とすることができ、前記車輪の外周面の断面形状は前記レールの外周面を覆うことができる断面凹形状とすることができる。断面凹形状は、例えば、断面円弧形状、断面楕円形状、断面長円形状等といった断面湾曲形状や、平坦面の両側にフランジを設けた断面形状等とすることができる。車輪の外周面を断面凹形状とすることにより、車輪とレールとの接触面積を広くでき、且つ脱輪を防止でき、その結果、走行車の安定した走行を実現できる。
【0013】
車輪の外周面の断面形状を断面円弧形状とする場合には、その車輪の円弧形状の半径は前記レールの外周面の半径に略等しいか、それよりも大きく設定する。車輪の円弧形状の半径がレールの外周面の半径よりも大きいというのは、車輪の円弧形状の曲率がレールの外周面の曲率よりも小さいということである。この条件により、車輪をレール上に支障なく、乗せることができる。しかしながら、車輪の外周面の断面円弧形状の曲率は、できる限りレールの外周面の曲率に近く設定する。こうすれば、車輪がレール上で滑ることを効果的に防止できる。
【0014】
前記レールが円筒形状又は円柱形状であるとき、前記車輪の外周の断面形状は、円弧形状に限られず、図10(a)のような断面楕円形状、図10(b)のような断面長円形状、図10(c)のような断面V字形状、あるいはその他任意の断面凹形状とすることができる。さらには、図10(d)に示すように、平面状の外周面の両側にフランジ47,47を設けた断面凹形状とすることもできる。
【0015】
本発明に係る農作業システムにおいて、前記レールの凹凸形状は、例えば、前記レールの外周面上に複数のリング状の溝を互いに間隔をおいて形成したり、1つの螺旋状の溝を形成したり、又は複数の螺旋状の溝を互いに間隔をおいて形成することによって形成することができる。あるいは、その他の任意の手法によって凹凸形状を形成することもできる。
【0016】
本発明に係る農作業システムにおいて、前記レールは敷板を間に置いて地面上に設けることができる。敷板を介在させることにより、レールが地面内へ埋まり込むことを防止できる。敷板は厚くて剛性の高い部材を用いる必要はなく、厚さ1mm〜0.2mm程度の合成樹脂板、ブリキ板等とすることができる。
【0017】
また、敷板は少なくとも一方の側の表面が波形状であり、当該波形状の凹部形状は前記レールが嵌り込むことができる大きさであることが望ましい。これにより、レールの横揺れ移動を敷板によって防止できる。なお、敷板はクギ、杭等といった固定手段によって地面に固定されることが望ましい。
【0018】
また、敷板は表裏両面に波形状を有することが望ましい。こうすれば、敷板自身の地面上での横滑り移動を防止できる。この敷板は、例えば、一般に住宅建築用に市場に供給されているような、波形状で厚さが均一な板状部材とすることができる。
【0019】
本発明に係る農作業システムにおいて、1枚の敷板の長さはレールよりも短くすることができ、そして、複数枚の敷板をレールに沿って連続的に又は間隔をあけて並べて設けることができる。
【0020】
本発明に係る農作業システムにおいて、前記レールを円筒形状に形成し、該レールの中空内部に液体を供給する液体供給手段を設け、前記レールの適所に液体放出用の孔を設けることができる。この構成により、地面や農作物に液体、例えば水を供給することを、レールを用いて行うことが可能となり、非常に便利である。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る農作業システムによれば、例えば図6(a)〜図6(d)に示すように、レールを金属でない合成樹脂によって形成した上で、その外周面に溝、凹部又は凸部等を含んだ凹凸形状を設けたので、走行車の車輪がレール上で滑ることを防止できる。これにより、地面が傾斜する場合でも走行車をその地面上で安定して走行させることが可能である。農作業地の表面には無秩序な凹凸形状又は傾斜が存在することが多いが、本発明で用いる走行車はそのような農作業地でも安定した走行を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る農作業システムの一実施形態の全体を示す図である。
【図2】図1の矢印Z0に従った図である。
【図3】農作業システムの要部であるレールユニットを示す斜視図である。
【図4】地面に施設されたレールの平面形態の一例を示す図である。
【図5】レールユニットの地面への固定状態の一例を示す図である。
【図6】レールの複数の実施形態を示す斜視図である。
【図7】農作業システムの要部である走行車の一例を示す図である。
【図8】図7の矢印Z1に従った図である。
【図9】図8に示す走行車の片方の車輪が上方へ持ち上がった状態を示す図である。
【図10】車輪の外周面の断面形状の複数の変形例を示す図である。
【図11】本発明に係る農作業システムの他の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る農作業システムを実施形態に基づいて説明する。なお、本発明がこの実施形態に限定されないことはもちろんである。また、これ以降の説明では図面を参照するが、その図面では特徴的な部分を分かり易く示すために実際のものとは異なった比率で構成要素を示す場合がある。
【0024】
図1及び図2は本発明に係る農作業システムを農園としてのブドウ園に適用した場合の実施形態を示している。ブドウ園1は、地面2上に互いに間隔をあけて立てられた複数の支柱3と、それらの支柱3の上に形成されたブドウ棚4とを有している。農作物としてのブドウ6はブドウ棚4から垂下している。
【0025】
本実施形態に係る農作業システムは、地面2の上に施設されたレールユニット7と、そのレールユニット7に沿って走行する走行車8とを有している。レールユニット7は、地面2上に置かれた敷板9と、その敷板9の上に載せられたレール11とを有している。敷板9は、図3に示すように、波形状を有したブリキ製、プラスチック製等の板材によって形成されている。敷板9の板厚は一定であり、例えば0.3mm程度である。レール11はプラスチック製、金属製等で円筒形状の部材、すなわち断面が円形状で中空である筒状部材、によって形成されている。
【0026】
レール11は、所定の材料、厚さ及び形状に形成されることにより、走行車8が乗っても大きく変形せず、しかも破損もしないようになっている。例えば、レール11は、外形40〜20mm、厚さ8〜4mmの円筒形状であってポリエステル樹脂を主成分とする樹脂によって形成されている。レール11は、敷板9の波形状の凹部分12に収容されている。レール11は凹部分12に嵌った状態で、自身の中心軸線に対する横方向へずれ移動できないようになっている。レール11は敷板9に載せられているだけであり、釘、ネジ、接着剤等といった固定手段によって固定されてはいない。
【0027】
レール11及び敷板9は、ブドウ棚4及び支柱3の設置形態に対応して地面2上に適切な平面形態に設置されている。例えば、平面的に見て図4に示すように、長く延びた直線部分Aと、ブドウ棚4の端部に対応して設けられた折返し部Bとを繰り返す平面形態となっている。図では、3つの繰返し部Bを有する単純な形態を図示しているが、実際にはブドウ棚4の形態に合わせた複雑な平面形態になることもある。
【0028】
レール11は繋ぎ目の無い1本のレールであっても良いし、あるいは、長さの短い複数のレールを順次に繋ぎ合せて全体として1本のレール11としても良い。敷板9も、1つの平面的に湾曲した板材によって形成しても良いし、あるいは、長さの短い板材を繋ぎ合せても良い。図示の実施形態では敷板9はレール11の全ての部分に対応して設けられているが、必要に応じて、敷板9を設けない部分があっても良い。敷板9が無い部分では、レール11は地面2の表面に直接に接触することになる。また、敷板9は図5(a)及び(b)に示すように固定手段、例えばクギ13によって地面2に固定することができる。特に、図5(b)に示すように、地面2が傾斜地である場合にはクギ13等による固定が有効である。
【0029】
レール11の外周表面には摩擦係数を高めるため、すなわち摩擦力を高めるための処理が施されている。例えば、図6(a)に示すように、幅W1が狭い複数のリング状の溝(あるいは切り目)14を間隔をあけて互いに平行に形成することによりレール11の外周表面に凹凸形状を形成することができる。溝14は、複数のリング状の溝ではなく、1本の螺旋状の溝(あるいは切れ目)であっても良い。幅W1は、例えば0.5mm程度である。
【0030】
また、図6(b)に示すように、幅W2が比較的広い複数のリング状の溝16を間隔をあけて互いに平行に形成することによりレール11の外周表面に凹凸形状を形成することができる。溝16は、複数のリング状の溝ではなく、1本の螺旋状の溝であっても良い。幅W2は、例えば1.5mm程度である。また、図6(c)に示すように、幅W3が狭い複数のリング状又は1本の螺旋状の溝17aと、他のリング状又は螺旋状の溝17bとを互いに交差して形成することによりレール11の外周表面に凹凸形状を形成することができる。
【0031】
さらに、図6(d)に示すように、島状すなわちドット状の複数の凹部18又は凸部18をランダム(すなわち無秩序)又は規則的に形成することにより、レール11の外周表面に凹凸形状を形成することができる。以上のようなレール11の外周面上の凹凸形状は、レール11を樹脂の成形加工によって形成する際に同時に形成しても良いし、円筒又は円柱形状のレール11の外周表面に後加工によって形成しても良い。
【0032】
以上のようにレール11の外周表面上に凹凸形状を形成しておけば、走行車8の車輪(後述)とレール11との間、及びレール11と敷板9との間に好ましい摩擦力をもたらすことができる。その結果、レール11上での車輪の滑りを防止でき、地面2の表面に上りの傾斜及び下りの傾斜がある場合でも、走行車8を安定して走行させることができる。
【0033】
図4において、レール11の一端(図4の右端)は、地面2に埋め込まれた杭41aに掛けられた引張りバネ42に連結されている。引張りバネ42は、引張り荷重に対して抗力を生じるバネである。また、レール11の他端(図4の左端)は、地面2に埋め込まれた杭41bに掛けられた伸縮しないワイヤ43に連結されている。この構成により、レール11は、バネ42のバネ力によって緊張状態を保持し、弛まないようになっている。
【0034】
また、レール11の適所(実施形態では図示の左側の一端部)に液体供給手段としての給水装置44が接続されている。この給水装置44は、例えば、商用水道を利用した水源や、水タンクとポンプとを利用した水源等といった任意の水源を有しており、レール11の内部に液体としての水を所望の圧力で供給する。液体は、水以外の液体、例えば農薬、肥料等となることもある。
【0035】
供給された水はレール11の内部を流れてレール11の他端から外部へ流れ出る。レール11の適所(実施形態では符号46に示す部分)には散水用の多数の小孔が設けられている(以下、小孔自体を符号46で表すことがある)。レール11の内部を流れる水の一部はこれらの小孔46から外部へ散布される。散布された水は、地面2の管理のためや、農作物であるブドウ6の育成のために利用される。散水を有効ならしめるために、小孔を設けた部分46には敷板11を施設しないようにすることができる。
【0036】
走行車8は、例えば図7及び図8に示されている。図8は図7の矢印Z1に従った図である。これらの図に示すように、走行車8は、フレーム20と、このフレーム20に取り付けられた車輪21a,21b,21c,21dと、フレーム20によって支持されている椅子22とを有している。
【0037】
フレーム20は、主シャフト23a、縦シャフト23b、前傾斜シャフト23c、後傾斜シャフト23d、及び上シャフト23eを有している。前車輪21a及び後車輪21bはそれぞれ主シャフト23aの前端部及び後端部に回転可能に取り付けられている。図8において、上シャフト23eの左右の外側の端部にはロッド37,37が垂下して連結されている。これらのロッド37の周囲には、圧縮バネ38を介してスリーブ39,39がロッド37に沿って移動可能に設けられている。圧縮バネ38は、圧縮荷重に対して抗力を生じるバネである。スリーブ39,39のそれぞれにはブラケット40,40が取り付けられており、右車輪21c及び左車輪21dがそれぞれのブラケット40によって回転可能に支持されている。
【0038】
以上の構成により、車輪21c,21dは、図9に示すように、地面2の表面に凹凸Cが存在する場合には、圧縮バネ38の伸縮可能範囲内でスリーブ39が昇降移動し、それに伴って車輪21c,21dが昇降移動する。これにより、傾斜する地面2の表面を走行車8が走行する場合でも、走行車8の椅子22を正立状態(すなわち非傾斜状態)に保持できる。
【0039】
椅子22は縦シャフト23bの上端部に取り付けられている。椅子22は、作業者が尻で座る座部24と、作業者の背中があたる背部26とを有している。座部24の底面には、斜め前方へ延びる支持部材27が設けられており、この支持部材27の先端部にペダル28が設けられている。主シャフト23aの適所には第1ギヤ29が設けられており、ペダル28の回転軸と第1ギヤ29の回転軸とが動力伝達ワイヤ31によって連結されている。作業者がペダル28を足で漕ぐと、すなわち周回移動させると、その回転力が動力伝達ワイヤ31によって第1ギヤ29へ伝えられて、その第1ギヤ29が回転する。
【0040】
動力伝達ワイヤ31は、自由に変形、例えば撓んだり、曲がったり、することができる金属又は樹脂製の線状部材である。このような自由変形特性のため、椅子22の位置や、ペダル28の位置が変化する場合にも自由に対応できる。
【0041】
後車輪21bの回転軸には第2ギヤ32が設けられており、第1ギヤ29と第2ギヤ32とはチェーン33によって連結されている。作業者がペダル28を漕いで第1ギヤ29を回転させると、その回転がチェーン33によって第2ギヤ32へ伝えられて、後車輪21bが回転する。
【0042】
前車輪21a及び後車輪21bの外周表面の断面形状は、図8に示すように、断面円弧形状の凹面34となっている。この凹面34は、円筒形状であるレール11の外周面を収容できる、又はその外周面に面接触する、又はその外周面に嵌り合うことが可能な径を有している。凹面34の径は、車輪21a及び21bをレール11上に乗せたときに、レール11が車輪21a及び21bを正確に案内できるような大きさ、すなわち車輪21a及び21bがレール11で横滑りしないで進行できるような大きさ、に設定されている。
【0043】
このため、後車輪21bが駆動されて回転したとき、走行車8はレール11から脱輪することなく、レール11に沿って規定の方向へ走行することができる。なお、車輪21a及び21bの外周表面の断面形状は、断面円弧形状に限られず、断面長円形状(図10(a))、断面楕円形状(図10(b))、断面V字形状(図10(c))、フランジ付平坦形状(図10(d))、その他必要に応じた任意の断面形状とすることができる。
【0044】
ペダル28を含んだ駆動系と、レール11及び車輪21a,21bを含んだ走行系とに関する上記の構成により、走行車8の車輪21a及び21bをレール11の上に乗せ、作業者が椅子22の座部24に座り、さらに作業者が自身の両脚でペダル28を漕げば、駆動輪21dの回転により走行車8がレール11上でレール11に沿って移動する。
【0045】
以下、上記構成より成る農作業システムの動作について説明する。
農作業を行わない場合、図7の走行車8は、図4のレール11上の所定の待機場所、又はレール11外の所定の待機場所に置かれている。走行車8がレール11の外に置かれている場合には、農作業の開始に際して走行車8がレール11上に乗せられる。
【0046】
作業者は図1に符号36で示すように、まず、椅子22の座部24の上に腰掛ける。そして、ペダル28を漕いで走行体8をレール11に沿って前進又は後進させながら、ブドウ棚4のブドウ6に対して所定の作業を行う。従来は、作業者が立った状態で歩きながらブドウ6に対して所定の作業を行っていたが、作業対象であるブドウ6は非常に多数であるので、この農作業は非常に重労働であった。しかしながら、本実施形態では、作業者36は座った状態でペダル28を足で漕ぐだけで、多数のブドウ6に対して作業を行うことができる。また、固定された進行方向のレールに沿って進むことから、方向を気にせず作業に集中できる。このため、作業者に肉体的な疲労を与えることなく、農作業を迅速に行うことが可能となる。
【0047】
作業者は必要に応じて図4の給水装置44の動作を開始させる。これにより、走行車8を用いたブドウ6に対する農作業を作業者が行っている間に、地面2に対する散水作業を農作業に併せて自動的に行うことができる。なお、図4の実施形態では、符号46で示す4ヶ所の部分で散水を行うことを例示したが、必要に応じて散水個所をさらに多くすることもできる。
【0048】
また、レール11の外周面に単に散水用の小孔を設けるのではなく、レール11に適宜の長さの導水管を接続し、さらにその導水管の先端に散水用の複数の孔を設けておき、この導水管を通して散水を行うこともできる。また、散水管の先端にスプリンクラーを取り付けて広範囲に散水することもできる。スプリンクラーとしては、導水管内の水圧だけで散水を行う構成や、ポンプ等といった加圧手段によって水等の液体を加圧する構成や、ノズルを用いて散水を行う構成、等といった種々の構成を採用できる。
【0049】
本実施形態によれば、例えば図6(a)〜図6(d)に示すように、レール11の外周面にそれぞれ溝14、溝16、溝17a,17b、及び凹部18又は凸部18を設けることにより、レール11の外周面上に凹凸形状を設けたので、走行車8の車輪21a,21bがレール11上で滑ることを防止できる。これにより、地面2が傾斜する場合でも走行車8をその地面2上で安定して走行させることが可能である。
【0050】
なお、車輪21a,21bの外周部分は、通常は、鋼、ステンレス、樹脂等といった金属及び樹脂によって形成される。しかしながら、レール11上においての車輪21a,21bの滑り止めの効果を、より一層高めたい場合には、それらの車輪21a,21bの外周表面に摩擦係数の高い部材、例えばゴムを貼着することが望ましい。
【0051】
図7において、椅子22の座部24の中心線X0は、前車輪21aと後車輪21bとを結ぶ線分の中心よりも後車輪21bの側に在る。従って、作業者が椅子22に腰掛けたとき、作業者の体重は前車輪21aよりも後車輪21bへ、より多くかかる。この構成は、後車輪21bがペダル28によって駆動される本実施形態の構成に対して好ましい構成である。
【0052】
(その他の実施形態)
以上、好ましい実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はその実施形態に限定されるものでなく、請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々に改変できる。
【0053】
例えば、ペダル28の動力を後車輪21bへ伝達する構成は、動力伝達ワイヤ31及びチェーン33を用いた本実施形態の構成に限られず、他の任煮の動力伝達機構を採用できる。また、動力源は作業者の人力に限られず、内燃機関、電動モータ等を用いた動力源とすることもできる。
【0054】
上記実施形態では本発明をブドウ農園に適用したが、本発明はその他の任意の農作物を育成する農園にも適用できる。
【0055】
図7の実施形態では椅子22を後車輪21bに近い位置に設けたが、椅子22は、前車輪21aと後車輪21bとの中央位置や、前車輪21aに近い位置に設けることもできる。
【0056】
上記の実施形態では、合成樹脂製のレール11の表面に図6の凹凸形状14,16,17a,17b,18を設ける構成に加えて、レール11を液体通路として利用することにより、地面や農作物に液体を供給するための構成を付加した。しかしながら、レール11を液体通路として利用することにより地面や農作物に液体を供給するための構成は、合成樹脂製のレール11の表面に凹凸形状14等を設ける構成と分離した別発明と考えることもできる。
【0057】
図11はさらに他の実施形態を示している。この実施形態に係る走行車58は、図8の実施形態に係る走行車8で用いたフレーム20と同じ構成のフレーム20を有している。但し、図8の走行車8では動力源としてペダル28を用いたが、図11の本実施形態では、動力源として電動モータ59を用いている。
【0058】
フレーム20の上端部にはレール11の延在方向(図11の紙面を透過する方向)に対して交差する方向(例えば略直角の方向)に延びる椅子用レール60が設けられている。椅子22の底部には複数のローラ61が設けられており、これらのローラ61が椅子用レール60に載っている。椅子22はローラ61の転動によりレール60に沿って矢印A−Aのように往復滑り移動可能である。
【0059】
椅子22の側部から底部にかけて、レバー62を含んだ位置固定装置が設けられている。椅子22に座った作業者は、椅子用レール60の上で椅子22を所望の位置まで動かした後、レバー62を操作することにより、椅子22を所望の位置に固定できる。そして、その所望の位置において農作業を行うことができる。
【0060】
本実施形態では電動モータ59を動力源としたが、図7においてペダル28と第1ギヤ29とを連結する動力伝達ワイヤ31は可撓性を有しているため、椅子22が椅子用レール60の上でスライド移動する場合でも、それに追従して移動することができる。従って、椅子22がスライド移動する構成である本実施形態の場合でも、動力源としてペダル28を用いることができる。
【0061】
図11に示した本実施形態では、合成樹脂製のレール11の表面に凹凸形状14(図6(a)参照)を設ける構成に加えて、椅子22をスライド移動させるための構成を付加した。しかしながら、椅子22をスライド移動させるための構成は、合成樹脂製のレール11の表面に凹凸形状14を設ける構成と分離した別発明と考えることもできる。
【符号の説明】
【0062】
1.ブドウ園(農園)、 2.地面、 3.支柱、 4.ブドウ棚、 6.ブドウ(農作物)、 7.レールユニット、 8.走行車、 9.敷板、 11.レール、 12.凹部分、 13.クギ、 14.溝(切り目/凹凸形状)、 16.溝(凹凸形状)、 17a,17b.溝(凹凸形状)、 18.凹部又は凸部(凹凸形状)、 20.フレーム、 21a,21b,21c.車輪、 21d.駆動輪、 22.椅子、 23a.主シャフト、 23b.縦シャフト、 23c.前傾斜シャフト、 23d.後傾斜シャフト、 23e.上シャフト、 24.座部、 26.背部、 27.支持部材、 28.ペダル、 29.第1ギヤ、 31.動力伝達ワイヤ、 32.第2ギヤ、 33.チェーン、 34.車輪の凹面、 36.作業者、 37.ロッド、 38.圧縮バネ、 39.スリーブ、 40.ブラケット、 41a,41b.杭、 42.引張りバネ、 43.ワイヤ、 44.給水装置、 46.散水孔、 47.フランジ、 A.直線部分、 B.折返し部、 C.地面の凹凸、 W1,W2,W3.幅、 X0.中心線
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばブドウ園における農作業のように、地面から離れた位置にある農作物に対して作業者が作業を行うことを可能とする農作業システムに関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような農作業システムとして、従来、特許文献1に示されているように、走行車の車輪をレールの凹部に嵌合させた状態でレールに沿って走行車を走行させるようにしたシステムが知られている。
【0003】
また、特許文献2に示されているように、円柱形状のレールの外周表面に断面円弧状の車輪を嵌合させた状態で走行車をそのレールに沿って走行させるようにした農作業システムが知られている。
【0004】
さらに、特許文献3に示されているように、畝溝に接触して転動する車輪の外周表面に凹溝を設けることにより車輪の外周表面上に凹凸形状を形成するようにした農作業システムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3086316号公報(第8〜15頁、図1)
【特許文献2】特開2003−250306号公報(第3〜4頁、図1)
【特許文献3】特開平7−184412号公報(第3頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上のように、農作業を行うにあたって、地面上にレールを施設し、そのレールに沿って走行車を走行させ、必要に応じて車輪の外周面に凹凸形状を設けることは、従来から知られている。しかしながら、この農作業システムにおいては、地面がレールに沿って前側又は後ろ側に傾斜している場合に車輪がレール上で滑ってしまい、走行車の安定した走行が得られないという問題があった。
【0007】
特許文献3によれば、車輪の外周面上に凹凸形状を付与する技術が開示されているが、レール側に適切な工夫が施されていないと、やはり、車輪がレール上で滑ってしまうという問題があった。
【0008】
本発明は、従来装置における上記の問題点を解消するために成されたものであって、走行車をレールに沿って走行させるようにした農作業システムにおいて、走行車の車輪がレール上で滑ることを防止することにより、地面が傾斜する場合でも走行車をその地面上で安定して走行させることが可能である農作業システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る農作業システムは、地面上の農作物に対して作業者が作業を行うことを可能とする農作業システムにおいて、地面上に設けられたレールと、前記作業者が乗って前記レール上を走行する走行車とを有し、前記走行車は前記レール上に乗る車輪を有しており、前記レールは合成樹脂によって形成され、その表面に凹凸形状が設けられており、該凹凸形状は前記レールの延在方向に沿って凹部と凸部とが交互に位置していることを特徴とする。
【0010】
農作物は地面の上に直接に置かれている場合もあるし、地面から離れて存在する場合もある。レールは地面の上に直接に置かれる場合もあるし、何等かの介在物を介して地面から離れて置かれる場合もある。
【0011】
上記レールの材質は特定のものに限定されないが、例えばポリエステル樹脂を主成分とする合成樹脂によって形成できる。レールの硬度も特定の値に限定されないが、硬過ぎると作業者によるレール施設時の作業性が悪くなり、柔らか過ぎると走行車がレールに乗ったときにレールの撓み量が大きくなり過ぎて走行車の走行性が悪くなる。発明者の調査によれば、レールに120kg程度の荷重がかかったときに、レールの直径が0.2mm程度変形するようなレールの硬度が好ましい。
【0012】
本発明に係る農作業システムにおいて、前記レールは円筒形状又は円柱形状とすることができ、前記車輪の外周面の断面形状は前記レールの外周面を覆うことができる断面凹形状とすることができる。断面凹形状は、例えば、断面円弧形状、断面楕円形状、断面長円形状等といった断面湾曲形状や、平坦面の両側にフランジを設けた断面形状等とすることができる。車輪の外周面を断面凹形状とすることにより、車輪とレールとの接触面積を広くでき、且つ脱輪を防止でき、その結果、走行車の安定した走行を実現できる。
【0013】
車輪の外周面の断面形状を断面円弧形状とする場合には、その車輪の円弧形状の半径は前記レールの外周面の半径に略等しいか、それよりも大きく設定する。車輪の円弧形状の半径がレールの外周面の半径よりも大きいというのは、車輪の円弧形状の曲率がレールの外周面の曲率よりも小さいということである。この条件により、車輪をレール上に支障なく、乗せることができる。しかしながら、車輪の外周面の断面円弧形状の曲率は、できる限りレールの外周面の曲率に近く設定する。こうすれば、車輪がレール上で滑ることを効果的に防止できる。
【0014】
前記レールが円筒形状又は円柱形状であるとき、前記車輪の外周の断面形状は、円弧形状に限られず、図10(a)のような断面楕円形状、図10(b)のような断面長円形状、図10(c)のような断面V字形状、あるいはその他任意の断面凹形状とすることができる。さらには、図10(d)に示すように、平面状の外周面の両側にフランジ47,47を設けた断面凹形状とすることもできる。
【0015】
本発明に係る農作業システムにおいて、前記レールの凹凸形状は、例えば、前記レールの外周面上に複数のリング状の溝を互いに間隔をおいて形成したり、1つの螺旋状の溝を形成したり、又は複数の螺旋状の溝を互いに間隔をおいて形成することによって形成することができる。あるいは、その他の任意の手法によって凹凸形状を形成することもできる。
【0016】
本発明に係る農作業システムにおいて、前記レールは敷板を間に置いて地面上に設けることができる。敷板を介在させることにより、レールが地面内へ埋まり込むことを防止できる。敷板は厚くて剛性の高い部材を用いる必要はなく、厚さ1mm〜0.2mm程度の合成樹脂板、ブリキ板等とすることができる。
【0017】
また、敷板は少なくとも一方の側の表面が波形状であり、当該波形状の凹部形状は前記レールが嵌り込むことができる大きさであることが望ましい。これにより、レールの横揺れ移動を敷板によって防止できる。なお、敷板はクギ、杭等といった固定手段によって地面に固定されることが望ましい。
【0018】
また、敷板は表裏両面に波形状を有することが望ましい。こうすれば、敷板自身の地面上での横滑り移動を防止できる。この敷板は、例えば、一般に住宅建築用に市場に供給されているような、波形状で厚さが均一な板状部材とすることができる。
【0019】
本発明に係る農作業システムにおいて、1枚の敷板の長さはレールよりも短くすることができ、そして、複数枚の敷板をレールに沿って連続的に又は間隔をあけて並べて設けることができる。
【0020】
本発明に係る農作業システムにおいて、前記レールを円筒形状に形成し、該レールの中空内部に液体を供給する液体供給手段を設け、前記レールの適所に液体放出用の孔を設けることができる。この構成により、地面や農作物に液体、例えば水を供給することを、レールを用いて行うことが可能となり、非常に便利である。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る農作業システムによれば、例えば図6(a)〜図6(d)に示すように、レールを金属でない合成樹脂によって形成した上で、その外周面に溝、凹部又は凸部等を含んだ凹凸形状を設けたので、走行車の車輪がレール上で滑ることを防止できる。これにより、地面が傾斜する場合でも走行車をその地面上で安定して走行させることが可能である。農作業地の表面には無秩序な凹凸形状又は傾斜が存在することが多いが、本発明で用いる走行車はそのような農作業地でも安定した走行を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る農作業システムの一実施形態の全体を示す図である。
【図2】図1の矢印Z0に従った図である。
【図3】農作業システムの要部であるレールユニットを示す斜視図である。
【図4】地面に施設されたレールの平面形態の一例を示す図である。
【図5】レールユニットの地面への固定状態の一例を示す図である。
【図6】レールの複数の実施形態を示す斜視図である。
【図7】農作業システムの要部である走行車の一例を示す図である。
【図8】図7の矢印Z1に従った図である。
【図9】図8に示す走行車の片方の車輪が上方へ持ち上がった状態を示す図である。
【図10】車輪の外周面の断面形状の複数の変形例を示す図である。
【図11】本発明に係る農作業システムの他の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る農作業システムを実施形態に基づいて説明する。なお、本発明がこの実施形態に限定されないことはもちろんである。また、これ以降の説明では図面を参照するが、その図面では特徴的な部分を分かり易く示すために実際のものとは異なった比率で構成要素を示す場合がある。
【0024】
図1及び図2は本発明に係る農作業システムを農園としてのブドウ園に適用した場合の実施形態を示している。ブドウ園1は、地面2上に互いに間隔をあけて立てられた複数の支柱3と、それらの支柱3の上に形成されたブドウ棚4とを有している。農作物としてのブドウ6はブドウ棚4から垂下している。
【0025】
本実施形態に係る農作業システムは、地面2の上に施設されたレールユニット7と、そのレールユニット7に沿って走行する走行車8とを有している。レールユニット7は、地面2上に置かれた敷板9と、その敷板9の上に載せられたレール11とを有している。敷板9は、図3に示すように、波形状を有したブリキ製、プラスチック製等の板材によって形成されている。敷板9の板厚は一定であり、例えば0.3mm程度である。レール11はプラスチック製、金属製等で円筒形状の部材、すなわち断面が円形状で中空である筒状部材、によって形成されている。
【0026】
レール11は、所定の材料、厚さ及び形状に形成されることにより、走行車8が乗っても大きく変形せず、しかも破損もしないようになっている。例えば、レール11は、外形40〜20mm、厚さ8〜4mmの円筒形状であってポリエステル樹脂を主成分とする樹脂によって形成されている。レール11は、敷板9の波形状の凹部分12に収容されている。レール11は凹部分12に嵌った状態で、自身の中心軸線に対する横方向へずれ移動できないようになっている。レール11は敷板9に載せられているだけであり、釘、ネジ、接着剤等といった固定手段によって固定されてはいない。
【0027】
レール11及び敷板9は、ブドウ棚4及び支柱3の設置形態に対応して地面2上に適切な平面形態に設置されている。例えば、平面的に見て図4に示すように、長く延びた直線部分Aと、ブドウ棚4の端部に対応して設けられた折返し部Bとを繰り返す平面形態となっている。図では、3つの繰返し部Bを有する単純な形態を図示しているが、実際にはブドウ棚4の形態に合わせた複雑な平面形態になることもある。
【0028】
レール11は繋ぎ目の無い1本のレールであっても良いし、あるいは、長さの短い複数のレールを順次に繋ぎ合せて全体として1本のレール11としても良い。敷板9も、1つの平面的に湾曲した板材によって形成しても良いし、あるいは、長さの短い板材を繋ぎ合せても良い。図示の実施形態では敷板9はレール11の全ての部分に対応して設けられているが、必要に応じて、敷板9を設けない部分があっても良い。敷板9が無い部分では、レール11は地面2の表面に直接に接触することになる。また、敷板9は図5(a)及び(b)に示すように固定手段、例えばクギ13によって地面2に固定することができる。特に、図5(b)に示すように、地面2が傾斜地である場合にはクギ13等による固定が有効である。
【0029】
レール11の外周表面には摩擦係数を高めるため、すなわち摩擦力を高めるための処理が施されている。例えば、図6(a)に示すように、幅W1が狭い複数のリング状の溝(あるいは切り目)14を間隔をあけて互いに平行に形成することによりレール11の外周表面に凹凸形状を形成することができる。溝14は、複数のリング状の溝ではなく、1本の螺旋状の溝(あるいは切れ目)であっても良い。幅W1は、例えば0.5mm程度である。
【0030】
また、図6(b)に示すように、幅W2が比較的広い複数のリング状の溝16を間隔をあけて互いに平行に形成することによりレール11の外周表面に凹凸形状を形成することができる。溝16は、複数のリング状の溝ではなく、1本の螺旋状の溝であっても良い。幅W2は、例えば1.5mm程度である。また、図6(c)に示すように、幅W3が狭い複数のリング状又は1本の螺旋状の溝17aと、他のリング状又は螺旋状の溝17bとを互いに交差して形成することによりレール11の外周表面に凹凸形状を形成することができる。
【0031】
さらに、図6(d)に示すように、島状すなわちドット状の複数の凹部18又は凸部18をランダム(すなわち無秩序)又は規則的に形成することにより、レール11の外周表面に凹凸形状を形成することができる。以上のようなレール11の外周面上の凹凸形状は、レール11を樹脂の成形加工によって形成する際に同時に形成しても良いし、円筒又は円柱形状のレール11の外周表面に後加工によって形成しても良い。
【0032】
以上のようにレール11の外周表面上に凹凸形状を形成しておけば、走行車8の車輪(後述)とレール11との間、及びレール11と敷板9との間に好ましい摩擦力をもたらすことができる。その結果、レール11上での車輪の滑りを防止でき、地面2の表面に上りの傾斜及び下りの傾斜がある場合でも、走行車8を安定して走行させることができる。
【0033】
図4において、レール11の一端(図4の右端)は、地面2に埋め込まれた杭41aに掛けられた引張りバネ42に連結されている。引張りバネ42は、引張り荷重に対して抗力を生じるバネである。また、レール11の他端(図4の左端)は、地面2に埋め込まれた杭41bに掛けられた伸縮しないワイヤ43に連結されている。この構成により、レール11は、バネ42のバネ力によって緊張状態を保持し、弛まないようになっている。
【0034】
また、レール11の適所(実施形態では図示の左側の一端部)に液体供給手段としての給水装置44が接続されている。この給水装置44は、例えば、商用水道を利用した水源や、水タンクとポンプとを利用した水源等といった任意の水源を有しており、レール11の内部に液体としての水を所望の圧力で供給する。液体は、水以外の液体、例えば農薬、肥料等となることもある。
【0035】
供給された水はレール11の内部を流れてレール11の他端から外部へ流れ出る。レール11の適所(実施形態では符号46に示す部分)には散水用の多数の小孔が設けられている(以下、小孔自体を符号46で表すことがある)。レール11の内部を流れる水の一部はこれらの小孔46から外部へ散布される。散布された水は、地面2の管理のためや、農作物であるブドウ6の育成のために利用される。散水を有効ならしめるために、小孔を設けた部分46には敷板11を施設しないようにすることができる。
【0036】
走行車8は、例えば図7及び図8に示されている。図8は図7の矢印Z1に従った図である。これらの図に示すように、走行車8は、フレーム20と、このフレーム20に取り付けられた車輪21a,21b,21c,21dと、フレーム20によって支持されている椅子22とを有している。
【0037】
フレーム20は、主シャフト23a、縦シャフト23b、前傾斜シャフト23c、後傾斜シャフト23d、及び上シャフト23eを有している。前車輪21a及び後車輪21bはそれぞれ主シャフト23aの前端部及び後端部に回転可能に取り付けられている。図8において、上シャフト23eの左右の外側の端部にはロッド37,37が垂下して連結されている。これらのロッド37の周囲には、圧縮バネ38を介してスリーブ39,39がロッド37に沿って移動可能に設けられている。圧縮バネ38は、圧縮荷重に対して抗力を生じるバネである。スリーブ39,39のそれぞれにはブラケット40,40が取り付けられており、右車輪21c及び左車輪21dがそれぞれのブラケット40によって回転可能に支持されている。
【0038】
以上の構成により、車輪21c,21dは、図9に示すように、地面2の表面に凹凸Cが存在する場合には、圧縮バネ38の伸縮可能範囲内でスリーブ39が昇降移動し、それに伴って車輪21c,21dが昇降移動する。これにより、傾斜する地面2の表面を走行車8が走行する場合でも、走行車8の椅子22を正立状態(すなわち非傾斜状態)に保持できる。
【0039】
椅子22は縦シャフト23bの上端部に取り付けられている。椅子22は、作業者が尻で座る座部24と、作業者の背中があたる背部26とを有している。座部24の底面には、斜め前方へ延びる支持部材27が設けられており、この支持部材27の先端部にペダル28が設けられている。主シャフト23aの適所には第1ギヤ29が設けられており、ペダル28の回転軸と第1ギヤ29の回転軸とが動力伝達ワイヤ31によって連結されている。作業者がペダル28を足で漕ぐと、すなわち周回移動させると、その回転力が動力伝達ワイヤ31によって第1ギヤ29へ伝えられて、その第1ギヤ29が回転する。
【0040】
動力伝達ワイヤ31は、自由に変形、例えば撓んだり、曲がったり、することができる金属又は樹脂製の線状部材である。このような自由変形特性のため、椅子22の位置や、ペダル28の位置が変化する場合にも自由に対応できる。
【0041】
後車輪21bの回転軸には第2ギヤ32が設けられており、第1ギヤ29と第2ギヤ32とはチェーン33によって連結されている。作業者がペダル28を漕いで第1ギヤ29を回転させると、その回転がチェーン33によって第2ギヤ32へ伝えられて、後車輪21bが回転する。
【0042】
前車輪21a及び後車輪21bの外周表面の断面形状は、図8に示すように、断面円弧形状の凹面34となっている。この凹面34は、円筒形状であるレール11の外周面を収容できる、又はその外周面に面接触する、又はその外周面に嵌り合うことが可能な径を有している。凹面34の径は、車輪21a及び21bをレール11上に乗せたときに、レール11が車輪21a及び21bを正確に案内できるような大きさ、すなわち車輪21a及び21bがレール11で横滑りしないで進行できるような大きさ、に設定されている。
【0043】
このため、後車輪21bが駆動されて回転したとき、走行車8はレール11から脱輪することなく、レール11に沿って規定の方向へ走行することができる。なお、車輪21a及び21bの外周表面の断面形状は、断面円弧形状に限られず、断面長円形状(図10(a))、断面楕円形状(図10(b))、断面V字形状(図10(c))、フランジ付平坦形状(図10(d))、その他必要に応じた任意の断面形状とすることができる。
【0044】
ペダル28を含んだ駆動系と、レール11及び車輪21a,21bを含んだ走行系とに関する上記の構成により、走行車8の車輪21a及び21bをレール11の上に乗せ、作業者が椅子22の座部24に座り、さらに作業者が自身の両脚でペダル28を漕げば、駆動輪21dの回転により走行車8がレール11上でレール11に沿って移動する。
【0045】
以下、上記構成より成る農作業システムの動作について説明する。
農作業を行わない場合、図7の走行車8は、図4のレール11上の所定の待機場所、又はレール11外の所定の待機場所に置かれている。走行車8がレール11の外に置かれている場合には、農作業の開始に際して走行車8がレール11上に乗せられる。
【0046】
作業者は図1に符号36で示すように、まず、椅子22の座部24の上に腰掛ける。そして、ペダル28を漕いで走行体8をレール11に沿って前進又は後進させながら、ブドウ棚4のブドウ6に対して所定の作業を行う。従来は、作業者が立った状態で歩きながらブドウ6に対して所定の作業を行っていたが、作業対象であるブドウ6は非常に多数であるので、この農作業は非常に重労働であった。しかしながら、本実施形態では、作業者36は座った状態でペダル28を足で漕ぐだけで、多数のブドウ6に対して作業を行うことができる。また、固定された進行方向のレールに沿って進むことから、方向を気にせず作業に集中できる。このため、作業者に肉体的な疲労を与えることなく、農作業を迅速に行うことが可能となる。
【0047】
作業者は必要に応じて図4の給水装置44の動作を開始させる。これにより、走行車8を用いたブドウ6に対する農作業を作業者が行っている間に、地面2に対する散水作業を農作業に併せて自動的に行うことができる。なお、図4の実施形態では、符号46で示す4ヶ所の部分で散水を行うことを例示したが、必要に応じて散水個所をさらに多くすることもできる。
【0048】
また、レール11の外周面に単に散水用の小孔を設けるのではなく、レール11に適宜の長さの導水管を接続し、さらにその導水管の先端に散水用の複数の孔を設けておき、この導水管を通して散水を行うこともできる。また、散水管の先端にスプリンクラーを取り付けて広範囲に散水することもできる。スプリンクラーとしては、導水管内の水圧だけで散水を行う構成や、ポンプ等といった加圧手段によって水等の液体を加圧する構成や、ノズルを用いて散水を行う構成、等といった種々の構成を採用できる。
【0049】
本実施形態によれば、例えば図6(a)〜図6(d)に示すように、レール11の外周面にそれぞれ溝14、溝16、溝17a,17b、及び凹部18又は凸部18を設けることにより、レール11の外周面上に凹凸形状を設けたので、走行車8の車輪21a,21bがレール11上で滑ることを防止できる。これにより、地面2が傾斜する場合でも走行車8をその地面2上で安定して走行させることが可能である。
【0050】
なお、車輪21a,21bの外周部分は、通常は、鋼、ステンレス、樹脂等といった金属及び樹脂によって形成される。しかしながら、レール11上においての車輪21a,21bの滑り止めの効果を、より一層高めたい場合には、それらの車輪21a,21bの外周表面に摩擦係数の高い部材、例えばゴムを貼着することが望ましい。
【0051】
図7において、椅子22の座部24の中心線X0は、前車輪21aと後車輪21bとを結ぶ線分の中心よりも後車輪21bの側に在る。従って、作業者が椅子22に腰掛けたとき、作業者の体重は前車輪21aよりも後車輪21bへ、より多くかかる。この構成は、後車輪21bがペダル28によって駆動される本実施形態の構成に対して好ましい構成である。
【0052】
(その他の実施形態)
以上、好ましい実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はその実施形態に限定されるものでなく、請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々に改変できる。
【0053】
例えば、ペダル28の動力を後車輪21bへ伝達する構成は、動力伝達ワイヤ31及びチェーン33を用いた本実施形態の構成に限られず、他の任煮の動力伝達機構を採用できる。また、動力源は作業者の人力に限られず、内燃機関、電動モータ等を用いた動力源とすることもできる。
【0054】
上記実施形態では本発明をブドウ農園に適用したが、本発明はその他の任意の農作物を育成する農園にも適用できる。
【0055】
図7の実施形態では椅子22を後車輪21bに近い位置に設けたが、椅子22は、前車輪21aと後車輪21bとの中央位置や、前車輪21aに近い位置に設けることもできる。
【0056】
上記の実施形態では、合成樹脂製のレール11の表面に図6の凹凸形状14,16,17a,17b,18を設ける構成に加えて、レール11を液体通路として利用することにより、地面や農作物に液体を供給するための構成を付加した。しかしながら、レール11を液体通路として利用することにより地面や農作物に液体を供給するための構成は、合成樹脂製のレール11の表面に凹凸形状14等を設ける構成と分離した別発明と考えることもできる。
【0057】
図11はさらに他の実施形態を示している。この実施形態に係る走行車58は、図8の実施形態に係る走行車8で用いたフレーム20と同じ構成のフレーム20を有している。但し、図8の走行車8では動力源としてペダル28を用いたが、図11の本実施形態では、動力源として電動モータ59を用いている。
【0058】
フレーム20の上端部にはレール11の延在方向(図11の紙面を透過する方向)に対して交差する方向(例えば略直角の方向)に延びる椅子用レール60が設けられている。椅子22の底部には複数のローラ61が設けられており、これらのローラ61が椅子用レール60に載っている。椅子22はローラ61の転動によりレール60に沿って矢印A−Aのように往復滑り移動可能である。
【0059】
椅子22の側部から底部にかけて、レバー62を含んだ位置固定装置が設けられている。椅子22に座った作業者は、椅子用レール60の上で椅子22を所望の位置まで動かした後、レバー62を操作することにより、椅子22を所望の位置に固定できる。そして、その所望の位置において農作業を行うことができる。
【0060】
本実施形態では電動モータ59を動力源としたが、図7においてペダル28と第1ギヤ29とを連結する動力伝達ワイヤ31は可撓性を有しているため、椅子22が椅子用レール60の上でスライド移動する場合でも、それに追従して移動することができる。従って、椅子22がスライド移動する構成である本実施形態の場合でも、動力源としてペダル28を用いることができる。
【0061】
図11に示した本実施形態では、合成樹脂製のレール11の表面に凹凸形状14(図6(a)参照)を設ける構成に加えて、椅子22をスライド移動させるための構成を付加した。しかしながら、椅子22をスライド移動させるための構成は、合成樹脂製のレール11の表面に凹凸形状14を設ける構成と分離した別発明と考えることもできる。
【符号の説明】
【0062】
1.ブドウ園(農園)、 2.地面、 3.支柱、 4.ブドウ棚、 6.ブドウ(農作物)、 7.レールユニット、 8.走行車、 9.敷板、 11.レール、 12.凹部分、 13.クギ、 14.溝(切り目/凹凸形状)、 16.溝(凹凸形状)、 17a,17b.溝(凹凸形状)、 18.凹部又は凸部(凹凸形状)、 20.フレーム、 21a,21b,21c.車輪、 21d.駆動輪、 22.椅子、 23a.主シャフト、 23b.縦シャフト、 23c.前傾斜シャフト、 23d.後傾斜シャフト、 23e.上シャフト、 24.座部、 26.背部、 27.支持部材、 28.ペダル、 29.第1ギヤ、 31.動力伝達ワイヤ、 32.第2ギヤ、 33.チェーン、 34.車輪の凹面、 36.作業者、 37.ロッド、 38.圧縮バネ、 39.スリーブ、 40.ブラケット、 41a,41b.杭、 42.引張りバネ、 43.ワイヤ、 44.給水装置、 46.散水孔、 47.フランジ、 A.直線部分、 B.折返し部、 C.地面の凹凸、 W1,W2,W3.幅、 X0.中心線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面上の農作物に対して作業者が作業を行うことを可能とする農作業システムにおいて、
地面上に設けられたレールと、
前記作業者が乗って前記レール上を走行する走行車と、を有し、
前記走行車は前記レール上に乗る車輪を有しており、
前記レールは合成樹脂によって形成され、その表面に凹凸形状が設けられており、
該凹凸形状は前記レールの延在方向に沿って凹部と凸部とが交互に位置している、
ことを特徴とする農作業システム。
【請求項2】
前記レールは円筒形状又は円柱形状であり、前記車輪の外周面の断面形状は前記レールの外周面を覆うことができる断面凹形状を有することを特徴とする請求項1記載の農作業システム。
【請求項3】
前記レールの表面の凹凸形状は、前記レールの外周面上に複数のリング状の溝を互いに間隔をおいて形成するか、1つの螺旋状の溝を形成するか、又は複数の螺旋状の溝を互いに間隔をおいて形成することによって形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の農作業システム。
【請求項4】
前記レールは敷板を間に置いて地面上に設けられることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の農作業システム。
【請求項5】
前記敷板は少なくとも一方の側の表面が波形状であり、当該波形状の凹部形状は前記レールが入ることができる大きさであることを特徴とする請求項4記載の農作業システム。
【請求項6】
前記敷板は表裏両面に波形状を有することを特徴とする請求項4又は請求項5記載の農作業システム。
【請求項7】
1枚の敷板の長さはレールよりも短くなっており、複数枚の前記敷板が前記レールに沿って連続的に又は間隔をあけて並べて設けられることを特徴とする請求項4から請求項6のいずれか1つに記載の農作業システム。
【請求項8】
前記レールは円筒形状であり、該レールの中空内部に液体を供給する液体供給手段をさらに有し、前記レールの適所に液体放出用の孔を有することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1つに記載の農作業システム。
【請求項1】
地面上の農作物に対して作業者が作業を行うことを可能とする農作業システムにおいて、
地面上に設けられたレールと、
前記作業者が乗って前記レール上を走行する走行車と、を有し、
前記走行車は前記レール上に乗る車輪を有しており、
前記レールは合成樹脂によって形成され、その表面に凹凸形状が設けられており、
該凹凸形状は前記レールの延在方向に沿って凹部と凸部とが交互に位置している、
ことを特徴とする農作業システム。
【請求項2】
前記レールは円筒形状又は円柱形状であり、前記車輪の外周面の断面形状は前記レールの外周面を覆うことができる断面凹形状を有することを特徴とする請求項1記載の農作業システム。
【請求項3】
前記レールの表面の凹凸形状は、前記レールの外周面上に複数のリング状の溝を互いに間隔をおいて形成するか、1つの螺旋状の溝を形成するか、又は複数の螺旋状の溝を互いに間隔をおいて形成することによって形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の農作業システム。
【請求項4】
前記レールは敷板を間に置いて地面上に設けられることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の農作業システム。
【請求項5】
前記敷板は少なくとも一方の側の表面が波形状であり、当該波形状の凹部形状は前記レールが入ることができる大きさであることを特徴とする請求項4記載の農作業システム。
【請求項6】
前記敷板は表裏両面に波形状を有することを特徴とする請求項4又は請求項5記載の農作業システム。
【請求項7】
1枚の敷板の長さはレールよりも短くなっており、複数枚の前記敷板が前記レールに沿って連続的に又は間隔をあけて並べて設けられることを特徴とする請求項4から請求項6のいずれか1つに記載の農作業システム。
【請求項8】
前記レールは円筒形状であり、該レールの中空内部に液体を供給する液体供給手段をさらに有し、前記レールの適所に液体放出用の孔を有することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1つに記載の農作業システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−115062(P2011−115062A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−273615(P2009−273615)
【出願日】平成21年12月1日(2009.12.1)
【出願人】(509015925)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月1日(2009.12.1)
【出願人】(509015925)
【Fターム(参考)】
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