説明

農作業機の延長補助整地板回動装置

【課題】損傷等した連動アームを交換する場合、コストの増大を抑えることが可能な農作業機の延長補助整地板回動装置を提供する。
【解決手段】機体5に回転自在に支持された耕耘ロータの上部を覆うシールドカバー23に上下方向に回動自在に支持された第1延長整地板24の後端部に回動可能に支持された第2延長整地板の機体幅方向の端部に前後方向に延びる軸部を回動中心として回動自在に設けられた延長補助整地板を備えた代掻き作業機1において、シールドカバー23に、正逆回転用モータ43とこの回転軸に取り付けられた歯車伝動機構47と歯車伝動機構47の出力側の大歯車50の下部に回動アーム62を取り付けてユニット化し、回動アーム62のアーム部53cに突出部53aを設け、突出部53aを挿入して連結する挿入孔62cを有した連動アーム53をシールドカバー23に回動自在に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耕耘ロータの耕耘幅より広い幅に亘って圃場の表面を平らに整地可能な延長補助整地板を回動させる農作業機の延長補助整地板回動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような延長補助整地板回動装置を備えた農作業機としては、特許文献1に記載されているように、機枠に耕耘ロータを回転可能に設け、この機枠に耕耘ロータの上部を覆うカバー部を設け、耕耘ロータの進行方向後側に配置されてカバー部の後端部に第1整地板を回動自在に設け、第1整地板の後端部に第2整地板を回動可能に設け、第2整地板の機体幅方向の端部に前後方向に延びる軸部を回動中心として延長補助整地板を回動可能に設けたものが知られている。
【0003】
延長補助整地板回動装置は、機体幅方向に延びる主枠に取り付けられたブラケットに連動アームを回動自在に軸支し、この連動アームに連動体を介して延長補助整地板を連結し、ブラケットに連動アームを回動させる正逆回転用モータを設け、このモータを制御する遠隔操作用のスイッチをトラクタの運転席に設けて構成されている。
【0004】
連動アームはその回動中心側に歯車体が一体的に形成され、歯車体はモータに設けられたウォームギアに歯合するピニオンに歯合されている。このため、モータが回転すると、ウォームギア、ピニオンを介して歯車体が回動して、連動アームが歯車体側を回動中心として回動して延長補助整地板を第2整地板の上方に折り畳んだ折り畳み位置と第2整地板の長手方向の側方に張り出した展開位置との間で回動させることができる。
【0005】
【特許文献1】特許2872530号公報(段落0009〜0017、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この従来の延長補助整地板回動装置では、延長補助整地板上に多量の泥土等が載置された状態で延長補助整地板を折り畳み位置側へ回動させると、連動アームに過負荷が作用して、連動アームが曲がったり破損したりする虞がある。この場合に、一体成形された歯車体を有した連動アームを交換するのは非経済的である。
【0007】
本発明は、このような背景に鑑みてなされたものであり、損傷等した連動アームを交換する場合、コストの増大を抑えることが可能な農作業機の延長補助整地板回動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような課題を解決するため、本発明は、機体に回転可能に支持された耕耘ロータと、機体に設けられ耕耘ロータの上部を覆うカバー部と、耕耘ロータの進行方向後側に配置されてカバー部に上下方向に回動自在に支持された第1整地板と、該第1整地板の後端部に回動可能に支持された第2整地板と、該第2整地板の機体幅方向の端部に前後方向に延びる軸部を回動中心として回動自在に設けられた延長補助整地板を備えた農作業機において、カバー部に設けられた正逆回転用モータと、正逆回転用モータの回転軸に取り付けられた歯車伝動機構と、カバー部に回動自在に支持されて歯車伝動機構からの回転力を受けて回動する連動アームと、連動アームと延長補助整地板との間に接続された連結体とを有した農作業機の延長補助整地板回動装置であって、歯車伝動機構のうちの出力側の歯車の回動中心軸に該回動中心軸の径方向外側へ張り出して歯車とともに回動する回動アームが設けられ、回動アームと連動アームのいずれか一方に他方のアーム側に突出する突出部が設けられ、回動アームと連動アームのいずれか他方に突出部と連結される連結部が設けられ、連動アームは、突出部と連結部が連結された状態で回動アームの回動に連動して回動し、延長補助整地板を第2整地板の上方に折り畳んだ折り畳み位置と第2整地板の長手方向の側方に張り出した展開位置との間を回動させることを構成要件とする。
【0009】
回動アームは、回動中心軸に該回動中心軸の径方向外側へ張り出すように設けられるが、具体的には、回動アームは回動中心軸に対して直交する方向に設けられたり、回動中心軸に対して斜め方向に設けられたり、回動アームの一部が回動中心軸に対して直交又は斜め方向に設けられたりする。このため、回動アームは直線状に限るものではなく、中間部が屈曲したものでもよい。
【0010】
歯車の回動中心軸に取り付けられる回動アームの取り付け方法は、回動中心軸を歯車から延出した状態に形成し、この延出した回動中心軸に直接に回動アームを取り付ける他に、延出した回動中心軸にカラー等の中間部材を回動中心軸に挿着して固定し、この中間部材に回動アームを取り付けてもよい。
【0011】
突出部は連結部に連結可能なものであればよく、棒状に延びる部材の他に、棒状部材の先端部に二股に分かれて連動アーム又は回動アームのアーム部に係合可能な二股部分を有したものや、棒状部材に先端部に連動アーム又は回動アームのアーム部分に嵌合可能な係止部を設けたものでもよい。なお、先端部に二股部分や係止部を有したものは、回動アームと連動アームの回動中心軸が同軸上に配置されている場合のみ使用可能である。
【0012】
連結部は、突出部の形状に対応して構成される。具体的には、突出部が棒状の部材である場合には、突出部が挿入可能な挿入溝でもよい(請求項2)。この場合、突出部は、挿入溝に挿入された状態で挿入溝の出口側から突出するように構成すると(請求項2)、回動アームと連動アームの上下方向の取り付け位置が変わった場合でも、突出部を挿入溝に挿入した状態にして、回動アームと連動アームを連結することが可能になる。突出部の軸方向長さは、予想される回動アームと連動アームの上下方向の取り付け位置間の距離から決定される。挿入溝は、回動アームと連動アームの回動中心軸線が同軸上に配置されている場合には、突出部の外径と略同じ内径でもよいが、回動アームと連動アームの回動中心軸線が同軸上にない場合には、回動アームの可動が困難になる虞がある。このため、挿入溝の内径は突出部の外径よりも大きめに形成されることが好ましい。挿入溝は、凹部、孔、切り欠き等でもよい。
【0013】
なお、突出部の先端部が二股部分を有したものや、連動アームのアーム部分に嵌合可能な係止部を設けたものでもよい。なお、先端部に二股部分や係止部を有した突出部では、連結部は、回動アーム又は連動アームのアーム部分が連結部になる。この場合には、回動アームと連動アームの回動中心軸線が同軸上に配置されている必要がある。
【0014】
回動アームと連動アームの回動中心軸線が同軸上に配置されていない場合には、回動アーム及び連動アームが回動できなくなる虞がある。そこで、突出部が挿入される挿入溝は、これが設けられた回動アーム及び連動アームのいずれかにアーム長手方向に延びた長孔状に形成されてもよい(請求項3)。挿入溝を長孔状にすることで、回動アームと連動アームの回動中心軸線が同軸上に配置されていなくても、回動アームの回動に伴って連動アームを回動させることができる。
【0015】
正逆回転用モータ、歯車伝動機構をユニット化し、連動アームを、ユニット化された正逆回転用モータ、歯車伝動機構とは別体に設けることで(請求項4)、連動アームを交換する際にユニット化された正逆回転用モータ等を分解する必要がなく、連動アームの交換作業を容易に行うことが可能になる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係わる農作業機の延長補助整地板回動装置によれば、歯車伝動機構のうちの出力側の歯車の回動中心軸にこの軸の径方向外側へ張り出して歯車とともに回動する回動アームを設け、回動アームと連動アームのいずれか一方に他方のアーム側に突出する突出部を設け、回動アームと連動アームのいずれか他方に突出部と連結される連結部を設けることで、連動アーム自体に歯車伝動機構の歯車と噛合する歯車体の形成が不要となり、連動アームの構造を簡素化することができ、連動アーム自体のコストを安価にすることができる。このため、連動アームが損傷して連動アームの交換が必要になっても、コストアップを抑えた農作業機の延長補助整地板回動装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図1〜図6に基づいて説明する。先ず、本発明に係る延長補助整地板回動装置を説明する前に、延長補助整地板回動装置を搭載した農作業機の一例である代掻き作業機について説明する。
【0018】
代掻き作業機1は、図2(平面図)、図3(側面図)に示すように、機体前進方向に対して左右方向の中央部に配置された作業機本体2と、この左右両端部に上下方向に回動可能に取り付けられた延長作業体20と、延長作業体20の左右方向の外側端部に前後方向に延びる軸部21を回動中心として上下方向に回動可能に取り付けられた延長補助整地板30とを備え、作業機本体2及び延長作業体20,20によって3分割構造になっている。
【0019】
作業機本体2は、左右方向に延びる主フレーム3を有した機体5の前部に、走行機体90の後部に設けられた図示しない3点リンク連結機構に連結されるトップマスト4aとロアーリンク連結部4bを設けて、走行機体90の後部に対して昇降可能に装着される。主フレーム3の左右方向の中央部には前方へ突出する入力軸6aを備えたギアボックス6が設けられ、走行機体90のPTO軸からユニバーサルジョイント等の動力伝達手段を介して動力が入力軸6aに伝達されるようになっている。
【0020】
主フレーム3の進行方向左側端部には、チェーン伝動ケース8が垂設され、主フレーム3の右側端部には側部フレーム9がチェーン伝動ケース8と対向して垂設されている。チェーン伝動ケース8に接続された主フレーム3の左側部及びチェーン伝動ケース8内には伝動機構が設けられ、チェーン伝動ケース8と側部フレーム9の下端部間に多数の耕耘爪を取り付けた耕耘ロータ11が回転自在に設けられている。そして、入力軸6aに伝達された動力は、ギアボックス6を介して主フレーム3及びチェーン伝動ケース8内の伝動機構に伝達されて、耕耘ロータ11を所定方向に回転させる。耕耘ロータ11の上側はシールドカバー12によって覆われ、このシールドカバー12の左右方向両端部には側部カバー13が設けられている。
【0021】
シールドカバー12の後端部には、前端部が上下方向に回動自在に取り付けられて後側が斜め下方へ延びる第1整地板15が取り付けられている。第1整地板15の後端部15aは左右方向に略直線状に形成されており、この後端部15aによって耕土表面を平らに整地する。第1整地板15の後端部15aには、第2整地板17が上下方向に回動自在に取り付けられている。第2整地板17は板状に形成され、その裏面が圃場の表面に接触しながら耕土表面を平らに整地する。第2整地板17の左右両端部には、軸部18を回動中心として回動自在な延長作業体20,20が設けられている。
【0022】
延長作業体20,20は、左右対称の構造であり、左右に配設された一対の側板22間に回転自在に支持された耕耘ロータ11'と、耕耘ロータ11'の上部を覆い一対の側板22間に配設されたシールドカバー23と、耕耘ロータ11'の進行方向後側に配置されてシールドカバー23に上下方向に回動自在に支持された第1延長整地板24と、第1延長整地板24の後端部に回動可能に支持された第2延長整地板25を有してなる。
【0023】
第1延長整地板24は、第1整地板15と同様に構成され、第1延長整地板24の後端部24aによって耕土表面を平らに整地する。第2延長整地板25は、前述した第2整地板17と同様に構成されて整地作業を行う。この第2延長整地板25は延長作業体20の展開姿勢時に第2整地体17の外端部に接合して連結され、第2延長整地板25の折り畳み姿勢時には第2整地体17の外端部から離反して第2整地体17との接合が解除されるようになっている。
【0024】
また第2延長整地板25の外端部には、前述した延長補助整地板30が設けられている。この延長補助整地板30は、第2延長整地板25に延設された軸部21を回動中心として回動して、展開状態時には第2延長整地板25の外側に延びて第2延長整地板25の整地作業を補助し、折り畳んだ状態(不使用状態)時には第2延長整地板25の表面側に折り畳まれて第2延長整地板25と重なった状態となる。
【0025】
この延長補助整地板30を回動させる延長補助整地板回動装置40が延長作業体20のシールドカバー23上に設けられている。延長補助整地板回動装置40は、図1(部分断面図)及び図4(平面図)に示すように、シールドカバー23上に取り付けられた台座41と、台座41上に設けられた正逆回転用モータ43と、正逆回転用モータ43の回転軸に取り付けられた歯車伝動機構47と、台座41に臨むシールドカバー23上に回動自在に支持された連動アーム53と、連動アーム53と延長補助整地板30との間に接続された連結体57とを有してなる。
【0026】
台座41は、板金等を折り曲げて形成され、モータ等を取り付ける平面部41aと平面部41aの幅方向両側から下方に屈曲して下方へ延びる脚部41bとを有してなる。脚部41bはボルト41cによってシールドカバー23上に着脱可能に取り付けられている。正逆回転用モータ43は、巻線に供給される電流によってモータの回転軸が正逆回転するモータ本体部43aを有し、モータ本体部43aには回転軸の回転を減速して出力軸に伝達する歯車伝動機構47の一部をなす減速機構48が一体的に取り付けられている。
【0027】
正逆回転用モータ43は、減速機構48が平面部41aの幅方向端部に配置されるように図示しないブラケットを介して台座41の平面部41a上に取り付けられている。正逆回転用モータ43には遠隔操作用のスイッチ44が電気的に接続され、このスイッチ44は走行機体90(図2参照)の運転席の近くに配置されている。よって、スイッチ44の操作によって正逆回転用モータ43を駆動させると、詳細は後述するが、連動アーム53が回動して延長補助整地板30を回動させることができる。
【0028】
減速機構48は、正逆回転用モータ43の回転軸に取り付けられたウォームギア(図示せず)と、ウォームギアに噛合する小歯車(ピニオン)49を有してなる。この小歯車49は平面部41aに回転自在に支持されて小歯車49よりも大径の大歯車50に噛合している。大歯車50は、平面部41aの後側に回動自在に支持されている。大歯車50の取付構造については後述する。つまり、ウォームギア、小歯車49、大歯車50によって歯車伝動機構47が構成されている。小歯車49と大歯車50のギア比は、正逆回転用モータ43の回転数と連動アーム53の回動速度から設定される。
【0029】
大歯車50の下面には、大歯車50の回転中心軸と同軸上に配置された円環状の支持体60が溶接等によって一体的に取り付けられている。この支持体60は、平面部41aに設けられた孔41dに回動自在に挿入されている。支持体60の内側には内面にスプライン溝60bを形成した挿入孔60aが設けられ、この挿入孔60aにスプライン溝60bに嵌合可能なスプライン軸61aを備えた伝動軸61が挿着されている。このため、大歯車50が回動すると、支持体60を介して伝動軸61も大歯車50と同一方向に回動する。
【0030】
伝動軸61の下側には伝動軸61に直交する方向に張り出す回動アーム62が設けられている。回動アーム62はその伝動軸61側に伝動軸61を挿通する円筒状の基部62aと、基部62aの外側面から張り出すアーム部62bを有してなる。基部62aは伝動軸61の下側に挿入されて止めねじ63によって伝動軸61に固定されている。このため、伝動軸61が回動すると、回動アーム62も伝動軸61と同一方向に回動する。
【0031】
アーム部62bは中間部が連動アーム53側に屈曲して連動アーム53に沿って延びる。アーム部62bの先端部には挿入孔62cが形成されている。この挿入孔62cに連動アーム53に突設された突出部53aが挿入される。アーム部62bの長さは、正逆回転用モータ43のトルクと延長補助整地板30に作用する負荷の大きさ等を考慮して決定される。
【0032】
このように正逆回転用モータ43、歯車伝動機構47、回動アーム62は、台座41に対して一体的に取り付けられてユニット化されている。このユニット化された正逆回転用モータ43等は、図5に示すように平面視矩形状のカバー55によって覆われる。
【0033】
連動アーム53は、図1に示すように、端部に設けられ円筒状の回動部53bと、回動部53bの側面に対して直交する方向に張り出すアーム部53cを有して構成されている。回動部53bは、平面部41aに臨むシールドカバー23に突設された軸部26に回動自在に挿入されて、軸部26を回動中心として回動自在である。この回動部53bから張り出すアーム部53cの回動部側の上部に突出部53aが突設されている。軸部26は、その回転中心軸線が伝動軸61の回転中心軸線と略同一軸線上に位置するように設けられている。
【0034】
突出部53aは、挿入孔62cに容易に挿入できるように、突出部53aの外径は挿入孔62cの内径よりも大きな寸法を有して構成されている。また突出部53aは挿入孔62cに挿入された状態で、挿入孔62cの上部から上方へ突出している。このため、機種の異なる代掻き作業機に、本願発明に係る延長補助整地板回動装置40を取り付けた場合、回動アーム62と連動アーム53の上下方向の取り付け位置が変わっても、突出部53aを挿入孔62cに挿入可能である。突出部53aの軸方向長さは、予想される回動アーム62と連動アーム53の上下方向の取り付け位置間の距離から決定される。なお、挿入孔62cの上部から上方へ突出する突出部53aの先端部に割ピン64を挿着することで、回動アーム62の先端部が突出部53aから抜脱される事態を未然に防止することができる。
【0035】
また台座41の平面部41aには軸部65aが平面部41aの下面から下方へ突出するようにボルト65が取り付けられている。この突出した軸部65aに回動アーム62のアーム部62bが当接して回動アーム62の反時計方向側への回動を規制して、連結体57を介して連動アーム53に繋がれた延長補助整地板30に不要な負荷が作用する事態を未然に防止している。
【0036】
連動アーム53の先端部には、図4(平面図)に示すように、連結体57としてのワイヤの一端部が取り付けられ、ワイヤの他端部が延長補助整地板30の前側端部に取り付けられている。
【0037】
このように連動アーム53は、ユニット化された正逆回転用モータ43等と同じシールドカバー23に取り付けられているが、ユニット化された正逆回転用モータ43等と別体に設けられている。
【0038】
このように構成された延長補助整地板回動装置40をシールドカバー23に設ける場合には、図1及び図4に示すように、シールドカバー23に突設された軸部26に連動アーム53の回動部53bを挿入し、台座41に正逆回転用モータ43、歯車伝動機構47の大歯車50、回動アーム62を取り付けてユニット化し、ユニット化された正逆回転用モータ43等をシールドカバー23の所定位置に取り付ける。この際、連動アーム53に設けられた突出部53aを回動アーム62に設けられた挿入孔62cに挿入する。そして、連動アーム53の先端部と延長補助整地板30との間に連結体57を接続する。
【0039】
一方、連動アーム53を軸部26から取り外す場合には、ユニット化された正逆回転用モータ43等を取り付けた台座41をシールドカバー23から取り外し、割ピン64を突出部53aから引き抜き、突出部53aから回動アーム62を外し、連動アーム53の回動部53bを軸部26から抜脱する。
【0040】
また延長補助整地板30を展開した状態で代掻き作業を行う場合には、圃場において延長作業体20,20を展開姿勢にし(図2参照)、延長補助整地板回動装置40のスイッチ44を操作して正逆回転用モータ43を駆動し、歯車伝動機構47を介して回動アーム62を時計方向に回動し(図4参照)、連動アーム53を回動させて連結体57を介して延長補助整地板30を展開状態にする。
【0041】
代掻き作業機1の全体が展開姿勢になると、代掻き作業機1を装着した走行機体90を前進させ、耕耘ロータ11、11'よって圃場の耕土が耕耘され、第1整地板15及び第2整地板17によって圃場表面が均平にされる。また耕耘ロータ11、11'の軸方向外側の耕土表面は延長補助整地板30によって均平にされる。
【0042】
このように、本願発明の延長補助整地板回動装置40の連動アーム53は、回動アーム62及び連動アーム53に設けられた突出部53aを介して歯車伝動機構47に連結されているので、回動アーム62を突出部53aから取り外すだけで歯車伝動機構47との連結状態を解くことができる。また連動アーム53は回動部53bとアーム部53cからなる簡素な構造であるので、連動アーム53自体のコストを安価にすることができる。従って、連動アーム53に過負荷等が作用して連動アーム53が損傷しても、これを簡単に交換することができ、またコストの増大を抑えることが可能な延長補助整地板回動装置40を提供することができる。
【0043】
なお、前述した実施の形態では、ユニット化された正逆回転用モータ43等と連動アーム53をシールドカバー23に設けた場合を示したが、これらの取り付け位置はこれに限るものではない。例えば、ユニット化された正逆回転用モータ43等と連動アーム53を主フレーム3に取り付けたり、ユニット化された正逆回転用モータ43等を主フレーム3に取り付け、連動アーム53をシールドカバー23に取り付けたり、ユニット化された正逆回転用モータ43等を延長作業体20の幅方向外側端部の側板22に取り付け、連動アーム53をシールドカバー23に取り付けたりしてもよい。
【0044】
また、前述した実施の形態では、図1に示すように、回動アーム62と連動アーム53の回転中心軸線が略同軸上に配置された場合を示したが、これらの回転中心軸線がずれた場合には、回動アーム62や連動アーム53が回動できなくなる虞がある。そこで、図6に示すように、回動アーム62に設けられた挿入孔62cを回動アームの長手方向に延びた長孔状に形成する。
【0045】
このようにすると、実線で示す回動アーム62が伝動軸61を回動中心として反時計方向(矢印A方向)に回動する場合には、突出部53aが挿入孔62cの伝動軸61に対して離反する方向に移動した後に伝動軸61に対して接近する方向に移動して、実線で示す連動アーム53が二点鎖線で示した連動アーム53の位置まで回動する。また二点鎖線で示す回動アーム62が伝動軸61を回動中心として時計方向(矢印B方向)に回動する場合には、回動アーム62が反時計方向に回動する場合と同様に、突出部53aが挿入孔62cの伝動軸61に対して離反する方向に移動した後に伝動軸61に対して接近する方向に移動して、二点鎖線で示す連動アーム53が実線で示す連動アーム53の位置まで回動する。
【0046】
このため、回動アーム62と連動アーム53の回転中心軸線が略同軸上に配置されていない場合でも、回動アーム62の回動に伴って連動アーム53を回動させることができる。
【0047】
なお、前述した実施の形態では、延長作業体20が作業機本体2に対して折り畳み可能な構造の代掻き作業機1を例にしたが、延長作業体20を無くし作業機本体2の幅方向端部に延長補助整地板30を回動自在に取り付けてなる代掻き作業機でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】代掻き作業機に搭載された本発明の延長補助整地板回動装置の部分断面背面図である。
【図2】本発明の延長補助整地板回動装置を搭載した代掻き作業機の平面図である。
【図3】本発明の延長補助整地板回動装置を搭載した代掻き作業機の側面図である。
【図4】代掻き作業機に搭載された本発明の延長補助整地板回動装置の内部が露出した状態の平面図を示す。
【図5】代掻き作業機に搭載された本発明の延長補助整地板回動装置の平面図を示す。
【図6】本発明の延長補助整地板回動装置の他の実施の形態を示す要部説明図である。
【符号の説明】
【0049】
1 代掻き作業機(農作業機)
5 機体
11' 耕耘ロータ
21 軸部
23 シールドカバー(カバー部)
24 第1延長整地板(第1整地板)
25 第2延長整地板(第2整地板)
30 延長補助整地板
40 延長補助整地板回動装置
43 正逆回転用モータ
47 歯車伝動機構
50 大歯車(歯車)
53 連動アーム
53a 突出部
57 連結体
62 回動アーム
62c 挿入孔(連結部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体に回転可能に支持された耕耘ロータと、前記機体に設けられ前記耕耘ロータの上部を覆うカバー部と、前記耕耘ロータの進行方向後側に配置されて前記カバー部に上下方向に回動自在に支持された第1整地板と、該第1整地板の後端部に回動可能に支持された第2整地板と、該第2整地板の機体幅方向の端部に前後方向に延びる軸部を回動中心として回動自在に設けられた延長補助整地板を備えた農作業機において、前記カバー部に設けられた正逆回転用モータと、前記正逆回転用モータの回転軸に取り付けられた歯車伝動機構と、前記カバー部に回動自在に支持されて前記歯車伝動機構からの回転力を受けて回動する連動アームと、前記連動アームと前記延長補助整地板との間に接続された連結体とを有した農作業機の延長補助整地板回動装置であって、
前記歯車伝動機構のうちの出力側の歯車の回動中心軸に該回動中心軸の径方向外側へ張り出して前記歯車とともに回動する回動アームが設けられ、
前記回動アームと前記連動アームのいずれか一方に他方のアーム側に突出する突出部が設けられ、
前記回動アームと前記連動アームのいずれか他方に前記突出部と連結される連結部が設けられ、
前記連動アームは、前記突出部と前記連結部が連結された状態で前記回動アームの回動に連動して回動し、前記延長補助整地板を前記第2整地板の上方に折り畳んだ折り畳み位置と前記第2整地板の長手方向の側方に張り出した展開位置との間を回動させることを特徴とする農作業機の延長補助整地板回動装置。
【請求項2】
前記連結部は、前記突出部が挿入可能な挿入溝を有し、
前記突出部は、前記挿入溝に挿入された状態で該挿入溝の出口側から突出していることを特徴とする請求項1に記載の農作業機の延長補助整地板回動装置。
【請求項3】
前記挿入溝は、これが設けられた前記回動アーム及び前記連動アームのいずれかにアーム長手方向に延びた長孔状に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の農作業機の延長補助整地板回動装置。
【請求項4】
前記正逆回転用モータ、前記歯車伝動機構はユニット化され、
前記連動アームは、ユニット化された前記正逆回転用モータ、前記歯車伝動機構とは別体に設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の農作業機の延長補助整地板回動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−124795(P2010−124795A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−304952(P2008−304952)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(390010836)小橋工業株式会社 (198)
【Fターム(参考)】