説明

農作業機

【課題】適切な耕耘整地作業ができる農作業機を提供する。
【解決手段】農作業機1は、トラクタに連結する機体2を備える。機体2は、左右方向一端側に伝動ケース部5を有し、左右方向他端側にブラケット部6を有する。伝動ケース部5とブラケット部6との間には、伝動ケース部5内の伝動手段からの動力で回転しながら耕耘作業をする耕耘体を架設する。この耕耘体の後方では整地体36が整地作業をする。機体2のブラケット部6には、農作業機1全体の重心を農作業機1の左右方向中央部に位置させるための重り手段40を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、適切な耕耘整地作業ができる農作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載された農作業機が知られている。
【0003】
この従来の農作業機は、走行車であるトラクタの後部に連結された機体を備え、この機体は、左右方向一端側にはチェーン等の伝動手段を収納した箱状の伝動ケース部を有し、左右方向他端側には板状のブラケット部を有している。また、この従来の農作業機は、伝動ケース部とブラケット部との間に架設され伝動ケース部内の伝動手段からの動力で回転しながら耕耘作業をする耕耘体と、この耕耘体の後方で整地作業をする整地体とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−265076号公報(図1、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の農作業機では、伝動ケース部側がブラケット部側よりも重いため、作業時に農作業機が傾いてしまい、適切な耕耘整地作業が行われないおそれがある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、適切な耕耘整地作業ができる農作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の農作業機は、左右方向一端側に伝動ケース部を有し、左右方向他端側にブラケット部を有する機体と、前記伝動ケース部と前記ブラケット部との間に架設され、前記伝動ケース部内の伝動手段からの動力で回転しながら耕耘作業をする耕耘体と、この耕耘体の後方で整地作業をする整地体と、農作業機全体の重心を農作業機の左右方向中央部に位置させるための重り手段とを備えるものである。
【0008】
請求項2記載の農作業機は、請求項1記載の農作業機において、重り手段は、ブラケット部に取り付けられた重り体にて構成されているものである。
【0009】
請求項3記載の農作業機は、請求項2記載の農作業機において、ブラケット部は、支持面を有し、重り体は、前記支持面にて支持された凸部を有するものである。
【0010】
請求項4記載の農作業機は、請求項2記載の農作業機において、ブラケット部は、前側支持面および後側支持面を有し、重り体は、前記前側支持面にて支持された前側凸部および前記後側支持面にて支持された後側凸部を有し、前記前側凸部が前記前側支持面にて支持されかつ前記後側凸部が前記後側支持面にて支持されることにより、前記重り体が前記ブラケット部に対して所定位置に位置決めされるものである。
【0011】
請求項5記載の農作業機は、請求項2ないし4のいずれか一記載の農作業機において、重り体は、この重り体を吊り上げるための吊り上げ具が接続される接続部を有するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、農作業機全体の重心が農作業機の左右方向中央部に位置するため、作業時に農作業機が傾いてしまうことを防止でき、適切な耕耘整地作業ができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る農作業機の平面図である。
【図2】同上農作業機の側面図である。
【図3】同上農作業機の動力伝達手段および重り手段を示す図である。
【図4】同上農作業機のブラケット部および重り手段を示す側面図である。
【図5】同上ブラケット部の側面図である。
【図6】同上重り手段の外面視斜視図である。
【図7】同上重り手段の内面視斜視図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る農作業機の動力伝達手段および重り手段を示す図である。
【図9】同上農作業機のブラケット部および重り手段を示す側面図である。
【図10】同上ブラケット部の側面図である。
【図11】同上重り手段の外面視斜視図である。
【図12】同上重り手段の内面視斜視図である。
【図13】本発明の第3の実施の形態に係る農作業機の動力伝達手段および重り手段を示す図である。
【図14】同上農作業機のブラケット部および重り手段を示す側面図である。
【図15】本発明の第4の実施の形態に係る農作業機の動力伝達手段および重り手段を示す図である。
【図16】本発明の第5の実施の形態に係る農作業機の平面図である。
【図17】本発明の第6の実施の形態に係る農作業機の動力伝達手段および重り手段を示す図である。
【図18】本発明の第7の実施の形態に係る農作業機の動力伝達手段および重り手段を示す図である。
【図19】本発明の第8の実施の形態に係る農作業機の動力伝達手段および重り手段を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の第1の実施の形態を図1ないし図7を参照して説明する。
【0015】
図1ないし図3において、1は左右方向長手状の農作業機で、この農作業機1は、例えば図示しない走行車であるトラクタの後部に連結して使用する牽引式のロータリー等の耕耘整地装置である。つまり、この農作業機1は、トラクタの後部に連結された状態で、トラクタの走行により進行方向(図1の矢印方向)である前方に向かって圃場上を移動しながら耕耘整地作業をするサイドドライブ式の回転型耕耘装置である。
【0016】
農作業機1は、図示しないトラクタの後部の3点リンク(作業機昇降支持装置)に脱着可能に連結された左右方向長手状の機体2を備えている。
【0017】
機体2は、左右方向中央部にミッションケース等の箱状のギアケース部4を有し、左右方向一端側である左端部にチェーンケース等の箱状の伝動ケース部5を有し、左右方向他端側である右端部に支持板等の板状のブラケット部6を有している。
【0018】
上下方向やや長手状の伝動ケース部5の上端部とギアケース部4の左面部とが左右方向長手状で円筒状の一方側筒状部である左フレームパイプ部8にて連結され、上下方向やや長手状のブラケット部6の上端部とギアケース部4の右面部とが左右方向長手状で円筒状の他方側筒状部である右フレームパイプ部9にて連結されている。
【0019】
そして、伝動ケース部5の下端部とブラケット部6の下端部との間には、伝動ケース部5内の伝動手段10からの動力で所定方向に回転しながら耕耘作業をする耕耘体11が回転可能に架設されている。
【0020】
耕耘体11は、水平状に位置する左右方向の耕耘軸12と、この耕耘軸12の各フランジ部13に取り付けられ耕耘軸12とともに回転して耕耘作業をする耕耘爪14とを有している。耕耘軸12の左右方向一端側である左端部が伝動ケース部5の下端部にベアリング等を介して回転可能に取り付けられ、耕耘軸12の左右方向他端側である右端部がブラケット部6の下端部にベアリング等を介して回転可能に取り付けられている。なお、耕耘軸12の左端部は、伝動ケース部5の下端部内に挿入されている。
【0021】
ここで、左フレームパイプ部8内には、左右方向の伝動軸(駆動軸)16が回転可能に収納されているが、右フレームパイプ部9内には例えば何も収納されておらず、空洞となっている。伝動軸16の左端部は伝動ケース部5の上端部内に挿入され、伝動軸16の右端部はギアケース部4内に挿入されている。
【0022】
また、ギアケース部4内には、前後方向の入力軸17のうちその前端部以外の部分、入力軸17の後端部に固着された第1ギア18、前後方向の回転軸19、この回転軸19の後端部に固着され第1ギア18と噛み合った第2ギア20、回転軸19の前端部に固着された第1ベベルギア21、および伝動軸16の右端部に固着され第1ベベルギア21と噛み合った第2ベベルギア22が収納されている。なお、入力軸17は、農作業機1の左右方向中央部に位置し、この入力軸17の前端部はギアケース部4の前面部から前方に向かって突出し、この入力軸17の前端部には、トラクタのPTO軸(図示せず)がユニバーサルジョイントおよび伝動シャフト等に構成された動力伝達手段(図示せず)を介して接続されている。
【0023】
さらに、伝動ケース部5内には、伝動軸16の左端部に固着された第1スプロケット23、耕耘軸12の左端部に固着された第2スプロケット24、およびこれら両スプロケット23,24に掛け渡された無端状の伝動用無端体であるチェーン25が収納されている。つまり、伝動ケース部5内の伝動手段10が、第1スプロケット23、第2スプロケット24およびチェーン25にて構成されている。伝動手段10は、例えば図示しないが、プーリおよびベルト等にて構成してもよい。
【0024】
なお、入力軸17、第1ギア18、第2ギア20、回転軸19、第1ベベルギア21、第2ベベルギア22、伝動軸16、および伝動手段10にて、トラクタ側からの動力を耕耘軸12まで伝達する動力伝達手段30が構成されている。
【0025】
また、機体2は、伝動ケース部5の前端部から前方に向かって突出する前突出板部31を有し、この前突出板部31とブラケット部6の前部との間には左右方向長手状で4角筒状の筒状部であるヒッチパイプ部32が固定的に架設されている。
【0026】
さらに、機体2は、耕耘体11の上方部を覆う湾曲板状の耕耘カバー部33を有し、この耕耘カバー部33は伝動ケース部5とブラケット部6との間に固定的に架設されている。
【0027】
そして、耕耘カバー部33の後端部には、耕耘体11の後方で整地作業、つまり圃場面を水平状に平らに均す整地体(均平板)36が上下方向に回動可能に設けられている。
【0028】
整地体36は、左右方向長手状で略板状に形成されている。この整地体36の前端部(上端部)がヒンジ等の連結部材37を介して機体2の耕耘カバー部33の後端部に回動可能に連結されている。また、機体2には、整地体36を下方に向けて付勢する整地体付勢手段38が設けられている。
【0029】
また一方、農作業機1は、耕耘整地作業時に伝動ケース部5側がブラケット部6側よりも下がって農作業機1が左右方向に対して傾くことがないように、農作業機1全体の重心(全重心)を農作業機1の左右方向中央部(左右方向略中央部を含む意味)に位置させるための重り手段40を備えている。
【0030】
重り手段40は、例えば質量が大きい鋼材等の金属材料にて一体に略板状に形成された1つの重量物である重り体(ウエイト)41のみで構成されている。この重り体41は、例えば取付手段42によって、機体2のブラケット部6の外面側にこのブラケット部6と重なり合うように固定的に取り付けられている。なお、取付手段42は、例えばボルト43およびナット44にて構成されている。重り体41の質量は、例えば50〜60kgである。
【0031】
ここで、図4および図5に示されるように、機体2のブラケット部6は、支持面である前側支持面46を前側上面に有し、支持面である後側支持面47を後側上面に有している。つまり、ブラケット部6の前側上部には三角状の前側切欠部48が形成され、ブラケット部6のうち前側切欠部48に臨んだ水平面46aおよび傾斜面46bによって、前側支持面46が構成されている。傾斜面46bは、前方に向かって徐々に傾斜する急勾配の前下り傾斜状である。ブラケット部6の後側上部には三角状の後側切欠部49が形成され、ブラケット部6のうち後側切欠部49に臨んだ水平面47aおよび傾斜面47bによって、後側支持面47が構成されている。傾斜面47bは、後方に向かって徐々に傾斜する急勾配の後下り傾斜状である。
【0032】
また、ブラケット部6は、右フレームパイプ部9を取り付けるための複数(例えば6つ)のフレームパイプ取付用孔部51と、ヒッチパイプ部32を取り付けるための複数(例えば4つ)のヒッチパイプ取付用孔部52と、耕耘軸12を取り付けるための複数(例えば4つ)の耕耘軸取付用孔部53と、重り体41を取り付けるための複数(例えば2つ)の重り取付用孔部54とを有している。これら各孔部51,52,53,54は、ブラケット部6に板厚方向に貫通して形成されている。
【0033】
重り体41は、図4、図6および図7に示されるように、前側支持面46上に載置されてこの前側支持面46にて下方から支持された凸部である前側凸部61を前側上部に有し、後側支持面47上に載置されてこの後側支持面47にて下方から支持された凸部である後側凸部62を後側上部に有している。
【0034】
つまり、重り体41は、略半円状をなす2つの貫通孔部63,64が上部に形成された板状の重り本体板部65と、この重り本体板部65の内面(ブラケット部6と対向接触する側の面)における前側上部に内方に向かって一体に突設された前側凸部61と、重り本体板部65の内面における後側上部に内方に向かって一体に突設された後側凸部62とにて構成されている。
【0035】
前側凸部61は、ブラケット部6の前側切欠部48に対応した三角板状のもので、その前側切欠部48に嵌まり込む。後側凸部62は、ブラケット部6の後側切欠部49に対応した三角板状のもので、その後側切欠部49に嵌まり込む。なお、重り本体板部65の内面からの各凸部61,62の突出寸法はブラケット部6の板厚寸法よりも大きい。重り本体板部65の大きさはブラケット部6よりも小さいが、このブラケット部6の外面の少なくとも半分以上が重り本体板部65にて覆い隠されている(図4参照)。また、図4から明らかなように、側面視で、重り体41の湾曲面状の上端面とブラケット部6の湾曲面状の上端面とが一致する。さらに、側面視で、貫通孔部63,64内にフレームパイプ取付用孔部51が位置する。
【0036】
また、重り本体板部65は、重り体41をブラケット部6に取り付ける際に、重り体41全体を吊り上げるための吊り上げ具(図示せず)が接続される湾曲板状の接続部66を上部に有している。接続部66は、上下の貫通孔部63,64間に位置し、重り本体板部65の外面よりも外方に向かって突出している。このため、重り本体板部65のうち接続部66以外の部分の内面はブラケット部6の外面と接触するが、接続部66はブラケット部6の外面とは非接触で、接続部66の内面とブラケット部6の外面との間には間隙69が存在する。なお、側面視で、接続部66の後方にフレームパイプ取付用孔部51が位置する。
【0037】
さらに、重り本体板部65は、ブラケット部6の重り取付用孔部54と一致する複数(2つ)の取付用孔部67を有している。
【0038】
そして、重り体41をブラケット部6に取り付ける際には、作業者は、吊り上げ具のフック或いはワイヤを接続部66に接続してから吊り上げ具を使用して重り体41を吊り上げ、重り体41をブラケット部6上に載置して位置決めし、その後、取付手段42を用いて重り体41をブラケット部6に固定的に取り付ける。
【0039】
この取り付けの際、重り体41の前側凸部61が前側支持面46上に載置されてこの前側支持面46の水平面46aおよび傾斜面46bにて下方から支持されかつ重り体41の後側凸部62が後側支持面47上に載置されてこの後側支持面47の水平面47aおよび傾斜面47bにて下方から支持されることにより、重り体41がブラケット部6に対して所定位置に位置決めされる。
【0040】
つまり、重り体41がブラケット部6上に載置されることにより前後の凸部61,62が前後の支持面46,47にて支持され、その結果、重り体41がブラケット部6に対して前後上下方向にずれない状態となって所定位置に位置決めされる。
【0041】
そして、この位置決めにより重り体41の取付用孔部67とブラケット部6の重り取付用孔部54とが互いに一致するため、作業者は、互いに一致した孔部54,67に取付手段42のボルト43を差し込み、この差し込んだボルト43にナット44を螺着する。こうして、重り体41がブラケット部6に対して固定的に取り付けられる。なお、重り体41の取り付け後、吊り上げ具と接続部66との接続を解除する。取付手段42は、重り体41がブラケット部6から外側に外れるのを防止し、この取付手段42のボルト43には重り体41の重力が作用しない。
【0042】
次に、上記農作業機1の作用等を説明する。
【0043】
トラクタの走行により農作業機1を進行方向前方に移動させると、耕耘体11が伝動ケース部5内の伝動手段10からの動力で所定方向に回転しながら耕耘作業をする。そして、この耕耘体11の後方では、整地体36が整地作業をし、その結果、圃場面が平らになる。
【0044】
この耕耘整地作業時において、農作業機1全体の重心は農作業機1の左右方向中央部に位置するため、農作業機1が左右方向に対して傾くことがなく、農作業機1の適正な水平姿勢の状態が維持される。
【0045】
そして、このような農作業機1によれば、重り手段40の重さによって農作業機1全体の重心が農作業機1の左右方向中央部に位置するため、作業時に農作業機1が傾いてしまうことを防止でき、よって、所望の均平性を得ることができ、適切な耕耘整地作業ができる。
【0046】
また、重り手段40は機体2のブラケット部6に取り付けられた1つの重り体41のみで構成されているため、構成の簡素化を図ることができる。
【0047】
さらに、重り体41の前側凸部61が前側支持面(前側肩部)46にて支持されかつ後側凸部62が後側支持面(後側肩部)47にて支持されることにより重り体41が機体2のブラケット部6に対して所定位置に位置決めされ、この位置決めにより取付用孔部67と重り取付用孔部54とが互いに一致するため、重り体41をブラケット部6に対して容易に取り付けることができる。
【0048】
また、重り体41はこの重り体41を吊り上げるための吊り上げ具が接続される接続部66を有するため、重量物である重り体41を吊り上げ具で吊り上げることができ、重り体41をブラケット部6に対してより一層容易に取り付けることができる。
【0049】
さらに、ブラケット部6の外面の少なくとも一部が重り体41で覆い隠されるため、重り体41にてブラケット部6を保護でき、ブラケット部6の耐久性を向上できる。
【0050】
次に、図8ないし図12には、第2の実施の形態が示されている。
【0051】
この第2の実施の形態の重り体41およびブラケット部6は、第1の実施の形態のものとは若干形状が異なっている。なお、第2の実施の形態のその他の構成は、第1の実施の形態と基本的に同じである。
【0052】
図9および図10に示されるように、機体2のブラケット部6は、前下り傾斜状の支持面である前側支持面(前側肩部)71を前側上面に有し、後下り傾斜状の支持面である後側支持面(後側肩部)72を後側上面に有している。つまり、このブラケット部6は、前側切欠部48および後側切欠部49を有さず、前下り傾斜状の前側上面の一部が前側支持面71となっており、後下り傾斜状の後側上面の一部が後側支持面72となっている。
【0053】
また、重り体41は、図8、図11および図12に示されるように、前側支持面71上に載置されてこの前側支持面71にて下方から支持された凸部である前側凸部73を前側上部に有し、後側支持面72上に載置されてこの後側支持面72にて下方から支持された凸部である後側凸部74を後側上部に有している。
【0054】
つまり、重り体41は、1つの貫通孔部75が上部に形成された板状の重り本体板部77と、この重り本体板部77の内面(ブラケット部6と対向接触する側の面)における前側上部に内方に向かって一体に突設された前側凸部73と、重り本体板部77の内面における後側上部に内方に向かって一体に突設された後側凸部74と、重り本体板部77の内面上部に内方に向かって一体に突設され前側凸部73と後側凸部74とを一体に連結する連結凸部78とにて構成されている。
【0055】
なお、重り本体板部77の内面からの各凸部73,74,78の突出寸法はブラケット部6の板厚寸法よりも大きい。重り本体板部77の大きさはブラケット部6よりも小さく、このブラケット部6の外面の一部が重り本体板部77にて覆い隠されている(図9参照)。前側凸部73の厚さ寸法と後側凸部74の厚さ寸法とは同じであるが、連結凸部78の厚さ寸法はそれら凸部73,74の厚さ寸法よりも小さく、連結凸部78の下面とブラケット部6の上面との間には間隙79が存在する。なお、側面視で、貫通孔部75内にフレームパイプ取付用孔部51が位置する。
【0056】
また、重り本体板部77は、重り体41をブラケット部6に取り付ける際に、重り体41全体を吊り上げるための吊り上げ具(図示せず)が接続される湾曲板状の接続部80を上部に有している。接続部80は、重り本体板部77の上端部に形成され、貫通孔部75の上方に位置している。
【0057】
さらに、重り本体板部77は、ブラケット部6の重り取付用孔部54と一致する複数(2つ)の取付用孔部81を有している。各取付用孔部81は、外面側に位置しナット44を収納する径大孔81aと、この径大孔81aよりも径小状に形成され内面側に位置する径小孔81bとにて構成されている。
【0058】
そして、重り体41をブラケット部6に取り付ける際には、作業者は、吊り上げ具のフック或いはワイヤを接続部80に接続してから吊り上げ具を使用して重り体41を吊り上げ、重り体41をブラケット部6上に載置して位置決めし、その後、取付手段42を用いて重り体41をブラケット部6に固定的に取り付ける。
【0059】
この取り付けの際、この第2の実施の形態でも、重り体41の前側凸部73が前側支持面71上に載置されてこの前側支持面71にて下方から支持されかつ重り体41の後側凸部74が後側支持面72上に載置されてこの後側支持面72にて下方から支持されることにより、重り体41がブラケット部6に対して所定位置に位置決めされる。
【0060】
つまり、重り体41がブラケット部6上に載置されることにより前後の凸部73,74が前後の支持面71,72にて支持され、その結果、重り体41がブラケット部6に対して前後上下方向にずれない状態となって所定位置に位置決めされる。そして、この位置決めにより重り体41の取付用孔部81とブラケット部6の重り取付用孔部54とが互いに一致するため、作業者は、互いに一致した孔部54,81に取付手段42のボルト43を差し込み、この差し込んだボルト43にナット44を螺着する。こうして、重り体41がブラケット部6に対して固定的に取り付けられる。なお、重り体41の取り付け後、吊り上げ具と接続部80との接続を解除する。取付手段42は、重り体41がブラケット部6から外側に外れるのを防止し、この取付手段42のボルト43には重り体41の重力が作用しない。
【0061】
そして、このような第2の実施の形態であっても、重り手段40の重さによって農作業機1全体の重心が農作業機1の左右方向中央部に位置するため、作業時に農作業機1が傾いてしまうことを防止でき、よって、所望の均平性を得ることができ、適切な耕耘整地作業ができる等、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0062】
また、図13および図14には、第3の実施の形態が示されている。
【0063】
この第3の実施の形態の重り手段40は、取付手段42によってブラケット部6の外面に固定的に取り付けられた複数、例えば3つの重り体(分割ウエイト)91にて構成されている。各重り体91は、略直方体形状のもので、例えば作業者が一人で持ち上げることが可能な大きさである。また、各重り体91には取付用孔部92が形成され、この取付用孔部92に取付手段42のボルト43が差し込まれ、このボルト43にナット44が螺着されている。なお、重り体91の数は任意であり、1つでもよく、4つ以上でもよい。また、重り体91をブラケット部6の内面に取り付けてもよく、取付方法もボルト43およびナット44には限定されず、溶接等で取り付けてもよい。
【0064】
さらに、図15には、第4の実施の形態が示されている。
【0065】
この第4の実施の形態の重り手段40は、取付部材93によってブラケット部6の上部外面に取り付けられた複数、例えば2つのリング状の重り体(分割ウエイト)94にて構成されている。重り体94に取付部材93の軸部95が挿通され、重り体94は取付部材93のフランジ部96で抜け出ないようになっている。なお、この重り体94の数および取付方法等も任意である。
【0066】
また、図16には、第5の実施の形態が示されている。
【0067】
この第5の実施の形態の重り手段40は、右フレームパイプ部9の右端側の内部に嵌合された円柱状の第1重り部材(分割ウエイト)98と、ヒッチパイプ部32の右端側の内部に嵌合された角柱状の第2重り部材(分割ウエイト)99とにて構成されている。なお、例えば第1重り部材98および第2重り部材99のいずれか一方のみで重り手段40を構成してもよい。
【0068】
さらに、図17には、第6の実施の形態が示されている。
【0069】
この第6の実施の形態では、機体2のブラケット部6が重り手段40を兼ねている。つまり、このブラケット部6は、図3等に示す通常のブラケット部(例えば板厚寸法6mm)よりも厚く形成され、その板厚寸法は例えば略20mmである。なお、例えば通常のブラケット部を構成する材料よりも質量が大きな材料で構成するようにしてもよい。
【0070】
さらに、図18には、第7の実施の形態が示されている。
【0071】
この第7の実施の形態では、右フレームパイプ部9に代えて、重り手段40を兼ねた中実の右フレーム丸棒部100にて、ブラケット部6とギアケース部4とが連結されている。なお、例えば右フレームパイプ部9の全体ではなく、右フレームパイプ部9の一部のみを、重り手段40を兼ねた中実の右フレーム丸棒部で構成するようにしてもよい。
【0072】
また、図19には、第8の実施の形態が示されている。
【0073】
この第8の実施の形態の重り手段40は、右フレームパイプ部9に取り付けられた第1重り部材であるコンテナ台101と、このコンテナ台101上に載置された第2重り部材であるコンテナ102とにて構成されている。コンテナ102内には、例えば石等を入れる。
【0074】
なお、例えば上記の各実施の形態を適宜組み合わせてもよい。また、農作業機1は、3分割等の折り畳み式の農作業機にも適用可能である。
【符号の説明】
【0075】
1 農作業機
2 機体
5 伝動ケース部
6 ブラケット部
10 伝動手段
11 耕耘体
36 整地体
40 重り手段
41,91,94 重り体
46,71 支持面である前側支持面
47,72 支持面である後側支持面
61,73 凸部である前側凸部
62,74 凸部である後側凸部
66,80 接続部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右方向一端側に伝動ケース部を有し、左右方向他端側にブラケット部を有する機体と、
前記伝動ケース部と前記ブラケット部との間に架設され、前記伝動ケース部内の伝動手段からの動力で回転しながら耕耘作業をする耕耘体と、
この耕耘体の後方で整地作業をする整地体と、
農作業機全体の重心を農作業機の左右方向中央部に位置させるための重り手段と
を備えることを特徴とする農作業機。
【請求項2】
重り手段は、ブラケット部に取り付けられた重り体にて構成されている
ことを特徴とする請求項1記載の農作業機。
【請求項3】
ブラケット部は、支持面を有し、
重り体は、前記支持面にて支持された凸部を有する
ことを特徴とする請求項2記載の農作業機。
【請求項4】
ブラケット部は、前側支持面および後側支持面を有し、
重り体は、前記前側支持面にて支持された前側凸部および前記後側支持面にて支持された後側凸部を有し、
前記前側凸部が前記前側支持面にて支持されかつ前記後側凸部が前記後側支持面にて支持されることにより、前記重り体が前記ブラケット部に対して所定位置に位置決めされる
ことを特徴とする請求項2記載の農作業機。
【請求項5】
重り体は、この重り体を吊り上げるための吊り上げ具が接続される接続部を有する
ことを特徴とする請求項2ないし4のいずれか一記載の農作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−24005(P2012−24005A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−164578(P2010−164578)
【出願日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(000188009)松山株式会社 (285)
【Fターム(参考)】