説明

農作物成熟度測定装置および農作物成熟度測定方法

【課題】 農作物の成熟度を、収穫する際に容易に且つ低コストで測定することができる農作物成熟度測定装置および農作物成熟度測定方法を提供する。
【解決手段】 農作物成熟度測定装置1は、農作物の成熟度を当該農作物表面で反射した光の拡散反射光に基づいて測定するものであって、農作物に所定波長の光を照射する光照射手段3と、農作物表面で反射した拡散反射光を測定する拡散反射光測定手段5と、拡散反射光のピーク特性値を計算するピーク特性計算手段7と、ピーク特性値に基づいて、農作物の成熟度を判定する成熟度判定手段9と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、果実や野菜等の農作物について、当該農作物の成熟度を測定する農作物成熟度測定装置および農作物成熟度測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、農業分野で栽培され、収穫される農作物(果実や野菜等の農作物)の成熟度、特に、果実の一種である梨の成熟度の判定は、作業者の目視判定(カラーチャートを使用する場合もある)や、選果場における機械選別によって行われている。選果場における機械選別の方法は、梨の成熟度(糖度)によって、梨表面に照射された赤外線の吸収率が変化することを利用した方法である(例えば、特許文献1参照)。なお、この機械選別の方法を利用したハンディタイプの装置(成熟度判定装置)も開発されている。
【0003】
ところが、農業分野における作業者の高齢化によって、熟練の作業者が減少していることに伴って、収穫経験の少ない作業者が増加し、この収穫経験の少ない作業者によって、収穫時の不良発生(成熟度が最適でないのに収穫してしまうこと)の件数が増加している。
また、国内の農作物と外国の農作物との価格競争に優位を保つために、国内農作物の生産性向上や高品質化が求められている。
【0004】
【特許文献1】特開平6−186159号公報(段落0008〜0013、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の作業者による、梨の成熟度の判定は、個人差(熟練度、体調等)や環境による影響(収穫する時刻、収穫時の天候、日の当たり方)により、ばらつきが出やすいという問題がある。
【0006】
また、従来の機械選別の方法は、梨の成熟度を選別する装置が高価であること、一旦収穫されてしまった梨が未熟であった場合、他の農作物と異なり、梨の成熟度は収穫後促進されないため、選果場では廃棄処分することになり、経済的ではないという問題がある。
【0007】
さらに、梨の成熟度(糖度)によって、梨表面に照射された赤外線の吸収率が変化することを利用したハンディタイプの装置(成熟度判定装置)は、赤外線を用いるために高価であり、さらに装置自体が大きく、高齢化が進む作業者にとっては取り扱いにくいという問題ある。
【0008】
つまり、梨等の農作物を収穫する前に、農作物の成熟度を容易に且つ低コストで測定(評価)することができる手法が望まれている。
【0009】
そこで、本発明では、前記した問題を解決し、農作物の成熟度を、収穫する際に容易に且つ低コストで測定することができる農作物成熟度測定装置および農作物成熟度測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、請求項1記載の農作物成熟度測定装置は、糖度の度合いで成熟しているか否かを判断する果実、野菜、穀物を含む農作物の成熟度を、当該農作物表面で反射した拡散反射光に基づいて測定する農作物成熟度測定装置であって、拡散反射光測定手段と、ピーク特性計算手段と、成熟度判定手段と、を備える構成とした。
【0011】
かかる構成によれば、農作物成熟度測定装置は、拡散反射光測定手段によって、農作物に照射されている光(自然光[太陽光]、照明光[小型光源、大型光源]、レーザ光等)が当該農作物表面で反射し、この反射によって生じる拡散反射光を測定する。ここで、農作物とは、果実(梨、林檎、葡萄等)や野菜、穀物等を指す。なお、この農作物成熟度測定装置を用いる必要性が高い農作物の例として、梨が挙げられる。また、収穫後、成熟度(糖度)が上昇する果実(パイナップル、バナナ等)、或いは、収穫前後であまり成熟度(糖度)が変化しない穀物等については、この農作物成熟度測定装置によって、成熟度を測定する必要性が低くなる。
【0012】
この拡散反射光測定手段は、農作物の成熟度の特徴を表す波長帯域のみを透過させる光学フィルタ等によって構成されている。例えば、農作物の成熟度に関係する反射光(反射率)の変化が大きい波長帯域(範囲)を透過させ、それ以外の波長帯域を透過させない光学フィルタ等を用いることが可能である。
【0013】
続いて、農作物成熟度測定装置は、ピーク特性計算手段によって、拡散反射光測定手段で測定された拡散反射光のピーク特性値を計算する。ピーク特性値とは、ピークの高さや、ピークの傾き、ピークの幅(例えば、半値幅)、ピークの位置等のピークに由来する諸特性値を意味している。なお、ピークの半値幅とは、横軸に農作物表面に照射されている光の波長(nm)をとり、縦軸に拡散反射率をとって描かれたグラフにおいて、山または谷で表されたピークについて、その高さ(最大拡散反射率または最小拡散反射率)の中間値(半分の高さ)におけるピーク幅(波長の幅、nm)を指している。しかしながら、ピークの任意の高さにおけるピーク幅を、ピーク特性値として採用しても構わない。
【0014】
そして、農作物成熟度測定装置は、成熟度判定手段によって、ピーク特性計算手段で計算されたピーク特性値を利用して、農作物の成熟度合いを判定する。例えば、農作物(判定対象物)について計算されたピークの半値幅(nm)、ピーク高さ(拡散反射率%)、或いは、ピークの位置(nm)等を、予め測定されていた未熟・適熟・過熟サンプルの各々の値または範囲で表された値と比較し、その検討結果に基づいて、農作物(判定対象物)が未だ熟していないか、適熟状態にあるか、或いは過熟になっているかを判定する。なお、成熟度の度合いは、三段階に限らず、さらに数段階に細分類してもよい。
【0015】
請求項2記載の農作物成熟度測定装置は、請求項1に記載の農作物成熟度測定装置において、前記拡散反射光測定手段が、フィルタと、集光レンズと、受光部と、演算部と、を備える構成とした。
【0016】
かかる構成によれば、農作物成熟度測定装置は、フィルタによって、農作物の表面で反射した反射光の中で、農作物の表面色の特徴が表れる、予め測定されることで決定された波長の光を透過させ、集光レンズによって、フィルタを透過した反射光を集光させる。なお、フィルタの透過帯域特性は、天候または照明条件によって調整可能である。また、フィルタで透過させる光の波長は、農作物によって、異なるものであり、実際に測定した測定結果から得られるものである。そして、農作物成熟度測定装置は、受光部によって、集光レンズで集光された収束反射光を受光し、演算部によって、受光部で受光された収束反射光の波長に対する強度変化に基づいて、拡散反射率を演算する。
【0017】
請求項3記載の農作物成熟度測定装置は、請求項1または請求項2に記載の農作物成熟度測定装置において、前記農作物表面に、可視領域を含む所定波長の光、例えば、320nmから920nmまでの波長の光を照射する光照射手段を備えることを特徴とする。
【0018】
かかる構成によれば、農作物成熟度測定装置は、光照射手段によって、農作物表面に、可視領域の所定波長の光を照射する。ここで、所定波長の光とは、従来の装置で用いられていた赤外線ではなく、農作物が熟成した際に分光される特徴的な分光スペクトル(農作物表面で特定の波長が吸収される)を検出可能にする波長帯域の光である。なお、可視領域の所定波長の光とは、320nmから920nmまでの波長の光(拡散反射光測定手段の受光部にシリコン系の受光素子を用いた場合)、より好ましくは、380nmから780nmまでの波長の光である。例えば、農作物が梨である場合、光照射手段によって照射する光の波長は520nmから685nmまでが好適である。
【0019】
つまり、光照射手段によって照射する好適な光の波長として520nmから685nmの範囲で選択することによって、赤外線等よりも短い波長を用いることになり、当該赤外線を発生するような光照射手段を構成しなくてもよく、農作物成熟度測定装置を低コストで製造することができる。なお、ここで、520nmから685nmまでの光の波長と説明したのは、赤外線等よりも短い波長であるということと、拡散反射光(拡散反射率)を分析した分析結果から、520nmから685nmまでの拡散反射率の変化が、梨の成熟度に対する表面色(地色)の変化を特徴的に表していることが判明したからである。
【0020】
請求項4記載の農作物成熟度測定方法は、糖度の度合いで成熟しているか否かを判断する果実、野菜、穀物を含む農作物の成熟度を、当該農作物表面で反射した拡散反射光に基づいて測定する農作物成熟度測定方法であって、拡散反射光測定ステップと、ピーク特性計算ステップと、成熟度判定ステップと、を含む手順とした。
【0021】
かかる手順によれば、農作物成熟度測定方法は、拡散反射光測定ステップにおいて、農作物表面に照射されている光が当該農作物表面で反射し、この反射によって生じた拡散反射光を測定する。そして、農作物成熟度測定方法は、ピーク特性計算ステップにおいて、拡散反射光測定ステップにて測定された拡散反射光のピーク特性値を計算し、成熟度判定ステップにおいて、ピーク特性計算ステップにて計算されたピーク特性値に基づいて、農作物の成熟度を判定する。
【発明の効果】
【0022】
請求項1または4に記載の発明によれば、農作物を収穫する際に、拡散反射光のピーク特性値を計算し、このピーク特性値に基づいて、農作物の成熟度を測定することができる。つまり、従来の目視判定に比べ収穫経験の浅い作業者であっても、容易に農作物の成熟度を測定することができる。
【0023】
請求項2に記載の発明によれば、農作物の表面色に特徴が表れる波長を透過させるフィルタを用いて、このフィルタを透過した反射光に基づいて拡散反射率を演算することで、農作物の成熟度に関係する特徴的な分光スペクトルの変化を利用することになり、容易に農作物の成熟度を測定することができる。
【0024】
請求項3に記載の発明によれば、赤外線等よりも短い波長を用いることとなり、当該赤外線を発生するように光照射手段を構成しなくてもよく、装置の製造コストが低くくなり、その結果、農作物の成熟度を低コストで測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
次に、本発明の実施形態について、適宜、図面を参照しながら詳細に説明する。
〈農作物成熟度測定装置の構成〉
図1は、農作物成熟度測定装置のブロック図である。この図1に示すように、農作物成熟度測定装置1は、農作物FAの成熟度を測定するもので、光照射手段3と、拡散反射光測定手段5と、ピーク特性計算手段7と、成熟度判定手段9と、成熟度サンプルデータ記憶手段11と、制御手段13と、操作手段15とを備えている。なお、この農作物成熟度測定装置1の使用例については、後ほど図8を用いて例示することとする。
【0026】
ここで測定されている農作物FAは、果実、野菜、穀物等を指しており、主に収穫してから糖度(成熟度)が変化しない(糖度が上昇しない)もの、つまり、収穫時に成熟度を正確に把握する必要があるものが好ましい。果実の中でも特に、梨は、一旦、当該梨の樹木から収穫(採取)してしまうと、収穫した時点から成熟度が上昇しないので、一旦、成熟度が不十分な梨を収穫してしまうと、廃棄処分するしかない。こういった事態を防止するために、この農作物成熟度測定装置1は、収穫する直前(樹木についている状態)で、成熟度を測定することができる。逆に、収穫後、糖度が上昇する果実(パイナップル、バナナ等)、或いは、収穫前後であまり糖度が変化しない穀物等については、この農作物成熟度測定装置1によって、成熟度を測定する基準を変えて測定を行うことができる。
【0027】
また、農作物FAの別の果実の例としては、林檎、葡萄等が挙げられる。さらに、農作物の野菜としては、トマトが挙げられ、穀物としては、米、麦等が挙げられる。なお、これら農作物FAに共通して言えることは、農作物表面に光を照射した際に、成熟度によって、反射光の反射率(拡散反射率)が異なることである。また、成熟度を測定する対象(農作物)が異なる場合には、後記する成熟度サンプルデータ記憶手段11に記憶させておく成熟度サンプルデータを予め準備しておく必要がある。
【0028】
この農作物成熟度測定装置1は、例えば、各手段を最適に縮小化して、作業者が着用できるサングラス状、或いは、作業者が携帯できる懐中電灯形状に形成することができる。例えば、この農作物成熟度測定装置1は、単純に3色のLED(例えば、青色LEDが未熟、赤色LEDが過熟、緑色LEDが適熟)を点灯させることによって、作業者に農作物の成熟度を示すことができるように構成されている。
【0029】
光照射手段3は、農作物FA表面に、好ましくは可視領域の所定波長の光を照射するものである。所定波長の光とは、農作物が熟成した際に分光される特徴的な分光スペクトル(農作物表面で特定の波長が吸収される)を検出可能な波長帯域の光である。この実施形態では、所定波長は、320nm〜920nmである。この場合、拡散反射光測定手段5の受光器(後記する受光部53)には、シリコン系の受光素子が使用されている。ちなみに、通常の可視光域は380nm〜780nmである。また、農作物FAが梨である場合、520nm〜685nmの波長帯域の光が好適である。
【0030】
なお、この光照射手段3は、光量が小さい光源(例えば、白色LED、バッテリー駆動のランプ等の小型光源)によって構成されており、農作物FAに対して、数cmから数十cm程度の距離から所定波長の光を照射する。この光照射手段3は、農作物FAの表面を照らす照明の役割を担っており、この照明の役割とは、農作物FAの拡散反射光が、拡散反射光測定手段5の受光器(後記する受光部53)の感度を十分に満たす光量を、農作物FA表面に供給することである。
【0031】
また、光照射手段3を、農作物成熟度測定装置1とは別体で設ける場合、水銀ランプ(高圧水銀灯)のような大型光源によって構成することも可能である。この場合、光照射手段3は、特定の農作物FAに対して個別に所定波長の光を照射するものではなく、農作物FA全体(樹木全体、畑全面)に対して、所定波長の光を照射するものである。この場合、光照射手段3は、農作物FAからある程度距離を置いた地面に設置することができる。
【0032】
さらに、農作物成熟度測定装置1は、光照射手段3を使用しなくても、自然光(太陽光)を用いることも可能である。例えば、作業者が昼間に農作物FAを収穫する場合、光照射手段3は必要ではない。ただし、太陽光の場合、例えば、上空を雲が通過して、太陽光が遮られる場合に生じる当該太陽光の強度の揺らぎである、照射される光が一定でなくなる状況への対策が必要になる。具体的な対策として、拡散反射光測定手段5で拡散反射光を測定する時間を1秒以下に短くする(瞬間的にする)。
【0033】
ここで、光照射手段3についてまとめると、(1)農作物FAを収穫する作業を昼間行う場合(拡散反射光測定手段5の受光部53の光量が確保できる場合)、光照射手段3は特に必要としない。ただし、拡散反射光測定手段5による測定時間を1秒以下で行うようにする。(2)農作物FAを収穫する作業を夜間行う場合(拡散反射光測定手段5の受光部53の光量が確保できない場合)、光照射手段3を小型光源(白色LED、バッテリー駆動のランプ)で構成する。太陽光に比べ、農作物FAに照射される光が一定であるので収穫作業に最適であり、低コストで実現することができる。(3)農作物FAを収穫する作業を夜間行う場合(拡散反射光測定手段5の受光部53の光量が確保できない場合)、光照射手段3を大型光源(高圧水銀灯等)で構成する。大光量によって、農作場(園場)の一定区間を照明することができる。
【0034】
拡散反射光測定手段5は、光照射手段3から照射された光が農作物FA表面で反射し、この反射した光(反射光)の拡散反射率(正反射率)を測定するもので、フィルタ51と、集光レンズ52と、受光部53と、演算部54と(具体的には図9に示す)を備えている。なお、この拡散反射光測定手段5としては、反射光を受光して、受光した反射光を2つに収束させる二光束タイプ(図9(a))と、受光した反射光を1つに収束させる一光束タイプ(図9(b))とが想定され、この実施形態では、二光束タイプを採用している。光照射手段3と拡散反射光測定手段5との位置関係は、光照射手段3から照射された光が直接拡散反射光測定手段5の受光部53に入射しないようになっている。
【0035】
また、農作物FAと拡散反射光測定手段5のフィルタ51との距離は、集光レンズ52による計測視野によって特定される。例えば、計測物(ここでは、農作物FA)を、直径1〜2cm程度と想定すれば、この計測物から5cm〜10cm程度の位置に拡散反射光測定手段5のフィルタ51がくるようにする。
【0036】
図9(a)に示すように、2光束タイプの拡散反射光測定手段5は、2つのフィルタ51Aとフィルタ51Bと、2つの集光レンズ52と、2つの受光部53とを備え、受光部53で受光した拡散反射光を、電気信号である信号Aおよび信号Bにして、演算部54で、これら信号Aおよび信号Bに基づいて演算して、拡散反射率を測定している。
【0037】
また、図9(b)に示すように、1光束タイプの拡散反射光測定手段5は、1つのフィルタ51Cと、1つの集光レンズ52と、1つの受光部(または分光計)53aとを備え、受光部(または分光計)53aで受光した拡散反射光を、電気信号である信号Cにして、演算部54で信号Cに基づいて演算して、拡散反射率を測定している。
【0038】
なお、図9(c)に示すように、受光部(または分光計)53aは、集光レンズ52で収束された拡散反射光を受光可能なように、汚れ等を防止するカバー硝子53a1に収められた受光素子(または分光計(分光素子))53a2によって構成されている。
【0039】
図9に示すように、フィルタ51(51Aから51C)は、農作物表面で反射した反射光を受光して、この受光した反射光の所定の帯域の波長を透過させる透過帯域を備えたものである。このフィルタ51(51Aから51C)で透過させる反射光の所定の帯域の波長は、農作物によって、異なるものであり、実際に測定した測定結果から得られるものである。この実施形態では、拡散反射光測定手段5は二光束タイプであるので、2つのフィルタを備えており、例えば、一方のフィルタの透過帯域を400nm〜600nmとし、他方のフィルタの透過帯域を600nm〜700nmとしている。
【0040】
なお、この透過帯域は、天候や照明条件に合わせて調整可能に構成されている。ここでは、予め、天候(晴れ、くもり、雨等)や照明条件(明るい、薄暗い、暗い等)に対応して、実際に測定した測定結果から得られた反射光の所定帯域の波長を透過させるフィルタ51が数種類準備してあり、天候や照明条件に対応して用いられている。このフィルタ51(51Aから51C)は、例えば、スライド機構等により、着脱自在に構成されている。
【0041】
集光レンズ52は、フィルタを透過した反射光を収束させて、受光部53に導光するものである。この実施形態では、凸レンズを採用している。
受光部53は、集光レンズ52で収束された反射光を受光し、この反射光、すなわち、光信号を電気信号に変換するものである。
この実施形態では、拡散反射光測定手段5は二光束タイプであるので、2つのフィルタ51A、51Bの対向する位置に、2つの集光レンズ52と、2つの受光部53とを備えており、受光部53で変換された2つの電気信号が1つの演算部54に入力される。
【0042】
演算部54は、受光部53で反射光(光信号)が変換された電気信号(2つの電気信号)に基づいて、拡散反射率を演算するものである。ピーク特性値は、例えば、この拡散反射率の一方の電気信号と他方の電気信号との比(光強度の比)をとることによって得ることができる。この拡散反射率は、光照射手段3から農作物に照射された光が、当該農作物表面で反射された度合いを示すものである。この実施形態では、照射された光の波長320〜920nmに対する度合い(反射率)0〜80%で表される。
【0043】
なお、この農作物成熟度測定装置1では、例えば、農作物の形状(凹凸等)や照射光の強度の変化により、絶対反射率が異なってくることを想定し、拡散反射率から求められる絶対反射率の強度を農作物の成熟度の評価基準としておらず、拡散反射光(拡散反射率)から求められる相対的なピーク特性値(ピーク高さ、ピーク傾き、ピーク幅、2波長での強度差等)を農作物の成熟度の評価基準としている。
【0044】
ちなみに、図9(b)に示した拡散反射光測定手段5を一光束タイプとした場合、1つのフィルタ51Cと、1つの集光レンズ52と、1つの受光部(または分光計)53aと、1つの演算部54によって構成することができる。この場合、フィルタの透過帯域を400nm〜700nmとし、天候や照明条件に合わせて当該フィルタの透過帯域を調整可能に構成する。また、集光レンズ52はフィルタを透過した反射光を収束させ、受光部(または分光計)53aは収束された反射光(光信号)を電気信号に変換する。そして、演算部54は電気信号の強度変化に基づいて拡散反射率を測定する。
【0045】
このように拡散反射光測定手段5を構成すると、この拡散反射光測定手段5は、特定波長帯域だけを透過させる透過帯域を備えているフィルタ51(バンドパスフィルタに相当)と、このフィルタ51を透過した反射光を受光できる受光部53(光受光器に相当)とを少なくとも備えていればよく、農作物成熟度測定装置1の製造コストを大幅に削減することができる。
【0046】
ここで、図2を参照して、拡散反射光測定手段5による拡散反射率の測定結果の一例について説明する。つまり、拡散反射光測定手段5によって、各波長における拡散反射率を測定した結果であるグラフが描画される。この図2は、農作物(果実)の一種である梨について、5個の梨(ここでは、サンプルと称している)を測定した測定結果を示している。図2(a)は5個の未熟サンプルの拡散反射スペクトルを示し、図2(b)は5個の適熟サンプルの拡散反射スペクトルを示し、図2(c)は5個の過熟サンプルの拡散反射スペクトルを示している。
【0047】
これら図2から、梨の成熟度(熟成度)が上昇する毎に、各々梨(サンプル)は520nmから720nmまでの範囲において、反射率(拡散反射率)が上昇していることを視認できる。そこで、数値的な変化が大きかった拡散反射率スペクトルの520nmから720nmまでの範囲について、ピーク特性計算手段7によって、ピークの高さ、ピークの傾き、ピークの半値幅等の計算を行うこととしている。
【0048】
図1に戻って、農作物成熟度測定装置1の構成の説明を続ける。
ピーク特性計算手段7は、拡散反射光測定手段5で測定された拡散反射率のピークの高さ、ピークの半値幅、ピークの位置、ピークの傾き等のピーク特性値を計算するものである。ピークは、拡散反射率のスペクトルの突出箇所、上向きの突出箇所である山、または、下向きの突出箇所である谷を指している(詳細を図3に示す)。ピークの半値幅は、光照射手段3で照射した光の波長(nm)の増減を横軸方向に、拡散反射率で測定した拡散反射率(%)の増減を縦軸方向にとったグラフにおいて、波長の増加に伴って拡散反射率のスペクトルが波打ちながら増加し、この波(スペクトル)の山または谷のピークの高さ(最大拡散反射率または最小拡散反射率)の半分の高さにおけるピークの幅(波長の幅)を指すものである。また、ピークの傾きは、ピーク頂上部付近の傾きを指す。
【0049】
ここで、図3を参照して、ピーク特性計算手段7における拡散反射率のスペクトルの解析方法について説明する。図3は農作物(果実)の一種である梨について、ピーク半値幅、ピーク高さ、ピーク中心位置を計算した例を示している。図3(a)はピークの山および谷を特定している状態を示したものであり、図3(b)はピークの山における過熟サンプルの拡散反射率のスペクトルを拡大したものであり、図3(c)はピークの谷における過熟サンプルの拡散反射率のスペクトルを拡大したものである。
【0050】
まず、ピーク特性計算手段7は、拡散反射光測定手段5で測定された拡散反射率のグラフ(横軸に照射された光の波長(320〜920nm)をとり、縦軸に反射率をとったグラフ)に描画されたスペクトルのピーク(上向きピークを山、下向きピークを谷とする)を、図3(a)に示すように特定する(求める)。ここでは、ピークの山を320nmから680nmまでとしており、ピークの谷を650nmから720nmまでとしている。
【0051】
続いて、ピーク特性計算手段7は、ピークの山またはピークの谷のサンプルの計測値を比較するために、ガウスアンプ関数(図3中に図示)による非線形フィッティングを行って、ピーク半値幅W、ピーク高さA、ピーク中心位置(図3(b)では(Xc,y0+A)、図3(c)では(Xc,y0−A))を計算する。ここで補足しておくと、ガウスアンプ関数による非線形フィッティングとは、一般的に、光学的なピークは、ガウス関数やローレンツ関数に近似することができることから、ガウス関数(ガウスアンプ関数)を用いて、拡散反射光測定手段5で得られたピーク(ピーク特性)を最適な形式(最も的確にピークを再現する状態)にすることである。なお、ここで測定されたピークは、ガウス関数とローレンツ関数とを比べると、ガウス関数の方が近似の精度がよいので、ここでは、ガウス関数を採用している。
【0052】
図1に戻って、農作物成熟度測定装置1の構成の説明を続ける。
成熟度判定手段9は、ピーク特性計算手段7で計算されたピーク特性値、例えば、ピークの山または谷のピーク半値幅W)に基づいて、予め測定しておいた成熟度サンプルデータ(成熟度サンプルデータ記憶手段11に記憶されている)を参照して農作物の成熟度を判定するものである。農作物の成熟度は、未熟、適熟および過熟の3種類に判定される。
【0053】
なお、この成熟度判定手段9は、ピーク半値幅W以外に、(1)ピークの高さ、(2)2波長の強度比、(3)ピークの傾き、(4)多波長の強度比、(5)ピーク位置等のピーク特性値に基づいて、農作物の成熟度を判定することが可能である。
【0054】
(1)ピークの高さによって、農作物の成熟度を判定する場合、例えば、成熟度による拡散反射率の変化が大きい570nm〜670nm付近のピークの高さを、成熟度の判定基準とする。ただし、問題点として、自然光(太陽光)または光照射手段3による光(照明光)の変化によって、ピークの高さが変化してしまうことがある。その場合には、拡散反射光測定手段5によって、瞬時に測定するか、ピークの高さを均一化する補正手段(例えば、拡散反射率が予め設定した範囲内に収まるように所定の数値を乗算するもの)を備えることで、この問題点を解決することができる。
【0055】
(2)2波長の強度比によって、農作物の成熟度を判定する場合、例えば、500nm〜550nm付近の任意の1波長(例として、530nm)と、成熟度による拡散反射率の変化が大きい570nm〜670nm付近の任意の1波長(例として、630nm)との強度の比をとり、成熟度を判定する。この場合、農作物が熟すほど、強度の比は小さくなる。この2波長の強度比によって、農作物の成熟度を判定する場合では、拡散反射率の反射強度の絶対値を評価基準としていないので、自然光(太陽光)または光照射手段3による光(照明光)の変化による影響が少なく、演算回路等も殆ど必要としないため、最も実用的な方法である。
【0056】
(3)ピークの傾きによって、農作物の成熟度を判定する場合、例えば、500nm〜550nm付近の任意の1波長(例として、530nm)と、成熟度による拡散反射率の変化が大きい570nm〜670nm付近の任意の1波長(例として、630nm)との強度の差から傾きを求めて、成熟度を判定する。この場合、農作物が熟すほど、ピークの傾きは小さくなる。ただし、少なくとも2波長を同時に計測して、ピークの傾きを演算するための演算回路を成熟度判定手段9に備える必要がある。しかし、拡散反射率の反射強度の絶対値を評価基準としていないので、自然光(太陽光)または光照射手段3による光(照明光)の変化による影響を少なくすることができる。
【0057】
(4)多波長の強度比によって、農作物の成熟度を判定する場合、(2)または(3)による波長を多数にする。つまり、この農作物成熟度測定装置1によって、数回に亘って、拡散反射光を測定して、測定したピーク特性について、成熟度判定手段9で判定することになる。この多波長の強度比によって、農作物の成熟度を判定する場合では、成熟度の判定精度を向上させることができる。
【0058】
ここで、図4〜図6を参照して、成熟度判定手段9による農作物成熟度の判定の仕方と判定の結果とについて説明する。図4〜図6は農作物(果実)の一種である梨(ここでは、サンプルと称している)について、成熟度を判定した例を示している。図4はピークの山について解析した解析結果を示した図であり、また、図5はピークの谷について解析した解析結果を示した図であり、さらに、図6は解析結果を考察した際の過程(成熟度を判定する過程)を説明した図である。
【0059】
図4(a)に示すように、ピークの山における半値幅(nm)(ピーク半値幅)について、5個のサンプルのフィッティングパラメータの最大値、最小値、平均値が成熟度別に表されている。図4(b)に示すように、ピークの山におけるピークの高さ(反射率%)(ピーク高さ)について、5個のサンプルのフィッティングパラメータの最大値、最小値、平均値が成熟度別に表されている。図4(c)に示すように、ピークの山におけるピークの中心位置(nm)(ピーク中心位置)について、5個のサンプルのフィッティングパラメータの最大値、最小値、平均値が成熟度別に表されている。
【0060】
これら図4(a)〜(c)からわかるように、半値幅(ピーク半値幅)、ピーク高さおよびピーク中心位置の特性は、成熟度の上昇に伴って、上昇(増加)する傾向にある。また、未熟サンプルの解析値(測定値)の偏差は、各パラメータ(ピーク半値幅、ピーク高さおよびピーク中心位置)共に、他の成熟度サンプル(適熟サンプルおよび過熟サンプル)よりも小さい。
【0061】
図5(a)に示すように、ピークの谷における半値幅(nm)(ピーク半値幅)について、5個のサンプルのフィッティングパラメータの最大値、最小値、平均値が成熟度別に表されている。図5(b)に示すように、ピークの谷におけるピークの高さ(反射率%)(ピーク高さ)について、5個のサンプルのフィッティングパラメータの最大値、最小値、平均値が成熟度別に表されている。図5(c)に示すように、ピークの谷におけるピークの中心位置(nm)(ピーク中心位置)について、5個のサンプルのフィッティングパラメータの最大値、最小値、平均値が成熟度別に表されている。
【0062】
これら図5(a)〜(c)からわかるように、半値幅(ピーク半値幅)、ピーク高さおよびピーク中心位置の特性は、成熟度の上昇に伴って、下降(減少)する傾向にある。また、未熟サンプルの解析値(測定値)の偏差は、各パラメータ(ピーク半値幅、ピーク高さおよびピーク中心位置)共に、他の成熟度サンプル(適熟サンプルおよび過熟サンプル)よりも小さい。さらに、図5(c)からわかるように、ピークの谷の中心位置は、平均値の差が最大0.8nmであることから変化は小さい。
【0063】
図6に示すように、梨(サンプル)が未熟状態から過熟状態になるにつれ、目視では赤みが増し(図6ではハッチングが濃くなるように示している)、全体的に表面色が黄色くなるように見える。このため、ピークの山の変化は、梨の成熟度に対応した表面色の変化に同調したものであると言える。また、ピークの谷の変化について、ピーク中心位置が殆ど変化していない(動かない)のは、梨の表面に含まれているクロロフィルによって、670nm付近の光が吸収されることに起因すると考えられる。
【0064】
また、670nm以降の拡散反射率のスペクトルの変化は、各成熟度ともに、小さい(各成熟度の拡散反射率のスペクトルの差が少ない)ので、梨の地色の変化を表していると言える。つまり、拡散反射率のスペクトルの変化が大きい範囲(545nm〜685nm)は、梨の表面色の変化を表していると推測できる。このうち、545nm〜600nmは、梨の地色の変化を表し、600nm〜685nmは、梨表面の赤みの変化を表していると推測することができる。
【0065】
図1に戻って、農作物成熟度測定装置1の構成の説明を続ける。
成熟度サンプルデータ記憶手段11は、メモリ等によって構成されており、成熟度判定手段9によって農作物の成熟度を判定する際に参照する成熟度サンプルデータを記憶するものである。成熟度サンプルデータは農作物の成熟度に関係する特徴的な分光スペクトルに関するデータであって、これまでに説明したピーク特性値に相当するデータである。この成熟度サンプルデータは、農作物に応じて備えておく必要があり、例えば、農作物が林檎である場合、林檎用の成熟度サンプルデータを備えておく必要がある。
【0066】
制御手段13は、農作物成熟度測定装置1の制御を司るもので、作業者が操作する操作手段15から入力される操作信号に基づいて、光照射手段3および拡散反射光測定手段5に制御信号(光照射指示制御信号、拡散反射率測定指示制御信号等)を出力するものである。
【0067】
操作手段15は、各種スイッチによって構成されており、作業者が操作するインターフェースであり、制御手段13に対して、当該スイッチが押下された結果に従った操作信号を出力するものである。
【0068】
この農作物成熟度測定装置1によれば、農作物を収穫する際に、光照射手段3によって、所定波長の光が農作物に照射され、ピーク特性計算手段7によって、反射した光の拡散反射率のピーク特性値が計算される。そして、成熟度判定手段9によって、ピーク特性値に基づいて、農作物の成熟度が測定ないし判定される。つまり、従来のカラーチャートを用いた目視判定に比べ収穫経験を必要としないので、容易に農作物の成熟度を測定することができる。
【0069】
また、この農作物成熟度測定装置1によれば、赤外線等よりも短い波長が利用可能であるので、当該赤外線を発生するような従来の光照射手段を構成しなくてもよく、装置の製造コストが低くくなり、その結果、農作物の成熟度を低コストで測定することができる。
【0070】
〈農作物成熟度測定装置の動作〉
図7に示すフローチャートを参照して、農作物成熟度測定装置1の動作を説明する(適宜、図1参照)。
まず、農作物成熟度測定装置1は、作業者が操作手段15を操作することで入力された操作信号を制御手段13で受ける(受信する)(ステップS1)。そうすると、農作物成熟度測定装置1は、制御手段13によって、光照射手段3の制御を開始し(ステップS2)、光照射手段3によって、農作物に対して、所定波長の光を照射する(ステップS3)。
【0071】
そして、照射された光が農作物の表面で反射され、この反射された光(反射光)を、農作物成熟度測定装置1は、拡散反射光測定手段5のフィルタ(図示せず)に入光させて、この拡散反射光測定手段5によって、拡散反射光(拡散反射率)を測定する(ステップS4)。
【0072】
そして、農作物成熟度測定装置1は、ピーク特性計算手段7によって、ピーク特性値(ピーク半値幅、ピーク高さ、ピーク中心位置等)を計算する(ステップS5)。そして、農作物成熟度測定装置1は、成熟度判定手段9によって、農作物の成熟度を判定し、判定した判定結果(未熟、適熟または過熟)を外部に出力する(ステップS6)。
【0073】
〈農作物成熟度測定装置の使用例について〉
最後に、図8を参照して農作物成熟度測定装置1の使用例について説明する(適宜、図1参照)。
図8に示すように、作業者は樹木になっている農作物FAに対して、農作物成熟度測定装置1を向けて、光照射手段3で発生した光を農作物FAに照射し、反射した反射光の拡散反射率を拡散反射光測定手段5によって測定して、農作物FAの成熟度を収穫直前に知ることができる。なお、この図8において、符号Sは、夜間に農作物FAを収穫する際の照明を示している。
【0074】
この図8では、農作物成熟度測定装置1は、作業者が手に持っている部分と、作業者の首からぶら下げている本体部分とで構成されており、手に持っている部分に光照射手段3と拡散反射光測定手段5のフィルタ51および集光レンズ52とが備えられており、首からぶら下げている本体部分に拡散反射光測定手段5の受光部53(53a)および演算部54と、制御手段13と、操作手段15と、ピーク特性計算手段7と、熟度判定手段9と、成熟度サンプルデータ記憶手段11とが備えられている。
【0075】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態には限定されない。例えば、本実施形態では、農作物成熟度測定装置1として説明したが、当該農作物成熟度測定装置1の各構成の1つずつの処理を、農作物の成熟度を測定する1つずつの過程と捉えた農作物成熟度測定方法とみなすことも可能である。この場合、農作物成熟度測定装置1と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の実施形態に係る農作物成熟度測定装置のブロック図である。
【図2】(a)は未熟サンプルの拡散反射率スペクトルの測定結果の例を示した図であり、(b)は適熟サンプルの拡散反射率スペクトルの測定結果の例を示した図であり、(c)は過熟サンプルの拡散反射率スペクトルの測定結果の例を示した図である。
【図3】(a)は拡散反射率のスペクトルからピークの山および谷を検出した例を示した図であり、(b)はピークの山において、ピーク半値幅、ピーク高さおよびピーク中心位置を算出した例を示した図であり、(c)はピークの谷において、ピーク半値幅、ピーク高さおよびピーク中心位置を算出した例を示した図である。
【図4】(a)はピークの山における、ピーク半値幅の解析結果の例を示した図であり、(b)はピークの山における、ピークの高さの解析結果の例を示した図であり、(c)はピークの山における、ピークの中心位置の解析結果の例を示した図である。
【図5】(a)はピークの谷における、ピーク半値幅の解析結果の例を示した図であり、(b)はピークの谷における、ピークの高さの解析結果の例を示した図であり、(c)はピークの谷における、ピークの中心位置の解析結果の例を示した図である。
【図6】ピーク山および谷の解析結果について、考察した過程を説明した図である。
【図7】図1に示した農作物成熟度測定装置の動作を説明したフローチャートである。
【図8】農作物成熟度測定装置の使用例を説明した図である。
【図9】拡散反射光測定手段の構成例を説明した図であり、(a)は2光束タイプのものを説明した図であり、(b)は1光束タイプのものを説明した図であり、(c)は受光部を拡大した図である。
【符号の説明】
【0077】
1 農作物成熟度測定装置
3 光照射手段
5 拡散反射光測定手段
51(51A〜51C) フィルタ
52 集光レンズ
53 受光部
54 演算部
7 ピーク特性計算手段
9 成熟度測定手段
11 成熟度サンプルデータ記憶手段
13 制御手段
15 操作手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
糖度の度合いで成熟しているか否かを判断する果実、野菜、穀物を含む農作物の成熟度を、当該農作物表面で反射した拡散反射光に基づいて測定する農作物成熟度測定装置であって、
前記農作物表面に照射されている光が当該農作物表面で反射し、この反射によって生じた拡散反射光を測定する拡散反射光測定手段と、
この拡散反射光測定手段で測定された拡散反射光のピーク特性値を計算するピーク特性計算手段と、
このピーク特性計算手段で計算されたピーク特性値に基づいて、前記農作物の成熟度を判定する成熟度判定手段と、
を備えることを特徴とする農作物成熟度測定装置。
【請求項2】
前記拡散反射光測定手段は、
前記反射した光である反射光の中で、前記農作物の表面色の特徴が表れる、予め測定されることで決められた波長を透過させる透過帯域特性を有するフィルタと、
このフィルタを透過した反射光を集光させる集光レンズと、
この集光レンズで集光された収束反射光を受光する受光部と、
この受光部で受光された収束反射光の波長に対する強度変化に基づいて、前記拡散反射率を演算する演算部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の農作物成熟度測定装置。
【請求項3】
前記農作物表面に、可視領域を含む所定波長の光を照射する光照射手段を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の農作物成熟度測定装置。
【請求項4】
糖度の度合いで成熟しているか否かを判断する果実、野菜、穀物を含む農作物の成熟度を、当該農作物表面で反射した拡散反射光に基づいて測定する農作物成熟度測定方法であって、
前記農作物表面に照射されている光が当該農作物表面で反射し、この反射によって生じた拡散反射光を測定する拡散反射光測定ステップと、
この拡散反射光測定ステップにて測定された拡散反射光のピーク特性値を計算するピーク特性計算ステップと、
このピーク特性計算ステップにて計算されたピーク特性値に基づいて、前記農作物の成熟度を判定する成熟度判定ステップと、
を含むことを特徴とする農作物成熟度測定方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2006−55744(P2006−55744A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−240063(P2004−240063)
【出願日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 学校法人東海大学の主催する平成16年2月20日に開催された「光学工学科卒業研究発表会」において「感覚量の定量化の研究梨の表面色と熟度の相関について」の表題により発表
【出願人】(000125369)学校法人東海大学 (352)
【Fターム(参考)】