農産物皮剥き装置
【課題】メンテナンスを容易に行うことができるとともに、回転体の交換を要する部分のみを交換可能な農産物皮剥き装置を提供する。
【解決手段】 農産物5が水平方向に送られる谷状の搬送路6を構成する一対のドラム2,3を備える。これらのドラム2,3は、機枠7に回転自在かつ着脱可能に支持される。両ドラム2,3を回転させる駆動装置4を備える。一対のドラム2,3は、外周壁に多数の第1の穴15を有する皮剥き用ドラム2と、外周壁に多数の第2の穴16を有する跳ね上げ用ドラム3とからなる。これら両ドラム2,3のうち少なくともいずれか一方のドラムは、軸線方向に並ぶ複数のドラム部材に分割されている。これらのドラム部材は、互いに着脱可能かつ回転を伝達可能に連結されている。
【解決手段】 農産物5が水平方向に送られる谷状の搬送路6を構成する一対のドラム2,3を備える。これらのドラム2,3は、機枠7に回転自在かつ着脱可能に支持される。両ドラム2,3を回転させる駆動装置4を備える。一対のドラム2,3は、外周壁に多数の第1の穴15を有する皮剥き用ドラム2と、外周壁に多数の第2の穴16を有する跳ね上げ用ドラム3とからなる。これら両ドラム2,3のうち少なくともいずれか一方のドラムは、軸線方向に並ぶ複数のドラム部材に分割されている。これらのドラム部材は、互いに着脱可能かつ回転を伝達可能に連結されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2本の平行なドラムを使用して農産物の皮を剥く農産物皮剥き装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の農産物皮剥き装置としては、例えば特許文献1に記載されているものがある。特許文献1に開示された農産物皮剥き装置は、一対の円筒体からなる回転体の上で農産物を転がし、回転体に農産物が擦り付けられることによって皮を剥くものである。前記一対の回転体は、農産物を水平方向に送る搬送路の底を構成するように、互いに平行に並ぶ状態で機枠に回転自在に支持されている。これらの回転体には、農産物の皮を剥くための多数の穴と、農産物を跳ね上げるための多数の弾性体からなる突起とが設けられている。
【0003】
前記搬送路に投入された農産物は、一対の回転体によって回転させられるとともに、前記突起によって跳ね上げられる。この農産物の皮は、上述したように農産物が一対の回転体の上で飛び跳ねながら回転することによって、前記穴の開口縁に接触して剥ける。
前記回転体は、皮剥き作業が終了した後に機枠から取外されて清掃される。また、回転体は、長期間にわたる使用によって摩耗した場合は、新しいものと交換される。回転体の摩耗は、搬送路の上流側ほど著しく生じる。この理由は、農産物に泥や小石が付着していることがあるからである。すなわち、回転体の前記上流部に位置する外周壁や前記突起が泥や小石に当たることによって、これらの部材の摩耗が促進されるからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−51212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来の農産物皮剥き装置は、下記の二つの問題があった。第1の問題は、回転体の清掃や交換などを行うメンテナンス時に作業者の負担が大きくなるという問題である。回転体は、重量が嵩むものである。すなわち、このような重い回転体を機枠に対して着脱させる作業は、作業者に大きな負担を強いる作業であった。
【0006】
第2の問題は、回転体における搬送方向上流側の部位において摩耗が進み易いことが原因で生じる。すなわち、回転体の搬送方向下流側の部位がほとんど摩耗していないにもかかわらず、この部位が搬送方向上流側の部位ともに交換されてしまうという問題があった。このような場合は、回転体における搬送方向下流側に位置する使用可能な部分が不必要に交換されることになる。
【0007】
本発明はこのような問題を解消するためになされたもので、メンテナンスを容易に行うことができるとともに、回転体の交換を要する部分のみを交換可能な農産物皮剥き装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本発明に係る農産物皮剥き装置は、農産物が水平方向に送られる谷状の搬送路を構成するように互いに平行に並べられ、機枠に回転自在かつ着脱可能に支持された一対のドラムと、前記各ドラムにおける前記搬送路の底部を構成する部位が上方に移動する方向に前記両ドラムを回転させる駆動装置とを備え、前記一対のドラムは、外周壁に多数の第1の穴が形成されて主に前記農産物の皮を剥く機能を有する皮剥き用ドラムと、外周壁に多数の第2の穴が形成されて主に前記農産物を跳ね上げる機能を有する跳ね上げ用ドラムとからなり、前記皮剥き用ドラムと跳ね上げ用ドラムのうち少なくともいずれか一方のドラムは、軸線方向に並ぶ複数のドラム部材に分割され、これらのドラム部材は、互いに着脱可能かつ回転を伝達可能に連結されていることを特徴とするものである。
【0009】
本発明は、前記発明において、前記ドラムの上方近傍でドラムと平行に延びて前記搬送路の側壁を構成する農産物ガイドを更に備え、前記農産物ガイドは、前記機枠に着脱自在に支持されるとともに、分割された前記ドラム部材どうしの間において前記搬送路の底の一部を構成するガイド板を備えていることを特徴とするものである。
【0010】
本発明は、前記発明において、前記機枠は、前記搬送路が上方に向けて開放されるように箱状に形成され、かつ前記搬送路の上方を開閉する蓋体を備え、前記蓋体は、前記機枠の上端部に回動可能に支持され、かつ前記搬送路を搬送方向において複数の搬送領域に分ける複数の可動隔壁と、これらの可動隔壁を搬送方向の上流側から下流側に向けて移動させる移動機構とを有する搬送装置を備えていることを特徴とするものである。
【0011】
本発明は、前記発明において、前記移動機構は、前記搬送方向に延びる無端チェーンによって前記可動隔壁を移動させるものであり、前記無端チェーンは、スプロケットの軸線が水平方向を指向する状態で前記搬送路より高い位置に位置付けられ、前記蓋体における前記搬送路と対向する部位には、前記搬送路の上壁を構成する天井部材が設けられ、前記天井部材は、多数のロッドを農作物の搬送方向に延びる状態で前記搬送路の幅方向に所定の間隔をおいて並べることによって形成され、かつ側方から見て前記無端チェーンの内側に位置付けられていることを特徴とするものである。
【0012】
本発明は、前記発明において、前記搬送路の上流部に設けられた農産物供給部に農産物を供給する農産物供給装置と、前記可動隔壁の位置に基づいて前記農産物供給装置の作動、停止を切り替える制御装置とを更に備え、前記制御装置は、前記可動隔壁が前記農産物供給部を通過した後に前記農産物供給装置を作動させ、次の可動隔壁が農産物供給部に達する以前に前記農産物供給装置を停止させるものであることを特徴とするものである。
【0013】
本発明は、前記発明において、前記第2の穴は、前記跳ね上げ用ドラムの外周壁を貫通する第1の長穴と第2の長穴とからなり、前記第1の長穴と第2の長穴とは、跳ね上げ用ドラムの軸線方向に互いに離間して形成されるとともに、それぞれ跳ね上げ用ドラムの回転方向に所定の間隔をおいて多数形成され、第1の長穴の穴形状と第2の長穴の穴形状は互いに異なった形状であることを特徴とするものである。
【0014】
本発明は、前記発明において、前記第1の長穴の穴形状は、前記跳ね上げ用ドラムの回転方向の前方に向かうにしたがって次第に農産物の搬送方向の下流側に延びる長円であり、前記第2の長穴の穴形状は、前記跳ね上げ用ドラムの回転方向の前方に向かうにしたがって次第に農産物の搬送方向の上流側に延びる長円であることを特徴とするものである。
【0015】
本発明は、前記発明において、第1の長穴と第2の長穴の開口面積は、前記皮剥き用ドラムの第1の穴の開口面積より大きく形成されていることを特徴とするものである。
【0016】
本発明は、前記発明において、前記複数のドラム部材のうち、前記搬送路の上流側に位置するドラム部材の外周壁の穴の開口面積は、搬送路の下流側に位置するドラム部材の外周壁の穴の開口面積に較べて相対的に大きく形成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る農産物皮剥き装置において、皮剥き用ドラムや跳ね上げ用ドラムのうち、複数のドラム部材からなるドラムを機枠に対して着脱させる作業は、ドラム部材を機枠に対して順次着脱させることによって、複数回に分けて行うことができる。ドラム部材は、従来の1本の皮剥き用の回転体や跳ね上げ用の回転体に較べると、小さくかつ軽く形成することができる。このため、前記着脱作業を行う作業者の負担は、従来の回転体の着脱作業を行う場合と較べると軽減される。
【0018】
また、分割されたドラム部材は、個別に交換することができる。このため、搬送路の上流側に位置するドラム部材において交換を要するほど摩耗が進んだ場合は、摩耗が少ない下流側のドラム部材を残し、上流側のドラム部材のみを交換することができる。
したがって、この実施の形態によれば、メンテナンスを容易に行うことができるとともに、ドラムの交換を要する部分のみを交換可能な農産物皮剥き装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る農産物皮剥き装置の構成を示す斜視図である。
【図2】農産物皮剥き装置と農産物供給装置の側面図である。
【図3】農産物皮剥き装置と農産物供給装置の平面図で、同図は農産物皮剥き装置の蓋体を省略した状態で描いてある。
【図4】農産物皮剥き装置の搬送方向の上流側から見た背面図である。
【図5】農産物皮剥き装置の搬送方向の下流側から見た正面図で、同図(A)は使用状態を示し、同図(B)は蓋体を開いた状態を示す。
【図6】ドラム部分を拡大して示す平面図である。
【図7】ドラム部分を拡大して示す断面図で、同図(A)は使用状態を示し、同図(B)は各ドラム部材を機枠から外した状態を示す。
【図8】皮剥き用ドラムの外周壁の一部を拡大して示す平面図である。
【図9】跳ね上げ用ドラムの外周壁の一部を拡大して示す平面図である。
【図10】第1〜第4のドラム部材の搬送方向上流側から見た背面図である。
【図11】第1〜第4のドラム部材の搬送方向下流側から見た正面図である。
【図12】図6におけるXII-XII線断面図である。
【図13】図6におけるXIII-XIII線断面図である。
【図14】農産物ガイドを示す図で、同図(A)は平面図、同図(B)は側面図、同図(C)は第1、第3の農産物ガイドを搬送方向の上流側から見た背面図、同図(D)は第2、第4の農産物ガイドを搬送方向の下流側から見た正面図である。
【図15】第1、第3の農産物ガイドの下流部の支持構造を示す正面図である。
【図16】第1、第3の農産物ガイドの下流部の支持構造を示す斜視図である。
【図17】蓋体の平面図で、同図は蓋体の外壁部分を破断して内部を露出させた状態で描いてある。
【図18】蓋体の縦断面図である。
【図19】図17におけるXIX-XIX線断面図である。
【図20】図17におけるXX-XX線断面図である。
【図21】農産物皮剥き装置の制御系を示すブロック図である。
【図22】第1、第2の穴の他の実施の形態を示す平面図である。
【図23】第2の穴の他の実施の形態を示す平面図で、同図(A)は斜めの長円のみによって形成する例を示し、同図(B)はX字状に形成する例を示し、同図(C)はX字状と+字状とに形成する例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1の実施の形態)
先ず、本発明に係る農産物皮剥き装置の主要な構成を図1によって説明する。
図1に示す農産物皮剥き装置1は、一対のドラム2,3と、これらのドラム2,3を回転させる駆動装置4とを備えている。この農産物皮剥き装置1に用いることができる農産物は、じゃがいも、里芋、さつまいも、人参、大根、キウイフルーツ、アボガドなどである。
【0021】
前記一対のドラム2,3は、農産物5が水平方向に送られる谷状の搬送路6を構成するように互いに平行に並べられている。前記搬送路6は、農産物5が水平方向の一端側から他端側に送られるように構成されている。農産物5を送るにあたっては、搬送方向の下流側が上流側より低くなるように傾斜させたり、後述するように搬送装置を用いる。
【0022】
前記一対のドラム2,3のうち、一方のドラム2は、主に前記農産物5の皮を剥く機能を有する皮剥き用ドラムである。他方のドラム3は、主に前記農産物5を跳ね上げる機能を有する跳ね上げ用ドラムである。また、これらのドラム2,3は、機枠7に回転自在かつ着脱可能に支持されている。
【0023】
皮剥き用ドラム2は、第1のドラム部材11と第2のドラム部材12とに分割されている。これらの第1のドラム部材11と第2のドラム部材12とは、同一軸線上に位置して軸線方向に並び、互いに着脱可能かつ回転を伝達可能に連結されている。第1のドラム部材11は、第2のドラム部材12より前記搬送路6の上流側に位置している。
【0024】
跳ね上げ用ドラム3は、第3のドラム部材13と第4のドラム部材14とに分割されている。これらの第3のドラム部材13と第4のドラム部材14とは、同一軸線上に位置して軸線方向に並び、互いに着脱可能かつ回転を伝達可能に連結されている。第3のドラム部材13は、第4のドラム部材14より搬送路6の上流側に位置している。なお、本発明に係る農産物皮剥き装置は、皮剥き用ドラム2のみを複数のドラム部材に分割したり、跳ね上げ用ドラム3のみを複数のドラム部材に分割する構成を採ることができる。
【0025】
第1のドラム部材11の外周壁11aと第2のドラム部材12の外周壁12aとには、多数の第1の穴15が形成されている。第3のドラム部材13の外周壁13aと第4のドラム部材14の外周壁14aとには、多数の第2の穴16が形成されている。
この実施の形態による前記駆動装置4は、第1のドラム部材11の上流側端部と第3のドラム部材13の上流側端部とに接続されている。この駆動装置4は、第1、第3のドラム部材11,13における前記搬送路6の底部を構成する部位が上方に移動する方向にこれらドラム部材11,13を回転させる。第2のドラム部材12は、第1のドラム部材11と一体に回転し、第4のドラム部材14は、第3のドラム部材13と一体に回転する。
【0026】
このように構成された農産物皮剥き装置1を用いて農産物5の皮を剥くためには、皮剥き用ドラム2と跳ね上げ用ドラム3とが回転している状態で搬送路6に農産物5を供給することによって行う。搬送路6に供給された農産物5は、前記両ドラム2,3(第1〜第4のドラム部材11〜14)と接触することによって、強制的に回転させられる。また、この農産物5は、主に跳ね上げ用ドラム3の第2の穴16の開口縁に当たることによって、搬送路6内で跳ね上げられる。なお、農産物5が第1の穴15の開口縁に当たることによっても跳ね上げられる。しかし、農産物5は、第2の穴16の開口縁に当たったときの方が相対的に大きく跳ねる。
【0027】
このように農産物5が両ドラム2,3に当たって搬送路6内で跳ねながら回る結果、農産物5の皮が第1、第2の穴15,16の開口縁に強く擦り付けられて剥ける。農産物5の皮は、主に第1の穴15の開口縁によって剥かれる。これは、この実施の形態においては、第1の穴15の開口面積が第2の穴16の開口面積より小さく、かつ第1の穴15の数が第2の穴16の数より多いからであると考えられる。
【0028】
一方、皮剥き用ドラム2や跳ね上げ用ドラム3の清掃は、これらのドラム2,3を機枠7から取外した状態で行う。また、これらのドラム2,3は、新品と交換するときにも機枠7から取外される。これらのドラム2,3を機枠7に対して着脱させる作業は、第1〜第4のドラム部材11〜14を機枠7に対して順次着脱させることによって、複数回に分けて行うことができる。
【0029】
第1〜第4のドラム部材11〜14は、従来の1本の皮剥き用回転体や跳ね上げ用回転体に較べると、小さく、軽いものである。このため、前記着脱作業を行う作業者の負担は、従来の回転体の着脱作業を行う場合と較べると軽減される。
また、複数のドラム部材11〜14は、個別に交換することができる。このため、農産物5の搬送方向の上流側に位置する第1、第3のドラム部材11,13において交換を要するほど摩耗が進んだ場合は、この上流側の第1、第3のドラム部材11,13のみを交換することができる。
したがって、この実施の形態によれば、メンテナンスを容易に行うことができるとともに、ドラムの交換を要する部分のみを交換可能な農産物皮剥き装置1を提供することができる。
【0030】
次に、本発明に係る農産物皮剥き装置1の具体的な構成を図2〜図21によって詳細に説明する。これらの図において、前記図1によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
図2〜図5に示す農産物皮剥き装置1は、一つの機枠7の中に第1の搬送路6Aと第2の搬送路6Bとが形成されているものである。このため、皮剥き用ドラム2と跳ね上げ用ドラム3は、図3に示すように、それぞれ2組ずつ装備されている。
【0031】
また、この実施の形態による農産物皮剥き装置1は、図2に示すように、機枠7と隣接する位置に農産物供給装置17を備えている。この農産物供給装置17は、詳細な構成は後述するが、第1、第2の搬送路6A,6Bに農産物5を供給するためのものである。なお、この明細書においては、図3において下側を農産物皮剥き装置1の前側といい、図3において上側を農産物皮剥き装置1の後側という。また、図3において右側を搬送路6の上流側、搬送方向の上流側といい、同図において左側を搬送路6の下流側、搬送方向の下流側という。
【0032】
前記機枠7は、前記第1、第2の搬送路6A,6Bが上方に向けて開放されるように箱状に形成されている。この実施の形態による機枠7は、搬送路6の上流側の端部に位置する上流側脚部21と、搬送路6の下流側の端部に位置する下流側脚部22と、これらの脚部21,22の上端部どうしを接続する前側主枠部23および後側主枠部24(図3参照)とによって構成されている。上流側脚部21と下流側脚部22とは、図3に示すように、農産物皮剥き装置1の前側の端部から後側の端部まで延びるように形成されている。前記前側主枠部23は、上流側脚部21と下流側脚部22とにおける前記前側の端部どうしを接続している。前記後側主枠部24は、上流側脚部21と下流側脚部22とにおける前記後側の端部どうしを接続している。
【0033】
前記前側主枠部23と前記後側主枠部24とは、図3に示すように、前側から後側に延びる第1、第2の支持部材25,26によって互いに接続されている。
機枠7の上部には、図3〜図5に示すように、第1〜第4の農産物ガイド31〜34(4個分)が載せられている。これらの農産物ガイド31〜34は、詳細な構成は後述するが、皮剥き用ドラム2と跳ね上げ用ドラム3の上方近傍でこれらのドラムと平行に延びて前記第1、第2の搬送路6A,6Bの側壁を構成するものである。
【0034】
この実施の形態による機枠7は、前記第1、第2の搬送路6A,6Bの上方を開閉する蓋体35(図2、図4および図5参照)を備えている。なお、図3は、蓋体35を省略して描いてある。蓋体35は、詳細な構成は後述するが、機枠7の上端部であって農産物皮剥き装置1の後側の端部にヒンジ機構36を介して上下方向に回動自在に支持されている。
【0035】
さらに、機枠7における第1、第2の搬送路6A,6Bの下方の部位には、剥かれた農産物5の皮を下方に導くためのダクト37が設けられている。農産物5から剥かれた皮は、ダクト37の中を通って落下し、第1、第2の搬送路6A,6Bの下方に置かれた回収箱(図示せず)の中に溜められる。
この実施の形態による農産物皮剥き装置1を構成する機枠7、第1〜第4の農産物ガイド31〜34、蓋体35、ダクト37などの部材は、それぞれステンレス綱によって形成されている。
【0036】
この実施の形態による皮剥き用ドラム2と跳ね上げ用ドラム3は、図6に示すように、農産物皮剥き装置1の前後方向(図6においては上下方向)に2つずつ装備されている。すなわち、この実施の形態による農産物皮剥き装置1には、二つの搬送路6A,6Bが形成されている。なお、図6は、第1〜第4の農産物ガイドを省略した状態で描いてある。第1の搬送路6Aを構成する皮剥き用ドラム2と、第2の搬送路6Bを構成する皮剥き用ドラム2とは、同一のものである。また、第1の搬送路6Aを構成する跳ね上げ用ドラム3と、第2の搬送路6Bを構成する跳ね上げ用ドラム3とは、同一のものである。このため、以下においては、第1の搬送路6Aを構成するドラム2,3について説明し、第2の搬送路6Bを構成するドラム2,3については、同一符号を付し、詳細な説明は適宜省略する。
【0037】
皮剥き用ドラム2は、図1に示したものと同様に、第1のドラム部材11と第2のドラム部材12とに分割されている。跳ね上げ用ドラム3は、第3のドラム部材13と第4のドラム部材14とに分割されている。
これらのドラム部材11〜14は、図7に示すように、それぞれ円筒からなる外周壁11a〜14aと、この外周壁の軸線方向の両端部に取付けられたフランジ41,42とによって構成されている。第1のドラム部材11と第3のドラム部材13とは、外周壁11a,13aに形成されている第1、第2の穴15,16の形状が異なる以外は同一となるように形成されている。また、第2のドラム部材12と第4のドラム部材14とは、外周壁12a,14aに形成されている第1、第2の穴15,16の形状が異なる以外は同一となるように形成されている。
【0038】
第1、第2のドラム部材11,12の外周壁11a,12aに形成された第1の穴15は、図8に示すように、穴形状が正方形となるように形成されている。この第1の穴15は、第1、第2のドラム部材12の外周壁11a,12aを厚み方向に貫通するように形成されている。この実施の形態による第1の穴15は、前記正方形の四辺が第1、第2のドラム部材12の軸線方向Aと回転方向Bとの両方に対して角度α(約45度)で傾斜するように形成されている。第1の穴15は、前記正方形の四辺のうち、互いに対向する2つの辺が並ぶ方向に隙間Cをおいて並べられている。
【0039】
第3、第4のドラム部材13,14の外周壁13a,14aに形成された第2の穴16は、図9に示すように、互いに異なる穴形状の第1の長穴43と第2の長穴44とから構成されている。第1の長穴43と第2の長穴44とは、詳細な構成は後述するが、農産物5の搬送方向に対称な形状に形成されている。これらの第1、第2の長穴43,44は、第3、第4のドラム部材13,14の外周壁13a,14aを厚み方向に貫通するように形成されている。
【0040】
第1、第2の長穴43,44と上述した第1の穴15は、前記外周壁11a〜14aの母材(図示せず)に)打ち抜き加工を施すことによって形成されている。これらの穴を打ち抜く方向は、外周壁11a〜14aの外周面側から行っている。なお、これらの穴を打ち抜く方向は、上記とは逆方向でもよい。
第1、第2の長穴43,44は、第3、第4のドラム部材13,14の軸線方向Aに隙間Dをおいて交互に並ぶように形成されている。また、第1、第2の長穴43,44は、それぞれ第3、第4のドラム部材13,14の回転方向Bに間隔Eで並ぶように形成されている。
【0041】
第1の長穴43の穴形状は、前記回転方向Bの前方(図9においては上側)に向かうにしたがって次第に農産物5の搬送方向の下流側(図9においては左側)に延びる長円である。第2の長穴44の穴形状は、前記回転方向Bの前方に向かうにしたがって次第に農産物5の搬送方向の上流側(図9においては右側)に延びる長円である。これらの第1の長穴43と第2の長穴44の開口面積は、第1、第2のドラム部材11,12の第1の穴15の開口面積より大きく形成されている。また、第1、第2の長穴の長手方向の長さは、たとえばじゃがいもの皮を剥く場合は、じゃがいもの平均的な大きさの1/3以上で1/2程度以下の大きさに形成されている。
【0042】
第1〜第4のドラム部材11〜14の両端部に位置するフランジ41,42うち搬送方向の上流側に位置する上流側フランジ41は、図7および図10に示すように、ソケット45を備えている。ソケット45は、円板状を呈する上流側フランジ41の軸心部に固定されている。このソケット45の軸心部には、クッションゴム46が設けられている。クッションゴム46には、開口形状が四角形の貫通穴47が形成されている。
前記ソケット45は、駆動力を伝達するためのものである。第1、第3のドラム部材11,13に設けられている上流側フランジ41のソケット45は、図7に示すように、ドラム駆動用モータ48の出力軸48aが接続される。ドラム駆動用モータ48は、図6に示すように、搬送方向の上流側において農産物皮剥き装置1の前後方向に並ぶ4個のドラム部材にそれぞれ接続されている。これらのドラム部材は、第1の搬送路6Aの一部を構成する第1、第3のドラム部材11,13と、第2の搬送路6Bの一部を構成する第1、第3のドラム部材11,13である。
【0043】
これらのモータ48は、各ドラム部材における搬送路6の底部を構成する部位が上方に移動する方向に各ドラム部材を回転させる。各ドラム部材が回転する方向は、図4中に矢印Rによって示す方向である。この実施の形態においては、これらのドラム駆動用モータ48によって本発明でいう「駆動装置」が構成されている。
【0044】
これらのモータ48は、図7に示すように、前記上流側脚部21の上端部に支持用プレート49を介して固定されている。この支持用プレート49には、モータ毎に第1の筒体50が取付けられている。この第1の筒体50は、各モータ48と同一軸線上に位置しており、軸受51によって前記出力軸48aを回転自在に支持している。前記出力軸48aの先端部は、前記第1の筒体50から搬送方向の下流側に突出しており、四角柱状に形成されている。
【0045】
この先端部は、前記クッションゴム46の貫通穴47に着脱自在に嵌合する形状に形成されている。すなわち、前記出力軸48aの回転は、クッションゴム46を介して第1、第3のドラム部材11,13に伝達される。モータ48は、第1のドラム部材11を搬送方向の上流側から見て反時計方向に回転させる。また、モータ48は、第3のドラム部材13を搬送方向の上流側から見て時計方向に回転させる。各モータ48の動作(作動、停止)および回転速度等は、後述する制御装置52(図21参照)によって制御される。
【0046】
第1、第3のドラム部材11,13における搬送方向下流側に位置する下流側フランジ42は、図7および図11に示すように、第1の軸53を備えている。この第1の軸53は、円板状を呈する下流側フランジの軸心部に固定されている。また、第1の軸53は、中空部を有し、下流側フランジ42の円板部分から搬送方向の下流側に延びるように形成されている。
【0047】
この第1の軸53の先端部は、中空部を有する四角柱状に形成されている。この先端部は、前記第2、第4のドラム部材12,14に設けられているクッションゴム46の貫通穴47に着脱自在に嵌合する形状に形成されている。
また、この第1の軸53の中間部分には、図7に示すように、軸受54を介して第2の筒体55が回転自在に取付けられている。第2の筒体55は、図12に示すように、機枠7の前記第1の支持部材25の上に載せられている。第2の筒体55と第1の支持部材25との接続部分には、第2の筒体55の回転を規制するためにキー56が挟み込まれている。
【0048】
また、この第2の筒体55は、第1のホルダー57(図12参照)によって上方から第1の支持部材25に押し付けられている。第1のホルダー57は、第1の支持部材25に上方から取付用ボルト58によって取付けられた取付用ブロック57aと、この取付用ブロック57aの両端部から上方に延びる一対のアーム57b,57cとによって構成されている。アーム57bは、第1のドラム部材11の第2の筒体55に上方から重なる形状に形成されている。アーム57cは、第3のドラム部材13の第2の筒体55に上方から重なる形状に形成されている。
【0049】
この第1のホルダー57で第2の筒体55を第1の支持部材25に固定することによって、第1、第3のドラム部材11,13の下流側端部と、後述する第2、第4のドラム部材14の上流側端部とが機枠7に回転自在かつ着脱可能に支持されることになる。前記第1の支持部材25には、後述する第1〜第4の農産物ガイドを支持するための第1〜第3の支持用ブラケット59〜61が取付けられている。第1の支持用ブラケット59は、第1の支持部材25の前側の端部に設けられている。第2の支持用ブラケット60は、第1の支持部材25の前後方向の中央部に設けられている。第3の支持用ブラケット61は、第1の支持部材25の後側の端部に設けられている。
【0050】
第2、第4のドラム部材12,14における搬送方向下流側に位置する下流側フランジ42は、第1、第3のドラム部材11,13の下流側フランジ42とは軸の構造が異なる以外は同等に形成されている。このため、第2,第4のドラム部材12,14の下流側フランジ42の部材は、図11中に符号に括弧を付けて示す。第2、第4のドラム部材12,14の下流側フランジ42は、第2の軸62を備えている。この第2の軸62は、円板状を呈する下流側フランジ42の軸心部に固定されている。また、第2の軸は、中空部を有し、下流側フランジ42の円板部分から搬送方向の下流側に延びるように形成されている。第2の軸62の先端部には、軸受63を介して第3の筒体64が回転自在に取付けられている。
【0051】
この第3の筒体64は、図13に示すように、機枠7の第2の支持部材26の上に載せられており、第2のホルダー65によって第2の支持部材26に固定されている。第2のホルダー65は、前記第1のホルダー57と同一のもので、取付用ブロック65aと、一対のアーム65b,65cとによって構成されている。この第2のホルダー65は、取付用ボルト66によって第2の支持部材26に上方から取付けられている。第3の筒体64と第2の支持部材26との接続部分には、第3の筒体64の回転を規制するためにキー67が挟み込まれている。この第2のホルダー65で第3の筒体64を第2の支持部材26に固定することによって、第2、第4のドラム部材12,14の下流側端部が機枠7に回転自在かつ着脱可能に支持されることになる。
【0052】
前記第1〜第4の農産物ガイド31〜34は、図14〜図16に示すように、上述した第1〜第4のドラム部材11〜14に沿って延びるように形成され、第1〜第4のドラム部材11〜14の上方近傍に配置されている。なお、図14〜図16においては、第1の搬送路6Aに設けられている第1〜第4の農産物ガイド31〜34が図示されている。しかし、第1〜第4の農産物ガイド31〜34は、第1の搬送路6Aと第2の搬送路6Bとの両方に設けられている。第2の搬送路6Bに設けられている第1〜第4の農産物ガイド31〜34は、第1の搬送路6Aに設けられている第1〜第4の農産物ガイド31〜34と同一のものである。このため、ここでは第1の搬送路6Aに設けられている第1〜第4の農産物ガイド31〜34について説明する。
【0053】
第1のドラム部材11の上方近傍に位置する第1の農産物ガイド31と、第3のドラム部材13の上方近傍に位置する第3の農産物ガイド33とは、それぞれ上方と搬送方向とに延びる板状に形成されており、図14(A)に示すように、投入用シュート71と第1のガイド板72とによって互いに接続されている。すなわち、第1の農産物ガイド31と第3の農産物ガイド33は、一つの組立体として形成されている。
【0054】
前記投入用シュート71は、後述する農産物供給装置17から供給された農産物5を第1、第2の搬送路6A,6Bの上流側端部に導くためのものである。この投入用シュート71は、図14(B),(C)に示すように、第1の農産物ガイド31と第3の農産物ガイド33の上流側端部どうしを接続している。この実施の形態においては、第1、第2の搬送路6A,6Bにおける投入用シュート71と対応する部分によって、請求項5記載の発明でいう「搬送路の農産物供給部」が構成されている。
【0055】
前記第1のガイド板72は、第1、第2の搬送路6A,6Bの底の一部を構成するものである。この第1のガイド板72は、上記の機能を実現するために、図14(A)に示すように、第1のドラム部材11の外周壁11aと第2のドラム部材12の外周壁12aとの間と、第3のドラム部材13の外周壁13aと第4のドラム部材14の外周壁14aとの間に上方から挿入されている。第1のガイド板72の断面形状は、図15に示すように、搬送方向の下流側から見て前記外周壁の上部に倣うような形状に形成されている。この第1のガイド板72における農産物皮剥き装置1の前側の端部と後側の端部とには、第1、第3の農産物ガイド31,33の下流側端部を機枠7に支持させるための前側支持片73と後側支持片74とが設けられている。
【0056】
前記前側支持片73は、図15に示すように、第1の支持用ブラケット59を介して前記第1の支持部材25に支持されている。この第1の支持用ブラケット59は、上下方向に延びる状態で前記第1の支持部材25の上面に固定されている。第1の支持用ブラケット59の上端部には、農産物皮剥き装置1の後側(図15においては左側)に向けて開放される溝75が形成されるように板部材76が溶接されている。前記溝75は、前記前側支持片73が装置後側から着脱自在に嵌合できるように形成されている。溝75は、前側支持片73が農産物皮剥き装置1の前側へ移動することを規制している。なお、この溝75を有する支持部分は、図14(A)に示すように、前記前側支持片73と後述する他の前側支持片77とを搬送方向に並べて支持できるように形成されている。他の前側支持片77は、第2、第4の農産物ガイド32,34の上流側端部に位置する第2のガイド板78に設けられている。
【0057】
前記後側支持片74は、図15に示すように、第2の支持用ブラケット60を介して前記第1の支持部材25に支持されている。第2の支持用ブラケット60は、角筒状に形成されており、第1の支持部材25の上面に固定されている。前記後側支持片74は、前記第2の支持用ブラケット60の上面に載せられて支持されている。第2の支持用ブラケット60の上面には、前記後側支持片74が農産物皮剥き装置1の後側へ移動することを規制するためにストッパー片79が設けられている。すなわち、第1の農産物ガイド31と第3の農産物ガイド33の下流側端部は、皮剥き作業中に農産物5が第1、第3の農産物ガイド31,33に強く当たったとしても、農産物皮剥き装置1の前後方向へ移動することはない。
【0058】
第1の農産物ガイド31と第3の農産物ガイド33の上流側端部は、詳細には図示してはいないが、前後方向へ移動することができないように、前記機枠7の上流側脚部21に載せられている。前記ストッパー片79を有する支持部分は、図14(A)に示すように、前記後側支持片74と後述する他の後側支持片80とを搬送方向に並べて支持できるように形成されている。他の後側支持片80は、第2、第4の農産物ガイド32,34の上流側端部に位置する第2のガイド板78に設けられている。
【0059】
第2のドラム部材12の上方に位置する第2の農産物ガイド32と、第4のドラム部材14の上方に位置する第4の農産物ガイド34とは、それぞれ上下方向と搬送方向とに延びる板状に形成されており、図14(A)に示すように、第2のガイド板78と排出用シュート81とによって互いに接続されている。すなわち、第2の農産物ガイド32と第4の農産物ガイド34は、一つの組立体として形成されている。この組立体は、第2のガイド板78が前記第1のガイド板72と搬送方向に一列に並ぶ状態で機枠7に支持されている。
【0060】
前記第2のガイド板78は、上述した第1のガイド板72と同じ構造となるように形成されており、前側支持片77と後側支持片80とを備えている。第2のガイド板78は、第1のガイド板72と同一の支持構造によって第1の支持部材25に着脱自在に支持されている。すなわち、第2のガイド板78の前側支持片77は、前記第1の支持用ブラケット59の上端部に形成された溝75に嵌合させられている。後側支持片80は、前記第2の支持用ブラケット60に載せられている。第2の支持用ブラケット60には、図15に示すように、第2の搬送路6B側の第1、第2の農産物ガイド31,32に設けられている前側支持片73,77を支持するための溝75と板部材76とが設けられている。第2の搬送路6B側の第3、第4の農産物ガイド31,34に設けられている後側支持片74,80は、図14(A)に示すように、第1の支持部材25の後端部に設けられた第3の支持用ブラケット61に支持されている。
【0061】
前記排出用シュート81は、図14(B),(D)に示すように、第2、第4の農産物ガイド32,34から搬送方向の下流側に向かうにしたがって次第に下に延びるように形成されている。排出用シュート81の下流側の端部は、図5に示すように、前記下流側脚部22の農産物出口22aに上方から挿入されている。排出用シュート81の下端部は、詳細に図示してはいないが、機枠7の下流側脚部22の上に前後方向へ移動することができないように載せられている。すなわち、第2、第4の農産物ガイド32,34は、上述した第1、第3の農産物ガイド31,33と同様に、農産物皮剥き装置1の前後方向に移動することができないように機枠7に支持されている。
【0062】
第1、第3の農産物ガイド31,33を有する組立体と、第2、第4の農産物ガイド32,34を有する組立体とを機枠7から外すためには、先ず、これらの組立体の装置後側を僅かに上方に持ち上げる。このように装置後側を持ち上げることによって、後側支持片74,80がストッパー片79より高い位置に上昇する。次に、前側支持片73,77が前記溝75から後側に出るように、前記組立体を僅かに装置後側に移動させる。このように前側支持片73,77が溝75から出た状態で前記組立体を上方に持ち上げることによって、前記組立体が機枠7から外れる。
【0063】
前記蓋体35は、図17および図18に示すように、下方に向けて開放する箱状に形成されており、後述する搬送装置82と天井壁83とを備えている。
蓋体35における搬送方向の上流側の側壁35aには、図4に示すように、農産物5を投入するための農産物入口35bが形成されている。この農産物入口35bには、前記第1、第3の農産物ガイド31,33の上流側端部と前記投入用シュート71とが挿入されている。
【0064】
蓋体35における搬送方向の下流側の側壁35cは、図5に示すように、前記第2、第4の農産物ガイド32,34の下流側端部を挿入するための凹部35dが形成されている。また、前記側壁35cには、図5に示すように、蓋体35を開いた状態で支える支柱84が設けられている。
蓋体35の装置後側には、図4および図5に示すように、蓋体35を回動自在に支持する前記ヒンジ機構36と、ダンパー装置85とが設けられている。ダンパー装置85は、蓋体35の開閉を緩やかに行うことができるようにするためのものである。
【0065】
前記搬送装置82は、農産物5を第1、第2の搬送路6A,6Bの上流端から下流端へ送るためのものである。この実施の形態による搬送装置82は、第1、第2の搬送路6A,6B内に上方から挿入された複数の可動隔壁86と、これらの可動隔壁を平行移動させる移動機構87とを備えている。
可動隔壁86は、図19に示すように、第1、第2の搬送路6A,6Bを搬送方向の上流側と下流側とに分けることができるように、搬送路6の断面形状に倣うような形状に形成されている。また、この可動隔壁86は、第1、第2の搬送路6A,6Bを搬送方向において複数の搬送領域に分けることができるように、搬送方向に一定の間隔をおいて並べて設けられている。各可動隔壁86は、後述する移動機構87に支持されている。
【0066】
移動機構87は、図18に示すように、無端チェーン88(以下、単にチェーンという)を回転させる構成が採られている。
チェーン88は、図19に示すように、農産物皮剥き装置1の前側と後側とにそれぞれ設けられている。これらのチェーン88は、図17に示すように、搬送方向の上流端と下流端とに位置するスプロケット89,90に巻き掛けられて第1、第2の搬送路6A,6Bより高い位置に位置付けられている。各スプロケット89,90の軸線方向は、農産物皮剥き装置1の前後方向となる水平方向を指向している。
【0067】
これらのスプロケット89,90は、図17に示すように、搬送方向の上流側に位置する第1の支軸91と、下流側に位置する第2の支軸92とに取付けられており、これらの第1、第2の支軸91,92を介して蓋体35の前壁35eと後壁35fとに回転自在に支持されている。
搬送方向の下流側に位置する第2の支軸92は、搬送用モータ93が接続されており、このモータ93の動力で回転する。この搬送用モータ93は、蓋体35の後壁35fに支持されている。また、この搬送用モータ93は、制御装置52(図21参照)に接続されている。この制御装置52は、図21に示すように、前記搬送用モータ93と上述したドラム駆動用モータ48の作動、停止の切替えを行うモータ給電制御部94と、各モータ48,93の回転速度を変える速度制御部95とを備えている。また、制御装置52には、作業者が操作するための操作盤96が接続されている。操作盤96は、図示してはいないが、農産物皮剥き装置1の起動、停止や各モータの作動、停止を切替えるための操作子と、ドラム駆動用モータ48の回転速度を変更するための操作子などを備えている。
【0068】
前記2本のチェーン88,88には、農産物皮剥き装置1の前後方向に延びる複数の支持部材97が取付けられている。これらの支持部材97は、チェーン88の長手方向に一定間隔で並べられている。前記可動隔壁86は、この支持部材97に取付けられている。
この実施の形態による搬送装置82は、図20に示すように、前記チェーン88の内側で搬送方向に延びる内側ガイド板98と、チェーン88の外側で搬送方向に延びる外側ガイド板99とを備えている。前記内側ガイド板98は、チェーン88の内側を貫通する状態で蓋体35内を前後方向に横切る複数のパイプ100に支持されている。このパイプ100における第1の搬送路6Aと対向する部位と、第2の搬送路6Bと対向する部位とには、これらの搬送路6の上壁を構成する天井壁83が設けられている。この実施の形態による天井壁83は、多数のロッド101によって構成されている。
【0069】
これらのロッド101は、ステンレス鋼製の丸棒によって形成されており、前記パイプ99にそれぞれ溶接されている。また、これらのロッド101は、図17に示すように、長手方向が搬送方向と平行になる状態で農産物皮剥き装置1の前後方向(搬送路6の幅方向)に所定の間隔をおいて並べられている。各ロッド101の長さは、一端が第1、第2の搬送路6A,6Bの上流端の近傍に位置し、他端が第1、第2の搬送路6A,6Bの下流端の近傍に位置するような長さに形成されている。
【0070】
前記外側ガイド板99は、図20に示すように、蓋体35の前壁35eと後壁35fとに支柱102を介して支持されている。2本のチェーン88のうち装置後側に位置するチェーン88の上に配置された外側ガイド板99には、前記支持部材97を検出するための第1のセンサ103が取付けられている。第1のセンサ103は、支持部材97が下方を通過したときに制御装置52に検出信号を送出する。この第1のセンサ103の位置は、図18に示すように、可動隔壁86が第1、第2の搬送路6A,6Bの農産物供給部(投入用シュート71の上方近傍)に達したときに搬送路6の上方に位置する前記支持部材97が検出されるような位置である。すなわち、第1のセンサ103は、可動隔壁86が投入用シュート71の上方近傍を通過するときに検出信号を制御装置52に送る。
【0071】
制御装置52は、図21に示すように、上述したモータ給電制御部94および速度制御部95の他に供給装置制御部104を備えている。供給装置制御部104は、前記第1のセンサ103から検出信号が送られたときに後述する農産物供給装置17の供給動作を開始させる。また、供給装置制御部104は、後述する第2のセンサ103から検出信号が送られたときに農産物供給装置17の供給動作を停止させるように構成されている。
【0072】
農産物供給装置17は、図2および図3に示すように、農産物5が溜められる貯留槽111と、この貯留槽111から農産物5を取り出すコンベア112とを備えている。コンベア112は、いわゆる傾斜コンベアで、一対の側壁113,114の間を斜めに上昇する多数の支持板115を備えている。コンベア112の上端部には、農産物5を供給するためのシュート116が設けられている。このシュート116は、前記蓋体35の農産物入口35bに農産物5が入るように形成されている。
【0073】
この農産物供給装置17における支持板115が下降する領域には、前記第2のセンサ105が設けられている。この第2のセンサは、光電式のもので、光路を支持板115が遮ったときに検出信号を制御装置52に送るように構成されている。この第2のセンサ105の位置は、図2に示すように、支持板115に載せられた農産物5がコンベア112の上端に達したときに下方に位置する他の支持板115が検出される位置に設定されている。
【0074】
第2のセンサ105が支持板115を検出すると、制御装置52の供給装置制御部104が農産物供給装置17の供給動作を停止させる。このため、農産物供給装置17は、常にコンベア112の上端部で農産物5を保持する状態で停止する。また、農産物供給装置17は、前記可動隔壁86が投入用シュート71に接近して第1のセンサ103が支持部材97を検出したときに、制御装置52による制御によって供給動作を開始する。農産物供給装置17が供給動作を開始すると、農産物5がコンベア112の上端部から供給用シュート116に送り出され、蓋体35の農産物入口35bに入る。
【0075】
このように構成された農産物皮剥き装置1において、農産物5は、農産物供給装置17によって農産物入口35bに送られ、第1、第2の搬送路6A,6Bに投入される。この農産物5は、第1のドラム部材11と第3のドラム部材13とによって回転させられながら跳ね上げられる。農産物5の皮は、このように農産物5が激しく第1、第3のドラム部材11,13に擦り付けられることによって剥かれる。剥かれた皮の大部分は、第1のドラム部材11と第3のドラム部材13との間からダクト37の中を通って下方に落下し、下方の回収箱に溜められる。
【0076】
また、この農産物5は、可動隔壁86によって搬送方向の下流側に向けて押され、第1、第3のドラム部材11,13の上から第1、第2のガイド板72,78の上を通過して第2、第4のドラム部材12,14の上に移動する。第1、第2のガイド板72,78は、第1〜第4のドラム部材11〜14の外周壁11a〜14aに倣う形状に形成され、搬送路6の底の一部を構成している。
【0077】
このため、農産物5が第1、第2のガイド板72,78の上を通過するときにこれらのガイド板72,78に当たったとしても、農産物5は回転する状態を保ち易い。言い換えれば、農産物5が第1、第3のドラム部材11,13側から第2、第4のドラム部材12,14側へ移るときに失われるエネルギーを少なく抑えることができる。この結果、皮剥き用ドラム2が第1、第2のドラム部材11,12に分割され、跳ね上げ用ドラム3が第3、第4のドラム部材13,14に分割されているにもかかわらず、高い生産性を維持することができる。
【0078】
第1、第2のガイド板72,78を越えて第2、第4のドラム部材12,14側に移動した農産物5は、第2、第4のドラム部材12,14の上でも前記同様に跳ね回る。そして、農産物5は、皮が剥かれながら可動隔壁86によって押されて排出用シュート81から機枠7の外に排出される。このときに剥かれた皮の大部分は、第2のドラム部材12と第4のドラム部材14との間からダクト37を通って下方に落下し、下方の回収箱に溜められる。
【0079】
この実施の形態による農産物皮剥き装置1において、皮剥き用ドラム2と跳ね上げ用ドラム3を機枠7に対して着脱させる作業は、蓋体35を開いて全ての農産物ガイドを機枠7から取外した状態で行う。前記両ドラム2,3を機枠7から取外すためには、先ず、機枠7の第1の支持部材25と第2の支持部材26とから第1のホルダー57と第2のホルダー65とを取外す。そして、第2、第4のドラム部材12,14のソケット45を第1、第3のドラム部材11,13の第1の軸53から引いて外し、第2、第4のドラム部材12,14を機枠7の外に取出す。
【0080】
次に、第1、第3のドラム部材11,13のソケット45をモータ48の出力軸48aから引いて外し、第1、第3のドラム部材11,13を機枠7の外に取出す。第1、第2のホルダー57,65を外した後に第1〜第4のドラム部材11〜14を取外す作業は、工具を使用することなく行うことができる。第1〜第4のドラム部材11〜14を機枠7に組み付けるときは、上記とは逆の手順で行う。
【0081】
したがって、この実施の形態においても皮剥き用ドラム2と跳ね上げ用ドラム3の着脱作業をそれぞれ複数回に分けて行うことができるから、作業者の負担を軽減することができる。また、搬送路6A,6Bの上流側に位置する第1、第3のドラム部材11,13が著しく摩耗した場合は、これらの第1、第3のドラム部材11,13のみを交換することができる。
したがって、この実施の形態においても、図1に示す形態と同等の効果を奏する農産物皮剥き装置を提供することができる。
【0082】
この実施の形態による農産物皮剥き装置1は、皮剥き用ドラム2と跳ね上げ用ドラム3の上方近傍でこれらのドラム2,3と平行に延びて前記搬送路6の側壁を構成する第1〜第4の農産物ガイド31〜34を備えている。これらの第1〜第4の農産物ガイド31〜34は、前記機枠7に着脱自在に支持されている。また、これらの第1〜第4の農産物ガイド31〜34は、分割された第1、第2のドラム部材11,12どうしの間と、第3、第4のドラム部材13,14どうしの間とにおいて、それぞれ前記搬送路6A,6Bの底の一部を構成する第1、第2のガイド板72,78を備えている。このように構成された農産物皮剥き装置1において、前記第1、第2のガイド板72,78は、搬送路6A,6Bの上流側に位置する第1、第3のドラム部材11,13と、搬送路6A,6Bの下流側に位置する第2、第4のドラム部材12,14との間に形成される隙間に農産物5が落下することを防ぐ。また、第1、第2のガイド板72,78が搬送路6A,6Bの底の一部を構成しているから、第1、第2のガイド板72,78に当たった農産物5の回転が弱くなり難い。
【0083】
このため、この実施の形態による農産物皮剥き装置1においては、ドラム2,3が第1〜第4のドラム部材11〜14に分割されているにもかかわらず、農産物5を搬送路6A,6Bの上流端から下流端に円滑に送ることができる。したがって、この実施の形態によれば、生産性が高い農産物皮剥き装置を提供することができる。
【0084】
この実施の形態による前記機枠7は、前記搬送路6A,6Bが上方に向けて開放されるように箱状に形成され、かつ前記搬送路6A,6Bの上方を開閉する蓋体35を備えている。前記蓋体35は、前記機枠7の上端部に上下方向へ回動自在に支持され、かつ農産物5を搬送路6A,6Bの上流端から下流端へ送る搬送装置82を備えている。前記搬送装置82は、前記搬送路6を搬送方向において複数の搬送領域に分ける複数の可動隔壁86と、これらの可動隔壁86を搬送方向の上流側から下流側に向けて移動させる移動機構87とを備えている。このように構成された農産物皮剥き装置1において、搬送路6A,6Bは、蓋体35を開くことによって上方に向けて開放される。このため、農産物5を送る搬送装置82を装備しているにもかかわらず、上述した第1〜第4のドラム部材11〜14を機枠7に対して着脱させる作業を容易に行うことができる。
【0085】
この実施の形態による前記搬送装置82の移動機構87は、搬送方向に延びるチェーン88によって前記可動隔壁86を移動させるものである。前記チェーン88は、スプロケット89,90の軸線が水平方向を指向する状態で前記搬送路6A,6Bより高い位置に位置付けられている。また、前記蓋体35における前記搬送路6A,6Bと対向する部位には、前記搬送路6の上壁を構成する天井壁83が設けられている。この天井壁83は、多数のロッド101によって形成されている。この天井壁83は、側方から見て前記チェーン88の内側に位置付けられている。このように構成された農産物皮剥き装置1においては、農産物5が上方に飛散することを天井壁83によって規制することができる。この天井壁83は多数のロッド101によって形成されているから、放水された水を通すことができるものである。このため、この実施の形態によれば、搬送装置82および蓋体35の内側を放水作業によって容易に清掃することが可能な農産物皮剥き装置1を提供することができる。
【0086】
この実施の形態による農産物皮剥き装置1は、前記搬送路6A,6Bの農産物供給部に農産物5を供給する農産物供給装置17を備えている。また、この農産物皮剥き装置1は、前記可動隔壁86の位置に基づいて前記農産物供給装置17の作動、停止を切り替える制御装置52を備えている。前記制御装置52は、前記可動隔壁86が前記農産物供給部を通過した後に前記農産物供給装置17を作動させ、次の可動隔壁86が農産物供給部に達する以前に農産物供給装置17を停止させる。このように構成された農産物皮剥き装置1においては、可動隔壁86と搬送路6A,6Bの底壁(投入用シュート71)との間に農産物5が挟まれることを確実に防ぐことができ、しかも、搬送路6A,6Bに供給される農産物5の量を皮剥きに適した量に制限することができる。したがって、この実施の形態によれば、供給された全ての農産物5の皮を高い品質となるように剥くことが可能な農産物皮剥き装置を提供することができる。
【0087】
この実施の形態による跳ね上げ用ドラム3の第2の穴16は、跳ね上げ用ドラム3の外周壁13a,14aを貫通する第1の長穴43と第2の長穴44とによって構成されている。前記第1の長穴43と第2の長穴44とは、跳ね上げ用ドラム3の軸線方向に間隔Dをおいて交互に並ぶとともに、それぞれ跳ね上げ用ドラム3の回転方向に間隔Eをおいて並ぶように多数形成されている。また、第1の長穴43の穴形状と第2の長穴44の穴形状は互いに異なった形状である。このように構成された農産物皮剥き装置1において、第1の長穴43の開口縁に当たった農産物5と、第2の長穴44の開口縁に当たった農産物5とは、互いに異なる方向に跳ね上がるようになる。このため、この実施の形態によれば、農産物5の跳ねる方向が不規則になり易く、多くの方向から農産物5の皮が剥かれるようになるから、農産物5の皮を残すことなく剥くことが可能な農産物皮剥き装置を提供することができる。
【0088】
この実施の形態による前記第1の長穴43の穴形状は、前記跳ね上げ用ドラム3の回転方向の前方に向かうにしたがって次第に農産物5の搬送方向の下流側に延びる長円である。前記第2の長穴44の穴形状は、前記跳ね上げ用ドラム3の回転方向の前方に向かうにしたがって次第に農産物5の搬送方向の上流側に延びる長円である。このため、この実施の形態によれば、第1の長穴43および第2の長穴44を打ち抜き加工によって形成することができるから、跳ね上げ用ドラム3を備えているにもかかわらず製造コストが低い農産物皮剥き装置を提供することができる。
【0089】
この実施の形態による第1の長穴43と第2の長穴44の開口面積は、前記皮剥き用ドラム2の第1の穴15の開口面積より大きく形成されている。この実施の形態によれば、跳ね上げ用ドラム3によって跳ね上げられた農産物5の高さと、皮剥き用ドラム2によって跳ね上げられた農産物5の高さとに差が生じ易くなる。このため、この実施の形態によれば、農産物5の跳ねる方向と高さとが不規則になり易いから、農産物5の皮をより一層確実に剥くことが可能な農産物皮剥き装置1を提供することができる。
【0090】
(第2の実施の形態)
皮剥き用ドラム2の第1の穴15と、跳ね上げ用ドラム3の第2の穴16は、図22に示すように、搬送方向の上流側と下流側で開口面積が異なるように形成することができる。図22において、前記図1〜図21によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
図22に示す第1のドラム部材11の第1の穴15の開口面積は、第2のドラム部材12の第1の穴15の開口面積より大きくなるように形成されている。
また、図22に示す第3のドラム部材13の第2の穴16の開口面積は、第4のドラム部材14の第2の穴16の開口面積より大きくなるように形成されている。
【0091】
第1、第2の穴15,16の開口面積が相対的に大きく形成された第1、第3のドラム部材13は、農産物5を相対的に大きく跳ね上げ、また、農産物5の皮を相対的に粗く削るものとなる。このため、この実施の形態を採る農産物皮剥き装置においては、農産物5の皮が搬送路6の上流側で粗く剥かれた後に下流側で細かく剥かれるようになる。したがって、この実施の形態によれば、剥き上がり後の農産物の品質が高くなる農産物皮剥き装置を提供することができる。
【0092】
(第3の実施の形態)
跳ね上げ用ドラムの第2の穴の穴形状は、図23(A)〜(C)に示すように形成することができる。
図23(A)に示す第2の穴16aは、1種類の長円によって形成されている。この長円は、跳ね上げ用ドラム3の回転方向Bの前方に向かうにしたがって次第にドラムの軸線方向Aの一方(農産物5の搬送方向の下流側または上流側)に延びるように形成されている。また、この第2の穴16aは、軸線方向Aと前記回転方向Bとの両方に所定の間隔をおいて並べられている。
【0093】
図23(B)に示す第2の穴16bは、長円を交差させたようなX字状に形成されている。図23(C)は、長円を交差させてなるX字状の第2の穴16bと、長円を交差させてなる+字状の第2の穴16cとが交互に並べられている例を示している。これらの第2の穴16b,16cは、軸線方向Aと前記回転方向Bとの両方に所定の間隔をおいて並べられている。なお、皮剥き用ドラム2の第1の穴15の穴形状と、跳ね上げ用ドラム3の第2の穴16の穴形状は、上述した形状に限定されることはなく、適宜変更することができる。たとえば、第1の穴15と第2の穴16の穴形状は、上述した形状の他に、長方形、菱形、円形、台形などの形状に形成することができるし、一つのドラムに複数種類の形状の穴を形成することもできる。
【符号の説明】
【0094】
1…農産物皮剥き装置、2…皮剥き用ドラム、3…跳ね上げ用ドラム、5…農産物、6…搬送路、6A…第1の搬送路、6B…第2の搬送路、7…機枠、11…第1のドラム部材、12…第2のドラム部材、13…第3のドラム部材、14…第4のドラム部材、11a〜14a…外周壁、15…第1の穴、16、16a〜16c…第2の穴、17…農産物供給装置、31…第1の農産物ガイド、32…第2の農産物ガイド、33…第3の農産物ガイド、34…第4の農産物ガイド、35…蓋体、48…ドラム駆動用モータ、43…第1の長穴、44…第2の長穴44、52…制御装置、72…第1のガイド板、78…第2のガイド板、82…搬送装置、86…可動隔壁、87…移動機構、88…無端チェーン、89,90…スプロケット、83…天井壁、101…ロッド、104…供給装置制御部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、2本の平行なドラムを使用して農産物の皮を剥く農産物皮剥き装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の農産物皮剥き装置としては、例えば特許文献1に記載されているものがある。特許文献1に開示された農産物皮剥き装置は、一対の円筒体からなる回転体の上で農産物を転がし、回転体に農産物が擦り付けられることによって皮を剥くものである。前記一対の回転体は、農産物を水平方向に送る搬送路の底を構成するように、互いに平行に並ぶ状態で機枠に回転自在に支持されている。これらの回転体には、農産物の皮を剥くための多数の穴と、農産物を跳ね上げるための多数の弾性体からなる突起とが設けられている。
【0003】
前記搬送路に投入された農産物は、一対の回転体によって回転させられるとともに、前記突起によって跳ね上げられる。この農産物の皮は、上述したように農産物が一対の回転体の上で飛び跳ねながら回転することによって、前記穴の開口縁に接触して剥ける。
前記回転体は、皮剥き作業が終了した後に機枠から取外されて清掃される。また、回転体は、長期間にわたる使用によって摩耗した場合は、新しいものと交換される。回転体の摩耗は、搬送路の上流側ほど著しく生じる。この理由は、農産物に泥や小石が付着していることがあるからである。すなわち、回転体の前記上流部に位置する外周壁や前記突起が泥や小石に当たることによって、これらの部材の摩耗が促進されるからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−51212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来の農産物皮剥き装置は、下記の二つの問題があった。第1の問題は、回転体の清掃や交換などを行うメンテナンス時に作業者の負担が大きくなるという問題である。回転体は、重量が嵩むものである。すなわち、このような重い回転体を機枠に対して着脱させる作業は、作業者に大きな負担を強いる作業であった。
【0006】
第2の問題は、回転体における搬送方向上流側の部位において摩耗が進み易いことが原因で生じる。すなわち、回転体の搬送方向下流側の部位がほとんど摩耗していないにもかかわらず、この部位が搬送方向上流側の部位ともに交換されてしまうという問題があった。このような場合は、回転体における搬送方向下流側に位置する使用可能な部分が不必要に交換されることになる。
【0007】
本発明はこのような問題を解消するためになされたもので、メンテナンスを容易に行うことができるとともに、回転体の交換を要する部分のみを交換可能な農産物皮剥き装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本発明に係る農産物皮剥き装置は、農産物が水平方向に送られる谷状の搬送路を構成するように互いに平行に並べられ、機枠に回転自在かつ着脱可能に支持された一対のドラムと、前記各ドラムにおける前記搬送路の底部を構成する部位が上方に移動する方向に前記両ドラムを回転させる駆動装置とを備え、前記一対のドラムは、外周壁に多数の第1の穴が形成されて主に前記農産物の皮を剥く機能を有する皮剥き用ドラムと、外周壁に多数の第2の穴が形成されて主に前記農産物を跳ね上げる機能を有する跳ね上げ用ドラムとからなり、前記皮剥き用ドラムと跳ね上げ用ドラムのうち少なくともいずれか一方のドラムは、軸線方向に並ぶ複数のドラム部材に分割され、これらのドラム部材は、互いに着脱可能かつ回転を伝達可能に連結されていることを特徴とするものである。
【0009】
本発明は、前記発明において、前記ドラムの上方近傍でドラムと平行に延びて前記搬送路の側壁を構成する農産物ガイドを更に備え、前記農産物ガイドは、前記機枠に着脱自在に支持されるとともに、分割された前記ドラム部材どうしの間において前記搬送路の底の一部を構成するガイド板を備えていることを特徴とするものである。
【0010】
本発明は、前記発明において、前記機枠は、前記搬送路が上方に向けて開放されるように箱状に形成され、かつ前記搬送路の上方を開閉する蓋体を備え、前記蓋体は、前記機枠の上端部に回動可能に支持され、かつ前記搬送路を搬送方向において複数の搬送領域に分ける複数の可動隔壁と、これらの可動隔壁を搬送方向の上流側から下流側に向けて移動させる移動機構とを有する搬送装置を備えていることを特徴とするものである。
【0011】
本発明は、前記発明において、前記移動機構は、前記搬送方向に延びる無端チェーンによって前記可動隔壁を移動させるものであり、前記無端チェーンは、スプロケットの軸線が水平方向を指向する状態で前記搬送路より高い位置に位置付けられ、前記蓋体における前記搬送路と対向する部位には、前記搬送路の上壁を構成する天井部材が設けられ、前記天井部材は、多数のロッドを農作物の搬送方向に延びる状態で前記搬送路の幅方向に所定の間隔をおいて並べることによって形成され、かつ側方から見て前記無端チェーンの内側に位置付けられていることを特徴とするものである。
【0012】
本発明は、前記発明において、前記搬送路の上流部に設けられた農産物供給部に農産物を供給する農産物供給装置と、前記可動隔壁の位置に基づいて前記農産物供給装置の作動、停止を切り替える制御装置とを更に備え、前記制御装置は、前記可動隔壁が前記農産物供給部を通過した後に前記農産物供給装置を作動させ、次の可動隔壁が農産物供給部に達する以前に前記農産物供給装置を停止させるものであることを特徴とするものである。
【0013】
本発明は、前記発明において、前記第2の穴は、前記跳ね上げ用ドラムの外周壁を貫通する第1の長穴と第2の長穴とからなり、前記第1の長穴と第2の長穴とは、跳ね上げ用ドラムの軸線方向に互いに離間して形成されるとともに、それぞれ跳ね上げ用ドラムの回転方向に所定の間隔をおいて多数形成され、第1の長穴の穴形状と第2の長穴の穴形状は互いに異なった形状であることを特徴とするものである。
【0014】
本発明は、前記発明において、前記第1の長穴の穴形状は、前記跳ね上げ用ドラムの回転方向の前方に向かうにしたがって次第に農産物の搬送方向の下流側に延びる長円であり、前記第2の長穴の穴形状は、前記跳ね上げ用ドラムの回転方向の前方に向かうにしたがって次第に農産物の搬送方向の上流側に延びる長円であることを特徴とするものである。
【0015】
本発明は、前記発明において、第1の長穴と第2の長穴の開口面積は、前記皮剥き用ドラムの第1の穴の開口面積より大きく形成されていることを特徴とするものである。
【0016】
本発明は、前記発明において、前記複数のドラム部材のうち、前記搬送路の上流側に位置するドラム部材の外周壁の穴の開口面積は、搬送路の下流側に位置するドラム部材の外周壁の穴の開口面積に較べて相対的に大きく形成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る農産物皮剥き装置において、皮剥き用ドラムや跳ね上げ用ドラムのうち、複数のドラム部材からなるドラムを機枠に対して着脱させる作業は、ドラム部材を機枠に対して順次着脱させることによって、複数回に分けて行うことができる。ドラム部材は、従来の1本の皮剥き用の回転体や跳ね上げ用の回転体に較べると、小さくかつ軽く形成することができる。このため、前記着脱作業を行う作業者の負担は、従来の回転体の着脱作業を行う場合と較べると軽減される。
【0018】
また、分割されたドラム部材は、個別に交換することができる。このため、搬送路の上流側に位置するドラム部材において交換を要するほど摩耗が進んだ場合は、摩耗が少ない下流側のドラム部材を残し、上流側のドラム部材のみを交換することができる。
したがって、この実施の形態によれば、メンテナンスを容易に行うことができるとともに、ドラムの交換を要する部分のみを交換可能な農産物皮剥き装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る農産物皮剥き装置の構成を示す斜視図である。
【図2】農産物皮剥き装置と農産物供給装置の側面図である。
【図3】農産物皮剥き装置と農産物供給装置の平面図で、同図は農産物皮剥き装置の蓋体を省略した状態で描いてある。
【図4】農産物皮剥き装置の搬送方向の上流側から見た背面図である。
【図5】農産物皮剥き装置の搬送方向の下流側から見た正面図で、同図(A)は使用状態を示し、同図(B)は蓋体を開いた状態を示す。
【図6】ドラム部分を拡大して示す平面図である。
【図7】ドラム部分を拡大して示す断面図で、同図(A)は使用状態を示し、同図(B)は各ドラム部材を機枠から外した状態を示す。
【図8】皮剥き用ドラムの外周壁の一部を拡大して示す平面図である。
【図9】跳ね上げ用ドラムの外周壁の一部を拡大して示す平面図である。
【図10】第1〜第4のドラム部材の搬送方向上流側から見た背面図である。
【図11】第1〜第4のドラム部材の搬送方向下流側から見た正面図である。
【図12】図6におけるXII-XII線断面図である。
【図13】図6におけるXIII-XIII線断面図である。
【図14】農産物ガイドを示す図で、同図(A)は平面図、同図(B)は側面図、同図(C)は第1、第3の農産物ガイドを搬送方向の上流側から見た背面図、同図(D)は第2、第4の農産物ガイドを搬送方向の下流側から見た正面図である。
【図15】第1、第3の農産物ガイドの下流部の支持構造を示す正面図である。
【図16】第1、第3の農産物ガイドの下流部の支持構造を示す斜視図である。
【図17】蓋体の平面図で、同図は蓋体の外壁部分を破断して内部を露出させた状態で描いてある。
【図18】蓋体の縦断面図である。
【図19】図17におけるXIX-XIX線断面図である。
【図20】図17におけるXX-XX線断面図である。
【図21】農産物皮剥き装置の制御系を示すブロック図である。
【図22】第1、第2の穴の他の実施の形態を示す平面図である。
【図23】第2の穴の他の実施の形態を示す平面図で、同図(A)は斜めの長円のみによって形成する例を示し、同図(B)はX字状に形成する例を示し、同図(C)はX字状と+字状とに形成する例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1の実施の形態)
先ず、本発明に係る農産物皮剥き装置の主要な構成を図1によって説明する。
図1に示す農産物皮剥き装置1は、一対のドラム2,3と、これらのドラム2,3を回転させる駆動装置4とを備えている。この農産物皮剥き装置1に用いることができる農産物は、じゃがいも、里芋、さつまいも、人参、大根、キウイフルーツ、アボガドなどである。
【0021】
前記一対のドラム2,3は、農産物5が水平方向に送られる谷状の搬送路6を構成するように互いに平行に並べられている。前記搬送路6は、農産物5が水平方向の一端側から他端側に送られるように構成されている。農産物5を送るにあたっては、搬送方向の下流側が上流側より低くなるように傾斜させたり、後述するように搬送装置を用いる。
【0022】
前記一対のドラム2,3のうち、一方のドラム2は、主に前記農産物5の皮を剥く機能を有する皮剥き用ドラムである。他方のドラム3は、主に前記農産物5を跳ね上げる機能を有する跳ね上げ用ドラムである。また、これらのドラム2,3は、機枠7に回転自在かつ着脱可能に支持されている。
【0023】
皮剥き用ドラム2は、第1のドラム部材11と第2のドラム部材12とに分割されている。これらの第1のドラム部材11と第2のドラム部材12とは、同一軸線上に位置して軸線方向に並び、互いに着脱可能かつ回転を伝達可能に連結されている。第1のドラム部材11は、第2のドラム部材12より前記搬送路6の上流側に位置している。
【0024】
跳ね上げ用ドラム3は、第3のドラム部材13と第4のドラム部材14とに分割されている。これらの第3のドラム部材13と第4のドラム部材14とは、同一軸線上に位置して軸線方向に並び、互いに着脱可能かつ回転を伝達可能に連結されている。第3のドラム部材13は、第4のドラム部材14より搬送路6の上流側に位置している。なお、本発明に係る農産物皮剥き装置は、皮剥き用ドラム2のみを複数のドラム部材に分割したり、跳ね上げ用ドラム3のみを複数のドラム部材に分割する構成を採ることができる。
【0025】
第1のドラム部材11の外周壁11aと第2のドラム部材12の外周壁12aとには、多数の第1の穴15が形成されている。第3のドラム部材13の外周壁13aと第4のドラム部材14の外周壁14aとには、多数の第2の穴16が形成されている。
この実施の形態による前記駆動装置4は、第1のドラム部材11の上流側端部と第3のドラム部材13の上流側端部とに接続されている。この駆動装置4は、第1、第3のドラム部材11,13における前記搬送路6の底部を構成する部位が上方に移動する方向にこれらドラム部材11,13を回転させる。第2のドラム部材12は、第1のドラム部材11と一体に回転し、第4のドラム部材14は、第3のドラム部材13と一体に回転する。
【0026】
このように構成された農産物皮剥き装置1を用いて農産物5の皮を剥くためには、皮剥き用ドラム2と跳ね上げ用ドラム3とが回転している状態で搬送路6に農産物5を供給することによって行う。搬送路6に供給された農産物5は、前記両ドラム2,3(第1〜第4のドラム部材11〜14)と接触することによって、強制的に回転させられる。また、この農産物5は、主に跳ね上げ用ドラム3の第2の穴16の開口縁に当たることによって、搬送路6内で跳ね上げられる。なお、農産物5が第1の穴15の開口縁に当たることによっても跳ね上げられる。しかし、農産物5は、第2の穴16の開口縁に当たったときの方が相対的に大きく跳ねる。
【0027】
このように農産物5が両ドラム2,3に当たって搬送路6内で跳ねながら回る結果、農産物5の皮が第1、第2の穴15,16の開口縁に強く擦り付けられて剥ける。農産物5の皮は、主に第1の穴15の開口縁によって剥かれる。これは、この実施の形態においては、第1の穴15の開口面積が第2の穴16の開口面積より小さく、かつ第1の穴15の数が第2の穴16の数より多いからであると考えられる。
【0028】
一方、皮剥き用ドラム2や跳ね上げ用ドラム3の清掃は、これらのドラム2,3を機枠7から取外した状態で行う。また、これらのドラム2,3は、新品と交換するときにも機枠7から取外される。これらのドラム2,3を機枠7に対して着脱させる作業は、第1〜第4のドラム部材11〜14を機枠7に対して順次着脱させることによって、複数回に分けて行うことができる。
【0029】
第1〜第4のドラム部材11〜14は、従来の1本の皮剥き用回転体や跳ね上げ用回転体に較べると、小さく、軽いものである。このため、前記着脱作業を行う作業者の負担は、従来の回転体の着脱作業を行う場合と較べると軽減される。
また、複数のドラム部材11〜14は、個別に交換することができる。このため、農産物5の搬送方向の上流側に位置する第1、第3のドラム部材11,13において交換を要するほど摩耗が進んだ場合は、この上流側の第1、第3のドラム部材11,13のみを交換することができる。
したがって、この実施の形態によれば、メンテナンスを容易に行うことができるとともに、ドラムの交換を要する部分のみを交換可能な農産物皮剥き装置1を提供することができる。
【0030】
次に、本発明に係る農産物皮剥き装置1の具体的な構成を図2〜図21によって詳細に説明する。これらの図において、前記図1によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
図2〜図5に示す農産物皮剥き装置1は、一つの機枠7の中に第1の搬送路6Aと第2の搬送路6Bとが形成されているものである。このため、皮剥き用ドラム2と跳ね上げ用ドラム3は、図3に示すように、それぞれ2組ずつ装備されている。
【0031】
また、この実施の形態による農産物皮剥き装置1は、図2に示すように、機枠7と隣接する位置に農産物供給装置17を備えている。この農産物供給装置17は、詳細な構成は後述するが、第1、第2の搬送路6A,6Bに農産物5を供給するためのものである。なお、この明細書においては、図3において下側を農産物皮剥き装置1の前側といい、図3において上側を農産物皮剥き装置1の後側という。また、図3において右側を搬送路6の上流側、搬送方向の上流側といい、同図において左側を搬送路6の下流側、搬送方向の下流側という。
【0032】
前記機枠7は、前記第1、第2の搬送路6A,6Bが上方に向けて開放されるように箱状に形成されている。この実施の形態による機枠7は、搬送路6の上流側の端部に位置する上流側脚部21と、搬送路6の下流側の端部に位置する下流側脚部22と、これらの脚部21,22の上端部どうしを接続する前側主枠部23および後側主枠部24(図3参照)とによって構成されている。上流側脚部21と下流側脚部22とは、図3に示すように、農産物皮剥き装置1の前側の端部から後側の端部まで延びるように形成されている。前記前側主枠部23は、上流側脚部21と下流側脚部22とにおける前記前側の端部どうしを接続している。前記後側主枠部24は、上流側脚部21と下流側脚部22とにおける前記後側の端部どうしを接続している。
【0033】
前記前側主枠部23と前記後側主枠部24とは、図3に示すように、前側から後側に延びる第1、第2の支持部材25,26によって互いに接続されている。
機枠7の上部には、図3〜図5に示すように、第1〜第4の農産物ガイド31〜34(4個分)が載せられている。これらの農産物ガイド31〜34は、詳細な構成は後述するが、皮剥き用ドラム2と跳ね上げ用ドラム3の上方近傍でこれらのドラムと平行に延びて前記第1、第2の搬送路6A,6Bの側壁を構成するものである。
【0034】
この実施の形態による機枠7は、前記第1、第2の搬送路6A,6Bの上方を開閉する蓋体35(図2、図4および図5参照)を備えている。なお、図3は、蓋体35を省略して描いてある。蓋体35は、詳細な構成は後述するが、機枠7の上端部であって農産物皮剥き装置1の後側の端部にヒンジ機構36を介して上下方向に回動自在に支持されている。
【0035】
さらに、機枠7における第1、第2の搬送路6A,6Bの下方の部位には、剥かれた農産物5の皮を下方に導くためのダクト37が設けられている。農産物5から剥かれた皮は、ダクト37の中を通って落下し、第1、第2の搬送路6A,6Bの下方に置かれた回収箱(図示せず)の中に溜められる。
この実施の形態による農産物皮剥き装置1を構成する機枠7、第1〜第4の農産物ガイド31〜34、蓋体35、ダクト37などの部材は、それぞれステンレス綱によって形成されている。
【0036】
この実施の形態による皮剥き用ドラム2と跳ね上げ用ドラム3は、図6に示すように、農産物皮剥き装置1の前後方向(図6においては上下方向)に2つずつ装備されている。すなわち、この実施の形態による農産物皮剥き装置1には、二つの搬送路6A,6Bが形成されている。なお、図6は、第1〜第4の農産物ガイドを省略した状態で描いてある。第1の搬送路6Aを構成する皮剥き用ドラム2と、第2の搬送路6Bを構成する皮剥き用ドラム2とは、同一のものである。また、第1の搬送路6Aを構成する跳ね上げ用ドラム3と、第2の搬送路6Bを構成する跳ね上げ用ドラム3とは、同一のものである。このため、以下においては、第1の搬送路6Aを構成するドラム2,3について説明し、第2の搬送路6Bを構成するドラム2,3については、同一符号を付し、詳細な説明は適宜省略する。
【0037】
皮剥き用ドラム2は、図1に示したものと同様に、第1のドラム部材11と第2のドラム部材12とに分割されている。跳ね上げ用ドラム3は、第3のドラム部材13と第4のドラム部材14とに分割されている。
これらのドラム部材11〜14は、図7に示すように、それぞれ円筒からなる外周壁11a〜14aと、この外周壁の軸線方向の両端部に取付けられたフランジ41,42とによって構成されている。第1のドラム部材11と第3のドラム部材13とは、外周壁11a,13aに形成されている第1、第2の穴15,16の形状が異なる以外は同一となるように形成されている。また、第2のドラム部材12と第4のドラム部材14とは、外周壁12a,14aに形成されている第1、第2の穴15,16の形状が異なる以外は同一となるように形成されている。
【0038】
第1、第2のドラム部材11,12の外周壁11a,12aに形成された第1の穴15は、図8に示すように、穴形状が正方形となるように形成されている。この第1の穴15は、第1、第2のドラム部材12の外周壁11a,12aを厚み方向に貫通するように形成されている。この実施の形態による第1の穴15は、前記正方形の四辺が第1、第2のドラム部材12の軸線方向Aと回転方向Bとの両方に対して角度α(約45度)で傾斜するように形成されている。第1の穴15は、前記正方形の四辺のうち、互いに対向する2つの辺が並ぶ方向に隙間Cをおいて並べられている。
【0039】
第3、第4のドラム部材13,14の外周壁13a,14aに形成された第2の穴16は、図9に示すように、互いに異なる穴形状の第1の長穴43と第2の長穴44とから構成されている。第1の長穴43と第2の長穴44とは、詳細な構成は後述するが、農産物5の搬送方向に対称な形状に形成されている。これらの第1、第2の長穴43,44は、第3、第4のドラム部材13,14の外周壁13a,14aを厚み方向に貫通するように形成されている。
【0040】
第1、第2の長穴43,44と上述した第1の穴15は、前記外周壁11a〜14aの母材(図示せず)に)打ち抜き加工を施すことによって形成されている。これらの穴を打ち抜く方向は、外周壁11a〜14aの外周面側から行っている。なお、これらの穴を打ち抜く方向は、上記とは逆方向でもよい。
第1、第2の長穴43,44は、第3、第4のドラム部材13,14の軸線方向Aに隙間Dをおいて交互に並ぶように形成されている。また、第1、第2の長穴43,44は、それぞれ第3、第4のドラム部材13,14の回転方向Bに間隔Eで並ぶように形成されている。
【0041】
第1の長穴43の穴形状は、前記回転方向Bの前方(図9においては上側)に向かうにしたがって次第に農産物5の搬送方向の下流側(図9においては左側)に延びる長円である。第2の長穴44の穴形状は、前記回転方向Bの前方に向かうにしたがって次第に農産物5の搬送方向の上流側(図9においては右側)に延びる長円である。これらの第1の長穴43と第2の長穴44の開口面積は、第1、第2のドラム部材11,12の第1の穴15の開口面積より大きく形成されている。また、第1、第2の長穴の長手方向の長さは、たとえばじゃがいもの皮を剥く場合は、じゃがいもの平均的な大きさの1/3以上で1/2程度以下の大きさに形成されている。
【0042】
第1〜第4のドラム部材11〜14の両端部に位置するフランジ41,42うち搬送方向の上流側に位置する上流側フランジ41は、図7および図10に示すように、ソケット45を備えている。ソケット45は、円板状を呈する上流側フランジ41の軸心部に固定されている。このソケット45の軸心部には、クッションゴム46が設けられている。クッションゴム46には、開口形状が四角形の貫通穴47が形成されている。
前記ソケット45は、駆動力を伝達するためのものである。第1、第3のドラム部材11,13に設けられている上流側フランジ41のソケット45は、図7に示すように、ドラム駆動用モータ48の出力軸48aが接続される。ドラム駆動用モータ48は、図6に示すように、搬送方向の上流側において農産物皮剥き装置1の前後方向に並ぶ4個のドラム部材にそれぞれ接続されている。これらのドラム部材は、第1の搬送路6Aの一部を構成する第1、第3のドラム部材11,13と、第2の搬送路6Bの一部を構成する第1、第3のドラム部材11,13である。
【0043】
これらのモータ48は、各ドラム部材における搬送路6の底部を構成する部位が上方に移動する方向に各ドラム部材を回転させる。各ドラム部材が回転する方向は、図4中に矢印Rによって示す方向である。この実施の形態においては、これらのドラム駆動用モータ48によって本発明でいう「駆動装置」が構成されている。
【0044】
これらのモータ48は、図7に示すように、前記上流側脚部21の上端部に支持用プレート49を介して固定されている。この支持用プレート49には、モータ毎に第1の筒体50が取付けられている。この第1の筒体50は、各モータ48と同一軸線上に位置しており、軸受51によって前記出力軸48aを回転自在に支持している。前記出力軸48aの先端部は、前記第1の筒体50から搬送方向の下流側に突出しており、四角柱状に形成されている。
【0045】
この先端部は、前記クッションゴム46の貫通穴47に着脱自在に嵌合する形状に形成されている。すなわち、前記出力軸48aの回転は、クッションゴム46を介して第1、第3のドラム部材11,13に伝達される。モータ48は、第1のドラム部材11を搬送方向の上流側から見て反時計方向に回転させる。また、モータ48は、第3のドラム部材13を搬送方向の上流側から見て時計方向に回転させる。各モータ48の動作(作動、停止)および回転速度等は、後述する制御装置52(図21参照)によって制御される。
【0046】
第1、第3のドラム部材11,13における搬送方向下流側に位置する下流側フランジ42は、図7および図11に示すように、第1の軸53を備えている。この第1の軸53は、円板状を呈する下流側フランジの軸心部に固定されている。また、第1の軸53は、中空部を有し、下流側フランジ42の円板部分から搬送方向の下流側に延びるように形成されている。
【0047】
この第1の軸53の先端部は、中空部を有する四角柱状に形成されている。この先端部は、前記第2、第4のドラム部材12,14に設けられているクッションゴム46の貫通穴47に着脱自在に嵌合する形状に形成されている。
また、この第1の軸53の中間部分には、図7に示すように、軸受54を介して第2の筒体55が回転自在に取付けられている。第2の筒体55は、図12に示すように、機枠7の前記第1の支持部材25の上に載せられている。第2の筒体55と第1の支持部材25との接続部分には、第2の筒体55の回転を規制するためにキー56が挟み込まれている。
【0048】
また、この第2の筒体55は、第1のホルダー57(図12参照)によって上方から第1の支持部材25に押し付けられている。第1のホルダー57は、第1の支持部材25に上方から取付用ボルト58によって取付けられた取付用ブロック57aと、この取付用ブロック57aの両端部から上方に延びる一対のアーム57b,57cとによって構成されている。アーム57bは、第1のドラム部材11の第2の筒体55に上方から重なる形状に形成されている。アーム57cは、第3のドラム部材13の第2の筒体55に上方から重なる形状に形成されている。
【0049】
この第1のホルダー57で第2の筒体55を第1の支持部材25に固定することによって、第1、第3のドラム部材11,13の下流側端部と、後述する第2、第4のドラム部材14の上流側端部とが機枠7に回転自在かつ着脱可能に支持されることになる。前記第1の支持部材25には、後述する第1〜第4の農産物ガイドを支持するための第1〜第3の支持用ブラケット59〜61が取付けられている。第1の支持用ブラケット59は、第1の支持部材25の前側の端部に設けられている。第2の支持用ブラケット60は、第1の支持部材25の前後方向の中央部に設けられている。第3の支持用ブラケット61は、第1の支持部材25の後側の端部に設けられている。
【0050】
第2、第4のドラム部材12,14における搬送方向下流側に位置する下流側フランジ42は、第1、第3のドラム部材11,13の下流側フランジ42とは軸の構造が異なる以外は同等に形成されている。このため、第2,第4のドラム部材12,14の下流側フランジ42の部材は、図11中に符号に括弧を付けて示す。第2、第4のドラム部材12,14の下流側フランジ42は、第2の軸62を備えている。この第2の軸62は、円板状を呈する下流側フランジ42の軸心部に固定されている。また、第2の軸は、中空部を有し、下流側フランジ42の円板部分から搬送方向の下流側に延びるように形成されている。第2の軸62の先端部には、軸受63を介して第3の筒体64が回転自在に取付けられている。
【0051】
この第3の筒体64は、図13に示すように、機枠7の第2の支持部材26の上に載せられており、第2のホルダー65によって第2の支持部材26に固定されている。第2のホルダー65は、前記第1のホルダー57と同一のもので、取付用ブロック65aと、一対のアーム65b,65cとによって構成されている。この第2のホルダー65は、取付用ボルト66によって第2の支持部材26に上方から取付けられている。第3の筒体64と第2の支持部材26との接続部分には、第3の筒体64の回転を規制するためにキー67が挟み込まれている。この第2のホルダー65で第3の筒体64を第2の支持部材26に固定することによって、第2、第4のドラム部材12,14の下流側端部が機枠7に回転自在かつ着脱可能に支持されることになる。
【0052】
前記第1〜第4の農産物ガイド31〜34は、図14〜図16に示すように、上述した第1〜第4のドラム部材11〜14に沿って延びるように形成され、第1〜第4のドラム部材11〜14の上方近傍に配置されている。なお、図14〜図16においては、第1の搬送路6Aに設けられている第1〜第4の農産物ガイド31〜34が図示されている。しかし、第1〜第4の農産物ガイド31〜34は、第1の搬送路6Aと第2の搬送路6Bとの両方に設けられている。第2の搬送路6Bに設けられている第1〜第4の農産物ガイド31〜34は、第1の搬送路6Aに設けられている第1〜第4の農産物ガイド31〜34と同一のものである。このため、ここでは第1の搬送路6Aに設けられている第1〜第4の農産物ガイド31〜34について説明する。
【0053】
第1のドラム部材11の上方近傍に位置する第1の農産物ガイド31と、第3のドラム部材13の上方近傍に位置する第3の農産物ガイド33とは、それぞれ上方と搬送方向とに延びる板状に形成されており、図14(A)に示すように、投入用シュート71と第1のガイド板72とによって互いに接続されている。すなわち、第1の農産物ガイド31と第3の農産物ガイド33は、一つの組立体として形成されている。
【0054】
前記投入用シュート71は、後述する農産物供給装置17から供給された農産物5を第1、第2の搬送路6A,6Bの上流側端部に導くためのものである。この投入用シュート71は、図14(B),(C)に示すように、第1の農産物ガイド31と第3の農産物ガイド33の上流側端部どうしを接続している。この実施の形態においては、第1、第2の搬送路6A,6Bにおける投入用シュート71と対応する部分によって、請求項5記載の発明でいう「搬送路の農産物供給部」が構成されている。
【0055】
前記第1のガイド板72は、第1、第2の搬送路6A,6Bの底の一部を構成するものである。この第1のガイド板72は、上記の機能を実現するために、図14(A)に示すように、第1のドラム部材11の外周壁11aと第2のドラム部材12の外周壁12aとの間と、第3のドラム部材13の外周壁13aと第4のドラム部材14の外周壁14aとの間に上方から挿入されている。第1のガイド板72の断面形状は、図15に示すように、搬送方向の下流側から見て前記外周壁の上部に倣うような形状に形成されている。この第1のガイド板72における農産物皮剥き装置1の前側の端部と後側の端部とには、第1、第3の農産物ガイド31,33の下流側端部を機枠7に支持させるための前側支持片73と後側支持片74とが設けられている。
【0056】
前記前側支持片73は、図15に示すように、第1の支持用ブラケット59を介して前記第1の支持部材25に支持されている。この第1の支持用ブラケット59は、上下方向に延びる状態で前記第1の支持部材25の上面に固定されている。第1の支持用ブラケット59の上端部には、農産物皮剥き装置1の後側(図15においては左側)に向けて開放される溝75が形成されるように板部材76が溶接されている。前記溝75は、前記前側支持片73が装置後側から着脱自在に嵌合できるように形成されている。溝75は、前側支持片73が農産物皮剥き装置1の前側へ移動することを規制している。なお、この溝75を有する支持部分は、図14(A)に示すように、前記前側支持片73と後述する他の前側支持片77とを搬送方向に並べて支持できるように形成されている。他の前側支持片77は、第2、第4の農産物ガイド32,34の上流側端部に位置する第2のガイド板78に設けられている。
【0057】
前記後側支持片74は、図15に示すように、第2の支持用ブラケット60を介して前記第1の支持部材25に支持されている。第2の支持用ブラケット60は、角筒状に形成されており、第1の支持部材25の上面に固定されている。前記後側支持片74は、前記第2の支持用ブラケット60の上面に載せられて支持されている。第2の支持用ブラケット60の上面には、前記後側支持片74が農産物皮剥き装置1の後側へ移動することを規制するためにストッパー片79が設けられている。すなわち、第1の農産物ガイド31と第3の農産物ガイド33の下流側端部は、皮剥き作業中に農産物5が第1、第3の農産物ガイド31,33に強く当たったとしても、農産物皮剥き装置1の前後方向へ移動することはない。
【0058】
第1の農産物ガイド31と第3の農産物ガイド33の上流側端部は、詳細には図示してはいないが、前後方向へ移動することができないように、前記機枠7の上流側脚部21に載せられている。前記ストッパー片79を有する支持部分は、図14(A)に示すように、前記後側支持片74と後述する他の後側支持片80とを搬送方向に並べて支持できるように形成されている。他の後側支持片80は、第2、第4の農産物ガイド32,34の上流側端部に位置する第2のガイド板78に設けられている。
【0059】
第2のドラム部材12の上方に位置する第2の農産物ガイド32と、第4のドラム部材14の上方に位置する第4の農産物ガイド34とは、それぞれ上下方向と搬送方向とに延びる板状に形成されており、図14(A)に示すように、第2のガイド板78と排出用シュート81とによって互いに接続されている。すなわち、第2の農産物ガイド32と第4の農産物ガイド34は、一つの組立体として形成されている。この組立体は、第2のガイド板78が前記第1のガイド板72と搬送方向に一列に並ぶ状態で機枠7に支持されている。
【0060】
前記第2のガイド板78は、上述した第1のガイド板72と同じ構造となるように形成されており、前側支持片77と後側支持片80とを備えている。第2のガイド板78は、第1のガイド板72と同一の支持構造によって第1の支持部材25に着脱自在に支持されている。すなわち、第2のガイド板78の前側支持片77は、前記第1の支持用ブラケット59の上端部に形成された溝75に嵌合させられている。後側支持片80は、前記第2の支持用ブラケット60に載せられている。第2の支持用ブラケット60には、図15に示すように、第2の搬送路6B側の第1、第2の農産物ガイド31,32に設けられている前側支持片73,77を支持するための溝75と板部材76とが設けられている。第2の搬送路6B側の第3、第4の農産物ガイド31,34に設けられている後側支持片74,80は、図14(A)に示すように、第1の支持部材25の後端部に設けられた第3の支持用ブラケット61に支持されている。
【0061】
前記排出用シュート81は、図14(B),(D)に示すように、第2、第4の農産物ガイド32,34から搬送方向の下流側に向かうにしたがって次第に下に延びるように形成されている。排出用シュート81の下流側の端部は、図5に示すように、前記下流側脚部22の農産物出口22aに上方から挿入されている。排出用シュート81の下端部は、詳細に図示してはいないが、機枠7の下流側脚部22の上に前後方向へ移動することができないように載せられている。すなわち、第2、第4の農産物ガイド32,34は、上述した第1、第3の農産物ガイド31,33と同様に、農産物皮剥き装置1の前後方向に移動することができないように機枠7に支持されている。
【0062】
第1、第3の農産物ガイド31,33を有する組立体と、第2、第4の農産物ガイド32,34を有する組立体とを機枠7から外すためには、先ず、これらの組立体の装置後側を僅かに上方に持ち上げる。このように装置後側を持ち上げることによって、後側支持片74,80がストッパー片79より高い位置に上昇する。次に、前側支持片73,77が前記溝75から後側に出るように、前記組立体を僅かに装置後側に移動させる。このように前側支持片73,77が溝75から出た状態で前記組立体を上方に持ち上げることによって、前記組立体が機枠7から外れる。
【0063】
前記蓋体35は、図17および図18に示すように、下方に向けて開放する箱状に形成されており、後述する搬送装置82と天井壁83とを備えている。
蓋体35における搬送方向の上流側の側壁35aには、図4に示すように、農産物5を投入するための農産物入口35bが形成されている。この農産物入口35bには、前記第1、第3の農産物ガイド31,33の上流側端部と前記投入用シュート71とが挿入されている。
【0064】
蓋体35における搬送方向の下流側の側壁35cは、図5に示すように、前記第2、第4の農産物ガイド32,34の下流側端部を挿入するための凹部35dが形成されている。また、前記側壁35cには、図5に示すように、蓋体35を開いた状態で支える支柱84が設けられている。
蓋体35の装置後側には、図4および図5に示すように、蓋体35を回動自在に支持する前記ヒンジ機構36と、ダンパー装置85とが設けられている。ダンパー装置85は、蓋体35の開閉を緩やかに行うことができるようにするためのものである。
【0065】
前記搬送装置82は、農産物5を第1、第2の搬送路6A,6Bの上流端から下流端へ送るためのものである。この実施の形態による搬送装置82は、第1、第2の搬送路6A,6B内に上方から挿入された複数の可動隔壁86と、これらの可動隔壁を平行移動させる移動機構87とを備えている。
可動隔壁86は、図19に示すように、第1、第2の搬送路6A,6Bを搬送方向の上流側と下流側とに分けることができるように、搬送路6の断面形状に倣うような形状に形成されている。また、この可動隔壁86は、第1、第2の搬送路6A,6Bを搬送方向において複数の搬送領域に分けることができるように、搬送方向に一定の間隔をおいて並べて設けられている。各可動隔壁86は、後述する移動機構87に支持されている。
【0066】
移動機構87は、図18に示すように、無端チェーン88(以下、単にチェーンという)を回転させる構成が採られている。
チェーン88は、図19に示すように、農産物皮剥き装置1の前側と後側とにそれぞれ設けられている。これらのチェーン88は、図17に示すように、搬送方向の上流端と下流端とに位置するスプロケット89,90に巻き掛けられて第1、第2の搬送路6A,6Bより高い位置に位置付けられている。各スプロケット89,90の軸線方向は、農産物皮剥き装置1の前後方向となる水平方向を指向している。
【0067】
これらのスプロケット89,90は、図17に示すように、搬送方向の上流側に位置する第1の支軸91と、下流側に位置する第2の支軸92とに取付けられており、これらの第1、第2の支軸91,92を介して蓋体35の前壁35eと後壁35fとに回転自在に支持されている。
搬送方向の下流側に位置する第2の支軸92は、搬送用モータ93が接続されており、このモータ93の動力で回転する。この搬送用モータ93は、蓋体35の後壁35fに支持されている。また、この搬送用モータ93は、制御装置52(図21参照)に接続されている。この制御装置52は、図21に示すように、前記搬送用モータ93と上述したドラム駆動用モータ48の作動、停止の切替えを行うモータ給電制御部94と、各モータ48,93の回転速度を変える速度制御部95とを備えている。また、制御装置52には、作業者が操作するための操作盤96が接続されている。操作盤96は、図示してはいないが、農産物皮剥き装置1の起動、停止や各モータの作動、停止を切替えるための操作子と、ドラム駆動用モータ48の回転速度を変更するための操作子などを備えている。
【0068】
前記2本のチェーン88,88には、農産物皮剥き装置1の前後方向に延びる複数の支持部材97が取付けられている。これらの支持部材97は、チェーン88の長手方向に一定間隔で並べられている。前記可動隔壁86は、この支持部材97に取付けられている。
この実施の形態による搬送装置82は、図20に示すように、前記チェーン88の内側で搬送方向に延びる内側ガイド板98と、チェーン88の外側で搬送方向に延びる外側ガイド板99とを備えている。前記内側ガイド板98は、チェーン88の内側を貫通する状態で蓋体35内を前後方向に横切る複数のパイプ100に支持されている。このパイプ100における第1の搬送路6Aと対向する部位と、第2の搬送路6Bと対向する部位とには、これらの搬送路6の上壁を構成する天井壁83が設けられている。この実施の形態による天井壁83は、多数のロッド101によって構成されている。
【0069】
これらのロッド101は、ステンレス鋼製の丸棒によって形成されており、前記パイプ99にそれぞれ溶接されている。また、これらのロッド101は、図17に示すように、長手方向が搬送方向と平行になる状態で農産物皮剥き装置1の前後方向(搬送路6の幅方向)に所定の間隔をおいて並べられている。各ロッド101の長さは、一端が第1、第2の搬送路6A,6Bの上流端の近傍に位置し、他端が第1、第2の搬送路6A,6Bの下流端の近傍に位置するような長さに形成されている。
【0070】
前記外側ガイド板99は、図20に示すように、蓋体35の前壁35eと後壁35fとに支柱102を介して支持されている。2本のチェーン88のうち装置後側に位置するチェーン88の上に配置された外側ガイド板99には、前記支持部材97を検出するための第1のセンサ103が取付けられている。第1のセンサ103は、支持部材97が下方を通過したときに制御装置52に検出信号を送出する。この第1のセンサ103の位置は、図18に示すように、可動隔壁86が第1、第2の搬送路6A,6Bの農産物供給部(投入用シュート71の上方近傍)に達したときに搬送路6の上方に位置する前記支持部材97が検出されるような位置である。すなわち、第1のセンサ103は、可動隔壁86が投入用シュート71の上方近傍を通過するときに検出信号を制御装置52に送る。
【0071】
制御装置52は、図21に示すように、上述したモータ給電制御部94および速度制御部95の他に供給装置制御部104を備えている。供給装置制御部104は、前記第1のセンサ103から検出信号が送られたときに後述する農産物供給装置17の供給動作を開始させる。また、供給装置制御部104は、後述する第2のセンサ103から検出信号が送られたときに農産物供給装置17の供給動作を停止させるように構成されている。
【0072】
農産物供給装置17は、図2および図3に示すように、農産物5が溜められる貯留槽111と、この貯留槽111から農産物5を取り出すコンベア112とを備えている。コンベア112は、いわゆる傾斜コンベアで、一対の側壁113,114の間を斜めに上昇する多数の支持板115を備えている。コンベア112の上端部には、農産物5を供給するためのシュート116が設けられている。このシュート116は、前記蓋体35の農産物入口35bに農産物5が入るように形成されている。
【0073】
この農産物供給装置17における支持板115が下降する領域には、前記第2のセンサ105が設けられている。この第2のセンサは、光電式のもので、光路を支持板115が遮ったときに検出信号を制御装置52に送るように構成されている。この第2のセンサ105の位置は、図2に示すように、支持板115に載せられた農産物5がコンベア112の上端に達したときに下方に位置する他の支持板115が検出される位置に設定されている。
【0074】
第2のセンサ105が支持板115を検出すると、制御装置52の供給装置制御部104が農産物供給装置17の供給動作を停止させる。このため、農産物供給装置17は、常にコンベア112の上端部で農産物5を保持する状態で停止する。また、農産物供給装置17は、前記可動隔壁86が投入用シュート71に接近して第1のセンサ103が支持部材97を検出したときに、制御装置52による制御によって供給動作を開始する。農産物供給装置17が供給動作を開始すると、農産物5がコンベア112の上端部から供給用シュート116に送り出され、蓋体35の農産物入口35bに入る。
【0075】
このように構成された農産物皮剥き装置1において、農産物5は、農産物供給装置17によって農産物入口35bに送られ、第1、第2の搬送路6A,6Bに投入される。この農産物5は、第1のドラム部材11と第3のドラム部材13とによって回転させられながら跳ね上げられる。農産物5の皮は、このように農産物5が激しく第1、第3のドラム部材11,13に擦り付けられることによって剥かれる。剥かれた皮の大部分は、第1のドラム部材11と第3のドラム部材13との間からダクト37の中を通って下方に落下し、下方の回収箱に溜められる。
【0076】
また、この農産物5は、可動隔壁86によって搬送方向の下流側に向けて押され、第1、第3のドラム部材11,13の上から第1、第2のガイド板72,78の上を通過して第2、第4のドラム部材12,14の上に移動する。第1、第2のガイド板72,78は、第1〜第4のドラム部材11〜14の外周壁11a〜14aに倣う形状に形成され、搬送路6の底の一部を構成している。
【0077】
このため、農産物5が第1、第2のガイド板72,78の上を通過するときにこれらのガイド板72,78に当たったとしても、農産物5は回転する状態を保ち易い。言い換えれば、農産物5が第1、第3のドラム部材11,13側から第2、第4のドラム部材12,14側へ移るときに失われるエネルギーを少なく抑えることができる。この結果、皮剥き用ドラム2が第1、第2のドラム部材11,12に分割され、跳ね上げ用ドラム3が第3、第4のドラム部材13,14に分割されているにもかかわらず、高い生産性を維持することができる。
【0078】
第1、第2のガイド板72,78を越えて第2、第4のドラム部材12,14側に移動した農産物5は、第2、第4のドラム部材12,14の上でも前記同様に跳ね回る。そして、農産物5は、皮が剥かれながら可動隔壁86によって押されて排出用シュート81から機枠7の外に排出される。このときに剥かれた皮の大部分は、第2のドラム部材12と第4のドラム部材14との間からダクト37を通って下方に落下し、下方の回収箱に溜められる。
【0079】
この実施の形態による農産物皮剥き装置1において、皮剥き用ドラム2と跳ね上げ用ドラム3を機枠7に対して着脱させる作業は、蓋体35を開いて全ての農産物ガイドを機枠7から取外した状態で行う。前記両ドラム2,3を機枠7から取外すためには、先ず、機枠7の第1の支持部材25と第2の支持部材26とから第1のホルダー57と第2のホルダー65とを取外す。そして、第2、第4のドラム部材12,14のソケット45を第1、第3のドラム部材11,13の第1の軸53から引いて外し、第2、第4のドラム部材12,14を機枠7の外に取出す。
【0080】
次に、第1、第3のドラム部材11,13のソケット45をモータ48の出力軸48aから引いて外し、第1、第3のドラム部材11,13を機枠7の外に取出す。第1、第2のホルダー57,65を外した後に第1〜第4のドラム部材11〜14を取外す作業は、工具を使用することなく行うことができる。第1〜第4のドラム部材11〜14を機枠7に組み付けるときは、上記とは逆の手順で行う。
【0081】
したがって、この実施の形態においても皮剥き用ドラム2と跳ね上げ用ドラム3の着脱作業をそれぞれ複数回に分けて行うことができるから、作業者の負担を軽減することができる。また、搬送路6A,6Bの上流側に位置する第1、第3のドラム部材11,13が著しく摩耗した場合は、これらの第1、第3のドラム部材11,13のみを交換することができる。
したがって、この実施の形態においても、図1に示す形態と同等の効果を奏する農産物皮剥き装置を提供することができる。
【0082】
この実施の形態による農産物皮剥き装置1は、皮剥き用ドラム2と跳ね上げ用ドラム3の上方近傍でこれらのドラム2,3と平行に延びて前記搬送路6の側壁を構成する第1〜第4の農産物ガイド31〜34を備えている。これらの第1〜第4の農産物ガイド31〜34は、前記機枠7に着脱自在に支持されている。また、これらの第1〜第4の農産物ガイド31〜34は、分割された第1、第2のドラム部材11,12どうしの間と、第3、第4のドラム部材13,14どうしの間とにおいて、それぞれ前記搬送路6A,6Bの底の一部を構成する第1、第2のガイド板72,78を備えている。このように構成された農産物皮剥き装置1において、前記第1、第2のガイド板72,78は、搬送路6A,6Bの上流側に位置する第1、第3のドラム部材11,13と、搬送路6A,6Bの下流側に位置する第2、第4のドラム部材12,14との間に形成される隙間に農産物5が落下することを防ぐ。また、第1、第2のガイド板72,78が搬送路6A,6Bの底の一部を構成しているから、第1、第2のガイド板72,78に当たった農産物5の回転が弱くなり難い。
【0083】
このため、この実施の形態による農産物皮剥き装置1においては、ドラム2,3が第1〜第4のドラム部材11〜14に分割されているにもかかわらず、農産物5を搬送路6A,6Bの上流端から下流端に円滑に送ることができる。したがって、この実施の形態によれば、生産性が高い農産物皮剥き装置を提供することができる。
【0084】
この実施の形態による前記機枠7は、前記搬送路6A,6Bが上方に向けて開放されるように箱状に形成され、かつ前記搬送路6A,6Bの上方を開閉する蓋体35を備えている。前記蓋体35は、前記機枠7の上端部に上下方向へ回動自在に支持され、かつ農産物5を搬送路6A,6Bの上流端から下流端へ送る搬送装置82を備えている。前記搬送装置82は、前記搬送路6を搬送方向において複数の搬送領域に分ける複数の可動隔壁86と、これらの可動隔壁86を搬送方向の上流側から下流側に向けて移動させる移動機構87とを備えている。このように構成された農産物皮剥き装置1において、搬送路6A,6Bは、蓋体35を開くことによって上方に向けて開放される。このため、農産物5を送る搬送装置82を装備しているにもかかわらず、上述した第1〜第4のドラム部材11〜14を機枠7に対して着脱させる作業を容易に行うことができる。
【0085】
この実施の形態による前記搬送装置82の移動機構87は、搬送方向に延びるチェーン88によって前記可動隔壁86を移動させるものである。前記チェーン88は、スプロケット89,90の軸線が水平方向を指向する状態で前記搬送路6A,6Bより高い位置に位置付けられている。また、前記蓋体35における前記搬送路6A,6Bと対向する部位には、前記搬送路6の上壁を構成する天井壁83が設けられている。この天井壁83は、多数のロッド101によって形成されている。この天井壁83は、側方から見て前記チェーン88の内側に位置付けられている。このように構成された農産物皮剥き装置1においては、農産物5が上方に飛散することを天井壁83によって規制することができる。この天井壁83は多数のロッド101によって形成されているから、放水された水を通すことができるものである。このため、この実施の形態によれば、搬送装置82および蓋体35の内側を放水作業によって容易に清掃することが可能な農産物皮剥き装置1を提供することができる。
【0086】
この実施の形態による農産物皮剥き装置1は、前記搬送路6A,6Bの農産物供給部に農産物5を供給する農産物供給装置17を備えている。また、この農産物皮剥き装置1は、前記可動隔壁86の位置に基づいて前記農産物供給装置17の作動、停止を切り替える制御装置52を備えている。前記制御装置52は、前記可動隔壁86が前記農産物供給部を通過した後に前記農産物供給装置17を作動させ、次の可動隔壁86が農産物供給部に達する以前に農産物供給装置17を停止させる。このように構成された農産物皮剥き装置1においては、可動隔壁86と搬送路6A,6Bの底壁(投入用シュート71)との間に農産物5が挟まれることを確実に防ぐことができ、しかも、搬送路6A,6Bに供給される農産物5の量を皮剥きに適した量に制限することができる。したがって、この実施の形態によれば、供給された全ての農産物5の皮を高い品質となるように剥くことが可能な農産物皮剥き装置を提供することができる。
【0087】
この実施の形態による跳ね上げ用ドラム3の第2の穴16は、跳ね上げ用ドラム3の外周壁13a,14aを貫通する第1の長穴43と第2の長穴44とによって構成されている。前記第1の長穴43と第2の長穴44とは、跳ね上げ用ドラム3の軸線方向に間隔Dをおいて交互に並ぶとともに、それぞれ跳ね上げ用ドラム3の回転方向に間隔Eをおいて並ぶように多数形成されている。また、第1の長穴43の穴形状と第2の長穴44の穴形状は互いに異なった形状である。このように構成された農産物皮剥き装置1において、第1の長穴43の開口縁に当たった農産物5と、第2の長穴44の開口縁に当たった農産物5とは、互いに異なる方向に跳ね上がるようになる。このため、この実施の形態によれば、農産物5の跳ねる方向が不規則になり易く、多くの方向から農産物5の皮が剥かれるようになるから、農産物5の皮を残すことなく剥くことが可能な農産物皮剥き装置を提供することができる。
【0088】
この実施の形態による前記第1の長穴43の穴形状は、前記跳ね上げ用ドラム3の回転方向の前方に向かうにしたがって次第に農産物5の搬送方向の下流側に延びる長円である。前記第2の長穴44の穴形状は、前記跳ね上げ用ドラム3の回転方向の前方に向かうにしたがって次第に農産物5の搬送方向の上流側に延びる長円である。このため、この実施の形態によれば、第1の長穴43および第2の長穴44を打ち抜き加工によって形成することができるから、跳ね上げ用ドラム3を備えているにもかかわらず製造コストが低い農産物皮剥き装置を提供することができる。
【0089】
この実施の形態による第1の長穴43と第2の長穴44の開口面積は、前記皮剥き用ドラム2の第1の穴15の開口面積より大きく形成されている。この実施の形態によれば、跳ね上げ用ドラム3によって跳ね上げられた農産物5の高さと、皮剥き用ドラム2によって跳ね上げられた農産物5の高さとに差が生じ易くなる。このため、この実施の形態によれば、農産物5の跳ねる方向と高さとが不規則になり易いから、農産物5の皮をより一層確実に剥くことが可能な農産物皮剥き装置1を提供することができる。
【0090】
(第2の実施の形態)
皮剥き用ドラム2の第1の穴15と、跳ね上げ用ドラム3の第2の穴16は、図22に示すように、搬送方向の上流側と下流側で開口面積が異なるように形成することができる。図22において、前記図1〜図21によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
図22に示す第1のドラム部材11の第1の穴15の開口面積は、第2のドラム部材12の第1の穴15の開口面積より大きくなるように形成されている。
また、図22に示す第3のドラム部材13の第2の穴16の開口面積は、第4のドラム部材14の第2の穴16の開口面積より大きくなるように形成されている。
【0091】
第1、第2の穴15,16の開口面積が相対的に大きく形成された第1、第3のドラム部材13は、農産物5を相対的に大きく跳ね上げ、また、農産物5の皮を相対的に粗く削るものとなる。このため、この実施の形態を採る農産物皮剥き装置においては、農産物5の皮が搬送路6の上流側で粗く剥かれた後に下流側で細かく剥かれるようになる。したがって、この実施の形態によれば、剥き上がり後の農産物の品質が高くなる農産物皮剥き装置を提供することができる。
【0092】
(第3の実施の形態)
跳ね上げ用ドラムの第2の穴の穴形状は、図23(A)〜(C)に示すように形成することができる。
図23(A)に示す第2の穴16aは、1種類の長円によって形成されている。この長円は、跳ね上げ用ドラム3の回転方向Bの前方に向かうにしたがって次第にドラムの軸線方向Aの一方(農産物5の搬送方向の下流側または上流側)に延びるように形成されている。また、この第2の穴16aは、軸線方向Aと前記回転方向Bとの両方に所定の間隔をおいて並べられている。
【0093】
図23(B)に示す第2の穴16bは、長円を交差させたようなX字状に形成されている。図23(C)は、長円を交差させてなるX字状の第2の穴16bと、長円を交差させてなる+字状の第2の穴16cとが交互に並べられている例を示している。これらの第2の穴16b,16cは、軸線方向Aと前記回転方向Bとの両方に所定の間隔をおいて並べられている。なお、皮剥き用ドラム2の第1の穴15の穴形状と、跳ね上げ用ドラム3の第2の穴16の穴形状は、上述した形状に限定されることはなく、適宜変更することができる。たとえば、第1の穴15と第2の穴16の穴形状は、上述した形状の他に、長方形、菱形、円形、台形などの形状に形成することができるし、一つのドラムに複数種類の形状の穴を形成することもできる。
【符号の説明】
【0094】
1…農産物皮剥き装置、2…皮剥き用ドラム、3…跳ね上げ用ドラム、5…農産物、6…搬送路、6A…第1の搬送路、6B…第2の搬送路、7…機枠、11…第1のドラム部材、12…第2のドラム部材、13…第3のドラム部材、14…第4のドラム部材、11a〜14a…外周壁、15…第1の穴、16、16a〜16c…第2の穴、17…農産物供給装置、31…第1の農産物ガイド、32…第2の農産物ガイド、33…第3の農産物ガイド、34…第4の農産物ガイド、35…蓋体、48…ドラム駆動用モータ、43…第1の長穴、44…第2の長穴44、52…制御装置、72…第1のガイド板、78…第2のガイド板、82…搬送装置、86…可動隔壁、87…移動機構、88…無端チェーン、89,90…スプロケット、83…天井壁、101…ロッド、104…供給装置制御部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
農産物が水平方向に送られる谷状の搬送路を構成するように互いに平行に並べられ、機枠に回転自在かつ着脱可能に支持された一対のドラムと、
前記各ドラムにおける前記搬送路の底部を構成する部位が上方に移動する方向に前記両ドラムを回転させる駆動装置とを備え、
前記一対のドラムは、外周壁に多数の第1の穴が形成されて主に前記農産物の皮を剥く機能を有する皮剥き用ドラムと、外周壁に多数の第2の穴が形成されて主に前記農産物を跳ね上げる機能を有する跳ね上げ用ドラムとからなり、
前記皮剥き用ドラムと跳ね上げ用ドラムのうち少なくともいずれか一方のドラムは、軸線方向に並ぶ複数のドラム部材に分割され、
これらのドラム部材は、互いに着脱可能かつ回転を伝達可能に連結されていることを特徴とする農産物皮剥き装置。
【請求項2】
請求項1記載の農産物皮剥き装置において、前記ドラムの上方近傍でドラムと平行に延びて前記搬送路の側壁を構成する農産物ガイドを更に備え、
前記農産物ガイドは、前記機枠に着脱自在に支持されるとともに、分割された前記ドラム部材どうしの間において前記搬送路の底の一部を構成するガイド板を備えていることを特徴とする農産物皮剥き装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の農産物皮剥き装置において、前記機枠は、前記搬送路が上方に向けて開放されるように箱状に形成され、かつ前記搬送路の上方を開閉する蓋体を備え、
前記蓋体は、前記機枠の上端部に上下方向へ回動自在に支持され、かつ農産物を前記搬送路の上流端から下流端に送る搬送装置を備え、
前記搬送装置は、前記搬送路を搬送方向において複数の搬送領域に分ける複数の可動隔壁と、これらの可動隔壁を搬送方向の上流側から下流側に向けて移動させる移動機構とを備えていることを特徴とする農産物皮剥き装置。
【請求項4】
請求項3記載の農産物皮剥き装置において、前記移動機構は、前記搬送方向に延びる無端チェーンによって前記可動隔壁を移動させるものであり、
前記無端チェーンは、スプロケットの軸線が水平方向を指向する状態で前記搬送路より高い位置に位置付けられ、
前記蓋体における前記搬送路と対向する部位には、前記搬送路の上壁を構成する天井壁が設けられ、
前記天井壁は、多数のロッドを農作物の搬送方向に延びる状態で前記搬送路の幅方向に所定の間隔をおいて並べることによって形成され、かつ側方から見て前記無端チェーンの内側に位置付けられていることを特徴とする農産物皮剥き装置。
【請求項5】
請求項3または請求項4記載の農産物皮剥き装置において、前記搬送路の農産物供給部に農産物を供給する農産物供給装置と、
前記可動隔壁の位置に基づいて前記農産物供給装置の作動、停止を切り替える制御装置とを更に備え、
前記制御装置は、前記可動隔壁が前記農産物供給部を通過した後に前記農産物供給装置を作動させ、次の可動隔壁が農産物供給部に達する以前に前記農産物供給装置を停止させるものであることを特徴とする農産物皮剥き装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のうちいずれか一つに記載の農産物皮むき装置において、前記第2の穴は、前記跳ね上げ用ドラムの外周壁を貫通する第1の長穴と第2の長穴とからなり、
前記第1の長穴と第2の長穴とは、跳ね上げ用ドラムの軸線方向に所定の間隔をおいて交互に並ぶとともに、それぞれ跳ね上げ用ドラムの回転方向に所定の間隔をおいて並ぶように多数形成され、
第1の長穴の穴形状と第2の長穴の穴形状は互いに異なった形状であることを特徴とする農産物皮剥き装置。
【請求項7】
請求項6記載の農産物皮剥き装置において、前記第1の長穴の穴形状は、前記跳ね上げ用ドラムの回転方向の前方に向かうにしたがって次第に農産物の搬送方向の下流側に延びる長円であり、
前記第2の長穴の穴形状は、前記跳ね上げ用ドラムの回転方向の前方に向かうにしたがって次第に農産物の搬送方向の上流側に延びる長円であることを特徴とする農産物皮剥き装置。
【請求項8】
請求項6または請求項7記載の農産物皮剥き装置において、第1の長穴と第2の長穴の開口面積は、前記皮剥き用ドラムの第1の穴の開口面積より大きく形成されていることを特徴とする農産物皮剥き装置。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のうちいずれか一つに記載の農産物皮剥き装置において、前記複数のドラム部材のうち、前記搬送路の上流側に位置するドラム部材の外周壁の穴の開口面積は、搬送路の下流側に位置するドラム部材の外周壁の穴の開口面積に較べて相対的に大きく形成されていることを特徴とする農産物皮剥き装置。
【請求項1】
農産物が水平方向に送られる谷状の搬送路を構成するように互いに平行に並べられ、機枠に回転自在かつ着脱可能に支持された一対のドラムと、
前記各ドラムにおける前記搬送路の底部を構成する部位が上方に移動する方向に前記両ドラムを回転させる駆動装置とを備え、
前記一対のドラムは、外周壁に多数の第1の穴が形成されて主に前記農産物の皮を剥く機能を有する皮剥き用ドラムと、外周壁に多数の第2の穴が形成されて主に前記農産物を跳ね上げる機能を有する跳ね上げ用ドラムとからなり、
前記皮剥き用ドラムと跳ね上げ用ドラムのうち少なくともいずれか一方のドラムは、軸線方向に並ぶ複数のドラム部材に分割され、
これらのドラム部材は、互いに着脱可能かつ回転を伝達可能に連結されていることを特徴とする農産物皮剥き装置。
【請求項2】
請求項1記載の農産物皮剥き装置において、前記ドラムの上方近傍でドラムと平行に延びて前記搬送路の側壁を構成する農産物ガイドを更に備え、
前記農産物ガイドは、前記機枠に着脱自在に支持されるとともに、分割された前記ドラム部材どうしの間において前記搬送路の底の一部を構成するガイド板を備えていることを特徴とする農産物皮剥き装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の農産物皮剥き装置において、前記機枠は、前記搬送路が上方に向けて開放されるように箱状に形成され、かつ前記搬送路の上方を開閉する蓋体を備え、
前記蓋体は、前記機枠の上端部に上下方向へ回動自在に支持され、かつ農産物を前記搬送路の上流端から下流端に送る搬送装置を備え、
前記搬送装置は、前記搬送路を搬送方向において複数の搬送領域に分ける複数の可動隔壁と、これらの可動隔壁を搬送方向の上流側から下流側に向けて移動させる移動機構とを備えていることを特徴とする農産物皮剥き装置。
【請求項4】
請求項3記載の農産物皮剥き装置において、前記移動機構は、前記搬送方向に延びる無端チェーンによって前記可動隔壁を移動させるものであり、
前記無端チェーンは、スプロケットの軸線が水平方向を指向する状態で前記搬送路より高い位置に位置付けられ、
前記蓋体における前記搬送路と対向する部位には、前記搬送路の上壁を構成する天井壁が設けられ、
前記天井壁は、多数のロッドを農作物の搬送方向に延びる状態で前記搬送路の幅方向に所定の間隔をおいて並べることによって形成され、かつ側方から見て前記無端チェーンの内側に位置付けられていることを特徴とする農産物皮剥き装置。
【請求項5】
請求項3または請求項4記載の農産物皮剥き装置において、前記搬送路の農産物供給部に農産物を供給する農産物供給装置と、
前記可動隔壁の位置に基づいて前記農産物供給装置の作動、停止を切り替える制御装置とを更に備え、
前記制御装置は、前記可動隔壁が前記農産物供給部を通過した後に前記農産物供給装置を作動させ、次の可動隔壁が農産物供給部に達する以前に前記農産物供給装置を停止させるものであることを特徴とする農産物皮剥き装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のうちいずれか一つに記載の農産物皮むき装置において、前記第2の穴は、前記跳ね上げ用ドラムの外周壁を貫通する第1の長穴と第2の長穴とからなり、
前記第1の長穴と第2の長穴とは、跳ね上げ用ドラムの軸線方向に所定の間隔をおいて交互に並ぶとともに、それぞれ跳ね上げ用ドラムの回転方向に所定の間隔をおいて並ぶように多数形成され、
第1の長穴の穴形状と第2の長穴の穴形状は互いに異なった形状であることを特徴とする農産物皮剥き装置。
【請求項7】
請求項6記載の農産物皮剥き装置において、前記第1の長穴の穴形状は、前記跳ね上げ用ドラムの回転方向の前方に向かうにしたがって次第に農産物の搬送方向の下流側に延びる長円であり、
前記第2の長穴の穴形状は、前記跳ね上げ用ドラムの回転方向の前方に向かうにしたがって次第に農産物の搬送方向の上流側に延びる長円であることを特徴とする農産物皮剥き装置。
【請求項8】
請求項6または請求項7記載の農産物皮剥き装置において、第1の長穴と第2の長穴の開口面積は、前記皮剥き用ドラムの第1の穴の開口面積より大きく形成されていることを特徴とする農産物皮剥き装置。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のうちいずれか一つに記載の農産物皮剥き装置において、前記複数のドラム部材のうち、前記搬送路の上流側に位置するドラム部材の外周壁の穴の開口面積は、搬送路の下流側に位置するドラム部材の外周壁の穴の開口面積に較べて相対的に大きく形成されていることを特徴とする農産物皮剥き装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2012−244951(P2012−244951A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−119971(P2011−119971)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(510081562)有限会社徳尾商事 (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(510081562)有限会社徳尾商事 (3)
【Fターム(参考)】
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