説明

農用トラクタ

【課題】 機体の後部にロータリ耕耘装置を昇降自在に支持した農用トラクタにおいて、畦に沿って走行しながらロータリ耕耘装置の右又は左横側部(畦際側)により畦際を耕耘する作業を、適切に行うことができるように構成する。
【解決手段】 右又は左の後輪2,9の横外側部の後方に、ロータリ耕耘装置19の右又は左横側部が位置するように、ロータリ耕耘装置19を機体に対して右又は左側に偏位させて配置する。ロータリ耕耘装置19の右及び左横側部に接地体37,38を備えて、接地体37,38が圃場に接地することによりロータリ耕耘装置19の耕耘深さが設定されるように構成する。右又は左の後輪2,9の横外側部の後方に位置する接地体37を、圃場に接地する作用姿勢及び圃場から上方に離れた非作用姿勢に変更自在に構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機体の後部にロータリ耕耘装置を昇降自在に支持した農用トラクタにおけるロータリ耕耘装置の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
機体の後部に昇降自在に支持されたロータリ耕耘装置としては、特許文献1に開示されているように、ロータリ耕耘装置の右及び左横側部に、接地体(特許文献1の第1図及び第2図の2、第4図の3,4)を備えたものがある。これにより、接地体が圃場に接地することによって、圃場に対するロータリ耕耘装置の高さが設定されるのであり、ロータリ耕耘装置の耕耘深さが設定される。
【0003】
農用トラクタでは、畦に沿って走行しながらロータリ耕耘装置の右又は左横側部により畦際を耕耘する作業を行うことがある。この場合、例えば図2に示すように、右又は左の後輪の横外側部の後方に、ロータリ耕耘装置の右又は左横側部が位置するように、ロータリ耕耘装置を機体に対して右又は左側に偏位させて配置するのであり、右又は左の後輪が畦際を走行するように前輪の操向操作を行うことによって、ロータリ耕耘装置の右又は左横側部(畦際側)を畦際に位置させて耕耘することができる。
【0004】
【特許文献1】特公昭58−31882号公報(第1,2,4図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば軟らかい土質の圃場では、畦の一部が崩れて土が畦際に流れ込み、畦際が傾斜面(圃場の中側から畦に向って上り坂のような傾斜面)になっているようなことがある。
このような状態において、前述のように畦に沿って走行しながらロータリ耕耘装置の右又は左横側部(畦際側)により畦際を耕耘する作業を行うと、ロータリ耕耘装置の右又は左横側部(畦際側)の接地体が畦際の傾斜面に乗り上げ、ロータリ耕耘装置の右又は左横側部(畦際側)が持ち上げられて、ロータリ耕耘装置による水平な耕耘が行えないような状態や、ロータリ耕耘装置による畦際の耕耘深さが充分に得られないような状態になることがある。
【0006】
本発明は機体の後部にロータリ耕耘装置を昇降自在に支持した農用トラクタにおいて、畦に沿って走行しながらロータリ耕耘装置の右又は左横側部(畦際側)により畦際を耕耘する作業を、適切に行うことができるように構成することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[I]
(構成)
本発明の第1特徴は、農用トラクタにおいて次のように構成することにある。
機体の後部にロータリ耕耘装置を昇降自在に支持して、右又は左の後輪の横外側部の後方に、ロータリ耕耘装置の右又は左横側部が位置するように、ロータリ耕耘装置を機体に対して右又は左側に偏位させて配置する。ロータリ耕耘装置の右及び左横側部に接地体を備えて、接地体が圃場に接地することによりロータリ耕耘装置の耕耘深さが設定されるように構成する。右又は左の後輪の横外側部の後方に位置する接地体を、圃場に接地する作用姿勢及び圃場から上方に離れた非作用姿勢に変更自在に構成する。
【0008】
(作用)
本発明の第1特徴によると、右又は左の後輪の横外側部の後方に、ロータリ耕耘装置の右又は左横側部が位置するように、ロータリ耕耘装置を機体に対して右又は左側に偏位させた状態において、畦に沿って走行しながらロータリ耕耘装置の右又は左横側部(畦際側)により畦際を耕耘する作業を行う場合、右又は左の後輪の横外側部の後方に位置する接地体(畦際側)を非作用姿勢に設定すればよい。
【0009】
これにより、畦際が傾斜面(圃場の中側から畦に向って上り坂のような傾斜面)になっていても、右又は左の後輪の横外側部の後方に位置する接地体(畦際側)が、畦際の傾斜面に接地することはないので、ロータリ耕耘装置の右又は左横側部(畦際側)が持ち上げられて、ロータリ耕耘装置による水平な耕耘が行えないような状態は生じ難い。右又は左の後輪の横外側部の後方に位置する接地体(畦際側)が、畦際の傾斜面に接地することはないので、ロータリ耕耘装置の耕耘深さが深くなり易く、ロータリ耕耘装置による畦際の耕耘深さが充分に得られないような状態は生じ難い。
接地体はある程度の横幅を備えているので、右又は左の後輪の横外側部の後方に位置する接地体(畦際側)を、圃場から上方に離れた非作用姿勢に設定することにより、接地体の横幅の分だけ、ロータリ耕耘装置の右又は左横側部(畦際側)を畦に接近させて畦際を耕耘することができる。
【0010】
本発明の第1特徴によると、右又は左の後輪の横外側部の後方に位置する接地体(畦際側)を、圃場に接地する作用姿勢及び圃場から上方に離れた非作用姿勢に変更自在に構成しており、右又は左の後輪の横外側部の後方に位置する接地体(畦際側)は、非作用姿勢に設定してもロータリ耕耘装置に残ることになる。これにより、右又は左の後輪の横外側部の後方に位置する接地体(畦際側)を、ロータリ耕耘装置から取り外して置き場所に困ると言うようなことがない。
【0011】
本発明の第1特徴によると、圃場の中側(畦際から離れた箇所)を耕耘する作業を行う場合、右又は左の後輪の横外側部の後方に位置する接地体(畦際側)を作用姿勢に設定すればよい。これにより、ロータリ耕耘装置の右及び左横側部の接地体が圃場に接地することによって、圃場に対するロータリ耕耘装置の高さが設定されるのであり、ロータリ耕耘装置の耕耘深さが設定される。
【0012】
(発明の効果)
本発明の第1特徴によると、機体の後部にロータリ耕耘装置を昇降自在に支持した農用トラクタにおいて、畦に沿って走行しながらロータリ耕耘装置の右又は左横側部(畦際側)により畦際を耕耘する作業を行う場合、ロータリ耕耘装置による水平な耕耘が行えないような状態が生じ難いようにすることができ、ロータリ耕耘装置による畦際の耕耘深さが充分に得られないような状態が生じ難いようにすることができて、ロータリ耕耘装置による畦際の耕耘性能を向上させることができた。
【0013】
本発明の第1特徴によると、接地体の横幅の分だけ、ロータリ耕耘装置の右又は左横側部(畦際側)を畦に接近させて畦際を耕耘することができ、ロータリ耕耘装置の耕耘範囲を畦際側に広くすることができるので、この点においてもロータリ耕耘装置による畦際の耕耘性能を向上させることができた。
本発明の第1特徴によると、右又は左の後輪の横外側部の後方に位置する接地体(畦際側)を、ロータリ耕耘装置から取り外して置き場所に困ると言うようなことがないので、接地体の取り扱いと言う面でも良いものとなった。
【0014】
[II]
(構成)
本発明の第2特徴は、本発明の第1特徴の農用トラクタにおいて次のように構成することにある。
左右方向に配置された耕耘軸と、耕耘軸に固定された多数の耕耘爪とを備えて、ロータリ耕耘装置を構成する。耕耘軸の端部を回転自在に支持する支持フレームを、右又は左の後輪の横外側部の後方に位置するロータリ耕耘装置の右又は左横側部に備える。耕耘軸の端部を回転自在に支持し且つ機体からの動力を耕耘軸に伝達する伝動ケースを、支持フレームとは反対側のロータリ耕耘装置の右又は左横側部に備える。
【0015】
(作用)
本発明の第2特徴によると、本発明の第1特徴と同様に前項[I]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
ロータリ耕耘装置は一般に、左右方向に配置された耕耘軸、耕耘軸に固定された多数の耕耘爪、耕耘軸の端部を回転自在に支持する支持フレーム、耕耘軸の端部を回転自在に支持し且つ機体からの動力を耕耘軸に伝達する伝動ケース等を備えて構成されている。
この場合、伝動ケースは機体からの動力を耕耘軸に伝達する伝動機構(伝動チェーン等)を内装する必要があるので、伝動ケースの横幅が少し広いものとなっているのに対し、支持ケースは前述のような伝動機構を内装する必要がないので、支持ケースの横幅は狭いものとなっている。
【0016】
本発明の第2特徴によると、支持フレームを右又は左の後輪の横外側部の後方に位置するロータリ耕耘装置の右又は左横側部に備え、伝動ケースを支持フレームとは反対側のロータリ耕耘装置の右又は左横側部に備えることにより、横幅の狭い支持ケースによって、ロータリ耕耘装置の右又は左横側部(畦際側)を畦に接近させて畦際を耕耘することができる。
【0017】
(発明の効果)
本発明の第2特徴によると、本発明の第1特徴と同様に前項[I]に記載の「発明の効果」を備えており、これに加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
本発明の第2特徴によると、横幅の狭い支持ケースによって、ロータリ耕耘装置の右又は左横側部(畦際側)を畦に接近させて畦際を耕耘することができ、ロータリ耕耘装置の耕耘範囲を畦際側に広くすることができるようになって、ロータリ耕耘装置による畦際の耕耘性能を向上させることができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
[1]
図1,2,3は農用トラクタの全体を示しており、右及び左の機体フレーム1の後部にミッションケース2が連結されて機体が構成され、右及び左の機体フレーム1に右及び左の前輪3とエンジン4とが支持されて、ミッションケース2に右及び左の後輪5が支持されている。右及び左の前輪3を操向操作する操縦ハンドル6が、エンジン4の後側に備えられ、運転座席7がミッションケース2の上部に支持されており、エンジン4の動力が、カバー8に内装されたベルト伝動機構(図示せず)を介してミッションケース2に伝達されて、エンジン4の動力が右及び左の後輪5、ミッションケース2の後部に備えられたPTO軸10に伝達されている。
【0019】
図1,2,3に示すように、中空ゴムタイヤ型式の右及び左の後輪5の横外側部に、右及び左の補助車輪9(後輪に相当)が連結されている。右及び左の補助車輪9は、リング状の一対のリム部9a、リム部9aに亘って連結された平板状の接地部9b、リム部9aに連結されたスポーク部9c等を備えて構成されており、スポーク部9cが右及び左の後輪5のホイル部分に連結されている。
【0020】
図1,2,3に示すように、ミッションケース2の後部上部にブラケット11が固定されて、ブラケット11に1本のトップリンク12が上下揺動自在に支持されている。ミッションケース2の後部下部に2本のロアリンク13が上下揺動自在に支持されており、ロアリンク13の左右方向の位置を決めるロッド45が、ミッションケース2の後部下部とロアリンク13とに亘って接続されている。ミッションケース2の後部上部に2本のリフトアーム14が上下揺動自在に支持され、ミッションケース2の上部に備えられた油圧シリンダ(図示せず)により、リフトアーム14が上下に揺動駆動されるように構成されており、リフトアーム14とロアリンク13とに亘ってロッド15が接続されている。
【0021】
図1,2,3に示すように、ミッションケース2の内部に備えられた走行用の主変速装置(図示せず)を操作する主変速レバー16、及びミッションケース2の内部に備えられた走行用の副変速装置(図示せず)を操作する副変速レバー17が、運転座席7の左横側に備えられている。油圧シリンダを作動させてリフトアーム14を上下に揺動駆動する(後述するロータリ耕耘装置19を昇降駆動する)昇降レバー18が、運転座席7の右横側に備えられている。
【0022】
[2]
次に、トップリンク12及びロアリンク13に接続されるロータリ耕耘装置19について説明する。
図1,2,3,4に示すように、ベベルギヤケース20が備えられ、ベベルギヤケース20に丸パイプ状の右及び左の支持フレーム21が横向きに固定されて、右及び左の支持フレーム21にブラケット22が固定されており、断面コ字状で前側が開放された板状のフレーム23がベベルギヤケース20及びブラケット22に亘って固定されている。フレーム23の上部にブラケット24が固定されて、トップリンク12がブラケット24の上部に上下揺動自在に接続されており、ロアリンク13がブラケット22に上下揺動自在に接続されている。
【0023】
図1,2,3,4に示すように、横幅の狭い板状の支持フレーム25が右の支持フレーム21の端部に固定されて下方に延出され、支持フレーム25の下部にボス部25aが固定されており、伝動ケース26が左の支持フレーム21の端部に固定されて下方に延出されている。伝動ケース26は基板部材26a及びカバー部材26bで構成されており、基板部材26aが左の支持フレーム21の端部に固定されて、基板部材26aの下部にボス部26cが固定されている。
【0024】
図3及び図4に示すように、ベベルギヤケース20に備えられた入力軸27が前方に突出しており、PTO軸10と入力軸27とに亘って、伝動軸28がユニバーサルジョイント29を介して接続されている。ベベルギヤケース20、左の支持フレーム21及び伝動ケース26の内部に亘って伝動軸30が配置されており、ベベルギヤケース20の内部において、入力軸27に固定されたベベルギヤ27aと伝動軸30に固定されたベベルギヤ30aとが咬合している。
【0025】
図4に示すように、支持フレーム25のボス部25a及び伝動ケース26のボス部26cに亘って、耕耘軸31が左右方向に架設されて回転自在に支持されており、伝動ケース26の内部において、伝動軸30に固定されたスプロケット30bと耕耘軸31に固定されたスプロケット31aとに亘って、伝動チェーン32が巻回されている。正面視でL字状に折り曲げられた多数の耕耘爪31bが、耕耘軸31に所定間隔を置いて固定されている。以上の構造により、PTO軸10の動力が伝動軸28、入力軸27、伝動軸30及び伝動チェーン32を介して耕耘軸31に伝達されて、耕耘軸31が図1の紙面反時計方向に回転駆動される。
【0026】
図4,5,6に示すように、支持フレーム25及び伝動ケース26の基板部材26aに側板33が固定されて、右及び左の側板33に亘って天板34が固定されており、耕耘軸31の上方に天板34が位置している。右及び左の側板33に亘って後部カバー35が横軸芯P1周りに上下揺動自在に支持されており、右のブラケット22と後部カバー35とに亘ってチェーン(鎖)36が接続され、チェーン(鎖)36の長さを調節することにより、後部カバー35の上下角度を調節することができる。
【0027】
図2及び図3に示すように、右の補助車輪9の横外側部の後方に、ロータリ耕耘装置19の右横側部が位置するように(機体の左右方向で、右の補助車輪9の横外側部と、ロータリ耕耘装置19の右横側部とが略同じ位置に位置するように)、ロータリ耕耘装置19が機体に対して右側に偏位して配置されている(図2及び図4に示すように、右の支持フレーム21が左の支持フレーム21よりも長いものに設定されていることによる)。ロータリ耕耘装置19の右横側部に支持フレーム25が位置し(右の補助車輪9の横外側部の後方に、支持フレーム25が位置している)。ロータリ耕耘装置19の左横側部に伝動ケース26が位置している。
【0028】
[3]
次に、ロータリ耕耘装置19の右横側部に備えられた右の接地体37(右又は左の後輪の横外側部の後方に位置する接地体(畦際側)に相当)、及びロータリ耕耘装置19の左横側部に備えられた左の接地体38について説明する。
図4,6,7に示すように、右の接地体37は横長の板材を円弧状に形成して構成されており、右の接地体37の前及び後部に平板状の取付部37aが備えられている。支持板46が支持フレーム25の前及び後側に亘るように右の側板33に固定され、支持板46の前及び後部の折り曲げ部46aの上下にボス部39,40が固定されている。前及び後の支持アーム41が備えられて、前及び後の支持アーム41の支持軸41bがボス部39に回転自在に挿入されている。前及び後の支持アーム41の下部が折り曲げられて取付部41aが形成されており、右の接地体37の取付部37aが前及び後の支持アーム41の取付部41aにボルト42によって固定されている。
【0029】
図4及び図5に示すように、右の接地体37と同様に、左の接地体38も板材を円弧状に形成して構成されており、左の接地体38の前及び後部に平板状の取付部38aが備えられて、左の接地体38の取付部38aが伝動ケース26の基板部材26aの前及び後部にボルト42によって固定されている。この場合、左の接地体38は、圃場に接地する作用姿勢に常に設定されている。
【0030】
図4,6,7に示す状態は、右の接地体37を圃場に接地する作用姿勢に設定している状態である。作用姿勢において、前及び後の支持アーム41の中間部に固定されたピン41cがボス部40に挿入され、前の支持アーム41の支持軸41bに抜け止めピン43が取り付けられて、右の接地体37、前及び後の支持アーム41が作用姿勢で固定されている。
【0031】
これにより、右及び左の接地体37,38が圃場に接地することによって、圃場に対するロータリ耕耘装置19の高さが設定されるのであり、ロータリ耕耘装置19の耕耘深さが設定される。この場合、図5,6,7に示すように、右及び左の接地体37の取付部37a,38aに、ボルト42により固定する為の複数の取付孔37b,38bが上下方向に形成されており、ボルト42を取り付ける右及び左の接地体37の取付孔37b,38bを変更することにより、作用姿勢でのロータリ耕耘装置19に対する右及び左の接地体37,38の高さを変更することができるのであり、これによってロータリ耕耘装置19の耕耘深さを変更することができる。
【0032】
[4]
次に、右の接地体37を圃場から上方に離れた非作用姿勢に設定する状態について説明する。
図4,6,7に示すように、棒材を折り曲げて構成された保持部44が、右の側板33の前部に固定されている。図8に示すように、右の接地体37において、抜け止めピン43を前の支持アーム41の支持軸41bから取り外し、右の接地体37、前及び後の支持アーム41(支持軸41b)をボス部39に沿って前方(図6及び図8の紙面右方)に移動させることによって、前及び後の支持アーム41のピン41cをボス部40から抜き出す。
【0033】
図8及び図9に示すように、右の接地体37、前及び後の支持アーム41をボス部39周りに上方に約180°持ち上げ、右の接地体37、前及び後の支持アーム41(支持軸41b)をボス部39に沿って後方(図6及び図9の紙面左方)に移動させることによって、前の支持アーム41を保持部44に入れ込む。この後、抜け止めピン43を再び前の支持アーム41の支持軸41bに取り付けることにより、右の接地体37を圃場から上方に離れた非作用姿勢に保持する。
【0034】
[発明の実施の第1別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態]において、右及び左の補助車輪9を備えない場合には、右の後輪2の横外側部の後方に、ロータリ耕耘装置19の右横側部(右の接地体37)が位置するように、ロータリ耕耘装置19を機体に対して右側に偏位して配置すればよい。
【0035】
[発明の実施の第2別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態][発明の実施の第1別形態]において、ロータリ耕耘装置19の右横側部に伝動ケース26を備え、左横側部に支持フレーム25を備えるように構成してもよい。
このように構成すると、左の補助車輪9(右及び左の補助車輪9を備えない場合には左の後輪2)の横外側部の後方に、ロータリ耕耘装置19の左横側部(左の接地体38)が位置するように、ロータリ耕耘装置19を機体に対して左側に偏位して配置して、左の接地体38を図7,8,9に示すように、圃場に接地する作用姿勢及び圃場から上方に離れた非作用姿勢に変更自在に構成する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】農用トラクタ及びロータリ耕耘装置の全体左側面図
【図2】農用トラクタ及びロータリ耕耘装置の全体平面図
【図3】農用トラクタ及びロータリ耕耘装置の左後方からの全体斜視図
【図4】ロータリ耕耘装置の縦断背面図
【図5】ロータリ耕耘装置の左側面図
【図6】ロータリ耕耘装置の右側面図
【図7】右の接地体を作用姿勢に設定した状態でのロータリ耕耘装置の右後方からの斜視図
【図8】右の接地体を作用姿勢から非作用姿勢に設定する途中の状態でのロータリ耕耘装置の右後方からの斜視図
【図9】右の接地体を非作用姿勢に設定した状態でのロータリ耕耘装置の右後方からの斜視図
【符号の説明】
【0037】
2,9 後輪
19 ロータリ耕耘装置
25 支持フレーム
26 伝動ケース
31 耕耘軸
31b 耕耘爪
37,38 接地体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体の後部にロータリ耕耘装置を昇降自在に支持して、
右又は左の後輪の横外側部の後方に、前記ロータリ耕耘装置の右又は左横側部が位置するように、前記ロータリ耕耘装置を機体に対して右又は左側に偏位させて配置すると共に、
前記ロータリ耕耘装置の右及び左横側部に接地体を備えて、前記接地体が圃場に接地することによりロータリ耕耘装置の耕耘深さが設定されるように構成し、
右又は左の後輪の横外側部の後方に位置する接地体を、圃場に接地する作用姿勢及び圃場から上方に離れた非作用姿勢に変更自在に構成してある農用トラクタ。
【請求項2】
左右方向に配置された耕耘軸と、前記耕耘軸に固定された多数の耕耘爪とを備えて、前記ロータリ耕耘装置を構成し、
前記耕耘軸の端部を回転自在に支持する支持フレームを、右又は左の後輪の横外側部の後方に位置するロータリ耕耘装置の右又は左横側部に備え、
前記耕耘軸の端部を回転自在に支持し且つ機体からの動力を耕耘軸に伝達する伝動ケースを、前記支持フレームとは反対側のロータリ耕耘装置の右又は左横側部に備えてある請求項1に記載の農用トラクタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2008−35826(P2008−35826A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−217131(P2006−217131)
【出願日】平成18年8月9日(2006.8.9)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【出願人】(504231405)ザ・サイアム・クボタ・インダストリー・カンパニー・リミテッド (12)
【氏名又は名称原語表記】THE SIAM KUBOTA INDUSTRY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】101/19―24 MOO20 NAVANAKORN KHLONGNEUNG KHLONGLUANG PATHUMTANI 12120 THAILAND
【Fターム(参考)】