説明

迅速な放出の液体調合物、調製物およびその使用

本発明は、薬剤の水中における迅速な放出に適当な、可溶性の混合粉末、顆粒、速く溶解する錠剤またはペレットのような組成物における、化学的に安定なフロルフェニコール(および構造的に関連する化合物)の調合物、およびフロルフェニコールを含む水性組成物によって動物を治療するための方法およびキットに関連する。本発明の別の局面は、その治療方法を行うのに有用であるキットを含み、そのキットは、前述の可溶性固体投与形態に基づくフロルフェニコール、可溶性固体投与形態に基づくフロルフェニコールを水に溶解または混合するための説明書、および任意でフロルフェニコールを含む飲料水で動物を治療するための説明書を含み得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料水システムに加える、フロルフェニコールおよびその薬剤学的に許容可能な塩を含む、可溶性の固体投与形態で動物を治療するための方法およびキットを含む。
【背景技術】
【0002】
フロルフェニコールは、動物用の治療において使用するために開発された広域スペクトルの抗生物質である。フロルフェニコールは現在、ブロイラー(broiler chicken)におけるE.coli気嚢炎による死亡率のコントロール、およびアクチノバチルス・プルロニューモニア、P.マルトシダ、マイコプラズマ、サルモネラ・コレラスイス、およびブタ連鎖球菌II型に関連するブタ呼吸器系疾患の治療およびコントロールに効能を有する。
【0003】
飲料水システムにおいて可溶性粉末としてフロルフェニコールを送達することは、容易な課題ではない。難題の1つは、比較的低い水溶性(1.23mg/mL)である。フロルフェニコールを含む可溶性粉末の開発に関連する別の難題は、水中における薬剤の限られた水和性(wettability)である。水に加えるとき、フロルフェニコールは表面に浮遊し、そして水の容積に均一に分散しない。長年にわたって、これらの問題を克服するために様々な技術が示唆された。カプセル封入および界面活性剤の使用のような、様々なプロドラック調合および他の可溶化技術が提案された(例えば、米国特許第7,122,198号を参照のこと)。しかし、以前の調合物に関連するいくつかの欠点が存在する。例えば、有機濃縮溶液は、廃棄および保存の問題を生じる。さらに、この型の産物は、典型的には限られた有効期限を有する。さらに、そのような調合物は、動物にとって味のよいものではない。従って、産業の必要性を満たすために、フロルフェニコールを投与するためのさらなる組成物および方法を探索することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の1つの局面によって、以下の工程を含む、動物をフロルフェニコールで治療する方法が提供される:
a)以下のものから構成される、可溶性の固体投与形態に基づくフロルフェニコール組成物を提供する工程:
i)約20重量%から約60重量%のフロルフェニコールまたはその薬剤学的に許容可能な塩、
ii)約0.5重量%から約5.0重量%の水溶性結合剤、および
iii)約40重量%から約80重量%の賦形剤;
b)工程a)の組成物を水に溶解する工程;および
c)フロルフェニコールを含む水を、その必要のある動物に投与する工程。
【0005】
本発明の他の局面において、上記の工程a)の組成物は、実質的に要素i)からiii)から成る。
【0006】
本発明の別の局面は、その治療方法を行うのに有用であるキットを含む。そのキットは、前述の可溶性固体投与形態に基づくフロルフェニコール、可溶性固体投与形態に基づくフロルフェニコールを水に溶解または混合するための説明書、および任意でフロルフェニコールを含む飲料水で動物を治療するための説明書を含み得る。
【0007】
迅速な溶解速度プロファイルを有し、飲料水に直接加え得る、可溶性固体投与形態に基づく組成物の開発は、その分野において使用者にいくつかの利点を導入する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、実施例1で調製したサンプルの溶解速度プロファイルを説明する。
【図2】図2は、異なるパーセンテージのPVP30を含む調合物において、3分後のフロルフェニコールの水中への溶解性を説明する。
【図3】図3は、異なるパーセンテージのPVP30を含む調合物において、5分後のフロルフェニコールの水中への溶解性を説明する。
【図4】図4は、異なるパーセンテージのPVP30を含む調合物において、15分後のフロルフェニコールの水中への溶解性を説明する。
【図5】図5は、異なる水溶性結合剤を用いて顆粒に調合したフロルフェニコールの溶解速度プロファイルを説明する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、動物飲料水システムにおいて使用するための、可溶性固体投与形態の抗生物質組成物を提供する。本発明のいくつかの好ましい局面において、その組成物は、有効な量の水溶性結合剤を含む、顆粒、混合した粉末、迅速に溶解する錠剤またはペレットの形態であり、その水溶性結合剤は、水溶性結合剤無しで同様の条件下で同様の組成物と比較した場合に、組成物がより迅速に完全に溶解することを可能にする。その顆粒は、通常30メッシュより小さく、そして撹拌はほとんど無しまたは全く無しで、迅速な溶解を達成し得る。本発明の組成物はまた、賦形剤も含む。
【0010】
動物をその組成物で、そして本発明の方法によって治療し得ることが企図される。本発明の目的のために、「動物」は、ブタ、家禽、および/またはウシ科の動物(仔ウシおよび新生仔ウシを含む)を含むがそれに限らない、非水生動物を含むと理解されるべきである。本発明の目的にために、「ウシ科の動物」は、ウシおよびこの科の他のメンバー(すなわちヤギ)を含むことが理解される。本発明の目的のために、「可溶性固体投与形態」は、水中への薬剤の迅速な放出に適当な、可溶性の粉末、可溶性の顆粒、迅速に溶解する錠剤またはペレットを含むことが理解されるべきである。
【0011】
組成物中の特定のパーセンテージの、ポリビニルピロリドンK30のような水溶性結合剤の存在が、薬剤フロルフェニコールの水和性を増強し、それによって水における薬剤の迅速な溶解速度を提供し、そして目標濃度の達成を迅速に促進することが見出された。現在粉末の形態で市場にあるフロルフェニコールを含む製品は、融解押出飼料(melt extrusion feed)産生のためのまたは飼料ペレットの最上層のためのプレミックスとして動物飼料に組み込むことにのみ認可および推奨されており、そして動物の飲料水に直接加えることは推奨されていない。
【0012】
本発明の組成物の重要な構成要素の1つは、薬剤フロルフェニコールである。フロルフェニコールを、フリー塩基として、またはその塩形態で、およびリン酸塩誘導体のようなその誘導体形態のいずれかでおよびあらゆるフロルフェニコールプロドラッグとしても調製し得る。フロルフェニコールは吸湿性ではないので、組成物にそれを組み込むことは、水の吸収による不安定性を引き起こさない。フロルフェニコールはまた、[R−(R,S)]−2,2−ジクロロ−N−[1−(フルオロメチル)−2−ヒドロキシ−2−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−エチル]アセトアミドとしても公知である。この好ましい抗生物質の製造過程、およびそのような過程において有用な中間体が、米国特許第4,311,857;4,582,918;4,973,750;4,876,352;5,227,494;4,743,700;5,567,844;5,105,009;5,382,673;5,352,832;および5,663,361号において記載される。別の好ましい抗生物質は、チアンフェニコールである。前述のものの薬剤学的に許容可能な塩も、本明細書中で記載される組成物に加えるために企図される。
【0013】
本発明のいくつかの局面において、動物を治療するために使用される組成物中に含まれるフロルフェニコールの量は、組成物の約20重量%から約60重量%の範囲であり得る。いくつかの好ましい局面において、フロルフェニコールの量は、組成物の約25重量%から約50重量%であり、一方より好ましい局面において、その量は約45重量%から約50重量%である。
【0014】
その組成物は、フロルフェニコールの有効性に干渉しない、または他の方法で妨害しない、2番目の薬剤学的に活性な化合物を含み得る。そのような活性化合物は、例えばコルチコステロイドのような抗炎症薬、フルニキシンのようなNSAIDS、COX阻害剤、および他の鎮痛薬、例えばイベルメクチン、ドラメクチン、ミルベマイシン、セラメクチン、エマメクチン、エプリノメクチン、およびモキシデクチンのようなエバーメクチン化合物のような抗寄生虫化合物、および/または任意で抗吸虫剤を含み得る。調合物中に2番目の抗生物質を採用することも好ましくあり得る。好ましい抗生物質は、テトラサイクリンを含み得る。特に好ましいのは、クロロテトラサイクリンおよびオキシテトラサイクリンである。他の好ましいさらなる抗生物質は、ペニシリン、セファロスポリンのようなベータラクタム、例えばペニシリン、アモキシシリン、またはアモキシシリンとクラブラン酸または他のベータラクタマーゼ阻害剤、セフチオフル、セフキノム等の組み合わせを含む。また、好ましい抗生物質は、例えばエンロフロキサシン、ダノフロキサシン、ジフロキサシン、オルビフロキサシン、およびマルボフロキサシンのようなフルオロキノロン、およびチルミコシン、ツラスロマイシン、エリスロマイシン、アジスロマイシンのような、マクロライド系抗生物質およびその薬剤学的に許容可能な塩等を含む。あるいは、本発明の活性な化合物と組み合わせて、昆虫の成長調節物質を含み得る。
【0015】
本発明の多くの好ましい局面において、動物を治療するために使用される組成物は、好ましくは水溶性の結合剤を含み、それは薬剤の水和性、および従って水中における薬剤の溶解速度を増強し、そして組成物において、組成物の嗜好性および安定性に影響を与え得る、有機溶媒および高価な錯化剤を使用する必要性を減少させる。速い溶解速度プロファイルの産物を得るためにより少ない加熱および押出成形しか必要でないので、結合剤および溶解速度増強剤の両方として作用して、本発明の組成物中の水溶性結合剤はまた、以前の技術の方法と比較した場合に、製造過程をより効率的にすることを助ける。その水溶性結合剤はまた、活性薬剤が水に溶解することを助け、そして本発明のいくつかの局面において、最初の15分以内に約80%から約95%またはそれを超えて活性薬剤が溶解することを促進する。従って、その必要がある被験体に組成物を投与し得る前に必要な時間は、劇的に減少する。薬剤の治療濃度は、72時間超水中で維持され得ることも決定された。従って本発明の組成物のこの性質は、実質的に治療のために投薬した水の交換の頻度を減少させる。
【0016】
水溶性結合剤の制限しないリストは、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドンK30、ショ糖、カルボキシポリメチレン(カルボポール)、ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、その組み合わせ等を含む。その水溶性結合剤は、好ましくは25から35のK値(水のものと比較した水性溶液の粘性)を有するポリビニルピロリドンである。
【0017】
本発明の組成物に含まれる水溶性結合剤の量は、約0.5重量%から約5重量%の範囲であり得る。好ましくは、その量は組成物の約2.5重量%から約3.5重量%、そしてより好ましくは組成物の約2.5重量%から約3.0重量%である。1つの特定の実施態様において、その水溶性結合剤は、組成物の約2.5重量%から約3.5重量%の量で存在するポリビニルピロリドンである。別の特定の実施態様において、そのポリビニルピロリドンは、組成物の約2.5重量%から約3重量%の量で存在する。
【0018】
本発明の組成物はまた、好ましくは賦形剤または賦形剤の混合物を含む。賦形剤は、最終産物が使用者の取り扱いに適当な体積を有するように、原末体積を増加させる。賦形剤の制限しない例は、ラクトース、ショ糖、マンニトール、ソルビトール、炭酸カルシウム、その混合物等を含む。いくつかの特定の実施態様において、賦形剤はラクトースである。
【0019】
動物を治療するために使用される組成物に存在する賦形剤の量は、組成物の約40%から約80%であり得る。いくつかの特定の実施態様において、賦形剤は、組成物の約50重量%から約75重量%の量で存在する。他の特定の実施態様は、賦形剤を、組成物の約65重量%から約70重量%の量で含む。1つの特定の実施態様において、賦形剤は、組成物の約50重量%から約75重量%の量で存在するラクトースである。別の特定の実施態様において、ラクトースは、組成物の約65重量%から約75重量%の量で存在する。
【0020】
着色剤、賦形剤、希釈剤、界面活性剤、湿潤剤、甘味料、香料、保存剤、抗酸化剤、安定剤のような従来の賦形剤、および他の補助的な薬剤学的に許容可能な成分等、およびその混合物を、調合物に加え得る。例えば、その調合物はまた、結合剤、滑沢剤、希釈剤、界面活性剤、溶媒およびその混合物のような、さらなる通常の賦形剤を含み得る。1つの特定の希釈剤は、無水ラクトースである。適当な他の希釈剤は、制限無しに、微結晶セルロース、ソルビトール、デンプンおよびリン酸カルシウムを含む。希釈剤の量は、約0重量%から約40重量%の範囲であり得る。1つの特定の滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウムであるが、他の適当な滑沢剤は、制限無しに、リン酸カルシウムおよび/または二塩基性リン酸カルシウムを含み得る。滑沢剤の量は、約0重量%から約5重量%の範囲であり得る。1つの特定の界面活性剤は、Tween80であるが、他の適当な界面活性剤は、制限無しに、ラウリル硫酸ナトリウムまたはその混合物を含み得る。界面活性剤の量は、組成物の約0重量%から約10重量%、特に組成物の約1重量%から約10重量%、特に組成物の約1重量%から約5重量%、そしてより特には約1重量%から約3.5重量%の範囲であり得る。
【0021】
いくつかの特定の実施態様において、湿潤剤はポビドン、カルボポール、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、その混合物等であり得る。湿潤剤の量は、組成物の約0重量%から約10重量%、特に組成物の約1重量%から約10重量%、特に組成物の約1%から約5%、そしてより特には約1重量%から約3.5重量%の範囲であり得る。
【0022】
他の任意の不活性成分を、望ましいように組成物に加え得る。そのような成分は、保存剤、抗酸化剤、安定剤、着色剤、甘味料、および香料を含み得る。代表的な保存剤は、p−ヒドロキシ安息香酸メチル(メチルパラベン)およびp−ヒドロキシ安息香酸プロピル(プロピルパラベン)を含む。代表的な抗酸化剤は、ブチル化ヒドロキシアニソールおよびモノチオグリセロールナトリウムを含む。本発明において使用するための代表的な安定剤は、例えばBHTまたはクエン酸を含む。本発明の調合物において、活性成分のいずれかの分解を防止するための1つの特定の安定剤は、BHTであり、0.01%(w/w)および0.05%(w/w)の間の濃度で存在する。他の適当な安定剤は、例えばフマル酸、リンゴ酸、および酒石酸を含む。代表的な甘味料は、マンニトール、ラクトース、ショ糖およびデキストロースを含む。
【0023】
本発明の他の局面において、フロルフェニコール感受性の状態を治療または予防する方法が提供される。これらの方法は、十分な量の本明細書中で記載した組成物を水中に溶解すること、およびできた溶液を、被験体によって摂取される液体の一部として、その必要のある被験体に投与することを含み、例えばその調合物を、被験体の飲料水システムに加えて、治療薬および治療薬の用量を投与し得る。
【0024】
その必要のある被験体に投与される量は、治療的または予防的に有効な量の、化合物を水へ導入してできたフロルフェニコール溶液である。この実施態様のほとんどの局面において、水に加える化合物の量は、飲料水中のフロルフェニコール濃度を約0.01mg/mLから約0.2mg/mLにするために十分な量である。好ましくは、その濃度は大量の飲料水中で約0.1±0.09mg/mLであり、そして水性溶液を典型的な1:128ガロンのプロポーショナ(proportioner)混合比で使用する場合、約13.5±0.1mg/mLの濃度である。治療する状態および治療する動物の型、サイズ、体重等に依存して、適当な治療期間は、上記で述べた濃度における飲料水中の化合物を用いて、約1日間から約5日間、またはもし必要ならより長い範囲であることが企図される。当業者によって認識されるように、その動物は処置水を自由に飲む。上記で述べた期間飲むために入手可能である場合、やはり十分な量のフロルフェニコールが、その必要のある動物に投与されることが企図される。
【0025】
本発明の組成物は、もし望ましいなら、FDA認可キットのような、パックまたはディスペンサー装置で提示され得、それは活性成分を含む安定な粉末、顆粒、速く溶解する錠剤またはペレットの形態で化合物を含む、1つまたは複数の単位投与形態を含み得る。そのパックは、例えばブリスター包装のような、金属またはプラスチックホイルを含み得る。そのパックはまた、すぐに使える、金属プラスチックホイル中に密封した、可溶性の生物分解性パウチから成り得る。そのパックまたはディスペンサー装置には、投与のための説明書が付随し得る。そのパックまたはディスペンサーにはまた、医薬品の製造、使用または販売を規制する政府機関によって指定された形態で、容器に関連する通知が付随し得、その通知は、ヒトまたは動物用投与のための組成物の形態の、その機関による認可を反映する。そのような通知は、例えば医療用医薬品に関して米国食品医薬品局によって認可された表示、または認可された製品挿入物の表示であり得る。適合性の医薬品担体中に調合された、本発明の化合物を含む組成物も調製され、適当な容器に入れられ、そして効能を有する病気の治療のために表示され得る。したがって、そのキットを、その必要のある被験体における細菌感染症または他の疾患の治療または予防に関連して使用し得、そして本明細書中で記載された十分な量の組成物、およびその組成物を飲料水中に導入してその必要のある被験体に与えるための説明書を含む。1つの特定の実施態様において、そのキットを、約20重量%から約60重量%のフロルフェニコールまたはその薬剤学的に許容可能な塩、約0.5重量%から約5.0重量%の水溶性結合剤、そして約40重量%から約80重量%の賦形剤、可溶性の固体投与形態に基づくフロルフェニコール組成物を水に溶解するための説明書、および任意でフロルフェニコールを含む水で動物を治療するための説明書を含む、可溶性の固体投与形態に基づくフロルフェニコール組成物で動物を治療するために使用する。
【0026】
本発明の顆粒を調製する代表的な方法を、フロルフェニコールおよびラクトースのような好ましい添加物を乾燥混合(dry blend)し、そしてその後精製水中のPVP30溶液で湿式造粒を達成することによって達成し得る。その顆粒を次いで約50℃のオーブンで約3時間乾燥させる。次に、その顆粒を粉砕して、そして粒子が30メッシュより小さくなるまで、ステンレスふるいを用いてふるいにかける。
【0027】
本発明の混合粉末を調製する例示的な方法を、フロルフェニコールおよび好ましい希釈剤を、ステンレスのふるいを通して、粒子が30メッシュより小さくなるまでふるいにかけ、そしてその結果2つの成分を乾燥混合することによって達成し得る。
【0028】
圧縮錠剤、ペレット等のような、他の送達システムを、過剰な実験無しに、当該分野で周知の技術を用いて作成し得ることが、当業者によって理解される。
【0029】
速い溶解速度プロファイルを有する、飲料水に直接加え得る、可溶性固体投与形態に基づく産物の開発は、その分野の使用者にいくつかの利点を導入する。例えば、可溶性の固体投与形態調合物は、大きい容積の有機溶媒に関連する廃棄/保存問題を克服し、そして液体産物で起こり得る安定性の問題を事実上排除し、そして高レベルの有機溶媒に関連する嗜好性の問題を改善する。さらに、飲料水への直接添加のためのそのような調合物は、産物の複数の動物への投与を促進するので、著しい利点を提示する。
【実施例】
【0030】
本発明のある実施態様を説明するために以下の実施例が提供され、そしていかなる方式においてもその範囲を制限することを意図しない、またはそのように解釈されない。
【0031】
異なる調合物の溶解性プロファイルを決定するために、50rpmで撹拌するヘラ付きのUSP装置2を用いて溶解を行った。その溶解媒体は、25℃の温度に維持されたMilli−Q水であった。その調合物を、0.1mg/mLのフロルフェニコールの最終濃度を達成するために正確な量で、直接水に加えた。できた溶液のアリコートを取り、そしてUV−VIS分光測定またはHPLCのいずれかを用いて分析し、後者は賦形剤の寄与またはフロルフェニコールの分解を排除するために用いた。HPLC分析のために、有機/水性移動相を、C18、逆相カラムにおける分離のために使用した。UV吸収分光測定によって検出を行った。溶解したパーセントを、分析物の公称濃度において調製した外部参照標準品に対して計算した。
【0032】
実施例1
純粋なフロルフェニコールを、比較物として分析して、その調合物の有効性を評価した。図1に示すように、純粋なフロルフェニコールは、15分以内に約25%しか、そして60分以内に約43%しか溶解しなかった。
【0033】
発明の実施例として、3重量%のPVP30および47%のラクトースを用いて可溶性の顆粒として調合したフロルフェニコールを調製した。フロルフェニコールおよびラクトースを乾燥混合し、そして精製水中のPVP30溶液で湿式造粒を達成した。その顆粒を50℃のオーブンで3時間乾燥した。その顆粒を粉砕し、そして顆粒が30メッシュより小さくなるまで、ステンレスふるいを用いてふるいにかけた。図1は、本発明の組成物のフロルフェニコールは、15分以内に少なくとも80%溶解し、そして30分以内に約100%溶解したことを示す。
【0034】
また比較の目的のために、PVPを用いずにフロルフェニコールをラクトースと乾燥混合した。図1に示すように、この比較組成物のフロルフェニコールは、最初の15分で約35%が可溶化し、そして60分以内に約100%が可溶化した。
【0035】
本発明によって、水溶性結合剤を含む、本発明の調合物の組成物は、フロルフェニコールの溶解速度を増加させ、そして水に加えた後15分以内に事実上完全な溶解を可能にした。
【0036】
実施例2
PVP30を分析して、活性成分フロルフェニコールの溶解性増強剤としての作用におけるその役割を決定した。フロルフェニコールの溶解速度プロファイルを、様々なパーセンテージのPVP30の存在下で決定した。図2、3、および4において、薬剤フロルフェニコールの溶解性を、異なる時間における、異なる調合物における様々なパーセンテージのPVP30に対して報告する。これらの図において説明される調合物は全て、実施例1で説明したのと同じ方式で、可溶性顆粒として調製した。
【0037】
図2、3、および4において示すように、3、5、および15分後の溶液中のフロルフェニコールのパーセントは、PVP30が組成物の約3.0重量%の量で存在する場合に最も高かった。さらなる観察が、3、5、および15分後の溶液中のフロルフェニコールのパーセントは、PVP30が組成物の約2.0重量%から約3.5重量%の量で存在する場合に最も高かったことを示した。
【0038】
実施例3
好ましい溶解速度プロファイル増強剤としてのPVPの役割を、PVPを異なる水溶性結合剤と比較することによって実証した。
【0039】
図5に示すように、サンプル1は、50%w/wのフロルフェニコール、47%w/wのラクトース、および3%w/wのPVP30を含む結合剤溶液と共に調合した顆粒に関する溶解速度プロファイルを示す。サンプル2は、50重量%のフロルフェニコール、45重量%のラクトース、および5重量%のショ糖を含む結合剤溶液と共に調合した顆粒に関する溶解速度プロファイルを示す。サンプル3は、50重量%のフロルフェニコール、47重量%のラクトース、および3重量%のカルボポール940を含む結合剤溶液と共に調合した顆粒に関する溶解速度プロファイルを示す。サンプル4は、50重量%のフロルフェニコール、47重量%のラクトース、および3重量%のヒドロキシプロピルセルロースを含む結合剤溶液と共に調合した顆粒に関する溶解速度プロファイルを示す。サンプル5は、純粋なフロルフェニコールの溶解速度プロファイルを示す。サンプルの組成を下記にまとめる。
【0040】
【化1】

図5は、好ましい水溶性結合剤PVPを有するサンプル1の組成物が、サンプル2、3、4、および5の組成物と比較して、フロルフェニコールが水中に溶解するために必要な時間を減少させることを実証する。図5はまた、本発明の範囲内の水溶性結合剤を有する、サンプル2、3、および4の組成物も、好ましい水溶性結合剤PVPを採用する場合よりも時間は長いが、フロルフェニコールが水中に溶解するために必要な時間を減少させることを実証する。
【0041】
実施例4
界面活性剤としてTween80の存在下で、PVP30を分析して、活性成分フロルフェニコールの溶解性増強剤としての作用におけるその役割を決定した。
【0042】
実施例4を、PVP30結合剤溶液にTween80を加えて、実施例1で記載したのと同じ方式で、可溶性顆粒として調製した。この調合物に対する溶解性研究は、100%のフロルフェニコールが、15分以内に溶解したことを実証した。
【0043】
本発明のある特定の現在好ましい実施態様が本明細書中で記載されたが、記載された実施態様の変更および修飾を、本発明の意図および範囲から離れることなく行い得ることが、本発明が属する当業者に明らかである。
【0044】
よって、本発明は、添付の請求項および適用可能な法の規定によって必要とされる程度までのみ、制限されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物をフロルフェニコールで治療するための方法であって、以下の工程:
a)以下のものを含む可溶性の固体投与形態に基づくフロルフェニコール組成物を提供する工程:
i)約20重量%から約60重量%のフロルフェニコールまたはその薬剤学的に許容可能な塩、
ii)約0.5重量%から約5.0重量%の水溶性結合剤、および
iii)約40重量%から約80重量%の賦形剤;
b)工程a)の組成物を水に溶解する工程;および
c)フロルフェニコールを含む水を、その必要のある動物に投与する工程、
を含む、方法。
【請求項2】
前記動物は、ブタ、家禽、またはウシ科の動物である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
フロルフェニコールまたはその薬剤学的に許容可能な塩の量は、前記組成物の約25重量%から約50重量%である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記フロルフェニコールまたはその薬剤学的に許容可能な塩の量は、前記組成物の約45重量%から約50重量%である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記水溶性結合剤は、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドンK30、ショ糖、カルボキシポリメチレン、ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、またはその組み合わせである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記水溶性結合剤の量は、前記組成物の約2.5重量%から約3.5重量%である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記水溶性結合剤の量は、前記組成物の約2.5重量%から約3.0重量%である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記賦形剤は、ラクトース、ショ糖、マンニトール、ソルビトール、炭酸カルシウム、および/またはその混合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記賦形剤は、前記組成物の約50重量%から約75重量%である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記賦形剤は、前記組成物の約65重量%から約70重量%である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記組成物は、界面活性剤をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記界面活性剤は、Tween80、ラウリル硫酸ナトリウム、またはその混合物である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記界面活性剤の量は、前記組成物の約0重量%から約10重量%である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記界面活性剤の量は、前記組成物の約1重量%から約5重量%である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記界面活性剤の量は、前記組成物の約1重量%から約3.5重量%である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記組成物は、湿潤剤をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記湿潤剤は、ポビドン、カルボポール、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、またはその混合物等である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記湿潤剤の量は、前記組成物の約0重量%から約10重量%である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記湿潤剤の量は、前記組成物の約1重量%から約5%ある、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記湿潤剤の量は、前記組成物の約1重量%から約3.5重量%である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記組成物は、保存剤をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
水中のフロルフェニコールまたはその薬剤学的に許容可能な塩の濃度は、約0.01mg/mLから約0.2mg/mLである、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記水中のフロルフェニコールまたはその薬剤学的に許容可能な塩の濃度は、約0.01mg/mL±約0.09mg/mLである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記水溶性結合剤は、約25から約35のK値を有するポリビニルピロリドンである、請求項5に記載の方法。
【請求項25】
請求項1に記載の方法であって、前記可溶性の固体投与形態に基づくフロルフェニコール組成物が水との混合前に、以下:
a)約25重量%から約50重量%のフロルフェニコール;
b)約2.5重量%から約3.5重量%のポリビニルピロリドン;および
c)約50重量%から約75重量%のラクトース、
を含み、そして混合後の水中のフロルフェニコールの濃度は、約0.01mg/mLから約0.2mg/mLである、方法。
【請求項26】
請求項1に記載の方法であって、前記可溶性の固体投与形態に基づくフロルフェニコール組成物が水との混合前に、以下:
a)約45重量%から約50重量%のフロルフェニコール;
b)約2.5重量%から約3.0重量%のポリビニルピロリドン;および
c)約65重量%から約70重量%のラクトース、
を含み、そして混合後の水中のフロルフェニコールの濃度は、約0.01mg/mL±約0.09mg/mLである、方法。
【請求項27】
動物をフロルフェニコールで治療するためのキットであって、請求項1に記載の可溶性の固体投与形態に基づくフロルフェニコール組成物、該可溶性の固体投与形態に基づくフロルフェニコール組成物を水に溶解するための説明書、および任意でフロルフェニコールを含む水で動物を治療するための説明書を含む、キット。
【請求項28】
動物をフロルフェニコールで治療するための方法であって、約20重量%から約60重量%のフロルフェニコールまたはその薬剤学的に許容可能な塩、約0.5重量%から約5.0重量%の水溶性結合剤、および約40重量%から約80重量%の賦形剤を含む可溶性の固体投与形態に基づくフロルフェニコール組成物を充分な量の水中に溶解し、約0.01mg/mLから約0.09mg/mLのフロルフェニコール濃度を与える工程、ならびにフロルフェニコールを含有する水をそれを必要とする動物に投与する工程を含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−503083(P2011−503083A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−533194(P2010−533194)
【出願日】平成20年11月5日(2008.11.5)
【国際出願番号】PCT/US2008/082427
【国際公開番号】WO2009/061780
【国際公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(510000976)インターベット インターナショナル ベー. フェー. (6)
【Fターム(参考)】