説明

迅速に結果を得るハイブリッドキャプチャー法による分析およびシステム

本発明は、サンプル中の標的核酸分子の存在の検出に関して迅速で信頼性のある結果を提供する方法を含む。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2008年10月27日に出願の米国特許仮出願第61,108,687号および2009年5月1日に出願の米国特許仮出願第61/174,848号に対して優先権を主張する。出願すべての内容は、その全体を参照により本明細書に組み込む。
【0002】
分野
本発明は、サンプル中の核酸の存在を測定する方法、試薬、システムおよびキットに関する。
【背景技術】
【0003】
特定の核酸配列および配列変化の検出および特徴付けは、感染症を示すウイルスまたは細菌の核酸配列の存在の検出、疾患および癌に関与する哺乳類遺伝子の変異体または対立遺伝子の存在の検出、法医学サンプル中に見出される核酸の起源の同定、ならびに父子判定に利用されてきた。
【0004】
例えば、多くの微生物およびウイルスのRNAまたはDNAが単離、配列決定され、核酸プローブは多くの感染症に関して調査されてきた。試験サンプル中の相補的RNAまたはDNA配列とハイブリダイズする、検出可能な核酸配列はこれまでも利用されてきた。プローブの検出は、試験サンプル中の個々の核酸配列の存在を示し、そのプローブは特異的である。科学研究に役立つのに加えて、DNAまたはRNAプローブを、ウイルスと細菌、酵母および原生動物など、微生物の存在の検出、ならびに患者サンプル中における具体的な疾患に関連する遺伝子変異の検出に使用することができる。
【0005】
核酸ハイブリダイゼーションプローブは、他の検出方法よりも高い感受性および選択性というメリットがあり、生菌を必要としない。例えば容易に検出することができる放射性物質を用いるか、または捕捉および検出を可能にする、例えばビオチンなどのバイオマーカーを用いて、ハイブリダイゼーションプローブを標識することができる。また、核酸分子をDNAハイブリッドに特異的な一次抗体により捕捉することができ、このハイブリッドはDNA−RNAハイブリッド、DNA−DNAハイブリッドまたはRNA−RNAハイブリッドを含んでよい。続いて、標識された二次抗体によりこのハイブリッドを検出することができる。この二次抗体は、例えばアルカリホスファターゼなどのバイオマーカー、または検出することができるその他のマーカーで標識してもよい。
【0006】
ヒトおよび病原生物由来の遺伝子の核酸配列データが蓄積するにつれ、迅速で、費用効果が高く、簡便な試験の需要が増している。地理的に医療が容易ではない場所において、迅速で費用効果が高く、確実に標的核酸を測定する新しく効果的な方法、組成物およびキットを提供する必要がある。また、開発途上国において使用することができる迅速な選別形式でこれらの分析を行う必要性もある。本発明の方法および分析は、これらの必要性を満たし、手動システム、部分的に自動化したシステム、自動化システム、自動化されていないシステムで使用することができる。
【0007】
開発途上国および地理的に医療が容易に行えない場所における臨床分析は、特有の課題を有する。本明細書に記載される発明は、かかる国々および地域における、こうした課題の重要性に見合う、満足できる解決策を実現する。例えば、分析用試料を提供するために、女性が遠距離を移動する地区では、結果を得るスピードは特に重要である。このような地区においては、家から試験地まで移動することに関連して、継続管理が続かないことを避けるため、患者がまだ居る間の、数時間以内または同日中に結果が得られることは好都合である。
【0008】
開発途上国が直面している他の要因は、分析を行う費用と分析を行うのに必要な器具類である。リピートピペットおよびシングルピペットは、開発途上国で日常的に使用されるたった2種の器具であるが、開発途上国においては非常に高額である可能性がある。したがって、開発途上国において、より安価で容易に入手できる代替品を使用する医療器具および製品の必要性がある。
【発明の概要】
【0009】
概要
1つの態様は、生物学的物質を含むサンプル中の標的核酸分子の存在を測定する方法に関する。この生物学的物質には、子宮頸部上皮細胞または子宮頸部細胞由来の核酸を挙げることができる。開示された方法を用いて、比較的迅速に、例えば約2〜3時間以内で、サンプル中に標的核酸分子が存在するかどうかの測定を行うことができる。
【0010】
1つの態様において、サンプル中の標的核酸分子の存在を測定する方法は、
a)回収培地でサンプルを懸濁する工程と、
b)サンプル中の標的核酸分子を回収培地に放出する工程と、
c)二本鎖標的核酸分子を一本鎖標的核酸分子に変える工程と、
d)プローブおよび一本鎖標的核酸分子をハイブリダイズさせる条件下で、1つまたは複数の該プローブを一本鎖標的核酸分子と接触させ、二本鎖核酸ハイブリッドを形成する工程と、
e)二本鎖核酸ハイブリッドを捕捉する工程と、
f)二本鎖核酸ハイブリッドを、結合していない一本鎖標的核酸分子から分離する工程と、
g)二本鎖核酸ハイブリッドを検出することにより、標的核酸の存在を示す工程
を含む。
【0011】
1つの態様において、この方法は大部分が手作業の場合があり、人による入力を必要とする。別の態様は、サンプル中の標的核酸分子の迅速な検出に関する。この検出方法は自動でもよく、完全に自動であるか、または部分的に自動であり、これは言い換えれば部分的に人による入力を必要とする。
【0012】
別の態様は、同時または非常に短い時間内に、複数のサンプル中の標的核酸分子を検出することに関する。例えば、1台の機器または一連の機器による。
【0013】
さらに別の態様は、単一の設置面積で、標的核酸分子を検出する方法を実施する装置に関する。この装置は、この方法の工程を実施する他の個々の装置の多くと、またはすべてと組み合わせられる。
【0014】
別の態様は、サンプル中の標的核酸分子の検出を評価する携帯用システムに関する。
【0015】
別の態様は、サンプル中の標的核酸分子を検出するキットに関する。
【0016】
さらなる態様は、標的核酸分子を含むサンプルが回収される回収培地中の試薬に関する。数週間または数カ月にわたって、標的核酸分子の分解が最低限である状態で、標的核酸分子をこの回収培地に保持することができる。1つの態様において、数週間または数カ月にわたって、標的核酸分子の分解が最低限である状態で、DNAベースの標的サンプル物質をこの回収培地に保持することができる。1つの態様において、界面活性剤ベースの回収培地は、迅速なサンプルの分析および処理を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、界面活性剤ベースの回収培地が、公知の回収培地またはサンプル輸送培地(STM)(非界面活性剤ベースの培地)より、マイクロタイタープレートのウェルに電磁ビーズを多く保持することを示す。
【図2】図2は、サンプル1mlにつき標的核酸(DNA)を0.2pgのみ含むサンプルが、本発明の方法を用いて、判読できるシグナルを提供することを示す。
【図3】図3は、室温、21日間の臨床試料の安定性を示す。
【図4】図4は、33℃、21日間の臨床試料の安定性を示す。
【図5】図5は、HPV16型DNAの1000コピーに相当する0.2pg/mlのHPV16型プラスミドについて、試験結果がS/N?2.0であると明示することを示す。
【図6】図6は、多数のサンプルを加熱するために構成されたヒーター、ルミノメーターおよびモニターを含む、サンプル中の標的核酸分子の存在を検出するシステムを示す。
【図7】図7は、検出分析に使用される様々な試薬を示す。試薬バイアルは、使用を容易にするために色分けされ、キットに同封される場合がある。
【図8】図8は、核酸分子の存在を検出するシステムと連結して使用されるモニターを示す。
【図9】図9は、界面活性剤ベースの回収培地に懸濁され、室温で保存されたソフトペレットに関する、11日間の安定性データを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
詳細な説明
本開示は、サンプル中の核酸分子の存在を迅速に測定する方法、組成物、試薬、システムおよびキットを含む。この方法、組成物、試薬、システムおよびキットを、これに限定されないが、病原生物の検出および同定と個々の疾患の遺伝的素因の検出を含む、臨床診断目的に使用することができる。
【0019】
1つの態様において、本開示はサンプル中の標的核酸分子の存在を測定する方法を提供する。その方法は、
a)界面活性剤を含む回収培地でサンプルを懸濁する工程と、
b)標的核酸分子を変性させる工程と、
c)ポリヌクレオチドプローブおよび標的核酸分子のハイブリダイズを可能にする条件下で、1つまたは複数の該プローブを標的核酸分子と接触させ、それにより二本鎖核酸ハイブリッドを形成させる工程と、
d)二本鎖核酸ハイブリッドに特異的な一次抗体でコーティングされた固体支持体上で二本鎖核酸ハイブリッドを捕捉し、それにより二本鎖核酸ハイブリッド/固体支持体複合体を形成させる工程と、
e)二本鎖核酸ハイブリッド/固体支持体複合体を、結合していない核酸から分離する工程と、
f)複合体と、二本鎖核酸ハイブリッドまたは一次抗体のいずれかに特異的な、検出可能なマーカーで標識された二次抗体とを結合させて、二本鎖核酸ハイブリッド/固体支持体抗体複合体を形成させる工程と、
g)二本鎖核酸ハイブリッド/固体支持体抗体複合体を、界面活性剤を含む洗浄緩衝液で洗浄する工程と、
h)二次抗体の標識を検出する工程であって、該検出によって標的核酸分子の存在が示される工程
とを含む。
【0020】
別の態様において、本開示は界面活性剤を含む回収培地でサンプルを懸濁する工程;標的核酸分子を変性させる工程;ポリヌクレオチドプローブおよび標的核酸分子をハイブリダイズまたは結合させる条件下で、1つまたは複数の該プローブを標的核酸分子と接触させる工程;二本鎖核酸ハイブリッドに特異的な一次抗体でコーティングされた固体支持体上で二本鎖核酸ハイブリッドを捕捉する工程を含む、サンプル中の標的核酸分子の存在を測定する方法を提供する。
【0021】
1つの態様において、本開示は界面活性剤を含む回収培地でサンプルを懸濁する工程;標的核酸分子を変性させる工程;ポリヌクレオチドプローブおよび標的核酸分子をハイブリダイズまたは結合させる条件下で、1つまたは複数の該プローブを標的核酸分子と接触させる工程;二本鎖核酸ハイブリッドに特異的な一次抗体でコーティングされた固体支持体上で二本鎖核酸ハイブリッドを捕捉する工程;二本鎖核酸ハイブリッド/固体支持体複合体を、結合していない核酸から分離する工程を含む、サンプル中の標的核酸分子の存在を測定する方法を提供する。
【0022】
1つの態様において、本開示は界面活性剤を含む回収培地でサンプルを懸濁する工程;標的核酸分子を変性させる工程;ポリヌクレオチドプローブおよび標的核酸分子をハイブリダイズまたは結合させる条件下で、1つまたは複数の該プローブを標的核酸分子と接触させる工程;二本鎖核酸ハイブリッドに特異的な一次抗体でコーティングされた固体支持体上で二本鎖核酸ハイブリッドを捕捉し、それにより二本鎖核酸ハイブリッド/固体支持体複合体を形成する工程;二本鎖核酸ハイブリッド/固体支持体複合体を、結合していない核酸から分離する工程;複合体と、二本鎖核酸ハイブリッドまたは一次抗体に特異的な二次抗体とを結合させて、二本鎖核酸ハイブリッド/固体支持体抗体複合体を形成する工程を含む、サンプル中の標的核酸分子の存在を測定する方法を提供する。
【0023】
別の態様において、本開示は界面活性剤を含む回収培地でサンプルを懸濁する工程;標的核酸分子を変性させる工程;ポリヌクレオチドプローブおよび標的核酸分子をハイブリダイズまたは結合させる条件下で、1つまたは複数の該プローブを標的核酸分子と接触させる工程;二本鎖核酸ハイブリッドに特異的な一次抗体でコーティングされた固体支持体上で二本鎖核酸ハイブリッドを捕捉し、それによって二本鎖核酸ハイブリッド/固体支持体複合体を形成させる工程;二本鎖核酸ハイブリッド/固体支持体複合体を、結合していない核酸から分離する工程;複合体と、二本鎖核酸ハイブリッドまたは一次抗体に特異的な、検出可能なマーカーで標識された二次抗体とを結合させて、二本鎖核酸ハイブリッド/固体支持体抗体複合体を形成させる工程;二本鎖核酸ハイブリッド/固体支持体抗体複合体を、界面活性剤を含む洗浄緩衝液で洗浄する工程を含む、サンプル中の標的核酸分子の存在を測定する方法を提供する。
【0024】
別の態様において、本開示はサンプル中の標的核酸分子の存在を測定する方法を提供し、その方法は、
a)界面活性剤を含む回収培地でサンプルを懸濁する工程と、
b)サンプル中の標的核酸分子を変性させる工程と、
c)少なくとも1つのポリヌクレオチドプローブと標的核酸分子との接触により、二本鎖核酸ハイブリッドを形成させる工程と、
d)一次抗体を含む支持体上での二本鎖核酸ハイブリッドの捕捉により、二本鎖核酸ハイブリッド−支持体複合体を形成させる工程と、
e)二本鎖核酸ハイブリッド−支持体複合体と、検出可能なマーカーで標識された二次抗体との接触により、二本鎖核酸ハイブリッド−支持体−二次抗体複合体を形成させる工程と、
f)二本鎖核酸ハイブリッド−支持体−二次抗体複合体を、洗浄緩衝液で洗浄する工程と、
g)二次抗体のマーカーを検出する工程であって、該検出により標的核酸分子の存在が示される工程
とを含む。
【0025】
1つの態様において、固体支持体は表面をコーティングされた修飾常磁性ビーズを含み、それに二本鎖核酸ハイブリッドに対して免疫特異的である一次抗体を付着させている。二本鎖核酸−電磁ビーズ−抗体複合体を、結合していない核酸から分離するのに、磁場を使用する。
【0026】
1つの態様において、この方法はサンプルの前処理工程を含まない。例えば、界面活性剤ベースの回収培地はサンプル調製時間を減らすことを可能にし、これは標的核酸分子の検出を促進することができる。開示の方法、分析または装置により、サンプルを直接分析で解析することができる。ある例において、開示の分析を用いて評価する前に、サンプルの精製工程は実施されない。1つの態様において、粗溶解物は開示の方法、分析または装置により直接解析される。別の態様において、サンプルは標的増幅工程を必要としない。
【0027】
1つの態様は、本明細書で提供される方法、キット、分析および装置を利用して癌を診断する方法に関する。1つの態様において、子宮頸癌はHPVおよびHPV変異株に関連する核酸分子を同定することで発見される。別の態様において、本明細書で提供される方法、キット、分析および装置を使用して、子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)をスクリーニングすることができる。その後、本明細書で提供される方法、キット、分析および装置により診断した後、発見された癌を治療することができる。1つの態様において、診断された癌は子宮頸癌およびその変異体である。
【0028】
1つの態様において、本開示は、約0.5〜約2.0%のNP−40、約0.10〜約0.40%のデオキシコール酸ナトリウム、約25〜約75mMのトリス−HCl、約10〜約50mMのEDTA、約50〜約200mMのNaCl、および約0.01〜約0.10%のアジ化ナトリウムを含む回収培地で懸濁された、生物学的サンプルを含む組成物を提供する。
【0029】
1つの態様において、本開示は
(a)約0.5〜約2.0%のNP−40、約0.10〜約0.40%のデオキシコール酸ナトリウム、約25〜約75mMのトリス−HCl、約10〜約50mMのEDTA、約50〜約200mMのNaCl、および約0.01〜約0.10%のアジ化ナトリウム中で懸濁された生物学的サンプルと、
(b)少なくとも1つまたは複数のポリヌクレオチドプローブと
を含む組成物を提供する。
【0030】
1つの態様において、本開示は
(a)約0.5〜約2.0%のNP−40、約0.10〜約0.40%のデオキシコール酸ナトリウム、約25〜約75mMのトリス−HCl、約10〜約50mMのEDTA、約50〜約200mMのNaCl、および約0.01〜約0.10%のアジ化ナトリウムを含む回収培地で懸濁された生物学的サンプルと、
(b)少なくとも1つまたは複数のポリヌクレオチドプローブと、
(c)一次抗体と
を含む組成物を提供する。
【0031】
1つの態様において、本開示は
(a)約0.5〜約2.0%のNP−40、約0.10〜約0.40%のデオキシコール酸ナトリウム、約25〜約75mMのトリス−HCl、約10〜約50mMのEDTA、約50〜約200mMのNaCl、および約0.01〜約0.10%のアジ化ナトリウムを含む回収培地で懸濁された生物学的サンプルと、
(b)一次抗体と、
(c)二次抗体と
を含む組成物を提供する。
【0032】
1つの態様において、本開示は
(a)約0.5〜約2.0%のNP−40、約0.10〜約0.40%のデオキシコール酸ナトリウム、約25〜約75mMのトリス−HCl、約10〜約50mMのEDTA、約50〜約200mMのNaCl、および約0.01〜約0.10%のアジ化ナトリウムを含む回収培地で懸濁された生物学的サンプルと、
(b)少なくとも1つまたは複数のポリヌクレオチドプローブと、
(c)一次抗体と、
(d)二次抗体と
を含む組成物を提供する。
【0033】
1つの態様において、本開示は
(a)少なくとも1種の界面活性剤を含む回収培地で懸濁された生物学的サンプルと、
(b)変性試薬と、
(c)標的核酸分子に結合することができる、少なくとも1つのポリヌクレオチドプローブと、
(d)一次抗体でコーティングされた支持体と、
(e)検出可能なマーカーで標識された二次抗体と、
を含む組成物を提供する。
【0034】
1つの態様において、上記のいずれの組成物も、本明細書に記載されたいずれの回収培地と使用することができる。
【0035】
1つの態様において、上記組成物中の生物学的サンプルは、子宮頸部細胞サンプルまたはヒト子宮頸部細胞サンプルである。別の態様において、生物学的サンプル中の核酸分子は変性している。上記組成物中の生物学的サンプルは、33℃で少なくとも21日間にわたり回収培地で保存されたとき、安定性を示すことができる。1つの態様において、二次抗体は検出可能なマーカーで標識される。
【0036】
生物学的サンプル
本発明の方法は、限定されないが、生物学的および環境サンプルを含む試料または培養物(例えば、細胞、微生物およびウイルス培養物)を含む、サンプルの標的核酸分子の存在を検出するために使用することができる。生物学的サンプルは、ヒトを含む動物、流動体、固体(例えば、糞便)、または組織、ならびに液体および固形食と、乳製品、野菜、肉および肉の副産物、廃棄物などの飼料製品および成分でよい。環境サンプルには、表面物質、土、水、および産業サンプルなどの環境物質、ならびに食品および乳製品処理機器、装置、設備、器具、使い捨ておよび非使い捨て品から得られるサンプルが挙げられる。
【0037】
これに限定されないが、子宮頸部上皮細胞(例えば、子宮頸部スワブから得られるサンプル)、アデノイド細胞、肛門上皮細胞、血液、唾液、脳脊髄液、胸膜液、母乳、リンパ液、痰および精液を含む生物学的サンプルが特に好ましい。サンプルは、二本鎖核酸分子または一本鎖核酸分子を含んでもよい。二本鎖核酸分子が存在すれば、例えば、アルカリの使用、プロテイナーゼK/SDSの使用、カオトロピック塩など当技術分野で公知の様々な方法によりハイブリダイゼーション解析用に調製することができる。一般に、ハイブリダイゼーション解析用に二本鎖核酸分子を調製する処理は、それを一本鎖核酸分子に変えることを伴う。この処理は、一般に変性として知られる。しかしながら、例えば、三本鎖構成物を介して、変性させずに二本鎖核酸分子を検出する場合も考えられる。
【0038】
サンプル中の標的核酸分子は、DNAまたはRNA、あるいはDNAとRNAの両方であってよい。標的核酸分子は、より大きな核酸分子内に含有されることがある。標的核酸分子または標的核酸分子を含む、より大きい核酸分子どちらかを検出することは、本開示により観察される。
【0039】
生物学的サンプルは、子宮頸部細胞、特にヒト子宮頸部細胞を含むことができる。サンプルは、DACRON綿棒などの化学的に不活性な回収器具を含む、当業者に公知である任意の方法、または器具を用いて回収することができる。その他の許容できる回収器具は、これに限定されないが、綿棒、子宮頸部ブラシ、フロックドスワブ(DACRON綿棒のような形の綿棒であるが、より多くの細胞を回収し、より簡単に放出できるナイロン繊維で作られている)、子宮頸部ブルームブラシ、ミニブルームブラシ、洗浄、またはパップスメア検査で頻繁に使用される任意の回収器具を使用することができる。
【0040】
1つの態様において、方法には30歳以上の女性からサンプルを回収する工程が含まれる。また、この方法は、パップスメア検査または同等の検査によって30歳以上の女性からサンプルを回収する工程を含み得る。パップスメアまたは同等の検査により回収されたサンプルは、子宮頸部細胞サンプルとなる。
【0041】
サンプルを回収したら、サンプルチューブに入れ、チューブはコンタミネーションを防ぐため、封をすることができる。回収器具(綿棒、ブラシなど)は、サンプルをサンプルチューブに入れると、移動する仕組みをさらに有することができる。1つの態様において、回収器具は磁石を用いて移動させることができる挿入物を含む。1つの態様において、この挿入物は金属を含む。別の態様において、この挿入物は磁性物質を含む。磁性物質には、常磁性物質、強磁性物質および反磁性物質が含まれる。サンプルチューブに入れると、回収器具が移動する利点は、回収器具がサンプル抽出またはサンプル検出器具と接触しないようにすることである。サンプル抽出器具の例には、ピペット、ピペットチップ、ドロッパーボトルまたはその他のローテク抽出器具が挙げられる。サンプル検出器具の例には、プローブおよびプローブチップが挙げられる。
【0042】
この分析の速度は、離れた居住地区に住む患者のサンプルをスクリーニングするのに有益でもある。患者は医者または診療所を訪れるために、かなりの距離を移動することが多く、その後には簡単には戻れない。したがって、患者が診療所で待っている間に、患者を検査し、結果を提供することができることが望ましい。状況次第では、患者が医者の事務所を去ったあとに、試験結果を提供するため、および/または患者を治療するために患者を追跡することは難しい場合がある。したがって、記述された分析は、短時間で、例えば約2〜約3時間、約2〜約4時間、約3〜約5時間、約4〜約8時間、または約6〜約12時間で結果を提供する。別の態様において、記述された分析は、約2時間未満、約2時間半未満、約3時間未満、約3時間半未満、約4時間未満、約4時間半未満、約5時間未満、約8時間未満、約12時間未満、および約24時間未満後に結果を提供する。このような短い所要時間により、診療所に患者が居る同日に、医者が患者に結果および/または治療を提供することを可能にする。
【0043】
サンプルチューブ
任意の型のサンプルチューブを使用することができる。有利には、コンタミネーションを最小限に抑えるため、サンプルチューブはふたをするか、または密封してもよい。このふたは永久的であるか取り外しできてもよい。取り外し可能なふたの例には、スナップキャップ、ねじぶた、ゴム隔膜、ホイルおよびフィルムが挙げられる。このふたは、1つまたは複数の穴または穿孔を含んでもよく、これは穿孔されたとき、再度密封することができる。このような穴または穿孔を有するふたの利点としては、例えば、サンプル抽出器具またはサンプル検出器具がふたを貫通したときにふたが無効とならないことである。サンプル抽出器具、サンプル検出器具が取り出されると、ふたは再度閉じ、これによりコンタミネーションは最小限となる。
【0044】
生物学的サンプルの保存
サンプルをサンプルチューブに入れたら、ある物質を用いて、または保存培地で、あるいは両方を用いてサンプルを乾燥することにより保存できる。乾燥は圧力乾燥または化学物質を用いて行う。これにより水分のほとんどを除き、長期間の安定に適当である。あるいは、サンプルの安定性を確保するため、トレハロースのような基質を用いてサンプルを凍結乾燥(フリーズドライ)することができる。
【0045】
別の可能性として、当業者に公知および明らかである、保存培地にサンプルを懸濁させて保存することができる。保存培地の目的は、分解する可能性がある生物学的成分を保護することである。例えば、サンプル細胞、プローブ混合物、抗体、捕捉工程で使用されるビーズ複合体、および検出工程で使用される第二抗体はすべて、分解の影響を受けやすい。回収の初期工程での保存培地は、サンプルに安定性および完全性を理想的に提供し、核酸の捕捉および検出処理における終了段階の工程に作用することができる。1つの態様において、保存培地添加の前後どちらかで、サンプルを室温、冷蔵または冷凍保存することができる。
【0046】
回収培地
1つの態様において、サンプルを回収培地で回収および保存することができる。回収培地には、核酸を保存すること、および解析前の核酸の分解を防ぐため、ヌクレアーゼを阻害することを含む、保存培地としてのいくつかの機能を有する。1つの態様において、回収培地は、少なくとも1種の界面活性剤を含有する。別の態様において、回収培地は、少なくとも2種の界面活性剤、少なくとも3種の界面活性剤、または少なくとも4種の界面活性剤を含有する。1つの態様において、各界面活性剤は異なる。別の態様において、界面活性剤ベースの回収培地は異なる2種の界面活性剤を含み、そのうち1種はバックグラウンド信号を調節することができ、もう1種の界面活性剤は、例えば粘性のあるサンプルを介して移動する電磁ビーズの動きを改善する。界面活性剤がビーズの動きを改善するため、ビーズの過剰な破壊を引き起こすことなく、霧吹きおよびドロッパーボトルなどの様々な精密でない器具を用いて、ビーズを洗浄することができる。このような手法は、開発途上国での使用に都合がよく、こうした国では、分注器具などの技術的に進んだ設備への資金および入手方法が利用できない。
【0047】
さらに、本発明は粗分析を提供し、これは精密でない試薬供給器具を用いて立証することができる。この分析の試薬は、大まかに設定され、試薬供給量のばらつきを許容する。例えば、分析の中和反応工程は、反応において非常に塩基性であるpHを、非常に大きな体積許容であるハイブリダイゼーションに適当なpH範囲にするため、高度に緩衝されたpH中性溶液を利用する。
【0048】
分析用の界面活性剤ベースの回収培地の使用について、1種または複数の界面活性剤を含むことができる。1つの態様において、分析のハイブリダイゼーション、捕捉および検出工程で熱が使用される。界面活性剤および熱の利用によっても、分析で使用される抗体は機能性を残す。
【0049】
図1は、界面活性剤ベースの回収培地が、標準的な回収培地と比較して、取り扱い中に電磁ビーズの紛失および移動を防ぐ能力を大きく改善することを示す。界面活性剤ベースの回収培地は、1種、2種、3種もしくは4種、またはそれ以上の界面活性剤を含む、本質的にからなる、またはからなることができる。界面活性剤は当技術分野で公知であり、これらに限定されないが、以下の界面活性剤を挙げることができる。陽イオン界面活性剤としては、例えば、これらに限定されないが、臭化セチルピリジニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム(セトリモニウム化合物としてまとめて知られる)、塩化アルキルベンジルジメチルアンモニウム(ベンズアルコニウム化合物としてまとめて知られる)、およびアルキルトリメチルアンモニウム塩など;陰イオン界面活性剤としては、例えば、これらに限定されないが、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、およびサルコシルなど;NP−40などの非変性界面活性剤;その他の界面活性剤である。NP−40は、テルギトールNP−40としても知られ、これはノニルフェノキシポリエトキシエタノールである。NP−40は核膜を破壊するのに十分強力であるだけでなく、細胞膜を破壊することもできる。このように、細胞培養物の細胞内容物を得るのに使用することができる。
【0050】
他の界面活性剤および界面活性剤の組合せを使用することができ、その組合せはバックグラウンドノイズを調節し、電磁ビーズの動き(使用される固体支持体が電磁ビーズを含む場合)を改善する能力を有利に提供する。ある種の態様において、1種の界面活性剤が陰イオン界面活性剤であり、2つ目の界面活性剤が非陰イオン界面活性剤である。例えば、1つの態様において、非イオンおよび陰イオン界面活性剤の組合せは、バックグラウンドノイズを低く維持するのに役立つ。1つの態様において、界面活性剤ベースの回収培地は、バックグラウンドノイズを調節するデオキシコール酸ナトリウム、および電磁ビーズの動きを改善するNP−40などの陰イオン界面活性剤を含む。
【0051】
これら2つの型の界面活性剤の組合せは、2種の界面活性剤を一緒に加える簡単な組合せよりも相乗効果を与える。バックグラウンドノイズの調節、優れたビーズの動き、および分析速度の増加がある。(界面活性剤ベースの回収培地中で)これらの界面活性剤が存在することで、より迅速な分析結果を得る能力を提供するが、逆に最終の解析工程で核酸に影響を与えるか、または抗体を捕捉しない。
【0052】
さらに、サンプルがより容易に溶解するとき、界面活性剤ベースの回収培地は回収器具から試料を除去するのを改善する。さらに、界面活性剤ベースの回収培地は、これに限定されないが、PRESERVCYT(40%メタノール溶液使用)、STM(カオトロピック剤使用)およびアルコールなど、他の回収培地と比べてサンプルの均一性を改善する。また、界面活性剤ベースの回収培地は、混合後(手動または自動)のサンプルの粘性を小さくする。
【0053】
回収培地中のNP−40の濃度は、約0.5〜約2.0%、約0.1〜約1.0%、ならびに列挙した範囲内の任意の数値でよい。ある種の態様において、NP−40は、約0.8〜約1.5%、約0.9〜約1.2%の濃度で存在し、ある種の態様においては、約1.0%である。別の態様において、NP−40は、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1.0%、約1.1%、約1.2%、約1.3%、約1.4%、約1.5%、約1.6%、約1.7%、約1.8%、約1.9%、または約2.0%の濃度で存在する。回収培地中のデオキシコール酸ナトリウムの濃度は、約0.10〜約0.40%、約0.20〜約0.30%、ならびに列挙した範囲内の任意の数値でよい。1つの態様において、デオキシコール酸ナトリウムの濃度は、約0.10%、約0.15%、約0.20%、約0.25%、約0.30%、約0.35%、または約0.40%である。
【0054】
界面活性剤ベースの回収培地は、緩衝剤、2種の界面活性剤、キレート剤、防腐剤を含む、本質的にからなる、またはからなることができる。緩衝剤は、約25〜約75mM、約30〜約60mM、約40〜約50mM、および約45〜約55mM、ならびに列挙した範囲内の任意の数値の濃度であるトリス−HClでよい。また、緩衝剤は約25mM、約30mM、約35mM、約40mM、約45mM、約50mM、約55mM、約60mM、約65mM、約70mM、または約75mMの濃度であるトリス−HClでもよい。
【0055】
任意の防腐剤を使用することができ、その選択は所望の機能性、最小の副作用、価格などの要因によって決めることができる。適当な防腐剤には、ゲンタマイシン、プロクリン、ダイマーゾルおよびアジ化ナトリウムが挙げられる。回収培地中の防腐剤の濃度は、防腐剤のタイプ、その効果、その副作用などの要因次第である。例えばアジ化ナトリウムについては、アジ化ナトリウムの濃度は、約0.01〜約0.1%、約0.025〜約0.075%、および約0.04〜約0.06%、ならびに列挙された範囲内の任意の数値でよい。また防腐剤は、例えばアジ化ナトリウムについては、約0.01%、約0.02%、約0.03%、約0.04%、約0.05%、約0.06%、約0.07%、約0.08%、約0.09%、または約0.10%で存在することができる。
【0056】
1つの態様において、界面活性剤ベースの回収培地は、1.0%のNP−40、0.25%のデオキシコール酸ナトリウム、50mMのトリス−HCl、25mMのEDTA、150mMのNaCl、および0.05%のアジ化ナトリウムを含む、本質的にからなる、またはからなる。別の態様において、界面活性剤ベースの回収培地は、約0.5〜約2.0%のNP−40、約0.10〜約0.40%のデオキシコール酸ナトリウム、約25〜約75mMのトリス−HCl、約10〜約50mMのEDTA、約50〜約200mMのNaCl、および約0.01〜約0.10%のアジ化ナトリウムを含む、本質的にからなる、またはからなる。別の態様において、界面活性剤ベースの回収培地は、約0.8〜約1.5%のNP−40、約0.20〜約0.40%のデオキシコール酸ナトリウム、約30〜約60mMのトリス−HCl、約20〜約40mMのEDTA、約100〜約200mMのNaCl、および約0.025〜約0.075%のアジ化ナトリウムを含む、本質的にからなる、またはからなる。さらに別の態様において、界面活性剤ベースの回収培地は、約0.9〜約1.2%のNP−40、約0.20〜約0.30%のデオキシコール酸ナトリウム、約30〜約60mMのトリス−HCl、約20〜約30mMのEDTA、約100〜約150mMのNaCl、および約0.04〜約0.06%のアジ化ナトリウムを含む、本質的にからなる、またはからなる。
【0057】
1つの態様において、回収培地はNP−40およびEDTAを含む、本質的にからなる、またはからなる。別の態様において、回収培地はNP−40、EDTA、およびアジ化ナトリウムを含む、本質的にからなる、またはからなる。1つの態様において、回収培地はデオキシコール酸ナトリウム、EDTA、およびアジ化ナトリウムを含む、本質的にからなる、またはからなる。1つの態様において、回収培地はNP−40、デオキシコール酸ナトリウム、EDTA、およびアジ化ナトリウムを含む、本質的にからなる、またはからなる。1つの態様において、回収培地はNP−40、デオキシコール酸ナトリウム、トリス−HCl、EDTA、およびアジ化ナトリウムを含む、本質的にからなる、またはからなる。
【0058】
別の態様において、回収培地は0.5〜約2.0%のNP−40、および10〜約50mMのEDTAを含む、本質的にからなる、またはからなる。別の態様において、回収培地は0.5〜約2.0%のNP−40、10〜約50mMのEDTA、および約0.01〜約0.10%のアジ化ナトリウムを含む、本質的にからなる、またはからなる。1つの態様において、回収培地は約0.10〜約0.40%のデオキシコール酸ナトリウム、10〜約50mMのEDTA、および約0.01〜約0.10%のアジ化ナトリウムを含む、本質的にからなる、またはからなる。1つの態様において、回収培地は約0.5〜約2.0%のNP−40、約0.10〜約0.40%のデオキシコール酸ナトリウム、10〜約50mMのEDTA、および約0.01〜約0.10%のアジ化ナトリウムを含む、本質的にからなる、またはからなる。1つの態様において、回収培地は約0.5〜約2.0%のNP−40、約0.10〜約0.40%のデオキシコール酸ナトリウム、約25〜約75mMのトリス−HCl、約10〜約50mMのEDTA、および約0.01〜約0.10%のアジ化ナトリウムを含む、本質的にからなる、またはからなる。
【0059】
1つの態様において、回収培地は非カオトロピック培地である。つまり、例えば、回収培地はカオトロピック培地またはカオトロピック塩を含まない。限定されないが、1つの態様において、回収培地は塩酸グアニジンまたは尿素を含まない。非カオトロピック回収培地を用いる潜在的な利点は、サンプルの優れた再懸濁性、より再現性のある試験、およびカオトロピック培地またはカオトロピック塩を含む培地と比較して、より均一な試験アリコートが得られる点である。
【0060】
界面活性剤ベースの回収培地を用いる利点は、サンプルの安定性を維持することである。開示されたように、界面活性剤ベースの回収培地で保存されたサンプルは、少なくとも31日間安定であり、15〜33℃の温度で保持されると、少なくとも21日間安定である。1つの態様において、−20℃で少なくとも6カ月間、界面活性剤ベースの回収培地中で凍結すると、サンプルは安定である。1つの態様において、子宮頸部細胞サンプルは少なくとも31日間、15〜33℃の温度で保持すると少なくとも21日間、−20℃で界面活性剤ベースの回収培地中では、少なくとも6カ月間安定である。
【0061】
1つの態様において、界面活性剤ベースの回収培地は、カットオフ比0.5の相対光単位について、子宮頸部上皮内腫瘍または癌の検出に関して、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%の感度を示す。別の態様において、界面活性剤ベースの回収培地は、カットオフ比0.5の相対光単位について、子宮頸部上皮内腫瘍または癌の検出に関して、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%の特異性を示す。さらに別の態様において、界面活性剤ベースの回収培地は、カットオフ比0.5の相対光単位について、重度または中等度の子宮頸部上皮内腫瘍または癌(CIN2+)の検出に関して、約90%の感度、および約84%の特異性を示す。1つの態様において、界面活性剤ベースの培地は、0.5〜約2.0%のNP−40、約0.10〜約0.40%のデオキシコール酸ナトリウム、約25〜約75mMのトリス−HCl、約10mM〜約50mMのEDTA、約50〜約200mMのNaCl、および約0.01〜約0.10%のアジ化ナトリウムを含む。
【0062】
また、界面活性剤ベースの回収培地は、厳密なハイブリダイゼーションおよび捕捉条件下(例えば、温度65〜75℃)で、変性剤を含む回収培地に比べて改善された分析性能をもたらす。
【0063】
1種、2種、3種、4種、または複数の変性剤の存在は、サンプルの粘性を減少させることができ、これは、電磁ビーズからの液相除去およびサンプル混合に役立つ。
【0064】
1つの態様において、血液または剥離子宮頸部細胞試料などのサンプルを界面活性剤ベースの回収培地で、回収および懸濁することができる。サンプルをDACRON綿棒などの化学的に不活性な回収器具で回収することができる。他の適当な綿棒としては、ナイロン繊維綿棒などを使用することができる。解析前に核酸が分解することを防止し、サンプルの安定性を維持するため、サンプルを界面活性剤ベースの回収培地で保存することができる。
【0065】
サンプルをその他の公知の回収培地で回収することができ、その後、本明細書に記載した方法で使用することができる。その他の回収培地の例には、PRESERVCYT、SUREPATH、DCM(DIGENE Collection Medium)、およびSTM(Sample/Specimen Transport Medium)などがある。ある種の回収培地は核酸特異的である。例えば、標的核酸がRNAの場合、DCMは使用されない。いくつかのこうした培地で回収されたサンプルは、サンプル中の核酸を検出および解析する前に、処理を必要とすることがある。サンプルを処理する方法(サンプル調製とも言う)のいくつかは、当技術分野で公知である。例えば、PRESERVCYTなどの培地で細胞学的解析のために回収された子宮頸部細胞サンプルを、界面活性剤ベースの可溶化緩衝液と混合することができ、続いて、表面に結合している核酸を含む電磁ビーズを添加する。さらに、その他公知の一般に利用できる回収培地で、回収された他の細胞サンプルを、界面活性剤ベースの可溶化緩衝液と混合することができ、続いて表面に結合している核酸を含む電磁ビーズを添加する。
【0066】
標的核酸分子
標的核酸分子には、制限されないが、生物学的および環境サンプルを含む試料または培養物(細胞、微生物およびウイルス培養物など)中に見出される核酸分子が挙げられる。標的核酸分子を、ヒトを含む動物、流動体、固体(糞便など)、または組織、ならびに液体および固形食と、乳製品、野菜、肉および肉の副産物、廃棄物などの飼料製品および成分からの生物学的サンプルに見出すことができる。標的核酸分子は、環境サンプル中に見出され、表面物質、土、水、および産業サンプル、ならびに食品および乳製品処理機器、装置、設備、器具、使い捨ておよび非使い捨て品から得られるサンプルなど、環境物質を含む。
【0067】
生物学的サンプルに見出される標的核酸分子には、これに限定されないが、子宮頸部サンプル(例えば、子宮頸部スワブから得られるサンプル)または子宮頸部細胞サンプル、アデノイド細胞、肛門上皮細胞、血液、唾液、脳脊髄液、胸膜液、母乳、リンパ液、痰、尿および精液が挙げられる。標的核酸分子は、他のウイルス、細菌、マイコバクテリウム、またはプラスモジウム由来でもよく、例えば、サイトメガロウイルス(CMV)、ヘルペス、HIV、H1N1、クラミジア、淋病、膣トリコモナス(Trichomonas vaginalis)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、結核、SARS関連コロナウイルス、またはインフルエンザである。1つの態様において、子宮頸部サンプル(例えば、子宮頸部スワブから得られるサンプル)または子宮頸部細胞サンプル、アデノイド細胞、肛門上皮細胞、血液、唾液、脳脊髄液、胸膜液、母乳、リンパ液、痰、尿および精液、例えば、サイトメガロウイルス(CMV)、ヘルペス、HIV、H1N1、クラミジア、淋病、淋菌(Neisseria gonorrhoeae,GC)、クラミジアトラコマチス(Chlamydia trachomatis,CT)、膣トリコモナス(Trichomonas vaginalis)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、結核、SARS関連コロナウイルス、またはインフルエンザなどのその他のウイルス、細菌、マイコバクテリウムまたはプラスモジウムのうち、いずれか1つに関連する核酸分子に対して、標的核酸分子は、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一である。
【0068】
1つの態様において、標的核酸分子はヒトパピローマウイルス(HPV)であり、HPVの遺伝的変異体を含む。変異体には、標的核酸の多型、突然変異体、誘導体、修飾型、改変型、または同様の形などである。1つの態様において、標的核酸はHPV核酸である。別の態様において、HPV核酸は、高リスク型HPVのHPV DNAである。別の態様において、HPV核酸は、高リスク型HPVのHPV RNAである。別の態様において、標的核酸は、高リスク型HPVである16、18、26、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66、68、および82型のうちのいずれか1つ、または低リスク型HPVである6、11、40、43、53、61、67、69、70、71、72、81、および83型のうちのいずれか1つである。
【0069】
別の態様において、標的核酸分子は、HPV、HPVの遺伝子変異体、高リスク型HPVのHPV DNA、または高リスク型HPVのHPV RNAのうちの、いずれか1つに関連する核酸分子に対して、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一である。別の態様において、標的核酸は、高リスク型HPVである16、18、26、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66、68、および82型のうちのいずれか1つ、または低リスク型HPVである6、11、40、43、53、61、67、69、70、71、72、81、および83型のうち、いずれか1つに関連する核酸分子に対して、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一である。
【0070】
本発明の方法を用いて、標的核酸分子は、1mlにつき約1pg未満、1mlにつき約0.75pg未満、1mlにつき0.5pg未満、1mlにつき0.25pg未満、および1mlにつき0.2pgほど低い濃度でさえ存在することができる。図2に見られるように、HPV16型DNAを、1mlにつき0.2pgの濃度で存在する標的核酸分子として使用したとき、高信号対雑音比が得られる。
【0071】
これまでに言及したように、標的核酸分子はDNAまたはRNAでよい。標的核酸分子がDNAのとき、プローブはRNAであることが好ましく、標的核酸がRNAのとき、プローブはDNAが好ましい。しかしながら、DNAプローブはDNA標的核酸分子と使用することができ、RNAプローブはRNA標的核酸分子と使用することができる。また、これまでに示したように、標的核酸分子は使用する回収培地を決定することができる。
【0072】
変性
界面活性剤ベースの回収培地でサンプルを回収してから、上記したように、ハイブリダイゼーションに使用できる標的核酸分子にするため、サンプルを変性剤で処理することができる。1つの態様において、アルカリ溶液を用いてサンプルを変性させる。溶液のpHを約pH12、約pH13、または約pH14にすることができる、任意のアルカリを使用してよい。さらに、溶液のpHを約pH12〜約pH13、約pH12〜約pH14、および約pH13〜約pH14の範囲にすることができる、任意のアルカリを使用することができる。アルカリの適当な濃度は、約1.0〜約2.0N、約1.25〜約1.75N、約1.25〜約1.5N、および約1.5N、ならびに列挙された範囲内の任意の数字を含む。限定されないが、適当なアルカリはNaOHおよびKOHなどである。
【0073】
1つの例において、界面活性剤ベースの回収培地で懸濁されたサンプルのおおよその1分量を、約半分の分量の1.75NNaOH溶液で処理することができる。例えば、ある種の態様において、界面活性剤ベースの回収培地で懸濁されたサンプルから、おおよそ50μlのアリコートを取り出し、おおよそ25μlの1.75NNaOH溶液をその50μlのアリコートサンプルに添加する。室温で、変性試薬を用いて処理したサンプルを、手動で混合するか、または約800rpm、約900rpm、約1000rpm、約600〜約1000rpm、または約600〜1200rpmで機械的に加振することにより、混合することができる。変性試薬添加後のサンプルのpHは、約14である。別の態様において、このpHは約pH12またはpH13であってよい。このような塩基性pHは、試料中の核酸の大部分を損傷および変性させる。さらに、標的核酸の利用しやすさを改善し、また、タンパクを分解するため、アルカリ処理によりペプチドおよび核酸間の相互作用を分離することができる。
【0074】
タンパクのアルカリ処理は、試料を効果的に均質化して、所与のサンプルに関する解析結果の再現性を保証する。これはサンプルの粘性を減少させることもでき、よって、反応速度を高め、サンプルを均質化し、かつ、サンプル中の任意の内在性一本鎖RNA核酸、DNA−RNAハイブリッド、またはRNA−RNAハイブリッドを破壊することによって、バックグラウンドを下げる。また、サンプル中に存在する場合があるRNaseおよびDNaseなどの不活性な酵素を促進する。RNAが(DNAに対して)標的核酸であれば、種々の試薬は、これに限定されないが、フェノール抽出およびTCA/アセトン沈殿と、グアニジンチオシアナート−フェノール−クロロホルム抽出などが好ましいことは、当業者は十分に理解するはずである。
【0075】
加熱工程の使用、例えば、核酸の鎖を分離するためにサンプルを約95℃に加熱することの使用など、他の変性方法を利用できる。ヘリカーゼなどの酵素も使用することができる。
【0076】
1つの態様において、1.5〜2.0NのNaOHをサンプルに添加し、加熱する。別の態様において、1.75NのNaOHをサンプルに添加し、加熱する。変性試薬とともにサンプルを、約30分間、約60〜約80℃、約30分間、約65〜約75℃、または約30分間、約67〜約70℃、または約70℃、約30分間、あるいは列挙した範囲内の任意の数値にまで加熱してもよい。別の態様において、変性試薬とともにサンプルを、約20〜約40分間、約60〜約80℃、約20〜約40分間、約65〜約75℃、約20〜約40分間、約67〜約70℃、または約20〜約40分間、約70℃、あるいは列挙した範囲内の任意の数値にまで加熱する。記載した時間および温度条件の目安は、ハイブリダイゼーション、捕捉、洗浄および検出の残りの工程を実施するための、適当な条件下に標的核酸を放置すると同時に、最短で最大限の変性を提供するためである。したがって、約5〜約120分間、約10〜約60分間、約20〜約40分間、約30分間、または列挙した範囲内の任意の数値で、サンプルを変性試薬中で加熱してよい。より低温でより長時間のインキュベーション、またはより高温でより短時間のインキュベーションは、本明細書で述べた条件に良く似た効果を提供するため、考慮されることは当業者により容易に理解されるであろう。
【0077】
ハイブリダイゼーションおよびプローブの結合
核酸を含むサンプルを変性したあと、1つまたは複数のポリヌクレオチドプローブがサンプル中の標的核酸とハイブリッド形成して二本鎖核酸ハイブリッドを生じるのに十分な条件下で、1つまたは複数のポリヌクレオチドプローブと接触させる。プローブは、完全長、切断または合成DNA、あるいは完全長、切断または合成RNAでよい。標的核酸がDNAであれば、プローブはRNAでよく、標的核酸がRNAであれば、プローブはDNAでよい。1つまたは複数のポリヌクレオチドプローブは、中和ハイブリダイゼーション緩衝液(塩基性の変性試薬を中和するため)としても作用する、プローブ希釈液中で希釈されることが好ましい。
【0078】
DNAまたはRNAプローブに使用されるプローブ希釈液は、DNA対RNAの安定に必要な、種々の要求によって異なる。例えば、プローブがRNAであれば、まずサンプルを中和し、プローブを添加するか、あるいは、RNAを破壊することができるNaOHと同時に、サンプルにRNAプローブおよび中和剤(プローブ希釈液)を加えるのが好ましい。プローブ希釈液はプローブを溶解、および希釈するのに使用することができ、また、ハイブリダイゼーション用の、より有利な環境を提供するため、サンプルを中性pH、例えば約pH6〜約pH9の状態に戻すのに役立つ。プローブ希釈液の十分な分量は、サンプルの半分の分量であることが好ましく、塩基性処理されたサンプルを中和するのに使用してよい。
【0079】
1つの態様において、プローブ希釈液は、緩衝液、ポリアクリル酸、NaOH、およびアジ化ナトリウムを含む。プローブ希釈液は、酢酸を含んでもよい。1つの態様において、プローブ希釈液は、2.2MのBES(N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸)、2.6%のポリアクリル酸(PAA)、0.7NのNaOH、および0.05%のアジ化ナトリウムを含む。プローブ希釈液は、約1.2〜約2.6MのBES、約1.5〜約2.5MのBES、約1.75〜約2.25MのBES、約2〜2.4MのBES、または約2.2MのBES、ならびに列挙した範囲内の任意の数値を含んでよい。1つの態様において、プローブ希釈液は、約2〜約3.0%のPAA、ならびに列挙した範囲内の任意の数値を含んでよい。別の態様において、PAAの濃度は約2.2〜約2.7%である。さらに別の態様において、PAAの濃度は約2.6%である。さらなる態様において、プローブ希釈液は、約0.6〜約0.8NのNaOH、例えば、約0.7NのNaOHを含んでよい。通常、NaOHの濃度は、BESの量が増えるにつれて、高くなる。
【0080】
完全長のプローブについて、加熱されたアルカリ溶液がサンプルに添加され、その後、プローブ希釈液が室温でサンプルに添加され、それからサンプルを再加熱することができる。かかる過程は、二次構造の形成を阻害することができる。抗体は二次構造を有する構造に不可逆的に結合する傾向がある。切断または合成プローブなどの非完全長プローブを使用するとき、二次構造問題が存在しないため、溶液またはサンプルの加熱は、必要でない場合がある。1つの態様において、切断または合成プローブを使用するとき、サンプルを加熱しない。
【0081】
変性試薬で処理した後、プローブ希釈液を記述した態様で、1つまたは複数のプローブを溶解させた中和緩衝液の1アリコートを、プローブをハイブリダイゼーションまたは結合させ、標的核酸を生じさせる適当な条件下で、サンプルに添加することができる。中和緩衝液は、単一の緩衝塩を含んでよい。1つの態様において、中和緩衝液は、単一の緩衝塩以上を含まない。ハイブリダイゼーション条件は、サンプル中に存在していれば、1つまたは複数のポリヌクレオチドプローブに対応する相補的な核酸配列をアニールさせるには十分であり、二本鎖核酸ハイブリッドが形成される。
【0082】
本明細書で記載した、特定のプローブおよび希釈液に適当なハイブリダイゼーション条件が利用される。例えば、プローブおよびサンプル核酸を、あるハイブリダイゼーション時間でインキュベートすることができる。好ましくは、少なくとも約5〜約30分、約5〜約20分、約7〜約15分、または約10分、ならびに1つまたは複数のポリヌクレオチドプローブを、対応する相補的な核酸配列とアニールさせるには十分な、列挙した範囲内の任意の数値である。ハイブリダイゼーション条件は、少なくとも約65℃、約68.5℃、および約67〜約70℃、ならびに列挙した範囲内の任意の数値のハイブリダイゼーション温度を含むことができる。所与の標的核酸およびプローブについて、当業者は日常の実験により、所望のハイブリダイゼーション条件を簡単に決定することができる。当業者はさらに、ハイブリダイゼーションの時間および温度を、他方に対して最適化されなければならないことを十分に理解している。したがって、より高いハイブリダイゼーション温度であれば、より短時間で行うことができる。逆も同様である。限定されないが、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、温度を上昇させること、イオン状態を0.5M(例えば、NaCl)よりあげること、またはPAAの濃度を減少させることにより調節できる。限定されない例としては、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、少なくとも約65℃、少なくとも約68.5℃、約67〜約70℃、約69〜約70℃などの高温でハイブリダイゼーション反応を実行することを含んでよい。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、少なくとも約65℃、少なくとも約68.5℃、約67〜約70℃などの高温も含んでもよい。
【0083】
限定されない態様において、プローブは、HPV、HPVの遺伝的変異体、高リスク型HPVのHPV DNA、もしくは高リスク型HPVのHPV RNA、高リスク型HPVである16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66、68、および82型のうちのいずれか1つ、または低リスク型HPVである6、11、40、43、53、61、67、69、70、71、72、81、および83型のうちのいずれか1つと関連する核酸分子に対して、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一である核酸分子をハイブリダイゼーションするか、または結合することができる。別の態様において、プローブは、HPV、HPVの遺伝的変異体、高リスク型HPVのHPV DNA、高リスク型HPVのHPV RNA、高リスク型HPVである16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66、68、および82型のうちのいずれか1つ、または低リスク型HPVである6、11、40、43、53、61、67、69、70、71、72、81、および83型のうちのいずれか1つに対して、相補的である。
【0084】
1つの態様において、サンプルを界面活性剤ベースの回収培地に懸濁し、標的核酸を変性試薬で変性し、中和緩衝液中に懸濁された核酸プローブをハイブリダイズする。別の態様において、中和緩衝液は、本発明のプローブ希釈液である。プローブ希釈液は、2.2MのBES(N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸)、2.6%のポリアクリル酸、0.7NのNaOH、および0.05%のアジ化ナトリウムを含むことができる。
【0085】
捕捉
プローブを標的核酸分子とハイブリダイズさせ、二本鎖核酸ハイブリッドを形成させた後、二本鎖核酸ハイブリッドに特異的な分子によって、ハイブリッドを捕捉する。二本鎖核酸ハイブリッドに特異的な分子には、これに限定されないが、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、限定されないが、RNAseHなどのタンパク、限定されないが、アプタマーを含む核酸、または配列特異的核酸などが挙げられる。アプタマーは、標的とハイブリダイズすること、ハイブリダイズしたアプタマーを増幅すること、および選択処理を繰り返すことにより、配列ライブラリから連続的に選択される無作為配列の短鎖である。1つの態様において、二本鎖核酸ハイブリッドに特異的な分子は、抗ハイブリッド抗体として知られる抗体により捕捉される。
【0086】
1つの態様において、当業者に一般的である技術を用いて、抗ハイブリッド一次抗体を支持体に固定する。適当な支持体の例は、共有結合または吸着を含む。例えば、タンパク質−タンパク質相互作用、タンパク質Gビーズ、ビオチン−ストレプトアビジン相互作用、カルボキシル基またはトシル基などに結合するEDACなどがある。あるいは、例えばアフィニティカラム中の配列特異的核酸を用いて固体支持体に直接ハイブリダイズする。
【0087】
支持体には、これに限定されないが、ビーズ、以前に示したように、常磁性、反磁性、強磁性、強磁性、および反磁性ビーズを含む電磁ビーズ、カラム、プレート、ろ紙、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、および試験紙などがある。液相の抽出をさせ、結合した抗体および結合していない抗体を分離する能力を提供する能力さえあれば、任意の支持体を使用することができる。電磁ビーズは、溶液中に放置することができる点で特に有益であり、磁場がビーズを固定するために利用されていれば、液相を抽出するか、または移すことができる。直径で約1μmのビーズなど、小さく、高表面積を有するビーズが好ましい。(磁場に対して)スイッチング電荷またはシリカによる捕捉を利用する他のビーズも、使用することができる。
【0088】
ハイブリッドを、支持体に付着させた抗ハイブリッド抗体と、十分な時間インキュベートして、固定した抗ハイブリッド抗体による二本鎖核酸ハイブリッドの捕捉を可能にする。1つの態様において、支持体はビーズである。
【0089】
抗ハイブリッド抗体は、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体でよい。1つの態様において、抗体はモノクローナルである。1つの態様において、1−エチル−3−[3−ジメチルアミノプロピル]カルボジイミド塩酸塩(EDAC)結合剤により、抗体を支持体と結合する。1つの態様において、支持体はポリスチレンビーズである。1つの態様において、抗体に結合した支持体またはビーズは、ビーズ希釈緩衝液で希釈される。ビーズ希釈緩衝液は、ビーズ上のタンパク質変性を最小限にするのに役立つ。ビーズ希釈緩衝液の1つの例は、6%のカゼイン、100mMのトリス−HCl、300mMのNaCl、および0.05%のアジ化ナトリウムを含む。
【0090】
1つの態様において、抗ハイブリッド抗体でコーティングされたビーズを、約30分間、約67〜約70℃でサンプルとインキュベートする。別の態様において、ビーズおよびサンプルを、約30分間、約68〜約69℃でインキュベートする。さらに別の態様において、ビーズおよびサンプルを、30分間、約68.5℃でインキュベートする。インキュベーションの時間は約5〜約60分、約15〜約45分、約20〜約40分、または列挙した範囲内の任意の数値でよく、通常、温度に反比例する。インキュベーション時間、温度、および/または振とう条件は、選択する所望の捕捉反応速度を得るために変更できることは、当業者により理解されるであろう。
【0091】
上記のように、標的核酸/プローブハイブリッドの捕捉のあと、捕捉されていない核酸を洗い流すことにより、捕捉されたハイブリッドを残りのサンプルから分離できる。
【0092】
複合体
この方法の別の工程は、二本鎖核酸ハイブリッドに特異的であるか、あるいは一次抗体に特異的である、二次抗体を提供することを含むことができる。二次抗体を、直接または間接的に、検出可能な程度に標識することができ、モノクローナルまたはポリクローナル抗体でよい。1つの態様において、二次抗体はモノクローナルである。別の態様において、二次抗体は検出可能なマーカーで直接標識され、モノクローナルである。二次抗体は二本鎖核酸ハイブリッドの存在を検出するのに使用される。1つの態様において、二次抗体は検出することができるシグナルを提供する、基質と反応する必要がある標識を有する。二次抗体を、適当な緩衝液に溶解してよい。1つの態様において、緩衝液は100mMのトリスHCl、pH7.4、0.5MのNaCl、0.1mMのZnCl、1.0mMのMgCl、0.25%のツイーン20、0.2mg/mlのRNaseA、4%のヒドロキシプロピル−b−シクロデキストリン(シクロデキストリン)、前に論じたように、30%のビーズ希釈緩衝液、0.05%のヤギIgG、0.05%のアジ化ナトリウムを含む。
【0093】
1つの態様において、結合反応は室温で行われる。1つの態様において、結合反応は、約1〜2時間、室温で行われる。別の態様において、結合反応は約2時間、室温で行われる。別の態様において、結合反応は、約37℃、約45℃、または約50℃で行われる。1つの態様において、結合反応は、約20〜約40分間、約37℃、約45℃、または約50℃、35〜約40℃、40〜約50℃で行われる。1つの態様において、結合反応は、約37℃、約45℃、または約50℃で約20〜40分間行われる。別の態様において、結合反応は約30分間、約45℃で行われる。
【0094】
任意の検出可能な標識は、例えば、これに限定されないが、酵素、放射性分子、蛍光分子、または金粒子などの金属粒子を使用できることは、当業者により理解されるであろう。ある種の態様において、検出可能な標識はアルカリホスファターゼである。標識を抗体に結合する方法は、公知である。例えば、一価抗体の断片を生成するため、抗体をジチオトレイトール(DTT)で還元することができる。その後、還元された抗体を、マレイン化されたアルカリホスファターゼに直接結合することができ、この方法はIshikawa et al.、J.Immunoassay 4:209〜237(1983)およびMeans et al.、Chem.1:2〜12(1990)により、それぞれの内容はその全体を参照により本明細書に組み込む。結果として生じる複合体を、HPLCで精製することができる。サイズ排除クロマトグラフィの任意の型を用いて、複合体を精製してもよい。精製の1つの効果は、1つのタンパク質と1つの抗体の複合体を、タンパク質と抗体の他の比率を有する複合体から分離できることである。
【0095】
別の態様において、二本鎖核酸ハイブリッドを、直接標識されていない抗ハイブリッド二次抗体で検出することができる。例えば、二次抗体は、標識しヤギ抗マウス抗体により検出されるマウス免疫グロブリンであってよい。
【0096】
洗浄
二次抗体との結合に続いて、サンプルを塩基性の洗浄緩衝液で洗浄する。洗浄緩衝液は、1種または複数の界面活性剤を含んでよく、界面活性剤を含まない場合もある。洗浄緩衝液が界面活性剤を含有する場合、界面活性剤はイオン性または非イオン性界面活性剤でよい。非イオン性界面活性剤の1つの例はTriton−Xである。界面活性剤は、洗浄緩衝液中に、約0.05〜約1.5%、約0.075〜約1.0%、約0.1〜約0.75%、または約0.5%、あるいは、列挙した範囲内の任意の数値の濃度で存在してもよい。適当な洗浄緩衝液の1つの例は、40mMのトリス、pH8.2、100mMのNaCl、0.5%のTriton−X 100、および0.05%のアジ化ナトリウムを含む。
【0097】
サンプルを、洗浄緩衝液を用いて、1〜10回、3〜7回、4〜6回、または5回、あるいは列挙された範囲内の数値の回数分、洗浄してよい。また、サンプルを、単一の洗浄緩衝液または複合的な洗浄緩衝液を用いて洗浄することができる。各洗浄は、同じ洗浄緩衝液または異なる洗浄緩衝液を使用してよい。例えば、界面活性剤含有の洗浄緩衝液は、1回の洗浄に使用することができ、一方、界面活性剤を含まない洗浄緩衝液は、別の洗浄に使うことができる。1つの態様において、洗浄緩衝液の1つは、Tritonを含まない。
【0098】
界面活性剤含有洗浄緩衝液の1つの利点は、界面活性剤を含まない洗浄緩衝液と比較して、ビーズの動きに対する優良な効果である。界面活性剤含有洗浄緩衝液は、磁場へのビーズの迅速、効果的、および弾性のある結合を可能にする。物理的に倒置および傾斜させても、ビーズが結合したままであるほど、磁場へのビーズの結合は十分強い。一般に、界面活性剤を含まない洗浄緩衝液は、ビーズの紛失することなく物理的倒置を可能にすることはないが、他の目的で使用できる。界面活性剤を含まない洗浄緩衝液の使用例とは、サンプル中の界面活性剤の除去または希釈であり、これによって、起こりうる検出時の問題を減少させる。
【0099】
検出
二次抗体、または三次抗体、またはそれ以上の抗体に存在する標識は、標的核酸分子の存在を示すために検出される。様々な標識を検出する方法は、当技術分野で公知である。例えば、比色分析、放射能による方法、表面プラズモン共鳴、化学発光法は、例えば、Coutlee et al.、J.Clin.Microbiol.27:1002〜1007(1989)に述べられており、その内容は、その全体を参照により本明細書に組み込む。
【0100】
例えば、結合したアルカリホスファターゼ複合体を、LUMI−PHOS530試薬(Lumigen、デトロイト、ミシガン州)、またはDR2(Applied Biosystems、フォスターシティー、カリフォルニア州)などの試薬を用いて、E/LUMINAルミノメーター(Source Scientific Systems,Inc.、ガーデングローブ、カリフォルニア州)、OPTOCOMPILuminometer(MGM Instruments、ハムデン、コネチカット州)、または同様のもの、例えば、Turner BiosystemsのVeritas Microplate Luminometerなどの検出器を使用して、化学発光を検出することができる。複合的な検出技術も、順番にまたは並行して使用することができる。例えば、複合体を、化学発光および蛍光発光により検出することができる。別の態様において、複合体を化学発光により検出することができる。
【0101】
複合体の様々な検出技法を利用する検出器は、サンプル中の標的核酸分子の存在を測定する方法を実行することができる機械に、例えばモジュール方式によって、可逆的または不可逆的に取り付けられている場合がある。
【0102】
本明細書で述べたように、二次抗体の標識の検出は、1つまたは複数のプローブに相補的な、サンプル中の1つまたは複数の標的核酸分子の存在を示す。洗浄に続いて、例えば、二次抗体の標識に対する基質を含む、検出緩衝液にサンプルを懸濁する。
【0103】
1つの態様において、サンプルは子宮頸部細胞を含む。子宮頸部細胞のサンプル中の標的核酸分子の存在を測定する方法は、界面活性剤ベースの回収培地でサンプルを懸濁する工程、および手動で混合する工程を含む。別の態様において、混合は機械による。サンプルのおおよそ50μlのアリコートを取り出し、約25μlの変性試薬と混合する。サンプルを手動で混合するか、または約30〜約60秒間、約600〜約1200rpmで機械的に振とうし、約30分間、約70℃で加熱する。高リスク型HPVのRNAプローブを希釈液中に調製し、約375ng/mlにまで希釈する。希釈したプローブの約40μlを70℃のヒーティングブロックでサンプルに添加する。サンプルを、約68.5℃で、約1150rpm、約30分間、さらに振とう培養する。上清をドロッパーボトルまたはその他のローテク器具で取り除くことができる。約35μlの検出試薬をサンプルに添加する。検出試薬は、標識された二次抗体を含む。二次抗体は二本鎖核酸ハイブリッドに特異的である。検出試薬を含むサンプルを、約45℃、約30分間インキュベートし、約30秒〜3分間、磁性の台に静置し、上清を移す。別の態様において、検出試薬を含むサンプルは、室温でインキュベートされる。その後、約4〜5回、洗浄緩衝液でサンプルを洗浄する。
【0104】
抗ハイブリッド抗体
二本鎖核酸ハイブリッドに特異的な抗体を用いて、本発明に従って形成された二本鎖核酸ハイブリッドを捕捉および検出することができる。該抗体は、これらに限定されないが、RNA−DNA、DNA−DNA、RNA−RNAおよびその模倣体などの二本鎖ハイブリッドに対して特異的であり、模倣体とは、RNA−DNA、DNA−DNA、またはRNA−RNAハイブリッドと同様に作用する分子を言う。抗二本鎖核酸ハイブリッド抗体、すなわち利用される抗ハイブリッド抗体は、形成される二本鎖核酸ハイブリッドのタイプに依存する。1つの態様において、抗ハイブリッド抗体は、RNA−DNAハイブリッドに免疫特異的である。
【0105】
ポリクローナルまたはモノクローナル抗ハイブリッド抗体のどちらかが、以下に記述する通り、本分析において、ビーズに使用できる、および/または結合できる、および/または支持体に固定できることは、当業者により理解されるであろう。ポリクローナル抗体の代わりに、一般的な技術を用いて調製されたモノクローナル抗体を使用することができる。モノクローナル抗体は、当技術分野で一般的な方法により作成することができる。1つの態様において、標的核酸の捕捉および検出に使用される抗体は、モノクローナル抗体である。1つの態様において、モノクローナル抗体は、捕捉工程の間に非常に厳密なインキュベーション温度を維持する。限定されないが、捕捉工程の間の非常に厳密なインキュベーション温度は、約65〜約75℃または約68〜約75℃でよい。一次抗体および二次抗体は、捕捉と検出のため同じでも(つまり、同じハイブリッドミエローマ細胞株により作成された)、または異なってもよく、様々なハイブリッドミエローマ細胞株により作成することができる。1つの態様において、捕捉および/または検出に使用されるモノクローナル一次抗体およびモノクローナル二次抗体は同じであり、RNA−DNAハイブリッドに対して特異的である。また、二本鎖ハイブリッドに対して特異的な抗体の免疫断片または誘導体も含まれ、かかる断片または誘導体は抗体の結合領域を含有する。
【0106】
例えば、RNA−DNAハイブリッドを用いて免疫された、脾臓細胞と結合したミエローマ細胞由来のモノクローナル抗RNA−DNAハイブリッド抗体を、使用することができる。固体支持体に固定されたRNA−DNAハイブリッドに対するアフィニティ精製により、ハイブリッド特異的抗体を精製することができ、これは例えば、Kitagawa et al.、Mol Immunology、19:413(1982)および米国特許第4,732,847号に記載されている通りであり、各内容は、その全体を参照として本明細書に組み込む。
【0107】
ヒトまたは人工抗体を含む抗体を、生成または単離するその他の適当な方法を使用することができ、これは例えば、ライブラリから、組換え型抗体(例えば、一本鎖FまたはFab、あるいはそのその他の断片)を選択する方法、またはヒト抗体のレパートリーを生成することができるトランスジェニック動物(ネズミなど)の免疫に頼る方法(例えば、Jakobovits et al.、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90:2551(1993);Jakobovits et al.、Nature、362:255(1993);米国特許第5,545,806号、および米国特許第5,545,807号を参照のこと。それぞれの内容は、その全体を参照により本明細書に組み込む)などである。
【0108】
1つの態様において、検出される標的核酸分子はDNA(例えば、HPVゲノムDNAまたはcDNA)、またはRNA(例えば、mRNA、リボソームRNA、核RNA、トランスファーRNA、ウイルスRNA、ヘテロ核RNA)であり、1つまたは複数のポリヌクレオチドプローブはそれぞれ、ポリリボヌクレオチドまたはポリデオキシリボヌクレオチドである。好ましい態様において、二本鎖核酸ハイブリッドは、標的DNAおよびプローブRNAのハイブリダイゼーションにより形成されるDNA−RNAハイブリッドであり、RNA−DNAハイブリッドに対して免疫特異的である抗体を用いて検出することができる。
【0109】
本発明の態様において、ハイブリドーマ細胞株由来のモノクローナル抗RNA−DNAハイブリッド抗体を使用する。このようなハイブリドーマ細胞株は米国特許第4,865,980号、米国特許第4,732,847号、および米国特許第4,743,535号に記載され、それぞれの内容は、その全体を参照により本明細書に組み込む。ハイブリッド特異的モノクローナル抗体を、当技術分野で一般的な技法を使用して、調製することができる。ハイブリッド特異的モノクローナル抗体は、標的核酸の捕捉および検出の両方で、使用することができる。
【0110】
任意の脊椎動物を、ポリクローナル抗RNA−DNAハイブリッド抗体の調製に使用してよいが、ヤギまたはウサギが好ましい。好ましくは、従来の注射手順に従って、ハイブリッドを動物に注入することにより、ヤギまたはウサギを合成ポリ(A)−ポリ(dT)ハイブリッドで免疫化する。周知の抗体単離技術に従って、免疫した動物種に特異的な抗体を使用し、動物の血液からポリクローナル抗体を回収し精製する。モノクローナル抗体の生成について、十分な時間をおいてから脾臓を動物から取り出し、脾細胞をハイブリドーマを生成する適当なミエローマ細胞と結合させる。その後、抗ハイブリッド抗体の分泌する能力について、ハイブリドーマをスクリーニングすることができる。選択されたハイブリドーマを、腹水生成のため、もう1つの動物の腹膜腔に注入するのに使用することができ、これは参照により本明細書に組み込んだ、所望のモノクローナル抗体の富んだソースとして抽出され、使用することができる。
【0111】
ポリヌクレオチドプローブ
ポリヌクレオチドプローブは、標的核酸分子とハイブリダイズまたは結合するように設計される。別の態様において、ポリヌクレオチドプローブは、標的核酸分子と結合するように設計される。1つの態様において、プローブはHPVおよび高リスク型HPV変異体とハイブリダイズまたは結合することができる。追加の態様において、ポリヌクレオチドプローブは、HPVおよび高リスク型HPV変異体に特異的である。高リスク(HR)核酸プローブは、高リスク型HPVである16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66、68、および82型に対するプローブを含んでよい。別の態様において、RNAまたはDNAプローブは断片である。1つの態様において、プローブは約6〜約8キロベースの長さであり、約7.5キロベースが好ましく、プラスミドテンプレートおよびBLUESCRIPTベクターを用いて生成することができる。しかしながら、その他のプラスミド、ベクター、および方法は、当技術分野で公知であり、本明細書に記載された、RNAプローブを生成するのに使用し得る。
【0112】
プローブは、分析1回あたりHPV型1つにつき、約7.5〜約60ng、または分析1回あたりHPV型1つにつき、約20〜約45ngの量で変動することがあり、あるいは分析につき各HPV型に対するプローブの約30ngを使用する。したがって、1つの態様において、HRプローブは、高リスク型HPVである16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66、68、および82型に対するプローブ、または低リスク型HPVである6、11、40、43、53、61、67、69、70、71、72、81、および83型に対するプローブのうち、1つまたは複数からなる、または本質的にからなる。分析によって、各プローブの約30ngが、標的核酸分子の検出に使用される。
【0113】
RNAプローブは、標的核酸分子にのみ特異的に結合する、短鎖合成RNAプローブでよい。その例は、2009年4月17日に出願の、米国特許出願第12/426,076号に記載され、内容は、その全体を参照により本明細書に組み込む。
【0114】
交差反応
また、本発明は、分析組成物、プローブ、および条件を提供する。HPV HRプローブセットおよび低リスク型HPVの交差反応は、標準のFDAに認可されたHPV分析およびプローブセットと比較して、劇的に減少する。1つの態様において、HPV HRプローブセットは、高リスク型HPVである16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66、68、および82型、または低リスク型HPVである6、11、40、43、53、61、67、69、70、71、72、81、および83型からなる群から選択される。これらのHR HPVプローブと共に、本分析を用いると、低リスク型HPVおよび高リスク型HPVプローブ間の交差反応は減少する。例えば、米国特許出願第12/426,076号を参照のこと。
【0115】
本発明はまた、約2時間以下、約2時間半以下、約3時間以下、約3時間半以下、約4時間以下、約5時間以下、約6時間以下、約7時間以下、約8時間以下、約12時間以下、約24時間以下で、サンプル中のHPVなどの標的核酸分子の存在を測定するための方法も提供し、他の態様においては、上記の方法を用いて少なくとも10サンプルについて約3時間半以下である。HPVまたは他の標的核酸分子の存在を短時間で測定できることの1つの理由は、この方法が検出前に標的核酸分子の増幅を行わないためである。標的の増幅の代わりに、シグナル増幅を、HPVまたは他の標的核酸分子の存在を正確に検出するのに使用することができる。1つの態様において、この開示の方法は、シグナル増幅工程を含んでよい。1つの態様において、この開示の方法は、標的増幅工程を含まない。別の態様において、この開示の方法は、シグナル増幅工程を含み、標的増幅工程は含まない。
【0116】
また、本開示は、サンプル中のHPVなどの標的核酸分子の存在を検出することによって、約2時間以下、約2時間半以下、約3時間以下、約3時間半以下、約4時間以下、約5時間以下、約6時間以下、約7時間以下、約8時間以下、約12時間以下、約24時間以下で、子宮頸癌などの癌を検出する方法および分析を提供し、他の態様においては、上記の方法および分析を用いて少なくとも10サンプルについて約3時間半以下である。
【0117】
多くのプラットホーム、これに限定されないが、チューブ、試験紙、マイクロアレイ、マイクロプレート、384ウェルプレート、他のマイクロタイタープレート、マイクロ流体システムなどで本発明を実施できることは、当業者により理解されるであろう。開発途上国と関連するように、液体の移動を伴う工程用にドロッパーボトル、ゴム球、パスツールピペット、または霧吹きなど、低技術の方法を使用できることは、当業者に理解されるだろう。これらの器具は、分析に必要とされるおおよその範囲内の比較的正確な容量を供給する。1つの態様において、本開示の方法は、自動分注器、または他の電池で動く、もしくはエネルギーで動くピペット装置を含まない。
【0118】
本発明の別の態様は、標的核酸を含むサンプルが回収される回収培地を提供する。回収培地は、数日、数週間、または数カ月間の、サンプルの安定を提供する。例えば、回収培地は、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも1カ月、少なくとも2カ月、少なくとも3カ月、少なくとも4カ月、少なくとも5ケ月、少なくとも6カ月、約1〜約4週間、約1〜3カ月、約3〜約4カ月、約3〜約6カ月間のサンプルの安定を提供する。別の態様において、回収培地は、少なくとも21日間にわたり33℃で、または少なくとも6カ月間にわたり20℃でサンプルの安定を提供する。1つの態様においては、上記のサンプルは、子宮頸部細胞サンプルまたはヒト子宮頸部細胞サンプルである。適当な回収培地は、本明細書で述べられる。ある態様において、回収培地は、NP−40、デオキシコール酸、トリス−HCl、EDTA、NaCl、およびアジ化ナトリウムを含む、からなる、または本質的にからなる。他の態様において、回収培地は1.0%のNP−40、0.25%のデオキシコール酸ナトリウム、50mMのトリス−HCl、25mMのEDTA、150mMのNaCl、および0.05%のアジ化ナトリウムを含む、からなる、または本質的にからなる。
【0119】
別の態様は、40mMのトリスpH8.2、100mMのNaCl、0.1〜0.5%のTriton X−100、および0.05%のアジ化ナトリウムを含む、かならる、または本質的にからなる、界面活性剤を含有する洗浄緩衝液である。さらに別の態様は、40mMのトリスpH8.2、100mMのNaCl、および0.05%のアジ化ナトリウムを含む、からなる、本質的にからなる、界面活性剤を含まない洗浄緩衝液である。
【0120】
核酸分子の回収、検出および解析用のサンプル変換
ある態様は、以前から診断解析用に調製されていたサンプルに、回収培地を添加することに関する。1つの態様において、回収培地が添加されるサンプルは、以前から液状化細胞診(LBC)分析に使用するため、調製されてきた。LBC培地は、アルコールおよびホルマリンなど、組織固定剤を含み、これは、サンプルを安定化し、細菌の成長を阻害し、細胞形態および診断クラスタを保存し、組織の単層細胞診スライドの調製を確保する。しかしながら、SUREPATHなど生物学的サンプルを保存するために使われる多くの組成物は、解析する核酸分子に有害となるアルコールまたはホルマリンを含む。1つの態様において、細胞診スライドは、子宮頸部細胞サンプルまたは評価対象となる、その他の生物学的サンプルを含む。1つの態様において、SUREPATH培地を、LBCサンプルの調製に使用する。
【0121】
細胞診調製に加えて、LBCサンプルを、数ある中でも、ヒトパピローマウイルス(HPV)、淋菌(GC)、クラミジア・トラコマチス(CT)を含む、一般的な性感染症病原体などの疾患の検出に使用することができる。スクリーニングツールとしての利用を補うため、LBCサンプルを特定疾患の治療後、患者のウイルスクリアランスを観察するために使用することができ、さらなる追跡調査および治療計画を報告する。1つの態様において、LBCサンプルのHPV検査を、子宮頸部疾患治療後の患者のウイルスクリアランスを観察するために使用することができる。
【0122】
1つの態様において、生物学的サンプルは、SUREPATH培地などの培地で回収および保存される。生物学的サンプルを含む保存培地は、さらなる処理が必要となるまで、保存される。生物学的サンプルを含む保存培地を、取り出して水に懸濁することができ、これによって「ソフトペレット」を形成する。ソフトペレットの一部を取り除き、スライド上で解析してもよい。1つの態様において、サンプルをLCB分析を用いて調製する。SUREPATHなど、より多くの保存培地を残りのソフトペレット懸濁液に添加するかわりに、本明細書で記載する界面活性剤ベースの回収培地を、残りの生物学的サンプルに添加してもよい。本明細書で記載する界面活性剤ベースの回収培地に分散させたサンプルを、核酸分子の検出分析によって、直接解析することができる。さらに、界面活性剤ベースの回収培地に懸濁させた、生物学的サンプルは、室温で、少なくとも11日間安定である(図6)。
【0123】
開示された界面活性剤ベースの回収培地のいくつかを、ソフトペレットに添加することができる。別の態様において、界面活性剤およびキレート剤の培地を、ペレットの再可溶化するために使用してもよい。限定されない態様において、約0.5〜約2.0%のNP−40、約0.10〜約0.40%のデオキシコール酸ナトリウム、約25〜約75mMのトリス−HCl、約10〜約50mMのEDTA、約50〜約200mMのNaCl、および約0.01〜約0.10%のアジ化ナトリウムを含む回収培地を、ソフトペレットを可溶化するために使用してもよい。界面活性剤ベースの回収培地の添加後、本明細書で記載した方法または分析のいずれかと併せて、ソフトペレットサンプルを解析してもよい。
【0124】
キット
提供したように、サンプル中の標的核酸分子の検出用キットは、
a)回収培地と、
b)変性試薬と、
c)少なくとも1つのポリヌクレオチドプローブと、
d)抗ハイブリッド一次抗体でコーティングされたビーズと、
e)検出可能な程度に標識された抗ポリハイブリッド二次抗体を含む、検出試薬と、
f)洗浄緩衝液と、
g)二次抗体の標識に対する基質を含む第2検出試薬と
を含む、からなる、または本質的にからなる。
【0125】
回収培地、変性試薬、ビーズ、一次抗体および二次抗体、ポリヌクレオチドプローブ、検出試薬、および洗浄緩衝液は、これまでに述べてきた。
【0126】
また、このキットは開示した方法および分析に関連する、記述した手順の取扱説明書を含む。このキットは、患者情報を書き記す手段も含む。1つの態様において、この手段には、紙、コンピュータ、または患者情報を送信することができる装置が含まれる。このキットは、患者のサンプルを採取する同じ場所で、この方法を完了するのに必要な要素をすべて含むことができる。
【0127】
1つの態様において、キットは検出分析に関連する色分けされた試薬を含んでよい。この試薬バイアルは、使いやすいように色分けされ、キットに同封してもよい。また、試薬ボトルを、記号、文字、またはその他の公知の識別子により、同定してもよい。
【0128】
キットの個々の要素は使いやすいプラットホームにまとめられているため、本明細書で記載したキットの1つの利点は、緊急のサンプル試験を提供することである。これは、患者の結果を迅速に測定することを可能にする。
【0129】
1つの態様において、開示の方法は、その現場で患者サンプルを回収および処理する工程を含んでよい。1つの態様において、サンプルを回収した後、患者のサンプルを回収した同じ場所で、一部の工程を行う。別の態様において、サンプルを回収した同じ場所で、方法の全工程を行うことができる。患者が健康診断および評価を受けるその場所は、村、診療所、研究室、または地域社会の地区かもしれない。その場所は、常設かも、一次的かもしれない。1つの態様において、核酸分子は、サンプルを採取する場所から離れていない、研究室または診療所などの場所で検出される。1つの態様において、キットは開発途上国または医療が簡単に行きとどかない場所での使用に指定される。
【0130】
システム
1つの態様において、サンプル中の標的核酸分子の存在を検出する携帯用システムを用いて、サンプルを解析してもよい。この携帯用システムは、複数のサンプルを加熱するために構成されたヒーターと、一次抗体でコーティングされかつ検出可能なマーカーで標識された二次抗体と結合した支持体上での、標的核酸分子の化学発光を検出するように構成されたルミノメーターと、化学発光データ(図7)を記録するように構成されたモニターを含んでよい。1つの態様において、ヒーターはヒーターと攪拌機を組み合わせたものである。1つの態様において、システムは、1回に90サンプルと6コントロール(全部で96サンプル)を、同時に解析するように設計される。1つの態様において、ルミノメーターおよびヒーターはともに、1回に90サンプルと6コントロール(全部で96サンプル)を同時に解析するように設計される。また、システムは1回に少なくとも500サンプルの結果を記録することができる。携帯用システムおよび関連試薬は、図6、図7、図8に記載されている。
【0131】
限定されないが、携帯用システムの個々の要素は、医者または研究室の技術者などが、個別に簡単に運ぶことができ、重量は10ポンド未満、20ポンド未満、30ポンド未満、または40ポンド未満である。別の態様において、標的核酸分子を検出する携帯用システムの全体の重さは、20ポンド未満、30ポンド未満、40ポンド未満、50ポンド未満、100ポンド未満であり、簡単に運べるように設計されている。
【0132】
携帯用システムおよび分析は、サンプルを採取した現場またはその地域での使用のために設計され、必要とされる卓上での占有面積は小さい(例えば、約25x50cmまたはそれ以下)。1つの態様において、携帯用システムは、電気、電源または流水がなくても動くように設計される。また、携帯用システムを、電池で完全に動かすことができる。本明細書に記述した方法を用いて、記述したキット、分析と使用するため、携帯用システムを設計することができる。まとめると、キットおよび携帯用システムは、開発途上国、または実験室サンプルを解析する最新式の研究室装置もしくは施設が不足している他の地域で、サンプルを解析し、核酸サンプルを検出する、効率的で迅速な方法を提供する。
【0133】
範囲が本明細書に記載されているとき、範囲内の任意の数値は、本明細書に記載の発明に含まれることに注意する。記載したすべての特許、特許出願、科学出版物などの全内容は、参照によりその全体をここに組み込む。以下の実施例は、本発明の範囲を制限するものではない。
【実施例】
【0134】
実施例1:子宮頸部サンプルおよびHPVプローブを用いる分析
医者により回収された、計324個の子宮頸部サンプルは、界面活性剤ベースの回収培地で回収され、高リスク型HPVの存在を検査した。
【0135】
1mlのサンプルをボルテックスして、サンプルを均質にし、50μlのアリコートを取り出し、分析用マイクロプレートで25μlの変性試薬(1.75NのNaOH)と合わせた。これを撹拌して混合し、70℃で30分間インキュベートして、一本鎖DNAを生成した。これに、16型HPVのRNAプローブを含む40μlの中和緩衝剤(プローブ希釈液−2.2MのBES、2.6%のPAA、0.7NのNaOH、および0.05%のアジ化ナトリウム)を添加して、中性pHにし、68.5℃で10分間、インキュベートした。
【0136】
この次に、10μlの抗体が結合した常磁性ビーズ(約1μmのThermo Fisherのカルボキシル化されたSERADYNビーズ)を反応に添加し、さらに30分間、68.5℃でインキュベートした。互いに相補的なRNAプローブおよびDNA標的分子は結合して、RNA−DNAハイブリッドを形成する。その後、このハイブリッドは、常磁性SERADYNビーズにコーティングされた、RNA−DNAハイブリッド特異的抗体により捕捉される。
【0137】
インキュベーションに続いて、磁場に曝露することで、液相/上清から常磁性ビーズを分離させる。上清のごみを、デカンティングによって取り除き、35μlの検出試薬1(アルカリホスファターゼと結合したモノクローナル抗RNA−DNAハイブリッド抗体を含む酵素と結合した二次抗体)を添加して、45℃で30分間インキュベートする。二次抗体が、RNA−DNAハイブリッド−抗体−常磁性ビーズ複合体に結合する。結合していない二次抗体は、界面活性剤ベースの洗浄緩衝液(40mMのトリス、pH8.2、100mMのNaCl、0.1%のTriton−X 100、および0.05%のアジ化ナトリウム)を用いて、洗い流される。
【0138】
基質(DCP Starと呼ばれるABIのジオキセタンベースの基質、Emerald II enhancerと一緒に)を洗浄したビーズおよびウェルに添加し、これらが有する高リスク型HPVのDNAが生成する、ルミノメーターにより検出可能な光を、RLU(相対発光量)について測定する。1pg/mlのHPV DNAを含有する分析のポジティブスタンダードを使用して、ポジティブカットオフ値を規定する。全サンプルのRLU値は、ポジティブスタンダードが生成するRLU/CO(カットオフ値に対するRLU)について、RLU値で分割する。結果はRLU/COで記録され、1.0より大きいまたは等しいものは、陽性と見なされる。
【0139】
実施例2:検査の安定性
最初の試験に続いて、サンプルの安定性を観察するため、サンプルを室温および33℃で保存した。試験は、回収後21日間の範囲で行った。図3および4は、各サンプルのRLU/CO値が21日までの期間で変化しないことを示す。基準となる結果を、21日間の保存後の結果と比較する2x2解析、および散布図解析は、経時的にRLU/CO値の線形性を示した。これらのデータをもとに、21日間の範囲で、室温と33℃のどちらかで回収および保存されたサンプルが、ベースラインに匹敵するRLU/CO値を提供すると結論付けることができる。線形混合モデルを使用して、保存温度に対するRLU/CO値を比較すると、P値は室温で0.8803であり、サンプルを33℃で保存すると、0.9517であり、これは等しい値を示す。
【0140】
実施例3:検出限界研究
16型HPVの検出限界(LOD)は、回収培地中のHPV−16型プラスミド標的の連続希釈法により測定した。試験結果は、HPV16型DNAの1000コピーと同等である0.2pg/mlのHPV16型プラスミドについて、S/N?2.0を示す。図5を参照のこと。さらに、3週間の安定性研究を、ルワンダなど、比較的高温の影響下にある地域の条件に近付けるため、高温で臨床試料について実施した。すべての生物学的に変化しやすいキットの要素(RNAプローブ、捕捉抗体、検出抗体−酵素複合体、および基質)は、生成過程の一環で安定であり、37℃で18カ月以上の安定性を観測した。
【0141】
実施例4:核酸のSUREPATHペレット変換および回収
この実施例において、SUREPATHペレット変換および核酸回収に関する典型的なワークフローを記述する。SUREPATH培地のワークフローは、最初のサンプルの初めの回収を含み、これは移行部またはサンプル回収点での子宮頸部上皮細胞の回収に使用されるサイトブラシでよい。ブラシにつき、平均2X10^8の子宮頸部細胞を回収し、これを回収バイアル中の10mlのSUREPATH培地で保存することができる。バイアルは封をすることができ、さらに処理を行うまで、室温または4℃で、固定培地で細胞をインキュベートした。その後、細胞懸濁液を自動密度勾配精製スキームの影響下におき、平均総細胞数が1.6X10^8細胞である、得られた細胞ペレットを、最終液量を1mlとして、水で懸濁することができる。この水ペレットを「ソフトペレット」または「希釈されていないソフトペレット」と呼ぶ。
【0142】
200μLのソフトペレットを、細胞診のための自動スライド調製プロトコールに使用することができ、800μLに平均総細胞数1.3X10^8を残している。スライド調製用に200アリコートを取り出し、1〜2mLの新鮮なSUREPATH培地を、残りの800μLのソフトペレットに添加して、スライドを作り直さなければならない場合に備えて、ソフトペレットを安定、保存する。ほとんどの場合、この残りの2〜3mLのサンプルは、細胞診の結果を記録した後に破壊される。
【0143】
本明細書に記述した界面活性剤ベースの培地を、残りの800μLのソフトペレットに添加することができる。本明細書に記述した界面活性剤ベースの回収培地のいずれかを、残りの800μLのソフトペレットに添加することができる。1つの態様において、この培地は、1.0%のNP−40、0.25%のデオキシコール酸ナトリウム、50mMのトリス−HCl、25mMのEDTA、150mMのNaCl、および0.05%のアジ化ナトリウムを含むことができる。界面活性剤ベースの回収培地の添加後、ソフトペレットサンプルを、本明細書で記載した方法または分析のいずれかと併せて、解析することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1種の界面活性剤を含む回収培地に懸濁された生物学的サンプルと、
(b)変性試薬と、
(c)標的核酸分子に結合することができる、少なくとも1つのポリヌクレオチドプローブと、
(d)一次抗体でコーティングされた支持体と、
(e)検出可能なマーカーで標識された二次抗体と
を含む組成物。
【請求項2】
前記生物学的サンプルが子宮頸部細胞サンプルである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記回収培地が、NP−40、デオキシコール酸ナトリウムおよびEDTAを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記回収培地が、約0.5〜約2.0%のNP−40、約0.10〜約0.40%のデオキシコール酸ナトリウム、および約10〜約50mMのEDTAを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記生物学的サンプルが、33℃で少なくとも21日間にわたり前記回収培地で保存されたときに安定である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1つのポリヌクレオチドプローブが、高リスク型HPVである16、18、26、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66、68および82型に対するプローブからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
(a)約0.5〜約2.0%のNP−40、約0.10〜約0.40%のデオキシコール酸ナトリウム、および約10〜約50mMのEDTAを含む回収培地に懸濁された生物学的サンプルと、
(b)ポリヌクレオチドプローブと
を含む組成物。
【請求項8】
前記回収培地が約0.01〜約0.10%のアジ化ナトリウムをさらに含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記生物学的サンプルが子宮頸部細胞サンプルである、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
前記生物学的サンプルが、33℃で少なくとも21日間にわたり前記回収培地で保存されたときに安定である、請求項7に記載の組成物。
【請求項11】
前記生物学的サンプル中の核酸分子が変性している、請求項7に記載の組成物。
【請求項12】
(c)一次抗体でコーティングされた支持体
をさらに含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項13】
(d)二次抗体
をさらに含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記二次抗体が検出可能なマーカーで標識される、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
サンプル中の標的核酸分子の検出用キットであって、
a)界面活性剤を含む回収培地と、
b)変性試薬と、
c)抗ハイブリッド一次抗体でコーティングされた支持体と、
d)検出可能に標識された抗ポリハイブリッド二次抗体を含む、検出試薬と、
e)界面活性剤ベースの洗浄緩衝液と、
f)前記二次抗体の標識に対する基質を含む第2検出試薬と
を含むキット。
【請求項16】
前記回収培地がNP−40、デオキシコール酸塩およびEDTAを含む、請求項15に記載のキット。
【請求項17】
前記回収培地がアジ化ナトリウムをさらに含む、請求項16に記載のキット。
【請求項18】
前記界面活性剤ベースの洗浄緩衝液が、約0.5〜約2.0%のNP−40、約0.10〜約0.40%のデオキシコール酸ナトリウム、約25〜約75mMのトリス−HCl、約10〜約50mMのEDTA、約50〜約200mMのNaCl、および約0.01〜約0.10%のアジ化ナトリウムを含む、請求項15に記載のキット。
【請求項19】
前記界面活性剤ベースの洗浄緩衝液が、約40mMのトリスpH8.2、100mMのNaCl、0.1〜0.5%のTriton x−100、および0.05%のアジ化ナトリウムを含む、請求項15に記載のキット。
【請求項20】
前記希釈液が、BES、ポリアクリル酸、NaOHおよびアジ化ナトリウムを含む、請求項15に記載のキット。
【請求項21】
前記変性試薬が1.75のNaOHである、請求項15に記載のキット。
【請求項22】
ヒトパピローマウイルス(HPV)およびその遺伝的変異体に結合することができる、少なくとも1つのポリヌクレオチドプローブをさらに含む、請求項15に記載のキット。
【請求項23】
前記少なくとも1つのポリヌクレオチドプローブが、高リスク型HPVである16、18、26、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66、68および82型に対するプローブからなる群から選択される、請求項22に記載のキット。
【請求項24】
サンプル中の標的核酸の存在を検出するように構成された装置をさらに含む、請求項15に記載のキット。
【請求項25】
システムがルミノメーターである、請求項24に記載のキット。
【請求項26】
サンプル中の標的核酸分子の存在を検出するための携帯用システムであって、
(a)複数のサンプルを加熱するために構成されたヒーターと、
(b)一次抗体でコーティングされかつ検出可能なマーカーで標識された二次抗体と結合した支持体上での、標的核酸分子の化学発光を検出するため設計されたルミノメーターと、
(c)化学発光データを記録するように構成されたモニターと
を含む、携帯用システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−506705(P2012−506705A)
【公表日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−533405(P2011−533405)
【出願日】平成21年10月26日(2009.10.26)
【国際出願番号】PCT/US2009/062061
【国際公開番号】WO2010/062556
【国際公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(510069559)キアジェン ゲイサーズバーグ インコーポレイテッド (13)
【Fターム(参考)】