説明

近接センサ及び近接センサの製造方法

【課題】ノイズの影響の受け方の各タイプ間のばらつきを抑えることが可能な近接センサを提供する。
【解決手段】ボビン32aにコイル32bが巻回されてなる検出コイル部材32と各種の回路部品33とが基板31に電気的に接続されてなる検出部ユニット21と、検出部ユニット21に電気的に接続され電源供給及び信号伝達を行うためのケーブル22と、ケーブル22の方向を固定するためのベース部23,24とを備え、ベース部23,24の一端部に検出部ユニット21が設けられ、その反対側端部からケーブル22が引き出されるように構成され、基板31の表面31a側に検出コイル部材32が配置され、基板31の裏面31b側に全ての回路部品33が接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検出物の接近やその有無を非接触で検出する近接センサ及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、近接センサは、コイルを有する検出コイル部材と各種の回路部品とが基板に電気的に接続されてなる検出部と、検出部に電気的に接続され電源供給及び信号伝達を行うためのケーブルと、ケーブルの方向を固定するためのベース部とを備えており、検出コイル部材のコイルを発振させ、そのコイルの発振振幅変化に基づいて被検出物の接近やその有無を検出することが可能となっている。
【0003】
このような近接センサにおいて、例えば特許文献1に示すような小型のものでは、ベース部の一端部に検出部が設けられ、その反対側端部からケーブルが引き出されるように構成されている。そして、検出コイル部材の検出軸(コイル軸)の向きがケーブルの方向と垂直をなす構成のフラットタイプと、検出軸の向きがケーブルの方向と平行をなす構成のヘッドタイプとが用意されており、設置箇所に応じて各タイプを使い分けることが可能となっている。各タイプの近接センサにおいて、基板はケーブルの方向に対して平行に配置されており、フラットタイプでは検出コイル部材の検出軸が基板の板面と直交するように配置されている。一方、ヘッドタイプでは、検出コイル部材が基板の先端部側(反ケーブル側)に配置され、その検出軸が基板と平行となるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平1−232631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような近接センサでは、基板に対する検出コイル部材のレイアウトが各タイプで異なっているため、例えば検出コイル部材と基板とを繋ぐリードの長さの違いによるノイズの影響の受け方が各タイプ間で異なってしまい、検出精度がばらついてしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、ノイズの影響の受け方の各タイプ間のばらつきを抑えることが可能な近接センサ及び近接センサの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、コイルを有する検出コイル部材と各種の回路部品とが基板に電気的に接続されてなる検出部と、前記検出部における検出軸に対して垂直方向の端部に直接接続され電源供給及び信号伝達を行うためのケーブルと、前記ケーブルの方向を固定するためのベース部とを備え、前記検出部は、前記基板、前記検出コイル部材、及び前記回路部品が樹脂材料によりモールドされた樹脂モールド部を備え、前記ベース部の一端部に前記検出部が設けられ、その反対側端部から前記ケーブルが引き出されるように構成された近接センサであって、前記基板の表面側に前記検出コイル部材が配置され、前記基板の裏面側に全ての前記回路部品が接続されたことを特徴とする。
【0008】
この発明では、各種の回路部品の少なくとも1つを前記検出コイル部材の基板を挟んだ裏面側に配置することで、検出部におけるコイル軸の垂直方向のサイズを小さく抑えることが可能となる。これにより、検出部をひとまとまりの部材として扱い、検出部の向きをケーブルの方向に対して様々変えて構成することが可能となるため、フラットタイプとヘッドタイプで検出部を共通部品とすることが可能となる。その結果、ノイズの影響の受け方の各タイプ間のばらつきを抑えることができ、検出精度の安定化に寄与できる。また、検出部は、基板、検出コイル部材、及び回路部品が樹脂モールド部によりモールドされてなるため、一体部品としての検出部の部材管理が容易となる。また更に、ケーブルは検出部における検出軸に対して垂直方向の端部に直接接続されるため、例えばフラットタイプの場合、検出部におけるベース部側の端部にケーブルを接続することが可能となり、その結果、ケーブルと検出部とを容易に接続することが可能となる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の近接センサにおいて、前記検出部の基板には、該検出部の感度を調整するための感度調整部が設けられ、前記感度調整部は、前記樹脂モールド部内に埋設されず、被覆部により覆われるように構成されたことを特徴とする。
【0010】
この発明では、基板に設けられた感度調整部が樹脂モールド部内に埋設されない構成であるため、感度調整部が樹脂モールド部から露出するように構成される。このため、感度調整部で検出部の感度を調整し、その後、感度調整部の露出部分を被覆部にて覆うことが可能となる。また、感度調整部が基板に設けられるため、検出感度を調整可能としつつも、検出部を共通化することが可能となる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の近接センサにおいて、前記被覆部は、前記ベース部に一体に形成されたことを特徴とする。
この発明では、ベース部の成形と感度調整部の露出部分を覆う部位の成形をまとめて行うことができ、製造工程を簡素化することができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、コイルを有する検出コイル部材と各種の回路部品とが基板に電気的に接続されてなる検出部と、前記検出部における検出軸に対して垂直方向の端部に直接接続されるケーブルと、前記ケーブルの方向を固定するためのベース部とを備え、前記ベース部の一端部に前記検出部が設けられ、その反対側端部から前記ケーブルが引き出されるように構成された近接センサの製造方法であって、前記基板の表面側に前記検出コイル部材を配置し、前記基板の裏面側に全ての前記回路部品を接続する工程と、前記基板、前記検出コイル部材、及び前記回路部品を樹脂材料によりモールドして前記検出部を一体化する工程と、前記検出部の向きを前記ケーブルの方向に対して固定する工程とを備えたことを特徴とする。
【0013】
この発明では、各種の回路部品の少なくとも1つを前記検出コイル部材の基板を挟んだ裏面側に配置することで、検出部におけるコイル軸の垂直方向のサイズを小さく抑えることが可能となる。これにより、検出部をひとまとまりの部材として扱い、検出部の向きをケーブルの方向に対して様々変えて配置することが可能となるため、フラットタイプとヘッドタイプで検出部を共通部品とすることが可能となる。その結果、ノイズの影響の受け方の各タイプ間のばらつきを抑えることができ、検出精度の安定化に寄与できる。また、検出部は、基板、検出コイル部材、及び回路部品が樹脂材料によりモールドされてなるため、一体部品としての検出部の部材管理が容易となる。また更に、ケーブルは検出部における検出軸に対して垂直方向の端部に直接接続されるため、例えばフラットタイプの場合、検出部におけるベース部側の端部にケーブルを接続することが可能となり、その結果、ケーブルと検出部とを容易に接続することが可能となる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の近接センサの製造方法において、前記基板に設けられた感度調整部が前記樹脂材料の開口部から露出するように構成し、該感度調整部で検出感度を調整した後に、前記開口部を被覆部により覆うことを特徴とする。
【0015】
この発明では、感度調整部が基板に設けられるため、検出感度を調整可能としつつも、検出部を共通化することが可能となる。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の近接センサの製造方法において、前記被覆部は、前記ベース部に一体に形成されていることを特徴とする。
【0016】
この発明では、ベース部の成形と開口部を覆う部分の成形をまとめて行うことができ、製造工程を簡素化することができる。
【発明の効果】
【0017】
従って、上記記載の発明によれば、ノイズの影響の受け方の各タイプ間のばらつきを抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】(a)本実施形態におけるフラットタイプの近接センサの斜視図、(b)本実施形態におけるヘッドタイプの近接センサの斜視図。
【図2】(a)フラットタイプの近接センサの断面図、(b)ヘッドタイプの近接センサの断面図。
【図3】検出部ユニットの斜視図。
【図4】回路部品の配置を説明するための模式図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1(a)(b)に示すように、本実施形態におけるフラットタイプの近接センサ11及びヘッドタイプの近接センサ12は、検出面21aを有する検出部ユニット21と、該検出部ユニット21に電気的に接続されたケーブル22と、ケーブル22の方向を固定するためのフラットタイプ用のベース部23及びヘッドタイプ用のベース部24とからそれぞれ構成されている。本実施形態の検出部ユニット21は、両タイプで共通部品であり、ケーブル22の方向に対する検出部ユニット21の向き(検出軸Lの向き)がタイプ間で異なる構成となっている。詳しくは、フラットタイプの近接センサ11では、検出軸Lの向きがケーブル22の方向と垂直をなし、ヘッドタイプの近接センサ12では、検出軸Lの向きがケーブル22の方向と平行をなすように構成されている。
【0020】
図2(a)(b)に示すように、検出部ユニット21は、基板31と、該基板31に電気的に接続された検出コイル部材32及び各種の回路部品33と、それらの略全体を内部に含み検出部ユニット21の外形を形成する樹脂モールド部34とから構成されている。
【0021】
検出コイル部材32は、円環状のボビン32aと、ボビン32aに巻回されたコイル32bと、コイル32bをボビン32aに固定すべく樹脂モールド成形されたコア32cとを備え、検出軸L(コイルの軸)方向から見た外形Cは、円形をなしている(図4参照)。コア32cは、ボビン32a及びコイル32bの外周面とボビン32aの基板31側の端面を覆うとともに、ボビン32aの中央部内にも形成されており、ボビン32aと基板31との間にコア32cが介在されるようになっている。尚、検出軸Lはコイル32bの軸と一致している。
【0022】
基板31の表面31a上には検出コイル部材32が配置されており、基板31の裏面には各種の回路部品33(CPU等)の全てが接続されている。コイル32bと基板31とは、検出コイル部材32のコア32cに支持された接続端子35により電気的に接続される(図4参照)。接続端子35は、基板31に形成された貫通孔31cに通って基板31の裏面31b側に突出するとともに、基板31の裏面31bのパッドに半田等により接続されるようになっている。また、ケーブル22は、基板31の裏面31bのパッド31dに接続されており(図2(a)(b)参照)、ケーブル22を介しての電源供給及び信号伝達が可能となっている。
【0023】
図4に示すように、各種の回路部品33は、そのそれぞれの少なくとも一部がコイル32bの検出軸L方向(紙面直交方向)から見て、検出コイル部材32(コア32c)の外形Cを含む最小の四角形の領域A内に含まれるように配置されている。これにより、回路部品33の全てが検出コイル部材32の裏側近傍に配置されることとなり、検出部ユニット21における検出軸Lの直交方向のサイズを小さく抑えることが可能となっている。その結果、ケーブル22の方向に対する検出部ユニット21の向きを様々変えて構成することが可能となるため、本実施形態のように、フラットタイプの近接センサ11とヘッドタイプの近接センサ12とで検出部ユニット21を共通部品とすることが可能となっている。
【0024】
図1及び図2に示すように、樹脂モールド部34は検出コイル部材32を覆っており、検出コイル部材32の反基板側の端面を覆う部位の表面が、検出部ユニット21の検出面21aとなっている。また、図3に示すように、樹脂モールド部34の裏面側(反検出面側)の基端部には、基板31の裏面31bのパッド31dを露出するための開口部34aが形成されている。尚、樹脂モールド部34の先端部(図3における上端部)には、基板31の裏面31bに設けられた各種の回路部品33の1つである感度調整部31e(例えばトリマブル抵抗)を露出するための開口部40が形成されている。即ち、感度調整部31eは樹脂モールド部34内に埋設されておらず、該樹脂モールド部34から露出するようになっている。尚、トリマブル抵抗とは、レーザによってトリミング(パターン等を切断)することで、抵抗値を調整可能な抵抗である。
【0025】
図1及び図2に示すように、フラットタイプ用のベース部23及びヘッドタイプ用のベース部24はそれぞれ、ベース部材41,42とモールド成形部43,44とから構成されている。
【0026】
各ベース部材41,42は、図2に示すように、ケーブル22が挿通されたガイド孔45を有しており、ケーブル22はこのガイド孔45によりガイドされるようになっている。各ベース部材41,42のケーブル22の方向の一端部(図における左側端部)に検出部ユニット21が固定され、その反対側端部からケーブル22が引き出されるように構成されている。
【0027】
図1に示すように、各ベース部材41,42には、ケーブル22に対する直交方向に貫通する一対のネジ挿通孔46が形成されており、各ネジ挿通孔46に挿通されたネジ(図示略)によって各近接センサ11,12を所定の設置箇所に締結固定することが可能となっている。即ち、各ベース部材41,42は、各近接センサ11,12を設置箇所に固定するための固定部となっている。尚、前記ガイド孔45は、一対のネジ挿通孔46間に形成されている。
【0028】
また、フラットタイプ用のベース部材41には、検出部ユニット21(樹脂モールド部34)の開口部34aの両側にそれぞれ形成された嵌合溝34b(図3参照)に嵌め込まれる嵌合部(図示略)が形成されている。また、ヘッドタイプ用のベース部材42にも、検出部ユニット21の端面(図3における下側端面)に形成された一対の嵌合溝34cに嵌め込まれる嵌合部(図示略)が形成されている。尚、フラットタイプ用の嵌合溝34bはケーブル22に対する直交方向に延び、ヘッドタイプ用の嵌合溝34cはケーブル22の方向に延びている。
【0029】
各モールド成形部43,44は、光透過性を有する樹脂材料よりなる。各モールド成形部43,44は、検出部ユニット21の裏面側(反検出面側)を略覆うように形成されており、各タイプの検出部ユニット21の開口部34a,40は、モールド成形部43,44によりそれぞれ覆われている。即ち、モールド成形部43,44は、開口部40を覆う被覆部を含む構成となっている。また、各モールド成形部43,44は、検出部ユニット21の裏面側から各ベース部材41,42の上面側にかけて形成されている。
【0030】
各モールド成形部43,44の内部には、前記回路部品33の1つであるLED等の表示灯(図示略)が埋設されている。この表示灯は、電源のON/OFFを点灯及び消灯で表すものであり、各モールド成形部43,44が光透過性を有しているため、前記表示灯の点灯及び消灯を視認することが可能となっている。
【0031】
このように本実施形態の各ベース部材41,42は、ベース部材41,42とモールド成形部43,44とに分けて構成されているため、それらを互いに別材料で成形することができる。これにより、モールド成形部43,44を光透過性を有する樹脂材料で成形し、ベース部材41,42を黒色等の光透過性を有さない樹脂材料で成形することが可能となっている。このため、ベース部材41,42全体を光透過性を有する材料で成形する必要がなく、前記表示灯の光を視認可能とするためにモールド成形部43,44のみを光透過性を有する樹脂材料で成形することが可能となるため、外観及び視認性の悪化を抑えることができるようになっている。
【0032】
本実施形態の近接センサ11,12の製造方法を説明する。
まず、各タイプで共通の部品である検出部ユニット21をベース部材41,42に組み付ける。フラットタイプでは、ベース部材41のガイド孔45の貫通方向に対して垂直な方向に検出部ユニット21を組み付ける(図2(a)参照)。このとき、検出部ユニット21の嵌合溝34bにベース部材41の前記嵌合部が嵌め込まれるようになっている。一方、ヘッドタイプでは、ベース部材42のガイド孔45の貫通方向に対して平行な方向に検出部ユニット21を組み付ける(図2(b)参照)。このとき、検出部ユニット21の嵌合溝34cにベース部材42の前記嵌合部が嵌め込まれるようになっている。
【0033】
次に、ベース部材41,42のガイド孔45にケーブル22を挿通し、ケーブル22を基板31のパッド31dに接続する。尚、基板31のパッド31dは、樹脂モールド部34(検出部ユニット21)の開口部34aからベース部材41,42の下面側に露出するように構成され、この露出部分からケーブル22とパッド31dとの接続を行うことが可能となっている。また、このとき、樹脂モールド部34の開口部40から露出する感度調整部31eで検出部ユニット21の感度調整を行う。その後、モールド成形部43,44を成形し、これにより、該モールド成形部43,44により開口部34a,40が塞がれるようになっている。以上のようにして、本実施形態のフラットタイプ及びヘッドタイプの近接センサ11,12が完成する。
【0034】
次に、本実施形態の特徴的な作用効果を記載する。
(1)本実施形態では、ベース部材41,42の一端部に検出部ユニット21が設けられ、その反対側端部からケーブル22が引き出されるように構成され、基板31の表面31a側に検出コイル部材32が配置され、基板31の裏面31b側に全ての回路部品33が接続される。このため、各種の回路部品33の少なくとも1つを検出コイル部材32の基板31を挟んだ裏面31b側に配置することで、検出部ユニット21における検出軸Lの垂直方向のサイズを小さく抑えることが可能となる。これにより、検出部ユニット21をひとまとまりの部材として扱い、検出部ユニット21の向きをケーブル22の方向に対して様々変えて構成することが可能となるため、フラットタイプとヘッドタイプで検出部ユニット21を共通部品とすることが可能となる。その結果、ノイズの影響の受け方の各タイプ間のばらつきを抑えることができ、検出精度の安定化に寄与できる。
【0035】
(2)本実施形態では、回路部品33のそれぞれの少なくとも一部が、コイル32bの軸方向(検出軸L方向)から見て検出コイル部材32を含む最小の四角形の領域A内に含まれるように配置される。これにより、各種の回路部品33を基板31の裏側面における検出コイル部材32の近傍に配置することができるため、検出部ユニット21における検出軸Lの垂直方向のサイズを小さく抑えることが可能となり、これにより、フラットタイプとヘッドタイプで検出部ユニット21を共通部品とすることが可能となる。
【0036】
(3)本実施形態では、検出部ユニット21は、基板31、検出コイル部材32、及び回路部品33がコア32cによりモールドされてなるため、一体部品としての検出部ユニット21の部材管理が容易となる。
【0037】
(4)本実施形態では、基板31に設けられた感度調整部31eが樹脂モールド部34の開口部40から露出するように構成し、該感度調整部31eで検出感度を調整した後に、開口部40をベース部23,24(モールド成形部43,44)により覆うようになっている。このため、検出感度を調整可能としつつも、検出部ユニット21を共通化することが可能となる。また、開口部40を覆う被覆部がモールド成形部43,44に一体に形成されるため、モールド成形部43,44の形成と開口部40を覆う部分の形成をまとめて行うことができ、製造工程を簡素化することができる。
【0038】
(5)本実施形態では、ケーブル22は検出部ユニット21(基板31)における検出軸Lに対して垂直方向の端部に直接接続されるため、例えばフラットタイプの場合、検出部ユニット21におけるベース部23,24側の端部にケーブル22を接続することが可能となり、その結果、ケーブル22と検出部ユニット21とを容易に接続することが可能となる。
【0039】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、近接センサ11,12をフラットタイプ及びヘッドタイプとして構成したが、検出軸Lがケーブル22の方向に対して斜めになるように検出部ユニット21を配置したタイプとしてもよい。
【0040】
・上記実施形態では、各タイプのベース部23,24においてベース部材41,42とモールド成形部43,44とを別体で構成したが、特にこれに限定されるものではなく、一体としてもよい。
【0041】
・上記実施形態では、開口部34a,40をモールド成形部43,44にて被覆するように構成したが、特にこれに限定されるものではなく、例えばモールド成形部43,44とは別体の被覆部にて塞ぐ構成としてもよい。
【0042】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(イ) 上記記載の近接センサにおいて、
前記回路部品のそれぞれの少なくとも一部が、前記検出軸方向から見て前記検出コイル部材を含む最小の四角形の領域内に含まれるように配置されたことを特徴とする近接センサ。
【0043】
これにより、各種の回路部品を基板の裏側面における検出コイル部材の近傍に配置することができるため、検出部におけるコイル軸の垂直方向のサイズを小さく抑えることが可能となり、これにより、フラットタイプとヘッドタイプで検出部を共通部品とすることが可能となる。
【符号の説明】
【0044】
11,12…近接センサ、21…検出部ユニット(検出部)、22…ケーブル、23,24…ベース部、31…基板、31a…表面、31b…裏面、31e…感度調整部、32…検出コイル部材、32b…コイル、33…回路部品、34…樹脂モールド部、40…開口部、43,44…被覆部を含むモールド成形部、A…領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルを有する検出コイル部材と各種の回路部品とが基板に電気的に接続されてなる検出部と、
前記検出部における検出軸に対して垂直方向の端部に直接接続され電源供給及び信号伝達を行うためのケーブルと、
前記ケーブルの方向を固定するためのベース部と
を備え、前記検出部は、前記基板、前記検出コイル部材、及び前記回路部品が樹脂材料によりモールドされた樹脂モールド部を備え、前記ベース部の一端部に前記検出部が設けられ、その反対側端部から前記ケーブルが引き出されるように構成された近接センサであって、
前記基板の表面側に前記検出コイル部材が配置され、前記基板の裏面側に全ての前記回路部品が接続されたことを特徴とする近接センサ。
【請求項2】
請求項1に記載の近接センサにおいて、
前記検出部の基板には、該検出部の感度を調整するための感度調整部が設けられ、
前記感度調整部は、前記樹脂モールド部内に埋設されず、被覆部により覆われるように構成されたことを特徴とする近接センサ。
【請求項3】
請求項2に記載の近接センサにおいて、
前記被覆部は、前記ベース部に一体に形成されたことを特徴とする近接センサ。
【請求項4】
コイルを有する検出コイル部材と各種の回路部品とが基板に電気的に接続されてなる検出部と、
前記検出部における検出軸に対して垂直方向の端部に直接接続されるケーブルと、
前記ケーブルの方向を固定するためのベース部と
を備え、前記ベース部の一端部に前記検出部が設けられ、その反対側端部から前記ケーブルが引き出されるように構成された近接センサの製造方法であって、
前記基板の表面側に前記検出コイル部材を配置し、前記基板の裏面側に全ての前記回路部品を接続する工程と、
前記基板、前記検出コイル部材、及び前記回路部品を樹脂材料によりモールドして前記検出部を一体化する工程と、
前記検出部の向きを前記ケーブルの方向に対して固定する工程と
を備えたことを特徴とする近接センサの製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の近接センサの製造方法において、
前記基板に設けられた感度調整部が前記樹脂材料の開口部から露出するように構成し、該感度調整部で検出感度を調整した後に、前記開口部を被覆部により覆うことを特徴とする近接センサの製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の近接センサの製造方法において、
前記被覆部は、前記ベース部に一体に形成されていることを特徴とする近接センサの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate