説明

近接場光ディスク駆動器でのギャッププルイン方法及びそれと同じ機能を持つ光ディスク駆動装置

【課題】 近接場光ディスク駆動器でのギャッププルイン方法及びそれと同じ機能を持つ光ディスク駆動装置を提供する。
【解決手段】 集光素子を含む近接場光ディスク駆動器用のギャッププルイン方法において、ギャッププルイン時に開ループ状態から閉ループ状態への転換時、集光素子の移動速度によるパルス幅及びパルスの広さを持つ逆方向アクチュエータ駆動信号を生成するステップと、逆方向アクチュエータ駆動信号を使用してアクチュエータを駆動するステップと、を含むギャッププルイン方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、近接場光ディスク駆動器でのギャッププルインに係り、特に、オーバーシュートによる集光素子とディスクとの衝突を改善したギャッププルイン方法及びそれと同じ機能を持つ光ディスク駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近大容量、高DTR(Data Transfer Rate)を達成するための近接場光ディスク駆動器が提案されている。この近接場光ディスク駆動器は、近接場記録システムまたは近接場記録及び/または再生システムとも呼ばれる。近接場光ディスク駆動器は、光の回折が起きない近接場で光を利用してディスクにデータを記録及び/または再生できる装置である。
【0003】
これらの近接場光ディスク駆動器は、近接場光学技術と、極超微細マイクロ電子機械システム(Micro Electro Mechanical System:MEMS)技術とを利用して、数百Å単位の情報セルを記録及び/または再生することによって大容量の情報を記録及び再生できるようになる。すなわち、近接場光ディスク駆動器を利用すれば、例えば、3cm直径のディスクの一面に、HDTV級の映像データをMPEG2の画質で2時間以前記録できる20Gigabyte以上のデータを記録及び/または再生できるので、ディスクを大容量及び超小型化できるようになる。これらの近接場光ディスク駆動器は、ナノスケールの光ヘッドとこの光ヘッドを制御するギャップサーボ制御装置とを備える。
【0004】
光ヘッドは、ピックアップ部またはアクチュエータヘッダとも呼ばれる。これらの光ヘッドは、ソリッドイマージョンレンズ(SIL:Solid Immersion Lens、以下、SILと称する)が取り付けられた集光素子を備える。ディスクに/からデータを記録/再生するために、ギャップサーボ制御装置は、SILが取り付けられた集光素子を近接場領域(200nm)以内の目標レベルに移動するように制御する。このように集光素子を近接場領域以内の目標レベルに移動させる過程を、ギャッププルイン過程という。
【0005】
しかし、前述したように光ヘッドが近接場領域内の数十nmに移動するため、ギャッププルイン時に開ループ状態から閉ループ状態への転換時、集光素子の移動速度とディスクの外乱とによるオーバーシュートが発生すれば、集光素子に取り付けられたSILとディスクとが衝突する可能性が高くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、近接場光ディスク駆動器のギャッププルイン時に開ループ状態から閉ループ状態への転換時、集光素子の移動速度とディスクの外乱とによるオーバーシュートを最小化できるギャッププルイン方法、及びそれと同じ機能を持つ光ディスク駆動装置を提供するところにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した技術的課題を達成するために本発明による方法は、近接場光ディスク駆動器用のギャッププルイン方法において、ギャッププルイン時に開ループ状態から閉ループ状態への転換時、前記集光素子の移動速度によるパルス幅及びパルスの広さを持つ逆方向アクチュエータ駆動信号を生成するステップと、前記逆方向アクチュエータ駆動信号を使用してアクチュエータを駆動するステップと、を含むギャッププルイン方法を提供する。
【0008】
前記開ループ状態で、前記集光素子の移動速度は可変されることが望ましい。
【0009】
前記開ループ状態で遠隔場領域から近接場領域に転換された第1地点から、前記開ループ状態から前記閉ループ状態に転換される第2地点までのギャッププルイン区間をN個の区間に分割し、該分割された区間別に前記集光素子の移動速度を異ならせて設定し、前記Nは、2以上の整数であることが望ましい。前記N区間は、時間単位によって分割されることが望ましい。
【0010】
前記N個に分割された区間別の前記集光素子の移動速度は、前記第2地点に近接な区間であるほど前記集光素子の移動速度が減少することが望ましい。
【0011】
前記集光素子の移動速度に基づいて、光ヘッドの移動方向とディスク表面の移動方向とが逆であると判断されれば、パルス幅及び/またはパルスの広さを現在設定されたパルス幅及び/またはパルスの広さより大きく調整した逆方向アクチュエータ駆動信号を生成し、前記集光素子の移動速度に基づいて、光ヘッドの移動方向とディスク表面の移動方向とが同じであると判断されれば、前記パルス幅及び/またはパルスの広さを現在設定されたもの以下に調整した逆方向アクチュエータ駆動信号を生成することが望ましい。
【0012】
前記逆方向アクチュエータ駆動信号の前記パルス幅及び前記パルスの広さとは、前記集光素子の移動速度に比例することが望ましい。
【0013】
前述した技術的課題を達成するために本発明は、ローディングされたディスクを持つ光ディスク駆動装置において、前記ディスクに光を集光する集光素子と、前記集光素子をフォーカシング方向に移動させるアクチュエータと、を備える光ヘッド;前記光ヘッドから出力される信号からギャップエラー信号を検出するギャップエラー信号検出部; 前記光ヘッドに備えられたアクチュエータを駆動するアクチュエータ駆動部; 前記ギャップエラー信号検出部から出力されるギャップエラー信号に基づいて、ギャッププルインのためのアクチュエータ駆動信号を前記アクチュエータ駆動部に提供するギャップサーボ制御ユニット;を備え、前記ギャップサーボ制御ユニットは、前記ギャッププルイン時に開ループから閉ループに転換する時、前記集光素子の移動速度によるパルス幅及びパルスの広さを持つ逆方向アクチュエータ駆動信号を生成し、前記逆方向アクチュエータ駆動信号を前記アクチュエータ駆動部に提供する。
【0014】
前記ギャップサーボ制御ユニットは、前記開ループ状態で前記集光素子の移動速度を可変させることが望ましい。
【0015】
前記ギャップサーボ制御ユニットは、前記開ループ状態で遠隔場領域から近接場領域に転換された第1地点から、前記開ループ状態から前記閉ループ状態に転換される第2地点までのギャッププルイン区間をN個の区間に分割し、N個に分割された区間別に前記集光素子の移動速度を異ならせて設定し、前記Nは、2以上の整数であることが望ましい。前記N区間は、時間単位によって分割されることが望ましい。
【0016】
前記N個に分割された区間別の前記集光素子の移動速度は、前記第2地点に近接な区間であるほど前記集光素子の移動速度が減少することが望ましい。
【0017】
前記ギャップサーボ制御ユニットは、前記集光素子の移動速度に基づいて、光ヘッドの移動方向とディスク表面の移動方向とが逆であると判断されれば、パルス幅及び/またはパルスの広さが現在設定されたパルス幅及び/またはパルスの広さよりさらに大きく設定されるように、逆方向アクチュエータ駆動信号を生成し、前記集光素子の移動速度に基づいて、光ヘッドの移動方向とディスク表面の移動方向とが同じであると判断されれば、前記パルス幅及び/またはパルスの広さが現在設定されたパルス幅及び/またはパルスの広さ以下に設定されるように、逆方向アクチュエータ駆動信号を生成する逆方向アクチュエータ駆動信号生成部を備えることが望ましい。前記逆方向アクチュエータ駆動信号の前記パルス幅及び前記パルスの広さは、前記集光素子の移動速度に比例することが望ましい。
【0018】
前述した技術的課題を達成するために本発明は、集光素子を含む近接場光ディスク駆動器に対するギャッププルイン方法を提供し、前記ギャッププルイン方法は、ギャッププルイン時に開ループ状態から閉ループ状態に転換される時、集光素子の移動速度によるパルス幅及びパルスの広さを持つアクチュエータ駆動用の逆方向アクチュエータ駆動信号を生成するステップを含むことが望ましい。
【0019】
前述した技術的課題を達成するために本発明は、光ヘッドの集光素子を移動させるためにアクチュエータを制御する光ディスク駆動装置を提供し、前記光ディスク駆動装置は、ギャッププルイン時に開ループ状態から閉ループ状態に転換される時、集光素子の移動速度によるパルス幅及びパルスの広さを持つアクチュエータ駆動用の逆方向アクチュエータ駆動信号を生成するためのギャップサーボ制御ユニットを備えることが望ましい。
【0020】
本発明の目的は、以上で言及した目的に制限されず、言及されていないさらに他の目的は、下の記載から当業者に明確に理解されうる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、近接場光ディスク駆動器のギャッププルイン時、SILが取り付けられた集光素子の移動速度によって開ループ状態から閉ループ状態への転換時、オーバーシュートに対応する逆方向アクチュエータ駆動信号を適応的に生成してアクチュエータを駆動することによって、集光素子の移動速度とディスクの外乱とによるオーバーシュートを最小化し、ディスクとSILとの衝突を防止して安定したギャッププルインを行える。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の望ましい一実施形態による光ディスク駆動装置の機能ブロック図である。
【図2】本発明によるギャッププルイン過程の一例を示す図である。
【図3】本発明によるギャッププルイン過程の他の例を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態によるギャッププルイン方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付した図面を参照して本発明の望ましい実施形態を詳細に説明する。
【0024】
本発明の一実施形態は、近接場光ディスク駆動器でギャッププルイン時、開ループ状態から閉ループ状態への転換時、集光素子の移動速度によって適応的に生成された逆方向アクチュエータ駆動信号でアクチュエータを駆動することによって、開ループ状態から閉ループ状態への転換時にディスク外乱と集光素子の移動速度とにより発生するオーバーシュートを最小化して、SILとディスクとの衝突を回避できるギャッププルイン方法及びそれと同じ機能を持つ光ディスク駆動装置を提供する。前記集光素子の移動速度は、ギャッププルイン速度またはギャップ引っ込み速度と言及できる。
【0025】
図1は、本発明の望ましい一実施形態による光ディスク駆動装置100の機能ブロック図である。図1を参照するに、光ディスク駆動装置100は、光ディスク駆動装置100にローディングされたディスク101、光ヘッド110、ギャップエラー信号検出部120、ギャップサーボ制御ユニット130、及びアクチュエータ駆動部140を備える。
【0026】
ディスク101は、近接場で光を利用してデータを記録/再生する。
【0027】
光ヘッド110は、近接場でディスク101の記録面に光を集光するSIL 111が取り付けられた集光素子112、集光素子112を通じディスク101からの反射光を検出するフォトディテクター113、及び集光素子112をフォーカシング方向に移動させるアクチュエータ114を備える。フォトディテクター113は、ディスク101からの反射光量を電気的な信号(または電圧)に変換して出力するユニットと定義できる。
【0028】
ギャップエラー信号検出部120は、フォトディテクター113から出力される電気的な信号からギャップエラー信号(Gap
Error Signal、以下、GESと略称)を検出する。すなわち、ギャップエラー信号検出部120は、フォトディテクター113から受信された電気的な信号の利得、オフセットを調整して、ギャップサーボ制御ユニット130で使われるGESを生成して出力できる。
【0029】
ギャップサーボ制御ユニット130は、入力されるGESに基づいて本発明によるギャッププルイン動作を行うためのアクチュエータ駆動信号を出力する。このためにギャップサーボ制御ユニット130は、制御器131、スイッチ132、アプローチ制御器133、加算器134、フィードバック制御器135、及び逆方向アクチュエータ駆動信号生成部136を備える。
【0030】
外部からギャップサーボ制御開始が要求されれば、制御器131は、開ループ状態初期に集光素子112の移動速度とこの移動速度を行う時間とを設定する。前記開ループ状態初期は遠隔場領域に該当し、集光素子112の移動速度はギャッププルイン速度と言及できる。さらに前記ギャップサーボ制御開始要求は、ギャッププルイン要求と言及できる。前記移動速度がAであり、A移動速度を行う時間がBである時、ギャップサーボ制御ユニット130は、集光素子112をA速度でB時間ほど移動させるので、前記移動速度を行う時間はタイムアウトと言及できる。集光素子112の移動速度とタイムアウトとは事前に設定されうる。
【0031】
集光素子112の移動速度及びタイムアウトに基づいて、制御器131はスイッチ132とアプローチ制御器133とを制御する。すなわち、スイッチ132は、制御器131により制御されて、開ループステップでギャップエラー信号検出部120から出力されるギャップエラー信号がアプローチ制御器133に伝送されるように動作する。
【0032】
アプローチ制御器133は、GESが入力されれば、ギャッププルイン時に開ループステップを行うための信号を出力する。前記開ループステップは、遠隔場領域から近接場領域内の目標地点まで集光素子112を接近させるステップであって、アプローチステップと定義できる。したがって、アプローチ制御器133は、ギャッププルイン時にディスク記録面に対して集光素子112が駆動されるにつれてGESが検出されれば、まず遠隔場領域から近接場領域に転換するまで線形的な信号を出力する。
【0033】
制御器131は、入力されるGESレベルが低下し始めれば、遠隔場領域から近接場領域に転換されたと認識する。これにより、集光素子112の移動速度とタイムアウトとを近接場領域に適するように更新する。この時、移動速度とタイムアウトとに対する更新は、既定の値を利用して行われうる。制御器131は、更新された集光素子112の移動速度とタイムアウトとをアプローチ制御器133に提供する。これにより、アプローチ制御器133は、タイムアウトにより制御される期間中に設定された移動速度で集光素子112が移動するように、線形的な信号を出力する。この時、集光素子112の移動速度は、遠隔場領域での移動速度より低い速度に設定されるので、アプローチ制御器133から出力される線形的な信号の勾配は、遠隔場領域での線形的な信号の勾配より小さい。
【0034】
制御器131は、現在設定された集光素子112の移動速度が、GESが近接場領域内の目標レベルに到達するまで保持されるようにタイムアウトを設定できる。しかし、制御器131は、GESレベルが遠隔場領域から近接場領域に転換された第1地点から前記近接場領域内の目標レベルに到達する第2地点まで、区間をN個の区間に分割し、該分割された区間別に集光素子112の移動速度を異ならせて設定できる。前記第2地点は、ギャッププルイン時に開ループ状態から閉ループ状態に転換される地点である。前記Nは、2以上の整数である。前記第1地点から第2地点までの区間は、時間に基づいて分割されうる。すなわち、前記タイムアウトにより集光素子112の移動速度は更新される。N個に分割された区間別集光素子112の移動速度は既定の値を利用でき、第2地点に近接するほど集光素子112の移動速度が減少するように設定される。したがって、第1地点にさらに近接な区間の集光素子112の移動速度が、第2地点にさらに近接な区間の集光素子112の移動速度より速く設定される。
【0035】
前述したように設定されたタイムアウトによって集光素子112の移動速度を更新しつつギャッププルインする時、入力されるGESにより開ループ状態から閉ループ状態に転換される時点が検出されれば、制御器131は、スイッチ132を制御してGES信号を、フィードバック制御器135と逆方向アクチュエータ駆動信号生成部136に伝送する。また、制御器131は、集光素子112の現在移動速度を逆方向アクチュエータ駆動信号生成部136に提供する。
【0036】
逆方向アクチュエータ駆動信号生成部136は、制御器131から提供される集光素子の移動速度によるパルス幅及びパルスの広さを持つ逆方向アクチュエータ駆動信号を、開ループ状態から閉ループ状態に転換される時点で生成する。すなわち、逆方向アクチュエータ駆動信号生成部136は、集光素子112の移動速度が既定の基準値より速いと認識されれば、光ヘッド110の移動方向とディスク101表面の移動方向とが逆であると判断する。これにより、逆方向アクチュエータ駆動信号生成部136は、パルス幅とパルスの広さのうち少なくとも一つを現在設定値より大きく調整した逆方向アクチュエータ駆動信号を生成する。
【0037】
しかし、集光素子112の移動速度が既定の基準値と同じならば、光ヘッド110の移動方向とディスク101表面の移動方向とが同一であると判断する。これにより、逆方向アクチュエータ駆動信号生成部136は、現在パルス幅及びパルスの広さに相当するパルス幅及びパルスの広さを持つ逆方向アクチュエータ駆動信号を生成する。また、集光素子112の移動速度が既定の基準値より遅ければ、光ヘッド110の移動方向とディスク101表面の移動方向とが同じであると判断するが、この場合には、逆方向アクチュエータ駆動信号生成部136は、前記パルス幅とパルスの広さのうち少なくとも一つを現在設定値より小さく調整した逆方向アクチュエータ駆動信号を生成する。
【0038】
このように、逆方向アクチュエータ駆動信号生成部136が、光ヘッド110の移動方向とディスク101表面の移動方向とが同一であると判断すれば、逆方向アクチュエータ駆動信号生成部136は、前記パルス幅とパルスの広さのうち少なくとも一つを現在設定値以下に調整した逆方向アクチュエータ駆動信号を生成する。
【0039】
図2は、前記第1地点t1から第2地点t3まで2個の移動速度(移動速度2、移動速度3)で集光素子112を運営してギャッププルインする例である。したがって、逆方向アクチュエータ駆動信号生成部136は、図2の場合に移動速度3によるパルス幅及びパルスの広さを持つ逆方向アクチュエータ駆動信号を開ループ状態から閉ループ状態に転換される時に生成する。
【0040】
図3は、第2地点t3が移動速度2がタイムアウトされる前に検出された場合であって、このようにターゲットGESレベルが速く検出される場合、逆方向アクチュエータ駆動信号生成部136は、図2で発生した逆方向アクチュエータ駆動信号よりパルス幅が広いか、パルスの広さが大きいか、またはパルス幅とパルスの広さとがいずれも大きい逆方向アクチュエータ駆動信号を生成してオーバーシュートを最小化する。
【0041】
図1を参照するに、フィードバック制御器135は、近接場領域での開ループ状態と閉ループ状態とを行うためのサーボ制御信号を出力する。
【0042】
図4は、本発明の望ましい実施形態によるギャッププルイン方法のフローチャートである。図4を参照するに、光ディスク駆動器にギャッププルインが要求されれば、光ディスク駆動器に備えられた集光素子の移動速度と、前記移動速度に対するタイムアウト値とを区間別に設定しつつアクチュエータを駆動する。ギャッププルイン初期には遠隔場領域に該当するので、図1で説明したような基準として既定の値を利用し、集光素子の移動速度及びタイムアウトを設定してアクチュエータを駆動する(401)。
【0043】
設定されたタイムアウトをモニタリングした結果、集光素子の移動時間がタイムアウトに到達したと判断されれば(402)、第401ステップでリターンされて、次の区間別集光素子の移動速度及びタイムアウト値を使用して集光素子の現在移動速度及び現在タイムアウト値を更新し、アクチュエータを駆動する。開ループ状態で前記集光素子の移動速度は可変されるように設定できる。すなわち、開ループ状態で遠隔場領域から近接場領域に転換された第1地点から、開ループ状態から閉ループ状態に転換される第2地点までのギャッププルイン区間をN個の区間に分割し、該分割された区間別に集光素子の移動速度を異ならせて設定できる。前記Nは、2以上の整数である。第1地点と第2地点との間の区間は時間に基づいて分割されうる。前記分割された区間別の前記集光素子の移動速度は、前記第2地点に近接な区間であるほど集光素子の移動速度が減少する。
【0044】
しかし、集光素子の移動時間がタイムアウトに到達していないと判断されれば(402)、ターゲットGESレベルが検出されたかどうかを判断する(403)。ターゲットレベルが検出されたならば、ギャッププルイン時に開ループ状態から閉ループ状態に転換されたことであるので、集光素子の現在移動速度によるパルス幅及びパルスの広さを持つ逆方向アクチュエータ駆動信号を生成する(404)。すなわち、集光素子の移動速度に基づいて光ヘッドの移動方向とディスク表面の移動方向とが逆であると判断されれば、パルス幅とパルスの広さのうち少なくとも一つ(すなわち、パルス幅及び/またはパルスの広さ)を現在設定値より大きく調整した逆方向アクチュエータ駆動信号を生成する。一方、前記集光素子の移動速度に基づいて光ヘッドの移動方向とディスク表面の移動方向とが同じであると判断されれば、前記パルス幅とパルスの広さのうち少なくとも一つを現在設定値より小さく調整するか、現在パルス幅とパルスの広さとを保持した逆方向アクチュエータ駆動信号を生成できる。すなわち、光ヘッドの移動方向とディスク表面の移動方向とが同じであると判断されれば、前記パルス幅とパルスの広さのうち少なくとも一つ(すなわち、パルス幅及び/またはパルスの広さ)を現在設定値以下に調整した逆方向アクチュエータ駆動信号を生成できる。このように前記逆方向アクチュエータ駆動信号の前記パルス幅及び前記パルスの広さは、前記集光素子の移動速度に比例する特性を持つ。
【0045】
前記生成された逆方向アクチュエータ駆動信号を含むアクチュエータ駆動信号でアクチュエータを駆動する(405)。
【0046】
本発明によるギャッププルイン方法を行うためのプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体にコンピュータで読み取り可能なコードとして具現することができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体は、コンピュータシステムによって読み取られるデータが保存されるあらゆる種類の保存装置を備える。コンピュータで読み取り可能な記録媒体の例には、ROM、RAM、CD−ROM、磁気テープ、フロッピー(登録商標)ディスク、光データ保存装置などがある。またコンピュータで読み取り可能な記録媒体は、ネットワークに連結されたコンピュータシステムに分散されて、分散方式でコンピュータで読み取り可能なコードとして保存されて実行される。また、本発明は、キャリアウェーブで具現されたデータ信号として具現され、コンピュータにより読み取られ、インターネットを通じて伝送できるプログラムを含むことができる。
【0047】
これまで本発明についてその望ましい実施形態を中心に説明した。当業者ならば、本発明が本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲で変形された形態で具現できるということを理解できるであろう。したがって、開示された実施形態は限定的な観点ではなく説明的な観点で考慮されねばならない。本発明の範囲は前述した説明ではなく特許請求の範囲に示されており、それと同等な範囲内にあるあらゆる差異点は本発明に含まれていると解釈されねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、光ディスク駆動装置関連の技術分野に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0049】
100 光ディスク駆動装置
101 ディスク
110 光ヘッド
111 SIL
112 集光素子
113 フォトディテクター
114 アクチュエータ
120 ギャップエラー信号検出部
130 ギャップサーボ制御ユニット
131 制御器
132 スイッチ
133 アプローチ制御器
134 加算器
135 フィードバック制御器
136 逆方向アクチュエータ駆動信号生成部
140 アクチュエータ駆動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集光素子を含む近接場光ディスク駆動器用のギャッププルイン方法において、
ギャッププルイン時に開ループ状態から閉ループ状態への転換時、前記集光素子の移動速度によるパルス幅及びパルスの広さを持つ逆方向アクチュエータ駆動信号を生成するステップと、
前記逆方向アクチュエータ駆動信号を使用してアクチュエータを駆動するステップと、を含むギャッププルイン方法。
【請求項2】
前記開ループ状態で、前記集光素子の移動速度は可変されることを特徴とする請求項1に記載のギャッププルイン方法。
【請求項3】
前記開ループ状態で遠隔場領域から近接場領域に転換された第1地点から、前記開ループ状態から前記閉ループ状態に転換される第2地点までのギャッププルイン区間をN個の区間に分割し、該分割された区間別に前記集光素子の移動速度を異ならせて設定したことを特徴とし、前記Nは、2以上の整数であることを特徴とする請求項1または2に記載のギャッププルイン方法。
【請求項4】
前記第1地点から前記第2地点までのギャッププルイン区間は、時間単位によって分割されることを特徴とする請求項3に記載のギャッププルイン方法。
【請求項5】
前記N個に分割された区間別の前記集光素子の移動速度は、前記第2地点に近接な区間であるほど前記集光素子の移動速度が減少することを特徴とする請求項3に記載のギャッププルイン方法。
【請求項6】
前記逆方向アクチュエータ駆動信号生成ステップは、
前記集光素子の移動速度に基づいて、光ヘッドの移動方向とディスク表面の移動方向とが逆であると判断されれば、パルス幅及び/またはパルスの広さを現在設定されたパルス幅及び/またはパルスの広さより大きく調整した逆方向アクチュエータ駆動信号を生成し、
前記集光素子の移動速度に基づいて、光ヘッドの移動方向とディスク表面の移動方向とが同じであると判断されれば、前記パルス幅及び/またはパルスの広さを現在設定されたもの以下に調整した逆方向アクチュエータ駆動信号を生成することを特徴とする請求項1に記載のギャッププルイン方法。
【請求項7】
前記逆方向アクチュエータ駆動信号の前記パルス幅及び前記パルスの広さとは、前記集光素子の移動速度に比例することを特徴とする請求項1に記載のギャッププルイン方法。
【請求項8】
前記方法は、
前記集光素子の移動速度が所定基準値よりさらに大きければ、前記光ヘッドの移動方向が前記ディスクの表面の移動方向と逆であると判断するステップと、
前記集光素子の移動速度が所定基準値以下ならば、前記光ヘッドの移動方向が、前記ディスクの表面の移動方向と同じ方向であると判断するステップと、を含む請求項6に記載のギャッププルイン方法。
【請求項9】
前記パルス幅及び/またはパルスの広さがそれぞれ現在設定されたパルス幅及び/またはパルスの広さ以下に設定されるように、前記逆方向アクチュエータ駆動信号を生成するステップは、
前記集光素子の移動速度が前記所定基準値と同じならば、前記パルス幅及び/またはパルスの広さそれぞれが現在設定されたパルスの広さ及び/またはパルスの広さと同一に設定されるように、前記逆方向アクチュエータ駆動信号を生成するステップと、
前記集光素子の移動速度が前記所定基準値より小さければ、前記パルス幅及び/またはパルスの広さそれぞれが現在設定されたパルスの広さ及び/またはパルスの広さより小さく設定されるように、前記逆方向アクチュエータ駆動信号を生成するステップと、を含む請求項8に記載のギャッププルイン方法。
【請求項10】
ローディングされたディスクを持つ光ディスク駆動装置において、
前記ディスクに光を集光する集光素子と、前記集光素子をフォーカシング方向に移動させるアクチュエータと、を備える光ヘッドと、
前記光ヘッドから出力される信号からギャップエラー信号を検出するギャップエラー信号検出部と、
前記光ヘッドに備えられたアクチュエータを駆動するアクチュエータ駆動部と、
前記ギャップエラー信号検出部から出力されるギャップエラー信号に基づいて、ギャッププルインのためのアクチュエータ駆動信号を前記アクチュエータ駆動部に提供するギャップサーボ制御ユニットと、を備え、
前記ギャップサーボ制御ユニットは、前記ギャッププルイン時に開ループから閉ループに転換する時、前記集光素子の移動速度によるパルス幅及びパルスの広さを持つ逆方向アクチュエータ駆動信号を生成し、前記逆方向アクチュエータ駆動信号を前記アクチュエータ駆動部に提供することを特徴とする光ディスク駆動装置。
【請求項11】
前記ギャップサーボ制御ユニットは、前記開ループ状態で前記集光素子の移動速度を可変させることを特徴とする請求項10に記載の光ディスク駆動装置。
【請求項12】
前記ギャップサーボ制御ユニットは、前記開ループ状態で遠隔場領域から近接場領域に転換された第1地点から、前記開ループ状態から前記閉ループ状態に転換される第2地点までのギャッププルイン区間をN個の区間に分割し、N個に分割された区間別に前記集光素子の移動速度を異ならせて設定したことを特徴とし、前記Nは、2以上の整数であることを特徴とする請求項10または11に記載の光ディスク駆動装置。
【請求項13】
前記第1地点と前記第2地点との間のギャッププルイン区間は、時間単位によって分割されることを特徴とする請求項12に記載の光ディスク駆動装置。
【請求項14】
前記N個に分割された区間別の前記集光素子の移動速度は、前記第2地点に近接な区間であるほど前記集光素子の移動速度が減少することを特徴とする請求項12に記載の光ディスク駆動装置。
【請求項15】
前記ギャップサーボ制御ユニットは、
前記集光素子の移動速度に基づいて、光ヘッドの移動方向とディスク表面の移動方向とが逆であると判断されれば、パルス幅及び/またはパルスの広さが現在設定されたパルス幅及び/またはパルスの広さよりさらに大きく設定されるように、逆方向アクチュエータ駆動信号を生成し、前記集光素子の移動速度に基づいて、光ヘッドの移動方向とディスク表面の移動方向とが同じであると判断されれば、前記パルス幅及び/またはパルスの広さが現在設定されたパルス幅及び/またはパルスの広さ以下に設定されるように、逆方向アクチュエータ駆動信号を生成する逆方向アクチュエータ駆動信号生成部を備えることを特徴とする請求項10に記載の光ディスク駆動装置。
【請求項16】
前記逆方向アクチュエータ駆動信号の前記パルス幅及び前記パルスの広さは、前記集光素子の移動速度に比例することを特徴とする請求項10に記載の光ディスク駆動装置。
【請求項17】
前記ギャップサーボ制御ユニットは、
前記集光素子の移動速度が所定の基準値よりさらに大きければ、前記光ヘッドの移動方向が前記ディスクの表面の移動方向と逆であると判断し、
前記集光素子の移動速度が前記所定の基準値以下ならば、前記光ヘッドの移動方向が前記ディスクの表面の移動方向と同じ方向であると判断することを特徴とする請求項15に記載の光ディスク駆動装置。
【請求項18】
前記ギャップサーボ制御ユニットは、
前記集光素子の移動速度が前記所定基準値と同一ならば、前記パルス幅及び/または前記パルスの広さがそれぞれ現在設定されたパルス幅及び/またはパルスの広さと同一に設定されるように、前記逆方向アクチュエータ駆動信号を生成し、
前記集光素子の移動速度が前記所定の基準値より小さければ、前記パルス幅及び/または前記パルスの広さがそれぞれ現在設定されたパルス幅及び/またはパルスの広さより小さく設定されるように、前記逆方向アクチュエータ駆動信号を生成することを特徴とする請求項17に記載の光ディスク駆動装置。
【請求項19】
集光素子を含む近接場光ディスク駆動器用のギャッププルイン方法において、
ギャッププルイン時、開ループ状態から閉ループ状態に転換されれば、前記集光素子の移動速度によるパルス幅及びパルスの広さを持つアクチュエータ駆動用の逆方向アクチュエータ駆動信号を生成するステップを含むギャッププルイン方法。
【請求項20】
光ヘッドの集光素子を移動させるためのアクチュエータを制御するための光ディスク駆動装置において、
ギャッププルイン時、開ループ状態から閉ループ状態に転換されれば、前記集光素子の移動速度によるパルス幅及びパルスの広さを持つアクチュエータ駆動用の逆方向アクチュエータ駆動信号を生成するギャップサーボ制御ユニットを備える光ディスク駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−283120(P2009−283120A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−99276(P2009−99276)
【出願日】平成21年4月15日(2009.4.15)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG ELECTRONICS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do 442−742(KR)
【出願人】(507215161)延世大學校産學協力財団 (4)
【Fターム(参考)】