説明

近接場光発生器、光アシスト式磁気記録ヘッド、光アシスト式磁気記録装置

【課題】共晶を発生することなく効率良く近接場光を発生することが可能な近接場光発生器、光アシスト式磁気記録ヘッド、光アシスト式磁気記録装置を提供する。
【解決手段】光学素子からプラズモンプローブに照射した光から近接場光を発生する近接場光発生器において、光学素子の材質はシリコン、プラズモンプローブの材質は金であり、光学素子と前記プラズモンプローブとの間に、シリコンと金の共晶現象を防止するバッファ層を形成したことを特徴とする近接場光発生器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、近接場光発生器、光アシスト式磁気記録ヘッド、光アシスト式磁気記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気記録方式では、記録密度が高くなると磁気ビットが外部温度等の影響を顕著に受けるようになる。このため高い保磁力を有する記録媒体が必要になるが、そのような記録媒体を使用すると記録時に必要な磁界も大きくなる。記録ヘッドによって発生する磁界は飽和磁束密度によって上限が決まるが、この値は材料限界に近づいており飛躍的な増大は望めない。そこで、記録時に局所的に加熱して磁気軟化を生じさせ、保磁力が小さくなった状態で記録し、その後に加熱を止めて自然冷却することにより、記録した磁気ビットの安定性を保証する方式が提案されている。この方式は熱アシスト磁気記録方式と呼ばれている。
【0003】
熱アシスト磁気記録方式では、記録媒体の加熱を瞬間的に行うことが望ましい。また、加熱する機構と記録媒体とが接触することは許されない。このため、加熱は光の吸収を利用して行われるのが一般的であり、加熱に光を用いる方式は光アシスト式と呼ばれている。光アシスト式で超高密度記録を行う場合、必要なスポット径は20nm程度になるが、通常の光学系では回折限界があるため、光をそこまで集光することはできない。そこで、非伝搬光である近接場光を用いて加熱する方式がいくつか提案されている(特許文献1等参照。)。この方式では適当な波長のレーザ光を光学系によって集光し、数十nmの大きさの金属(プラズモンプローブと呼ばれる。)に照射して近接場光を発生させ、その近接場光を加熱手段として用いている。
【0004】
また、近接場光を発生させるプラズモンプローブやプラズモンプローブを形成する基板の材料について各種提案されている(例えば、特許文献2参照)。また、プラズモンプローブを金で形成し、プラズモンプローブに光を照射する光学素子の媒質に高屈折率のシリコンを用いる方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
プラズモンプローブに光を照射する光学素子の媒質に高屈折率のシリコンを用いると、効率よくスポット径を小さくすることができる。また、プラズモンプローブを金で形成すると高効率で近接場光を発生させることができる。このような特性を利用し、例えば、特許文献3に開示されているようにシリコンの上にプラズモンプローブを金で形成すると、小さいスポットサイズの近接場光を効率よく発生できる。
【特許文献1】特開2005−116155号公報
【特許文献2】特開2003−114184号公報
【特許文献3】特開2004−28900号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、シリコンの上にプラズモンプローブを金で形成すると、共晶と呼ばれる現象のため金の融点が低下する。そのため、光アシスト式磁気記録ヘッドのようにプラズモンプローブから近接場光を発生させ、その近接場光を加熱手段として用いると、発生した熱のため金が溶けて表面に合金を形成してしまう、という問題がある。
【0007】
図9を用いて、共晶について説明する。図9は金とシリコンの相図である。横軸はシリコンと金の割合であり、縦軸は融点である。図9のように金とシリコンの割合によって、融点が変化する。金とシリコンが接している部分を最低の融点以上の温度で加熱すると、最低の融点のときの金とシリコンの割合で混ざりながら溶けて合金になる。この現象は共晶と呼ばれている。図9のグラフから融点が最低になるのは約370℃であり、シリコンに対し約30%の割合で金が溶けることがわかる。
【0008】
一方、光アシスト磁気記録方式において、プラズモンプローブから発生させる近接場光により磁気記録媒体を加熱する目標温度は約400℃以上である。記録媒体をその温度に上げるのに必要な光エネルギーをプラズモンプローブに照射した場合、プラズモンプローブの温度は400℃以上に上昇し、最低の融点である約370℃を超える温度となる。そのため、金で形成されたプローブの表面がシリコンとの合金になり、近接場光を発生しなくなってしまう。
【0009】
すなわち、シリコンの上にプラズモンプローブを金で形成すると、熱アシスト式磁気記録に使用するような高いエネルギーの光を入射した場合、共晶現象により金とシリコンが合金を作ってしまうので、磁気記録媒体を必要な温度まで加熱できなかった。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、共晶を発生することなく効率良く近接場光を発生することが可能な近接場光発生器、光アシスト式磁気記録ヘッド、光アシスト式磁気記録装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
1.
光学素子からプラズモンプローブに照射した光から近接場光を発生する近接場光発生器において、
前記光学素子の材質はシリコン、
前記プラズモンプローブの材質は金であり、
前記光学素子と前記プラズモンプローブとの間に、シリコンと金の共晶現象を防止するバッファ層を形成したことを特徴とする近接場光発生器。
【0012】
2.
前記光学素子は、導波路であることを特徴とする1に記載の近接場光発生器。
【0013】
3.
前記光学素子は凹部を有し、前記プラズモンプローブは、該凹部にシリコンと金の共晶現象を防止するバッファ層を介して形成されていることを特徴とする1に記載の近接場光発生器。
【0014】
4.
光源から照射された光を集光する光学素子と、
前記光学素子が配置された光透過性を有する支持部材と、
前記光学素子によって集光される位置に設けられ、前記支持部材を透過した前記光から近接場光を発生するプラズモンプローブと、
を有する近接場光発生器において、
前記支持部材の材質はシリコン、
前記プラズモンプローブの材質は金であり、
前記支持部材と前記プラズモンプローブとの間に、シリコンと金の共晶現象を防止するバッファ層を形成したことを特徴とする近接場光発生器。
【0015】
5.
前記バッファ層の厚みをt、前記プラズモンプローブに照射される前記光の波長をλとすると、
前記バッファ層の厚みtは、
200nm≦t≦2λ
であることを特徴とする1乃至4の何れか1項に記載の近接場光発生器。
【0016】
6.
前記バッファ層は、石英、チッ化シリコン、炭化シリコン、砒素化ガリウム、酸化チタン、ダイアモンドの何れかによって形成されていることを特徴とする1乃至5の何れか1項に記載の近接場光発生器。
【0017】
7.
1乃至6の何れか1項に記載の近接場光発生器と、
磁気記録素子と、を有することを特徴とする光アシスト式磁気記録ヘッド。
【0018】
8.
記憶媒体と、
前記記憶媒体を回転させる駆動手段と、
前記記憶媒体に近接場光を照射する7に記載の光アシスト式磁気記録ヘッドと、
前記光アシスト式磁気記録ヘッドを前記記憶媒体に対して相対的に移動させるヘッド移動手段と、
を有することを特徴とする光アシスト式磁気記録装置。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、シリコン媒質の上にバッファ層を設け、バッファ層の上に金から構成されるプラズモンプローブを形成するので、共晶を発生することなく効率よく近接場光を発生し、磁気記録可能な温度に記録媒体を加熱することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係る近接場光発生器、光アシスト磁気記録ヘッドと、それを備えた光アシスト式磁気記録装置を、図面を参照しつつ説明する。なお、各実施の形態の相互で同一の部分や相当する部分には同一の符号を付して重複説明を適宜省略する。
【0021】
図1に光アシスト磁気記録ヘッドを搭載した光アシスト式磁気記録装置の一例としてハードディスク装置の概略構成図を示す。
【0022】
この光アシスト式磁気記録装置10は、記録用のディスク(磁気記録媒体)2と、支軸5を支点として矢印A方向(トラッキング方向)に回転可能に設けられたサスペンション4と、サスペンション4に取り付けられたトラッキング用のアクチュエータ6を筐体1内に備えている。また、サスペンション4の先端部に取り付けられた光アシスト式磁気記録ヘッド3と、ディスク2を矢印B方向に回転させるモータ(不図示)と、を筐体1内に備えており、光アシスト式磁気記録ヘッド3がディスク2上で浮上しながら相対的に移動しうるように構成されている。本例では、ディスク2及び光アシスト式磁気記録ヘッド3を複数積層した構造としている。説明を簡単にするため一つのヘッドについて詳しく説明するが、他のヘッドも同様の構成を有している。ディスク2は本発明の記録媒体、モータは本発明の駆動手段、アクチュエータ6は本発明のヘッド移動手段である。
【0023】
図2に本発明の第1の実施形態における光アシスト式磁気記録ヘッド3、近接場光発生器39の断面図を図示する。また、図3に本発明の第2の実施形態における近接場光発生器39の断面図を図示する。
【0024】
第1の実施形態の光アシスト式磁気記録ヘッド3は、サスペンション4、近接場光発生器39、磁気記録部40、磁気再生部41などを備えたスライダ11から構成されている。近接場光発生器39は、SIL(Solid Immersion Lens)50と、バッファ層31と、プラズモンプローブ30から構成されている。SIL50はシリコンから形成された本発明の光学素子である。
【0025】
スライダ11のディスク2に対向する面にはディスク2が回転すると空気流によりディスク2上に浮上するように図示せぬ構造(Air Bering Surface)が設けられている。
【0026】
図示せぬ半導体レーザから照射された近赤外レーザー光(波長1550nm、1310nm等)は、シリコンから形成されたSIL50によって図2の矢印のように集光される。SIL50をシリコンで形成すると、シリコンの屈折率はおよそ3.5なので、集光された光のスポット径は空気中で集光した場合と比べておよそ1/3.5に縮小できる。これは、エネルギー密度を約12倍に高めたことに相当し、高効率集光が実現できる。
【0027】
SIL50のディスク2に対向する面には、例えば石英を材料としたバッファ層31が形成され、さらにバッファ層31の上に金で形成されたプラズモンプローブ30が形成されている。
【0028】
バッファ層31は、シリコンから形成されたSIL50と、金から形成されたプラズモンプローブ30が共晶をおこすのを防止するために設けられている。そのため、バッファ層31に用いる材料は、融点が高く、使用波長域(1.2μmから1.6μm程度)において透明であることが求められる。例えば、石英(SiO2)のほかにチッ化シリコン(SiN)、炭化シリコン(SiC)、砒素化ガリウム(GaAs)、酸化チタン(TiO2)、ダイアモンド(C)などを用いることができる。バッファ層31の厚みtは後に詳しく説明するように、200nm以上にすることが好ましい。一方、バッファ層31の厚みを厚くすると、シリコンのSIL50で集光された光が、石英のバッファ層31に進むと急激に広がり、スポット径が拡大してしまう。一般に集光された光は波長程度の長さはビームウェストの径を保ち、そこから広がりが大きくなる。
【0029】
したがって、高屈折率のシリコン媒質を用いたことによる利点を残したまま、バッファ層を設けるためにはその厚さを波長λの2倍以内に抑える必要がある。例えば、光の波長が1.2μmだとすると、バッファ層の厚さtは2.4μm以下にすることが望ましい。
【0030】
すなわち、バッファ層31の厚みをt、プラズモンプローブに照射される光の波長をλとすると、バッファ層31の厚みtは式1のようにすることが望ましい。
【0031】
200nm≦t≦2λ・・・・・(式1)
なお、このようなバッファ層31は、TEOS(テトラエトキシシラン)を原料としてCVD法などを用いて成膜することができる。
【0032】
図3に示す第2の実施形態の近接場光発生器39は、SIL50の全面にバッファ層31が形成された例である。このようなバッファ層31は、シリコンから形成されたSIL50に、水蒸気酸化法などを用いて形成することができる。第2の実施形態の近接場光発生器39は、SIL50の全面にバッファ層31が形成されていること以外は第1の実施形態と同じ構成であり、第1の実施形態の近接場光発生器39に代えて光アシスト式磁気記録ヘッド3に搭載可能である。
【0033】
次に、図4を用いてプラズモンプローブ30について説明する。図4において、(1−a)、(1−b)は三角形のプラズモンプローブ30、(2−a)、(2−b)はボウタイ型のプラズモンプローブ30の例である。いずれも金を材料とする平板状金属薄膜で形成されている。(1−a)、(2−a)は平面図、(1−b)、(2−b)は正面図であり、いずれも曲率半径20nm以下の頂点Pを有する。
【0034】
これらのプラズモンプローブ30に光が作用すると、その頂点P近辺に近接場光が発生して、非常に小さいスポットサイズの光を用いた記録又は再生を行うことが可能となる。つまり、SIL50の上に形成されたバッファ層31の光出射位置又はその近傍にプラズモンプローブ30を設け、近接場光を発生させると、SIL50で集光された光スポットのサイズを更に小さくすることができ、高密度記録に有利となる。
【0035】
光アシスト式磁気記録ヘッド3を搭載した光アシスト式磁気記録装置10において、プラズモンプローブ30から近接場光がディスク2に照射されると、ディスク2の照射された部分の温度が一時的に上昇してディスク2の保磁力が低下する。その保磁力の低下した状態の照射部分に対して、磁気記録部40により磁気情報の書き込みが行われる。また、ディスク2に書き込んだ磁気情報は磁気再生部41で読み出しが行われる。
【0036】
図2、図3のように、近接場光発生器39を構成するシリコンのSIL50のディスク2に対向する面にバッファ層31を形成し、バッファ層31の上に金からプラズモンプローブ30を形成すると、共晶をおこすことなく効率良く近接場光を発生できる。すなわち、バッファ層31を設けることによりシリコンのSIL50と金から形成されたプラズモンプローブ30が直接接さないからである。また、このような近接場光発生器39を搭載した光アシスト式磁気記録ヘッド3を用いた光アシスト式磁気記録装置10では、共晶をおこすことなく高密度な記録が可能になる。
【0037】
次に、近接場光発生器39の第3の実施形態について説明する。
【0038】
以下、今までに説明した機能要素と同じ機能要素には同番号を付し、説明を省略する。
【0039】
図5に本発明の第3の実施形態における近接場光発生器39の断面図を図示する。
【0040】
図5(a)は近接場光発生器39の断面図であり、図5(b)は図5(a)の点線Aで囲う部分の拡大図である。図5(a)の矢印は、図示せぬ半導体レーザから照射された近赤外レーザー光の光束を示している。
【0041】
シリコンから形成されたSIL50には、ドライエッチング法などを用いて凹部55が設けられている。凹部55の全面にはTEOSを原料としてCVD法などを用いてバッファ層31が成膜されている。バッファ層31の内側に金を抵抗加熱蒸着法などを用いて埋め込み、ピン状のプラズモンプローブ30が形成されている。
【0042】
このようにすると、プラズモンプローブ30に、より効率よく集光することができるので、光スポットのサイズを更に小さくすることができ、高密度記録に有利となる。また、シリコンのSIL50の凹部55にバッファ層31を形成し、バッファ層31の内側に金を埋め込みプラズモンプローブ30を形成しているので、共晶をおこすことなく効率良く近接場光を発生できる。
【0043】
また、本実施形態の近接場光発生器39は、図2で説明した第1の実施形態の近接場光発生器39に代えて光アシスト式磁気記録ヘッド3を構成することもできる。
【0044】
次に、光アシスト式磁気記録ヘッド3の第4の実施形態について説明する。
【0045】
図6に本発明の第4の実施形態における光アシスト式磁気記録ヘッド3の断面図を図示する。
【0046】
第4の実施形態の光アシスト式磁気記録ヘッド3では、スライダ11がシリコンで形成され、スライダ11のディスク2に対向する面側にバッファ層31と、さらにその上にプラズモンプローブ30が形成されている。図示せぬ半導体レーザから照射された近赤外レーザー光は、SIL50によって図6の矢印のように、スライダ11上にバッファ層31を介して形成されたプラズモンプローブ30の図示せぬ頂点P近辺に集光する。本実実施形態の近接場光発生器39は、SIL50、スライダ11、バッファ層31、プラズモンプローブ30から構成される。スライダ11は本発明の支持部材、SIL50は本発明の光学素子である。
【0047】
本実施形態ではスライダ11が高屈折率のシリコンで形成されているので、高効率集光が実現できる。
【0048】
スライダ11のディスク2に対向する面には例えば石英を材料としたバッファ層31が形成され、金で形成されたプラズモンプローブ30と磁気記録部40、磁気再生部41がバッファ層31に埋め込まれている。また、スライダ11のディスク2に対向する面にはディスク2が回転すると空気流によりディスク2上に浮上するように図示せぬ構造(Air Bering Surface)が設けられている。
【0049】
このように、シリコンからなるスライダ11のディスク2に対向する面にバッファ層31を形成し、バッファ層31の上に金で形成されたプラズモンプローブ30を形成すると、共晶をおこすことなく高出力の近接場光を発生できる。また、このような近接場光発生器39を搭載した光アシスト式磁気記録ヘッド3を用いた光アシスト式磁気記録装置10では、共晶をおこすことなく高密度な記録が可能になる。
【0050】
図7に本発明の第5の実施形態における光アシスト式磁気記録ヘッド3、近接場光発生器39の断面図を図示する。
【0051】
第5の実施形態の光アシスト式磁気記録ヘッド3は、サスペンション4、光ファイバー14及び球レンズ15、半球レンズ16、シリコンマイクロプリズム17が取り付けられたシリコンベンチ13と、導波路32などを備えたスライダ11とで構成されている。
【0052】
シリコンベンチ13には、光ファイバー14及び球レンズ15、半球レンズ16、シリコンマイクロプリズム17、サスペンション4が取り付けられている。スライダ11にはシリコンベンチ13が接着されている。また、スライダ11のディスク2に対向する面にはディスク2が回転すると空気流によりディスク2上に浮上するように図示せぬ構造(Air Bering Surface)が設けられている。
【0053】
図示せぬ半導体レーザから照射された近赤外レーザー光(波長1550nm、1310nm等)の光束は、光ファイバー14の光出射側端面が斜めにカットされているため、光ファイバー14から右上方に出射する。その後、球レンズ15に入射する。球レンズ15は例えば直径0.15mm程度のガラス球(BK7)から成り、光束は球レンズ15で略コリメートされる。球レンズ15を通過した光束は、半球レンズ16に入射する。半球レンズ16は例えば直径0.09mm程度のガラス半球(BK7)から成り、シリコンベンチ13と一体化されたシリコンマイクロプリズム17に接着されている。球レンズ15から出射した略コリメート光束は、半球レンズ16で集光された後、シリコンマイクロプリズム17での全反射により偏向される。シリコンマイクロプリズム17は頂角が約70°であり、異方性エッチングにより形成されている。シリコンマイクロプリズム17で偏向された光束は、直下のシリコンを媒質とする導波路32に対して集光され、導波路32との結合が完了する。導波路32に入射された光束は、導波路32で導光されディスク2の側に射出される。導波路32は本発明の光学素子である。
【0054】
導波路32から光束が出射するディスク2側の面には石英を材料としたバッファ層31が設けられ、バッファ層31の上には金から形成されたプラズモンプローブ30が設けられている。本実施形態の近接場光発生器39は、導波路32、バッファ層31、プラズモンプローブ30から構成される。
【0055】
プラズモンプローブ30から近接場光がディスク2に照射されると、ディスク2の近接場光が照射された部分の温度が一時的に上昇してディスク2の保磁力が低下する。その保磁力の低下した状態の照射部分に対して、磁気記録部40により磁気情報の書き込みが行われる。また、ディスク2に書き込んだ磁気情報は磁気再生部41で読み出しが行われる。
【0056】
このようにシリコンの導波路32を用いると、プラズモンプローブ30に効率よく導光することができる。また、シリコンの導波路32のディスク2に対向する面にバッファ層31を形成し、バッファ層31の上に金からプラズモンプローブ30を形成するので、共晶をおこすことなく近接場光を発生し、高密度な記録が可能になる。
【0057】
次に、光アシスト式磁気記録ヘッド3、近接場光発生器39の第6の実施形態について説明する。
【0058】
図8に本発明の第6の実施形態における光アシスト式磁気記録ヘッド3の断面図を図示する。
【0059】
第5の実施形態との違いは、導波路32が石英から形成されるクラッド34とシリコンから形成されるコア33から構成される点である。コア33は光が入射する側が細い円錐状になっており、石英のクラッド34に埋め込まれている。コア33は本発明の光学素子である。本実施形態の近接場光発生器39は、コア33、バッファ層31、プラズモンプローブ30から構成される。
【0060】
このように構成すると、入射光のスポット径は、入射側から出射側に向けて徐々に縮小し、出射側では入射側の1/10程度に縮小できる。このような導波路32を用いた場合も、シリコンから形成されるコア33の上にバッファ層30を形成し、バッファ層30の上にプラズモンプローブ30を形成することにより、共晶をおこすことなく近接場光を発生し、高密度な記録が可能になる。
【0061】
そのほかの構成は第5の実施形態と同様であり説明を省略する。
【実施例】
【0062】
以下、本発明の効果を確認するために行った実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0063】
[実施例1]
実施例1では、図2に示す第1の実施形態の近接場光発生器39に用いるSIL50を、バッファ層31の厚さを変えて作製し、共晶を防止する効果を確認した。また、作製した近接場光発生器39を用いて、第1の実施形態の光アシスト式磁気記録ヘッド3を作製し、磁気記録に十分な光量の近接場光が発生できることを確認した。
【0064】
試作した近接場光発生器39を作製する工程について説明する。
【0065】
最初に、近接場光発生器39に用いる半球状のSIL50を、シリコン結晶から6つ作製した。SIL50の曲率半径は1.4mmである。次に、作製したSIL50の平面部に、それぞれ厚さ50nm、100nm、200nm、400nm、1000nm、5000nmのバッファ層31を成膜した。バッファ層31は、SIL50の平面部にTEOSを原料に用いてCVD法で石英の薄膜を成膜した。
【0066】
6つのSIL50のバッファ層31の上に、図4(1−a)に示す厚さ40nmの金のプラズモンプローブを作成した。パターンニングには電子線描画装置を用い、レジストをパターンニングした後に抵抗加熱蒸着法で金を成膜し、リフトオフ法により三角形状を作成した
〔実験結果〕
共晶を防止する効果を確認するため、実施例1で作製した6つの近接場光発生器39をオーブンに入れて雰囲気温度450℃まで加熱し、共晶による合金の発生状況を顕微鏡観察により確認した。
【0067】
その結果、バッファ層31を200nm以上の厚みで作成した近接場光発生器39のプラズモンプローブ30には共晶による合金が発生しないことが確認できた。一方、バッファ層31を50nm、100nmの厚みで作成した近接場光発生器39のプラズモンプローブ30には共晶による合金が発生した。
【0068】
作製した近接場光発生器39を用いて、光アシスト式磁気記録ヘッド3を6つ作製し、光アシスト式磁気記録装置10に組み込んで磁気記録の可否を確認した。
【0069】
その結果、バッファ層31を200nm以上の厚みで作成した近接場光発生器39を用いた光アシスト式磁気記録ヘッド3は良好に磁気記録ができることが確認できた。
【0070】
一方、バッファ層31を50nm、100nmの厚みで作成した近接場光発生器39を用いた光アシスト式磁気記録ヘッド3では磁気記録ができなかった。
【0071】
[実施例2]
実施例2では、図3に示すSIL50を、水蒸気酸化法を用いてバッファ層31の厚さを変えて作製し、共晶を防止する効果を確認した。また、作製した近接場光発生器39を用いて光アシスト式磁気記録ヘッド3を作製し、磁気記録に十分な光量の近接場光が発生できることを確認した。
【0072】
試作した近接場光発生器39を作製する工程について説明する。
【0073】
最初に、近接場光発生器39に用いる半球状のSIL50を、シリコン結晶から6つ作製した。SIL50の曲率半径は1.4mmである。次に、作製したSIL50の平面部に、それぞれ厚さ50nm、100nm、200nm、400nm、1000nm、5000nmのバッファ層31を成膜した。バッファ層31は、シリコンで形成されたSIL50を水蒸気雰囲気中に置き、SIL50の全面に酸化膜(SiO2)を成膜した。
【0074】
6つのSIL50のバッファ層31の上に、それぞれ金を抵抗加熱蒸着法によって成膜することにより、図4(1−a)に示す高さ0.4μm、頂角40°の二等辺三角形のプラズモンプローブ30を作製した。試作したプラズモンプローブ30の膜厚は40nmである。
【0075】
〔実験結果〕
共晶を防止する効果を確認するため、実施例2で作製した6つの近接場光発生器39をオーブンに入れて雰囲気温度450℃まで加熱し、共晶による合金の発生状況を顕微鏡観察により確認した。
【0076】
その結果、バッファ層31を200nm以上の厚みで作成した近接場光発生器39のプラズモンプローブ30には共晶による合金が発生しないことが確認できた。一方、バッファ層31を50nm、100nmの厚みで作成した近接場光発生器39のプラズモンプローブ30には共晶による合金が発生した。
【0077】
作製した近接場光発生器39を用いて、光アシスト式磁気記録ヘッド3を6つ作製し、光アシスト式磁気記録装置10に組み込んで磁気記録の可否を確認した。
【0078】
その結果、バッファ層31を200nm以上の厚みで作成した近接場光発生器39を用いた光アシスト式磁気記録ヘッド3は良好に磁気記録ができることが確認できた。本実施例では、SIL50の全面に酸化膜を形成したが、SIL50の集光性能にはほとんど影響が無く、良好に磁気記録ができた。
【0079】
一方、バッファ層31を50nm、100nmの厚みで作成した近接場光発生器39を用いた光アシスト式磁気記録ヘッド3では磁気記録ができなかった。
【0080】
[実施例3]
実施例3では、図5に示す第3の実施形態の近接場光発生器39を作成した。第3の実施形態の近接場光発生器39に用いるSIL50の作成方法を説明する。
【0081】
最初に、シリコンから形成した曲率半径1.4mmの半球の平面に、ドライエッチング法を用いて直径2μm、深さ400nmの凹部55を作成した。次に、バッファ層31は、SIL50の凹部55の全面にTEOSを原料に用いてCVD法で石英の薄膜を成膜した。石英のバッファ層31で覆われた凹部55に、抵抗加熱蒸着法を用いて金を蒸着し、バッファ層31の内側に金を埋め込み図5に示すピン形状のプラズモンプローブ30を作製した。
【0082】
実験では、実施例1、実施例2と同様にバッファ層31の厚みを変えたSIL50を作成し、共晶を防止する効果を確認した。また、作製した近接場光発生器39を用いて、光アシスト式磁気記録ヘッド3を作製し、磁気記録に十分な光量の近接場光が発生できることを確認した。
【0083】
〔実験結果〕
共晶を防止する効果を確認するため、実施例3で作製した6つの近接場光発生器39をオーブンに入れて雰囲気温度450℃まで加熱し、共晶による合金の発生状況を顕微鏡観察により確認した。
【0084】
その結果、バッファ層31を200nm以上の厚みで作成した近接場光発生器39のプラズモンプローブ30には共晶による合金が発生しないことが確認できた。一方、バッファ層31を50nm、100nmの厚みで作成した近接場光発生器39のプラズモンプローブ30には共晶による合金が発生した。
【0085】
作製した近接場光発生器39を用いて、光アシスト式磁気記録ヘッド3を6つ作製し、光アシスト式磁気記録装置10に組み込んで磁気記録の可否を確認した。
【0086】
その結果、バッファ層31を200nm以上の厚みで作成した近接場光発生器39を用いた光アシスト式磁気記録ヘッド3は良好に磁気記録ができることが確認できた。
【0087】
一方、バッファ層31を50nm、100nmの厚みで作成した近接場光発生器39を用いた光アシスト式磁気記録ヘッド3では磁気記録ができなかった。
【0088】
[実施例4]
実施例4では、図6に示す第4の実施形態の近接場光発生器39を作成した。第4の実施形態で用いるスライダ11の作成方法を説明する。
【0089】
最初に、シリコンから形成したスライダ11の片面に、TEOSを原料に用いてCVD法で石英の薄膜を成膜し、バッファ層31とした。次に、バッファ層31に、ドライエッチング法を用いての凹部を作成し、凹部に抵抗加熱蒸着法を用いて金を蒸着しプラズモンプローブ30とした。SIL50はシリコンから作製し、スライダ11に接着した。
【0090】
今までの実施例と同様にバッファ層31の厚みを変えた近接場光発生器39を6つ試作し、共晶を防止する効果を確認した。また、作製した近接場光発生器39を用いて、光アシスト式磁気記録ヘッド3を作製し、磁気記録に十分な光量の近接場光が発生できることを確認した。
【0091】
〔実験結果〕
共晶を防止する効果を確認するため、実施例4で作製した6つの近接場光発生器39をオーブンに入れて雰囲気温度450℃まで加熱し、共晶による合金の発生状況を顕微鏡観察により確認した。
【0092】
その結果、バッファ層31を200nm以上の厚みで作成した近接場光発生器39のプラズモンプローブ30には共晶による合金が発生しないことが確認できた。一方、バッファ層31を50nm、100nmの厚みで作成した近接場光発生器39のプラズモンプローブ30には共晶による合金が発生した。
【0093】
作製した近接場光発生器39を用いて、光アシスト式磁気記録ヘッド3を6つ作製し、光アシスト式磁気記録装置10に組み込んで磁気記録の可否を確認した。
【0094】
その結果、バッファ層31を200nm以上の厚みで作成した近接場光発生器39を用いた光アシスト式磁気記録ヘッド3は良好に磁気記録ができることが確認できた。
【0095】
一方、バッファ層31を50nm、100nmの厚みで作成した近接場光発生器39を用いた光アシスト式磁気記録ヘッド3では磁気記録ができなかった。
【0096】
[実施例5]
実施例5では、図7に示す第5の実施形態の近接場光発生器39を作成した。第5の実施形態で用いる近接場光発生器39の作製方法を説明する。
【0097】
実施例5の導波路32を有するスライダ11の作製方法を説明する。スライダ11の基板19(材料:シリコン等)に磁気再生部41を作製した後、平坦化する。次に、CVD(Chemical Vapor Deposition)を用いてSiO2層20を3μm成膜し、続いてSi層を300nm成膜する。その上にレジストを塗布し、電子ビームリソグラフィー(あるいはステッパーを用いたリソグラフィー)により所望の形状となるようにレジストパターンを形成する。次に、RIE(Reactive Ion Etching)を用いてSi層を加工し、導波路32を形成する。
【0098】
CVDを用いてSiO2層24を5μm成膜した後に平坦化し、磁気記録部12Bを作製する。図7に示すように、ダイシング、ミリング等の加工方法により、スライダ形状に切断加工する。
【0099】
このようにして形成したスライダ11の導波路32の片面に、TEOSを原料に用いてCVD法で石英の薄膜を成膜し、バッファ層31とした。次に、バッファ層31の上に、抵抗加熱蒸着法を用いて金を蒸着して実施例1と同形状のプラズモンプローブ30を形成し、近接場光発生器39を作製した。今までの実施例と同様にバッファ層31の厚みを変えた近接場光発生器39を6つ試作し、共晶を防止する効果を確認した。
【0100】
また、作製したスライダ11を用いて光アシスト式磁気記録ヘッド3を作製し、磁気記録に十分な光量の近接場光が発生できることを確認した。
【0101】
〔実験結果〕
共晶を防止する効果を確認するため、実施例5で作製した6つの近接場光発生器39をオーブンに入れて雰囲気温度450℃まで加熱し、共晶による合金の発生状況を顕微鏡観察により確認した。
【0102】
その結果、バッファ層31を200nm以上の厚みで作成した近接場光発生器39のプラズモンプローブ30には共晶による合金が発生しないことが確認できた。一方、バッファ層31を50nm、100nmの厚みで作成した近接場光発生器39のプラズモンプローブ30には共晶による合金が発生した。
【0103】
作製した近接場光発生器39を用いて、光アシスト式磁気記録ヘッド3を6つ作製し、光アシスト式磁気記録装置10に組み込んで磁気記録の可否を確認した。
【0104】
その結果、バッファ層31を200nm以上の厚みで作成した近接場光発生器39を用いた光アシスト式磁気記録ヘッド3は良好に磁気記録ができることが確認できた。
【0105】
一方、バッファ層31を50nm、100nmの厚みで作成した近接場光発生器39を用いた光アシスト式磁気記録ヘッド3では磁気記録ができなかった。
【0106】
[実施例6]
実施例6では、図8に示す第6の実施形態の近接場光発生器39を作成した。第6の実施形態で用いる近接場光発生器39の作製方法を説明する。
【0107】
実施例6の導波路32を有するスライダ11の作製方法を説明する。スライダ11の基板19(材料:シリコン等)に磁気再生部41を作製した後、平坦化する。次に、CVD(Chemical Vapor Deposition)を用いてSiO2層20を3μm成膜し、続いてSi層を300nm成膜する。その上にレジストを塗布し、電子ビームリソグラフィー(あるいはステッパーを用いたリソグラフィー)によりコア形状をパターニングして、レジストパターンを形成する。このとき、コア形状が所望のテーパ形状となるようにレジストパターンを形成する。次に、RIE(Reactive Ion Etching)を用いてSi層を加工し、コア33を形成する。次に、CVDを用いてSiON層を3μm積層する。フォトリソ工程でSiON層を3μm幅に加工し、クラッド34を形成する。次に、CVDを用いてSiO2層を5μm成膜した後に平坦化し、磁気記録部40を作製する。次に、ダイシング、ミリング等の加工方法により、スライダ形状に切断加工する。
【0108】
このようにして形成したスライダ11の導波路32の片面に、TEOSを原料に用いてCVD法で石英の薄膜を成膜し、バッファ層31とした。次に、バッファ層31の上に、抵抗加熱蒸着法を用いて金を蒸着して実施例1と同形状のプラズモンプローブ30を形成し、近接場光発生器39を作製した。今までの実施例と同様にバッファ層31の厚みを変えた近接場光発生器39を6つ試作し、共晶を防止する効果を確認した。
【0109】
また、作製したスライダ11を用いて、光アシスト式磁気記録ヘッド3を作製し、磁気記録に十分な光量の近接場光が発生できることを確認した。
【0110】
〔実験結果〕
共晶を防止する効果を確認するため、実施例6で作製した6つの近接場光発生器39をオーブンに入れて雰囲気温度450℃まで加熱し、共晶による合金の発生状況を顕微鏡観察により確認した。
【0111】
その結果、バッファ層31を200nm以上の厚みで作成した近接場光発生器39のプラズモンプローブ30には共晶による合金が発生しないことが確認できた。一方、バッファ層31を50nm、100nmの厚みで作成した近接場光発生器39のプラズモンプローブ30には共晶による合金が発生した。
【0112】
作製した近接場光発生器39を用いて、光アシスト式磁気記録ヘッド3を6つ作製し、光アシスト式磁気記録装置10に組み込んで磁気記録の可否を確認した。
【0113】
その結果、バッファ層31を200nm以上の厚みで作成した近接場光発生器39を用いた光アシスト式磁気記録ヘッド3は良好に磁気記録ができることが確認できた。
【0114】
一方、バッファ層31を50nm、100nmの厚みで作成した近接場光発生器39を用いた光アシスト式磁気記録ヘッド3では磁気記録ができなかった。
【0115】
以上このように、本発明によれば、共晶を発生することなく効率良く近接場光を発生することが可能な近接場光発生器、光アシスト式磁気記録ヘッド、光アシスト式磁気記録装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】光アシスト式光アシスト式磁気記録装置10の概略構成例を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態における光アシスト式磁気記録ヘッド3、近接場光発生器39の断面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態における近接場光発生器39の断面図である。
【図4】本発明に係わるプラズモンプローブ30の説明図である。
【図5】本発明の第3の実施形態における近接場光発生器39の断面図である。
【図6】本発明の第4の実施形態における光アシスト式磁気記録ヘッド3、近接場光発生器39の断面図である。
【図7】本発明の第5の実施形態における光アシスト式磁気記録ヘッド3、近接場光発生器39の断面図である。
【図8】本発明の第6の実施形態における光アシスト式磁気記録ヘッド3、近接場光発生器39の断面図である。
【図9】金とシリコンの相図である。
【符号の説明】
【0117】
1 筐体
2 ディスク
3 光アシスト式磁気記録ヘッド
4 サスペンション
10 光アシスト式磁気記録装置
11 スライダ
12 導波路
13 シリコンベンチ
17 マイクロプリズム
30 プラズモンプローブ
31 バッファ層
32 導波路
39 近接場光発生器
40 磁気記録部
41 磁気再生部
50 SIL
56 光ファイバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学素子からプラズモンプローブに照射した光から近接場光を発生する近接場光発生器において、
前記光学素子の材質はシリコン、
前記プラズモンプローブの材質は金であり、
前記光学素子と前記プラズモンプローブとの間に、シリコンと金の共晶現象を防止するバッファ層を形成したことを特徴とする近接場光発生器。
【請求項2】
前記光学素子は、導波路であることを特徴とする請求項1に記載の近接場光発生器。
【請求項3】
前記光学素子は凹部を有し、前記プラズモンプローブは、該凹部にシリコンと金の共晶現象を防止するバッファ層を介して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の近接場光発生器。
【請求項4】
光源から照射された光を集光する光学素子と、
前記光学素子が配置された光透過性を有する支持部材と、
前記光学素子によって集光される位置に設けられ、前記支持部材を透過した前記光から近接場光を発生するプラズモンプローブと、
を有する近接場光発生器において、
前記支持部材の材質はシリコン、
前記プラズモンプローブの材質は金であり、
前記支持部材と前記プラズモンプローブとの間に、シリコンと金の共晶現象を防止するバッファ層を形成したことを特徴とする近接場光発生器。
【請求項5】
前記バッファ層の厚みをt、前記プラズモンプローブに照射される前記光の波長をλとすると、
前記バッファ層の厚みtは、
200nm≦t≦2λ
であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の近接場光発生器。
【請求項6】
前記バッファ層は、石英、チッ化シリコン、炭化シリコン、砒素化ガリウム、酸化チタン、ダイアモンドの何れかによって形成されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の近接場光発生器。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか1項に記載の近接場光発生器と、
磁気記録素子と、を有することを特徴とする光アシスト式磁気記録ヘッド。
【請求項8】
記憶媒体と、
前記記憶媒体を回転させる駆動手段と、
前記記憶媒体に近接場光を照射する請求項7に記載の光アシスト式磁気記録ヘッドと、
前記光アシスト式磁気記録ヘッドを前記記憶媒体に対して相対的に移動させるヘッド移動手段と、
を有することを特徴とする光アシスト式磁気記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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