説明

近距離無線通信装置、携帯電話端末

【課題】 MPUやCPUを介さず、非接触ICカード機能がロックされている場合に、その旨を確実にユーザへ通知可能とする。
【解決手段】
磁界強度/輝度変換部22は、RFIDカードのループアンテナ部1の受信搬送波の強度を検出し、該搬送波強度に応じて青色LED25と緑色LED26の輝度を調整する。点滅発生回路部21は、RFID機能LSI10の負荷変調率調整用抵抗4の端子波形レベルからRFIDカードが通信中かを検出し、通信中の時には青色LED25と緑色LED26を点滅させる。機能合成部23は、磁界強度/輝度変換部22と点滅発生回路部21の機能を合成し、磁界強度と通信状態を青色LED25と緑色LED26の輝度と点滅により現す。赤色LED24は、RFID機能LSIがロック状態のときのみ点灯する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばいわゆる非接触ICカードリーダライタとの間で情報通信を行う近距離無線通信装置、及び、その近距離無線通信装置を備えた携帯電話端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、RFID(Radio Frequency-Identification:電波方式認識)回路を内蔵した非接触ICカード(以下、RFIDカードと呼ぶ。)は、利用者の使い勝手が良いこと、耐久性が優れていること、複数カードへの同時アクセスが可能であること、メンテナンス性が良いこと、などの利点を活かし、例えば電車の乗車券やプリペイドカードとして普及しつつある。
【0003】
また最近は、上記RFIDカードを搭載した携帯電話端末も商品化されており、当該携帯電話端末に搭載されたRFIDカードと、例えば店舗等に設けられている非接触ICカードリーダライタ(以下、RFIDカードリーダライタと呼ぶ。)との間で電子的に金銭情報の送受を行うことによって、その店舗等での買い物における精算も可能となっている。
【0004】
以下、携帯電話端末等のモバイル端末に搭載されたRFIDカードと店舗等に備えられているRFIDカードリーダライタとからなるRFIDシステムにおける通信動作の流れを説明する。なお、ここでは、RFIDシステムの一具体例としていわゆるフェリカ(Felica:商標)システムにおける通信動作の流れを挙げている。
【0005】
先ず、RFIDシステムにおいて、図示を省略しているRFIDカードリーダライタは、常に搬送波を送出しており、ポーリング(polling)コマンドを送出し続けている。
【0006】
ここで、RFIDカードを搭載している携帯電話端末が上記RFIDカードリーダライタに近接した場合、当該携帯電話端末に搭載されているRFIDカードは、上記RFIDカードリーダライタから送出されている搬送波を受けて起動する。また、RFIDカードは、RFIDカードリーダライタから送出されているポーリングコマンドを受信すると、当該受信したポーリングコマンドが、自カード内にインストールされているサービスに対応したものであるか否かを判断し、当該サービスに対応している場合にのみ、RFIDカードリーダライタへレスポンスを返す。
【0007】
次に、上述のようにRFIDカードからRFIDカードリーダライタへレスポンスが返された時、RFIDカードリーダライタとRFIDカードとの間では相互認証が行われ、その後、必要に応じて、RFIDカードリーダライタがRFIDカード内のデータの読み書きを行う。
【0008】
そして、上述の一連の処理が正常に終了した場合、RFIDカードリーダライタは、当該RFIDシステムにおいて予め決められている所定の方法により、上記一連の処理が正常に終了したことをユーザに通知する。なお、上記一連の処理が正常に終了したことをユーザに通知するための所定の方法としては、例えば、RFIDカードリーダライタに接続されているスピーカから所定の報知音を鳴らす方法や、RFIDカードリーダライタに接続されているディスプレイ装置の画面上に所定の表示を行う方法などがある。
【0009】
図4には、RFIDカードのトランスポンダ部分の概略構成を示す。
【0010】
この図4において、ループアンテナ部101は、図示しないRFIDカードリーダライタから送出される周波数が13.56MHzの搬送波を受信し、アンテナ端子101a,101b間に当該搬送波の磁界変化に応じた波形の電位差を発生させる。当該アンテナ端子101a,101bは、RFID機能LSI(Large Scale Integration)110と接続されている。
【0011】
また、上記アンテナ端子101a,101bとRFID機能LSI110との間には同調用コンデンサ102が接続されている。当該同調用コンデンサ102は、上記ループアンテナ部101の持つインダクタンス成分と合わせて13.56MHzの共振周波数を得るためのコンデンサである。
【0012】
また、アンテナ端子101bとRFID機能LSI110との間には、整流ダイオード103が接続されている。当該整流ダイオード103は、上記ループアンテナ部101上の電圧波形をグランド(GND)よりもプラス側にシフトさせることで、単電源で動作するRFID機能LSI110にとって扱いやすくするためのダイオードである。当該整流ダイオード103は、上記ループアンテナ部101が受信した搬送波から直流(DC)電源を抽出する目的にも使用されている。
【0013】
RFID機能LSI110は、いわゆるASK(Amplitude Shift Keying)変調されている上記RFIDカードリーダライタからの搬送波から212kHzの信号成分を取り出すための復調を行う受信回路112と、送信信号の変調を行う送信回路113と、負荷スイッチング用のFET(電界効果トランジスタ)回路114と、クロック抽出回路及び無線通信プロトコルの上位レイヤを実現するMPU(Micro Processing Unit)115と、図示しない不揮発性メモリ等が内蔵されたLSIである。なお、当該RFID機能LSI110には、負荷変調率調整用の抵抗104も接続されている。
【0014】
また、当該RFID機能LSI110のイネーブル入力端子には、ロック信号入力端子105を介してRFIDカード機能を停止若しくは動作状態とするためのロック信号(機能停止時はローレベル)が供給されるようになっている。
【0015】
なお、特開2004−266729号の公開特許公報(特許文献1)には、非接触型ICカードを内蔵した携帯通信端末において、リーダ/ライタ装置と非接触型ICカードとが近接し、リーダ/ライタ装置からのキャリア信号により非接触型ICカードに発生する誘起電圧が所定電圧以上になった時、当該携帯電話端末内のCPU(Central Processing Unit)が例えばLED(発光ダイオード)を黄色に点灯させることにより、上記非接触型ICカードとリーダ/ライタとの間の距離が通信可能距離に達したことをユーザに通知し、次いで、リーダ/ライタからの開始コマンドを非接触型ICカードが受信した時、当該携帯電話端末内のCPUがLEDを例えば青色に点灯させることにより、非接触型ICカードとリーダ/ライタとの間の通信処理が開始されたことをユーザに通知し、さらに、リーダ/ライタと非接触型ICカードとの間にてデータ通信が行われている時、当該携帯電話端末内のCPUがLEDを例えば青色に点滅させることにより、非接触型ICカードとリーダ/ライタとの間でデータ通信が行われていることをユーザに通知する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2004−266729号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
ところで、従来のRFIDシステムでは、上述したように、一連の処理が正常に終了した場合に、その旨をユーザに通知するようになされているため、以下にような問題が発生する。
【0018】
例えば、RFID機能が停止状態にロックされていることで通信が確立できていない場合、従来のRFIDシステムは、RFIDカードリーダライタとRFIDカードは共に無応答のままとなる。すなわち、携帯通信端末に搭載されている非接触ICカードの機能が停止状態にロックされている場合、言い換えると、非接触ICカード内のMPUが動作できない状態、或いは、携帯通信端末のCPUが非接触ICカード機能に関する処理を実行できない状態になされている場合には、上記ユーザへの報知を行うことができない。このようにRFIDシステムが無応答になってしまっている場合、ユーザは、直ぐには事態を把握することができず、RFID機能が停止状態にロックされていることで無応答になっていることを認識するまでに時間がかかってしまう。したがって、例えば駅の自動改札機にRFIDシステムが導入されているような場合において、そのような無応答状態が発生したとすると、利用者が自動改札機を通過するのに手間取ってしまい、当該自動改札機付近で利用者の流れが滞ってしまうことになる。また例えば、売店レジにRFIDシステムが導入されているような場合には、売店レジでの精算がスムーズに行えずレジ付近で混雑が発生してしまうことになる。
【0019】
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、例えば非接触ICカード機能が停止状態にロックされている場合でも、その旨をユーザに対して確実に知らせることもできる近距離無線通信装置及び携帯電話端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の近距離無線通信装置は、近距離無線通信用のアンテナと近距離無線通信のための送受信信号処理を行う通信信号処理部とを備えた近距離無線通信装置であり、アンテナが受信して通信信号処理部へ入力する搬送波から磁界強度を検出する磁界強度検出部と、磁界強度検出部が搬送波から磁界強度を検出した時に近距離無線通信の機能が停止状態にロックされていることを検出するロック検出部と、ロック検出部が停止状態を検出したことを利用者に対して報知するためのロック報知部と、ロック検出部が検出した停止状態に応じてロック報知部を動作させるロック報知信号を発生するロック報知信号発生部とを有することにより、上述した課題を解決する。
【0021】
また、本発明の携帯電話端末は、近距離無線通信用のアンテナと近距離無線通信のための送受信信号処理を行う通信信号処理部とを有する近距離無線通信部を備えた携帯電話端末であり、近距離無線通信部は、アンテナが受信して通信信号処理部へ入力する搬送波から磁界強度を検出する磁界強度検出部と、磁界強度検出部が搬送波から磁界強度を検出した時に近距離無線通信の機能が停止状態にロックされていることを検出するロック検出部と、ロック検出部が停止状態を検出したことを利用者に対して報知するためのロック報知部と、ロック検出部が検出した停止状態に応じてロック報知部を動作させるロック報知信号を発生するロック報知信号発生部とを有することにより、上述した課題を解決する。
【0022】
すなわち、本発明によれば、近距離無線通信に使用される搬送波の磁界強度を検出している時に、近距離無線通信の機能停止状態のロックの有無を検出して利用者に報知可能となされている。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、搬送波の磁界強度を検出している時に、近距離無線通信の機能停止状態のロックの有無を検出して利用者に報知できるため、例えば非接触ICカード機能が停止状態にロックされている場合、その旨をユーザに対して確実に知らせることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明実施形態の近距離無線通信装置の構成を示す回路図である。
【図2】調光用発振回路から直流電位/デューティ比変換回路の間における各部の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図3】本発明実施形態の近距離無線通信装置を備えた携帯電話端末の概略的な内部構成を示すブロック図である。
【図4】従来のRFIDカードのトランスポンダ部分の構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。
【0026】
なお、以下の説明では、本発明の近距離無線通信装置及び携帯電話端末の一実施形態として、RFIDカードを搭載した携帯電話端末を例に挙げている。勿論、ここで説明する内容はあくまで一例であり、本発明はこの例に限定されないことは言うまでもない。
【0027】
〔内部回路構成の概略〕
図1には、一般的なRFIDカードのトランスポンダ部分に、本発明にかかる回路構成を設けた本発明実施形態の近距離無線通信装置の概略構成を示す。
【0028】
本実施形態の近距離無線通信装置は、図示しないRFIDカードリーダライタからの搬送波を検出した時に例えば青色の光を点灯させる第1の点灯制御機能と、搬送波による磁界強度が大きくなるにつれて例えば青色光の輝度を低下させると同時に例えば緑色光の輝度を高めるように点灯させ、逆に、搬送波による磁界強度が小さくなるにつれて青色光の輝度を高めると同時に緑色光の輝度を低下させるように点灯させる第2の点灯制御機能と、RFIDカードリーダライタとの間で通信が行われている時には上記第2の点灯制御機能により点灯している青色光と緑色光を点滅させる第3の点灯制御機能と、RFIDカード機能が停止状態にロックされているときには上記搬送波の強度によらずに青色光と緑色光を共に消灯する一方で赤色光を点灯させる第4の点灯制御機能とを有している。そして、本実施形態の近距離無線通信装置は、それら第1〜第4の点灯制御機能を実行するための構成として、赤色LED24,青色LED25,緑色LED26の3色LEDからなる表示部と、搬送波の磁界強度を青色LED25と緑色LED26の輝度に変換するための磁界強度/輝度変換部22と、青色LED25と緑色LED26を点滅させるための点滅発生回路部21と、磁界強度/輝度変換部22と点滅発生回路部21の機能を結合するための機能合成部23とを備えている。
【0029】
ここで、上記3色LEDからなる表示部は、当該RFIDカードが通信可能な状態になっているかどうか、及び、RFIDカードとRFIDカードリーダライタとの間の距離が適切であるかどうか、及び、RFIDカードとRFIDカードリーダライタとの間で通信が行われているかどうか等の通信状態を、ユーザに通知するための表示装置である。
【0030】
上記磁界強度/輝度変換部22は、上記表示部の3色LEDの点灯の仕方を決定するための回路部であり、ループアンテナ部1が受信している搬送波の磁界強度に応じて、LEDの輝度を変化させる機能を有している。すなわち本実施形態の場合、上記磁界強度/輝度変換部22は、搬送波が弱いときには青色LED25の輝度を高くすると同時に緑色LED26の輝度を低い状態とし、一方、搬送波が強まるにつれて徐々に緑色LED26の輝度を高くすると同時に青色LED25の輝度を低くするような点灯制御を行う。これにより、例えばRFIDカードをRFIDカードリーダライタへ徐々に近づけることで搬送波が徐々に強まるような場合、ユーザからみた表示部の表示状態は、段々とLEDの色が青→青緑→緑に変化していくように見えることになる。なお、本実施形態において、搬送波強度と色との関係は、一例であり、使用するLEDの色を変えれば、上記搬送波強度と色との関係を自由に変更することができる。
【0031】
上記点滅発生回路部21は、上記磁界強度/輝度変換部22と同様、3色LED表示部の点灯の仕方を決定するための回路部であり、RFIDリーダライタとRFIDカードとの間で通信が行われているときに、磁界強度/輝度変換部22にて決定される発光色で点灯しているLEDを点滅させる機能を有している。本実施形態において、当該点滅発生回路部21は、RFIDリーダライタとRFIDカードとの間で通信が行われているか否かの判定は、RFID機能LSI10に内蔵されている負荷スイッチング用FET14の動作を監視すること、具体的には負荷変調率調整用の抵抗4の波形レベルを検出することにより行う。
【0032】
上記機能合成部23は、磁界強度/輝度変換部22と点滅発生回路部21によるLEDの点灯制御を、同一LED(青色LED25と緑色LED26)に対して行うための論理回路である。この機能合成部23により上記磁界強度/輝度変換部22と点滅発生回路部21によるLEDの点灯制御を結合することにより、RFIDリーダライタとRFIDカードとの間で通信が行われている時に、例えばRFIDカードをRFIDカードリーダライタへ徐々に近づけたり遠ざけたりした場合、ユーザからみた表示部の表示状態は、LEDの色が変化しつつ点滅するように見えることになる。
【0033】
〔内部回路構成の詳細〕
以下、図1の各構成要素について詳細に説明する。
【0034】
先ず、RFIDカードのトランスポンダ部分について説明する。
【0035】
ループアンテナ部1は、図示しないRFIDカードリーダライタから送出される周波数が13.56MHzの搬送波を受信し、アンテナ端子1a,1b間に当該搬送波の磁界変化に応じた波形の電位差を発生させる。当該アンテナ端子1a,1bは、RFID機能LSI10と接続されている。
【0036】
アンテナ端子1bとRFID機能LSI10との間には、整流ダイオード3が接続されている。当該整流ダイオード3は、上記ループアンテナ部1上の電圧波形をグランド(GND)よりもプラス側にシフトさせることで、単電源で動作するRFID機能LSI10にとって扱いやすくするためのダイオードである。当該整流ダイオード3は、上記ループアンテナ部1が受信した搬送波から直流(DC)電源を抽出する目的にも使用されている。
【0037】
RFID機能LSI10は、いわゆるASK変調されている上記RFIDカードリーダライタからの搬送波から212kHzの信号成分を取り出すための復調を行う受信回路12と、送信信号の変調を行う送信回路13と、負荷スイッチング用のFET回路14と、クロック抽出回路及び無線通信プロトコルの上位レイヤを実現するMPU15と、図示しない不揮発性メモリ等が内蔵されたLSIである。なお、当該RFID機能LSI10には、負荷変調率調整用の抵抗4も接続されている。
【0038】
また、当該RFID機能LSI10のイネーブル入力端子には、図示しないコントローラから、RFIDカード機能を停止か若しくは動作状態とするため、つまりRFID機能LSI10をディセーブル状態か若しくはイネーブル状態にするためのロック信号がロック信号入力端子5を介して供給されるようになっている。なお、本実施形態の近距離無線通信装置が携帯電話端末に設けられている場合、上記ロック信号を供給するコントローラは、当該携帯電話端末のCPU等となる。また、本実施形態では、上記ロック信号がローレベルであるときに、RFID機能LSI10は停止(ディセーブル)状態となされ、ハイレベルであるときに動作(イネーブル)状態となされる。
【0039】
次に、上記RFIDカードのトランスポンダ部分に付加された、上述した第1〜第4の点灯制御機能を実行するための各構成について説明する。
【0040】
3色LEDからなる表示部において、赤色LED24は、アノードが電源VDDに接続され、カソードが電流制限抵抗83を介してFET84と接続されており、FET84がONになされたときに、当該赤色LED24が点灯する。また、青色LED25は、アノードが電源VDDに接続され、カソードが電流制限抵抗85を介してFET86と接続されており、FET86がONになされたときに、当該青色LED25が点灯する。同様に、緑色LED26は、アノードが電源VDDに接続され、カソードが電流制限抵抗87を介してFET88と接続されており、FET88がONになされたときに、当該緑色LED26が点灯する。なお、本実施形態では、一つのデバイスに赤,青,緑の三つのLEDが内蔵された3色LEDを用いている。
【0041】
磁界強度/輝度変換部22は、直流電位抽出回路30と、調光用発振回路31と、二つのLPF(ローパスフィルタ)32,33と、直流電位/デューティ比変換回路34とにより構成されている。
【0042】
上記直流電位抽出回路30は、外部磁界(すなわちRFIDカードリーダライタからの搬送波)により励起されたループアンテナ出力波形のプラス側ピーク値を取り出し、その波形をコンデンサ43により平滑化することで、搬送波強度に応じた直流電位を得るための回路であり、当該搬送波強度に応じた直流電位を後段の直流電位/デューティ比変換回路34へ供給する。なお、本実施形態の直流電位抽出回路30は、上記平滑用コンデンサ43の他に、後段のICへの入力に対する過電圧保護用のツェナダイオード44と、電位調整用のプルダウン抵抗45と、アンテナへの影響軽減用の抵抗41及びダイオード42を備えている。
【0043】
上記調光用発振回路31は、LED(本実施形態の場合は青色LED25と緑色LED26)の輝度を、上記直流電位抽出回路30が上記搬送波から抽出した直流電位に応じて変更する際に使用する所定周波数の矩形波信号を生成するための発振回路である。
【0044】
ここで、当該調光用発振回路31は、RFID機能LSI10の搬送波検出出力端子が、NOR回路53の一方の入力端子に接続されている。なお、RFID機能LSI10の搬送波検出出力端子とNOR回路53との間には、プルアップ抵抗20が接続されている。上記NOR回路53の出力端子は、一方のローパスフィルタ32の入力端子に接続されている。また、当該NOR回路53の出力端子は、発振周波数設定用の抵抗46とコンデンサ47を介して当該NOR回路53の他方の入力端子に接続されていると共に、入力保護用の抵抗48を介してNOT回路49の入力端子に接続されている。また、上記NOT回路49の出力端子は、次段のNOT回路50の入力端子に接続されていると共に、他方のローパスフィルタ33の入力端子に接続されている。上記NOT回路50の出力端子は、ダンピング抵抗51を介してNOR回路53の他方の入力端子に接続されている。
【0045】
このような構成を備えることにより、当該調光用発振回路31は、上記抵抗46とコンデンサ47により決定される周波数で発振し、その発振周波数の矩形波信号をローパスフィルタ32,33へ出力することになる。また、本実施形態において、上記調光用発振回路31は、RFID機能LSI10の搬送波検出出力をNOR回路53へ入力する構成を備えており、RFID機能LSI10が搬送波を検出した時にのみ発振し、RFIDカードリーダライタが近接されていない時には発振しない構成となっているため、無駄な電流消費やノイズの放射を避けることが可能となっている。
【0046】
なお、調光用発振回路31の発振周波数は、低すぎると後段のLEDの点灯と消灯のサイクル周期が遅くなってLEDの光がちらついて見えるようになってしまい、逆に、高すぎると他の回路や信号に影響を及ぼすノイズの原因となるので、100Hzから200Hz程度とすることが望ましい。なお、当該調光用発振回路31は、上記100Hzから200Hz程度の周波数で安定した発振を行うことができれば、特に図1に示した構成でなくても良い。
【0047】
上記ローパスフィルタ32,33は、上記調光用発振回路31から供給された矩形波を、三角状の波形信号に積分するためのフィルタであり、その三角状波形信号を直流電位/デューティ比変換回路34へ出力する。なお、本実施形態では、抵抗とコンデンサからなるCRフィルタを例に挙げているが、他の構成のローパスフィルタであっても良い。
【0048】
直流電位/デューティ比変換回路34は、DCカット用コンデンサ56,57により、上記ローパスフィルタ32,33の三角状の波形信号からDC(直流)成分をそれぞれカットし、それらDC成分カット後の波形信号に、上記直流電位抽出回路30から供給されてローパスフィルタ32,33出力の分離用抵抗54,55を介した直流電位を付加する。
【0049】
そして、上記DCカット用コンデンサ56によりDC成分がカットされた後に上記搬送波強度に応じた直流電位が付加された波形信号は、OR回路59の一方の入力端子に送られ、また、DCカット用コンデンサ57によりDC成分がカットされた後に上記搬送波強度に応じた直流電位が付加された波形信号は、NOT回路58を介してOR回路60の一方の入力端子に送られる。また、上記OR回路59,60の他方の入力端子には、RFID機能LSI10の搬送波検出出力端子が接続されている。
【0050】
これにより、当該直流電位/デューティ比変換回路34は、RFID機能LSI10が搬送波を検出した時、上記直流電位抽出回路30からの直流電位に応じたデューティ比を有する二つの矩形波信号を出力することになる。
【0051】
当該直流電位/デューティ比変換回路34から出力される二つの矩形波信号は、後段の機能合成部23を経て、それぞれ対応した青色LED25用のFET86のON/OFF動作用信号と緑色LED26用のFET88のON/OFF動作用信号となされる。したがって、それらFET86や88がONとなされている時間が長くなると、それぞれ対応した青色LED25や緑色LED26の輝度が高くなり、逆に、OFFとなされている時間が長くなると輝度が低くなる。
【0052】
図2には、上記調光用発振回路31の出力から直流電位/デューティ比変換回路34の出力までの間の各波形信号のタイミングチャートを示す。なお、図2には、緑色LED26側に対応した波形のタイミングチャートのみを示している。
【0053】
この図2において、図中Paは調光用発振回路31のNOT回路49から出力されてローパスフィルタ33へ入力する矩形波信号を示している。当該調光用発振回路31のNOT回路49から出力された矩形波信号は、上記ローパスフィルタ33を通過することにより、図2のPbに示すような三角状の波形信号となされる。
【0054】
次に、上記ローパスフィルタ33の出力波形信号には、DCカット用コンデンサ57によりDC成分がカットされ、さらに、直流電位抽出回路30からの直流電位が付加されることになる。ここで、直流電位抽出回路30から供給される直流電位が低く、上記DCカット用コンデンサ57にてDC成分がカットされた後のローパスフィルタ33の三角状波形信号が、図2のPcに示すように、次段のNOT回路58の閾値よりも低いレベルになっているとき、上記NOT回路58からは、図2のPdに示すようにハイレベルが出力されることになる。
【0055】
一方、直流電位抽出回路30から供給される直流電位が高くなり、上記DC成分カット後のローパスフィルタ33の三角状波形信号が、図2のPcに示すように、次段のNOT回路58の閾値を越えた場合、上記NOT回路58からは、図2のPdに示すようにローレベルが出力されることになる。
【0056】
したがって、直流電位抽出回路30からの直流電位のレベルが徐々に上昇していくと、上記NOT回路58からは、図2のPdに示すように、徐々にローレベルの区間が長く、ハイレベルの区間が短くなる波形信号が出力されるようになる。なお、この場合、後段の緑色LED26の輝度は徐々に上がっていくことになる。
【0057】
この図2の例は、緑色LED26側に対応した波形のタイミングチャートのみを示しているが、青色LED25側については、この図2の例とは逆の論理(つまり反転)で動作することになるため、直流電位抽出回路30からの直流電位のレベルが徐々に上昇するにつれて、当該青色LED25の輝度が徐々に低くなる。
【0058】
上述したように、本実施形態においては、ソフトウェアを介さずにハードウェアのみにより、磁界強度に応じた直流電流をループアンテナ部1の出力から抽出し、その直流電位に応じたデューティ比の矩形波信号により、青色LED25と緑色LED26の調光を行うようにしているため、リアルタイムに搬送波強度をユーザに通知することが可能となっている。
【0059】
次に、上記点滅発生回路部21は、レベル変換回路35と、点滅用発振回路36と、単安定マルチバイブレータ37とを有して構成されている。
【0060】
上記レベル変換回路35は、上記RFID機能LSI10の負荷変調率調整用抵抗4の端子に現れる波形を、後段のロジックICである単安定マルチバイブレータ37が許容できる入力レベルに変換するための回路であり、基準電位設定用の抵抗70,71と、入力保護用のツェナダイオード74とを備えている。また、当該レベル変換回路35は、アンテナへの影響軽減用の抵抗72とDCカット用コンデンサ73をも備えている。なお、本実施形態において、レベル変換回路は、適切なレベル変換ができるのであれば、特にこの図1の構成でなくても良く、負荷変調率調整用抵抗4の端子が無いLSIが使用されている場合には、直接、ループアンテナ部1から信号成分波形を抽出しても良い。
【0061】
点滅用発振回路36は、表示部のLEDを点滅させる周期を決定するための発振回路である。ここで、当該点滅用発振回路36は、単安定マルチバイブレータ37の出力端子が、NOT回路77を介して、NOR回路84の一方の入力端子に接続されている。上記NOR回路84の出力端子は、後述する機能合成部23のNOR回路61,62のそれぞれ一方の入力端子に接続されている。また、NOR回路84の出力端子は、点滅周波数設定用の抵抗83とコンデンサ82を介して当該NOR回路84の他方の入力端子に接続されていると共に、入力保護用の抵抗78を介してNOT回路79の入力端子に接続されている。当該NOT回路79の出力端子は、次段のNOT回路80の入力端子に接続され、このNOT回路80の出力端子は、ダンピング抵抗81を介してNOR回路84の他方の入力端子に接続されている。
【0062】
このような構成を備えることにより、当該点滅用発振回路36は、上記抵抗83とコンデンサ82により決定される周波数でLED点滅用の発振を行うことになる。また、本実施形態において、上記点滅用発振回路36は、単安定マルチバイブレータ37の出力を、NOT回路77を介してNOR回路84へ入力する構成となされており、レベル変換回路35の出力を受けた単安定マルチバイブレータ37からの出力パルスが無いときには発振しないようになされている。これにより、無駄な電流消費やノイズの放射を避けている。さらに、本実施形態の場合、LEDを点滅させるか否かの判定、つまりRFIDカードが通信中であることの判定に、RFID機能LSI10の負荷変動率調整用の抵抗4の端子に現れる波形レベルを使用するようにしているため、RFID機能LSI10の詳細な構造や通信内容をブラックボックスとしたままで、上記通信中であるか否かを検出可能となっている。
【0063】
なお、一般的にRFIDカードとRFIDカードリーダライタとの間の通信時間は短く、1秒以内で処理が終了してしまうため、例えば、LEDの点滅速度が遅いと点滅として現れない。また、LEDの点滅周期が20Hzを越えると、人間の目は点滅として認識し難くなるため、本実施形態ではLEDの点滅周期を例えば12Hz〜20Hz程度とする。
【0064】
単安定マルチバイブレータ37は、レベル変換回路35からの出力により、RFID機能LSI10が負荷スイッチングを行ったことを検出すると、一定時間ハイレベルとなるパルスを出力することにより、LEDの点滅状態を一定時間ホールドさせるために設けられている。これにより、RFIDカードとRFIDカードリーダライタとの間の通信が例えば0.1msec以下で終了してしまった場合にも、或る程度の時間、LEDを点滅させることができるようになり、ユーザの視認性を向上させることが可能となる。
【0065】
機能合成部23は、NOR回路61,62とAND回路64,65,66とNOT回路63のロジック回路のみで構成され、磁界強度/輝度変換部22と点滅発生回路部21の動作を組み合わせてLEDの色が変化しながら点滅するという動作を実現している。
【0066】
すなわち、機能合成部23において、NOR回路61は、一方の入力端子が上記直流電位/デューティ比変換回路34のOR回路59の出力端子と接続され、他方の入力端子が上記点滅用発振回路36のNOR回路84の出力端子と接続され、当該NOR回路61の出力端子がAND回路65の一方の入力端子と接続されている。また、NOR回路62は、一方の入力端子が直流電位/デューティ比変換回路34のOR回路60の出力端子と接続され、他方の入力端子が点滅用発振回路36のNOR回路84の出力端子と接続され、当該NOR回路62の出力端子がAND回路66の一方の入力端子と接続されている。上記AND回路65は、他方の入力端子が上記RFID機能LSI10のロック信号入力端子5に接続され、当該AND回路65の出力端子が青色LED25のFET86のゲート端子に接続されている。また、上記AND回路66は、他方の入力端子が上記RFID機能LSI10のロック信号入力端子5に接続され、当該AND回路66の出力端子が緑色LED26のFET88のゲート端子に接続されている。
【0067】
これにより、青色LED25と緑色LED26は、磁界強度/輝度変換部22により磁界強度に応じた輝度で発光すると共に、点滅発生回路部21からの点滅信号に合わせて点滅することになる。一方で、RFID機能LSI10を停止状態にするためのローレベルのロック信号がロック信号入力端子5に供給されているとき、これら青色LED25と緑色LED26は、搬送波の強度や点滅信号の有無にかかわらず、消灯することになる。
【0068】
また、機能合成部23において、NOT回路63は、入力端子が上記ロック信号入力端子5と接続され、出力端子がAND回路64の一方の入力端子に接続されている。そして、当該AND回路64の他方の入力端子は、上記磁界強度/輝度変換部22の直流電位抽出回路30の出力端子と接続され、当該AND回路64の出力端子は赤色LED24のFET84のゲート端子と接続されている。
【0069】
これにより、赤色LED24は、直流電位抽出回路30がRFIDカードリーダライタの搬送波から直流電位を抽出し、且つ、RFID機能LSI10を停止状態にするためのローレベルのロック信号がロック信号入力端子5に供給されているときに点灯することになる。
【0070】
〔携帯電話端末の構成〕
図3には、本実施形態の近距離無線通信装置を備えた携帯電話端末の概略的な内部構成を示す。
【0071】
この図3において、通信アンテナ92は、例えば内蔵アンテナであり通話やパケット通信のための信号電波の送受信を行う。通信回路91は、送受信信号の周波数変換、変調と復調等を行う。
【0072】
受信された通話音声のデータは、データラインを介して制御部90へ送られる。制御部90は、CPU(中央処理装置)からなり、通話音声データを復号化し、その復号化後の音声データをデータラインを介してスピーカ96へ送る。
【0073】
スピーカ96は、携帯電話端末本体に設けられている受話用のスピーカやリンガ(着信音)、音楽再生、テレビジョン放送やラジオ放送の音声再生、アラーム音出力用のスピーカであり、ディジタル/アナログ変換器と増幅器を含み、通話音声やリンガ音のデータをディジタル/アナログ変換及び増幅した後、出力する。これにより、通話音声やリンガ音が得られることになる。
【0074】
マイクロホン97は、送話用のマイクロホンに相当し、アナログ/ディジタル変換器と増幅器を含む。このマイクロホン97を介して入力された通話音声信号は、増幅器により所定のレベルに増幅された後、アナログ/ディジタル変換器によりディジタル音声データに変換され、データラインを介して制御部90へ送られて符号化された後、通信回路91へ送られ、そこで変調、周波数変換等の各種処理を受けた後、通信アンテナ92から送信される。
【0075】
液晶表示部93は、液晶パネルとその駆動回路を含み、文字や映像等を表示する。
【0076】
操作部94は、本実施形態の携帯電話端末の筐体上に設けられているテンキーや発話キー、クリアキー、終話/電源キー、マナーキー、メモキーなどの各キー、ジョグダイアル部或いは十字キー等と、それら各キー等の操作に応じた操作信号を発生する操作信号発生部とを有している。
【0077】
メモリ95は、ROM(Read Only Memory)とRAM(Random Access Memory)を含む。ROMは、OS(Operating System)、制御部90が各部を制御するための制御プログラムや各種の初期設定値、フォントデータ、辞書データ、着信音やキー操作音,アラーム音用の各種音データ、電子メールの作成や編集等を行うためのアプリケーション用のプログラムコード、画像や音声に対して様々な処理を行うためのアプリケーション用プログラムコード、RFID機能LSI10との間のデータ送受信を行うためのアプリケーション用のプログラムコード、その他、携帯電話端末に搭載される各種のアプリケーション用のプログラムコード、当該携帯電話端末の識別情報(ID)などを記憶している。このROMは、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)のような書き換え可能なROMを含み、電子メールデータ、ユーザにより設定される電話帳や電子メールアドレス、写真画像データ、ダウンロードされた写真データや音楽データ、ダウンロードされた着信音,キー操作音,アラーム音用等の音データ、文字データや予測変換の候補単語の登録データや予測変換の学習データ、その他、各種のユーザ設定値等を保存することも可能となされている。RAMは、制御部90が各種のデータ処理を行う際の作業領域として、随時データを格納する。
【0078】
近距離無線通信部98は、前述の図1に示した本実施形態の近距離無線通信装置の構成を有し、図示しないRFIDカードリーダライタとの間で近距離無線通信を行う。
【0079】
制御部90は、上述した通話音声データの符号化や復号化、発着信の制御、着信時の報知制御、本実施形態にかかるRFID機能LSI10との間のデータ通信処理とその制御、RFID機能LSI10の停止(ロック)や動作制御、その他、制御ラインを介して当該携帯電話端末の各構成要素の制御、各種の演算処理を行う。
【0080】
その他、図3には図示を省略しているが、本実施形態の携帯電話端末は、光学レンズや撮像素子等からなり制御部90による制御の元で静止画や動画の撮影を行うカメラ部や、音楽を再生したり動画像を再生したりするためのマルチメディア処理部などを備えている。
【0081】
〔結び〕
以上説明したように、本発明の実施形態の近距離無線通信装置及び携帯電話端末によれば、RFID機能LSI10のMPU15や携帯電話端末の制御部(CPU)90によらずに、RFIDカードリーダライタからの搬送波の磁界強度を青色LED25と緑色LED26の発光輝度(つまり色)により現し、また、RFIDカードリーダライタとの間で通信が行われていることを青色LED25と緑色LED26の点滅により現し、さらに、RFIDカード機能が停止状態であるか否かを赤色LED24の発光により現している。したがって、ユーザは、搬送波の検出状態、搬送波の磁界強度、通信中であるか否か、通信可能であるか否かを、リアルタイムに知ることができる。これにより、例えばRFIDカードの位置ずれやRFID機能ロックの解除忘れ等により通信ができていない場合であっても、ユーザは直ぐに異常を察知することができ、その位置の修正やロック解除等の行動を起こすことができる。また、位置の修正の際に、ユーザは、上記青色LED25と緑色LED26の発光輝度の変化(つまり色の変化)により、磁界強度を知ることができるため、RFIDカードリーダライタに対するRFIDカードの最適位置を容易に知ることができ、さらに、その最適位置を一旦把握してしまえば、次回以降は直ぐに最適位置にかざす行動をとることができるようになる。
【0082】
これらのことから、本実施形態によれば、位置ずれによる通信失敗の可能性を大幅に下げることができ、また、通信異常の際にユーザが直ぐに適切な行動を起こすことができるので、従来方式の問題点、すなわち例えば駅の自動改札機での滞留や売店レジでの混雑の発生を回避することができるようになる。また、ユーザは、搬送波の検出状態、搬送波の磁界強度等をリアルタイムに知ることができるので、RFIDカード使用時に不安感を抱くことが殆どなくなる。
【0083】
また、本実施形態によれば、例えばRFIDカードを内蔵した携帯電話端末等が故障し、RFIDカードリーダライタとの通信が出来なくなった場合にであっても、通信のどの段階でNGとなっているのかを知ることができるため、メーカによる故障切り分けも容易になる。
【0084】
なお、上述した実施形態の説明は、本発明の一例である。このため、本発明は上述した各実施形態に限定されることなく、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることはもちろんである。
【0085】
例えば、本発明の近距離無線通信装置は、携帯電話端末だけでなく、PDA装置(PDA:Personal Digital Assistants)、ノート型のパーソナルコンピュータ、携帯型の電子ゲーム装置等にも適用可能である。勿論、本発明の近距離無線通信装置は、携帯電話端末等に搭載される場合のみならず、単体のRFIDカードとして使用されるものにも適用可能である。
【0086】
また例えば、上述した本発明実施形態の近距離無線通信装置においては、通信中に青色LED25と緑色LED26を点滅させること、搬送波の強度によって青色LED25と緑色LED26の輝度(色)を変化させること、RFIDカード機能がロックされている時には通常とは別の色(赤色LED24)を点灯させることの各機能を全て組み合わせて使用しているが、それらは各々単独で使用することも可能であり、また、それらのうち二つの機能を選択的に組み合わせて使用することも可能である。
【0087】
また本実施形態では、ユーザへの通知手段として、LEDの点灯制御を行う例を挙げたが、本発明はこの例に限定されるものではなく、例えば携帯電話端末のバイブレータを振動させたり、スピーカから所定の音を出力したり、スピーカからの音量を変化させたり、携帯電話端末の着信用LED等を点灯させることなど、携帯電話端末(その他のモバイル端末も含む)がユーザに所定の報知を行う際の全ての動作のうち何れか若しくはそれらの組み合わせを、使用することも可能である。
【符号の説明】
【0088】
1 ループアンテナ部、4 負荷変調率調整用抵抗、10 RFID機能LSI、5 ロック信号入力端子、21 点滅発生回路部、22 磁界強度/輝度変換部、23 機能合成部、24 赤色LED、25 青色LED、26 緑色LED、30 直流電位抽出回路、31 調光用発振回路、32,33 ローパスフィルタ、34 直流電位/デューティ比変換回路、35 レベル変換回路、36 点滅用発振回路、37 単安定マルチバイブレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
近距離無線通信用のアンテナと上記近距離無線通信のための送受信信号処理を行う通信信号処理部とを備えた近距離無線通信装置において、
上記アンテナが受信して上記通信信号処理部へ入力する搬送波から磁界強度を検出する磁界強度検出部と、
上記磁界強度検出部が上記搬送波から磁界強度を検出した時に近距離無線通信の機能が停止状態にロックされていることを検出するロック検出部と、
上記ロック検出部が上記停止状態を検出したことを利用者に対して報知するためのロック報知部と、
上記ロック検出部が検出した停止状態に応じて上記ロック報知部を動作させるロック報知信号を発生するロック報知信号発生部と
を有する近距離無線通信装置。
【請求項2】
上記ロック報知部は、発光部を有し、上記ロック検出部が上記停止状態を検出したときに上記発光部を発光させる請求項1記載の近距離無線通信装置。
【請求項3】
近距離無線通信用のアンテナと上記近距離無線通信のための送受信信号処理を行う通信信号処理部とを有する近距離無線通信部を備えた携帯電話端末において、
上記近距離無線通信部は、
上記アンテナが受信して上記通信信号処理部へ入力する搬送波から磁界強度を検出する磁界強度検出部と、
上記磁界強度検出部が上記搬送波から磁界強度を検出した時に近距離無線通信の機能が停止状態にロックされていることを検出するロック検出部と、
上記ロック検出部が上記停止状態を検出したことを利用者に対して報知するためのロック報知部と、
上記ロック検出部が検出した停止状態に応じて上記ロック報知部を動作させるロック報知信号を発生するロック報知信号発生部と
を有する携帯電話端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−246160(P2010−246160A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−160050(P2010−160050)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【分割の表示】特願2005−9462(P2005−9462)の分割
【原出願日】平成17年1月17日(2005.1.17)
【出願人】(501431073)ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ株式会社 (810)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】