説明

送信機、音声送信方法及びプログラム、受信機、音声受信方法及びプログラム、ワイヤレススマイクシステム、音声送受信方法

【課題】誤り訂正機能を有するワイヤレスマイクの技術において、伝送する音声データのうち重要部分について重点的に誤り訂正処理を行うことにより、通信時の音質劣化を効果的に軽減する。
【解決手段】処理部14の音声データ分割部143は、デジタル音声データを予め定められた所定の規則性により重要部分と他の部分に区分し、誤り訂正第1符号化器15は、前記重要部分に対し前記他の部分よりも高い割合で誤り訂正用冗長ビットを付加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誤り訂正機能を有するワイヤレスマイクの技術の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタル技術の進歩に伴い、各種会場で用いるようなワイヤレスマイクシステムの音声伝送もデジタル化が進んでいる。音声などのデジタルデータ伝送では、誤り検出や訂正の技術が用いられる。この技術は、送信側で送信データに、チェックサムなどと呼ばれる冗長ビットを付加することにより、受信側で受信データの誤り検出や訂正を行うものである(例えば、特許文献1参照)。その代表例として、垂直パリティチェック方式、水平パリティチェック方式、ハミング符号方式、CRC方式、リードソロモン符号方式、畳み込み符号方式、ビダビ復号方式、ターボ符号方式などがあり、例えば、ハミング符号方式は、誤りの検出だけでなく訂正まで行う用途に適している。
【特許文献1】特開2000−353968
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、伝送データのうち訂正が可能な誤りの割合は、伝送データ本体に対する冗長データ割合の多さに関連する。例えば、ワイヤレスマイクシステムにおけるデータ伝送の単位量をシンボルと呼ぶこととするが、あるデータ量のなかで何シンボルまで誤り訂正できるかは、そのデータ量に対して付加される冗長データ量に比例する。
【0004】
しかし、データ伝送速度(帯域幅)の限界から、単位時間あたり伝送できるシンボル数には制約があるため、付加できる冗長データの量にも限界がある。そして、従来のワイヤレスマイクシステムでは、図6(a)に示すように、送信データのどの部分に対しても、所定割合の冗長データすなわちチェックサムを均等に割り当てていた結果、全てのシンボルに対して十分効果的な誤り訂正処理を行うことができないという問題があった。
【0005】
特に、ワイヤレスマイクは、使用周波数帯域や、壇上等で使用者が持って歩き回る用途などから、搬送波の電波状況が変化しやすい特性があり、たまたま符号ビットなどデータの重要部分について誤りが多くなって訂正し切れない場合、極端なノイズや音途切れを始めとする音質劣化など音響上の不都合が生じる。
【0006】
本発明は、上記のような従来技術の課題を解決するもので、その目的は、誤り訂正機能を有するワイヤレスマイクの技術において、伝送する音声データのうち重要部分について重点的に誤り訂正処理を行うことにより、通信時の音質劣化を効果的に軽減することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、請求項1の発明は、音声入力用のマイクロフォンと、前記マイクロフォンから入力されるアナログ音声信号をコンピュータ又は電子回路がデジタル音声データに変換するA/D変換手段と、前記デジタル音声データをもとに、コンピュータ又は電子回路が、誤り訂正用冗長ビット付加を含む処理により伝送用データを作成する誤り訂正符号化手段と、前記伝送用データを搬送波で無線送信する送信手段と、を備えた送信機において、 前記誤り訂正符号化手段により、前記デジタル音声データを予め定められた所定の規則性により重要部分と他の部分に区分する手段と、前記重要部分に対し前記他の部分よりも高い割合で前記誤り訂正用冗長ビットを付加する手段と、を実現することを特徴とする。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1の発明を方法という見方から捉えたもので、音声入力用のマイクロフォンと、前記マイクロフォンから入力されるアナログ音声信号をコンピュータ又は電子回路がデジタル音声データに変換するA/D変換手段と、前記デジタル音声データをもとに、コンピュータ又は電子回路が、誤り訂正用冗長ビット付加を含む処理により伝送用データを作成する誤り訂正符号化手段と、前記伝送用データを搬送波で無線送信する送信手段と、を備えた送信機を用いて実行する音声送信方法において、 前記誤り訂正符号化手段により、前記デジタル音声データを予め定められた所定の規則性により重要部分と他の部分に区分する処理と、前記重要部分に対し前記他の部分よりも高い割合で前記誤り訂正用冗長ビットを付加する処理と、を実行することを特徴とする。
【0009】
請求項7の音声送信プログラムは、請求項1,4の発明をコンピュータのプログラムという見方から捉えたもので、音声入力用のマイクロフォンと、前記マイクロフォンから入力されるアナログ音声信号をコンピュータ又は電子回路がデジタル音声データに変換するA/D変換手段と、前記デジタル音声データをもとに、コンピュータ又は電子回路が、誤り訂正用冗長ビット付加を含む処理により伝送用データを作成する誤り訂正符号化手段と、前記伝送用データを搬送波で無線送信する送信手段と、を備えた送信機のコンピュータ又は電子回路を制御することにより、 前記誤り訂正符号化手段に、前記デジタル音声データを予め定められた所定の規則性により重要部分と他の部分に区分する処理と、前記重要部分に対し前記他の部分よりも高い割合で前記誤り訂正用冗長ビットを付加する処理と、を実行させることを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、音声の伝送用データを無線受信する受信手段と、受信した前記伝送用データをもとに、コンピュータ又は電子回路が、その伝送用データに付加されている誤り訂正用冗長ビットを用いてデジタル音声データを復元する誤り訂正復号化手段と、前記デジタル音声データをコンピュータ又は電子回路がアナログ音声信号に変換するD/A変換手段と、変換された前記アナログ音声信号による音声を外部へ出力する手段と、を備えた受信機において、 前記誤り訂正復号化手段により、前記デジタル音声データに予め定められた所定の規則性により区分されて含まれている重要部分と他の部分のうち、その重要部分については前記他の部分よりも高い割合で付加されている前記誤り訂正用冗長ビットを用いて復元し、前記他の部分については前記重要部分よりも低い割合で付加されている前記誤り訂正用冗長ビットを用いて復元し、それぞれ復元した重要部分と他の部分とを組み合わせることによりもとのデジタル音声データを復元する手段、を実現することを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明は、請求項2の発明を方法という見方から捉えたもので、音声の伝送用データを無線受信する受信手段と、受信した前記伝送用データをもとに、コンピュータ又は電子回路が、その伝送用データに付加されている誤り訂正用冗長ビットを用いてデジタル音声データを復元する誤り訂正復号化手段と、前記デジタル音声データをコンピュータ又は電子回路がアナログ音声信号に変換するD/A変換手段と、変換された前記アナログ音声信号による音声を外部へ出力する手段と、を備えた受信機を用いて実行する音声受信方法において、 前記誤り訂正復号化手段により、前記デジタル音声データに予め定められた所定の規則性により区分されて含まれている重要部分と他の部分のうち、その重要部分については前記他の部分よりも高い割合で付加されている前記誤り訂正用冗長ビットを用いて復元し、前記他の部分については前記重要部分よりも低い割合で付加されている前記誤り訂正用冗長ビットを用いて復元し、それぞれ復元した重要部分と他の部分とを組み合わせることによりもとのデジタル音声データを復元する処理、を実行することを特徴とする。
【0012】
請求項8の音声受信プログラムは、請求項2,5の発明をコンピュータのプロ グラムという見方から捉えたもので、音声の伝送用データを無線受信する受信手段と、受信した前記伝送用データをもとに、コンピュータ又は電子回路が、その伝送用データに付加されている誤り訂正用冗長ビットを用いてデジタル音声データを復元する誤り訂正復号化手段と、前記デジタル音声データをコンピュータ又は電子回路がアナログ音声信号に変換するD/A変換手段と、変換された前記アナログ音声信号による音声を外部へ出力する手段と、を備えた受信機のコンピュータ又は電子回路を制御することにより、 前記誤り訂正復号化手段に、前記デジタル音声データに予め定められた所定の規則性により区分されて含まれている重要部分と他の部分のうち、その重要部分については前記他の部分よりも高い割合で付加されている前記誤り訂正用冗長ビットを用いて復元し、前記他の部分については前記重要部分よりも低い割合で付加されている前記誤り訂正用冗長ビットを用いて復元し、それぞれ復元した重要部分と他の部分とを組み合わせることによりもとのデジタル音声データを復元する処理、を実行させることを特徴とする。
【0013】
請求項3のワイヤレスマイクシステムは、請求項1,2の発明を全体システムという見方から捉えたもので、請求項1の送信機と、請求項2の受信機と、を組み合わせたことを特徴とする。
【0014】
請求項6の音声送受信方法は、請求項3の発明を方法という見方から捉えたもので、請求項4の音声送信方法と、請求項5の音声受信方法と、を組み合わせたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
以上のような本発明では、伝送する音声データのうち重要部分について、それ以外の他の部分よりも相対的に多くの割合の訂正用冗長ビットを割り当てることにより、重点的に誤り訂正処理を行うので、通信時の音質劣化を効果的に軽減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明を実施するための最良の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、既に説明した従来の技術と共通の用語等前提事項は再言しない。
〔1.構成〕
まず、本実施形態を構成する主要な要素を説明するが、構成要素によっては後に作用の項で説明する。
〔1−1.全体構成〕
本実施形態は、図1に示すように、ワイヤレスマイク送信機1と、受信機2と、を組み合わせてハミング符号方式などによる誤り訂正を実現するワイヤレスマイクシステムに関するもので、受信機2は受信用のアンテナ3を備える。また、本実施形態は、送信機1における音声送信方法及びプログラム、受信機2における音声受信方法及びプログラム、送信機1と受信機2における音声送受信方法としても把握できる。
【0017】
〔1−2.送信機の構成〕
ここで、送信機1の構成を図2の機能ブロック図に示す。すなわち、マイクロフォン(マイク)11は音声入力用であり、A/D変換部13は、マイク11から入力され増幅器12が増幅したアナログ音声信号をコンピュータ又は電子回路がデジタル音声データに変換するA/D変換手段である。
【0018】
また、処理部14と、誤り訂正第1符号化器15及び誤り訂正第2符号化器16は、誤り訂正符号化手段を構成し、この誤り訂正符号化手段は、前記デジタル音声データをもとに、コンピュータ又は電子回路が、誤り訂正用冗長ビット付加を含む処理により伝送用データを作成するものである。また、ベースバンド処理部17及び無線部18は、前記伝送用データを搬送波で無線送信する送信手段を構成する。
【0019】
そして、処理部14の音声データ分割部143は、前記デジタル音声データを予め定められた所定の規則性により重要部分と他の部分に区分する手段であり、誤り訂正第1符号化器15は、前記重要部分に対し前記他の部分よりも高い割合で前記誤り訂正用冗長ビットを付加する手段である。
【0020】
〔1−3.受信機の構成〕
また、受信機2の構成を図3の機能ブロック図に示す。すなわち、無線部28及びベースバンド処理部27は、音声の伝送用データを無線受信する受信手段を構成している。また、誤り訂正第1復号化器25及び誤り訂正第2復号化器26と、処理部24は、誤り訂正復号化手段を構成し、この誤り訂正復号化手段は、受信した前記伝送用データをもとに、コンピュータ又は電子回路が、その伝送用データに付加されている誤り訂正用冗長ビットを用いてデジタル音声データを復元するものである。
【0021】
また、D/A変換部23は、前記デジタル音声データをコンピュータ又は電子回路がアナログ音声信号に変換するD/A変換手段であり、増幅器22及びスピーカ21は、変換された前記アナログ音声信号による音声を外部へ出力する手段である。
【0022】
そして、誤り訂正第1復号化器25は、前記デジタル音声データに予め定められた所定の規則性により区分されて含まれている重要部分と他の部分のうち、その重要部分については前記他の部分よりも高い割合で付加されている前記誤り訂正用冗長ビットを用いて復元する部分である。一方、誤り訂正第2復号化器26は、前記他の部分については前記重要部分よりも低い割合で付加されている前記誤り訂正用冗長ビットを用いて復元する部分である。さらに、音声データ復元部243は、それぞれ復元した重要部分と他の部分とを組み合わせることによりもとのデジタル音声データを復元する手段である。
【0023】
〔2.作用〕
上記のような本実施形態は、次のように作用する。
〔2−1.送信〕
まず、本実施形態において、送信機が音声を送信するときの処理手順を図4のフローチャートに示す。
【0024】
〔2−1−1.デジタル化まで〕
送信の際は、まず、送信機1では、マイク(マイクロフォン)11が入力される音声を電気的なアナログ音声信号に変換し、このアナログ音声信号を増幅器12が所定のレベルに増幅する。この増幅されたアナログ音声信号をA/D(アナログ→デジタル)変換部13が所定のサンプリング周波数や量子化ビット数などの条件に応じたデジタル音声データに変換し(ステップ01)、このデジタル音声データを所定量のサンプリング信号と付加データごとにまとめて誤り訂正符号化処理を行う(ステップ02〜08)。
【0025】
〔2−1−2.圧縮〕
具体的には、まず、A/D変換部13によって変換された前記デジタル音声データをもとに、処理部14の音声コーデック(CODEC)141が音声圧縮符号化処理を行うことにより(ステップ02)、圧縮済データに加工する。
【0026】
〔2−1−3.分割〕
この圧縮済データをバッファ142が、所定数すなわち数十サンプル分ずつを伝送の単位音声データとしてまとめて蓄積するごとに(ステップ03)、その単位音声データを音声データ分割部143が重要度に応じていくつかに分割(区分)する(ステップ04)。この際、典型的には、音声データの符号ビットなど、間違えると影響が大きい重要部分と、それ以外の比較的影響の少ない他の部分とに区分し、必要に応じ再配置を行う。
【0027】
一例として、PCM符号化やADPCMを用いる場合、音の変化量の大きい符号を含む上位ビットと、それ以外の比較的変化量の小さい下位ビット等の通信データに分割する。サブバンドADPPCMの場合、周波数帯域で分割されている低域を重要度「高」とし、高域の重要度を「低」とする。なお、ここでは重要度の高低2種類に区分したが、区分の種類は3種以上でもよい。
【0028】
〔2−1−4.制御データの付加〕
また、付属データ第1付加部144は、上記のように区分された音声データのうち重要度が高いものに、送信信号のIDや電池残量など各種制御データのうち重要なものを付加する(ステップ05)。この付加後のデータを重要データ群と呼ぶこととする。一方、付属データ第2付加部145は、上記のように区分された音声データのうち重要度の低いものに、各種制御データのうち重要度の低い制御データを付加する(ステップ07)。この付加後のデータを通常データ群と呼ぶこととする。
【0029】
〔2−1−5.誤り訂正符号化〕
以上のように区分した重要データ群については、相対的に高い誤り訂正能力を実現する誤り訂正第1符号化器15が符号化するとともにその際、チェックサム等の誤り訂正符号をデータ量に対し通常データ群の場合よりも相対的に多い割合で付加する(ステップ06)。一方、通常データ群については、相対的に低い誤り訂正能力を実現する誤り訂正第2符号化器16が符号化するとともにその際、チェックサム等の冗長ビットすなわち誤り訂正符号をデータ量に対し重要データ群の場合よりも相対的に少ない割合で付加する符号化を行う(ステップ08)。
【0030】
例えば、伝送データ本体100シンボルあたり計10シンボルまで訂正可能な場合、図6(b)に示すように、予め、100シンボルの伝送データ本体を、重要なデータである20シンボルとあまり重要でない80シンボルに区分し、訂正可能な計10シンボル(チェックサムデータ量20シンボル)のうち、重要な20シンボルに対して訂正可能数8シンボル(チェックサムデータ量16シンボル)を割り当てる一方、残る80シンボルに対しては訂正可能数の残り2シンボル(チェックサムデータ量4シンボル)のみを割り当てる。これにより、重要な部分の受信感度が向上し、結果として音質の劣化を軽減できる。
【0031】
〔2−1−6.無線送信〕
以上のようにそれぞれ付属データや誤り訂正符号を付された音声データである重要データ群及び通常データ群は、必要なインターリーブ処理(ステップ09)、フレームの付加(ステップ10)、IQ信号の出力などを経て、ベースバンド処理部17が搬送波にのせ、アンテナを備えた無線部18から送信する(ステップ11,12)。
【0032】
〔2−2.受信〕
また、本実施形態において、受信機が音声を受信するときの処理手順を図5のフローチャートに示す。概略としては、上記のように送信機1が送信した情報を受信機2で受信し、誤り訂正処理を行い、分割していたデータをもとの状態に配置することによって復元した音声データをD/A変換して出力する。
【0033】
〔2−2−1.受信と誤り訂正復号化〕
具体的には、まず、アンテナを備えた無線機28が受信した搬送波から(図3)、ベースバンド処理部27によるベースバンド処理(図5のステップ21)による受信データの復調、必要なフレーム除去(ステップ22)、インターリーブ処理(ステップ23)などにより、送信された伝送用データである重要データ群及び通常データ群を取り出す。
【0034】
このうち重要データ群については、相対的に高い誤り訂正能力を実現する誤り訂正第1復号化器25が復号化するとともにその際、データ量に対し通常データ群の場合よりも相対的に多い割合で付加されていたチェックサム等の誤り訂正符号を用いて誤り訂正を行う(図5のステップ24)。一方、通常データ群については、相対的に低い誤り訂正能力を実現する誤り訂正第2復号化器部26が復号化するとともにその際、データ量に対し相対的に少ない割合で付加されていたチェックサム等の誤り訂正符号を用いて誤り訂正を行う(ステップ26)。
【0035】
〔2−2−2.付属データの分離〕
そして、上記のように復号化された重要データ群から、付属データ第1分離部244が、各種制御データのうち重要なものを取り出し(ステップ25)、一方、復号化された通常データ群からは、付属データ第2分離部245が、各種制御データのうち重要度の低い制御データを取り出す(ステップ27)。
【0036】
〔2−2−3.データの再構成〕
そして、重要データ群と通常データ群とから、音声データ復元部243がもとのデジタル音声データを復元すなわち再構成する(ステップ28)。この際は、例えば、重要データ群からは、音声データの符号ビットなど間違えると影響が大きい部分を、また、それ以外の比較的影響の少ない部分は通常データ群から取り出し、再配置により元のデジタル音声データを得る。
【0037】
既に挙げた例では、PCM符号化やADPCMの場合、音の変化量の大きい符号を含む上位ビット群は重要データ群、比較的変化量の小さい下位ビット群は通常データ群に含まれていたものをそれぞれ取り出し、統合する。サブバンドADPPCMの場合、周波数帯域で分割されていた低域を重要データ群、高域は通常データ群から得る。
【0038】
〔2−2−4.伸張と再生〕
このように復元された音声データは圧縮されたものであり、バッファ242が、所定数すなわち数十サンプル分ずつを単位音声データとしてまとめて蓄積するごとに(ステップ29)、その圧縮された単位音声データを、処理部24の音声コーデック(CODEC)241が再生用の非圧縮形式のデジタルデータに復元する(ステップ30)。
【0039】
そして、このデジタルデータを、D/A(デジタル→アナログ)変換部23が所定のサンプリング周波数や量子化ビット数などの条件に応じてアナログ音声信号にD/A変換し(ステップ31)、増幅器22を通じスピーカ21から音声出力する(ステップ32)。
【0040】
〔3.効果〕
以上のような本実施形態では、伝送する音声データのうち重要部分について、それ以外の他の部分よりも相対的に多くの割合の訂正用冗長ビットを割り当てることにより、重点的に誤り訂正処理を行うので、通信時の音質劣化を効果的に軽減することが可能となる。
【0041】
〔4.他の実施形態〕
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するもの及びそれ以外のものを含む他の実施形態も含むものである。例えば、各図に示した構成、処理手順は例示に過ぎず、本発明は適宜変更実施可能であるから、一例として、送信機1の付属データ第1付加部144、付属データ第2付加部145、受信機2の付属データ第1分離部244、付属データ第2分離部245は省略可能であるし、伝送方式によってはインターリーブ処理やフレームの付加等は必須ではない。また、増幅器22やスピーカ21は、本発明を構成する受信機2とは別体に構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施形態を示す構成図。
【図2】本発明の実施形態における送信機の構成を示す機能ブロック図。
【図3】本発明の実施形態における受信機の構成を示す機能ブロック図。
【図4】本発明の実施形態における送信側の処理手順を示すフローチャート。
【図5】本発明の実施形態における受信側の処理手順を示すフローチャート。
【図6】送受信データとチェックサムの関係を示す概念図。
【符号の説明】
【0043】
1…送信機
2…受信機
3…アンテナ
11…マイク
12,22…増幅器
13…A/D変換部
14,24…処理部
141,241…音声コーデック
142,242…数十サンプル(分)バッファ
143…音声データ分割部
144…付属データ第1付加部
145…付属データ第2付加部
15…誤り訂正第1符号化器
16…誤り訂正第2符号化器
17,27…ベースバンド処理部
18,28…無線部
21…スピーカ
23…D/A変換部
243…音声データ復元部
244…付属データ第1分離部
245…付属データ第2分離部
25…誤り訂正第1復号化器
26…誤り訂正第2復号化器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声入力用のマイクロフォンと、
前記マイクロフォンから入力されるアナログ音声信号をコンピュータ又は電子回路がデジタル音声データに変換するA/D変換手段と、
前記デジタル音声データをもとに、コンピュータ又は電子回路が、誤り訂正用冗長ビット付加を含む処理により伝送用データを作成する誤り訂正符号化手段と、
前記伝送用データを搬送波で無線送信する送信手段と、
を備えた送信機において、
前記誤り訂正符号化手段により、
前記デジタル音声データを予め定められた所定の規則性により重要部分と他の部分に区分する手段と、
前記重要部分に対し前記他の部分よりも高い割合で前記誤り訂正用冗長ビットを付加する手段と、
を実現することを特徴とする送信機。
【請求項2】
音声の伝送用データを無線受信する受信手段と、
受信した前記伝送用データをもとに、コンピュータ又は電子回路が、その伝送用データに付加されている誤り訂正用冗長ビットを用いてデジタル音声データを復元する誤り訂正復号化手段と、
前記デジタル音声データをコンピュータ又は電子回路がアナログ音声信号に変換するD/A変換手段と、
変換された前記アナログ音声信号による音声を外部へ出力する手段と、
を備えた受信機において、
前記誤り訂正復号化手段により、
前記デジタル音声データに予め定められた所定の規則性により区分されて含まれている重要部分と他の部分のうち、その重要部分については前記他の部分よりも高い割合で付加されている前記誤り訂正用冗長ビットを用いて復元し、前記他の部分については前記重要部分よりも低い割合で付加されている前記誤り訂正用冗長ビットを用いて復元し、それぞれ復元した重要部分と他の部分とを組み合わせることによりもとのデジタル音声データを復元する手段、
を実現することを特徴とする受信機。
【請求項3】
請求項1の送信機と、請求項2の受信機と、を組み合わせたことを特徴とするワイヤレスマイクシステム。
【請求項4】
音声入力用のマイクロフォンと、
前記マイクロフォンから入力されるアナログ音声信号をコンピュータ又は電子回路がデジタル音声データに変換するA/D変換手段と、
前記デジタル音声データをもとに、コンピュータ又は電子回路が、誤り訂正用冗長ビット付加を含む処理により伝送用データを作成する誤り訂正符号化手段と、
前記伝送用データを搬送波で無線送信する送信手段と、
を備えた送信機を用いて実行する音声送信方法において、
前記誤り訂正符号化手段により、
前記デジタル音声データを予め定められた所定の規則性により重要部分と他の部分に区分する処理と、
前記重要部分に対し前記他の部分よりも高い割合で前記誤り訂正用冗長ビットを付加する処理と、
を実行することを特徴とする音声送信方法。
【請求項5】
音声の伝送用データを無線受信する受信手段と、
受信した前記伝送用データをもとに、コンピュータ又は電子回路が、その伝送用データに付加されている誤り訂正用冗長ビットを用いてデジタル音声データを復元する誤り訂正復号化手段と、
前記デジタル音声データをコンピュータ又は電子回路がアナログ音声信号に変換するD/A変換手段と、
変換された前記アナログ音声信号による音声を外部へ出力する手段と、
を備えた受信機において実行する音声受信方法において、
前記誤り訂正復号化手段により、
前記デジタル音声データに予め定められた所定の規則性により区分されて含まれている重要部分と他の部分のうち、その重要部分については前記他の部分よりも高い割合で付加されている前記誤り訂正用冗長ビットを用いて復元し、前記他の部分については前記重要部分よりも低い割合で付加されている前記誤り訂正用冗長ビットを用いて復元し、それぞれ復元した重要部分と他の部分とを組み合わせることによりもとのデジタル音声データを復元する処理、
を実行することを特徴とする音声受信方法。
【請求項6】
請求項4の音声送信方法と、請求項5の音声受信方法と、を組み合わせたことを特徴とする音声送受信方法。
【請求項7】
音声入力用のマイクロフォンと、
前記マイクロフォンから入力されるアナログ音声信号をコンピュータ又は電子回路がデジタル音声データに変換するA/D変換手段と、
前記デジタル音声データをもとに、コンピュータ又は電子回路が、誤り訂正用冗長ビット付加を含む処理により伝送用データを作成する誤り訂正符号化手段と、
前記伝送用データを搬送波で無線送信する送信手段と、
を備えた送信機のコンピュータ又は電子回路を制御することにより、前記誤り訂正符号化手段に、
前記デジタル音声データを予め定められた所定の規則性により重要部分と他の部分に区分する処理と、
前記重要部分に対し前記他の部分よりも高い割合で前記誤り訂正用冗長ビットを付加する処理と、
を実行させることを特徴とする音声送信プログラム。
【請求項8】
音声の伝送用データを無線受信する受信手段と、
受信した前記伝送用データをもとに、コンピュータ又は電子回路が、その伝送用データに付加されている誤り訂正用冗長ビットを用いてデジタル音声データを復元する誤り訂正復号化手段と、
前記デジタル音声データをコンピュータ又は電子回路がアナログ音声信号に変換するD/A変換手段と、
変換された前記アナログ音声信号による音声を外部へ出力する手段と、
を備えた受信機のコンピュータ又は電子回路を制御することにより、前記誤り訂正復号化手段に、
前記デジタル音声データに予め定められた所定の規則性により区分されて含まれている重要部分と他の部分のうち、その重要部分については前記他の部分よりも高い割合で付加されている前記誤り訂正用冗長ビットを用いて復元し、前記他の部分については前記重要部分よりも低い割合で付加されている前記誤り訂正用冗長ビットを用いて復元し、それぞれ復元した重要部分と他の部分とを組み合わせることによりもとのデジタル音声データを復元する処理、
を実行させることを特徴とする音声受信プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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