説明

送信機/受信機を制御するスケジューラとモバイル通信ネットワークのための送信機/受信機と、並びにそれらを動作させるための方法およびコンピュータプログラム

【課題】 モバイル通信ネットワークの複数の基地局の間でリソースを最適に割り当てトラフィック・バーストに効率的に対処することができるリソース・スケジューラを提供する。
【解決手段】 スケジューラ(100;130)は、第1および第2の基地局の負荷状況に関する情報(112,114)を受信するための受信機(110)と、その負荷状況に基づいて、利用可能な全送信/受信リソースの第1の部分を第1の基地局に割り当て、第1の部分とは異なる第2の部分を第2の基地局に割り当てるリソース割当器(120)とを備えている。前記負荷状況は、それぞれの基地局にある送信バッファのある特定の時間における実際のバッファ占有量に関する情報を含む。リソース割当器(120)は、負荷が低い方の基地局と比べて負荷が高い方の基地局にリソースがより多く割り当てられる結果をもたらす割当規則を適用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、基地局を制御するスケジューラと、モバイル通信ネットワークのための基地局、並びにそれらを動作させるための方法およびコンピュータプログラムに関する。本発明は、特に、マルチユーザOFDMシステムにおけるインタセクタ(inter-sector)スケジューリングに関する。
【背景技術】
【0002】
物理層において日和見的なパケット・スケジューリングと組み合わさった適応変調は、将来の無線システムの非常に有望なコンセプトである。チャネル予測を使用して、モバイル端末は、ダウンリンク・チャネルSNIR(または関係する指標)を折り返し報告し、基地局にあるスケジューラは、どのユーザがそのチャネルにアクセスすべきかを決定するものである。
【0003】
次世代モバイル通信システムは、パケット交換方式になる可能性が最も高いので、トラフィックはバースト的になる。したがって、ユーザ1人に対する沈黙期間(空バッファ)が比較的長くなるときがある一方で、あるときはそのユーザに必要とされるデータレートが平均的なデータレートと比較してかなり大きくなることがある。結果として、ユーザ1人に当たりに必要なデータレートと同様に、競合するユーザの数も時間的に変動する。
【0004】
本開示において、以下の文献が参照される。
【非特許文献1】A.ガセミ(A. Ghasemi)およびE.S.ソウサ(E.S. Sousa)共著、「ダウンリンクCDMAにおける時間再利用分割による分散型セル間調整(Distributed Intercell Coordination through Time Reuse Partitioning in Downlink CDMA)」、無線通信&ネットワーキング会議(WCNC’04)会議録(Proc. Wireless Commun. & Networking Conf.)、米国アトランタ州(Atlanta, USA)、p.1992−1997、2004年3月
【非特許文献2】M.スタナド(M. Sternad)およびD.アロンソン(D. Aronsson)共著、「適応OFDMダウンリンクのチャネル推定および予測(Channel Estimation and Prediction for Adaptive OFDM Downlinks)」、IEEE車両技術会議2003フォール(VTC’F03)会議録(Proc. IEEE Vehic. Technol. Conf. 2003-Fall)、米国オーランド州(Orlando, USA)、p.1283−1287、2003年10月
【非特許文献3】M.スタナド(M. Sternad)、T.オットーソン(T. Ottosson)、A.アーレン(A. Ahlen)、およびA.スブンソン(A. Svensson)共著、「適応OFDMダウンリンクによるカバレッジおよび高スペクトル効率の両方を取得する方法(Attaining both Coverage and High Spectral Efficiency with Adaptive OFDM Downlinks)」、IEEE車両技術会議2003フォール(VTC’F03)会議録(Proc. IEEE Vehic. Technol. Conf. 2003-Fall)、米国オーランド州(Orlando, USA)、p.2486−2490、2003年10月
【非特許文献4】J.チュアング(J. Chuang)著、「次世代セル方式インタネットサービスのための動的パケット割当および干渉抑制を実行するOFDMベースのシステム(An OFDM-based System with Dynamic Packet Assignment and Interference Suppression for Advanced Cellular Internet Services)」、IEEEグローバル通信会議(Globecom'98)会議録(Proc. IEEE Global Telecommun. Conf.)、オーストラリア国シドニー州(Sydney, Australia)、p.974−979、1998年11月
【非特許文献5】M.H.アーメド(M.H. Ahmed)、H.ヤニコメログリュ(H. Yanikomeroglu)、S.マムード(S. Mahmoud)およびD.ファルコナ(D. Falconer)共著、「干渉が制限されたブロードバンド無線アクセスネットワークにおけるマルチメディア・トラフィックのスケジューリング(Scheduling of Multimedia Traffic in Interference-limited Broadband Wireless Access Networks)」、無線パーソナル・マルチメディア通信国際シンポジウム(WPMC’02)会議録(Proc. Int. Symp. Wireless Pers. Multimedia Commun.)、米国ハワイ州(Hawaii, USA)、p.1108−1112、2002年10月
【非特許文献6】J.グロス(J. Gross)、J.クラウエ(J. Klaue)、H.カール(H. Karl)、およびA.ウォリツ(A. Wolisz)共著、「無線OFDMシステムにおける可変ビットレートのビデオストリームに対するサブキャリア割当(Subcarrier Allocation for Variable Bit Rate Video Streams in Wireless OFDM Systems)」、IEEE車両技術会議2003フォール(VTC’F03)会議録(Proc. IEEE Vehic. Technol. Conf. 2003-Fall)、米国オーランド州(Orlando, USA)、p.2481−2485、2003年10月
【非特許文献7】D.ハクーン(D. Haccoun)およびG.ベギン(G. Be'gin)共著、「ビタビおよび逐次復号のための高レート・パンクチャード畳み込み符号(High-rate punctured convolutional codes for Viterbi and sequential decoding)」、通信に関するIEEEトランザクションズ(IEEE Trans. Commun.)、第37巻、p.1113−1125、1989年11月
【非特許文献8】W.ワング(W. Wang)、T.オットーソン(T. Ottosson)、M.スタナド(M. Sternad)、A.アーレン(A. Ahlen)、およびA.スブンソン(A. Svensson)共著、「適応OFDMに対するマルチユーザ・ダイバーシチおよびチャネル多様性の影響(Impact of multiuser diversity and channel variability on adaptive OFDM)」、IEEE車両技術会議2003フォール(VTC’F03)会議録(Proc. IEEE Vehic. Technol. Conf. 2003-Fall)、米国オーランド州(Orlando, USA)、p.547−551、2003年10月
【非特許文献9】A.レオン・ガルシア(A. Leon-Garcia)およびI.ウィジャジャ(I. Widjaja)共著、「通信ネットワーク(Communication Networks)」、米国ニューヨーク州ニューヨーク市(New York, NY, USA)、マクグローヒル社(McGraw-Hill)、2000年
【非特許文献10】A.S.タネンバウム(A.S. Tannenbaum)著、「コンピュータネットワーク(Computer Networks)」、米国ニュージャージー州エングルウッド・クリフス(Englewood Cliffs, NJ)、プレストンホール社(Prentice Hall)、第4版、1996年
【非特許文献11】J.H.リー(J.H. Rhee)、J.M.ホルツマン(J.M. Holtzman)、およびD.K.キム(D.K. Kim)共著、「リアルタイム/非リアルタイムサービスのスケジューリング:適応EXP/PFアルゴリズム(Scheduling of Real/Non-real Time Services: Adaptive EXP/PF Algorithm)」、IEEE車両技術会議2003年春大会(VTC’S03)会議録(Proc. IEEE Vehic. Technol. Conf. 2003-Spring)、大韓民国済州島(Jeju, Korea)、p.462−466、2003年4月
【0005】
適応型マルチユーザOFDMシステムのダウンリンク・スキームの中心には高速適応変調がある。各スロットごとに変調を決定するには、SINRの予測が必要である(非特許文献2、非特許文献3)。対象信号の高速フェーディング成分は、移動性の低いユーザに対して予測することができる円滑な相関性のあるプロセスであるが、他の基地局からの干渉パワーはそうではない。スロットにおいて見られる全干渉パワーは干渉し合う各基地局の伝送アクティビティ(transmission activity)に依存し、急激なデータ・トラフィックにより、モバイル端末における短期値の予測は事実上不可能である。
【0006】
明らかに、セル間干渉回避スキーム(inter-cell interference avoidance scheme)は、セル方式のパケットベースのシステムにおいて高速適応変調を成功させるための重要な特徴である。例えばGMSシステムにおいて静的周波数プランニングが使用される従来のアプローチは1つの選択肢である。しかしながら、パケットベースのシステムにおいては比較的長い沈黙期間(送信するデータが存在しない)が所与の基地局で起こる場合がある。異なる基地局が異なった数のユーザにサービスし、しかも平均的なデータレートがユーザの間で変動することから、基地局の負荷はより長い時間スケールで変動することもある。つまり、静的なリソース割当は、良い選択ではない。
【0007】
基地局の間の動的なスロット割当に関する幾つかの提案が、非特許文献1、非特許文献4、および非特許文献5でなされている。この節では、その中の2つの提案について手短に概説する。
【0008】
非特許文献1は、セルが区分状の領域に分割されたCDMAシステムのダウンリンクの調査を含んでいる。干渉し合うセクタのグループが形成され、インタセル(セル間)スケジューラは、時間スロットをこれらのセクタに1つずつ割り当てる。言い換えると、セル間干渉は、時間領域(time-domain)における直交性によって回避される。非特許文献1は、セル境界の近くに位置するユーザへの伝送を調整するスケジューラを提案している。基地局の近くに位置するユーザは、全ての時間スロットをより小さな伝送パワーで使用することができる。このアイデアは、非特許文献3の“インナリング(inner ring)”の提案に類似している。
【0009】
非特許文献1によれば、時間スロットはセクタ負荷(sector loads)に応じてセクタ同士の間で分け合わなければならない。しかし、セクタ負荷の正確な定義は見あたらない。トラフィックモデルに対して、非特許文献1は、全てのユーザが常に送信すべきデータを有していることを仮定している。この仮定により、システム負荷は、システムにおけるアクティブユーザの数に等しくなることが非特許文献1から結論付けられる。送信すべきデータが全く無くてもリソースは与えられたユーザに固定されるので、非特許文献1に記載されているスキームは、統計的多重化(statistical multiplexing)−パケット・ネットワークにおける改善された容量の重要な特性の1つ−から恩恵を受けることはできない。
【0010】
言い換えると、非特許文献1のインタセル・スケジューラは、システムにおけるアクティブユーザの数(長期間の平均負荷)に基づいている。従って、統計的多重化利得はこのシステムでは期待できない。
【0011】
非特許文献6は、ダウンリンク・リソース(サブキャリア)を、単一の基地局に接続したアクティブユーザに、該ユーザらの相対的なパケット待ち行列長に比例するように割り当てるべきであることを提案している。言い換えると、非特許文献6は、無線OFDMシステムにおける可変ビットレート・ビデオストリームのサブキャリア割当を記載している。非特許文献6によれば、ダウンリンク通信では様々な数のサブキャリアが無線端末に割り当てられる。基地局から所与の無線端末へのダウンリンクにサブキャリアがいくつ割り当てられるかを決めるために、アクセスポイント内における端末の待ち行列の相対的な長さが使用される。そのため、非特許文献6は、基地局内でのリソース・スケジューリングを検討している。
【0012】
非特許文献2は更に、適応型OFDMダウンリンクに対するチャネル推定および予測を記載している。
【0013】
非特許文献3は、広域カバレッジと高スペクトル効率とを有するセル方式のパケットデータシステムのダウンリンク無線インタフェースを記載している。時間−周波数ビン(time-frequency bins)を、ダウンリンク・ビーム内の異なるユーザに、それらのチャネル品質に基づいて適応的に割り当てるスロット化(slotted)OFDMインタフェースが使用される。端末におけるチャネル予測と基地局におけるパケット・スケジューラへのその情報のフィードバックとを必要とする周波数分割複信(frequent division duplex:FDD)が想定される。セクタ/ビーム内における高いスペクトル効率と良好なカバレッジを両方実現するために、同じサイズのセクタ同士の間のうまく調整されたスケジューリングと、セクタの外側部分でのみ1を超える周波数再利用率の採用とを提案している。
【0014】
非特許文献4は、次世代セル方式のインターネットサービスのための動的パケット割当と干渉抑制を備えたOFDMベースのシステムとを記載している。非特許文献4では、ウェブ・ブラウザといったアプリケーションを標的とした、広域セル方式インフラを使用してピークダウンリンク伝送速度が1Mb/s程度のOFDMベースの次世代セル方式のインターネットサービス(advanced cellular internet service:ACIS)システムのためのMACプロトコルの主要コンポーネントとして動的パケット割当(dynamic packet assignment:DPA)法が提案されている。提案された方法は、パケット時間スケールで無線リソースを割り当て、約100ミリ秒内で再割り当てすることが可能である。干渉抑制はパフォーマンスを向上させるための方法と見なされる。フレーム構造およびデータパケット割当(data packet assignment:DPA)アルゴリズムの両方が検討されている。
【0015】
非特許文献5には、干渉が制限されたブロードバンド無線アクセスネットワークにおけるマルチメディア・トラフィックのスケジューリングが記載されている。また、ブロードバンド無線アクセスネットワークにおける干渉管理のための送信スケジューリング・アルゴリズムが提案されている。このアルゴリズムは、基地局調整を使用して同一チャネル干渉を最小化すると同時に、パケット遅延時間、スループット、およびパケット損失といったその他のサービス品質(QoS)を維持することを目的としている。干渉結果は、可能性のある支配的干渉の同時伝送を避ける(または最小化する)ことによって実現される。また、他のセル/セクタにおけるトラフィック情報に基づく動的スロット割当が採用されている。アルゴリズムを分散方式で実施するため、基地局はトラフィック情報を交換するようになっている。リアルタイムおよび非リアルタイムのサービスが両方とも検討されている。
【0016】
非特許文献7は、ビタビ逐次復号(Viterbi and sequential decoding)のための高レートのパンクチャード畳み込み符号を記載している。
【0017】
非特許文献8では、マルチユーザ・ダイバーシチおよびチャネル多様性の適応OFDMへの影響が議論されている。
【0018】
さらに、通信ネットワークに関する情報は非特許文献9に見出すことができ、非特許文献10には、コンピュータネットワークが詳細に説明されている。さらに、非特許文献11は、適応型EXP/PFアルゴリズムを使用するリアルタイム/非リアルタイム・サービスのスケジューリングに関する情報を提供する。
【0019】
しかしながら、負荷分布がトラフィック・バーストを呈する場合には、既存の解決法では効率的なスケジューリングを行うことはできない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
したがって、本発明の課題は、トラフィック・バーストに効率的に対処することが可能な、リソース・スケジューリング方法およびモバイル通信基地局の動作方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記課題は、請求項1に記載されたスケジューラと、請求項19に記載されたモバイル通信ネットワークのための基地局と、請求項24に記載された基地局を制御する方法と、請求項26に記載された基地局を動作させる方法と、請求項28に記載されたコンピュータプログラムとによって解決される。
【0022】
本発明が提供するスケジューラは、少なくとも第1の送信機/受信機と第2の送信機/受信機との間で送信機/受信機(例えば基地局)を制御するためのスケジューラであって、前記第1の送信機/受信機および前記第2の送信機/受信機は、利用可能な全送信/受信リソースを使用して送信または受信するものであり、前記第1の送信機/受信機は第1の送信リソースを使用し、前記第2の送信機/受信機は第2の送信リソースを使用し、前記第1の送信機/受信機は第1の送信バッファ(transmit buffer)を有し、前記第2の送信機/受信機は第2の送信バッファを有するものである。本発明のスケジューラは、前記第1および第2の送信バッファのある特定の時間における実際のバッファ占有量に関する情報を含む、前記第1の送信機/受信機および前記第2の送信機/受信機の負荷状況(load situation)に関する情報を受信するための受信機と、前記負荷状況に関する情報に基づいて、前記全送信/受信リソースの中の第1の部分を前記第1の送信機/受信機に割り当て、前記第1の部分とは異なる第2の部分を前記第2の送信機/受信機に割り当てるためのリソース割当器(resource allocator)とを備えている。前記リソース割当器は、負荷が低い方の送信機/受信機と比べて負荷が高い方の送信機/受信機にリソースがより多く割り当てられる結果をもたらす割当規則(allocation rule)を適用するように構成されている。さらに、前記全送信/受信リソースの中の前記第1の部分と、前記全送信/受信リソースの中の前記第2の部分は好ましくは互いに排他的である。
【0023】
基地局へのリソースの割当は、割当規則を少なくとも2つの基地局の送信バッファの実際のバッファ占有量を示す負荷状況に関する情報に適用することによって、効率的な方法で遂行することができるということが本発明の鍵となるアイデアである。基地局のバッファ占有量は、単一の数値によって基地局の負荷を示すための有効な基準として使用することができる。また同じく、データをモバイル通信装置へ伝達するときに望ましいサービス品質(QoS)(例えば待ち時間)を維持するために、基地局が必要とする送信リソースとバッファ占有量との間に強い相関関係が存在することも見出される。さらに、基地局の送信バッファ占有量は、短期(一般的に1秒未満のオーダ)および長期(一般的に10秒以上のオーダ)の両方にわたって基地局の負荷状況を表すことも見出される。言い換えると、本発明のインタセクタ・スケジューラ(inter-sector scheduler)は、バッファ占有量を使用して特定の基地局に到達したトラフィック・バースト(短期の負荷変動を結果的にもたらす)と基地局の平均負荷の変動(長期の負荷変動を結果的にもたらす)との両方に対処することが可能である。
【0024】
リソースを少なくとも1つの基地局(あるいは数個の基地局)に割り当てるときに2つ以上の基地局のバッファ占有量を利用することは、従来の解決法と比較して多数の利点をもたらす。第1に、個々の基地局の短期の負荷変動(例えばバースト・トラフィックによるもの)および長期の負荷変動の両方をスケジューリング対して考慮することが可能であり、両方のタイプの負荷変動(短期および長期)は、単一の数値によって表すことが可能である。このため、完全で必要とされるスケジューリングを実行するために単一のスケジューラを使用することが可能であり、スケジューラは、短期の負荷変動および長期の負荷変動に関する情報を区別する必要はない。
【0025】
加えて、数個のモバイル通信基地局の間、またはモバイル通信基地局とインタセクタ・スケジューラとの間で交換されるデータ量は、従来のスケジューリング技術を適用するのに必要なデータ・トラフィックと比較して小さい。このことは、本発明によりバッファ占有量に関する情報のみが交換される必要があるという事実に起因するものである。その上、バッファ占有量は、一般的に単一の数値として表すことが可能である。この結果、基地局同士の間(インタセクタ・スケジューラの権限が分散化されており基地局と組み合わされている場合)または基地局とインタセクタ・スケジューラとの間(専用の集中インタセクタ・スケジューラが存在する場合)のリンクに関する要件は緩和される。
【0026】
さらに、バッファ占有量を計算する際、バッファ占有量が計算される基地局において平均化が自動的に実行され、そのバッファ占有量はそれぞれの基地局によって維持される全ての伝送リンクにわたって計算される。したがって、基地局が多数のモバイル通信装置にサービスする場合には、トラフィックの基地局内部の平均化によりバッファ占有量は一般的にはあまり速く変動しない。したがって、多くのモバイル通信装置との高負荷状況において、一定の(あるいはほとんど一定、すなわち非常にゆっくり変動する)リソース割当が実現可能である。これとは対照的に、少数の装置のみが基地局に接続している場合、トラフィック負荷と、バッファ占有量とは、非常に速く変動することがある。しかしながら、本発明のインタセクタ・スケジューラは、現状の負荷状況にうまく適応して、モバイル通信システムのトラフィック能力と待ち時間とを最適化するリソース割当を実行することができる。
【0027】
さらに、本発明のインタセクタ・スケジューラは、集中型または分散型のインタセクタ・スケジューラとして両方とも実施することができる。ここで分散型ソリューションは、中央制御局にかかるコストを回避することができるという利点をもたらす。分散型ソリューションでは、含まれる基地局同士の間でそれぞれのバッファ占有量(またはバッファ占有量に関する情報)を交換するために、通信が確立できれば十分である。この通信リンクは、非常に小さなデータレートのみを必要とし、技術的な努力をほとんど要しない。
【0028】
まとめると、本発明は、分散型の実施を可能にするリソース・スケジューリングの有効なコンセプトを提供し、かつ、基地局同士の間で少量のデータのみの交換が必要とされる。
【0029】
本発明の更に好ましい形態では、前記受信機は、負荷状況に関する情報として、通信セル内にある基地局の全てのバッファ占有量の総和によって決まる全バッファ占有量情報と、ある特定の基地局の実際のバッファ占有量とを受信するものである。さらに、前記リソース割当器は好ましくは、特定の基地局の実際のバッファ占有量と全バッファ占有量との比率に応じて、その特定の基地局にリソースを割り当てる働きをする。
【0030】
言い換えると、前記受信機は同じセルにサービスしており、それ故にその伝送は重なり合う領域において干渉する場合がある基地局の全バッファ占有量(または全バッファ占有量情報)を受信することができる。この情報は、集中型の全バッファ占有量計算機において計算されるか、または個々の基地局からインタセクタ・スケジューラが受信したバッファ占有量情報を総和することによってインタセクタ・スケジューラ内において計算が可能である。ある特定の基地局の相対バッファ占有量は、その特定の基地局の実際のバッファ占有量と全バッファ占有量との比率を形成することによって決定することができる。したがって、相対バッファ占有量はよく均衡のとれた、または“公平”な方法でリソースを分配するための基準として使用することができる。基地局の相対バッファ占有量に基づく送信リソースの分配は、結果的に、多数の基地局の間のバッファ遅延時間を一様分布(uniform distribution)にする。したがって、異なる基地局の全体にわたってモバイル通信装置に配信されるパケットに対して同等の(つまり似たような)待ち時間が実現される。したがって、負荷が非常に高い一様な基地局はそれぞれの接続されたモバイル通信装置へ十分に速いサービスを提供することができる。
【0031】
言い換えると、或る特定の基地局の実際のバッファ占有量と通信セル内にある多数の基地局の全バッファ占有量との比率は、リソース割当の優れた基準であることが示されている。全バッファ占有量情報の配信は、基地局からバッファ占有量の総和として計算されるので、最小限の調整努力で済む。全バッファ占有量情報は、基地局同士をつなぐネットワーク上で交換することが可能であり、このため、完全に分散したリソース割当が可能となる。
【0032】
また、異なるタイプのリソースが基地局に割当可能である。例えば、割り当てられるリソースは、OFDMサブキャリアを含むことが好ましく、割り当てられたOFDMサブキャリアは、検討中である通信セルにサービスしている複数の基地局に利用することが可能なセットのOFDMサブキャリアの要素である。OFDMサブキャリアを動的に割り当てることは、従来のシステムと比較したときに大きな利点をもたらす。異なるOFDMサブキャリアは、受信装置において分離することができるので、異なるOFDMキャリアは、異なる基地局によって同時に使用することが可能である。その結果、異なる基地局に割り当てられたリソース、つまり異なるOFDMサブキャリアまたはセットのサブキャリアは、異なる基地局によって同時に使用することが可能である。その結果、数個の基地局は異なるOFDMサブキャリアを使用してそれらのデータを同時に送信することができ、それにより、時間ドメイン多重アクセス・スキーム(time domain multiple access scheme)(例えば、時間スロットが異なる基地局に割り当てられる)と比較して待ち時間を大きく減らすことが可能となる。短い待ち時間は、音声や映像の伝送といったリアルタイムサービスにとって特に重要である。一般的に多数の利用可能なOFDMサブキャリアが存在するときには基地局に割り当てられたOFDMサブキャリアの数はバッファ占有量に応じて小刻みに拡大縮小(スケール)可能なので、バッファ占有量(または相対バッファ占有量)に基づくOFDMサブキャリアの分配は、特に有利である。
【0033】
同じく、基地局に割り当てられるリソースは、OFDMサブバンド(OFDM sub-bands)であることが可能であり、この場合、OFDMサブバンドは、それぞれ複数のOFDMサブキャリアを組み合わせ、割り当てられるOFDMサブバンドは、一般的に通信セルにサービスする複数の基地局が利用することが可能なセットのOFDMサブバンドの要素である。言い換えると、OFDMサブキャリアは、より容易に割り当てられるOFDMサブバンドにグループ分けすることができる。OFDMサブバンド、すなわちグループのOFDMサブキャリアを、そのOFDMサブバンドが最良の伝搬条件を可能にするように選択することが可能である。例えば、OFDMサブバンドは、隣接するOFDMサブキャリアを含む場合があり、それにより異なる基地局の比較的シンプルな調整(coordination)が可能となる。さらに、周波数ダイバーシチの利点が斯かるサブバンドに有効活用することができるように、OFDMサブバンドは周波数に関して間隔を置いた多数のサブキャリアを定める。さらに、スケジューリング情報を転送するために必要とされるデータ量は、多数のOFDMサブキャリアをグループ分けするサブバンドを使用することによって大きく減少し得ることに言及しておきたい。加えて、リソース割当に個々のOFDMサブキャリアではなくOFDMサブバンドを使用することにより、サブバンドが全体として基地局とモバイル装置との間のリンクに割り当てることができるときには、無線インタフェースで転送されるユーザデータと、必要とされる信号オーバヘッドとの比率が改善される場合がある。
【0034】
スケジュールされたリソースは、好ましくはOFDMスロット(OFDM slots)であることも可能である。OFDMスロットは、それぞれ複数のOFDMサブキャリアと複数の連続するOFDMシンボル(OFDM symbols)とを含んでおり、OFDMスロットは好ましくは、通信セルにサービスする複数の基地局が利用することが可能なセットのOFDMスロットの要素である。したがって、OFDMスロットは、離散的なOFDMサブキャリアと時間間隔とによって定義されるエンティティ(entity)である。したがって、複数のOFDMスロットは、同一時点に存在することが可能であり、その結果、数個の基地局は、異なるOFDMスロットを使用してモバイル通信装置と同時に通信することができる。さらに、OFDMスロットの時間制限は、基地局内でのリソースのプランニングを容易にするとともに、モバイル通信装置との通信において信号オーバヘッドを減らすこともできる。言い換えると、OFDMスロットは、データ転送単位を規定する。同じく、OFDMスロットの利用は、リソース割当が変更される可能性がある時点、OFDMスロットの終点を定める。もっと具体的に言えば、各OFDM時間スロット後にリソースを再割当する(割り当てし直す)ことが可能である。したがって、OFDMスロットの利用は、異なる基地局のリソース割当の時間同期を容易にする。以上のことから、グループの隣接するサブキャリアおよびOFDMシンボルによって形成されるOFDMスロットの利用は、本発明のリソース・スケジューリング方法を特に有利に実施することを可能にする。
【0035】
別の好ましい形態では、リソースは周波数間隔である場合がある。この場合、周波数間隔は、通信セルにサービスする複数の基地局が利用することが可能な全体の利用可能な周波数割当の一部である。言い換えると、基地局のバッファ占有量を利用する本発明のインタセクタ・スケジューラは、周波数分割多重アクセス(FDMA)環境において周波数リソースをスケジュールするためにも使用することができる。
【0036】
同様に、リソースは、通信セルにサービスする複数の基地局が利用することが可能な複数の利用可能な時間スロットから得られる時間スロットとすることが可能である。
【0037】
さらに、リソースは、空間リソース(spacial resources)である場合がある。空間リソースは、基地局がそのサービスを集中させることができる空間領域を定義する。言い換えると、空間リソースは、例えば基地局がサービスする全体のセクタの中の部分セクタであり得る。そのセクタは、水平および/または垂直角領域によって画定される場合がある。さらに、空間リソースは、基地局からの特定の距離によって画定することができる。空間リソースによれば、基地局の放射特性は、放射を選ばれた空間リソースまたは領域に集束させるよう制御することができる。同じく、空間リソースは、ある一定の周波数間隔または時間間隔の間に伝送パワーを変化させることによってアクセスすることができる。したがって、空間リソースの分配も、少なくとも近隣の基地局同士の干渉を避けたりあるいは減らしたりするためにリソースをスケジュールするのに有利なソリューションである場合がある。
【0038】
別の好ましい形態では、本発明のインタセクタ・スケジューラは、このインタセクタ・スケジューラの動作を少なくとも別のインタセクタ・スケジューラの動作と同期させるための同期ユニットを更に備えている。言い換えると、インタセクタ・スケジューラは、時間および/または周波数同期情報を受信するための受信機と、時間および/または周波数同期情報を送信するための送信機との少なくとも一方を備える場合がある。したがって、数個の基地局のインタセクタ・スケジューラは、異なった基地局から放射された信号の干渉を避けるために時間同期されることがある。つまり、インタセクタ・スケジューラの時間同期は、基地局相互の干渉を減らすのに役立つ場合があり、そのことはモバイル通信セルにおけるデータ転送容量を増大させるのに役立つ。
【0039】
さらに、割当規則は、リソース割当器によって割り当てられたリソースが他のリソース割当器によって割り当てられたリソースと競合しないように設定されることが好ましい。言い換えると、割当規則は、同じセルにサービスしている近隣の基地局同士の干渉を避けるように設定される。このことは決定性の割当規則を使用することによって実現することができる。すなわち、時間基準を有し、かつ同じセルにサービスしているその他の基地局の負荷状況を知ることで、本発明のインタセクタ・スケジューラのリソース割当器は、同じセルにサービスしている基地局が同時に同一のリソースを使用しないように、リソースを基地局に割り当てることができる。例えば、割当規則は、同じセルにサービスしている異なる基地局が所与の期間においても同じOFDMサブキャリアまたは同じOFDMサブバンドを使用しないように設定することが可能である。同様に、割当規則は、複数の基地局が同じOFDMスロット、周波数間隔または時間スロットを利用することを防止するように設定することができる。このようにすれば、割当規則は、数個の基地局によって同じセルに送信される信号同士の干渉を避けるのに役立つことが可能である。こうすれば、ビット誤り率は、多くの場合にはノイズ(熱雑音)によってというより干渉によって制限されるので、ビット誤り率を大きく減らすことができる。所与のリソースがセルにサービスしている唯一の基地局によって使用される場合には、干渉によるデータ受信の必要性が避けられるので、多くの場合に全体のデータ転送速度は増大する可能性がある、ということにも言及しておきたい。このため、システムの複雑さをシステム能力に大きな影響を与えることなく減らすことができるように、露骨な干渉除去は避けることができる。
【0040】
別の好ましい形態では、リソース割当器は、リソース量子化(resource quantization)の影響が無視される場合、特定の基地局へ割り当てられたリソースのデータ転送容量(または推定データ転送容量)が実際のバッファ占有量と全バッファ占有量との比率に比例するように、その特定の基地局にリソースを割り当てる働きをする。言い換えると、特定の基地局へ割り当てられたリソースの推定データ転送容量は、好ましくは、その特定の基地局の相対バッファ占有量に比例する。例えば、特定の基地局に割り当てられたOFDMサブキャリアの数は、その特定の基地局の相対バッファ占有量に比例する。ある特定のタイプのリソースのデータ転送容量は、量子化することができると仮定する。このとき、好ましくは、同じタイプの数個の異なったリソース(例えば、数個のOFDMサブキャリア、数個のOFDMサブバンド、数個のOFDMスロット、周波数レンジまたは時間スロット)に対して同じデータ転送容量が想定される。周波数レンジに関しては、ある特定の基地局に割り当てられる周波数帯域幅は、その特定の基地局の相対バッファ占有量に比例すると想定することができる。同じ想定をその特定の基地局に属する場合がある時間スロットの長さにも適用する。
【0041】
しかしながら、リソースは一般的に量子化されるので、比例関係から若干ずれる可能性がある。このことは、リソース(例えばOFDMサブバンドまたはOFDMスロット)が全体として基地局に割り当てられることができるのみであることを意味する。
【0042】
リソースがリソースユニット(resource units)で量子化されるケースでは、リソース割当器は好ましくは、第1の時間間隔内において第1の割当規則を使用して、基地局へ割り当てるためのリソースユニットの数を決定し、第2の時間間隔内において第2の割当規則を使用して、基地局に割り当てるためのリソースの量を決定する働きをする。第1の割当規則および第2の割当規則は一般的に、第1の割当規則によってもたらされたリソース量子化に起因する第1の丸め誤差(rounding error)が第2の割当規則によってもたらされた第2の丸め誤差に対して正反対の方向(または符号)を有するように設定される。第1の割当規則は好ましくは、基地局に割り当てるためのリソースユニットの数を取得するために、利用可能なリソースユニットの総数と、実際のバッファ占有量および全バッファ占有量の比率との積を整数値に丸めることを指定している。一方、第2の割当規則は好ましくは、基地局に割り当てるためのリソースユニットの数を、他の基地局に割り当てられなかったリソースユニットの残数(残りの部分)として取得することを指定している。その残数は、利用可能なリソースユニットの総数と、別の基地局に割り当てられたリソースの数を表す少なくとも1つの丸められた値との間の差として計算される。この論脈におけるリソースユニットは例えば、OFDMサブキャリア、OFDMサブバンド、OFDMスロット、周波数間隔または時間間隔であると定義することができる。また、交互に適用されることがある2つの異なるリソース割当規則が存在することに更に言及しておきたい。第1のリソース割当規則は、利用可能なリソースユニットの総量と、基地局の相対バッファ占有量との積を丸めることによって、基地局に割り当てられるリソースユニットの数の計算を直接的に規定する。これとは対照的に、第2のリソース割当規則は、利用可能なリソースユニットの総数と、他の基地局のそれぞれの相対バッファ占有量との積を丸めることによって、その他の基地局に割り当てられるリソースユニットの数を最初に決定することを指定している。続いて、基地局に割り当てられるリソースユニットの数は、利用可能なリソースユニットの総量からその他の基地局に割り当てられたリソースユニットの数を差し引くことによって計算される。このようにして、2つの異なった割当規則は、異なる時間間隔においてリソースの割当に適用することができる。このとき、第1の期間間隔では基地局に割り当てられたリソース量に対して丸め(端数処理)が直接適用され、第2の時間間隔ではその他の基地局へ割り当てられたリソースユニットの数に対して丸めが適用される。したがって、丸め誤差は、丸めの影響が相殺(balance out)されるように、第1の時間間隔と第2の時間間隔とで異なった取り扱いがなされる。
【0043】
丸めと残りのリソースの割当とに基づく丸めおよび割当は、低い方の数への切り下げが行われるときには、丸めに基づいてリソースを受け取る送信機/受信機に対して不公平な割当を結果的にもたらす場合がある。逆に高い方の数への切り上げが行われるときには、残りを受け取る送信機/受信機が不公平に取り扱われる。この不公平な割当を克服するため、その割当が全送信/受信リソースの残りに基づいて行われる、すなわち、その割当は、丸めに依存する全ての送信機/受信機が処理される際には、送信機/受信機を交代させることが好ましい。
【0044】
丸めは好ましくは、リソースの過割当(over-allocation)を避けるために床関数(floor function)を適用することについては、切り捨てを意味することに更に言及しておきたい。したがって、第1の時間間隔において基地局に割り当てられたリソースは、一般的には次の整数個のリソースユニットまで切り捨てられ、その結果、公平な割当スキームにおいて理論的に必要とされるよりも少ないリソースが割り当てられる。これとは対照的に、第2の時間間隔において、その他の基地局に割り当てられたリソースが切り捨てられることが仮定されることがある。その他の基地局に割り当てられなかった残りのリソースユニットがその基地局に割り当てられる場合、公平な割当スキームを考慮しているときには、一般的に実際に必要とされるよりも多くのリソースがその基地局に割り当てられる。したがって、第2の時間間隔においてその基地局は、公平な分配(割当)と比較したときにより多くのリソースを取得するが、一方、その基地局は、第1の時間間隔において(公平な分配スキームと比較したときには)より少ないリソースを取得する。結果として、前述の影響としては、第1の時間間隔および4第2の時間間隔において平均化され、その結果、全体で非常によく均衡のとれたリソース割当が実現できる。リソース割当スキームは、少数の利用可能なリソースしかない場合に特に重要であり、したがって量子化(または丸め)の影響は特に重大になる。
【0045】
第1の時間間隔および第2の時間間隔に対して記述されたリソース割当スキームは、(例えば通常のスキームでは)繰り返されることがある。しかしながら、斯かる繰り返しに対しては、第1の時間間隔に対して記述された計算スキームを第2の時間間隔に互い違いに使用する必要はないが、第1の時間間隔に対して記述された計算は、第2の時間間隔に対して記述された割当が実行される前に数度にわたって繰り返されることがある。しがたって、3つ以上の基地局が存在しても改善された割当スキームが実現可能である。
【0046】
リソース割当器は更に、負荷状況に関する情報に基づいて少なくとも第1の基地局および第2の基地局に対してリソースを割り当てるように構成されていることがある。インタセクタ・スケジューラは、リソース割当に関する情報を少なくとも第1の基地局および第2の基地局に配信するためのリソース割当配信器(resource allocation distributor)を更に備えることができる。言い換えると、本発明のリソース割当器は、1つの個別のリソース割当器が2つ以上の基地局に対してリソースを割り当てることができるように集中化されてもよい。異なる基地局へのリソースの割当に対して、異なる割当規則が使用されることがあり、その場合の割当規則は基地局同士の干渉を避けることができるように設定してもよい。言い換えると、割当規則(すなわち、少なくとも、第1の基地局へリソースを割り当てるための割当規則と第2の基地局へリソースを割り当てるための割当規則)は、ある特定のリソースが一度に(または1つの時間間隔の間に)2つ以上の基地局へ割り当てられないように設定することができる。斯かる集中インタセクタ・スケジューラのケースでは、リソース割当に関する情報は好ましくは、インタセクタ・スケジューラがリソースを割り当てる少なくとも2つの基地局へ分配される。リソース割当に関する情報は、有線または無線方式で伝送される場合がある。同じく、リソース割当に関する情報は、異なる伝送機構を使用して異なる基地局へ伝送されることがある。同じく、インタセクタ・スケジューラは1つの基地局の一部であり、かつ、短距離のリンクがリソース割当に関する情報をインタセクタ・スケジューラと組み合わされる基地局へ報告するために必要であることが可能である。これとは対照的に、長距離のリンクは、リソース割当に関する情報を別の基地局へまたは数個の他の基地局へ報告するために必要な場合がある。
【0047】
しかしながら、リソースを複数の基地局に対して同時に割り当てることができるときには、既に述べたような集中リソース割当器が有利である。このようにして、異なるリソースが異なる基地局に割り当てられることが容易に保証可能であり、その結果、干渉が避けられる。したがって、割当規則は単純化されることがある。
【0048】
別の好ましい形態では、リソースは時間および/または周波数スロットである。リソース割当器は、少なくとも2つの基地局に対して、その少なくとも2つの基地局に割り当てられるスロットの数を決定するように構成されている。リソース割当器は好ましくは、割り当てられるべきスロットの数に満たない数のスロットが少なくとも2つの基地局の中の少なくとも1つに割り当てられている限りは、連続する隣り合ったスロットを交互にその少なくとも2つの基地局へ割り当てるように構成されている。言い換えると、隣り合ったスロットは、多重化方式で少なくとも2つの基地局に割り当てられる。異なる基地局へ割り当てられるスロットを周波数に関して多重化することによって、有利な周波数ダイバーシチ効果を可能にする周波数割当が結果としてもたらされる。したがって、前述のリソース多重化割当スキームによって特に信頼性が高いデータ伝送が実現可能である。
【0049】
多重化されたリソース割当は、連続する隣り合ったスロットをラウンド・ロビン法(Round Robin procedure)を使って少なくとも2つの基地局へ割り当てることによって実現可能であることに更に言及しておきたい。
【0050】
別の好ましい形態では、リソース割当器は、少なくとも2つの基地局に対して、それらの基地局に割り当てられるそれぞれのスロットの数を決定するとともに、第1の基地局には隣り合ったスロットの第1の連続したブロックを割り当て、第2の基地局には隣り合ったスロットの第2の連続したブロックを割り当てるように構成されている。第1のブロックのスロットは好ましくは、第1の基地局に割り当てられるそれぞれの数のスロットを含んでおり、第2のブロックのスロットは好ましくは、第2の基地局に割り当てられるそれぞれの数のスロットを含んでいる。言い換えると、第1の基地局に割り当てられるスロットは、連続する1ブロックのスロットから構成されており、第2の基地局に割り当てられるスロットは、連続する別の1ブロックのスロットから構成されている。基地局へのリソースの斯かるブロック単位の割当は、ブロック単位の割当が基地局同士のスロットの同期に関して特にローバスト(robust)であるときに有利である。
【0051】
更なる好ましい形態では、リソース割当器は、基地局に割り当てられたリソースをその基地局によって維持された複数のデータ接続へ分配するように構成されている。言い換えると、インタセクタ割当は、リソース割当器によって更に実行される。ここで、インタセクタ割当およびイントラセクタ割当は、別々に実行することが好ましい。斯かる手続は、基地局と少なくとも1つのインタセクタ・スケジューラとの間のデータ交換を最小化する。さらに、計算労力はインタセクタ・スケジューリングとイントラセクタ・スケジューリングとが別々になっているために最小化されると同時にその間も十分なスケジューリング利得が得られる。特に、短期間のチャネル知識は、基地局と少なくとも1つのインタセクタ・スケジューラとの間で交換される必要はない。
【0052】
さらに、本発明は、同じ通信セルへ送信、または同じ通信セルから受信するように構成された第1の基地局と第2の基地局とを有するモバイル通信ネットワークのための基地局を提供する。本発明の基地局は、当該基地局からモバイル通信装置へ送信されるデータをバッファリングするための送信バッファ(transmit buffer)と、送信バッファの実際の充満率に関する情報を含む当該基地局の負荷状況に関する情報を決定するための送信バッファ占有量決定器(transmit buffer fullness determinator)と、当該基地局のバッファ占有量に関する情報を含む負荷状況に関する情報を少なくとも1つの他の基地局とインタセクタ・スケジューラに転送するためのオプションとしての送信バッファ占有量センダ(transmit buffer fullness sender)とを備えている。インタセクタ・スケジューラは、少なくとも1つの他の基地局の送信バッファの実際のバッファ占有量に関する情報を含むその少なくとも1つの他の基地局の負荷状況に関する情報を受信するための受信機を備えている。インタセクタ・スケジューラは、当該基地局の負荷状況に関する情報および少なくとも1つの他の基地局の負荷状況に関する情報に基づいて、当該基地局にリソースを割り当てるためのリソース割当器を更に含む。このリソース割当器はリソース割当規則を適用するように構成されている。また割当規則は、負荷が低い方の基地局よりも負荷が高い方の基地局にリソースがより多く割り当てられることを規定する。
【0053】
本発明の基地局は、当該基地局の送信バッファの実際のバッファ占有量に関する情報と、別の基地局のバッファ占有量に関する情報とに基づいてリソース割当を実行する。既に言及したように、当該基地局のバッファ占有量はリソースの効率的なスケジューリングに使用することができる定量値である。
【0054】
別の好ましい形態では、基地局は、ある特定のモバイル通信装置に送信されるとともに当該基地局の送信バッファに格納されるデータを、その特定のモバイル通信装置がその他の基地局によってサービスされていることを検出すると同時に別の基地局へ転送するためのセンダ(sender)を更に備えている。バッファ制御装置は好ましくは、送信バッファからその他の基地局へ転送されたデータを削除する。
【0055】
本発明の基地局は、送信バッファのバッファ占有量を評価することと相まって1つの基地局から別の基地局への通信装置のハンドオーバを効率的に実行することができることが明らかになっている。リソースは、送信バッファからデータが削除されたらすぐに自動的に再配分(あるいは再割当)されることが可能であり、斯かる再配分(あるいは再割当)は好ましくは、モバイル通信装置が1つの基地局から別の基地局へハンドオーバされるときに起こる。言い換えると、送信バッファのバッファ占有量を評価する本発明の仕組みのために、モバイル通信装置へ送信するためのデータが1つの基地局から別の基地局へハンドオーバされるときはいつでも、系統立てられた信号伝達およびリソース割当は必要ではない。これとは対照的に、バッファ占有量は、モバイル通信装置がそれにハンドオーバされる別の基地局へ上記データが転送されるとすぐに、送信バッファからデータを削除することによって自動的に変更される。
【0056】
当該基地局がある特定のモバイル通信装置にサービスする責任を引き継いだ場合は、当該基地局が、その特定のモバイル通信装置へ送信されるデータを受信することに更に言及しておきたい。結果、バッファ占有量は変化し、そのバッファ占有量はリソースを再割当するために、再度、直接評価することが可能である。
【0057】
基地局は、上記特定のモバイル通信装置が別の基地局によってサービスされていることを、そのモバイル通信装置自身またはその他の基地局からの通知を受信することによって、検出することができることに更に言及しておきたい。さらに、当該基地局は、上記特定のモバイル通信装置とのコンタクトが途切れたことを検出した場合(例えば、特定のモバイル通信装置がある特定の期間の間だけ応答しない場合)に、その特定のモバイル通信装置に対して送信バッファのコンテンツを削除することがある。さらに当該基地局は、送信バッファ内のデータが期限切れになっていることを検出する場合があり、その場合には例えばバッファ制御装置の制御の下に送信バッファからその期限切れデータを削除することがある。この場合も前述と同様に、リソース割当は、バッファ占有量が評価されるとすぐに自動的に調整されることが可能である。
【0058】
1つの基地局から別の基地局への通信装置のハンドオーバの後に高速リソース割当を遂行するため、バッファ制御装置は好ましくは、送信バッファから別の基地局へ転送されたデータを削除した後に、当該基地局の負荷状況に関する情報の決定を開始するように構成されることがある。言い換えると、モバイル通信装置が1つの基地局から別の基地局へハンドオーバされるときはいつでも、当該基地局(=前記1つの基地局)の負荷状況は大きく変化し得ることがあり、送信バッファ内のデータが削除される結果がもたらされると想定されることがある。それゆえ、モバイル通信装置が、1つの基地局から別の基地局へ移行するのに応答して負荷状況を即刻再評価することは有利な場合がある。このようにして、通信装置を担当する新しい基地局へ十分なリソースを可能な限り速く割り当てることが可能である。
【0059】
したがって、送信バッファからその他の基地局へ転送されたデータを削除すると同時に、当該基地局のバッファ占有量に関する情報を含む負荷状況に関する情報は少なくとも1つの他の基地局へ転送される場合がある。さらに、当該基地局は上述したインタセクタ制御装置の任意の特性を有する場合がある。
【0060】
別の好ましい形態では、当該基地局は、別の基地局からある特定のモバイル通信装置へ送信されるデータを受信するための受信機と、その特定のモバイル通信装置へ送信されるデータを送信バッファに追加するバッファ制御装置とを備えている。バッファ制御装置は好ましくは、その他の基地局から送信バッファへ受信されたデータを追加した後に、当該基地局の負荷状況に関する情報の決定を開始するように構成されている。この場合も先と同様に、モバイル通信装置の基地局へのハンドオーバは、数個の基地局の負荷に強い影響を与える可能性があり、したがって、リソースの再割当をもたらすイベントと見なすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0061】
以下、本発明の実施の最良の形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。図1aに本発明の第1の実施形態によるインタセクタ・スケジューラ(inter-sector scheduler)のブロック図を示す。図1aのインタセクタ・スケジューラ全体は、符号100で指定される。本発明のインタセクタ・スケジューラは、第1の基地局から該第1の基地局の負荷状況に関する情報112を受信する受信機110を備えている。負荷状況に関する情報112は、第1の基地局の実際のバッファ占有量(actual buffer fullness)を含む。受信機110は更に、第2の基地局からこの第2の基地局の負荷状況に関する情報114を受信する。負荷状況に関する情報114は、第2の基地局の実際のバッファ占有量に関する情報を含む。受信機110は、第1の基地局の負荷状況に関する情報112と、第2の基地局の負荷状況に関する情報114とをリソース割当器(resource allocator)120に転送する。リソース割当器120は、割当規則に従って割当リソース(allocated resources)を決定し、少なくとも第1の基地局へその割当リソースに関する情報122を提供する。オプションとして、リソース割当器120は、第2の基地局へ割当リソースに関する情報124も提供する場合があるが、その場合、第1の基地局へ送られる割当リソースに関する情報122は一般的に、第2の基地局へ送られる割当リソースに関する情報124とは異なる。しかしながら、リソース割当器120は、第1の基地局および第2の基地局の両方に割当リソースに関する同一の情報を送る場合もある。その場合、両方の基地局へ送られる情報は、各々の基地局がそれぞれのリソース割当を引き出すことができる形式の両方の基地局へのリソース割当から形成される。
【0062】
上記構造説明に基づいて、本発明のインタセクタ・スケジューラの機能について以下詳しく説明する。本発明のインタセクタ・スケジューラは、モバイル通信ネットワークの一部であって、少なくとも第1の基地局および第2の基地局の中の一方の基地局を制御するために使用されると想定する。さらに、第1の基地局および第2の基地局は、同じ通信セルへ送信または同じ通信セルから受信するように構成されていると想定される。言い換えると、1つの通信セル内(または通信セルの少なくとも一部内)において、第1の基地局と第2の基地局によって放射された信号が受信可能である。さらに、第1の基地局は第1の送信リソースを使用し、第2の基地局は第2の送信リソースを使用することが想定される。それらの送信リソースは、例えば、サブキャリア、(複数のOFDMサブキャリアを含む)OFDMサブバンド、(多数のOFDMシンボルにわたるセットのサブキャリアを代表する)OFDMスロット、周波数間隔または時間スロットを含んでいる。さらに、第1の基地局および第2の基地局は両方とも、第1の基地局および第2の基地局の両方の基地局によってサービスされる通信セルへ送信されるデータを格納するためのそれぞれの送信バッファを有すると想定されることに言及しておきたい。また本発明において基地局はある特定の空間エリアにサービスするための手段であると想定されることを更に言及しておきたい。本願の意味合いにおいて基地局の送信バッファは、第1の基地局および第2の基地局の両方の基地局によってサービスされる少なくとも前記空間エリアへ送信するためのデータを格納するバッファである。言い換えると、本願全体を通して、“異なる基地局の送信バッファ”という表現は同じ空間エリアまたは同じ通信セルへ送信するための送信バッファを指す。
【0063】
したがって、第1の基地局の負荷状況に関する情報112と第2の基地局の負荷状況に関する情報114とは、第1の基地局および第2の基地局の両方が受信されることが可能な空間エリア(または空間領域)へ送信されるデータの総量に関する情報を運ぶ。本発明によれば、第1の基地局によって報告された実際のバッファ占有量および第2の基地局によって報告された実際のバッファ占有量は、リソースを第1の基地局と第2の基地局とへ割り当てるためにリソース割当器120によって有利に使用されることがあることを示すことができる。第1の基地局へ割り当てられるリソースは、割当規則を適用して、リソース割当器によって決定することができる。本発明によるリソース割当規則は、第1の基地局へ割り当てるリソースを決定するため、少なくとも第1の基地局の負荷状況に関する情報112および第2の基地局の負荷状況に関する情報114を評価する。実際のバッファ占有量は(第1および第2の)、基地局のトラフィック負荷と(第1および第2の)基地局からデータを送信するための優先順位とに関する、単一の数値の複合情報であるので、第1の基地局の実際のバッファ占有量と、第2の基地局の実際のバッファ占有量とに基づいてリソースを割り当てることが好ましい。
【0064】
リソース割当器120における割当規則は好ましくは、負荷が低い方の基地局と比べて負荷が高い方の基地局により多くのリソースが割り当てられる結果がもたらされるように構成されている。言い換えると、基地局の負荷が増大している場合、その他の(単一または複数の)基地局の負荷が一定のままであるかまたは減少さえしている条件の下に、より多くのリソースがそれぞれの基地局に割り当てられる。この論脈において、“高い方の負荷(higher load)”と“低い方の負荷(lower load)”は、ある基地局の絶対負荷(absolute load)を意味する場合だけなく、その他の基地局と比較したある特定の基地局の相対負荷(relative load)も意味する場合がある。
【0065】
本発明によれば、送信リソースは基地局へ公平な仕方で割り当てられる場合がある。この場合、大きな実際のバッファ占有量はある特定の時点において小さな実際のバッファ占有量を有する基地局より多くのリソースを取得することができる。バッファ占有量は、バースト的トラフィックに起因する短期の負荷ピークと平均トラフィック負荷との両方を示す良い基準であることが見出されている。例えば、第1の基地局の実際のバッファ占有量が、トラフィックピークによりまたは平均負荷の増大によって増大するときはいつでも、本発明のインタセクタ・スケジューラは、第2の基地局の負荷状況が一定のままであるという条件で、第1の基地局へより多くのリソースを割り当てることになる。従って、第1の基地局のバッファ占有量は一般的に、追加的に割り当てられたリソースにより、徐々に減少することになる。
【0066】
本発明のインタセクタ・スケジューラは、第1の基地局への割当リソースに関する情報122を提供することを更に言及しておきたい。オプションとして、本発明のインタセクタ・スケジューラ100は、第2の基地局への割当リソースに関する情報122も提供することができる。このとき、第1の基地局へ割り当てられるリソースと第2の基地局へ割り当てられるリソースは好ましくは、第1の基地局および第2の基地局が共有する通信セル(すなわち、第1の基地局および第2の基地局の両方の基地局がそれに送信する通信セル)において干渉しないような方法で、割当規則によって決定される。
【0067】
図1bに本発明の第2の実施形態による本発明のインタセクタ・スケジューラのブロック図を示す。図1bのインタセクタ・スケジューラ全体は、符号130で指定される。インタセクタ・スケジューラ130は、基地局sの送信バッファの実際のバッファ占有量に関する情報Dn[s]142を受信するように構成された受信機140を備えている。指数nは、ある特定の時点または時間間隔を指定し、指数sはある特定の基地局を指定することに言及しておきたい。受信機140は、他の基地局s'j(s'j≠s)からの情報Dn[s'j]144を更に受信する。その他の基地局s'jの実際のバッファ占有量に関する情報は、符号144で指定される。その他の基地局s'jの実際のバッファ占有量に関する情報144は、オプションであることにも言及しておきたい。さらに、受信機140は、全バッファ占有量Σkn[k]に関する情報146を受信する。ここで、全バッファ占有量Σkn[k]に関する情報146は、外部ユニットから受信することができる、あるいはオプションとして加算器148において基地局sの実際のバッファ占有量に関する情報142とその他の基地局s'jの実際のバッファ占有量に関する情報144とを総和することによって算出することができることに言及しておきたい。受信機は少なくとも、基地局sの実際のバッファ占有量に関する情報142と全バッファ占有量に関する情報146とをリソース割当器150へ提供する。受信機140はオプションとして、その他の基地局s'jの実際のバッファ占有量に関する情報144をリソース割当器150へ更に提供する場合もある。リソース割当器150は、入力値としてセット154のリソースユニット{Aii=1,・・・,Lの他に利用可能なリソースユニットの総数L152を更に受信する。ここで、リソースユニットの総数152とセット154のリソースユニットとは、共にリソース割当器内に記憶されることができるだけなく、外部からリソース割当器150へ提供されることもあることに言及しておきたい。また、リソースユニットの総数152は、量子化されたリソースユニットの数を記述し、これらのリソースユニットは、例えば、OFDMサブキャリア、OFDMサブバンド、OFDMスロット、周波数間隔、時間スロットおよび/または空間リソースであることが可能であることに更に言及しておきたい。言い換えると、リソースユニットの総数152は、どれだけ多くの区別可能なかつ/または別々に割当可能なリソースユニットが存在するかを記載している。
【0068】
リソース割当器150は、相対負荷計算器(relative load calculator)160と、リソース量計算器(resource quantity calculator)162と、リソースユニット・セレクタ(resource unit selector)164とを備えている。相対負荷計算器160は、基地局sの実際のバッファ占有量に関する情報142と全バッファ占有量に関する情報146とを受信する。相対負荷計算器160は次に、基地局sの実際のバッファ占有量に関する情報142と全バッファ占有量に関する情報146との間の比率を計算することによって相対負荷値166を計算する。相対負荷値166に基づいて、リソース量計算器162は、リソースユニットln[s]のそれぞれの量を計算する。割り当てられるリソースユニットの数は、符号168で指定され、リソースユニット・セレクタ164に供給される。リソースユニット・セレクタ164は、割り当てられるリソースユニットの数168を使用して基地局sのセット170のリソースユニットを選択する。基地局sのセット170のリソースユニットは{Ammln[s]でも指定される。基地局sのセット170のリソースユニットに関する情報は次に、基地局sに転送される。このとき、情報170の基地局sの転送にはオプションとしてそのための送信機が含まれる場合がある。
【0069】
基地局sのセット170のリソースユニットは、リソースユニット・セレクタ164によってセット154の利用可能なリソースユニットの部分集合として選択される。このとき基地局sのセット170のリソースユニットに含まれるリソースユニットの数は、割り当てられるリソースユニットの数168によって決まる。
【0070】
したがって、基地局sのセット170のリソースユニットの決定(または割当)は、3段階の手続である。第1の段階では相対負荷値166が実際のバッファ占有量に関する情報142と全バッファ占有量に関する情報146とから導き出される。第2の段階では、割り当てられるリソースユニットの数168が相対負荷値166から決定される。最後に、リソースユニット170は、リソースユニット・セレクタ164によって、割り当てられるリソースユニットの数168と利用可能なリソースユニットの全体集合154とに基づいて選択される。
【0071】
リソース割当器150は、オプションとして第2の負荷値計算器174においてその他の基地局s'jの相対負荷値172を計算することもあることにも言及しておきたい。その他の基地局の相対負荷値172は続いて、その他の基地局に割り当てられるリソースユニットの数178を計算するため、オプションの第2のリソース量計算器176に提供されることがある。その他の基地局に割り当てられるリソースユニットの数178は次に、リソースユニット・セレクタ164と第2のリソースユニット・セレクタ180との両方に提供されることがある。第2のリソースユニット・セレクタ180は好ましくは、割り当てられるリソースユニットに関する情報によって表される、その他の基地局s'jのリソースユニット182を選択するように構成されることがある。その他の基地局s'jへ割り当てられたリソースユニットに関する情報182は、その他の基地局s'jへ割り当てられたリソースユニットに関する情報182を送信するように構成されたオプションのリソースユニット送信機184に提供されることがある。
【0072】
第2の相対負荷計算器174は、相対負荷計算器160と類似のものであってよく、第2のリソース量計算器176は、リソース量計算器162と類似のものであってよいことに言及しておきたい。同じく、第2のリソースユニット・セレクタ180は、リソースユニット・セレクタ164と同等のものであってよいことにも言及しておく。
【0073】
リソースユニット・セレクタ164は、セット154の利用可能なリソースユニットから基地局sのセット170のリソースユニットを選択するために、基地局sへ割り当てられるリソースユニットの数168のほかに他の基地局s'jに割り当てられるリソースユニットの数178も両方使用する場合があることに更に言及しておきたい。
【0074】
リソース・セレクタ164におけるリソースユニットの斯かる選択の詳細については図5を参照して詳細に説明する。また、数式(1)、(2)および(3)は、基地局sおよび基地局s'jへ割り当てられるリソースユニットの数168、178の例示的な計算を記述する。
【0075】
リソース割当器150は、時間間隔nに応じて機能するとともに、リソース割当器は、時間同期の目的で他のリソース割当器と組み合わされることがあることに更に言及しておきたい。時間間隔nに応じて、リソース割当器は異なる割当規則を適用する場合がある。数式(2)および(3)を参照して後述するように、例えば、異なる割当規則は、丸め誤差を均等に分散させるように構成されることがある。
【0076】
さらに、リソース割当器150において記述された計算スキームは例示的なものであることに言及しておきたい。リソース割当を必ずしも3段階に分ける必要はない。これとは対照的に、相対負荷値166に基づいてリソースを直接割り当てることが可能である。このことは、リソースが離散的でなく連続的である(例えば、連続的に調整可能な周波数レンジまたは時間間隔である)場合に有利である。さらに、基地局sに対するセット170のリソースユニットのデータ転送容量は基地局sの相対負荷値166にほぼ比例するようにリソースユニットを選択することが好ましいことに留意すべきである。この目的のため、リソースユニットの転送容量は割り当てられたリソースユニットの数に比例することが仮定できる。しかしながら、一部のリソースユニットが他のリソースユニットよりも高いデータ転送容量を有することを示すために重み係数を導入することができる場合もある。
【0077】
さらに、リソース割当器150は好ましくは、基地局sがその他の基地局s'jと干渉しないように基地局sのリソースユニットを割り当てるように構成されていることに言及しておきたい。言い換えると、リソース割当器150(またはリソースユニット・セレクタ164)は、与えられた時点において、または与えられた時間間隔の間に、異なる基地局へ異なるリソースユニットを割り当てることが好ましい。言い換えると、セット154の利用可能なリソースユニットの中から1つのリソースが、与えられた時点において、または与えられた時間間隔の間に、好ましくは最大1つの基地局のみに割り当てられる。さらに、セット154の利用可能なリソースユニットの中のリソースユニットは好ましくは、セット154の利用可能なリソースユニットからの異なるリソースユニットが干渉を引き起こさないように選択される。例えば、セット154の利用可能なリソースユニットからの個々のリソースユニットは時間および/または周波数において直交する場合がある。セット154の利用可能なリソースユニットの中から利用可能なリソースユニットをこのように選択することにより、セット154の利用可能なリソースユニットからの任意の2つの異なるリソースユニットが干渉を引き起こさないことが保証できる。
【0078】
相対負荷計算器160と、リソース量計算器162と、リソースユニット・セレクタ164とは、リソース割当規則を実行することを更に言及しておきたい。
【0079】
本発明のインタセクタ・スケジューラ130は、実際のバッファ占有量情報142および全バッファ占有量情報146に基づいて送信リソースを少なくとも1つの基地局sに割り当てることが可能であるという利点をもたらす。このリソース割当方法は、モバイル通信システムの非常に優れた性能をもたらすリソース割当を結果的にもたらす。同じく、本発明のインタセクタ・スケジューラ130に送信されるデータ量および本発明のインタセクタ・スケジューラ130によって生成されるデータ量はかなり低い。
【0080】
さらに、本発明のインタセクタ・スケジューラ130の計算上の複雑さは低く、したがって、本発明のインタセクタ・スケジューラ130は、マイクロコントローラ・システムでも実施可能である。したがって、複雑なリソース割当システムの利用が避けられ、それによりコストが減り、信頼性が増すことになる。
【0081】
図2aに本発明の第3の実施形態による本発明の基地局のブロック図を示す。図2aの基地局全体は、符号200で指定される。送信バッファ210は、基地局200の中心コンポーネントである。送信バッファ210は、モバイル通信装置へ送信されるデータ212を受信する。さらに、送信バッファ210は、モバイル通信装置へ送信するためのデータ214を斯かるデータの送信がスケジュールされるとすぐに出力することができる。モバイル通信装置へ送信するデータ214は、送信バッファ210から送信信号処理ユニット216へ出力される。さらに、送信バッファ占有量決定器220は、送信バッファ210と連動するとともに、送信バッファ占有量決定器220は、送信バッファ210のバッファ占有量を決定するように構成されている。送信バッファ占有量決定器220は、送信バッファ210の実際のバッファ占有量に関する情報222を出力することができる。送信バッファ210の実際のバッファ占有量に関する情報222は、送信バッファ占有量決定器220によってリソース割当器224へ出力される。送信バッファ210の実際のバッファ占有量に関する情報222は、送信バッファ占有量センダ223を使用して少なくとも1つの他の基地局にも送信することができる。リソース割当器224は更に、受信機228を通じて他の基地局からそれらの他の基地局の負荷状況に関する情報226を受信する。リソース割当器224は、送信バッファ212の実際のバッファ占有量に関する情報222とその他の基地局の負荷状況に関する情報226とに基づいて、送信信号処理ユニット216に割り当てられるリソースを決定する。割当規則を使って、リソース割当器224は、送信信号処理ユニット216に割り当てられるリソースに関する情報230を決定し、送信信号処理ユニット216に割り当てられるリソースに関する情報230を送信処理信号ユニット216へ転送する。
【0082】
送信バッファ210は、更に受信機240と連動するようになっている。受信機240は、送信バッファ210に挿入されるデータ242を受信し、受信したデータ244を送信バッファ210へ転送するように構成されている。送信バッファ210は更に、バッファデータセンダ(buffer data sender)250と連動し、バッファデータセンダ250は、送信バッファ210へ転送データ信号252を発行し、別の基地局へ送られるデータ254を送信バッファ210から受信するように構成されている。さらに、バッファデータセンダ250は、送信バッファ210から受信したデータ254を別の基地局へ送信データ256として送信することができる。
【0083】
基地局200は、バッファ制御装置260を更に備えている。バッファ制御装置260は、別の基地局からデータを受信する受信機240と、バッファデータセンダ250と、送信バッファ210と、バッファ占有量決定器220とに結合されている。
【0084】
バッファ制御装置260は、基地局200から別の基地局へ、または別の基地局から基地局200へ、モバイル通信装置をハンドオーバするために特に重要である。モバイル通信装置が別の基地局から議論対象の基地局200へハンドオーバされるとき、受信機240は、送信バッファ210へ挿入されるデータ244をその別の基地局から受信し、受信したデータ244を送信バッファ210へ転送する。さらに、受信機240は、受信データ244が送信バッファ210に挿入されるべきことを、バッファ制御装置260および/または送信バッファ210に通知する。さらに、バッファ制御装置260は好ましくは、受信データ244が送信バッファ210に挿入された後に、送信バッファ210の実際のバッファ占有量が決定し直されるべきことを送信バッファ占有量決定器220へ伝達する。この仕組みにより、モバイル通信装置が現下の(いま注目している)基地局200へハンドオーバされたらすぐに送信バッファのバッファ占有量に関する情報222を更新することが可能となる。送信バッファの実際のバッファ占有量に関する更新された情報222に基づいて、リソース割当器224は、現下の基地局200へ割り当てられるリソースに関する情報230を再計算することができる。したがって、送信信号処理ユニット216は、現下の基地局200へ割り当てられたリソースに関する更新情報230に基づいて、ハンドオーバされたモバイル通信装置に対してリソースの割当を交渉することができる。
【0085】
この手続に従えば、モバイル通信装置が現下の基地局200へハンドオーバされるとすぐにリソース割当は自動的に更新可能である。しかしながら、リソース割当は、基地局200と接続したモバイル通信装置の数ではなく、送信バッファ210の実際のバッファ占有量に基づいている。言い換えると、ハンドオーバされたモバイル通信装置へ送信されるデータが現下の基地局200の送信バッファ210に追加される場合には、モバイル通信装置を別の基地局から現下の基地局200へハンドオーバすることはリソース割当に影響を与えるだけである。このようにして、現下の基地局200に接続されたモバイル通信装置の実際のリソース要件に依存したリソース割当が実現可能である。データ送信量が高いモバイル通信装置が現下の基地局へハンドオーバされた場合には、現下の基地局200に対するリソース割当はおそらく増大する一方、ハンドオーバされるモバイル通信装置へ送信されるデータが一切存在しない場合(または比較小さなデータ量のみが存在する場合)には、リソース割当は不変のままである。
【0086】
モバイル通信装置が現下の基地局200から別の基地局へハンドオーバされると、同様の手続が起こる。この場合、バッファ制御装置260またはバッファデータセンダ250には、それぞれのモバイル通信装置が別の基地局へハンドオーバされる予定となっていることが通知される。この場合、バッファデータセンダ250は送信バッファ210に対し、別の基地局へハンドオーバされる特定のモバイル通信装置に関係するデータが送信バッファ210から取り出されなければならないことを通知することがある。したがって、バッファデータセンダ250は、送信バッファ210からその別の基地局へ送られるデータ254を受信する。送信バッファ210から受信したデータ254を送信データ256として送信すると同時に、バッファデータセンダ250はバッファ制御装置260に対し、その別の基地局へのデータ256の転送が完了したことを報告する。この通知にリプライして、バッファ制御装置260は送信バッファ210に対し、その別の基地局へハンドオーバされたモバイル通信装置、すなわち、その送信データがデータバッファセンダ250によってその別の基地局へ送られたモバイル通信装置のデータの削除を指示する。送信バッファ210からそれぞれのデータを削除すると同時に、バッファ制御装置260は送信バッファ占有量決定器220へ送信バッファ210の実際のバッファ占有量に関する情報222を更新するリクエストを送信する。送信バッファの実際のバッファ占有量に関する情報222が更新されるとすぐに、リソース割当器224は、現下の基地局200へ割り当てられるリソースに関する更新情報230を決定することができ、送信信号処理ユニット216は、利用可能なリソースを現下の基地局200とまだ繋がっているモバイル通信装置へ再分配する(すなわち、接続されているモバイル通信装置との通信へリソースを分配する)ことができる。
【0087】
上記手続によって、モバイル通信装置が現下の基地局200から別の基地局へハンドオーバされるとすぐに動的リソース割当を行うことができるようになる。この場合も先と同様に、リソース割当は送信バッファ210の実際のバッファ占有量に関する情報222に基づく。こうして、比較的シンプルなリソース効率の高い仕組みを使用して、需要志向(demand-oriented)のリソース割当が実現可能となる。
【0088】
バッファ制御装置260は、バッファデータセンダ250および受信機240が送信バッファ210と直接通信することができるという条件で省略することが可能であることに言及しておきたい。同じく、送信バッファ210は、系統立てられたバッファ制御装置260が必要でなくなるよう制御回路を含む場合がある。同じく、バッファデータセンダ250および受信機240は、送信バッファ占有量決定器220と直接通信する場合がある。
【0089】
さらに、リソース割当器224は、基地局の外部に配置可能であり、このとき送信バッファの実際のバッファ占有量に関する情報222および現下の基地局200に割り当てられるリソースに関する情報230は、現下の基地局200と外部のリソース割当器224との間で交換される必要がある。言い換えると、基地局200のコンポーネントは空間的に分散することができる。
【0090】
さらに、基地局200は、数個の基地局同士の相互干渉を避けるために他の基地局と時間および/または周波数同期することができる。同期は好ましくは、基地局200に同期情報受信機および/または同期情報送信機を組み入れることによって実現される場合があり、この場合、同期受信機および/または同期送信機は好ましくは、時間同期情報を交換するために使用される場合がある。さらに、数個の基地局同士の間でキャリア周波数および/またはOFDMサブキャリア周波数を同期させるように構成された周波数同期回路も基地局200に含まれる場合がある。例えば、基地局は、時間同期マークを含む基準クロック信号を配信(受信および/または送信)する回路を備える場合もある。
【0091】
さらに、同期目的から、送信バッファの実際のバッファ占有量に関する情報222を定期的におよび/または与えられた時点において決定することが必要な場合がある。したがって、送信バッファ占有量決定器220は、モバイル通信装置を別の基地局から現下の基地局200へ、または現下の基地局200から別の基地局へハンドオーバした直後にではなく、斯かるハンドオーバ後の次の許された時点において、送信バッファの実際のバッファ占有量に関する情報222を決定するように構成されていることがある。言い換えると、リソース割当に必要な情報が他の基地局の間で交換されるある予定時点(または一連の予定時点)が存在する。このため、送信バッファ占有量決定器220は、ハンドオーバが起こった後の次の予定時点に実際の送信バッファ占有量に関する情報222を計算するように指示されることがある。
【0092】
図2bに本発明の基地局を含むモバイル通信ネットワークの動作の流れ図を示す。モバイル通信装置は、図示された流れ図を実行する以前は基地局BS2と繋がっていなかったと仮定する。図2bの流れ図全体は、符号280で指定されていることに留意されたい。第1のステップ282において、モバイル通信装置は基地局BS2を特定(locate)する。このステップにおいて、モバイル通信装置は、基地局BS2は最適な通信接続を確立することができる基地局であると判定する。この評価(assessment)は、モバイル通信装置が基地局BS2を受信することができる信号強度、またはチャネル推定に基づく場合がある。しかしながら、他の基準も基地局BS2を好ましい基地局として特定することに影響を与える場合がある。
【0093】
第2のステップ284において、モバイル通信装置は、特定された基地局BS2に接続する。第2のステップ282では、モバイル通信装置と基地局BS2との間で識別(ID)情報が交換され、かつ/またはチャネル推定が決定されることがある。モバイル通信装置と特定された基地局BS2との間の通信接続の結果、第3のステップ286において、特定された基地局BS2は、モバイル通信装置へ送信するためのデータを取得する。第3のステップ286において、特定された基地局BS2は、現下のモバイル通信ネットワークのネットワークノードに対し、特定のモバイル通信装置が基地局BS2に接続したことを通知する。この後、ネットワークノードは、モバイル通信装置が以前に接続された基地局へこの情報を転送する場合があり、そしてモバイル通信装置は、以前に接続された基地局が送信バッファに格納されたそれぞれのモバイル通信装置のコンテンツを、現下の基地局BS2へ転送する場合がある。同じく、モバイル通信装置へ送信される新しいデータがモバイル通信ネットワークによって基地局BS2へ送られる場合がある。したがって、第4のステップ288において現下の基地局BS2のバッファ占有量は増大する。結果として、現下の基地局BS2はその新しい実際のバッファ占有量に関する情報を他の基地局BS1およびBS3に通知する。同じく、その他の基地局BS1およびBS3は、第5のステップ290においてそれらのそれぞれの送信バッファの実際のバッファ占有量に関する情報を現下の基地局BS2へ通知する場合がある。
【0094】
第6のステップ292において、全ての含まれた基地局BS1,BS2,BS3(これは好ましくは同一のモバイル通信セルにサービスする)は、第5のステップ290で転送された実際のバッファ占有量に関する情報に基づいてリソース割当を決定する。
【0095】
第7のステップ294において、関連する基地局BS1,BS2,BS3は、ステップ292において決定されたリソース割当を使用してデータをそれぞれの基地局に接続されたモバイル通信装置へ送信する。言い換えると、リソース割当は、基地局の実際のバッファ占有量に基づいて実行される。
【0096】
しかしながら、リソース割当は、中央集中的な方法で実行される場合がある。例えば、関連する基地局BS1,BS2,BS3は、実際のバッファ占有量に関するそれぞれの情報を中央リソース割当器(centralized resource allocator)に通知する場合がある。中央リソース割当器は次に、関連する基地局BS1,BS2,BS3のリソース割当を決定することがあるとともに、好ましくはリソース割当に関する情報を基地局BS1,BS2,BS3へ送信することがある。中央リソース割当器は更に好ましくは、関連する基地局BS1,BS2,BS3が干渉し合わないようにリソースを割り当てる。例えば、中央リソース割当器は、異なる基地局へ直交リソース(例えば、直交OFDMキャリア、直交OFDMサブバンド、直交OFDMスロット、直交周波数スロットおよび/または直交時間スロット)を割り当てることがある。
【0097】
さらに、基地局は、イントラセクタ割当(intra-sector allocation)と見なすことができるリソース割当を第2のステップとして実行することがある。第1のステップではリソースは、異なる基地局同士の間で割り当てられたが、リソース割当の第2のステップでは、特定の基地局に割り当てられたリソースがこの特定の基地局に接続された個々のモバイル通信装置へ割り当てられることがある。特定の基地局に接続された個々のモバイル通信装置へのこのリソース割当は、個々の基地局へ送られるデータ量を検討する場合があり、その結果、より少ないデータが送信されることになっているモバイル通信装置に対してより多くのデータが送信されることになっている個々のモバイル通信装置に、より多くのリソースを割り当てるようになっている。さらに、特定の基地局とこの特定の基地局に接続されたモバイル通信装置との間のチャネルの特性が、この第2のリソース割当ステップにおいて考慮されることがある。
【0098】
以下、本発明のリソース・スケジューリングのコンセプトについて概説する。
【0099】
本発明は、マルチユーザ(複数ユーザ)スケジューリング・アルゴリズムをセルラ環境に適用する適応伝送の拡張を生み出す。ここで、1セル当たり120°セクタアンテナを備えた3つの基地局と、これら3つの基地局の間で実行されるインタセクタ・スケジューリング(インタセクタ・スケジューリング・グループ)とを仮定する。インタセクタおよびイントラセクタ・スケジューリングは、独立に実行される2つの別々のステップに分割される。1つのセクタの基地局(以下、“BS”と表記される)同士の間の短期チャネル知識(short term channel knowledge)の交換は、実際には実現することが難しい場合があるので、インタセクタ・スケジューリングは、短期間のチャネル知識には頼らない。インタセクタ・スケジューリングに対しては、本発明は、バッファリングされたデータの総量だけが各グループの基地局同士の間で交換される必要があるような複雑さの低い分散型アルゴリズムを提案している。イントラセクタ・スケジューリングに対しては、適応伝送に適した任意のスケジューリング・アルゴリズム、例えば、SINRが最も高いユーザがスロットを勝ち取る最大SINRスケジューリングまたはPRF(proportional fair)スケジューリング、が採用されることがある。
【0100】
本発明のインタセクタ・スケジューリング・アルゴリズムの基礎を成すアイデアは干渉し合うセクタ(例えば、同じ領域内において少なくとも所定の信号強度で受信することができる基地局)をグループ分けし、このグループの中でインタセクタ・スケジューリングを実行することにある。インタセクタ・スケジューラは、バッファリングされたデータ総量(接続されたユーザのパケット・待ち行列(packet-queue)の長さの総和)に比例するように周波数スロットをセクタへ(例えば、同じ領域内で受信可能な基地局へ)分配する。その結果、周波数ドメインにおける直交性が干渉し合うセクタのグループ内において得られる。周波数スロットが分配されたらすぐに、日和見性(opportunistic)のスケジューリングが各基地局において個別に適用される。すなわち、斯かるスケジューリングは、イントラセクタ・スケジューリングに先立ってインタセクタ・スケジューリング(スペクトル割当)が実行される2段階プロセスである。イントラセクタ・スケジューラでは異なる日和見性のアルゴリズムが使用されることが可能であり、提示されるシミュレーション結果では、PFRアルゴリズムが一例として選択される。
【0101】
本発明のインタセクタ・スケジューラは、リソースが基地局BSへそれらのトラフィック負荷に比例して割り当てられるという点で、動的リソース割当スキームと見なすことができる。インタセル・スケジューラの適切なリソース割当によって、インタセクタ(セル間)干渉が緩和される。最も一般的な方法として、リソースは、周波数と、時間と、空間とにおいて分配される場合がある。周波数におけるリソース割当が検討される場合、インタセクタ・スケジューラは、動的周波数再利用スキームになる。ある特定の基地局(以下において‘BS’と表記される)に全体の利用可能な周波数リソースの中から固定されたサブバンドが割り当てられる静的な周波数再利用スキームとは異なり、サブバンドはある特定のBSのトラフィック負荷に比例して割り当てられる。OFDMサブバンドを使用して、データ転送容量はサブキャリアを割り当てることによってフレキシブルに割り当てることも可能である。トラフィック負荷の尺度として、本発明はBS(すなわちセクタ)ごとのバッファリングされたデータの総量を使用している。
【0102】
本発明のコンセプトは、以下の節において説明されるように従来の解決法と比較して多数の利点をもたらす。
【0103】
利用可能な帯域幅を帯域幅が累積バッファサイズに比例するサブバンドに分割することによって、空スロットの発生が、複雑さを大きく増すことなく軽減される。結果として、BSが一時的に送信すべきデータを全く持たない場合には、リソースは隣のBSへ移されるので、システムは利用可能なリソースをより有効に利用し、統計的な多重利得(statistical multiplexing gain)が与えられる。このため、提案された2段階スケジューラは、固定された周波数再利用スキームに関して利用可能な帯域幅のより効率的な利用を実現する。
【0104】
提案されたインタセクタ・スケジューラは、長期変動(BSごとに異なる数のアクティブユーザ)だけでなく短期変動(パケット交換サービス)に対しても有効であることに留意することは重要である。後者の場合、アクティブユーザの数は、BSごとの全バッファサイズにも反映される。1つのセクタの全てのユーザが1つのBSに接続されることがある最も極端なケースでは、全ての他のBSは、空のバッファを有するので、全てのリソースは、その1つのBSへ移される。このことは、静的な周波数再利用スキームと比較して、セクタ当たりの容量が結果として3倍に増加することを意味する。代替の解決法は、一部のユーザを隣のBSへ移すことである。しかしこれは、ユーザはもはやSINRが最も高い基地局に接続していないので、セクタ容量が低下する結果をもたらすことにもなる。それ故、バッファサイズの選択は、ある特定のBSの必要な帯域幅に対する適切な指標であることが見出される。
【0105】
他方、インタセクタおよびイントラセクタ・スケジューリングを同時に実行することは、パフォーマンスの観点から優れている。しかしながら、斯かる同時スケジューラは、基本的に、短期チャネル知識の交換を必要とし、場合によっては中央制御装置(例えば第3世代(3G)システムにおけるRNC(radio network controller))を必要とする。短期間のチャネル知識の交換は遅延に敏感で、それ故に例えば全てのIPネットワークによって実現することは難しい。提案された2段階アルゴリムにおいて、短期チャネル知識はBSの間で一切交換されない。さらに、無線ネットワークの配備コストは、本発明の解決法を使用すれば、中央制御装置の負担が軽減され、大きく減少する可能性がある。
【0106】
以下において、本発明を更に詳細に説明する。
【0107】
最初に、時間周波数スロット化した符号化OFDM(time and frequency-slotted coded OFDM)の概念について説明する。
このリポートにおいて想定されるシステムのダウンリンク(downlink)は、サブキャリアが256個でメインキャリア周波数が2GHzの5MHzOFDM変復調装置(OFDMモデム)に基づいている。結果として生じるサブキャリア間隔は、約19.5kHzであり、5.2μsの巡回プレフィックス(cyclic prefix)を含めて、全OFDMシンボル時間は、56.4μsである。スケジューリング・スロットは、図1に示したようにN=16個の連続したOFDMシンボルに対してM=16個の近隣サブキャリアをグループ分けすることによって形成されている。したがって、1つのスケジューリング・スロットは、312.5kHz×0.902msに等しく、MN=256個の変調シンボルを含んでいる。
【0108】
図3aに本発明の第4の実施形態による本発明のリソース・スケジューラのブロック図を示す。図3bに更に本発明の第4の実施形態による本発明のリソース・スケジューラによってスケジュールされたOFDMスロットのグラフ表現を示す。図3aの本発明のリソース・スケジューラおよび図3bのOFDMスロットは、時間周波数スロット化したOFDMのリソース・スケジューリングを表している。基地局にあるスケジューラは、スロットをユーザに対して、それらのダウンリンク・チャネル品質と、送信履歴と、現在のバッファ状況とに基づいて割り当てる。
【0109】
物理層の再送単位(retransmission entity)は、リンク・パケット(link-packet)と呼ばれる。各リンク・パケットに対して、184ビット(23バイト)が、8ビットのメモリを使用した符号化率3/4のパンクチャード符号によって、畳み込み符号化され(非特許文献7)、更に、サイズ16×16のブロック・インタリーバ(block interleaver)によってインタリーブされる。符号器をそのゼロ状態に強制的に戻すため、8個のテール・ゼロ(tail zero)が加えられ、結果として生じるリンク・パケットは、256符号化ビットに等しい。すなわち、リンク・パケットのサイズは、スケジューリング・スロットのサイズに一致する。
【0110】
移動性の低いユーザおよび一般的な無線チャネルに対しては、コヒーレンス時間およびコヒーレンス帯域幅は通常、スロットサイズを超える。ここで、1スロット内の全てのシンボルに対して同じ変調方式を仮定する。このアイデアは、非特許文献3および非特許文献8に既に提案されている。1シンボルごとにμ=0、1,2、・・・、8ビットの変調選択肢を使えば、1スロットごとにμリンク・パケットをサポートするシステムを手にする可能である。リンク・パケットはサイズが一定なので、再送はμ>0ならどのスロットでもスケジュールできる。つまり、センダは同じ好ましい変調のスケジューリング・スロットが再送を発するのを待ち受ける必要はない。このことは、可変サイズのリンク・パケットが想定されており1スロットごとに1つのリンク・パケットが送信される非特許文献3および非特許文献8のスキームとは対照的である。
【0111】
しかしながら、SINRに小さな違いが同じスロットのシンボルの間に存在する。したがって、使用する変調方式を選ぶときにはスロット内の最も悪いSINRを使用する。このため、SINRマージンが暗に想定される。各スロットの最も悪いSINRの予測に基づいて、モバイル端末は以下の表に示された所定の選択肢から選んで使用する好ましい変調方式を折り返し通知する。
【0112】
【表1】

【0113】
上記表(表1)はAWGN(加法性白色ガウス雑音)チャネルにおけるリンク・パケット誤り率(PERlink)が、PERlink≦10-2のルックアップテーブルを構成している。言い換えると、上記ルックアップテーブルは、与えられた信号対ノイズ比Es/N0に対してどの変調をすべきかを規定している。
【0114】
上記表(表1)の閾値は、AWGNチャネルにおけるリンク・パケット誤り率のコンピュータ・シミュレーションから得られる。
【0115】
図4にAWGNチャネルにおける異なる変調タイプのリンク・パケット誤り率のグラフ表現を示す。図4は、AWGNチャネルにおけるBPSK、QPSK、・・・、256−QAMに対するリンク・パケット誤り率(PERlink)を示している(変調タイプは表1に示したものと同じである)。シミュレーション結果は、Max−log−MAP復調と軟判定ビタビ復号(soft decision Viterbi-decoding)を利用する完全に時間周波数同期した受信機を想定している。
【0116】
図4に示した結果から、10-2未満のリンク・パケット誤り率を与えるスペクトル的に最も効率の高い変調を選択する。誤りを含むリンク・パケットの再送に対しては、8ビットのシーケンス番号によるSR型(selective repeat)ARQ(非特許文献9のp.285−289と非特許文献10のp.223−228を参照)を使用する。シーケンス番号に関連するオーバヘッドは更なる注意が必要であることに言及しておきたい。
【0117】
以下において、本発明のインタセクタ・スケジューリングを詳細に説明する。
【0118】
セル方式システムに対して、各セルに3つのコーナーポジションにある基地局が120°セクタアンテナを使って照射していることを想定する。これら3つのセクタは、一緒になって時間同期型インタセクタ・スケジューリング・グループを形成する。本発明のインタセクタ・スケジューラは、リソース(時間周波数スロット)をこのグループ内のセクタに分配し、ある与えられた時間周波数スロットに対しては1つの基地局のみが送信することを保証することによって、相互の干渉が避けられる。
【0119】
要約すると、本発明は、インタセクタ・スケジューラに対し、基地局においてバッファリングされたデータ量に比例してスロットを分配するよう仕込む。遅延に敏感なサービスに対してこのアプローチを使用する論理的根拠は、パケット遅延のデッドラインを遵守するために、バッファが増大するほどより多くリソース(時間周波数スロット)を必要とするということにある。既に概説したように、このことは、異なる平均データレートまたはアクティブユーザの異なる数といった長期変動に対してだけでなく、パケットの変動するインターアライバル時間(Interarrival Time)といった短期変動に対しても当てはまる。
【0120】
インタセクタ・スケジューリングが完了した後、イントラセクタ・スケジューラは、例えばProportional FairまたはExponential Ruleアルゴリムを使ってスロットをアクティブユーザに割り当てる。
【0121】
一般に、ここでは、1セルごとにL個の周波数スロットとS個のセクタを有するシステムを議論する。またDn[s]を時間nにおけるセクタs内のユーザのバッファリングされたリンク・パケットの総数とする。Dn[s]は、インタセクタ・スケジューリング・グループの全ての基地局で利用可能とされることを仮定する。
【0122】
各分散型インタセクタ・スケジューラは、次に各セクタにスロット数を計算する。
【数1】

上式において‘%’は法(modulo)演算子を表し、fn[s]とgn[s]は次式で定義される。
【数2】

【数3】

【0123】
n[s]が計算された後、インタセクタ・スケジューラはセクタsにおいてどのスロットを使用すべきかを決定しなければならない。この点で、複数の選択肢が存在することは明らかであり、我々は図5に示すようにラウンド・ロビン(Round Robin)法でスロットを割り当てる。
【0124】
図5にスロットをセクタに割り当てるための本発明のラウンド・ロビン法のブロック図を示す。ラウンド・ロビン法は、スロットを数1式で計算されたln[s]に従ってセクタに割り当てる。必要とされる初期条件は、m=0、s=0、および全てのsに対してkn[s]=0である。
【0125】
この議論の最後に、スロットは、同じBSに付随する連続する(順々に続く)スロットが平均してS個のスロットの間隔を置いてブロック単位で(blockwise)インターリーブされる。このスロット割当は、全帯域の周波数ダイバーシチが利用されるという利点を有する。他方、連続するチャンクのスロットをBS達に割り当てることは、BS同士の間の同期オフセットに関してよりローバスト(robust)である。
【0126】
以下、イントラセクタ・スケジューリングをより詳しく説明する。
【0127】
全てのL個のスロットのチャネル状態は好ましくは、ある与えられたセクタ内の全てのユーザにとって利用可能であるので、時間nにおける全ての周波数スロットに対する全てのユーザを同時に考慮する“ベクター(vector)”スケジューラが導入可能である。しかしながら、本発明において、スロットの間で独立にしかも周波数に関して逐次(順次)に決定を形成する“スカラー(scalar)”アルゴリズムで処理する。すなわち、スケジューラは、最初にユーザをスロットm=0へ割り当て、次にスロットm=1へ・・・と言った具合である。
【0128】
逐次アプローチを前提とすれば、時間・周波数インデックスを落として代わりに連番インデックスによって以下のようにスロットを特定する。
【数4】

【0129】
[数4]の式において、全てのL個のスロットは利用可能であると仮定される。当然ながら、インタセクタ・スケジューリングが使用されるときには、各セクタに割り当てられたスロットのみが含まれなければならない。
【0130】
表1(AWGNチャネルにおけるリンク・パケット誤り率がPER≦10-2のルックアップテーブル)を使用して、k番目のモバイル端末は、q番目のスロットの予測されたダウンリンク・チャネル品質をμ∧k[q]として折り返し通知する。
【0131】
イントラセクタ・スケジューラに対しては、PFR(proportional fair)が実施される。別の適当なイントラセクタ・スケジューラとしては指数ルール(exponential rule)スケジューラ[11]がある。ユーザkに対してスケジュールされたq番目のスロットをk∧[q]と表記すると、PRFスケジューラは次式に基づいてその決定を形成する。
【数5】

上式においてμ~k[q]はユーザkの平均レートのことで、これは移動平均操作(moving average operation)によって得られる。さらに、Ωk[q]は送信すべきデータを有するユーザの集合を表す。
【0132】
以下、システム性能の評価について説明する。
ここで、コンピュータ・シミュレーションを使用して、図7に示すような9個のセルが存在するセルラ環境におけるイントラセクタおよびインタセクタ・スケジューリングの提案された組み合わせの性能を評価する。
【0133】
図7にシミュレーションのためのモバイル通信セル内にランダムに分布したユーザ分布のグラフ表現を示す。言い換えると、図7は、シミュレータ・スナップショットである。ユーザは、各セル内にランダムに、しかもエリアユニットごとに均一に分布している。さらに、ユーザは、最も高いSINRをもたらす基地局に接続される。実線、破線、および点線は、それぞれセクタIDがs=0、s=1、s=2のアンテナパタンを示すために使用されている。
【0134】
サービスエリアの外側の部分に位置するセルの境界効果を避けるために、全てのセルが各方向に隣接するセルを持つラップアラウンド(wraparound)環境が想定される。
【0135】
ここで、通信セルは図7において六角形の蜂の巣のように描かれていることに留意する。図7では、基地局(例えば基地局710,712,714)(または送信機/受信機)は、六角形セル、例えばセル720のコーナー(角)に配置されている。各基地局は、複数のモバイル装置とのリンクを確立する。図中、そのリンクは基地局を発するラインで示されている。各々の基地局は、約120°のセクタにサービスする。図7に示すように、各セル(例えばセル720)は、3つの基地局(例えば基地局710,712,714)によってサービスされる。
【0136】
言い換えると、セクタは、基地局によってサービスされる空間領域である。さらに、セルは、複数の重なり合うセクタから成るように、2つ以上の基地局によってサービスされることがある。
【0137】
基地局は、好ましくはセルの辺または境界に位置するが、基地局は、セル内部にも配置されることがある。さらに、セクタおよびセルの幾何学的形状は変わる場合があることに言及しておきたい。同じく、セルにサービスする基地局の数も変化することがある。
【0138】
さらに、基地局は、セットの利用可能な全送信/受信リソースからのリソースを利用することができる。全体の利用可能な送信/受信リソースは、例えば周波数リソース(例えば周波数レンジ)、時間リソース(例えば時間スロット)またはコード・リソース(例えばCDMAコード)から含んでいてもよい。
【0139】
図6に理想的なアンテナパタンのグラフ表現を示す。このアンテナパタンは、基地局に想定されるように25dBの前後の電界比を有している。
【0140】
言い換えると、図6に示すような前後電界比が25dBの理想的な120°アンテナ(セルごとにS=3個のセクタ)が基地局に使用される。モバイル通信端末には全方向性アンテナが想定される。
【0141】
ダウンリンク無線チャネルは電力遅延プロファイルが“車両基準環境A(Vehicular Reference Environment A)”に準拠する周波数選択性レイリーフェーディング(frequency-selective Rayleigh-fading)としてモデリングされる。タップ相関(tap correlation)に対してはクラークのドップラ・スペクトル(Clarke's Doppler spectrum)が想定される。距離に依存する経路損失指数はα=−4,σs=5dBのログノーマルシャドウイング(log-normal shadowing)も想定される。ここでは、移動性が低いシナリオに集中し、さらに全てのユーザがν=1m/sで移動すると仮定する。
【0142】
ここで、データ・トラフィックの2つの異なるシナリオを調べる。シナリオIにおいて、パケットは、ポアソン過程により基地局に到達する。つまり、パケットのインターアライバル時間(到着時間間隔)は、平均値がT~pで指数分布していると仮定される。このシナリオは、例えばストリーミング・ビデオといったデータレートが比較的一定の用途に対応し、‘ポアソン・データ・トラフィック(Poisson data traffic)’と略称される。
【0143】
しかしながら、ウェブ閲覧といった多くの用途は、その合間のアイドル期間が比較的長いデータバーストを生み出す。シナリオIIでは、しがたって、パケット・インターアライバル時間は、過程がバースト状態にあるのかアイドル状態にあるのかによって平均値が異なった(T~bまたはT~i)指数分布していることを仮定する。すなわち、パケットバースト間の時間は平均値T~iの指数部分布しているとモデリングされ、バースト内におけるパケット間時間は平均値T~b(ただしT~b<<T~i)で指数分布しているとモデリングされる。両方のシナリオに対して、1495バイト(65リンクパケット)で一定のパケットサイズを仮定し、簡単のため、ここでは、50パケットで一定のバーストサイズも仮定する。
【0144】
以下の表(表2)に、データ・トラフィックに使用されるパラメータをまとめておく。
【0145】
【表2】

【0146】
ここで、シナリオIとシナリオIIにおいてそれぞれ各セルにエリアユニットごとに一様に分布した20ユーザと100ユーザを想定する。このとき、全てのユーザがシステムに受け入れられた場合、1セル当たりの平均負荷は両方のシナリオにおいて4Mbit/sに等しい。しかしながら、通信遮断ポリシー(outage policy)がシミュレーションに含まれる場合には(以下参照)、実際の負荷はそれより若干低くなる。
【0147】
干渉し合う基地局に対して、我々は距離に依存する経路損失とシャドウイングを含めるが周波数選択性レイリーフェーディングは排除する。全ての基地局が、単一ユーザシナリオ(ゼロ干渉)において、セル中央で期待されたEb/N0の値(15dB)を結果としてもたらす伝送パワーを使用することを仮定する。この場合の期待値は、ログノーマルシャドウイング(log-normal shadowing)とレイリーフェーディング(Rayleigh-fading)との双方にわたるものである。
【0148】
関心のある信号の高速フェーディングは、移動性の低いユーザに対して正確に予測できる過程である(非特許文献2)。他方でインタセル干渉パワーは、干渉し合う各基地局の伝送活量に依存し、モバイル端末において短期の値を予測することは事実上不可能である。それ故、モバイル端末は、信号エネルギーの予測値を使用することができるが、予測されたSINRを形成するときには干渉および雑音電力(interference-plus-noise powers)の測定(値)に頼らなければならない。より正確には、シミュレーションにおいて、SINRの予測値を、時間n−1における干渉およびノイズの電力スペクトル密度(完全に既知)と時間n+2における信号エネルギー(完全に既知)との間の比率として形成する。
【0149】
簡単にするため、ここで、全ての基地局が時間同期されることを仮定する。しかし、この仮定は、各インタセクタ・スケジューリング・グループ内にのみ現実に必要とされる。さらに、伝搬遅延時間はサービスエリア内で無視可能であると仮定され、インタセル干渉(inter-cell interference)を各スロットのAWGNパワーの個別的であるが一定の増加としてモデリングする。したがって、干渉し合う基地局における伝送活量に依存して、異なるスロットは、シミュレーションにおいて異なるAWGNパワーを有することになる。
【0150】
シミュレータは、シナリオIおよびIIに対してそれぞれ継続時間が20sおよび100sのスナップショット(snapshot)の性能を評価する。提示された結果は、シナリオIおよびIIに対してそれぞれ100個および20個の独立に生成されたスナップショットにわたる平均値である。ここで、各スナップショットごとに以下のことを仮定する。
・ユーザは各セル内においてランダムにしかもエリアユニットごとに一様に分布する。
・ユーザのポジションは固定されるがレイリーフェーディングはなお更新される。
・各基地局から各モバイル端末へのログノーマルシャドウイング(log-normal shadowing)は独立に生成され、かつ、スナップショットの間は一定に保たれる。
・パケットデータシーケンスは異なるユーザに対して独立に生成される。
・周波数選択性レイリーフェーディング(frequency-selective Rayleigh-fading)は異なるユーザに対して独立に生成される。
・AWGNは異なるユーザに対して独立に生成される。
【0151】
図8に、各々のサービスエリアを25%カバーする領域(領域A、領域B、領域C、および領域D)に、セルを分割した様子をグラフにした図を示す。言い換えると、各セルが各々サービスエリアを25%カバーする領域に分割され、ここでは、同じ領域内に位置するユーザ達の平均的な性能を提示する。
【0152】
実際性能は、各スナップショットごとにユーザ固有であり、したがって、ここでは、図8の同じ領域内に位置するユーザ達の平均値を提示することとする。図8における4つの領域は各々サービスエリアを25%カバーし、従ってそれぞれの領域において同じ数のユーザが期待される。
【0153】
受け入れがたいほど性能が低いユーザを排除するため、少なくとも10dBの平均SINRを必要とする通信遮断ポリシー(outage policy)を採用している。これらのユーザの一部は、スループットの低下を犠牲にしてより低いチャネル符号化率を採用するローバストなフォールバック法(robust fall-back method)によってカバーされることができる。
【0154】
以下、本発明のスケジューリング概念のシミュレーション結果について説明する。
【0155】
上述したシステムパラメータを使えば、トータルで16個のスロットがスケジューリングに利用可能である。しかしながら、本願の提案と静的な周波数再利用による従来のスキームとを公平に比較するため、最初の15スロットのみが使用される(L=15)。基準スキームでは、スロットは3つおきにセル内の各々のセクタに割り当てられる。すなわち、基準スキームの再利用パタンを記述する以下の表(表3)に従ってスロットはセルラ環境において割り当てられ、再利用される。
【0156】
【表3】

【0157】
セクタ番号sと図7に示されたセクタ位置との間の同じ関係がインタセクタ・スケジューリングによるスキームにも仮定される。
【0158】
実際、表3は、L15、S=3、そして全てのnに対してln[0]=ln[1]=ln[2]=5の場合に、既に述べた[数1]の式、[数2]の式、および[数3]の式を適用したインタセクタ・スケジューリング・アルゴリズムを使用した結果の特別なケースである。
【0159】
シミュレーションにおいて、パケット遅延時間(packet delay)は、基地局におけるバッファ到着からモバイル端末における誤りのない受信までの間に費やされた時間として定義される。したがって、提示された結果は誤りのあるリンク・パケットの伝送に費やされる追加的な時間を含む。しかしながら、処理遅延時間(processing delay)は、シミュレーションには含まれていないことに言及しておきたい。
【0160】
図9aに、ポアソン・トラフィック(Poisson traffic)に対して、本発明の基地局を含むモバイル通信システムと従来の基地局のそれぞれに対する、パケット遅延時間τが時間T[s]を超える確率をグラフ表現した図を示す。破線および実線はそれぞれ、提案されたスキームと基準スキーム(従来の基地局)の性能を示している。
【0161】
図9bに、バースト・データ・トラフィック(burst data traffic)に対して、本発明の基地局を含むモバイル通信システムと従来の基地局のそれぞれに対する、パケット遅延時間τが時間T[s]を超える確率をグラフ表現した図を示す。表現方法は図9aと類似する。
【0162】
図10aに、ポアソン・トラフィック(Poisson traffic)に対して、本発明の基地局を含むモバイル通信システムと従来のモバイル通信システムのそれぞれに対する、平均パケット遅延時間をグラフ表現した図を示す。提案されたスキームの平均パケット遅延時間は白色のバーで示されており、一方、基準スキーム(従来のモバイル通信システム)の平均パケット遅延時間は黒色のバーで示されている。
【0163】
図10bにバースト・データ・トラフィック(burst data traffic)に対して図10aと同じ情報を示す。
【0164】
図11aに、ポアソン・データ・トラフィックに対して、本発明の基地局を含むモバイル通信システムと従来のモバイル通信システムのそれぞれに対する平均パケット遅延時間の間の比率をグラフ表現した図を示す。
【0165】
図11bにバースト・データ・トラフィック(burst data traffic)に対して図11aと同じ情報を示す。
【0166】
図9a、図9b、図10a、図10b、図11a、および図11bから、静的再利用による基準スキームと比較して提案されたインタセクタ・スケジューラを使用することの明確な利点を見て取れる。そして、使用されるトラフィックモデルに応じて、約20%ないし50%の遅延時間の減少が実現可能である。期待されるように、インタセクタ・スケジューリングは、バースト・データ・トラフィックにとってより重要である。
【0167】
図12aに、ポアソン・データ・トラフィックに対して、本発明の基地局を含むモバイル通信システムおよび従来のモバイル通信システムのそれぞれに対する通信遮断確率をグラフ表現した図を示す。
【0168】
図12bにバースト・データ・トラフィック(burst data traffic)に対して図12aと同じ情報を示す。図12aと図12bは、各グループにおけるユーザの通信遮断確率を示している。期待されるように、通信遮断確率は基地局からの距離(減少するSINR)と共に増大する。
【0169】
以上のことをまとめると、本発明は、セルラ環境にマルチユーザ・スケジューリング・アルゴリズムを適用して適応変調への拡張を生み出す。各スロットごとに1ユーザのみがスケジュールされるので、イントラセル干渉は本質的にゼロである。干渉を更に減らすため、セルラ環境内にある近隣の基地局同士の間のスケジューリングも実行することができる。基地局同士の間で交換できる情報に応じて、異なるインタセル・スケジューラが設計できる。本発明において、基地局の小さなグループ内の各基地局においてバッファリングされたデータ量を交換するよって、特に有利な解決法を実現することができることを明らかにしている。より正確に言えば、システム内の各セルをカバーするセクタは、インタセクタ・スケジューリング・グループを形成する。したがって、スケジューリングを2つの別々のオペレーション、すなわち別々に実行されるインタセクタ・スケジューリングとイントラセクタ・スケジューリングに分割する。この場合、自由なリソースを、送信すべきデータを持つすぐ近くの基地局へ移動させることが有利である。非特許文献1において似たようなアプローチが採用されているが、パケット遅延時間の増大を示した非特許文献1の結果とは対照的に、本発明のスキームは、パケット遅延時間を大きく減らすことができるといえる。
【0170】
言い換えると、本発明は、適応伝送のためのセルラ環境へのマルチユーザ・スケジューリング・アルゴリズムの拡張を定義している。サブキャリアとOFDMシンボルのグループをスロットにグループ分けする時間周波数スロット化したマルチユーザOFDMシステムが、検討されている。適応伝送の目的は、スロットをその特定のスロットにおいて有利なチャネル状態を有するユーザに割り当てることにある。
【0171】
更に好ましい実施形態では、本発明のインタセクタ・スケジューリングはダウンリンク、すなわち基地局からモバイル端末への通信で実施されるだけでなく、モバイル端末から基地局へのアップリンクでも実施される。この実施形態では、送信リソースで競合する数個のモバイル端末のバッファ占有量状況がリソースをモバイル端末に割り当てるのに使用される。しかし好ましくは、実際のリソース割当はモバイル端末にサービスする基地局によって実行される。モバイル端末が使用するリソースはモバイル端末のバッファ占有量によって決定されるが、基地局はモバイル端末に異なるモバイル端末が使用することができるチャネルの数といったリソース量をなおも通知する。こうして、モバイル端末は完全にそれら自身でリソースを利用するのではなく、基地局に問い合わせも行い、割り当てられたチャネル数に関する基地局の回答を受け取り、しかる後、基地局の回答に通知された数のチャネルを占有する。
【0172】
さらに、本発明の方法の一定の実施要件に応じて、本発明の方法は、ハードウェアまたはソフトウェアの形態で実施が可能であることに言及しておきたい。本発明の実施は、本発明の方法が実行されるようにプログラム可能なコンピュータシステムと協働するデジタル記憶媒体、特に電子的に可読な制御信号が保存された磁気ディスク、DVD、CD、一回限りプログラム可能なメモリチップまたは再プログラム可能なメモリチップを使用して実施することができる。一般に、本発明は従ってコンピュータ上で実行する際に本発明の方法を実行するプログラムコードが機械読み取り可能な媒体に記憶されたコンピュータプログラム製品である。言い換えると、本発明の方法は、コンピュータ上で実行させる際に本発明の方法の少なくとも1つを実行するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラムである。
【0173】
本発明のインタセクタ・スケジューラ、本発明の方法および本発明のコンピュータプログラムは、モバイル通信システムにおいて特に有効なリソース利用を可能にし、それ故、データスループットがより高くかつ/またはコストがより低いシステムを構築する場合の支援を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0174】
【図1a】本発明の第1の実施形態に係るインタセクタ・スケジューラのブロック図である。
【図1b】本発明の第2の実施形態に係るインタセクタ・スケジューラのブロック図である。
【図2a】本発明の第3の実施形態に係る基地局のブロック図である。
【図2b】本発明の基地局を含むモバイル通信ネットワークの動作の流れを示した図である。
【図3a】本発明の第4の実施形態に係るリソース・スケジューラのブロック図である。
【図3b】本発明の第4の実施形態に係るリソース・スケジューラによってスケジュールされたOFDMスロットを表現した図である。
【図4】AWGNチャネル上の異なった変調タイプに対するリンク・パケット誤り率をグラフ表現した図である。
【図5】スロットをセクタに割り当てるための本発明のラウンド・ロビン法のブロック図である。
【図6】理想的なアンテナパタンをグラフ表現した図である。
【図7】シミュレーション目的でモバイル通信セル内にランダムに分散したユーザ分布をグラフ表現した図である。
【図8】セルをそれぞれサービスエリアの25%をカバーする領域に分割した様子をグラフ表現した図である。
【図9a】ポアソン・データ・トラフィックに対して、本発明の基地局を含むモバイル通信システムと従来の通信システムのそれぞれに対する、パケット遅延時間τが時間T[s]を超える確率をグラフ表現した図である。
【図9b】バースト・データ・トラフィックに対して、本発明の基地局を含むモバイル通信システムと従来のモバイル通信システムのそれぞれに対する、パケット遅延時間τが時間T[s]を超える確率をグラフ表現した図である。
【図10】図10aは、ポアソン・データ・トラフィックに対して、本発明の基地局を含むモバイル通信システムと従来のモバイル通信システムのそれぞれに対する平均パケット遅延時間をグラフ表現した図である。図10bは、バースト・データ・トラフィックに対して、本発明の基地局を含むモバイル通信システムと従来のモバイル通信システムのそれぞれに対する平均パケット遅延時間をグラフ表現した図である。
【図11】図11aは、ポアソン・データ・トラフィックに対して、本発明の基地局を含むモバイル通信システムと従来のモバイル通信システムのそれぞれに対する平均パケット遅延時間の間の比率をグラフ表現した図である。図11bは、バースト・データ・トラフィックに対して、本発明の基地局を含むモバイル通信システムと従来のモバイル通信システムのそれぞれに対する平均パケット遅延時間の間の比率をグラフ表現した図である。
【図12】図12aは、ポアソン・データ・トラフィックに対して、本発明の基地局を含むモバイル通信システムと従来のモバイル通信システムのそれぞれに対する通信遮断確率をグラフ表現した図である。図12bは、バースト・データ・トラフィックに対して、本発明の基地局を含むモバイル通信システムと従来のモバイル通信システムのそれぞれに対する通信遮断確率をグラフ表現した図である。
【符号の説明】
【0175】
100,130 スケジューラ
110,140 受信機
112,114 負荷状況に関する情報
120,150 リソース割当器
122,124,170,182 割当リソース
142,144 特定の基地局の実際のバッファ占有量
146 全バッファ占有量
148 加算器
152 リソースユニットの総数
154 全リソースユニット
160,174 相対負荷計算器
162,176 リソース量計算器
164,180 リソースユニット・セレクタ
166,172 実際のバッファ占有量と全バッファ占有量の比率
168,178 割当リソース数

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1の送信機/受信機と第2の送信機/受信機との間で送信機/受信機を制御するためのスケジューラ(100;130)であって、
前記第1の送信機/受信機および前記第2の送信機/受信機は、利用可能な全送信/受信リソースを使用して送信または受信するように構成されており、前記第1の送信機/受信機は、第1の送信リソースを使用し、前記第2の送信機/受信機は、第2の送信リソースを使用し、前記第1の送信機/受信機は、第1の送信バッファを有し、前記第2の送信機/受信機は、第2の送信バッファを有しており、
前記第1の送信機/受信機および前記第2の送信機/受信機の負荷状況に関する情報(112,114;142、144)を受信するための受信機(110;140)であって、前記負荷状況が前記第1および第2の送信バッファのある特定の時間における実際のバッファ占有量に関する情報を含むような受信機と、
前記負荷状況に関する情報(112,114;142、144)に基づいて、前記全送信/受信リソースの中の第1の部分を前記第1の送信機/受信機に割り当て、前記第1の部分とは異なる第2の部分を前記第2の送信機/受信機に割り当てるためのリソース割当器(120;150)であって、負荷が低い方の送信機/受信機と比べて負荷が高い方の送信機/受信機にリソースがより多く割り当てられる結果をもたらす割当規則(160、162、164)を適用するように構成されたリソース割当器(120;150)と
を備えるスケジューラ。
【請求項2】
前記第1の送信機/受信機および前記第2の送信機/受信機は、同じ空間領域へ送信または同じ空間領域から受信するように配置されている、請求項1に記載のスケジューラ。
【請求項3】
前記第1の送信機/受信機および前記第2の送信機/受信機は、同じ伝送セル内に配置され、前記伝送セルは、各セクタごとに1つの送信機/受信機が付随する複数のセクタを含んでおり、前記リソース割当器(120;150)は、それらのセクタの間で前記リソースを割り当てるものである、請求項1または2に記載のスケジューラ。
【請求項4】
前記受信機(110;140)は、前記負荷状況として、通信セル内にある送信機/受信機の全てのバッファ占有量の総和によって決まる全バッファ占有量情報(146)と、或る特定の送信機/受信機の実際のバッファ占有量(112;142)とを受信するものであり、
前記リソース割当器(120;150)は、前記実際のバッファ占有量(142)と前記全バッファ占有量(146)との比率(166)に応じて、前記特定の送信機/受信機に前記リソースを割り当てるものである、請求項1ないし3のいずれか一項に記載のスケジューラ。
【請求項5】
前記送信機/受信機に割り当てられる前記リソース(122;170)は、
複数の基地局が同じ通信セルにサービスするのに利用することが可能なセット(154)のOFDMサブキャリアの要素であるOFDMサブキャリアと、
複数の前記OFDMサブキャリアを組み合わせたものであり、複数の前記基地局が同じ前記通信セルにサービスするのに利用することが可能なセット(154)のOFDMサブバンドの要素であるOFDMサブバンドと、
複数の連続するOFDMシンボルにおける複数のサブキャリアを含んでおり、複数の前記基地局が同じ前記通信セルにサービスするのに利用することが可能なセットのOFDMスロットの要素であるOFDMスロットと、
複数の前記基地局が同じ前記通信セルにサービスするのに利用することが可能な利用可能な全周波数割当(154)の一部である周波数間隔と
を含んでおり、

複数の前記基地局が同じ前記通信セルにサービスするのに利用することが可能な複数の利用可能な時間スロットから得られる時間スロットと、
前記基地局が通信セルにサービスするのに利用することが可能な複数の空間リソースから、前記基地局がサービスを集中することができる領域を画定する空間リソースと
の少なくとも一方を更に含んでいる
請求項1ないし4のいずれか一項に記載のスケジューラ。
【請求項6】
インタセクタ・スケジューラ(100;130)の動作を少なくとももう1つの別のインタセクタ・スケジューラの動作と時間同期させる同期ユニットを備えている請求項1ないし5のいずれか一項に記載のスケジューラ。
【請求項7】
前記割当規則は、前記リソース割当器(120;150)によって割り当てられた前記リソースが別の前記インタセクタ・スケジューラによって割り当てられたリソースと競合しないように設定されている、請求項1ないし6のいずれか一項に記載のスケジューラ。
【請求項8】
前記割当規則は、同じ前記通信セルにサービスしている隣接する前記基地局同士の干渉を避けることができるように設定されている、請求項1ないし7のいずれか一項に記載のスケジューラ。
【請求項9】
前記リソース割当器(120;150)は、或る特定の送信機/受信機に割り当てられた前記リソースのデータ転送容量が、リソース量子化効果による歪みを除いて、前記特定の送信機/受信機の実際のバッファ占有量(142)と全バッファ占有量情報(146)との比率(166)に比例するように、前記リソースを前記特定の送信機/受信機に割り当てるものである、請求項1ないし8のいずれか一項に記載のスケジューラ。
【請求項10】
前記リソースは、リソースユニット(154)で量子化され、
前記リソース割当器(150)は、第1の時間間隔内で第1の割当規則を使用して送信機/受信機へ割り当てるためのリソースの数(168)を決定し、第2の時間間隔内で第2の割当規則を使用して送信機/受信機に割り当てるためのリソースの数(168)を決定するものであり、
前記第1の割当規則と前記第2の割当規則は、前記第1の割当規則によってもたらされたリソース量子化による第1の丸め誤差が、前記第2の割当規則によってもたらされた第2の丸め誤差と比較したときに、正反対の符号を有するように設定されている、請求項1ないし9のいずれか一項に記載のスケジューラ。
【請求項11】
前記第1の割当規則は、利用可能な前記リソースユニットの総数(152)と或る特定の送信機/受信機の実際のバッファ占有量(142)と全バッファ占有量(146)の比率(166)との積を概数として整数値にして、前記特定の送信機/受信機に割り当てるための前記リソースユニットの数(168)を得ることを指示し、
第2の割当規則は、前記特定の送信機/受信機に割り当てるための前記リソースユニットの数(168)を他の送信機/受信機に割り当てられなかったリソースユニットの残数(154)として得ることを指示し、
前記残数は、利用可能な前記リソースユニット(154)の総数(152)と、別の送信機/受信機に割り当てられた前記リソースユニットの数を表す少なくとも1つの概数値との間の差として計算される、請求項10に記載のスケジューラ。
【請求項12】
前記リソース割当器(120;150)は、前記負荷状況に関する情報(112,114;142,144,146)に基づいて前記リソース(122,124;170,182)を少なくとも前記第1の送信機/受信機と前記第2の送信機/受信機とに割り当てるものであり、前記インタセクタ・スケジューラ(100;130)は、少なくとも前記第1の送信機/受信機と前記第2の送信機/受信機とへの前記リソースの割当に関する情報(170,182)を配信するためのリソース割当配信器(184)を備えているものである、請求項1ないし11のいずれか一項に記載のスケジューラ。
【請求項13】
前記リソースは、前記時間スロットおよび周波数スロットの少なくとも一方であり、
前記リソース割当器(120;150)は、少なくとも2つの送信機/受信機に対して、該送信機/受信機に割り当てられるスロットの数(168,178)を決定するものであり、前記リソース割当器(120;150)は、前記割り当てられるスロットの数(168;178)に満たない数のスロットが前記少なくとも2つの送信機/受信機の少なくとも1つに割り当てられている限りは、連続する隣り合ったスロットを前記少なくとも2つの送信機/受信機に交互に割り当てるものである、請求項1ないし12のいずれか一項に記載のスケジューラ。
【請求項14】
前記リソースは、前記時間スロットおよび前記周波数スロットの少なくとも一方であり、
前記リソース割当器(120;150)は、ラウンド・ロビン法を使用して連続する隣り合ったスロットを前記少なくとも2つの送信機/受信機に割り当てるものである、請求項1ないし13のいずれか一項に記載のスケジューラ。
【請求項15】
前記リソースは、前記時間スロットおよび前記周波数スロットの少なくとも一方であり、
前記リソース割当器(120;150)は、少なくとも2つの送信機/受信機に対して、該送信機/受信機に割り当てられるそれぞれのスロット数(168;178)を決定するものであり、前記リソース割当器(120;150)は、前記第1の送信機/受信機には隣り合ったスロットの第1の連続したブロックを割り当て、前記第2の送信機/受信機には隣り合ったスロットの第2の連続したブロックを割り当てるものである、請求項1ないし12のいずれか一項に記載のスケジューラ。
【請求項16】
前記リソース割当器(120;150)は、前記送信機/受信機に割り当てられたリソースを、前記送信機/受信機が保持するモバイル通信装置との複数のデータ接続に分配するものである、請求項1ないし15のいずれか一項に記載のスケジューラ。
【請求項17】
前記第1の送信機/受信機は、複数の通信装置とのリンクを確立かつ維持するものであり、
前記第2の送信機/受信機は、前記複数の通信装置とのリンクを確立かつ維持するものであり、
第1の基地局の前記バッファ占有量は、前記第1の送信機/受信機によって維持される複数の伝送リンクにわたって計算され、
第2の基地局の前記バッファ占有量は、前記第2の送信機/受信機によって維持される複数の伝送リンクにわたって計算される、請求項1ないし16のいずれか一項に記載のスケジューラ。
【請求項18】
前記インタセクタ・スケジューラである請求項1ないし17のいずれか一項に記載のスケジューラ。
【請求項19】
利用可能な全送信/受信リソースを使用して送信または受信するように構成された第1の送信機/受信機および第2の送信機/受信機を有するモバイル通信ネットワークのための送信機/受信機(200)であって、
基地局(200)からモバイル通信装置へ、または前記モバイル通信装置から前記基地局へ送信されるデータ(212)をバッファリングするための送信バッファ(210)と、
前記送信バッファ(210)の実際の占有量に関する情報(222)を含む前記送信機/受信機(200)の負荷状況に関する情報を決定するための送信バッファ占有量決定器(220)と、
少なくとも1つの他の送信機/受信機の前記送信バッファの実際のバッファ占有量に関する情報(226)を含む前記少なくとも1つの他の送信機/受信機の負荷状況を受信するための受信機(228)と、前記第1の送信機/受信機の前記負荷状況に関する情報(222)および前記少なくとも1つの他の送信機/受信機の前記負荷状況に関する情報(226)に基づいて、前記全送信/受信リソースの中の第1の部分を前記第1の送信機/受信機(200)に割り当て、前記第1の部分とは異なる第2の部分を前記第2の送信機/受信機に割り当てるリソース割当器であって、負荷が低い方の前記送信機/受信機よりも負荷が高い方の前記送信機/受信機にリソースがより多く割り当てられる結果をもたらす割当規則を適用するように構成されたリソース割当器(224)を含むスケジューラと
を備えているモバイル通信ネットワークのための送信機/受信機。
【請求項20】
或る特定のモバイル通信装置が別の基地局によってサービスされていることを検出すると同時に、前記送信バッファ(210)に格納された前記特定のモバイル通信装置に送信すべきデータ(254)を前記別の基地局へ転送するセンダ(250)と、
前記別の基地局へ転送されたデータ(254)を前記送信バッファ(210)から削除するバッファ制御装置(260)と
を備えている、請求項19に記載のモバイル通信ネットワークのための送信機/受信機。
【請求項21】
前記バッファ制御装置(260)は、前記送信バッファ(210)から前記別の基地局へ転送されたデータ(254)を削除した後に、当該送信機/受信機(200)の負荷状況に関する情報(222)の決定を開始するものである、請求項20に記載のモバイル通信ネットワークのための送信機/受信機。
【請求項22】
別の送信機/受信機から前記特定のモバイル通信装置へ送信されるデータを受信するための受信機(240)と、前記特定のモバイル通信装置へ送信されるデータ(244)を前記送信バッファ(210)へ追加するバッファ制御装置(260)とを備えている、請求項19ないし21のいずれか一項に記載のモバイル通信ネットワークのための送信機/受信機。
【請求項23】
前記バッファ制御装置(260)は、前記別の基地局から受信したデータ(244)を前記送信バッファ(210)へ追加した後に、前記基地局(200)の負荷状況に関する情報(222)の決定を開始するものである、請求項22記載のモバイル通信ネットワークのための送信機/受信機。
【請求項24】
前記第1の送信機/受信機は、複数のモバイル通信装置とのリンクを確立かつ維持するものであり、
前記第2の送信機/受信機は、複数のモバイル通信装置とのリンクを確立かつ維持するものであり、
第1の基地局のバッファ占有量は、前記第1の送信機/受信機によって維持される複数の伝送リンクにわたって計算され、
第2の基地局のバッファ占有量は、前記第2の送信機/受信機によって維持される複数の伝送リンクにわたって計算される、請求項19ないし23のいずれか一項に記載のモバイル通信ネットワークのための送信機/受信機。
【請求項25】
前記スケジューラは、インタセクタ・スケジューラである請求項19ないし24のいずれか一項に記載のモバイル通信ネットワークのための送信機/受信機。
【請求項26】
第1の送信機/受信機と第2の送信機/受信機との間で送信機/受信機を制御する方法であって、ここで、前記第1の送信機/受信機および前記第2の送信機/受信機は、利用可能な全送信/受信リソースを使用して送信または受信するように構成し、前記第1の送信機/受信機は、第1の送信リソースを使用し、第2の送信機/受信機は、第2の送信リソースを使用し、前記第1の送信機/受信機は第1の送信バッファを有し、前記第2の送信機/受信機は第2の送信バッファを有するものであって、
前記第1の送信バッファおよび前記第2の送信バッファの或る特定の時間における実際のバッファ占有量に関する情報を含む、前記第1の送信機/受信機および前記第2の送信機/受信機の負荷状況に関する情報(112,114;142,144,146)を受信(110;140)するステップと、
前記負荷状況に関する情報(112,114;142,144,146)に基づいて、負荷が低い方の送信機/受信機よりも負荷が高い方の送信機/受信機にリソースがより多く割り当てられる結果をもたらす割当規則を適用することによって、前記全送信/受信リソースの中の第1の部分を前記第1の送信機/受信機に割り当て、前記第1の部分とは異なる第2の部分を前記第2の送信機/受信機に割り当てる(120:150)ステップと
を含んでいる、送信機/受信機を制御するスケジューリング方法。
【請求項27】
利用可能な全送信/受信リソースを使用して送信または受信するように構成された第1の送信機/受信機および第2の送信機/受信機を有するモバイル通信ネットワークのための送信機/受信機を動作させる方法であって、
基地局からモバイル通信装置へ、または前記モバイル通信装置から前記基地局へ送信されるデータをバッファリング(210)するステップと、
送信バッファの実際の占有量に関する情報(222)を含む負荷状況に関する情報を決定(220)するステップと、
少なくとも1つの別の送信機/受信機の前記送信バッファの実際のバッファ占有量に関する情報(226)を含む、前記少なくとも1つの別の送信機/受信機の前記負荷状況に関する情報を受信(228)するステップと、
前記第1の送信機/受信機の前記負荷状況に関する情報(222)および前記少なくとも1つの別の送信機/受信機の前記負荷状況に関する情報(226)に基づいて、負荷が低い方の送信機/受信機よりも負荷が高い方の送信機/受信機にリソースがより多く割り当てられる結果をもたらす割当規則を適用することによって、前記全送信/受信リソースの中の第1の部分を前記第1の送信機/受信機に割り当て、前記第1の部分とは異なる第2の部分を前記第2の送信機/受信機に割り当てる(224)ステップと
を含んでいる、方法。
【請求項28】
コンピュータ上で実行させた際に請求項26または27に記載された方法を実行するプログラムコードを有するコンピュータプログラム。

【図1a】
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【図1b】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9a】
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【図9b】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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