説明

送出サーバシステムおよび素材転送方法

【課題】素材出力部を安価に構成する。ミラーリングなどの措置を不要にする。
【解決手段】送出サーバシステムの素材出力部を複数個の光ディスク装置(記録再生部)128-1〜128-3により、安価に構成する。素材サーバ121から素材出力部に番組を構成する素材を転送する際、送出用の光ディスク装置128-1,128-2に素材を共通に転送して記録する。光ディスク装置128-1,128-2の一方が壊れた場合でも、他方に同じ素材が記録されてバックアップされているため、ミラーリングなどの措置が不要となる。光ディスク装置128-3は緊急用とされる。番組開始までに素材サーバ121から素材出力部への転送が間に合わなかった素材を、番組を構成する素材として、緊急用の光ディスク装置128-3を利用して出力できる。光ディスク装置128-1〜128-3の送出用、緊急用の用途変更が可能とされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、ニュース番組制作システム等に使用して好適な送出サーバシステムおよび素材転送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビジョン放送におけるニュース番組は、放送局の各支局、支部またはクラブ等において取材した種々雑多なニュースソースを視聴者に迅速かつ正確に伝達することが求められている。実際、ニュース番組の放送においては、報道部において取材予定がたてられ、その後に、各支局、支部またはクラブで取材されたニュースソースが、番組制作送出システムにより速やかに編集される。
【0003】
そして、この番組制作送出システムにより、編集後のニュースソースが、番組に関する内容および番組を構成する各項目の放送時刻等が示されたキューシート(番組進行表)に従って、オンエア送出される。この種の番組制作送出システムは、例えば特許文献1等に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−59096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の番組制作送出システムにおいては、素材出力部としてHDDにより構成された送出サーバが備えられている。そして、素材サーバから送出サーバに番組を構成する素材が転送されて一時的に記録され、この素材がキューシート情報に基づいて順次読み出されて出力される。
【0006】
この送出サーバは、1台につき複数の送出ポートを備えている。そして、上述したように、この送出サーバは、HDDにより構成されており、HDD内に記録されている素材を任意の送出ポートから出力することが可能となっている。
【0007】
しかし、この送出サーバは高価であり、その分だけ素材出力部が高価となるという問題がある。また、この送出サーバがHDDを備えた構成であるため、当該HDDのクラッシュ時に備えたミラーリングなどの措置が必要になるという問題がある。
【0008】
この発明の目的は、素材出力部を安価に構成でき、しかもミラーリングなどの措置を不要にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の概念は、
素材サーバから転送される、番組を構成する素材を一時的に記憶し、該素材を順次読み出して出力する素材出力部を備え、
上記素材出力部は、複数個の記録再生部を有し、
上記複数個の記録再生部には、上記素材サーバから上記番組を構成する素材が共通に転送されて記録され、
各素材は、上記複数個の記録再生部のうち送出対象の記録再生部から再生されて出力される
送出サーバシステムにある。
【0010】
この発明において、素材出力部は、複数個の記録再生部、例えば複数個の光ディスク装置を有する構成とされる。そして、この素材出力部に、素材サーバから番組を構成する素材が転送されて記録される際に、この素材が複数個の記録再生部に共通に転送されて記録される。
【0011】
このように素材出力部が複数個の記録再生部で構成されることで、従来のように送出サーバで構成される場合に比べて安価に構成できる。また、素材が複数個の記録再生部に共通に転送されて記録されることから、ある記録再生部が壊れた場合でも、他の記録再生部に同じ素材が記録されてバックアップされているため、ミラーリングなどの措置が不要となる。また、ある記録再生部が壊れた場合、当該記録再生部だけを交換することで容易に、かつ低コストで復旧できる。
【0012】
また、この発明において、例えば、素材出力部が有する複数の記録再生部のうち少なくとも一個の記録再生部は緊急用の記録再生部とされ、番組開始前は、素材サーバから転送される番組を構成する素材は緊急用の記録再生部を除く複数個の記録再生部に共通に転送されて記録され、番組開始後は、素材サーバから転送される番組を構成する素材は緊急用の記録再生部に転送されて記録される、ようにされてもよい。
【0013】
この場合、番組開始までに素材サーバから素材出力部への転送が間に合わなかった素材を、番組を構成する素材として、緊急用の記録再生部を利用して出力することが可能となる。
【0014】
また、この発明において、例えば、素材出力部が有する複数個の記録再生部のうち緊急用の記録再生部の変更が可能とされていてもよい。この場合、今までの送出用の記録再生部が故障した場合、緊急用の記録再生部をその代わりとして使用して、送出動作を継続することが可能となる。なお、この場合、故障した記録再生部を修理、あるいは交換することで、緊急用の記録再生部として使用することが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、素材出力部が複数個の記録再生部により構成されるものであり、従来のように送出サーバにより構成される場合に比べて素材出力部を安価に構成できる。また、素材が複数個の記録再生部に共通に転送されて記録されるものであり、ある記録再生部が壊れた場合でも、他の記録再生部に同じ素材データが記録されてバックアップされているため、ミラーリングなどの措置が不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の実施の形態としての番組制作送出システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】番組表の表示例を示す図である。
【図3】キューシートの表示例を示す図である。
【図4】番組制作支援システムの各端末として使用できる情報処理端末(パーソナルコンピュータ)の構成例を示す図である。
【図5】光ディスク装置の構成例を示すブロック図である。
【図6】素材サーバから送出用の光ディスク装置への素材の転送と、この光ディスク装置からの素材の送出を説明するための図である。
【図7】素材サーバから緊急用の光ディスク装置への素材の転送と、この光ディスク装置からの素材の送出を説明するための図である。
【図8】光ディスク装置の送出用、緊急用の用途の変更を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」とする)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態
2.変形例
【0018】
<1.実施の形態>
[番組制作送出システムの構成例]
図1は、実施の形態としての番組制作送出システム100の構成例を示している。番組制作送出システム100は、番組制作支援システム110と、送出サーバシステム120とを含んでいる。
【0019】
番組制作支援システム110には、取材管理端末111、原稿作成端末112、項目入力端末113、キューシート作成端末114およびデータベース115を含み、これらがローカルネットワークで接続されたシステムである。各端末は、コンピュータ(パーソナルコンピュータあるいはワークステーションなど)により構成される。
【0020】
取材管理端末111は、取材を管理するための端末である。原稿作成端末112は、記者らが原稿を作成するための端末である。項目入力端末113は、番組表および番組項目表を作成するための端末である。
【0021】
番組表の作成では、オンエアする期間や放送枠、曜日などを番組リストに登録することで、番組表が作成される。番組項目表の作成では、番組表画面から番組を選択することで開かれる番組項目表画面にて項目の追加、変更を行うことで、番組項目表が作成される。項目入力端末113で作成された番組表および番組項目表はデータベース115に登録される。
【0022】
キューシート作成端末114は、キューシート(番組進行表)を作成するための端末である。図1には1台しか示していないが、キューシート作成端末114としては、複数台の端末が存在する。キューシート作成端末114では、プログラム(Program)およびキューシート(Cuesheet)のアプリケーションが動作する。
【0023】
プログラムのアプリケーションが起動することで、このキューシート作成端末114のモニタ(表示パネル)には、番組表が表示される。図2は、番組表の表示例を示している。このように番組表が表示された状態で、番組表の変更、修正が可能となる。また、この番組表から所定の番組を選択することで、キューシートのアプリケーションが起動し、モニタには番組表に重ねて、選択された番組のキューシートが表示される。図3は、キューシートの表示例を示している。
【0024】
上述した項目入力端末113で作成される各番組の番組項目表の情報に基づいてデータベース115上にキューシートが自動的に生成される。キューシート作成端末114では、このように自動的に生成されたキューシートの各項目に対して構成情報の追加が可能となる。すなわち、このキューシート作成端末114では、キューシートが表示された状態で、カメラ/VTR/サーバ/効果/音声などの構成情報が追加される。キューシート作成端末114で作成されたキューシートはデータベース115に登録される。
【0025】
なお、図示しないが、番組制作支援システム110には、上述の端末の他、CG(Computer Graphics)により映像を作成する、あるいは映像に重ねて表示する地図、天気図、文字等を作成するCG作成端末、文字放送用の文字を作成するクローズドキャプション端末等がある。
【0026】
図4は、番組制作支援システム110の各端末として使用できる情報処理端末(パーソナルコンピュータ)200の構成例を示している。
【0027】
情報処理端末200は、CPU(Central Processing Unit)203、ROM(Read OnlyMemory)202、RAM(Random Access Memory)204、メモリコントローラ205およびHDD(Hard Disk Drive)201を有している。また、情報処理端末200は、ネットワークインタフェース206、キーボード208、マウス209、入力デバイスインタフェース210、表示デバイスドライバ211およびLCD(Liquid Crystal Display)212を有している。
【0028】
HDD201は、ストレージデバイスを構成する。HDD201、あるいはROM202は、各端末の動作に必要なプログラム(ソフトウエア)等を格納する。例えば、キューシート作成端末114においては、HDD201、あるいはROM202に、上述した番組表(プログラム)、キューシートの各アプリケーションのソフトウエアが格納される。CPU203は、プログラムに基づいて、各端末固有の処理を実行する。RAM204は、CPU203の作業領域を構成する。メモリコントローラ205は、RAM204への書き込みおよび読み出しを制御する。
【0029】
ネットワークインタフェース206は、オリジナルネットワークあるいはインターネット等に接続するためのインタフェースである。HDD201、ROM202、CPU203、メモリコントローラ205およびネットワークインタフェース206は、それぞれ、内部バス207に接続されている。
【0030】
キーボード208およびマウス209は、ユーザインタフェースを構成しており、番組構成者、編集者、記者等といったユーザから編集操作、各種設定入力、指示入力等を受け付ける。これらキーボード208およびマウス209は入力デバイスインタフェース210を介して内部バス207に接続されている。
【0031】
LCD212は、ユーザインタフェースを構成しており、各種情報の表示を行う。例えば、キューシート作成端末114においては、上述した番組表、キューシートの表示等を行う。このLCD212は、表示デバイスドライバ211を介して内部バス207に接続されている。
【0032】
図1に戻って、送出サーバシステム120は、素材サーバ121、ノンリニア編集機122、ファイリング端末123、光ディスク装置インタフェース(IF)端末124およびゲートウェイ端末125を含む。また、送出サーバシステム120は、機器制御端末126、機器制御部127、光ディスク装置128-1〜128-3、リニア編集機129およびVTR130を含む。ここで、光ディスク装置128-1〜128-3は、素材出力部を構成している。ここで、光ディスク装置128-1〜128-3はそれぞれ記録再生部を構成している。
【0033】
この送出サーバシステム120において、ノンリニア編集機122、ファイリング端末123、光ディスク装置IF端末124およびゲートウェイ端末125は、ローカルネットワークで接続されている。この送出サーバシステム120は、ゲートウェイ端末125を通じて、上述の番組制作支援システム110に接続されている。
【0034】
上述の番組制御作支援システム110の各端末はネットワークで、図示しないテレビ放送局内の番組送出システムにも接続されており、ビデオサーバシステム120の光ディスク装置128-1〜128-3から出力される放送用素材は、この番組送出システムに出力される。
【0035】
素材サーバ121は、HDD等の大容量記録媒体を備えており、映像、音声、コンピュータグラフィックス、文字データを含む放送用素材を格納する。ノンリニア編集機122は、放送用素材を編集する。素材サーバ121には、取材を実行することによって得られた映像素材が、その映像素材を録画したVTR130より直接入力され、あるいはノンリニア編集機122またはリニア編集機129で編集された後に入力される。
【0036】
ファイリング端末123は、所定番組の開始前に、この所定番組を構成する素材(放送用素材)を送出用の光ディスク装置128-1,128-2に転送すべきことを光ディスク装置IF端末124に指示する。ファイリング端末123は、この指示を、番組制作支援システム110のデータベース115に登録されている当該番組の番組項目表に基づいて行う。
【0037】
光ディスク装置IF端末124は、上述のファイリング端末123からの指示に基づいて、素材サーバ121および光ディスク装置128-1〜128-3に対して転送制御を行う。これにより、素材サーバ121から放送用素材が送出用の光ディスク装置128-1〜128-2に共通に転送されて記録される。
【0038】
機器制御端末126は、所定番組の開始前に、この所定番組のキューシート(番組進行表)をデータベース115から受け取る。そして、機器制御端末126は、所定番組が開始されると、上述したようにデータベース115から受け取ったキューシートに基づいて、コントロール信号を生成して機器制御部127に供給する。
【0039】
機器制御部127は、機器制御端末126から供給されるコントロール信号に基づいて、送出用の光ディスク装置128-1,128-2の再生動作を制御する。これにより、送出用の光ディスク装置128-1,128-2から、所定番組を構成する素材が順次再生されて出力される。このように送出用の光ディスク装置128-1,128-2で再生されて出力される素材は、番組送出システムに送られる。
【0040】
光ディスク装置128-1〜128-3は素材出力部を構成する。光ディスク装置128-1,128-2は上述したように送出用であり、残りの光ディスク装置128-3は緊急用である。緊急用の光ディスク装置128-3には、番組開始前までに素材サーバ121からの転送が間に合わなかった素材が、ファイリング端末123の制御のもと、素材サーバ121から転送されて記録される。そして、この素材は、手動でのキューアップ後、16面タッチパネル等の操作で再生されて出力される。
【0041】
[光ディスク装置の構成例]
図5は、光ディスク装置128(128-1〜128-3)の構成例を示している。この光ディスク装置128は、システム制御部311、操作入力部312、制御情報入力部313、制御情報出力部314、入力部315、記録信号処理部316および情報処理部317を有している。また、光ディスク装置128は、ドライブ制御部320、ピックアップ部321、スピンドル駆動部322、再生信号処理部323および出力部324を有している。
【0042】
システム制御部311は、破線矢印で示すように、光ディスク装置128の全体を制御する。システム制御部311は、CPU(Central Processing Unit)311aと、ROM(Read OnlyMemory)311bと、RAM(Random Access Memory)311cを有している。
【0043】
CPU311aは、各部の動作を制御するコントローラとして機能する。ROM311bは、CPU311aの動作を制御するための制御プログラム等を格納している。RAM311cは、CPU311aのワーキングエリア等として機能する。CPU311aは、ROM311bに格納されている制御プログラムを必要に応じて読み出し、読み出した制御プログラムをRAM311cに転送して展開し、当該展開された制御プログラムを読み出して実行することで、各部の動作を制御する。
【0044】
操作入力部312は、例えば、キーボードやボタン等の入力デバイスにより構成され、ユーザからの操作入力を受け付け、その情報をシステム制御部311に供給する。制御情報入力部313は、光ディスク装置128の外部より、素材データ以外の情報を制御情報として受け付け、当該制御情報をシステム制御部311に供給する。制御情報出力部314は、システム制御部311に供給される素材データ以外の情報を光ディスク装置128の外部に出力する。
【0045】
入力部315は、光ディスク装置128の外部より供給される素材データ(画像データや音声データ等)を受け付ける。この入力部315は、入力された素材データを記録信号処理部316に供給する。記録信号処理部316は、入力部315より供給される素材データに対して信号処理を行い、伝送用のフォーマットから記録用のフォーマットに変換する等の処理を行う。記録信号処理部316は、信号処理を施したデータを情報処理部317に供給する。
【0046】
情報処理部317は、システム制御部311の制御に基づき、必要に応じて、素材データの編集に関する処理を行う。例えば、情報処理部317は、複数のデータを多重化する情報多重化部317aと、1つの情報を複数に分解する情報分解部317bを有し、合成や分割等の処理を行う。
【0047】
編集対象の素材データは、記録信号処理部316、またはドライブ制御部320等より供給される。情報処理部317は、各部から供給される素材データを取得すると、システム制御部311の制御のもと、素材データの編集を行い、編集された素材データを、ドライブ制御部320、または再生信号処理部323に供給する。
【0048】
ドライブ制御部320は、光ディスク装置128の、光ディスク330が装着される図示しないドライブの各部を制御する処理部である。ドライブ制御部320は、例えば、システム制御部311に制御されて、ピックップ部321およびスピンドル駆動部322を制御する。ピックアップ部321は、ドライブに装着された光ディスク330に記録されている情報を読み出したり、光ディスク330に情報を書き込んだりする処理を行う。スピンドル駆動部322は、ドライブに装着された光ディスク330の駆動を制御する。
【0049】
ドライブ制御部320は、ピックアップ部321およびスピンドル駆動部322を制御して、ピックアップ部321で読み出されたデータを情報処理部317に供給する。また、ドライブ制御部320は、ピックアップ部321およびスピンドル駆動部322を制御して、情報処理部317より供給されたデータを、ピックアップ部321を介して光ディスク330に書き込む。
【0050】
ピックアップ部321は、ドライブ制御部320に制御される。このピックアップ部321は、ドライブに装着された光ディスク330に対してレーザ光を照射し、光ディスク330に記録されているデータを読み出してドライブ制御部320に供給する。また、このピックアップ部321は、ドライブ制御部320より供給されたデータを光ディスク330に書き込む。
【0051】
その際、ピックアップ部321は、ドライブ制御部320に制御され、光ディスク330に対してその半径方向にスライドし、光ディスク330の半径方向に対するアクセス位置の制御を行う。スピンドル駆動部322は、ドライブに装着された光ディスク330の主に回転運動を制御し、ピックアップ部321による光ディスク330の回転方向に対するアクセス位置の制御を行う。
【0052】
再生信号処理部323は、情報処理部317より供給される出力信号(または再生信号)に対する信号処理を行い、例えば、各データを記録用のフォーマットから伝送用のフォーマットに変換する等の処理を行う。再生信号処理部323は、信号処理を施したデータを出力部324に供給する。出力部3は、光ディスク装置128の外部に対して、再生信号処理部323より供給される素材データ(画像データや音声データ等)を外部に出力する。
【0053】
[素材サーバから送出用の光ディスク装置への素材転送と、その素材の送出動作]
次に、送出サーバシステム120における、素材サーバ121から送出用の光ディスク装置128-1,128-2への素材転送の動作と、その素材の番組送出システムへの送出動作について、図6を参照して説明する。
【0054】
転送時には、ファイリング端末123により、所定番組を構成する素材(素材1)の転送指示が出される。この転送指示に基づいて、光ディスク装置IF端末124により素材サーバ121および光ディスク装置128-1,128-2が制御され、この素材が素材サーバ121から光ディスク装置128-1,128-2に共通に転送されて記録される。
【0055】
この場合、光ディスク装置128-1(送出1)および光ディスク装置128-2(送出2)の光ディスクの記録内容は一致する。また、この場合、転送処理が光ディスク装置128-1,128-2に対して同時並列的に実行されるため、転送時間は1台の光ディスク装置に転送する時間と同等となる。
【0056】
また、送出時には、キューシートに基づいて、機器制御端末126から機器制御部127を通じて光ディスク装置128-1,128-2の再生動作が制御される。そして、番組の先頭から順に、送出1→送出2→・・・の順に再生制御され、素材に対応した送出対象の光ディスク装置から当該素材が順次再生されて出力される。
【0057】
なお、上述していないが、例えば、番組制作支援システム110のキューシート作成端末114でキューシートを作成する際に、番組を構成する各素材をどの光ディスク装置から出力するかを決定するCH(チャネル)アサインが自動的に実行される。そして、このCHアサイン結果は、データベース115に登録されている。
【0058】
ここで、番組放送中にNEXT指定などで送出対象の光ディスク装置が変わった場合には、変更後の送出対象の光ディスク装置から素材が再生されて出力される。上述したように光ディスク装置128-1,128-2には素材が共通に転送されて記録され、そのディスクの記録内容が一致するようにされている。そのため、このように番組放送中にNEXT指定などで送出対象の光ディスク装置が変わる場合にも対処可能となる。
【0059】
また、この実施の形態において、素材サーバ121から所定番組を構成する素材を光ディスク装置128-1,128-2に転送して記録する際に、番組IDと転送先のディスク装置に装着されている光ディスクのディスクIDとが関連付けされる。この関連付けがデータベース115に登録される。そして、番組放送(OA)中に、所定番組の素材を再生する光ディスク装置に装着されている光ディスクのディスクIDと番組IDとの関連付けが確認される。
【0060】
つまり、データベース115にこの関連付けが登録されていないとき、図示しないキューシート端末あるいはアラームパネルに警告が通知される。これにより、素材サーバ121から光ディスク装置128-1,128-2に所定番組の素材を転送した後に、当該光ディスク装置128-1,128-2の光ディスクが取り換えられている場合、番組放送中に誤った素材が再生されることになるが、それを警告できる。
【0061】
[素材サーバから緊急用の光ディスク装置への素材転送と、その素材の送出動作]
次に、送出サーバシステム120における、素材サーバ121から緊急用の光ディスク装置128-3への素材転送の動作と、その素材の番組送出システムへの送出動作について、図7を参照して説明する。
【0062】
転送時には、ファイリング端末123から、所定番組を構成する素材(素材A)の転送指示が出される。この転送指示に基づいて、光ディスク装置IF端末124により素材サーバ121および光ディスク装置128-3が制御され、この素材が素材サーバ121から光ディスク装置128-3に共通に転送されて記録される。
【0063】
また、送出時には、手動でのキューアップ後、16面タッチパネル等の操作に基づき、機器制御端末126から機器制御部127を通じて光ディスク装置128-3が制御され、当該素材(素材A)が再生されて出力される。
【0064】
[光ディスク装置の送出用、緊急用の用途の変更]
次に、光ディスク装置128-1〜128-3の送出用、緊急用の用途の変更について説明する。上述したように、最初、光ディスク装置128-1,128-2は送出用とされ、光ディスク装置128-3は緊急用とされる。しかし、この実施の形態において、光ディスク装置128-1〜128-3は、送出用、緊急用の用途の変更が可能とされている。
【0065】
例えば、図8に示すように、光ディスク装置128-2が故障した場合、この光ディスク装置128-2の代わりに、光ディスク装置128-3を送出2として使用するように、用途変更を行うことできる。
【0066】
この場合、転送時には、ファイリング端末123により、所定番組を構成する素材(素材1)の転送指示が出される。この転送指示に基づいて、光ディスク装置IF端末124により素材サーバ121および光ディスク装置128-1,128-3が制御され、この素材が素材サーバ121から光ディスク装置128-1,128-3に共通に転送されて記録される。
【0067】
また、送出時には、キューシートに基づいて、機器制御端末126から機器制御部127を通じて光ディスク装置128-1,128-3の再生動作が制御される。そして、番組の先頭から順に、送出1→送出2→・・・の順に再生制御され、素材に対応した送出対象の光ディスク装置から当該素材が順次再生されて出力される。
【0068】
なお、この場合、故障した光ディスク装置128-2は修理され、あるいは正常な光ディスク装置に交換されて、緊急用として使用される。
【0069】
以上説明したように、図1に示す番組制作送出システム100においては、送出サーバシステム120の素材出力部が3個の光ディスク装置128-1〜128-3で構成されており、従来のように送出サーバで構成される場合に比べて安価に構成できる。
【0070】
また、図1に示す番組制作送出システム100においては、番組開始前に、素材サーバ121から素材出力部に番組を構成する素材を転送する際、送出用の光ディスク装置128-1,128-2に素材が共通に転送される(図6参照)。そのため、送出用の光ディスク装置128-1,128-2には素材が共通に転送されて記録され、そのディスクの記録内容が一致するようにされている。
【0071】
したがって、例えば、番組放送中にNEXT指定などで送出対象の光ディスク装置が変わる場合にも良好に対処可能となる。また、光ディスク装置128-1,128-2の一方が壊れた場合でも、他方に同じ素材が記録されてバックアップされているため、ミラーリングなどの措置が不要となる。また、光ディスク装置128-1,128-2の一方が壊れた場合でも、その光ディスク装置だけを交換することで容易に、かつ低コストで復旧できる。
【0072】
また、図1に示す番組制作送出システム100においては、送出サーバシステム120の素材出力部が3個の光ディスク装置128-1〜128-3で構成されている。そして、光ディスク装置128-1,128-2は送出用とされているが、残りの光ディスク装置128-3は緊急用とされている。そのため、番組開始までに素材サーバ121から素材出力部への転送が間に合わなかった素材を、番組を構成する素材として、緊急用の光ディスク装置128-3を利用して出力することができる(図7参照)。
【0073】
また、図1に示す送出サーバシステム120の素材出力部が3個の光ディスク装置128-1〜128-3で構成されている。そして、当初は、光ディスク装置128-1,128-2は送出用とされ、残りの光ディスク装置128-3は緊急用とされている。しかし、光ディスク装置128-1〜128-3の送出用、緊急用の用途変更が可能とされている。
【0074】
そのため、今まで送出用の光ディスク装置が故障した場合、緊急用の光ディスク装置をその代わりとして使用して、送出動作を継続することが可能となる(図8参照)。なお、この場合、故障した光ディスク装置を修理、あるいは交換することで、緊急用の光ディスク装置として使用することが可能となる。
【0075】
<2.変形例>
なお、上述実施の形態においては、送出サーバシステム120の素材出力部が3個の光ディスク装置128-1〜128-3で構成されている例を示している。しかし、素材出力部は、2個あるいは4個以上の光ディスク装置で構成されてもよい。また、上述実施の形態においては、送出サーバシステム120の素材出力部が3個の光ディスク装置128-1〜128-3で構成され、そのうちの一個の光ディスク装置128-3を緊急用に用いるものを示しているが、緊急用として用いる光ディスク装置の個数は一個に限定されない。
【0076】
また、上述実施の形態においては、記録再生部が光ディスク装置(図5参照)である例を示した。しかし、この発明において、記録再生部は、光ディスク装置に限定されるものではなく、磁気ディスク、磁気テープ、半導体メモリ等の光ディスク以外の記録媒体を用いた記録再生装置により構成されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0077】
この発明は、素材出力部を安価に構成でき、しかもミラーリングなどの措置を不要にできるものであり、例えば、番組制作送出システム等に適用できる。
【符号の説明】
【0078】
100・・・番組制作送出システム
110・・・番組制作支援システム
111・・・取材管理端末
112・・・原稿作成端末
113・・・項目入力端末
114・・・キューシート作成端末
115・・・データベース
120・・・送出サーバシステム
121・・・素材サーバ
122・・・ノンリニア編集機
123・・・ファイリング端末
124・・・光ディスク装置IF端末
125・・・ゲートウェイ端末
126・・・機器制御端末
127・・・機器制御部
128,128-1〜128-3・・・光ディスク装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
素材サーバから転送される、番組を構成する素材を一時的に記憶し、該素材を順次読み出して出力する素材出力部を備え、
上記素材出力部は、複数個の記録再生部を有し、
上記複数個の記録再生部には、上記素材サーバから上記番組を構成する素材が共通に転送されて記録され、
各素材は、上記複数個の記録再生部のうち送出対象の記録再生部から再生されて出力される
送出サーバシステム。
【請求項2】
上記素材出力部が有する上記複数個の記録再生部のうち少なくとも一個の記録再生部は緊急用の記録再生部とされ、
番組開始前は、上記素材サーバから転送される番組を構成する素材は上記緊急用の記録再生部を除く複数個の記録再生部に共通に転送されて記録され、
番組開始後は、上記素材サーバから転送される番組を構成する素材は上記緊急用の記録再生部に転送されて記録される
請求項1に記載の送出サーバシステム。
【請求項3】
上記素材出力部が有する上記複数個の記録再生部のうち上記緊急用の記録再生部の変更が可能とされている
請求項2に記載の送出サーバシステム。
【請求項4】
上記記録再生部は、光ディスク装置である
請求項3に記載の送出サーバシステム。
【請求項5】
複数個の記録再生部を有する素材出力部に、素材サーバから番組を構成する素材を転送して記録する際に、
上記素材サーバから上記番組を構成する素材を、上記複数個の記録再生部に共通に転送して記録する
素材転送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−219973(P2010−219973A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−65375(P2009−65375)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】