説明

送配電線に与える電圧の支障を補償するための補償料金の課金方法、及び補償料金課金システム

【課題】送配電線に与えるような支障を補償するための補償料金を効率よく算出して需要家に適切な課金を行えるようにする。
【解決手段】需要家6ごとに電圧調整装置8を設け、電圧調整装置8の夫々と通信可能に接続する情報処理装置10を設け、電圧調整装置8が、送配電線5によって供給される電力に関する情報を計測して情報処理装置10に送信し、情報処理装置10が、電圧実効値、電圧変動、歪み率、電圧フリッカ、電圧不平衡率などの電力に関する情報を受信し、受信した情報に基づき、電圧調整装置8が補償すべき補償量の時間変化を求め、補償料金の計算対象となる期間を受け付け、求めた補償量の時間変化と、時刻及びその時刻における補償量に応じて設定された補償料金を示す情報が設定された単価表とに基づき、期間中における補償料金を求めるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、需要家が電力を利用することにより送配電線に与える電圧の支障を補償するための補償料金の課金方法、及び補償料金課金システムに関し、とくに送配電線を通じて供給される電力に支障を与える需要家に対して補償料金を効率よく算出し、需要家に適切な課金を行うための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
需要家から電気料金を徴収する仕組みに関し、特許文献1には、電力品質を低下させる電力使用状態になり得る特定需要家に対し、そのような電力使用を抑制し、電力品質向上へのインセンティブを与えると共に、電力品質低下の影響を受けるおそれがある一般需要家などを含めた電力需要家が負担する電気料金の妥当性、公平感を高めることに資するべく、配電線に流れている電力の品質を低下させる電力使用状況にある特定需要家の電気料金を加算徴収し、特定需要家が接続されている配電線と同一の配電線に接続されていて電力の品質低下の影響を被る一般需要家へ、特定需要家から徴収した加算料金を還元するように構成した電気料金算定システムが開示されている。
【0003】
特許文献2には、電力品質の低下を防ぐための電圧調整装置の一例として、電力系統の高調波負荷から出力される高調波電流を除去するアクティブフィルタが開示されている。また特許文献3には、商用電源の健全動作時にはアクティブフィルタとして動作し、商用電源の異常を検知した時は、交流スイッチをオフし、電力変換装置を逆変換動作に切り替えて無停電電源装置として運転することにより、重要負荷に対して無瞬断で交流電力を供給する多機能電力変換システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−141860号公報
【特許文献2】特開2001−57738号公報
【特許文献3】特開平4−325832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、電力会社においては、送配電線を通じて供給される電力を利用することより、電圧変動、高調波、電圧フリッカ、電圧不平衡などの支障を与える需要家に対して、電圧調整装置(電力補償機器)を導入するよう協力を求めている。
【0006】
しかし一般に電圧調整装置は導入コストが高額であるため、需要家においてスムーズに電圧調整装置の導入が進まず、送配電線を通じて供給される電力に支障を与える需要家に補償料金を効率よく算出し、需要家に適切な課金を行うための仕組み作りが課題となっている。
【0007】
本発明はこのような背景に鑑みてなされたもので、補償料金を効率よく算出し、需要家に適切な課金を行うことが可能な、送配電線に与える電圧の支障を補償するための補償料金の課金方法、及び補償料金課金システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明の一つは、送配電線を通じて需要家に電力を供給する電力供給システムにおいて、前記需要家が前記電力を利用することにより前記送配電線に与える電圧の支障を補償するための補償料金の課金方法であって、前記需要家ごとに前記支障を補償する機能を備えた電圧調整装置を設け、前記電圧調整装置の夫々と通信可能に接続する情報処理装置を設け、前記電圧調整装置は、前記送配電線によって供給される電力に関する情報を計測して前記情報処理装置に送信し、前記情報処理装置は、前記電力に関する情報を受信し、受信した前記情報に基づき、前記電圧調整装置が補償すべき補償量の時間変化を求め、前記補償料金の計算対象となる期間を受け付け、求めた補償量の時間変化と、時刻及びその時刻における補償量に応じて設定された補償料金を示す情報が設定された単価表とに基づき、前記期間中における補償料金を求めることとする。
【0009】
本発明によれば、送配電線に与える電圧の支障を補償するための補償料金を効率よく算出して適切に課金することができる。
【0010】
本発明のうちの他の一つは、上記課金方法であって、前記送配電線によって供給される電力に関する情報は、前記需要家の消費電力、前記需要家に供給される電力の電圧実効値、前記需要家に供給される電力の電圧変動、前記需要家に供給される電力の歪み率、前記需要家に供給される電力における電圧フリッカ、及び前記需要家に供給される電力の電圧不平衡率、のうちの少なくともいずれかであり、前記情報処理装置は、前記情報ごとに前記期間中の補償料金を求めることとする。
【0011】
このように、補償料金を、電圧実効値、電圧変動、歪み率、電圧フリッカ、及び電圧不平衡率について個別に課金するので、個々の需要家の態様に応じてきめ細かな補償料金の課金を行うことができる。
【0012】
本発明のうちの他の一つは、上記課金方法であって、前記情報処理装置は、前記単価表として、平日の前記補償料金を求める際に利用する平日用の単価表と、休日の前記補償料金を求める際に利用する休日用の単価表とを管理し、前記期間内における平日の前記補償料金を算出する際は前記平日用の単価表を用い、前記期間内における休日の前記補償料金を算出する際は前記平日用の単価表を用いることとする。
【0013】
このように情報処理装置は、平日、休日を区別して補償料金を求めるので、需要家の利用実態に応じて適切に補償料金を課金することができる。
【0014】
本発明のうちの他の一つは、上記課金方法であって、前記情報処理装置は、前記電圧調整装置の補償能力に応じて定まる前記補償量の上限値を記憶し、前記補償量のうち前記上限値を超える分については、前記補償料金の課金対象としないこととする。
【0015】
このように情報処理装置は、補償量のうち上限値を超える分については補償料金の課金対象としないので、補償されていない分についてまで課金されてしまうのを防ぐことができる。
【0016】
本発明のうちの他の一つは、上記課金方法であって、前記電圧調整装置は、前記送配電線によって供給される電力の電圧実効値を計測するセンサと、前記電圧の支障を補償する電圧形インバータと、前記センサの計測値に基づき前記インバータを制御する制御回路と、前記情報処理装置と通信する通信装置とを備えることとする。
【0017】
その他、本願が開示する課題、及びその解決方法は、発明を実施するための形態の欄、及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、補償料金を効率よく算出して需要家に適切な課金を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施形態として説明する電力供給システム1の概略的な構成を示す図である。
【図2】電圧調整装置8のハードウエア構成である。
【図3】電圧調整装置8が備える機能を説明する図である。
【図4】計測値送信部33が情報処理装置10に電力に関する情報を送信する際のデータフォーマットの一例である。
【図5】情報処理装置10のハードウエア構成である。
【図6】情報処理装置10が備える機能を説明する図である。
【図7】計測値記憶部62が記憶する、時間ごとの電圧実効値の一例である。
【図8】計測値記憶部62が記憶する、時間ごとの歪み率の一例である。
【図9】計測値記憶部62が記憶する、時間ごとの電圧不平衡率の一例である。
【図10】計測値記憶部62が記憶する、時間ごとの電圧フリッカ(ΔV10)の一例である。
【図11】補償量算出部63が記憶する、需要家6ごとに設定された時間ごとの電圧変動補償量の一例である(グラフ形式)。
【図12】補償量算出部63が記憶する、需要家6ごとに設定された時間ごとの補償量の一例である(数値形式)。
【図13】補償量の上限値の一例である(数値形式)。
【図14】平日の補償料金の算出に際して用いられる単価表の一例である。
【図15】休日の補償料金の算出に際して用いられる単価表の一例である。
【図16】補償料金算出処理S1600を説明するフローチャートである。
【図17】選択した日が平日の場合の補償料金の算出例を示す図である。
【図18】選択した日が休日の場合の補償料金の算出例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、実施形態につき図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1に実施形態として説明する電力供給システム1の概略的な構成を示している。同図に示すように、電力供給システム1は、発電所2、変電所3、需要家4、変電所3から需要家4に電力を供給するための送配電線5(高圧送電線、低圧配電線等)、需要家6、電力供給システム1を維持、運用、管理等を行っている電力会社7、需要家6ごとに設けられる電圧調整装置8、電力会社7に設けられる情報処理装置10、及び電圧調整装置8と情報処理装置10とを通信可能に接続している通信ネットワーク50を含む。
【0021】
通信ネットワーク50は、例えば、インターネットや専用線(電力系統制御用情報伝送システム(CDT:Cyclic Digital data Transmission equipment)、メタル線、光ファイバ等)、電力線通信(PLC:Power Line Communication)等である。
【0022】
上記支障を補償(抑制)するための装置である電圧調整装置8が設けられている需要家6は、需要家6が送配電線5を通じて提供される電力を利用することにより、送配電線5による電力供給に支障を与える可能性のある需要家6である。上記支障としては、電圧変動、高調波拡大、電圧フリッカ、電圧不平衡などがある。
【0023】
図2に電圧調整装置8の一例を示している。同図に示す電圧調整装置8は、多機能型のアクティブフィルタである(例えば「多機能形アクティブフィルタの実証試験,エネルギア総合レビュー No.13,エネルギア総合研究所,坪根・藤井,2008年9月」を参照)。同図に示すように、電圧調整装置8は、主回路構成81、連系変圧器82、開閉器83(CT装置)、電圧検出センサ84(VT装置)、及び通信装置85を備えている。
【0024】
主回路構成81には、制御回路811及びインバータ812が含まれる。このうち制御回路11は、CPU(又はMPU)、メモリ、及び周辺回路と通信するための通信デバイス等を備える。制御回路811には、インバータ812、電圧検出センサ84、開閉器83、及び通信装置86が通信可能に接続している。制御回路811は、接続しているこれらの装置と随時通信を行いこれらの装置を制御する。
【0025】
インバータ812は、自励式無効電力補償装置(SVC(Static Var Compensator)やSVG(Static Var Generator)等)に類似する構成を有する電圧形インバータである。同図に示すように、インバータ812の直流側にはコンデンサ813が接続している。同図に示すように、インバータ812は、誘導素子814、連系変圧器82、及び開閉器83を介して送配電線5に接続している。
【0026】
開閉器83は、送配電線5とインバータ812との間の接続状態(接続/切断)を制御する。電圧検出センサ84は、開閉器83を介して送配電線5に接続しており、送配電線5を通じて需要家6に供給される電力の電圧値を計測する。通信装置85は、制御回路811を通信ネットワーク50に接続する、NIC(Network Interface Card)やPLCモデムなどの装置を含む。
【0027】
図3に電圧調整装置8が備える機能を示す。同図に示すように、電圧調整装置8は、計測部31、電圧調整部32、及び計測値送信部33を備える。
【0028】
このうち計測部31は、送配電線5から需要家6に供給される電力に関する情報(需要家6における消費電力、電圧実効値、電圧変動、歪み率(THD(Total Harmonic Distortion))、電圧フリッカ(ΔV10)、電圧不平衡率等)を計測して記憶する。
【0029】
電圧調整部32は、計測部31によって計測された電力に関する情報に基づき、送配電線5を通じて需要家6に供給される電力についての補償(電圧変動補償、高調波拡大補償、電圧フリッカ補償、電圧不平衡補償等)を行う。計測値送信部33は、計測部31によって計測された情報を通信ネットワーク50を介して情報処理装置10に随時送信する。
【0030】
図4は電圧調整装置8の計測値送信部33が情報処理装置10に上記情報を送信する際の送信データ(パケット)のデータフォーマットの一例である。同図に示すように、このデータフォーマットには、装置ID41、計測値種別42、計測値43などの情報が含まれる。
【0031】
このうち装置ID41には、上記情報を送信する電圧調整装置8に付与されている識別子(ID)が設定される。計測値種別42には、上記情報の種類(需要家6における消費電力、電圧実効値、電圧変動、歪み率、電圧フリッカ(ΔV10)、電圧不平衡率等)を特定する情報が設定される。計測値43には、計測部31によって計測された計測値が設定される。
【0032】
図5に情報処理装置10のハードウエア構成を示している。同図に示すように、情報処理装置10は、CPU11、主記憶装置12、外部記憶装置13、入力装置14、出力装置15、及び通信インタフェース16を備える。
【0033】
CPU11は、主記憶装置12に記憶されているプログラムを実行することにより情報処理装置10が提供する様々な機能を実現する。主記憶装置12は、例えば、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などの半導体記憶装置である。外部記憶装置13は、ハードディスクドライブやSSD(Solid State Drive)などの不揮発性の大容量記憶装置である。入力装置14は、ユーザから操作入力を受け付ける、キーボードやマウスなどのユーザインタフェースである。出力装置15は、例えば、表示装置(液晶モニタやブラウン管ディスプレイ等)や印刷装置(プリンタ)などのユーザインタフェースである。通信インタフェース16は、通信ネットワーク50に接続するためのインタフェースである。
【0034】
図6に情報処理装置10が備える機能を示している。同図に示すように、情報処理装置10は、計測値受信部61、計測値記憶部62、補償量算出部63、補償量記憶部64、補償量上限値記憶部65、単価表記憶部66、カレンダー情報記憶部67、及び補償料金算出部68の各機能を備えている。尚、これらの機能は、情報処理装置10が備えるハードウエアによって、もしくは、情報処理装置10のCPU11が、主記憶装置12や外部記憶装置13に格納されているプログラムを読み出して実行することにより実現される。
【0035】
同図における計測値受信部61は、電圧調整装置8から送られてくる計測値を受信する。計測値記憶部62は、計測値受信部61が計測した計測値を記憶する。
【0036】
図7乃至図10に、計測値記憶部62が記憶する計測値の一例を示す。図7は計測値記憶部62が記憶する時間ごとの電圧実効値の一例、図8は計測値記憶部62が記憶する時間ごとの歪み率の一例、図9は計測値記憶部62が記憶する時間ごとの電圧不平衡率の一例、図10は計測値記憶部62が記憶する時間ごとの電圧フリッカ(ΔV10)の一例である。
【0037】
補償量算出部63は、各需要家6における、時間ごとの補償量(電圧変動補償量、高調波拡大補償量、電圧フリッカ補償量、電圧不平衡補償量等)(補償量の時間変化)を求める。補償量算出部63は、計測値記憶部62が記憶している過去の計測値に基づき、ユーザなどによって登録されて予め記憶している、所定の計算式や相関係数を用いて、自動的に時間ごとの補償量を求める。補償量記憶部64は、補償量算出部63によって求められた補償量を記憶する。
【0038】
図11及び図12は、補償量算出部63が記憶する、需要家6ごとに設定された時間ごとの補償量の一例である(図11はグラフ形式示したものであり、図12は数値データで示したものである。)。
【0039】
尚、各需要家6における補償量は、必ずしも補償量算出部63によって自動的に求められたものである必要はない。例えば電力会社と需要家6との間で協議を行って取り決めた値であってもよい。取り決めによる場合は、例えば入力装置14を介して情報処理装置10に補償量を入力し、入力された補償料を補償量算出部63が各需要家6における補償量として記憶する。
【0040】
図6の補償量上限値記憶部65は、電圧調整装置8が補償可能な補償量の上限値を記憶する。補償量の上限値は、電圧調整装置8の性能や仕様、電圧調整装置8の設置環境(例えば複数の需要家6によって共用されているか否か等)によって定まる値である。
【0041】
図13に補償量の上限値の一例を示す。補償量の上限値は、例えば電力会社のオペレータが入力装置14を介して情報処理装置10に入力する。
【0042】
図6の単価表記憶部66は、後述する補償料金の算出に際し参照される、電圧変動補償、高調波拡大補償、電圧フリッカ補償、電圧不平衡補償などの補償種別ごとに用意された単価表を記憶する。単価表は、電力会社の担当者が入力装置14を介して情報処理装置10に登録する。
【0043】
図14に平日の補償料金の算出に際し用いられる単価表の一例を、図15に休日(祭日を含む)の補償料金の算出に際し用いられる単価表の一例を夫々示す。これらの図に示すように、単価表には、時間t(0:00〜24:00)及び補償量q(kvar)と、補償料金(C1〜Cn(円/kvar))との関係を示す情報が含まれている。
【0044】
図6のカレンダー情報記憶部67は、カレンダー情報(平日、休日(祭日を含む))を記憶する。カレンダー情報は、後述する補償料金の算出に際し、補償料金の計算対象となる日が平日であるか休日であるかを判断する際に参照される。
【0045】
補償料金算出部68は、補償量記憶部64が記憶している補償量、補償量上限値記憶部65が記憶している補償量の上限値、単価表記憶部66が記憶している単価表、及びカレンダー情報記憶部67が記憶しているカレンダー情報に基づき、各需要家6に請求する補償料金を求める。
【0046】
次に情報処理装置10の補償料金算出部68によって行われる補償料金の算出に関する処理(以下、補償料金算出処理S1600と称する。)について説明する。図16は、補償料金算出処理S1600を説明するフローチャートである。
【0047】
同図に示すように、まず補償料金算出部68は、入力装置14を介して、ユーザから、料金計算の対象となる補償種別(電圧変動補償、高調波拡大補償、電圧フリッカ補償、電圧不平衡補償)の指定を受け付ける(S1611)。次に補償料金算出部68は、入力装置14を介して、ユーザから、料金計算の対象となる期間(月単位、年単位、任意期間)の指定を受け付ける(S1612)。次に補償料金算出部68は、S1611で受け付けた補償種別の補償量上限値を、補償量上限値記憶部65から取得する(S1613)。
【0048】
続いて補償料金算出部68は、S1612で受け付けた期間中の一日を選択し(S1614)、S1611で受け付けた補償種別の、S1614で選択した日の補償量を、補償量記憶部64から取得する(S1615)。
【0049】
次に補償料金算出部68は、カレンダー情報記憶部67が記憶しているカレンダー情報に基づき、S1614で選択した日が平日であるか休日であるかを判断する(S1616)。そして選択した日が平日であれば(S1616:平日)、補償料金算出部68は、単価表記憶部66から平日の単価表を取得して補償料金を求める(S1617)。また選択した日が休日(祭日を含む)であれば(S1616:休日)、補償料金算出部68は、単価表記憶部66から休日の単価表を取得して補償料金を求める(S1618)。
【0050】
図17に選択した日が平日の場合の補償料金の算出例を、図18に休日の場合の補償料金の算出例を示す。これらの図に示すように、一日分の補償料金は、S1615で取得した各時間の補償量と単価表から取得される各時間に対応する補償料金単価との積の一日分の総和として求められる。例えば、図17の例の場合、一日分の補償料金は次式から求められる。
平日の一日分の補償料金=q1×C5+q2×C3+q3×C2+q4×C5 (式1)
【0051】
また図18の例の場合、一日分の補償料金は次式から求められる。
休日の一日分の補償料金=q5×C8+q6×C9+q7×C8 (式2)
【0052】
尚、補償料金算出部68は、補償量が、補償量上限値記憶部65が管理している各電圧調整装置8の補償量上限値を超えている部分については、その部分に対応する補償料金を加算しない。
【0053】
図16に戻り、次に補償料金算出部68は、S1617又はS1618で求めた補償料金を記憶する(S1619)。
【0054】
続いて補償料金算出部68は、S1612で受け付けた期間のうち、未選択の日があるか否かを判断する(S1620)。未選択の日があれば(S1620:YES)、S1612で受け付けた期間のうち、補償料金算出部68は、未選択の日を選択し(S1631)、選択した日についてS1615からの処理を繰り返す。一方、S1612で受け付けた期間中の全ての日を選択済であれば(S1620:NO)、S1621に進む。
【0055】
S1621では、補償料金算出部68は、S1619で記憶しておいた補償料金を集計することによりS1612で指定された対象期間中の補償料金を求める。そして補償料金算出部68は、求めた補償料金を出力装置15に出力する(S1622)。
【0056】
以上に説明したように、本実施形態の課金方法によれば、需要家6が電力を利用することにより送配電線5に与える電圧の支障を補償するための補償料金を効率よく算出し、需要家に適切な課金を行うことができる。
【0057】
また本実施形態の課金方法によれば、補償料金を、電圧実効値、電圧変動、歪み率、電圧フリッカ、及び電圧不平衡率といった補償種別に応じて個別に課金するので、個々の需要家6の態様に応じてきめ細かな補償料金の課金を行うことができる。
【0058】
また本実施形態の課金方法によれば、情報処理装置10は、平日、休日を区別して補償料金を求めるので、需要家6の利用実態に応じて適切に補償料金を課金することができる。
【0059】
また情報処理装置10は、補償量のうち上限値を超える分については補償料金の課金対象としないので、補償されていない分についてまで課金されてしまうのを防ぐことができる。
【0060】
尚、以上に説明した実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0061】
1 電力供給システム
3 変電所
5 送配電線
6 需要家
7 電力会社
8 電圧調整装置
10 情報処理装置
50 通信ネットワーク
61 計測値受信部
62 計測値記憶部
63 補償量算出部
64 補償量記憶部
65 補償量上限値記憶部
66 単価表記憶部
67 カレンダー情報記憶部
68 補償料金算出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送配電線を通じて需要家に電力を供給する電力供給システムにおいて、前記需要家が前記電力を利用することにより前記送配電線に与える電圧の支障を補償するための補償料金の課金方法であって、
前記需要家ごとに前記支障を補償する機能を備えた電圧調整装置を設け、
前記電圧調整装置の夫々と通信可能に接続する情報処理装置を設け、
前記電圧調整装置は、前記送配電線によって供給される電力に関する情報を計測して前記情報処理装置に送信し、
前記情報処理装置は、
前記電力に関する情報を受信し、
受信した前記情報に基づき、前記電圧調整装置が補償すべき補償量の時間変化を求め、
前記補償料金の計算対象となる期間を受け付け、
求めた補償量の時間変化と、時刻及びその時刻における補償量に応じて設定された補償料金を示す情報が設定された単価表とに基づき、前記期間中における補償料金を求める
ことを特徴とする補償料金の課金方法。
【請求項2】
請求項1に記載の補償料金の課金方法であって、
前記送配電線によって供給される電力に関する情報は、前記需要家の消費電力、前記需要家に供給される電力の電圧実効値、前記需要家に供給される電力の電圧変動、前記需要家に供給される電力の歪み率、前記需要家に供給される電力における電圧フリッカ、及び前記需要家に供給される電力の電圧不平衡率、のうちの少なくともいずれかであり、
前記情報処理装置は、前記情報ごとに前記期間中の補償料金を求める
ことを特徴とする補償料金の課金方法。
【請求項3】
請求項1に記載の補償料金の課金方法であって、
前記情報処理装置は、
前記単価表として、平日の前記補償料金を求める際に利用する平日用の単価表と、休日の前記補償料金を求める際に利用する休日用の単価表とを管理し、
前記期間内における平日の前記補償料金を算出する際は前記平日用の単価表を用い、
前記期間内における休日の前記補償料金を算出する際は前記平日用の単価表を用いる
ことを特徴とする補償料金の課金方法。
【請求項4】
請求項1に記載の補償料金の課金方法であって、
前記情報処理装置は、
前記電圧調整装置の補償能力に応じて定まる前記補償量の上限値を記憶し、
前記補償量のうち前記上限値を超える分については、前記補償料金の課金対象としない
ことを特徴とする補償料金の課金方法。
【請求項5】
請求項1に記載の補償料金の課金方法であって、
前記電圧調整装置は、
前記送配電線によって供給される電力の電圧実効値を計測するセンサと、
前記電圧の支障を補償する電圧形インバータと、
前記センサの計測値に基づき前記インバータを制御する制御回路と、
前記情報処理装置と通信する通信装置と
を備えることを特徴とする補償料金の課金方法。
【請求項6】
送配電線を通じて需要家に電力を供給する電力供給システムにおいて、前記需要家が前記電力を利用することにより前記送配電線に与える電圧の支障を補償するための補償料金の課金を行う補償料金課金システムであって、
前記需要家ごとに設けられる、前記支障を補償する機能を備えた電圧調整装置と、
前記電圧調整装置の夫々と通信可能に接続する情報処理装置と、
を備え、
前記電圧調整装置は、前記送配電線によって供給される電力に関する情報を計測して前記情報処理装置に送信し、
前記情報処理装置は、
前記電力に関する情報を受信し、
受信した前記情報に基づき、前記電圧調整装置が補償すべき補償量の時間変化を求め、
前記補償料金の計算対象となる期間を受け付け、
求めた補償量の時間変化と、時刻及びその時刻における補償量に応じて設定された補償料金を示す情報が設定された単価表とに基づき、前記期間中における補償料金を求める
ことを特徴とする補償料金課金システム。
【請求項7】
請求項6に記載の補償料金課金システムであって、
前記送配電線によって供給される電力に関する情報は、前記需要家の消費電力、前記需要家に供給される電力の電圧実効値、前記需要家に供給される電力の電圧変動、前記需要家に供給される電力の歪み率、前記需要家に供給される電力における電圧フリッカ、及び前記需要家に供給される電力の電圧不平衡率、のうちの少なくともいずれかであり、
前記情報処理装置は、前記情報ごとに前記期間中の補償料金を求める
ことを特徴とする補償料金課金システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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