送電用鉄塔の補強方法
【課題】送電用鉄塔基礎の不等沈下によって発生した支柱材の応力を緩和・解放した状態で送電用鉄塔を補強する。
【解決手段】送電用鉄塔の支柱材1を、ジャッキ4を介して支持鋼材3によって仮設支持する鉄塔支持工程と、送電用鉄塔基礎2の上端部のコンクリートを除去して内部の支柱材1を露出させた後、この露出した支柱材1の任意の箇所を切断予定位置とし、その上下部分の支柱材1に対して支圧板5を固設するとともに、前記切断予定位置で支柱材1を切断する支柱材切断工程と、前記切断部を含めた支柱材1の周囲に支柱材1とほぼ平行して複数の軸力筋6を配置するとともに、該軸力筋群の周囲に支柱材1の周方向に沿って螺旋状に螺旋鉄筋7を配置した後、その外周に型枠8を設置し、切断された前記支柱材を位置ズレさせた状態のままで前記送電用鉄塔基礎2と連続するようにコンクリートを打設するコンクリート打設工程とからなる。
【解決手段】送電用鉄塔の支柱材1を、ジャッキ4を介して支持鋼材3によって仮設支持する鉄塔支持工程と、送電用鉄塔基礎2の上端部のコンクリートを除去して内部の支柱材1を露出させた後、この露出した支柱材1の任意の箇所を切断予定位置とし、その上下部分の支柱材1に対して支圧板5を固設するとともに、前記切断予定位置で支柱材1を切断する支柱材切断工程と、前記切断部を含めた支柱材1の周囲に支柱材1とほぼ平行して複数の軸力筋6を配置するとともに、該軸力筋群の周囲に支柱材1の周方向に沿って螺旋状に螺旋鉄筋7を配置した後、その外周に型枠8を設置し、切断された前記支柱材を位置ズレさせた状態のままで前記送電用鉄塔基礎2と連続するようにコンクリートを打設するコンクリート打設工程とからなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟弱地盤帯に構築された送電用鉄塔において、送電用鉄塔基礎の不等沈下により発生した送電用鉄塔支柱材の応力を緩和・解放した状態で送電用鉄塔を補強する送電用鉄塔の補強方法に関する。
【背景技術】
【0002】
平野部の軟弱地盤帯では、高度経済成長期に、地下水のくみ上げ等により地盤沈下が発生し、地域によっては現在もこの傾向が続いている。このような地域に構築された送電用鉄塔のうち、比較的基礎への負荷荷重が大きい基幹系送電線用の鉄塔では、杭基礎や、より剛性の高いマット基礎が用いられているため、地盤沈下の影響を受けにくい。しかしながら、小規模な二次系送電線用の鉄塔では、一般に標準基礎といわれる逆T字型の独立基礎が多く採用されているため、地盤性状の影響を受けやすく、脚間の不等沈下が多数確認されている。
【0003】
従来より、軟弱地盤帯に構築された送電用鉄塔は、送電用鉄塔基礎の不等沈下が発生して、その沈下量が許容値を超えた場合には、何らかの補強工事もしくは鉄塔の立て替えが必要であった。
【0004】
従来の補強工法としては、例えば下記特許文献1では、図20に示されるように、送電用鉄塔主柱材50の切断すべき位置の上下部分にそれぞれ固定金具51、51を取り付け、これら固定金具51、51の両横側に、ジャッキ取付材52を介して主柱材50と平行に油圧ジャッキ53、53を装着し、次いで主柱材50の所定位置を切断し、当該油圧ジャッキ53、53により所定寸法のせり上げまたはせり下げを行った後、図21に示されるように、L型鋼の継ぎ材54で切断した支柱材50、50の上下を再結合する工法が開示されている。
【0005】
また、下記特許文献2では、多数のフランジ付き鋼管をボルトで接続した支柱から成る既設の鉄塔において、上下のフランジ付き鋼管の間にジャッキを介設して所要高さ押し上げ、フランジ間にスペーサを挿入してボルトで再接続する工法が開示されている。
【特許文献1】特開昭57−77761号公報
【特許文献2】特開2003−204612号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、支柱材は、切断後、送電用鉄塔基礎の不等沈下に伴う支柱材内部に蓄積された応力が解放されるものであるから、切断された支柱材が同軸上に位置することはほとんどなく、必ず両切断面間に水平方向(平面的な)のずれが生じる。ところが、上記特許文献1、2記載の発明では、例えば図21に示されるように、この水平方向のずれを強制的に同軸上に位置矯正し、切断後の支柱材50、50を継ぎ材54で再結合するものであるため、支柱材50、50には二次的な応力が残留することになるなどの問題があった。
【0007】
また、不等沈下量の分だけせり上げることによって、一時的に送電用鉄塔の傾斜が矯正されるものの、送電用鉄塔基礎の耐力不足により経時的にさらに沈下するおそれもあるため、鉄塔の補強工事とともに、送電用鉄塔基礎の耐力補強との組合せが容易な工法が強く望まれていた。
【0008】
そこで本発明の第1の課題は、送電用鉄塔基礎の不等沈下により発生した支柱材の応力を緩和・解放した状態で送電用鉄塔を補強することにある。
【0009】
第2に、前記送電用鉄塔の補強とともに、送電用鉄塔基礎の耐力を補強することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、送電用鉄塔基礎の不等沈下により、送電用鉄塔支柱材に発生した応力を緩和・解放する送電用鉄塔の補強方法であって、
前記送電用鉄塔の支柱材を、ジャッキを介して支持鋼材によって仮設支持する鉄塔支持工程と、送電用鉄塔基礎の上端部のコンクリートを除去して内部の支柱材を露出させた後、この露出した支柱材の任意の箇所を切断予定位置とし、その上下部分の支柱材に対して支圧板を固設するとともに、前記切断予定位置で支柱材を切断する支柱材切断工程と、前記切断部を含めた支柱材の周囲に補強鉄筋を配置するとともに、その外周に型枠を設置し、切断された前記支柱材を位置ズレさせた状態のままで前記送電用鉄塔基礎と連続するようにコンクリートを打設するコンクリート打設工程とからなる送電用鉄塔の補強方法が提供される。
【0011】
上記請求項1記載の本発明では、送電用鉄塔の支柱材を切断後、前記切断部を含めた支柱材の周囲に補強鉄筋を配置するとともに、その外周に型枠を設置し、切断された前記支柱材を位置ズレさせた状態のままで前記送電用鉄塔基礎と連続するようにコンクリートを打設するようにした。従って、送電用鉄塔基礎の不等沈下によって、支柱材に発生した応力を確実に緩和・解放した状態で送電用鉄塔を補強できるようになる。
【0012】
請求項2に係る本発明として、前記補強鉄筋は、前記支柱材とほぼ平行して配置された複数の軸力筋と、該軸力筋群の周囲に支柱材の周方向に沿って螺旋状に配置した螺旋鉄筋とからなる請求項1記載の送電用鉄塔の補強方法が提供される。
【0013】
上記請求項2記載の発明は、補強鉄筋を前記支柱材とほぼ平行して配置された複数の軸力筋と、該軸力筋群の周囲に支柱材の周方向に沿って螺旋状に配置した螺旋鉄筋とから構成するようにしたものであり、特に周方向鉄筋として螺旋鉄筋を用いることにより、定着長を抑えることができ、補修する躯体部分をコンパクト化できるようになるとともに、既設基礎柱体をコンクリートの打ち換え等を行わずに補強できるようになる。
【0014】
請求項3に係る本発明として、前記補強鉄筋を、前記送電用鉄塔基礎部分まで連続するように配置し、前記送電用鉄塔基礎と一体化を図るようにコンクリートを打設する請求項1、2いずれかに記載の送電用鉄塔の補強方法が提供される。
【0015】
上記請求項3記載の発明は、前記補強鉄筋(軸力筋及び螺旋鉄筋)を、前記送電用鉄塔基礎部分まで連続するように配置し(鉄塔基礎の上端部分を取り囲むように配置)、この補強鉄筋の配置領域にコンクリートを打設することにより、補強部分と鉄塔基礎部分とが一体的に接続され、より強固に補強が行われるようになる。これにより、支柱材のズレによって発生する送電用鉄塔基礎部分への応力増加に対しても補強が可能となる。
【0016】
請求項4に係る本発明として、事前に、前記送電用鉄塔基礎に近接し、かつ地表面に頭部を突出させた状態で1又は複数の補強用杭を打ち込んでおき、前記コンクリート打設工程において、前記補強用杭の地表面突出部を含めて、前記型枠を配置し、前記送電用鉄塔基礎と補強用杭との一体化を図るようにコンクリートを打設する請求項1〜3いずれかに記載の送電用鉄塔の補強方法が提供される。
【0017】
上記請求項4記載の本発明は、送電用鉄塔の補強と同時に、送電用鉄塔基礎の耐力増強を目的とするものであり、事前に、前記補強がなされる送電用鉄塔基礎に近接し、かつ地表面に頭部を突出させた状態で1又は複数の補強用杭を打ち込んでおき、前記コンクリート打設工程において、前記補強用杭の地表面突出部を含めて、前記型枠を配置し、前記送電用鉄塔基礎と補強用杭との一体化を図るようにコンクリートを打設することにより、鉄塔支柱の補強と同時に送電用鉄塔基礎の耐力補強が同時になされるようになる。
【0018】
請求項5に係る本発明として、送電用鉄塔基礎の配設領域全体にマット基礎を配設し、前記コンクリート打設工程で打設したコンクリートが前記マット基礎に接続して設けられる請求項1〜4いずれかに記載の送電用鉄塔の補強方法が提供される。
【0019】
上記請求項5記載の本発明も、送電用鉄塔の補強と同時に、送電用鉄塔基礎の耐力増強を目的とするものであり、送電用鉄塔基礎の配設領域全体にマット基礎を配設し、前記コンクリート打設工程で打設したコンクリートが前記マット基礎に接続して設けられることにより、送電用鉄塔基礎の床板の耐力とマット基礎の耐力との相互作用により、地耐力が一段と補強されるようになる。
【発明の効果】
【0020】
以上詳説のとおり本発明によれば、送電用鉄塔基礎の不等沈下により発生した支柱材の応力を緩和・解放した状態で送電用鉄塔の補強ができるようになる。また、鉄塔の補強と同時に、簡単に送電用鉄塔基礎の耐力補強が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
【0022】
本発明に係る送電用鉄塔の補強方法では、図1に示されるように、鉄塔を構成する複数の支柱材1、1…と、これら各支柱材1に対応して、コンクリート床板2Aと柱体2Bとからなる逆T字型の独立基礎(送電用鉄塔基礎2)が設けられた送電用鉄塔を対象とする。
【0023】
本発明に係る送電用鉄塔の補強方法は、送電用鉄塔基礎の不等沈下により、送電用鉄塔の支柱材1に発生した応力の緩和・解放を主たる目的として、送電用鉄塔を補強する方法である。以下、手順に沿って説明する。
【0024】
〔第1形態例〕
(鉄塔支持工程)
鉄塔支持工程では、図2及び図3に示されるように、送電用鉄塔の支柱材1をジャッキ4を介して支持鋼材3によって仮設支持し、必要に応じてジャッキ4の操作により送電用鉄塔の矯正を行う。支持鋼材3による支持方法は、図2に示されるように、支柱材1、1…の全体を支持する方法や、図3に示されるように、補強する送電用鉄塔基礎に対応した特定の支柱材1のみを支持する方法とすることができる。
【0025】
(支柱材切断工程)
その後、図4に示されるように、対象となる送電用鉄塔基礎2の周囲の表面土を掘り出し、送電用鉄塔基礎2の柱体2B上部を露出させるとともに、この送電用鉄塔基礎2の柱体上部(斜線部)のコンクリートを解体(はつり除去)して、内部の支柱材1を露出させる。そして、図5に示されるように、この露出した支柱材1の任意の箇所を切断予定位置とし、その上下部分の支柱材1に対して垂設するように複数段の、図示例では上下各2段の支圧板5、5…を固設し、その後、図6に示されるように、前記切断予定位置で支柱材1を切断する。なお、前記支圧板5は、支柱材1の切断後に固設するようにしてもよい。
【0026】
前記支圧板5は、例えば図7に示されるように、断面L字型を成す部材を用い、一方の面を支柱材1の各面から垂設させた状態で取付け、ボルト締め、溶接等により支柱材1に固設される。
【0027】
この支柱材1の切断後は、これまで送電用鉄塔基礎の不等沈下に伴う支柱材1の歪みにより、支柱材1の内部に蓄積していた応力が解放され、図6に示されるように、切断部上側の支柱材1と下側の支柱材1との間に位置ずれが生じるようになる。この位置ズレは、通常X、Y、Z方向の三次元的方向への位置ズレである。
【0028】
(コンクリート打設工程)
コンクリート打設工程では、先ず、図8に示されるように、前記切断部を含めた支柱材1の周囲に、支柱材1とほぼ平行して複数の軸力筋(兼曲げモーメント筋)6、6…を配置するとともに、該軸力筋群6、6…の周囲を支柱材1の周方向に沿って螺旋状に螺旋鉄筋7を配置する。その後、図9に示されるように、前記配筋の外周にコンクリート打設用の型枠8を設置し、切断された前記支柱材を位置ズレさせた状態のままで前記送電用鉄塔基礎2と連続するようにコンクリートを打設する。そして、図10に示されるように、前記型枠8を除去し、周囲を覆土して送電用鉄塔の補強工事を終える。
【0029】
このように、本発明に係る補強方法では、切断部における支柱材1、1間のずれを強制的に修正するのではなく、前記位置ズレした状態のまま、すなわち支柱材1に蓄積された応力を解放させた状態で、補強対策が行われるので、長期的に安定した補強がなされるようになる。
【0030】
なお、前記軸力筋6及び螺旋鉄筋7は、一般的な軸力筋とフープ筋との組合せとしても良い。また、前記軸力筋6としては、図8に示されるように、ロッド6aの両端にそれぞれヘッド6b、6bが設けられて構成された、所謂Tヘッドバーを用いるようにしてもよい。
【0031】
前記螺旋鉄筋7は、一般的に通常のフープ鉄筋に比して密に配置でき、構造耐力を高めることができるため、前記切断部の周囲に配置することにより、定着部の長さ(高さ)と幅を短く抑えることができるようになり、配筋時間も短縮できる本補強工法で採用するのが望ましい。また、鉄塔基礎2のコンクリート解体範囲が低減でき、工事時間の短縮化が図れるようになる。なお、本実施例では軸力筋6、6…の周囲に螺旋鉄筋7を配置するようにしたが、支柱材1が切断されていることから、これに代えて拘束鋼管(図示せず)を配置するようにしてもよい。
【0032】
また、図11に示されるように、前記軸力筋6及び螺旋鉄筋7を、前記送電用鉄塔基礎2部分まで連続して配置するとともに、この軸力筋6及び螺旋鉄筋7の配置領域にコンクリートを打設するようにしてもよい。これにより、鉄塔基礎2の補強も同時にでき、送電用鉄塔基礎2の強度を増すことができる。
【0033】
〔第2形態例〕
本発明の第2形態例に係る送電用鉄塔の補強方法は、送電用鉄塔の補強と同時に、送電用鉄塔基礎2の耐力増強を目的とするものである。具体的には、図12に示されるように、事前に、前述の補強がなされる送電用鉄塔基礎2に近接し、かつ地表面に頭部を突出させた状態で1又は複数の補強用杭10、10を打ち込んでおき、前述と同様に鉄塔支持工程、支柱材切断工程を経た後、コンクリート打設工程において、図13に示されるように、前記補強用杭10、10の地表面突出部を含めて、コンクリート打設用の型枠8を配置し、前記送電用鉄塔基礎2と連続してコンクリートを打設するようにする。
【0034】
このようにして構築した補強部Rは、図14及び図15に示されるように、送電用鉄塔の各独立基礎2、2…に施すことができ、これにより、既設鉄塔基礎のコンクリートの打ち換えや、鉄塔の建て替えなどの大規模な補強工事によらずに、送電用鉄塔が建った状態のまま、送電用鉄塔基礎2の耐力を個別的に強化できるようになる。
【0035】
〔第3形態例〕
本形態例も前記第2形態例と同様に、送電用鉄塔の補強と同時に、送電用鉄塔基礎2の耐力増強を目的とするものである。具体的には、図16及び図17に示されるように、送電用鉄塔基礎2、2…の配設領域全体にマット基礎11を配設し、前記コンクリート打設工程で打設した補強部Rが前記マット基礎11に接続して設けられるようにする。なお、マット基礎11と補強部Rとの定着力を高めるため、補強部Rのコンクリート形状に上方に向けて拡張したテーパを付けたり、螺旋配筋7を密に配置して型枠代わりとし、螺旋鉄筋7の内側にのみ事前にコンクリートを打設したりすることが好ましい。
【0036】
従来、鉄塔基礎をマット型のスラブで補強する場合、図18及び図19に示されるように、鉄塔基礎30、30…の柱体部分に定着部材33を取り付けて支柱材1と一体化させていた。かかる方法では、構造上、基礎30の柱体部(マットで補強された下部)の耐力不足により、スラブ梁31と送電用鉄塔基礎2、2…の足し合わせによる地耐力の増加が見込めず、自重増のため、杭32を打つ必要があった。
【0037】
しかし本形態例では、送電用鉄塔基礎2、2…の柱体部分が補強できるため、前述の床板の耐力とマット基礎11の耐力との相互作用により、地耐力が一体的に評価できるようになり、杭を省略できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】送電用鉄塔の全体図である。
【図2】送電用鉄塔の支持要領図(その1)である。
【図3】送電用鉄塔の支持要領図(その2)である。
【図4】送電用鉄塔基礎2のコンクリート解体部分を示す縦断面図である。
【図5】支柱材1の切断予定位置を示す縦断面図である。
【図6】支柱材1の切断後の状態を示す縦断面図である。
【図7】支柱材1への支圧板5の固設要領を示す、(A)は側面図、(B)はそのB−B線矢視図である。
【図8】鉄筋の配筋状態を示す縦断面図である。
【図9】コンクリートの打設状態を示す縦断面図である。
【図10】工事終了後の送電用鉄塔を示す縦断面図である。
【図11】他の形態例に係る鉄筋の配筋状態を示す縦断面図である。
【図12】第2形態例に係る杭10の打ち込み状態を示す縦断面図である。
【図13】第2形態例に係るコンクリートの打設状態を示す縦断面図である。
【図14】第2形態例に係る工事終了後の送電用鉄塔を示す縦断面図である。
【図15】その基礎伏図である。
【図16】第3形態例に係る工事終了後の送電用鉄塔を示す縦断面図である。
【図17】その基礎伏図である。
【図18】従来のマット基礎による補強後の送電用鉄塔を示す縦断面図である。
【図19】その基礎伏図である。
【図20】従来の送電用鉄塔の補強方法に使用される装置の側面図である。
【図21】継ぎ材54で結合した状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0039】
1…支柱材、2…送電用鉄塔基礎、3…支持鋼材、4…ジャッキ、5…支圧板、6…軸力筋、7…螺旋鉄筋、8…型枠
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟弱地盤帯に構築された送電用鉄塔において、送電用鉄塔基礎の不等沈下により発生した送電用鉄塔支柱材の応力を緩和・解放した状態で送電用鉄塔を補強する送電用鉄塔の補強方法に関する。
【背景技術】
【0002】
平野部の軟弱地盤帯では、高度経済成長期に、地下水のくみ上げ等により地盤沈下が発生し、地域によっては現在もこの傾向が続いている。このような地域に構築された送電用鉄塔のうち、比較的基礎への負荷荷重が大きい基幹系送電線用の鉄塔では、杭基礎や、より剛性の高いマット基礎が用いられているため、地盤沈下の影響を受けにくい。しかしながら、小規模な二次系送電線用の鉄塔では、一般に標準基礎といわれる逆T字型の独立基礎が多く採用されているため、地盤性状の影響を受けやすく、脚間の不等沈下が多数確認されている。
【0003】
従来より、軟弱地盤帯に構築された送電用鉄塔は、送電用鉄塔基礎の不等沈下が発生して、その沈下量が許容値を超えた場合には、何らかの補強工事もしくは鉄塔の立て替えが必要であった。
【0004】
従来の補強工法としては、例えば下記特許文献1では、図20に示されるように、送電用鉄塔主柱材50の切断すべき位置の上下部分にそれぞれ固定金具51、51を取り付け、これら固定金具51、51の両横側に、ジャッキ取付材52を介して主柱材50と平行に油圧ジャッキ53、53を装着し、次いで主柱材50の所定位置を切断し、当該油圧ジャッキ53、53により所定寸法のせり上げまたはせり下げを行った後、図21に示されるように、L型鋼の継ぎ材54で切断した支柱材50、50の上下を再結合する工法が開示されている。
【0005】
また、下記特許文献2では、多数のフランジ付き鋼管をボルトで接続した支柱から成る既設の鉄塔において、上下のフランジ付き鋼管の間にジャッキを介設して所要高さ押し上げ、フランジ間にスペーサを挿入してボルトで再接続する工法が開示されている。
【特許文献1】特開昭57−77761号公報
【特許文献2】特開2003−204612号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、支柱材は、切断後、送電用鉄塔基礎の不等沈下に伴う支柱材内部に蓄積された応力が解放されるものであるから、切断された支柱材が同軸上に位置することはほとんどなく、必ず両切断面間に水平方向(平面的な)のずれが生じる。ところが、上記特許文献1、2記載の発明では、例えば図21に示されるように、この水平方向のずれを強制的に同軸上に位置矯正し、切断後の支柱材50、50を継ぎ材54で再結合するものであるため、支柱材50、50には二次的な応力が残留することになるなどの問題があった。
【0007】
また、不等沈下量の分だけせり上げることによって、一時的に送電用鉄塔の傾斜が矯正されるものの、送電用鉄塔基礎の耐力不足により経時的にさらに沈下するおそれもあるため、鉄塔の補強工事とともに、送電用鉄塔基礎の耐力補強との組合せが容易な工法が強く望まれていた。
【0008】
そこで本発明の第1の課題は、送電用鉄塔基礎の不等沈下により発生した支柱材の応力を緩和・解放した状態で送電用鉄塔を補強することにある。
【0009】
第2に、前記送電用鉄塔の補強とともに、送電用鉄塔基礎の耐力を補強することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、送電用鉄塔基礎の不等沈下により、送電用鉄塔支柱材に発生した応力を緩和・解放する送電用鉄塔の補強方法であって、
前記送電用鉄塔の支柱材を、ジャッキを介して支持鋼材によって仮設支持する鉄塔支持工程と、送電用鉄塔基礎の上端部のコンクリートを除去して内部の支柱材を露出させた後、この露出した支柱材の任意の箇所を切断予定位置とし、その上下部分の支柱材に対して支圧板を固設するとともに、前記切断予定位置で支柱材を切断する支柱材切断工程と、前記切断部を含めた支柱材の周囲に補強鉄筋を配置するとともに、その外周に型枠を設置し、切断された前記支柱材を位置ズレさせた状態のままで前記送電用鉄塔基礎と連続するようにコンクリートを打設するコンクリート打設工程とからなる送電用鉄塔の補強方法が提供される。
【0011】
上記請求項1記載の本発明では、送電用鉄塔の支柱材を切断後、前記切断部を含めた支柱材の周囲に補強鉄筋を配置するとともに、その外周に型枠を設置し、切断された前記支柱材を位置ズレさせた状態のままで前記送電用鉄塔基礎と連続するようにコンクリートを打設するようにした。従って、送電用鉄塔基礎の不等沈下によって、支柱材に発生した応力を確実に緩和・解放した状態で送電用鉄塔を補強できるようになる。
【0012】
請求項2に係る本発明として、前記補強鉄筋は、前記支柱材とほぼ平行して配置された複数の軸力筋と、該軸力筋群の周囲に支柱材の周方向に沿って螺旋状に配置した螺旋鉄筋とからなる請求項1記載の送電用鉄塔の補強方法が提供される。
【0013】
上記請求項2記載の発明は、補強鉄筋を前記支柱材とほぼ平行して配置された複数の軸力筋と、該軸力筋群の周囲に支柱材の周方向に沿って螺旋状に配置した螺旋鉄筋とから構成するようにしたものであり、特に周方向鉄筋として螺旋鉄筋を用いることにより、定着長を抑えることができ、補修する躯体部分をコンパクト化できるようになるとともに、既設基礎柱体をコンクリートの打ち換え等を行わずに補強できるようになる。
【0014】
請求項3に係る本発明として、前記補強鉄筋を、前記送電用鉄塔基礎部分まで連続するように配置し、前記送電用鉄塔基礎と一体化を図るようにコンクリートを打設する請求項1、2いずれかに記載の送電用鉄塔の補強方法が提供される。
【0015】
上記請求項3記載の発明は、前記補強鉄筋(軸力筋及び螺旋鉄筋)を、前記送電用鉄塔基礎部分まで連続するように配置し(鉄塔基礎の上端部分を取り囲むように配置)、この補強鉄筋の配置領域にコンクリートを打設することにより、補強部分と鉄塔基礎部分とが一体的に接続され、より強固に補強が行われるようになる。これにより、支柱材のズレによって発生する送電用鉄塔基礎部分への応力増加に対しても補強が可能となる。
【0016】
請求項4に係る本発明として、事前に、前記送電用鉄塔基礎に近接し、かつ地表面に頭部を突出させた状態で1又は複数の補強用杭を打ち込んでおき、前記コンクリート打設工程において、前記補強用杭の地表面突出部を含めて、前記型枠を配置し、前記送電用鉄塔基礎と補強用杭との一体化を図るようにコンクリートを打設する請求項1〜3いずれかに記載の送電用鉄塔の補強方法が提供される。
【0017】
上記請求項4記載の本発明は、送電用鉄塔の補強と同時に、送電用鉄塔基礎の耐力増強を目的とするものであり、事前に、前記補強がなされる送電用鉄塔基礎に近接し、かつ地表面に頭部を突出させた状態で1又は複数の補強用杭を打ち込んでおき、前記コンクリート打設工程において、前記補強用杭の地表面突出部を含めて、前記型枠を配置し、前記送電用鉄塔基礎と補強用杭との一体化を図るようにコンクリートを打設することにより、鉄塔支柱の補強と同時に送電用鉄塔基礎の耐力補強が同時になされるようになる。
【0018】
請求項5に係る本発明として、送電用鉄塔基礎の配設領域全体にマット基礎を配設し、前記コンクリート打設工程で打設したコンクリートが前記マット基礎に接続して設けられる請求項1〜4いずれかに記載の送電用鉄塔の補強方法が提供される。
【0019】
上記請求項5記載の本発明も、送電用鉄塔の補強と同時に、送電用鉄塔基礎の耐力増強を目的とするものであり、送電用鉄塔基礎の配設領域全体にマット基礎を配設し、前記コンクリート打設工程で打設したコンクリートが前記マット基礎に接続して設けられることにより、送電用鉄塔基礎の床板の耐力とマット基礎の耐力との相互作用により、地耐力が一段と補強されるようになる。
【発明の効果】
【0020】
以上詳説のとおり本発明によれば、送電用鉄塔基礎の不等沈下により発生した支柱材の応力を緩和・解放した状態で送電用鉄塔の補強ができるようになる。また、鉄塔の補強と同時に、簡単に送電用鉄塔基礎の耐力補強が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
【0022】
本発明に係る送電用鉄塔の補強方法では、図1に示されるように、鉄塔を構成する複数の支柱材1、1…と、これら各支柱材1に対応して、コンクリート床板2Aと柱体2Bとからなる逆T字型の独立基礎(送電用鉄塔基礎2)が設けられた送電用鉄塔を対象とする。
【0023】
本発明に係る送電用鉄塔の補強方法は、送電用鉄塔基礎の不等沈下により、送電用鉄塔の支柱材1に発生した応力の緩和・解放を主たる目的として、送電用鉄塔を補強する方法である。以下、手順に沿って説明する。
【0024】
〔第1形態例〕
(鉄塔支持工程)
鉄塔支持工程では、図2及び図3に示されるように、送電用鉄塔の支柱材1をジャッキ4を介して支持鋼材3によって仮設支持し、必要に応じてジャッキ4の操作により送電用鉄塔の矯正を行う。支持鋼材3による支持方法は、図2に示されるように、支柱材1、1…の全体を支持する方法や、図3に示されるように、補強する送電用鉄塔基礎に対応した特定の支柱材1のみを支持する方法とすることができる。
【0025】
(支柱材切断工程)
その後、図4に示されるように、対象となる送電用鉄塔基礎2の周囲の表面土を掘り出し、送電用鉄塔基礎2の柱体2B上部を露出させるとともに、この送電用鉄塔基礎2の柱体上部(斜線部)のコンクリートを解体(はつり除去)して、内部の支柱材1を露出させる。そして、図5に示されるように、この露出した支柱材1の任意の箇所を切断予定位置とし、その上下部分の支柱材1に対して垂設するように複数段の、図示例では上下各2段の支圧板5、5…を固設し、その後、図6に示されるように、前記切断予定位置で支柱材1を切断する。なお、前記支圧板5は、支柱材1の切断後に固設するようにしてもよい。
【0026】
前記支圧板5は、例えば図7に示されるように、断面L字型を成す部材を用い、一方の面を支柱材1の各面から垂設させた状態で取付け、ボルト締め、溶接等により支柱材1に固設される。
【0027】
この支柱材1の切断後は、これまで送電用鉄塔基礎の不等沈下に伴う支柱材1の歪みにより、支柱材1の内部に蓄積していた応力が解放され、図6に示されるように、切断部上側の支柱材1と下側の支柱材1との間に位置ずれが生じるようになる。この位置ズレは、通常X、Y、Z方向の三次元的方向への位置ズレである。
【0028】
(コンクリート打設工程)
コンクリート打設工程では、先ず、図8に示されるように、前記切断部を含めた支柱材1の周囲に、支柱材1とほぼ平行して複数の軸力筋(兼曲げモーメント筋)6、6…を配置するとともに、該軸力筋群6、6…の周囲を支柱材1の周方向に沿って螺旋状に螺旋鉄筋7を配置する。その後、図9に示されるように、前記配筋の外周にコンクリート打設用の型枠8を設置し、切断された前記支柱材を位置ズレさせた状態のままで前記送電用鉄塔基礎2と連続するようにコンクリートを打設する。そして、図10に示されるように、前記型枠8を除去し、周囲を覆土して送電用鉄塔の補強工事を終える。
【0029】
このように、本発明に係る補強方法では、切断部における支柱材1、1間のずれを強制的に修正するのではなく、前記位置ズレした状態のまま、すなわち支柱材1に蓄積された応力を解放させた状態で、補強対策が行われるので、長期的に安定した補強がなされるようになる。
【0030】
なお、前記軸力筋6及び螺旋鉄筋7は、一般的な軸力筋とフープ筋との組合せとしても良い。また、前記軸力筋6としては、図8に示されるように、ロッド6aの両端にそれぞれヘッド6b、6bが設けられて構成された、所謂Tヘッドバーを用いるようにしてもよい。
【0031】
前記螺旋鉄筋7は、一般的に通常のフープ鉄筋に比して密に配置でき、構造耐力を高めることができるため、前記切断部の周囲に配置することにより、定着部の長さ(高さ)と幅を短く抑えることができるようになり、配筋時間も短縮できる本補強工法で採用するのが望ましい。また、鉄塔基礎2のコンクリート解体範囲が低減でき、工事時間の短縮化が図れるようになる。なお、本実施例では軸力筋6、6…の周囲に螺旋鉄筋7を配置するようにしたが、支柱材1が切断されていることから、これに代えて拘束鋼管(図示せず)を配置するようにしてもよい。
【0032】
また、図11に示されるように、前記軸力筋6及び螺旋鉄筋7を、前記送電用鉄塔基礎2部分まで連続して配置するとともに、この軸力筋6及び螺旋鉄筋7の配置領域にコンクリートを打設するようにしてもよい。これにより、鉄塔基礎2の補強も同時にでき、送電用鉄塔基礎2の強度を増すことができる。
【0033】
〔第2形態例〕
本発明の第2形態例に係る送電用鉄塔の補強方法は、送電用鉄塔の補強と同時に、送電用鉄塔基礎2の耐力増強を目的とするものである。具体的には、図12に示されるように、事前に、前述の補強がなされる送電用鉄塔基礎2に近接し、かつ地表面に頭部を突出させた状態で1又は複数の補強用杭10、10を打ち込んでおき、前述と同様に鉄塔支持工程、支柱材切断工程を経た後、コンクリート打設工程において、図13に示されるように、前記補強用杭10、10の地表面突出部を含めて、コンクリート打設用の型枠8を配置し、前記送電用鉄塔基礎2と連続してコンクリートを打設するようにする。
【0034】
このようにして構築した補強部Rは、図14及び図15に示されるように、送電用鉄塔の各独立基礎2、2…に施すことができ、これにより、既設鉄塔基礎のコンクリートの打ち換えや、鉄塔の建て替えなどの大規模な補強工事によらずに、送電用鉄塔が建った状態のまま、送電用鉄塔基礎2の耐力を個別的に強化できるようになる。
【0035】
〔第3形態例〕
本形態例も前記第2形態例と同様に、送電用鉄塔の補強と同時に、送電用鉄塔基礎2の耐力増強を目的とするものである。具体的には、図16及び図17に示されるように、送電用鉄塔基礎2、2…の配設領域全体にマット基礎11を配設し、前記コンクリート打設工程で打設した補強部Rが前記マット基礎11に接続して設けられるようにする。なお、マット基礎11と補強部Rとの定着力を高めるため、補強部Rのコンクリート形状に上方に向けて拡張したテーパを付けたり、螺旋配筋7を密に配置して型枠代わりとし、螺旋鉄筋7の内側にのみ事前にコンクリートを打設したりすることが好ましい。
【0036】
従来、鉄塔基礎をマット型のスラブで補強する場合、図18及び図19に示されるように、鉄塔基礎30、30…の柱体部分に定着部材33を取り付けて支柱材1と一体化させていた。かかる方法では、構造上、基礎30の柱体部(マットで補強された下部)の耐力不足により、スラブ梁31と送電用鉄塔基礎2、2…の足し合わせによる地耐力の増加が見込めず、自重増のため、杭32を打つ必要があった。
【0037】
しかし本形態例では、送電用鉄塔基礎2、2…の柱体部分が補強できるため、前述の床板の耐力とマット基礎11の耐力との相互作用により、地耐力が一体的に評価できるようになり、杭を省略できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】送電用鉄塔の全体図である。
【図2】送電用鉄塔の支持要領図(その1)である。
【図3】送電用鉄塔の支持要領図(その2)である。
【図4】送電用鉄塔基礎2のコンクリート解体部分を示す縦断面図である。
【図5】支柱材1の切断予定位置を示す縦断面図である。
【図6】支柱材1の切断後の状態を示す縦断面図である。
【図7】支柱材1への支圧板5の固設要領を示す、(A)は側面図、(B)はそのB−B線矢視図である。
【図8】鉄筋の配筋状態を示す縦断面図である。
【図9】コンクリートの打設状態を示す縦断面図である。
【図10】工事終了後の送電用鉄塔を示す縦断面図である。
【図11】他の形態例に係る鉄筋の配筋状態を示す縦断面図である。
【図12】第2形態例に係る杭10の打ち込み状態を示す縦断面図である。
【図13】第2形態例に係るコンクリートの打設状態を示す縦断面図である。
【図14】第2形態例に係る工事終了後の送電用鉄塔を示す縦断面図である。
【図15】その基礎伏図である。
【図16】第3形態例に係る工事終了後の送電用鉄塔を示す縦断面図である。
【図17】その基礎伏図である。
【図18】従来のマット基礎による補強後の送電用鉄塔を示す縦断面図である。
【図19】その基礎伏図である。
【図20】従来の送電用鉄塔の補強方法に使用される装置の側面図である。
【図21】継ぎ材54で結合した状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0039】
1…支柱材、2…送電用鉄塔基礎、3…支持鋼材、4…ジャッキ、5…支圧板、6…軸力筋、7…螺旋鉄筋、8…型枠
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送電用鉄塔基礎の不等沈下により、送電用鉄塔支柱材に発生した応力を緩和・解放する送電用鉄塔の補強方法であって、
前記送電用鉄塔の支柱材を、ジャッキを介して支持鋼材によって仮設支持する鉄塔支持工程と、送電用鉄塔基礎の上端部のコンクリートを除去して内部の支柱材を露出させた後、この露出した支柱材の任意の箇所を切断予定位置とし、その上下部分の支柱材に対して支圧板を固設するとともに、前記切断予定位置で支柱材を切断する支柱材切断工程と、前記切断部を含めた支柱材の周囲に補強鉄筋を配置するとともに、その外周に型枠を設置し、切断された前記支柱材を位置ズレさせた状態のままで前記送電用鉄塔基礎と連続するようにコンクリートを打設するコンクリート打設工程とからなる送電用鉄塔の補強方法。
【請求項2】
前記補強鉄筋は、前記支柱材とほぼ平行して配置された複数の軸力筋と、該軸力筋群の周囲に支柱材の周方向に沿って螺旋状に配置した螺旋鉄筋とからなる請求項1記載の送電用鉄塔の補強方法。
【請求項3】
前記補強鉄筋を、前記送電用鉄塔基礎部分まで連続するように配置し、前記送電用鉄塔基礎と一体化を図るようにコンクリートを打設する請求項1、2いずれかに記載の送電用鉄塔の補強方法。
【請求項4】
事前に、前記送電用鉄塔基礎に近接し、かつ地表面に頭部を突出させた状態で1又は複数の補強用杭を打ち込んでおき、前記コンクリート打設工程において、前記補強用杭の地表面突出部を含めて、前記型枠を配置し、前記送電用鉄塔基礎と補強用杭との一体化を図るようにコンクリートを打設する請求項1〜3いずれかに記載の送電用鉄塔の補強方法。
【請求項5】
送電用鉄塔基礎の配設領域全体にマット基礎を配設し、前記コンクリート打設工程で打設したコンクリートが前記マット基礎に接続して設けられる請求項1〜4いずれかに記載の送電用鉄塔の補強方法。
【請求項1】
送電用鉄塔基礎の不等沈下により、送電用鉄塔支柱材に発生した応力を緩和・解放する送電用鉄塔の補強方法であって、
前記送電用鉄塔の支柱材を、ジャッキを介して支持鋼材によって仮設支持する鉄塔支持工程と、送電用鉄塔基礎の上端部のコンクリートを除去して内部の支柱材を露出させた後、この露出した支柱材の任意の箇所を切断予定位置とし、その上下部分の支柱材に対して支圧板を固設するとともに、前記切断予定位置で支柱材を切断する支柱材切断工程と、前記切断部を含めた支柱材の周囲に補強鉄筋を配置するとともに、その外周に型枠を設置し、切断された前記支柱材を位置ズレさせた状態のままで前記送電用鉄塔基礎と連続するようにコンクリートを打設するコンクリート打設工程とからなる送電用鉄塔の補強方法。
【請求項2】
前記補強鉄筋は、前記支柱材とほぼ平行して配置された複数の軸力筋と、該軸力筋群の周囲に支柱材の周方向に沿って螺旋状に配置した螺旋鉄筋とからなる請求項1記載の送電用鉄塔の補強方法。
【請求項3】
前記補強鉄筋を、前記送電用鉄塔基礎部分まで連続するように配置し、前記送電用鉄塔基礎と一体化を図るようにコンクリートを打設する請求項1、2いずれかに記載の送電用鉄塔の補強方法。
【請求項4】
事前に、前記送電用鉄塔基礎に近接し、かつ地表面に頭部を突出させた状態で1又は複数の補強用杭を打ち込んでおき、前記コンクリート打設工程において、前記補強用杭の地表面突出部を含めて、前記型枠を配置し、前記送電用鉄塔基礎と補強用杭との一体化を図るようにコンクリートを打設する請求項1〜3いずれかに記載の送電用鉄塔の補強方法。
【請求項5】
送電用鉄塔基礎の配設領域全体にマット基礎を配設し、前記コンクリート打設工程で打設したコンクリートが前記マット基礎に接続して設けられる請求項1〜4いずれかに記載の送電用鉄塔の補強方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2008−208634(P2008−208634A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−46978(P2007−46978)
【出願日】平成19年2月27日(2007.2.27)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月27日(2007.2.27)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【Fターム(参考)】
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