送電線がいし装置における落滴防止装置
【課題】装置全体を伸縮可能な構造にすることで、がいし装置(がいし連)の長さに応じて伸縮した形状を自立して保持でき、養生の準備を短時間で終了させ、かつシリコン樹脂、塗料、溶剤等の落滴を防止できると共に、作業終了後に装置をコンパクトに折り畳むことができ、山間部などへ容易に運搬する。
【解決手段】がいし装置iの長手方向と同じ長さまで展開し、また折り畳める長方形状の枠材2と、がいし装置iから落滴する液体を受け止める落滴防止袋3と、枠材2をがいし装置i、架線C等に掛け止める吊り下げ具16とから成り、枠材2の展開又は折り畳みに応じて、落滴防止袋3の展開する広さを可変し得るように構成した。
【解決手段】がいし装置iの長手方向と同じ長さまで展開し、また折り畳める長方形状の枠材2と、がいし装置iから落滴する液体を受け止める落滴防止袋3と、枠材2をがいし装置i、架線C等に掛け止める吊り下げ具16とから成り、枠材2の展開又は折り畳みに応じて、落滴防止袋3の展開する広さを可変し得るように構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送電線鉄塔に備えられている送電線がいし装置の保守作業を行う際に用いる溶剤、シリコン樹脂等の液体の落滴を防止する送電線がいし装置における落滴防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
送電線に使用されているがいし装置について、その表面が汚損されないように定期的に保守作業を行っている。がいし装置は、その表面が汚損されると、絶縁性が低下し、耐電圧特性が低下する。そこで、塩塵による送電線がいし装置のコロナ対策として、シリコン樹脂塗布を実施している。しかし、がいし装置は風雨にさらされるとシリコン樹脂が剥離し、その効果が低下する。そこで、数年に1度シリコン樹脂の塗り替え作業などの保守作業を実施している。
【0003】
がいし装置のシリコン樹脂の塗り替え作業を実施する際には、送電線鉄塔上において、がいし装置の表面に塗布した古くなったシリコン樹脂をアルコール系の溶剤を浸み込ませたウエス等で剥ぎ取り、その後シリコン樹脂を塗布している。これらの除去と塗布の作業に際して、溶剤やシリコン樹脂が送電線鉄塔付近の民家等に落滴しないように注意して実施する。
【0004】
このような溶剤やシリコン樹脂が落滴しないように作業をするための技術に関しては種々提案されている。例えば特許文献1の特開平11−30041号公報「防護養生シート体」に示すように、鉄塔本体上部に水平方向に延びるアームを備える鉄塔で高所作業する際、アームを養生する仮設の防護養生シート体であって、アームを挟んで対向する2面のシートと、2面のシートをそれぞれ懸架させる2個の懸架フレームとを備え、各懸架フレームは、基端で鉄塔本体に着脱自在に連結され、水平又は斜め下方にかつアームと同じ方位に少なくともアームの先端より先方まで延在する支持部材と、支持部材の基端より高い位置で鉄塔本体に着脱自在に連結され、斜め下方に延びて、支持部材の中間で支持部材を吊って支持する上部斜方吊り部材と、支持部材の基端より低い位置で鉄塔本体に着脱自在に連結され、斜め上方に延びて支持部材の中間で支持部材を支持する下部斜支柱部材の少なくとも一方を有し、各シートは、上縁部で懸架フレームの支持部材に連結され、上縁部より懸架して下縁部でアームより下方に延在し、かつシートの外縁部のうちの少なくとも下縁部に2面のシート同士を相互に連結する連結具を備えている防護養生シート体が提案されている。
【0005】
また、特許文献2の特開2008−259937号公報「がいし装置への塗料等付着防止カバー及びその付着防止方法」に示すように、鉄塔に架設する電線を絶縁しながら支持するがいし装置のがいし部分を覆い、該鉄塔の塗装処理を行う際に、該がいし部分へ塗料等が付着することを防止するがいし装置への塗料等付着防止カバーであって、前記がいし装置のライン側アーキングホーンに掛け止める掛止め具を、先端に具備した操作棒と、塗料等の付着を防止するために、前記がいし部分に巻き付ける程度の面積を有し、かつ可撓性を有する略四角形状の保護シート材と、から成り、前記保護シート材の一辺両端は、前記操作棒の両先端に固定し、該保護シート材の両側縁に取り付けた複数の挿通リングをそれぞれ各操作棒に挿通させることにより、該保護シート材を前記がいし部分の長さに調節して該がいし部分に巻き付け得るように構成したがいし装置への塗料等付着防止カバーが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−30041号公報
【特許文献2】特開2008−259937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般に送電線がいし装置のシリコン樹脂の塗布、除去は、比較的短時間での作業であり、1日で複数の鉄塔へ移動して作業するため、軽量かつコンパクトな落滴防止装置であることが望ましい。しかし、特許文献1の「防護養生シート体」では、多数の部品からなり、その運搬、鉄塔上への荷揚げ・荷下ろし、組立て・解体といった作業工程が増え作業の安全性が低下しやすく、作業時間・労力を要するために作業コスト面で実用的ではないという問題は有していた。
【0008】
また、特許文献2の「がいし装置への塗料等付着防止カバー及びその付着防止方法」では、保護シート材をがいし装置の上部から覆い塗料等が付着することを防止する構成である。がいし装置のシリコン樹脂の塗布、除去作業のように、落滴を防止するためにはがいし装置下部へ袋状に設置すること、作業空間を確保のために付帯装置を設置する必要があり、このままシリコン樹脂溶剤等の落滴防止装置には流用しづらいという問題は有していた。
【0009】
本発明は、かかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、装置全体を伸縮可能な構造にすることで、がいし装置(がいし連)の長さに応じて伸縮した形状を自立して保持でき、養生の準備を短時間で終了させ、かつシリコン樹脂、塗料、溶剤等の落滴を防止できると共に、作業終了後に装置をコンパクトに折り畳むことができ、山間部などへ容易に運搬することができる送電線がいし装置における落滴防止装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、送電線がいし装置(i)の保守作業を行う際に用いる樹脂、塗料等の液体の落滴を防止する送電線がいし装置における落滴防止装置であって、前記がいし装置(i)の長手方向と同じ長さまで展開し、また折り畳める長方形状の枠材(2)と、前記がいし装置(i)から落滴する液体を受け止める、前記枠材(2)を最大限に展開したときの面積と同じ大きさを有し、かつ前記枠材(2)に開口縁(4)を取り付けられた落滴防止袋(3)と、前記枠材(2)を、前記がいし装置(i)、架線(C)、鉄塔腕金又は鉄塔(T)に掛け止める吊り下げ具(16)と、から成り、前記枠材(2)の展開又は折り畳みに応じて、前記落滴防止袋(3)の展開する広さを可変し得るように構成した、ことを特徴とする。
【0011】
例えば、前記枠材(2)は、短辺方向両側の短辺枠部材(5)と、各短辺枠部材(5)の両端に、複数本の連結部材(6)を連結した2組の長辺枠部材(7)をそれぞれ連結して長方形状にしたものであり、前記短辺枠部材(5)は、1本の棒状部材(32)の両端に前記連結部材(6)を連結すると共にその角度を規制するコーナー用角度調節板(8)を取り付けたものであり、前記長辺枠部材(7)は、複数本の連結部材(6)を連結した連結部に、一箇所置きに中間用角度調節板(19)を介在したものであり、前記短辺枠部材(5)に、前記落滴防止袋(3)の開口縁(4)と、前記吊り下げ具(16)を掛け止めるひも状部材(17)をそれぞれ取り付け、前記長辺枠部材(7)の各連結部材(6)に、前記落滴防止袋(3)の開口縁(4)を取り付けたものである。
【0012】
前記短辺枠部材(5)のコーナー用角度調節板(8)は、扇形状の板材であり、その扇形状の「かなめ」に相当する位置に連結孔(9)を開け、円弧形状に沿って数箇所の係合凹部(11)をそれぞれ形成したものであり、該短辺枠部材(5)の両端に、コーナー用角度調節板(8)の円弧形状部が向かい合うと共に、直線状の一辺が該短辺枠部材(5)の直線方向と平行になるように固定し、該コーナー用角度調節板(8)の連結孔(9)に、前記長辺枠部材(7)の各連結部材(6)の一端を回動可能に取り付けると共に、該連結部材(6)に出没自在に設けられた係合部(13)がコーナー用角度調節板(8)の係合凹部(11)に自在に係合するように構成したものである。
前記長辺枠部材(7)の中間用角度調節板(19)は、半円形状の板材であり、その半円形状の中心点に相当する位置に連結孔(9)を開け、半円形状に沿って数箇所の係合凹部(11)をそれぞれ形成したものであり、
各中間用角度調節板(19)は前記連結部材(6)の連結部分の一箇所置きに、該中間用角度調節板(19)の連結孔(9)に各連結部材(6)の連結部を回動可能に取り付けると共に、該連結部材(6)に設けられた係合部(13)が中間用角度調節板(19)の係合凹部(11)に自在に係合するように構成したものである。
【0013】
前記長辺枠部材(7)の中間用角度調節板(19)の直線状部分に、前記連結部材(6)が、該中間用角度調節板(19)から外れて過回動を防止するストッパ(18)を設けることが好ましい。
【0014】
また、本発明は、前記枠材(2)は、短辺方向両側の短辺枠部材(5)と、各短辺枠部材(5)の両端に、複数本の棒状部材(32)を連結した2組の長辺枠部材(7)をそれぞれ連結して長方形状にしたものであり、前記短辺枠部材(5)は、1本の部材の両端に前記棒状部材(32)を連結すると共にその角度を規制するコーナー用角度調節板(8)を取り付けたものであり、前記長辺枠部材(7)は、棒状部材(32)と、棒状の部材の一端に角度調節板部(33)を有する角度調節用棒状部材(34)とを交互に連結したものであり、前記短辺枠部材(5)に、前記落滴防止袋(3)の開口縁(4)と、吊り下げ具(16)を掛け止めるひも状部材(17)をそれぞれ取り付け、前記長辺枠部材(7)の各棒状部材(32)と各角度調節用棒状部材(34)に、前記落滴防止袋(3)の開口縁(4)を取り付けたことを特徴とする。
【0015】
前記角度調節用棒状部材(34)の角度調節板部(33)の外端縁に、前記棒状部材(32)が、該角度調節板部(33)から外れて過回動を防止するストッパ(18)を設けることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
上記本発明では、落滴防止装置(1)は、がいし装置(i)の下方の全域に拡げるように、鉄塔(T)、腕金又はがいし装置(i)、架線(C)等に吊り下げ、がいし装置(i)の保守作業に際して飛散しやすい溶剤、シリコン樹脂、塗料の落滴、更には工具などの様々なものを受け止めることができる。特に、短いがいし装置(i)に対しては、枠材(2)を折り曲げて落滴防止袋(3)と共にその全長を短くすることにより、架線(C)と鉄塔(T)又は腕金の間が狭い場合にも、この落滴防止装置(1)を安全に吊り下げることができる。逆に、長いがいし装置(i)に対しては、枠材(2)と落滴防止袋(3)を最大に展開して落滴防止装置(1)の全長を長くすることにより、広い範囲での落滴を防止することができる。
【0017】
また、この落滴防止装置(1)は、鉄塔(T)の上部において数箇所で掛け止める構成であるために、作業者自身がこの落滴防止装置(1)を保持している必要がないので、作業者は安定した姿勢で保守作業を実施することができる。
落滴防止装置(1)は、伸縮自在な構成であるために、コンパクトな形状にすることができ、多くの鉄塔がある山道での運搬や高所へ容易にかつ安全に運搬することができる。
この落滴防止装置(1)を用いることにより、従来のような大掛かりな鉄塔(T)、又はがいし装置(i)に対して養生を行う必要がないため、作業時間、作業工数、作業工事費の低減になる。
【0018】
また、棒状部材(32)と、棒状部材(32)の一端に角度調節板部(33)を有する角度調節用棒状部材(34)とを交互に連結した長辺枠部材(7)から成る落滴防止装置(31)では、棒状部材(32)と角度調節用棒状部材(34)とが互いに干渉しない構造になるために、枠材(2)を更にコンパクトに折り畳めることができる。そこで、この落滴防止装置(1)を容易に運搬することができ、鉄塔(T)の上部に安全に運搬でき、装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の送電作業における落滴防止装置を示す斜視図である。
【図2】実施例1の落滴防止装置を示し、(a)は一部省略した平面図、(b)は一部省略した正面図である。
【図3】短辺枠部材のコーナー用角度調節板を示し、(a)は平面図、(b)は正断面図である。
【図4】長辺枠部材の中間用角度調節板を示し、(a)は平面図、(b)は正断面図である。
【図5】落滴防止装置を鉄塔とがいし装置に装着した状態を示す斜視図である。
【図6】落滴防止装置を最大限伸張させた状態を示し、(a)は一部省略した平面図、(b)は一部省略した正面図である。
【図7】落滴防止装置の全体を少し縮めた状態を示し、(a)は一部省略した平面図、(b)は一部省略した正面図である。
【図8】落滴防止装置の全体を更に少し縮めた状態を示し、(a)は一部省略した平面図、(b)は一部省略した正面図である。
【図9】落滴防止装置の両端を部分的に縮めた状態を示し、(a)は一部省略した平面図、(b)は一部省略した正面図である。
【図10】実施例1の長辺枠部材の変形例を示し、(a)は一部省略した平面図、(b)は一部省略した正面図である。
【図11】実施例1の長辺枠部材の中間用角度調節板の変形例を示し、(a)は平面図、(b)は正断面図である。
【図12】実施例2の落滴防止装置を示し、(a)は棒状部材の平面図、(b)は角度調節用棒状部材の平面図、(c)は角度調節用棒状部材の正断面図である。
【図13】実施例2の落滴防止装置を示し、(a)は一部省略した平面図、(b)は一部省略した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の送電線がいし装置における落滴防止装置は、送電線鉄塔に備えられている送電線がいし装置の保守作業を行う際に用いる溶剤、シリコン樹脂等の液体が、周囲に飛散落滴することを防止する装置である。
【実施例1】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の送電作業における落滴防止装置を示す斜視図である。図2は実施例1の落滴防止装置を示し、(a)は一部省略した平面図、(b)は一部省略した正面図である。
実施例1の落滴防止装置1は、がいし装置iの長手方向と略同じ長さに展開でき、また折り畳めるように成る枠材2と、がいし装置iから落滴するシリコン樹脂、溶剤、塗料等の液体を受け止める落滴防止袋3とから成る装置である。落滴防止袋3は、枠材2を最大限に展開したときの広さと同じ大きさを有する。本発明の落滴防止装置1は、落滴防止袋3の開口縁4を枠材2に取り付け、この枠材2の展開又は折り畳みに追従させて落滴防止袋3が展開する広さを可変し得るようになっている。
【0022】
〈短辺枠部材〉
枠材2は、短辺方向の両側に2本の短辺枠部材5と、各短辺枠部材5の両端に、複数本の連結部材6を連結した2組の長辺枠部材7をそれぞれ連結して長方形状にしたものである。例えば短辺枠部材5は、25〜30cmの長さを有するパイプ状のアルミ製の部材である。容易に運搬できるように軽量な金属製の部材が好ましい。または剛性を有する合成樹脂製の素材を用いることも可能である。
【0023】
〈コーナー用角度調節板〉
図3は短辺枠部材のコーナー用角度調節板を示し、(a)は平面図、(b)は正断面図である。
短辺枠部材5には、1本の棒状の部材両端に長辺枠部材7を構成する連結部材6を連結すると共にその角度を規制するコーナー用角度調節板8を取り付けた。このコーナー用角度調節板8は、扇形状の板部材からなり、その扇形状の「要(かなめ)」に相当する位置に連結孔9を開け、連結部材6の端部を軸部材10で回動自在に連結してある。コーナー用角度調節板8には、円弧形状に沿って数箇所の係合凹部11をそれぞれ設けた。正確には連結孔9を回転の中心点として等距離かつ等角度ごとに数箇所の係合凹部11を設けた。
例えば、このコーナー用角度調節板8は、90度の角度を有する円弧形状の金属製の板材である。なお、この90度の角度には限定されない。これより少し広い角度になってもよい。また、係合凹部11は後述するボール12が止まれば良いので、コーナー用角度調節板8が薄い部材のときは貫通孔にしても良い(図示していない。)。
【0024】
このコーナー用角度調節板8は、図2(a)に示したように、短辺枠部材5の両端に、コーナー用角度調節板8の円弧形状部分が向かい合うと共に、直線の一辺が短辺枠部材5の直線方向と平行になるように固定する。これは、がいし装置iの横幅の長さは極端に変わることがないので、一定の長さにすることができる。また、短辺枠部材5に固定することにより、後述するように長辺枠部材7の角度調整が容易になるからである。
【0025】
コーナー用角度調節板8の連結孔9に、長辺枠部材7の各連結部材6の一端を回動可能に取り付ける。このように連結部材6を折り畳み可能にして、落滴防止袋3の面積を調整する。
【0026】
〈連結部材とコーナー用角度調節板との係合状態〉
コーナー用角度調節板8は、枠材2を構成する連結部材6の折り畳みの角度を規制するものである。そこで、連結部材6には、図3(b)の断面図に示すように、各係合凹部11に嵌脱するボール12が設けられている。例えば、連結部材6の係合部13は、この連結部材6の軸方向と直交する方向へ向けて開けたボール穴14内に例えばコイルばねのようなばね15とボール12を順番に収納したものである。このばね15の弾性力でボール12を出没自在に連結部材6の外周側へ押圧するように構成した。ボール穴14の開口部はばね15が外れないように、ボール12の外径より短い内径を有する。これらのボール12、ばね15は例えばステンレス等の酸化しない材料が適している。
【0027】
連結部材6がコーナー用角度調節板8に係合する状態、即ち角度調節する方法を説明する。
先ず、連結部材6をコーナー用角度調節板8の「要(かなめ)」点(連結孔9)を中心点にして回動する。このとき係合部13のボール12は、ばね15によりボール穴14内に沈み、連結部材6をコーナー用角度調節板8において回動させることができる。
【0028】
連結部材6をある程度回動させると、係合部13のボール12が係合凹部11に到達し、このボール12はばね15により浮き上がり(図示例では下方へ飛び出し)、係合凹部11内に係合して抜け止めとしての機能を果たす。これにより、コーナー用角度調節板8の所望の係合凹部11の位置で固定することができる。更に別の角度に曲げたいときは、同様な動作を繰り返すことにより、コーナー用角度調節板8に対する連結部材6の角度を可変することができる。
【0029】
〈連結部材とコーナー用角度調節板との係合状態の変形例〉
連結部材6の係合部13は、図3(b)の断面図に示したボール12とばね15を内装したボール穴14の構成に限定されない。例えば、ボール12に代えて、連結部材6内に溝を軸方向に形成し、この溝内に先端が球体を成す位置決め用突起部を出没自在に収納した構成でもよい(図示していない)。この位置決め用突起部は、溝内において連結部材6の溝内に回動軸で出没自在に軸止すると共に、この位置決め用突起部を連結部材6の周囲外方向へ押し出すようにコイルスプリング、板ばね等の弾性部材をその位置決め用突起部間に介在する。この位置決め用突起部は、連結部材6の外周より突出させ、また溝内に押し込むことができる。位置決め用突起部は、弾性部材の押圧力で突出したときは、位置決め用突起部がコーナー用角度調節板8の所望の係合凹部11に引っ掛かるようすることも可能である。
【0030】
短辺枠部材5には、図1に示したように、落滴防止袋3の開口縁4以外に、吊り下げ具16を掛け止めるひも状部材17をそれぞれ取り付けた。吊り下げ具16は、がいし装置i、架線C、鉄塔腕金又は鉄塔Tに掛け止めることにより、本発明の落滴防止装置1を吊り下げる。
【0031】
〈コーナー用角度調節板の過回動防止ストッパ〉
短辺枠部材5のコーナー用角度調節板8の外端縁に、長辺枠部材7を構成する連結部材6が、コーナー用角度調節板8から外れて過回動することを防止するストッパ18を設けることが好ましい。例えば、過回動防止ストッパ18はコーナー用角度調節板8の連結部材6を連結した直線辺に舌片をこの連結部材6が連結されている側に立ち上げたものである。
または、図示していないが、コーナー用角度調節板8の直線辺の一部に突起を設け、この突起に当接する突起を連結部材6側に設けたものでも良い。
【0032】
〈長辺枠部材〉
図4は長辺枠部材の中間用角度調節板を示し、(a)は平面図、(b)は正断面図である。
枠材2を構成する長辺枠部材7は、図4に示すように、複数本の連結部材6を軸部材10で連結したものである。各連結部材6は軸部材10部分で折り曲げ自在になる。連結部材6は、例えば10〜15cmの長さを有するパイプ状のアルミ製の部材である。運搬が容易になるように軽量な金属製の部材が好ましい。あるいは、剛性を有する合成樹脂製の素材を用いることも可能である。連結部材6の連結個数の多少により枠材2の長さが決まる。
【0033】
〈中間用角度調節板〉
中間用角度調節板19は、連結部材6の連結部に、一箇所置きに介在する。中間用角度調節板19は、半円形状の板材であり、扇の「要(かなめ)」に相当する位置に連結孔20を開け、ここで各連結部材6の端部を軸部材10で回動自在に連結する。中間用角度調節板19は、コーナー用角度調節板8と略同様に円弧形状に沿って数箇所の係合凹部11をそれぞれ設けた。正確には連結孔20を回動の中心点として等距離かつ等角度ごとに数箇所の係合凹部11を設けた。
【0034】
中間用角度調節板19の係合凹部11に、上述した連結部材6の係合部13のボール12を係合させる。即ち連結部材6をある程度回動させると、係合部13のボール12が中間用角度調節板19の係合凹部11に到達し、このボール12はばね15により浮き上がり(図示例では下方へ飛び出し)、係合凹部11内に係合して抜け止めとしての機能を果たす。これにより、中間用角度調節板19の所望の係合凹部11の位置で固定することができる。1枚の中間用角度調節板19で2本の連結部材6の角度を規制することができる。
このように、中間用角度調節板19で複数本の連結部材6を連結した長辺枠部材7は、連結部材6を折り畳み可能にして、落滴防止袋3の面積を調整する。
【0035】
〈中間用角度調節板の過回動防止ストッパ〉
長辺枠部材7の中間用角度調節板19の外端縁に、長辺枠部材7の連結部材6が、中間用角度調節板19から外れて過回動することを防止するストッパ18を設けた。中間用角度調節板19の連結部材6を連結した直線辺に、2箇所に舌片をこの連結部材6が連結されている側に立ち上げたものである。または、中間用角度調節板19の直線辺の一部に突起を設け、この突起に当接する突起を連結部材6側に設けたものでも良い(図示していない)。
【0036】
〈落滴防止袋〉
この短辺枠部材5と、長辺枠部材7を構成するこれらの連結部材6に、落滴防止袋3の開口縁4を取り付ける。落滴防止袋3の開口縁4の複数箇所に紐状の部材又はベルト状の部材を取り付け、これらを短辺枠部材5と、長辺枠部材7(連結部材6)に連結して吊り下げるようにする。
【0037】
落滴防止袋3は、枠材2を最大限に拡げたときと同じ広さを有する長方形状の底部と、この底部の周囲から立ち上げるように周縁部とを形成した上方が開放された箱状のものである、その素材としては、フレキシブルな素材が好ましい。枠材2の折り畳みに追従して変形する必要があるからである。例えば、ポリエステル等の合成樹脂製シート、布製シートなどが好ましい。但し、がいし装置iのシリコン樹脂の塗り替え作業を実施する際に、シリコン樹脂を剥ぎ取るときに、アルコール系の溶剤を浸み込ませたウエス等を用いるので、これらの溶剤で損傷を受けない程度の耐久性は要求される。
落滴防止袋3の周縁部には、図1、図2に示したように、長辺枠部材7の連結部材6の連結部分と中間用角度調節板19の連結部分での折れ曲がりに追従しやすいように、折り目21を付けておく。この折り目21を付けておくことで、使用しないときに、コンパクトに畳めるようになる。更に、落滴防止袋3の強度を高めるために補強番線22を入れる。
【0038】
〈装着状態〉
図5は落滴防止装置を鉄塔とがいし装置に装着した状態を示す斜視図である。
このように構成した落滴防止装置1は、枠材2と共に落滴防止袋3を、がいし装置iの下方の全域に拡げ、吊り下げ具16を鉄塔T、腕金又はがいし装置i、架線Cに掛け止めて吊り下げる。この状態でがいし装置iの保守作業を行う。この保守作業に際して飛散する、溶剤、シリコン樹脂、塗料の落滴を始め、更には工具などの様々なものを落滴防止袋3で受け止めることができる。図示例では、作業用の梯子Lを送電線(架線)Cと鉄塔Tに掛け止めている。
【0039】
落滴防止装置1は、短いがいし装置iに対しては、図5に示すように、枠材2を折り曲げて落滴防止袋3と共に落滴防止装置1の全長を短くすることにより、架線Cと鉄塔T又は腕金の間が狭い場合にも、この落滴防止装置1安全に吊り下げることができる。逆に、長いがいし装置iに対しては、枠材2と落滴防止袋3を最大に展開して落滴防止装置1の全長を長くすることにより、広い範囲での落滴を防止することができる。
【0040】
また、この落滴防止装置1は、鉄塔Tの上部において数箇所で掛け止める構成であるために、作業者自身がこの落滴防止装置1を保持している必要がない。即ち、作業者は安定した姿勢で保守作業を実施することができる。
【0041】
図6から図9は落滴防止装置を伸縮させる状態を示すものであり、図6は落滴防止装置を最大限伸張させた状態を示し、(a)は一部省略した平面図、(b)は一部省略した正面図である。
本発明の落滴防止装置1は、連結部材6を中間用角度調節板19部分で角度を調節することにより、落滴防止装置1の全長L1〜L4を調節することができる。例えば、長いがいし装置iの保守作業を行う際には、図6(a)、(b)に示すように、長辺枠部材7の全部の連結部材6を一直線状の状態にする。このとき落滴防止袋3も同じように全長L1まで展開される。連結部材6は中間用角度調節板19で仮止めされているので、所望の長さで維持することができ、保守作業中に落滴防止装置1の全長L1が変化するという不具合は生じない。
【0042】
また、1箇所の保守作業が終了したら、落滴防止装置1の枠材2を縮める際に、落滴防止袋3の周縁部には、長辺枠部材7の連結部材6の連結部分と中間用角度調節板19の連結部分に折り目21があるので、折り曲げやすくコンパクトに畳めることができる。さらに、
【0043】
図7は落滴防止装置の全体を少し縮めた状態を示し、(a)は一部省略した平面図、(b)は一部省略した正面図である。図8は落滴防止装置の全体を更に少し縮めた状態を示し、(a)は一部省略した平面図、(b)は一部省略した正面図である。
次に、図6に示した状態から、連結部材6を中間用角度調節板19部分で角度を変える。図7(a)、(b)に示すように、落滴防止装置1の全長L2をやや短くすることができる。更に、図8(a)、(b)に示すように、落滴防止装置1の全長L3を更に短くすることができる。このときも連結部材6は中間用角度調節板19で仮止めされているので、所望の長さを維持することができる。
【0044】
図9は落滴防止装置の両端を部分的に縮めた状態を示し、(a)は一部省略した平面図、(b)は一部省略した正面図である。
なお、連結部材6は中間用角度調節板19部分で自由に角度調節することができるので、図7、図8に示すように、常に全連結部材6を同様な角度に調節する必要はない。例えば、図9(a)、(b)に示すように、中間は連結部材6を一直線状の状態にし、両端は部分的に縮めた状態にして縮めることができる。このようにすることで、がいし装置iの下方が、落滴防止装置1の横幅を広い状態を維持しながら、落滴防止装置1の全長L4を短くすることができる。
落滴防止装置1を運搬又は保管するときは、図8に示す状態から更に縮めてコンパクトな状態にする。長期に使用しないときは、枠材2と落滴防止袋3とを分離して保管することも可能である。
【0045】
〈連結部材と中間用角度調節板との連結構造の変形例〉
図10は実施例1の長辺枠部材の変形例を示し、(a)は一部省略した平面図、(b)は一部省略した正面図である。図11は実施例1の長辺枠部材の中間用角度調節板の変形例を示し、(a)は平面図、(b)は正断面図である。
この実施例1の変形例では、連結部材6の下側に中間用角度調節板19を連結し、この中間用角度調節板19の下側に、隣接する連結部材6を連結した。これは、実施例1の落滴防止装置1を折り畳むときに、隣接する中間用角度調節板19が干渉しないようにしたものである。
【0046】
この変形例によれば、落滴防止装置1を短くして使用するときに、全部の連結部材6をジグザグに折り曲げる必要はなく、半分は直線状に展開するが、残りの半分の連結部材(6)はより接近した状態に折り畳む状態で使用することができる。
【実施例2】
【0047】
図12は実施例2の落滴防止装置を示し、(a)は棒状部材の平面図、(b)は角度調節用棒状部材の平面図、(c)は角度調節用棒状部材の正断面図である。図13は実施例2の落滴防止装置を示し、(a)は一部省略した平面図、(b)は一部省略した正面図である。
実施例2の送電作業における落滴防止装置31は、枠材2を構成する長辺枠部材7が、実施例1の構成と相違する。実施例2の長辺枠部材7は、棒状部材32と、棒状部材の一端に角度調節機能がある角度調節板部33を有する角度調節用棒状部材34とを交互に連結した。実施例2の落滴防止装置31は、一方の棒状部材に角度調節機能を付与して、実施例1のような別体の中間用角度調節板19を省いた。このように構成することで、部品点数が減少すると共に、中間用角度調節板19が干渉し合うことなく、落滴防止装置(1)をコンパクトに折り畳むことができる。
【0048】
〈角度調節用棒状部材〉
実施例2の角度調節用棒状部材34は、棒状部材の一端に半円形状の角度調節板部32を有する。この角度調節板部33は、半円形状の板材に扇の「要(かなめ)」に相当する位置に連結孔35を開け、ここで棒状部材32の端部を連結している。更に、実施例1の中間用角度調節板19と略同様に円弧形状に沿って数箇所の係合凹部11をそれぞれ設けた。角度調節用棒状部材34の他端は、単純に棒状部材32の一端に連結する連結孔36が開けられている。
【0049】
〈棒状部材〉
一方、棒状部材32の一端(図12(a)では右側)は、単に角度調節用棒状部材33と軸部材10で折り曲げ可能に連結されている。棒状部材32の他端(図12(a)では左側)には、隣接する角度調節用棒状部材34の角度調節板部33の連結孔35に回動自在に連結されている。更に、この棒状部材32の他端には、図12(c)の断面図に示すように、数箇所の係合凹部11に係合するように出没自在のボール12を設けている。例えば棒状部材32の軸方向と直交する方向へ向けて開けたボール穴14内に例えばコイルばねのようなばね15とボール12を順番に収納したものである。
【0050】
〈連結部材と角度調節用棒状部材との連結構造の変形例〉
この実施例2の構成でも、棒状部材32の下側に角度調節用棒状部材34を連結し、更にこの角度調節用棒状部材34の下側に、隣接する棒状部材32を連結した。これは、実施例2の落滴防止装置31を折り畳むときに、隣接する角度調節用棒状部材34の角度調節板部33が干渉しないようにしたものである。
【0051】
なお、本発明は、落滴防止装置1、31を伸縮可能な構造にすることで、がいし装置iのがいし連の長さに応じて伸縮した形状を自立して保持でき、養生の準備を短時間で終了させ、かつ落滴を完全に防止できると共に、落滴防止装置1、31をコンパクトに折り畳むことができ、山間部などへ容易に運搬することができれば、上述した発明の実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の送電線がいし装置における落滴防止装置は、高圧送電線や発変電所の変電機器に限定されず、その他の塗料、溶剤、工具を高所において使用する作業などにも利用することができる。
【符号の説明】
【0053】
1,31 落滴防止装置
2 枠材
3 落滴防止袋
4 開口縁
5 短辺枠部材
6 連結部材
7 長辺枠部材
8 コーナー用角度調節板
9 連結孔
11 係合凹部
13 係合部
16 吊り下げ具
17 ひも状部材
18 ストッパ
19 中間用角度調節板
32 棒状部材
33 角度調節板部
34 角度調節用棒状部材
i がいし装置
C 架線(送電線)、
T 鉄塔
【技術分野】
【0001】
本発明は、送電線鉄塔に備えられている送電線がいし装置の保守作業を行う際に用いる溶剤、シリコン樹脂等の液体の落滴を防止する送電線がいし装置における落滴防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
送電線に使用されているがいし装置について、その表面が汚損されないように定期的に保守作業を行っている。がいし装置は、その表面が汚損されると、絶縁性が低下し、耐電圧特性が低下する。そこで、塩塵による送電線がいし装置のコロナ対策として、シリコン樹脂塗布を実施している。しかし、がいし装置は風雨にさらされるとシリコン樹脂が剥離し、その効果が低下する。そこで、数年に1度シリコン樹脂の塗り替え作業などの保守作業を実施している。
【0003】
がいし装置のシリコン樹脂の塗り替え作業を実施する際には、送電線鉄塔上において、がいし装置の表面に塗布した古くなったシリコン樹脂をアルコール系の溶剤を浸み込ませたウエス等で剥ぎ取り、その後シリコン樹脂を塗布している。これらの除去と塗布の作業に際して、溶剤やシリコン樹脂が送電線鉄塔付近の民家等に落滴しないように注意して実施する。
【0004】
このような溶剤やシリコン樹脂が落滴しないように作業をするための技術に関しては種々提案されている。例えば特許文献1の特開平11−30041号公報「防護養生シート体」に示すように、鉄塔本体上部に水平方向に延びるアームを備える鉄塔で高所作業する際、アームを養生する仮設の防護養生シート体であって、アームを挟んで対向する2面のシートと、2面のシートをそれぞれ懸架させる2個の懸架フレームとを備え、各懸架フレームは、基端で鉄塔本体に着脱自在に連結され、水平又は斜め下方にかつアームと同じ方位に少なくともアームの先端より先方まで延在する支持部材と、支持部材の基端より高い位置で鉄塔本体に着脱自在に連結され、斜め下方に延びて、支持部材の中間で支持部材を吊って支持する上部斜方吊り部材と、支持部材の基端より低い位置で鉄塔本体に着脱自在に連結され、斜め上方に延びて支持部材の中間で支持部材を支持する下部斜支柱部材の少なくとも一方を有し、各シートは、上縁部で懸架フレームの支持部材に連結され、上縁部より懸架して下縁部でアームより下方に延在し、かつシートの外縁部のうちの少なくとも下縁部に2面のシート同士を相互に連結する連結具を備えている防護養生シート体が提案されている。
【0005】
また、特許文献2の特開2008−259937号公報「がいし装置への塗料等付着防止カバー及びその付着防止方法」に示すように、鉄塔に架設する電線を絶縁しながら支持するがいし装置のがいし部分を覆い、該鉄塔の塗装処理を行う際に、該がいし部分へ塗料等が付着することを防止するがいし装置への塗料等付着防止カバーであって、前記がいし装置のライン側アーキングホーンに掛け止める掛止め具を、先端に具備した操作棒と、塗料等の付着を防止するために、前記がいし部分に巻き付ける程度の面積を有し、かつ可撓性を有する略四角形状の保護シート材と、から成り、前記保護シート材の一辺両端は、前記操作棒の両先端に固定し、該保護シート材の両側縁に取り付けた複数の挿通リングをそれぞれ各操作棒に挿通させることにより、該保護シート材を前記がいし部分の長さに調節して該がいし部分に巻き付け得るように構成したがいし装置への塗料等付着防止カバーが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−30041号公報
【特許文献2】特開2008−259937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般に送電線がいし装置のシリコン樹脂の塗布、除去は、比較的短時間での作業であり、1日で複数の鉄塔へ移動して作業するため、軽量かつコンパクトな落滴防止装置であることが望ましい。しかし、特許文献1の「防護養生シート体」では、多数の部品からなり、その運搬、鉄塔上への荷揚げ・荷下ろし、組立て・解体といった作業工程が増え作業の安全性が低下しやすく、作業時間・労力を要するために作業コスト面で実用的ではないという問題は有していた。
【0008】
また、特許文献2の「がいし装置への塗料等付着防止カバー及びその付着防止方法」では、保護シート材をがいし装置の上部から覆い塗料等が付着することを防止する構成である。がいし装置のシリコン樹脂の塗布、除去作業のように、落滴を防止するためにはがいし装置下部へ袋状に設置すること、作業空間を確保のために付帯装置を設置する必要があり、このままシリコン樹脂溶剤等の落滴防止装置には流用しづらいという問題は有していた。
【0009】
本発明は、かかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、装置全体を伸縮可能な構造にすることで、がいし装置(がいし連)の長さに応じて伸縮した形状を自立して保持でき、養生の準備を短時間で終了させ、かつシリコン樹脂、塗料、溶剤等の落滴を防止できると共に、作業終了後に装置をコンパクトに折り畳むことができ、山間部などへ容易に運搬することができる送電線がいし装置における落滴防止装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、送電線がいし装置(i)の保守作業を行う際に用いる樹脂、塗料等の液体の落滴を防止する送電線がいし装置における落滴防止装置であって、前記がいし装置(i)の長手方向と同じ長さまで展開し、また折り畳める長方形状の枠材(2)と、前記がいし装置(i)から落滴する液体を受け止める、前記枠材(2)を最大限に展開したときの面積と同じ大きさを有し、かつ前記枠材(2)に開口縁(4)を取り付けられた落滴防止袋(3)と、前記枠材(2)を、前記がいし装置(i)、架線(C)、鉄塔腕金又は鉄塔(T)に掛け止める吊り下げ具(16)と、から成り、前記枠材(2)の展開又は折り畳みに応じて、前記落滴防止袋(3)の展開する広さを可変し得るように構成した、ことを特徴とする。
【0011】
例えば、前記枠材(2)は、短辺方向両側の短辺枠部材(5)と、各短辺枠部材(5)の両端に、複数本の連結部材(6)を連結した2組の長辺枠部材(7)をそれぞれ連結して長方形状にしたものであり、前記短辺枠部材(5)は、1本の棒状部材(32)の両端に前記連結部材(6)を連結すると共にその角度を規制するコーナー用角度調節板(8)を取り付けたものであり、前記長辺枠部材(7)は、複数本の連結部材(6)を連結した連結部に、一箇所置きに中間用角度調節板(19)を介在したものであり、前記短辺枠部材(5)に、前記落滴防止袋(3)の開口縁(4)と、前記吊り下げ具(16)を掛け止めるひも状部材(17)をそれぞれ取り付け、前記長辺枠部材(7)の各連結部材(6)に、前記落滴防止袋(3)の開口縁(4)を取り付けたものである。
【0012】
前記短辺枠部材(5)のコーナー用角度調節板(8)は、扇形状の板材であり、その扇形状の「かなめ」に相当する位置に連結孔(9)を開け、円弧形状に沿って数箇所の係合凹部(11)をそれぞれ形成したものであり、該短辺枠部材(5)の両端に、コーナー用角度調節板(8)の円弧形状部が向かい合うと共に、直線状の一辺が該短辺枠部材(5)の直線方向と平行になるように固定し、該コーナー用角度調節板(8)の連結孔(9)に、前記長辺枠部材(7)の各連結部材(6)の一端を回動可能に取り付けると共に、該連結部材(6)に出没自在に設けられた係合部(13)がコーナー用角度調節板(8)の係合凹部(11)に自在に係合するように構成したものである。
前記長辺枠部材(7)の中間用角度調節板(19)は、半円形状の板材であり、その半円形状の中心点に相当する位置に連結孔(9)を開け、半円形状に沿って数箇所の係合凹部(11)をそれぞれ形成したものであり、
各中間用角度調節板(19)は前記連結部材(6)の連結部分の一箇所置きに、該中間用角度調節板(19)の連結孔(9)に各連結部材(6)の連結部を回動可能に取り付けると共に、該連結部材(6)に設けられた係合部(13)が中間用角度調節板(19)の係合凹部(11)に自在に係合するように構成したものである。
【0013】
前記長辺枠部材(7)の中間用角度調節板(19)の直線状部分に、前記連結部材(6)が、該中間用角度調節板(19)から外れて過回動を防止するストッパ(18)を設けることが好ましい。
【0014】
また、本発明は、前記枠材(2)は、短辺方向両側の短辺枠部材(5)と、各短辺枠部材(5)の両端に、複数本の棒状部材(32)を連結した2組の長辺枠部材(7)をそれぞれ連結して長方形状にしたものであり、前記短辺枠部材(5)は、1本の部材の両端に前記棒状部材(32)を連結すると共にその角度を規制するコーナー用角度調節板(8)を取り付けたものであり、前記長辺枠部材(7)は、棒状部材(32)と、棒状の部材の一端に角度調節板部(33)を有する角度調節用棒状部材(34)とを交互に連結したものであり、前記短辺枠部材(5)に、前記落滴防止袋(3)の開口縁(4)と、吊り下げ具(16)を掛け止めるひも状部材(17)をそれぞれ取り付け、前記長辺枠部材(7)の各棒状部材(32)と各角度調節用棒状部材(34)に、前記落滴防止袋(3)の開口縁(4)を取り付けたことを特徴とする。
【0015】
前記角度調節用棒状部材(34)の角度調節板部(33)の外端縁に、前記棒状部材(32)が、該角度調節板部(33)から外れて過回動を防止するストッパ(18)を設けることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
上記本発明では、落滴防止装置(1)は、がいし装置(i)の下方の全域に拡げるように、鉄塔(T)、腕金又はがいし装置(i)、架線(C)等に吊り下げ、がいし装置(i)の保守作業に際して飛散しやすい溶剤、シリコン樹脂、塗料の落滴、更には工具などの様々なものを受け止めることができる。特に、短いがいし装置(i)に対しては、枠材(2)を折り曲げて落滴防止袋(3)と共にその全長を短くすることにより、架線(C)と鉄塔(T)又は腕金の間が狭い場合にも、この落滴防止装置(1)を安全に吊り下げることができる。逆に、長いがいし装置(i)に対しては、枠材(2)と落滴防止袋(3)を最大に展開して落滴防止装置(1)の全長を長くすることにより、広い範囲での落滴を防止することができる。
【0017】
また、この落滴防止装置(1)は、鉄塔(T)の上部において数箇所で掛け止める構成であるために、作業者自身がこの落滴防止装置(1)を保持している必要がないので、作業者は安定した姿勢で保守作業を実施することができる。
落滴防止装置(1)は、伸縮自在な構成であるために、コンパクトな形状にすることができ、多くの鉄塔がある山道での運搬や高所へ容易にかつ安全に運搬することができる。
この落滴防止装置(1)を用いることにより、従来のような大掛かりな鉄塔(T)、又はがいし装置(i)に対して養生を行う必要がないため、作業時間、作業工数、作業工事費の低減になる。
【0018】
また、棒状部材(32)と、棒状部材(32)の一端に角度調節板部(33)を有する角度調節用棒状部材(34)とを交互に連結した長辺枠部材(7)から成る落滴防止装置(31)では、棒状部材(32)と角度調節用棒状部材(34)とが互いに干渉しない構造になるために、枠材(2)を更にコンパクトに折り畳めることができる。そこで、この落滴防止装置(1)を容易に運搬することができ、鉄塔(T)の上部に安全に運搬でき、装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の送電作業における落滴防止装置を示す斜視図である。
【図2】実施例1の落滴防止装置を示し、(a)は一部省略した平面図、(b)は一部省略した正面図である。
【図3】短辺枠部材のコーナー用角度調節板を示し、(a)は平面図、(b)は正断面図である。
【図4】長辺枠部材の中間用角度調節板を示し、(a)は平面図、(b)は正断面図である。
【図5】落滴防止装置を鉄塔とがいし装置に装着した状態を示す斜視図である。
【図6】落滴防止装置を最大限伸張させた状態を示し、(a)は一部省略した平面図、(b)は一部省略した正面図である。
【図7】落滴防止装置の全体を少し縮めた状態を示し、(a)は一部省略した平面図、(b)は一部省略した正面図である。
【図8】落滴防止装置の全体を更に少し縮めた状態を示し、(a)は一部省略した平面図、(b)は一部省略した正面図である。
【図9】落滴防止装置の両端を部分的に縮めた状態を示し、(a)は一部省略した平面図、(b)は一部省略した正面図である。
【図10】実施例1の長辺枠部材の変形例を示し、(a)は一部省略した平面図、(b)は一部省略した正面図である。
【図11】実施例1の長辺枠部材の中間用角度調節板の変形例を示し、(a)は平面図、(b)は正断面図である。
【図12】実施例2の落滴防止装置を示し、(a)は棒状部材の平面図、(b)は角度調節用棒状部材の平面図、(c)は角度調節用棒状部材の正断面図である。
【図13】実施例2の落滴防止装置を示し、(a)は一部省略した平面図、(b)は一部省略した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の送電線がいし装置における落滴防止装置は、送電線鉄塔に備えられている送電線がいし装置の保守作業を行う際に用いる溶剤、シリコン樹脂等の液体が、周囲に飛散落滴することを防止する装置である。
【実施例1】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の送電作業における落滴防止装置を示す斜視図である。図2は実施例1の落滴防止装置を示し、(a)は一部省略した平面図、(b)は一部省略した正面図である。
実施例1の落滴防止装置1は、がいし装置iの長手方向と略同じ長さに展開でき、また折り畳めるように成る枠材2と、がいし装置iから落滴するシリコン樹脂、溶剤、塗料等の液体を受け止める落滴防止袋3とから成る装置である。落滴防止袋3は、枠材2を最大限に展開したときの広さと同じ大きさを有する。本発明の落滴防止装置1は、落滴防止袋3の開口縁4を枠材2に取り付け、この枠材2の展開又は折り畳みに追従させて落滴防止袋3が展開する広さを可変し得るようになっている。
【0022】
〈短辺枠部材〉
枠材2は、短辺方向の両側に2本の短辺枠部材5と、各短辺枠部材5の両端に、複数本の連結部材6を連結した2組の長辺枠部材7をそれぞれ連結して長方形状にしたものである。例えば短辺枠部材5は、25〜30cmの長さを有するパイプ状のアルミ製の部材である。容易に運搬できるように軽量な金属製の部材が好ましい。または剛性を有する合成樹脂製の素材を用いることも可能である。
【0023】
〈コーナー用角度調節板〉
図3は短辺枠部材のコーナー用角度調節板を示し、(a)は平面図、(b)は正断面図である。
短辺枠部材5には、1本の棒状の部材両端に長辺枠部材7を構成する連結部材6を連結すると共にその角度を規制するコーナー用角度調節板8を取り付けた。このコーナー用角度調節板8は、扇形状の板部材からなり、その扇形状の「要(かなめ)」に相当する位置に連結孔9を開け、連結部材6の端部を軸部材10で回動自在に連結してある。コーナー用角度調節板8には、円弧形状に沿って数箇所の係合凹部11をそれぞれ設けた。正確には連結孔9を回転の中心点として等距離かつ等角度ごとに数箇所の係合凹部11を設けた。
例えば、このコーナー用角度調節板8は、90度の角度を有する円弧形状の金属製の板材である。なお、この90度の角度には限定されない。これより少し広い角度になってもよい。また、係合凹部11は後述するボール12が止まれば良いので、コーナー用角度調節板8が薄い部材のときは貫通孔にしても良い(図示していない。)。
【0024】
このコーナー用角度調節板8は、図2(a)に示したように、短辺枠部材5の両端に、コーナー用角度調節板8の円弧形状部分が向かい合うと共に、直線の一辺が短辺枠部材5の直線方向と平行になるように固定する。これは、がいし装置iの横幅の長さは極端に変わることがないので、一定の長さにすることができる。また、短辺枠部材5に固定することにより、後述するように長辺枠部材7の角度調整が容易になるからである。
【0025】
コーナー用角度調節板8の連結孔9に、長辺枠部材7の各連結部材6の一端を回動可能に取り付ける。このように連結部材6を折り畳み可能にして、落滴防止袋3の面積を調整する。
【0026】
〈連結部材とコーナー用角度調節板との係合状態〉
コーナー用角度調節板8は、枠材2を構成する連結部材6の折り畳みの角度を規制するものである。そこで、連結部材6には、図3(b)の断面図に示すように、各係合凹部11に嵌脱するボール12が設けられている。例えば、連結部材6の係合部13は、この連結部材6の軸方向と直交する方向へ向けて開けたボール穴14内に例えばコイルばねのようなばね15とボール12を順番に収納したものである。このばね15の弾性力でボール12を出没自在に連結部材6の外周側へ押圧するように構成した。ボール穴14の開口部はばね15が外れないように、ボール12の外径より短い内径を有する。これらのボール12、ばね15は例えばステンレス等の酸化しない材料が適している。
【0027】
連結部材6がコーナー用角度調節板8に係合する状態、即ち角度調節する方法を説明する。
先ず、連結部材6をコーナー用角度調節板8の「要(かなめ)」点(連結孔9)を中心点にして回動する。このとき係合部13のボール12は、ばね15によりボール穴14内に沈み、連結部材6をコーナー用角度調節板8において回動させることができる。
【0028】
連結部材6をある程度回動させると、係合部13のボール12が係合凹部11に到達し、このボール12はばね15により浮き上がり(図示例では下方へ飛び出し)、係合凹部11内に係合して抜け止めとしての機能を果たす。これにより、コーナー用角度調節板8の所望の係合凹部11の位置で固定することができる。更に別の角度に曲げたいときは、同様な動作を繰り返すことにより、コーナー用角度調節板8に対する連結部材6の角度を可変することができる。
【0029】
〈連結部材とコーナー用角度調節板との係合状態の変形例〉
連結部材6の係合部13は、図3(b)の断面図に示したボール12とばね15を内装したボール穴14の構成に限定されない。例えば、ボール12に代えて、連結部材6内に溝を軸方向に形成し、この溝内に先端が球体を成す位置決め用突起部を出没自在に収納した構成でもよい(図示していない)。この位置決め用突起部は、溝内において連結部材6の溝内に回動軸で出没自在に軸止すると共に、この位置決め用突起部を連結部材6の周囲外方向へ押し出すようにコイルスプリング、板ばね等の弾性部材をその位置決め用突起部間に介在する。この位置決め用突起部は、連結部材6の外周より突出させ、また溝内に押し込むことができる。位置決め用突起部は、弾性部材の押圧力で突出したときは、位置決め用突起部がコーナー用角度調節板8の所望の係合凹部11に引っ掛かるようすることも可能である。
【0030】
短辺枠部材5には、図1に示したように、落滴防止袋3の開口縁4以外に、吊り下げ具16を掛け止めるひも状部材17をそれぞれ取り付けた。吊り下げ具16は、がいし装置i、架線C、鉄塔腕金又は鉄塔Tに掛け止めることにより、本発明の落滴防止装置1を吊り下げる。
【0031】
〈コーナー用角度調節板の過回動防止ストッパ〉
短辺枠部材5のコーナー用角度調節板8の外端縁に、長辺枠部材7を構成する連結部材6が、コーナー用角度調節板8から外れて過回動することを防止するストッパ18を設けることが好ましい。例えば、過回動防止ストッパ18はコーナー用角度調節板8の連結部材6を連結した直線辺に舌片をこの連結部材6が連結されている側に立ち上げたものである。
または、図示していないが、コーナー用角度調節板8の直線辺の一部に突起を設け、この突起に当接する突起を連結部材6側に設けたものでも良い。
【0032】
〈長辺枠部材〉
図4は長辺枠部材の中間用角度調節板を示し、(a)は平面図、(b)は正断面図である。
枠材2を構成する長辺枠部材7は、図4に示すように、複数本の連結部材6を軸部材10で連結したものである。各連結部材6は軸部材10部分で折り曲げ自在になる。連結部材6は、例えば10〜15cmの長さを有するパイプ状のアルミ製の部材である。運搬が容易になるように軽量な金属製の部材が好ましい。あるいは、剛性を有する合成樹脂製の素材を用いることも可能である。連結部材6の連結個数の多少により枠材2の長さが決まる。
【0033】
〈中間用角度調節板〉
中間用角度調節板19は、連結部材6の連結部に、一箇所置きに介在する。中間用角度調節板19は、半円形状の板材であり、扇の「要(かなめ)」に相当する位置に連結孔20を開け、ここで各連結部材6の端部を軸部材10で回動自在に連結する。中間用角度調節板19は、コーナー用角度調節板8と略同様に円弧形状に沿って数箇所の係合凹部11をそれぞれ設けた。正確には連結孔20を回動の中心点として等距離かつ等角度ごとに数箇所の係合凹部11を設けた。
【0034】
中間用角度調節板19の係合凹部11に、上述した連結部材6の係合部13のボール12を係合させる。即ち連結部材6をある程度回動させると、係合部13のボール12が中間用角度調節板19の係合凹部11に到達し、このボール12はばね15により浮き上がり(図示例では下方へ飛び出し)、係合凹部11内に係合して抜け止めとしての機能を果たす。これにより、中間用角度調節板19の所望の係合凹部11の位置で固定することができる。1枚の中間用角度調節板19で2本の連結部材6の角度を規制することができる。
このように、中間用角度調節板19で複数本の連結部材6を連結した長辺枠部材7は、連結部材6を折り畳み可能にして、落滴防止袋3の面積を調整する。
【0035】
〈中間用角度調節板の過回動防止ストッパ〉
長辺枠部材7の中間用角度調節板19の外端縁に、長辺枠部材7の連結部材6が、中間用角度調節板19から外れて過回動することを防止するストッパ18を設けた。中間用角度調節板19の連結部材6を連結した直線辺に、2箇所に舌片をこの連結部材6が連結されている側に立ち上げたものである。または、中間用角度調節板19の直線辺の一部に突起を設け、この突起に当接する突起を連結部材6側に設けたものでも良い(図示していない)。
【0036】
〈落滴防止袋〉
この短辺枠部材5と、長辺枠部材7を構成するこれらの連結部材6に、落滴防止袋3の開口縁4を取り付ける。落滴防止袋3の開口縁4の複数箇所に紐状の部材又はベルト状の部材を取り付け、これらを短辺枠部材5と、長辺枠部材7(連結部材6)に連結して吊り下げるようにする。
【0037】
落滴防止袋3は、枠材2を最大限に拡げたときと同じ広さを有する長方形状の底部と、この底部の周囲から立ち上げるように周縁部とを形成した上方が開放された箱状のものである、その素材としては、フレキシブルな素材が好ましい。枠材2の折り畳みに追従して変形する必要があるからである。例えば、ポリエステル等の合成樹脂製シート、布製シートなどが好ましい。但し、がいし装置iのシリコン樹脂の塗り替え作業を実施する際に、シリコン樹脂を剥ぎ取るときに、アルコール系の溶剤を浸み込ませたウエス等を用いるので、これらの溶剤で損傷を受けない程度の耐久性は要求される。
落滴防止袋3の周縁部には、図1、図2に示したように、長辺枠部材7の連結部材6の連結部分と中間用角度調節板19の連結部分での折れ曲がりに追従しやすいように、折り目21を付けておく。この折り目21を付けておくことで、使用しないときに、コンパクトに畳めるようになる。更に、落滴防止袋3の強度を高めるために補強番線22を入れる。
【0038】
〈装着状態〉
図5は落滴防止装置を鉄塔とがいし装置に装着した状態を示す斜視図である。
このように構成した落滴防止装置1は、枠材2と共に落滴防止袋3を、がいし装置iの下方の全域に拡げ、吊り下げ具16を鉄塔T、腕金又はがいし装置i、架線Cに掛け止めて吊り下げる。この状態でがいし装置iの保守作業を行う。この保守作業に際して飛散する、溶剤、シリコン樹脂、塗料の落滴を始め、更には工具などの様々なものを落滴防止袋3で受け止めることができる。図示例では、作業用の梯子Lを送電線(架線)Cと鉄塔Tに掛け止めている。
【0039】
落滴防止装置1は、短いがいし装置iに対しては、図5に示すように、枠材2を折り曲げて落滴防止袋3と共に落滴防止装置1の全長を短くすることにより、架線Cと鉄塔T又は腕金の間が狭い場合にも、この落滴防止装置1安全に吊り下げることができる。逆に、長いがいし装置iに対しては、枠材2と落滴防止袋3を最大に展開して落滴防止装置1の全長を長くすることにより、広い範囲での落滴を防止することができる。
【0040】
また、この落滴防止装置1は、鉄塔Tの上部において数箇所で掛け止める構成であるために、作業者自身がこの落滴防止装置1を保持している必要がない。即ち、作業者は安定した姿勢で保守作業を実施することができる。
【0041】
図6から図9は落滴防止装置を伸縮させる状態を示すものであり、図6は落滴防止装置を最大限伸張させた状態を示し、(a)は一部省略した平面図、(b)は一部省略した正面図である。
本発明の落滴防止装置1は、連結部材6を中間用角度調節板19部分で角度を調節することにより、落滴防止装置1の全長L1〜L4を調節することができる。例えば、長いがいし装置iの保守作業を行う際には、図6(a)、(b)に示すように、長辺枠部材7の全部の連結部材6を一直線状の状態にする。このとき落滴防止袋3も同じように全長L1まで展開される。連結部材6は中間用角度調節板19で仮止めされているので、所望の長さで維持することができ、保守作業中に落滴防止装置1の全長L1が変化するという不具合は生じない。
【0042】
また、1箇所の保守作業が終了したら、落滴防止装置1の枠材2を縮める際に、落滴防止袋3の周縁部には、長辺枠部材7の連結部材6の連結部分と中間用角度調節板19の連結部分に折り目21があるので、折り曲げやすくコンパクトに畳めることができる。さらに、
【0043】
図7は落滴防止装置の全体を少し縮めた状態を示し、(a)は一部省略した平面図、(b)は一部省略した正面図である。図8は落滴防止装置の全体を更に少し縮めた状態を示し、(a)は一部省略した平面図、(b)は一部省略した正面図である。
次に、図6に示した状態から、連結部材6を中間用角度調節板19部分で角度を変える。図7(a)、(b)に示すように、落滴防止装置1の全長L2をやや短くすることができる。更に、図8(a)、(b)に示すように、落滴防止装置1の全長L3を更に短くすることができる。このときも連結部材6は中間用角度調節板19で仮止めされているので、所望の長さを維持することができる。
【0044】
図9は落滴防止装置の両端を部分的に縮めた状態を示し、(a)は一部省略した平面図、(b)は一部省略した正面図である。
なお、連結部材6は中間用角度調節板19部分で自由に角度調節することができるので、図7、図8に示すように、常に全連結部材6を同様な角度に調節する必要はない。例えば、図9(a)、(b)に示すように、中間は連結部材6を一直線状の状態にし、両端は部分的に縮めた状態にして縮めることができる。このようにすることで、がいし装置iの下方が、落滴防止装置1の横幅を広い状態を維持しながら、落滴防止装置1の全長L4を短くすることができる。
落滴防止装置1を運搬又は保管するときは、図8に示す状態から更に縮めてコンパクトな状態にする。長期に使用しないときは、枠材2と落滴防止袋3とを分離して保管することも可能である。
【0045】
〈連結部材と中間用角度調節板との連結構造の変形例〉
図10は実施例1の長辺枠部材の変形例を示し、(a)は一部省略した平面図、(b)は一部省略した正面図である。図11は実施例1の長辺枠部材の中間用角度調節板の変形例を示し、(a)は平面図、(b)は正断面図である。
この実施例1の変形例では、連結部材6の下側に中間用角度調節板19を連結し、この中間用角度調節板19の下側に、隣接する連結部材6を連結した。これは、実施例1の落滴防止装置1を折り畳むときに、隣接する中間用角度調節板19が干渉しないようにしたものである。
【0046】
この変形例によれば、落滴防止装置1を短くして使用するときに、全部の連結部材6をジグザグに折り曲げる必要はなく、半分は直線状に展開するが、残りの半分の連結部材(6)はより接近した状態に折り畳む状態で使用することができる。
【実施例2】
【0047】
図12は実施例2の落滴防止装置を示し、(a)は棒状部材の平面図、(b)は角度調節用棒状部材の平面図、(c)は角度調節用棒状部材の正断面図である。図13は実施例2の落滴防止装置を示し、(a)は一部省略した平面図、(b)は一部省略した正面図である。
実施例2の送電作業における落滴防止装置31は、枠材2を構成する長辺枠部材7が、実施例1の構成と相違する。実施例2の長辺枠部材7は、棒状部材32と、棒状部材の一端に角度調節機能がある角度調節板部33を有する角度調節用棒状部材34とを交互に連結した。実施例2の落滴防止装置31は、一方の棒状部材に角度調節機能を付与して、実施例1のような別体の中間用角度調節板19を省いた。このように構成することで、部品点数が減少すると共に、中間用角度調節板19が干渉し合うことなく、落滴防止装置(1)をコンパクトに折り畳むことができる。
【0048】
〈角度調節用棒状部材〉
実施例2の角度調節用棒状部材34は、棒状部材の一端に半円形状の角度調節板部32を有する。この角度調節板部33は、半円形状の板材に扇の「要(かなめ)」に相当する位置に連結孔35を開け、ここで棒状部材32の端部を連結している。更に、実施例1の中間用角度調節板19と略同様に円弧形状に沿って数箇所の係合凹部11をそれぞれ設けた。角度調節用棒状部材34の他端は、単純に棒状部材32の一端に連結する連結孔36が開けられている。
【0049】
〈棒状部材〉
一方、棒状部材32の一端(図12(a)では右側)は、単に角度調節用棒状部材33と軸部材10で折り曲げ可能に連結されている。棒状部材32の他端(図12(a)では左側)には、隣接する角度調節用棒状部材34の角度調節板部33の連結孔35に回動自在に連結されている。更に、この棒状部材32の他端には、図12(c)の断面図に示すように、数箇所の係合凹部11に係合するように出没自在のボール12を設けている。例えば棒状部材32の軸方向と直交する方向へ向けて開けたボール穴14内に例えばコイルばねのようなばね15とボール12を順番に収納したものである。
【0050】
〈連結部材と角度調節用棒状部材との連結構造の変形例〉
この実施例2の構成でも、棒状部材32の下側に角度調節用棒状部材34を連結し、更にこの角度調節用棒状部材34の下側に、隣接する棒状部材32を連結した。これは、実施例2の落滴防止装置31を折り畳むときに、隣接する角度調節用棒状部材34の角度調節板部33が干渉しないようにしたものである。
【0051】
なお、本発明は、落滴防止装置1、31を伸縮可能な構造にすることで、がいし装置iのがいし連の長さに応じて伸縮した形状を自立して保持でき、養生の準備を短時間で終了させ、かつ落滴を完全に防止できると共に、落滴防止装置1、31をコンパクトに折り畳むことができ、山間部などへ容易に運搬することができれば、上述した発明の実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の送電線がいし装置における落滴防止装置は、高圧送電線や発変電所の変電機器に限定されず、その他の塗料、溶剤、工具を高所において使用する作業などにも利用することができる。
【符号の説明】
【0053】
1,31 落滴防止装置
2 枠材
3 落滴防止袋
4 開口縁
5 短辺枠部材
6 連結部材
7 長辺枠部材
8 コーナー用角度調節板
9 連結孔
11 係合凹部
13 係合部
16 吊り下げ具
17 ひも状部材
18 ストッパ
19 中間用角度調節板
32 棒状部材
33 角度調節板部
34 角度調節用棒状部材
i がいし装置
C 架線(送電線)、
T 鉄塔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送電線がいし装置(i)の保守作業を行う際に用いる樹脂、塗料等の液体の落滴を防止する送電線がいし装置における落滴防止装置であって、
前記がいし装置(i)の長手方向と同じ長さまで展開し、また折り畳める長方形状の枠材(2)と、
前記がいし装置(i)から落滴する液体を受け止める、前記枠材(2)を最大限に展開したときの面積と同じ大きさを有し、かつ前記枠材(2)に開口縁(4)を取り付けられた落滴防止袋(3)と、
前記枠材(2)を、前記がいし装置(i)、架線(C)、鉄塔腕金又は鉄塔(T)に掛け止める吊り下げ具(16)と、から成り、
前記枠材(2)の展開又は折り畳みに応じて、前記落滴防止袋(3)の展開する広さを可変し得るように構成した、ことを特徴とする送電線がいし装置における落滴防止装置。
【請求項2】
前記枠材(2)は、短辺方向両側の短辺枠部材(5)と、各短辺枠部材(5)の両端に、複数本の連結部材(6)を連結した2組の長辺枠部材(7)をそれぞれ連結して長方形状にしたものであり、
前記短辺枠部材(5)は、1本の棒状部材(32)の両端に前記連結部材(6)を連結すると共にその角度を規制するコーナー用角度調節板(8)を取り付けたものであり、
前記長辺枠部材(7)は、複数本の連結部材(6)を連結した連結部に、一箇所置きに中間用角度調節板(19)を介在したものであり、
前記短辺枠部材(5)に、前記落滴防止袋(3)の開口縁(4)と、前記吊り下げ具(16)を掛け止めるひも状部材(17)をそれぞれ取り付け、
前記長辺枠部材(7)の各連結部材(6)に、前記落滴防止袋(3)の開口縁(4)を取り付けた、ことを特徴とする請求項1の送電線がいし装置における落滴防止装置。
【請求項3】
前記短辺枠部材(5)のコーナー用角度調節板(8)は、扇形状の板材であり、その扇形状の「かなめ」に相当する位置に連結孔(9)を開け、円弧形状に沿って数箇所の係合凹部(11)をそれぞれ形成したものであり、
該短辺枠部材(5)の両端に、コーナー用角度調節板(8)の円弧形状部が向かい合うと共に、直線状の一辺が該短辺枠部材(5)の直線方向と平行になるように固定し、
該コーナー用角度調節板(8)の連結孔(9)に、前記長辺枠部材(7)の各連結部材(6)の一端を回動可能に取り付けると共に、該連結部材(6)に出没自在に設けられた係合部(13)がコーナー用角度調節板(8)の係合凹部(11)に自在に係合するように構成した、ことを特徴とする請求項2の送電線がいし装置における落滴防止装置。
【請求項4】
前記短辺枠部材(5)のコーナー用角度調節板(8)の外端縁に、前記長辺枠部材(7)の連結部材(6)が、該コーナー用角度調節板(8)から外れて過回動することを防止するストッパ(18)を設けた、ことを特徴とする請求項3の送電線がいし装置における落滴防止装置。
【請求項5】
前記長辺枠部材(7)の中間用角度調節板(19)は、半円形状の板材であり、その半円形状の中心点に相当する位置に連結孔(9)を開け、半円形状に沿って数箇所の係合凹部(11)をそれぞれ形成したものであり、
各中間用角度調節板(19)は前記連結部材(6)の連結部分の一箇所置きに、該中間用角度調節板(19)の連結孔(9)に各連結部材(6)の連結部を回動可能に取り付けると共に、該連結部材(6)に設けられた係合部(13)が中間用角度調節板(19)の係合凹部(11)に自在に係合するように構成した、ことを特徴とする請求項2の送電線がいし装置における落滴防止装置。
【請求項6】
前記長辺枠部材(7)の中間用角度調節板(19)の直線状部分に、前記連結部材(6)が、該中間用角度調節板(19)から外れて過回動することを防止するストッパ(18)を設けた、ことを特徴とする請求項5の送電線がいし装置における落滴防止装置。
【請求項7】
前記枠材(2)は、短辺方向両側の短辺枠部材(5)と、各短辺枠部材(5)の両端に、複数本の棒状部材(32)を連結した2組の長辺枠部材(7)をそれぞれ連結して長方形状にしたものであり、
前記短辺枠部材(5)は、1本の部材の両端に前記棒状部材(32)を連結すると共にその角度を規制するコーナー用角度調節板(8)を取り付けたものであり、
前記長辺枠部材(7)は、棒状部材(32)と、棒状の部材の一端に角度調節板部(33)を有する角度調節用棒状部材(34)とを交互に連結したものであり、
前記短辺枠部材(5)に、前記落滴防止袋(3)の開口縁(4)と、吊り下げ具(16)を掛け止めるひも状部材(17)をそれぞれ取り付け、
前記長辺枠部材(7)の各棒状部材(32)と各角度調節用棒状部材(34)に、前記落滴防止袋(3)の開口縁(4)を取り付けた、ことを特徴とする請求項1の送電線がいし装置における落滴防止装置。
【請求項8】
前記角度調節用棒状部材(34)の角度調節板部(33)の外端縁に、前記棒状部材(32)が、該角度調節板部(33)から外れて過回動することを防止するストッパ(18)を設けた、ことを特徴とする請求項7の送電線がいし装置における落滴防止装置。
【請求項1】
送電線がいし装置(i)の保守作業を行う際に用いる樹脂、塗料等の液体の落滴を防止する送電線がいし装置における落滴防止装置であって、
前記がいし装置(i)の長手方向と同じ長さまで展開し、また折り畳める長方形状の枠材(2)と、
前記がいし装置(i)から落滴する液体を受け止める、前記枠材(2)を最大限に展開したときの面積と同じ大きさを有し、かつ前記枠材(2)に開口縁(4)を取り付けられた落滴防止袋(3)と、
前記枠材(2)を、前記がいし装置(i)、架線(C)、鉄塔腕金又は鉄塔(T)に掛け止める吊り下げ具(16)と、から成り、
前記枠材(2)の展開又は折り畳みに応じて、前記落滴防止袋(3)の展開する広さを可変し得るように構成した、ことを特徴とする送電線がいし装置における落滴防止装置。
【請求項2】
前記枠材(2)は、短辺方向両側の短辺枠部材(5)と、各短辺枠部材(5)の両端に、複数本の連結部材(6)を連結した2組の長辺枠部材(7)をそれぞれ連結して長方形状にしたものであり、
前記短辺枠部材(5)は、1本の棒状部材(32)の両端に前記連結部材(6)を連結すると共にその角度を規制するコーナー用角度調節板(8)を取り付けたものであり、
前記長辺枠部材(7)は、複数本の連結部材(6)を連結した連結部に、一箇所置きに中間用角度調節板(19)を介在したものであり、
前記短辺枠部材(5)に、前記落滴防止袋(3)の開口縁(4)と、前記吊り下げ具(16)を掛け止めるひも状部材(17)をそれぞれ取り付け、
前記長辺枠部材(7)の各連結部材(6)に、前記落滴防止袋(3)の開口縁(4)を取り付けた、ことを特徴とする請求項1の送電線がいし装置における落滴防止装置。
【請求項3】
前記短辺枠部材(5)のコーナー用角度調節板(8)は、扇形状の板材であり、その扇形状の「かなめ」に相当する位置に連結孔(9)を開け、円弧形状に沿って数箇所の係合凹部(11)をそれぞれ形成したものであり、
該短辺枠部材(5)の両端に、コーナー用角度調節板(8)の円弧形状部が向かい合うと共に、直線状の一辺が該短辺枠部材(5)の直線方向と平行になるように固定し、
該コーナー用角度調節板(8)の連結孔(9)に、前記長辺枠部材(7)の各連結部材(6)の一端を回動可能に取り付けると共に、該連結部材(6)に出没自在に設けられた係合部(13)がコーナー用角度調節板(8)の係合凹部(11)に自在に係合するように構成した、ことを特徴とする請求項2の送電線がいし装置における落滴防止装置。
【請求項4】
前記短辺枠部材(5)のコーナー用角度調節板(8)の外端縁に、前記長辺枠部材(7)の連結部材(6)が、該コーナー用角度調節板(8)から外れて過回動することを防止するストッパ(18)を設けた、ことを特徴とする請求項3の送電線がいし装置における落滴防止装置。
【請求項5】
前記長辺枠部材(7)の中間用角度調節板(19)は、半円形状の板材であり、その半円形状の中心点に相当する位置に連結孔(9)を開け、半円形状に沿って数箇所の係合凹部(11)をそれぞれ形成したものであり、
各中間用角度調節板(19)は前記連結部材(6)の連結部分の一箇所置きに、該中間用角度調節板(19)の連結孔(9)に各連結部材(6)の連結部を回動可能に取り付けると共に、該連結部材(6)に設けられた係合部(13)が中間用角度調節板(19)の係合凹部(11)に自在に係合するように構成した、ことを特徴とする請求項2の送電線がいし装置における落滴防止装置。
【請求項6】
前記長辺枠部材(7)の中間用角度調節板(19)の直線状部分に、前記連結部材(6)が、該中間用角度調節板(19)から外れて過回動することを防止するストッパ(18)を設けた、ことを特徴とする請求項5の送電線がいし装置における落滴防止装置。
【請求項7】
前記枠材(2)は、短辺方向両側の短辺枠部材(5)と、各短辺枠部材(5)の両端に、複数本の棒状部材(32)を連結した2組の長辺枠部材(7)をそれぞれ連結して長方形状にしたものであり、
前記短辺枠部材(5)は、1本の部材の両端に前記棒状部材(32)を連結すると共にその角度を規制するコーナー用角度調節板(8)を取り付けたものであり、
前記長辺枠部材(7)は、棒状部材(32)と、棒状の部材の一端に角度調節板部(33)を有する角度調節用棒状部材(34)とを交互に連結したものであり、
前記短辺枠部材(5)に、前記落滴防止袋(3)の開口縁(4)と、吊り下げ具(16)を掛け止めるひも状部材(17)をそれぞれ取り付け、
前記長辺枠部材(7)の各棒状部材(32)と各角度調節用棒状部材(34)に、前記落滴防止袋(3)の開口縁(4)を取り付けた、ことを特徴とする請求項1の送電線がいし装置における落滴防止装置。
【請求項8】
前記角度調節用棒状部材(34)の角度調節板部(33)の外端縁に、前記棒状部材(32)が、該角度調節板部(33)から外れて過回動することを防止するストッパ(18)を設けた、ことを特徴とする請求項7の送電線がいし装置における落滴防止装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−231583(P2012−231583A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−97704(P2011−97704)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】
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