送風式イオン生成装置
【課題】装置全体の小型化を図ることができると共に、空気イオンを移送する空気流を円滑に発生させることができる送風式イオン生成装置を提供する。
【解決手段】プロペラファン7を備える送風機2の空気送出側に空気イオンを生成するイオン生成手段1を設ける。イオン生成手段1に送風機2からの空気を吹出す空気吹出し口3を設ける。空気吹出し口3を外筒部8と内筒部9との間の空隙により環状に形成する。内筒部9の外側に高電圧が印加される放電電極14を設け、外筒部8に接地された対向電極を設ける。内筒部9の閉塞された内部に形成した電源室12に、放電電極14に高電圧を供給する交流高圧電源13を収容する。放電電極14に高電圧を印加してコロナ放電を発生させて空気イオンを生成し、空気吹出し口3から吹出す空気流により空気イオンを移送する。
【解決手段】プロペラファン7を備える送風機2の空気送出側に空気イオンを生成するイオン生成手段1を設ける。イオン生成手段1に送風機2からの空気を吹出す空気吹出し口3を設ける。空気吹出し口3を外筒部8と内筒部9との間の空隙により環状に形成する。内筒部9の外側に高電圧が印加される放電電極14を設け、外筒部8に接地された対向電極を設ける。内筒部9の閉塞された内部に形成した電源室12に、放電電極14に高電圧を供給する交流高圧電源13を収容する。放電電極14に高電圧を印加してコロナ放電を発生させて空気イオンを生成し、空気吹出し口3から吹出す空気流により空気イオンを移送する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気中でコロナ放電を発生させて正負の空気イオンを生成し、この空気イオンを空気流により移送して帯電物の除電を行なう送風式イオン生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
放電針などを有するコロナ放電発生用電極によりコロナ放電(空中コロナ放電)を発生させ、このときに生成される空気イオンを、ファンなどの送風機が送り出す空気流に乗せて放出することにより、空気流に搬送された空気イオンを帯電物に吹き付けて帯電物の除電を行うようにした送風式イオン生成装置が、従来から知られている。
【0003】
この種の送風式イオン生成装置では、通常、コロナ放電発生用電極の電圧印加部に、交流高圧電源から交流高電圧を印加することによって、放電針などからコロナ放電を発生させ、正負の空気イオンを生成するようにしている。そして、このようにして生成された正負の空気イオンを送風機の空気流によって移送することにより比較的遠く離れた位置にある帯電物であっても良好に除電することができる。
【0004】
ところで、従来の送風式イオン生成装置では、交流高圧電源として、商用電源から商用周波数(50Hzまたは60Hz)の交流電圧が入力される一次巻線を有する巻線トランスが一般に使用されていた。しかし、このような商用周波数の巻線トランスにより構成される交流高圧電源は比較的大型で重く、送風機やコロナ放電発生用電極と共に一つの筐体内に収容して送風式イオン生成装置を構成した場合には、送風式イオン生成装置の小型化や軽量化が困難となる。
【0005】
このため、近年では、交流高圧電源として、高周波トランスや圧電トランスを利用した小型且つ軽量な高周波電源が使用されるようになってきている(例えば特許文献1参照)。また、他の高圧電源として、プラス高電圧発生回路とマイナス高電圧発生回路とを用いた小型且つ軽量な直流高圧電源を用いたものもある(例えば特許文献2参照)。
【0006】
しかし、これらの高圧電源は、送風機によって形成される空気流を阻害することのない位置に配置する必要があるため、送風機の側方やコロナ放電発生用電極の外側に配置され、装置全体として小型化することは困難であった。
【特許文献1】特開2005−216539号公報
【特許文献2】特開2007−305366号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、装置全体の小型化を図ることができると共に、空気イオンを移送する空気流を円滑に発生させることができる送風式イオン生成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するために、本発明は、プロペラファンの回転により空気を送出する送風機と、該送風機による空気の送出側に位置して空気イオンを生成するイオン生成手段とを備え、該イオン生成手段により生成される空気イオンを送風機からの空気流により移送する送風式イオン生成装置において、前記イオン生成手段は、前記送風機から送出される空気を吹出し方向に案内する空気吹出し口と、交流高電圧を出力する交流高圧電源と、該交流高圧電源から高電圧が印加されることによりコロナ放電を発生させて、このコロナ放電より空気イオンを生成するコロナ放電発生用電極とを備え、前記空気吹出し口は、前記プロペラファンの回転円周の外径に対応する周壁を有する円筒状の外筒部と、該外筒部の内側に位置し該外筒部の周壁全周に所定の空隙を存して対向する周壁を有する円筒状の内筒部との間の空隙により環状に形成され、前記交流高圧電源は、該内筒部の軸方向両端を閉塞して形成された電源室に収容され、前記コロナ放電発生用電極は、前記空気吹出し口に臨んで配設され、前記内筒部に設けられて前記交流高圧電源により高電圧が印加される放電電極と、前記外筒部に設けられて該放電電極に対向する接地された対向電極とによって構成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、上記の構成により、空気吹出し口を、外筒部と内筒部との間の空隙により形成したので、送風機から送出される空気流の流動面積を狭めて流速を高めることができる。これによって、空気吹出し口に臨むコロナ放電発生用電極により生成される空気イオンをより多く空気流に乗せて送り出すことができるので、放出する空気イオン量を増加させることができる。
【0010】
しかも、空気吹出し口は、外筒部と内筒部とによって環状に形成されているだけでなく、外筒部がプロペラファンの回転円周の外径に対応する周壁を有することによって、プロペラファンにより遠心力が付与された空気流の大部分を通過させることができる。
【0011】
一方、プロペラファンにより形成される空気流はその中央部では少ない。そこで、本発明においては、空気流が少ない中央部に位置する内筒部の軸方向両端を閉塞して電源室を形成し、この電源室に前記交流高圧電源を収容した。こうすることにより、送風機による空気の送出を阻害することのない空間を有効に利用して前記交流高圧電源を配置することができ、装置全体をコンパクトに形成することができる。更に、補足すると、前記交流高圧電源は商用周波数の巻線トランスにより構成されるものではなく、周知である高周波トランスや圧電トランスを利用した小型且つ軽量な高周波電源を使用する。これにより、電源室を大きくする必要がなく、内筒部の内部に容易に収容できる。
【0012】
また、本発明において、前記対向電極は、接地された金属製の前記外筒部により形成することができる。前記外筒部を金属により形成して接地させ、これを対向電極とすることにより、部品点数を少なくすることができる。
【0013】
また、本発明において、前記対向電極は、絶縁材製の前記外筒部の外周に装着され接地された金属製の円筒部材により形成してもよい。放電電極に高電圧を印加すると、放電電極においてコロナ放電が発生するが、両電極間に多くの空気イオンが存在すると空気が導電性を有することとなる。このとき、両電極間の距離が小さいとコロナ放電が火花放電に移行するおそれがあるが、両電極間には絶縁材製の外筒部が介在することにより、コロナ放電から火花放電への移行を防止することができ、火花放電に伴う空気イオン量の低下、両電極の損傷、及びノイズの発生等を防止することができる。
【0014】
また、本発明において、前記放電電極は、前記内筒部の周壁内面側に設けられ前記交流高圧電源に高圧ケーブルを介して接続された金属製の環状基部と、該環状基部の周方向に所定間隔を存して該環状基部と一体に形成され、内筒部の周壁を貫通して前記空気吹出し口に突出する先端鋭利な複数の放電針とにより構成されていることを特徴とする。これによれば、放電針の鋭利な先端に高電界を集中させて確実にコロナ放電を得ることができる。そして、複数の放電針が内筒部の周方向に所定間隔を存して突出するので全周わたり略均一にコロナ放電を発生させることができるので、効率良く空気イオンを生成することができる。
【0015】
また、前記放電電極は、前記内筒部の周壁内面側に設けられ前記交流高圧電源に高圧ケーブルを介して接続された金属製の平板環状基部と、該平板環状基部の外周縁にその周方向に所定間隔を存して該平板環状基部と一体に形成され、内筒部の周壁を貫通して前記空気吹出し口に突出する先端鋭利な複数の鋸歯状突起とにより構成されていてもよい。これによれば、放電電極を金属製原材から打ち抜きによって容易に作成できる。
【0016】
このとき、前記平板環状基部を、該平板環状基部と対向する同形の金属製の平板環状部材に絶縁体の平板部材を介して重合し、該平板環状部材を前記交流高圧電源に前記高圧ケーブルを介して接続することにより、容量を介して前記平板環状基部に交流高電圧が印加されるようにしてもよい。放電電極が金属製の平板環状基部と鋸歯状突起とで平板状に形成されていることにより、絶縁体の平板部材と金属製の平板環状部材とを重合して容易にコンデンサを構成することができる。そして、容量を介して交流高電圧を印加させることで各鋸歯状突起に異物が接触しても、大きな短絡電流が流れるのを抑制することができる。
【0017】
更に、前記平板環状基部を、円弧状に形成された複数の円弧基部を所定間隔を存して環状に配列することにより形成し、各円弧基部には1以上の前記鋸歯状突起を設けることで、各円弧基部における接続容量が小さくなり、短絡電流を一層確実に抑制することができる。
【0018】
以上のものは、交流高圧電源を備えてコロナ放電発生用電極に交流項電圧を印加する構成であるが、交流高圧電源に替えて小型軽量な直流高圧電源を用いても同様の効果を得ることができる。即ち、本発明の他の態様として、前記イオン生成手段は、前記送風機から送出される空気を吹出し方向に案内する空気吹出し口と、正負の直流高電圧を各別に出力する直流高圧電源と、該直流高圧電源から高電圧が印加されることによりコロナ放電を発生させて、このコロナ放電より空気イオンを生成するコロナ放電発生用電極とを備え、前記空気吹出し口は、前記プロペラファンの回転円周の外径に対応する周壁を有する円筒状の外筒部と、該外筒部の内側に位置し該外筒部の周壁全周に所定の空隙を存して対向する周壁を有する円筒状の内筒部との間の空隙により環状に形成され、前記直流高圧電源は、該内筒部の軸方向両端を閉塞して形成された電源室に収容され、前記コロナ放電発生用電極は、前記空気吹出し口に臨んで配設され、前記内筒部に設けられて前記直流高圧電源により正の高電圧が印加される正の放電電極と、該正の放電電極に隣接して該内筒部に設けられ、前記直流高圧電源により負の高電圧が印加される負の放電電極とによって構成されていることを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、外筒部と内筒部とによる環状の空気吹出し口により流速の早い空気流を形成して放出する空気イオン量を増加させることができる。そして、前述した通り、プロペラファンによる空気流が比較的少ない中央部に位置する内筒部の内部に電源室を形成し、この電源室に前記直流高圧電源を収容することで、送風機による空気の送出を阻害することのない空間を有効に利用して前記直流高圧電源を配置することができ、装置全体をコンパクトに形成することができる。
【0020】
また、本発明において、前記放電電極は、前記内筒部に着脱自在に取り付けられた支持部材に支持され、該支持部材と一体的に前記内筒部から取り外し可能とされていることが好ましい。これによれば、支持部材と共に放電電極を内筒部から取り外して掃除やメンテナンスが容易に行える。
【0021】
また、本発明において、前記イオン生成手段は、前記送風機のプロペラファンを収容するフレームに着脱自在に連結されていてもよい。こうすることで、前記イオン生成手段を送風機から分離させて、メンテナンス作業が行い易いだけでなく、イオン生成手段を既存の送風機の空気送出側に取り付けることも可能となるので経済的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
先ず、本発明の第1の実施形態を図1乃至図3に基づいて説明する。第1の実施形態の送風式イオン生成装置Aは、図1及び図2に示すように、イオン生成手段1と送風機2とにより構成されている。イオン生成手段1は、前面に空気吹出し口3が設けられた筐体4を備えている。該筐体4は、図2に示すように、背面側が開放され、内部に送風機2を収容する収容部5が形成されている。送風機2は、収容部5に対応する角筒状のフレーム6を備え、このフレーム6内にプロペラファン7を支持している。プロペラファン7は図示しないモータにより回転駆動され、フレーム6の背面側から空気を強制的に取り入れて前方へ送出する。送風機2による空気の送出側には、前記イオン生成手段1の空気吹出し口3が位置している。
【0023】
該空気吹出し口3は、図1及び図2に示すように、外筒部8と内筒部9とにより形成されている。外筒部8は、金属製であり、プロペラファン7の回転円周の外径に対応する周壁を有する円筒状に形成されている。内筒部9は、合成樹脂等の絶縁材製であり、外筒部8の内側に位置し該外筒部8の周壁全周に所定の空隙を存して対向する周壁を有する円筒状に形成されている。外筒部8は、筐体4の前壁に連結され、内筒部9は図示しない連結部材を介して筐体4に連結されている。図2に示すように、外筒部8と内筒部9との間に形成された環状の空隙は、筐体4の内外に連通し、これによって環状の空気吹出し口3を形成している。
【0024】
また、内筒部9は、図2に示すように、送風機2に対向する側の端部が閉塞板10により閉塞され、空気吹出し口3の下流側の端部が合成樹脂等の絶縁材製の前面パネル11により閉蓋されている。内筒部9の内部の空間により電源室12が形成され、この電源室12には、交流高圧電源13が収容されている。交流高圧電源13は、高周波トランスや圧電トランスによる高周波電源が採用されていることにより小型且つ軽量とされ、電源室12内にコンパクトに収容されている。
【0025】
更に、内筒部9には、交流高圧電源13により高電圧が印加される放電電極14が設けられている。図3において前面パネル11を取り除いた状態で示すように、放電電極14は、金属製の棒状体を円環状に形成してなる環状基部15と、環状基部15に一体に嵌め込み連結されて所定間隔を存して放射状に配列された先端鋭利な金属製の複数の放電針16とにより構成されている。環状基部15は、図2に示すように、内筒部9に嵌合された合成樹脂等の絶縁材製の円形の支持板17に保持され、各放電針16は、内筒部9を貫通して空気吹出し口3に突出している。環状基部15には、高圧ケーブル18を介して交流高圧電源13が接続されている。
【0026】
そして、図2及び図3に示すように、放電電極14には金属製の外筒部8が対向しており、この外筒部8が接地線19により接地されていることにより、外筒部8が対向電極とされ、放電電極14と対向電極である外筒部8とでコロナ放電発生用電極を構成している。
【0027】
以上の構成による送風式イオン生成装置Aは、交流高圧電源13から放電電極14に高電圧を印加することで、空気吹出し口3において放電針16と外筒部8との間に形成された高電界が放電針16の先端に集中してコロナ放電が発生する。そして、このときのコロナ放電により空気イオンが生成され、送風機2からの空気流が空気吹出し口3を通過する際に、空気イオンが空気流と共に空気吹出し口3から吹き出される。こうして空気吹出し口3から吹き出された空気イオンは、空気流に乗って離れた位置にある帯電物に移送され、帯電物の静電気を中和して効率よく除電することができる。
【0028】
このとき、空気吹出し口3が、外筒部8と内筒部9との間の空隙により形成されているので、送風機2から送出される空気流の流動面積が比較的狭く、空気の流速が高い。これによって、空気吹出し口3で生成される空気イオンを多量に送り出すことができる。しかも、空気吹出し口3を構成する外筒部8がプロペラファン7の回転円周の外径に対応する周壁を有することによって、プロペラファン7により遠心力が付与された空気流の大部分を効率よく空気吹出し口3から吹き出させることができる。更に、プロペラファン7により形成される空気流はその中央部では少ないので、空気流が少ない中央部に位置する内筒部9に電源室12を形成して交流高圧電源13を収容したことで装置全体を極めてコンパクトに形成することができる。
【0029】
次に、本発明の第2の実施形態を図4及び図5に基づいて説明する。第2の実施形態の送風式イオン生成装置Bは、外筒部20が合成樹脂等の絶縁材製とされている。そして、外筒部20の外周には接地線21を介して接地された金属製の円筒部材22が装着され、この円筒部材22によって対向電極が構成されている。その他の構成は、第1の実施形態と同様であるため図1乃至図3と同じ符号を付してその説明を省略する。
【0030】
第2の実施形態の送風式イオン生成装置Bにおいては、絶縁材製の外筒部20を介してその外側の円筒部材22が放電電極14の放電針16に対向するので、コロナ放電を一層確実に発生させることができる。即ち、放電電極に高電圧を印加すると、空気吹出し口3において放電針16と円筒部材22との間に形成された高電界が放電針16の先端に集中してコロナ放電が発生する。このとき、放電針16と円筒部材22との間に絶縁材製の外筒部20が介在するので、コロナ放電から火花放電に移行することが防止できる。これによって、コロナ放電の発生が安定して確実に得られるだけでなく、火花放電に伴う空気イオン量の低下、両電極の損傷、及びノイズの発生等を防止することができる。
【0031】
ここで、前述の第1及び第2の実施形態においては、金属製の棒状体を円環状に形成してなる環状基部15と、環状基部15に一体に嵌め込み連結された金属製の複数の放電針16とにより構成した放電電極14を用いたが、それ以外には、図6及び図7に示すように、金属製の平板環状基部23と、平板環状基部の外周縁にその周方向に所定間隔を存して一体に形成された先端鋭利な複数の鋸歯状突起24とにより構成された放電電極25を用いることができる。この場合に、平板環状基部23は内筒部9(図1参照)に嵌合する絶縁材製の支持板17に支持させ、高圧ケーブル18を介して交流高圧電源13(図1参照)を接続する。各鋸歯状突起24は、内筒部9の周壁を貫通して前記空気吹出し口3に突出させる。こうすることにより、前述の第1及び第2の実施形態のものと同様の効果が得られるだけでなく、放電電極25を金属製板材から打ち抜いて容易に作成できるので安価となる。
【0032】
また、前述の第1及び第2の実施形態においては、図8乃至図10に示す放電電極26を採用することもできる。この放電電極26は、図8に示すように、平板環状基部23と鋸歯状突起24とを備える点は上述の放電電極25と同様であるが、更に、裏面視した図9及び断面視した図10に示すように、絶縁材製の支持板17(平板部材)を介して金属製の平板環状部材27を重合し、この平板環状部材27に高圧ケーブル18を介して交流高圧電源13(図1参照)を接続する。このとき、平板環状基部23と平板環状部材27とは同形として互いに同心に対向させる。こうすることにより、絶縁材製の支持板17を挟みこんだ平板環状基部23と平板環状部材27とにより所謂平行平板コンデンサが構成され、交流高圧電源13からは、容量を介して鋸歯状突起24に高電圧が印加される。これによれば、前述の第1及び第2の実施形態のものと同様の効果が得られるだけでなく、容量を介して交流高電圧を印加させることで各鋸歯状突起24に異物が接触しても、大きな短絡電流が流れるのを抑制することができる。
【0033】
更にまた、前述の第1及び第2の実施形態においては、図11に示す放電電極28を採用することもできる。この放電電極28は、円弧状に形成された複数の円弧基部29を所定間隔を存して環状に配列し、各円弧基部29に1以上の鋸歯状突起24を設けることによって構成したものである。これによれば、各円弧基部29における接続容量が小さくなり、短絡電流を一層確実に抑制することができる。
【0034】
次に、本発明の第3の実施形態を図12乃至図14に基づいて説明する。第3の実施形態の送風式イオン生成装置Cは、外筒部30と内筒部9とが共に合成樹脂等の絶縁材製とされている。そして、図14に示すように、内筒部9に嵌合された絶縁材製の支持板17には複数の正の高圧端子台31と複数の負の高圧端子台32とが交互に支持されている。正の高圧端子台31には正の放電針33が一体に設けられて正の放電電極とされ、負の高圧端子台32には負の放電針34が一体に設けられて負の放電電極とされている。図13に示すように、内筒部9内部の電源室12には直流高圧電源35が収容されており、図14において前面パネル11を取り除いた状態で示すように、正の高圧端子台31は正の高圧ケーブル36を介して直流高圧電源35の正の出力端子37に、負の高圧端子台32は負の高圧ケーブル38を介して直流高圧電源35の負の出力端子39に、夫々接続されている。その他の構成は、第1の実施形態と同様であるため図1乃至図3と同じ符号を付してその説明を省略する。
【0035】
第3の実施形態の送風式イオン生成装置Cにおいては、上記の構成により、直流高圧電源35の正の出力電圧が正の高圧端子台31に印加され、直流高圧電源35の負の出力電圧が負の高圧端子台32に印加されて、正の放電針33と負の放電針34との間に高電界が集中することにより正と負のコロナ放電が発生する。このコロナ放電により正と負の空気イオンを生成することができ、送風機2からの空気流により空気吹出し口3から正と負の空気イオンを送り出すことができる。そして、第3の実施形態の送風式イオン生成装置Cにおいても、前述の第1及び第2の実施形態のものと同様にして、流速が高い空気により空気吹出し口3で生成された空気イオンを多量に送り出すことができ、プロペラファン7により遠心力が付与された空気流の大部分を効率よく空気吹出し口3から吹き出させることができる。そして、直流高圧電源35を内筒部9の電源室12に収容して装置全体を極めてコンパクトに形成することができる。
【0036】
次に、本発明の第4の実施形態を図15及び図16に基づいて説明する。第4の実施形態の送風式イオン生成装置Dは、主要な構成は前述の第1の実施形態のものと同様であるが、放電電極14が着脱自在に設けられている点で第1の実施形態のものと異なっている。即ち、図15及び図16に示すように、前面パネル11の中央部に貫通するねじ部材40が、内筒部9の閉塞板10に設けられた取り付け台41に羅着されることにより、放電電極14及び支持板17が内筒部9に取り付けられている。更に、交流高圧電源13から延びる高圧ケーブル18が、放電電極14の環状基部15に接続されたソケット部材42により切離自在に接続されている。これによれば、ねじ部材40を取り付け台41から外すだけで、前面パネル11と共に支持板17及び放電電極14を内筒部9から取り外すことができ、交流高圧電源13との接続をソケット部材42により切り離すことにより、例えば、別の場所で放電電極14の掃除等を行うことができ、或いは、放電電極14の交換が行え、メンテナンス作業が容易に行える。なお、この構成は、第1の実施形態のものだけでなく、第2の実施形態や第3の実施形態のものにも適用できることはもちろんであり、前述した他の構成の放電電極25、26、28が採用されている場合であっても適用できる。
【0037】
次に、本発明の第5の実施形態を図17及び図18に基づいて説明する。第5の実施形態の送風式イオン生成装置Eは、図17及び図18に示すように、イオン生成手段43と送風機44とにより構成されている。イオン生成手段43は、前面の空気吹出し口3の外周に張り出す第1フランジ部45を備えている。送風機44は、角筒状のフレーム46と、このフレーム46の外周に張り出す第2フランジ部47とを備え、フレーム46内にプロペラファン7を支持している。イオン生成手段43の空気吹出し口3は、外筒部8と内筒部9とにより形成されており、この構成は前述の第1の実施形態と同様である。そして、第5の実施形態の送風式イオン生成装置Eにおいては、イオン生成手段43の第1フランジ部45と送風機44の第2フランジ部47とがねじ部材48により連結され、これによってイオン生成手段43と送風機44とが一体とされている。更に、送風機44の外周には角筒状の外装フレーム49が設けられている。なお、外装フレーム49は、必要に応じて設けられるものであり、不要であれば設けなくてもよい。第5の実施形態の送風式イオン生成装置Eは、以上の構成により、一層コンパクトに構成することができるだけでなく、例えば、既存の送風機44にねじ部材48を介して連結することが可能となる。また、それ以外には、図19及び図20に示すように、角筒状のフレーム50を備える送風機51に前記イオン生成手段43を着脱自在に連結することも可能となる。即ち、第1フランジ部45と送風機51のフレーム50とに取り外し自在の連結具52を設けることで、既存の送風機51へのイオン生成手段43の増設が容易となるだけでなく、送風機51からのイオン生成手段43の取り外しも容易となる。
【0038】
以上のように本発明の送風式イオン生成装置は、各実施形態において説明した通り各種の構成を採用することができるものであるが、更に本発明者は、本発明の送風式イオン生成装置と従来の送風式イオン生成装置との除電効果を比較する試験を行い、本発明の送風式イオン生成装置の除電特性が良好であることを確認した。そこで、この試験によって確認された本発明の送風式イオン生成装置の除電特性について説明する。
【0039】
先ず、送風式イオン生成装置の特性試験を行なう試験装置について説明すれば、試験装置は、図21に示すように、金属製プレート53の電荷減衰時間及びイオンバランスを測定する帯電プレートモニタ54が採用されている。帯電プレートモニタ54は、本体55側面に絶縁体による支持部56を介して150mm角の前記金属製プレート53を支持する。金属製プレート53は除電すべき帯電物を模擬するものである。本体55には、表面電位測定装置57、高圧電源58及びタイマ59が内蔵されており、金属製プレート53には、高圧電源58から電荷が与えられる。金属製プレート53の電圧は、表面電位測定装置57により測定され、その電圧の減衰時間はタイマ59により測定される。
【0040】
そして、帯電プレートモニタ54の一側方には所定の距離Lを存して本発明の送風式イオン生成装置B´、又は従来の送風式イオン生成装置を配置する。送風式イオン生成装置B´において生成された空気イオンは空気流により帯電プレートモニタ54の金属製プレート53に移送される。このとき、例えば、空気中の正負イオンに偏りがある場合には、金属製プレート53に電荷が蓄積して、その電圧の絶対値が大きくなる。この電圧はオフセット電圧と呼ばれ、イオンバランスの指標となる。また、金属製プレート53を高圧電源58により±1000Vに帯電させ、これに送風式イオン生成装置B´から送り出された空気イオンを当てて中和し、±100Vまで低下するのに要する減衰時間を測定する。
【0041】
この試験における本発明の送風式イオン生成装置B´は、第2の実施形態において示した送風式イオン生成装置Bを用い、その放電電極14に替えて、図6に示す平板環状基部23と鋸歯状突起24とにより構成された放電電極25を採用した。なお、本発明の送風式イオン生成装置B´の正面形状は縦140mm、横140mmの正方形とした。
【0042】
また、従来の送風式イオン生成装置として採用したものは、図示しないが、筐体正面形状が縦170mm、横140mmの縦長であり、筐体内部に送風機が設けられ、更に筐体前面には全面が開放された円筒状の空気吹出し口が設けられている。そして、この空気吹出し口の内側には、円環状の金属棒の外周に先端鋭利な8本の放電針が放射状に配設された放電電極が取り付けられ、空気吹出し口の外周には接地された金属製の円筒状の対向電極が装着されているものを用いた。
【0043】
両者の高圧電源は圧電トランスで構成され、出力電圧の実効値は2kV、周波数は63kHzである。なお、前記の距離Lは300mm、金属製プレート53位置での空気流の速度は約1.5m/sとした。
【0044】
本発明の送風式イオン生成装置B´と従来の送風式イオン生成装置との比較結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
表1においては、本発明の送風式イオン生成装置B´を用いた場合と従来の送風式イオン生成装置を用いた場合とで、除電による金属製プレート53における電圧の減衰時間(秒)と、イオンバランスを示すオフセット電圧(V)とを比較した。表1に示すように、本発明のものは、従来のものと同等の除電特性が得られており、更に、本発明のものは従来のものに比して、正負の電圧の減衰時間に偏りが少ないため、空気イオンが正負共に効率よく金属製プレート53に供給されることが判る。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の第1の実施形態の送風式イオン生成装置の正面図。
【図2】図1のII−II線断面図。
【図3】第1の実施形態の送風式イオン生成装置の一部を取り除いて示す説明的正面図。
【図4】本発明の第2の実施形態の送風式イオン生成装置の正面図。
【図5】図4のV−V線断面図。
【図6】他の放電電極の構成を示す正面図。
【図7】図6のVII−VII線断面図。
【図8】他の放電電極の構成を示す正面図。
【図9】図8の放電電極の裏面側を示す説明図。
【図10】図9のX−X線断面図。
【図11】他の放電電極の構成を示す正面図。
【図12】本発明の第3の実施形態の送風式イオン生成装置の正面図。
【図13】図12のXIII−XIII線断面図。
【図14】第3の実施形態の送風式イオン生成装置の一部を取り除いて示す説明的正面図。
【図15】本発明の第4の実施形態の送風式イオン生成装置の正面図。
【図16】図15のXVI−XVI線断面図。
【図17】本発明の第5の実施形態の送風式イオン生成装置の正面図。
【図18】図17のXVIII−XVIII線断面図。
【図19】第5の実施形態の送風式イオン生成装置のにおける他の例を示す正面図。
【図20】図19の送風式イオン生成装置の側面図。
【図21】除電特性を評価する試験装置の概略構成を示す説明図。
【符号の説明】
【0047】
A,B,B´,C,D,E…送風式イオン生成装置、1,43…イオン生成手段、2,44,51…送風機、7…プロペラファン、3…空気吹出し口、8,20,30…外筒部、9…内筒部、13…交流高圧電源、12…電源室、14,25,26,28…放電電極、15…環状基部、16…放電針、17…支持板(平板部材)、18,36,38…高圧ケーブル、22…円筒部材、23…平板環状基部、24…鋸歯状突起、27…平板環状部材、29…円弧基部、33…正の放電針(正の放電電極)、34…負の放電針(負の放電電極)、35…直流高圧電源。
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気中でコロナ放電を発生させて正負の空気イオンを生成し、この空気イオンを空気流により移送して帯電物の除電を行なう送風式イオン生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
放電針などを有するコロナ放電発生用電極によりコロナ放電(空中コロナ放電)を発生させ、このときに生成される空気イオンを、ファンなどの送風機が送り出す空気流に乗せて放出することにより、空気流に搬送された空気イオンを帯電物に吹き付けて帯電物の除電を行うようにした送風式イオン生成装置が、従来から知られている。
【0003】
この種の送風式イオン生成装置では、通常、コロナ放電発生用電極の電圧印加部に、交流高圧電源から交流高電圧を印加することによって、放電針などからコロナ放電を発生させ、正負の空気イオンを生成するようにしている。そして、このようにして生成された正負の空気イオンを送風機の空気流によって移送することにより比較的遠く離れた位置にある帯電物であっても良好に除電することができる。
【0004】
ところで、従来の送風式イオン生成装置では、交流高圧電源として、商用電源から商用周波数(50Hzまたは60Hz)の交流電圧が入力される一次巻線を有する巻線トランスが一般に使用されていた。しかし、このような商用周波数の巻線トランスにより構成される交流高圧電源は比較的大型で重く、送風機やコロナ放電発生用電極と共に一つの筐体内に収容して送風式イオン生成装置を構成した場合には、送風式イオン生成装置の小型化や軽量化が困難となる。
【0005】
このため、近年では、交流高圧電源として、高周波トランスや圧電トランスを利用した小型且つ軽量な高周波電源が使用されるようになってきている(例えば特許文献1参照)。また、他の高圧電源として、プラス高電圧発生回路とマイナス高電圧発生回路とを用いた小型且つ軽量な直流高圧電源を用いたものもある(例えば特許文献2参照)。
【0006】
しかし、これらの高圧電源は、送風機によって形成される空気流を阻害することのない位置に配置する必要があるため、送風機の側方やコロナ放電発生用電極の外側に配置され、装置全体として小型化することは困難であった。
【特許文献1】特開2005−216539号公報
【特許文献2】特開2007−305366号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、装置全体の小型化を図ることができると共に、空気イオンを移送する空気流を円滑に発生させることができる送風式イオン生成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するために、本発明は、プロペラファンの回転により空気を送出する送風機と、該送風機による空気の送出側に位置して空気イオンを生成するイオン生成手段とを備え、該イオン生成手段により生成される空気イオンを送風機からの空気流により移送する送風式イオン生成装置において、前記イオン生成手段は、前記送風機から送出される空気を吹出し方向に案内する空気吹出し口と、交流高電圧を出力する交流高圧電源と、該交流高圧電源から高電圧が印加されることによりコロナ放電を発生させて、このコロナ放電より空気イオンを生成するコロナ放電発生用電極とを備え、前記空気吹出し口は、前記プロペラファンの回転円周の外径に対応する周壁を有する円筒状の外筒部と、該外筒部の内側に位置し該外筒部の周壁全周に所定の空隙を存して対向する周壁を有する円筒状の内筒部との間の空隙により環状に形成され、前記交流高圧電源は、該内筒部の軸方向両端を閉塞して形成された電源室に収容され、前記コロナ放電発生用電極は、前記空気吹出し口に臨んで配設され、前記内筒部に設けられて前記交流高圧電源により高電圧が印加される放電電極と、前記外筒部に設けられて該放電電極に対向する接地された対向電極とによって構成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、上記の構成により、空気吹出し口を、外筒部と内筒部との間の空隙により形成したので、送風機から送出される空気流の流動面積を狭めて流速を高めることができる。これによって、空気吹出し口に臨むコロナ放電発生用電極により生成される空気イオンをより多く空気流に乗せて送り出すことができるので、放出する空気イオン量を増加させることができる。
【0010】
しかも、空気吹出し口は、外筒部と内筒部とによって環状に形成されているだけでなく、外筒部がプロペラファンの回転円周の外径に対応する周壁を有することによって、プロペラファンにより遠心力が付与された空気流の大部分を通過させることができる。
【0011】
一方、プロペラファンにより形成される空気流はその中央部では少ない。そこで、本発明においては、空気流が少ない中央部に位置する内筒部の軸方向両端を閉塞して電源室を形成し、この電源室に前記交流高圧電源を収容した。こうすることにより、送風機による空気の送出を阻害することのない空間を有効に利用して前記交流高圧電源を配置することができ、装置全体をコンパクトに形成することができる。更に、補足すると、前記交流高圧電源は商用周波数の巻線トランスにより構成されるものではなく、周知である高周波トランスや圧電トランスを利用した小型且つ軽量な高周波電源を使用する。これにより、電源室を大きくする必要がなく、内筒部の内部に容易に収容できる。
【0012】
また、本発明において、前記対向電極は、接地された金属製の前記外筒部により形成することができる。前記外筒部を金属により形成して接地させ、これを対向電極とすることにより、部品点数を少なくすることができる。
【0013】
また、本発明において、前記対向電極は、絶縁材製の前記外筒部の外周に装着され接地された金属製の円筒部材により形成してもよい。放電電極に高電圧を印加すると、放電電極においてコロナ放電が発生するが、両電極間に多くの空気イオンが存在すると空気が導電性を有することとなる。このとき、両電極間の距離が小さいとコロナ放電が火花放電に移行するおそれがあるが、両電極間には絶縁材製の外筒部が介在することにより、コロナ放電から火花放電への移行を防止することができ、火花放電に伴う空気イオン量の低下、両電極の損傷、及びノイズの発生等を防止することができる。
【0014】
また、本発明において、前記放電電極は、前記内筒部の周壁内面側に設けられ前記交流高圧電源に高圧ケーブルを介して接続された金属製の環状基部と、該環状基部の周方向に所定間隔を存して該環状基部と一体に形成され、内筒部の周壁を貫通して前記空気吹出し口に突出する先端鋭利な複数の放電針とにより構成されていることを特徴とする。これによれば、放電針の鋭利な先端に高電界を集中させて確実にコロナ放電を得ることができる。そして、複数の放電針が内筒部の周方向に所定間隔を存して突出するので全周わたり略均一にコロナ放電を発生させることができるので、効率良く空気イオンを生成することができる。
【0015】
また、前記放電電極は、前記内筒部の周壁内面側に設けられ前記交流高圧電源に高圧ケーブルを介して接続された金属製の平板環状基部と、該平板環状基部の外周縁にその周方向に所定間隔を存して該平板環状基部と一体に形成され、内筒部の周壁を貫通して前記空気吹出し口に突出する先端鋭利な複数の鋸歯状突起とにより構成されていてもよい。これによれば、放電電極を金属製原材から打ち抜きによって容易に作成できる。
【0016】
このとき、前記平板環状基部を、該平板環状基部と対向する同形の金属製の平板環状部材に絶縁体の平板部材を介して重合し、該平板環状部材を前記交流高圧電源に前記高圧ケーブルを介して接続することにより、容量を介して前記平板環状基部に交流高電圧が印加されるようにしてもよい。放電電極が金属製の平板環状基部と鋸歯状突起とで平板状に形成されていることにより、絶縁体の平板部材と金属製の平板環状部材とを重合して容易にコンデンサを構成することができる。そして、容量を介して交流高電圧を印加させることで各鋸歯状突起に異物が接触しても、大きな短絡電流が流れるのを抑制することができる。
【0017】
更に、前記平板環状基部を、円弧状に形成された複数の円弧基部を所定間隔を存して環状に配列することにより形成し、各円弧基部には1以上の前記鋸歯状突起を設けることで、各円弧基部における接続容量が小さくなり、短絡電流を一層確実に抑制することができる。
【0018】
以上のものは、交流高圧電源を備えてコロナ放電発生用電極に交流項電圧を印加する構成であるが、交流高圧電源に替えて小型軽量な直流高圧電源を用いても同様の効果を得ることができる。即ち、本発明の他の態様として、前記イオン生成手段は、前記送風機から送出される空気を吹出し方向に案内する空気吹出し口と、正負の直流高電圧を各別に出力する直流高圧電源と、該直流高圧電源から高電圧が印加されることによりコロナ放電を発生させて、このコロナ放電より空気イオンを生成するコロナ放電発生用電極とを備え、前記空気吹出し口は、前記プロペラファンの回転円周の外径に対応する周壁を有する円筒状の外筒部と、該外筒部の内側に位置し該外筒部の周壁全周に所定の空隙を存して対向する周壁を有する円筒状の内筒部との間の空隙により環状に形成され、前記直流高圧電源は、該内筒部の軸方向両端を閉塞して形成された電源室に収容され、前記コロナ放電発生用電極は、前記空気吹出し口に臨んで配設され、前記内筒部に設けられて前記直流高圧電源により正の高電圧が印加される正の放電電極と、該正の放電電極に隣接して該内筒部に設けられ、前記直流高圧電源により負の高電圧が印加される負の放電電極とによって構成されていることを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、外筒部と内筒部とによる環状の空気吹出し口により流速の早い空気流を形成して放出する空気イオン量を増加させることができる。そして、前述した通り、プロペラファンによる空気流が比較的少ない中央部に位置する内筒部の内部に電源室を形成し、この電源室に前記直流高圧電源を収容することで、送風機による空気の送出を阻害することのない空間を有効に利用して前記直流高圧電源を配置することができ、装置全体をコンパクトに形成することができる。
【0020】
また、本発明において、前記放電電極は、前記内筒部に着脱自在に取り付けられた支持部材に支持され、該支持部材と一体的に前記内筒部から取り外し可能とされていることが好ましい。これによれば、支持部材と共に放電電極を内筒部から取り外して掃除やメンテナンスが容易に行える。
【0021】
また、本発明において、前記イオン生成手段は、前記送風機のプロペラファンを収容するフレームに着脱自在に連結されていてもよい。こうすることで、前記イオン生成手段を送風機から分離させて、メンテナンス作業が行い易いだけでなく、イオン生成手段を既存の送風機の空気送出側に取り付けることも可能となるので経済的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
先ず、本発明の第1の実施形態を図1乃至図3に基づいて説明する。第1の実施形態の送風式イオン生成装置Aは、図1及び図2に示すように、イオン生成手段1と送風機2とにより構成されている。イオン生成手段1は、前面に空気吹出し口3が設けられた筐体4を備えている。該筐体4は、図2に示すように、背面側が開放され、内部に送風機2を収容する収容部5が形成されている。送風機2は、収容部5に対応する角筒状のフレーム6を備え、このフレーム6内にプロペラファン7を支持している。プロペラファン7は図示しないモータにより回転駆動され、フレーム6の背面側から空気を強制的に取り入れて前方へ送出する。送風機2による空気の送出側には、前記イオン生成手段1の空気吹出し口3が位置している。
【0023】
該空気吹出し口3は、図1及び図2に示すように、外筒部8と内筒部9とにより形成されている。外筒部8は、金属製であり、プロペラファン7の回転円周の外径に対応する周壁を有する円筒状に形成されている。内筒部9は、合成樹脂等の絶縁材製であり、外筒部8の内側に位置し該外筒部8の周壁全周に所定の空隙を存して対向する周壁を有する円筒状に形成されている。外筒部8は、筐体4の前壁に連結され、内筒部9は図示しない連結部材を介して筐体4に連結されている。図2に示すように、外筒部8と内筒部9との間に形成された環状の空隙は、筐体4の内外に連通し、これによって環状の空気吹出し口3を形成している。
【0024】
また、内筒部9は、図2に示すように、送風機2に対向する側の端部が閉塞板10により閉塞され、空気吹出し口3の下流側の端部が合成樹脂等の絶縁材製の前面パネル11により閉蓋されている。内筒部9の内部の空間により電源室12が形成され、この電源室12には、交流高圧電源13が収容されている。交流高圧電源13は、高周波トランスや圧電トランスによる高周波電源が採用されていることにより小型且つ軽量とされ、電源室12内にコンパクトに収容されている。
【0025】
更に、内筒部9には、交流高圧電源13により高電圧が印加される放電電極14が設けられている。図3において前面パネル11を取り除いた状態で示すように、放電電極14は、金属製の棒状体を円環状に形成してなる環状基部15と、環状基部15に一体に嵌め込み連結されて所定間隔を存して放射状に配列された先端鋭利な金属製の複数の放電針16とにより構成されている。環状基部15は、図2に示すように、内筒部9に嵌合された合成樹脂等の絶縁材製の円形の支持板17に保持され、各放電針16は、内筒部9を貫通して空気吹出し口3に突出している。環状基部15には、高圧ケーブル18を介して交流高圧電源13が接続されている。
【0026】
そして、図2及び図3に示すように、放電電極14には金属製の外筒部8が対向しており、この外筒部8が接地線19により接地されていることにより、外筒部8が対向電極とされ、放電電極14と対向電極である外筒部8とでコロナ放電発生用電極を構成している。
【0027】
以上の構成による送風式イオン生成装置Aは、交流高圧電源13から放電電極14に高電圧を印加することで、空気吹出し口3において放電針16と外筒部8との間に形成された高電界が放電針16の先端に集中してコロナ放電が発生する。そして、このときのコロナ放電により空気イオンが生成され、送風機2からの空気流が空気吹出し口3を通過する際に、空気イオンが空気流と共に空気吹出し口3から吹き出される。こうして空気吹出し口3から吹き出された空気イオンは、空気流に乗って離れた位置にある帯電物に移送され、帯電物の静電気を中和して効率よく除電することができる。
【0028】
このとき、空気吹出し口3が、外筒部8と内筒部9との間の空隙により形成されているので、送風機2から送出される空気流の流動面積が比較的狭く、空気の流速が高い。これによって、空気吹出し口3で生成される空気イオンを多量に送り出すことができる。しかも、空気吹出し口3を構成する外筒部8がプロペラファン7の回転円周の外径に対応する周壁を有することによって、プロペラファン7により遠心力が付与された空気流の大部分を効率よく空気吹出し口3から吹き出させることができる。更に、プロペラファン7により形成される空気流はその中央部では少ないので、空気流が少ない中央部に位置する内筒部9に電源室12を形成して交流高圧電源13を収容したことで装置全体を極めてコンパクトに形成することができる。
【0029】
次に、本発明の第2の実施形態を図4及び図5に基づいて説明する。第2の実施形態の送風式イオン生成装置Bは、外筒部20が合成樹脂等の絶縁材製とされている。そして、外筒部20の外周には接地線21を介して接地された金属製の円筒部材22が装着され、この円筒部材22によって対向電極が構成されている。その他の構成は、第1の実施形態と同様であるため図1乃至図3と同じ符号を付してその説明を省略する。
【0030】
第2の実施形態の送風式イオン生成装置Bにおいては、絶縁材製の外筒部20を介してその外側の円筒部材22が放電電極14の放電針16に対向するので、コロナ放電を一層確実に発生させることができる。即ち、放電電極に高電圧を印加すると、空気吹出し口3において放電針16と円筒部材22との間に形成された高電界が放電針16の先端に集中してコロナ放電が発生する。このとき、放電針16と円筒部材22との間に絶縁材製の外筒部20が介在するので、コロナ放電から火花放電に移行することが防止できる。これによって、コロナ放電の発生が安定して確実に得られるだけでなく、火花放電に伴う空気イオン量の低下、両電極の損傷、及びノイズの発生等を防止することができる。
【0031】
ここで、前述の第1及び第2の実施形態においては、金属製の棒状体を円環状に形成してなる環状基部15と、環状基部15に一体に嵌め込み連結された金属製の複数の放電針16とにより構成した放電電極14を用いたが、それ以外には、図6及び図7に示すように、金属製の平板環状基部23と、平板環状基部の外周縁にその周方向に所定間隔を存して一体に形成された先端鋭利な複数の鋸歯状突起24とにより構成された放電電極25を用いることができる。この場合に、平板環状基部23は内筒部9(図1参照)に嵌合する絶縁材製の支持板17に支持させ、高圧ケーブル18を介して交流高圧電源13(図1参照)を接続する。各鋸歯状突起24は、内筒部9の周壁を貫通して前記空気吹出し口3に突出させる。こうすることにより、前述の第1及び第2の実施形態のものと同様の効果が得られるだけでなく、放電電極25を金属製板材から打ち抜いて容易に作成できるので安価となる。
【0032】
また、前述の第1及び第2の実施形態においては、図8乃至図10に示す放電電極26を採用することもできる。この放電電極26は、図8に示すように、平板環状基部23と鋸歯状突起24とを備える点は上述の放電電極25と同様であるが、更に、裏面視した図9及び断面視した図10に示すように、絶縁材製の支持板17(平板部材)を介して金属製の平板環状部材27を重合し、この平板環状部材27に高圧ケーブル18を介して交流高圧電源13(図1参照)を接続する。このとき、平板環状基部23と平板環状部材27とは同形として互いに同心に対向させる。こうすることにより、絶縁材製の支持板17を挟みこんだ平板環状基部23と平板環状部材27とにより所謂平行平板コンデンサが構成され、交流高圧電源13からは、容量を介して鋸歯状突起24に高電圧が印加される。これによれば、前述の第1及び第2の実施形態のものと同様の効果が得られるだけでなく、容量を介して交流高電圧を印加させることで各鋸歯状突起24に異物が接触しても、大きな短絡電流が流れるのを抑制することができる。
【0033】
更にまた、前述の第1及び第2の実施形態においては、図11に示す放電電極28を採用することもできる。この放電電極28は、円弧状に形成された複数の円弧基部29を所定間隔を存して環状に配列し、各円弧基部29に1以上の鋸歯状突起24を設けることによって構成したものである。これによれば、各円弧基部29における接続容量が小さくなり、短絡電流を一層確実に抑制することができる。
【0034】
次に、本発明の第3の実施形態を図12乃至図14に基づいて説明する。第3の実施形態の送風式イオン生成装置Cは、外筒部30と内筒部9とが共に合成樹脂等の絶縁材製とされている。そして、図14に示すように、内筒部9に嵌合された絶縁材製の支持板17には複数の正の高圧端子台31と複数の負の高圧端子台32とが交互に支持されている。正の高圧端子台31には正の放電針33が一体に設けられて正の放電電極とされ、負の高圧端子台32には負の放電針34が一体に設けられて負の放電電極とされている。図13に示すように、内筒部9内部の電源室12には直流高圧電源35が収容されており、図14において前面パネル11を取り除いた状態で示すように、正の高圧端子台31は正の高圧ケーブル36を介して直流高圧電源35の正の出力端子37に、負の高圧端子台32は負の高圧ケーブル38を介して直流高圧電源35の負の出力端子39に、夫々接続されている。その他の構成は、第1の実施形態と同様であるため図1乃至図3と同じ符号を付してその説明を省略する。
【0035】
第3の実施形態の送風式イオン生成装置Cにおいては、上記の構成により、直流高圧電源35の正の出力電圧が正の高圧端子台31に印加され、直流高圧電源35の負の出力電圧が負の高圧端子台32に印加されて、正の放電針33と負の放電針34との間に高電界が集中することにより正と負のコロナ放電が発生する。このコロナ放電により正と負の空気イオンを生成することができ、送風機2からの空気流により空気吹出し口3から正と負の空気イオンを送り出すことができる。そして、第3の実施形態の送風式イオン生成装置Cにおいても、前述の第1及び第2の実施形態のものと同様にして、流速が高い空気により空気吹出し口3で生成された空気イオンを多量に送り出すことができ、プロペラファン7により遠心力が付与された空気流の大部分を効率よく空気吹出し口3から吹き出させることができる。そして、直流高圧電源35を内筒部9の電源室12に収容して装置全体を極めてコンパクトに形成することができる。
【0036】
次に、本発明の第4の実施形態を図15及び図16に基づいて説明する。第4の実施形態の送風式イオン生成装置Dは、主要な構成は前述の第1の実施形態のものと同様であるが、放電電極14が着脱自在に設けられている点で第1の実施形態のものと異なっている。即ち、図15及び図16に示すように、前面パネル11の中央部に貫通するねじ部材40が、内筒部9の閉塞板10に設けられた取り付け台41に羅着されることにより、放電電極14及び支持板17が内筒部9に取り付けられている。更に、交流高圧電源13から延びる高圧ケーブル18が、放電電極14の環状基部15に接続されたソケット部材42により切離自在に接続されている。これによれば、ねじ部材40を取り付け台41から外すだけで、前面パネル11と共に支持板17及び放電電極14を内筒部9から取り外すことができ、交流高圧電源13との接続をソケット部材42により切り離すことにより、例えば、別の場所で放電電極14の掃除等を行うことができ、或いは、放電電極14の交換が行え、メンテナンス作業が容易に行える。なお、この構成は、第1の実施形態のものだけでなく、第2の実施形態や第3の実施形態のものにも適用できることはもちろんであり、前述した他の構成の放電電極25、26、28が採用されている場合であっても適用できる。
【0037】
次に、本発明の第5の実施形態を図17及び図18に基づいて説明する。第5の実施形態の送風式イオン生成装置Eは、図17及び図18に示すように、イオン生成手段43と送風機44とにより構成されている。イオン生成手段43は、前面の空気吹出し口3の外周に張り出す第1フランジ部45を備えている。送風機44は、角筒状のフレーム46と、このフレーム46の外周に張り出す第2フランジ部47とを備え、フレーム46内にプロペラファン7を支持している。イオン生成手段43の空気吹出し口3は、外筒部8と内筒部9とにより形成されており、この構成は前述の第1の実施形態と同様である。そして、第5の実施形態の送風式イオン生成装置Eにおいては、イオン生成手段43の第1フランジ部45と送風機44の第2フランジ部47とがねじ部材48により連結され、これによってイオン生成手段43と送風機44とが一体とされている。更に、送風機44の外周には角筒状の外装フレーム49が設けられている。なお、外装フレーム49は、必要に応じて設けられるものであり、不要であれば設けなくてもよい。第5の実施形態の送風式イオン生成装置Eは、以上の構成により、一層コンパクトに構成することができるだけでなく、例えば、既存の送風機44にねじ部材48を介して連結することが可能となる。また、それ以外には、図19及び図20に示すように、角筒状のフレーム50を備える送風機51に前記イオン生成手段43を着脱自在に連結することも可能となる。即ち、第1フランジ部45と送風機51のフレーム50とに取り外し自在の連結具52を設けることで、既存の送風機51へのイオン生成手段43の増設が容易となるだけでなく、送風機51からのイオン生成手段43の取り外しも容易となる。
【0038】
以上のように本発明の送風式イオン生成装置は、各実施形態において説明した通り各種の構成を採用することができるものであるが、更に本発明者は、本発明の送風式イオン生成装置と従来の送風式イオン生成装置との除電効果を比較する試験を行い、本発明の送風式イオン生成装置の除電特性が良好であることを確認した。そこで、この試験によって確認された本発明の送風式イオン生成装置の除電特性について説明する。
【0039】
先ず、送風式イオン生成装置の特性試験を行なう試験装置について説明すれば、試験装置は、図21に示すように、金属製プレート53の電荷減衰時間及びイオンバランスを測定する帯電プレートモニタ54が採用されている。帯電プレートモニタ54は、本体55側面に絶縁体による支持部56を介して150mm角の前記金属製プレート53を支持する。金属製プレート53は除電すべき帯電物を模擬するものである。本体55には、表面電位測定装置57、高圧電源58及びタイマ59が内蔵されており、金属製プレート53には、高圧電源58から電荷が与えられる。金属製プレート53の電圧は、表面電位測定装置57により測定され、その電圧の減衰時間はタイマ59により測定される。
【0040】
そして、帯電プレートモニタ54の一側方には所定の距離Lを存して本発明の送風式イオン生成装置B´、又は従来の送風式イオン生成装置を配置する。送風式イオン生成装置B´において生成された空気イオンは空気流により帯電プレートモニタ54の金属製プレート53に移送される。このとき、例えば、空気中の正負イオンに偏りがある場合には、金属製プレート53に電荷が蓄積して、その電圧の絶対値が大きくなる。この電圧はオフセット電圧と呼ばれ、イオンバランスの指標となる。また、金属製プレート53を高圧電源58により±1000Vに帯電させ、これに送風式イオン生成装置B´から送り出された空気イオンを当てて中和し、±100Vまで低下するのに要する減衰時間を測定する。
【0041】
この試験における本発明の送風式イオン生成装置B´は、第2の実施形態において示した送風式イオン生成装置Bを用い、その放電電極14に替えて、図6に示す平板環状基部23と鋸歯状突起24とにより構成された放電電極25を採用した。なお、本発明の送風式イオン生成装置B´の正面形状は縦140mm、横140mmの正方形とした。
【0042】
また、従来の送風式イオン生成装置として採用したものは、図示しないが、筐体正面形状が縦170mm、横140mmの縦長であり、筐体内部に送風機が設けられ、更に筐体前面には全面が開放された円筒状の空気吹出し口が設けられている。そして、この空気吹出し口の内側には、円環状の金属棒の外周に先端鋭利な8本の放電針が放射状に配設された放電電極が取り付けられ、空気吹出し口の外周には接地された金属製の円筒状の対向電極が装着されているものを用いた。
【0043】
両者の高圧電源は圧電トランスで構成され、出力電圧の実効値は2kV、周波数は63kHzである。なお、前記の距離Lは300mm、金属製プレート53位置での空気流の速度は約1.5m/sとした。
【0044】
本発明の送風式イオン生成装置B´と従来の送風式イオン生成装置との比較結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
表1においては、本発明の送風式イオン生成装置B´を用いた場合と従来の送風式イオン生成装置を用いた場合とで、除電による金属製プレート53における電圧の減衰時間(秒)と、イオンバランスを示すオフセット電圧(V)とを比較した。表1に示すように、本発明のものは、従来のものと同等の除電特性が得られており、更に、本発明のものは従来のものに比して、正負の電圧の減衰時間に偏りが少ないため、空気イオンが正負共に効率よく金属製プレート53に供給されることが判る。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の第1の実施形態の送風式イオン生成装置の正面図。
【図2】図1のII−II線断面図。
【図3】第1の実施形態の送風式イオン生成装置の一部を取り除いて示す説明的正面図。
【図4】本発明の第2の実施形態の送風式イオン生成装置の正面図。
【図5】図4のV−V線断面図。
【図6】他の放電電極の構成を示す正面図。
【図7】図6のVII−VII線断面図。
【図8】他の放電電極の構成を示す正面図。
【図9】図8の放電電極の裏面側を示す説明図。
【図10】図9のX−X線断面図。
【図11】他の放電電極の構成を示す正面図。
【図12】本発明の第3の実施形態の送風式イオン生成装置の正面図。
【図13】図12のXIII−XIII線断面図。
【図14】第3の実施形態の送風式イオン生成装置の一部を取り除いて示す説明的正面図。
【図15】本発明の第4の実施形態の送風式イオン生成装置の正面図。
【図16】図15のXVI−XVI線断面図。
【図17】本発明の第5の実施形態の送風式イオン生成装置の正面図。
【図18】図17のXVIII−XVIII線断面図。
【図19】第5の実施形態の送風式イオン生成装置のにおける他の例を示す正面図。
【図20】図19の送風式イオン生成装置の側面図。
【図21】除電特性を評価する試験装置の概略構成を示す説明図。
【符号の説明】
【0047】
A,B,B´,C,D,E…送風式イオン生成装置、1,43…イオン生成手段、2,44,51…送風機、7…プロペラファン、3…空気吹出し口、8,20,30…外筒部、9…内筒部、13…交流高圧電源、12…電源室、14,25,26,28…放電電極、15…環状基部、16…放電針、17…支持板(平板部材)、18,36,38…高圧ケーブル、22…円筒部材、23…平板環状基部、24…鋸歯状突起、27…平板環状部材、29…円弧基部、33…正の放電針(正の放電電極)、34…負の放電針(負の放電電極)、35…直流高圧電源。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロペラファンの回転により空気を送出する送風機と、該送風機による空気の送出側に位置して空気イオンを生成するイオン生成手段とを備え、該イオン生成手段により生成される空気イオンを送風機からの空気流により移送する送風式イオン生成装置において、
前記イオン生成手段は、前記送風機から送出される空気を吹出し方向に案内する空気吹出し口と、交流高電圧を出力する交流高圧電源と、該交流高圧電源から高電圧が印加されることによりコロナ放電を発生させて、このコロナ放電より空気イオンを生成するコロナ放電発生用電極とを備え、
前記空気吹き出し口は、前記プロペラファンの回転円周の外径に対応する周壁を有する円筒状の外筒部と、該外筒部の内側に位置し該外筒部の周壁全周に所定の空隙を存して対向する周壁を有する円筒状の内筒部との間の空隙により環状に形成され、
前記交流高圧電源は、該内筒部の軸方向両端を閉塞して形成された電源室に収容され、
前記コロナ放電発生用電極は、前記空気吹出し口に臨んで配設され、前記内筒部に設けられて前記交流高圧電源により高電圧が印加される放電電極と、前記外筒部に設けられて該放電電極に対向する接地された対向電極とによって構成されていることを特徴とする送風式イオン生成装置。
【請求項2】
前記対向電極は、接地された金属製の前記外筒部により形成されていることを特徴とする請求項1記載の送風式イオン生成装置。
【請求項3】
前記対向電極は、絶縁材製の前記外筒部の外周に装着され接地された金属製の円筒部材により形成されていることを特徴とする請求項1記載の送風式イオン生成装置。
【請求項4】
前記放電電極は、前記内筒部の周壁内面側に設けられ前記交流高圧電源に高圧ケーブルを介して接続された金属製の環状基部と、該環状基部の周方向に所定間隔を存して該環状基部と一体に形成され、内筒部の周壁を貫通して前記空気吹き出し口に突出する先端鋭利な複数の放電針とにより構成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載の送風式イオン生成装置。
【請求項5】
前記放電電極は、前記内筒部の周壁内面側に設けられ前記交流高圧電源に高圧ケーブルを介して接続された金属製の平板環状基部と、該平板環状基部の外周縁にその周方向に所定間隔を存して該平板環状基部と一体に形成され、内筒部の周壁を貫通して前記空気吹き出し口に突出する先端鋭利な複数の鋸歯状突起とにより構成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載の送風式イオン生成装置。
【請求項6】
前記平板環状基部は、該平板環状基部と対向する同形の金属製の平板環状部材に絶縁材製の平板部材を介して重合され、該平板環状部材を前記交流高圧電源に前記高圧ケーブルを介して接続することにより、容量を介して前記平板環状基部に交流高電圧が印加されることを特徴とする請求項5記載の送風式イオン生成装置。
【請求項7】
前記平板環状基部は、円弧状に形成された複数の円弧基部を所定間隔を存して環状に配列することにより形成され、各円弧基部には1以上の前記鋸歯状突起が設けられていることを特徴とする請求項6記載の送風式イオン生成装置。
【請求項8】
プロペラファンの回転により空気を送出する送風機と、該送風機による空気の送出側に位置して空気イオンを生成するイオン生成手段とを備え、該イオン生成手段により生成される空気イオンを送風機からの空気流により移送する送風式イオン生成装置において、
前記イオン生成手段は、前記送風機から送出される空気を吹出し方向に案内する空気吹出し口と、正負の直流高電圧を各別に出力する直流高圧電源と、該直流高圧電源から高電圧が印加されることによりコロナ放電を発生させて、このコロナ放電より空気イオンを生成するコロナ放電発生用電極とを備え、
前記空気吹き出し口は、前記プロペラファンの回転円周の外径に対応する周壁を有する円筒状の外筒部と、該外筒部の内側に位置し該外筒部の周壁全周に所定の空隙を存して対向する周壁を有する円筒状の内筒部との間の空隙により環状に形成され、
前記直流高圧電源は、該内筒部の軸方向両端を閉塞して形成された電源室に収容され、
前記コロナ放電発生用電極は、前記空気吹出し口に臨んで配設され、前記内筒部に設けられて前記直流高圧電源により正の高電圧が印加される正の放電電極と、該正の放電電極に隣接して該内筒部に設けられ、前記直流高圧電源により負の高電圧が印加される負の放電電極とによって構成されていることを特徴とする送風式イオン生成装置。
【請求項9】
前記放電電極は、前記内筒部に着脱自在に取り付けられた支持部材に支持され、該支持部材と一体的に前記内筒部から取り外し可能とされていることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項記載の送風式イオン生成装置。
【請求項10】
前記イオン生成手段は、前記送風機のプロペラファンを収容するフレームに着脱自在に連結されていることを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項記載の送風式イオン生成装置。
【請求項1】
プロペラファンの回転により空気を送出する送風機と、該送風機による空気の送出側に位置して空気イオンを生成するイオン生成手段とを備え、該イオン生成手段により生成される空気イオンを送風機からの空気流により移送する送風式イオン生成装置において、
前記イオン生成手段は、前記送風機から送出される空気を吹出し方向に案内する空気吹出し口と、交流高電圧を出力する交流高圧電源と、該交流高圧電源から高電圧が印加されることによりコロナ放電を発生させて、このコロナ放電より空気イオンを生成するコロナ放電発生用電極とを備え、
前記空気吹き出し口は、前記プロペラファンの回転円周の外径に対応する周壁を有する円筒状の外筒部と、該外筒部の内側に位置し該外筒部の周壁全周に所定の空隙を存して対向する周壁を有する円筒状の内筒部との間の空隙により環状に形成され、
前記交流高圧電源は、該内筒部の軸方向両端を閉塞して形成された電源室に収容され、
前記コロナ放電発生用電極は、前記空気吹出し口に臨んで配設され、前記内筒部に設けられて前記交流高圧電源により高電圧が印加される放電電極と、前記外筒部に設けられて該放電電極に対向する接地された対向電極とによって構成されていることを特徴とする送風式イオン生成装置。
【請求項2】
前記対向電極は、接地された金属製の前記外筒部により形成されていることを特徴とする請求項1記載の送風式イオン生成装置。
【請求項3】
前記対向電極は、絶縁材製の前記外筒部の外周に装着され接地された金属製の円筒部材により形成されていることを特徴とする請求項1記載の送風式イオン生成装置。
【請求項4】
前記放電電極は、前記内筒部の周壁内面側に設けられ前記交流高圧電源に高圧ケーブルを介して接続された金属製の環状基部と、該環状基部の周方向に所定間隔を存して該環状基部と一体に形成され、内筒部の周壁を貫通して前記空気吹き出し口に突出する先端鋭利な複数の放電針とにより構成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載の送風式イオン生成装置。
【請求項5】
前記放電電極は、前記内筒部の周壁内面側に設けられ前記交流高圧電源に高圧ケーブルを介して接続された金属製の平板環状基部と、該平板環状基部の外周縁にその周方向に所定間隔を存して該平板環状基部と一体に形成され、内筒部の周壁を貫通して前記空気吹き出し口に突出する先端鋭利な複数の鋸歯状突起とにより構成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載の送風式イオン生成装置。
【請求項6】
前記平板環状基部は、該平板環状基部と対向する同形の金属製の平板環状部材に絶縁材製の平板部材を介して重合され、該平板環状部材を前記交流高圧電源に前記高圧ケーブルを介して接続することにより、容量を介して前記平板環状基部に交流高電圧が印加されることを特徴とする請求項5記載の送風式イオン生成装置。
【請求項7】
前記平板環状基部は、円弧状に形成された複数の円弧基部を所定間隔を存して環状に配列することにより形成され、各円弧基部には1以上の前記鋸歯状突起が設けられていることを特徴とする請求項6記載の送風式イオン生成装置。
【請求項8】
プロペラファンの回転により空気を送出する送風機と、該送風機による空気の送出側に位置して空気イオンを生成するイオン生成手段とを備え、該イオン生成手段により生成される空気イオンを送風機からの空気流により移送する送風式イオン生成装置において、
前記イオン生成手段は、前記送風機から送出される空気を吹出し方向に案内する空気吹出し口と、正負の直流高電圧を各別に出力する直流高圧電源と、該直流高圧電源から高電圧が印加されることによりコロナ放電を発生させて、このコロナ放電より空気イオンを生成するコロナ放電発生用電極とを備え、
前記空気吹き出し口は、前記プロペラファンの回転円周の外径に対応する周壁を有する円筒状の外筒部と、該外筒部の内側に位置し該外筒部の周壁全周に所定の空隙を存して対向する周壁を有する円筒状の内筒部との間の空隙により環状に形成され、
前記直流高圧電源は、該内筒部の軸方向両端を閉塞して形成された電源室に収容され、
前記コロナ放電発生用電極は、前記空気吹出し口に臨んで配設され、前記内筒部に設けられて前記直流高圧電源により正の高電圧が印加される正の放電電極と、該正の放電電極に隣接して該内筒部に設けられ、前記直流高圧電源により負の高電圧が印加される負の放電電極とによって構成されていることを特徴とする送風式イオン生成装置。
【請求項9】
前記放電電極は、前記内筒部に着脱自在に取り付けられた支持部材に支持され、該支持部材と一体的に前記内筒部から取り外し可能とされていることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項記載の送風式イオン生成装置。
【請求項10】
前記イオン生成手段は、前記送風機のプロペラファンを収容するフレームに着脱自在に連結されていることを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項記載の送風式イオン生成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2009−224280(P2009−224280A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−70287(P2008−70287)
【出願日】平成20年3月18日(2008.3.18)
【出願人】(000106900)シシド静電気株式会社 (39)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月18日(2008.3.18)
【出願人】(000106900)シシド静電気株式会社 (39)
【Fターム(参考)】
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