透明剤組成物およびその製造方法
【課題】アジトールジアセタールを有するオルガノシラン処理ヒュームシリカからなる高い分散性を有する超微細な粉末状ジアセタール組成物と該組成物がポリオレフィンの重合中に添加されるポリオレフィン組成物を提供する。
【解決手段】透明剤組成物はジアセタール粉末ならびに水対メタノールの1:1混合物中4重量/重量%分散物中で測定されたpH値5.5ないし8を有するオルガノシラン処理フュームシリカからなり、ジアセタールは、(3−テニリデン)基、(5−メチル−2−テニリデン)基、(4−メチル−ベンリジリデン)基、(3,4−ジメチル−ベンリジリデン)基で置換されたD―ソルビトールであり、相当する製品の表面上の目に見える白い斑点なしのポリオレフィンプラスチック生成物を製造するための、分散特性を有する超微細な粉末状ジアセタール組成物及び製造方法。
【解決手段】透明剤組成物はジアセタール粉末ならびに水対メタノールの1:1混合物中4重量/重量%分散物中で測定されたpH値5.5ないし8を有するオルガノシラン処理フュームシリカからなり、ジアセタールは、(3−テニリデン)基、(5−メチル−2−テニリデン)基、(4−メチル−ベンリジリデン)基、(3,4−ジメチル−ベンリジリデン)基で置換されたD―ソルビトールであり、相当する製品の表面上の目に見える白い斑点なしのポリオレフィンプラスチック生成物を製造するための、分散特性を有する超微細な粉末状ジアセタール組成物及び製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アジトールジアセタールならびに水対メタノール1:1の混合物中4重量/重量%分散物中で測定されたpH値5.5ないし8を有するオルガノシラン処理ヒュームシリカ0.05ないし50重量%からなる改良された透明剤組成物に関する。
【0002】
本発明はまた、高い分散性を有する超微細な粉末状ジアセタール組成物を製造する新規な製造方法を提供することを意図する。
【0003】
最後に、本発明はまた、相当する製品の表面上に目に見える白い斑点がないポリオレフィンプラスチック製品を製造するための上記組成物の使用にも関する。
【背景技術】
【0004】
ジアセタール粉末は、ポリオレフィンのような重合体物質に、結晶化を促進し、溶融の間の成形時間を短縮し、ポリオレフィンの物理特性を改善するための核剤として添加できる。ジアセタール粉末はまた、透明剤として使用され半結晶質重合体の透明性を増大させることもできる。
【0005】
基本的に、ジアセタール粉末の透明剤としてのメカニズムは以下に記載されている。先ず、ジアセタール粉末はポリオレフィンに添加され、適当な処理温度で融解される。ポリオレフィンが冷えた後、ジアセタールは結晶化してポリオレフィン中に結晶化ネットワークおよび多くの球状核形成部位を形成する。核形成部位は光を反射するにはあまりに小さいので透明になる。したがって、小さな粒子サイズを保持してジアセタールの凝集を防止することがポリオレフィン光学特性を改善するのに重要な因子として役立つことが知られている。
【0006】
ジアセタールの粒子サイズが減少すると、微粉砕に必要なエネルギーの量が減少し、これにより一般的に生産性の低下および生産コストの上昇を招く。さらに、上記ジアセタールのサイズが低下され、微粉砕可能性が改善されても該ジアセタール粒子の摩擦および凝集の増大ならびに高い湿度の状態下に該ジアセタール粒子の表面へ付着する水の比率の増大により流動性が低下することが指摘されてきた。
【0007】
ポリオレフィンへ添加されたジアセタール粉末の粒子サイズがあまりに大きいかまたは強く凝集していると、該ポリオレフィンはしばしば目に見える白い斑点を見せる。これらの白色斑点は最終プラスチック製品の生産を拒絶する(または欠陥にする)。したがって、ポリオレフィンにおける目に見える白い斑点の除去は、当分野において重要課題である。
【0008】
米国特許第5,198,484号(Mannion)は、ジアセタール粉末を分散させるためにポリオレフィンに極性脂肪族添加物を添加することによってポリオレフィンにおける白い斑点を除去するための従来方法を記載した。しかし、上記脂肪族添加物は上記ポリオレフィンの表面に移動してブルーミングを生じる可能性がある。もう1つの従来方法は、処理温度を上記ジアセタールの融点より3ないし10℃上昇させることである。しかし、上記ジアセタールの融点は上記ポリオレフィンの融点より通常50−100℃高いので、該ポリオレフィンを分解させて黄ばんだ臭う製品を形成する可能性がある。
【0009】
米国特許第4,954,291号(Kabayashiら)はアセタールとトリアセタール副生物からなり低融点を有する混合されたジアセタール組成物を開示している。不都合なことに、この混合されたジアセタール組成物は、透明剤としての用途が限定されている。
【0010】
台湾特許第565562号(Scrivensら)に開示されたジアセタールを製造するためのもう1つの従来方法もアセタール副生物および所望のジアセタールから除去することが困難であるトリアセタールについての問題を生じる。この方法も複雑であり、該ジアセタールサイズのコントロールを限定し、このことは上記ポリオレフィンでのジアセタールの分散を困難にする。
【0011】
粉末状の化合物および流動助剤をプレブレンデイングして流動特性を改善することを含む共通の工業上のアプローチがある。無機化合物の種々のタイプのそのような微細粉末が適用できるが、二酸化シリコン(シリカ)の微粉末の使用が一般的に示唆されてきた。
【0012】
米国特許出願第2007−0060697号(Liら)は流動特性を改善するために、市販のソルビトールアセタール化合物と疎水性シリカをプレブレンデイングすることを記載している。Liらは、DegussaAGからのAerosil(商標名)生成物ライン“R”シリーズおよびSipernat(商標名)生成物ライン“D”シリーズ、Cabot.Include Aerosil(商標名)R972からのCab−o−sil(商標名)生成物ライン“TG”シリーズおよびNanogel(商標名)生成物ラインおよびHDK(商標名)H15からシリカの商業上の品質のいくつかの試料を選択した。
【0013】
商業的には、シリカの疎水性処理は約400℃で加熱された反応器中で揮発性シラン類を使用して行われてきた。たとえば、四塩化シリコンガスの酸水素火炎中で熱分解酸化反応を利用する方法が使用されてきたが、ここでは下記反応が生じる:
SiCl4+H2+O2→SiO2+4HCl
この反応の間に生じた塩化水素を除去するのは非常に容易とは言えないので、上記疎水性シリカの得られたpH値は3または4に低下する。特に、過去において得られた上記従来のオルガノシラン処理ヒュームシリカは上記pH値および添加されるべき量のような種々の問題を有していた。
【0014】
Liらは、アセタールおよび低いpH値を有する疎水性シリカをプレブレンデイングすることを含む方法を開示した。しかし、Liらは、疎水性シリカの酸性状態がおそらく重合体処理温度での上記アセタール分解を引き起こすことには言及しなかった。さらに、水対メタノール1:1の混合物中4重量/重量%分散物中で測定された場合、疎水性シリカAerosil(商標名)R972がpH値4.2を有し、HDK(商標名)H15がpH値3.8ないし4.8を有するというサプライヤーウエブサイトからの情報を得ることは容易である。
【0015】
したがって、小さな粒子サイズおよび非凝集特性を有し、上記重合体処理温度で分解しないであろう透明剤組成物を製造するための簡単で低価格の方法を提供する必要がある。本発明は、上述の諸問題を軽減し取り除くための改善された超微細粉末状透明剤組成物ならびにその製造方法を提供し、さらに下記に記載されている。
【0016】
【特許文献1】米国特許第5,198,484号
【特許文献2】米国特許第4,954,291号
【特許文献3】台湾特許第565562号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の第1の目的はポリオレフィン中の目に見える白い斑点を生じないであろう透明剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明による透明剤は、アジトールジアセタールならびに水対メタノール1:1の混合物中4重量/重量%分散物中で測定されたpH値5.5ないし8を有するオルガノシラン処理ヒュームシリカ0.05ないし50重量%からなる。
上記ジアセタールは一般構造式(I)、(II)、(III)、(IV)または(V):
【0019】
【化1】
を有する。式中R1およびR2は独立して、H,C1−C4アルキル、C1−C4カルボアルコキシ,F,ClおよびBrからなる群から選択され;aは0,1,2または3であり;bは0,1,2または3であり;そしてnは0または1である。
【0020】
本発明の透明剤は、ポリオレフィンプラスチック組成物のための核剤および透明化添加物として優れている。
【0021】
本発明はまた、本発明の上記透明剤組成物がポリオレフィンの重合中に添加されることを特徴とするポリオレフィン組成物にも関する。
【0022】
本発明の上記ポリオレフィン組成物に含まれるべき透明剤の量は、ポリオレフィン組成物の重量にもとづいて約0.005ないし約2重量%であり、好ましくは約0.05ないし0.5重量%であり、特に好ましくは約0.1ないし0.3重量%である。
【0023】
本発明はまた、本発明のポリオレフィン組成物からなる透明なポリオレフィンプラスチック製品にも関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
ここで使用した“ポリオレフィンプラスチック製品”という用語は、単に例として、食物または化粧品の容器または包装のための、本発明において開示している上記添加物を含有する結晶性または半結晶性ポリオレフィン生成物を意味する。
【0025】
好ましくは、上記ジアセタールは1,3:2,4−ジ(3−テニリデン)―D―ソルビトール、1,3:2,4−ジ(5−メチル−2−テニリデン)―D―ソルビトール、1,3:2,4−ジ(4−メチル−ベンリジリデン)―D―ソルビトール、1,3:2,4−ジ(3,4−ジメチル−ベンリジリデン)―D―ソルビトール、1,3−(3−テニリデン)−2,4−(4−メチル−ベンリジリデン)―D―ソルビトール、1,3−(3−テニリデン)−2,4−(3,4−ジメチル−ベンリジリデン)―D―ソルビトール、1,3−(5−メチル−2−テニリデン)−2,4−(4−メチル−ベンリジリデン)―D―ソルビトールまたは1,3−(5−メチル−2−テニリデン)−2,4−(3,4−ジメチル−ベンリジリデン)―D―ソルビトールである。
【0026】
好ましくは、オルガノシラン処理ヒュームシリカ粉末は上記透明剤組成物の2−10重量%である。本発明において使用されるオルガノシラン処理ヒュームシリカは水対メタノール1:1の混合物中4重量/重量%分散物中で測定されたpH値5.5ないし8を有する。
【0027】
ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシランおよびトリメチルクロロシランのようなシリコンハロゲン化合物により処理された従来のタイプのフュームシリカは上記反応の間に塩化水素が生成され、それが完全には除去されずに約0.05%残留する。よって、それは低いpH値を有する。しかし、本発明における、ヘキサメチルジシラザン、ジメチルシリコン液体またはポリジメチルシロキサンによって処理されたヒュームシリカの場合、塩化水素は生成されず、低いpH値の問題は生じない。ヘキサメチルジシラザンによる処理の間に、アンモニアが反応物中に生成するが、得られたオルガノシラン処理ヒュームシリカはアンモニア自体のアルカリ性によって高いpH値を示す。
【0028】
そのような特性を有するオルガノシラン処理ヒュームシリカは、当業者によって、上記方法に従って容易に生産され得る。市販の生成物として、Wacker Chemicals East Asia LimitedによるH−2000(ヘキサメチルジシラザンで処理されたヒュームシリカ、水対メタノール1:1の混合物中4重量/重量%分散物中で測定されたpH値6.7−7.7、表面積140±30m2/g)、Cabot CorporationによるTS−720(ジメチルシリコン液体およびポリジメチルシロキサン処理ヒュームシリカ、水対メタノール1:1の混合物中4重量/重量%分散物中で測定されたpH値5.8、表面積105ないし130m2/g),およびCabot CorporationによるTS−530(ヘキサメチルジシラザンで処理されたヒュームシリカ、水対メタノール1:1の混合物中4重量/重量%分散物中で測定されたpH値6.0、表面積205ないし245m2/g)が使用できる。
【0029】
上記ポリオレフィンプラスチック組成物類は、本質的に、脂肪族モノ−オレフィンの少なくとも1つのホモポリマーまたはC2−C8アルファ―モノ―オレフインの共重合体、特にプロピレン重合体物質およびそのようなポリオレフィン重合体(たとえば、ポリプロピレン)の混合物からなる、結晶性または半結晶性ポリオレフィン重合体またはポリオレフィン樹脂組成物に基づいていた。周知の市販の結晶性ポリプロピレン生成物は通常固体であり、主として、プロピレンの重合によって形成されるアイソタクチック、半結晶性、熱可塑性ホモポリマーである。ここで使用されている半結晶性とは、X線回折によって測定された少なくとも約5−10%の結晶性を意味する。
【0030】
本発明の透明剤組成物は、芳香族アルデヒド、ポリオール、酸触媒を極性溶媒中で混合して縮合反応を行い、反応混合物を形成し、水対メタノール1:1の混合物中4重量/重量%分散物中で測定されたpH値5.5ないし8.0を有するオルガノシラン処理ヒュームシリカを該反応混合物に添加し、これをろ過し、乾燥し、粉砕して透明剤組成物を形成することによって製造される。極性溶媒中芳香族アルデヒド対ポリオールの当量比は2:1ないし2:2(2:1.05ないし2:1.3が好ましい)である。
【0031】
上記芳香族アルデヒドはチオフェンカルボキシアルデヒドまたはベンズアルデヒドであり得、置換されていなくてもよいし、あるいは、C1−C4アルキル、C1−C4アルコキシ、C1−C4カルボキシアルコキシ、F,ClおよびBrからなる群から選択された1つ,2つまたは3つの置換基を有する。上記芳香族アルデヒドはチオフェンカルボキシアルデヒドまたはベンズアルデヒドの混合物でもよい。
【0032】
好ましくは、上記チオフェンカルボキシアルデヒドは3−チオフェンカルボキシアルデヒドまたは5―メチル―2−チオフェンカルボキシアルデヒドであり得る。上記ベンズアルデヒドは4−メチル−ベンズアルデヒドまたは3,4−ジメチル−ベンズアルデヒドであり得る。
【0033】
ここで定義されたポリオールは1つを超えたアルコール基を含むアルコール類群であり、食物化学において糖アルコール類と称され、ソルビトールまたはキシリトールであり得る。好ましくは、該ポリオールはD−ソルビトールである。
【0034】
上記反応において使用される酸触媒は硫酸、リン酸、塩酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸または同様のものである。
【0035】
上記反応において使用される極性溶媒は、メタノール、エタノール、ジメチルホルムアミド(DMF)またはアセトニトリルであり得る。
【0036】
上記縮合反応は種々の温度で行える。3−チオフェンカルボキシアルデヒドの場合、たとえば、そのような反応は望ましくは周囲の温度すなわち室温で行われる。
【0037】
本発明で使用される、水対メタノール1:1の混合物中4重量/重量%分散物中で測定されたpH値5.5ないし8.0を有するオルガノシラン処理ヒュームシリカが上記反応混合物に添加される。驚いたことに、製造された透明剤組成物は乾燥後に高い流動性を有し、凝集しないであろう。この透明剤組成物がポリオレフィンに添加されると、透明剤組成物は該ポリオレフィンの核形成を促進し、該ポリオレフィンの曇りを低下させる。さらに、得られたポリオレフィンは目に見える白い斑点を示さないであろう。
【0038】
本発明の他の目的、有利性および新規な態様は下記詳細な記載と添付された図面とを組み合わせることによってより明らかになるであろう。
【0039】
本発明の透明剤組成物は、アジトールジアセタール粉末ならびに水対メタノール1:1の混合物中4重量/重量%分散物中で測定されたpH値5.5ないし8を有するオルガノシラン処理ヒュームシリカ0.05ないし50重量%からなる。上記ジアセタールは一般構造式(I)、(II)、(III)、(IV)または(V):
【0040】
【化2】
を有する。式中R1およびR2は独立して、H,C1−C4アルキル、C1−C4カルボアルコキシ,F,ClおよびBrからなる群から選択され;aは0,1,2または3であり;bは0,1,2または3であり;そしてnは0または1である。本発明で使用されるオルガノシラン処理ヒュームシリカは水対メタノール1:1の混合物中4重量/重量%分散物中で測定されたpH値5.5ないし8を有し、上記透明剤組成物の0.05ないし50重量%である。
【0041】
上記透明剤組成物製造方法は下記段階からなる:
芳香族アルデヒド、ポリオールおよび酸触媒を極性溶媒中で混合して縮合反応を達成し、反応混合物を形成し、ここで、芳香族アルデヒド対ポリオールの当量比は2:1ないし2:2であり;そして
水対メタノールの1:1混合物中4重量/重量%の分散物中で測定されたpH値5.5ないし8を有するオレガノシラン処理されたヒュームシリカを上記反応混合物に添加して、これをろ過し、乾燥しおよび粉砕して透明剤組成物を形成し、ここで、オルガノシラン処理ヒュームシリカは上記透明剤組成物の0.05ないし50重量%である。
【0042】
下記実施例はさらに本発明を詳述するが、添付した特許請求項の範囲に定義されたように本発明を限定するものと解釈されるべきものではない。これらの実施例におけるすべての部およびパーセントは特に断らない限り重量による。
【実施例1】
【0043】
1,3:2,4−ジ(3−テニリデン)―D―ソルビトールの製造
温度計、窒素入り口および機械的撹拌機付き1リットルの4首円筒形の反応フラスコにD−ソルビトール(20.0g、0.110モル)、メタンスルホン酸(1.00g)、3−チオフェンカルボキシアルデヒド(25.0g、0.223モル)およびメタノール(200ml)を入れて反応混合物を形成した。この反応混合物を室温で48時間撹拌し、4%水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液でpH8−9に中和して沈殿生成物を形成した。この沈殿生成物はろ取され、40%メタノール水溶液で洗われ、乾燥され、粉砕されて1,3:2,4−ジ(3−テニリデン)―D―ソルビトールを下記特性を有する微細な白色粉末(29.2g、収率72%)として得た:融点237.0〜239.8℃;1H NMR(500MHz,d6−DMSO)δ7.49〜7.48(m,4H),7.13〜7.08(m,2H),5,68(s,2H),4.81(d,1H,J=7.0Hz),4.38(m,1H),4.13〜4.09(m,3H),3.89(s,1H),3.81〜3.71(m,1H),3.63〜3.57(m,1H),3.483.39(m,1H)。製造された粉末は図1および2に示すように2000倍および5000倍の倍率で電子顕微鏡で観察された。
【実施例2】
【0044】
1,3:2,4−ジ(3−テニリデン)―D―ソルビトールおよびオルガノシラン処理ヒュームシリカを含む透明剤組成物の製造
実施例1のようにして1,3:2,4−ジ(3−テニリデン)―D―ソルビトールを製造して沈殿生成物を形成し、該沈殿生成物にオルガノシラン処理ヒュームシリカ(3.0g、CAB−O−SIL(商標名)TS720)を添加して混合物を形成した。この混合物を乾燥し、粉砕して、高い流動度の下記特性を有する白色粉末(33.5g)を得た:融点237.2〜240.1℃、灰分含量8.1%。この製造された粉末は図3および4に示すように2000倍および5000倍の倍率で電子顕微鏡で観察された。
【実施例3】
【0045】
改質された1,3:2,4−ジ(3,4−ジメチルベンジリデン)―D―ソルビトールの製造
機械的撹拌機および循環温度コントロールジャケット付きの1000リットルステンレススチール反応タンクにD−ソルビトール(40.0kg、0.220キロモル)、メタンスルホン酸(0.8kg)、3,4−ジメチルーベンズアルデヒド(52.5kg、0.391キロモル)、3−チオフェンカルボキシアルデヒド(0.440kg、0.004キロモル)およびメタノール(450kg)を入れて反応混合物を形成した。この反応混合物を20〜35℃で48時間撹拌し、4%水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液でpH8−9に中和して沈殿生成物を形成した。この沈殿生成物はろ取され、40%メタノール水溶液で洗われ、櫂形乾燥装置で乾燥され、粉砕されて改質された1,3:2,4−ジ(3,4−ジメチルベンジリデン)―D―ソルビトールを下記特性を有する微細な白色粉末(68.0kg、収率84%)として得た:融点257.9℃、結晶点240.4℃および灰分含量0.1%。この製造された粉末は図5および6に示すように2000倍および5000倍の倍率で電子顕微鏡で観察された。
【実施例4】
【0046】
改質された1,3:2,4−ジ(3,4−ジメチルベンジリデン)―D―ソルビトールおよびオルガノシラン処理ヒュームシリカを含む透明剤組成物の製造
改質された1,3:2,4−ジ(3,4−ジメチルベンジリデン)―D―ソルビトールを実施例3のように製造して反応混合物を形成し、オルガノシラン処理ヒュームシリカ(3.0kg、CAB−O−SIL(商標名)TS720)を該反応混合物に添加し、該反応混合物をpH8〜9に中和した後、沈殿生成物を形成した。該沈殿生成物はろ取され、40%メタノール水溶液で洗われ、乾燥され、粉砕されて下記特性を有する組成物(70.2kg)を得た:融点269.2℃、結晶点235.0℃および灰分含量3.2%。この製造された粉末は図7よび8に示すように2000倍および5000倍の倍率で電子顕微鏡で観察された。
【実施例5】
【0047】
改質された1,3:2,4−ジ(3,4−ジメチルベンジリデン)―D―ソルビトールおよびオルガノシラン処理ヒュームシリカを含む透明剤組成物の製造
改質された1,3:2,4−ジ(3,4−ジメチルベンジリデン)―D―ソルビトールを実施例3のように製造して反応混合物を形成し、オルガノシラン処理ヒュームシリカ(7.5kg、CAB−O−SIL(商標名)TS720)を該反応混合物に添加し、該反応混合物をpH8〜9に中和した後、沈殿生成物を形成した。該沈殿生成物はろ取され、40%メタノール水溶液で洗われ、乾燥され、粉砕されて灰分含量9.3%を有する組成物(73.7kg)を得た。この製造された粉末は図9よび10に示すように2000倍および5000倍の倍率で電子顕微鏡で観察された。
【実施例6】
【0048】
1,3:2,4−ジ(4−メチルベンジリデン)―D―ソルビトールおよびオルガノシラン処理ヒュームシリカの透明剤組成物の製造
機械的撹拌機および循環温度コントロールジャケット付きの1000リットルステンレススチール反応タンクにD−ソルビトール(40.0kg、0.220キロモル)、メタンスルホン酸(1.0kg)、4−メチルーベンズアルデヒド(47.9kg、0.399キロモル)およびメタノール(500kg)を入れて反応混合物を形成した。この反応混合物を20〜35℃で48時間撹拌し、4%水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液でpH8−9に中和して沈殿生成物を形成した。この沈殿生成物はろ取され、40%メタノール水溶液で洗われウエットケーク(97.4kg、固体含量71.8%)を得た。
このウエットケーク(1kgを採取)をオルガノシラン処理ヒュームシリカ(308g、CAB−O−SIL(商標名)TS720)と混合し、櫂形乾燥装置(10リットル規模)で乾燥し、粉砕して上記組成物の粉末(987g、灰分含量29.2%)を得た。この製造された粉末は図11および12に示すように2000倍および5000倍の倍率で電子顕微鏡で観察された。
【実施例7】
【0049】
1,3:2,4−ジ(4−メチルベンジリデン)―D―ソルビトールおよびオルガノシラン処理ヒュームシリカの透明剤組成物の製造
実施例6において製造された上記ウエットケーク(680gを採取)をオルガノシラン処理ヒュームシリカ(500g、CAB−O−SIL(商標名)TS720)と混合し、櫂形乾燥装置(10リットル規模)で乾燥し、粉砕して上記組成物の粉末(974g、灰分含量49.7%)を得た。この製造された粉末は図13および14に示すように2000倍および5000倍の倍率で電子顕微鏡で観察された。
【0050】
図1ないし14の電子顕微鏡写真は、水対メタノールの1:1混合物中4重量/重量%の分散物中で測定されたpH値5.5ないし8を有するオレガノシラン処理されたヒュームシリカを上記ジアセタールに添加すると、上記透明剤組成物がより微細になることを示している。さらに、オルガノシラン処理ヒュームシリカの添加は実質的に上記透明剤組成物の製造された粉末が凝集するのを防ぐ。
【実施例8】
【0051】
ポリオレフィン形成および試験
透明剤をポリオレフィンに添加する方法は当分野で周知である。したがって、本発明は、目標とするポリプロピレン生成物の成分および該標的ポリプロピレン生成物を製造する1つの方法のみを示す。本発明はこの方法のみに限定されるべきものではなく、当分野における多くの変法に適用できる。
【0052】
上記目標とするポリプロピレンの1キログラムバッチが下表1に従って製造された。
表1:上記目標とするポリプロピレンの成分
【0053】
【表1】
上記塩基性樹脂およびすべての添加物は計量されてから混合された。次いで、すべての試料をインゼクター中で融解し、3つの加熱ゾーンを通して約180℃ないし240℃からの勾配温度で混合した。インゼクターダイの出口での融解温度は約220ないし240℃であった。上記インゼクターのスクリューは長さ/直径比24であった。試料のプラックは射出成形金型への射出によって製造された。該プラックは142×108×2.54mm3の寸法を有し、鏡面仕上げを有する金型で製造された。金型冷却エアを約23℃の温度にコントロールした。
【0054】
曇り度は、ASTM標準試験方法D1003−61“Standard Test Method for Haze and Luminous Transmittance of Transparent Plastics”によって、BYK Gardner XL−211 Hazemeterを使用して測定された。プラックの可視的検査を行い、上記プラック中の目に見える白い斑点の客観的試験をした。核形成能力は重合体再結晶化温度(Tc)として測定され、これは上記核形成添加物の存在によって提供された重合体形成率を示す。各プラックのTcは、示差スキャニング熱量計(Mettler TOLEDO,DSC821e)を使用して、先ず目標プラックを融解し、次いで該プラックを約10℃/分の速度で冷却することによって測定された。重合体再形成が生じるとき記録された温度はTcに等しい。本発明の透明剤組成物を添加しないで同じ方法で対照プラックをも製造した。測定結果は下表2に示されている。
【0055】
表2:上記実施例からの本発明の透明剤組成物を添加したポリプロピレンプラックの結果
【0056】
【表2】
ポリプロピレンプラックの上記結果は、本発明の透明剤組成物を含有する上記ポリプロピレンプラック(実施例2,4,5,6,7)は目に見える白い斑点がないことを示し、本発明の透明剤組成物の添加は目に見える白い斑点の形成を予防することを示している。したがって、本発明の透明剤組成物を有するポリプロピレンプラックは本発明の透明剤組成物を有しないポリプロピレンプラックよりも良好な外観を有する。
【0057】
さらに、本発明の上記製造方法は、従来のジアセタール製造方法に比較して下記有利性:1.トリアセタール非生産;2.モノアセタールの効果的除去;3.生産の容易さ;4.制御可能な粉末サイズ;および5.上記透明剤組成物の高分散性を有する。
【0058】
本発明の種々の特徴および有利性を本発明の構造および態様の詳細とともに上述したが、上記開示は説明にすぎない。詳細、特に形状、サイズ、および部分のアレンジメントにおける変化が、本発明の原理の範囲内で、添付した特許請求の範囲が示した用語の広い一般的意味の完全な程度に可能であろう。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施例1の生成物の2000倍の電子顕微鏡写真。
【図2】図1の上記生成物の5000倍の電子顕微鏡写真。
【図3】本発明の実施例2の生成物の2000倍の電子顕微鏡写真。
【図4】図3の上記生成物の5000倍の電子顕微鏡写真。
【図5】本発明の実施例3の生成物の2000倍の電子顕微鏡写真。
【図6】図5の上記生成物の5000倍の電子顕微鏡写真。
【図7】本発明の実施例4の生成物の2000倍の電子顕微鏡写真。
【図8】図7の上記生成物の5000倍の電子顕微鏡写真。
【図9】本発明の実施例5の生成物の2000倍の電子顕微鏡写真。
【図10】図9の上記生成物の5000倍の電子顕微鏡写真。
【図11】本発明の実施例6の生成物の2000倍の電子顕微鏡写真。
【図12】図11の上記生成物の5000倍の電子顕微鏡写真。
【図13】本発明の実施例7の生成物の2000倍の電子顕微鏡写真。
【図14】図13の上記生成物の5000倍の電子顕微鏡写真。
【技術分野】
【0001】
本発明は、アジトールジアセタールならびに水対メタノール1:1の混合物中4重量/重量%分散物中で測定されたpH値5.5ないし8を有するオルガノシラン処理ヒュームシリカ0.05ないし50重量%からなる改良された透明剤組成物に関する。
【0002】
本発明はまた、高い分散性を有する超微細な粉末状ジアセタール組成物を製造する新規な製造方法を提供することを意図する。
【0003】
最後に、本発明はまた、相当する製品の表面上に目に見える白い斑点がないポリオレフィンプラスチック製品を製造するための上記組成物の使用にも関する。
【背景技術】
【0004】
ジアセタール粉末は、ポリオレフィンのような重合体物質に、結晶化を促進し、溶融の間の成形時間を短縮し、ポリオレフィンの物理特性を改善するための核剤として添加できる。ジアセタール粉末はまた、透明剤として使用され半結晶質重合体の透明性を増大させることもできる。
【0005】
基本的に、ジアセタール粉末の透明剤としてのメカニズムは以下に記載されている。先ず、ジアセタール粉末はポリオレフィンに添加され、適当な処理温度で融解される。ポリオレフィンが冷えた後、ジアセタールは結晶化してポリオレフィン中に結晶化ネットワークおよび多くの球状核形成部位を形成する。核形成部位は光を反射するにはあまりに小さいので透明になる。したがって、小さな粒子サイズを保持してジアセタールの凝集を防止することがポリオレフィン光学特性を改善するのに重要な因子として役立つことが知られている。
【0006】
ジアセタールの粒子サイズが減少すると、微粉砕に必要なエネルギーの量が減少し、これにより一般的に生産性の低下および生産コストの上昇を招く。さらに、上記ジアセタールのサイズが低下され、微粉砕可能性が改善されても該ジアセタール粒子の摩擦および凝集の増大ならびに高い湿度の状態下に該ジアセタール粒子の表面へ付着する水の比率の増大により流動性が低下することが指摘されてきた。
【0007】
ポリオレフィンへ添加されたジアセタール粉末の粒子サイズがあまりに大きいかまたは強く凝集していると、該ポリオレフィンはしばしば目に見える白い斑点を見せる。これらの白色斑点は最終プラスチック製品の生産を拒絶する(または欠陥にする)。したがって、ポリオレフィンにおける目に見える白い斑点の除去は、当分野において重要課題である。
【0008】
米国特許第5,198,484号(Mannion)は、ジアセタール粉末を分散させるためにポリオレフィンに極性脂肪族添加物を添加することによってポリオレフィンにおける白い斑点を除去するための従来方法を記載した。しかし、上記脂肪族添加物は上記ポリオレフィンの表面に移動してブルーミングを生じる可能性がある。もう1つの従来方法は、処理温度を上記ジアセタールの融点より3ないし10℃上昇させることである。しかし、上記ジアセタールの融点は上記ポリオレフィンの融点より通常50−100℃高いので、該ポリオレフィンを分解させて黄ばんだ臭う製品を形成する可能性がある。
【0009】
米国特許第4,954,291号(Kabayashiら)はアセタールとトリアセタール副生物からなり低融点を有する混合されたジアセタール組成物を開示している。不都合なことに、この混合されたジアセタール組成物は、透明剤としての用途が限定されている。
【0010】
台湾特許第565562号(Scrivensら)に開示されたジアセタールを製造するためのもう1つの従来方法もアセタール副生物および所望のジアセタールから除去することが困難であるトリアセタールについての問題を生じる。この方法も複雑であり、該ジアセタールサイズのコントロールを限定し、このことは上記ポリオレフィンでのジアセタールの分散を困難にする。
【0011】
粉末状の化合物および流動助剤をプレブレンデイングして流動特性を改善することを含む共通の工業上のアプローチがある。無機化合物の種々のタイプのそのような微細粉末が適用できるが、二酸化シリコン(シリカ)の微粉末の使用が一般的に示唆されてきた。
【0012】
米国特許出願第2007−0060697号(Liら)は流動特性を改善するために、市販のソルビトールアセタール化合物と疎水性シリカをプレブレンデイングすることを記載している。Liらは、DegussaAGからのAerosil(商標名)生成物ライン“R”シリーズおよびSipernat(商標名)生成物ライン“D”シリーズ、Cabot.Include Aerosil(商標名)R972からのCab−o−sil(商標名)生成物ライン“TG”シリーズおよびNanogel(商標名)生成物ラインおよびHDK(商標名)H15からシリカの商業上の品質のいくつかの試料を選択した。
【0013】
商業的には、シリカの疎水性処理は約400℃で加熱された反応器中で揮発性シラン類を使用して行われてきた。たとえば、四塩化シリコンガスの酸水素火炎中で熱分解酸化反応を利用する方法が使用されてきたが、ここでは下記反応が生じる:
SiCl4+H2+O2→SiO2+4HCl
この反応の間に生じた塩化水素を除去するのは非常に容易とは言えないので、上記疎水性シリカの得られたpH値は3または4に低下する。特に、過去において得られた上記従来のオルガノシラン処理ヒュームシリカは上記pH値および添加されるべき量のような種々の問題を有していた。
【0014】
Liらは、アセタールおよび低いpH値を有する疎水性シリカをプレブレンデイングすることを含む方法を開示した。しかし、Liらは、疎水性シリカの酸性状態がおそらく重合体処理温度での上記アセタール分解を引き起こすことには言及しなかった。さらに、水対メタノール1:1の混合物中4重量/重量%分散物中で測定された場合、疎水性シリカAerosil(商標名)R972がpH値4.2を有し、HDK(商標名)H15がpH値3.8ないし4.8を有するというサプライヤーウエブサイトからの情報を得ることは容易である。
【0015】
したがって、小さな粒子サイズおよび非凝集特性を有し、上記重合体処理温度で分解しないであろう透明剤組成物を製造するための簡単で低価格の方法を提供する必要がある。本発明は、上述の諸問題を軽減し取り除くための改善された超微細粉末状透明剤組成物ならびにその製造方法を提供し、さらに下記に記載されている。
【0016】
【特許文献1】米国特許第5,198,484号
【特許文献2】米国特許第4,954,291号
【特許文献3】台湾特許第565562号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の第1の目的はポリオレフィン中の目に見える白い斑点を生じないであろう透明剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明による透明剤は、アジトールジアセタールならびに水対メタノール1:1の混合物中4重量/重量%分散物中で測定されたpH値5.5ないし8を有するオルガノシラン処理ヒュームシリカ0.05ないし50重量%からなる。
上記ジアセタールは一般構造式(I)、(II)、(III)、(IV)または(V):
【0019】
【化1】
を有する。式中R1およびR2は独立して、H,C1−C4アルキル、C1−C4カルボアルコキシ,F,ClおよびBrからなる群から選択され;aは0,1,2または3であり;bは0,1,2または3であり;そしてnは0または1である。
【0020】
本発明の透明剤は、ポリオレフィンプラスチック組成物のための核剤および透明化添加物として優れている。
【0021】
本発明はまた、本発明の上記透明剤組成物がポリオレフィンの重合中に添加されることを特徴とするポリオレフィン組成物にも関する。
【0022】
本発明の上記ポリオレフィン組成物に含まれるべき透明剤の量は、ポリオレフィン組成物の重量にもとづいて約0.005ないし約2重量%であり、好ましくは約0.05ないし0.5重量%であり、特に好ましくは約0.1ないし0.3重量%である。
【0023】
本発明はまた、本発明のポリオレフィン組成物からなる透明なポリオレフィンプラスチック製品にも関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
ここで使用した“ポリオレフィンプラスチック製品”という用語は、単に例として、食物または化粧品の容器または包装のための、本発明において開示している上記添加物を含有する結晶性または半結晶性ポリオレフィン生成物を意味する。
【0025】
好ましくは、上記ジアセタールは1,3:2,4−ジ(3−テニリデン)―D―ソルビトール、1,3:2,4−ジ(5−メチル−2−テニリデン)―D―ソルビトール、1,3:2,4−ジ(4−メチル−ベンリジリデン)―D―ソルビトール、1,3:2,4−ジ(3,4−ジメチル−ベンリジリデン)―D―ソルビトール、1,3−(3−テニリデン)−2,4−(4−メチル−ベンリジリデン)―D―ソルビトール、1,3−(3−テニリデン)−2,4−(3,4−ジメチル−ベンリジリデン)―D―ソルビトール、1,3−(5−メチル−2−テニリデン)−2,4−(4−メチル−ベンリジリデン)―D―ソルビトールまたは1,3−(5−メチル−2−テニリデン)−2,4−(3,4−ジメチル−ベンリジリデン)―D―ソルビトールである。
【0026】
好ましくは、オルガノシラン処理ヒュームシリカ粉末は上記透明剤組成物の2−10重量%である。本発明において使用されるオルガノシラン処理ヒュームシリカは水対メタノール1:1の混合物中4重量/重量%分散物中で測定されたpH値5.5ないし8を有する。
【0027】
ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシランおよびトリメチルクロロシランのようなシリコンハロゲン化合物により処理された従来のタイプのフュームシリカは上記反応の間に塩化水素が生成され、それが完全には除去されずに約0.05%残留する。よって、それは低いpH値を有する。しかし、本発明における、ヘキサメチルジシラザン、ジメチルシリコン液体またはポリジメチルシロキサンによって処理されたヒュームシリカの場合、塩化水素は生成されず、低いpH値の問題は生じない。ヘキサメチルジシラザンによる処理の間に、アンモニアが反応物中に生成するが、得られたオルガノシラン処理ヒュームシリカはアンモニア自体のアルカリ性によって高いpH値を示す。
【0028】
そのような特性を有するオルガノシラン処理ヒュームシリカは、当業者によって、上記方法に従って容易に生産され得る。市販の生成物として、Wacker Chemicals East Asia LimitedによるH−2000(ヘキサメチルジシラザンで処理されたヒュームシリカ、水対メタノール1:1の混合物中4重量/重量%分散物中で測定されたpH値6.7−7.7、表面積140±30m2/g)、Cabot CorporationによるTS−720(ジメチルシリコン液体およびポリジメチルシロキサン処理ヒュームシリカ、水対メタノール1:1の混合物中4重量/重量%分散物中で測定されたpH値5.8、表面積105ないし130m2/g),およびCabot CorporationによるTS−530(ヘキサメチルジシラザンで処理されたヒュームシリカ、水対メタノール1:1の混合物中4重量/重量%分散物中で測定されたpH値6.0、表面積205ないし245m2/g)が使用できる。
【0029】
上記ポリオレフィンプラスチック組成物類は、本質的に、脂肪族モノ−オレフィンの少なくとも1つのホモポリマーまたはC2−C8アルファ―モノ―オレフインの共重合体、特にプロピレン重合体物質およびそのようなポリオレフィン重合体(たとえば、ポリプロピレン)の混合物からなる、結晶性または半結晶性ポリオレフィン重合体またはポリオレフィン樹脂組成物に基づいていた。周知の市販の結晶性ポリプロピレン生成物は通常固体であり、主として、プロピレンの重合によって形成されるアイソタクチック、半結晶性、熱可塑性ホモポリマーである。ここで使用されている半結晶性とは、X線回折によって測定された少なくとも約5−10%の結晶性を意味する。
【0030】
本発明の透明剤組成物は、芳香族アルデヒド、ポリオール、酸触媒を極性溶媒中で混合して縮合反応を行い、反応混合物を形成し、水対メタノール1:1の混合物中4重量/重量%分散物中で測定されたpH値5.5ないし8.0を有するオルガノシラン処理ヒュームシリカを該反応混合物に添加し、これをろ過し、乾燥し、粉砕して透明剤組成物を形成することによって製造される。極性溶媒中芳香族アルデヒド対ポリオールの当量比は2:1ないし2:2(2:1.05ないし2:1.3が好ましい)である。
【0031】
上記芳香族アルデヒドはチオフェンカルボキシアルデヒドまたはベンズアルデヒドであり得、置換されていなくてもよいし、あるいは、C1−C4アルキル、C1−C4アルコキシ、C1−C4カルボキシアルコキシ、F,ClおよびBrからなる群から選択された1つ,2つまたは3つの置換基を有する。上記芳香族アルデヒドはチオフェンカルボキシアルデヒドまたはベンズアルデヒドの混合物でもよい。
【0032】
好ましくは、上記チオフェンカルボキシアルデヒドは3−チオフェンカルボキシアルデヒドまたは5―メチル―2−チオフェンカルボキシアルデヒドであり得る。上記ベンズアルデヒドは4−メチル−ベンズアルデヒドまたは3,4−ジメチル−ベンズアルデヒドであり得る。
【0033】
ここで定義されたポリオールは1つを超えたアルコール基を含むアルコール類群であり、食物化学において糖アルコール類と称され、ソルビトールまたはキシリトールであり得る。好ましくは、該ポリオールはD−ソルビトールである。
【0034】
上記反応において使用される酸触媒は硫酸、リン酸、塩酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸または同様のものである。
【0035】
上記反応において使用される極性溶媒は、メタノール、エタノール、ジメチルホルムアミド(DMF)またはアセトニトリルであり得る。
【0036】
上記縮合反応は種々の温度で行える。3−チオフェンカルボキシアルデヒドの場合、たとえば、そのような反応は望ましくは周囲の温度すなわち室温で行われる。
【0037】
本発明で使用される、水対メタノール1:1の混合物中4重量/重量%分散物中で測定されたpH値5.5ないし8.0を有するオルガノシラン処理ヒュームシリカが上記反応混合物に添加される。驚いたことに、製造された透明剤組成物は乾燥後に高い流動性を有し、凝集しないであろう。この透明剤組成物がポリオレフィンに添加されると、透明剤組成物は該ポリオレフィンの核形成を促進し、該ポリオレフィンの曇りを低下させる。さらに、得られたポリオレフィンは目に見える白い斑点を示さないであろう。
【0038】
本発明の他の目的、有利性および新規な態様は下記詳細な記載と添付された図面とを組み合わせることによってより明らかになるであろう。
【0039】
本発明の透明剤組成物は、アジトールジアセタール粉末ならびに水対メタノール1:1の混合物中4重量/重量%分散物中で測定されたpH値5.5ないし8を有するオルガノシラン処理ヒュームシリカ0.05ないし50重量%からなる。上記ジアセタールは一般構造式(I)、(II)、(III)、(IV)または(V):
【0040】
【化2】
を有する。式中R1およびR2は独立して、H,C1−C4アルキル、C1−C4カルボアルコキシ,F,ClおよびBrからなる群から選択され;aは0,1,2または3であり;bは0,1,2または3であり;そしてnは0または1である。本発明で使用されるオルガノシラン処理ヒュームシリカは水対メタノール1:1の混合物中4重量/重量%分散物中で測定されたpH値5.5ないし8を有し、上記透明剤組成物の0.05ないし50重量%である。
【0041】
上記透明剤組成物製造方法は下記段階からなる:
芳香族アルデヒド、ポリオールおよび酸触媒を極性溶媒中で混合して縮合反応を達成し、反応混合物を形成し、ここで、芳香族アルデヒド対ポリオールの当量比は2:1ないし2:2であり;そして
水対メタノールの1:1混合物中4重量/重量%の分散物中で測定されたpH値5.5ないし8を有するオレガノシラン処理されたヒュームシリカを上記反応混合物に添加して、これをろ過し、乾燥しおよび粉砕して透明剤組成物を形成し、ここで、オルガノシラン処理ヒュームシリカは上記透明剤組成物の0.05ないし50重量%である。
【0042】
下記実施例はさらに本発明を詳述するが、添付した特許請求項の範囲に定義されたように本発明を限定するものと解釈されるべきものではない。これらの実施例におけるすべての部およびパーセントは特に断らない限り重量による。
【実施例1】
【0043】
1,3:2,4−ジ(3−テニリデン)―D―ソルビトールの製造
温度計、窒素入り口および機械的撹拌機付き1リットルの4首円筒形の反応フラスコにD−ソルビトール(20.0g、0.110モル)、メタンスルホン酸(1.00g)、3−チオフェンカルボキシアルデヒド(25.0g、0.223モル)およびメタノール(200ml)を入れて反応混合物を形成した。この反応混合物を室温で48時間撹拌し、4%水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液でpH8−9に中和して沈殿生成物を形成した。この沈殿生成物はろ取され、40%メタノール水溶液で洗われ、乾燥され、粉砕されて1,3:2,4−ジ(3−テニリデン)―D―ソルビトールを下記特性を有する微細な白色粉末(29.2g、収率72%)として得た:融点237.0〜239.8℃;1H NMR(500MHz,d6−DMSO)δ7.49〜7.48(m,4H),7.13〜7.08(m,2H),5,68(s,2H),4.81(d,1H,J=7.0Hz),4.38(m,1H),4.13〜4.09(m,3H),3.89(s,1H),3.81〜3.71(m,1H),3.63〜3.57(m,1H),3.483.39(m,1H)。製造された粉末は図1および2に示すように2000倍および5000倍の倍率で電子顕微鏡で観察された。
【実施例2】
【0044】
1,3:2,4−ジ(3−テニリデン)―D―ソルビトールおよびオルガノシラン処理ヒュームシリカを含む透明剤組成物の製造
実施例1のようにして1,3:2,4−ジ(3−テニリデン)―D―ソルビトールを製造して沈殿生成物を形成し、該沈殿生成物にオルガノシラン処理ヒュームシリカ(3.0g、CAB−O−SIL(商標名)TS720)を添加して混合物を形成した。この混合物を乾燥し、粉砕して、高い流動度の下記特性を有する白色粉末(33.5g)を得た:融点237.2〜240.1℃、灰分含量8.1%。この製造された粉末は図3および4に示すように2000倍および5000倍の倍率で電子顕微鏡で観察された。
【実施例3】
【0045】
改質された1,3:2,4−ジ(3,4−ジメチルベンジリデン)―D―ソルビトールの製造
機械的撹拌機および循環温度コントロールジャケット付きの1000リットルステンレススチール反応タンクにD−ソルビトール(40.0kg、0.220キロモル)、メタンスルホン酸(0.8kg)、3,4−ジメチルーベンズアルデヒド(52.5kg、0.391キロモル)、3−チオフェンカルボキシアルデヒド(0.440kg、0.004キロモル)およびメタノール(450kg)を入れて反応混合物を形成した。この反応混合物を20〜35℃で48時間撹拌し、4%水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液でpH8−9に中和して沈殿生成物を形成した。この沈殿生成物はろ取され、40%メタノール水溶液で洗われ、櫂形乾燥装置で乾燥され、粉砕されて改質された1,3:2,4−ジ(3,4−ジメチルベンジリデン)―D―ソルビトールを下記特性を有する微細な白色粉末(68.0kg、収率84%)として得た:融点257.9℃、結晶点240.4℃および灰分含量0.1%。この製造された粉末は図5および6に示すように2000倍および5000倍の倍率で電子顕微鏡で観察された。
【実施例4】
【0046】
改質された1,3:2,4−ジ(3,4−ジメチルベンジリデン)―D―ソルビトールおよびオルガノシラン処理ヒュームシリカを含む透明剤組成物の製造
改質された1,3:2,4−ジ(3,4−ジメチルベンジリデン)―D―ソルビトールを実施例3のように製造して反応混合物を形成し、オルガノシラン処理ヒュームシリカ(3.0kg、CAB−O−SIL(商標名)TS720)を該反応混合物に添加し、該反応混合物をpH8〜9に中和した後、沈殿生成物を形成した。該沈殿生成物はろ取され、40%メタノール水溶液で洗われ、乾燥され、粉砕されて下記特性を有する組成物(70.2kg)を得た:融点269.2℃、結晶点235.0℃および灰分含量3.2%。この製造された粉末は図7よび8に示すように2000倍および5000倍の倍率で電子顕微鏡で観察された。
【実施例5】
【0047】
改質された1,3:2,4−ジ(3,4−ジメチルベンジリデン)―D―ソルビトールおよびオルガノシラン処理ヒュームシリカを含む透明剤組成物の製造
改質された1,3:2,4−ジ(3,4−ジメチルベンジリデン)―D―ソルビトールを実施例3のように製造して反応混合物を形成し、オルガノシラン処理ヒュームシリカ(7.5kg、CAB−O−SIL(商標名)TS720)を該反応混合物に添加し、該反応混合物をpH8〜9に中和した後、沈殿生成物を形成した。該沈殿生成物はろ取され、40%メタノール水溶液で洗われ、乾燥され、粉砕されて灰分含量9.3%を有する組成物(73.7kg)を得た。この製造された粉末は図9よび10に示すように2000倍および5000倍の倍率で電子顕微鏡で観察された。
【実施例6】
【0048】
1,3:2,4−ジ(4−メチルベンジリデン)―D―ソルビトールおよびオルガノシラン処理ヒュームシリカの透明剤組成物の製造
機械的撹拌機および循環温度コントロールジャケット付きの1000リットルステンレススチール反応タンクにD−ソルビトール(40.0kg、0.220キロモル)、メタンスルホン酸(1.0kg)、4−メチルーベンズアルデヒド(47.9kg、0.399キロモル)およびメタノール(500kg)を入れて反応混合物を形成した。この反応混合物を20〜35℃で48時間撹拌し、4%水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液でpH8−9に中和して沈殿生成物を形成した。この沈殿生成物はろ取され、40%メタノール水溶液で洗われウエットケーク(97.4kg、固体含量71.8%)を得た。
このウエットケーク(1kgを採取)をオルガノシラン処理ヒュームシリカ(308g、CAB−O−SIL(商標名)TS720)と混合し、櫂形乾燥装置(10リットル規模)で乾燥し、粉砕して上記組成物の粉末(987g、灰分含量29.2%)を得た。この製造された粉末は図11および12に示すように2000倍および5000倍の倍率で電子顕微鏡で観察された。
【実施例7】
【0049】
1,3:2,4−ジ(4−メチルベンジリデン)―D―ソルビトールおよびオルガノシラン処理ヒュームシリカの透明剤組成物の製造
実施例6において製造された上記ウエットケーク(680gを採取)をオルガノシラン処理ヒュームシリカ(500g、CAB−O−SIL(商標名)TS720)と混合し、櫂形乾燥装置(10リットル規模)で乾燥し、粉砕して上記組成物の粉末(974g、灰分含量49.7%)を得た。この製造された粉末は図13および14に示すように2000倍および5000倍の倍率で電子顕微鏡で観察された。
【0050】
図1ないし14の電子顕微鏡写真は、水対メタノールの1:1混合物中4重量/重量%の分散物中で測定されたpH値5.5ないし8を有するオレガノシラン処理されたヒュームシリカを上記ジアセタールに添加すると、上記透明剤組成物がより微細になることを示している。さらに、オルガノシラン処理ヒュームシリカの添加は実質的に上記透明剤組成物の製造された粉末が凝集するのを防ぐ。
【実施例8】
【0051】
ポリオレフィン形成および試験
透明剤をポリオレフィンに添加する方法は当分野で周知である。したがって、本発明は、目標とするポリプロピレン生成物の成分および該標的ポリプロピレン生成物を製造する1つの方法のみを示す。本発明はこの方法のみに限定されるべきものではなく、当分野における多くの変法に適用できる。
【0052】
上記目標とするポリプロピレンの1キログラムバッチが下表1に従って製造された。
表1:上記目標とするポリプロピレンの成分
【0053】
【表1】
上記塩基性樹脂およびすべての添加物は計量されてから混合された。次いで、すべての試料をインゼクター中で融解し、3つの加熱ゾーンを通して約180℃ないし240℃からの勾配温度で混合した。インゼクターダイの出口での融解温度は約220ないし240℃であった。上記インゼクターのスクリューは長さ/直径比24であった。試料のプラックは射出成形金型への射出によって製造された。該プラックは142×108×2.54mm3の寸法を有し、鏡面仕上げを有する金型で製造された。金型冷却エアを約23℃の温度にコントロールした。
【0054】
曇り度は、ASTM標準試験方法D1003−61“Standard Test Method for Haze and Luminous Transmittance of Transparent Plastics”によって、BYK Gardner XL−211 Hazemeterを使用して測定された。プラックの可視的検査を行い、上記プラック中の目に見える白い斑点の客観的試験をした。核形成能力は重合体再結晶化温度(Tc)として測定され、これは上記核形成添加物の存在によって提供された重合体形成率を示す。各プラックのTcは、示差スキャニング熱量計(Mettler TOLEDO,DSC821e)を使用して、先ず目標プラックを融解し、次いで該プラックを約10℃/分の速度で冷却することによって測定された。重合体再形成が生じるとき記録された温度はTcに等しい。本発明の透明剤組成物を添加しないで同じ方法で対照プラックをも製造した。測定結果は下表2に示されている。
【0055】
表2:上記実施例からの本発明の透明剤組成物を添加したポリプロピレンプラックの結果
【0056】
【表2】
ポリプロピレンプラックの上記結果は、本発明の透明剤組成物を含有する上記ポリプロピレンプラック(実施例2,4,5,6,7)は目に見える白い斑点がないことを示し、本発明の透明剤組成物の添加は目に見える白い斑点の形成を予防することを示している。したがって、本発明の透明剤組成物を有するポリプロピレンプラックは本発明の透明剤組成物を有しないポリプロピレンプラックよりも良好な外観を有する。
【0057】
さらに、本発明の上記製造方法は、従来のジアセタール製造方法に比較して下記有利性:1.トリアセタール非生産;2.モノアセタールの効果的除去;3.生産の容易さ;4.制御可能な粉末サイズ;および5.上記透明剤組成物の高分散性を有する。
【0058】
本発明の種々の特徴および有利性を本発明の構造および態様の詳細とともに上述したが、上記開示は説明にすぎない。詳細、特に形状、サイズ、および部分のアレンジメントにおける変化が、本発明の原理の範囲内で、添付した特許請求の範囲が示した用語の広い一般的意味の完全な程度に可能であろう。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施例1の生成物の2000倍の電子顕微鏡写真。
【図2】図1の上記生成物の5000倍の電子顕微鏡写真。
【図3】本発明の実施例2の生成物の2000倍の電子顕微鏡写真。
【図4】図3の上記生成物の5000倍の電子顕微鏡写真。
【図5】本発明の実施例3の生成物の2000倍の電子顕微鏡写真。
【図6】図5の上記生成物の5000倍の電子顕微鏡写真。
【図7】本発明の実施例4の生成物の2000倍の電子顕微鏡写真。
【図8】図7の上記生成物の5000倍の電子顕微鏡写真。
【図9】本発明の実施例5の生成物の2000倍の電子顕微鏡写真。
【図10】図9の上記生成物の5000倍の電子顕微鏡写真。
【図11】本発明の実施例6の生成物の2000倍の電子顕微鏡写真。
【図12】図11の上記生成物の5000倍の電子顕微鏡写真。
【図13】本発明の実施例7の生成物の2000倍の電子顕微鏡写真。
【図14】図13の上記生成物の5000倍の電子顕微鏡写真。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記からなる透明剤組成物:
ジアセタール粉末(ここで該ジアセタールは下記一般構造式(I)、(II)、(III)、(IV)または(V)
【化1】
(式中R1およびR2は独立してH,C1−C4アルキル、C1−C4カルボアルコキシ、F,ClおよびBrからなる群から選択され;aは0、1,2または3であり;bは0,1,2または3であり、nは0または1である)を有する);および
水対メタノールの1:1混合物中4重量/重量%の分散物中で測定されたpH値5.5ないし8を有し、該ジアセタール粉末に分散され、上記透明剤組成物の0.05−50重量/重量%であるオルガノシラン処理ヒュームシリカ。
【請求項2】
上記ジアセタールが1,3:2,4−ジ(3−テニリデン)―D―ソルビトール、1,3:2,4−ジ(5−メチル−2−テニリデン)―D―ソルビトール、1,3:2,4−ジ(4−メチル−ベンリジリデン)―D―ソルビトール、1,3:2,4−ジ(3,4−ジメチル−ベンリジリデン)―D―ソルビトール、1,3−(3−テニリデン)−2,4−(4−メチル−ベンリジリデン)―D―ソルビトール、1,3−(3−テニリデン)−2,4−(3,4−ジメチル−ベンリジリデン)―D―ソルビトール、1,3−(5−メチル−2−テニリデン)−2,4−(4−メチル−ベンリジリデン)―D―ソルビトールまたは1,3−(5−メチル−2−テニリデン)−2,4−(3,4−ジメチル−ベンリジリデン)―D―ソルビトールである請求項1に記載の透明剤組成物。
【請求項3】
オルガノシラン処理ヒュームシリカが、ヘキサメチルジシラザン、ジメチルシリコン液体またはポリジメチルシロキサンによる処理によって得られる請求項2に記載の透明剤組成物。
【請求項4】
請求項1に記載の上記透明剤組成物がポリオレフィンの重合中に添加されることを特徴とするポリオレフィン組成物。
【請求項5】
1,3:2,4−ジ(3−テニリデン)―D―ソルビトール、1,3:2,4−ジ(5−メチル−2−テニリデン)―D―ソルビトール、1,3:2,4−ジ(4−メチル−ベンリジリデン)―D―ソルビトール、1,3:2,4−ジ(3,4−ジメチル−ベンリジリデン)―D―ソルビトール、1,3−(3−テニリデン)−2,4−(4−メチル−ベンリジリデン)―D―ソルビトール、1,3−(3−テニリデン)−2,4−(3,4−ジメチル−ベンリジリデン)―D―ソルビトール、1,3−(5−メチル−2−テニリデン)−2,4−(4−メチル−ベンリジリデン)―D―ソルビトールまたは1,3−(5−メチル−2−テニリデン)−2,4−(3,4−ジメチル−ベンリジリデン)―D―ソルビトールを含む透明剤組成物が上記ポリオレフィンの重合中に添加されることを特徴とする請求項4に記載のポリオレフィン組成物。
【請求項6】
ヘキサメチルジシラザン、ジメチルシリコン液体またはポリジメチルシロキサンによる処理によって得られるオルガノシラン処理ヒュームシリカを含む上記透明剤組成物が上記ポリオレフィンの重合中に添加されることを特徴とする請求項5に記載のポリオレフィン組成物。
【請求項7】
請求項4に記載のポリオレフィン組成物からなる透明なポリオレフィンプラスチック製品。
【請求項8】
1,3:2,4−ジ(3−テニリデン)―D―ソルビトール、1,3:2,4−ジ(5−メチル−2−テニリデン)―D―ソルビトール、1,3:2,4−ジ(4−メチル−ベンリジリデン)―D―ソルビトール、1,3:2,4−ジ(3,4−ジメチル−ベンリジリデン)―D―ソルビトール、1,3−(3−テニリデン)−2,4−(4−メチル−ベンリジリデン)―D―ソルビトール、1,3−(3−テニリデン)−2,4−(3,4−ジメチル−ベンリジリデン)―D―ソルビトール、1,3−(5−メチル−2−テニリデン)−2,4−(4−メチル−ベンリジリデン)―D―ソルビトールまたは1,3−(5−メチル−2−テニリデン)−2,4−(3,4−ジメチル−ベンリジリデン)―D―ソルビトールからなる透明剤組成物を含むポリオレフィン組成物からなる請求項7に記載の透明なポリオレフィンプラスチック製品。
【請求項9】
ヘキサメチルジシラザン、ジメチルシリコン液体またはポリジメチルシロキサンによる処理によって得られるオルガノシラン処理ヒュームシリカを含む上記透明剤を含むポリオレフィン組成物からなる請求項8に記載の透明なポリオレフィンプラスチック製品。
【請求項10】
下記段階からなる透明剤組成物製造方法:
芳香族アルデヒド、ポリオールおよび酸触媒を極性溶媒中で混合して縮合反応を達成し、反応混合物を形成し、ここで、芳香族アルデヒド対ポリオールの当量比は2:1ないし2:2であり;そして
水対メタノールの1:1混合物中4重量/重量%の分散物中で測定されたpH値5.5ないし8を有するオレガノシラン処理されたヒュームシリカを上記反応混合物に添加して、これをろ過し、乾燥しおよび粉砕して透明剤組成物を形成し、ここで、オルガノシラン処理ヒュームシリカは上記透明剤組成物の0.05ないし50重量%である。
【請求項11】
上記芳香族アルデヒドがチオフェンカルボキシアルデヒド、ベンズアルデヒドまたはそれらの混合物である請求項10に記載の透明剤組成物製造方法。
【請求項12】
上記チオフェンカルボキシアルデヒドが3−チオフェンカルボキシアルデヒドまたは5−メチル−2−チオフェンカルボキシアルデヒドである請求項11に記載の透明剤組成物製造方法。
【請求項13】
上記ベンズアルデヒドが4−メチル−ベンズアルデヒドまたは3,4−ジメチル−ベンズアルデヒドである請求項11に記載の透明剤組成物製造方法。
【請求項14】
上記ポリオールがソルビトールまたはキシリトールである請求項11に記載の透明剤組成物製造方法。
【請求項15】
上記ポリオールがD−ソルビトールである請求項14に記載の透明剤組成物製造方法。
【請求項16】
水対メタノールの1:1混合物中4重量/重量%の分散物中で測定されたpH値5.5ないし8を有するオレガノシラン処理されたヒュームシリカが上記透明剤組成物の2−4重量%である請求項15に記載の透明剤組成物製造方法。
【請求項17】
芳香族アルデヒド対ポリオールの上記当量比が、上記極性溶媒中2:1.05ないし2:1.3である請求項16に記載の透明剤組成物製造方法。
【請求項18】
水対メタノールの1:1混合物中4重量/重量%の分散物中で測定されたpH値5.5ないし8を有する上記オレガノシラン処理されたヒュームシリカが上記透明剤組成物の2−10重量%である請求項17に記載の透明剤組成物製造方法。
【請求項1】
下記からなる透明剤組成物:
ジアセタール粉末(ここで該ジアセタールは下記一般構造式(I)、(II)、(III)、(IV)または(V)
【化1】
(式中R1およびR2は独立してH,C1−C4アルキル、C1−C4カルボアルコキシ、F,ClおよびBrからなる群から選択され;aは0、1,2または3であり;bは0,1,2または3であり、nは0または1である)を有する);および
水対メタノールの1:1混合物中4重量/重量%の分散物中で測定されたpH値5.5ないし8を有し、該ジアセタール粉末に分散され、上記透明剤組成物の0.05−50重量/重量%であるオルガノシラン処理ヒュームシリカ。
【請求項2】
上記ジアセタールが1,3:2,4−ジ(3−テニリデン)―D―ソルビトール、1,3:2,4−ジ(5−メチル−2−テニリデン)―D―ソルビトール、1,3:2,4−ジ(4−メチル−ベンリジリデン)―D―ソルビトール、1,3:2,4−ジ(3,4−ジメチル−ベンリジリデン)―D―ソルビトール、1,3−(3−テニリデン)−2,4−(4−メチル−ベンリジリデン)―D―ソルビトール、1,3−(3−テニリデン)−2,4−(3,4−ジメチル−ベンリジリデン)―D―ソルビトール、1,3−(5−メチル−2−テニリデン)−2,4−(4−メチル−ベンリジリデン)―D―ソルビトールまたは1,3−(5−メチル−2−テニリデン)−2,4−(3,4−ジメチル−ベンリジリデン)―D―ソルビトールである請求項1に記載の透明剤組成物。
【請求項3】
オルガノシラン処理ヒュームシリカが、ヘキサメチルジシラザン、ジメチルシリコン液体またはポリジメチルシロキサンによる処理によって得られる請求項2に記載の透明剤組成物。
【請求項4】
請求項1に記載の上記透明剤組成物がポリオレフィンの重合中に添加されることを特徴とするポリオレフィン組成物。
【請求項5】
1,3:2,4−ジ(3−テニリデン)―D―ソルビトール、1,3:2,4−ジ(5−メチル−2−テニリデン)―D―ソルビトール、1,3:2,4−ジ(4−メチル−ベンリジリデン)―D―ソルビトール、1,3:2,4−ジ(3,4−ジメチル−ベンリジリデン)―D―ソルビトール、1,3−(3−テニリデン)−2,4−(4−メチル−ベンリジリデン)―D―ソルビトール、1,3−(3−テニリデン)−2,4−(3,4−ジメチル−ベンリジリデン)―D―ソルビトール、1,3−(5−メチル−2−テニリデン)−2,4−(4−メチル−ベンリジリデン)―D―ソルビトールまたは1,3−(5−メチル−2−テニリデン)−2,4−(3,4−ジメチル−ベンリジリデン)―D―ソルビトールを含む透明剤組成物が上記ポリオレフィンの重合中に添加されることを特徴とする請求項4に記載のポリオレフィン組成物。
【請求項6】
ヘキサメチルジシラザン、ジメチルシリコン液体またはポリジメチルシロキサンによる処理によって得られるオルガノシラン処理ヒュームシリカを含む上記透明剤組成物が上記ポリオレフィンの重合中に添加されることを特徴とする請求項5に記載のポリオレフィン組成物。
【請求項7】
請求項4に記載のポリオレフィン組成物からなる透明なポリオレフィンプラスチック製品。
【請求項8】
1,3:2,4−ジ(3−テニリデン)―D―ソルビトール、1,3:2,4−ジ(5−メチル−2−テニリデン)―D―ソルビトール、1,3:2,4−ジ(4−メチル−ベンリジリデン)―D―ソルビトール、1,3:2,4−ジ(3,4−ジメチル−ベンリジリデン)―D―ソルビトール、1,3−(3−テニリデン)−2,4−(4−メチル−ベンリジリデン)―D―ソルビトール、1,3−(3−テニリデン)−2,4−(3,4−ジメチル−ベンリジリデン)―D―ソルビトール、1,3−(5−メチル−2−テニリデン)−2,4−(4−メチル−ベンリジリデン)―D―ソルビトールまたは1,3−(5−メチル−2−テニリデン)−2,4−(3,4−ジメチル−ベンリジリデン)―D―ソルビトールからなる透明剤組成物を含むポリオレフィン組成物からなる請求項7に記載の透明なポリオレフィンプラスチック製品。
【請求項9】
ヘキサメチルジシラザン、ジメチルシリコン液体またはポリジメチルシロキサンによる処理によって得られるオルガノシラン処理ヒュームシリカを含む上記透明剤を含むポリオレフィン組成物からなる請求項8に記載の透明なポリオレフィンプラスチック製品。
【請求項10】
下記段階からなる透明剤組成物製造方法:
芳香族アルデヒド、ポリオールおよび酸触媒を極性溶媒中で混合して縮合反応を達成し、反応混合物を形成し、ここで、芳香族アルデヒド対ポリオールの当量比は2:1ないし2:2であり;そして
水対メタノールの1:1混合物中4重量/重量%の分散物中で測定されたpH値5.5ないし8を有するオレガノシラン処理されたヒュームシリカを上記反応混合物に添加して、これをろ過し、乾燥しおよび粉砕して透明剤組成物を形成し、ここで、オルガノシラン処理ヒュームシリカは上記透明剤組成物の0.05ないし50重量%である。
【請求項11】
上記芳香族アルデヒドがチオフェンカルボキシアルデヒド、ベンズアルデヒドまたはそれらの混合物である請求項10に記載の透明剤組成物製造方法。
【請求項12】
上記チオフェンカルボキシアルデヒドが3−チオフェンカルボキシアルデヒドまたは5−メチル−2−チオフェンカルボキシアルデヒドである請求項11に記載の透明剤組成物製造方法。
【請求項13】
上記ベンズアルデヒドが4−メチル−ベンズアルデヒドまたは3,4−ジメチル−ベンズアルデヒドである請求項11に記載の透明剤組成物製造方法。
【請求項14】
上記ポリオールがソルビトールまたはキシリトールである請求項11に記載の透明剤組成物製造方法。
【請求項15】
上記ポリオールがD−ソルビトールである請求項14に記載の透明剤組成物製造方法。
【請求項16】
水対メタノールの1:1混合物中4重量/重量%の分散物中で測定されたpH値5.5ないし8を有するオレガノシラン処理されたヒュームシリカが上記透明剤組成物の2−4重量%である請求項15に記載の透明剤組成物製造方法。
【請求項17】
芳香族アルデヒド対ポリオールの上記当量比が、上記極性溶媒中2:1.05ないし2:1.3である請求項16に記載の透明剤組成物製造方法。
【請求項18】
水対メタノールの1:1混合物中4重量/重量%の分散物中で測定されたpH値5.5ないし8を有する上記オレガノシラン処理されたヒュームシリカが上記透明剤組成物の2−10重量%である請求項17に記載の透明剤組成物製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−155465(P2009−155465A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−334983(P2007−334983)
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【出願人】(507422024)國慶化學股▲ふん▼有限公司 (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【出願人】(507422024)國慶化學股▲ふん▼有限公司 (1)
【Fターム(参考)】
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