説明

透析液供給装置

【解決手段】 透析用監視装置に透析液を供給する透析液供給装置1は、浄水と透析原液とを混合させて透析液を調製する第1、第2混合タンク2,3と、第1、第2混合タンクで調製した透析液を貯留するする貯液タンク4と、第1、第2混合タンクと貯液タンクとの間に設けられた弁手段としての第1、第2三方弁21,22とを備えている。
弁手段を切り換えて、第1混合タンクと貯液タンクとが相互に連通されると、貯液タンクは満杯状態となって、透析液が貯液タンク、第1補給通路、第1混合タンクに渡って貯留されるようになり、その後第1混合タンクが空となって貯液タンクの透析液が所定量まで減少したら、弁手段を切り換えて、第2混合タンクと貯液タンクとを連通させるようになっている。
【効果】 貯液タンクの容量を小さくすることができ、透析液供給装置を小型化することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は血液透析を行う透析用監視装置等に透析液を供給する透析液供給装置に関し、詳しくは透析液を貯留する貯液タンクと、浄水と透析原液とを混合させて透析液を調製する2つの混合タンクとを備え、一方の混合タンクで透析液を調製する間に、他方の混合タンクから貯液タンクに透析液を補給するようにした透析液供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の患者に血液透析を行うことを目的として、病院等には複数台の透析用監視装置が設置されており、これらの透析用監視装置には以下のような透析液供給装置が透析液を供給するようになっている。
この透析液供給装置は、透析液を貯留する貯液タンクと、貯液タンクに接続されて透析液を送液させる透析液通路と、浄水と透析原液とを混合させて透析液を調製する2つの混合タンクと、各混合タンクと貯液タンクとを連通させる補給通路と、補給通路に設けられて各混合タンクと貯液タンクとの連通を切り換える弁手段とを備えている。
そして上記弁手段により各混合タンクと貯液タンクとを交互に連通させて、一方の混合タンクで透析液を調製する間に、他方の混合タンクから貯液タンクに透析液を補給し、併せて貯液タンクから透析液通路を介して透析液を供給している。(特許文献1)
【特許文献1】特公平5−34988号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ここで、上記特許文献1の透析液供給装置では、透析液の供給速度を約10L/minに設定した場合、上記混合タンクに約10L/minの割合で浄水を供給して透析液の調製を行っている。
この様に透析液の供給速度と浄水の調製速度とがほぼ同じである場合、透析液の供給が中断することがないよう、貯液タンクには常時少なくとも混合タンク1つ分の透析液が貯留されるようになっており、これに追加して混合タンク1つ分の透析液が補給されるようになっている。
その結果、上記特許文献1における貯液タンクにはおよそ混合タンク2つ分の透析液を貯留できる容量が必要となり、透析液供給装置の小型化を阻害する要因となっていた。また透析液の供給能力を高めようとした場合、装置をさらに大型化しなければならないという問題があった。
このような問題に鑑み、本発明は上記貯液タンクの容量を小さくすることができ、これに伴って透析液供給装置自体を小型に製造することが可能な透析液供給装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
すなわち、本発明の透析液供給装置は、透析液を貯留する貯液タンクと、貯液タンクに接続されて透析液を送液させる透析液通路と、浄水と透析原液とを混合させて透析液を調製する2つの混合タンクと、各混合タンクと貯液タンクとを連通させる補給通路と、補給通路に設けられて各混合タンクと貯液タンクとの連通を切り換える弁手段とを備え、
上記弁手段により各混合タンクと貯液タンクとを交互に連通させて、一方の混合タンクで透析液を調製する間に、他方の混合タンクから貯液タンクに透析液を補給し、併せて貯液タンクから透析液通路を介して透析液を供給するようにした透析液供給装置において、
上記貯液タンクは上部が閉鎖されるとともに内部に透析液を充満させて収容可能となっており、上記弁手段が貯液タンクと一方の混合タンクとを連通させると、透析液を貯液タンクと補給通路と当該一方の混合タンクとによって貯留し、
上記一方の混合タンクから全ての透析液が排出されたら、弁手段を切り換えて貯液タンクと他方の混合タンクとが連通するようにしたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0005】
上記発明によると、一方の混合タンクと貯液タンクとが補給通路を介して連通した状態で、透析液を貯液タンクと補給通路と該一方の混合タンクとに亘って貯溜することができる。
このため、上記貯液タンクの容量が小さくても貯液タンクからは安定して透析液を供給することができ、貯液タンクの容量を小さくすることで透析液供給装置自体も小型化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下図示実施例について説明すると、図1は透析液供給装置1を示し、この透析液供給装置1は下流側に設けられた図示しない複数台の透析用監視装置等の透析液を使用する装置に透析液を送液する装置となっている。
透析液供給装置1はその内部で透析液を調製する2つの第1、第2混合タンク2,3と、これら第1、第2混合タンク2,3で調製された透析液を貯留するとともに、上記透析用監視装置に透析液を供給する貯液タンク4とを備えている。
また透析液供給装置1には後述する弁手段やポンプ等が備えられており、これらを含めて透析液供給装置1は図示しない制御手段によって制御されるようになっている。
さらに透析液供給装置1にはそれぞれ図示しないが、浄水を供給する給水手段、透析原液としてのA液(カルシウム塩およびマグネシウム塩含有濃厚液)を供給するA液供給手段、B液(重炭酸塩含有濃厚液)を供給するB液供給手段、洗浄液を供給する洗浄液供給手段が接続されている。
【0007】
上記給水手段と上記第1、第2混合タンク2,3との間には浄水を流通させる給水通路5が配設され、この給水通路5は途中で分岐して一方の第1給水通路5Aは上記第1混合タンク2に、第2給水通路5Bは第2混合タンク3に、それぞれ接続されている。
また給水通路5には上記A液供給手段に接続されたA液通路6、B液供給手段に接続されたB液通路7、洗浄液供給手段に接続された洗浄液通路8が上記分岐点よりも上流側で接続され、これらの接続された位置よりもさらに上流側には、制御手段によって制御される給水弁9および定流量弁10が設けられている。
上記給水弁9は制御手段によって制御されて第1、第2混合タンク2,3への浄水の供給と停止を行い、定流量弁10は給水通路5を流通する浄水の流量を一定流量に保つようになっている。
さらに、上記第1、第2給水通路5A,5Bには、それぞれ第1、第2混合タンク2,3への浄水の供給と停止を行う第1、第2供給弁11、12が設けられている。
これら上記第1、第2供給弁11,12は制御手段によって交互に開閉されるようになっており、たとえば第1供給弁11を開放して第1混合タンク2に浄水や透析原液を送液する際、第2供給弁12は閉鎖されるようになっている。
そして、上記A液通路6、B液通路7、洗浄液通路8にはそれぞれ第3〜第5供給弁13〜15と、第1〜第3注入ポンプ16〜18とが設けられている。
透析液調製時には第3、第4供給弁13,14を開放すると共に第1、第2注入ポンプ16,17を作動させることで、A液、B液をそれぞれ上記給水通路5の浄水に所定量ずつ混入させて上記第1、第2混合タンク2,3に供給するようになっている。
また洗浄液調製時には、第5供給弁15を開放すると共に第3注入ポンプ18を作動させることで、洗浄液を給水通路5の浄水に混入させて上記第1、第2混合タンク2,3に供給するようになっている。
【0008】
上記第1、第2混合タンク2,3および上記貯液タンク4の間には、それぞれ第1、第2補給通路19、20が配設されており、各混合タンク2,3と貯液タンク4とを連通させている。
本実施例では上記第1、第2給水通路5A,5Bの一部と第1、第2補給通路19、20の一部とは共通の通路を形成しており、具体的には第1混合タンク2の底部に接続した第1補給通路19に第1給水通路5Aを合流させ、第2混合タンク3の底部に接続した第2補給通路20に第2給水通路5Bを合流させて、各通路を構成している。
上記第1、第2補給通路19、20における第1、第2給水通路5A,5Bとの合流位置よりも下流側には、それぞれ弁手段として第1、第2三方弁21,22が設けられている。
上記第1、第2三方弁21,22の流入側はそれぞれ第1、第2補給通路19,20を介して第1、第2混合タンク2,3に連通され、2つの流出側のうちの一方が、引き続き第1、第2補給通路19,20を介して貯液タンクに連通されている。また他方の流出側には排液通路23が接続されている。
このような第1、第2三方弁21,22は、流入側といずれか一方の流出側とを選択的に連通させることができるとともに、いずれにも連通させない閉鎖状態とすることが可能で、制御手段によりこれら流路を切り換えるようになっている。
上記第1、第2補給通路19,20の流路径は、後述する貯液タンク4に接続された透析液通路25の流路径よりも大きく設定されており、このため第1、第2補給通路19,20を流通する透析液の流量は、透析液通路25を流通する透析液の流量よりも大きくなっている。
上記排液通路23は上記第1、第2三方弁21,22との接続位置よりも下流側で一本に合流されて図示しない排液管に接続されるとともに、合流位置よりも下流側には第1排液弁24が設けられている。
上記第1、第2三方弁21,22は上記制御手段の制御によって、各混合タンク2,3と貯液タンク4との連通を交互に切り換えられるようになっており、たとえば第1三方弁21を貯液タンク4と連通するよう切り換えて、第1混合タンク2から貯液タンク4に透析液を補給する間、第2三方弁22を閉鎖状態とすることで第2混合タンク3にて透析液の調製を行うことができるようになっている。
また、たとえば第2混合タンク3で調製した透析液の濃度が不良の場合には、制御手段によって第1三方弁22の流路を貯液タンク4とは連通させずに、排液通路23と連通させるよう切り換え、さらに第1排液弁24を開放して不良透析液を排液通路23から排液管へと排出できるようになっている。
【0009】
上記貯液タンク4には、下流側の各透析用監視装置に透析液を送液するための透析液通路25が接続されている。
上記透析液通路25には、給液ポンプ27と第6給液弁28とが設けられ、透析液を送液する場合には、上記第6給液弁28を開放すると共に上記給液ポンプ27を作動させるようになっている。
上記透析液通路25は、上記給液ポンプ27の手前で分岐通路26により分岐され、第1排液弁24の下流位置で上記排液通路23と合流されており、この分岐通路26には第2排液弁29が設けられている。
透析液供給装置1の洗浄時には、上記第1、第2混合タンク2,3より貯液タンク4に洗浄液を供給し、上記第6給液弁28を閉鎖して第2排液弁29を開放することで、洗浄液を上記分岐通路26および排液通路23を介して排液管に排出するようになっている。
なお、透析液を透析用監視装置に送液する場合と同様にして、上記第6給液弁28を開放すると共に上記給液ポンプ27を作動させて、貯液タンク4から各透析用監視装置へ、一定の流量で洗浄液を送液することも可能である。
【0010】
上記第1、第2混合タンク2,3は容量が同一であって、同一の構成を有しており、以下第1混合タンク2について説明し、第2混合タンク3についての説明を省略する。なお、第2混合タンク3を構成する部材の名称については、第1混合タンク2を構成する部材の先頭の第1を第2へと変更し、その符号を2から3に変更して説明する。
第1混合タンク2は、透析液を貯留する第1容器2aと、浄水、A液、B液を所定の経路で循環させる第1攪拌通路2bと、第1攪拌通路2bに設けられた第1攪拌ポンプ2cと、第1攪拌通路2bに設けられて透析液の濃度を測定する第1濃度計2dと、第1容器2a内の液面の高さを検出する第1フロートスイッチ2eとを備えている。
第1容器2aの底部には上記第1給水通路5A(第1補給通路19)が接続されており、浄水等は上記第1給水通路5Aを介して下方から供給され、また第1容器2a内で調製された透析液は自重により第1補給通路19を介して排出されるようになっている。
上記第1攪拌通路2bは第1容器2aの側面と上記第1給水通路5Aの第1供給弁11よりも下流側とにわたって設けられており、上記第1容器2a内の液面が上昇して第1攪拌通路2bの接続位置よりも高くなると、上記第1攪拌ポンプ2cが作動して第1容器2aから第1給水通路5Aに向けて浄水等を送液し、これらを循環させながら攪拌するようになっている。
また、この間に上記第1濃度計2dで透析液の濃度を測定するようになっており、調製された透析液の濃度に異常が検出された場合、制御手段は上記第1三方弁21を切り換えて、この透析液を不良透析液として上記排液通路23を介して排液管に排出するようになっている。
上記第1フロートスイッチ2eは垂直方向に設けられた第1バー2fと、当該第1バー2fに沿って上下動可能に設けられると共に、透析液よりも比重の軽い第1フロート2gと、上記第1バー2fの上方および下方に設けられた第1近接スイッチ2hとから構成されている。
これら上下の第1近接スイッチ2hの信号は、制御手段に入力されるようになっており、第1容器2a内の透析液が増加して液面が上昇し、第1フロート2gが下方の第1近接スイッチ2hから離脱すると、制御手段はそこから所定時間経過後に液面が第1攪拌通路2bの接続位置を越えたものと判断し、上記第1攪拌ポンプ2cを作動させるようになっている。
また第1容器2a内の液面がさらに上昇して第1フロート2gが上方の第1近接スイッチ2hに接触すると、制御手段は第1容器2a内に所定量の透析液が貯留されたものと判断し、上記第1給水通路5Aの第1供給弁11を閉鎖して、これ以上の浄水の供給を停止させるとともに、上記第1三方弁21を切り換えて貯液タンク4と連通させ、透析液を貯液タンク4へと送液するようになっている。
【0011】
上記貯液タンク4は透析液を貯留する第3容器4aと、第3容器4a内の透析液の液面高さを検出する第3フロートスイッチ4bとを備えている。
第3容器4aは上部が閉鎖されるとともに内部に透析液を充満させて収容可能に構成され、その容量は、上部天面まで液面が達する充満状態において、上記第1、第2混合タンク2,3に貯留可能な透析液の収容量の合計よりも少なく設定され、貯液タンク4の小型化が図られている。
第3容器4aの上部には上記第1、第2補給通路19、20が接続され、内部には第1、第2補給通路19、20に接続されるとともに第3容器4aの下部底面付近まで延長された第1、第2送液パイプ19a、20aが設けられている。また、第3容器4aの下部には、上記透析液通路25が接続されている。
本実施例では後述するように、第1、第2混合タンク2,3のいずれか一方と貯留タンク4とを連通させた状態で、第3容器4aが満杯状態となって、入りきらない透析液を、貯液タンク4(第3容器4a)と第1補給通路19および第1混合タンク2とに、もしくは第2補給通路20および第2混合タンク2とに亘って貯留するようになっている。
これら貯液タンク、第1補給通路19(第2補給通路20)および第1混合タンク2(第2混合タンク2)に貯留された透析液は上記透析液通路25を介して透析液が供給されることに伴って減少してゆくが、上述したように第1補給通路19、第2補給通路20における透析液の流量は、透析液通路25における透析液の流量よりも大きいため、第1混合タンク2、第2混合タンク3に貯留された透析液は途切れることなく貯液タンク4に補給される。
上記第3フロートスイッチ4bは垂直方向に設けられた第3バー4cと、当該第3バー4cに沿って上下動可能に設けられると共に透析液よりも比重の軽い第3フロート4dと、上記第3バー4cの上方および下方に設けられた第3近接スイッチ4eとから構成されている。
第3近接スイッチ4eのうち、上方に位置する第3近接スイッチ4eは第3容器4aの上部よりも所定距離下方に設けられており、このため第3容器4a内の透析液が満杯状態となると、第3フロート4dは上方の第3近接スイッチ4eによりその上昇が妨げられるようになっている。
そして満杯状態から透析液が減少し、液面が上方の第3近接スイッチ4eよりも下方に下がると、第3フロート4dが上方の第3近接スイッチ4eから離脱し、制御手段はこれにより第3容器4a内の透析液が所定量以下に減少したことを認識できるようになっている。
さらに透析液が減少して、液面が下方の第3近接スイッチ4eまで下った状態では、第3フロート4dが下方の第3近接スイッチ4eに接触し、制御手段はこれにより第3容器4a内の透析液が空になる寸前であると認識し、警報を発するようになっている。
【0012】
上記構成を有する透析液供給装置1の動作について説明する。図2は上記第1、第2混合タンク2,3および貯液タンク4内の透析液の容量の変化を時系列的に示した図となっている。ここで第1、第2混合タンク2,3と貯液タンク4の間の第1、第2補給通路19,20には第1、第2三方弁21,22を示すと共に、貯液タンク4との連通状態を○×で示している。
以下の説明では、一例として第1、第2混合タンク2,3の第1、第2容器2a、3aの容量をそれぞれ16L、貯液タンク4の第3容器4aの容量を25Lとしており、第1、第2補給通路19,20については、便宜上内部容積量を無視している。
また給水通路5では定流量弁10によって、供給される浄水を26L/minで流通させるようになっており、また透析液通路25では給液ポンプ27が25L/minの割合で透析液を送液するようになっている。
さらに、調製される透析液の混合比は、浄水:A液:B液=32.74:1:1.26となっており、給水通路5では浄水:26.0Lに対しA液:0.8L、B液:1.0Lの割合で注入されるようになっている。これにより、給水通路5による第1、第2混合タンク2,3への供給流量は27.8L/minとなる。
【0013】
最初に、図2(a)は透析液供給装置1による透析液供給前の準備状態を示しており、上記第1混合タンク2には7Lの透析液が、第2混合タンク3には16Lの透析液が、貯液タンク4には25Lの透析液が貯留され、第1三方弁21は連通され、第2三方弁22は閉鎖されている。
この状態とするには、最初に第2混合タンク3で透析液を16L調製してこの透析液を貯液タンク4に送液し、次に第1混合タンク2で透析液を16L調製してこの透析液を貯液タンク4に送液し、さらに第2混合タンク3で透析液を16L調製する。
このとき、貯液タンク4の第3容器4aの容量は25Lであるため、第1混合タンク2で調製された透析液の全てを貯液タンク4に収容させることはできず、貯液タンク4の内部はその上部天面まで液面が達して透析液が充満した満杯状態となっており、第1三方弁21が開放されていることから、貯液タンク4に入りきらなかった透析液が第1補給通路19および第1混合タンク2に亘って貯留されている。
その結果、図2(a)の状態では貯液タンク4には満杯となる25Lの透析液が貯留され、第1混合タンク2には入りきらなかった7Lの透析液が貯留されているものとしている。
【0014】
上記(a)の状態から、制御手段は第6供給弁28を開放すると共に給液ポンプ27を作動させて透析液通路25を介して貯液タンク4の透析液を送液し、下流側に設けられた透析用監視装置への透析液の供給を開始する。
貯液タンク4から透析液通路25を介して透析液を送液すると、貯液タンク4での透析液の減少に伴って透析液が第1混合タンク2から貯液タンク4へと流入する。
このとき、上述したように透析液通路25における透析液の流量よりも第1補給通路19における透析液の流量が大きくなるよう設定しているため、貯液タンク4から排出される透析液の流量と同量の透析液が第1混合タンク2から流入することとなり、第1混合タンク2から貯液タンク4への補給が途切れることはない。
【0015】
(b)は(a)の透析液の供給開始から24秒後の状態を示しており、このとき第1混合タンク2と貯液タンク4とで貯留していた合計32Lの透析液は、10L減少して22Lとなり、その結果第1混合タンク2の透析液は全て排出され、貯液タンク4の透析液は22Lまで減少している。
その後、貯液タンク4の透析液の収容量が22Lを下回ったことをフロートスイッチ4bで検出すると、制御手段は第1三方弁21と第2三方弁22を制御して連通状態を切り換え、第1補給通路19を閉鎖させて第1混合タンク2と貯液タンク4の連通を解除すると共に、第2補給通路20を開放させて第2混合タンク3と貯液タンク4とを連通させる。
【0016】
(c)は第1三方弁21と第2三方弁22とを切り換える切換作業完了時の状態を示しており、本実施例ではこの切換作業に4秒の時間を要することから、この状態では第2混合タンク3から貯液タンク4に約3Lの透析液が流入して、貯液タンク4は再び満杯状態となっているが、上記4秒の間に貯液タンク4からは1.6Lの透析液が排出されているため、第2混合タンク3と貯液タンク4とで合計36.4Lの透析液が貯留され、貯液タンク4に入りきらずに第2混合タンク3に貯留される透析液は11.4Lとなっている。
この(c)の状態以降においても、貯液タンク4での透析液の減少に伴って透析液が第2混合タンク3から貯液タンク4へと流入し、第2混合タンク3から貯液タンク4への補給が途切れることはない。
また、一方の第1混合タンク2においては、第1三方弁21と第2三方弁22の切換作業が完了して第1補給通路19が閉鎖されると、第1供給弁11が開放されると共に第1、第2注入ポンプ16,17が作動されて、浄水、A液、B液が第1給水通路5Aから第1混合タンク2に供給され、透析液の調製が開始される。
【0017】
(d)は(c)の状態から34.6秒経過後の状態を示しており、この状態においては、第2混合タンク3と貯液タンク4とで貯留していた36.4Lの透析液は14.4L減少して22Lとなり、その結果第2混合タンク3の透析液は全て排出され、貯液タンク4の透析液は22Lとなっている。
一方、このとき第1混合タンク2にはすでに16Lの透析液が調製されて貯留されている。
その後、貯液タンク4の透析液の収容量が22Lを下回ったことをフロートスイッチ4bで検出すると、制御手段は再び第1三方弁21と第2三方弁22とを制御して連通状態を切り換え、第2補給通路20を閉鎖させて第2混合タンク3と貯液タンク4の連通を解除すると共に、第1補給通路19を開放させて第1混合タンク2と貯液タンク4とを連通させる。
【0018】
(e)は第1三方弁21と第2三方弁22を切り換える切換作業完了時の状態を示しており、(c)の場合と同様、この切換作業には4秒の時間を要することから、この状態では第1混合タンク2から貯液タンク4に約3Lの透析液が流入して、貯液タンク4は再び満杯状態となっているが、上記4秒の間に貯液タンク4からは1.6Lの透析液が排出されているため、第1混合タンク2と貯液タンク4とで合計36.4Lの透析液を貯留し、貯液タンク4に入りきらずに第1混合タンク3に貯留される透析液は11.4Lとなっている。
また、一方の第2混合タンク3においては、第1三方弁21と第2三方弁22の切換作業が完了して第2補給通路20が閉鎖されると、第2供給弁12が開放されて、浄水、A液、B液が第2給水通路5Bから第2混合タンク3に供給され、透析液の調製が開始される。
そしてこの(e)の状態からさらに34.6秒経過すると、第1混合タンク2と貯液タンク4で貯留していた36.4Lの透析液は14.4L減少して22Lとなり、一方の第2混合タンク3にはすでに16Lの透析液が調製されて貯留されるため、(b)と同じ状態となる。
そして、以後(b)から(e)の状態が繰り返されることにより、透析液通路25を介して連続して透析液を透析用監視装置に送液することができるようになっている。
なお、上記説明では常時25L/minの割合で貯液タンク4から透析液が送液される場合について説明したが、下流側に設置される透析用監視装置の使用台数および使用状態によっては、これよりも少量となり送液量は25L/min以下の範囲で変動することがある。しかしながら、その場合においても、貯液タンク4における透析液の減少に要する時間が長くなるだけであり、透析液供給装置1の動作自体には変更はない。
【0019】
そして透析液の調製中に、たとえば第1混合タンク2の第1濃度計2dにより第1攪拌通路2bを流通する透析液の濃度に異常を検出した場合は、制御手段は第1三方弁21を制御して排液通路23と連通させるとともに第1排液弁24を開放し、この不良透析液を排液通路23を介して排出するようになっている。
このとき不良な透析液が排液通路23に排液されて、次に補給する透析液はなくなるが、貯液タンク4における第3容器4aの容量は少なくとも第1、第2混合タンク2,3の1つ分の容量が確保されているので、次に第2混合タンク3から透析液が補給されるまでの間、貯液タンク4内の全ての透析液が消費されることがないようになっている。
なお、各透析用監視装置の洗浄時に、洗浄液を供給する場合も、上記透析液を供給する場合と同様にして供給することができる。
【0020】
上記実施例のように、上記第1三方弁21によって貯液タンク4と第1混合タンク2を連通させて、透析液を第1混合タンク2と第1補給通路19と貯液タンク4とにわたって貯溜し、また、第2三方弁22によって貯液タンク4と第2混合タンク3を連通させて、透析液を第2混合タンク3と第2補給通路20と貯液タンク4とにわたって貯留する。
これにより、貯液タンク4の容量を第1、第2混合タンク2,3を合計した容量より少なく、設定しても安定的に透析液を供給することができ、貯液タンク4の容量を小さくして透析液供給装置1を小型化することができる。また、透析液の供給能力の高能力化を図った場合に、装置の大型化を抑えることが可能である。
なお、上記実施例における第1、第2混合タンク2,3、貯液タンク4の容量、ならびに透析液通路25における透析液の流量などの数値はあくまで一例であり、他の設定も可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施例にかかる透析液供給装置の概略図。
【図2】透析液供給装置における第1、第2混合タンクおよび貯液タンク内の透析液の状態を時系列的に表示した図。
【符号の説明】
【0022】
1 透析液供給装置 2 第1混合タンク
3 第2混合タンク 4 貯液タンク
19 第1補給通路 20 第2補給通路
21 第1三方弁 22 第2三方弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透析液を貯留する貯液タンクと、貯液タンクに接続されて透析液を送液させる透析液通路と、浄水と透析原液とを混合させて透析液を調製する2つの混合タンクと、各混合タンクと貯液タンクとを連通させる補給通路と、補給通路に設けられて各混合タンクと貯液タンクとの連通を切り換える弁手段とを備え、
上記弁手段により各混合タンクと貯液タンクとを交互に連通させて、一方の混合タンクで透析液を調製する間に、他方の混合タンクから貯液タンクに透析液を補給し、併せて貯液タンクから透析液通路を介して透析液を供給するようにした透析液供給装置において、
上記貯液タンクは上部が閉鎖されるとともに内部に透析液を充満させて収容可能となっており、上記弁手段が貯液タンクと一方の混合タンクとを連通させると、透析液を貯液タンクと補給通路と当該一方の混合タンクとによって貯留し、
上記一方の混合タンクから全ての透析液が排出されたら、弁手段を切り換えて貯液タンクと他方の混合タンクとが連通するようにしたことを特徴とする透析液供給装置。
【請求項2】
上記2つの混合タンクの容量が同一であって、かつ貯液タンクの容量を上記2つの混合タンクの容量の合計よりも少なくしたことを特徴とする請求項1に記載の透析液供給装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−168078(P2008−168078A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−6346(P2007−6346)
【出願日】平成19年1月15日(2007.1.15)
【出願人】(000253019)澁谷工業株式会社 (503)
【Fターム(参考)】