説明

透析液取出装置

【課題】採取口又は開閉手段のシール手段の消毒作業を自動化させることができ、当該採取口又は開閉手段のシール手段を確実かつ容易に清浄化させることができる透析液取出装置を提供する。
【解決手段】液体の流路に接続されて当該液体を流通させ得る導入口9a及び導出口9bが形成されるとともに、その流通させた液体を採取可能な採取口9cが形成された透析液取出手段9と、透析液取出手段9の採取口9cに対して脱着可能とされ、当該採取口9cを開閉し得るキャップ10と、キャップ10に取り付けられ、当該キャップ10が透析液取出手段9の採取口9cに取り付けられた状態で当該採取口9cをシールするシール手段11とを具備した透析液取出装置において、キャップ10のシール手段11を加熱し得る加熱手段12を備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体の流路に接続されて当該液体を流通させ得る導入口及び導出口が形成されるとともに、その流通させた液体を採取可能な採取口が形成された透析液取出手段と、透析液取出手段の採取口に対して脱着可能とされ、当該採取口を開閉し得る開閉手段と、開閉手段に取り付けられ、当該開閉手段が透析液取出手段の採取口に取り付けられた状態で当該採取口をシールするシール手段とを具備した透析液取出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近時において、血液浄化装置としての透析装置では透析治療(特に、オンラインHDF又はオンラインHF)時においてダイアライザに供給するための透析液を用いてプライミング、返血及び補液(緊急補液)を行う技術や、当該透析液をオンラインHDFやオンラインHFの治療のための置換液として利用する技術が提案されるに至っている。例えば、特許文献1には、一端が透析液導入ラインの所定部位に形成された透析液取出ポート(採取口)に接続されるとともに、他端が血液回路(動脈側血液回路又は静脈側血液回路)に接続された補液ラインと、補液ラインに配設された補液ポンプとを具備した透析装置が開示されている。かかる透析装置により、プライミング、返血又は補液(緊急補液)を行うには、補液ポンプを駆動させることにより、透析液導入ラインの透析液を血液回路(動脈側血液回路又は静脈側血液回路)に供給するようになっている。
【0003】
通常、かかる透析液取出ポートに対してキャップ(開閉手段)が脱着自在とされており、当該キャップを取り外して補液ライン等を接続させるとともに、補液ライン等を接続しない場合は、キャップを取り付けて透析液導入ラインを流れる透析液が外部に漏れ出ないようになっている。例えば、透析液導入ラインや透析液排出ライン等の透析液が流通する配管を洗浄及び消毒するには、採取口にキャップを取り付けた状態として当該配管にて洗浄水や消毒水を流通させることにより、洗浄水や消毒液が外部に漏れ出てしまうのを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−313522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の透析液取出装置においては、採取口にシリンジや接続ラインを挿入する際に、菌が付着する虞があるため、清浄化を図るべく、アルコール等により医療従事者等の作業員が都度消毒作業を行っていた。また、採取口に脱着可能なキャップ(特に、採取口をシールするためのシール手段)においても、採取口と同様に、アルコール等により医療従事者等の作業員が都度消毒作業を行っており、消毒作業に手間がかかっていた。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、採取口又は開閉手段のシール手段の消毒作業を自動化させることができ、当該採取口又は開閉手段のシール手段を確実かつ容易に清浄化させることができる透析液取出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、液体の流路に接続されて当該液体を流通させ得る導入口及び導出口が形成されるとともに、その流通させた液体を採取可能な採取口が形成された透析液取出手段と、該透析液取出手段の採取口に対して脱着可能とされ、当該採取口を開閉し得る開閉手段と、該開閉手段に取り付けられ、当該開閉手段が前記透析液取出手段の採取口に取り付けられた状態で当該採取口をシールするシール手段とを具備した透析液取出装置において、前記開閉手段のシール手段を加熱し得る加熱手段を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の透析液取出装置において、前記加熱手段は、前記開閉手段に固定されたことを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の透析液取出装置において、前記加熱手段は、前記開閉手段が前記透析液取出手段の採取口に取り付けられた状態で、前記シール手段を介して当該採取口を加熱して消毒可能とされたことを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の透析液取出装置において、前記透析液取出手段の採取口から取り外された前記開閉手段を載置する載置手段を具備するとともに、前記加熱手段は当該載置手段に取り付けられたことを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の透析液取出装置において、前記開閉手段を保持するとともに、前記透析液取出手段の採取口に当該開閉手段を取り付けた状態と当該採取口から当該開閉手段を取り外した状態とで切替可能な保持手段を具備したことを特徴とする。
【0012】
請求項6記載の発明は、請求項1〜5の何れか1つに記載の透析液取出装置において、前記加熱手段は、通電により加熱可能とされるとともに設定温度に保持可能な半導体ヒータから成ることを特徴とする。
【0013】
請求項7記載の発明は、請求項1〜6の何れか1つに記載の透析液取出装置を具備したことを特徴とする血液浄化装置である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、開閉手段のシール手段を加熱し得る加熱手段を備えたので、採取口又は開閉手段のシール手段の消毒作業を自動化させることができ、当該採取口又は開閉手段のシール手段を確実かつ容易に清浄化させることができる。
【0015】
請求項2の発明によれば、加熱手段は、開閉手段に固定されたので、当該開閉手段が採取口に取り付けられた状態及び当該採取口から取り外された状態の何れにおいてもシール手段を加熱して消毒させることができる。
【0016】
請求項3の発明によれば、加熱手段は、開閉手段が透析液取出手段の採取口に取り付けられた状態で、シール手段を介して当該採取口を加熱して消毒可能とされたので、閉状態の採取口を確実に消毒することができる。
【0017】
請求項4の発明によれば、透析液取出手段の採取口から取り外された開閉手段を載置する載置手段を具備するとともに、加熱手段は当該載置手段に取り付けられたので、載置手段により採取口から取り外された開閉手段の紛失を回避することができ、かつ、載置された開閉手段に対して加熱消毒を図ることができる。
【0018】
請求項5の発明によれば、開閉手段を保持するとともに、透析液取出手段の採取口に当該開閉手段を取り付けた状態と当該採取口から当該開閉手段を取り外した状態とで切替可能な保持手段を具備したので、開閉手段の開閉手段に対する脱着作業を容易かつ確実に行わせることができる。
【0019】
請求項6の発明によれば、加熱手段は、通電により加熱可能とされるとともに設定温度に保持可能な半導体ヒータから成るので、温度を一定に保つためのサーミスタ等の別個の手段を不要とすることができ、装置構成を簡素化させることができる。
【0020】
請求項7の発明によれば、採取口又は開閉手段のシール手段の消毒作業を自動化させることができ、当該採取口又は開閉手段のシール手段を確実かつ容易に清浄化させることができる透析液取出装置を具備した血液浄化装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の透析液取出装置が適用される血液浄化装置を示す模式図
【図2】本発明の第1の実施形態に係る透析液取出装置(採取口に開閉手段を取り付けた状態)を示す断面模式図
【図3】同透析液取出装置におけるキャップ(開閉手段)を示す正面図及び側面図
【図4】同透析液取出装置における透析液取出手段(開閉手段を取り外した状態)を示す断面模式図
【図5】本発明の第2の実施形態に係る透析液取出装置(採取口に開閉手段を取り付けた状態)を示す断面模式図
【図6】同透析液取出装置におけるキャップ(開閉手段)を示す正面図及び側面図
【図7】同透析液取出装置における透析液取出手段(開閉手段を取り外した状態)を示す断面模式図
【図8】本発明の第3の実施形態に係る透析液取出装置(採取口に開閉手段を取り付けた状態)を示す断面模式図
【図9】同透析液取出装置における透析液取出手段(開閉手段を取り外した状態)を示す断面模式図
【図10】同透析液取出装置の採取口に接続可能な接続手段を示す断面模式図
【図11】本発明の第4の実施形態に係る透析液取出装置(採取口に開閉手段を取り付けた状態)を示す断面模式図
【図12】同透析液取出装置における透析液取出手段(開閉手段を取り外して載置手段に載置させた状態)を示す断面模式図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
第1の実施形態に係る透析液取出装置は、血液浄化治療(血液透析治療)で使用される血液浄化装置に配設され、透析液を採取可能とされたものである。適用される血液浄化装置は、図1に示すように、ダイアライザ1(血液浄化器)に動脈側血液回路2及び静脈側血液回路3が接続された血液回路と、透析液導入ラインL1及び透析液排出ラインL2を有した透析装置本体Bとから主に構成されている。
【0023】
ダイアライザ1は、血液を浄化するためのもので、血液回路を構成する動脈側血液回路2及び静脈側血液回路3とそれぞれ接続されるとともに、透析液導入ラインL1及び透析液排出ラインL2とそれぞれ接続されており、動脈側穿刺針aから採取された患者の血液を血液回路にて体外循環させ、ダイアライザ1にて血液浄化及び除水した後、静脈側穿刺針bから患者に戻すようになっている。なお、図中符号4は、しごき型のポンプである血液ポンプを示しているとともに、図中符号5、6は、エアトラップチャンバを示している。
【0024】
また、透析液導入ラインL1及び透析液排出ラインL2には、所定濃度に調製された透析液をダイアライザ1に供給し、当該ダイアライザ1から排出させる複式ポンプ7が接続されている。さらに、透析装置本体B内には、バイパスラインや電磁弁が任意位置に複数配設されており、複式ポンプ7をバイパスさせるバイパスラインには、除水ポンプ8が接続されている。
【0025】
そして、透析装置本体B内の配管を消毒又は洗浄するには、透析液導入ラインL1及び透析液排出ラインL2の先端をダイアライザ1から取り外し、例えばカプラ等により当該先端同士を互いに接続して配管を短絡させた後、透析装置本体Bの外部(例えば透析液供給装置等)から消毒液(熱湯や消毒薬液)又は洗浄水(清浄水)を導入して当該透析装置本体Bにおける配管内の液体(透析液等)と置換することにより行われる。なお、例えば透析液排出ラインL2から流路を分岐させ、その先端を消毒液等が収容されたタンクに挿入させることにより、当該タンク内から消毒液等を配管内に導入して置換させるようにしてもよい。
【0026】
ここで、透析液導入ラインL1には、本発明の第1の実施形態に係る透析液取出装置が接続されている。本実施形態に係る透析液取出装置は、図2〜4に示すように、透析液導入ラインL1(液体の流路)に接続されて当該液体(透析液)を流通させ得る導入口9a及び導出口9bが形成されるとともに、その流通させた液体を採取可能な採取口9cが形成された透析液取出手段9と、開閉手段としてのキャップ10と、シール手段11と、加熱手段12とを具備したものである。
【0027】
より具体的には、透析液取出手段9は、その導入口9a及び導出口9bのそれぞれに透析液導入ラインL1が接続され、内部に透析液を流通可能とされたもので、その流路(導入口9aから導出口9bに向かって透析液が流れる流路)は、略90度折れ曲がってL字状に延設されているとともに、採取口9cは、導入口9aに対して略同一直線上に位置するよう形成されている。なお、本実施形態においては、採取口9cが形成された部位は、導入口9a及び導出口9bが形成された部位とは別部材とされ、それらがシール部材を介して連結された構成とされているが、一体部品であってもよい。
【0028】
さらに、採取口9cは、キャップ10(開閉手段)を取り外した状態でシリンジ(不図示)や接続ラインL3(先端が血液回路の所定部位に接続された補液ライン)等の接続手段が接続されるもので、外周面に雄ネジ部9caが形成されている。かかる雄ネジ部9caは、接続ラインL3の基端に形成されたロックリング等と噛み合うよう形成されており、当該ロックリングを螺合させて固定可能とされている。
【0029】
なお、本実施形態に係る接続ラインL3は、例えば動脈側血液回路2に接続されたエアトラップチャンバ5又は静脈側血液回路3に接続されたエアトラップチャンバ6に接続され、透析液導入ラインL1中の透析液を動脈側血液回路2又は静脈側血液回路3に供給し得るものとされている。これにより、透析液を使用してプライミング、補液又は返血等を行わせることができ、或いは当該透析液をオンラインHDFやオンラインHFの治療のための置換液として利用することができる。
【0030】
開閉手段としてのキャップ10は、透析液取出手段9の採取口9cに対して脱着可能とされ、当該採取口9cを開閉し得るもので、シール手段11と、加熱手段12とを有して成る。このうちシール手段11は、キャップ10に取り付けられ、当該キャップ10が透析液取出手段9の採取口9cに取り付けられた状態で採取口9cをシールするためのものであり、採取口9cの先端開口から挿入されてシール可能とされている。
【0031】
加熱手段12は、キャップ10のシール手段11を加熱し得るもので、本実施形態においては発熱部がシール手段11に密着して配設された半導体ヒータから成る。この半導体ヒータは、通電により加熱可能とされるとともに設定温度に保持可能な自己制御が可能とされた半導体にて構成されたもので、折り曲げが可能で耐衝撃に優れるとともに消費電力が小さいという特性を有している。なお、加熱手段12は、図示しない配線に接続されており、任意タイミングにて通電可能とされている。
【0032】
しかして、加熱手段12に通電させて発熱させると、シール手段11を加熱することができるとともに、その熱が当該シール手段11を介して透析液取出手段9の採取口9cに伝わって、当該採取口9cの被シール部9cb(採取口9cの先端側内周面)を加熱可能とされている。すなわち、加熱手段12により、シール手段11と採取口9cの被シール部9cbとの両方を加熱してそれぞれを消毒することができるのである。
【0033】
なお、十分な消毒効果を得るため、加熱手段12の設定温度は、例えば65℃以上が好ましく、80℃以上であれば更に好ましい。また、加熱手段12に対する通電は、キャップ10が採取口9cに取り付けられた状態(例えば、治療が行われていない時間であって、次回の治療が行われるまでの間等)において行うもの、或いは採取口9cから取り外された状態において行うものの何れであってもよく、一定時間でオン・オフを繰り返し行わせるもの、或いはプログラムによりオン・オフさせるものの何れであってもよい。
【0034】
しかるに、本実施形態においては、キャップ10を保持するとともに、透析液取出手段9の採取口9cにキャップ10を取り付けた状態(図2参照)と当該採取口9cからキャップ10を取り外した状態(図4参照)とで切替可能な保持手段13を具備している。この保持手段13は、図2に示すように、シャフト部材14と、スプリング15と、シャフト部材16とを有して構成されており、当該シャフト部材14を中心に回動自在とされている。また、シャフト部材14の基端には、バネ受け14aが形成されており、当該バネ受け14aと透析液取出手段9との間には、スプリング15が介装されている。これにより、保持手段13は、スプリング15の付勢力により常時、同図中左方向に付勢されている。
【0035】
しかして、キャップ10が採取口9cを覆った状態(図2参照)においては、スプリング15の付勢力によってキャップ10が採取口9cに押圧され、閉状態が保持されるようになっている。また、スプリング15の付勢力に抗して保持手段13をキャップ10と共に移動(同図中右方向への移動)させ、キャップ10を採取口9cから離間した状態としつつシャフト部材14を中心として回動させれば、図4に示すように、採取口9cを開放させた状態とすることができる。これにより、採取口9cにシリンジや接続ラインL3等の接続手段を接続することができる。
【0036】
本実施形態によれば、キャップ10のシール手段11を加熱し得る加熱手段12を備えたので、採取口9cやキャップ10のシール手段11の消毒作業を自動化させることができ、当該採取口9cやキャップ10のシール手段11を確実かつ容易に清浄化させることができる。また、本実施形態によれば、加熱手段12は、キャップ10に固定されたので、当該キャップ10が採取口9cに取り付けられた状態及び当該採取口9cから取り外された状態の何れにおいてもシール手段11を加熱して消毒させることができる。
【0037】
さらに、本実施形態によれば、加熱手段12は、キャップ10が透析液取出手段9の採取口9cに取り付けられた状態で、シール手段11を介して当該採取口9cを加熱して消毒可能とされたので、閉状態の採取口9cを確実に消毒することができる。またさらに、本実施形態に係る加熱手段12は、通電により加熱可能とされるとともに設定温度に保持可能な半導体ヒータから成るので、温度を一定に保つためのサーミスタ等の別個の手段を不要とすることができ、装置構成を簡素化させることができる。
【0038】
また、キャップ10が保持手段13にて保持されているので、キャップ10による採取口9cに対するシールを強固かつ確実に行わせることができるとともに、採取口9cを開状態としたとき、キャップ10の紛失等を回避することができる。また、保持手段13の向き(シャフト部材14を中心とした回動位置)を検知する検知手段を設けるようにすれば、採取口9cが開状態であるのか閉状態であるのかを検出させることができる。
【0039】
次に、本発明の第2の実施形態に係る透析液取出装置について説明する。
本実施形態に係る透析液取出装置は、第1の実施形態と同様、図1で示す如き血液浄化装置の透析液導入ラインL1に接続されたもので、図5〜7に示すように、透析液導入ラインL1(液体の流路)に接続されて当該液体(透析液)を流通させ得る導入口9a及び導出口9bが形成されるとともに、その流通させた液体を採取可能な採取口9cが形成された透析液取出手段9と、該透析液取出手段9の採取口9cに対して脱着可能とされ、当該採取口9cを開閉し得る開閉手段としてのキャップ17と、シール手段18と、加熱手段12とを具備したものである。
【0040】
本実施形態に係るキャップ17は、介在部材17aの一方の面にシール手段18が形成されるとともに、他方の面に加熱手段12が形成されて構成されている。シール手段18は、キャップ17に取り付けられ、当該キャップ17が透析液取出手段9の採取口9cに取り付けられた状態で採取口9cをシールするためのもので、本実施形態においてはゴム製部材から成るものとされている。このシール手段18は、板状のシール部材から成り、採取口9cの先端開口の周縁に密着してシール可能とされている。なお、介在部材17aは、伝熱性の良好な金属材料から成るものが好ましく、キャップ17におけるシール手段18及び介在部材17a以外の部材は、断熱のため樹脂製部材が好ましい。
【0041】
しかして、加熱手段12に通電させて発熱させると、介在部材17aを介してシール手段18を加熱することができるとともに、その熱が当該シール手段18を介して透析液取出手段9の採取口9cに伝わって、当該採取口9cの被シール部(本実施形態においては、採取口9cの開口縁部)を加熱可能とされている。すなわち、加熱手段12により、シール手段18と採取口9cの被シール部との両方を加熱してそれぞれを消毒することができるのである。
【0042】
なお、本実施形態においては、第1の実施形態と同様、キャップ17を保持するとともに、透析液取出手段9の採取口9cにキャップ17を取り付けた状態(図5参照)と当該採取口9cからキャップ17を取り外した状態(図7参照)とで切替可能な保持手段13を具備している。かかる保持手段13の構成については、第1の実施形態と同様である。しかして、キャップ17が採取口9cを覆った状態(図5参照)においては、スプリング15の付勢力によってキャップ17が採取口9cに押圧され、閉状態が保持されるようになっている。
【0043】
また、スプリング15の付勢力に抗して保持手段13をキャップ17と共に移動(同図中右方向への移動)させ、キャップ17を採取口9cから離間した状態としつつシャフト部材14を中心として回動させれば、図7に示すように、採取口9cを開放させた状態とすることができる。これにより、採取口9cにシリンジや接続ラインL3等の接続手段を接続することができる。
【0044】
本実施形態によれば、キャップ17のシール手段18を加熱し得る加熱手段12を備えたので、採取口9cやキャップ17のシール手段18の消毒作業を自動化させることができ、当該採取口9cやキャップ17のシール手段18を確実かつ容易に清浄化させることができる。また、本実施形態によれば、加熱手段12は、キャップ17に固定されたので、当該キャップ17が採取口9cに取り付けられた状態及び当該採取口9cから取り外された状態の何れにおいてもシール手段18を加熱して消毒させることができる。
【0045】
さらに、本実施形態によれば、加熱手段12は、キャップ17が透析液取出手段9の採取口9cに取り付けられた状態で、シール手段18を介して当該採取口9cを加熱して消毒可能とされたので、閉状態の採取口9cを確実に消毒することができる。またさらに、本実施形態に係る加熱手段12は、通電により加熱可能とされるとともに設定温度に保持可能な半導体ヒータから成るので、温度を一定に保つためのサーミスタ等の別個の手段を不要とすることができ、装置構成を簡素化させることができる。
【0046】
また、キャップ17が保持手段13にて保持されているので、キャップ17による採取口9cに対するシールを強固かつ確実に行わせることができるとともに、採取口9cを開状態としたとき、キャップ17の紛失等を回避することができる。また、保持手段13の向き(シャフト部材14を中心とした回動位置)を検知する検知手段を設けるようにすれば、採取口9cが開状態であるのか閉状態であるのかを検出させることができる。
【0047】
次に、本発明の第3の実施形態に係る透析液取出装置について説明する。
本実施形態に係る透析液取出装置は、第1、2の実施形態と同様、図1で示す如き血液浄化装置の透析液導入ラインL1に接続されたもので、図8、9に示すように、透析液導入ラインL1(液体の流路)に接続されて当該液体(透析液)を流通させ得る導入口9a及び導出口9bが形成されるとともに、その流通させた液体を採取可能な採取口19が形成された透析液取出手段9と、キャップ23と、シール手段24と、加熱手段12とを具備したものである。
【0048】
本実施形態に係る透析液取出手段9は、採取口19の外周を覆う円筒状の外周壁部20を有している。かかる外周壁部20は、その外周面に、キャップ23(開閉手段)のシール手段24(具体的にはシール手段24の凸部24a)と当接してシール可能な被シール部20bが形成されているとともに、内周面に、接続ラインL3の基端に形成された接続手段29のネジ部29ba(図10参照)と螺合し得るネジ部20aがそれぞれ形成されている。すなわち、外周壁部20に接続手段29を係止して固定させることにより、採取口19が接続手段29を介して接続ラインL3と接続可能とされているのである。
【0049】
本実施形態に係る外周壁部20は、採取口19の一部を構成するもので、採取口19の突端を覆って突出して成るものとされている。すなわち、外周壁部20の突出寸法は、採取口19の突出寸法より大きく設定されていることから、外周壁部20にて採取口19の突端を覆った状態とされているのである。これにより、キャップ23が採取口19から外された状態においても当該採取口19に人の指が触れてしまうのを回避させることができ、衛生管理をより確実に図ることができる。
【0050】
一方、接続手段29は、図10に示すように、採取口19から採取した液体を流通させるための接続ラインL3の先端部に取り付けられ、内周面29a及び外周面29bを有した円略筒状部材から成るものである。この外周面29bの先端側(採取口19との接続部位側)には、外周壁部20のネジ部20aと螺合し得るネジ部29baが一体形成されている。しかして、接続手段29の内周面29aが採取口19の外周面に嵌合しつつ当該接続手段29の外周面29bのネジ部29baが外周壁部20の内周面に形成されたネジ部20aと螺合することにより係止されて当該採取口19に接続ラインL3が接続可能とされている。
【0051】
このように、接続手段29の内周面29aが採取口19の外周面に嵌合しつつ当該接続手段29の外周面29bが外周壁部20の内周面に係止されて当該採取口19に接続ラインL3が接続可能とされたので、接続手段29の採取口19に対する接続面がその内周面(接続手段29の内部)となることから、その接続面に人の指が触れてしまうのを回避させることができ、衛生管理をより確実に図ることができる。
【0052】
ここで、本実施形態に係る透析液取出手段9の採取口19は、キャップ23が取り付けられた状態で、導入口9aから導入された液体を採取口19内に案内する案内路αと、該案内路αで案内された液体を導出口9b側へ排出させる排出路βとを画成するよう構成されている。すなわち、キャップ23が外周壁部20に取り付けられると、シール手段24にて当該外周壁部20の突端面側がシールされて密閉空間が形成されるとともに、その密閉空間が採取口19にて案内路αと排出路βとに画成されるのである。しかして、採取口19の内部が案内路αとされるとともに、当該採取口19の外周面と外周壁部20の内周面との間が排出路βとされることとなる。
【0053】
このように、本実施形態に係る採取口19は、接続手段29等が接続されて液体を採取させる機能を有するとともに、キャップ23が取り付けられた状態においては、案内路αと排出路βとを画成する機能を兼ね備えているのである。なお、本実施形態においては、採取口19が円筒状部材で構成されているが、案内路αと排出路βとを画成し得る筒状の部材であれば他の形状(例えば断面が矩形形状のもの等)のものであってもよい。
【0054】
一方、透析液取出手段9には、排出路βと導出口9b側の流路とを連結させるための連結路γが形成されている。これにより、導入口9aから案内路αを介して採取口19先端に向かって流れた液体は、排出路β及び連結路γを通って導出口9bから排出され、導入口9aから導出口9bに向かって流れる液体と合流して当該導出口9bから流出し得るようになっている。
【0055】
さらに、本実施形態に係る透析液取出手段9は、導入口9aから導入された液体のうち、案内路αに向かって流れる液体の圧力を導出口9bに向かって流れる液体の圧力より大きくする圧力差形成手段21を具備している。かかる圧力差形成手段21は、導入口9aから採取口19に向かって流れる液体の流通路から成るとともに、当該流通路は、流路の径が採取口19側(図8中右側)に向かって次第に小さくなるテーパ面とされている。これにより、導入口9aから採取口19に向かって流れる液体の圧力を導入口9aから排出口9bに向かって流れる液体の圧力に対して相対的に大きくすることができる。
【0056】
また、本実施形態に係る圧力差形成手段21と採取口19とは、一体部品K(例えば、一体成形部品)から成るものとされている。このように、圧力差形成手段21と採取口19とが一体部品Kから成るものとすれば、透析液取出手段9における部品点数を削減することができ、製造コストやメンテナンスコストを低減させることができる。なお、圧力差形成手段21と採取口19とを別個形成し、それらを連結させて一体部品Kとしてもよい。
【0057】
さらに、一体部品Kにおける基端側(図中左端側)の周縁には、凸状のシール部Kaが形成されているとともに、当該シール部Kaと対向する部位には、被シール部材9dが配設されている。また、一体部品Kは、スプリング22により、被シール部材9dに対してシール部Kaが離間する方向に常時付勢されている。そして、接続手段29が採取口19に接続される際(すなわち、接続手段29のネジ部29baが外周壁部20の内周面に形成されたネジ部20aと螺合する過程で)、一体部品Kがスプリング22の付勢力に抗して移動し、被シール部材9dに対してシール部Kaが当接してシールすることにより、連結路γを遮蔽し得るようになっている。
【0058】
しかして、接続手段29が採取口19に接続された状態において、排出路βを介して液体が外部に流れるのを遮断することとなる。このように、接続手段29が採取口19に接続された状態において、排出路βを介して液体が外部に流れるのを遮断するので、採取口19から接続手段29を介して液体を採取する際、排出路βから液体が外部に漏れてしまうのを確実に回避させることができ、採取した液体を接続ラインL3に対してより良好に流通させることができる。
【0059】
ところで、本実施形態に係るキャップ23は、介在部材25の断面がコ字状に形成され、その内周面に沿ってコ字状のシール手段24が形成されるとともに、当該介在部材25の背面側には加熱手段12が固定されている。シール手段24は、キャップ23に取り付けられ、当該キャップ23が透析液取出手段9の採取口19に取り付けられた状態(本実施形態においては、外周壁部20に取り付けられた状態)で採取口9cをシール(本実施形態においては、採取口9cを含む空間をシール)するためのものであり、本実施形態においてはゴム製部材から成るものとされている。
【0060】
このシール手段24は、断面がコ字状のシール部材から成り、内側に向かって凸状に形成された凸部24aが形成されているとともに、キャップ23が採取口19(外周壁部20)に取り付けられると、当該凸部24aが外周壁部20の被シール部20bに当接してシール可能とされている。なお、介在部材25は、伝熱性の良好な金属材料から成るものが好ましい。
【0061】
しかして、加熱手段12に通電させて発熱させると、介在部材25を介してシール手段24を加熱することができるとともに、その熱が当該シール手段24を介して外周壁部20の外周面に伝わって、当該外周壁部20の被シール部20b(本実施形態においては、外周壁部20の外周面)を加熱可能とされている。すなわち、加熱手段12により、シール手段24と外周壁部20の被シール部20bとの両方を加熱してそれぞれを消毒することができるのである。
【0062】
なお、本実施形態においては、第1、2の実施形態と同様、キャップ23を保持するとともに、透析液取出手段9の外周壁部20にキャップ23を取り付けて採取口19を閉とした状態(図8参照)と当該外周壁部20からキャップ23を取り外して採取口19を開とした状態(図9参照)とで切替可能な保持手段13を具備している。かかる保持手段13の構成については、第1、2の実施形態と同様である。しかして、キャップ23が採取口19を覆った状態(図8参照)においては、スプリング15の付勢力によってキャップ23が採取口9cに押圧され、閉状態が保持されるようになっている。
【0063】
また、スプリング15の付勢力に抗して保持手段13をキャップ23と共に移動(同図中右方向への移動)させ、キャップ23を採取口19から離間した状態としつつシャフト部材14を中心として回動させれば、図9に示すように、採取口19を開放させた状態とすることができる。これにより、採取口19(厳密には外周壁部20)にシリンジや接続ラインL3等の接続手段29を接続することができる。
【0064】
さらに、本実施形態においては、キャップ23の閉状態を保持し得る係止手段27を具備している。かかる係止手段27は、先端に係止爪27aが形成されるとともに、揺動軸Laを中心に揺動自在とされており、当該係止爪27aを固定側に形成された棒状の被係止部26に係止させることにより、キャップ23の閉状態を保持させ得るよう構成されている。なお、係止手段27は、スプリング28により、係止爪27aが被係止部26に係止する方向に常時付勢されている。
【0065】
しかして、キャップ23が採取口19を覆った状態(図8参照)においては、係止爪27aが被係止部26に係止するとともに、スプリング15の付勢力によってキャップ23が外周壁部20(採取口19側)に押圧され、閉状態が保持されるようになっている。また、スプリング28の付勢力に抗して係止手段27を揺動させることにより、係止爪27aの被係止部26に対する係止を解除することができるので、シャフト部材14を中心として保持手段13を回動させれば、図9に示すように、採取口19を開放させた状態とすることができる。
【0066】
本実施形態によれば、キャップ23のシール手段24を加熱し得る加熱手段12を備えたので、採取口19を構成する外周壁部20やキャップ23のシール手段24の消毒作業を自動化させることができ、当該外周壁部20やキャップ23のシール手段24を確実かつ容易に清浄化させることができる。また、本実施形態によれば、加熱手段12は、キャップ23に固定されたので、当該キャップ23が採取口19(外周壁部20)に取り付けられた状態及び当該採取口19(外周壁部20)から取り外された状態の何れにおいてもシール手段24を加熱して消毒させることができる。なお、本実施形態に係る加熱手段12は、第1、2の実施形態と同様、通電により加熱可能とされるとともに設定温度に保持可能な半導体ヒータから成るので、温度を一定に保つためのサーミスタ等の別個の手段を不要とすることができ、装置構成を簡素化させることができる。
【0067】
また、キャップ23が保持手段13にて保持されているので、キャップ23による採取口19に対するシールを強固かつ確実に行わせることができるとともに、採取口19を開状態としたとき、キャップ23の紛失等を回避することができる。また、保持手段13の向き(シャフト部材14を中心とした回動位置)を検知する検知手段を設けるようにすれば、採取口19が開状態であるのか閉状態であるのかを検出させることができる。
【0068】
次に、本発明の第4の実施形態に係る透析液取出装置について説明する。
本実施形態に係る透析液取出装置は、第1〜3の実施形態と同様、図1で示す如き血液浄化装置の透析液導入ラインL1に接続されたもので、図11、12に示すように、透析液導入ラインL1(液体の流路)に接続されて当該液体(透析液)を流通させ得る導入口9a及び導出口9bが形成されるとともに、その流通させた液体を採取可能な採取口9cが形成された透析液取出手段9と、該透析液取出手段9の採取口9cに対して脱着可能とされ、当該採取口9cを開閉し得る開閉手段としてのキャップ30と、シール手段31と、加熱手段35と、載置手段34とを具備したものである。
【0069】
本実施形態に係るキャップ30は、一方の面にシール手段31が形成されるとともに、他方の面がスプリング32にて図中左方向に常時付勢されるよう構成されている。シール手段31は、キャップ30に取り付けられ、当該キャップ30が透析液取出手段9の採取口9cに取り付けられた状態で採取口9cをシールするためのものである。このシール手段31は、板状のシール部材から成り、スプリング32により付勢されて採取口9cの先端開口の周縁に密着してシール可能とされている。
【0070】
ここで、本実施形態においては、図12に示すように、透析液取出手段9の採取口9cから取り外されたキャップ30を載置する載置手段34を具備するとともに、当該載置手段34には加熱手段35が取り付けられている。かかる載置手段34は、伝熱性の良好な金属材料から成るものとされているとともに、内部に加熱手段35を固定させるための空間が形成されている。
【0071】
加熱手段35は、採取口9cから取り外された状態のキャップ30のシール手段31を加熱し得るもので、第1〜3の実施形態と同様、通電により加熱可能とされるとともに設定温度に保持可能な半導体ヒータから成る。かかる加熱手段35は、載置手段34の内部空間における内周面に密着して配設されており、当該載置手段34を内部から加熱可能とされている。
【0072】
しかして、加熱手段35に通電させて発熱させると、載置手段34を加熱することができ、その熱が透析液取出手段9の採取口9cから取り外されたキャップ30のシール手段31に伝わって、当該シール手段31を加熱可能とされている。すなわち、透析液取出手段9の採取口9cから取り外されたキャップ30を載置手段34に載置させた状態で加熱手段35に通電させることにより、載置手段34を介してキャップ30のシール手段31を加熱して消毒することができるのである。
【0073】
なお、本実施形態においては、第1〜3の実施形態と同様、キャップ30を保持するとともに、透析液取出手段9の採取口9cにキャップ30を取り付けて採取口9cを閉とした状態(図11参照)と当該採取口9cからキャップ30を取り外して採取口9cを開とした状態(図12参照)とで切替可能な保持手段13を具備している。かかる保持手段13の構成については、第1〜3の実施形態と同様である。しかして、キャップ30が採取口9cを覆った状態(図11参照)においては、スプリング15及びスプリング32の付勢力によってキャップ30が採取口9cに押圧され、閉状態が保持されるようになっている。
【0074】
また、スプリング15の付勢力に抗して保持手段13をキャップ30と共に移動(同図中右方向への移動)させ、キャップ30を採取口9cから離間した状態としつつシャフト部材14を中心として回動させれば、図12に示すように、採取口9cを開放させた状態とすることができる。これにより、採取口9cにシリンジや接続ラインL3等の接続手段を接続することができる。
【0075】
さらに、本実施形態においては、キャップ30の閉状態及び開状態を保持し得る係止手段27を具備している。かかる係止手段27は、先端に係止爪27aが形成されるとともに、揺動軸Laを中心に揺動自在とされており、当該係止爪27aを固定側に形成された棒状の被係止部26、33の何れかに係止させることにより、キャップ30の閉状態又は開状態を保持させ得るよう構成されている。なお、係止手段27は、スプリング28により、係止爪27aが被係止部26、33に係止する方向に常時付勢されている。
【0076】
しかして、キャップ30が採取口9cを覆った状態(図11参照)においては、係止爪27aが被係止部26に係止するとともに、スプリング15及びスプリング32の付勢力によってキャップ30が採取口9c側に押圧され、閉状態が保持されるようになっている。また、スプリング28の付勢力に抗して係止手段27を揺動させることにより、係止爪27aの被係止部26に対する係止を解除することができるので、シャフト部材14を中心として保持手段13を回動させれば、図12に示すように、採取口9cを開放させた状態としてキャップ30を載置手段34に載置させることができる。
【0077】
しかるに、本実施形態においては、採取口9cを開放させた状態においても、係止爪27aが被係止部33に係止するとともに、スプリング15及びスプリング32の付勢力によってキャップ30が載置手段34側に押圧され、当該キャップ30の載置状態が保持されるようになっている。ここで、本実施形態においては、スプリング15に加え、スプリング32によってもキャップ30が載置手段34側に付勢されるので、当該キャップ30を載置手段34に対してより良好に密着させることができ、加熱手段35によるシール手段31の加熱消毒をより確実に行わせることができる。
【0078】
本実施形態によれば、載置手段34に載置されたキャップ30のシール手段31を加熱し得る加熱手段35を備えたので、キャップ30のシール手段31の消毒作業を自動化させることができ、当該キャップ30のシール手段31を確実かつ容易に清浄化させることができる。また、本実施形態によれば、透析液取出手段9の採取口9cから取り外されたキャップ30を載置する載置手段34を具備するとともに、加熱手段35は当該載置手段34に取り付けられたので、載置手段34により採取口9aから取り外されたキャップ30の紛失を回避することができ、かつ、載置されたキャップ30に対して加熱消毒を図ることができる。
【0079】
特に、本実施形態においては、保持手段13にて採取口9cから取り外された状態に切り替えられたキャップ30が載置手段34にて載置されるよう構成されているので、保持手段13による切替作業と、載置手段34に対する載置作業とを同時に行わせることができ、作業性を向上させることができるとともに、その後のキャップ30の加熱消毒を良好に行わせることができる。なお、本実施形態に係る加熱手段35は、第1〜3の実施形態と同様、通電により加熱可能とされるとともに設定温度に保持可能な半導体ヒータから成るので、温度を一定に保つためのサーミスタ等の別個の手段を不要とすることができ、装置構成を簡素化させることができる。
【0080】
上記第1〜4の実施形態によれば、採取口又はキャップ(開閉手段)のシール手段の消毒作業を自動化させることができ、当該採取口又はキャップ(開閉手段)のシール手段を確実かつ容易に清浄化させることができる透析液取出装置を具備した血液浄化装置(血液透析装置)を提供することができる。
【0081】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されず、例えば加熱手段を半導体ヒータに代えて他の汎用的なヒータとするようにしてもよく、この場合、ヒータによる加熱温度を一定に保持させるべくサーミスタ等を別個配設するのが好ましい。また、本実施形態においては、何れも保持手段13にてキャップを保持しているが、当該保持手段13による保持がなされないキャップとしてもよい。
【0082】
さらに、本実施形態が適用される血液浄化装置は、何れの形態のものであってもよく、例えば、複式ポンプ7に代えてチャンバにて透析液を導入又は排出させるもの、ダイアライザ1に代えて他の形態の血液浄化器を具備したもの等としてもよい。またさらに、本実施形態においては、何れも透析装置本体の透析液導入ラインL1に配設されているが、当該透析装置本体内の他の流路に配設したものとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0083】
開閉手段のシール手段を加熱し得る加熱手段を備えた透析液取出装置であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0084】
1…ダイアライザ(血液浄化器)
2…動脈側血液回路
3…静脈側血液回路
4…血液ポンプ
5…動脈側エアトラップチャンバ
6…静脈側エアトラップチャンバ
7…複式ポンプ
8…除水ポンプ
9…透析液取出手段
10…キャップ(開閉手段)
11…シール手段
12…加熱手段
13…保持手段
14…シャフト部材
15…スプリング
16…シャフト部材
17…キャップ(開閉手段)
18…シール手段
19…採取口
20…外周壁部
21…圧力差形成手段
22…スプリング
23…キャップ(開閉手段)
24…シール手段
25…介在部材
26…被係止部
27…係止手段
28…スプリング
29…接続手段
30…キャップ(開閉手段)
31…シール手段
32…スプリング
33…被係止部
34…載置手段
35…加熱手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体の流路に接続されて当該液体を流通させ得る導入口及び導出口が形成されるとともに、その流通させた液体を採取可能な採取口が形成された透析液取出手段と、
該透析液取出手段の採取口に対して脱着可能とされ、当該採取口を開閉し得る開閉手段と、
該開閉手段に取り付けられ、当該開閉手段が前記透析液取出手段の採取口に取り付けられた状態で当該採取口をシールするシール手段と、
を具備した透析液取出装置において、
前記開閉手段のシール手段を加熱し得る加熱手段を備えたことを特徴とする透析液取出装置。
【請求項2】
前記加熱手段は、前記開閉手段に固定されたことを特徴とする請求項1記載の透析液取出装置。
【請求項3】
前記加熱手段は、前記開閉手段が前記透析液取出手段の採取口に取り付けられた状態で、前記シール手段を介して当該採取口を加熱して消毒可能とされたことを特徴とする請求項2記載の透析液取出装置。
【請求項4】
前記透析液取出手段の採取口から取り外された前記開閉手段を載置する載置手段を具備するとともに、前記加熱手段は当該載置手段に取り付けられたことを特徴とする請求項1記載の透析液取出装置。
【請求項5】
前記開閉手段を保持するとともに、前記透析液取出手段の採取口に当該開閉手段を取り付けた状態と当該採取口から当該開閉手段を取り外した状態とで切替可能な保持手段を具備したことを特徴とする請求項4記載の透析液取出装置。
【請求項6】
前記加熱手段は、通電により加熱可能とされるとともに設定温度に保持可能な半導体ヒータから成ることを特徴とする請求項1〜5の何れか1つに記載の透析液取出装置。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか1つに記載の透析液取出装置を具備したことを特徴とする血液浄化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−56079(P2013−56079A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196869(P2011−196869)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(000226242)日機装株式会社 (383)
【Fターム(参考)】