透過潜像模様形成体
【課題】 反射光下においては、光反射層の光沢を視認することができ、特に光反射層がOVDの場合には、OVD画像を視認することができ、透過光下においては、別の潜像模様を視認することができる形成体を提案することを目的とする。
【解決手段】 基材上の少なくとも一部に潜像模様領域を有し、潜像模様領域には、少なくとも一部に光反射性が存在しない微細な要素が万線状に形成された光反射層が形成され、微細な要素は、少なくとも一方の端が途切れた複数の潜像模様要素を有し、複数の潜像模様要素には、一方の端が途切れた第1の端部と、他方の端が途切れた第2の端部の少なくとも一つを有して成り、複数の潜像模様要素において、異なる潜像模様要素における第1の端部と第2の端部の重複領域により透過潜像模様が形成されたことを特徴とする透過潜像模様形成体である。
【解決手段】 基材上の少なくとも一部に潜像模様領域を有し、潜像模様領域には、少なくとも一部に光反射性が存在しない微細な要素が万線状に形成された光反射層が形成され、微細な要素は、少なくとも一方の端が途切れた複数の潜像模様要素を有し、複数の潜像模様要素には、一方の端が途切れた第1の端部と、他方の端が途切れた第2の端部の少なくとも一つを有して成り、複数の潜像模様要素において、異なる潜像模様要素における第1の端部と第2の端部の重複領域により透過潜像模様が形成されたことを特徴とする透過潜像模様形成体である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銀行券、旅券、有価証券、商品券、各種証明書等及びカード類に偽造及び複製の防止用として潜像画像を施した透過潜像模様形成体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
磁気カード、特にキャッシュカード等のカード媒体や、銀行券、諸証券等の紙媒体には、偽造及び変造防止のために、各媒体の表面にホログラムを貼付してセキュリティ機能を強化する等の対策がなされている。しかし、単純なホログラムでは、近年のパーソナルコンピュータの急速な発展に伴ない、真正物との見分けが困難なほどの精巧な偽造品も市場に流出されてきている。
【0003】
そこで、従来のホログラム機能に対して新たな偽造防止効果を付加したホログラムが発明されている。例えば、光を透過することにより所定のパターンを形成する光透過部及び光を反射可能な光反射部を有する光透過反射層と、その光反射部で反射した光によって画像を再現可能な光回折層とを備えたパターン出現体である(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この特許文献1におけるパターン出現体は、反射光下では、光回折層により形成された画像を視認することができ、透過光下では、光透過部により形成されたパターンが視認可能となる。この光透過部によるパターンの形成方法としては、光透過反射層の光反射部を形成する際に、マスク等のパターン状の遮へい物を設けてパターンを形成する方法や、一様に反射層を形成した後に、フォトリングラフ工程又はレーザーマーキング装置を用いて反射層の一部をパターン状に除去する方法を用いる。
【0005】
また、本出願人は、ホログラム形成層に対して、光反射性部材を万線状に除去して光透過性部材を形成し、その一部の線幅を異ならせることにより潜像画像領域と背景画像領域に区分けして潜像画像を形成したホログラムシートを開示している(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
この特許文献2に記載のホログラムシートは、反射光下では、ホログラム形成層を構成している回折格子により形成されたホログラム画像を視認することができ、透過光下では、光反射性部材及び光透過性部材により形成された万線の中に、線幅を異ならせて形成された潜像画像を視認することができる。
【0007】
なお、特許文献2に記載のホログラムシートにおいては、前述した線幅を異ならせて潜像画像を形成する他、潜像画像領域と背景画像領域との区分けとして、線の方向を異ならせるか、線の位相を異ならせるか、又は線の数を異ならせても形成可能である。
【0008】
特許文献2のホログラムシートにおける光透過性部材の形成方法は、光反射性部材を真空蒸着又はスパッタリングした後、グラビア印刷機等でマスク層を形成し、アルカリ溶液に浸水することにより、マスク層で保護されていない箇所が溶解及び除去され、光透過性部材となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第4060080号公報
【特許文献2】特開2007−240785号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1により開示されているパターン出現体は、従来のホログラム画像の視認効果に加えて、透過光下で別のパターンを出現させることが可能とはなったが、そのパターンの構成は、パターンの輪郭内に光反射部を万線状に除去して光透過部を形成するもので、実際のパターンの形状は、光反射部に対して光透過部を形成する処理を施していないパターンの輪郭外と、光透過部が万線状に交互に配置されている輪郭内との境界、所謂、光反射部の有無による形成となっている。
【0011】
したがって、真正物に対しては、光反射部と光透過部による細かな線が剥離防止効果を奏することとなるが、パターン内に光反射部を有さない、所謂、光反射部と光透過部の有無によるパターンが形成されたホログラムであっても、肉眼では、その差異を明確にすることが困難であり、偽造される可能性があるという問題があった。
【0012】
また、特許文献2に記載のホログラムシートは、特許文献1と比較して、ホログラム形成層全体に亘って万線状に光反射性部材と光透過性部材が配置されているため、単純な光反射性部材の有無による画像の形成とは、肉眼でも区別が可能となっており、偽造防止効果が向上しているが、潜像画像領域と背景画像領域を区分けするための画線構成が緻密なため、マスク画像の設計段階において手間を要するとともに、グラビア印刷機等によりマスクを形成する際に、品質のアバレ等により所望の画線太さとならず、鮮明な潜像画像を形成することが困難となるという、製造上での課題が残されていた。
【0013】
本発明は、このような従来の問題を解決することを目的としたもので、従来のホログラム画像の視認効果に加え、透過光下において別の潜像模様を視認することができ、特に、その潜像模様の構成が反射部材の有無による模様の輪郭形成ではなく、同一の線幅を有する万線による潜像画像の形成であるため、更なる偽造防止効果を奏するとともに、潜像模様を形成するために用いるマスク生成段階においても、設計の簡素化及び品質の安定化が図れる透過潜像模様形成体を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、基材上の少なくとも一部に潜像模様領域を有し、潜像模様領域には、光反射性の光反射層が形成され、光反射層の少なくとも一部には、光反射層が一部存在しないことにより形成された微細な要素が万線状に配置され、万線状に配置された複数の微細な要素は、少なくとも一方の端が途切れた複数の潜像模様要素を有し、複数の潜像模様要素は、一方の端が途切れた第1の端部及び一方の端と異なる他方の端が途切れた第2の端部の少なくとも一つを有して成り、複数の潜像模様要素において、異なる潜像模様要素における第1の端部と第2の端部の重複領域により透過潜像模様が形成され、潜像模様領域を透過光下で視認すると、万線状に形成されている微細な要素内において、重複領域とその他の領域との光の透過量の差異により、透過潜像模様が形成されていることを特徴とする透過潜像模様形成体である。
【0015】
本発明の透過潜像模様形成体は、複数の潜像模様要素において、第1の端部のみを有する潜像模様要素と、第2の端部のみを有する潜像模様要素により重複領域が形成されていることを特徴とする。
【0016】
本発明の透過潜像模様形成体は、第1の端部を有する潜像模様要素と、第2の端部を有する潜像模様要素が隣り合って交互に配置されていることを特徴とする。
【0017】
本発明の透過潜像模様形成体は、複数の潜像模様要素において、同一線上に配置された第1の端部のみを有する潜像模様要素及び第2の端部のみを有する潜像模様要素と、第1の端部及び第2の端部の両方を有する潜像模様要素により重複領域が形成されていることを特徴とする。
【0018】
本発明の透過潜像模様形成体は、同一線上に配置された第1の端部のみを有する潜像模様要素及び第2の端部のみを有する潜像模様要素と、第1の端部及び第2の端部の両方を有する潜像模様要素が隣り合って交互に配置されていることを特徴とする。
【0019】
本発明の透過潜像模様形成体は、重複領域を形成する第1の端部を有する潜像模様要素と、第2の端部を有する潜像模様要素との間に、端部を有さない微細な要素が配置されていることを特徴とする。
【0020】
本発明の透過潜像模様形成体は、複数の微細な要素の要素幅が、すべて同一又は少なくとも一つが異なることを特徴とする。
【0021】
本発明の透過潜像模様形成体は、微細な要素の要素幅が50〜500μmから成り、ピッチが100〜1000μmから成ることを特徴とする。
【0022】
本発明の透過潜像模様形成体は、重複領域における微細な要素のピッチが、重複領域以外における微細な要素のピッチの1/2であることを特徴とする。
【0023】
本発明の透過潜像模様形成体は、光反射層が光反射性の金属材料から成り、微細な要素は、金属材料が除去されて成ることを特徴とする。
【0024】
本発明の透過潜像模様形成体は、光反射層がOVDであることを特徴とする。
【0025】
本発明の透過潜像模様形成体は、微細な要素が、画線又は微小要素群の少なくとも一つ、又はそれぞれの組合せから成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明の透過潜像模様形成体は、反射光下で観察すると、光反射層による金属光沢を視認することができ、特に光反射層が金属材料を有するOVDの場合には、回折格子により形成された画像を視認することができ、また、透過光下で観察すると、光反射層により形成された透過潜像模様を視認することができる。
【0027】
また、本発明の透過潜像模様形成体は、光反射層により万線状に形成した複数の要素が、光反射層のほぼ全域に亘って施されている中に透過潜像模様が形成されているため、光反射部材の有無により輪郭を表現した模様とは異なり、単純な偽造との見分けが容易となることから、偽造防止効果が高い。
【0028】
また、本発明の透過潜像模様形成体は、透過潜像模様を形成するために、光反射層の一部をレーザ加工又はマスク処理により除去する工程において、同一の線幅を用いていることから、設計、加工又は印刷等の製造過程において、簡素化及び品質の安定化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の透過潜像模様形成体の一例を示す図である。
【図2】光反射層の態様を説明するための図である。
【図3】光反射層に形成された透過潜像模様を示す図である。
【図4】要素(潜像模様要素含む)の形状を説明するための図である。
【図5】微小要素群の構成を説明するための図である。
【図6】要素の構成例を示す図である。
【図7】透過潜像模様の構成の一例を説明するための図である。
【図8】透過潜像模様の構成の別の例を説明するための図である。
【図9】要素(潜像模様要素含む)の配置の一例を説明するための図である。
【図10】透過潜像模様の視認状態を説明するための図である。
【図11】実施例3における透過潜像模様の構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明を実施するための形態について、図面を用いて説明する。しかしながら、本発明は、以下に述べる実施するための形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲記載における技術的思想の範囲内であれば、その他いろいろな実施の形態が含まれる。
【0031】
図1は、本発明における透過潜像模様形成体(1)の一例を示す図である。この透過潜像模様形成体(1)は、図1に示すように、基材(2)上の少なくとも一部に本発明における透過潜像模様が形成されている潜像模様領域(3)を有している。なお、図1に示すように、潜像模様領域(3)以外の領域には、料額、文字又は他の模様等の必要な情報が公知の印刷方式(例えば、オフセット印刷、凹版印刷等)により施されていても良い。
【0032】
本発明における基材(2)は、上質紙、コート紙又はアート紙等の紙葉類並びにフィルム又はプラスチック等を用いることができ、後述する潜像模様領域(3)に形成する光反射層(4)を貼付又は印刷可能であれば、特に限定されるものではない。
【0033】
図2は、潜像模様領域(3)を示しており、この潜像模様領域(3)には、光を反射可能な光反射層(4)が貼付又は印刷されている。この光反射層(4)は、金、銀、銅、アルミニウム又はチタン等の金属材料から成る金属箔が貼付されているか、又はアルミニウム等の金属材料を含む金属インキが印刷されて形成される。本実施の形態では、潜像模様領域(3)を楕円形で形成しているが、これに限定されるものではなく、三角形、真円又は多角形等、どのような形状でも良い。
【0034】
光反射層(4)を金属箔により形成する場合に、図2(a)のような無地の金属箔を基材(2)上に貼付しても良いが、図2(b)に示すように、光の干渉を用いて立体画像や特殊な装飾画像を表現することができるホログラムなどの回折格子や光学特性が異なる複数の薄膜を重ねた多層薄膜等のOVD(optical variable device)としても良い。なお、図2(b)に示したOVDを光反射層(4)に用いた場合に、一定の角度において確認することができる画像を、以下、OVD画像(5)という。光反射層(4)にOVDを用いることにより、反射光下では、OVD画像(5)を確認することができ、透過光下では、後述する本発明の透過潜像模様を確認することができるため、より一層の効果を奏することが可能となる。
【0035】
潜像模様領域(3)に貼付された光反射層(4)は、図3に示したように、光反射層(4)が一部存在していないことにより形成された微細な要素(6)が万線状に配置されている。なお、本発明において、「万線状」とは、複数の要素が規則的に所定のピッチで配列されている状態をいう。図3では、説明上、万線状に形成されている複数の要素(6)を確認することができるが、実際は、要素(6)以外の領域が光反射層(4)であることから、反射光下では、確認することができない。さらに、図3では、横方向に要素(6)が形成されているが、これに限定されず、縦方向でも、斜め方向でも良く、一定の方向に万線状に配置されていれば良い。
【0036】
また、本発明における要素(6)は、万線状に配置可能であれば特に限定されず、図4に示すような種々の形状によって形成することが可能である。例えば、図4(a)〜(c)は画線であり、特に、図4(a)は直線、図4(b)は破線、図4(c)は波線となっている。また、図4(d)は、複数の点の集合体である点群、図4(e)は、複数の画素の集合体である画素群、さらに、図4(f)は、複数の微小な文字の集合体である文字群である。
【0037】
なお、本発明は、透過潜像模様を形成するために、要素(6)同士の一部を重複させる(この要素同士の重複については後述する)ことが必要となるため、要素は画線により形成されることが好ましい。そこで、図4(d)の点線又は点、図4(e)の画素及び図4(f)の文字については、同一線上に複数配置することにより、一つの画線を構成するように形成することが必要となる。例えば、図5においては、要素(6)を複数の点の集合体である点群により形成した例を示している。この点は、高さ又は直径となるh1が、後述する要素幅(W1)と同じとなる。また、各点同士のピッチ(p1)については、肉眼において一つの画線として視認可能な程度の間隔となるよう50〜1000μmの範囲とする。
【0038】
図4(f)で示した微小な文字については、文字に限定されるものではなく、記号、数字、その他、図形又はマーク等でも良い。さらに、点、画素、文字等の群により画線状の要素を形成する場合には、図4(g)に示すように、一つの要素内において色々な形状を配置しても良い。いずれにおいても、前述した高さ又は直径(h1)及びピッチ(p1)の条件を満たしていれば、その形状は限定されない。本発明において、複数の点の集合体である点群、複数の画素の集合体である画素群、複数の微小な文字、記号、数字、図形又はマーク等の集合体について、総称して「微小要素群」という。したがって、図4(d)〜図4(g)まではすべて微小要素群により要素(6)が形成されているとなる。
【0039】
一つの要素内おいて、複数の「微小要素群」で形成しても良いことを説明したが、図6(a)から(c)に示すように、一つの要素内において複数の形状を成した画線により形成しても良い。当然、一つの要素内で画線と「微小要素群」により形成しても良い。
【0040】
さらには、図6(d)及び(e)に示すように、複数の要素(6)間において異なる形状の要素(6)で形成しても良い。いずれにしても、要素(6)については、一つの要素内及び複数の要素における各々の要素において、図4で示したどの形状で形成しても良い。
【0041】
図4に示した種々の要素(6)の形態において、前述のとおり、どの形態であっても、視認されるときには、画線として視認されることと、その画線に対して、少なくとも一方の端が途切れる形態となっていることが必要となる。この画線の少なくとも一方の端が途切れる意味については、後述する。なお、以降では、要素(6)を直線により形成したこととして説明する。
【0042】
この光反射層(4)には、前述の要素(6)により透過潜像模様(7)が形成されている。図3では透過潜像模様(7)を三日月の模様として説明する。この三日月の形状をした透過潜像模様(7)についても、前述した微細な要素(6)と同様、万線状に配置された複数の要素(6)より、光反射層(4)を構成している金属材料の方が光を反射する力が強いため、反射光下では確認することができない。
【0043】
次に、図3の点線により囲んだ箇所の拡大図を図7(a)に示す。光反射層(4)に形成された万線状の要素(6)は、図7(a)に示すように、複数配置されている要素(6)のうち、少なくとも一方の端が途切れた潜像模様要素(6a)を有している。なお、光反射層(4)に形成したい透過潜像模様(7)の大きさにより、潜像模様要素(6a)の配置は適宜設定されることとなり、光反射層(4)に形成されたすべての要素(6)が潜像模様要素(6a)であっても良い。
【0044】
この潜像模様要素(6a)について、さらに詳細に説明する。図7(b)は、図7(a)における潜像模様要素(6a)のうち、隣り合う2本の潜像模様要素(6a)を拡大した図である。この2本の潜像模様要素(6a)は、1本が図面上の右側に端部を有し、もう1本が図面上の左側に端部を有している。この右側にある端部を第1の端部(9)とし、左側にある端部を第2の端部(10)とする。
【0045】
したがって、第1の端部(9)と第2の端部(10)は、互いに逆方向に画線を途切らせていることとなる。この第1の端部(9)を有する潜像模様要素(6a)と、第2の端部(10)を有する潜像模様要素(6a)は、図7(b)に示すように、各潜像模様要素(6a)の端部側において重複領域(8)を有するように形成されている。この重複領域(8)により、図7(a)、更には図3に示した三日月の透過潜像模様(7)が形成されていることとなる。
【0046】
本発明における重複とは、図7(c)に示すように、潜像模様要素(6a)の第1の端部(9)と、その第1の端部(9)を有する潜像模様要素(6a)とは異なる潜像模様要素(6a)の第2の端部(10)において、第1の端部(9)と第2の端部(10)が同じ位置に並列して配置されていることをいい、重なって配置されていることではない。したがって、図7(d)に示すように、潜像模様要素(6a)の第1の端部(9)と、その第1の端部(9)を有する潜像模様要素(6a)とは異なる潜像模様要素(6a)の第2の端部(10)において、第1の端部(9)と第2の端部(10)が、同じ位置に並列して配置されていないような場合には、本発明における重複をしていない、所謂、重複領域(8)を形成していないとなる。
【0047】
また、図7(d)に示すように、例えば、第2の端部(10)を有する潜像模様要素(6a)と、端部を有さない要素(6)が並列して配置されていても、透過潜像模様(7)を形成するものではないため、重複はしていないこととなる。ただし、後述する透過潜像模様(7)を形成している第1の端部(9)を有する潜像模様要素(6a)と、第2の端部(10)を有する潜像模様要素(6a)の間に端部を有さない要素(6)が配置されている場合、それは、重複していることとする。
【0048】
潜像模様要素(6a)を含む万線状の要素(6)は、前述のとおり、反射光下では、確認することができないことが必要であるため、要素幅(W1)は、50〜500μm、ピッチ(P1)は、100〜1000μmで形成する。要素幅(W1)については、50〜500μmの範囲内であれば、必ずしも複数配置されている各要素(6)に対してすべてを同じ幅とする必要はなく、異なっていても良いが、あまり要素幅(W1)の差を持たせてしまうと、重複領域(8)以外の要素同士においても透過光量に差が生じてしまうため、透過潜像模様(7)を鮮明に視認することができなくなってしまう恐れがあることから、同じ要素幅(W1)とすることが好ましい。
【0049】
なお、本発明において形成する万線状の要素(6)は、透過光下において違和感の無い規則的な万線として視認される中に、透過潜像模様(7)を確認させるため、透過潜像模様(7)が形成されていない領域においては、規則的に配置された要素とする必要がある。したがって、本発明におけるピッチ(P1)は、重複領域(8)以外の要素同士の間隔のことをいい、図7(a)及び(b)におけるP1のこととする。なお、重複領域(8)以外の要素(6)同士の間隔をピッチ(P1)とすることから、重複領域(8)におけるピッチは、図7(b)に示すようにP1/2となる。
【0050】
図7(a)のような重複領域(8)により透過潜像模様(7)を形成する場合、どの程度潜像模様要素(6a)を重複させるかは、形成する透過潜像模様(7)の形状に合わせて適宜設定することができる。
【0051】
また、潜像模様要素(6a)の配置により、図8(a)に示すような透過潜像模様(7)を形成することも可能である。図8(a)は、重複領域(8)により輪郭を形成して透過潜像模様(7)を形成するものである。この透過潜像模様(7)を形成するための潜像模様要素(6a)、第1の端部(9)及び第2の端部(10)について説明する。
【0052】
図7(a)及び(b)に示した潜像模様要素(6a)は、1本の画線の一方の端が途切れるため、必ず1本の要素において一つの端部が存在しており、その一つの端部(例えば、第1の端部(9))とは、逆向きに要素を途切らせる他の要素の端部(例えば、第2の端部(10))を有する要素も、1本の要素において一つの端部が存在している。さらに、潜像模様要素(6a)の端部側において、潜像模様要素(6a)に対する延長線上には、他の要素が存在していない。
【0053】
しかし、図8(a)に示す潜像模様要素(6a)については、潜像模様要素(6a-1)の端部側において、潜像模様要素(6a-1)に対する延長線上にも他の端部を有する潜像模様要素(6a-2)が存在している。したがって、同一線上に二つの潜像模様要素(6a-1及び6a-2)が形成されていることとなる。また、一つの潜像模様要素(6a-3)には、第1の端部(9)と第2の端部(10)を有している。
【0054】
これを詳細に説明したのが図8(b)である。図8(b)は、潜像模様要素(6a)、第1の端部(9)及び第2の端部(10)を詳細に説明するため、隣接する2本の潜像模様要素(6a)を拡大した図である。
【0055】
図8(b)に示すように、潜像模様要素(6a-1)は第1の端部(9)を有しており、この潜像模様要素(6a-1)と同一線(x)上に、第2の端部(10)を有する潜像模様要素(6a-2)が形成されている。また、潜像模様要素(6a-3)は、一つの要素において、両側が途切れており、第1の端部(9)及び第2の端部(10)を有している。
【0056】
この潜像模様要素(6a-3)の第2の端部(10)に対して、潜像模様要素(6a-1)の第1の端部(9)によって重複領域(8-1)を形成し、潜像模様要素(6a-3)の第1の端部(9)に対して、潜像模様要素(6a-2)の第2の端部(10)によって重複領域(8-2)を形成することにより、透過潜像模様(7)の輪郭を形成する。
【0057】
このように輪郭を形成することにより透過潜像模様(7)を形成する場合のピッチについては、図8(a)に示すように、第1の端部(9)のみを有する潜像模様要素(6a-1)同士の要素の間隔、第2の端部(10)のみを有する潜像模様要素(6a-2)同士の要素の間隔、さらに、一つの要素において第1の端部(9)及び第2の端部(10)を有する潜像模様要素(6a-3)同士の要素の間隔のことであり、いずれも同じピッチ(P1)となっている。したがって、重複領域(8-1)及び(8-2)におけるピッチは、図8(b)に示すようにP1/2となる。
【0058】
以上のように、重複領域(8)により輪郭を形成して透過潜像模様(7)を形成する場合、どの程度重複させるかは、輪郭をどの程度の範囲としたいかによって適宜設定すれば良いが、あまり重複する範囲が狭いと、輪郭として確認することができなくなってしまい、また、重複する範囲が広過ぎると、違和感のある輪郭又は輪郭ではなくなってしまうため、500〜5000μmとすることが好ましい。
【0059】
また、図7及び図8で示した各要素(6)の配置については、潜像模様要素(6a、6a-1、6a-2)が隣り合って配置されているが、図9に示すように、第1の端部(9)及び第2の端部(10)を有する潜像模様要素(6a)の間に端部を有さない要素(6)を配置しても良い。このような配置としても、潜像模様要素(6a)同士を隣り合うように配置した形態ほどの鮮明な透過潜像模様(7)を形成することはできないが、端部を有さない要素(6)を間に挟みながらも重複領域(8)を形成していることから、透過潜像模様(7)を形成することができる。
【0060】
このような潜像模様要素(6a)同士の間に端部を有さない要素(6)を配置する場合において、間に配置する要素(6)の本数については、あまり多すぎると、重複領域(8)を形成するための潜像模様要素(6a)同士に間隔が開き過ぎてしまい、透過潜像模様(7)を形成することが困難となってしまうため、1〜5本が好ましいが、形成する透過潜像模様(7)の形状、要素幅(W1)及びピッチ(P1)により適宜設定すれば良い。
【0061】
以上のとおり、複数配置された万線状の要素(6)の第1の端部(9)と第2の端部(10)による重複領域(8)により透過潜像模様(7)を形成することで、形成された重複領域(8)は、他の万線状の要素(6)が配列されている領域よりも要素(6)同士の密度が多くなり、光反射層(4)が削除されて形成されている要素(6)であることから、透過光下での観察時に透過光量が多くなるため、透過潜像模様(7)として確認することができることとなる。
【0062】
次に、要素(6)の作製方法について説明する。要素(6)は、前述のとおり、光反射層(4)の一部が万線状に光を透過するように形成する。したがって、光反射層(4)が図2(a)に示した無地の金、銀、銅、アルミニウム、チタン等の金属材料の1層から成る場合、レーザ加工又はスパッタリング法のような公知の真空蒸着法により形成することができる。また、図2(b)に示した光反射層(4)を有するOVDに対して要素(6)を形成する方法については、公知のレーザ加工又はディメタライズ加工により形成することが可能である。例えば、本出願人が既に開示している特開2007−240785号公報に記載されている加工方法を用いることでも良い。さらに、光反射層(4)を金属インキにより形成する方法については、金属インキを用いて、オフセット印刷方式、インクジェット印刷方式等の公知の印刷方式により、要素(6)部分を非画線部となるように印刷すれば良い。なお、使用可能な金属インキは、例えば、銀インキであるオフセットインキ(T&K TOKA製 UV No.3シルバー)を用いることができる。以上のように、光反射層(4)の少なくとも一部に、光反射層が一部存在しないことにより形成された微細な要素(6)として、具体的には金属材料が除去されて成るか、又は金属材料を含む印刷インキを印刷(付与)する領域としない領域とにより形成することが可能である。
【0063】
光反射層(4)については、図2を用いて説明したように、光反射層(4)を有するOVDを用いた方が、反射光下におけるOVD画像(5)と、透過光下における透過潜像模様(7)の二つの画像を確認することができるとともに、反射光下において、OVD画像(5)が潜像模様要素(6a)を含む万線状の要素(6)をカモフラージュする効果が高くなるため、本発明の効果をより奏することとなる。したがって、OVDを用いて透過潜像模様(7)を形成することが好ましい。
【0064】
以上のように、光反射層(4)を有するOVDを用いて潜像模様領域(3)を形成した本発明における透過潜像模様形成体(1)は、図10(a)に示すように、反射光下における一定の角度において、OVDに形成されているOVD画像(5)「複数の星」を視認することができ、図10(b)に示すように、OVDが貼付されている基材の面の逆側から任意の光源により照射し、OVDが貼付されている基材の面側から見ると、透過潜像模様(7)「月」を視認することができる。なお、図10(b)では、任意の光源を照射した例で示したが、基材を太陽光に透かしても、同様に透過潜像模様(7)を視認することができる。
【0065】
以下、本発明における透過潜像模様形成体について、実施例を用いて詳細に説明するが、以下の実施例に限定されることはなく、特許請求の範囲に記載された技術的な範疇であれば、適宜、変更が可能である。
【実施例1】
【0066】
実施例1では、光反射層(4)を図2(a)で示した無地の金属箔を用いて作製された透過潜像模様形成体(1)である。実施例1の透過潜像模様形成体(1)について、実施の形態で説明した図面を用いて説明する。
【0067】
実施例1の透過潜像模様形成体(1)(具体的には、商品券)は、図1に示すように、基材(2)上の一部の潜像模様領域(3)に、図2(a)に示した無地の光反射層(4)が貼付されており、その他の領域には、商品名、1000円の料額文字及び彩紋模様がオフセット印刷により形成されている。
【0068】
図1に示す基材(2)は、坪量が85g/m2、紙厚が87μm、不透明度が75%(JIS−P8149)の褐色の紙材を用いた。また、光反射層(4)には、アルミ箔を用いた。
【0069】
光反射層(4)には、図3で示す微細な要素(6)(潜像模様要素(6a)を含む)が万線状に配列されて、一部に透過潜像模様(7)が形成されている。透過潜像模様(7)の具体的な構成として、図7(a)に示すような、第1の端部(9)を有する潜像模様要素(6a)と、第2の端部(10)を有する潜像模様要素(6a)を交互に配列することにより、第1の端部(9)側の潜像模様要素(6a)と、第2の端部(10)側の潜像模様要素(6a)による重複領域(8)を形成している。
【0070】
微細な要素(6)及び潜像模様要素(6a)は、画線幅(W1)がすべて等しい200μmの直線とし、ピッチ(P1)を500μmとして形成した。なお、ピッチ(P1)がすべて等しいため、重複領域(8)における潜像模様要素(6a)同士は、P1/2ピッチとなっている。
【0071】
重複領域(8)により形成されている透過潜像模様(7)は、図7に示すような、三日月の形状をしているため、重複領域(8)の範囲は、最短のところが1mm、最長のところが5mmとなっている。
【0072】
潜像模様要素(6a)を含む微細な要素(6)の形成方法は、基材(2)にアクリル系の接着剤(スプレーのり 55 スリーエム製)を塗布して貼り付けたアルミ箔に対して、レーザ加工器(レーザマーカ MD−V キーエンス製)を用い、潜像模様要素(6a)を含む微細な要素(6)を直線状に除去することで形成した。
【0073】
このようにして作製した実施例1の透過潜像模様形成体(1)である商品券を、光反射層(4)が貼付されている側から反射光下において観察すると、図2(a)に示す無地のアルミ光沢が確認された。そして、実施例1の透過潜像模様形成体(1)を、光反射層(4)が貼付されている側から透過光下において観察すると、図3に示す三日月の模様をした透過潜像模様(7)が確認された。
【実施例2】
【0074】
実施例2は、実施例1に対して異なる点のみを説明する。実施例2は、光反射層(4)に、図2(b)で示すOVD画像(6)を有するOVD箔を用い、潜像模様要素(6a)を含む微細な要素(6)が微小要素群により構成されている透過潜像模様形成体(1)である。
【0075】
光反射層(4)に用いたOVD箔は、アルミ層を基材としており、その上にOVD画像(6)を形成するための回折格子が構成されている。このアルミ層に対して、レーザ加工器(レーザマーカ MD−V キーエンス製)を用い、潜像模様要素(6a)を含む微細な要素(6)を直線状に除去することで形成した。
【0076】
潜像模様要素(6a)を含む微細な要素(6)を構成している微小要素群は、図4(d)に示す複数の点を直線状に配置して構成した。なお、微小要素群は、一つの点の直径(h1)、所謂、要素幅(W1)を250μm、点同士のピッチ(p1)を300μmで一定のピッチとして形成した。そして、潜像模様要素(6a)を含む微細な要素(6)のピッチ(P1)を500μmとして、万線状に配列して透過潜像模様(8)を形成した。なお、OVD箔の裏面には、ホットメルト剤を付与し、基材(2)に熱圧着して貼り付けた。
【0077】
このようにして作製した実施例2の透過潜像模様形成体(1)である商品券を、OVD箔(4)が貼付されている側から反射光下において観察すると、OVDが有する光学的変化の中に、図2(b)に示す複数の星から成るOVD画像(6)が確認された。そして、OVD箔(4)が貼付されている側から透過光下において観察すると、図3に示す三日月の模様をした透過潜像模様(7)が確認された。
【0078】
このように、実施例2の構成とすることによって、透過潜像模様形成体(1)の構成が複雑になり、さらに、光反射層(4)にOVD箔を用いていることから、意匠性を向上させることができるとともに、微細な要素(6)を隠ぺいする効果も奏する透過潜像模様形成隊(1)を得ることができた。
【実施例3】
【0079】
実施例3は、実施例1に対して異なる点のみを説明する。実施例3は、潜像模様要素(6a)を含む微細な要素(6)の構成が、図8に示すような模様の輪郭を形成する構成であり、光反射層(4)は、実施例2と同様のOVD箔とした透過潜像模様形成体(1)である。なお、実施例3における透過潜像模様(7)は、図11(a)に示す輪郭により形成した星の模様である。
【0080】
図11(a)で示した透過潜像模様(7)に対して、点線により囲んだ領域の拡大図が図11(b)である。OVD箔を構成しているアルミ層に形成した潜像模様要素(6a)を含む微細な要素(6)は、図11(a)では、直線として捉えられるが、図11(b)に示すように、重複領域(8)となるところは、直線で形成し、その他は、画素による微小要素群で形成している。このような要素の構成とすることで、重複領域(8)における光量が他の領域よりも高くなる効果を奏するからである。
【0081】
微小要素群を構成する各画素は、正方形で高さ(h1)が200μmとなっており、所謂、直線の幅(W1)も200μmとし、各画素同士のピッチ(p1)を250μmで一定のピッチとした。そして、潜像模様要素(6a)を含む微細な要素(6)のピッチ(P1)を500μmとし、第1の端部(9)のみを有する潜像模様要素(6a-1)と、第2の端部(10)のみを有する潜像模様要素(6a-2)を同一線上に形成し、その隣に、第1の端部(9)及び第2の端部(10)の両方を有する潜像模様要素(6a-3)を形成し、その並びを交互に万線状に配列して、星型の輪郭部分に重複領域(8)が来るように配置することで透過潜像模様(7)を形成した。
【0082】
なお、重複領域(8)における各潜像模様要素(6a)同士の重複している範囲は、400μmとなっている。この重複している範囲が、所謂、透過潜像模様(7)の輪郭となるところである。また、各潜像模様要素(6a)同士のピッチ(P1)は、等しく形成してあるため、重複領域(8)における隣り合う潜像模様要素(6a)同士は、P1/2の250μmとなっている。
【0083】
このようにして作製した実施例3の透過潜像模様形成体(1)である商品券を、OVD箔(4)が貼付されている側から反射光下において観察すると、OVDが有する光学的変化の中に、図2(b)に示す複数の星から成るOVD画像(6)が確認された。そして、OVD箔(4)が貼付されている側から透過光下において観察すると、図11(a)に示す星型の輪郭をした透過潜像模様(7)が確認された。
【0084】
このように、実施例3の構成とすることによって、潜像模様要素(6a)の構成がより複雑になり、偽造防止効果を一層向上することができる。
【符号の説明】
【0085】
1 透過潜像模様形成体
2 基材
3 潜像模様領域
4 光反射層
5 OVD画像
6 要素
6a、6a-1、6a-2、6a-3 潜像模様要素
7 透過潜像模様
8、8-1、8-2 重複領域
9 第1の端部
10 第2の端部
W1、h1 要素幅
P1 要素のピッチ
p1 微小要素のピッチ
X 同一線
【技術分野】
【0001】
本発明は、銀行券、旅券、有価証券、商品券、各種証明書等及びカード類に偽造及び複製の防止用として潜像画像を施した透過潜像模様形成体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
磁気カード、特にキャッシュカード等のカード媒体や、銀行券、諸証券等の紙媒体には、偽造及び変造防止のために、各媒体の表面にホログラムを貼付してセキュリティ機能を強化する等の対策がなされている。しかし、単純なホログラムでは、近年のパーソナルコンピュータの急速な発展に伴ない、真正物との見分けが困難なほどの精巧な偽造品も市場に流出されてきている。
【0003】
そこで、従来のホログラム機能に対して新たな偽造防止効果を付加したホログラムが発明されている。例えば、光を透過することにより所定のパターンを形成する光透過部及び光を反射可能な光反射部を有する光透過反射層と、その光反射部で反射した光によって画像を再現可能な光回折層とを備えたパターン出現体である(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この特許文献1におけるパターン出現体は、反射光下では、光回折層により形成された画像を視認することができ、透過光下では、光透過部により形成されたパターンが視認可能となる。この光透過部によるパターンの形成方法としては、光透過反射層の光反射部を形成する際に、マスク等のパターン状の遮へい物を設けてパターンを形成する方法や、一様に反射層を形成した後に、フォトリングラフ工程又はレーザーマーキング装置を用いて反射層の一部をパターン状に除去する方法を用いる。
【0005】
また、本出願人は、ホログラム形成層に対して、光反射性部材を万線状に除去して光透過性部材を形成し、その一部の線幅を異ならせることにより潜像画像領域と背景画像領域に区分けして潜像画像を形成したホログラムシートを開示している(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
この特許文献2に記載のホログラムシートは、反射光下では、ホログラム形成層を構成している回折格子により形成されたホログラム画像を視認することができ、透過光下では、光反射性部材及び光透過性部材により形成された万線の中に、線幅を異ならせて形成された潜像画像を視認することができる。
【0007】
なお、特許文献2に記載のホログラムシートにおいては、前述した線幅を異ならせて潜像画像を形成する他、潜像画像領域と背景画像領域との区分けとして、線の方向を異ならせるか、線の位相を異ならせるか、又は線の数を異ならせても形成可能である。
【0008】
特許文献2のホログラムシートにおける光透過性部材の形成方法は、光反射性部材を真空蒸着又はスパッタリングした後、グラビア印刷機等でマスク層を形成し、アルカリ溶液に浸水することにより、マスク層で保護されていない箇所が溶解及び除去され、光透過性部材となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第4060080号公報
【特許文献2】特開2007−240785号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1により開示されているパターン出現体は、従来のホログラム画像の視認効果に加えて、透過光下で別のパターンを出現させることが可能とはなったが、そのパターンの構成は、パターンの輪郭内に光反射部を万線状に除去して光透過部を形成するもので、実際のパターンの形状は、光反射部に対して光透過部を形成する処理を施していないパターンの輪郭外と、光透過部が万線状に交互に配置されている輪郭内との境界、所謂、光反射部の有無による形成となっている。
【0011】
したがって、真正物に対しては、光反射部と光透過部による細かな線が剥離防止効果を奏することとなるが、パターン内に光反射部を有さない、所謂、光反射部と光透過部の有無によるパターンが形成されたホログラムであっても、肉眼では、その差異を明確にすることが困難であり、偽造される可能性があるという問題があった。
【0012】
また、特許文献2に記載のホログラムシートは、特許文献1と比較して、ホログラム形成層全体に亘って万線状に光反射性部材と光透過性部材が配置されているため、単純な光反射性部材の有無による画像の形成とは、肉眼でも区別が可能となっており、偽造防止効果が向上しているが、潜像画像領域と背景画像領域を区分けするための画線構成が緻密なため、マスク画像の設計段階において手間を要するとともに、グラビア印刷機等によりマスクを形成する際に、品質のアバレ等により所望の画線太さとならず、鮮明な潜像画像を形成することが困難となるという、製造上での課題が残されていた。
【0013】
本発明は、このような従来の問題を解決することを目的としたもので、従来のホログラム画像の視認効果に加え、透過光下において別の潜像模様を視認することができ、特に、その潜像模様の構成が反射部材の有無による模様の輪郭形成ではなく、同一の線幅を有する万線による潜像画像の形成であるため、更なる偽造防止効果を奏するとともに、潜像模様を形成するために用いるマスク生成段階においても、設計の簡素化及び品質の安定化が図れる透過潜像模様形成体を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、基材上の少なくとも一部に潜像模様領域を有し、潜像模様領域には、光反射性の光反射層が形成され、光反射層の少なくとも一部には、光反射層が一部存在しないことにより形成された微細な要素が万線状に配置され、万線状に配置された複数の微細な要素は、少なくとも一方の端が途切れた複数の潜像模様要素を有し、複数の潜像模様要素は、一方の端が途切れた第1の端部及び一方の端と異なる他方の端が途切れた第2の端部の少なくとも一つを有して成り、複数の潜像模様要素において、異なる潜像模様要素における第1の端部と第2の端部の重複領域により透過潜像模様が形成され、潜像模様領域を透過光下で視認すると、万線状に形成されている微細な要素内において、重複領域とその他の領域との光の透過量の差異により、透過潜像模様が形成されていることを特徴とする透過潜像模様形成体である。
【0015】
本発明の透過潜像模様形成体は、複数の潜像模様要素において、第1の端部のみを有する潜像模様要素と、第2の端部のみを有する潜像模様要素により重複領域が形成されていることを特徴とする。
【0016】
本発明の透過潜像模様形成体は、第1の端部を有する潜像模様要素と、第2の端部を有する潜像模様要素が隣り合って交互に配置されていることを特徴とする。
【0017】
本発明の透過潜像模様形成体は、複数の潜像模様要素において、同一線上に配置された第1の端部のみを有する潜像模様要素及び第2の端部のみを有する潜像模様要素と、第1の端部及び第2の端部の両方を有する潜像模様要素により重複領域が形成されていることを特徴とする。
【0018】
本発明の透過潜像模様形成体は、同一線上に配置された第1の端部のみを有する潜像模様要素及び第2の端部のみを有する潜像模様要素と、第1の端部及び第2の端部の両方を有する潜像模様要素が隣り合って交互に配置されていることを特徴とする。
【0019】
本発明の透過潜像模様形成体は、重複領域を形成する第1の端部を有する潜像模様要素と、第2の端部を有する潜像模様要素との間に、端部を有さない微細な要素が配置されていることを特徴とする。
【0020】
本発明の透過潜像模様形成体は、複数の微細な要素の要素幅が、すべて同一又は少なくとも一つが異なることを特徴とする。
【0021】
本発明の透過潜像模様形成体は、微細な要素の要素幅が50〜500μmから成り、ピッチが100〜1000μmから成ることを特徴とする。
【0022】
本発明の透過潜像模様形成体は、重複領域における微細な要素のピッチが、重複領域以外における微細な要素のピッチの1/2であることを特徴とする。
【0023】
本発明の透過潜像模様形成体は、光反射層が光反射性の金属材料から成り、微細な要素は、金属材料が除去されて成ることを特徴とする。
【0024】
本発明の透過潜像模様形成体は、光反射層がOVDであることを特徴とする。
【0025】
本発明の透過潜像模様形成体は、微細な要素が、画線又は微小要素群の少なくとも一つ、又はそれぞれの組合せから成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明の透過潜像模様形成体は、反射光下で観察すると、光反射層による金属光沢を視認することができ、特に光反射層が金属材料を有するOVDの場合には、回折格子により形成された画像を視認することができ、また、透過光下で観察すると、光反射層により形成された透過潜像模様を視認することができる。
【0027】
また、本発明の透過潜像模様形成体は、光反射層により万線状に形成した複数の要素が、光反射層のほぼ全域に亘って施されている中に透過潜像模様が形成されているため、光反射部材の有無により輪郭を表現した模様とは異なり、単純な偽造との見分けが容易となることから、偽造防止効果が高い。
【0028】
また、本発明の透過潜像模様形成体は、透過潜像模様を形成するために、光反射層の一部をレーザ加工又はマスク処理により除去する工程において、同一の線幅を用いていることから、設計、加工又は印刷等の製造過程において、簡素化及び品質の安定化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の透過潜像模様形成体の一例を示す図である。
【図2】光反射層の態様を説明するための図である。
【図3】光反射層に形成された透過潜像模様を示す図である。
【図4】要素(潜像模様要素含む)の形状を説明するための図である。
【図5】微小要素群の構成を説明するための図である。
【図6】要素の構成例を示す図である。
【図7】透過潜像模様の構成の一例を説明するための図である。
【図8】透過潜像模様の構成の別の例を説明するための図である。
【図9】要素(潜像模様要素含む)の配置の一例を説明するための図である。
【図10】透過潜像模様の視認状態を説明するための図である。
【図11】実施例3における透過潜像模様の構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明を実施するための形態について、図面を用いて説明する。しかしながら、本発明は、以下に述べる実施するための形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲記載における技術的思想の範囲内であれば、その他いろいろな実施の形態が含まれる。
【0031】
図1は、本発明における透過潜像模様形成体(1)の一例を示す図である。この透過潜像模様形成体(1)は、図1に示すように、基材(2)上の少なくとも一部に本発明における透過潜像模様が形成されている潜像模様領域(3)を有している。なお、図1に示すように、潜像模様領域(3)以外の領域には、料額、文字又は他の模様等の必要な情報が公知の印刷方式(例えば、オフセット印刷、凹版印刷等)により施されていても良い。
【0032】
本発明における基材(2)は、上質紙、コート紙又はアート紙等の紙葉類並びにフィルム又はプラスチック等を用いることができ、後述する潜像模様領域(3)に形成する光反射層(4)を貼付又は印刷可能であれば、特に限定されるものではない。
【0033】
図2は、潜像模様領域(3)を示しており、この潜像模様領域(3)には、光を反射可能な光反射層(4)が貼付又は印刷されている。この光反射層(4)は、金、銀、銅、アルミニウム又はチタン等の金属材料から成る金属箔が貼付されているか、又はアルミニウム等の金属材料を含む金属インキが印刷されて形成される。本実施の形態では、潜像模様領域(3)を楕円形で形成しているが、これに限定されるものではなく、三角形、真円又は多角形等、どのような形状でも良い。
【0034】
光反射層(4)を金属箔により形成する場合に、図2(a)のような無地の金属箔を基材(2)上に貼付しても良いが、図2(b)に示すように、光の干渉を用いて立体画像や特殊な装飾画像を表現することができるホログラムなどの回折格子や光学特性が異なる複数の薄膜を重ねた多層薄膜等のOVD(optical variable device)としても良い。なお、図2(b)に示したOVDを光反射層(4)に用いた場合に、一定の角度において確認することができる画像を、以下、OVD画像(5)という。光反射層(4)にOVDを用いることにより、反射光下では、OVD画像(5)を確認することができ、透過光下では、後述する本発明の透過潜像模様を確認することができるため、より一層の効果を奏することが可能となる。
【0035】
潜像模様領域(3)に貼付された光反射層(4)は、図3に示したように、光反射層(4)が一部存在していないことにより形成された微細な要素(6)が万線状に配置されている。なお、本発明において、「万線状」とは、複数の要素が規則的に所定のピッチで配列されている状態をいう。図3では、説明上、万線状に形成されている複数の要素(6)を確認することができるが、実際は、要素(6)以外の領域が光反射層(4)であることから、反射光下では、確認することができない。さらに、図3では、横方向に要素(6)が形成されているが、これに限定されず、縦方向でも、斜め方向でも良く、一定の方向に万線状に配置されていれば良い。
【0036】
また、本発明における要素(6)は、万線状に配置可能であれば特に限定されず、図4に示すような種々の形状によって形成することが可能である。例えば、図4(a)〜(c)は画線であり、特に、図4(a)は直線、図4(b)は破線、図4(c)は波線となっている。また、図4(d)は、複数の点の集合体である点群、図4(e)は、複数の画素の集合体である画素群、さらに、図4(f)は、複数の微小な文字の集合体である文字群である。
【0037】
なお、本発明は、透過潜像模様を形成するために、要素(6)同士の一部を重複させる(この要素同士の重複については後述する)ことが必要となるため、要素は画線により形成されることが好ましい。そこで、図4(d)の点線又は点、図4(e)の画素及び図4(f)の文字については、同一線上に複数配置することにより、一つの画線を構成するように形成することが必要となる。例えば、図5においては、要素(6)を複数の点の集合体である点群により形成した例を示している。この点は、高さ又は直径となるh1が、後述する要素幅(W1)と同じとなる。また、各点同士のピッチ(p1)については、肉眼において一つの画線として視認可能な程度の間隔となるよう50〜1000μmの範囲とする。
【0038】
図4(f)で示した微小な文字については、文字に限定されるものではなく、記号、数字、その他、図形又はマーク等でも良い。さらに、点、画素、文字等の群により画線状の要素を形成する場合には、図4(g)に示すように、一つの要素内において色々な形状を配置しても良い。いずれにおいても、前述した高さ又は直径(h1)及びピッチ(p1)の条件を満たしていれば、その形状は限定されない。本発明において、複数の点の集合体である点群、複数の画素の集合体である画素群、複数の微小な文字、記号、数字、図形又はマーク等の集合体について、総称して「微小要素群」という。したがって、図4(d)〜図4(g)まではすべて微小要素群により要素(6)が形成されているとなる。
【0039】
一つの要素内おいて、複数の「微小要素群」で形成しても良いことを説明したが、図6(a)から(c)に示すように、一つの要素内において複数の形状を成した画線により形成しても良い。当然、一つの要素内で画線と「微小要素群」により形成しても良い。
【0040】
さらには、図6(d)及び(e)に示すように、複数の要素(6)間において異なる形状の要素(6)で形成しても良い。いずれにしても、要素(6)については、一つの要素内及び複数の要素における各々の要素において、図4で示したどの形状で形成しても良い。
【0041】
図4に示した種々の要素(6)の形態において、前述のとおり、どの形態であっても、視認されるときには、画線として視認されることと、その画線に対して、少なくとも一方の端が途切れる形態となっていることが必要となる。この画線の少なくとも一方の端が途切れる意味については、後述する。なお、以降では、要素(6)を直線により形成したこととして説明する。
【0042】
この光反射層(4)には、前述の要素(6)により透過潜像模様(7)が形成されている。図3では透過潜像模様(7)を三日月の模様として説明する。この三日月の形状をした透過潜像模様(7)についても、前述した微細な要素(6)と同様、万線状に配置された複数の要素(6)より、光反射層(4)を構成している金属材料の方が光を反射する力が強いため、反射光下では確認することができない。
【0043】
次に、図3の点線により囲んだ箇所の拡大図を図7(a)に示す。光反射層(4)に形成された万線状の要素(6)は、図7(a)に示すように、複数配置されている要素(6)のうち、少なくとも一方の端が途切れた潜像模様要素(6a)を有している。なお、光反射層(4)に形成したい透過潜像模様(7)の大きさにより、潜像模様要素(6a)の配置は適宜設定されることとなり、光反射層(4)に形成されたすべての要素(6)が潜像模様要素(6a)であっても良い。
【0044】
この潜像模様要素(6a)について、さらに詳細に説明する。図7(b)は、図7(a)における潜像模様要素(6a)のうち、隣り合う2本の潜像模様要素(6a)を拡大した図である。この2本の潜像模様要素(6a)は、1本が図面上の右側に端部を有し、もう1本が図面上の左側に端部を有している。この右側にある端部を第1の端部(9)とし、左側にある端部を第2の端部(10)とする。
【0045】
したがって、第1の端部(9)と第2の端部(10)は、互いに逆方向に画線を途切らせていることとなる。この第1の端部(9)を有する潜像模様要素(6a)と、第2の端部(10)を有する潜像模様要素(6a)は、図7(b)に示すように、各潜像模様要素(6a)の端部側において重複領域(8)を有するように形成されている。この重複領域(8)により、図7(a)、更には図3に示した三日月の透過潜像模様(7)が形成されていることとなる。
【0046】
本発明における重複とは、図7(c)に示すように、潜像模様要素(6a)の第1の端部(9)と、その第1の端部(9)を有する潜像模様要素(6a)とは異なる潜像模様要素(6a)の第2の端部(10)において、第1の端部(9)と第2の端部(10)が同じ位置に並列して配置されていることをいい、重なって配置されていることではない。したがって、図7(d)に示すように、潜像模様要素(6a)の第1の端部(9)と、その第1の端部(9)を有する潜像模様要素(6a)とは異なる潜像模様要素(6a)の第2の端部(10)において、第1の端部(9)と第2の端部(10)が、同じ位置に並列して配置されていないような場合には、本発明における重複をしていない、所謂、重複領域(8)を形成していないとなる。
【0047】
また、図7(d)に示すように、例えば、第2の端部(10)を有する潜像模様要素(6a)と、端部を有さない要素(6)が並列して配置されていても、透過潜像模様(7)を形成するものではないため、重複はしていないこととなる。ただし、後述する透過潜像模様(7)を形成している第1の端部(9)を有する潜像模様要素(6a)と、第2の端部(10)を有する潜像模様要素(6a)の間に端部を有さない要素(6)が配置されている場合、それは、重複していることとする。
【0048】
潜像模様要素(6a)を含む万線状の要素(6)は、前述のとおり、反射光下では、確認することができないことが必要であるため、要素幅(W1)は、50〜500μm、ピッチ(P1)は、100〜1000μmで形成する。要素幅(W1)については、50〜500μmの範囲内であれば、必ずしも複数配置されている各要素(6)に対してすべてを同じ幅とする必要はなく、異なっていても良いが、あまり要素幅(W1)の差を持たせてしまうと、重複領域(8)以外の要素同士においても透過光量に差が生じてしまうため、透過潜像模様(7)を鮮明に視認することができなくなってしまう恐れがあることから、同じ要素幅(W1)とすることが好ましい。
【0049】
なお、本発明において形成する万線状の要素(6)は、透過光下において違和感の無い規則的な万線として視認される中に、透過潜像模様(7)を確認させるため、透過潜像模様(7)が形成されていない領域においては、規則的に配置された要素とする必要がある。したがって、本発明におけるピッチ(P1)は、重複領域(8)以外の要素同士の間隔のことをいい、図7(a)及び(b)におけるP1のこととする。なお、重複領域(8)以外の要素(6)同士の間隔をピッチ(P1)とすることから、重複領域(8)におけるピッチは、図7(b)に示すようにP1/2となる。
【0050】
図7(a)のような重複領域(8)により透過潜像模様(7)を形成する場合、どの程度潜像模様要素(6a)を重複させるかは、形成する透過潜像模様(7)の形状に合わせて適宜設定することができる。
【0051】
また、潜像模様要素(6a)の配置により、図8(a)に示すような透過潜像模様(7)を形成することも可能である。図8(a)は、重複領域(8)により輪郭を形成して透過潜像模様(7)を形成するものである。この透過潜像模様(7)を形成するための潜像模様要素(6a)、第1の端部(9)及び第2の端部(10)について説明する。
【0052】
図7(a)及び(b)に示した潜像模様要素(6a)は、1本の画線の一方の端が途切れるため、必ず1本の要素において一つの端部が存在しており、その一つの端部(例えば、第1の端部(9))とは、逆向きに要素を途切らせる他の要素の端部(例えば、第2の端部(10))を有する要素も、1本の要素において一つの端部が存在している。さらに、潜像模様要素(6a)の端部側において、潜像模様要素(6a)に対する延長線上には、他の要素が存在していない。
【0053】
しかし、図8(a)に示す潜像模様要素(6a)については、潜像模様要素(6a-1)の端部側において、潜像模様要素(6a-1)に対する延長線上にも他の端部を有する潜像模様要素(6a-2)が存在している。したがって、同一線上に二つの潜像模様要素(6a-1及び6a-2)が形成されていることとなる。また、一つの潜像模様要素(6a-3)には、第1の端部(9)と第2の端部(10)を有している。
【0054】
これを詳細に説明したのが図8(b)である。図8(b)は、潜像模様要素(6a)、第1の端部(9)及び第2の端部(10)を詳細に説明するため、隣接する2本の潜像模様要素(6a)を拡大した図である。
【0055】
図8(b)に示すように、潜像模様要素(6a-1)は第1の端部(9)を有しており、この潜像模様要素(6a-1)と同一線(x)上に、第2の端部(10)を有する潜像模様要素(6a-2)が形成されている。また、潜像模様要素(6a-3)は、一つの要素において、両側が途切れており、第1の端部(9)及び第2の端部(10)を有している。
【0056】
この潜像模様要素(6a-3)の第2の端部(10)に対して、潜像模様要素(6a-1)の第1の端部(9)によって重複領域(8-1)を形成し、潜像模様要素(6a-3)の第1の端部(9)に対して、潜像模様要素(6a-2)の第2の端部(10)によって重複領域(8-2)を形成することにより、透過潜像模様(7)の輪郭を形成する。
【0057】
このように輪郭を形成することにより透過潜像模様(7)を形成する場合のピッチについては、図8(a)に示すように、第1の端部(9)のみを有する潜像模様要素(6a-1)同士の要素の間隔、第2の端部(10)のみを有する潜像模様要素(6a-2)同士の要素の間隔、さらに、一つの要素において第1の端部(9)及び第2の端部(10)を有する潜像模様要素(6a-3)同士の要素の間隔のことであり、いずれも同じピッチ(P1)となっている。したがって、重複領域(8-1)及び(8-2)におけるピッチは、図8(b)に示すようにP1/2となる。
【0058】
以上のように、重複領域(8)により輪郭を形成して透過潜像模様(7)を形成する場合、どの程度重複させるかは、輪郭をどの程度の範囲としたいかによって適宜設定すれば良いが、あまり重複する範囲が狭いと、輪郭として確認することができなくなってしまい、また、重複する範囲が広過ぎると、違和感のある輪郭又は輪郭ではなくなってしまうため、500〜5000μmとすることが好ましい。
【0059】
また、図7及び図8で示した各要素(6)の配置については、潜像模様要素(6a、6a-1、6a-2)が隣り合って配置されているが、図9に示すように、第1の端部(9)及び第2の端部(10)を有する潜像模様要素(6a)の間に端部を有さない要素(6)を配置しても良い。このような配置としても、潜像模様要素(6a)同士を隣り合うように配置した形態ほどの鮮明な透過潜像模様(7)を形成することはできないが、端部を有さない要素(6)を間に挟みながらも重複領域(8)を形成していることから、透過潜像模様(7)を形成することができる。
【0060】
このような潜像模様要素(6a)同士の間に端部を有さない要素(6)を配置する場合において、間に配置する要素(6)の本数については、あまり多すぎると、重複領域(8)を形成するための潜像模様要素(6a)同士に間隔が開き過ぎてしまい、透過潜像模様(7)を形成することが困難となってしまうため、1〜5本が好ましいが、形成する透過潜像模様(7)の形状、要素幅(W1)及びピッチ(P1)により適宜設定すれば良い。
【0061】
以上のとおり、複数配置された万線状の要素(6)の第1の端部(9)と第2の端部(10)による重複領域(8)により透過潜像模様(7)を形成することで、形成された重複領域(8)は、他の万線状の要素(6)が配列されている領域よりも要素(6)同士の密度が多くなり、光反射層(4)が削除されて形成されている要素(6)であることから、透過光下での観察時に透過光量が多くなるため、透過潜像模様(7)として確認することができることとなる。
【0062】
次に、要素(6)の作製方法について説明する。要素(6)は、前述のとおり、光反射層(4)の一部が万線状に光を透過するように形成する。したがって、光反射層(4)が図2(a)に示した無地の金、銀、銅、アルミニウム、チタン等の金属材料の1層から成る場合、レーザ加工又はスパッタリング法のような公知の真空蒸着法により形成することができる。また、図2(b)に示した光反射層(4)を有するOVDに対して要素(6)を形成する方法については、公知のレーザ加工又はディメタライズ加工により形成することが可能である。例えば、本出願人が既に開示している特開2007−240785号公報に記載されている加工方法を用いることでも良い。さらに、光反射層(4)を金属インキにより形成する方法については、金属インキを用いて、オフセット印刷方式、インクジェット印刷方式等の公知の印刷方式により、要素(6)部分を非画線部となるように印刷すれば良い。なお、使用可能な金属インキは、例えば、銀インキであるオフセットインキ(T&K TOKA製 UV No.3シルバー)を用いることができる。以上のように、光反射層(4)の少なくとも一部に、光反射層が一部存在しないことにより形成された微細な要素(6)として、具体的には金属材料が除去されて成るか、又は金属材料を含む印刷インキを印刷(付与)する領域としない領域とにより形成することが可能である。
【0063】
光反射層(4)については、図2を用いて説明したように、光反射層(4)を有するOVDを用いた方が、反射光下におけるOVD画像(5)と、透過光下における透過潜像模様(7)の二つの画像を確認することができるとともに、反射光下において、OVD画像(5)が潜像模様要素(6a)を含む万線状の要素(6)をカモフラージュする効果が高くなるため、本発明の効果をより奏することとなる。したがって、OVDを用いて透過潜像模様(7)を形成することが好ましい。
【0064】
以上のように、光反射層(4)を有するOVDを用いて潜像模様領域(3)を形成した本発明における透過潜像模様形成体(1)は、図10(a)に示すように、反射光下における一定の角度において、OVDに形成されているOVD画像(5)「複数の星」を視認することができ、図10(b)に示すように、OVDが貼付されている基材の面の逆側から任意の光源により照射し、OVDが貼付されている基材の面側から見ると、透過潜像模様(7)「月」を視認することができる。なお、図10(b)では、任意の光源を照射した例で示したが、基材を太陽光に透かしても、同様に透過潜像模様(7)を視認することができる。
【0065】
以下、本発明における透過潜像模様形成体について、実施例を用いて詳細に説明するが、以下の実施例に限定されることはなく、特許請求の範囲に記載された技術的な範疇であれば、適宜、変更が可能である。
【実施例1】
【0066】
実施例1では、光反射層(4)を図2(a)で示した無地の金属箔を用いて作製された透過潜像模様形成体(1)である。実施例1の透過潜像模様形成体(1)について、実施の形態で説明した図面を用いて説明する。
【0067】
実施例1の透過潜像模様形成体(1)(具体的には、商品券)は、図1に示すように、基材(2)上の一部の潜像模様領域(3)に、図2(a)に示した無地の光反射層(4)が貼付されており、その他の領域には、商品名、1000円の料額文字及び彩紋模様がオフセット印刷により形成されている。
【0068】
図1に示す基材(2)は、坪量が85g/m2、紙厚が87μm、不透明度が75%(JIS−P8149)の褐色の紙材を用いた。また、光反射層(4)には、アルミ箔を用いた。
【0069】
光反射層(4)には、図3で示す微細な要素(6)(潜像模様要素(6a)を含む)が万線状に配列されて、一部に透過潜像模様(7)が形成されている。透過潜像模様(7)の具体的な構成として、図7(a)に示すような、第1の端部(9)を有する潜像模様要素(6a)と、第2の端部(10)を有する潜像模様要素(6a)を交互に配列することにより、第1の端部(9)側の潜像模様要素(6a)と、第2の端部(10)側の潜像模様要素(6a)による重複領域(8)を形成している。
【0070】
微細な要素(6)及び潜像模様要素(6a)は、画線幅(W1)がすべて等しい200μmの直線とし、ピッチ(P1)を500μmとして形成した。なお、ピッチ(P1)がすべて等しいため、重複領域(8)における潜像模様要素(6a)同士は、P1/2ピッチとなっている。
【0071】
重複領域(8)により形成されている透過潜像模様(7)は、図7に示すような、三日月の形状をしているため、重複領域(8)の範囲は、最短のところが1mm、最長のところが5mmとなっている。
【0072】
潜像模様要素(6a)を含む微細な要素(6)の形成方法は、基材(2)にアクリル系の接着剤(スプレーのり 55 スリーエム製)を塗布して貼り付けたアルミ箔に対して、レーザ加工器(レーザマーカ MD−V キーエンス製)を用い、潜像模様要素(6a)を含む微細な要素(6)を直線状に除去することで形成した。
【0073】
このようにして作製した実施例1の透過潜像模様形成体(1)である商品券を、光反射層(4)が貼付されている側から反射光下において観察すると、図2(a)に示す無地のアルミ光沢が確認された。そして、実施例1の透過潜像模様形成体(1)を、光反射層(4)が貼付されている側から透過光下において観察すると、図3に示す三日月の模様をした透過潜像模様(7)が確認された。
【実施例2】
【0074】
実施例2は、実施例1に対して異なる点のみを説明する。実施例2は、光反射層(4)に、図2(b)で示すOVD画像(6)を有するOVD箔を用い、潜像模様要素(6a)を含む微細な要素(6)が微小要素群により構成されている透過潜像模様形成体(1)である。
【0075】
光反射層(4)に用いたOVD箔は、アルミ層を基材としており、その上にOVD画像(6)を形成するための回折格子が構成されている。このアルミ層に対して、レーザ加工器(レーザマーカ MD−V キーエンス製)を用い、潜像模様要素(6a)を含む微細な要素(6)を直線状に除去することで形成した。
【0076】
潜像模様要素(6a)を含む微細な要素(6)を構成している微小要素群は、図4(d)に示す複数の点を直線状に配置して構成した。なお、微小要素群は、一つの点の直径(h1)、所謂、要素幅(W1)を250μm、点同士のピッチ(p1)を300μmで一定のピッチとして形成した。そして、潜像模様要素(6a)を含む微細な要素(6)のピッチ(P1)を500μmとして、万線状に配列して透過潜像模様(8)を形成した。なお、OVD箔の裏面には、ホットメルト剤を付与し、基材(2)に熱圧着して貼り付けた。
【0077】
このようにして作製した実施例2の透過潜像模様形成体(1)である商品券を、OVD箔(4)が貼付されている側から反射光下において観察すると、OVDが有する光学的変化の中に、図2(b)に示す複数の星から成るOVD画像(6)が確認された。そして、OVD箔(4)が貼付されている側から透過光下において観察すると、図3に示す三日月の模様をした透過潜像模様(7)が確認された。
【0078】
このように、実施例2の構成とすることによって、透過潜像模様形成体(1)の構成が複雑になり、さらに、光反射層(4)にOVD箔を用いていることから、意匠性を向上させることができるとともに、微細な要素(6)を隠ぺいする効果も奏する透過潜像模様形成隊(1)を得ることができた。
【実施例3】
【0079】
実施例3は、実施例1に対して異なる点のみを説明する。実施例3は、潜像模様要素(6a)を含む微細な要素(6)の構成が、図8に示すような模様の輪郭を形成する構成であり、光反射層(4)は、実施例2と同様のOVD箔とした透過潜像模様形成体(1)である。なお、実施例3における透過潜像模様(7)は、図11(a)に示す輪郭により形成した星の模様である。
【0080】
図11(a)で示した透過潜像模様(7)に対して、点線により囲んだ領域の拡大図が図11(b)である。OVD箔を構成しているアルミ層に形成した潜像模様要素(6a)を含む微細な要素(6)は、図11(a)では、直線として捉えられるが、図11(b)に示すように、重複領域(8)となるところは、直線で形成し、その他は、画素による微小要素群で形成している。このような要素の構成とすることで、重複領域(8)における光量が他の領域よりも高くなる効果を奏するからである。
【0081】
微小要素群を構成する各画素は、正方形で高さ(h1)が200μmとなっており、所謂、直線の幅(W1)も200μmとし、各画素同士のピッチ(p1)を250μmで一定のピッチとした。そして、潜像模様要素(6a)を含む微細な要素(6)のピッチ(P1)を500μmとし、第1の端部(9)のみを有する潜像模様要素(6a-1)と、第2の端部(10)のみを有する潜像模様要素(6a-2)を同一線上に形成し、その隣に、第1の端部(9)及び第2の端部(10)の両方を有する潜像模様要素(6a-3)を形成し、その並びを交互に万線状に配列して、星型の輪郭部分に重複領域(8)が来るように配置することで透過潜像模様(7)を形成した。
【0082】
なお、重複領域(8)における各潜像模様要素(6a)同士の重複している範囲は、400μmとなっている。この重複している範囲が、所謂、透過潜像模様(7)の輪郭となるところである。また、各潜像模様要素(6a)同士のピッチ(P1)は、等しく形成してあるため、重複領域(8)における隣り合う潜像模様要素(6a)同士は、P1/2の250μmとなっている。
【0083】
このようにして作製した実施例3の透過潜像模様形成体(1)である商品券を、OVD箔(4)が貼付されている側から反射光下において観察すると、OVDが有する光学的変化の中に、図2(b)に示す複数の星から成るOVD画像(6)が確認された。そして、OVD箔(4)が貼付されている側から透過光下において観察すると、図11(a)に示す星型の輪郭をした透過潜像模様(7)が確認された。
【0084】
このように、実施例3の構成とすることによって、潜像模様要素(6a)の構成がより複雑になり、偽造防止効果を一層向上することができる。
【符号の説明】
【0085】
1 透過潜像模様形成体
2 基材
3 潜像模様領域
4 光反射層
5 OVD画像
6 要素
6a、6a-1、6a-2、6a-3 潜像模様要素
7 透過潜像模様
8、8-1、8-2 重複領域
9 第1の端部
10 第2の端部
W1、h1 要素幅
P1 要素のピッチ
p1 微小要素のピッチ
X 同一線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上の少なくとも一部に潜像模様領域を有し、前記潜像模様領域には、光反射性の光反射層が形成され、
前記光反射層の少なくとも一部には、前記光反射層が一部存在しないことにより形成された微細な要素が万線状に配置され、
前記万線状に配置された複数の微細な要素は、少なくとも一方の端が途切れた複数の潜像模様要素を有し、
前記複数の潜像模様要素は、一方の端が途切れた第1の端部及び前記一方の端と異なる他方の端が途切れた第2の端部の少なくとも一つを有して成り、
前記複数の潜像模様要素において、異なる潜像模様要素における前記第1の端部と前記第2の端部の重複領域により透過潜像模様が形成され、
前記潜像模様領域を透過光下で視認すると、前記万線状に形成されている微細な要素内において、前記重複領域とその他の領域との光の透過量の差異により前記透過潜像模様が形成されていることを特徴とする透過潜像模様形成体。
【請求項2】
前記複数の潜像模様要素において、前記第1の端部のみを有する潜像模様要素と、前記第2の端部のみを有する潜像模様要素により前記重複領域が形成されていることを特徴とする請求項1記載の透過潜像模様形成体。
【請求項3】
前記第1の端部のみを有する潜像模様要素と、前記第2の端部のみを有する潜像模様要素が隣り合って交互に配置されていることを特徴とする請求項1又は2記載の透過潜像模様形成体。
【請求項4】
前記複数の潜像模様要素において、同一線上に配置された前記第1の端部のみを有する潜像模様要素及び前記第2の端部のみを有する潜像模様要素と、前記第1の端部及び前記第2の端部の両方を有する潜像模様要素により前記重複領域が形成されていることを特徴とする請求項1記載の透過潜像模様形成体。
【請求項5】
前記同一線上に配置された前記第1の端部のみを有する潜像模様要素及び前記第2の端部のみを有する潜像模様要素と、前記第1の端部及び前記第2の端部の両方を有する潜像模様要素が隣り合って交互に配置されていることを特徴とする請求項1又は4記載の透過潜像模様形成体。
【請求項6】
前記重複領域を形成する前記第1の端部を有する潜像模様要素と、前記第2の端部を有する潜像模様要素との間に、端部を有さない前記微細な要素が配置されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の透過潜像模様形成体。
【請求項7】
前記複数の微細な要素の要素幅はすべて同一又は少なくとも一つが異なることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の透過潜像模様形成体。
【請求項8】
前記微細な要素は、要素幅が50〜500μmから成り、ピッチが100〜1000μmから成ることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の透過潜像模様形成体。
【請求項9】
前記重複領域における前記微細な要素のピッチは、前記重複領域以外における微細な要素のピッチの1/2であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の透過潜像模様形成体。
【請求項10】
前記光反射層が光反射性の金属材料から成り、前記微細な要素は、前記金属材料が除去されて成ることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の透過潜像模様形成体。
【請求項11】
前記光反射層が、OVDであることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の透過潜像模様形成体。
【請求項12】
前記微細な要素が、画線又は微小要素群の少なくとも一つ、又はそれぞれの組み合わせから成ることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の透過潜像模様形成体。
【請求項1】
基材上の少なくとも一部に潜像模様領域を有し、前記潜像模様領域には、光反射性の光反射層が形成され、
前記光反射層の少なくとも一部には、前記光反射層が一部存在しないことにより形成された微細な要素が万線状に配置され、
前記万線状に配置された複数の微細な要素は、少なくとも一方の端が途切れた複数の潜像模様要素を有し、
前記複数の潜像模様要素は、一方の端が途切れた第1の端部及び前記一方の端と異なる他方の端が途切れた第2の端部の少なくとも一つを有して成り、
前記複数の潜像模様要素において、異なる潜像模様要素における前記第1の端部と前記第2の端部の重複領域により透過潜像模様が形成され、
前記潜像模様領域を透過光下で視認すると、前記万線状に形成されている微細な要素内において、前記重複領域とその他の領域との光の透過量の差異により前記透過潜像模様が形成されていることを特徴とする透過潜像模様形成体。
【請求項2】
前記複数の潜像模様要素において、前記第1の端部のみを有する潜像模様要素と、前記第2の端部のみを有する潜像模様要素により前記重複領域が形成されていることを特徴とする請求項1記載の透過潜像模様形成体。
【請求項3】
前記第1の端部のみを有する潜像模様要素と、前記第2の端部のみを有する潜像模様要素が隣り合って交互に配置されていることを特徴とする請求項1又は2記載の透過潜像模様形成体。
【請求項4】
前記複数の潜像模様要素において、同一線上に配置された前記第1の端部のみを有する潜像模様要素及び前記第2の端部のみを有する潜像模様要素と、前記第1の端部及び前記第2の端部の両方を有する潜像模様要素により前記重複領域が形成されていることを特徴とする請求項1記載の透過潜像模様形成体。
【請求項5】
前記同一線上に配置された前記第1の端部のみを有する潜像模様要素及び前記第2の端部のみを有する潜像模様要素と、前記第1の端部及び前記第2の端部の両方を有する潜像模様要素が隣り合って交互に配置されていることを特徴とする請求項1又は4記載の透過潜像模様形成体。
【請求項6】
前記重複領域を形成する前記第1の端部を有する潜像模様要素と、前記第2の端部を有する潜像模様要素との間に、端部を有さない前記微細な要素が配置されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の透過潜像模様形成体。
【請求項7】
前記複数の微細な要素の要素幅はすべて同一又は少なくとも一つが異なることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の透過潜像模様形成体。
【請求項8】
前記微細な要素は、要素幅が50〜500μmから成り、ピッチが100〜1000μmから成ることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の透過潜像模様形成体。
【請求項9】
前記重複領域における前記微細な要素のピッチは、前記重複領域以外における微細な要素のピッチの1/2であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の透過潜像模様形成体。
【請求項10】
前記光反射層が光反射性の金属材料から成り、前記微細な要素は、前記金属材料が除去されて成ることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の透過潜像模様形成体。
【請求項11】
前記光反射層が、OVDであることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の透過潜像模様形成体。
【請求項12】
前記微細な要素が、画線又は微小要素群の少なくとも一つ、又はそれぞれの組み合わせから成ることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の透過潜像模様形成体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−45742(P2012−45742A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−187794(P2010−187794)
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【出願人】(303017679)独立行政法人 国立印刷局 (471)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【出願人】(303017679)独立行政法人 国立印刷局 (471)
【Fターム(参考)】
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