説明

通信システム、エッジルータ及び信号転送方法

【課題】予め予備用の通信回線を設けることなく、通信ネットワーク上での障害発生時に迂回用の通信回線を設定可能な通信システムを提供する。
【解決手段】第1のエッジルータは、第1の通信回線を介して第2のエッジルータと通信不能であると判定された場合、第2の通信回線を介して第3のエッジルータへ、第1のエッジルータの識別番号を含む転送禁止解除メッセージを通知する迂回経路設定部と、第1のエッジルータと接続された通信ネットワークから入力されたデータ信号に、第1のエッジルータの識別番号を付す入口識別情報付加部とを有する。また第3のエッジルータは、第1のエッジルータから転送禁止解除メッセージを受信すると、第2の通信回線を介して受信した、第1のエッジルータの識別番号が付されたデータ信号を第3の通信回線へ転送し、一方、第2の通信回線を介して受信した、第1のエッジルータの識別番号が付されていないデータ信号を廃棄する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示される実施形態は、複数のエッジルータ間に複数の伝送路を有する通信システム、その通信システムで使用されるエッジルータ及び信号転送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パケットに付されたラベルを参照することにより、パケットを転送する、マルチプロトコルラベルスイッチング(Multiprotocol Label Switching、MPLS)という技術が開発されている。このMPLSネットワーク上で、仮想プライベートネットワークを構築する技術の一つとして、仮想プライベートLANサービス(Virtual Private LAN Service、VPLS)が提案されている。VPLSでは、複数のエッジルータのうちの二つのエッジルータをポイントトゥーポイントで接続する仮想的な回線であるスードワイヤ(Pseudowire、PS)が、フルメッシュ状に構築される。スードワイヤは、MPLSネットワークに含まれるコアルータが、MPLS上を転送されるMPLSパケットを、MPLSパケットに付されたトンネルラベルのみを参照して転送するMPLSトンネル上に設定される。そして各エッジルータが、それぞれユーザネットワークに接続されることにより、VPLSは、ユーザネットワーク間にイーサネット(登録商標)LANサービスを提供する。
【0003】
各エッジルータは、メディアアクセスコントロール(Media Access Control、MAC)アドレスに基づいてMACフレームの転送先を学習することにより、MACアドレスごとの転送先を記録したデータベースを保持する。そして各エッジルータは、MACフレームをMPLSパケットに格納し、MACフレームに含まれる宛先のMACアドレス及びデータベースを参照して、MPLSパケットを送出するスードワイヤを決定する。また、各エッジルータは、VPLSがループフリーなトポロジを形成するために、すなわち、MACフレームがVPLS上でループすることを防止するために、一つのスードワイヤを通じて受信したMACフレームを他のスードワイヤへ転送することを禁止している。このようにMACフレームの転送を禁止することは、スプリットホライズンと呼ばれる。また、入力パケットのMACアドレスを監視し、そのMACアドレスに基づいて、入力パケットが自ら送出したパケットであると判定すると、入力パケットを廃棄するフィルタリング機能を有する装置も開発されている。
【0004】
VPLSによる通信サービスを提供するプロバイダは、VPLSが実装された通信ネットワーク上で障害が発生しても、ユーザネットワーク間の通信サービスを継続できることが望ましい。そこで、予め予備用のスードワイヤまたはMPLSトンネルを設定する障害復旧技術が開発されている。この障害復旧技術は、VPLSが実装されたMPLSネットワーク上で障害が発生したときに、その障害により影響を受けるスードワイヤまたはMPLSトンネルを予備用のスードワイヤまたはMPLSトンネルに切り替えることにより、通信サービスが継続されることを可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−320186号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】E. Rosen 他, “Multiprotocol Label Switching Architecture”, IETF RFC3031, January 2001
【非特許文献2】E. Rosen 他, “MPLS Label Stack Encoding”, IETF RFC3032, January 2001
【非特許文献3】L. Andersson 他, “Framework for Layer 2 Virtual Private Networks (L2VPNs)”, IETF RFC4664, September 2006
【非特許文献4】M. Lasserre 他, “Virtual Private LAN Service (VPLS) Using Label Distribution Protocol (LDP) Signaling”, IETF RFC4762, January 2007
【非特許文献5】IEEE Std 802.3TM-2005 (Revision of IEEE Std 802.3-2002), “Part 3: Carrier sense multiple access with collision detection (CSMA/CD) access method and physical layer specifications”, December 2005
【非特許文献6】P. Pan, G. Swallow and A. Atlas, “Fast Reroute Extensions to RSVP-TE for LSP Tunnels”, IETF RFC4090, May 2005
【非特許文献7】Praveen Muley 他:” Pseudowire (PW) Redundancy”, draft-ietf-pwe3-redundancy-01.txt
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の障害復旧技術では、MPLSネットワーク内の各エッジルータ及びコアルータは、MPLSネットワークに障害が発生していないときでも、予備用のスードワイヤまたはMPLSトンネルのラベルパスを決定するためのシグナリングメッセージを交換する必要がある。また各エッジルータ及びコアルータは、予備用のスードワイヤまたはMPLSトンネルに対するラベルの割り当て及びラベル転送を行う必要がある。そのため、これらのルータが保持するMPLSパケットの転送先を表したフォワーディングテーブルが大きくなってしまう。その結果、各エッジルータ及びコアルータは、予備用のスードワイヤまたはMPLSトンネルが設定されていない場合に必要とされる処理能力よりも、大きな処理能力を持たなければならない。したがって、各エッジルータ及びコアルータは高価となってしまう。
【0008】
そこで、本明細書は、予め予備用の通信回線を設けることなく、通信ネットワーク上での障害発生時に迂回用の通信回線を設定可能な通信システム、エッジルータ及び信号転送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一つの実施形態によれば、複数のエッジルータを有し、仮想プライベートLANサービスを用いてローカルエリアネットワークサービスを提供する通信システムが提供される。この通信システムにおいて、複数のエッジルータのうちの第1のエッジルータは、第1のエッジルータと複数のエッジルータのうちの第2のエッジルータを接続する第1の通信回線を介して第1のエッジルータが第2のエッジルータと通信可能か否かを判定する障害検出部と、障害検出部により第1のエッジルータが第1の通信回線を介して第2のエッジルータと通信不能であると判定された場合、第2の通信回線を介して第1のエッジルータと接続される第3のエッジルータへ、第1のエッジルータの識別番号を含む転送禁止解除メッセージを通知する迂回経路設定部と、第1のエッジルータと接続された通信ネットワークから第1のエッジルータに入力された第1のデータ信号に、第1のエッジルータの識別番号を付す入口識別情報付加部と、第1のエッジルータが第1の通信回線を介して第2のエッジルータと通信不能である場合、第1のデータ信号に含まれる宛先情報が第2のエッジルータと接続された通信ネットワーク上に存在する装置を示していると、第1のデータ信号をフラッディングするスイッチ部とを有する。また第3のエッジルータは、第1のエッジルータから転送禁止解除メッセージを受信すると、第2の通信回線を介して受信した、第1のエッジルータの識別番号が付された第1のデータ信号を、第3のエッジルータを複数のエッジルータのうちの第1のエッジルータと異なるエッジルータに接続する第3の通信回線へ転送し、一方、第2の通信回線を介して受信した、第1のエッジルータの識別番号が付されていないデータ信号を廃棄する。
【0010】
また他の実施形態によれば、エッジルータが提供される。このエッジルータは、第1の通信回線を介してこのエッジルータと対向するピアルータと通信可能か否かを判定する障害検出部と、障害検出部によりエッジルータが第1の通信回線を介してピアルータと通信不能であると判定された場合、第2の通信回線を介してエッジルータと接続され、かつ第3の通信回線を介してピアルータと接続される迂回ルータへ、エッジルータの識別番号を含む転送禁止解除メッセージを通知する迂回経路設定部と、エッジルータと接続された通信ネットワークからエッジルータに入力されたデータ信号に、エッジルータの識別番号を付す入口識別情報付加部と、エッジルータが第1の通信回線を介してピアルータと通信不能である場合、データ信号に含まれる宛先情報がピアルータと接続された通信ネットワーク上に存在する装置を示していると、データ信号をフラッディングするスイッチ部とを有する。
【0011】
さらに他の実施形態によれば、仮想プライベートLANサービスを用いてローカルエリアネットワークサービスを提供する通信システムに含まれるエッジルータが提供される。このエッジルータは、エッジルータと通信システムに含まれる他のエッジルータとを接続する第1の通信回線を介して受信したデータ信号を、そのデータ信号に含まれる宛先情報に従って、第1の通信回線と異なる第2の通信回線へ転送するスイッチ部と、エッジルータと接続された何れかの通信回線へ転送されるデータ信号を廃棄するか否かを定めたフィルタテーブルに従って、データ信号を送出するかまたは廃棄するフィルタ部と、データ信号が通信システムにおいて最初に入力されたエッジルータである入口ルータの識別番号を含む転送禁止解除メッセージを第1の通信回線を介して受信すると、フィルタテーブルを、第1の通信回線を介して受信した、入口ルータの識別番号が付されたデータ信号は第2の通信回線へ送出され、一方、第1の通信回線を介して受信した、入口ルータの識別番号が付されていないデータ信号は廃棄されるように修正する迂回経路設定部とを有する。
【0012】
さらに他の実施形態によれば、複数のエッジルータを有し、仮想プライベートLANサービスを用いてローカルエリアネットワークサービスを提供する通信システムにおける信号転送方法が提供される。この信号転送方法において、複数のエッジルータのうちの第1のエッジルータは、第1のエッジルータと複数のエッジルータのうちの第2のエッジルータを接続する第1の通信回線を介して第1のエッジルータが第2のエッジルータと通信可能か否かを判定し、第1のエッジルータが第1の通信回線を介して第2のエッジルータと通信不能であると判定された場合、第2の通信回線を介して第1のエッジルータと接続される第3のエッジルータへ、第1のエッジルータの識別番号を含む転送禁止解除メッセージを通知し、第1のエッジルータと接続された通信ネットワークから第1のエッジルータに入力された第1のデータ信号に、第1のエッジルータの識別番号を付し、第1のエッジルータが第1の通信回線を介して第2のエッジルータと通信不能である場合、第1のデータ信号に含まれる宛先情報が第2のエッジルータと接続された通信ネットワーク上に存在する装置を示していると、第1のデータ信号をフラッディングする。一方、第3のエッジルータは、第1のエッジルータから転送禁止解除メッセージを受信すると、第2の通信回線を介して受信した、第1のエッジルータの識別番号が付された第1のデータ信号を、第3のエッジルータを複数のエッジルータのうちの第1のエッジルータと異なるエッジルータに接続する第3の通信回線へ転送し、一方、第2の通信回線を介して受信した、第1のエッジルータの識別番号が付されていないデータ信号を廃棄する。
【0013】
本発明の目的及び利点は、請求項において特に指摘されたエレメント及び組み合わせにより実現され、かつ達成される。
上記の一般的な記述及び下記の詳細な記述の何れも、例示的かつ説明的なものであり、請求項のように、本発明を限定するものではないことを理解されたい。
【発明の効果】
【0014】
本明細書に開示された通信システム、エッジルータ及び信号転送方法は、予め予備用の通信回線を設けることなく、通信ネットワーク上での障害発生時に迂回用の通信回線を設けることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】一つの実施形態に係る通信システムの概略構成図である。
【図2】図1に表された通信システムにおいて使用されるエッジルータの概略構成図である。
【図3】図1に表された通信システムにおいて転送されるパケットの一例を説明する図である。
【図4】フィルタテーブルの一例を説明する図である。
【図5】スプリットホライズン解除メッセージの一例を説明する図である。
【図6】通常時に使用されるスードワイヤにおいて障害が発生したことを検知したエッジルータが、迂回用仮想通信回線の設定を他のエッジルータに依頼する処理の一例を説明する図である。
【図7】スプリットホライズン解除メッセージを受信したエッジルータが迂回用仮想通信回線を設定する処理の一例を説明する図である。
【図8】スプリットホライズン解除メッセージを受信したエッジルータが迂回用仮想通信回線を設定する処理の一例を説明する図である。
【図9】図1に表された通信システムが有する仮想通信回線において障害が発生したときの迂回用通信回線の一例を示す図である。
【図10】(a)〜(c)は、それぞれ、図9に表された迂回用通信回線が設定されたときの迂回用通信回線上のエッジルータが記憶するフィルタテーブルの一例を示す図である。
【図11】図1に表された通信システムが有する仮想通信回線において障害が発生したときの迂回用通信回線の他の一例を示す図である。
【図12】(a)〜(c)は、それぞれ、図11に表された迂回用通信回線が設定されたときの迂回用通信回線上のエッジルータが記憶するフィルタテーブルの一例を示す図である。
【図13】(a)〜(c)は、それぞれ、図11に表された迂回用通信回線が設定されたときの迂回用通信回線上の別のエッジルータが記憶するフィルタテーブルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図を参照しつつ、一つの実施形態に係る通信システムについて説明する。この通信システムは、複数のエッジルータを有し、VPLSを用いて、各エッジルータに接続されたユーザネットワークに対してローカルエリアネットワークサービスを提供する。そして、複数のエッジルータのうちの二つのエッジルータをポイントトゥーポイントで接続する仮想通信回線がフルメッシュ状に設定されている。そして何れかのエッジルータが、通常時において使用される仮想通信回線上で発生した障害を検知したとき、障害が発生したことを検出したエッジルータの識別番号を他のエッジルータへ通知する。障害が発生したことを検出したエッジルータの識別番号を受信した他のエッジルータは、予め設定されている複数の仮想通信回線の中から、その識別番号を持つ信号を透過させる迂回用の仮想通信回線を設定する。これにより、この通信システムは、予備用の仮想通信回線を予め設定することなく迂回用の仮想通信回線を設定することを可能とする。
【0017】
図1は、一つの実施形態による通信システム1の概略構成図である。通信システム1は、4台のエッジルータ2−1〜2−4を有する。そして通信システム1は、インターネットプロトコル(Internet Protocol、IP)ネットワーク上に構築されたMPLSネットワーク上でVPLSを実装している。そのため、各エッジルータ2−1〜2−4間には、仮想的な通信回線であるスードワイヤ3−1〜3−6が、フルメッシュ状に設定されている。具体的には、スードワイヤ3−1は、エッジルータ2−1と2−2間に設定される。スードワイヤ3−2は、エッジルータ2−1と2−3間に設定される。スードワイヤ3−3は、エッジルータ2−1と2−4間に設定される。スードワイヤ3−4は、エッジルータ2−2と2−3間に設定される。スードワイヤ3−5は、エッジルータ2−2と2−4間に設定される。そしてスードワイヤ3−6は、エッジルータ2−3と2−4間に設定される。
【0018】
また、各エッジルータ2−1〜2−4は、それぞれ、ユーザネットワーク4−1〜4−4と接続されている。各エッジルータ2−1〜2−4は、エッジルータ自身に接続されたユーザネットワークから受信したMACフレームに対して、そのMACフレームに含まれる宛先情報に対応するMPLSトンネル用のトンネルラベルとスードワイヤ用のPWラベルを付したパケットを生成する。そして各エッジルータ2−1〜2−4は、PWラベルに応じたスードワイヤへ、生成したパケットを送出する。また各エッジルータ2−1〜2−4は、他のエッジルータから受信したパケットからMACフレームを取り出し、取り出したMACフレームをエッジルータ自身に接続されたユーザネットワークへ送出する。
【0019】
なお、通信システム1は、各エッジルータ2−1〜2−4とともに、図示しない1台以上のコアルータを有していてもよい。そして、各コアルータ間、各エッジルータ間あるいはコアルータとエッジルータ間には、ツイストペアケーブル、同軸ケーブルあるいは光ファイバといった物理的な伝送路が設けられている。そして何れかのスードワイヤ上に位置するコアルータは、エッジルータあるいは他のコアルータから受信したパケットに付されたトンネルラベルを参照して、転送先を決定する。コアルータは、パケットに付されたトンネルラベルを決定した転送先に応じた値に更新するとともに、そのパケットを転送先へ送出する。
【0020】
なお、通信システム1が有するエッジルータの数は4台に限られない。通信システム1は、通信システム1に対して要求される仕様に応じて、3台以上の適切な数のエッジルータを有することができる。
【0021】
図2は、エッジルータ2−1の概略構成図である。なお、エッジルータ2−2〜2−4は、接続されるスードワイヤ及びユーザネットワークが異なることを除いて、図2に表されたエッジルータ2−1の構成と同様の構成を有する。そのため、エッジルータ2−2〜2−4の詳細な説明は省略する。
【0022】
エッジルータ2−1は、入口識別情報付加部11と、入口識別情報削除部12と、スイッチ部13と、ラベル付加部14−1〜14−3と、ラベル削除部15−1〜15−3と、フレームフィルタ部16−1〜16−3と、障害検出部17−1〜17−3と、シグナリング処理部18と、迂回経路設定部19とを有する。エッジルータ2−1が有するこれらの各部は、それぞれ別個の回路とすることができる。またエッジルータ2−1は、エッジルータ2−1が有するこれらの各部の機能を有する回路が集積された集積回路を有してもよい。あるいはまた、エッジルータ2−1が有するこれらの各部は、エッジルータ2−1が有する一つまたは複数のプロセッサ上で実行されるコンピュータプログラムにより実現される機能モジュールであってもよい。
【0023】
このうち、ラベル付加部14−1、ラベル削除部15−1、フレームフィルタ部16−1及び障害検出部17−1は、それぞれ、スードワイヤ3−1へ送出されるパケットまたはスードワイヤ3−1から受信したパケットを処理する。同様に、ラベル付加部14−2、ラベル削除部15−2、フレームフィルタ部16−2及び障害検出部17−2は、それぞれ、スードワイヤ3−2へ送出されるパケットまたはスードワイヤ3−2から受信したパケットを処理する。さらに、ラベル付加部14−3、ラベル削除部15−3、フレームフィルタ部16−3及び障害検出部17−3は、それぞれ、スードワイヤ3−3へ送出されるパケットまたはスードワイヤ3−3から受信したパケットを処理する。
なお、エッジルータ2−1が有するラベル付加部、ラベル削除部、フレームフィルタ部及び障害検出部の数は、エッジルータ2−1に接続されるスードワイヤの本数と等しい。従って、エッジルータ2−1に接続されるスードワイヤの本数が増えれば、その本数に応じて、ラベル付加部、ラベル削除部、フレームフィルタ部及び障害検出部の数も増加する。
【0024】
さらに、エッジルータ2−1は、アクセスポート21を介してユーザネットワーク4−1と接続される。また、エッジルータ2−1は、アクセスポート22〜24を介して、スードワイヤ3−1〜3−3とそれぞれ接続される。これらアクセスポート21〜24は、例えば、ユーザネットワーク4−1、スードワイヤ3−1〜3−3に対応する物理的な伝送路に対するインターフェース回路である。このうちアクセスポート22〜24は、それぞれ別個のインターフェース回路であってもよく、あるいは、一つのインターフェース回路であってもよい。
【0025】
入口識別情報付加部11は、ユーザネットワーク4−1からアクセスポート21を介して受信したMACフレームに対して、エッジルータ2−1の識別番号を入口識別情報として付加する。入口識別情報は、通信システム1が提供する仮想プライベートネットワークの入口に位置するエッジルータを識別するものであり、エッジルータごとに一意に設定される識別番号である。本実施形態では、一例として、エッジルータ2−1〜エッジルータ2−4の識別番号は、それぞれ'1'〜'4'に設定される。
入口識別情報付加部11は、入口識別情報を付加したMACフレームをスイッチ部13へ渡す。
【0026】
入口識別情報削除部12は、スイッチ部13から受け取った、入口識別情報が付加されたMACフレームから、入口識別情報を削除する。そして入口識別情報削除部12は、入口識別情報が削除されたMACフレームを、アクセスポート21を介してユーザネットワーク4−1へ送出する。
【0027】
スイッチ部13は、エッジルータ2−1に入力されたMACフレームに含まれる宛先情報及び送信元情報を参照することにより、MACアドレスに対応する転送先を学習する。そしてスイッチ部13は、その学習結果に基づいて、MACアドレスとそのMACアドレスに対応するスードワイヤの関係を表す転送テーブルを更新し、その転送テーブルをスイッチ部13が有するメモリに記憶する。スイッチ部13は、入口識別情報付加部11またはラベル削除部15−1〜15−3の何れかから入口識別情報が付加されたMACフレームを受け取ると、転送テーブルを参照して、そのMACフレームに付された宛先のMACアドレスに対応する転送先を決定する。スイッチ部13は、そのMACフレームを、そのMACフレームが経由したスードワイヤあるいはユーザネットワークに対応する識別番号とともに、転送先へ向かう経路上に位置するフレームフィルタ部16−1〜16−3あるいは入口識別情報削除部12へ転送する。なお、スードワイヤあるいはユーザネットワークに対応する識別番号は、各スードワイヤ及びユーザネットワークに対して割り当てられた識別番号とすることができる。あるいは、スードワイヤあるいはユーザネットワークに対応する識別番号は、各スードワイヤ及びユーザネットワークが接続されるアクセスポートの識別番号であってもよい。
また、迂回経路設定部19により、転送テーブルから障害が検出されたスードワイヤを転送先とするエントリが削除されていることがある。この場合、スイッチ部13は、MACフレームに付された宛先のMACアドレスに対応する転送先がその削除されたエントリに該当すると、MACフレームを、障害が検出されたスードワイヤ以外の全てのスードワイヤへフラッディングする。すなわち、スイッチ部13は、MACフレームを、障害が検出されたスードワイヤ以外の全てのスードワイヤのそれぞれに対応するフレームフィルタ部16−1〜16−3へ転送する。
【0028】
ラベル付加部14−1〜14−3は、それぞれ、フレームフィルタ部16−1〜16−3から受信した、入口識別情報が付加されたMACフレームに、MPLSネットワークに対して送出するためのラベルを付加することによりパケットを生成する。本実施形態では、ラベル付加部14−1〜14−3は、入口識別情報が付加されたMACフレームに、MPLSトンネル用のトンネルラベルとスードワイヤ用のPWラベルを付加する。そしてラベル付加部14−1〜14−3は、それぞれ、生成したパケットを障害検出部17−1〜17−3を介してスードワイヤ3−1〜3−3へ送出する。あるいは、ラベル付加部14−1〜14−3は、それぞれ、生成したパケットを障害検出部17−1〜17−3を介さずにスードワイヤ3−1〜3−3へ送出してもよい。
【0029】
図3は、通信システム1内を転送されるパケットの一例を説明する図である。パケット300は、ペイロード301と、送信元MACアドレス302と、宛先MACアドレス303と、入口識別情報304と、PWラベル305と、トンネルラベル306を含む。そしてペイロード301には、MACフレームに含まれるデータ及びヘッダ情報が格納される。送信元MACアドレス302は、MACフレームを送信した通信装置のMACアドレスが格納される。宛先MACアドレス303には、MACフレームの宛先となる通信装置のMACアドレスが格納される。
【0030】
ラベル削除部15−1〜15−3は、それぞれ、スードワイヤ3−1〜3−3から入力され、障害検出部17−1〜17−3を経由したパケットから、入口識別情報が付加されたMACフレームを取り出す。なお、ラベル削除部15−1〜15−3は、障害検出部17−1〜17−3を経由せずにパケットを受信してもよい。そしてラベル削除部15−1〜15−3は、入口識別情報が付加されたMACフレームを、そのMACフレームが経由したスードワイヤあるいはユーザネットワークに対応する識別番号とともにスイッチ部13へ渡す。
【0031】
フレームフィルタ部16−1〜16−3は、それぞれ、スイッチ部13から転送された、入口識別情報が付加されたMACフレームを、フィルタテーブルを参照することによりラベル付加部14−1〜14−3へ転送するか若しくは廃棄する。このフィルタテーブルは、MACフレームが経由した通信回線に対応する識別番号及びMACフレームに付加された入口識別情報と、処理内容を関連付けたテーブルであり、フレームフィルタ部16−1〜16−3が有するメモリに記憶される。
【0032】
図4は、フィルタテーブルの一例を説明する図である。フィルタテーブル400は、フレームフィルタ部16−1が有するメモリに記憶される。
フィルタテーブル400において、左端の列401の各欄には、受信したMACフレームが経由したスードワイヤまたはユーザネットワークに対応する識別番号が表される。また、中央の列402の各欄には、MACフレームに付加された入口識別情報が表される。また、右端の列403の各欄には、入口識別情報が付加されたMACフレームに対する処理が表される。フィルタテーブル400に表された処理が透過であれば、フレームフィルタ部16−1は、入口識別情報が付加されたMACフレームをラベル付加部14−1へ転送する。一方、フィルタテーブル400に表された処理が廃棄であれば、フレームフィルタ部16−1は、入口識別情報が付加されたMACフレームを廃棄する。またフィルタテーブル400には、各行に、その行に規定された通信回線を介して受信した、その行に規定された入口識別情報が付加されたMACフレームをに対する処理が規定される。なお、以下では、フィルタテーブルの説明に関して、スードワイヤ3−1〜3−6に対応する識別番号を、それぞれスードワイヤ1〜6と記述する。
【0033】
例えば、フィルタテーブル400の行410には、ユーザネットワーク4−1を介して受信し、入口識別情報としてエッジルータ2−1の識別番号'1'が付加されたMACフレームは透過されることが規定されている。また、行420には、スードワイヤ3−2を介して受信したMACフレームは、どのような入口識別情報が付加されていても廃棄されることが規定されている。同様に、行430には、スードワイヤ3−3を介して受信したMACフレームは、どのような入口識別情報が付加されていても廃棄されることが規定されている。
【0034】
何れのスードワイヤにも障害が発生していない場合、各フレームフィルタ部16−1〜16−3が有するフィルタテーブルは、何れのスードワイヤを経由して受信したパケットに対してもスプリットホライズンが有効となるように規定される。すなわち、各フィルタテーブルは、フィルタテーブル400に規定されるように、ユーザネットワークから受信し、入口識別情報として自ルータであるエッジルータ2−1の識別番号'1'が付加されたMACフレームのみを透過するように規定される。これにより、エッジルータ2−1は、パケットが通信システム1内をループすることを防止できる。
一方、何れかのスードワイヤに障害が発生した場合、迂回用の仮想通信回線上に位置するフレームフィルタ部が記憶するフィルタテーブルが修正される。そしてそのフィルタテーブルは、障害が発生したスードワイヤが接続されたエッジルータにユーザネットワークから入力されたMACフレームを含むパケットに対するスプリットホライズンが解除されるように規定される。すなわち、迂回用の仮想通信回線上に位置するフレームフィルタ部は、迂回用の仮想通信回線の一部であるスードワイヤを介して受信され、障害が発生したスードワイヤに接続されたエッジルータの識別番号を入口識別情報とするMACフレームを透過させる。これにより、通信システム1は、既存のスードワイヤを利用して、障害が発生したスードワイヤを迂回する仮想通信回線を構築できる。
【0035】
障害検出部17−1〜17−3は、それぞれ、スードワイヤ3−1〜3−3を介してエッジルータ2−1と対向するピアルータであるエッジルータ2−2〜2−4と通信可能か否かを調べることにより、スードワイヤ3−1〜3−3上で発生した障害を検出する。
例えば、障害検出部17−1は、スードワイヤ3−1へ、通信状態を確認するためのキープアライブ信号を予め設定された所定の周期で送出する。また障害検出部17−1は、スードワイヤ3−1を介してエッジルータ2−1と対向するピアルータであるエッジルータ2−2から、予め設定された所定の周期で送出されたキープアライブ信号をスードワイヤ3−1を介して受信する。そして障害検出部17−1は、例えば、エッジルータ2−2から送出されたキープアライブ信号を、所定の周期で受信できた場合、スードワイヤ3−1上に障害は発生していないと判定する。一方、障害検出部17−1は、エッジルータ2−2から送出されたキープアライブ信号を全く受信できない場合、スードワイヤ3−1上に障害が発生していると判定する。あるいは、障害検出部17−1は、エッジルータ2−2から送出されたキープアライブ信号を受信する周期が、エッジルータ2−2がキープアライブ信号を送出する周期と異なる場合、スードワイヤ3−1上に障害が発生していると判定する。
【0036】
また、障害検出部17−2は、スードワイヤ3−2へキープアライブ信号を予め設定された所定の周期で送出するとともに、エッジルータ2−3から、予め設定された所定の周期で送出されたキープアライブ信号をスードワイヤ3−2を介して受信する。そして障害検出部17−2は、エッジルータ2−3から送出されたキープアライブ信号を、所定の周期で受信できたか否かによりスードワイヤ3−2上に障害が発生したか否かを判定する。
同様に、障害検出部17−3は、スードワイヤ3−3へキープアライブ信号を予め設定された所定の周期で送出するとともに、エッジルータ2−4から、予め設定された所定の周期で送出されたキープアライブ信号をスードワイヤ3−3を介して受信する。そして障害検出部17−3は、エッジルータ2−4から送出されたキープアライブ信号を、所定の周期で受信できたか否かによりスードワイヤ3−3上に障害が発生したか否かを判定する。
【0037】
障害検出部17−1〜17−3は、それぞれ、スードワイヤ3−1〜3−3上で発生した障害を検出した場合、迂回経路設定部19へ、障害が発生したことを示す信号及び障害が発生したスードワイヤの識別番号を通知する。
また、障害検出部17−1〜17−3は、それぞれ、障害が発生していたスードワイヤが正常な状態に戻ったことを検知した場合、正常な状態に戻ったことを示す信号及び障害から復旧したスードワイヤの識別番号を通知する。
【0038】
シグナリング処理部18は、MPLSネットワーク内の各エッジルータ及び各コアルータに対して、MPLSトンネル用のラベル及びスードワイヤ用のPWラベルを設定させるためのシグナリング処理を実行する。シグナリング処理部18は、例えば、ラベル配布プロトコル(Label Distribution Protocol、LDP)またはボーダーゲートウェイプロトコル(Border Gateway Protocol、BGP)などのシグナリングプロトコルに従って、シグナリング処理を実行する。また、シグナリング処理部18は、シグナリングプロトコルに従って、他のエッジルータまたはコアルータと交換されるメッセージを、通信システム1が実装されたIPネットワークへ出力し、あるいはIPネットワークから受信する。
【0039】
迂回経路設定部19は、エッジルータ2−1と接続される何れかのスードワイヤ上で障害が発生したときに、他のスードワイヤを経由する迂回用の仮想通信回線を設定する。
そこで迂回経路設定部19は、迂回用の仮想通信回線の設定を他のエッジルータに依頼するための転送禁止解除メッセージの一例であるスプリットホライズン解除メッセージを生成する。そして迂回経路設定部19は、障害が発生したスードワイヤについてのピアルータ以外のエッジルータに対して、スプリットホライズン解除メッセージをIPネットワークを介して送信する。これにより、迂回経路設定部19は、他のエッジルータに、ユーザネットワーク4−1からエッジルータ2−1に入力されたMACフレームに対するスプリットホライズンを解除させることで、迂回用の仮想通信回線を設定させる。
【0040】
一方、迂回経路設定部19は、エッジルータ2−1以外のエッジルータがMPLSパケットの交換に使用するスードワイヤで障害が発生した場合、他のエッジルータからIPネットワークを介してスプリットホライズン解除メッセージを受信する。そして迂回経路設定部19は、障害が発生したスードワイヤと接続されたエッジルータにユーザネットワークから入力されたパケットに対するスプリットホライズンを解除するようにフィルタテーブルを修正することにより、迂回用の仮想通信回線を設定する。
【0041】
図5は、スプリットホライズン解除メッセージの一例を説明する図である。スプリットホライズン解除メッセージ500は、ホップ数501と、ピアルータ識別番号502と、解除メッセージ送出ルータ識別番号503と、リクエストルータ識別番号504とを含む。
ホップ数501は、迂回用の仮想通信回線の途中に存在するエッジルータの数を表す。例えば、図1において、スードワイヤ3−5に障害が発生したとき、スードワイヤ3−1及び3−3を経由する迂回用の仮想通信回線が形成されたとする。この場合、迂回用の仮想通信回線の途中に存在するエッジルータは、エッジルータ2−1のみであるので、迂回用の仮想通信回線に対するホップ数は1である。また、スードワイヤ3−1、3−2及び3−6を経由する迂回用の仮想通信回線が形成されたとする。この場合、迂回用の仮想通信回線の途中に存在するエッジルータは、エッジルータ2−1とエッジルータ2−3の2台となる。従って、この迂回用の仮想通信回線に対するホップ数は2である。
またホップ数501は、スプリットホライズン解除メッセージ500がエッジルータによって転送される度に、1を減算される。
【0042】
ピアルータ識別番号502は、障害が発生したスードワイヤと接続される二つのエッジルータのうち、迂回用の仮想通信回線の設定を依頼しないエッジルータの識別番号である。なお、障害が発生したスードワイヤと接続される二つのエッジルータのうち、迂回用の仮想通信回線の設定を依頼するエッジルータを以下ではリクエストルータと呼ぶ。また、迂回用の仮想通信回線の設定を依頼しないエッジルータを以下ではピアルータと呼ぶ。
例えば、図1において、スードワイヤ3−5に障害が発生したとき、スードワイヤ3−5と接続される二つのエッジルータ2−2及び2−4のうち、エッジルータ2−2がリクエストルータであるとする。この場合、ピアルータ識別番号502は、エッジルータ2−4の識別番号となる。
【0043】
解除メッセージ送出ルータ識別番号503は、スプリットホライズン解除メッセージ500を送出したエッジルータの識別番号である。したがって、解除メッセージ送出ルータ識別番号503は、エッジルータによって転送される度に、異なる値となる。
例えば、図1において、スードワイヤ3−5に障害が発生したとき、エッジルータ2−2が最初にスプリットホライズン解除メッセージを送出したとする。この場合、解除メッセージ送出ルータ識別番号503は、エッジルータ2−2の識別番号となる。次に、エッジルータ2−1が、エッジルータ2−2からスプリットホライズン解除メッセージを受信し、スプリットホライズン解除メッセージをエッジルータ2−3へ転送したとする。この場合、解除メッセージ送出ルータ識別番号503は、エッジルータ2−1の識別番号となる。
【0044】
リクエストルータ識別番号504は、障害が発生したスードワイヤに対するリクエストルータの識別番号である。言い換えれば、リクエストルータ識別番号504は、スプリットホライズン解除メッセージ500を最初に送出したエッジルータの識別番号である。
例えば、図1において、スードワイヤ3−5に障害が発生したとき、エッジルータ2−2がリクエストルータであるとする。この場合、リクエストルータ識別番号504は、エッジルータ2−2の識別番号となる。
【0045】
図6は、通常時に使用されるスードワイヤにおいて障害が発生したことを検知したエッジルータが迂回用の仮想通信回線の設定を他のエッジルータに依頼する処理の一例を説明する図である。
迂回経路設定部19は、障害検出部17−1〜17−3の何れかから、障害が発生したことを示す信号及び障害が発生したスードワイヤの識別番号を受けとると、迂回用仮想通信回線の設定依頼処理を開始する。そして迂回経路設定部19は、スイッチ部13の転送テーブルから障害が検出されたスードワイヤを転送先とするエントリを全て削除する(オペレーションAA)。
次に、迂回経路設定部19は、自ルータは障害が検出されたスードワイヤに対するリクエストルータか否か判定する(オペレーションAB)。なお、各スードワイヤに対するリクエストルータは、所定の規則に従って予め設定される。例えば、特定のスードワイヤと接続される二つのエッジルータのうち、識別番号の小さい方のエッジルータがリクエストルータに設定される。
自ルータは障害が検出されたスードワイヤに対するリクエストルータでない場合(オペレーションAB:N)、迂回経路設定部19は、迂回用仮想通信回線の設定依頼処理を終了する。このように、障害が検出されたスードワイヤにより接続される二つのエッジルータのうち、一方のみが迂回用仮想通信回線の設定依頼処理を実行することにより、通信システム1は、障害が発生したスードワイヤに対して二重に迂回用仮想通信回線が設定されることを防止できる。
【0046】
一方、自ルータが障害が検出されたスードワイヤに対するリクエストルータである場合(オペレーションAB:Y)、迂回経路設定部19は、試行ホップ数HOPCountを1に初期化する(オペレーションAC)。試行ホップ数HOPCountは、スプリットホライズン解除メッセージに含まれるホップ数となる。
【0047】
迂回経路設定部19は、試行ホップ数HOPCountが、通信システム1に含まれるエッジルータ数Nmaxから1少ない値未満か否か判定する(オペレーションAD)。そして試行ホップ数HOPCountが、(Nmax-1)以上である場合(オペレーションAD:N)、迂回経路設定部19は、迂回用の仮想通信回線は設定されずに、迂回用仮想通信回線の設定依頼処理を終了する。リクエストルータ及びピアルータは、迂回用の仮想通信回線を中継するエッジルータにはならないため、通信システム1においてホップ数が(Nmax-1)以上となるような迂回用の仮想通信回線を設定することはできないためである。
一方、試行ホップ数HOPCountが、(Nmax-1)未満である場合(オペレーションAD:Y)、迂回経路設定部19は、スプリットホライズン解除メッセージの送信先エッジルータを設定する。具体的には、迂回経路設定部19は、対応する設定済みフラグがOFFであるエッジルータの中から送信先エッジルータを設定する(オペレーションAE)。また、迂回経路設定部19は、設定された送信先エッジルータに対応する設定済みフラグをONとし、迂回経路設定部19が有するメモリに設定済みフラグを記憶する。
【0048】
次に、迂回経路設定部19は、自ルータと送信先エッジルータとに接続されるスードワイヤにおいて障害が検出されたか否か判定する(オペレーションAF)。なお、迂回経路設定部19は、障害検出部から、自ルータと送信先エッジルータとに接続されるスードワイヤに対応する識別番号及びそのスードワイヤにおいて障害が発生したことを表す信号を受信していれば、そのスードワイヤにおいて障害が検出されたと判定する。
自ルータと送信先エッジルータを接続するスードワイヤにおいて障害が検出された場合(オペレーションAF:Y)、迂回経路設定部19は、オペレーションAJを実行する。一方、自ルータと送信先エッジルータを接続するスードワイヤにおいて障害が検出されていない場合(オペレーションAF:N)、迂回経路設定部19は、スプリットホライズン解除メッセージを生成する(オペレーションAG)。なお、迂回経路設定部19は、スプリットホライズン解除メッセージに含まれるホップ数を試行ホップ数HOPCountに設定する。また、迂回経路設定部19は、スプリットホライズン解除メッセージに含まれるピアルータ識別番号を、障害が発生したことが検出されたスードワイヤに対するピアルータの識別番号IDpeerとする。さらに、迂回経路設定部19は、スプリットホライズン解除メッセージに含まれる解除メッセージ送出ルータ識別番号及びリクエストルータ識別番号を、自ルータの識別番号IDrequestに設定する。そして迂回経路設定部19は、生成したスプリットホライズン解除メッセージを設定された送信先エッジルータへ送信する(オペレーションAH)。
【0049】
その後、迂回経路設定部19は、送信先エッジルータからIPネットワークを介して解除応答メッセージを受信したか否か判定する(オペレーションAI)。なお、迂回経路設定部19は、オペレーションAHを実行してから、オペレーションAIを実行するまでに、試行ホップ数HOPCountに応じた待機時間を設定してもよい。
迂回経路設定部19は、送信先エッジルータから解除通知メッセージを受信した場合(オペレーションAI:Y)、迂回用の仮想通信回線は設定される。そして、迂回経路設定部19は、このときの試行ホップ数HOPCountを、迂回用の仮想通信回線のホップ数として、迂回経路設定部19が有するメモリに記憶する。その後、迂回経路設定部19は迂回用仮想通信回線の設定依頼処理を終了する。
【0050】
迂回経路設定部19は、送信先エッジルータから解除不可メッセージを受信した場合(オペレーションAI:N)、迂回経路設定部19は、自ルータ及びピアルータ以外の全てのエッジルータは送信先エッジルータに設定されたか否か判定する(オペレーションAJ)。迂回経路設定部19は、エッジルータに対応する設定済みフラグがONになっていれば、そのエッジルータは既に送信先エッジルータに設定されたと判定できる。
何れかのエッジルータが送信先エッジルータに設定されていない場合(オペレーションAJ:N)、迂回経路設定部19は、オペレーションAE〜AJの処理を繰り返す。一方、自ルータ及びピアルータ以外の全てのエッジルータが送信先エッジルータに設定されている場合(オペレーションAJ:Y)、迂回経路設定部19は、試行ホップ数HOPCountを1インクリメントする(オペレーションAK)。また迂回経路設定部19は、自ルータ及びピアルータ以外の全てのエッジルータに対応する設定済みフラグをOFFに設定する。その後、迂回経路設定部19は、オペレーションAD〜AKの処理を繰り返す。
迂回経路設定部19は、複数のスードワイヤについて障害が検出された場合、障害が検出された各スードワイヤごとに上記の処理を実行する。
なお、別な実施形態においては、上記オペレーションAA〜AKの各オペレーションはステップであってもよい。
【0051】
図7及び図8は、スプリットホライズン解除メッセージを受信したエッジルータが迂回用仮想通信回線を設定する処理の一例を説明する図である。
迂回経路設定部19は、スプリットホライズン解除メッセージを受信すると、そのスプリットホライズン解除メッセージに含まれるホップ数は1か否か判定する(オペレーションBA)。
スプリットホライズン解除メッセージに含まれるホップ数が1である場合(オペレーションBA:Y)、迂回経路設定部19は、ピアルータと接続されるスードワイヤにおける障害が検出されたか否か判定する(オペレーションBB)。なお、迂回経路設定部19は、障害検出部から、自ルータとピアルータとに接続されるスードワイヤに対応する識別番号及びそのスードワイヤにおいて障害が発生したことを表す信号を受信していれば、そのスードワイヤにおいて障害が検出されたと判定する。
ピアルータと接続されるスードワイヤにおける障害が検出されたとき(オペレーションBB:Y)、迂回経路設定部19は、解除不可メッセージをスプリットホライズン解除メッセージ送出ルータへ返信する(オペレーションBC)。
【0052】
一方、ピアルータと接続されるスードワイヤにおける障害が検出されなかったとき(オペレーションBB:N)、迂回経路設定部19は、ピアルータと接続されるスードワイヤに対するフレームフィルタ部が有するフィルタテーブルを更新する(オペレーションBD)。具体的には、迂回経路設定部19は、そのフィルタテーブルを、入口識別情報がリクエストルータ識別番号であり、スプリットホライズン解除メッセージ送出ルータと接続されたスードワイヤを介して受信したパケットを透過させるように更新する。
また、迂回経路設定部19は、スプリットホライズン解除メッセージ送出ルータと接続されるスードワイヤに対するフレームフィルタ部が有するフィルタテーブルを更新する(オペレーションBE)。具体的には、迂回経路設定部19は、そのフィルタテーブルを、入口識別情報がピアルータ識別番号であり、ピアルータと接続されたスードワイヤを介して受信したパケットを透過させるように更新する。
そして迂回経路設定部19は、解除通知メッセージをスプリットホライズン解除メッセージ送出ルータへ返信する(オペレーションBF)。
オペレーションBCまたはBFの後、迂回経路設定部19は、迂回用仮想通信回線を設定する処理を終了する。
【0053】
オペレーションBAにてスプリットホライズン解除メッセージに含まれるホップ数が1よりも大きい場合(オペレーションBA:N)、図8に表されるように、迂回経路設定部19はスプリットホライズン解除メッセージの転送先を設定する(オペレーションBG)。具体的には、迂回経路設定部19は、スプリットホライズン解除メッセージの転送先エッジルータを、エッジルータに対応する設定済みフラグがOFFであるエッジルータの中から選択する。ただし、迂回経路設定部19は、リクエストルータ、ピアルータ、スプリットホライズン解除メッセージ送出ルータ及び自ルータは転送先エッジルータに設定しない。これらのエッジルータは、既に障害が発生したスードワイヤを利用しているか、または既に迂回用仮想通信回線の設定に関する処理が実行されているからである。迂回経路設定部19は、転送先エッジルータに対応する設定済みフラグをONにする。そして迂回経路設定部19は、迂回経路設定部19が有するメモリに設定済みフラグを記憶する。
【0054】
次に、迂回経路設定部19は、転送先エッジルータと接続されるスードワイヤにおいて障害が検出されたか否か判定する(オペレーションBH)。
転送先エッジルータと接続されるスードワイヤにおいて障害が検出された場合(オペレーションBH:Y)、迂回経路設定部19は、全てのエッジルータは転送先エッジルータとなったか否か判定する(オペレーションBI)。
そして何れかのエッジルータが転送先エッジルータに設定されたことがない場合(オペレーションBI:N)、迂回経路設定部19は、制御をオペレーションBGへ戻す。一方、全てのエッジルータが転送先エッジルータに設定されている場合(オペレーションBI:Y)、迂回経路設定部19は、オペレーションBCを実行する。
【0055】
また、転送先エッジルータと接続されるスードワイヤにおいて障害が検出されなかった場合(オペレーションBH:N)、迂回経路設定部19は、スプリットホライズン解除メッセージを修正する(オペレーションBJ)。具体的には、迂回経路設定部19は、ホップ数を、受信したスプリットホライズン解除メッセージのホップ数から1減算した値に設定し、解除メッセージ送出ルータ識別情報が自ルータの識別番号となるようにスプリットホライズン解除メッセージを修正する。
そして迂回経路設定部19は、修正されたスプリットホライズン解除メッセージを設定された転送先エッジルータへ送信する(オペレーションBK)。
【0056】
その後、迂回経路設定部19は、転送先エッジルータから解除通知メッセージを受信したか否か判定する(オペレーションBL)。なお、迂回経路設定部19は、オペレーションBKを実行してから、オペレーションBLを実行するまでに、修正されたスプリットホライズン解除メッセージに含まれるホップ数に応じた待機時間を設定してもよい。
迂回経路設定部19は、転送先エッジルータから解除不可メッセージを受信した場合(オペレーションBL:N)、オペレーションBGを実行する。
一方、迂回経路設定部19は、転送先エッジルータから解除通知メッセージを受信した場合(オペレーションBL:Y)、転送先ルータと接続されるスードワイヤに対するフレームフィルタ部が有するフィルタテーブルを更新する(オペレーションBM)。具体的には、迂回経路設定部19は、そのフィルタテーブルを、入口識別情報がリクエストルータ識別番号であり、スプリットホライズン解除メッセージ送出ルータと接続されたスードワイヤを介して受信したパケットを透過させるように更新する。
また、迂回経路設定部19はスプリットホライズン解除メッセージ送出ルータと接続されるスードワイヤに対するフレームフィルタ部が有するフィルタテーブルを更新する(オペレーションBN)。具体的には、迂回経路設定部19は、そのフィルタテーブルを、入口識別情報がピアルータ識別番号であり、転送先ルータと接続されたスードワイヤを介して受信したパケットを透過させるように更新する。
そして迂回経路設定部19は解除通知メッセージをスプリットホライズン解除メッセージ送出ルータへ返信する(オペレーションBO)。
オペレーションBOの後、迂回経路設定部19は、迂回用仮想通信回線を設定する処理を終了する。
なお、別な実施形態においては、上記オペレーションBA〜BOの各オペレーションはステップであってもよい。また、迂回経路設定部19は、オペレーションBD、BE、BFの処理順序を入れ替えてもよい。同様に、迂回経路設定部19は、オペレーションBM、BN、BOの処理順序を入れ替えてもよい。
【0057】
図9は、図1に表された通信システム1が有する仮想通信回線において障害が発生したときの迂回用通信回線の一例を示す図である。図9では、エッジルータ2−2とエッジルータ2−4を接続するスードワイヤ3−5において障害が発生している。このとき、例えば、エッジルータ2−2がリクエストルータとなり、上記の図6に説明される処理を実行する。そしてエッジルータ2−2は、例えば、エッジルータ2−1へ、スプリットホライズン解除メッセージを送信する。この場合、スプリットホライズン解除メッセージに含まれるホップ数は1である。また、ピアルータ識別番号はエッジルータ2−4を表す'4'となる。さらに、解除メッセージ送出ルータ識別番号及びリクエストルータ識別番号はエッジルータ2−2を表す'2'となる。
一方、エッジルータ2−1は、エッジルータ2−2からスプリットホライズン解除メッセージを受信すると、上記の図7及び図8に説明される処理を実行する。これにより、図9において、スードワイヤ3−5に対する迂回用の仮想通信回線として、スードワイヤ3−1からエッジルータ2−1を経由してスードワイヤ3−3を通る仮想通信回線901が設定される。
【0058】
図10(a)〜(c)は、図9に表された迂回用通信回線が設定されたときの迂回用仮想通信回線上のエッジルータ2−1が記憶するフィルタテーブルの一例を示す図である。図10(a)に表されるフィルタテーブル1000は、スードワイヤ3−1へ送出されるパケットに対するフィルタテーブルである。また図10(b)に表されるフィルタテーブル1010は、スードワイヤ3−2へ送出されるパケットに対するフィルタテーブルである。さらに、図10(c)に表されるフィルタテーブル1020は、スードワイヤ3−3へ送出されるパケットに対するフィルタテーブルである。
図4に表されるパケットフィルタフィルタテーブル400と同様に、各フィルタテーブル1000〜1020の左端の列の各欄には、受信したMACフレームが経由したスードワイヤまたはユーザネットワークに対応する識別番号が表される。また、中央の列の各欄には、MACフレームに付加された入口識別情報が表される。そして、右端の列の各欄には、入口識別情報が付加されたMACフレームに対する処理が表される。
【0059】
フィルタテーブル1000の行1001には、スードワイヤ3−3を介して受信し、エッジルータ2−4の識別番号'4'を入口識別情報とするパケットから取り出されたMACフレームは透過されることが規定されている。一方、行1002には、スードワイヤ3−3を介して受信し、入口識別情報としてエッジルータ2−4以外のエッジルータの識別番号が付加されたパケットから取り出されたMACフレームは廃棄されることが規定されている。
同様に、フィルタテーブル1020の行1021には、スードワイヤ3−1を介して受信し、エッジルータ2−2の識別番号'2'を入口識別情報とするパケットから取り出されたMACフレームは透過されることが規定されている。一方、行1022には、スードワイヤ3−1を介して受信し、入口識別情報としてエッジルータ2−2以外のエッジルータの識別番号が付加されたパケットから取り出されたMACフレームは廃棄されることが規定されている。
また、各フィルタテーブル1000〜1020のその他の行には、ユーザネットワーク4−1から受信し、入口識別情報として自ルータであるエッジルータ2−1の識別番号'1'が付加されたMACフレームのみが透過するように規定されている。
【0060】
このように、フィルタテーブル1000〜1020は、障害が発生したスードワイヤ3−5が接続されるエッジルータ2−2または2−4にユーザネットワークから入力されたMACフレームに対するスプリットホライズンが解除されるように規定している。したがって、エッジルータ2−2及び2−4は、それぞれ、スードワイヤ3−1からエッジルータ2−1を経由してスードワイヤ3−3を通る仮想通信回線を通じて互いに通信することができる。
【0061】
図11は、図1に表された通信システム1が有する仮想通信回線において障害が発生したときの迂回用通信回線の他の一例を示す図である。図11では、エッジルータ2−1とエッジルータ2−4を接続するスードワイヤ3−3と、エッジルータ2−2とエッジルータ2−3及びエッジルータ2−4を接続するスードワイヤ3−4及びスードワイヤ3−5において障害が発生している。
このとき、スードワイヤ3−3に関して、例えば、エッジルータ2−1がリクエストルータとなり、上記の図6に説明される処理を実行する。そしてエッジルータ2−1は、例えば、エッジルータ2−3へ、スプリットホライズン解除メッセージを送信する。この場合、スプリットホライズン解除メッセージに含まれるホップ数は1である。また、ピアルータ識別番号はエッジルータ2−4を表す'4'となる。さらに、解除メッセージ送出ルータ識別番号及びリクエストルータ識別番号はエッジルータ2−1を表す'1'となる。
一方、エッジルータ2−3は、エッジルータ2−1からスプリットホライズン解除メッセージを受信すると、上記の図7及び図8に説明される処理を実行する。これにより、図11において、スードワイヤ3−3に対する迂回用の仮想通信回線として、スードワイヤ3−2からエッジルータ2−3を経由してスードワイヤ3−6を通る仮想通信回線1101が設定される。
【0062】
また、スードワイヤ3−4に関して、例えば、エッジルータ2−2がリクエストルータとなり、上記の図6に説明される処理を実行する。そしてエッジルータ2−2は、例えば、エッジルータ2−1へ、スプリットホライズン解除メッセージを送信する。この場合、スプリットホライズン解除メッセージに含まれるホップ数は1である。また、ピアルータ識別番号はエッジルータ2−3を表す'3'となる。さらに、解除メッセージ送出ルータ識別番号及びリクエストルータ識別番号はエッジルータ2−2を表す'2'となる。
一方、エッジルータ2−1は、エッジルータ2−2からスプリットホライズン解除メッセージを受信すると、上記の図7及び図8に説明される処理を実行する。これにより、図11において、スードワイヤ3−4に対する迂回用の仮想通信回線として、スードワイヤ3−1からエッジルータ2−1を経由してスードワイヤ3−2を通る仮想通信回線1102が設定される。
【0063】
さらに、スードワイヤ3−5に関して、例えば、エッジルータ2−2がリクエストルータとなり、上記の図6に説明される処理を実行する。そしてエッジルータ2−2は、例えば、エッジルータ2−1へ、スプリットホライズン解除メッセージを送信する。このとき、スプリットホライズン解除メッセージに含まれるホップ数は1である。また、ピアルータ識別番号はエッジルータ2−4を表す'4'となる。さらに、解除メッセージ送出ルータ識別番号及びリクエストルータ識別番号はエッジルータ2−2を表す'2'となる。しかし、この例では、エッジルータ2−1とエッジルータ2−4とを接続するスードワイヤ3−3にも障害が発生している。そこで、エッジルータ2−1は、図7に説明される処理に従ってエッジルータ2−2に対して解除不可メッセージを送る。エッジルータ2-2では、図6に説明される処理に従って、エッジルータ2−1へ、スプリットホライズン解除メッセージを再度送信する。このとき、スプリットホライズン解除メッセージに含まれるホップ数は、最初のスプリットホライズン解除メッセージに含まれるホップ数に1加算された値、すなわち2である。また、ピアルータ識別番号は、最初のスプリットホライズン解除メッセージと同様に、エッジルータ2−4を表す'4'となる。さらに、解除メッセージ送出ルータ識別番号及びリクエストルータ識別番号も、最初のスプリットホライズン解除メッセージと同様に、エッジルータ2−2を表す'2'となる。エッジルータ2-1は、エッジルータ2−2からこのスプリットホライズン解除メッセージを受信すると、上記の図7及び図8に説明される処理を実行することにより、スプリットホライズン解除メッセージをエッジルータ2−3へ転送する。そしてエッジルータ2−3も、エッジルータ2−1からスプリットホライズン解除メッセージを受信すると、上記の図7及び図8に説明される処理を実行する。これにより、図11において、スードワイヤ3−5に対する迂回用の仮想通信回線として、スードワイヤ3−1、エッジルータ2−1、スードワイヤ3−2、エッジルータ2−3及びスードワイヤ3−6を通る仮想通信回線1103が設定される。
また、エッジルータ2−1からエッジルータ2−3へ転送されるスプリットホライズン解除メッセージに含まれるホップ数は1である。また、ピアルータ識別番号はエッジルータ2−4を表す'4'となる。さらに、解除メッセージ送出ルータ識別番号は、エッジルータ2−1を表す'1'となる。そしてリクエストルータ識別番号はエッジルータ2−2を表す'2'となる。
【0064】
図12(a)〜(c)は、図11に表された迂回用通信回線1101〜1103が設定されたときの迂回用仮想通信回線上のエッジルータ2−1が記憶するフィルタテーブルの一例を示す図である。図12(a)に表されるフィルタテーブル1200は、スードワイヤ3−1へ送出されるパケットに対するフィルタテーブルである。また図12(b)に表されるフィルタテーブル1210は、スードワイヤ3−2へ送出されるパケットに対するフィルタテーブルである。さらに、図12(c)に表されるフィルタテーブル1220は、スードワイヤ3−3へ送出されるパケットに対するフィルタテーブルである。
【0065】
図4に表されるパケットフィルタフィルタテーブル400と同様に、各フィルタテーブル1200〜1220の左端の列の各欄には、受信したMACフレームが経由したスードワイヤまたはユーザネットワークに対応する識別番号が表される。また、中央の列の各欄には、MACフレームに付加された入口識別情報が表される。そして、右端の列の各欄には、入口識別情報が付加されたMACフレームに対する処理が表される。
【0066】
フィルタテーブル1200の行1201には、スードワイヤ3−2を介して受信し、エッジルータ2−3の識別番号'3'または'4'を入口識別情報とするパケットから取り出されたMACフレームは透過されることが規定されている。一方、行1202には、スードワイヤ3−2を介して受信し、入口識別情報としてエッジルータ2−3、2−4以外のエッジルータの識別番号が付加されたパケットから取り出されたMACフレームは廃棄されることが規定されている。
同様に、フィルタテーブル1210の行1211には、スードワイヤ3−1を介して受信し、エッジルータ2−2の識別番号'2'を入口識別情報とするパケットから取り出されたMACフレームは透過されることが規定されている。一方、行1212には、スードワイヤ3−1を介して受信し、入口識別情報としてエッジルータ2−2以外のエッジルータの識別番号が付加されたパケットから取り出されたMACフレームは廃棄されることが規定されている。
また、各フィルタテーブル1200〜1220のその他の行には、ユーザネットワーク4−1から受信し、入口識別情報として自ルータであるエッジルータ2−1の識別番号'1'が付加されたMACフレームのみが透過するように規定されている。
【0067】
図13(a)〜(c)は、図11に表された迂回用通信回線1101〜1103が設定されたときの迂回用仮想通信回線上のエッジルータ2−3が記憶するフィルタテーブルの一例を示す図である。図13(a)に表されるフィルタテーブル1300は、スードワイヤ3−2へ送出されるパケットに対するフィルタテーブルである。また図13(b)に表されるフィルタテーブル1310は、スードワイヤ3−4へ送出されるパケットに対するフィルタテーブルである。さらに、図13(c)に表されるフィルタテーブル1320は、スードワイヤ3−6へ送出されるパケットに対するフィルタテーブルである。
【0068】
図4に表されるパケットフィルタフィルタテーブル400と同様に、各フィルタテーブル1300〜1320の左端の列の各欄には、受信したMACフレームが経由したスードワイヤまたはユーザネットワークに対応する識別番号が表される。また、中央の列の各欄には、MACフレームに付加された入口識別情報が表される。そして、右端の列の各欄には、入口識別情報が付加されたMACフレームに対する処理が表される。
【0069】
フィルタテーブル1300の行1301には、スードワイヤ3−6を介して受信し、エッジルータ2−4の識別番号'4'を入口識別情報とするパケットから取り出されたMACフレームは透過されることが規定されている。一方、行1302には、スードワイヤ3−6を介して受信し、入口識別情報としてエッジルータ2−4以外のエッジルータの識別番号が付加されたMPLSパケットから取り出されたMACフレームは廃棄されることが規定されている。
同様に、フィルタテーブル1320の行1321には、スードワイヤ3−2を介して受信し、エッジルータ2−1の識別番号'1'または'2'を入口識別情報とするMPLSパケットから取り出されたMACフレームは透過されることが規定されている。一方、行1322には、スードワイヤ3−2を介して受信し、入口識別情報としてエッジルータ2−1、2−2以外のエッジルータの識別番号が付加されたMPLSパケットから取り出されたMACフレームは廃棄されることが規定されている。
また、各フィルタテーブル1300〜1320のその他の行には、ユーザネットワーク4−3から受信し、入口識別情報として自ルータであるエッジルータ2−3の識別番号'3'が付加されたMACフレームのみが透過するように規定されている。
【0070】
このように、フィルタテーブル1200〜1020及び1300〜1320は、障害が発生した何れかのスードワイヤと接続されたエッジルータにユーザネットワークから入力されたMACフレームに対するスプリットホライズンが解除されるように規定している。したがって、各エッジルータは、通信システム1上で同時に複数のスードワイヤに障害が発生していても、既設のスードワイヤを利用して設定された迂回用の仮想通信回線を通じて互いに通信することができる。
【0071】
なお、障害が発生しているスードワイヤが復旧し、エッジルータがそのスードワイヤを介してパケットを交換できるようになったとき、障害から復旧したスードワイヤに接続されたエッジルータは、他のエッジルータに迂回用の仮想通信回線を開放させる。
そこで、障害から復旧したスードワイヤに接続されたエッジルータは、他のエッジルータに対して、スプリットホライズン設定メッセージを送信する。このスプリットホライズン設定メッセージは、例えば、図5に表されるスプリットホライズン解除メッセージが持つ情報と同じ情報を持つことができる。ただし、スプリットホライズン設定メッセージが含むホップ数は、開放しようとする迂回用の仮想通信回線のホップ数に設定される。さらにスプリットホライズン設定メッセージは、スプリットホライズン設定メッセージであることを示すフラグを持つ。
そして、スプリットホライズン設定メッセージを受信したエッジルータは、各スードワイヤに対するフィルタテーブルを、スプリットホライズン設定メッセージに基づいて修正する。具体的には、フィルタテーブルは、ピアルータ識別番号またはリクエストルータ識別番号が入口識別情報であり、解除メッセージ送出ルータ識別番号に示されたエッジルータと接続するスードワイヤから受信したパケットが廃棄されるように修正される。
さらに、スプリットホライズン設定メッセージを受信したエッジルータは、ホップ数を1デクリメントするとともに、解除メッセージ送出ルータ識別番号が自ルータの識別番号となるようにスプリットホライズン設定メッセージを修正する。そしてスプリットホライズン設定メッセージを受信したエッジルータは、修正されたスプリットホライズン設定メッセージを他のエッジルータへ転送する。
また障害から復旧したスードワイヤに接続されたエッジルータは、スイッチ部が有する転送テーブルから、迂回用の仮想通信回線を形成するスードワイヤを経由するように指定されたエントリを削除する。
【0072】
以上に説明してきたように、この通信システムでは、何れかのエッジルータが、通常時において使用されるスードワイヤ上で発生した障害を検出したとき、スプリットホライズン解除メッセージを他のエッジルータへ通知する。そしてスプリットホライズン解除メッセージを受信した他のエッジルータは、特定のスードワイヤを介して受信され、障害が発生したスードワイヤに接続されたエッジルータの識別番号を入口識別情報とするMACフレームを転送することを許可する。
これにより、この通信システムは、既存のスードワイヤを利用して、障害が発生したスードワイヤを迂回する仮想通信回線を構築できる。そのため、この通信システムは、予備用の仮想通信回線を別途設定しておく必要がない。したがって、この通信システムに含まれる各エッジルータまたはコアルータは、予備用の仮想通信回線に関する処理を行わなくてよい。その結果、この通信システムは、各エッジルータまたはコアルータに対して要求される処理能力を低減できるので、各エッジルータまたはコアルータのコストを抑制できる。
【0073】
ここに挙げられた全ての例及び特定の用語は、読者が、本発明及び当該技術の促進に対する本発明者により寄与された概念を理解することを助ける、教示的な目的において意図されたものであり、本発明の優位性及び劣等性を示すことに関する、本明細書の如何なる例の構成、そのような特定の挙げられた例及び条件に限定しないように解釈されるべきものである。本発明の実施形態は詳細に説明されているが、本発明の精神及び範囲から外れることなく、様々な変更、置換及び修正をこれに加えることが可能であることを理解されたい。
【0074】
以上説明した実施形態及びその変形例に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
複数のエッジルータを有し、仮想プライベートLANサービスを用いてローカルエリアネットワークサービスを提供する通信システムであって、
前記複数のエッジルータのうちの第1のエッジルータは、
前記第1のエッジルータと前記複数のエッジルータのうちの第2のエッジルータを接続する第1の通信回線を介して前記第1のエッジルータが前記第2のエッジルータと通信可能か否かを判定する障害検出部と、
前記障害検出部により前記第1のエッジルータが前記第1の通信回線を介して前記第2のエッジルータと通信不能であると判定された場合、第2の通信回線を介して前記第1のエッジルータと接続される第3のエッジルータへ、前記第1のエッジルータの識別番号を含む転送禁止解除メッセージを通知する迂回経路設定部と、
前記第1のエッジルータと接続された通信ネットワークから前記第1のエッジルータに入力された第1のデータ信号に、前記第1のエッジルータの識別番号を付す入口識別情報付加部と、
前記第1のエッジルータが前記第1の通信回線を介して前記第2のエッジルータと通信不能である場合、前記第1のデータ信号に含まれる宛先情報が前記第2のエッジルータと接続された通信ネットワーク上に存在する装置を示していると、前記第1のデータ信号をフラッディングするスイッチ部と、
を有し、
前記第3のエッジルータは、
前記第1のエッジルータから前記転送禁止解除メッセージを受信すると、前記第2の通信回線を介して受信した、前記第1のエッジルータの識別番号が付された前記第1のデータ信号を、前記第3のエッジルータを前記複数のエッジルータのうちの前記第1のエッジルータと異なるエッジルータに接続する第3の通信回線へ転送し、一方、前記第2の通信回線を介して受信した、前記第1のエッジルータの識別番号が付されていないデータ信号を廃棄する、
通信システム。
(付記2)
前記転送禁止解除メッセージは、前記第2のエッジルータの識別番号をさらに含み、
前記第3のエッジルータは、前記第1のエッジルータから前記転送禁止解除メッセージを受信すると、前記第3の通信回線を介して受信した、前記第1のエッジルータと接続された通信ネットワーク上に存在する装置を宛先情報として含む第2のデータ信号に前記第2のエッジルータの識別番号が付されている場合、前記第2のデータ信号を前記第2の通信回線へ転送し、一方、前記第3の通信回線を介して受信した前記第2のデータ信号に、前記第2のエッジルータの識別番号が付されていない場合、前記第2のデータ信号を廃棄する、付記1に記載の通信システム。
(付記3)
前記第3の通信回線は、前記第3のエッジルータと前記第2のエッジルータを接続する通信回線である、付記2に記載の通信システム。
(付記4)
前記転送禁止解除メッセージは、前記第1のデータ信号が前記第1のエッジルータから前記第2のエッジルータへ到達するまでに経由するエッジルータの数を表すホップ数をさらに含み、
前記第3のエッジルータは、前記第2のエッジルータと前記第3のエッジルータを接続する通信回線を介して前記第3のエッジルータが前記第2のエッジルータと通信できないときに、前記ホップ数が2以上である前記転送禁止解除メッセージを受信すると、前記転送禁止解除メッセージに含まれる前記ホップ数を1減らし、前記転送禁止解除メッセージを、前記第3の通信回線を介して前記第3のエッジルータと接続される第4のエッジルータへ転送し、
前記第4のエッジルータは、
前記第3のエッジルータから前記転送禁止解除メッセージを受信すると、前記第3の通信回線を介して受信した、前記第1のエッジルータの識別番号が付された前記第1のデータ信号を、前記第4のエッジルータを前記複数のエッジルータのうちの前記第1及び第3のエッジルータと異なるエッジルータに接続する第4の通信回線へ転送し、一方、前記第3の通信回線を介して受信した、前記第1のエッジルータの識別番号が付されていないデータ信号は廃棄する、
付記2に記載の通信システム。
(付記5)
エッジルータであって、
第1の通信回線を介して前記エッジルータと対向するピアルータと通信可能か否かを判定する障害検出部と、
前記障害検出部により前記エッジルータが前記第1の通信回線を介して前記ピアルータと通信不能であると判定された場合、第2の通信回線を介して前記エッジルータと接続され、かつ第3の通信回線を介して前記ピアルータと接続される迂回ルータへ、前記エッジルータの識別番号を含む転送禁止解除メッセージを通知する迂回経路設定部と、
前記エッジルータと接続された通信ネットワークから前記エッジルータに入力されたデータ信号に、前記エッジルータの識別番号を付す入口識別情報付加部と、
前記エッジルータが前記第1の通信回線を介して前記ピアルータと通信不能である場合、前記データ信号に含まれる宛先情報が前記ピアルータと接続された通信ネットワーク上に存在する装置を示していると、前記データ信号をフラッディングするスイッチ部と、
を有するエッジルータ。
(付記6)
仮想プライベートLANサービスを用いてローカルエリアネットワークサービスを提供する通信システムに含まれるエッジルータであって、
前記エッジルータと前記通信システムに含まれる他のエッジルータとを接続する第1の通信回線を介して受信したデータ信号を、前記データ信号に含まれる宛先情報に従って、前記第1の通信回線と異なる第2の通信回線へ転送するスイッチ部と、
前記エッジルータと接続された何れかの通信回線へ転送されるデータ信号を廃棄するか否かを定めたフィルタテーブルに従って、データ信号を送出するかまたは廃棄するフィルタ部と、
前記データ信号が前記通信システムにおいて最初に入力されたエッジルータである入口ルータの識別番号を含む転送禁止解除メッセージを前記第1の通信回線を介して受信すると、前記フィルタテーブルを、前記第1の通信回線を介して受信した、前記入口ルータの識別番号が付された前記データ信号は前記第2の通信回線へ送出され、一方、前記第1の通信回線を介して受信した、前記入口ルータの識別番号が付されていない前記データ信号は廃棄されるように修正する迂回経路設定部と、
を有するエッジルータ。
(付記7)
前記第2の通信回線は、前記エッジルータを、前記データ信号に含まれる宛先情報に示される装置が存在する通信ネットワークと接続された出口ルータと接続する通信回線である、付記6に記載のエッジルータ。
(付記8)
複数のエッジルータを有し、仮想プライベートLANサービスを用いてローカルエリアネットワークサービスを提供する通信システムにおける信号転送方法であって、
前記複数のエッジルータのうちの第1のエッジルータは、
前記第1のエッジルータと前記複数のエッジルータのうちの第2のエッジルータを接続する第1の通信回線を介して前記第1のエッジルータが前記第2のエッジルータと通信可能か否かを判定し、
前記第1のエッジルータが前記第1の通信回線を介して前記第2のエッジルータと通信不能であると判定された場合、第2の通信回線を介して前記第1のエッジルータと接続される第3のエッジルータへ、前記第1のエッジルータの識別番号を含む転送禁止解除メッセージを通知し、
前記第1のエッジルータと接続された通信ネットワークから前記第1のエッジルータに入力された第1のデータ信号に、前記第1のエッジルータの識別番号を付し、
前記第1のエッジルータが前記第1の通信回線を介して前記第2のエッジルータと通信不能である場合、前記第1のデータ信号に含まれる宛先情報が前記第2のエッジルータと接続された通信ネットワーク上に存在する装置を示していると、前記第1のデータ信号をフラッディングし、
前記第3のエッジルータは、
前記第1のエッジルータから前記転送禁止解除メッセージを受信すると、前記第2の通信回線を介して受信した、前記第1のエッジルータの識別番号が付された前記第1のデータ信号を、前記第3のエッジルータを前記複数のエッジルータのうちの前記第1のエッジルータと異なるエッジルータに接続する第3の通信回線へ転送し、一方、前記第2の通信回線を介して受信した、前記第1のエッジルータの識別番号が付されていないデータ信号を廃棄する、
ことを含む信号転送方法。
【符号の説明】
【0075】
1 通信システム
2−1〜2−4 エッジルータ
3−1〜3−6 スードワイヤ
4−1〜4−4 ユーザネットワーク
11 入口識別情報付加部
12 入口識別情報削除部
13 スイッチ部
14−1〜14−3 ラベル付加部
15−1〜15−3 ラベル削除部
16−1〜16−3 フレームフィルタ部
17−1〜17−3 障害検出部
18 シグナリング処理部
19 迂回経路設定部
21〜24 アクセスポート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のエッジルータを有し、仮想プライベートLANサービスを用いてローカルエリアネットワークサービスを提供する通信システムであって、
前記複数のエッジルータのうちの第1のエッジルータは、
前記第1のエッジルータと前記複数のエッジルータのうちの第2のエッジルータを接続する第1の通信回線を介して前記第1のエッジルータが前記第2のエッジルータと通信可能か否かを判定する障害検出部と、
前記障害検出部により前記第1のエッジルータが前記第1の通信回線を介して前記第2のエッジルータと通信不能であると判定された場合、第2の通信回線を介して前記第1のエッジルータと接続される第3のエッジルータへ、前記第1のエッジルータの識別番号を含む転送禁止解除メッセージを通知する迂回経路設定部と、
前記第1のエッジルータと接続された通信ネットワークから前記第1のエッジルータに入力された第1のデータ信号に、前記第1のエッジルータの識別番号を付す入口識別情報付加部と、
前記第1のエッジルータが前記第1の通信回線を介して前記第2のエッジルータと通信不能である場合、前記第1のデータ信号に含まれる宛先情報が前記第2のエッジルータと接続された通信ネットワーク上に存在する装置を示していると、前記第1のデータ信号をフラッディングするスイッチ部と、
を有し、
前記第3のエッジルータは、
前記第1のエッジルータから前記転送禁止解除メッセージを受信すると、前記第2の通信回線を介して受信した、前記第1のエッジルータの識別番号が付された前記第1のデータ信号を、前記第3のエッジルータを前記複数のエッジルータのうちの前記第1のエッジルータと異なるエッジルータに接続する第3の通信回線へ転送し、一方、前記第2の通信回線を介して受信した、前記第1のエッジルータの識別番号が付されていないデータ信号を廃棄する、
通信システム。
【請求項2】
前記転送禁止解除メッセージは、前記第2のエッジルータの識別番号をさらに含み、
前記第3のエッジルータは、前記第1のエッジルータから前記転送禁止解除メッセージを受信すると、前記第3の通信回線を介して受信した、前記第1のエッジルータと接続された通信ネットワーク上に存在する装置を宛先情報として含む第2のデータ信号に前記第2のエッジルータの識別番号が付されている場合、前記第2のデータ信号を前記第2の通信回線へ転送し、一方、前記第3の通信回線を介して受信した前記第2のデータ信号に、前記第2のエッジルータの識別番号が付されていない場合、前記第2のデータ信号を廃棄する、請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記転送禁止解除メッセージは、前記第1のデータ信号が前記第1のエッジルータから前記第2のエッジルータへ到達するまでに経由するエッジルータの数を表すホップ数をさらに含み、
前記第3のエッジルータは、前記第2のエッジルータと前記第3のエッジルータを接続する通信回線を介して前記第3のエッジルータが前記第2のエッジルータと通信できないときに、前記ホップ数が2以上である前記転送禁止解除メッセージを受信すると、前記転送禁止解除メッセージに含まれる前記ホップ数を1減らし、前記転送禁止解除メッセージを、前記第3の通信回線を介して前記第3のエッジルータと接続される第4のエッジルータへ転送し、
前記第4のエッジルータは、
前記第3のエッジルータから前記転送禁止解除メッセージを受信すると、前記第3の通信回線を介して受信した、前記第1のエッジルータの識別番号が付された前記第1のデータ信号を、前記第4のエッジルータを前記複数のエッジルータのうちの前記第1及び第3のエッジルータと異なるエッジルータに接続する第4の通信回線へ転送し、一方、前記第3の通信回線を介して受信した、前記第1のエッジルータの識別番号が付されていないデータ信号は廃棄する、
請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
エッジルータであって、
第1の通信回線を介して前記エッジルータと対向するピアルータと通信可能か否かを判定する障害検出部と、
前記障害検出部により前記エッジルータが前記第1の通信回線を介して前記ピアルータと通信不能であると判定された場合、第2の通信回線を介して前記エッジルータと接続され、かつ第3の通信回線を介して前記ピアルータと接続される迂回ルータへ、前記エッジルータの識別番号を含む転送禁止解除メッセージを通知する迂回経路設定部と、
前記エッジルータと接続された通信ネットワークから前記エッジルータに入力されたデータ信号に、前記エッジルータの識別番号を付す入口識別情報付加部と、
前記エッジルータが前記第1の通信回線を介して前記ピアルータと通信不能である場合、前記データ信号に含まれる宛先情報が前記ピアルータと接続された通信ネットワーク上に存在する装置を示していると、前記データ信号をフラッディングするスイッチ部と、
を有するエッジルータ。
【請求項5】
仮想プライベートLANサービスを用いてローカルエリアネットワークサービスを提供する通信システムに含まれるエッジルータであって、
前記エッジルータと前記通信システムに含まれる他のエッジルータとを接続する第1の通信回線を介して受信したデータ信号を、前記データ信号に含まれる宛先情報に従って、前記第1の通信回線と異なる第2の通信回線へ転送するスイッチ部と、
前記エッジルータと接続された何れかの通信回線へ転送されるデータ信号を廃棄するか否かを定めたフィルタテーブルに従って、データ信号を送出するかまたは廃棄するフィルタ部と、
前記データ信号が前記通信システムにおいて最初に入力されたエッジルータである入口ルータの識別番号を含む転送禁止解除メッセージを前記第1の通信回線を介して受信すると、前記フィルタテーブルを、前記第1の通信回線を介して受信した、前記入口ルータの識別番号が付された前記データ信号は前記第2の通信回線へ送出され、一方、前記第1の通信回線を介して受信した、前記入口ルータの識別番号が付されていない前記データ信号は廃棄されるように修正する迂回経路設定部と、
を有するエッジルータ。
【請求項6】
複数のエッジルータを有し、仮想プライベートLANサービスを用いてローカルエリアネットワークサービスを提供する通信システムにおける信号転送方法であって、
前記複数のエッジルータのうちの第1のエッジルータは、
前記第1のエッジルータと前記複数のエッジルータのうちの第2のエッジルータを接続する第1の通信回線を介して前記第1のエッジルータが前記第2のエッジルータと通信可能か否かを判定し、
前記第1のエッジルータが前記第1の通信回線を介して前記第2のエッジルータと通信不能であると判定された場合、第2の通信回線を介して前記第1のエッジルータと接続される第3のエッジルータへ、前記第1のエッジルータの識別番号を含む転送禁止解除メッセージを通知し、
前記第1のエッジルータと接続された通信ネットワークから前記第1のエッジルータに入力された第1のデータ信号に、前記第1のエッジルータの識別番号を付し、
前記第1のエッジルータが前記第1の通信回線を介して前記第2のエッジルータと通信不能である場合、前記第1のデータ信号に含まれる宛先情報が前記第2のエッジルータと接続された通信ネットワーク上に存在する装置を示していると、前記第1のデータ信号をフラッディングし、
前記第3のエッジルータは、
前記第1のエッジルータから前記転送禁止解除メッセージを受信すると、前記第2の通信回線を介して受信した、前記第1のエッジルータの識別番号が付された前記第1のデータ信号を、前記第3のエッジルータを前記複数のエッジルータのうちの前記第1のエッジルータと異なるエッジルータに接続する第3の通信回線へ転送し、一方、前記第2の通信回線を介して受信した、前記第1のエッジルータの識別番号が付されていないデータ信号を廃棄する、
ことを含む信号転送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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