説明

通信システム、送信装置、及び受信装置

【課題】 より効率的にデータの送受信を行うことができる通信システム、送信装置、及び受信装置を提供する。
【解決手段】 データを送信する送信装置(2、3)と、前記送信装置から送信されるデータを受信する受信装置(2、3)とを備える通信システム(1)であって、前記送信装置は、送信データのデータ部の第1のレベルのビットまたは第2のレベルのビットの数をカウントし、カウントした数に応じて反転処理を行うか否か判定する。反転処理を行う場合、前記送信装置は、送信データのデータ部の各ビットを反転させ、スタートビットを送信する場合のレベルを第3のレベルに設定し、送信する。受信装置は、データを受信し、受信したデータのスタートビットのレベルが前記第3のレベルである場合、前記受信データのデータ部に対して反転処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、通信路を介して双方向に通信を行う通信システム、送信装置、及び受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ICカードに搭載されるICチップの高性能化に伴い、ICチップに記憶されている複数のアプリケーションを実行することができるICカード(携帯可能電子装置)が実用化されている。このようなICカードは、専用のリーダライタ(端末装置)から電源を得て種々の処理を実行する。
【0003】
ICカードとリーダライタとで通信を行う場合、通信路が確立される。即ち、この通信路の一端に携帯可能電子装置が接続されており、通信路の他端に電子処理端末が接続されている。この状態で、通信路に多く電流を流す状態(Highレベル)と、少なく電流を流す、又は電流を流さない状態(Lowレベル)と、を切り替えることにより携帯可能電子装置と電子処理端末との間で2値データの送受信を行う技術が提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−68720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した技術では、例えば、16進法で表現されるデータを2進法に置き換えることにより、データの送受信を行う。データの送受信を行う場合、2進法に置き換えられたデータ部にスタートビット及びストップビットが付加される。
【0006】
装置の送信回路は、2進法で表現されるデータに応じて通信路に電圧を印加する。即ち、送信回路は、2進法の「1」で表現されるビットを送信する場合、通信路にHレベルの電圧を印加する。また、送信回路は、2進法の「0」で表現されるビットを送信する場合、通信路にLレベルの電圧を印加する。これにより、装置の送信回路は、通信路に電流が流れる状態と流れない状態とを切り替える。
【0007】
装置の受信回路は、通信路を流れる電流、または通信路の電圧の状態を測定し、測定した結果を解釈することにより、データを受信する。
【0008】
しかし、上記した技術では、例えば、16進法における「FF」、即ち、2進法における「11111111」などのように、電流を流すビットが多いデータを送信する場合、電力を多く消費するという問題がある。
【0009】
そこで、本発明の目的は、より効率的にデータの送受信を行うことができる通信システム、送信装置、及び受信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態としての通信システムは、データを送信する送信装置と、前記送信装置から送信されるデータを受信する受信装置とを備える通信システムであって、前記送信装置は、送信する送信データのデータ部の第1のレベルのビットまたは第2のレベルのビットの数をカウントするカウント部と、前記カウント部によりカウントした数に基づいて前記送信データのデータ部に対して反転処理を行うか否かを判定する第1の反転判定部と、前記第1の反転判定部により反転処理を行うと判定した場合、前記送信データのデータ部の各ビットを反転させる第1の反転処理部と、前記第1の反転処理部によりビットを反転させた場合、スタートビットを送信する場合のレベルを第3のレベルに設定するスタートビット制御部と、前記送信データを前記受信装置に送信する送信部と、を具備し、前記受信装置は、前記送信装置から送信されるデータを受信する受信部と、前記受信部により受信したデータのスタートビットのレベルが前記第3のレベルである場合、前記受信データのデータ部に対して反転処理を行うと判定する第2の反転判定部と、前記第2の反転判定部により反転処理を行うと判定した場合、前記受信データのデータ部の各ビットを反転させる第2の反転処理部と、具備する。
【0011】
また、本発明の一実施形態としての送信装置は、通信路を介して他の装置にデータを送信する送信装置であって、送信する送信データのデータ部の第1のレベルのビットまたは第2のレベルのビットの数をカウントするカウント部と、前記カウント部によりカウントした数に基づいて前記送信データに対して反転処理を行うか否かを判定する反転判定部と、前記反転判定部により反転処理を行うと判定した場合、前記送信データのデータ部の各ビットを反転させる反転処理部と、前記反転処理部によりビットを反転させた場合、スタートビットを送信する場合のレベルを第3のレベルに設定するスタートビット制御部と、前記送信データを前記通信路により送信する送信部と、を具備する。
【0012】
また、本発明の一実施形態としての受信装置は、通信路を介して他の装置から第1のレベルまたは第2のレベルの複数のビットにより構成されるデータ部を有するデータを受信する受信装置であって、前記通信路を介して他の装置から送信されるデータを受信する受信部と、予め第3のレベルを記憶する記憶部と、前記受信部により受信したデータのスタートビットのレベルが前記記憶部により記憶している前記第3のレベルである場合、前記受信データに対して反転処理を行うと判定する反転判定部と、前記反転判定部により反転処理を行うと判定した場合、前記受信データのデータ部の各ビットを反転させる反転処理部と、を具備する。
【発明の効果】
【0013】
この発明の一形態によれば、より効率的にデータの送受信を行うことができる通信システム、送信装置、及び受信装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に係る通信システム、送信装置、及び受信装置の構成の例を概略的に示す図である。
【図2】図2は、図1に示す通信システム、送信装置、及び受信装置の構成の例を示すブロック図である。
【図3】図3は、図1に示す通信システム、送信装置、及び受信装置の構成の例を説明するための説明図である。
【図4】図4は、図2に示す制御部の有する機能をブロックとして示すブロック図である。
【図5】図5は、通信路を介して送信されるデータの構成例について説明するための説明図である。
【図6】図6は、通信路を介して送信されるデータの一例について説明するための説明図である。
【図7】図7は、変換されたデータの一例について説明するための説明図である。
【図8】図8は、ICカードから端末装置にデータを送信する際の処理について説明するためのフローチャートである。
【図9】図9は、ICカードから送信されるデータを端末装置により受信する際の処理について説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る通信システム、送信装置、及び受信装置について詳細に説明する。
【0016】
図1乃至図3は、本発明の一実施形態に係る通信システム、送信装置、及び受信装置の構成の例を概略的に示す図である。
通信システム1は、電子処理端末(端末装置)2、携帯可能電子装置(ICカード)3、及び通信路4を備えている。端末装置2とICカード3とは、通信路4により接続されている。端末装置2とICカード3とは、通信路4を介して双方向にデータ通信を行う。即ち、この場合、端末装置2は、送信装置及び受信装置として機能する。また、ICカード3も同様に、送信装置及び受信装置として機能する。
【0017】
端末装置2は、内部で通信路4をプルアップしている。また、端末装置2は、通信路4を流れる電流を測定する機能を備えている。
【0018】
ICカード3は、内部で通信路4を任意のタイミングでほぼ0Vの定電流源に短絡させる機能を備えている。ICカード3は、通信路4をほぼ0Vの定電流源に短絡させることにより、通信路4を介して端末装置2から送られる電流を受け取る。
【0019】
ICカード3は、通信路4に接続する定電流源をほぼ0Vの定電流源と、Highレベルの定電流源とで切り替えることにより、端末装置2にデータを送信する。
【0020】
端末装置2は、通信路4の電流を測定することにより、論理「1」と「0」とを判定し、データを受信する。
【0021】
なお、ここでは、通信路4を電流が流れる状態を論理「1」、流れない状態を論理「0」と定義する。即ち、論理「1」のビットは、論理「0」のビットに比べて、送信に多くの電力を消費する。
【0022】
図2に示すように、端末装置2は、制御部21、送信回路22、及び受信回路23を備えている。また、図3に示すように、端末装置2の送信回路22及び受信回路23は、電流測定部24、及び電源25を備えている。
【0023】
制御部21は、送信回路22、及び受信回路23の動作を総合的に制御する。制御部21は、メモリを備えている。メモリは、例えば、ROM、RAM、及び不揮発性メモリなどにより構成される。ROMは、制御用のプログラム、および制御データなどを予め記憶している。また、RAMは、ワーキングメモリとして機能し、制御部21が処理中のデータなどを一時保管する。不揮発性メモリは、本装置の処理結果などを記憶する。
【0024】
電流測定部24は、通信路4の電流を測定する。制御部21は、通信路4に電流が流れていると判定した場合「1」のビットデータを受信する。また、制御部21は、通信路4に電流が流れていないと判定した場合「0」のビットデータを受信する。
【0025】
即ち、端末装置2の受信回路23及び制御部21は、通信路4の電流を測定することにより、通信路4の他端に接続されているICカード3から送信されるデータを受信する。即ち、受信回路23は、受信部として機能する。
【0026】
電源25は、通信路4に電圧を印加する。通信路4に電圧が印加された場合、通信路4に電流が流れる。
【0027】
端末装置2の送信回路22は、送信部として機能する。送信回路22は、制御部21から入力されるデータに基づいて通信路4に電圧を印加する。通信路4は、送信回路22によりHレベルの電圧(高電圧)が印加される場合、電流が流れる状態となる。また、通信路4は、送信回路22によりLレベルの電圧(低電圧)が印加される場合、電流が流れない状態となる。
【0028】
送信回路22は、「1」のビットデータを送信する場合、通信路4にHレベルの電圧を印加する。また、送信回路22は、「0」のビットデータを送信する場合、通信路4にLレベルの電圧を印加する。
【0029】
即ち、端末装置2の送信回路22及び制御部21は、送信するデータに基づいて通信路4に電流を流す状態と電流を流さない状態とを切り替える。これにより、送信回路22及び制御部21は、通信路4の他端に接続されているICカード3にデータを送信する。
【0030】
また、図2に示すように、ICカード3は、制御部31、送信回路32、及び受信回路33を備えている。図3に示すように、ICカード3の送信回路32及び受信回路33は、電流測定部34、定電流源35、及び定電流源36を備えている。
【0031】
制御部31は、送信回路32、及び受信回路33の動作を総合的に制御する。制御部31は、メモリを備えている。メモリは、例えば、ROM、RAM、及び不揮発性メモリなどにより構成される。ROMは、制御用のプログラム、および制御データなどを予め記憶している。また、RAMは、ワーキングメモリとして機能し、制御部31が処理中のデータなどを一時保管する。不揮発性メモリは、本装置の処理結果などを記憶する。
【0032】
電流測定部34は、通信路4の電流を測定する。制御部31は、通信路4に電流が流れていると判定した場合「1」のビットデータを受信する。また、制御部31は、通信路4に電流が流れていないと判定した場合「0」のビットデータを受信する。
【0033】
即ち、ICカード3の受信回路33及び制御部31は、通信路4の電流を測定することにより、通信路4の他端に接続されている端末装置2から送信されるデータを受信する。即ち、受信回路33は、受信部として機能する。
【0034】
定電流源35は、ほぼ0V(Lレベル)の定電流源である。定電流源36は、定電流源35より大きいHレベルの定電流源である。
【0035】
ICカード3の送信回路32は、送信部として機能する。送信回路32は、制御部31から入力されるデータに基づいてスイッチ37を制御することにより、通信路4と接続する定電流源を定電流源35と定電流源36とで切り替える。
【0036】
通信路4は、定電流源35が接続される場合、電流が流れない状態となる。また、通信路4は、定電流源36が接続される場合、電流が流れる状態となる。
【0037】
送信回路32は、「1」のビットデータを送信する場合、スイッチ37を制御し、定電流源36を通信路4に接続する。また、送信回路32は、「0」のビットデータを送信する場合、スイッチ37を制御し、定電流源35を通信路4に接続する。
【0038】
即ち、ICカード3の送信回路32及び制御部31は、送信するデータに基づいて通信路4に電流を流す状態と電流を流さない状態とを切り替える。これにより、送信回路32及び制御部31は、通信路4の他端に接続されている端末装置2にデータを送信する。
【0039】
図4は、図2に示す制御部21、及び31の有する機能をブロックとして示すブロック図である。
図4に示すように、制御部21及び31は、送受信制御部51、カウント部52、判定部53、反転制御部54、反転処理部55、及びスタートビット制御部56を備えている。制御部21及び31は、上記の機能ブロックを用いて種々の処理を実現することができる。
【0040】
送受信制御部51は、データの送受信を行う場合に送信回路22及び32、並びに、受信回路23及び33の制御を行う。即ち、送受信制御部51は、送信するデータに基づいて送信回路22及び32を制御する。また、送受信制御部51は、データを受信する場合、受信回路23及び33を受信可能な状態に移行させるように制御する。
【0041】
カウント部52は、送信するデータのデータ部のビットのチェックを行い、論理「1」のビットの数と論理「0」のビットの数の何れかをカウントする。判定部53は、カウント部52によるカウントの結果に基づいて判定処理を行う。
【0042】
反転制御部54は、判定部53による判定結果に基づいて、送信するデータに対して反転処理を行うか否かの判断を行う。また、反転制御部54は、受信したデータのスタートビットの値に基づいて、受信データに対して反転処理を行うか否かの判断を行う。
【0043】
反転処理部55は、反転制御部54の制御に基づいて、ビットの反転処理を行う。スタートビット制御部56は、送信するデータの論理に基づいてスタートビットの値を制御する。
【0044】
図5は、図1に示す通信路4を介して送信されるデータの構成例について説明するための説明図である。
送信データは、ビットを最小単位とする。複数のビットにより1フレーム(1バイト)のデータが構成される。端末装置2及びICカード3は、このフレーム毎にデータの送受信を行う。
【0045】
図5に示すように、1フレームのデータは、スタートビット(start)、複数のデータビット(Data)、パリティビット(Parity)、及びストップビット(Stop)により構成される。
【0046】
スタートビットは、送信するデータの前に付加されるビットである。スタートビットは、1ビットであり、上記のスタートビット制御部56により決定されるデータである。データの送信が行われない場合、通信路4は、マーク状態、即ち、論理「1」の状態に維持される。端末装置2及びICカード3は、所定のレベルの電圧値または電流値を1単位時間(1etu)の間計測した場合、スタートビットを受信したと判定する。これにより、端末装置2及びICカード3は、データの送信の開始を検出する。
【0047】
データビット(データ部)は、送信するデータを表現するためのビットである。例えば、8ビット、または7ビットにより構成される。
【0048】
パリティビットは、誤り検出に用いられるビットである。端末装置2及びICカード3には、予め奇数パリティと偶数パリティとの何れかが設定されている。
【0049】
端末装置2及びICカード3において、奇数パリティが設定されている場合、送信側の装置は、データ中の論理「1」の個数が常に奇数になるように、パリティビットの「0」と「1」とを切り替える。
【0050】
また、端末装置2及びICカード3において、偶数パリティが設定されている場合、送信側の装置は、データ中の論理「1」の個数が常に偶数になるように、パリティビットの「0」と「1」とを切り替える。
【0051】
受信側の装置は、受信したデータの論理「1」の数をカウントし、送信中のエラーを検出する。即ち、受信側の装置は、奇数パリティが設定されている場合、受信したデータの論理「1」の数が偶数である場合、エラーを検出する。また、受信側の装置は、偶数パリティが設定されている場合、受信したデータの論理「1」の数が奇数である場合、エラーを検出する。
【0052】
ストップビットは、送信するデータの最後に付加されるビットである。ストップビットは、1乃至2ビットであり、論理「1」のデータである。端末装置2及びICカード3は、ストップビットにより1フレームのデータの終わりを検知することができる。
【0053】
また、後続のデータが存在しない場合、通信路4は、再びマーク状態、即ち、論理「1」の状態(第1のレベル)に維持される。
【0054】
図6は、通信路4を介して送信されるデータの一例について説明するための説明図である。なお、この送信データは、Least Significant Bit(LSB)ファースト方式で送信されるものとする。
なお、以下、ICカード3から端末装置2にデータを送信する例を仮定して説明する。しかし、端末装置2からICカード3にデータを送信する場合においても同様の処理により本発明を適用することができる。
【0055】
図6に示すように、送信データは、データ部が「11011110」である。即ち、図6に示す送信データは、16進法における「DEh」のデータである。
【0056】
制御部31は、送信データを一時的に送信バッファ(バッファメモリ)に格納する。制御部31は、送信データのデータ部を構成するビットをチェックする。即ち、制御部31のカウント部52は、送信するデータの2値のいずれかの値のビットの数をカウントする。本実施形態では、カウント部52は、電力消費の多いビット、即ち論理「1」のビットの数をカウントする。
【0057】
判定部53は、カウント部52によりカウントした数が、1フレームのデータのデータ部のビット数の半数を超えているか否かを判定する。例えば、データ部が8ビットである場合、判定部53は、論理「1」のビットの数が5ビット以上存在するか否か判定する。また、例えば、データ部が7ビットである場合、判定部53は、論理「1」のビットの数が4ビット以上存在するか否か判定する。
【0058】
反転制御部54は、判定部53の判定結果に基づいて、送信するデータに対して反転処理を行うか否かを判断する。例えば、論理「1」のビットの数がデータ部のビット数の半数を超えていると判定した場合、反転制御部54は、送信するデータに対して反転処理を行うように制御する。
【0059】
反転処理部55は、送信するデータのデータ部の各ビットを反転させる反転処理を行う。反転処理部55は、データを負論理に変換する処理を行う。データ部が「11011110」であるデータに対して反転処理を行う場合、反転処理部55は、送信バッファのデータのデータ部の各ビットを反転し、「00100001」というデータに変換する。
【0060】
スタートビット制御部56は、送信するデータの正論理と負論理とに基づいて、スタートビットの値を制御する。
例えば、正論理のデータを送信する場合、スタートビット制御部56は、スタートビットの値を従来と同様に0V(第2のレベル)に設定する。即ち、スタートビット制御部56は、正論理のスタートビットを送信する場合、1つのビット送信する単位時間(1etu)の間、通信路4の電圧が0Vになるように送信回路22及び32を制御する。
【0061】
また、例えば、反転制御部54により反転処理を行うと判定した場合、スタートビット制御部56は、スタートビットの値をaボルト(V)(第3のレベル)に設定する。即ち、スタートビット制御部56は、上記の反転処理が施された負論理のデータのスタートビットを送信する場合、1etuの間、通信路4の電圧がaVになるように送信回路22及び32を制御する。
【0062】
なお、第3のレベルは、論理「1」のビットを送信する電圧値または電流値(第1のレベル)及び論理「0」のビットを送信する電圧値または電流値(第2のレベル)と異なる値であれば如何なる値であってもよい。
【0063】
上記した処理により、図6に示すデータは、図7に示すようなデータに変換される。
【0064】
図7は、変換されたデータの一例について説明するための説明図である。
図7に示すように、送信データは、スタートビットの電圧値がaVであり、データ部が「00100001」である。
【0065】
受信回路23によりデータを受信する場合、制御部21は、スタートビットの値に応じてデータ部が正論理であるか負論理であるかを判定する。即ち、制御部21の反転制御部54は、スタートビットの値をチェックする。スタートビットの値が0Vである場合、反転制御部54は、データ部の各ビットが正論理であると判断する。この場合、制御部21は、受信したデータをそのまま解釈する。
【0066】
なお、この為に、制御部21の反転制御部54は、第1のレベル、第2のレベル、及び第3のレベルに相当する電流値または電圧値をそれぞれ記憶するメモリ(記憶部)を備えている。反転制御部54は、受信したデータのスタートビットの値と記憶している各レベルの値とを比較することにより、スタートビットのレベルを判定する。
【0067】
また、スタートビットの値がaVである場合、反転制御部54は、データ部の各ビットが負論理であると判断する。この場合、反転制御部54は、反転処理部55によりデータ部の各ビットを反転するように制御する。制御部21は、反転処理部55に反転処理を施したデータの解釈を行う。
【0068】
図7に示すデータを受信した場合、制御部21は、データ部「00100001」に対して反転処理を施し、「11011110」というデータを取得する。制御部21は、「11011110」を読むことにより、受信したデータが「DEh」であると認識する。
【0069】
上記したように、電力を多く消費する論理「1」のビットを論理「0」のビットに置き換えてデータの送受信を行う事により、論理「1」が多く存在するデータの送受信に要する電力消費を抑えることができる。
【0070】
図8は、ICカード3から端末装置2にデータを送信する際の処理について説明するためのフローチャートである。なお、ICカード3から端末装置2にデータを送信する例を仮定して説明するが、端末装置2からICカード3にデータを送信する場合においても同様の処理により本発明を適用することができる。また、ここではデータ部が8ビットにより構成される例について説明する。
【0071】
制御部31は、送信データを作成する(ステップS11)。例えば、制御部31は、ICカード3において行った処理の処理結果などを送信データとして送信バッファに格納する。
【0072】
制御部31は、データ部のビットにおいて、論理「1」のビットの数が5ビット以上存在するか否か判定する(ステップS12)。即ち、制御部31は、送信データのデータ部を構成するビットをチェックし、論理「1」であるビットの個数をカウントする。制御部31は、カウントした数が、データ部のビット数の半数以上である5ビットを超えているか否かを判定する。
【0073】
制御部31は、論理「1」のビットの数が5ビット以上存在すると判定した場合(ステップS12、YES)、データ部の各ビットを反転させる(ステップS13)。例えば、図6に示すように、データ部が「11011110」であるデータを送信する場合、制御部31は、データ部に「00100001」を置き換える。また、制御部31は、スタートビットを「a」に設定する(ステップS14)。これにより、制御部31は、スタートビットを送信する場合、通信路4の電圧値をaVにするように制御を行う。
【0074】
制御部31は、論理「1」のビットの数が5ビット以上存在しないと判定した場合(ステップS12、NO)、スタートビットに「0」を置く(ステップS15)。
【0075】
制御部31は、送信回路32により、送信バッファに格納されているデータを端末装置2に送信する(ステップS16)。
【0076】
図9は、ICカード3から送信されるデータを端末装置2により受信する際の処理について説明するためのフローチャートである。
【0077】
端末装置2の制御部21は、受信回路23によりデータを受信する(ステップS21)。例えば、制御部21は、受信したデータを受信バッファに格納する。
【0078】
端末装置2の制御部21は、データを受信した場合、スターとビットが「a」であるか否かを判定する(ステップS22)。即ち、制御部21は、aVの電圧値を1etuだけ計測したか否か判定する。スタートビットが「a」である場合、制御部21は、後続のデータ部が負論理のデータであると認識する。また、反転ビットが「0」である場合、制御部21は、後続のデータ部が正論理のデータであると認識する。
【0079】
スタートビットが「a」であると判定した場合(ステップS22、YES)、制御部21は、データ部の各ビットを反転させる(ステップS23)。例えば、図7に示すように、データ部が「00100001」であるデータを受信した場合、制御部21は、データ部のデータを「11011110」に置き換える。
【0080】
制御部31は、受信バッファに格納されているデータを読み取り(ステップS24)、受信したデータを認識する。
【0081】
上記したように、送信側の装置は、送信するデータのデータ部の論理「1」のビットの数がデータ部のビット数の過半数を上回る場合、データ部の各ビットを反転させる。また、送信側の装置は、ビットを反転させたことを示す為に、スタートビットの値を「a」に設定する。
【0082】
受信側の装置は、スタートビットが「a」であるか「0」であるかをチェックする。受信側の装置は、スタートビットが「a」である場合、データ部の各ビットを反転させて読み取る。これにより、電力を多く消費するビットの数を減らすことができる。
【0083】
この結果、より効率的にデータの送受信を行うことができる通信システム、送信装置、及び受信装置を提供することができる。
【0084】
なお、上記した実施形態では、1バイト(8ビット)のデータ毎にデータ部の各ビットを反転させる構成として説明したが、この構成に限定されない。例えば、1ブロック(256ビット)のデータ毎にデータ部の各ビットを反転させるなど、1バイトを最小単位とする長さであれば如何なる長さで区切ってもよい。
【0085】
また、上記の実施形態では、データをLSBにより送信する例について説明したが、Most Significant Bit(MSB)によりデータを送信する場合でも、本発明を同様に実施することができる。
【0086】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具現化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0087】
1…通信システム、2…端末装置、3…ICカード、4…通信路、21…制御部、22…送信回路、23…受信回路、24…電流測定部、25…電源、31…制御部、32…送信回路、33…受信回路、34…電流測定部、35…定電流源、36…定電流源、37…スイッチ、51…送受信制御部、52…カウント部、53…判定部、54…反転制御部、55…反転処理部、56…スタートビット制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを送信する送信装置と、前記送信装置から送信されるデータを受信する受信装置とを備える通信システムであって、
前記送信装置は、
送信する送信データのデータ部の第1のレベルのビットまたは第2のレベルのビットの数をカウントするカウント部と、
前記カウント部によりカウントした数に基づいて前記送信データのデータ部に対して反転処理を行うか否かを判定する第1の反転判定部と、
前記第1の反転判定部により反転処理を行うと判定した場合、前記送信データのデータ部の各ビットを反転させる第1の反転処理部と、
前記第1の反転処理部によりビットを反転させた場合、スタートビットを送信する場合のレベルを第3のレベルに設定するスタートビット制御部と、
前記送信データを前記受信装置に送信する送信部と、
を具備し、
前記受信装置は、
前記送信装置から送信されるデータを受信する受信部と、
前記受信部により受信したデータのスタートビットのレベルが前記第3のレベルである場合、前記受信データのデータ部に対して反転処理を行うと判定する第2の反転判定部と、
前記第2の反転判定部により反転処理を行うと判定した場合、前記受信データのデータ部の各ビットを反転させる第2の反転処理部と、
を具備することを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記カウント部は、第1のレベルと第2のレベルとで電力消費の多いレベルのビットの数をカウントすることを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記第1の反転判定部は、前記カウント部によりカウントした数が前記データ部のビット数の半数を超える場合に反転処理を行うと判定することを特徴とする請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
通信路を介して他の装置にデータを送信する送信装置であって、
送信する送信データのデータ部の第1のレベルのビットまたは第2のレベルのビットの数をカウントするカウント部と、
前記カウント部によりカウントした数に基づいて前記送信データに対して反転処理を行うか否かを判定する反転判定部と、
前記反転判定部により反転処理を行うと判定した場合、前記送信データのデータ部の各ビットを反転させる反転処理部と、
前記反転処理部によりビットを反転させた場合、スタートビットを送信する場合のレベルを第3のレベルに設定するスタートビット制御部と、
前記送信データを前記通信路により送信する送信部と、
を具備することを特徴とする送信装置。
【請求項5】
通信路を介して他の装置から第1のレベルまたは第2のレベルの複数のビットにより構成されるデータ部を有するデータを受信する受信装置であって、
前記通信路を介して他の装置から送信されるデータを受信する受信部と、
予め第3のレベルを記憶する記憶部と、
前記受信部により受信したデータのスタートビットのレベルが前記記憶部により記憶している前記第3のレベルである場合、前記受信データに対して反転処理を行うと判定する反転判定部と、
前記反転判定部により反転処理を行うと判定した場合、前記受信データのデータ部の各ビットを反転させる反転処理部と、
を具備することを特徴とする受信装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−239437(P2010−239437A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−85886(P2009−85886)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】