通信システム、通信プログラム及び通信方法
【課題】ネットワークの輻輳状態が発生した場合においても、その輻輳状態を回避し、通信可能とすることを目的とする。
【解決手段】携帯電話1が直接通信可能な通信範囲内の中継アンテナ2が輻輳状態である場合、携帯電話1は通信範囲にある他の携帯端末1を介して、通信範囲外にある輻輳状態でない中継アンテナ2へ接続する中継ネットワークを構築する。そして、携帯電話1は、構築した中継ネットワークを介して、相手先端末と通信する。
【解決手段】携帯電話1が直接通信可能な通信範囲内の中継アンテナ2が輻輳状態である場合、携帯電話1は通信範囲にある他の携帯端末1を介して、通信範囲外にある輻輳状態でない中継アンテナ2へ接続する中継ネットワークを構築する。そして、携帯電話1は、構築した中継ネットワークを介して、相手先端末と通信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ネットワークの輻輳回避技術に関する。
【背景技術】
【0002】
地震等の災害が発生した場合、災害の発生場所へ大量の呼が集中し、通信の許容量を超え通信に支障が発生してしまう、いわゆるネットワークの輻輳状態が発生する。これに対して、災害用伝言ダイヤルや災害用伝言板サービス等を設け、呼の集中を回避している。
ネットワークの輻輳状態は、災害の発生地以外にも、花火大会のようなイベント等、人が多く集まる場所においても発生している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−288991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、災害用伝言ダイヤルや災害用伝言板サービス等を設けても、依然としてネットワークの輻輳状態は発生してしまい、必要な通信ができない状態となっている。
この発明は、ネットワークの輻輳状態が発生した場合においても、その輻輳状態を回避し、通信可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明に係る通信システムは、
複数の中継アンテナと、複数の携帯端末とを備える通信システムであり、
前記複数の携帯端末のうちの第1携帯端末は、
直接通信可能な範囲である第1通信範囲内の第1中継アンテナを検索する第1アンテナ検索部と、
前記第1通信範囲内の第1中継アンテナを前記第1アンテナ検索部が発見できなかった場合、自己を特定する第1特定情報を前記第1通信範囲内へ発信する第1特定情報発信部と
を備え、
前記第1特定情報発信部が発信した第1特定情報を受信した携帯端末である第2携帯端末は、
直接通信可能な範囲である第2通信範囲内の第2中継アンテナを検索する第2アンテナ検索部と、
前記第2通信範囲内の第2中継アンテナを前記第2アンテナ検索部が発見した場合、前記第1特定情報から特定される第1携帯端末へ、自己を特定する第2特定情報を送信する第2特定情報送信部と
を備え、
前記第1携帯端末は、さらに、
前記第2特定情報送信部が送信した第2特定情報を受信すると、受信した前記第2特定情報から特定される前記第2携帯端末へ通信の相手先端末を宛先とした通信データを送信する第1データ送信部
を備え、
前記第2携帯端末は、さらに、
前記第1データ送信部が送信した通信データを、前記第2中継アンテナを介して前記相手先端末へ送信する第2データ送信部
を備えることを特徴とする。
【0006】
前記第2特定情報送信部は、前記第2通信範囲内の第2中継アンテナを前記第2アンテナ検索部が発見した場合、さらに、前記第1特定情報を宛先情報とし、前記第2特定情報を経由情報として、前記宛先情報及び前記経由情報を前記第2中継アンテナへ送信し、
前記第2中継アンテナは、
前記第2特定情報送信部から送信された前記宛先情報である前記第1特定情報から特定される第1携帯端末を宛先として送信された通信データを、前記経由情報である前記第2特定情報から特定される第2携帯端末へ送信する第2アンテナ送信部
を備え、
前記第2データ送信部は、前記第2アンテナ送信部が送信した通信データを、前記第1携帯端末へ転送する
ことを特徴とする。
【0007】
前記第2携帯端末は、さらに、
前記第2通信範囲内の第2中継アンテナを前記第2アンテナ検索部が発見できなかった場合、前記第2特定情報を前記第2通信範囲内へ発信する第2特定情報発信部
を備え、
前記第2特定情報発信部が発信した前記第2特定情報を受信した携帯端末である第3携帯端末は、
直接通信可能な範囲である第3通信範囲内の第3中継アンテナを検索する第3アンテナ検索部と、
前記第3通信範囲内の第3中継アンテナを前記第3アンテナ検索部が発見した場合、前記第2特定情報から特定される前記第2携帯端末へ、自己を特定する第3特定情報を送信する第3特定情報送信部と
を備え、
前記第2特定情報送信部は、前記第3特定情報送信部が送信した第3特定情報を受信すると、前記第1特定情報から特定される第1携帯端末へ、前記第2特定情報を送信し、
前記第1データ送信部は、前記第2特定情報を受信すると、受信した前記第2特定情報から特定される第2携帯端末へ通信の相手先端末を宛先とした通信データを送信し、
前記第2データ送信部は、前記第1データ送信部が送信した前記通信データを、前記第3特定情報から特定される第3携帯端末へ転送し、
前記第3携帯端末は、さらに、
前記第2データ送信部が転送した前記通信データを、前記第3中継アンテナを介して前記相手先端末へ送信する第3データ送信部
を備えることを特徴とする。
【0008】
前記第3特定情報送信部は、前記第3通信範囲内の第3中継アンテナを前記第3アンテナ検索部が発見した場合、さらに、前記第1特定情報を宛先情報とし、前記第3特定情報を経由情報として、前記宛先情報及び前記経由情報を前記第3中継アンテナへ送信し、
前記第3中継アンテナは、
前記第3特定情報送信部から送信された前記宛先情報である前記第1特定情報から特定される第1携帯端末を宛先として送信された通信データを、前記経由情報である前記第3特定情報から特定される第3携帯端末へ送信する第3アンテナ送信部
を備え、
前記第3データ送信部は、前記第3アンテナ送信部が送信した通信データを、前記第2携帯端末へ転送し、
前記第2データ送信部は、前記第3データ送信部が送信した通信データを、前記第1携帯端末へ転送する
ことを特徴とする。
【0009】
前記第1携帯端末は、さらに、
複数の携帯端末から第2特定情報を受信した場合、第2特定情報を送信した携帯端末の電池残量と、その携帯端末が受信する電波の電波強度と、その携帯端末までの距離との少なくともいずれかに基づき、どの携帯端末へ通信データを送信するかを決定するネットワーク構築部
を備えることを特徴とする。
【0010】
この発明に係る通信プログラムは、
複数の携帯端末用の携帯端末プログラムを備える通信プログラムであり、
前記複数の携帯端末のうちの第1携帯端末の携帯端末プログラムは、
直接通信可能な範囲である第1通信範囲内の第1中継アンテナを検索する第1アンテナ検索処理と、
前記第1通信範囲内の第1中継アンテナを前記第1アンテナ検索処理で発見できなかった場合、第1携帯端末を特定する第1特定情報を前記第1通信範囲内へ発信する第1特定情報発信処理と
をコンピュータに実行させ、
前記第1特定情報発信処理で発信した第1特定情報を受信した携帯端末である第2携帯端末の携帯端末プログラムは、
直接通信可能な範囲である第2通信範囲内の第2中継アンテナを検索する第2アンテナ検索処理と、
前記第2通信範囲内の第2中継アンテナを前記第2アンテナ検索処理で発見した場合、前記第1特定情報から特定される第1携帯端末へ、第2携帯端末を特定する第2特定情報を送信する第2特定情報送信処理と
をコンピュータに実行させ、
前記第1携帯端末の携帯端末プログラムは、さらに、
前記第2特定情報送信処理で送信した第2特定情報を受信すると、受信した前記第2特定情報から特定される前記第2携帯端末へ通信の相手先端末を宛先とした通信データを送信する第1データ送信処理
をコンピュータに実行させ、
前記第2携帯端末の携帯端末プログラムは、さらに、
前記第1データ送信処理で送信した通信データを、前記第2中継アンテナを介して前記相手先端末へ送信する第2データ送信処理
をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0011】
前記第2特定情報送信処理では、前記第2通信範囲内の第2中継アンテナを前記第2アンテナ検索処理で発見した場合、さらに、前記第1特定情報を宛先情報とし、前記第2特定情報を経由情報として、前記宛先情報及び前記経由情報を前記第2中継アンテナへ送信し、
前記通信プログラムは、さらに、複数の中継アンテナ用の中継アンテナプログラムを備え、
前記第2中継アンテナの中継アンテナプログラムは、
前記第2特定情報送信処理で送信された前記宛先情報である前記第1特定情報から特定される第1携帯端末を宛先として送信された通信データを、前記経由情報である前記第2特定情報から特定される第2携帯端末へ送信する第2アンテナ送信処理
をコンピュータに実行させ、
前記第2データ送信処理では、前記第2アンテナ送信処理で送信した通信データを、前記第1携帯端末へ転送する
ことを特徴とする。
【0012】
前記第2携帯端末の携帯端末プログラムは、さらに、
前記第2通信範囲内の第2中継アンテナを前記第2アンテナ検索処理で発見できなかった場合、前記第2特定情報を前記第2通信範囲内へ発信する第2特定情報発信処理
をコンピュータに実行させ、
前記第2特定情報発信処理で発信した前記第2特定情報を受信した携帯端末である第3携帯端末の携帯端末プログラムは、
直接通信可能な範囲である第3通信範囲内の第3中継アンテナを検索する第3アンテナ検索処理と、
前記第3通信範囲内の第3中継アンテナを前記第3アンテナ検索処理で発見した場合、前記第2特定情報から特定される前記第2携帯端末へ、第3携帯端末を特定する第3特定情報を送信する第3特定情報送信処理と
をコンピュータに実行させ、
前記第2特定情報送信処理では、前記第3特定情報送信処理で送信した第3特定情報を受信すると、前記第1特定情報から特定される第1携帯端末へ、前記第2特定情報を送信し、
前記第1データ送信処理では、前記第2特定情報を受信すると、受信した前記第2特定情報から特定される第2携帯端末へ通信の相手先端末を宛先とした通信データを送信し、
前記第2データ送信処理では、前記第1データ送信処理で送信した前記通信データを、前記第3特定情報から特定される第3携帯端末へ転送し、
前記第3携帯端末の携帯端末プログラムは、さらに、
前記第2データ送信処理で転送した前記通信データを、前記第3中継アンテナを介して前記相手先端末へ送信する第3データ送信処理
をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0013】
前記第3特定情報送信処理では、前記第3通信範囲内の第3中継アンテナを前記第3アンテナ検索処理で発見した場合、さらに、前記第1特定情報を宛先情報とし、前記第3特定情報を経由情報として、前記宛先情報及び前記経由情報を前記第3中継アンテナへ送信し、
前記第3中継アンテナの中継アンテナプログラムは、
前記第3特定情報送信処理で送信された前記宛先情報である前記第1特定情報から特定される第1携帯端末を宛先として送信された通信データを、前記経由情報である前記第3特定情報から特定される第3携帯端末へ送信する第3アンテナ送信処理
をコンピュータに実行させ、
前記第3データ送信処理では、前記第3アンテナ送信処理で送信した通信データを、前記第2携帯端末へ転送し、
前記第2データ送信処理では、前記第3データ送信処理で送信した通信データを、前記第1携帯端末へ転送する
ことを特徴とする。
【0014】
前記第1携帯端末は、さらに、
複数の携帯端末から第2特定情報を受信した場合、第2特定情報を送信した携帯端末の電池残量と、その携帯端末が受信する電波の電波強度と、その携帯端末までの距離との少なくともいずれかに基づき、どの携帯端末へ通信データを送信するかを決定する端末決定処理
をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0015】
この発明に係る通信方法は、
複数の中継アンテナと、複数の携帯端末とにおける通信方法であり、
前記複数の携帯端末のうちの第1携帯端末が、直接通信可能な範囲である第1通信範囲内の第1中継アンテナを検索する第1アンテナ検索工程と、
前記第1携帯端末が、前記第1通信範囲内の第1中継アンテナを前記第1アンテナ検索工程で発見できなかった場合、自己を特定する第1特定情報を前記第1通信範囲内へ発信する第1特定情報発信工程と、
前記第1特定情報発信工程で発信した第1特定情報を受信した携帯端末である第2携帯端末が、直接通信可能な範囲である第2通信範囲内の第2中継アンテナを検索する第2アンテナ検索工程と、
前記第2携帯端末が、前記第2通信範囲内の第2中継アンテナを前記第2アンテナ検索工程で発見した場合、前記第1特定情報から特定される第1携帯端末へ、自己を特定する第2特定情報を送信する第2特定情報送信工程と、
前記第1携帯端末が、前記第2特定情報送信工程で送信した第2特定情報を受信すると、受信した前記第2特定情報から特定される前記第2携帯端末へ通信の相手先端末を宛先とした通信データを送信する第1データ送信工程と、
前記第2携帯端末が、前記第1データ送信工程で送信した通信データを、前記第2中継アンテナを介して前記相手先端末へ送信する第2データ送信工程と
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
この発明に係る通信システムでは、通信範囲内に通信可能な中継アンテナがない場合に、通信範囲内にある他の携帯端末を介して、通信範囲外の中継アンテナへ接続する。これにより、ネットワークの輻輳状態が発生し、通信範囲内にあるアンテナが使用できない場合であっても、通信可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】携帯電話の通信の説明図。
【図2】実施の形態1に係る通信システムの構成例を示す図。
【図3】実施の形態1に係る通信システムにおける各携帯電話1の機能を示す機能ブロック図。
【図4】実施の形態1に係る通信システムにおける各中継アンテナ2の機能を示す機能ブロック図。
【図5】実施の形態1に係る通信システムの中継ネットワーク構築処理の動作例を示すフローチャート。
【図6】図5の(S5)で携帯電話1A,B及び中継アンテナ2Bが中継ネットワークを構築する際に、携帯電話1A,B及び中継アンテナ2Bそれぞれが記憶する情報を示す図。
【図7】中継ネットワークを介して通話する通話処理の流れを示すフローチャート。
【図8】実施の形態1に係る通信システムの中継ネットワーク構築処理の動作例を示すフローチャート。
【図9】図8の(S38)で携帯電話1A,B,C及び中継アンテナ2Cが中継ネットワークを構築する際に、携帯電話1A,B,C及び中継アンテナ2Cそれぞれが記憶する情報を示す図。
【図10】図8の(S38)で携帯電話1A,B,C及び中継アンテナ2Cが中継ネットワークを構築する際に、携帯電話1A,B,C及び中継アンテナ2Cそれぞれが記憶する情報の図9とは異なる例を示す図。
【図11】順位付けの例を示す図。
【図12】携帯電話1、中継アンテナ2のハードウェア構成の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
実施の形態1.
図1は、携帯電話(携帯端末の一例)の通信の説明図である。
各携帯電話1は、定期的に自身の位置情報を中継アンテナ2を介して移動体交換局管理装置3へ送信する。そして、移動体交換局管理装置3は、送信された位置情報を携帯電話1毎にデータベース4に記憶しておく。
携帯電話1が他の携帯電話1と通信する場合、発信側の携帯電話1が通信範囲内にある中継アンテナ2を介して移動体交換局管理装置3へ、着信側の携帯電話1を指定した接続要求を送信する。すると、移動体交換局管理装置3は、着信側の携帯電話1の位置情報をデータベース4から取得して、取得した位置情報に応じた中継アンテナ2に対して、着信側の携帯電話1の呼出しをさせる。
【0019】
ここで、例えば、発信側の携帯電話1の通信範囲内にある中継アンテナ2が輻輳状態となり、通信不能状態となると、発信側の携帯電話1は接続要求を送信できず、着信側の携帯電話1と通話することができない。
同様に、着信側の携帯電話1の通信範囲内にある中継アンテナ2が輻輳状態となり、通信不能状態となると、移動体交換局管理装置3が呼出しをさせることができず、発信側の携帯電話1は着信側の携帯電話1と通話することができない。
そこで、実施の形態1では、通信範囲内に通信可能な中継アンテナ2がない場合に、他の携帯電話1を介して通信可能な中継アンテナ2へアクセスすることにより、通信可能とする方法について説明する。
【0020】
図2は、実施の形態1に係る通信システムの構成例を示す図である。
実施の形態1における通信システムは、複数の携帯電話1(ここでは、携帯電話1A,B,C)と、複数の中継アンテナ2(ここでは、中継アンテナ2A,B,C)とを備える。
ここでは、携帯電話1Aは、通信範囲5Aの範囲と直接通信可能であり、通信範囲5A内には中継アンテナ2Aがある。携帯電話1Bは、通信範囲5Bの範囲と直接通信可能であり、通信範囲5B内には中継アンテナ2Bがある。携帯電話1Cは、通信範囲5Cの範囲と直接通信可能であり、通信範囲5C内には中継アンテナ2Cがある。
また、携帯電話1Aの通信範囲5Aには携帯電話1Bがあり、携帯電話1Bの通信範囲5Bには携帯電話1A及び携帯電話1Cがあり、携帯電話1Cの通信範囲5Cには携帯電話1Bがある。
【0021】
図3は、実施の形態1に係る通信システムにおける各携帯電話1の機能を示す機能ブロック図である。
各携帯電話1は、アンテナ検索部11、特定情報発信部12、特定情報送信部13、ネットワーク構築部14、データ送信部15を備える。各機能部については、通信システムの動作の説明と併せて説明する。
【0022】
図4は、実施の形態1に係る通信システムにおける各中継アンテナ2の機能を示す機能ブロック図である。
各中継アンテナ2は、ネットワーク構築部21、アンテナ送信部22を備える。各機能部については、通信システムの動作の説明と併せて説明する。
【0023】
図5は、実施の形態1に係る通信システムの中継ネットワーク構築処理の動作例を示すフローチャートである。
図5では、携帯電話1Aの通信範囲5Aにある中継アンテナ2Aが輻輳状態となっており、他の中継アンテナ2B,Cが通信可能である場合の動作を示す。
【0024】
まず、携帯電話1Aが動作する。
携帯電話1Aのアンテナ検索部11は、通信範囲5A内にある通信可能な中継アンテナ2を検索する(S1:第1アンテナ検索処理)。上述したように、各携帯電話1は、定期的に自身の位置情報を中継アンテナ2を介して移動体交換局管理装置3へ送信する。この際、通信範囲5内にある中継アンテナ2を検索する必要があるが、この動作が(S1)の動作に相当する。ここでは、通信範囲5A内には中継アンテナ2Aが存在するが、上述した通り中継アンテナ2Aは輻輳状態であり、通信不能であるため、アンテナ検索部11は通信可能な中継アンテナ2を発見できない。
(S1)で通信可能な中継アンテナ2を発見できなかった場合、携帯電話1Aの特定情報発信部12は、携帯電話1Aを特定する特定情報Aを通信範囲5A内の全方位へ向けて発信する(S2:第1特定情報発信処理)。ここでは、通信範囲5A内にある携帯電話1Bが、携帯電話1Aから発信された特定情報Aを受信する。なお、特定情報には、携帯電話1のシリアルナンバーや電話番号等の識別情報と、携帯電話1の位置を示す位置情報とが含まれる。
【0025】
すると、特定情報Aを受信した携帯電話1Bが動作する。
携帯電話1Bのアンテナ検索部11は、通信範囲5B内にある通信可能な中継アンテナ2を検索する(S3:第2アンテナ検索処理)。ここでは、アンテナ検索部11は、通信可能な中継アンテナ2として中継アンテナ2Bを発見する。
(S3)で通信可能な中継アンテナ2を発見した場合、携帯電話1Bの特定情報送信部13は、特定情報Aから特定される携帯電話1Aへ、携帯電話1Bを特定する特定情報Bを送信する。また、携帯電話1Bの特定情報送信部13は、特定情報A,Bを中継アンテナ2Bへ送信する(S4:第2特定情報送信処理)。なお、この際、特定情報送信部13は、特定情報Aを宛先情報とし、特定情報Bを経由情報として、中継アンテナ2Bへ送信する。
【0026】
すると、携帯電話1A,B及び中継アンテナ2Bが動作する。
携帯電話1A,B及び中継アンテナ2Bは、特定情報A,Bに基づき、携帯電話1A、携帯電話1B、中継アンテナ2Bの順に接続された中継ネットワークを構築する(S5:中継ネットワーク構築処理)。
【0027】
図6は、図5の(S5)で携帯電話1A,B及び中継アンテナ2Bが中継ネットワークを構築する際に、携帯電話1A,B及び中継アンテナ2Bそれぞれが記憶する情報を示す図である。なお、ここでは、携帯電話1から中継アンテナ2へ向かう流れを上り、中継アンテナ2から携帯電話1へ向かう流れを下りと呼ぶ。
携帯電話1Aのネットワーク構築部14は、上り情報として特定情報Bを記憶する。携帯電話1Bのネットワーク構築部14は、上り情報としてアンテナ情報Bを記憶し、下り情報として特定情報Aを記憶する。中継アンテナ2Bのネットワーク構築部21は、下り情報として、特定情報Aを宛先情報とし、特定情報Bを経由情報として記憶する。
また、中継アンテナ2Bのネットワーク構築部21から移動体交換局管理装置3へ、宛先情報として特定情報Aと、経由情報としてアンテナ情報Bとを送信し、データベース4に記憶させる。
【0028】
図7は、中継ネットワークを介して通話する通話処理の流れを示すフローチャートである。
図7では、図5に基づき説明した処理で構築された中継ネットワークを介して、携帯電話1Aが、他の携帯電話1(携帯電話1A,B以外の携帯電話1、以下「相手先端末」と呼ぶ)と通話する場合の通話処理を示す。ここでは、携帯電話1Aが発信側であり、相手先端末が着信側であるとする。
【0029】
まず、携帯電話1Aが動作する。携帯電話1Aのデータ送信部15は、相手先端末を指定した接続要求を、ネットワーク構築部14が上り情報として記憶した特定情報Bから特定される携帯電話1Bへ送信する(S11:第1接続要求送信処理)。
すると、携帯電話1Bが動作する。携帯電話1Bのデータ送信部15は、(S11)で送信された接続要求を、ネットワーク構築部14が上り情報として記憶したアンテナ情報Bから特定される中継アンテナ2Bへ転送する(S12:第2接続要求送信処理)。
すると、中継アンテナ2Bが動作する。中継アンテナ2Bのアンテナ送信部22は、(S12)で送信された接続要求を、移動体交換局管理装置3へ転送する(S13:アンテナ接続要求送信処理)。移動体交換局管理装置3では、通常接続要求が送信された場合と同様に、相手先端末の位置に応じた中継アンテナ2を特定して、その中継アンテナ2に相手先端末の呼出しをさせる。相手先端末が呼出しに応じた場合には、携帯電話1Aを宛先とした接続許可情報が移動体交換局管理装置3から中継アンテナ2Bへ送信される。
【0030】
移動体交換局管理装置3から送信された接続許可情報は、中継アンテナ2Bが宛先情報として記憶した特定情報Aから特定される携帯電話1Aが宛先として指定されている。そのため、中継アンテナ2Bのアンテナ送信部22は、移動体交換局管理装置3から送信された接続許可情報を、ネットワーク構築部21が下り情報の経由情報として記憶した特定情報Bから特定される携帯電話1Bへ送信する(S14:アンテナ接続許可送信処理)。
すると、携帯電話1Bが動作する。携帯電話1Bのデータ送信部15は、(S14)で送信された接続許可情報を、ネットワーク構築部14が下り情報として記憶した特定情報Aから特定される携帯電話1Aへ転送する(S15:第1接続許可送信処理)。
【0031】
すると、携帯電話1Aが動作する。携帯電話1Aのデータ送信部15は、接続許可情報を受信すると、相手先端末を宛先とした通信データ(通話データ)を、特定情報Bから特定される携帯電話1Bへ送信する(S16:第1データ送信処理)。
すると、携帯電話1Bが動作する。携帯電話1Bのデータ送信部15は、(S16)で送信された通信データを、アンテナ情報Bから特定される中継アンテナ2Bへ転送する(S17:第2データ送信処理)。
すると、中継アンテナ2Bが動作する。中継アンテナ2Bのアンテナ送信部22は、(S17)で送信された通信データを、移動体交換局管理装置3、あるいは相手先端末側の中継アンテナ2へ転送する(S18:アンテナ送信処理)。
すると、通信データが相手先端末へ送信される。
【0032】
また、相手先端末から携帯電話1Aを宛先として通信データが送信される場合もある。
この場合、中継アンテナ2Bのアンテナ送信部22は、相手先端末から送信された通信データを、ネットワーク構築部21が下り情報の経由情報として記憶した特定情報Bから特定される携帯電話1Bへ送信する(S19:アンテナ送信処理)。
すると、携帯電話1Bが動作する。携帯電話1Bのデータ送信部15は、(S19)で送信された通信データを、ネットワーク構築部14が下り情報として記憶した特定情報Aから特定される携帯電話1Aへ転送する(S20:第3データ送信処理)。
すると、携帯電話1Aが動作する。携帯電話1Aのデータ送信部15は、(S20)で送信された通信データを受信する(S21:データ受信処理)。
【0033】
ここでは、携帯電話1Aが発信側であり、相手先端末が着信側である場合を説明した。相手先端末が発信側であり、携帯電話1Aが着信側である場合も考えられる。
この場合、相手先端末から移動体交換局管理装置3へ携帯電話1Aを指定した接続要求が送信される。すると、移動体交換局管理装置3では、指定された携帯電話1Aの特定情報が、(S5)でデータベース4に宛先情報として記憶されているため、その宛先情報に対応する経由情報から中継アンテナ2Bが特定される。そして、中継アンテナ2Bに携帯電話1Aの呼出しをさせる。中継アンテナ2Bは、携帯電話1Bを介して携帯電話1Aを呼出す。携帯電話1Aが呼出しに応じた場合には、相手先端末を宛先とした接続許可情報が移動体交換局管理装置3から相手先端末の中継アンテナ2へ送信される。
その後は、携帯電話1Aが発信側であり、相手先端末が着信側である場合と同様に、図6に示す上り情報に従い、携帯電話1Aから送信された通話データは、携帯電話1B、中継アンテナ2Bの順に経由して相手先端末へ送信される。そして、図6に示す下り情報に従い、相手先端末から送信された通話データは、中継アンテナ2B、携帯電話1Bの順に経由して携帯電話1Aへ送信される。
【0034】
次に、携帯電話1Aの通信範囲5Aにある中継アンテナ2Aと、携帯電話1Bの通信範囲5Bにある中継アンテナ2Bとが輻輳状態となっており、中継アンテナ2Cが通信可能である場合について説明する。
図8は、この場合における中継ネットワーク構築処理の動作例を示すフローチャートである。
【0035】
(S31)から(S33)までの処理は、図5に示す(S1)から(S3)までの処理と同じである。但し、(S33)では、中継アンテナ2Bは輻輳状態であり、通信不能であるため、携帯電話1Bのアンテナ検索部11は通信可能な中継アンテナ2を発見できない。
(S33)で通信可能な中継アンテナ2を発見できなかった場合、携帯電話1Bの特定情報送信部13は、特定情報A,Bを通信範囲5B内の全方位へ向けて発信する(S34:第2特定情報発信処理)。なお、この際、特定情報送信部13は、特定情報Aを宛先情報とし、特定情報Bを経由情報として、発信する。ここでは、通信範囲5B内にある携帯電話1Cが、携帯電話1Bから発信された特定情報A,Bを受信する。
【0036】
すると、特定情報A,Bを受信した携帯電話1Cが動作する。
携帯電話1Cのアンテナ検索部11は、通信範囲5C内にある通信可能な中継アンテナ2を検索する(S35:第3アンテナ検索処理)。ここでは、アンテナ検索部11は、通信可能な中継アンテナ2として中継アンテナ2Cを発見する。
(S35)で通信可能な中継アンテナ2を発見した場合、携帯電話1Cの特定情報送信部13は、特定情報Bから特定される携帯電話1Bへ、携帯電話1Cを特定する特定情報Cを送信する。また、携帯電話1Cの特定情報送信部13は、特定情報A,B,Cを中継アンテナ2Bへ送信する(S36:第3特定情報送信処理)。なお、この際、特定情報送信部13は、特定情報A,Bを宛先情報とし、特定情報Cを経由情報として、中継アンテナ2Cへ送信する。
すると、特定情報Cを受信した携帯電話1Bが動作する。
携帯電話1Bの特定情報送信部13は、特定情報Aから特定される携帯電話1Aへ、特定情報Bを携帯電話1Aへ送信する(S37:第4特定情報送信処理)。
【0037】
そして、携帯電話1A,B,C及び中継アンテナ2Cが動作する。
携帯電話1A,B,C及び中継アンテナ2Cは、特定情報A,B,Cに基づき、携帯電話1A、携帯電話1B、携帯電話1C、中継アンテナ2Cの順に接続された中継ネットワークを構築する(S38:中継ネットワーク構築処理)。
【0038】
図9は、図8の(S38)で携帯電話1A,B,C及び中継アンテナ2Cが中継ネットワークを構築する際に、携帯電話1A,B,C及び中継アンテナ2Cそれぞれが記憶する情報を示す図である。
携帯電話1Aのネットワーク構築部14は、上り情報として特定情報Bを記憶する。携帯電話1Bのネットワーク構築部14は、上り情報として特定情報Cを記憶し、下り情報として特定情報Aを記憶する。携帯電話1Cは、上り情報としてアンテナ情報Cを記憶し、下り情報として特定情報Aを宛先情報とし、特定情報Bを経由情報として記憶する。中継アンテナ2Cのネットワーク構築部21は、下り情報として、特定情報A,Bを宛先情報とし、特定情報Cを経由情報として記憶する。
また、中継アンテナ2Bのネットワーク構築部21から移動体交換局管理装置3へ、宛先情報として特定情報A,Bと、経由情報としてアンテナ情報Bとを送信し、データベース4に記憶させる。
【0039】
図8に基づき説明した処理で構築された中継ネットワークを介して、携帯電話1Aと相手先端末とが通話する場合の通話処理も、原則として図7に基づき説明した通りである。
つまり、携帯電話1Aが発信側となる場合には、携帯電話1Aから送信された接続要求は、図9に示す上り情報に従い、携帯電話1B、携帯電話1C、中継アンテナ2Cの順に経由して移動体交換局管理装置3へ送信される。一方、携帯電話1Aが着信側となる場合には、相手先端末から送信された接続要求は、図9に示す下り情報に従い、中継アンテナ2C、携帯電話1C、携帯電話1Bの順に経由して携帯電話1Aへ送信される。
その後は、携帯電話1Aから送信された通話データは、図9に示す上り情報に従い、携帯電話1B、携帯電話1C、中継アンテナ2Cの順に経由して相手先端末へ送信される。そして、相手先端末から送信された通話データは、図9に示す下り情報に従い、中継アンテナ2C、携帯電話1C、携帯電話1Bの順に経由して携帯電話1Aへ送信される。
【0040】
なお、携帯電話1Bが相手先端末と通話する場合にも、同様に、携帯電話1Bから送信された通話データは、図9に上り情報に従い、携帯電話1C、中継アンテナ2Cの順に経由して相手先端末へ送信される。そして、相手先端末から送信された通話データは、図9に下り情報に従い、中継アンテナ2C、携帯電話1Cの順に経由して携帯電話1Bへ送信される。
【0041】
ここでは、2台又は3台の携帯電話1と中継アンテナ2とで中継ネットワークを構築する例を説明した。しかし、4台以上の携帯電話1と中継アンテナ2とであっても、同様の動作をすることにより、中継ネットワークを構築することができる。
【0042】
以上のように、実施の形態1に係る通信システムでは、携帯電話1が中継アンテナ2と直接通信できない場合に、他の携帯電話1を経由して中継アンテナ2へ接続する中継ネットワークを構築する。これにより、携帯電話1の通信範囲内にある中継アンテナ2が輻輳状態となった場合でも、携帯電話1は相手先端末と通信することができる。
なお、輻輳状態となったことが原因で、携帯電話1が中継アンテナ2と直接通信できない場合だけでなく、携帯電話1の通信範囲内に中継アンテナ2がない場合、すなわち携帯電話1が通信エリア外(圏外)に在る場合にも、携帯電話1は相手先端末と通信することができる。
【0043】
上記説明では、図9に示す情報を各携帯電話1や中継アンテナ2が記憶することで、中継ネットワークを構築した。しかし、図9に示す情報は、最低限の情報であり、さらに多くの情報を各携帯電話1や中継アンテナ2が記憶することで、各携帯電話1や中継アンテナ2が構築された中継ネットワークの全容を把握できるようにしてもよい。
図10は、図8の(S38)で携帯電話1A,B,C及び中継アンテナ2Cが中継ネットワークを構築する際に、携帯電話1A,B,C及び中継アンテナ2Cそれぞれが記憶する情報の図9とは異なる例を示す図である。
ここでは、携帯電話1A,B,C及び中継アンテナ2Cは、中継ネットワークを構成する全ての携帯電話1及び中継アンテナ2の特定情報を記憶する。また、携帯電話1A,B,C及び中継アンテナ2Cは、どの順に携帯電話1を経由して通信データ等を送信するかを示す通信順序情報を記憶する。
これにより、携帯電話1A,B,C及び中継アンテナ2Cでは、中継ネットワークの規模や、中継ネットワーク全体の通信順序を把握することができる。
【0044】
また、上記説明では、特定情報を通信範囲内の全方位へ向けて発信した場合、発信した特定情報を受信するのは1つの携帯電話1だけであった。しかし、実際には、複数の携帯電話1が特定情報を受信する可能性がある。
この場合、例えば、特定情報を受信した各携帯電話1の特定情報送信部13は、特定情報から特定される携帯電話1へ、その携帯電話1の電池残量情報、受信電波の強度情報、位置情報を送信するとしてもよい。そして、特定情報を発信した携帯電話1のネットワーク構築部14は、送信された電池残量情報、受信電波の強度情報、位置情報に基づき、特定情報を受信した各携帯電話1を順位付けして、順位に従いどの携帯電話1と中継ネットワークを構築するか決定してもよい。
図11は、順位付けの例を示す図である。図11では、電池残量が多く、受信電波の強度が強い、位置が近く携帯電話1の順位を高くしている。そして、特定情報を発信した携帯電話1Aは、順位の高い携帯電話1Bを中継ネットワークを構築する携帯電話1として選択する。
例えば、電池残量、受信電波の強度、位置にそれぞれ得点を付け、電池残量、受信電波の強度、位置に付けられた得点の積に応じて順位付けしてもよい。なお、電池残量は残量が多いほど高い得点とし、受信電波の強度は強度が強いほど高い得点とし、位置は近いほど高い得点として、得点の積の値が大きいほど順位を高くすればよい。
【0045】
また、構築された中継ネットワークは、中継ネットワークを介した通信が所定時間以上行われない場合には、解除されるとしてもよい。この場合、中継ネットワークを構築している各携帯電話1のネットワーク構築部14は記憶した情報を消去し、中継アンテナ2のネットワーク構築部21は記憶した情報を消去するとともに、移動体交換局管理装置3に記憶させた情報を消去させる。
なお、中継ネットワークを介した通信が所定時間以上行われない場合ではなく、直接通信可能な中継アンテナ2がなかった携帯電話1に、直接通信可能な中継アンテナ2ができた場合にも、構築された中継ネットワークを解除してもよい。この場合、中継ネットワークが不要になる場合や、中継ネットワークを再構築することで経由数の少ない効率的な中継ネットワークを構築できる可能性がある。
【0046】
次に、実施の形態における携帯電話1、中継アンテナ2のハードウェア構成について説明する。
図12は、携帯電話1、中継アンテナ2のハードウェア構成の一例を示す図である。
図12に示すように、携帯電話1、中継アンテナ2は、プログラムを実行するCPU911(Central・Processing・Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサともいう)を備えている。CPU911は、バス912を介してROM913、RAM914、LCD901(Liquid Crystal Display)、キーボード902(K/B)、通信ボード915、磁気ディスク装置920と接続され、これらのハードウェアデバイスを制御する。磁気ディスク装置920(固定ディスク装置)の代わりに、光ディスク装置、メモリカード読み書き装置などの記憶装置でもよい。磁気ディスク装置920は、所定の固定ディスクインタフェースを介して接続される。
【0047】
磁気ディスク装置920又はROM913などには、オペレーティングシステム921(OS)、ウィンドウシステム922、プログラム群923、ファイル群924が記憶されている。プログラム群923のプログラムは、CPU911、オペレーティングシステム921、ウィンドウシステム922により実行される。
【0048】
プログラム群923には、上記の説明において「アンテナ検索部11」、「特定情報発信部12」、「特定情報送信部13」、「ネットワーク構築部14」、「データ送信部15」、「ネットワーク構築部21」、「アンテナ送信部22」等として説明した機能を実行するソフトウェアやプログラムやその他のプログラムが記憶されている。プログラムは、CPU911により読み出され実行される。
ファイル群924には、上記の説明において「ネットワーク構築部14」が記憶する情報やデータや信号値や変数値やパラメータが、「データベース」の各項目として記憶される。「データベース」は、ディスクやメモリなどの記録媒体に記憶される。ディスクやメモリなどの記憶媒体に記憶された情報やデータや信号値や変数値やパラメータは、読み書き回路を介してCPU911によりメインメモリやキャッシュメモリに読み出され、抽出・検索・参照・比較・演算・計算・処理・出力・印刷・表示などのCPU911の動作に用いられる。抽出・検索・参照・比較・演算・計算・処理・出力・印刷・表示のCPU911の動作の間、情報やデータや信号値や変数値やパラメータは、メインメモリやキャッシュメモリやバッファメモリに一時的に記憶される。
【0049】
また、上記の説明におけるフローチャートの矢印の部分は主としてデータや信号の入出力を示し、データや信号値は、RAM914のメモリ、その他光ディスク等の記録媒体やICチップに記録される。また、データや信号は、バス912や信号線やケーブルその他の伝送媒体や電波によりオンライン伝送される。
また、上記の説明において「〜部」として説明するものは、「〜回路」、「〜装置」、「〜機器」、「〜手段」、「〜機能」であってもよく、また、「〜ステップ」、「〜手順」、「〜処理」であってもよい。また、「〜装置」として説明するものは、「〜回路」、「〜機器」、「〜手段」、「〜機能」であってもよく、また、「〜ステップ」、「〜手順」、「〜処理」であってもよい。さらに、「〜処理」として説明するものは「〜ステップ」であっても構わない。すなわち、「〜部」として説明するものは、ROM913に記憶されたファームウェアで実現されていても構わない。或いは、ソフトウェアのみ、或いは、素子・デバイス・基板・配線などのハードウェアのみ、或いは、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせ、さらには、ファームウェアとの組み合わせで実施されても構わない。ファームウェアとソフトウェアは、プログラムとして、ROM913等の記録媒体に記憶される。プログラムはCPU911により読み出され、CPU911により実行される。すなわち、プログラムは、上記で述べた「〜部」としてコンピュータ等を機能させるものである。あるいは、上記で述べた「〜部」の手順や方法をコンピュータ等に実行させるものである。
【符号の説明】
【0050】
1 携帯電話、2 中継アンテナ、3 移動体交換局管理装置、4 データベース、5 通信範囲、11 アンテナ検索部、12 特定情報発信部、13 特定情報送信部、14 ネットワーク構築部、15 データ送信部、21 ネットワーク構築部、22 アンテナ送信部。
【技術分野】
【0001】
この発明は、ネットワークの輻輳回避技術に関する。
【背景技術】
【0002】
地震等の災害が発生した場合、災害の発生場所へ大量の呼が集中し、通信の許容量を超え通信に支障が発生してしまう、いわゆるネットワークの輻輳状態が発生する。これに対して、災害用伝言ダイヤルや災害用伝言板サービス等を設け、呼の集中を回避している。
ネットワークの輻輳状態は、災害の発生地以外にも、花火大会のようなイベント等、人が多く集まる場所においても発生している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−288991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、災害用伝言ダイヤルや災害用伝言板サービス等を設けても、依然としてネットワークの輻輳状態は発生してしまい、必要な通信ができない状態となっている。
この発明は、ネットワークの輻輳状態が発生した場合においても、その輻輳状態を回避し、通信可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明に係る通信システムは、
複数の中継アンテナと、複数の携帯端末とを備える通信システムであり、
前記複数の携帯端末のうちの第1携帯端末は、
直接通信可能な範囲である第1通信範囲内の第1中継アンテナを検索する第1アンテナ検索部と、
前記第1通信範囲内の第1中継アンテナを前記第1アンテナ検索部が発見できなかった場合、自己を特定する第1特定情報を前記第1通信範囲内へ発信する第1特定情報発信部と
を備え、
前記第1特定情報発信部が発信した第1特定情報を受信した携帯端末である第2携帯端末は、
直接通信可能な範囲である第2通信範囲内の第2中継アンテナを検索する第2アンテナ検索部と、
前記第2通信範囲内の第2中継アンテナを前記第2アンテナ検索部が発見した場合、前記第1特定情報から特定される第1携帯端末へ、自己を特定する第2特定情報を送信する第2特定情報送信部と
を備え、
前記第1携帯端末は、さらに、
前記第2特定情報送信部が送信した第2特定情報を受信すると、受信した前記第2特定情報から特定される前記第2携帯端末へ通信の相手先端末を宛先とした通信データを送信する第1データ送信部
を備え、
前記第2携帯端末は、さらに、
前記第1データ送信部が送信した通信データを、前記第2中継アンテナを介して前記相手先端末へ送信する第2データ送信部
を備えることを特徴とする。
【0006】
前記第2特定情報送信部は、前記第2通信範囲内の第2中継アンテナを前記第2アンテナ検索部が発見した場合、さらに、前記第1特定情報を宛先情報とし、前記第2特定情報を経由情報として、前記宛先情報及び前記経由情報を前記第2中継アンテナへ送信し、
前記第2中継アンテナは、
前記第2特定情報送信部から送信された前記宛先情報である前記第1特定情報から特定される第1携帯端末を宛先として送信された通信データを、前記経由情報である前記第2特定情報から特定される第2携帯端末へ送信する第2アンテナ送信部
を備え、
前記第2データ送信部は、前記第2アンテナ送信部が送信した通信データを、前記第1携帯端末へ転送する
ことを特徴とする。
【0007】
前記第2携帯端末は、さらに、
前記第2通信範囲内の第2中継アンテナを前記第2アンテナ検索部が発見できなかった場合、前記第2特定情報を前記第2通信範囲内へ発信する第2特定情報発信部
を備え、
前記第2特定情報発信部が発信した前記第2特定情報を受信した携帯端末である第3携帯端末は、
直接通信可能な範囲である第3通信範囲内の第3中継アンテナを検索する第3アンテナ検索部と、
前記第3通信範囲内の第3中継アンテナを前記第3アンテナ検索部が発見した場合、前記第2特定情報から特定される前記第2携帯端末へ、自己を特定する第3特定情報を送信する第3特定情報送信部と
を備え、
前記第2特定情報送信部は、前記第3特定情報送信部が送信した第3特定情報を受信すると、前記第1特定情報から特定される第1携帯端末へ、前記第2特定情報を送信し、
前記第1データ送信部は、前記第2特定情報を受信すると、受信した前記第2特定情報から特定される第2携帯端末へ通信の相手先端末を宛先とした通信データを送信し、
前記第2データ送信部は、前記第1データ送信部が送信した前記通信データを、前記第3特定情報から特定される第3携帯端末へ転送し、
前記第3携帯端末は、さらに、
前記第2データ送信部が転送した前記通信データを、前記第3中継アンテナを介して前記相手先端末へ送信する第3データ送信部
を備えることを特徴とする。
【0008】
前記第3特定情報送信部は、前記第3通信範囲内の第3中継アンテナを前記第3アンテナ検索部が発見した場合、さらに、前記第1特定情報を宛先情報とし、前記第3特定情報を経由情報として、前記宛先情報及び前記経由情報を前記第3中継アンテナへ送信し、
前記第3中継アンテナは、
前記第3特定情報送信部から送信された前記宛先情報である前記第1特定情報から特定される第1携帯端末を宛先として送信された通信データを、前記経由情報である前記第3特定情報から特定される第3携帯端末へ送信する第3アンテナ送信部
を備え、
前記第3データ送信部は、前記第3アンテナ送信部が送信した通信データを、前記第2携帯端末へ転送し、
前記第2データ送信部は、前記第3データ送信部が送信した通信データを、前記第1携帯端末へ転送する
ことを特徴とする。
【0009】
前記第1携帯端末は、さらに、
複数の携帯端末から第2特定情報を受信した場合、第2特定情報を送信した携帯端末の電池残量と、その携帯端末が受信する電波の電波強度と、その携帯端末までの距離との少なくともいずれかに基づき、どの携帯端末へ通信データを送信するかを決定するネットワーク構築部
を備えることを特徴とする。
【0010】
この発明に係る通信プログラムは、
複数の携帯端末用の携帯端末プログラムを備える通信プログラムであり、
前記複数の携帯端末のうちの第1携帯端末の携帯端末プログラムは、
直接通信可能な範囲である第1通信範囲内の第1中継アンテナを検索する第1アンテナ検索処理と、
前記第1通信範囲内の第1中継アンテナを前記第1アンテナ検索処理で発見できなかった場合、第1携帯端末を特定する第1特定情報を前記第1通信範囲内へ発信する第1特定情報発信処理と
をコンピュータに実行させ、
前記第1特定情報発信処理で発信した第1特定情報を受信した携帯端末である第2携帯端末の携帯端末プログラムは、
直接通信可能な範囲である第2通信範囲内の第2中継アンテナを検索する第2アンテナ検索処理と、
前記第2通信範囲内の第2中継アンテナを前記第2アンテナ検索処理で発見した場合、前記第1特定情報から特定される第1携帯端末へ、第2携帯端末を特定する第2特定情報を送信する第2特定情報送信処理と
をコンピュータに実行させ、
前記第1携帯端末の携帯端末プログラムは、さらに、
前記第2特定情報送信処理で送信した第2特定情報を受信すると、受信した前記第2特定情報から特定される前記第2携帯端末へ通信の相手先端末を宛先とした通信データを送信する第1データ送信処理
をコンピュータに実行させ、
前記第2携帯端末の携帯端末プログラムは、さらに、
前記第1データ送信処理で送信した通信データを、前記第2中継アンテナを介して前記相手先端末へ送信する第2データ送信処理
をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0011】
前記第2特定情報送信処理では、前記第2通信範囲内の第2中継アンテナを前記第2アンテナ検索処理で発見した場合、さらに、前記第1特定情報を宛先情報とし、前記第2特定情報を経由情報として、前記宛先情報及び前記経由情報を前記第2中継アンテナへ送信し、
前記通信プログラムは、さらに、複数の中継アンテナ用の中継アンテナプログラムを備え、
前記第2中継アンテナの中継アンテナプログラムは、
前記第2特定情報送信処理で送信された前記宛先情報である前記第1特定情報から特定される第1携帯端末を宛先として送信された通信データを、前記経由情報である前記第2特定情報から特定される第2携帯端末へ送信する第2アンテナ送信処理
をコンピュータに実行させ、
前記第2データ送信処理では、前記第2アンテナ送信処理で送信した通信データを、前記第1携帯端末へ転送する
ことを特徴とする。
【0012】
前記第2携帯端末の携帯端末プログラムは、さらに、
前記第2通信範囲内の第2中継アンテナを前記第2アンテナ検索処理で発見できなかった場合、前記第2特定情報を前記第2通信範囲内へ発信する第2特定情報発信処理
をコンピュータに実行させ、
前記第2特定情報発信処理で発信した前記第2特定情報を受信した携帯端末である第3携帯端末の携帯端末プログラムは、
直接通信可能な範囲である第3通信範囲内の第3中継アンテナを検索する第3アンテナ検索処理と、
前記第3通信範囲内の第3中継アンテナを前記第3アンテナ検索処理で発見した場合、前記第2特定情報から特定される前記第2携帯端末へ、第3携帯端末を特定する第3特定情報を送信する第3特定情報送信処理と
をコンピュータに実行させ、
前記第2特定情報送信処理では、前記第3特定情報送信処理で送信した第3特定情報を受信すると、前記第1特定情報から特定される第1携帯端末へ、前記第2特定情報を送信し、
前記第1データ送信処理では、前記第2特定情報を受信すると、受信した前記第2特定情報から特定される第2携帯端末へ通信の相手先端末を宛先とした通信データを送信し、
前記第2データ送信処理では、前記第1データ送信処理で送信した前記通信データを、前記第3特定情報から特定される第3携帯端末へ転送し、
前記第3携帯端末の携帯端末プログラムは、さらに、
前記第2データ送信処理で転送した前記通信データを、前記第3中継アンテナを介して前記相手先端末へ送信する第3データ送信処理
をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0013】
前記第3特定情報送信処理では、前記第3通信範囲内の第3中継アンテナを前記第3アンテナ検索処理で発見した場合、さらに、前記第1特定情報を宛先情報とし、前記第3特定情報を経由情報として、前記宛先情報及び前記経由情報を前記第3中継アンテナへ送信し、
前記第3中継アンテナの中継アンテナプログラムは、
前記第3特定情報送信処理で送信された前記宛先情報である前記第1特定情報から特定される第1携帯端末を宛先として送信された通信データを、前記経由情報である前記第3特定情報から特定される第3携帯端末へ送信する第3アンテナ送信処理
をコンピュータに実行させ、
前記第3データ送信処理では、前記第3アンテナ送信処理で送信した通信データを、前記第2携帯端末へ転送し、
前記第2データ送信処理では、前記第3データ送信処理で送信した通信データを、前記第1携帯端末へ転送する
ことを特徴とする。
【0014】
前記第1携帯端末は、さらに、
複数の携帯端末から第2特定情報を受信した場合、第2特定情報を送信した携帯端末の電池残量と、その携帯端末が受信する電波の電波強度と、その携帯端末までの距離との少なくともいずれかに基づき、どの携帯端末へ通信データを送信するかを決定する端末決定処理
をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0015】
この発明に係る通信方法は、
複数の中継アンテナと、複数の携帯端末とにおける通信方法であり、
前記複数の携帯端末のうちの第1携帯端末が、直接通信可能な範囲である第1通信範囲内の第1中継アンテナを検索する第1アンテナ検索工程と、
前記第1携帯端末が、前記第1通信範囲内の第1中継アンテナを前記第1アンテナ検索工程で発見できなかった場合、自己を特定する第1特定情報を前記第1通信範囲内へ発信する第1特定情報発信工程と、
前記第1特定情報発信工程で発信した第1特定情報を受信した携帯端末である第2携帯端末が、直接通信可能な範囲である第2通信範囲内の第2中継アンテナを検索する第2アンテナ検索工程と、
前記第2携帯端末が、前記第2通信範囲内の第2中継アンテナを前記第2アンテナ検索工程で発見した場合、前記第1特定情報から特定される第1携帯端末へ、自己を特定する第2特定情報を送信する第2特定情報送信工程と、
前記第1携帯端末が、前記第2特定情報送信工程で送信した第2特定情報を受信すると、受信した前記第2特定情報から特定される前記第2携帯端末へ通信の相手先端末を宛先とした通信データを送信する第1データ送信工程と、
前記第2携帯端末が、前記第1データ送信工程で送信した通信データを、前記第2中継アンテナを介して前記相手先端末へ送信する第2データ送信工程と
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
この発明に係る通信システムでは、通信範囲内に通信可能な中継アンテナがない場合に、通信範囲内にある他の携帯端末を介して、通信範囲外の中継アンテナへ接続する。これにより、ネットワークの輻輳状態が発生し、通信範囲内にあるアンテナが使用できない場合であっても、通信可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】携帯電話の通信の説明図。
【図2】実施の形態1に係る通信システムの構成例を示す図。
【図3】実施の形態1に係る通信システムにおける各携帯電話1の機能を示す機能ブロック図。
【図4】実施の形態1に係る通信システムにおける各中継アンテナ2の機能を示す機能ブロック図。
【図5】実施の形態1に係る通信システムの中継ネットワーク構築処理の動作例を示すフローチャート。
【図6】図5の(S5)で携帯電話1A,B及び中継アンテナ2Bが中継ネットワークを構築する際に、携帯電話1A,B及び中継アンテナ2Bそれぞれが記憶する情報を示す図。
【図7】中継ネットワークを介して通話する通話処理の流れを示すフローチャート。
【図8】実施の形態1に係る通信システムの中継ネットワーク構築処理の動作例を示すフローチャート。
【図9】図8の(S38)で携帯電話1A,B,C及び中継アンテナ2Cが中継ネットワークを構築する際に、携帯電話1A,B,C及び中継アンテナ2Cそれぞれが記憶する情報を示す図。
【図10】図8の(S38)で携帯電話1A,B,C及び中継アンテナ2Cが中継ネットワークを構築する際に、携帯電話1A,B,C及び中継アンテナ2Cそれぞれが記憶する情報の図9とは異なる例を示す図。
【図11】順位付けの例を示す図。
【図12】携帯電話1、中継アンテナ2のハードウェア構成の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
実施の形態1.
図1は、携帯電話(携帯端末の一例)の通信の説明図である。
各携帯電話1は、定期的に自身の位置情報を中継アンテナ2を介して移動体交換局管理装置3へ送信する。そして、移動体交換局管理装置3は、送信された位置情報を携帯電話1毎にデータベース4に記憶しておく。
携帯電話1が他の携帯電話1と通信する場合、発信側の携帯電話1が通信範囲内にある中継アンテナ2を介して移動体交換局管理装置3へ、着信側の携帯電話1を指定した接続要求を送信する。すると、移動体交換局管理装置3は、着信側の携帯電話1の位置情報をデータベース4から取得して、取得した位置情報に応じた中継アンテナ2に対して、着信側の携帯電話1の呼出しをさせる。
【0019】
ここで、例えば、発信側の携帯電話1の通信範囲内にある中継アンテナ2が輻輳状態となり、通信不能状態となると、発信側の携帯電話1は接続要求を送信できず、着信側の携帯電話1と通話することができない。
同様に、着信側の携帯電話1の通信範囲内にある中継アンテナ2が輻輳状態となり、通信不能状態となると、移動体交換局管理装置3が呼出しをさせることができず、発信側の携帯電話1は着信側の携帯電話1と通話することができない。
そこで、実施の形態1では、通信範囲内に通信可能な中継アンテナ2がない場合に、他の携帯電話1を介して通信可能な中継アンテナ2へアクセスすることにより、通信可能とする方法について説明する。
【0020】
図2は、実施の形態1に係る通信システムの構成例を示す図である。
実施の形態1における通信システムは、複数の携帯電話1(ここでは、携帯電話1A,B,C)と、複数の中継アンテナ2(ここでは、中継アンテナ2A,B,C)とを備える。
ここでは、携帯電話1Aは、通信範囲5Aの範囲と直接通信可能であり、通信範囲5A内には中継アンテナ2Aがある。携帯電話1Bは、通信範囲5Bの範囲と直接通信可能であり、通信範囲5B内には中継アンテナ2Bがある。携帯電話1Cは、通信範囲5Cの範囲と直接通信可能であり、通信範囲5C内には中継アンテナ2Cがある。
また、携帯電話1Aの通信範囲5Aには携帯電話1Bがあり、携帯電話1Bの通信範囲5Bには携帯電話1A及び携帯電話1Cがあり、携帯電話1Cの通信範囲5Cには携帯電話1Bがある。
【0021】
図3は、実施の形態1に係る通信システムにおける各携帯電話1の機能を示す機能ブロック図である。
各携帯電話1は、アンテナ検索部11、特定情報発信部12、特定情報送信部13、ネットワーク構築部14、データ送信部15を備える。各機能部については、通信システムの動作の説明と併せて説明する。
【0022】
図4は、実施の形態1に係る通信システムにおける各中継アンテナ2の機能を示す機能ブロック図である。
各中継アンテナ2は、ネットワーク構築部21、アンテナ送信部22を備える。各機能部については、通信システムの動作の説明と併せて説明する。
【0023】
図5は、実施の形態1に係る通信システムの中継ネットワーク構築処理の動作例を示すフローチャートである。
図5では、携帯電話1Aの通信範囲5Aにある中継アンテナ2Aが輻輳状態となっており、他の中継アンテナ2B,Cが通信可能である場合の動作を示す。
【0024】
まず、携帯電話1Aが動作する。
携帯電話1Aのアンテナ検索部11は、通信範囲5A内にある通信可能な中継アンテナ2を検索する(S1:第1アンテナ検索処理)。上述したように、各携帯電話1は、定期的に自身の位置情報を中継アンテナ2を介して移動体交換局管理装置3へ送信する。この際、通信範囲5内にある中継アンテナ2を検索する必要があるが、この動作が(S1)の動作に相当する。ここでは、通信範囲5A内には中継アンテナ2Aが存在するが、上述した通り中継アンテナ2Aは輻輳状態であり、通信不能であるため、アンテナ検索部11は通信可能な中継アンテナ2を発見できない。
(S1)で通信可能な中継アンテナ2を発見できなかった場合、携帯電話1Aの特定情報発信部12は、携帯電話1Aを特定する特定情報Aを通信範囲5A内の全方位へ向けて発信する(S2:第1特定情報発信処理)。ここでは、通信範囲5A内にある携帯電話1Bが、携帯電話1Aから発信された特定情報Aを受信する。なお、特定情報には、携帯電話1のシリアルナンバーや電話番号等の識別情報と、携帯電話1の位置を示す位置情報とが含まれる。
【0025】
すると、特定情報Aを受信した携帯電話1Bが動作する。
携帯電話1Bのアンテナ検索部11は、通信範囲5B内にある通信可能な中継アンテナ2を検索する(S3:第2アンテナ検索処理)。ここでは、アンテナ検索部11は、通信可能な中継アンテナ2として中継アンテナ2Bを発見する。
(S3)で通信可能な中継アンテナ2を発見した場合、携帯電話1Bの特定情報送信部13は、特定情報Aから特定される携帯電話1Aへ、携帯電話1Bを特定する特定情報Bを送信する。また、携帯電話1Bの特定情報送信部13は、特定情報A,Bを中継アンテナ2Bへ送信する(S4:第2特定情報送信処理)。なお、この際、特定情報送信部13は、特定情報Aを宛先情報とし、特定情報Bを経由情報として、中継アンテナ2Bへ送信する。
【0026】
すると、携帯電話1A,B及び中継アンテナ2Bが動作する。
携帯電話1A,B及び中継アンテナ2Bは、特定情報A,Bに基づき、携帯電話1A、携帯電話1B、中継アンテナ2Bの順に接続された中継ネットワークを構築する(S5:中継ネットワーク構築処理)。
【0027】
図6は、図5の(S5)で携帯電話1A,B及び中継アンテナ2Bが中継ネットワークを構築する際に、携帯電話1A,B及び中継アンテナ2Bそれぞれが記憶する情報を示す図である。なお、ここでは、携帯電話1から中継アンテナ2へ向かう流れを上り、中継アンテナ2から携帯電話1へ向かう流れを下りと呼ぶ。
携帯電話1Aのネットワーク構築部14は、上り情報として特定情報Bを記憶する。携帯電話1Bのネットワーク構築部14は、上り情報としてアンテナ情報Bを記憶し、下り情報として特定情報Aを記憶する。中継アンテナ2Bのネットワーク構築部21は、下り情報として、特定情報Aを宛先情報とし、特定情報Bを経由情報として記憶する。
また、中継アンテナ2Bのネットワーク構築部21から移動体交換局管理装置3へ、宛先情報として特定情報Aと、経由情報としてアンテナ情報Bとを送信し、データベース4に記憶させる。
【0028】
図7は、中継ネットワークを介して通話する通話処理の流れを示すフローチャートである。
図7では、図5に基づき説明した処理で構築された中継ネットワークを介して、携帯電話1Aが、他の携帯電話1(携帯電話1A,B以外の携帯電話1、以下「相手先端末」と呼ぶ)と通話する場合の通話処理を示す。ここでは、携帯電話1Aが発信側であり、相手先端末が着信側であるとする。
【0029】
まず、携帯電話1Aが動作する。携帯電話1Aのデータ送信部15は、相手先端末を指定した接続要求を、ネットワーク構築部14が上り情報として記憶した特定情報Bから特定される携帯電話1Bへ送信する(S11:第1接続要求送信処理)。
すると、携帯電話1Bが動作する。携帯電話1Bのデータ送信部15は、(S11)で送信された接続要求を、ネットワーク構築部14が上り情報として記憶したアンテナ情報Bから特定される中継アンテナ2Bへ転送する(S12:第2接続要求送信処理)。
すると、中継アンテナ2Bが動作する。中継アンテナ2Bのアンテナ送信部22は、(S12)で送信された接続要求を、移動体交換局管理装置3へ転送する(S13:アンテナ接続要求送信処理)。移動体交換局管理装置3では、通常接続要求が送信された場合と同様に、相手先端末の位置に応じた中継アンテナ2を特定して、その中継アンテナ2に相手先端末の呼出しをさせる。相手先端末が呼出しに応じた場合には、携帯電話1Aを宛先とした接続許可情報が移動体交換局管理装置3から中継アンテナ2Bへ送信される。
【0030】
移動体交換局管理装置3から送信された接続許可情報は、中継アンテナ2Bが宛先情報として記憶した特定情報Aから特定される携帯電話1Aが宛先として指定されている。そのため、中継アンテナ2Bのアンテナ送信部22は、移動体交換局管理装置3から送信された接続許可情報を、ネットワーク構築部21が下り情報の経由情報として記憶した特定情報Bから特定される携帯電話1Bへ送信する(S14:アンテナ接続許可送信処理)。
すると、携帯電話1Bが動作する。携帯電話1Bのデータ送信部15は、(S14)で送信された接続許可情報を、ネットワーク構築部14が下り情報として記憶した特定情報Aから特定される携帯電話1Aへ転送する(S15:第1接続許可送信処理)。
【0031】
すると、携帯電話1Aが動作する。携帯電話1Aのデータ送信部15は、接続許可情報を受信すると、相手先端末を宛先とした通信データ(通話データ)を、特定情報Bから特定される携帯電話1Bへ送信する(S16:第1データ送信処理)。
すると、携帯電話1Bが動作する。携帯電話1Bのデータ送信部15は、(S16)で送信された通信データを、アンテナ情報Bから特定される中継アンテナ2Bへ転送する(S17:第2データ送信処理)。
すると、中継アンテナ2Bが動作する。中継アンテナ2Bのアンテナ送信部22は、(S17)で送信された通信データを、移動体交換局管理装置3、あるいは相手先端末側の中継アンテナ2へ転送する(S18:アンテナ送信処理)。
すると、通信データが相手先端末へ送信される。
【0032】
また、相手先端末から携帯電話1Aを宛先として通信データが送信される場合もある。
この場合、中継アンテナ2Bのアンテナ送信部22は、相手先端末から送信された通信データを、ネットワーク構築部21が下り情報の経由情報として記憶した特定情報Bから特定される携帯電話1Bへ送信する(S19:アンテナ送信処理)。
すると、携帯電話1Bが動作する。携帯電話1Bのデータ送信部15は、(S19)で送信された通信データを、ネットワーク構築部14が下り情報として記憶した特定情報Aから特定される携帯電話1Aへ転送する(S20:第3データ送信処理)。
すると、携帯電話1Aが動作する。携帯電話1Aのデータ送信部15は、(S20)で送信された通信データを受信する(S21:データ受信処理)。
【0033】
ここでは、携帯電話1Aが発信側であり、相手先端末が着信側である場合を説明した。相手先端末が発信側であり、携帯電話1Aが着信側である場合も考えられる。
この場合、相手先端末から移動体交換局管理装置3へ携帯電話1Aを指定した接続要求が送信される。すると、移動体交換局管理装置3では、指定された携帯電話1Aの特定情報が、(S5)でデータベース4に宛先情報として記憶されているため、その宛先情報に対応する経由情報から中継アンテナ2Bが特定される。そして、中継アンテナ2Bに携帯電話1Aの呼出しをさせる。中継アンテナ2Bは、携帯電話1Bを介して携帯電話1Aを呼出す。携帯電話1Aが呼出しに応じた場合には、相手先端末を宛先とした接続許可情報が移動体交換局管理装置3から相手先端末の中継アンテナ2へ送信される。
その後は、携帯電話1Aが発信側であり、相手先端末が着信側である場合と同様に、図6に示す上り情報に従い、携帯電話1Aから送信された通話データは、携帯電話1B、中継アンテナ2Bの順に経由して相手先端末へ送信される。そして、図6に示す下り情報に従い、相手先端末から送信された通話データは、中継アンテナ2B、携帯電話1Bの順に経由して携帯電話1Aへ送信される。
【0034】
次に、携帯電話1Aの通信範囲5Aにある中継アンテナ2Aと、携帯電話1Bの通信範囲5Bにある中継アンテナ2Bとが輻輳状態となっており、中継アンテナ2Cが通信可能である場合について説明する。
図8は、この場合における中継ネットワーク構築処理の動作例を示すフローチャートである。
【0035】
(S31)から(S33)までの処理は、図5に示す(S1)から(S3)までの処理と同じである。但し、(S33)では、中継アンテナ2Bは輻輳状態であり、通信不能であるため、携帯電話1Bのアンテナ検索部11は通信可能な中継アンテナ2を発見できない。
(S33)で通信可能な中継アンテナ2を発見できなかった場合、携帯電話1Bの特定情報送信部13は、特定情報A,Bを通信範囲5B内の全方位へ向けて発信する(S34:第2特定情報発信処理)。なお、この際、特定情報送信部13は、特定情報Aを宛先情報とし、特定情報Bを経由情報として、発信する。ここでは、通信範囲5B内にある携帯電話1Cが、携帯電話1Bから発信された特定情報A,Bを受信する。
【0036】
すると、特定情報A,Bを受信した携帯電話1Cが動作する。
携帯電話1Cのアンテナ検索部11は、通信範囲5C内にある通信可能な中継アンテナ2を検索する(S35:第3アンテナ検索処理)。ここでは、アンテナ検索部11は、通信可能な中継アンテナ2として中継アンテナ2Cを発見する。
(S35)で通信可能な中継アンテナ2を発見した場合、携帯電話1Cの特定情報送信部13は、特定情報Bから特定される携帯電話1Bへ、携帯電話1Cを特定する特定情報Cを送信する。また、携帯電話1Cの特定情報送信部13は、特定情報A,B,Cを中継アンテナ2Bへ送信する(S36:第3特定情報送信処理)。なお、この際、特定情報送信部13は、特定情報A,Bを宛先情報とし、特定情報Cを経由情報として、中継アンテナ2Cへ送信する。
すると、特定情報Cを受信した携帯電話1Bが動作する。
携帯電話1Bの特定情報送信部13は、特定情報Aから特定される携帯電話1Aへ、特定情報Bを携帯電話1Aへ送信する(S37:第4特定情報送信処理)。
【0037】
そして、携帯電話1A,B,C及び中継アンテナ2Cが動作する。
携帯電話1A,B,C及び中継アンテナ2Cは、特定情報A,B,Cに基づき、携帯電話1A、携帯電話1B、携帯電話1C、中継アンテナ2Cの順に接続された中継ネットワークを構築する(S38:中継ネットワーク構築処理)。
【0038】
図9は、図8の(S38)で携帯電話1A,B,C及び中継アンテナ2Cが中継ネットワークを構築する際に、携帯電話1A,B,C及び中継アンテナ2Cそれぞれが記憶する情報を示す図である。
携帯電話1Aのネットワーク構築部14は、上り情報として特定情報Bを記憶する。携帯電話1Bのネットワーク構築部14は、上り情報として特定情報Cを記憶し、下り情報として特定情報Aを記憶する。携帯電話1Cは、上り情報としてアンテナ情報Cを記憶し、下り情報として特定情報Aを宛先情報とし、特定情報Bを経由情報として記憶する。中継アンテナ2Cのネットワーク構築部21は、下り情報として、特定情報A,Bを宛先情報とし、特定情報Cを経由情報として記憶する。
また、中継アンテナ2Bのネットワーク構築部21から移動体交換局管理装置3へ、宛先情報として特定情報A,Bと、経由情報としてアンテナ情報Bとを送信し、データベース4に記憶させる。
【0039】
図8に基づき説明した処理で構築された中継ネットワークを介して、携帯電話1Aと相手先端末とが通話する場合の通話処理も、原則として図7に基づき説明した通りである。
つまり、携帯電話1Aが発信側となる場合には、携帯電話1Aから送信された接続要求は、図9に示す上り情報に従い、携帯電話1B、携帯電話1C、中継アンテナ2Cの順に経由して移動体交換局管理装置3へ送信される。一方、携帯電話1Aが着信側となる場合には、相手先端末から送信された接続要求は、図9に示す下り情報に従い、中継アンテナ2C、携帯電話1C、携帯電話1Bの順に経由して携帯電話1Aへ送信される。
その後は、携帯電話1Aから送信された通話データは、図9に示す上り情報に従い、携帯電話1B、携帯電話1C、中継アンテナ2Cの順に経由して相手先端末へ送信される。そして、相手先端末から送信された通話データは、図9に示す下り情報に従い、中継アンテナ2C、携帯電話1C、携帯電話1Bの順に経由して携帯電話1Aへ送信される。
【0040】
なお、携帯電話1Bが相手先端末と通話する場合にも、同様に、携帯電話1Bから送信された通話データは、図9に上り情報に従い、携帯電話1C、中継アンテナ2Cの順に経由して相手先端末へ送信される。そして、相手先端末から送信された通話データは、図9に下り情報に従い、中継アンテナ2C、携帯電話1Cの順に経由して携帯電話1Bへ送信される。
【0041】
ここでは、2台又は3台の携帯電話1と中継アンテナ2とで中継ネットワークを構築する例を説明した。しかし、4台以上の携帯電話1と中継アンテナ2とであっても、同様の動作をすることにより、中継ネットワークを構築することができる。
【0042】
以上のように、実施の形態1に係る通信システムでは、携帯電話1が中継アンテナ2と直接通信できない場合に、他の携帯電話1を経由して中継アンテナ2へ接続する中継ネットワークを構築する。これにより、携帯電話1の通信範囲内にある中継アンテナ2が輻輳状態となった場合でも、携帯電話1は相手先端末と通信することができる。
なお、輻輳状態となったことが原因で、携帯電話1が中継アンテナ2と直接通信できない場合だけでなく、携帯電話1の通信範囲内に中継アンテナ2がない場合、すなわち携帯電話1が通信エリア外(圏外)に在る場合にも、携帯電話1は相手先端末と通信することができる。
【0043】
上記説明では、図9に示す情報を各携帯電話1や中継アンテナ2が記憶することで、中継ネットワークを構築した。しかし、図9に示す情報は、最低限の情報であり、さらに多くの情報を各携帯電話1や中継アンテナ2が記憶することで、各携帯電話1や中継アンテナ2が構築された中継ネットワークの全容を把握できるようにしてもよい。
図10は、図8の(S38)で携帯電話1A,B,C及び中継アンテナ2Cが中継ネットワークを構築する際に、携帯電話1A,B,C及び中継アンテナ2Cそれぞれが記憶する情報の図9とは異なる例を示す図である。
ここでは、携帯電話1A,B,C及び中継アンテナ2Cは、中継ネットワークを構成する全ての携帯電話1及び中継アンテナ2の特定情報を記憶する。また、携帯電話1A,B,C及び中継アンテナ2Cは、どの順に携帯電話1を経由して通信データ等を送信するかを示す通信順序情報を記憶する。
これにより、携帯電話1A,B,C及び中継アンテナ2Cでは、中継ネットワークの規模や、中継ネットワーク全体の通信順序を把握することができる。
【0044】
また、上記説明では、特定情報を通信範囲内の全方位へ向けて発信した場合、発信した特定情報を受信するのは1つの携帯電話1だけであった。しかし、実際には、複数の携帯電話1が特定情報を受信する可能性がある。
この場合、例えば、特定情報を受信した各携帯電話1の特定情報送信部13は、特定情報から特定される携帯電話1へ、その携帯電話1の電池残量情報、受信電波の強度情報、位置情報を送信するとしてもよい。そして、特定情報を発信した携帯電話1のネットワーク構築部14は、送信された電池残量情報、受信電波の強度情報、位置情報に基づき、特定情報を受信した各携帯電話1を順位付けして、順位に従いどの携帯電話1と中継ネットワークを構築するか決定してもよい。
図11は、順位付けの例を示す図である。図11では、電池残量が多く、受信電波の強度が強い、位置が近く携帯電話1の順位を高くしている。そして、特定情報を発信した携帯電話1Aは、順位の高い携帯電話1Bを中継ネットワークを構築する携帯電話1として選択する。
例えば、電池残量、受信電波の強度、位置にそれぞれ得点を付け、電池残量、受信電波の強度、位置に付けられた得点の積に応じて順位付けしてもよい。なお、電池残量は残量が多いほど高い得点とし、受信電波の強度は強度が強いほど高い得点とし、位置は近いほど高い得点として、得点の積の値が大きいほど順位を高くすればよい。
【0045】
また、構築された中継ネットワークは、中継ネットワークを介した通信が所定時間以上行われない場合には、解除されるとしてもよい。この場合、中継ネットワークを構築している各携帯電話1のネットワーク構築部14は記憶した情報を消去し、中継アンテナ2のネットワーク構築部21は記憶した情報を消去するとともに、移動体交換局管理装置3に記憶させた情報を消去させる。
なお、中継ネットワークを介した通信が所定時間以上行われない場合ではなく、直接通信可能な中継アンテナ2がなかった携帯電話1に、直接通信可能な中継アンテナ2ができた場合にも、構築された中継ネットワークを解除してもよい。この場合、中継ネットワークが不要になる場合や、中継ネットワークを再構築することで経由数の少ない効率的な中継ネットワークを構築できる可能性がある。
【0046】
次に、実施の形態における携帯電話1、中継アンテナ2のハードウェア構成について説明する。
図12は、携帯電話1、中継アンテナ2のハードウェア構成の一例を示す図である。
図12に示すように、携帯電話1、中継アンテナ2は、プログラムを実行するCPU911(Central・Processing・Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサともいう)を備えている。CPU911は、バス912を介してROM913、RAM914、LCD901(Liquid Crystal Display)、キーボード902(K/B)、通信ボード915、磁気ディスク装置920と接続され、これらのハードウェアデバイスを制御する。磁気ディスク装置920(固定ディスク装置)の代わりに、光ディスク装置、メモリカード読み書き装置などの記憶装置でもよい。磁気ディスク装置920は、所定の固定ディスクインタフェースを介して接続される。
【0047】
磁気ディスク装置920又はROM913などには、オペレーティングシステム921(OS)、ウィンドウシステム922、プログラム群923、ファイル群924が記憶されている。プログラム群923のプログラムは、CPU911、オペレーティングシステム921、ウィンドウシステム922により実行される。
【0048】
プログラム群923には、上記の説明において「アンテナ検索部11」、「特定情報発信部12」、「特定情報送信部13」、「ネットワーク構築部14」、「データ送信部15」、「ネットワーク構築部21」、「アンテナ送信部22」等として説明した機能を実行するソフトウェアやプログラムやその他のプログラムが記憶されている。プログラムは、CPU911により読み出され実行される。
ファイル群924には、上記の説明において「ネットワーク構築部14」が記憶する情報やデータや信号値や変数値やパラメータが、「データベース」の各項目として記憶される。「データベース」は、ディスクやメモリなどの記録媒体に記憶される。ディスクやメモリなどの記憶媒体に記憶された情報やデータや信号値や変数値やパラメータは、読み書き回路を介してCPU911によりメインメモリやキャッシュメモリに読み出され、抽出・検索・参照・比較・演算・計算・処理・出力・印刷・表示などのCPU911の動作に用いられる。抽出・検索・参照・比較・演算・計算・処理・出力・印刷・表示のCPU911の動作の間、情報やデータや信号値や変数値やパラメータは、メインメモリやキャッシュメモリやバッファメモリに一時的に記憶される。
【0049】
また、上記の説明におけるフローチャートの矢印の部分は主としてデータや信号の入出力を示し、データや信号値は、RAM914のメモリ、その他光ディスク等の記録媒体やICチップに記録される。また、データや信号は、バス912や信号線やケーブルその他の伝送媒体や電波によりオンライン伝送される。
また、上記の説明において「〜部」として説明するものは、「〜回路」、「〜装置」、「〜機器」、「〜手段」、「〜機能」であってもよく、また、「〜ステップ」、「〜手順」、「〜処理」であってもよい。また、「〜装置」として説明するものは、「〜回路」、「〜機器」、「〜手段」、「〜機能」であってもよく、また、「〜ステップ」、「〜手順」、「〜処理」であってもよい。さらに、「〜処理」として説明するものは「〜ステップ」であっても構わない。すなわち、「〜部」として説明するものは、ROM913に記憶されたファームウェアで実現されていても構わない。或いは、ソフトウェアのみ、或いは、素子・デバイス・基板・配線などのハードウェアのみ、或いは、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせ、さらには、ファームウェアとの組み合わせで実施されても構わない。ファームウェアとソフトウェアは、プログラムとして、ROM913等の記録媒体に記憶される。プログラムはCPU911により読み出され、CPU911により実行される。すなわち、プログラムは、上記で述べた「〜部」としてコンピュータ等を機能させるものである。あるいは、上記で述べた「〜部」の手順や方法をコンピュータ等に実行させるものである。
【符号の説明】
【0050】
1 携帯電話、2 中継アンテナ、3 移動体交換局管理装置、4 データベース、5 通信範囲、11 アンテナ検索部、12 特定情報発信部、13 特定情報送信部、14 ネットワーク構築部、15 データ送信部、21 ネットワーク構築部、22 アンテナ送信部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の中継アンテナと、複数の携帯端末とを備える通信システムであり、
前記複数の携帯端末のうちの第1携帯端末は、
直接通信可能な範囲である第1通信範囲内の第1中継アンテナを検索する第1アンテナ検索部と、
前記第1通信範囲内の第1中継アンテナを前記第1アンテナ検索部が発見できなかった場合、自己を特定する第1特定情報を前記第1通信範囲内へ発信する第1特定情報発信部と
を備え、
前記第1特定情報発信部が発信した第1特定情報を受信した携帯端末である第2携帯端末は、
直接通信可能な範囲である第2通信範囲内の第2中継アンテナを検索する第2アンテナ検索部と、
前記第2通信範囲内の第2中継アンテナを前記第2アンテナ検索部が発見した場合、前記第1特定情報から特定される第1携帯端末へ、自己を特定する第2特定情報を送信する第2特定情報送信部と
を備え、
前記第1携帯端末は、さらに、
前記第2特定情報送信部が送信した第2特定情報を受信すると、受信した前記第2特定情報から特定される前記第2携帯端末へ通信の相手先端末を宛先とした通信データを送信する第1データ送信部
を備え、
前記第2携帯端末は、さらに、
前記第1データ送信部が送信した通信データを、前記第2中継アンテナを介して前記相手先端末へ送信する第2データ送信部
を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記第2特定情報送信部は、前記第2通信範囲内の第2中継アンテナを前記第2アンテナ検索部が発見した場合、さらに、前記第1特定情報を宛先情報とし、前記第2特定情報を経由情報として、前記宛先情報及び前記経由情報を前記第2中継アンテナへ送信し、
前記第2中継アンテナは、
前記第2特定情報送信部から送信された前記宛先情報である前記第1特定情報から特定される第1携帯端末を宛先として送信された通信データを、前記経由情報である前記第2特定情報から特定される第2携帯端末へ送信する第2アンテナ送信部
を備え、
前記第2データ送信部は、前記第2アンテナ送信部が送信した通信データを、前記第1携帯端末へ転送する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記第2携帯端末は、さらに、
前記第2通信範囲内の第2中継アンテナを前記第2アンテナ検索部が発見できなかった場合、前記第2特定情報を前記第2通信範囲内へ発信する第2特定情報発信部
を備え、
前記第2特定情報発信部が発信した前記第2特定情報を受信した携帯端末である第3携帯端末は、
直接通信可能な範囲である第3通信範囲内の第3中継アンテナを検索する第3アンテナ検索部と、
前記第3通信範囲内の第3中継アンテナを前記第3アンテナ検索部が発見した場合、前記第2特定情報から特定される前記第2携帯端末へ、自己を特定する第3特定情報を送信する第3特定情報送信部と
を備え、
前記第2特定情報送信部は、前記第3特定情報送信部が送信した第3特定情報を受信すると、前記第1特定情報から特定される第1携帯端末へ、前記第2特定情報を送信し、
前記第1データ送信部は、前記第2特定情報を受信すると、受信した前記第2特定情報から特定される第2携帯端末へ通信の相手先端末を宛先とした通信データを送信し、
前記第2データ送信部は、前記第1データ送信部が送信した前記通信データを、前記第3特定情報から特定される第3携帯端末へ転送し、
前記第3携帯端末は、さらに、
前記第2データ送信部が転送した前記通信データを、前記第3中継アンテナを介して前記相手先端末へ送信する第3データ送信部
を備えることを特徴とする請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記第3特定情報送信部は、前記第3通信範囲内の第3中継アンテナを前記第3アンテナ検索部が発見した場合、さらに、前記第1特定情報を宛先情報とし、前記第3特定情報を経由情報として、前記宛先情報及び前記経由情報を前記第3中継アンテナへ送信し、
前記第3中継アンテナは、
前記第3特定情報送信部から送信された前記宛先情報である前記第1特定情報から特定される第1携帯端末を宛先として送信された通信データを、前記経由情報である前記第3特定情報から特定される第3携帯端末へ送信する第3アンテナ送信部
を備え、
前記第3データ送信部は、前記第3アンテナ送信部が送信した通信データを、前記第2携帯端末へ転送し、
前記第2データ送信部は、前記第3データ送信部が送信した通信データを、前記第1携帯端末へ転送する
ことを特徴とする請求項3に記載の通信システム。
【請求項5】
前記第1携帯端末は、さらに、
複数の携帯端末から第2特定情報を受信した場合、第2特定情報を送信した携帯端末の電池残量と、その携帯端末が受信する電波の電波強度と、その携帯端末までの距離との少なくともいずれかに基づき、どの携帯端末へ通信データを送信するかを決定するネットワーク構築部
を備えることを特徴とする請求項1から4までのいずれかに記載の通信システム。
【請求項6】
複数の携帯端末用の携帯端末プログラムを備える通信プログラムであり、
前記複数の携帯端末のうちの第1携帯端末の携帯端末プログラムは、
直接通信可能な範囲である第1通信範囲内の第1中継アンテナを検索する第1アンテナ検索処理と、
前記第1通信範囲内の第1中継アンテナを前記第1アンテナ検索処理で発見できなかった場合、第1携帯端末を特定する第1特定情報を前記第1通信範囲内へ発信する第1特定情報発信処理と
をコンピュータに実行させ、
前記第1特定情報発信処理で発信した第1特定情報を受信した携帯端末である第2携帯端末の携帯端末プログラムは、
直接通信可能な範囲である第2通信範囲内の第2中継アンテナを検索する第2アンテナ検索処理と、
前記第2通信範囲内の第2中継アンテナを前記第2アンテナ検索処理で発見した場合、前記第1特定情報から特定される第1携帯端末へ、第2携帯端末を特定する第2特定情報を送信する第2特定情報送信処理と
をコンピュータに実行させ、
前記第1携帯端末の携帯端末プログラムは、さらに、
前記第2特定情報送信処理で送信した第2特定情報を受信すると、受信した前記第2特定情報から特定される前記第2携帯端末へ通信の相手先端末を宛先とした通信データを送信する第1データ送信処理
をコンピュータに実行させ、
前記第2携帯端末の携帯端末プログラムは、さらに、
前記第1データ送信処理で送信した通信データを、前記第2中継アンテナを介して前記相手先端末へ送信する第2データ送信処理
をコンピュータに実行させることを特徴とする通信プログラム。
【請求項7】
前記第2特定情報送信処理では、前記第2通信範囲内の第2中継アンテナを前記第2アンテナ検索処理で発見した場合、さらに、前記第1特定情報を宛先情報とし、前記第2特定情報を経由情報として、前記宛先情報及び前記経由情報を前記第2中継アンテナへ送信し、
前記通信プログラムは、さらに、複数の中継アンテナ用の中継アンテナプログラムを備え、
前記第2中継アンテナの中継アンテナプログラムは、
前記第2特定情報送信処理で送信された前記宛先情報である前記第1特定情報から特定される第1携帯端末を宛先として送信された通信データを、前記経由情報である前記第2特定情報から特定される第2携帯端末へ送信する第2アンテナ送信処理
をコンピュータに実行させ、
前記第2データ送信処理では、前記第2アンテナ送信処理で送信した通信データを、前記第1携帯端末へ転送する
ことを特徴とする請求項6に記載の通信プログラム。
【請求項8】
前記第2携帯端末の携帯端末プログラムは、さらに、
前記第2通信範囲内の第2中継アンテナを前記第2アンテナ検索処理で発見できなかった場合、前記第2特定情報を前記第2通信範囲内へ発信する第2特定情報発信処理
をコンピュータに実行させ、
前記第2特定情報発信処理で発信した前記第2特定情報を受信した携帯端末である第3携帯端末の携帯端末プログラムは、
直接通信可能な範囲である第3通信範囲内の第3中継アンテナを検索する第3アンテナ検索処理と、
前記第3通信範囲内の第3中継アンテナを前記第3アンテナ検索処理で発見した場合、前記第2特定情報から特定される前記第2携帯端末へ、第3携帯端末を特定する第3特定情報を送信する第3特定情報送信処理と
をコンピュータに実行させ、
前記第2特定情報送信処理では、前記第3特定情報送信処理で送信した第3特定情報を受信すると、前記第1特定情報から特定される第1携帯端末へ、前記第2特定情報を送信し、
前記第1データ送信処理では、前記第2特定情報を受信すると、受信した前記第2特定情報から特定される第2携帯端末へ通信の相手先端末を宛先とした通信データを送信し、
前記第2データ送信処理では、前記第1データ送信処理で送信した前記通信データを、前記第3特定情報から特定される第3携帯端末へ転送し、
前記第3携帯端末の携帯端末プログラムは、さらに、
前記第2データ送信処理で転送した前記通信データを、前記第3中継アンテナを介して前記相手先端末へ送信する第3データ送信処理
をコンピュータに実行させることを特徴とする請求項7に記載の通信プログラム。
【請求項9】
前記第3特定情報送信処理では、前記第3通信範囲内の第3中継アンテナを前記第3アンテナ検索処理で発見した場合、さらに、前記第1特定情報を宛先情報とし、前記第3特定情報を経由情報として、前記宛先情報及び前記経由情報を前記第3中継アンテナへ送信し、
前記第3中継アンテナの中継アンテナプログラムは、
前記第3特定情報送信処理で送信された前記宛先情報である前記第1特定情報から特定される第1携帯端末を宛先として送信された通信データを、前記経由情報である前記第3特定情報から特定される第3携帯端末へ送信する第3アンテナ送信処理
をコンピュータに実行させ、
前記第3データ送信処理では、前記第3アンテナ送信処理で送信した通信データを、前記第2携帯端末へ転送し、
前記第2データ送信処理では、前記第3データ送信処理で送信した通信データを、前記第1携帯端末へ転送する
ことを特徴とする請求項8に記載の通信プログラム。
【請求項10】
前記第1携帯端末は、さらに、
複数の携帯端末から第2特定情報を受信した場合、第2特定情報を送信した携帯端末の電池残量と、その携帯端末が受信する電波の電波強度と、その携帯端末までの距離との少なくともいずれかに基づき、どの携帯端末へ通信データを送信するかを決定する端末決定処理
をコンピュータに実行させることを特徴とする請求項6から9までのいずれかに記載の通信プログラム。
【請求項11】
複数の中継アンテナと、複数の携帯端末とにおける通信方法であり、
前記複数の携帯端末のうちの第1携帯端末が、直接通信可能な範囲である第1通信範囲内の第1中継アンテナを検索する第1アンテナ検索工程と、
前記第1携帯端末が、前記第1通信範囲内の第1中継アンテナを前記第1アンテナ検索工程で発見できなかった場合、自己を特定する第1特定情報を前記第1通信範囲内へ発信する第1特定情報発信工程と、
前記第1特定情報発信工程で発信した第1特定情報を受信した携帯端末である第2携帯端末が、直接通信可能な範囲である第2通信範囲内の第2中継アンテナを検索する第2アンテナ検索工程と、
前記第2携帯端末が、前記第2通信範囲内の第2中継アンテナを前記第2アンテナ検索工程で発見した場合、前記第1特定情報から特定される第1携帯端末へ、自己を特定する第2特定情報を送信する第2特定情報送信工程と、
前記第1携帯端末が、前記第2特定情報送信工程で送信した第2特定情報を受信すると、受信した前記第2特定情報から特定される前記第2携帯端末へ通信の相手先端末を宛先とした通信データを送信する第1データ送信工程と、
前記第2携帯端末が、前記第1データ送信工程で送信した通信データを、前記第2中継アンテナを介して前記相手先端末へ送信する第2データ送信工程と
を備えることを特徴とする通信方法。
【請求項1】
複数の中継アンテナと、複数の携帯端末とを備える通信システムであり、
前記複数の携帯端末のうちの第1携帯端末は、
直接通信可能な範囲である第1通信範囲内の第1中継アンテナを検索する第1アンテナ検索部と、
前記第1通信範囲内の第1中継アンテナを前記第1アンテナ検索部が発見できなかった場合、自己を特定する第1特定情報を前記第1通信範囲内へ発信する第1特定情報発信部と
を備え、
前記第1特定情報発信部が発信した第1特定情報を受信した携帯端末である第2携帯端末は、
直接通信可能な範囲である第2通信範囲内の第2中継アンテナを検索する第2アンテナ検索部と、
前記第2通信範囲内の第2中継アンテナを前記第2アンテナ検索部が発見した場合、前記第1特定情報から特定される第1携帯端末へ、自己を特定する第2特定情報を送信する第2特定情報送信部と
を備え、
前記第1携帯端末は、さらに、
前記第2特定情報送信部が送信した第2特定情報を受信すると、受信した前記第2特定情報から特定される前記第2携帯端末へ通信の相手先端末を宛先とした通信データを送信する第1データ送信部
を備え、
前記第2携帯端末は、さらに、
前記第1データ送信部が送信した通信データを、前記第2中継アンテナを介して前記相手先端末へ送信する第2データ送信部
を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記第2特定情報送信部は、前記第2通信範囲内の第2中継アンテナを前記第2アンテナ検索部が発見した場合、さらに、前記第1特定情報を宛先情報とし、前記第2特定情報を経由情報として、前記宛先情報及び前記経由情報を前記第2中継アンテナへ送信し、
前記第2中継アンテナは、
前記第2特定情報送信部から送信された前記宛先情報である前記第1特定情報から特定される第1携帯端末を宛先として送信された通信データを、前記経由情報である前記第2特定情報から特定される第2携帯端末へ送信する第2アンテナ送信部
を備え、
前記第2データ送信部は、前記第2アンテナ送信部が送信した通信データを、前記第1携帯端末へ転送する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記第2携帯端末は、さらに、
前記第2通信範囲内の第2中継アンテナを前記第2アンテナ検索部が発見できなかった場合、前記第2特定情報を前記第2通信範囲内へ発信する第2特定情報発信部
を備え、
前記第2特定情報発信部が発信した前記第2特定情報を受信した携帯端末である第3携帯端末は、
直接通信可能な範囲である第3通信範囲内の第3中継アンテナを検索する第3アンテナ検索部と、
前記第3通信範囲内の第3中継アンテナを前記第3アンテナ検索部が発見した場合、前記第2特定情報から特定される前記第2携帯端末へ、自己を特定する第3特定情報を送信する第3特定情報送信部と
を備え、
前記第2特定情報送信部は、前記第3特定情報送信部が送信した第3特定情報を受信すると、前記第1特定情報から特定される第1携帯端末へ、前記第2特定情報を送信し、
前記第1データ送信部は、前記第2特定情報を受信すると、受信した前記第2特定情報から特定される第2携帯端末へ通信の相手先端末を宛先とした通信データを送信し、
前記第2データ送信部は、前記第1データ送信部が送信した前記通信データを、前記第3特定情報から特定される第3携帯端末へ転送し、
前記第3携帯端末は、さらに、
前記第2データ送信部が転送した前記通信データを、前記第3中継アンテナを介して前記相手先端末へ送信する第3データ送信部
を備えることを特徴とする請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記第3特定情報送信部は、前記第3通信範囲内の第3中継アンテナを前記第3アンテナ検索部が発見した場合、さらに、前記第1特定情報を宛先情報とし、前記第3特定情報を経由情報として、前記宛先情報及び前記経由情報を前記第3中継アンテナへ送信し、
前記第3中継アンテナは、
前記第3特定情報送信部から送信された前記宛先情報である前記第1特定情報から特定される第1携帯端末を宛先として送信された通信データを、前記経由情報である前記第3特定情報から特定される第3携帯端末へ送信する第3アンテナ送信部
を備え、
前記第3データ送信部は、前記第3アンテナ送信部が送信した通信データを、前記第2携帯端末へ転送し、
前記第2データ送信部は、前記第3データ送信部が送信した通信データを、前記第1携帯端末へ転送する
ことを特徴とする請求項3に記載の通信システム。
【請求項5】
前記第1携帯端末は、さらに、
複数の携帯端末から第2特定情報を受信した場合、第2特定情報を送信した携帯端末の電池残量と、その携帯端末が受信する電波の電波強度と、その携帯端末までの距離との少なくともいずれかに基づき、どの携帯端末へ通信データを送信するかを決定するネットワーク構築部
を備えることを特徴とする請求項1から4までのいずれかに記載の通信システム。
【請求項6】
複数の携帯端末用の携帯端末プログラムを備える通信プログラムであり、
前記複数の携帯端末のうちの第1携帯端末の携帯端末プログラムは、
直接通信可能な範囲である第1通信範囲内の第1中継アンテナを検索する第1アンテナ検索処理と、
前記第1通信範囲内の第1中継アンテナを前記第1アンテナ検索処理で発見できなかった場合、第1携帯端末を特定する第1特定情報を前記第1通信範囲内へ発信する第1特定情報発信処理と
をコンピュータに実行させ、
前記第1特定情報発信処理で発信した第1特定情報を受信した携帯端末である第2携帯端末の携帯端末プログラムは、
直接通信可能な範囲である第2通信範囲内の第2中継アンテナを検索する第2アンテナ検索処理と、
前記第2通信範囲内の第2中継アンテナを前記第2アンテナ検索処理で発見した場合、前記第1特定情報から特定される第1携帯端末へ、第2携帯端末を特定する第2特定情報を送信する第2特定情報送信処理と
をコンピュータに実行させ、
前記第1携帯端末の携帯端末プログラムは、さらに、
前記第2特定情報送信処理で送信した第2特定情報を受信すると、受信した前記第2特定情報から特定される前記第2携帯端末へ通信の相手先端末を宛先とした通信データを送信する第1データ送信処理
をコンピュータに実行させ、
前記第2携帯端末の携帯端末プログラムは、さらに、
前記第1データ送信処理で送信した通信データを、前記第2中継アンテナを介して前記相手先端末へ送信する第2データ送信処理
をコンピュータに実行させることを特徴とする通信プログラム。
【請求項7】
前記第2特定情報送信処理では、前記第2通信範囲内の第2中継アンテナを前記第2アンテナ検索処理で発見した場合、さらに、前記第1特定情報を宛先情報とし、前記第2特定情報を経由情報として、前記宛先情報及び前記経由情報を前記第2中継アンテナへ送信し、
前記通信プログラムは、さらに、複数の中継アンテナ用の中継アンテナプログラムを備え、
前記第2中継アンテナの中継アンテナプログラムは、
前記第2特定情報送信処理で送信された前記宛先情報である前記第1特定情報から特定される第1携帯端末を宛先として送信された通信データを、前記経由情報である前記第2特定情報から特定される第2携帯端末へ送信する第2アンテナ送信処理
をコンピュータに実行させ、
前記第2データ送信処理では、前記第2アンテナ送信処理で送信した通信データを、前記第1携帯端末へ転送する
ことを特徴とする請求項6に記載の通信プログラム。
【請求項8】
前記第2携帯端末の携帯端末プログラムは、さらに、
前記第2通信範囲内の第2中継アンテナを前記第2アンテナ検索処理で発見できなかった場合、前記第2特定情報を前記第2通信範囲内へ発信する第2特定情報発信処理
をコンピュータに実行させ、
前記第2特定情報発信処理で発信した前記第2特定情報を受信した携帯端末である第3携帯端末の携帯端末プログラムは、
直接通信可能な範囲である第3通信範囲内の第3中継アンテナを検索する第3アンテナ検索処理と、
前記第3通信範囲内の第3中継アンテナを前記第3アンテナ検索処理で発見した場合、前記第2特定情報から特定される前記第2携帯端末へ、第3携帯端末を特定する第3特定情報を送信する第3特定情報送信処理と
をコンピュータに実行させ、
前記第2特定情報送信処理では、前記第3特定情報送信処理で送信した第3特定情報を受信すると、前記第1特定情報から特定される第1携帯端末へ、前記第2特定情報を送信し、
前記第1データ送信処理では、前記第2特定情報を受信すると、受信した前記第2特定情報から特定される第2携帯端末へ通信の相手先端末を宛先とした通信データを送信し、
前記第2データ送信処理では、前記第1データ送信処理で送信した前記通信データを、前記第3特定情報から特定される第3携帯端末へ転送し、
前記第3携帯端末の携帯端末プログラムは、さらに、
前記第2データ送信処理で転送した前記通信データを、前記第3中継アンテナを介して前記相手先端末へ送信する第3データ送信処理
をコンピュータに実行させることを特徴とする請求項7に記載の通信プログラム。
【請求項9】
前記第3特定情報送信処理では、前記第3通信範囲内の第3中継アンテナを前記第3アンテナ検索処理で発見した場合、さらに、前記第1特定情報を宛先情報とし、前記第3特定情報を経由情報として、前記宛先情報及び前記経由情報を前記第3中継アンテナへ送信し、
前記第3中継アンテナの中継アンテナプログラムは、
前記第3特定情報送信処理で送信された前記宛先情報である前記第1特定情報から特定される第1携帯端末を宛先として送信された通信データを、前記経由情報である前記第3特定情報から特定される第3携帯端末へ送信する第3アンテナ送信処理
をコンピュータに実行させ、
前記第3データ送信処理では、前記第3アンテナ送信処理で送信した通信データを、前記第2携帯端末へ転送し、
前記第2データ送信処理では、前記第3データ送信処理で送信した通信データを、前記第1携帯端末へ転送する
ことを特徴とする請求項8に記載の通信プログラム。
【請求項10】
前記第1携帯端末は、さらに、
複数の携帯端末から第2特定情報を受信した場合、第2特定情報を送信した携帯端末の電池残量と、その携帯端末が受信する電波の電波強度と、その携帯端末までの距離との少なくともいずれかに基づき、どの携帯端末へ通信データを送信するかを決定する端末決定処理
をコンピュータに実行させることを特徴とする請求項6から9までのいずれかに記載の通信プログラム。
【請求項11】
複数の中継アンテナと、複数の携帯端末とにおける通信方法であり、
前記複数の携帯端末のうちの第1携帯端末が、直接通信可能な範囲である第1通信範囲内の第1中継アンテナを検索する第1アンテナ検索工程と、
前記第1携帯端末が、前記第1通信範囲内の第1中継アンテナを前記第1アンテナ検索工程で発見できなかった場合、自己を特定する第1特定情報を前記第1通信範囲内へ発信する第1特定情報発信工程と、
前記第1特定情報発信工程で発信した第1特定情報を受信した携帯端末である第2携帯端末が、直接通信可能な範囲である第2通信範囲内の第2中継アンテナを検索する第2アンテナ検索工程と、
前記第2携帯端末が、前記第2通信範囲内の第2中継アンテナを前記第2アンテナ検索工程で発見した場合、前記第1特定情報から特定される第1携帯端末へ、自己を特定する第2特定情報を送信する第2特定情報送信工程と、
前記第1携帯端末が、前記第2特定情報送信工程で送信した第2特定情報を受信すると、受信した前記第2特定情報から特定される前記第2携帯端末へ通信の相手先端末を宛先とした通信データを送信する第1データ送信工程と、
前記第2携帯端末が、前記第1データ送信工程で送信した通信データを、前記第2中継アンテナを介して前記相手先端末へ送信する第2データ送信工程と
を備えることを特徴とする通信方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−74964(P2012−74964A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−218967(P2010−218967)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(591102095)三菱スペース・ソフトウエア株式会社 (148)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(591102095)三菱スペース・ソフトウエア株式会社 (148)
【Fターム(参考)】
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