通信システム、通信装置、および通信システムの電力制御方法
【課題】通信システム全体の省電力化を図ることができ、かつ外部からの電力供給が途絶えた場合でも、通信システムを安定的に動作させる技術を提供する。
【解決手段】内線端末1−1〜1−nは、発電電力を自身のバッテリに蓄電する。バッテリが満充電値以上に蓄電されているならば、主装置2に発電電力を送電する。また、停電等の場合、内線端末1−1〜1−nは、自内線端末1のバッテリがバッテリ駆動可能値以上に蓄電されているならばバッテリ駆動により動作し、このバッテリ駆動可能値未満の場合にのみ、主装置2から駆動電力の供給を受けて動作する。主装置2は、内線端末1−1〜1−nからの受電電力を自身のバッテリに蓄電する。また、停電等の場合、主装置2は、自身のバッテリを用いてバッテリ駆動により動作するとともに、このバッテリの蓄電電力を、駆動電力を必要する内線端末1に配電する。
【解決手段】内線端末1−1〜1−nは、発電電力を自身のバッテリに蓄電する。バッテリが満充電値以上に蓄電されているならば、主装置2に発電電力を送電する。また、停電等の場合、内線端末1−1〜1−nは、自内線端末1のバッテリがバッテリ駆動可能値以上に蓄電されているならばバッテリ駆動により動作し、このバッテリ駆動可能値未満の場合にのみ、主装置2から駆動電力の供給を受けて動作する。主装置2は、内線端末1−1〜1−nからの受電電力を自身のバッテリに蓄電する。また、停電等の場合、主装置2は、自身のバッテリを用いてバッテリ駆動により動作するとともに、このバッテリの蓄電電力を、駆動電力を必要する内線端末1に配電する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システムに関し、特に、通信システムの電力制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、通信装置の省電力化を図ることのできる技術が開示されている。
【0003】
この技術において、通信装置は、電源装置から供給される電力を通信装置本体に給電する給電システムを備える。この給電システムは、所定の給電条件に従い、電源装置に搭載されている電力ソース(太陽光発電モジュール、バッテリ、および商用電源)の中からいずれか一つの電力ソースを選択し、この電力ソースから供給される電力を通信装置本体に給電する。また、電源装置に余剰電力があるならば、これを他の通信装置に給電する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−81200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
内線電話システム等の、複数の通信装置からなる通信システムにおいて、各通信装置に特許文献1に記載の技術を適用した場合、通信装置によって電源装置の電力状況(太陽光発電モジュールの発電状況、バッテリの蓄電状態等)が異なるため、電力が足りている通信装置(太陽光発電モジュールの発電電力あるいはバッテリの蓄電電力により自装置の駆動電力を賄える通信装置)と電力が不足している通信装置とが混在する事態が想定される。このような状態において、停電等により、各通信装置が備える電源装置への、商用電源からの電力供給が途絶えた場合、通信システム全体を安定的に動作させるためには、どの通信装置の電力をどの通信装置に供給すべきかが問題となる。この点について、特許文献1に記載の技術は何ら考慮していない。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、通信システム全体の省電力化を図ることができ、かつ外部からの電力供給が途絶えた場合においても、通信システムを安定的に動作させることを可能とする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明では、内線電話システム等の通信システムを構成する複数の通信装置のうちの一つを電力サーバとし、残りを電力クライアントとする。
【0008】
電力クライアントは、例えば、太陽光発電、音圧発電、振動発電、温度差発電等の発電機能を有し、発電機能によって発電された電力を自通信装置のバッテリに蓄電する。バッテリが十分に蓄電されているならば、電力サーバに発電電力を送電する。また、電力クライアントは、例えば停電等により外部から通信システムへの電力供給が途絶えた場合において、自通信装置のバッテリが十分に蓄電されているならばバッテリ駆動により動作し、十分に蓄電されていないならば電力サーバから駆動電力の供給を受けて動作する。
【0009】
一方、電力サーバは、電力クライアントからの受電電力を自通信装置のバッテリに蓄電する。また、電力サーバは、例えば停電等により外部から通信システムへの電力供給が途絶えた場合において、自通信装置のバッテリを用いてバッテリ駆動により動作するとともに、このバッテリの蓄電電力を、駆動電力を必要とする電力クライアントに配電する。
【0010】
例えば、本発明は、複数の通信装置を備えた通信システムであって、
前記複数の通信装置のうちの一つは電力サーバであり、残りは発電機能を備えた電力クライアントであり、
前記電力クライアントは、
クライアント側蓄電手段と、
前記発電機能による発電電力を、前記クライアント側蓄電手段の蓄電状態が第一のしきい値未満ならば当該クライアント側蓄電手段に蓄電し、前記第一のしきい値以上ならば前記電力サーバに送電する発電電力制御手段と、
前記クライアント側蓄電手段の蓄電状態が第二のしきい値以上ならば当該クライアント側蓄電手段の蓄電電力で自通信装置を駆動し、前記第二のしきい値未満ならば前記電力サーバからの受電電力で自通信装置を駆動する駆動電力制御手段と、を有し、
前記電力サーバは、
サーバ側蓄電手段と、
前記電力クライアントからの受電電力を前記サーバ側蓄電手段に蓄電する受電電力制御手段と、
前記サーバ側蓄電手段の蓄電電力で自通信装置を駆動するとともに、前記クライアント側蓄電手段の蓄電状態が前記第二のしきい値未満の前記電力クライアントに、前記サーバ側蓄電手段の蓄電電力を送電する配電制御手段と、を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明において、電力クライアントの余剰電力は、電力サーバに蓄電され、例えば停電等により外部から通信システムへの電源供給が途絶えた場合に、電力不足によりバッテリ駆動できない電力クライアントに電力サーバから分配される。このため、通信システム全体の省電力化を図ることができ、かつ外部からの電源供給が途絶えた場合においても、通信システムを安定的に動作させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の一実施の形態に係る内線電話システムの概略構成図である。
【図2】図2は、本実施の一実施の形態に係る内線電話システムにおける電力制御の一例を説明するためのシーケンス図である。
【図3】図3は、内線端末1の概略機能構成図である。
【図4】図4は、内線端末1の電力クライアント機能部13の動作を説明するためのフロー図である。
【図5】図5は、主装置2の概略機能構成図である。
【図6】図6は、主装置2の電力サーバ機能部23の動作を説明するためのフロー図である。
【図7】図7は、内線端末1の変形例1aの概略機能構成図である。
【図8】図8は、内線端末1aの電力クライアント機能部13aの図4に示すS207での処理を説明するための図である。
【図9】図9は、主装置2の変形例2aの概略機能構成図である。
【図10】図10は、主装置2aの電力サーバ機能部23aの動作を説明するためのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の一実施の形態について説明する。
【0014】
図1は、本実施の形態に係る内線電話システムの概略構成図である。
【0015】
図示するように、本実施の形態に係る内線電話システムは、複数の内線端末1−1〜1−n(以下、内線端末1とも呼ぶ)と、LAN3を介してこれらの内線端末1−1〜1−nを収容する主装置2と、を備えている。内線端末1−1〜1−nは、それぞれ電力線6−1〜6−n(以下、電力線6とも呼ぶ)により、主装置2と個別に接続されている。LAN3は、ゲートウェイ(GW)4を介してWAN5に接続されている。主装置2は、商用電源7および無停電電源装置(UPS)8にも接続されている。無停電電源装置8は、停電等の障害時に、内線電話システム以外の図示していない電気機器(例えばコンピュータ)に電力を供給するためのものである。
【0016】
ここで、内線端末1は、電力クライアントであり、電力線6を介して主装置2から電力を受電して動作する。また、内線端末1は、太陽光発電、音圧発電、振動発電、温度差発電等の発電機能を備えており、この発電機能によって発電された電力を自内線端末1内の後述のバッテリ16(図3参照)に蓄電する。そして、このバッテリ16が十分に蓄電されているならば、内線端末1は、電力線6を介して主装置2に発電電力を送電する。また、内線端末1は、停電等の障害時において、自内線端末1内のバッテリ16が十分に蓄電されているならばバッテリ駆動により動作する。
【0017】
主装置2は、内線端末1に対する配電機能を備えた電力サーバであり、電力線6を介して内線端末1に商用電源7の電力を送電する。また、主装置2は、電力線6を介して内線端末1から受電した電力を自主装置2内の後述のバッテリ27(図5参照)に蓄電する。そして、このバッテリ27が十分に蓄電されているならば、内線端末1から受電した電力を無停電電源装置8に送電する。停電等の障害時に、主装置2は、自主装置2内のバッテリ27を用いたバッテリ駆動により動作するとともに、このバッテリ27に蓄電されている電力を、駆動電力を必要とする内線端末1に電力線6を介して送電する。
【0018】
図2は、本実施の形態に係る内線電話システムにおける電力制御の一例を説明するためのシーケンス図である。
【0019】
主装置2は、商用電源7から電力を受電して動作(商用電力駆動)するとともに(S100)、電力線6−1〜6−nを介して各内線端末1−1〜1−nに、商用電源7からの電力を送電(商用電力配電)する(S101)。
【0020】
これを受けて、内線端末1−1〜1−nは、電力線6−1〜6−nを介して主装置2から電力を受電して動作する(S102−1〜S102−n)。また、内線端末1−1〜1−nは、発電機能により電力を発電し、この発電電力を自内線端末1内のバッテリ16に蓄電する(S103−1〜S103−n)。
【0021】
ここで、内線端末1−1のバッテリ16が十分に充電されたものとする。内線端末1−1は、発電機能により発電した電力のバッテリ16への蓄電を完了し(S104)、電力線6−1を介して主装置2に発電電力を送電する(S105)。
【0022】
これを受けて、主装置2は、電力線6−1を介して内線端末1−1から受電した電力を自主装置2内のバッテリ27に蓄電する(S106)。
【0023】
その後、主装置2のバッテリ27が十分に充電されたものとする。主装置2は、内線端末1−1より受電した電力のバッテリ27への蓄電を完了させ(S107)、この受電電力を無停電電源装置8に送電する(S108)。
【0024】
その後、停電等の障害により、商用電源7から主装置2への電力供給が断たれたものとする。主装置2は、自主装置2の動作モードを、商用電力駆動から、自主装置2内のバッテリ27によるバッテリ駆動に切り替える(S109)。また、主装置2は、各内線端末1への配電ソースを、商用電源7から自主装置2内のバッテリ27に切り替えるとともに(S110)、主装置2に対して発電電力を送電中の内線端末1−1への配電を停止する(S111)。
【0025】
これを受けて、内線端末1−2〜1−nは、これまでと同様、電力線6−2〜6−nを介して主装置2から電力を受電して動作する(S112−2〜S112−n)。一方、内線端末1−1は、主装置2からの受電停止を検知すると、自内線端末1−1の動作モードを、主装置2から受電した電力による駆動から、自内線端末1−1内のバッテリ16によるバッテリ駆動に切り替える(S113)。
【0026】
つぎに、主装置2は、配電先の内線端末1−2〜1−nに、送電要否の問合せを、LAN3を介して送信する(S114)。
【0027】
これを受けて、内線端末1−2〜1−nは、自内線端末1内のバッテリ16の蓄電状態に基づいて主装置2からの送電要否を判断する。具体的には、自内線端末1をバッテリ駆動させるのに十分な電力がバッテリ16に蓄電されているならば送電不要と判断し、そうでないならば送電要と判断する。ここで、内線端末1−2が送電不要と判断し、内線端末1−nを含むその他の内線端末1−3〜1−nは送電要と判断したものとする。内線端末1−2は、LAN3を介して主装置2に、送電要否の問合せに対する応答「送電不要」を返信する(S115−2)。また、内線端末1−nを含むその他の内線端末1−3〜1−nは、送電要否の問合せに対する応答「送電要」を返信する(S115−n)。
【0028】
主装置2は、「送電要」を返信した内線端末1−3〜1−nに対して、自主装置2内のバッテリ27に蓄電されている電力の送電を引き続き行うが、「送電不要」を返信した内線端末1−2に対しては送電を停止する(S116)。これを受けて、内線端末1−2は、自内線端末1−2の動作モードを、主装置2から受電した電力による駆動から、自内線端末1−2内のバッテリ16によるバッテリ駆動に切り替える(S117)。
【0029】
つぎに、本実施の形態に係る内線電話システムを構成する内線端末1および主装置2の詳細を説明する。
【0030】
まず、内線端末1について説明する。
【0031】
図3は、内線端末1の概略機能構成図である。
【0032】
図示するように、内線端末1は、LANインターフェース部11と、内線端末機能部12と、電力クライアント機能部13と、を備えている。
【0033】
LANインターフェース部11は、LAN3に接続するためのインターフェースである。
【0034】
内線端末機能部12は、発着信制御、通話処理等の、内線端末としての機能を実現するための処理部である。
【0035】
そして、電力クライアント機能部13は、電力サーバである主装置2から送電された電力を受電して、自内線端末1の各部に供給する電力クライアントとしての機能を実現するための処理部である。図示するように、電力クライアント機能部13は、電力線インターフェース部14と、発電部15と、バッテリ16と、発電電力制御部17と、駆動電力制御部18と、を備える。
【0036】
電力線インターフェース部14は、電力線6に接続するためのインターフェースであり、送電インターフェース部141と、受電インターフェース部142と、を備える。図示するように、電力線6は上り線61および下り線62からなり、送電インターフェース部141は上り線61に接続され、受電インターフェース部142は下り線62に接続される。
【0037】
発電部15は、内線端末1に搭載可能な既存の発電モジュールであり、太陽光発電、音圧発電、振動発電、温度差発電等がこれに該当する。
【0038】
バッテリ16には、発電部15で発電された電力が蓄電される。
【0039】
発電電力制御部17は、バッテリ16の蓄電状態を監視する。そして、バッテリ16の蓄電状態が満充電を示す所定のしきい値(満充電値、例えばバッテリ残容量90%)未満であるならば、発電部15で発電された電力をバッテリ16に蓄電する。一方、バッテリ16の蓄電状態が満充電値以上ならば、送電インターフェース部141および上り線61を介して主装置2に、発電部15で発電された電力を送電する。
【0040】
駆動電力制御部18は、受電インターフェース部142および下り線62を介して主装置2から電力を受電し、この受電電力を、駆動電力としてLANインターフェース部11、および内線端末機能部12に供給する。また、駆動電力制御部18は、主装置2から電力を受電できない場合、バッテリ16に蓄電されている電力を、駆動電力としてLANインターフェース部11、および内線端末機能部12に供給する。さらに、駆動電力制御部18は、LANインターフェース部11およびLAN3を介して主装置2から送電要否問合せを受信した場合、バッテリ16の蓄電状態を調べ、バッテリ16の蓄電状態が、バッテリ駆動可能であることを示す所定のしきい値(バッテリ駆動可能値、例えばバッテリ残容量70%)以上であるならば、LANインターフェース部11およびLAN3を介して主装置2に応答「送電不要」を返信する。一方、バッテリ16の蓄電状態がバッテリ駆動可能値未満ならば、LANインターフェース部11およびLAN3を介して主装置2に応答「送電要」を返信する。
【0041】
図4は、内線端末1の電力クライアント機能部13の動作を説明するためのフロー図である。
【0042】
まず、駆動電力制御部18は、受電インターフェース部142および下り線62を介して主装置2から電力を受電しているか否かを判断する(S201)。主装置2から受電しているならば(S201でYES)、この受電電力を、駆動電力としてLANインターフェース部11および内線端末機能部12に供給し、自内線端末1を動作させる(S202)。一方、主装置2から受電していないならば(S201でNO)、バッテリ16に蓄電されている電力を、駆動電力としてLANインターフェース部11および内線端末機能部12に供給し、自内線端末1を動作させる(S203)。
【0043】
また、発電電力制御部17は、発電部15が電力を発電している場合(S204でYES)、バッテリ16の蓄電状況を調べる(S205)。そして、バッテリ16の蓄電状態が満充電値未満ならば(S205でYES)、発電部15の発電電力をバッテリ16に蓄電する(S206)。一方、バッテリ16の蓄電状態が満充電値以上ならば(S205でNO)、この発電電力を、送電インターフェース部141および上り線61を介して主装置2に送電する(S207)。
【0044】
また、駆動電力制御部18は、LANインターフェース部11およびLAN3を介して主装置2から送電要否問合せを受信した場合(S208でYES)、バッテリ16の蓄電状態を調べる(S209)。そして、バッテリ16の蓄電状態がバッテリ駆動可能値以上であるならば(S209でYES)、LANインターフェース部11およびLAN3を介して主装置2に応答「送電不要」を返信する(S210)。一方、バッテリ16の蓄電状態がバッテリ駆動可能値未満ならば(S209でNO)、LANインターフェース部11およびLAN3を介して主装置2に応答「送電要」を返信する(S211)。
【0045】
つぎに、主装置2について説明する。
【0046】
図5は、主装置2の概略機能構成図である。
【0047】
図示するように、主装置2は、LANインターフェース部21と、主装置機能部22と、電力サーバ機能部23と、を備えている。
【0048】
LANインターフェース部21は、LAN3に接続するためのインターフェースである。
【0049】
主装置機能部22は、呼制御、中継処理等の、主装置としての機能を実現するための処理部である。
【0050】
そして、電力サーバ機能部23は、電力クライアントである内線端末1−1〜1−nに電力を配電する電力サーバとしての機能を実現するための処理部である。図示するように、電力サーバ機能部23は、それぞれ内線端末1−1〜1−nに対応して設けられた電力線インターフェース部24−1〜24−n(以下、電力線インターフェース部24とも呼ぶ)と、商用電源インターフェース部25と、UPSインターフェース部26と、バッテリ27と、受電電力制御部28と、配電制御部29と、を備える。
【0051】
電力線インターフェース(IF)部24は、自電力線インターフェース部24に対応する内線端末1に接続された電力線6と接続するためのインターフェースであり、送電インターフェース(IF)部241と、受電インターフェース(IF)部242と、を備える。図示するように、電力線6−1〜6−nのそれぞれは、上り線61および下り線62からなり、送電インターフェース部241は下り線62に接続され、受電インターフェース部242は上り線61に接続される。
【0052】
商用電源インターフェース部25は、商用電源7から電力を受電するためのインターフェースである。
【0053】
UPSインターフェース部26は、無停電電源装置8に電力を送電するためのインターフェースである。
【0054】
バッテリ27には、電力線インターフェース部24−1〜24−nの受電インターフェース部242および上り線61を介して内線端末1−1〜1−nから受電した電力が蓄電される。
【0055】
受電電力制御部28は、バッテリ27の蓄電状態を監視する。そして、バッテリ27の蓄電状態が、満充電を示す所定のしきい値(満充電値、例えばバッテリ残容量90%)未満であるならば、内線端末1−1〜1−nからの受電電力をバッテリ27に蓄電する。一方、バッテリ27の蓄電状態が満充電値以上ならば、UPSインターフェース部26を介して無停電電源装置8に、内線端末1−1〜1−nからの受電電力を送電する。
【0056】
配電制御部29は、商用電源インターフェース部25を介して商用電源7から電力を受電し、この受電電力を、駆動電力としてLANインターフェース部21および主装置機能部22に供給するとともに、電力線インターフェース部24−1〜24−nの送電インターフェース部241および下り線62を介して内線端末1−1〜1−nに配電する。また、配電制御部29は、商用電源7から電力を受電できない場合、バッテリ27の蓄電電力を、駆動電力としてLANインターフェース部21および主装置機能部22に供給するとともに、主装置2に対して発電電力を送電中の内線端末1以外の各内線端末1に送電する。さらに、配電制御部29は、バッテリ27の蓄電電力を送電中の各内線端末1に対して、LANインターフェース部21およびLAN3を介して送電要否問合せを送信する。そして、この問合せに対して応答「送信不要」を返信した内線端末1に対する送電を停止する。
【0057】
図6は、主装置2の電力サーバ機能部23の動作を説明するためのフロー図である。
【0058】
配電制御部29は、商用電源7が動作中、つまり商用電源インターフェース部25を介して商用電源7から電力を受電しているか否かを判断する(S300)。商用電源7から電力を受電している場合(S300でYES)、配電制御部29は、この受電電力を駆動電力としてLANインターフェース部21および主装置機能部22に供給し、自主装置2を動作させる(S301)。また、電力線インターフェース部24−1〜24−nの送電インターフェース部241および下り線62を介して内線端末1−1〜1−nに、この受電電力を送電する(S302)。
【0059】
つぎに、受電電力制御部28は、いずれかの電力線インターフェース部24の受電インターフェース部242および上り線61を介して、この電力線インターフェース部24に対応する内線端末1から発電電力を受電しているか否かを判断する(S303)。いずれの内線端末1からも発電電力を受電していないならば(S303でNO)、商用電源7から電力を受電しているか否かを判断し(S307)、商用電源7から電力を受電していれば(S307でYES)、S303に戻る。一方、いずれかの内線端末1から発電電力を受電しているならば(S303でYES)、バッテリ27の蓄電状況を調べる(S304)。そして、バッテリ27の蓄電状態が満充電値未満ならば(S304でYES)、この発電電力をバッテリ27に蓄電する(S305)。一方、バッテリ27の蓄電状態が満充電値以上ならば(S304でNO)、UPSインターフェース部26を介して無停電電源装置8に、この発電電力を送電する(S306)。それから、商用電源7から電力を受電しているか否かを判断し(S307)、商用電源7から電力を受電していれば(S307でYES)、S303に戻る。
【0060】
一方、S300またはS307において、停電等の障害により商用電源7から電力を受電していない場合(S300でNOまたはS307でNO)、配電制御部29は、バッテリ27に蓄電されている電力を駆動電力としてLANインターフェース部21および主装置機能部22に供給し、自主装置2を動作させる(S308)。また、電力線インターフェース部24−1〜24−nの送電インターフェース部241および下り線62を介して内線端末1−1〜1−nに、この蓄電電力を送電する(S309)。
【0061】
つぎに、配電制御部29は、受電電力制御部28がいずれかの電力線インターフェース部24の受電インターフェース部242および上り線61を介して発電電力を受電中であるか否かを調べる(S310)。そして、いずれかの電力線インターフェース部24も発電電力を受電中でないならば(S310でNO)、S312に進む。一方、いずれかの電力線インターフェース部24が発電電力を受電中ならば(S310でYES)、この発電電力を受電中の受電インターフェース部242の送電インターフェース部241および下り線62を介して、この電力線インターフェース部24に対応する内線端末1へのバッテリ27の蓄電電力の送電を停止する(S311)。
【0062】
それから、配電制御部29は、バッテリ27の蓄電電力を送電中の各内線端末1に、送電可否問合せを、LANインターフェース部21およびLAN3を介して送信し、これらの内線端末1から応答を受信する(S312)。そして、応答「送信不要」を返信した内線端末1が存在するか否かを確認する(S313)。ここで、応答「送信不要」を返信した内線端末1が存在しないならば(S313でNO)、S315に進む。一方、応答「送信不要」を返信した内線端末1が存在するならば(S313でYES)、この応答「送信不要」を返信した内線端末1に対応する電力線インターフェース部24の送電インターフェース部241および下り線62を介して、この応答「送信不要」を返信した内線端末1へのバッテリ27の蓄電電力の送電を停止する(S314)。
【0063】
つぎに、配電制御部29は、商用電源7が復旧するのを待つ(S315)。商用電源7が復旧したならば(S315でYES)、S300に戻る。
【0064】
以上、本発明の一実施の形態について説明した。
【0065】
本実施の形態の内線電話システムでは、内線端末1−1〜1−nを発電機能付きの電力クライアントとして機能させ、主装置2を電力サーバとして機能させている。すなわち、内線端末1−1〜1−nは、発電部15によって発電された電力を自内線端末1のバッテリ16に蓄電する。バッテリ16が所定の満充電値以上に蓄電されているならば、主装置2に発電電力を送電する。また、内線端末1−1〜1−nは、停電等により商用電源7から内線電話システムへの電力供給が途絶えた場合に、自内線端末1のバッテリ16が所定のバッテリ駆動可能値以上に蓄電されているならば、バッテリ駆動により動作し、自内線端末1のバッテリ16がバッテリ駆動可能値未満の充電状態の場合にのみ、主装置2から駆動電力の供給を受けて動作する。一方、主装置2は、内線端末1−1〜1−nからの受電電力を自主装置2のバッテリ27に蓄電する。また、主装置2は、停電等により商用電源7から内線電話システムへの電力供給が途絶えた場合に、自主装置2のバッテリ27を用いてバッテリ駆動により動作するとともに、このバッテリ27の蓄電電力を、駆動電力を必要とする内線端末1−1〜1−nに配電する。
【0066】
このため、各内線端末1において、自内線端末1のバッテリ16に蓄電できない余剰電力は、主装置2のバッテリ27に蓄電され、停電等により商用電源7から内線電話システムへの電源供給が途絶えた場合に、バッテリ残量不足によりバッテリ駆動できない内線端末1に分配される。したがって、本実施の形態によれば、内線電話システム全体の省電力化を図ることができ、かつ外部からの電源供給が途絶えた場合においても、内線電話システムを安定的に動作させることが可能となる。
【0067】
また、本実施の形態において、主装置2は、自主装置2のバッテリ27が所定の満充電値以上に蓄電されているならば、内線端末1からの受電電力を無停電電源装置8等の外部装置に送電するので、外部装置における内線端末1の余剰電力の活用が期待でき、したがって内線端末1の余剰電力が無駄になるのを防止できる。
【0068】
また、本実施の形態において、主装置2は、商用電源7から電力を受電して自主装置2を駆動するとともに、この受電電力を内線端末1−1〜1−nに配電する。そして、停電等により商用電源7からの電力供給が途絶えた場合に、内線端末1−1〜1−nに送電要否問合せを送信し、この問合せに対して応答「送電要」を返信した内線端末1にのみ、バッテリ27の蓄電電力を送電する。一方、内線端末1−1〜1−nは、主装置2から電力供給が行われているならば、この主装置2からの受電電力で自内線端末1を駆動する。そして、主装置2から送電要否問合せを受信した場合、自内線端末1のバッテリ16がバッテリ駆動可能値以上に蓄電されているならば応答「送電不要」を主装置2に返信し、自内線端末1のバッテリ16がバッテリ駆動可能値未満の充電状態ならば応答「送電要」を主装置2に返信する。このため、本実施の形態によれば、停電等の緊急時において、バッテリ16が十分に充電されておらず、バッテリ駆動をある程度の時間継続することが困難な内線端末1に対してのみ、主装置2のバッテリ27の蓄電電力を提供することができ、したがって、内線電話システムの電力をより効率的に活用することが可能となる。
【0069】
なお、本実施の形態において、電力線6の4芯(上り線61:2芯、下り線62:2芯)を内線端末1のLANインタフェース部3および主装置2のLANインターフェース部21の未使用端子(PoE給電用端子でもよい)に割り当てて、LAN3を電力線6として機能させるようにしてもよい。
【0070】
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0071】
例えば、上記の実施の形態では、主装置2および内線端末1間における送電要否問合せおよびその応答のやり取りを、LAN3を介して行っている。しかし、電力搬送通信により電力線6を介して行うようにしてもよい。
【0072】
また、従来の給電型のボタン電話システム(例えばファントム給電を行うボタン電話システム)では、給電とディジタル信号のデータ伝送とを一対の通信線で同時に行っている。この場合、主装置2は予め送電IF部241の機能を具備しているので、受電IF部242のみ追加すればよい。
【0073】
また、内線端末1ごとにバッテリ駆動可能値を変更可能としてもよい。例えば、各内線端末1の使用頻度履歴を管理し、使用頻度の低い内線端末1については低いバッテリ駆動可能値を設定し、使用頻度の高い内線端末1については高いバッテリ駆動可能値を設定する等、内線端末1の使用頻度に応じたバッテリ駆動可能値が自動設定されるようにしてもよい。
【0074】
また、上記の実施の形態では、上り線61および下り線62で電力線6を構成し、主装置2から内線端末1への送電に下り線62を使用し、内線端末1から主装置2への送電に上り線61を使用している。しかし、本発明はこれに限定されない。主装置2から内線端末1への送電、および内線端末1から主装置2への送電を切り替えて、上り・下り共用の電力線を介して行うようにしてもよい。
【0075】
例えば、主装置2の配電制御部29が、内線端末1への送電電力(直流電力)を交流電力に変換して上り・下り共用の電力線に送出し、内線端末1の発電電力制御部17が、主装置2への送電電力(直流電力)を同じ電力線に送出する。そして、内線端末1の駆動電力制御部18が、この電力線から交流電力を分離して直流電力に変換することにより主装置2から電力を受電し、主装置2の受電電力制御部28が、この電力線から直流電力を分離することにより内線端末1から電力を受電する。あるいは、主装置2の配電制御部29が、内線端末1への送電電力(直流電力)を上り・下り共用の電力線に送出し、内線端末1の発電電力制御部17が、主装置2への送電電力(直流電力)を交流電力に変換して同じ電力線に送出する。そして、内線端末1の駆動電力制御部18が、この電力線から直流電力を分離することにより主装置2から電力を受電し、主装置2の受電電力制御部28が、この電力線から交流電力を分離して直流電力に変換することにより内線端末1から電力を受電する。
【0076】
このようにすることで、上り・下り共用の電力線を利用しつつも、主装置2から内線端末1への送電、および内線端末1から主装置2への送電を同時並列的に行うことが可能となる。
【0077】
また、例えば、主装置2において、配電制御部29は、原則として、上り・下り共用の電力線に電力を送電し、内線端末1から送電停止要求を受信したならば、この電力線への送電を停止する。これを受けて、受電電力制御部28は、この電力線を介して内線端末1から電力の受電を開始する。一方、内線端末1において、駆動電力制御部18は、原則として、この電力線から電力を受電し、この受電電力を駆動電力として自内線端末1を動作させる。そして、自内線端末1のバッテリ16が満充電値以上に蓄電されたならば、主装置2に送電停止要求を送信するとともに、自内線端末1をバッテリ駆動に切り替える。また、発電電力制御部17は、主装置2によるこの電力線への送電停止を検出したならば、この電力線に発電部15の発電電力を送電する。
【0078】
このように主装置2および内線端末1間でネゴシエーションを行って、どちらが上り・下り共用の電力線に送電するかを決めることにより、主装置2から内線端末1への送電、および内線端末1から主装置2への送電を時分割で行うことが可能となる。
【0079】
また、上記の実施の形態では、主装置2は、停電等により商用電源7からの電力供給が途絶えた場合をトリガにして、配電開始または配電停止等の各処理を行っているが、本発明はこれに限定されない。例えば、主装置2にユーザからの指示を受付けるユーザ指示受付部を設け、ユーザからの指示に応じて配電開始または配電停止等の各処理を行ってもよいし、バッテリ27が十分に蓄電されている場合に、自動的に商用電源からバッテリ駆動に切替えて配電開始または配電停止等の各処理を行ってもよい。これにより、主装置2の商用電源の使用電力を節電することが可能となる。
【0080】
また、上記の実施の形態では、通信線(LAN3)とは別に、主装置2および内線端末1間で電力を送受電するための電力線6を設けているが、本発明はこれに限定されない。以下に後述するように、アナログ内線電話システム、ボタン電話システムなど、主装置2aが内線端末1aと一対一で個別に通信線で接続されている場合には、電力線6を省略し、主装置2aが通信線を使って個別に内線端末1a−1〜1a−n(以下、内線端末1aとも呼ぶ)と電力を送受できるようにしてもよい。
【0081】
図7は、内線端末1の変形例1aの概略機能構成図である。
【0082】
図示するように、内線端末1aが図3に示す内線端末1と異なる点は、人検知センサ19を新たに追加したこと、およびLANインターフェース部11、電力クライアント機能部13に代えて電話線インターフェース部11a、電力クライアント機能部13aを設けたことである。
【0083】
人検知センサ19は、人の温度、声、椅子への着席等を検知することにより、内線端末1近傍にいる人を検知する。人検知センサ19は、赤外線センサ、音検知センサ、圧力検知センサ、あるいはこれらのセンサの組み合わせ等により構成される。または、既存の不在設定ボタンの設定状態を利用してもよい。
【0084】
電話線インターフェース部11aは、ボタン電話ライン、アナログ電話ライン等の電話線(内線)と接続するためのインターフェースであり、内線端末1aは、この電話線を介して後述の主装置2aと一対一で接続される。例えば、多機能ボタン電話機、アナログ電話機、無線端末親機、ドアホン、インターホンが該当する。
【0085】
電力クライアント機能部13aが、図3に示す電力クライアント機能部13と異なる点は、電力線インターフェース部14が省略されていること、および、発電電力制御部17、駆動電力制御部18に代えて、発電電力制御部17a、駆動電力制御部18aを設けたことである。
【0086】
発電電力制御部17aは、バッテリ16の蓄電状態を監視する。そして、バッテリ16の蓄電状態が所定の満充電値未満である場合、発電部15で発電された電力をバッテリ16に蓄電する。一方、バッテリ16の蓄電状態が満充電値以上である場合、自内線端末1aが通話待機状態であり、かつ人検知センサ19が自内線端末1a近傍に人を検知していない場合(つまり自内線端末1aが直ちに発信操作される可能性が少ない場合)に、ファントム給電等の既存の給電技術を用いて、電話線インターフェース部11aに接続された電話線に電力を送出する。これにより、発電部15で発電された電力を主装置2aに送電する。なお、発電電力制御部17aは、主装置2aへの送電開始に先立ち、例えばPB信号等を利用して主装置2aに送電停止要求を送信し、主装置2aによる電話線への電力送出が停止されたのを確認してから、主装置2aへの送電を開始する。
【0087】
駆動電力制御部18aは、ファントム給電等の既存の給電技術を用いて主装置2aから電話線に送出された電力を、電話線インターフェース部11aを介して受電し、この受電電力を駆動電力として内線端末機能部12に供給する。また、駆動電力制御部18aは、主装置2aから電力を受電できない場合、バッテリ16に蓄電されている電力を、駆動電力として内線端末機能部12に供給する。さらに、駆動電力制御部18aは、例えばPB信号等を利用して主装置2aから送電要否問合せを受信した場合に、バッテリ16の蓄電状態が所定のバッテリ駆動可能値以上であるならば、例えばPB信号等を利用して主装置2aに応答「送電不要」を返信する。一方、バッテリ16の蓄電状態がバッテリ駆動可能値未満ならば、例えばPB信号等を利用して主装置2aに応答「送電要」を返信する。
【0088】
内線端末1aの電力クライアント機能部13aの動作フローは、図4に示す電力クライアント機能部13の動作フローと基本的に同様である。しかし、S207での処理の詳細が異なる。
【0089】
図8は、図4に示すS207における内線端末1aの電力クライアント機能部13aの処理を説明するためのフロー図である。
【0090】
すなわち、図8に示すように、図4のS207において、まず、発電電力制御部17aは、電話線インターフェース部11aが通話待機中の状態(アイドル状態)にあるか否かを判断する(S2071)。
【0091】
電話線インターフェース部11aが通話待機中でないならば(S2071でNO)、S207での処理を終了してS208へ進む。一方、電話線インターフェース部11aが通話待機中であるならば(S2071でYES)、発電電力制御部17aは、人検知センサ19の出力を参照し、自内線端末1a近傍に人がいるか否かを判断する(S2072)。自内線端末1a近傍に人がいるならば(S2072でYES)、S207での処理を終了してS208へ進む。一方、自内線端末1aに人がいないならば(S2072でNO)、発電電力制御部17aは、駆動電力制御部18aが主装置2aから電力を受電中であるか否かさらに判断する(S2073)。
【0092】
駆動電力制御部18aが主装置2aから電力を受電中ならば(S2073でYES)、発電電力制御部17aは、例えばPB信号等を利用して主装置2aに送電停止要求を送信する(S2075)。それから、発電電力制御部17aは、主装置2aによる電話線への電力送出が停止されたのを確認してから(S2076でYES)、電話線インターフェース部11aおよび電話線を介して、発電部15の発電電力の主装置2aへの送電を開始する(S2074)。その後、S208へ進む。
【0093】
一方、駆動電力制御部18aが主装置2aから電力を受電中でないならば(S2073でNO)、発電電力制御部17aは、電話線インターフェース部11aおよび電話線を介して、発電部15の発電電力の主装置2aへの送電を開始する(S2074)。その後、S208へ進む。
【0094】
図9は、主装置2の変形例2aの概略機能構成図である。
【0095】
図示するように、主装置2aが図5に示す主装置2と異なる点は、LANインターフェース部21と、電力サーバ機能部23とに代えて、それぞれ内線端末1a−1〜1a−nに対応して設けられた電話線インターフェース部21a−1〜21a−n(以下、電話線インターフェース部21aとも呼ぶ)と、電力サーバ機能部23aとを設けたことである。
【0096】
電話線インターフェース部21aは、ボタン電話ライン、アナログ電話ライン等の電話線(内線)と接続するためのインターフェースであり、この電話線を介して主装置2aは、この電話線インターフェース部21aに対応する内線端末1aと一対一で接続される。
【0097】
電力サーバ機能部23aが、図5に示す電力サーバ機能部23と異なる点は、電力線インターフェース部24−1〜24−nが省略されていること、および、受電電力制御部28、配電制御部29に代えて、受電電力制御部28a、配電制御部29aを設けたことである。
【0098】
受電電力制御部28aは、配電制御部29aの指示に従い、電話線インターフェース部21aを介して電話線から、内線端末1aがファントム給電等の既存の給電技術を用いてこの電話線に送電した電力を受電する。また、受電電力制御部28aは、バッテリ27の蓄電状態を監視する。そして、バッテリ27の蓄電状態が、満充電を示す所定の満充電値未満であるならば、内線端末1aからの受電電力をバッテリ27に蓄電する。一方、バッテリ27の充電状態が満充電値以上ならば、UPSインターフェース部26を介して無停電電源装置8に、内線端末1aからの受電電力を送電する。
【0099】
配電制御部29aは、商用電源インターフェース部25を介して商用電源7から電力を受電し、この受電電力を駆動電力として、主装置機能部22に供給するとともに、ファントム給電等の既存の給電技術を用いて、電話線インターフェース部21aおよび電話線を介して内線端末1aに送電する。ここで、配電制御部29aは、例えばPB信号により電話線インターフェース部21aおよび電話線を介して内線端末1aから送電停止要求を受信した場合、この内線端末1aに対する送電を停止するとともに、受電電力制御部28aに、この内線端末1aがこの電話線に送電する電力の受電を指示する。
【0100】
また、配電制御部29aは、商用電源7から電力を受電できない場合、バッテリ27の蓄電電力を駆動電力として主装置機能部22に供給するとともに、主装置2に発電電力を送電中の内線端末1a以外の各内線端末1aに送電する。さらに、配電制御部29aは、バッテリ27の蓄電電力を送電中の各内線端末1aに対して、例えばPB信号により送電要否問合せを、この内線端末1aに対応する電話線インターフェース部21aおよび電話線を介して送信する。そして、例えばPB信号によりこの問合せに対して応答「送信不要」を返信した内線端末1aに対する送電を停止する。
【0101】
図10は、主装置2aの電力サーバ機能部23aの動作を説明するためのフロー図である。
【0102】
主装置2aの電力サーバ機能部23aの動作フローは、図6に示す電力サーバ機能部23の動作フローと基本的に同様である。しかし、図10に示すように、S302、S303に代えてS302a、S303aを設けたこと、およびS302aとS303aとの間に、S302b、S302cを追加したことにおいて異なる。
【0103】
すなわち、S302aにおいて、配電制御部29aは、配電対象の各内線端末1aに対応する電話線インターフェース部21aを介して、これらの内線端末1aに接続する各電話線に、ファントム給電等の既存の給電技術を用いて給電する。これにより、配電対象の各内線端末1aに電力を送電する。
【0104】
つぎに、S302bにおいて、配電制御部29aは、例えばPB信号により電話線インターフェース部21aおよび電話線を介していずれかの内線端末1aから送電停止要求を受信したか否かを判断する。送電停止要求を受信していない場合は(S302bでNO)、S303aに進む。一方、送電停止要求を受信している場合(S302bでYES)、配電制御部29aは、この送電停止要求の送信元の内線端末1aに対する送電を停止するとともに、この内線端末1aを配電対象から除外する。それから、受電電力制御部28aに対して、この内線端末1aからの電力受電を指示し、S303aに進む。
【0105】
つぎに、S303aにおいて、受電電力制御部28aは、配電対象から除外されているいずれかの内線端末1aから発電電力を受電しているか否かを判断する。配電対象から除外されているいずれの内線端末1aからも発電電力を受電していない場合(S303aでNO)、商用電源7から電力を受電しているか否かを判断し(S307)、商用電源7から電力を受電していれば(S307でYES)、S302bに戻る。一方、配電対象から除外されているいずれかの内線端末1aから発電電力を受電している場合(S303aでYES)、S304に進む。
【0106】
上述の内線端末1aおよび主装置2aによれば、電話線により内線端末1aおよび主装置2a間で電力を送受電できるので、電力線を別途設ける必要がない。また、内線端末1aから主装置2aへの送電は、通話待機中に必要に応じて行われる。このため、例えば内線端末1aが、アナログ電話機等、通話中の電力ソースとして主装置2aからのファントム給電を前提とする端末である場合でも、通話動作に影響を与えることなく、内線端末1aから主装置2aへの送電を行うことができる。
【0107】
また、自内線端末1a近傍に人がいない場合に内線端末1aから主装置2aへの送電が行われるため、通話動作に影響を与えることなく、内線端末1aから主装置2aへの送電を行うことができる。
【0108】
また、上記の実施の形態において、図3、図7に示す内線端末1、1a、および図5、図9に示す主装置2、2aの機能構成は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、およびFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積ロジックICによりハード的に実現されるものでもよいし、あるいは、DSP(Digital Signal Processor)などの計算機によりソフトウエア的に実現されるものでもよい。もしくは、CPU、メモリ、HDD、DVD−ROM等の補助記憶装置、およびNIC(Network Interface Card)、モデム等の通信インターフェースを備えたPC(Personal Computer)等の汎用コンピュータにおいて、CPUが所定のプログラムを補助記憶装置からメモリ上にロードして実行することで実現されるものでもよい。
【0109】
また、上記の実施の形態では、内線電話システムを例にとり説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ハブ、ルータ等のネットワーク機器(電力サーバに相当)と、発電機能を有する複数のネットワーク端末(電力クライアントに相当)と、を備えて構成されるネットワークシステム等、複数の通信装置を備えた通信システムに広く適用できる。
【符号の説明】
【0110】
1、1−1〜1−n、1a、1a−1〜1a−n:内線端末、2、2a:主装置、3:LAN、4:ゲートウェイ、5:WAN、6、6−1〜6−n:電力線、7:商用電源、8:無停電電源装置、11:LANインターフェース部、11a:電話線インターフェース部、12:内線端末機能部、13、13a:電力クライアント機能部、14:電力線インターフェース部、15:発電部、16:バッテリ、17、17a:発電電力制御部、18、18a:駆動電力制御部、19:人検知センサ、21:LANインターフェース部、21a、21a−1〜21a−n:電話線インターフェース部、22:主装置機能部、23、23a:電力サーバ機能部、24、24−1〜24−n:電力線インターフェース部、25:商用電源インターフェース部、26:UPSインターフェース部、27:バッテリ、28、28a:受電電力制御部、29、29a:配電制御部、61:上り線、62:下り線、141:送電インターフェース部、142:受電インターフェース部、241:送電インターフェース部、242:受電インターフェース部
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システムに関し、特に、通信システムの電力制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、通信装置の省電力化を図ることのできる技術が開示されている。
【0003】
この技術において、通信装置は、電源装置から供給される電力を通信装置本体に給電する給電システムを備える。この給電システムは、所定の給電条件に従い、電源装置に搭載されている電力ソース(太陽光発電モジュール、バッテリ、および商用電源)の中からいずれか一つの電力ソースを選択し、この電力ソースから供給される電力を通信装置本体に給電する。また、電源装置に余剰電力があるならば、これを他の通信装置に給電する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−81200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
内線電話システム等の、複数の通信装置からなる通信システムにおいて、各通信装置に特許文献1に記載の技術を適用した場合、通信装置によって電源装置の電力状況(太陽光発電モジュールの発電状況、バッテリの蓄電状態等)が異なるため、電力が足りている通信装置(太陽光発電モジュールの発電電力あるいはバッテリの蓄電電力により自装置の駆動電力を賄える通信装置)と電力が不足している通信装置とが混在する事態が想定される。このような状態において、停電等により、各通信装置が備える電源装置への、商用電源からの電力供給が途絶えた場合、通信システム全体を安定的に動作させるためには、どの通信装置の電力をどの通信装置に供給すべきかが問題となる。この点について、特許文献1に記載の技術は何ら考慮していない。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、通信システム全体の省電力化を図ることができ、かつ外部からの電力供給が途絶えた場合においても、通信システムを安定的に動作させることを可能とする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明では、内線電話システム等の通信システムを構成する複数の通信装置のうちの一つを電力サーバとし、残りを電力クライアントとする。
【0008】
電力クライアントは、例えば、太陽光発電、音圧発電、振動発電、温度差発電等の発電機能を有し、発電機能によって発電された電力を自通信装置のバッテリに蓄電する。バッテリが十分に蓄電されているならば、電力サーバに発電電力を送電する。また、電力クライアントは、例えば停電等により外部から通信システムへの電力供給が途絶えた場合において、自通信装置のバッテリが十分に蓄電されているならばバッテリ駆動により動作し、十分に蓄電されていないならば電力サーバから駆動電力の供給を受けて動作する。
【0009】
一方、電力サーバは、電力クライアントからの受電電力を自通信装置のバッテリに蓄電する。また、電力サーバは、例えば停電等により外部から通信システムへの電力供給が途絶えた場合において、自通信装置のバッテリを用いてバッテリ駆動により動作するとともに、このバッテリの蓄電電力を、駆動電力を必要とする電力クライアントに配電する。
【0010】
例えば、本発明は、複数の通信装置を備えた通信システムであって、
前記複数の通信装置のうちの一つは電力サーバであり、残りは発電機能を備えた電力クライアントであり、
前記電力クライアントは、
クライアント側蓄電手段と、
前記発電機能による発電電力を、前記クライアント側蓄電手段の蓄電状態が第一のしきい値未満ならば当該クライアント側蓄電手段に蓄電し、前記第一のしきい値以上ならば前記電力サーバに送電する発電電力制御手段と、
前記クライアント側蓄電手段の蓄電状態が第二のしきい値以上ならば当該クライアント側蓄電手段の蓄電電力で自通信装置を駆動し、前記第二のしきい値未満ならば前記電力サーバからの受電電力で自通信装置を駆動する駆動電力制御手段と、を有し、
前記電力サーバは、
サーバ側蓄電手段と、
前記電力クライアントからの受電電力を前記サーバ側蓄電手段に蓄電する受電電力制御手段と、
前記サーバ側蓄電手段の蓄電電力で自通信装置を駆動するとともに、前記クライアント側蓄電手段の蓄電状態が前記第二のしきい値未満の前記電力クライアントに、前記サーバ側蓄電手段の蓄電電力を送電する配電制御手段と、を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明において、電力クライアントの余剰電力は、電力サーバに蓄電され、例えば停電等により外部から通信システムへの電源供給が途絶えた場合に、電力不足によりバッテリ駆動できない電力クライアントに電力サーバから分配される。このため、通信システム全体の省電力化を図ることができ、かつ外部からの電源供給が途絶えた場合においても、通信システムを安定的に動作させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の一実施の形態に係る内線電話システムの概略構成図である。
【図2】図2は、本実施の一実施の形態に係る内線電話システムにおける電力制御の一例を説明するためのシーケンス図である。
【図3】図3は、内線端末1の概略機能構成図である。
【図4】図4は、内線端末1の電力クライアント機能部13の動作を説明するためのフロー図である。
【図5】図5は、主装置2の概略機能構成図である。
【図6】図6は、主装置2の電力サーバ機能部23の動作を説明するためのフロー図である。
【図7】図7は、内線端末1の変形例1aの概略機能構成図である。
【図8】図8は、内線端末1aの電力クライアント機能部13aの図4に示すS207での処理を説明するための図である。
【図9】図9は、主装置2の変形例2aの概略機能構成図である。
【図10】図10は、主装置2aの電力サーバ機能部23aの動作を説明するためのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の一実施の形態について説明する。
【0014】
図1は、本実施の形態に係る内線電話システムの概略構成図である。
【0015】
図示するように、本実施の形態に係る内線電話システムは、複数の内線端末1−1〜1−n(以下、内線端末1とも呼ぶ)と、LAN3を介してこれらの内線端末1−1〜1−nを収容する主装置2と、を備えている。内線端末1−1〜1−nは、それぞれ電力線6−1〜6−n(以下、電力線6とも呼ぶ)により、主装置2と個別に接続されている。LAN3は、ゲートウェイ(GW)4を介してWAN5に接続されている。主装置2は、商用電源7および無停電電源装置(UPS)8にも接続されている。無停電電源装置8は、停電等の障害時に、内線電話システム以外の図示していない電気機器(例えばコンピュータ)に電力を供給するためのものである。
【0016】
ここで、内線端末1は、電力クライアントであり、電力線6を介して主装置2から電力を受電して動作する。また、内線端末1は、太陽光発電、音圧発電、振動発電、温度差発電等の発電機能を備えており、この発電機能によって発電された電力を自内線端末1内の後述のバッテリ16(図3参照)に蓄電する。そして、このバッテリ16が十分に蓄電されているならば、内線端末1は、電力線6を介して主装置2に発電電力を送電する。また、内線端末1は、停電等の障害時において、自内線端末1内のバッテリ16が十分に蓄電されているならばバッテリ駆動により動作する。
【0017】
主装置2は、内線端末1に対する配電機能を備えた電力サーバであり、電力線6を介して内線端末1に商用電源7の電力を送電する。また、主装置2は、電力線6を介して内線端末1から受電した電力を自主装置2内の後述のバッテリ27(図5参照)に蓄電する。そして、このバッテリ27が十分に蓄電されているならば、内線端末1から受電した電力を無停電電源装置8に送電する。停電等の障害時に、主装置2は、自主装置2内のバッテリ27を用いたバッテリ駆動により動作するとともに、このバッテリ27に蓄電されている電力を、駆動電力を必要とする内線端末1に電力線6を介して送電する。
【0018】
図2は、本実施の形態に係る内線電話システムにおける電力制御の一例を説明するためのシーケンス図である。
【0019】
主装置2は、商用電源7から電力を受電して動作(商用電力駆動)するとともに(S100)、電力線6−1〜6−nを介して各内線端末1−1〜1−nに、商用電源7からの電力を送電(商用電力配電)する(S101)。
【0020】
これを受けて、内線端末1−1〜1−nは、電力線6−1〜6−nを介して主装置2から電力を受電して動作する(S102−1〜S102−n)。また、内線端末1−1〜1−nは、発電機能により電力を発電し、この発電電力を自内線端末1内のバッテリ16に蓄電する(S103−1〜S103−n)。
【0021】
ここで、内線端末1−1のバッテリ16が十分に充電されたものとする。内線端末1−1は、発電機能により発電した電力のバッテリ16への蓄電を完了し(S104)、電力線6−1を介して主装置2に発電電力を送電する(S105)。
【0022】
これを受けて、主装置2は、電力線6−1を介して内線端末1−1から受電した電力を自主装置2内のバッテリ27に蓄電する(S106)。
【0023】
その後、主装置2のバッテリ27が十分に充電されたものとする。主装置2は、内線端末1−1より受電した電力のバッテリ27への蓄電を完了させ(S107)、この受電電力を無停電電源装置8に送電する(S108)。
【0024】
その後、停電等の障害により、商用電源7から主装置2への電力供給が断たれたものとする。主装置2は、自主装置2の動作モードを、商用電力駆動から、自主装置2内のバッテリ27によるバッテリ駆動に切り替える(S109)。また、主装置2は、各内線端末1への配電ソースを、商用電源7から自主装置2内のバッテリ27に切り替えるとともに(S110)、主装置2に対して発電電力を送電中の内線端末1−1への配電を停止する(S111)。
【0025】
これを受けて、内線端末1−2〜1−nは、これまでと同様、電力線6−2〜6−nを介して主装置2から電力を受電して動作する(S112−2〜S112−n)。一方、内線端末1−1は、主装置2からの受電停止を検知すると、自内線端末1−1の動作モードを、主装置2から受電した電力による駆動から、自内線端末1−1内のバッテリ16によるバッテリ駆動に切り替える(S113)。
【0026】
つぎに、主装置2は、配電先の内線端末1−2〜1−nに、送電要否の問合せを、LAN3を介して送信する(S114)。
【0027】
これを受けて、内線端末1−2〜1−nは、自内線端末1内のバッテリ16の蓄電状態に基づいて主装置2からの送電要否を判断する。具体的には、自内線端末1をバッテリ駆動させるのに十分な電力がバッテリ16に蓄電されているならば送電不要と判断し、そうでないならば送電要と判断する。ここで、内線端末1−2が送電不要と判断し、内線端末1−nを含むその他の内線端末1−3〜1−nは送電要と判断したものとする。内線端末1−2は、LAN3を介して主装置2に、送電要否の問合せに対する応答「送電不要」を返信する(S115−2)。また、内線端末1−nを含むその他の内線端末1−3〜1−nは、送電要否の問合せに対する応答「送電要」を返信する(S115−n)。
【0028】
主装置2は、「送電要」を返信した内線端末1−3〜1−nに対して、自主装置2内のバッテリ27に蓄電されている電力の送電を引き続き行うが、「送電不要」を返信した内線端末1−2に対しては送電を停止する(S116)。これを受けて、内線端末1−2は、自内線端末1−2の動作モードを、主装置2から受電した電力による駆動から、自内線端末1−2内のバッテリ16によるバッテリ駆動に切り替える(S117)。
【0029】
つぎに、本実施の形態に係る内線電話システムを構成する内線端末1および主装置2の詳細を説明する。
【0030】
まず、内線端末1について説明する。
【0031】
図3は、内線端末1の概略機能構成図である。
【0032】
図示するように、内線端末1は、LANインターフェース部11と、内線端末機能部12と、電力クライアント機能部13と、を備えている。
【0033】
LANインターフェース部11は、LAN3に接続するためのインターフェースである。
【0034】
内線端末機能部12は、発着信制御、通話処理等の、内線端末としての機能を実現するための処理部である。
【0035】
そして、電力クライアント機能部13は、電力サーバである主装置2から送電された電力を受電して、自内線端末1の各部に供給する電力クライアントとしての機能を実現するための処理部である。図示するように、電力クライアント機能部13は、電力線インターフェース部14と、発電部15と、バッテリ16と、発電電力制御部17と、駆動電力制御部18と、を備える。
【0036】
電力線インターフェース部14は、電力線6に接続するためのインターフェースであり、送電インターフェース部141と、受電インターフェース部142と、を備える。図示するように、電力線6は上り線61および下り線62からなり、送電インターフェース部141は上り線61に接続され、受電インターフェース部142は下り線62に接続される。
【0037】
発電部15は、内線端末1に搭載可能な既存の発電モジュールであり、太陽光発電、音圧発電、振動発電、温度差発電等がこれに該当する。
【0038】
バッテリ16には、発電部15で発電された電力が蓄電される。
【0039】
発電電力制御部17は、バッテリ16の蓄電状態を監視する。そして、バッテリ16の蓄電状態が満充電を示す所定のしきい値(満充電値、例えばバッテリ残容量90%)未満であるならば、発電部15で発電された電力をバッテリ16に蓄電する。一方、バッテリ16の蓄電状態が満充電値以上ならば、送電インターフェース部141および上り線61を介して主装置2に、発電部15で発電された電力を送電する。
【0040】
駆動電力制御部18は、受電インターフェース部142および下り線62を介して主装置2から電力を受電し、この受電電力を、駆動電力としてLANインターフェース部11、および内線端末機能部12に供給する。また、駆動電力制御部18は、主装置2から電力を受電できない場合、バッテリ16に蓄電されている電力を、駆動電力としてLANインターフェース部11、および内線端末機能部12に供給する。さらに、駆動電力制御部18は、LANインターフェース部11およびLAN3を介して主装置2から送電要否問合せを受信した場合、バッテリ16の蓄電状態を調べ、バッテリ16の蓄電状態が、バッテリ駆動可能であることを示す所定のしきい値(バッテリ駆動可能値、例えばバッテリ残容量70%)以上であるならば、LANインターフェース部11およびLAN3を介して主装置2に応答「送電不要」を返信する。一方、バッテリ16の蓄電状態がバッテリ駆動可能値未満ならば、LANインターフェース部11およびLAN3を介して主装置2に応答「送電要」を返信する。
【0041】
図4は、内線端末1の電力クライアント機能部13の動作を説明するためのフロー図である。
【0042】
まず、駆動電力制御部18は、受電インターフェース部142および下り線62を介して主装置2から電力を受電しているか否かを判断する(S201)。主装置2から受電しているならば(S201でYES)、この受電電力を、駆動電力としてLANインターフェース部11および内線端末機能部12に供給し、自内線端末1を動作させる(S202)。一方、主装置2から受電していないならば(S201でNO)、バッテリ16に蓄電されている電力を、駆動電力としてLANインターフェース部11および内線端末機能部12に供給し、自内線端末1を動作させる(S203)。
【0043】
また、発電電力制御部17は、発電部15が電力を発電している場合(S204でYES)、バッテリ16の蓄電状況を調べる(S205)。そして、バッテリ16の蓄電状態が満充電値未満ならば(S205でYES)、発電部15の発電電力をバッテリ16に蓄電する(S206)。一方、バッテリ16の蓄電状態が満充電値以上ならば(S205でNO)、この発電電力を、送電インターフェース部141および上り線61を介して主装置2に送電する(S207)。
【0044】
また、駆動電力制御部18は、LANインターフェース部11およびLAN3を介して主装置2から送電要否問合せを受信した場合(S208でYES)、バッテリ16の蓄電状態を調べる(S209)。そして、バッテリ16の蓄電状態がバッテリ駆動可能値以上であるならば(S209でYES)、LANインターフェース部11およびLAN3を介して主装置2に応答「送電不要」を返信する(S210)。一方、バッテリ16の蓄電状態がバッテリ駆動可能値未満ならば(S209でNO)、LANインターフェース部11およびLAN3を介して主装置2に応答「送電要」を返信する(S211)。
【0045】
つぎに、主装置2について説明する。
【0046】
図5は、主装置2の概略機能構成図である。
【0047】
図示するように、主装置2は、LANインターフェース部21と、主装置機能部22と、電力サーバ機能部23と、を備えている。
【0048】
LANインターフェース部21は、LAN3に接続するためのインターフェースである。
【0049】
主装置機能部22は、呼制御、中継処理等の、主装置としての機能を実現するための処理部である。
【0050】
そして、電力サーバ機能部23は、電力クライアントである内線端末1−1〜1−nに電力を配電する電力サーバとしての機能を実現するための処理部である。図示するように、電力サーバ機能部23は、それぞれ内線端末1−1〜1−nに対応して設けられた電力線インターフェース部24−1〜24−n(以下、電力線インターフェース部24とも呼ぶ)と、商用電源インターフェース部25と、UPSインターフェース部26と、バッテリ27と、受電電力制御部28と、配電制御部29と、を備える。
【0051】
電力線インターフェース(IF)部24は、自電力線インターフェース部24に対応する内線端末1に接続された電力線6と接続するためのインターフェースであり、送電インターフェース(IF)部241と、受電インターフェース(IF)部242と、を備える。図示するように、電力線6−1〜6−nのそれぞれは、上り線61および下り線62からなり、送電インターフェース部241は下り線62に接続され、受電インターフェース部242は上り線61に接続される。
【0052】
商用電源インターフェース部25は、商用電源7から電力を受電するためのインターフェースである。
【0053】
UPSインターフェース部26は、無停電電源装置8に電力を送電するためのインターフェースである。
【0054】
バッテリ27には、電力線インターフェース部24−1〜24−nの受電インターフェース部242および上り線61を介して内線端末1−1〜1−nから受電した電力が蓄電される。
【0055】
受電電力制御部28は、バッテリ27の蓄電状態を監視する。そして、バッテリ27の蓄電状態が、満充電を示す所定のしきい値(満充電値、例えばバッテリ残容量90%)未満であるならば、内線端末1−1〜1−nからの受電電力をバッテリ27に蓄電する。一方、バッテリ27の蓄電状態が満充電値以上ならば、UPSインターフェース部26を介して無停電電源装置8に、内線端末1−1〜1−nからの受電電力を送電する。
【0056】
配電制御部29は、商用電源インターフェース部25を介して商用電源7から電力を受電し、この受電電力を、駆動電力としてLANインターフェース部21および主装置機能部22に供給するとともに、電力線インターフェース部24−1〜24−nの送電インターフェース部241および下り線62を介して内線端末1−1〜1−nに配電する。また、配電制御部29は、商用電源7から電力を受電できない場合、バッテリ27の蓄電電力を、駆動電力としてLANインターフェース部21および主装置機能部22に供給するとともに、主装置2に対して発電電力を送電中の内線端末1以外の各内線端末1に送電する。さらに、配電制御部29は、バッテリ27の蓄電電力を送電中の各内線端末1に対して、LANインターフェース部21およびLAN3を介して送電要否問合せを送信する。そして、この問合せに対して応答「送信不要」を返信した内線端末1に対する送電を停止する。
【0057】
図6は、主装置2の電力サーバ機能部23の動作を説明するためのフロー図である。
【0058】
配電制御部29は、商用電源7が動作中、つまり商用電源インターフェース部25を介して商用電源7から電力を受電しているか否かを判断する(S300)。商用電源7から電力を受電している場合(S300でYES)、配電制御部29は、この受電電力を駆動電力としてLANインターフェース部21および主装置機能部22に供給し、自主装置2を動作させる(S301)。また、電力線インターフェース部24−1〜24−nの送電インターフェース部241および下り線62を介して内線端末1−1〜1−nに、この受電電力を送電する(S302)。
【0059】
つぎに、受電電力制御部28は、いずれかの電力線インターフェース部24の受電インターフェース部242および上り線61を介して、この電力線インターフェース部24に対応する内線端末1から発電電力を受電しているか否かを判断する(S303)。いずれの内線端末1からも発電電力を受電していないならば(S303でNO)、商用電源7から電力を受電しているか否かを判断し(S307)、商用電源7から電力を受電していれば(S307でYES)、S303に戻る。一方、いずれかの内線端末1から発電電力を受電しているならば(S303でYES)、バッテリ27の蓄電状況を調べる(S304)。そして、バッテリ27の蓄電状態が満充電値未満ならば(S304でYES)、この発電電力をバッテリ27に蓄電する(S305)。一方、バッテリ27の蓄電状態が満充電値以上ならば(S304でNO)、UPSインターフェース部26を介して無停電電源装置8に、この発電電力を送電する(S306)。それから、商用電源7から電力を受電しているか否かを判断し(S307)、商用電源7から電力を受電していれば(S307でYES)、S303に戻る。
【0060】
一方、S300またはS307において、停電等の障害により商用電源7から電力を受電していない場合(S300でNOまたはS307でNO)、配電制御部29は、バッテリ27に蓄電されている電力を駆動電力としてLANインターフェース部21および主装置機能部22に供給し、自主装置2を動作させる(S308)。また、電力線インターフェース部24−1〜24−nの送電インターフェース部241および下り線62を介して内線端末1−1〜1−nに、この蓄電電力を送電する(S309)。
【0061】
つぎに、配電制御部29は、受電電力制御部28がいずれかの電力線インターフェース部24の受電インターフェース部242および上り線61を介して発電電力を受電中であるか否かを調べる(S310)。そして、いずれかの電力線インターフェース部24も発電電力を受電中でないならば(S310でNO)、S312に進む。一方、いずれかの電力線インターフェース部24が発電電力を受電中ならば(S310でYES)、この発電電力を受電中の受電インターフェース部242の送電インターフェース部241および下り線62を介して、この電力線インターフェース部24に対応する内線端末1へのバッテリ27の蓄電電力の送電を停止する(S311)。
【0062】
それから、配電制御部29は、バッテリ27の蓄電電力を送電中の各内線端末1に、送電可否問合せを、LANインターフェース部21およびLAN3を介して送信し、これらの内線端末1から応答を受信する(S312)。そして、応答「送信不要」を返信した内線端末1が存在するか否かを確認する(S313)。ここで、応答「送信不要」を返信した内線端末1が存在しないならば(S313でNO)、S315に進む。一方、応答「送信不要」を返信した内線端末1が存在するならば(S313でYES)、この応答「送信不要」を返信した内線端末1に対応する電力線インターフェース部24の送電インターフェース部241および下り線62を介して、この応答「送信不要」を返信した内線端末1へのバッテリ27の蓄電電力の送電を停止する(S314)。
【0063】
つぎに、配電制御部29は、商用電源7が復旧するのを待つ(S315)。商用電源7が復旧したならば(S315でYES)、S300に戻る。
【0064】
以上、本発明の一実施の形態について説明した。
【0065】
本実施の形態の内線電話システムでは、内線端末1−1〜1−nを発電機能付きの電力クライアントとして機能させ、主装置2を電力サーバとして機能させている。すなわち、内線端末1−1〜1−nは、発電部15によって発電された電力を自内線端末1のバッテリ16に蓄電する。バッテリ16が所定の満充電値以上に蓄電されているならば、主装置2に発電電力を送電する。また、内線端末1−1〜1−nは、停電等により商用電源7から内線電話システムへの電力供給が途絶えた場合に、自内線端末1のバッテリ16が所定のバッテリ駆動可能値以上に蓄電されているならば、バッテリ駆動により動作し、自内線端末1のバッテリ16がバッテリ駆動可能値未満の充電状態の場合にのみ、主装置2から駆動電力の供給を受けて動作する。一方、主装置2は、内線端末1−1〜1−nからの受電電力を自主装置2のバッテリ27に蓄電する。また、主装置2は、停電等により商用電源7から内線電話システムへの電力供給が途絶えた場合に、自主装置2のバッテリ27を用いてバッテリ駆動により動作するとともに、このバッテリ27の蓄電電力を、駆動電力を必要とする内線端末1−1〜1−nに配電する。
【0066】
このため、各内線端末1において、自内線端末1のバッテリ16に蓄電できない余剰電力は、主装置2のバッテリ27に蓄電され、停電等により商用電源7から内線電話システムへの電源供給が途絶えた場合に、バッテリ残量不足によりバッテリ駆動できない内線端末1に分配される。したがって、本実施の形態によれば、内線電話システム全体の省電力化を図ることができ、かつ外部からの電源供給が途絶えた場合においても、内線電話システムを安定的に動作させることが可能となる。
【0067】
また、本実施の形態において、主装置2は、自主装置2のバッテリ27が所定の満充電値以上に蓄電されているならば、内線端末1からの受電電力を無停電電源装置8等の外部装置に送電するので、外部装置における内線端末1の余剰電力の活用が期待でき、したがって内線端末1の余剰電力が無駄になるのを防止できる。
【0068】
また、本実施の形態において、主装置2は、商用電源7から電力を受電して自主装置2を駆動するとともに、この受電電力を内線端末1−1〜1−nに配電する。そして、停電等により商用電源7からの電力供給が途絶えた場合に、内線端末1−1〜1−nに送電要否問合せを送信し、この問合せに対して応答「送電要」を返信した内線端末1にのみ、バッテリ27の蓄電電力を送電する。一方、内線端末1−1〜1−nは、主装置2から電力供給が行われているならば、この主装置2からの受電電力で自内線端末1を駆動する。そして、主装置2から送電要否問合せを受信した場合、自内線端末1のバッテリ16がバッテリ駆動可能値以上に蓄電されているならば応答「送電不要」を主装置2に返信し、自内線端末1のバッテリ16がバッテリ駆動可能値未満の充電状態ならば応答「送電要」を主装置2に返信する。このため、本実施の形態によれば、停電等の緊急時において、バッテリ16が十分に充電されておらず、バッテリ駆動をある程度の時間継続することが困難な内線端末1に対してのみ、主装置2のバッテリ27の蓄電電力を提供することができ、したがって、内線電話システムの電力をより効率的に活用することが可能となる。
【0069】
なお、本実施の形態において、電力線6の4芯(上り線61:2芯、下り線62:2芯)を内線端末1のLANインタフェース部3および主装置2のLANインターフェース部21の未使用端子(PoE給電用端子でもよい)に割り当てて、LAN3を電力線6として機能させるようにしてもよい。
【0070】
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0071】
例えば、上記の実施の形態では、主装置2および内線端末1間における送電要否問合せおよびその応答のやり取りを、LAN3を介して行っている。しかし、電力搬送通信により電力線6を介して行うようにしてもよい。
【0072】
また、従来の給電型のボタン電話システム(例えばファントム給電を行うボタン電話システム)では、給電とディジタル信号のデータ伝送とを一対の通信線で同時に行っている。この場合、主装置2は予め送電IF部241の機能を具備しているので、受電IF部242のみ追加すればよい。
【0073】
また、内線端末1ごとにバッテリ駆動可能値を変更可能としてもよい。例えば、各内線端末1の使用頻度履歴を管理し、使用頻度の低い内線端末1については低いバッテリ駆動可能値を設定し、使用頻度の高い内線端末1については高いバッテリ駆動可能値を設定する等、内線端末1の使用頻度に応じたバッテリ駆動可能値が自動設定されるようにしてもよい。
【0074】
また、上記の実施の形態では、上り線61および下り線62で電力線6を構成し、主装置2から内線端末1への送電に下り線62を使用し、内線端末1から主装置2への送電に上り線61を使用している。しかし、本発明はこれに限定されない。主装置2から内線端末1への送電、および内線端末1から主装置2への送電を切り替えて、上り・下り共用の電力線を介して行うようにしてもよい。
【0075】
例えば、主装置2の配電制御部29が、内線端末1への送電電力(直流電力)を交流電力に変換して上り・下り共用の電力線に送出し、内線端末1の発電電力制御部17が、主装置2への送電電力(直流電力)を同じ電力線に送出する。そして、内線端末1の駆動電力制御部18が、この電力線から交流電力を分離して直流電力に変換することにより主装置2から電力を受電し、主装置2の受電電力制御部28が、この電力線から直流電力を分離することにより内線端末1から電力を受電する。あるいは、主装置2の配電制御部29が、内線端末1への送電電力(直流電力)を上り・下り共用の電力線に送出し、内線端末1の発電電力制御部17が、主装置2への送電電力(直流電力)を交流電力に変換して同じ電力線に送出する。そして、内線端末1の駆動電力制御部18が、この電力線から直流電力を分離することにより主装置2から電力を受電し、主装置2の受電電力制御部28が、この電力線から交流電力を分離して直流電力に変換することにより内線端末1から電力を受電する。
【0076】
このようにすることで、上り・下り共用の電力線を利用しつつも、主装置2から内線端末1への送電、および内線端末1から主装置2への送電を同時並列的に行うことが可能となる。
【0077】
また、例えば、主装置2において、配電制御部29は、原則として、上り・下り共用の電力線に電力を送電し、内線端末1から送電停止要求を受信したならば、この電力線への送電を停止する。これを受けて、受電電力制御部28は、この電力線を介して内線端末1から電力の受電を開始する。一方、内線端末1において、駆動電力制御部18は、原則として、この電力線から電力を受電し、この受電電力を駆動電力として自内線端末1を動作させる。そして、自内線端末1のバッテリ16が満充電値以上に蓄電されたならば、主装置2に送電停止要求を送信するとともに、自内線端末1をバッテリ駆動に切り替える。また、発電電力制御部17は、主装置2によるこの電力線への送電停止を検出したならば、この電力線に発電部15の発電電力を送電する。
【0078】
このように主装置2および内線端末1間でネゴシエーションを行って、どちらが上り・下り共用の電力線に送電するかを決めることにより、主装置2から内線端末1への送電、および内線端末1から主装置2への送電を時分割で行うことが可能となる。
【0079】
また、上記の実施の形態では、主装置2は、停電等により商用電源7からの電力供給が途絶えた場合をトリガにして、配電開始または配電停止等の各処理を行っているが、本発明はこれに限定されない。例えば、主装置2にユーザからの指示を受付けるユーザ指示受付部を設け、ユーザからの指示に応じて配電開始または配電停止等の各処理を行ってもよいし、バッテリ27が十分に蓄電されている場合に、自動的に商用電源からバッテリ駆動に切替えて配電開始または配電停止等の各処理を行ってもよい。これにより、主装置2の商用電源の使用電力を節電することが可能となる。
【0080】
また、上記の実施の形態では、通信線(LAN3)とは別に、主装置2および内線端末1間で電力を送受電するための電力線6を設けているが、本発明はこれに限定されない。以下に後述するように、アナログ内線電話システム、ボタン電話システムなど、主装置2aが内線端末1aと一対一で個別に通信線で接続されている場合には、電力線6を省略し、主装置2aが通信線を使って個別に内線端末1a−1〜1a−n(以下、内線端末1aとも呼ぶ)と電力を送受できるようにしてもよい。
【0081】
図7は、内線端末1の変形例1aの概略機能構成図である。
【0082】
図示するように、内線端末1aが図3に示す内線端末1と異なる点は、人検知センサ19を新たに追加したこと、およびLANインターフェース部11、電力クライアント機能部13に代えて電話線インターフェース部11a、電力クライアント機能部13aを設けたことである。
【0083】
人検知センサ19は、人の温度、声、椅子への着席等を検知することにより、内線端末1近傍にいる人を検知する。人検知センサ19は、赤外線センサ、音検知センサ、圧力検知センサ、あるいはこれらのセンサの組み合わせ等により構成される。または、既存の不在設定ボタンの設定状態を利用してもよい。
【0084】
電話線インターフェース部11aは、ボタン電話ライン、アナログ電話ライン等の電話線(内線)と接続するためのインターフェースであり、内線端末1aは、この電話線を介して後述の主装置2aと一対一で接続される。例えば、多機能ボタン電話機、アナログ電話機、無線端末親機、ドアホン、インターホンが該当する。
【0085】
電力クライアント機能部13aが、図3に示す電力クライアント機能部13と異なる点は、電力線インターフェース部14が省略されていること、および、発電電力制御部17、駆動電力制御部18に代えて、発電電力制御部17a、駆動電力制御部18aを設けたことである。
【0086】
発電電力制御部17aは、バッテリ16の蓄電状態を監視する。そして、バッテリ16の蓄電状態が所定の満充電値未満である場合、発電部15で発電された電力をバッテリ16に蓄電する。一方、バッテリ16の蓄電状態が満充電値以上である場合、自内線端末1aが通話待機状態であり、かつ人検知センサ19が自内線端末1a近傍に人を検知していない場合(つまり自内線端末1aが直ちに発信操作される可能性が少ない場合)に、ファントム給電等の既存の給電技術を用いて、電話線インターフェース部11aに接続された電話線に電力を送出する。これにより、発電部15で発電された電力を主装置2aに送電する。なお、発電電力制御部17aは、主装置2aへの送電開始に先立ち、例えばPB信号等を利用して主装置2aに送電停止要求を送信し、主装置2aによる電話線への電力送出が停止されたのを確認してから、主装置2aへの送電を開始する。
【0087】
駆動電力制御部18aは、ファントム給電等の既存の給電技術を用いて主装置2aから電話線に送出された電力を、電話線インターフェース部11aを介して受電し、この受電電力を駆動電力として内線端末機能部12に供給する。また、駆動電力制御部18aは、主装置2aから電力を受電できない場合、バッテリ16に蓄電されている電力を、駆動電力として内線端末機能部12に供給する。さらに、駆動電力制御部18aは、例えばPB信号等を利用して主装置2aから送電要否問合せを受信した場合に、バッテリ16の蓄電状態が所定のバッテリ駆動可能値以上であるならば、例えばPB信号等を利用して主装置2aに応答「送電不要」を返信する。一方、バッテリ16の蓄電状態がバッテリ駆動可能値未満ならば、例えばPB信号等を利用して主装置2aに応答「送電要」を返信する。
【0088】
内線端末1aの電力クライアント機能部13aの動作フローは、図4に示す電力クライアント機能部13の動作フローと基本的に同様である。しかし、S207での処理の詳細が異なる。
【0089】
図8は、図4に示すS207における内線端末1aの電力クライアント機能部13aの処理を説明するためのフロー図である。
【0090】
すなわち、図8に示すように、図4のS207において、まず、発電電力制御部17aは、電話線インターフェース部11aが通話待機中の状態(アイドル状態)にあるか否かを判断する(S2071)。
【0091】
電話線インターフェース部11aが通話待機中でないならば(S2071でNO)、S207での処理を終了してS208へ進む。一方、電話線インターフェース部11aが通話待機中であるならば(S2071でYES)、発電電力制御部17aは、人検知センサ19の出力を参照し、自内線端末1a近傍に人がいるか否かを判断する(S2072)。自内線端末1a近傍に人がいるならば(S2072でYES)、S207での処理を終了してS208へ進む。一方、自内線端末1aに人がいないならば(S2072でNO)、発電電力制御部17aは、駆動電力制御部18aが主装置2aから電力を受電中であるか否かさらに判断する(S2073)。
【0092】
駆動電力制御部18aが主装置2aから電力を受電中ならば(S2073でYES)、発電電力制御部17aは、例えばPB信号等を利用して主装置2aに送電停止要求を送信する(S2075)。それから、発電電力制御部17aは、主装置2aによる電話線への電力送出が停止されたのを確認してから(S2076でYES)、電話線インターフェース部11aおよび電話線を介して、発電部15の発電電力の主装置2aへの送電を開始する(S2074)。その後、S208へ進む。
【0093】
一方、駆動電力制御部18aが主装置2aから電力を受電中でないならば(S2073でNO)、発電電力制御部17aは、電話線インターフェース部11aおよび電話線を介して、発電部15の発電電力の主装置2aへの送電を開始する(S2074)。その後、S208へ進む。
【0094】
図9は、主装置2の変形例2aの概略機能構成図である。
【0095】
図示するように、主装置2aが図5に示す主装置2と異なる点は、LANインターフェース部21と、電力サーバ機能部23とに代えて、それぞれ内線端末1a−1〜1a−nに対応して設けられた電話線インターフェース部21a−1〜21a−n(以下、電話線インターフェース部21aとも呼ぶ)と、電力サーバ機能部23aとを設けたことである。
【0096】
電話線インターフェース部21aは、ボタン電話ライン、アナログ電話ライン等の電話線(内線)と接続するためのインターフェースであり、この電話線を介して主装置2aは、この電話線インターフェース部21aに対応する内線端末1aと一対一で接続される。
【0097】
電力サーバ機能部23aが、図5に示す電力サーバ機能部23と異なる点は、電力線インターフェース部24−1〜24−nが省略されていること、および、受電電力制御部28、配電制御部29に代えて、受電電力制御部28a、配電制御部29aを設けたことである。
【0098】
受電電力制御部28aは、配電制御部29aの指示に従い、電話線インターフェース部21aを介して電話線から、内線端末1aがファントム給電等の既存の給電技術を用いてこの電話線に送電した電力を受電する。また、受電電力制御部28aは、バッテリ27の蓄電状態を監視する。そして、バッテリ27の蓄電状態が、満充電を示す所定の満充電値未満であるならば、内線端末1aからの受電電力をバッテリ27に蓄電する。一方、バッテリ27の充電状態が満充電値以上ならば、UPSインターフェース部26を介して無停電電源装置8に、内線端末1aからの受電電力を送電する。
【0099】
配電制御部29aは、商用電源インターフェース部25を介して商用電源7から電力を受電し、この受電電力を駆動電力として、主装置機能部22に供給するとともに、ファントム給電等の既存の給電技術を用いて、電話線インターフェース部21aおよび電話線を介して内線端末1aに送電する。ここで、配電制御部29aは、例えばPB信号により電話線インターフェース部21aおよび電話線を介して内線端末1aから送電停止要求を受信した場合、この内線端末1aに対する送電を停止するとともに、受電電力制御部28aに、この内線端末1aがこの電話線に送電する電力の受電を指示する。
【0100】
また、配電制御部29aは、商用電源7から電力を受電できない場合、バッテリ27の蓄電電力を駆動電力として主装置機能部22に供給するとともに、主装置2に発電電力を送電中の内線端末1a以外の各内線端末1aに送電する。さらに、配電制御部29aは、バッテリ27の蓄電電力を送電中の各内線端末1aに対して、例えばPB信号により送電要否問合せを、この内線端末1aに対応する電話線インターフェース部21aおよび電話線を介して送信する。そして、例えばPB信号によりこの問合せに対して応答「送信不要」を返信した内線端末1aに対する送電を停止する。
【0101】
図10は、主装置2aの電力サーバ機能部23aの動作を説明するためのフロー図である。
【0102】
主装置2aの電力サーバ機能部23aの動作フローは、図6に示す電力サーバ機能部23の動作フローと基本的に同様である。しかし、図10に示すように、S302、S303に代えてS302a、S303aを設けたこと、およびS302aとS303aとの間に、S302b、S302cを追加したことにおいて異なる。
【0103】
すなわち、S302aにおいて、配電制御部29aは、配電対象の各内線端末1aに対応する電話線インターフェース部21aを介して、これらの内線端末1aに接続する各電話線に、ファントム給電等の既存の給電技術を用いて給電する。これにより、配電対象の各内線端末1aに電力を送電する。
【0104】
つぎに、S302bにおいて、配電制御部29aは、例えばPB信号により電話線インターフェース部21aおよび電話線を介していずれかの内線端末1aから送電停止要求を受信したか否かを判断する。送電停止要求を受信していない場合は(S302bでNO)、S303aに進む。一方、送電停止要求を受信している場合(S302bでYES)、配電制御部29aは、この送電停止要求の送信元の内線端末1aに対する送電を停止するとともに、この内線端末1aを配電対象から除外する。それから、受電電力制御部28aに対して、この内線端末1aからの電力受電を指示し、S303aに進む。
【0105】
つぎに、S303aにおいて、受電電力制御部28aは、配電対象から除外されているいずれかの内線端末1aから発電電力を受電しているか否かを判断する。配電対象から除外されているいずれの内線端末1aからも発電電力を受電していない場合(S303aでNO)、商用電源7から電力を受電しているか否かを判断し(S307)、商用電源7から電力を受電していれば(S307でYES)、S302bに戻る。一方、配電対象から除外されているいずれかの内線端末1aから発電電力を受電している場合(S303aでYES)、S304に進む。
【0106】
上述の内線端末1aおよび主装置2aによれば、電話線により内線端末1aおよび主装置2a間で電力を送受電できるので、電力線を別途設ける必要がない。また、内線端末1aから主装置2aへの送電は、通話待機中に必要に応じて行われる。このため、例えば内線端末1aが、アナログ電話機等、通話中の電力ソースとして主装置2aからのファントム給電を前提とする端末である場合でも、通話動作に影響を与えることなく、内線端末1aから主装置2aへの送電を行うことができる。
【0107】
また、自内線端末1a近傍に人がいない場合に内線端末1aから主装置2aへの送電が行われるため、通話動作に影響を与えることなく、内線端末1aから主装置2aへの送電を行うことができる。
【0108】
また、上記の実施の形態において、図3、図7に示す内線端末1、1a、および図5、図9に示す主装置2、2aの機能構成は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、およびFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積ロジックICによりハード的に実現されるものでもよいし、あるいは、DSP(Digital Signal Processor)などの計算機によりソフトウエア的に実現されるものでもよい。もしくは、CPU、メモリ、HDD、DVD−ROM等の補助記憶装置、およびNIC(Network Interface Card)、モデム等の通信インターフェースを備えたPC(Personal Computer)等の汎用コンピュータにおいて、CPUが所定のプログラムを補助記憶装置からメモリ上にロードして実行することで実現されるものでもよい。
【0109】
また、上記の実施の形態では、内線電話システムを例にとり説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ハブ、ルータ等のネットワーク機器(電力サーバに相当)と、発電機能を有する複数のネットワーク端末(電力クライアントに相当)と、を備えて構成されるネットワークシステム等、複数の通信装置を備えた通信システムに広く適用できる。
【符号の説明】
【0110】
1、1−1〜1−n、1a、1a−1〜1a−n:内線端末、2、2a:主装置、3:LAN、4:ゲートウェイ、5:WAN、6、6−1〜6−n:電力線、7:商用電源、8:無停電電源装置、11:LANインターフェース部、11a:電話線インターフェース部、12:内線端末機能部、13、13a:電力クライアント機能部、14:電力線インターフェース部、15:発電部、16:バッテリ、17、17a:発電電力制御部、18、18a:駆動電力制御部、19:人検知センサ、21:LANインターフェース部、21a、21a−1〜21a−n:電話線インターフェース部、22:主装置機能部、23、23a:電力サーバ機能部、24、24−1〜24−n:電力線インターフェース部、25:商用電源インターフェース部、26:UPSインターフェース部、27:バッテリ、28、28a:受電電力制御部、29、29a:配電制御部、61:上り線、62:下り線、141:送電インターフェース部、142:受電インターフェース部、241:送電インターフェース部、242:受電インターフェース部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の通信装置を備えた通信システムであって、
前記複数の通信装置のうちの一つは電力サーバであり、残りは発電機能を備えた電力クライアントであり、
前記電力クライアントは、
クライアント側蓄電手段と、
前記発電機能による発電電力を、前記クライアント側蓄電手段の蓄電状態が第一のしきい値未満ならば当該クライアント側蓄電手段に蓄電し、前記第一のしきい値以上ならば前記電力サーバに送電する発電電力制御手段と、
前記クライアント側蓄電手段の蓄電状態が第二のしきい値以上ならば当該クライアント側蓄電手段の蓄電電力で自通信装置を駆動し、前記第二のしきい値未満ならば前記電力サーバからの受電電力で自通信装置を駆動する駆動電力制御手段と、を有し、
前記電力サーバは、
サーバ側蓄電手段と、
前記電力クライアントからの受電電力を前記サーバ側蓄電手段に蓄電する受電電力制御手段と、
前記サーバ側蓄電手段の蓄電電力で自通信装置を駆動するとともに、前記クライアント側蓄電手段の蓄電状態が前記第二のしきい値未満の前記電力クライアントに、前記サーバ側蓄電手段の蓄電電力を送電する配電制御手段と、を有する
ことを特徴とする通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載の通信システムであって、
前記受電電力制御手段は、
前記電力クライアントからの受電電力を、前記サーバ側蓄電手段の蓄電状態が第三のしきい値未満ならば当該サーバ側蓄電手段に蓄電し、前記第三のしきい値以上ならば外部装置に送電する
ことを特徴とする通信システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の通信システムであって、
前記配電制御手段は、
外部電源から前記通信システムへの電力供給が行われている場合に、前記外部電源から電力を受電して自通信装置を駆動するとともに、当該受電した電力を前記電力クライアントに送電し、
前記外部電源から前記通信システムへの電力供給が途絶えた場合に、前記電力クライアントに送電要否問合せを送信し、当該問合せに対して送電要求を返信した前記電力クライアントに対してのみ、前記サーバ側蓄電手段の蓄電電力を送電し、
前記駆動電力制御手段は、
前記電力サーバから電力供給が行われているならば、前記電力サーバからの受電電力で自通信装置を駆動し、前記電力サーバから前記送電要否問合せを受信した場合に、前記電力サーバに対して、前記クライアント側蓄電手段の蓄電状態が前記第二のしきい値以上ならば送電不要を返信し、前記第二のしきい値未満ならば前記送電要求を返信する
ことを特徴とする通信システム。
【請求項4】
請求項3に記載の通信システムであって、
前記配電制御手段は、
前記外部電源からの受電電力を交流電力あるいは直流電力に変換して電力線に送出することにより、前記電力クライアントに送電し、
前記発電制御手段は、
前記発電機能による発電電力を、前記配電制御手段が交流電力を送出しているならば直流電力に変換し、前記配電制御手段が直流電力を送出しているならば交流電力に変換して、前記電力線に送出することにより、前記電力サーバに送電する
ことを特徴とする通信システム。
【請求項5】
請求項3に記載の通信システムであって、
前記配電制御手段は、
前記外部電源からの受電電力を電力線に送出することにより、前記電力クライアントに送電するとともに、前記電力クライアントから送電停止要求を受信したならば当該受電電力の前記電力線への送出を停止し、
前記発電制御手段は、
前記発電機能による発電電力を前記電力線に送出することにより、前記電力サーバに送電するとともに、当該発電電力の前記電力線への送出に先立って前記送電停止要求を前記電力サーバに送信する
ことを特徴とする通信システム。
【請求項6】
請求項5に記載の通信システムであって、
前記電力クライアントは、内線端末であり、
前記電力サーバは、前記内線端末を収容する主装置であり、
前記電力クライアントおよび前記電力サーバ間における電力の送受は、
前記電力クライアントおよび前記電力サーバ間を接続する電話線を前記電力線として当該電力クライアントの通話待機中に行われる
ことを特徴とする通信システム。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の通信システムの電力サーバとして用いられる通信装置。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の通信システムの電力クライアントとして用いられる通信装置。
【請求項9】
複数の通信装置を備えた通信システムの電力制御方法であって、
前記複数の通信装置のうちの一つは電力サーバであり、残りは発電機能を備えた電力クライアントであり、
前記電力クライアントは、
前記発電機能による発電電力を、自通信装置が備える蓄電装置に蓄電するとともに、当該蓄電装置の蓄電状態が第一のしきい値以上ならば前記電力サーバに送電し、
自通信装置が備える前記蓄電装置の蓄電状態が第二のしきい値以上ならば当該蓄電装置の蓄電電力で自通信装置を駆動し、前記第二のしきい値未満ならば前記電力サーバからの受電電力で自通信装置を駆動し、
前記電力サーバは、
前記電力クライアントからの受電電力を、自通信装置が備える蓄電装置に蓄電し、
自通信装置が備える前記蓄電装置の蓄電電力で自通信装置を駆動するとともに、自通信装置が備える前記蓄電装置の蓄電状態が前記第二のしきい値未満の前記電力クライアントに、当該蓄電電力を送電する
ことを特徴とする通信システムの電力制御方法。
【請求項1】
複数の通信装置を備えた通信システムであって、
前記複数の通信装置のうちの一つは電力サーバであり、残りは発電機能を備えた電力クライアントであり、
前記電力クライアントは、
クライアント側蓄電手段と、
前記発電機能による発電電力を、前記クライアント側蓄電手段の蓄電状態が第一のしきい値未満ならば当該クライアント側蓄電手段に蓄電し、前記第一のしきい値以上ならば前記電力サーバに送電する発電電力制御手段と、
前記クライアント側蓄電手段の蓄電状態が第二のしきい値以上ならば当該クライアント側蓄電手段の蓄電電力で自通信装置を駆動し、前記第二のしきい値未満ならば前記電力サーバからの受電電力で自通信装置を駆動する駆動電力制御手段と、を有し、
前記電力サーバは、
サーバ側蓄電手段と、
前記電力クライアントからの受電電力を前記サーバ側蓄電手段に蓄電する受電電力制御手段と、
前記サーバ側蓄電手段の蓄電電力で自通信装置を駆動するとともに、前記クライアント側蓄電手段の蓄電状態が前記第二のしきい値未満の前記電力クライアントに、前記サーバ側蓄電手段の蓄電電力を送電する配電制御手段と、を有する
ことを特徴とする通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載の通信システムであって、
前記受電電力制御手段は、
前記電力クライアントからの受電電力を、前記サーバ側蓄電手段の蓄電状態が第三のしきい値未満ならば当該サーバ側蓄電手段に蓄電し、前記第三のしきい値以上ならば外部装置に送電する
ことを特徴とする通信システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の通信システムであって、
前記配電制御手段は、
外部電源から前記通信システムへの電力供給が行われている場合に、前記外部電源から電力を受電して自通信装置を駆動するとともに、当該受電した電力を前記電力クライアントに送電し、
前記外部電源から前記通信システムへの電力供給が途絶えた場合に、前記電力クライアントに送電要否問合せを送信し、当該問合せに対して送電要求を返信した前記電力クライアントに対してのみ、前記サーバ側蓄電手段の蓄電電力を送電し、
前記駆動電力制御手段は、
前記電力サーバから電力供給が行われているならば、前記電力サーバからの受電電力で自通信装置を駆動し、前記電力サーバから前記送電要否問合せを受信した場合に、前記電力サーバに対して、前記クライアント側蓄電手段の蓄電状態が前記第二のしきい値以上ならば送電不要を返信し、前記第二のしきい値未満ならば前記送電要求を返信する
ことを特徴とする通信システム。
【請求項4】
請求項3に記載の通信システムであって、
前記配電制御手段は、
前記外部電源からの受電電力を交流電力あるいは直流電力に変換して電力線に送出することにより、前記電力クライアントに送電し、
前記発電制御手段は、
前記発電機能による発電電力を、前記配電制御手段が交流電力を送出しているならば直流電力に変換し、前記配電制御手段が直流電力を送出しているならば交流電力に変換して、前記電力線に送出することにより、前記電力サーバに送電する
ことを特徴とする通信システム。
【請求項5】
請求項3に記載の通信システムであって、
前記配電制御手段は、
前記外部電源からの受電電力を電力線に送出することにより、前記電力クライアントに送電するとともに、前記電力クライアントから送電停止要求を受信したならば当該受電電力の前記電力線への送出を停止し、
前記発電制御手段は、
前記発電機能による発電電力を前記電力線に送出することにより、前記電力サーバに送電するとともに、当該発電電力の前記電力線への送出に先立って前記送電停止要求を前記電力サーバに送信する
ことを特徴とする通信システム。
【請求項6】
請求項5に記載の通信システムであって、
前記電力クライアントは、内線端末であり、
前記電力サーバは、前記内線端末を収容する主装置であり、
前記電力クライアントおよび前記電力サーバ間における電力の送受は、
前記電力クライアントおよび前記電力サーバ間を接続する電話線を前記電力線として当該電力クライアントの通話待機中に行われる
ことを特徴とする通信システム。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の通信システムの電力サーバとして用いられる通信装置。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の通信システムの電力クライアントとして用いられる通信装置。
【請求項9】
複数の通信装置を備えた通信システムの電力制御方法であって、
前記複数の通信装置のうちの一つは電力サーバであり、残りは発電機能を備えた電力クライアントであり、
前記電力クライアントは、
前記発電機能による発電電力を、自通信装置が備える蓄電装置に蓄電するとともに、当該蓄電装置の蓄電状態が第一のしきい値以上ならば前記電力サーバに送電し、
自通信装置が備える前記蓄電装置の蓄電状態が第二のしきい値以上ならば当該蓄電装置の蓄電電力で自通信装置を駆動し、前記第二のしきい値未満ならば前記電力サーバからの受電電力で自通信装置を駆動し、
前記電力サーバは、
前記電力クライアントからの受電電力を、自通信装置が備える蓄電装置に蓄電し、
自通信装置が備える前記蓄電装置の蓄電電力で自通信装置を駆動するとともに、自通信装置が備える前記蓄電装置の蓄電状態が前記第二のしきい値未満の前記電力クライアントに、当該蓄電電力を送電する
ことを特徴とする通信システムの電力制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2013−70124(P2013−70124A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205379(P2011−205379)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000134707)株式会社ナカヨ通信機 (522)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000134707)株式会社ナカヨ通信機 (522)
【Fターム(参考)】
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