説明

通信システムを介して通信するための周辺装置

第1装置及び周辺装置を用いてネットワークを介して通信する方法及びシステムを提供する。第1装置は、ユーザインターフェースと、ネットワークに接続するためのネットワークインターフェースとを備え、周辺装置は、ネットワークとは独立な第1装置へのローカル接続を有する。本方法は、第1装置のネットワークインターフェースにおいてネットワークからデータパケットを受信することと、受信されたデータパケットを第1装置から周辺装置にローカル接続を介して転送することとを含む。周辺装置のプロセッサ上で通信クライアントのクライアントエンジンが実行され、受信されたデータパケットが処理される。処理されたデータパケットは周辺装置から第1装置にローカル接続を介して送られ、これにより、受信されたデータパケットに含まれたデータが第1装置のユーザインターフェースを用いて第1装置のユーザに伝達される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システムにおいて通信するための周辺装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パケットに基づく通信システムにより、パーソナルコンピュータ(PC)等の装置のユーザは、インターネット等のコンピュータネットワークを介して通信できるようになる。パケットに基づく通信システムは、ボイス・オーバー・インターネットプロトコル(「VoIP」)通信システムを含む。これらのシステムは、固定回線又は移動体のネットワークよりも大幅に低いコストになるので、ユーザにとって有益である。このことは特に長距離通信の場合にあてはまる可能性がある。典型的には、VoIPシステムを使用するために、ユーザは、当該ユーザの装置にクライアントソフトウェアをインストールして実行する。クライアントソフトウェアは、VoIP接続を提供し、また、登録及び認証等の他の機能を提供する。音声通信に加えて、クライアントは、ビデオ通話、インスタントメッセージ(instant messaging、「IM」)、ボイスメール、及びファイル転送など、さらなる機能を提供することもできる。
【0003】
パケットに基づく通信システムのうちのあるタイプは、プロプライエタリプロトコル上に構築されたピア・ツー・ピア(「P2P」)トポロジーを使用する。ピア・ツー・ピアシステムへのアクセスを可能にするために、ユーザは、P2Pソフトウェアプロバイダによって当該ユーザのコンピュータ上に提供されたP2Pクライアントソフトウェアを実行して、P2Pシステムに登録しなければならない。ユーザがP2Pシステムに登録したとき、クライアントソフトウェアには、サーバからディジタル証明書が提供される。いったんクライアントソフトウェアに証明書が提供されると、続いて、さらにサーバを使用することなく、通信がセットアップされてP2Pシステムのユーザ間でルーティングされることが可能になる。特に、ユーザらは、1つ以上のディジタル証明書(又はユーザ身元情報証明書(user identity certificates)、「UIC」)の交換に基づいてP2Pシステムを通る当該ユーザ自体の通信ルートを確立し、これによりP2Pシステムへのアクセスが可能になる。ユーザ間におけるディジタル証明書の交換は、ユーザらの身元情報の証明をもたらし、それらは、P2Pシステムにおいて適切に認可及び認証の処理を受ける。従って、ディジタル証明書の呈示は、ユーザの身元情報についての信用をもたらす。従って、これは、通信がサーバを用いてルーティングされずに、エンドユーザ間で直接にルーティングされるピア・ツー・ピア通信の特性を有する。このようなP2Pシステムについてのさらなる詳細は、特許文献1に開示されている。
【0004】
ユーザ装置は、ユーザからデータ(オーディオ及び/又はビデオデータなど)を取り込むマイクロホン及び/又はカメラ等の入力手段と、データ(オーディオ及び/又はビデオデータなど)をユーザに伝達するスピーカ及び/又はディスプレイ等の出力手段とを含んでもよい。ユーザ装置は、典型的には、装置のプロセッサ上で実行される通信クライアントソフトウェアと、通信システムに接続するネットワークインターフェース等の手段とをさらに含む。このように、ユーザ装置は、典型的には、ネットワークを介して通信するために必要な構成要素のすべてを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際出願の国際公開WO2005/009019。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、一部のユーザ装置、典型的には法人により所有されているPCは、装置のプロセッサ上で実行されるか又はローカルエリアネットワーク(LAN)のゲートウェイ上で実行されるファイアウォールソフトウェアを有し、これにより、ユーザがある種のソフトウェアを装置にダウンロードすることはブロックされる。この場合、ユーザが当該ユーザの装置に通信クライアントソフトウェアをインストールすることは妨げられる可能性があり、従って、ユーザが通信システムに接続することは妨げられる。
【0007】
一部の場合では、ユーザは、通信クライアントがプリインストールされたプロセッサを有する装置を購入する可能性があり、通信クライアントの更新版をダウンロードできない可能性がある。ユーザ装置は、典型的には、ネットワークを介して通信するために必要な構成要素のすべてを含むので、ある構成要素をその構成要素のアップグレードされたバージョンで置き換えることが望ましい場合には、他の構成要素のすべてを含む装置全体を置き換える必要がある。さらに、装置における個別の各構成要素の品質は、問題となっている構成要素の機能を実行する専用装置における対応する構成要素の品質よりも低い場合が多い。例えば、ユーザ装置のディスプレイ及びスピーカの品質は、ユーザに対して画像を表示して音声を再生することを主目的とするテレビジョン等の装置のディスプレイ及びスピーカの品質よりも低い可能性がある。
【0008】
さらに、現在、例えば電話呼や電子メールなど、ユーザ間で通信するための多数の異なる方法が存在する。ユーザ装置がP2Pシステムを介して通信するために必要な構成要素のすべてを含むことのコストは、異なる方法で通信するために使用される可能性がある他の装置と比較して、比較的高くなる可能性がある。一部の場合、ユーザ装置のコストが増大すると、一部のユーザは、利用可能な他の形式の通信を使用することで満足し、結果として装置の購入を思いとどまることになる可能性がある。P2P通信システムへの新たなユーザが減少することは、P2P通信システムの人気を損なう可能性があり、このことは、次いで、P2Pシステムの既存のユーザにとってのP2P通信システムの望ましさを低下させる可能性がある。
【0009】
通信クライアントの更新版が定期的にリリースされる可能性がある。ユーザ装置のコストが比較的高いことと、P2Pシステムを介して通信するために必要な構成要素のすべてを置き換える必要があることとに起因して、ユーザは、更新版がリリースされる毎には当該ユーザの通信クライアントを更新を行わないと決定する可能性がある。望ましくは、通信システムのユーザが通信クライアントの最新版を有し、これにより、ユーザには最新の進歩の利益がもたらされ、ユーザの満足はより大きくなる。
【0010】
本発明の目的は、上述した従来技術の問題に取り組むことにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様では、第1装置及び周辺装置を用いてネットワークを介して通信する方法が提供され、上記第1装置は、ユーザインターフェースと、上記ネットワークに接続するためのネットワークインターフェースとを備え、上記周辺装置は上記第1装置へのローカル接続を有し、上記ローカル接続は上記ネットワークとは独立であり、
上記方法は、
上記第1装置のネットワークインターフェースにおいて上記ネットワークからデータパケットを受信することと、
上記受信されたデータパケットを上記第1装置から上記周辺装置に上記ローカル接続を介して転送することと、
上記周辺装置のプロセッサ上で通信クライアントのクライアントエンジンを実行して上記受信されたデータパケットを処理することと、
処理されたデータパケットを上記周辺装置から上記第1装置に上記ローカル接続を介して送り、これにより、上記受信されたデータパケットに含まれたデータが上記第1装置のユーザインターフェースを用いて上記第1装置のユーザに伝達されるようにすることとを含む。
【0012】
本発明の第2の態様では、ネットワークを介して通信するためのシステムが提供され、
上記システムは、周辺装置へのローカル接続を有する第1装置を備え、上記ローカル接続は上記ネットワークとは独立であり、
上記第1装置は、
ユーザインターフェース手段と、
上記ネットワークに接続し、上記ネットワークからデータパケットを受信するためのネットワークインターフェース手段と、
上記受信されたデータパケットを上記第1装置から上記周辺装置に上記ローカル接続を介して転送するための手段と、
処理されたデータパケットを上記周辺装置から上記ローカル接続を介して受信し、これにより、上記受信されたデータパケットに含まれたデータが上記ユーザインターフェース手段を用いて上記第1装置のユーザに伝達されるようにするための手段とを備え、
上記周辺装置は、
上記受信されたデータパケットを上記第1装置から上記ローカル接続を介して受信するための手段と、
通信クライアントのクライアントエンジンを実行して上記受信されたデータパケットを処理するための処理手段と、
処理されたデータパケットを上記ローカル接続を介して上記第1装置に送るための手段とを備える。
【0013】
本発明の第3の態様では、ネットワークを介して通信するための周辺装置が提供され、上記周辺装置は、
上記ネットワークとは独立なローカル接続を介して、第1装置から、上記ネットワークを発信元とするデータパケットを受信するための手段と、
通信クライアントのクライアントエンジンを実行して上記受信されたデータパケットを処理するための手段と、
処理されたデータパケットを上記ローカル接続を介して上記第1装置に送る手段とを備え、上記処理されたデータパケットは、上記受信されたデータパケットに含まれたデータを上記第1装置のユーザに伝達するためのものである。
【0014】
本発明の第4の態様では、第1装置及び周辺装置を用いてネットワークを介して通信する方法が提供され、上記第1装置は、ユーザインターフェースと、上記ネットワークに接続するためのネットワークインターフェースとを備え、上記周辺装置は、上記ネットワークとは独立な上記第1装置へのローカル接続を有し、
上記方法は、
上記周辺装置においてデータを受信することと、
上記周辺装置において上記受信されたデータをエンコードすることと、
上記周辺装置のプロセッサ上で通信クライアントのクライアントエンジンを実行して上記受信されたデータパケットを処理することと、
上記処理されたデータパケットを上記周辺装置から上記第1装置へ上記ローカル接続を介して送ること、
上記受信されたデータパケットを上記第1装置から上記通信ネットワークへ上記ネットワークインターフェースを介して転送することとを含む。
【0015】
本発明の第5の態様では、第1装置及び周辺装置を用いてネットワークを介して双方向通信を確立する方法が提供され、上記第1装置はユーザインターフェースを備え、上記周辺装置は、上記ネットワークに接続するためのネットワークインターフェースと、上記ネットワークとは独立な上記第1装置へのローカル接続とを備え、
上記方法は、
上記周辺装置のネットワークインターフェースにおいて上記ネットワークからデータパケットを受信することと、
上記周辺装置のプロセッサ上で通信クライアントのクライアントエンジンを実行して上記受信されたデータパケットを処理することと、
処理されたデータパケットを上記周辺装置から上記第1装置に上記ローカル接続を介して送ることと、
上記第1装置においてデータをデコードし、これにより、上記受信されたデータパケットに含まれたデータが上記第1装置のユーザインターフェースを用いて上記第1装置のユーザに伝達されるようにすることとを含み、
上記方法はさらに、
上記周辺装置においてデータを受信することと、
上記周辺装置において上記受信されたデータをエンコードすることと、
上記周辺装置のプロセッサ上で通信クライアントのクライアントエンジンを実行して上記受信されたデータパケットを処理することと、
上記処理されたデータパケットを上記周辺装置から上記第1装置へ上記ローカル接続を介して送ること、
上記受信されたデータパケットを上記第1装置から上記通信ネットワークへ上記ネットワークインターフェースを介して転送することとを含む。
【0016】
本発明の第6の態様では、ネットワークを介して通信するためのシステムが提供され、上記システムは、周辺装置へのローカル接続を有する第1装置を備え、上記ローカル接続は上記ネットワークとは独立であり、
上記周辺装置は、
上記ネットワークに接続し、上記ネットワークからデータパケットを受信するためのネットワークインターフェース手段と、
通信クライアントのクライアントエンジンを実行して上記受信されたデータパケットを処理するための処理手段と、
処理されたデータパケットを上記ローカル接続を介して上記第1装置に送るための手段とを備え、
上記第1装置は、
上記周辺装置から上記処理されたデータパケットを受信するための手段と、
上記処理されたデータパケットをデコードするための手段と、
処理されたデータパケットに含まれたデータを上記第1装置のユーザに伝達するためのユーザインターフェース手段とを備えたシステム。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】パケットに基づく通信システムを示す。
【図2a】第1の実施形態のテレビジョンを示す。
【図2b】他の実施形態のテレビジョンを示す。
【図2c】別の実施形態のテレビジョンを示す。
【図3】好ましい実施形態のウェブカメラを示す。
【図4】データの受信及び表示を行う処理のフローチャートを示す。
【図5】データの取り込み及び送信を行う処理のフローチャートを示す。
【図6】通信クライアントのユーザインターフェースを示す。
【図7】第2の実施形態に係るパケットに基づく通信システムを示す。
【図8】第2の実施形態に係るデータの受信及び表示を行う処理のフローチャートを示す。
【図9】別の実施形態に係るパケットに基づく通信システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明をよりよく理解するため、また、本発明がどのように実施されるかを示すために、例示として添付の図面を参照する。
【0019】
まず図1を参照すると、図1は、本発明の実施形態に係るパケットに基づく通信システム100を示す。なお、この例示的な実施形態はP2P通信システムを参照して説明されるが、通信用のクライアントソフトウェアを用いる非P2Pシステム、VoIPシステム又はIMシステム等、他のタイプの通信システムも使用可能である。通信システムの第1のユーザ(図1では「トム・スミス」102の名前で示す)は、装置104と関連付けられ、装置104はネットワーク106に接続されるように示している。なお、通信システム100は、インターネット等のネットワークを用いる。図1に示す好ましい実施形態では、装置104はテレビジョンである。しかしながら、代替の実施形態では、装置104は、例えば、携帯電話機、個人情報端末(「PDA」)、パーソナルコンピュータ(「PC」)(例えば、Windows(登録商標)PC、Mac OS(登録商標)PC、Linux(登録商標)PCを含む)、ゲーム装置、又はネットワーク106に接続可能な他の組み込み装置であってもよい。テレビジョン104は、例えばディスプレイ118及びスピーカ120を介して情報を装置のユーザ102に出力することができるユーザインターフェースを有する。テレビジョン104には、ローカル接続124を用いて周辺装置108が接続され、ローカル接続124は、USBプロトコルを用いるユニバーサルシリアルバス(USB)等の有線接続であってもよく、又はそれに代わって、Bluetooth(登録商標)接続等の無線接続であってもよい。接続124は、ネットワーク106を用いたネットワーク接続ではないという意味において、「ローカル」である。実際に、ローカル接続124はネットワーク106から分離している。言い換えると、ローカル接続124はネットワーク106とは独立である。実際に、周辺装置108は、ネットワーク106への直接接続を持たなくてもよい。周辺装置108がネットワーク106への直接接続を有する場合、この直接接続を主となる装置104との通信のためには使用しない。
【0020】
なお、代替の実施形態では、テレビジョン104は、図1には示していない追加の中間ネットワークを介して通信ネットワーク106に接続可能である。例えば、装置104がモバイル装置である場合、セルラー移動体ネットワーク(例えばGSM又はUMTSネットワーク)を介して通信ネットワーク106に接続することができる。
【0021】
典型的には、テレビジョン104を介してデータをユーザ102に伝達できるように、また、周辺装置108によりデータをユーザ102から取り込む、例えば、カメラ122を用いて画像又はビデオデータを取り込み、マイクロホンを用いてオーディオデータを取り込むことができるように、テレビジョン104及び周辺装置108は、ユーザ102の近傍の範囲内で使用される。周辺装置108は、ソフトウェアプロバイダによって提供されてその内部に組み込まれた通信クライアント110を有する。通信クライアント110は、周辺装置108内のプロセッサ上で実行されるソフトウェアプログラムである。周辺装置は、ネットワークの他のユーザ(図1で「ケビン・ジャクソン」と呼ばれるユーザ112など)と通信するために、通信クライアント110のクライアントエンジンを実行する。
【0022】
図1に示す好ましい実施形態では、周辺装置108はウェブカメラである。しかしながら、代替の実施形態では、周辺装置は、マイクロホン等の代替のデータ取り込み装置であってもよく、又は、通信クライアントのクライアントエンジンを実行する専用のプロセッサであってもよい。テレビジョンにインストールされるクライアントユーザインターフェース212は、ユーザ102がクライアントエンジンから情報を受信するための、また、クライアントエンジンに情報を提供するためのインターフェースを提供するように構成される。ウェブカメラ108は、テレビジョン104を介してネットワーク106に接続することができる。従って、ウェブカメラ108は、ネットワーク106への別個かつ直接の接続を必要としない。
【0023】
図2aは、テレビジョン104の詳細図を示す。テレビジョン104は、中央処理装置(「CPU」)202を備え、CPU202には、画面等のディスプレイ118と、スピーカ120とが接続されている。ディスプレイ118及びスピーカ120は、テレビジョン104内に一体化されている。代替の装置104では、ディスプレイ118及びスピーカ120のうちの少なくとも一方が装置104内に一体化されていなくてもよく、それぞれのインターフェース(例えばUSBインターフェース)を介してCPU202に接続されてもよい。所定のインターフェース(図示せず)を介してCPU202にリモートコントローラが接続されてもよい。CPU202は、ネットワーク106と通信するためのモデム等のネットワークインターフェース204に接続される。CPU202は、周辺装置108と通信するためのUSBインターフェース又はBluetoothインターフェース206等のローカル接続インターフェースに接続される。CPU202は、I/Oインターフェース208を介して他のさまざまな入力装置又は出力装置に接続されてもよい。ネットワークインターフェース204、ローカル接続インターフェース206、及びI/Oインターフェース208は、図2aに示すように装置104内に一体化されていてもよい。代替の装置104では、ネットワークインターフェース204、ローカル接続インターフェース206、及びI/Oインターフェース208のうちの少なくとも1つが装置104内に一体化されていなくてもよい。
【0024】
図2aはまた、CPU202上で実行されるオペレーティングシステム(「OS」)210を示す。OS210上では、通信クライアント110のクライアントユーザインターフェース212が動作している。オペレーティングシステム210は、テレビジョンのハードウェアリソースを管理し、ネットワークインターフェース204を介してネットワークとの間で伝送されるデータを処理する。OS210上ではまた、装置104を従来のテレビジョンとして動作させるために使用されるテレビジョンアプリケーション214も動作している。OS210上ではまた、デコーダ216も動作している。デコーダ216は、放送されたテレビジョンビデオデータをデコードするために使用される。デコーダ216はまた、詳細後述するように、エンコードされてクライアントエンジン312から受信されたビデオデータをデコードするために使用されてもよい。
【0025】
図3は、ウェブカメラ108の詳細図を示す。ウェブカメラ108は中央処理装置(「CPU」)302を備え、CPU302には、ユーザからのデータを取り込むカメラ122及びマイクロホン304等の入力手段が接続されている。カメラ122及びマイクロホン304はウェブカメラ108内に一体化されている。CPU302は、装置104と通信するためのUSBインターフェース又はBluetoothインターフェース306等のローカル接続インターフェースに接続されている。ローカル接続インターフェース306は、図3に示すように、ウェブカメラ108内に一体化されていてもよい。代替の周辺装置108では、カメラ122、マイクロホン304、及びローカル接続インターフェース306のうちの1つ以上が周辺装置108内に一体化されていなくてもよい。
【0026】
図3はまた、CPU302上で実行されるオペレーティングシステム(「OS」)308を示す。OS308上では、通信クライアント110のクライアントエンジン312及びクライアントプロトコルレイヤ314が動作している。クライアントソフトウェアのクライアントプロトコルレイヤ314は、オペレーティングシステム308と通信し、P2P通信システムを介する接続を管理する。高レベルの処理を必要とするプロセスは、クライアントエンジンレイヤ312にわたされる。クライアントエンジン312は、情報をユーザに呈示する装置104のクライアントユーザインターフェースレイヤ212を制御するように構成されてもよい。装置104のクライアントユーザインターフェースレイヤ212は、ユーザ102と対話するために使用される。例えば、ユーザは、クライアントユーザインターフェース212と対話して発呼又は呼への応答を行う。装置104のクライアントユーザインターフェースレイヤ212と、周辺装置108のクライアントエンジンレイヤ312との間で、ローカル接続124を介して命令が伝送され、これにより、ユーザはクライアント110と対話できるようになる。例えば、ユーザ102との呼が確立されることを要求しているネットワーク106の他のユーザ(例えば「ケビン・ジャクソン」112)からの呼要求が、装置104のネットワークインターフェース204を介して、周辺装置108のクライアントエンジン312において受信されたとき、クライアントエンジン312は、呼を受理するか否かをユーザ102に尋ねるようにクライアントユーザインターフェース212に命令する命令を、ローカル接続124を介して装置108のクライアントユーザインターフェース212に送る。ユーザ102は、呼の受理及び拒否のいずれを行うのかについての応答を、クライアントユーザインターフェース212に入力することができる。この応答は、ローカル接続124を介してクライアントエンジン312に送られ、クライアントエンジン312は、それに応じて、着信呼の受理及び拒否のいずれかを行う。同様に、ユーザ102がネットワーク106の他のユーザ(例えばユーザ112)に発呼することを希望する場合、ユーザ102は、装置104においてクライアントユーザインターフェース212に呼要求を入力することができる。この呼要求は、ローカル接続124を介して周辺装置108のクライアントエンジン312に伝送される。次いで、クライアントエンジン312は、ローカル接続124及び装置104のネットワークインターフェース204を経由してネットワーク106を介してユーザ112の装置114に呼要求を送信し、呼をセットアップすることができる。
【0027】
オペレーティングシステム308は、周辺装置108のハードウェアリソースを管理し、ローカル接続インターフェース306を介して装置104との間で伝送されるデータを処理する。OS308上ではまた、音声エンコーダ310、音声デコーダ320、及びビデオエンコーダ316も動作している。詳細後述するように、データをエンコードするためにエンコーダ310及び316が使用されてもよい。
【0028】
以下、図4を参照して、好ましい実施形態に係る通信システム100の動作を説明する。ユーザ102(「トム・スミス」)及びユーザ112(「ケビン・ジャクソン」)がP2P通信システムのユーザである。ユーザ112(「ケビン・ジャクソン」)は、オーディオデータ及びビデオデータ等のデータをネットワーク106を介してユーザ102(「トム・スミス」)に送ることを希望する場合がある。前述のように、発呼するために、ユーザ112によって操作される装置114の通信クライアント116から、装置104のクライアントエンジン312に、呼セットアップ要求メッセージが送られる。クライアントエンジン312は、装置104においてユーザ102に着信呼通知を表示させるように、クライアントユーザインターフェース212に命令する。ユーザ102は、クライアントユーザインターフェース212と対話することにより呼を受理することができる。ユーザが呼を受理した場合、クライアントエンジンから装置114に呼受理メッセージが送られる。
【0029】
通信クライアント116においてクライアントエンジン312からの呼受理メッセージが受信されたとき、ネットワーク106を介して通信クライアント116からテレビジョン104にデータパケットが送られる。ステップS402において、テレビジョン104においてデータパケットが受信される。データパケットは、テレビジョン104のネットワークインターフェース204を介して受信される。受信されたデータパケットは、テレビジョン104のローカル接続インターフェース206にルーティングされる。ステップS404において、受信されたデータパケットは、ローカル接続124を介してウェブカメラ108に転送される。データパケットは、ウェブカメラ108のローカル接続インターフェース306において受信される。データパケットは、ウェブカメラ108のCPU302にルーティングされる。P2P通信システムのプロトコルに従ってデータパケットを処理するために、ウェブカメラ108のCPU302上でクライアントエンジン312が実行される。受信されるデータパケットは、例えば、テキストデータ、画像データ、ビデオデータ、及び/又はオーディオデータを含んでもよい。クライアントエンジン312は、データパケット中のデータを復号化し、データパケットから読み出されたデータのタイプを識別し、データを適当なモジュールに提供する。例えば、エンコードされたビデオデータはビデオデコーダ216に提供され、エンコードされたオーディオデータはオーディオデコーダ320に提供され、テキストデータはIM(instant messaging module)318に提供される。
【0030】
データパケット中に含まれたデータが、ユーザ102に伝達されることを意図したものであった場合には、データは、ウェブカメラ108のローカル接続インターフェース306及びテレビジョン104のローカル接続インターフェース206を介して、ローカル接続124を用いて、ウェブカメラ108からテレビジョン104に送られる。
【0031】
本発明の好ましい実施形態では、エンコードされてクライアントエンジンから受信されたビデオデータは、図2に示すようにテレビジョン内に設けられたビデオデコーダ216によってデコードされる。この場合、エンコードされたビデオデータは、デコードのためにクライアントエンジンからテレビジョンのCPU202のビデオデコーダ216にローカル接続を介して送られ、これにより、ローカル接続の帯域幅要件は最小化される。デコードされたビデオデータは、テレビジョン104のクライアントユーザインターフェース212を用いて、ディスプレイ118を介してユーザ102に伝達されてもよい。
【0032】
本発明の一実施形態では、エンコードされてクライアントエンジンから受信されたオーディオデータは、ウェブカメラ内に設けられた音声デコーダ320によってデコードされる。テレビジョンから送られたオーディオデータもウェブカメラにおいてエンコードされるので、送信されるオーディオデータには、受信されてデコードされたオーディオデータに基づいて、音響エコーキャンセル処理が行われてもよい。
【0033】
上述の方法により、ネットワーク106から受信されたデータをユーザ102に伝達できるようになる。
【0034】
ビデオ通話等の通信イベントの間に、ユーザ102(「トム・スミス」)からユーザ112(「ケビン・ジャクソン」)にデータが送られる場合がある。図5を参照して、ユーザ102からデータを取り込む方法について説明する。ステップS502において、ウェブカメラ108においてユーザ102からデータが取り込まれる。取り込まれたデータは、ウェブカメラ108のカメラ122を用いて取り込まれたビデオデータ又は画像データであってもよい。取り込まれたデータは、マイクロホン304を用いて取り込まれたオーディオデータであってもよい。他の実施形態では、周辺装置108は、周辺装置108の例えばキーパッドを用いてユーザ102からテキストデータを取り込めるようにしてもよい。
【0035】
ステップS504において、取り込まれた音声データ及びビデオデータは、音声エンコーダ310及びビデオエンコーダ316によってそれぞれエンコードされる。エンコードされたデータパケットは、音声エンコーダ及びビデオエンコーダから出力される。ステップS506において、ウェブカメラ108のオペレーティングシステム302上で動作しているクライアントエンジン312は、データを伝送しているP2P通信システムの要件及びプロトコルに従って、エンコードされたデータパケットを処理する。
【0036】
前述のように、好ましい実施形態では、ウェブカメラ108は、ネットワーク106に直接には接続されていない。ステップS508において、取り込まれたデータパケットは、ネットワーク106とは別個のローカル接続124を用いてテレビジョン104に送られ、次いで、データパケットは、テレビジョン104のネットワークインターフェース204を用いてテレビジョン104からネットワークに転送される。このように、ウェブカメラ108は、テレビジョンのネットワークインターフェース204を用いて、ユーザ102から取り込まれたデータをネットワーク106に送るように構成される。
【0037】
前述のように、本発明の好ましい実施形態では、ウェブカメラ108はビデオエンコーダ316を含み、テレビジョン104はビデオデコーダ216を含む。従って、ウェブカメラ108とテレビジョン104との間でローカル接続124で送られるビデオデータは、常にエンコードされている。テレビジョンのCPU202からウェブカメラ108にローカル接続124を介してユーザインターフェース命令が送られる。ウェブカメラ108のクライアントエンジン312からテレビジョンのユーザインターフェース212にローカル接続124を介してユーザインターフェース通知が送られる。
【0038】
本発明の一実施形態では、周辺装置上にドライバソフトウェアが格納される。周辺装置がテレビジョンに最初に接続されたとき、テレビジョン104のオペレーティングシステム202は、周辺装置108からオペレーティングシステムに適したドライバを読み出し、ネットワーク構成をセットアップする。
【0039】
本発明の一実施形態では、周辺装置上にドライバソフトウェアとともにクライアントユーザインターフェース212が格納されてもよい。装置104のオペレーティングシステムは、周辺装置が接続されたとき、ドライバとともにクライアントユーザインターフェース212を読み出すように構成されてもよい。
【0040】
本発明の別の実施形態では、周辺装置上にクライアントユーザインターフェースAPI(Application Programming Interface)213が格納されてもよい。装置104のオペレーティングシステムは、周辺装置が接続されたとき、ドライバとともにクライアントユーザインターフェースAPI213を読み出すように構成されてもよい。クライアントユーザインターフェースAPI213は、クライアントエンジン312とユーザインターフェース212’との間にインターフェースを提供する。ある例示的な実施形態では、クライアントユーザインターフェース212は、装置上にプリインストールされ、テレビジョンアプリケーション214のユーザインターフェースの一部を形成してもよい。
【0041】
図2bに示すように、クライアントユーザインターフェースAPI213は、装置104のCPU上で実行され、テレビジョンアプリケーション214のユーザインターフェース212’とクライアントエンジン312との間にインターフェースを提供するように構成される。クライアントユーザインターフェースAPIは、テレビジョンアプリケーション214のユーザインターフェース212’からの入力を認識し、それに応じてクライアントエンジンを制御するように構成され、例えば、リモートコントローラの赤ボタンが押下されたことの通知がクライアントユーザインターフェースAPI213に提供されてもよい。クライアントユーザインターフェースAPI213は、この通知を、コンタクトリストを表示させる要求として解釈するように構成されてもよい。これに応答して、クライアントユーザインターフェースAPIは、コンタクトリストをローカル接続を介してクライアントユーザインターフェースAPI213に提供するように、クライアントエンジンに命令してもよい。クライアントユーザインターフェースAPI213においてコンタクトリストを受信したことに応答して、クライアントユーザインターフェースAPIは、テレビジョンアプリケーション214のユーザインターフェース212’によって解釈されることが可能な、ユーザのコンタクトリストのテキストリストを提供するように構成される。次いで、ユーザは、リモートコントローラの制御を用いて、リストを上下にスクロールしてユーザが通話を希望するコンタクトを選択してもよい。リモートコントローラの他の機能ボタン、例えば青ボタンを操作することは、ユーザが選択されたコンタクトに電話をかけることを希望しているのであると、クライアントユーザインターフェースAPIによって解釈されてもよい。
【0042】
本発明の別の例示的な実施形態では、クライアントユーザインターフェース212’はウェブページにより提供されてもよい。以下、図2c及び図9を参照して本実施形態について説明する。
【0043】
周辺装置108が装置104に接続されたとき、ユーザ装置104のオペレーティングシステムは、周辺装置108のメモリから周辺装置108のドライバソフトウェアを読み出すように構成される。ドライバソフトウェアとともに、クライアントユーザインターフェースAPI213が装置104に提供される。図2cに示すように、クライアントユーザインターフェースAPI213は、装置のCPU上で実行される。クライアントユーザインターフェースAPIは、図9に示すウェブサーバ113に、ネットワークインターフェース204を介してアクセスするように構成される。クライアントユーザインターフェースAPIはさらに、ウェブサーバ113からユーザインターフェースアプリケーション212’をダウンロードするように構成される。ユーザインターフェースアプリケーションはjavaプログラムであってもよく、これは、装置104のファイアウォールによってブロックされることなく、装置のCPUにダウンロードされてもよい。ユーザインターフェース212’は、装置104のディスプレイ118上に表示され、クライアントユーザインターフェースAPIを介してクライアントエンジンと通信するために使用されてもよい。
【0044】
装置(テレビジョン104等)に接続された周辺装置(ウェブカメラ108等)上でクライアントエンジン312を実行することには、装置104自体の上でクライアントエンジンが実行されるシステムに対して、いくつかの利点がある。周辺装置108上でクライアントエンジン312を実行することは、装置のプロセッサ104にクライアントエンジンをインストールすることを必ずしも意味しない。実際に、好ましい実施形態では、テレビジョン104上に通信クライアントはインストールされない。ユーザ102は、単に周辺装置108を装置104に接続することにより、通信クライアントを使用することができる。
【0045】
従って、ファイアウォールの制約に起因してユーザが装置上に通信クライアントソフトウェアをダウンロードすることが妨げられる場合であっても、ユーザは、装置を周辺装置に接続することにより、装置を用いて通信システムを介して通信することができる。さらに、所望の通信クライアントがプリインストールされた新たなテレビジョン104を購入しなければならなくなるのではなく、ユーザは、周辺装置を接続して、装置のユーザインターフェースを用いて通信システムを介して通信することができる。さらに、新たなテレビジョン104を購入する必要なく、通信クライアントエンジンの更新版を使用することができる。ユーザは、テレビジョン番組を見る(及び聴く)ことを主な用途とするテレビジョンをすでに所有していると考えられる。(主として通信装置として使用される装置のディスプレイ及びスピーカに比較した場合)既存のテレビジョンのディスプレイ及びスピーカの品質は高い。従って、ユーザは、ネットワーク106から受信されたデータを伝達するために、テレビジョンのディスプレイ及びスピーカを使用するほうを好む可能性がある。
【0046】
さらに、既存のテレビジョンは、ネットワークインターフェース(例えばネットワークインターフェース204)を介してネットワーク106に接続できる場合が多い。従って、テレビジョン(テレビジョン104等)を所有しているユーザは、P2Pシステムを介して通信するために必要な構成要素の一部(例えば、ディスプレイ、スピーカ、ネットワークインターフェース)をすでに所有していることになる。本発明の周辺装置108は、P2Pシステムを介して通信するために必要な残りの構成要素を提供する(例えば、ウェブカメラ108は、P2Pシステムからの受信されたデータパケットを処理するクライアントエンジン312と、ユーザからのデータを取り込むカメラ122及びマイクロホン304等の手段とを提供する)。ユーザが当該ユーザ自体のテレビジョン104をすでに所有していると考えられるので、P2P通信システムを用いるために必要な残りの構成要素のみを、テレビジョンに接続可能な周辺装置に提供することが有利である。本発明は、ユーザがネットワークインターフェースを介してネットワークに接続可能な装置(テレビジョン等)を所有している場合が多いという事実を利用する。周辺装置108は、P2Pシステムを介して通信するためのクライアントのクライアントエンジン312を含む。周辺装置は、装置104の既存のネットワークインターフェース204を使用することができるので、ネットワーク106に接続するためにそれ自体のネットワークインターフェースを必要としない。従って、周辺装置108は、装置104に接続するためのローカル接続インターフェース306のみを必要とする。
【0047】
ウェブカメラ108のコストは、P2Pシステムを介して通信するために必要な構成要素のすべてを含む専用装置のコストよりも低いと考えられる。コストの低下により、ウェブカメラ108を購入するユーザへのインセンティブが増大し、また、ユーザは、新たなテレビジョン全体を購入することを要求されないので、通信クライアントエンジンの最新の更新版を購入する可能性が高くなると考えられる。ユーザがクライアントソフトウェアの最新版を使用していることは、ユーザの満足のためには有益である。コストを削減可能なウェブカメラの他の態様によれば、ネットワーク106に接続するために別個のネットワークインターフェースを必要とすることはない。ウェブカメラ108は、ローカル接続124(例えばUSB接続)を用いてテレビジョンに接続することができ、これにより、テレビジョン104のネットワークインターフェース204を用いてネットワーク106に接続することができる。
【0048】
システムをコンパクトにするために、ウェブカメラ108はテレビジョン104の筐体内に組み込まれてもよい。ウェブカメラをテレビジョン104の筐体から取り外すことでウェブカメラを更新版で置き換えてもなお、簡単であるといってよい。代替として、ウェブカメラ108は、テレビジョンから物理的に分離していてもよい。
【0049】
ウェブカメラ108には、チャット履歴等のユーザデータが格納されてもよい。ウェブカメラ108がテレビジョン104から取り外し可能である場合、ユーザはユーザデータを格納したウェブカメラを取り外すことができるので、ユーザデータのプライバシーは向上する可能性がある。
【0050】
図6は、クライアントユーザインターフェース212の実施形態を示す。なお、ユーザインターフェース600は、装置104のタイプに依存して異なる可能性がある。例えば、小さな画面サイズのために、ユーザインターフェースは、小型化してもよく、又は、モバイル装置上で異なる方法で情報を表示してもよい。図6の例では、クライアントユーザインターフェース600は、通信システムにおける「トム・スミス」102のユーザ名602を表示し、ユーザは、ドロップダウンリストを用いてアイコン604を選択することにより、当該ユーザ自体のプレゼンス状態(これは他のユーザから見られる)を設定することができる。
【0051】
クライアントユーザインターフェース600は、「コンタクト」というラベルが付与されたボタン606を備え、このボタンが選択されたとき、ユーザによってコンタクトリストに格納されたコンタクトが、ボタン606の下のペインに表示される。図6の例示的なユーザインターフェースでは、コンタクトリスト608には、通信システムの4つの他のユーザのコンタクトがリスト表示されている。これらのコンタクトのそれぞれは、クライアント110のユーザ102が当該コンタクトの詳細及びプレゼンス状態を見ることを許可している。コンタクトリスト608における各コンタクトは、それに関連付けられたプレゼンス状態アイコンを有する。例えば、「ケビン・ジャクソン」のプレゼンス状態アイコン610は、このコンタクトが「オンライン」であることを示し、「ロウジー」のプレゼンスアイコン612は、このコンタクトが「退席中」であることを示し、「エイミー」のプレゼンスアイコン614は、このコンタクトの状態が「取り込み中」(do not disturb、「DND」)であることを示し、「サラ・ローリング」のプレゼンスアイコン616は、このコンタクトが「オフライン」であることを示す。さらなるプレゼンス状態を示す情報を含むこともできる。
【0052】
さらに、パケットに基づく通信システムにおけるプレゼンス情報は、「ムードメッセージ」によって補足されることが可能である。ムードメッセージは、伝統的には、ユーザについての情報をユーザのコンタクトに配信してユーザのプレゼンス状態を補足するために当該ユーザによって構成される、短いテキスト列である。あるコンタクトのムードメッセージは、一般には、コンタクトリスト608において当該コンタクトの名前の隣に表示される。コンタクトのプレゼンス状態は、コンタクトリスト608においてコンタクトの名前の隣に、ムードメッセージとともに表示される。図6では、コンタクトのムードメッセージ622及び624は、コンタクトリスト608においてコンタクトの名前の隣に表示されるように示している。
【0053】
ユーザ102はまた、ユーザを表す画像628(アバターとして知られる)を選択してもよい。クライアント110は、コンタクトリスト608におけるコンタクトのそれぞれについて、通信システムを介して直接に、プレゼンス状態情報を周期的に要求する。同様に、各コンタクトについて、現在のムードメッセージ(例えば、「ケビン・ジャクソン」の「ロンドンにいます」622)と、コンタクトを表すものとして選択されている画像(アバター:例えば、「ケビン・ジャクソン」の画像630)もまた、クライアント110によって、通信システムを介して各コンタクトのクライアントから直接に読み出される。従って、コンタクトのプレゼンス状態及びムードメッセージは、各コンタクトのクライアントからデータが要求される「プル」技術を用いて決定される。代替の実施形態では、ユーザのプレゼンス状態、ムードメッセージ、及びアバターは、定期的に、又はプレゼンス状態が変更される毎に、通信ネットワークを介して各ユーザのコンタクトに「プッシュ」されることが可能である。
【0054】
本発明の別の利点は、コンタクトリスト608におけるコンタクトのプレゼンス状態、アバター、又はムードメッセージの変化を維持するために、テレビジョン104のプロセッサ202のCPUリソースが要求されないということにある。コンタクトリスト608におけるコンタクトのプレゼンス状態、アバター、又はムードメッセージの変化は、ウェブカメラ108のクライアントエンジン312によって維持され、ユーザ102がテレビジョン104上でコンタクトリスト608を見ることを選択したときに、これらの変化をテレビジョン104のユーザインターフェース212に提供することのみが必要になる。このことは、テレビジョン104上で通信クライアント全体を実行することに比較して、使用されるテレビジョン104の処理リソースを削減する。
【0055】
図7に示す第2の実施形態では、周辺装置708が、ネットワーク106に接続するためのネットワークインターフェース702を含み、装置704はネットワークインターフェースを含まない。図7に示す実施形態の他の構成要素は、上述したもの(さらに図1〜図3に示したもの)と同様であり、ここでは詳述しない。
【0056】
ネットワークインターフェースが周辺装置708内にあるとき、ネットワーク106に接続するために周辺装置708が使用され、データは、装置704とネットワーク106との間でローカル接続124及びネットワークインターフェース702を介して伝送される。
【0057】
以下、図8を参照して、第2の好ましい実施形態に係る通信システムの動作について説明する。ステップS802では、ウェブカメラ708においてデータパケットが受信される。データパケットは、ウェブカメラ708のネットワークインターフェース702を介して受信される。ステップS804において、ウェブカメラ708のCPU302上でクライアントエンジン312が実行され、P2P通信システムのプロトコルに従ってデータパケットが処理される。クライアントエンジン312がデータパケットを処理したとき、データパケットに含まれたデータが、ユーザ102に伝達されることを意図したものであった場合には、ステップS806において、処理されたデータパケットは、ウェブカメラ708のローカル接続インターフェース306及びテレビジョン704のローカル接続インターフェース206を介して、ローカル接続124を用いて、ウェブカメラ708からテレビジョン704に送られる。ステップS808において、処理されてテレビジョン704において受信されたデータパケットは、ユーザ102に伝達可能になる。上述の方法により、ネットワーク106から受信されたデータをユーザ102に伝達できるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
上述した方法及びシステムは、有利なことには、ローカル接続を介して送られるデータ量を制限する。周辺装置がデータ取り込み装置である本発明の実施形態では、ローカル接続及びネットワークの両方を介する伝送のために、周辺装置によって取り込まれたデータを圧縮することが望ましい。データ取り込み装置に通信クライアントを設けることにより、データはP2Pネットワーク上の状態に依存してエンコードされ、例えば、クライアントエンジンは、例えばチャネル帯域幅等のネットワーク状態を周辺装置の音声エンコーダ及びビデオエンコーダに送ってもよく、この場合、チャネル帯域幅が小さいのであれば、エンコーダはデータを低ビットレートでエンコードしてもよい。さらに、クライアントエンジンは、データレートに影響する別の決定を行ってもよく、例えば、クライアントは、ネットワーク状態に依存して、データパケットを送信しないことを選択してもよい。ネットワークインターフェースが(図2に示すように)TV内にあって、データが周辺装置からローカル接続124を介してネットワークに送られる場合に関しては、データは可能な限り圧縮される。しかしながら、ネットワークインターフェースが(図7に示すように)周辺装置内にある場合、周辺装置(例えばウェブカメラ)から取り込まれたデータは、このデータをローカル接続を介して送る必要なしに、ネットワークに直接に送ることができる(プレビュー表示が要求される場合を除く。この場合、クライアントエンジンは、ローカル接続を介してテレビジョンにプレビュー表示を送信することができ、これにより、テレビジョンのユーザは、送信されるデータの画像を見ることができる。)。さらに、テレビジョン内にデコーダがあるので、ネットワークから受信された任意のデータは、エンコードされたデータとしてローカル接続を介してテレビジョンに提供される。
【0059】
データ取り込み装置内において通信クライアントを実行することによってもたらされる他の技術的利点には、以下のものがある。
(i)周辺装置(例えばウェブカメラ)における専用のプロセッサ及びオペレーティングシステム上の通信アプリケーションに係る、汎用PCに比較して改善されたリアルタイムスケジューリング。
(ii)通信システムにおけるオーディオ及びビデオデータストリーム間の改善された同期。
【0060】
本発明を特に好ましい実施形態を参照して図示及び説明したが、当業者であれば、特許請求の範囲において定義される本発明の範囲から離れることなく、形態及び詳細についてさまざまな変更が可能であるということを理解するであろう。例えば、ここに説明した本発明の実施形態は、IMシステム、VoIPシステム、ビデオ通話システム、又はそれらの任意の組み合わせにおいて使用可能であるということが理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1装置及び周辺装置を用いてネットワークを介して通信する方法であって、上記第1装置は、ユーザインターフェースと、上記ネットワークに接続するためのネットワークインターフェースとを備え、上記周辺装置は上記第1装置へのローカル接続を有し、上記ローカル接続は上記ネットワークとは独立であり、
上記方法は、
上記第1装置のネットワークインターフェースにおいて上記ネットワークからデータパケットを受信することと、
上記受信されたデータパケットを上記第1装置から上記周辺装置に上記ローカル接続を介して転送することと、
上記周辺装置のプロセッサ上で通信クライアントのクライアントエンジンを実行して上記受信されたデータパケットを処理することと、
処理されたデータパケットを上記周辺装置から上記第1装置に上記ローカル接続を介して送り、これにより、上記受信されたデータパケットに含まれたデータが上記第1装置のユーザインターフェースを用いて上記第1装置のユーザに伝達されるようにすることとを含む方法。
【請求項2】
上記周辺装置はデータ取り込み装置である請求項1記載の方法。
【請求項3】
上記受信されたデータパケットはエンコードされ、
上記方法はさらに、上記処理されたデータパケットを上記第1装置のデコーダにおいてデコードすることを含む請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
上記方法は、
上記周辺装置において上記ユーザからデータを取り込むことと、
上記周辺装置において上記クライアントのクライアントエンジンを用いて上記取り込まれたデータを処理することと、
上記取り込まれたデータを上記ローカル接続を介して上記第1装置に送ることと、
上記取り込まれたデータを上記ネットワークインターフェースを用いて上記第1装置から上記ネットワークに転送することとを含む請求項1〜3のうちのいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
上記周辺装置にユーザデータを格納することをさらに含む請求項1〜4のうちのいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
受信されるデータはビデオデータ及びオーディオデータのうちの少なくとも一方を含む請求項1〜5のうちのいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
ネットワークを介して通信するためのシステムであって、上記システムは、周辺装置へのローカル接続を有する第1装置を備え、上記ローカル接続は上記ネットワークとは独立であり、
上記第1装置は、
ユーザインターフェース手段と、
上記ネットワークに接続し、上記ネットワークからデータパケットを受信するためのネットワークインターフェース手段と、
上記受信されたデータパケットを上記第1装置から上記周辺装置に上記ローカル接続を介して転送するための手段と、
処理されたデータパケットを上記周辺装置から上記ローカル接続を介して受信し、これにより、上記受信されたデータパケットに含まれたデータが上記ユーザインターフェース手段を用いて上記第1装置のユーザに伝達されるようにするための手段とを備え、
上記周辺装置は、
上記受信されたデータパケットを上記第1装置から上記ローカル接続を介して受信するための手段と、
通信クライアントのクライアントエンジンを実行して上記受信されたデータパケットを処理するための処理手段と、
処理されたデータパケットを上記ローカル接続を介して上記第1装置に送るための手段とを備えたシステム。
【請求項8】
上記周辺装置はデータ取り込み装置である請求項7記載のシステム。
【請求項9】
上記周辺装置は上記ネットワークに直接には接続されていない請求項7又は8記載のシステム。
【請求項10】
上記第1装置はクライアントエンジンを備えていない請求項7〜9のうちのいずれか1つに記載のシステム。
【請求項11】
上記第1装置のユーザインターフェースは、上記第1装置のプロセッサ上で実行される上記通信クライアントのクライアントユーザインターフェースである請求項7〜10のうちのいずれか1つに記載のシステム。
【請求項12】
上記第1装置のユーザインターフェースは上記第1装置のネイティブユーザインターフェースであり、上記ネイティブユーザインターフェースは上記通信クライアントとは独立である請求項7〜10のうちのいずれか1つに記載のシステム。
【請求項13】
上記第1装置のユーザインターフェースはウェブサーバからダウンロードされる請求項7〜10のうちのいずれか1つに記載のシステム。
【請求項14】
上記第1装置のユーザインターフェースと上記クライアントエンジンとの間の通信を処理するようにアプリケーションプログラミングインターフェースが構成されている請求項12又は13記載のシステム。
【請求項15】
上記第1装置のプロセッサ上で実行される上記通信クライアントのクライアントユーザインターフェースは、上記第1装置のオペレーティングシステムによって、上記周辺装置のドライバソフトウェアとともに、上記周辺装置から読み出される請求項11記載のシステム。
【請求項16】
上記第1装置のプロセッサ上で実行されるアプリケーションプログラミングインターフェースは、上記第1装置のオペレーティングシステムによって、上記周辺装置のドライバソフトウェアとともに、上記周辺装置から読み出される請求項14記載のシステム。
【請求項17】
上記周辺装置は上記第1装置から取り外し可能である請求項7〜16のうちのいずれか1つに記載のシステム。
【請求項18】
上記周辺装置は上記第1装置に一体化されている請求項7〜16のうちのいずれか1つに記載のシステム。
【請求項19】
上記第1装置はテレビジョンであり、上記周辺装置はウェブカメラである請求項7〜18のうちのいずれか1つに記載のシステム。
【請求項20】
ネットワークを介して通信するための周辺装置であって、上記周辺装置は、
上記ネットワークとは独立なローカル接続を介して、第1装置から、上記ネットワークを発信元とするデータパケットを受信するための手段と、
通信クライアントのクライアントエンジンを実行して上記受信されたデータパケットを処理するための手段と、
処理されたデータパケットを上記ローカル接続を介して上記第1装置に送る手段とを備え、上記処理されたデータパケットは、上記受信されたデータパケットに含まれたデータを上記第1装置のユーザに伝達するためのものである周辺装置。
【請求項21】
上記周辺装置はデータ取り込み装置である請求項20記載の周辺装置。
【請求項22】
上記周辺装置はさらに、
ドライバソフトウェアと、
ユーザインターフェースソフトウェアとを備え、
上記ドライバソフトウェア及び上記ユーザインターフェースソフトウェアは上記第1装置のインストールのための提供される請求項20又は21記載の周辺装置。
【請求項23】
上記ユーザインターフェースソフトウェアは、上記クライアントエンジンとサードパーティのユーザインターフェースとの間の通信を処理するための、通信クライアントのユーザインターフェース又はアプリケーションプログラミングインターフェースである請求項22記載の周辺装置。
【請求項24】
上記サードパーティのユーザインターフェースはウェブサーバからダウンロードされる請求項23記載の周辺装置。
【請求項25】
第1装置及び周辺装置を用いてネットワークを介して通信する方法であって、上記第1装置は、ユーザインターフェースと、上記ネットワークに接続するためのネットワークインターフェースとを備え、上記周辺装置は、上記ネットワークとは独立な上記第1装置へのローカル接続を有し、
上記方法は、
上記周辺装置においてデータを受信することと、
上記周辺装置において上記受信されたデータをエンコードすることと、
上記周辺装置のプロセッサ上で通信クライアントのクライアントエンジンを実行して上記受信されたデータパケットを処理することと、
上記処理されたデータパケットを上記周辺装置から上記第1装置へ上記ローカル接続を介して送ること、
上記受信されたデータパケットを上記第1装置から上記通信ネットワークへ上記ネットワークインターフェースを介して転送することとを含む方法。
【請求項26】
第1装置及び周辺装置を用いてネットワークを介して双方向通信を確立する方法であって、上記第1装置はユーザインターフェースを備え、上記周辺装置は、上記ネットワークに接続するためのネットワークインターフェースと、上記ネットワークとは独立な上記第1装置へのローカル接続とを備え、
上記方法は、
上記周辺装置のネットワークインターフェースにおいて上記ネットワークからデータパケットを受信することと、
上記周辺装置のプロセッサ上で通信クライアントのクライアントエンジンを実行して上記受信されたデータパケットを処理することと、
処理されたデータパケットを上記周辺装置から上記第1装置に上記ローカル接続を介して送ることと、
上記第1装置においてデータをデコードし、これにより、上記受信されたデータパケットに含まれたデータが上記第1装置のユーザインターフェースを用いて上記第1装置のユーザに伝達されるようにすることとを含み、
上記方法はさらに、
上記周辺装置においてデータを受信することと、
上記周辺装置において上記受信されたデータをエンコードすることと、
上記周辺装置のプロセッサ上で通信クライアントのクライアントエンジンを実行して上記受信されたデータパケットを処理することと、
上記処理されたデータパケットを上記周辺装置から上記第1装置へ上記ローカル接続を介して送ること、
上記受信されたデータパケットを上記第1装置から上記通信ネットワークへ上記ネットワークインターフェースを介して転送することとを含む方法。
【請求項27】
ネットワークを介して通信するためのシステムであって、上記システムは、周辺装置へのローカル接続を有する第1装置を備え、上記ローカル接続は上記ネットワークとは独立であり、
上記周辺装置は、
上記ネットワークに接続し、上記ネットワークからデータパケットを受信するためのネットワークインターフェース手段と、
通信クライアントのクライアントエンジンを実行して上記受信されたデータパケットを処理するための処理手段と、
処理されたデータパケットを上記ローカル接続を介して上記第1装置に送るための手段とを備え、
上記第1装置は、
上記周辺装置から上記処理されたデータパケットを受信するための手段と、
上記処理されたデータパケットをデコードするための手段と、
処理されたデータパケットに含まれたデータを上記第1装置のユーザに伝達するためのユーザインターフェース手段とを備えたシステム。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−502532(P2012−502532A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−525548(P2011−525548)
【出願日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際出願番号】PCT/EP2009/061398
【国際公開番号】WO2010/026185
【国際公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
2.JAVA
【出願人】(506016691)スカイプ・リミテッド (16)
【氏名又は名称原語表記】SKYPE LIMITED
【Fターム(参考)】