説明

通信システム及び中継制御方法

【課題】構内交換機を設けることなく、ネットワーク上のトラヒックの低減と、ユーザが支払う通信料の低減とを実現する。
【解決手段】階層化され、隣接する階層のノードと接続された複数のノードと、複数の端末とを有し、階層化された複数のノードのうち最下層のノードが複数存在し、複数の端末のそれぞれが複数の最下層のノードのいずれかに接続され、複数の端末間の通信をノードを用いて中継する通信システムであって、通信を行う複数の端末が接続された最下層のノードのそれぞれに応じ、階層化された複数のノードのうち、当該通信を中継する中継ノードを決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、階層化されたノードを用いて通信を中継する通信システム及び中継制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、移動体通信において、通常の基地局からの電波が届かない家庭内や地下等の不感地帯でも、移動体通信事業者が提供するサービスを受けられるようにするために、超小型の基地局であるフェムトセル基地局が不感地帯に設置されるようになってきている。フェムトセル基地局は、家庭内や地下等に敷設されているブロードバンド回線と接続され、そのブロードバンド回線及びインターネットを介して移動体通信事業者のネットワークと接続される。ブロードバンド回線とは例えば、光回線やケーブルテレビ用の回線等である。
【0003】
なお、通常の基地局とは、ビルの屋上等に設置され、その基地局と通信ができる範囲であるセルが半径数100メートル〜10数キロメートル程度の基地局のことである。一方、フェムトセル基地局のセルは、半径数10メートル程度であり、通常の基地局と比べて非常に狭い範囲となっている。
【0004】
フェムトセル基地局を介して通信を行う場合でも、通常の基地局を介して通信を行う携帯端末をそのまま利用することができる。また、1つのフェムトセル基地局と接続することが可能な携帯端末の数は非常に少ないため、1台の携帯端末が1つのフェムトセル基地局を占有することも可能であり、高速な通信が実現できる。
【0005】
フェムトセル基地局は、各家庭等の様々な施設内に設置することを想定しており、フェムトセル基地局の普及とともに、ブロードバンド回線やインターネット、移動体通信事業者のネットワーク上のトラヒックが増加することが予想される。なお、以降、単にネットワークという場合は、ブロードバンド回線、インターネット及び移動体通信事業者のネットワークのそれぞれ、または、全てを指すものとする。
【0006】
また近年、パソコンやテレビ、ゲーム機等を含めた家電機器がネットワークに接続されるようになり、ネットワーク上のトラヒックが増加してきている。
【0007】
このように、ネットワーク上のトラヒックは増加の一途を辿ることが予想され、フェムトセル基地局を介した通信の通信品質の低下が懸念される。また、ネットワークを提供する事業者は、増加するトラヒックに対応するために、ネットワークを構成する設備の増強が求められる。これに伴い、設備の運用費の増加が想定される。
【0008】
ところで、フェムトセル基地局を介した通信においては、同じフェムトセル基地局のセル内に存在する携帯端末間で通話を行う場合でも、ユーザデータ(音声パケット)がネットワークを経由してその携帯端末間で送受信される。従って、ユーザは、同じフェムトセル基地局を介した近接する携帯端末間の通信であるにもかかわらず、ブロードバンド回線を提供する通信事業者やインターネットプロバイダ、移動体通信事業者等へ通信料を支払わなくてはならない。
【0009】
ここで、ネットワーク上のトラヒックの低減と、ユーザが支払う通信料の低減とを可能にする技術が例えば、特許文献1に開示されている。
【0010】
特許文献1に開示されている技術では、建物内に閉じた通信を制御することができる構内交換機(IP−PBX)に接続された無線基地局(無線装置)と、移動体通信事業者のネットワークに接続された無線基地局(無線装置)とが存在する。そして、端末(通信装置)は、通信の種類に応じ、いずれかの無線基地局(無線装置)を選択して呼制御を行う。
【0011】
特許文献1に開示されている技術を用いることにより、構内交換機に接続された無線基地局からの電波が届く範囲に存在する端末間の通信の場合には、ネットワークを経由しないようにすることができる。これにより、ネットワーク上のトラヒックの低減と、ユーザが支払う通信料の低減とを実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2009−105937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上述した特許文献1に開示されている技術を用いた場合、構内交換機を設けなければならないという問題点がある。
【0014】
本発明は、構内交換機を設けることなく、ネットワーク上のトラヒックの低減と、ユーザが支払う通信料の低減とを実現することができる通信システム及び中継制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために本発明の通信システムは、階層化され、隣接する階層のノードと接続された複数のノードと、複数の端末とを有し、前記階層化された複数のノードのうち最下層のノードが複数存在し、前記複数の端末のそれぞれが前記複数の最下層のノードのいずれかに接続され、前記複数の端末間の通信を前記ノードを用いて中継する通信システムであって、
通信を行う前記複数の端末が接続された前記最下層のノードのそれぞれに応じ、前記階層化された複数のノードのうち、当該通信を中継する中継ノードを決定する。
【0016】
また、上記目的を達成するために本発明の中継制御方法は、階層化され、隣接する階層のノードと接続された複数のノードと、複数の端末とを有し、前記階層化された複数のノードのうち最下層のノードが複数存在し、前記複数の端末のそれぞれが前記複数の最下層のノードのいずれかに接続され、前記複数の端末間の通信を前記ノードを用いて中継する通信システムにおける中継制御方法であって、
通信を行う前記複数の端末が接続された前記最下層のノードのそれぞれに応じ、前記階層化された複数のノードのうち、当該通信を中継する中継ノードを決定する中継ノード決定処理を有する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の通信システムにおいては、通信を行う複数の端末が接続された最下層のノードのそれぞれに応じ、階層化された複数のノードのうち、当該通信を中継する中継ノードが決定される。
【0018】
これにより、ネットワークを経由する通信を最小限に抑制することが可能となる。従って、構内交換機を設けることなく、ネットワーク上のトラヒックの低減と、ユーザが支払う通信料の低減とを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の通信システムの実施の一形態の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示した通信システムが備える各装置の構成の一例を示すブロック図であり、(a)は端末の構成の一例を示すブロック図、(b)はフェムトセル基地局の構成の一例を示すブロック図、(c)はゲートウェイの構成の一例を示すブロック図である。
【図3】図1に示した通信システムが備える各装置の構成の一例を示すブロック図であり、(a)は移動体交換機の構成の一例を示すブロック図、(b)は加入者管理サーバの構成の一例を示すブロック図である。
【図4】図3(b)に示したデータベースが有するテーブルの構成の一例を示す図であり、(a)は加入者情報テーブルの構成の一例を示す図、(b)はグループ情報テーブルの構成の一例を示す図である。
【図5】図1〜図4に示した通信システムにおいて、端末がフェムトセル基地局のセル内に移動してきたときの動作を説明するためのシーケンス図である。
【図6】図1〜図4に示した通信システムにおいて内線通信を行う場合の動作を説明するためのシーケンス図である。
【図7】図1〜図4に示した通信システムにおいて内線通信を行う場合の動作を説明するためのシーケンス図である。
【図8】図1〜図4に示した通信システムにおいて、移動体交換機が中継ノードを決定する動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】本発明の通信システムの他の実施形態の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0021】
図1は、本発明の通信システムの実施の一形態の構成を示すブロック図である。
【0022】
本実施形態の通信システムは図1に示すように、端末100−1〜100−n,200−1〜200−nと、階層化された複数のノードであるフェムトセル基地局10,20、ゲートウェイ40及び移動体交換機50と、加入者管理サーバ60とを備えている。本実施形態においては、端末100−1〜100−n,200−1〜200−nのうち、通信の発信側である発信側端末と着信側である着信側端末との間の通信を、ノードを用いて中継する。なお、階層化された複数のノードのうち、移動体交換機50が最上層のノードであり、フェムトセル基地局10,20が最下層のノードである。
【0023】
なお、図中ゲートウェイ40よりも上部のネットワークは、移動体通信事業者のネットワークである。また、フェムトセル基地局10,20は、通信事業者によって提供されるブロードバンド回線と接続され、さらに、インターネット30を介してゲートウェイ40と接続されている。
【0024】
また、本実施形態において端末100−1〜100−nは、フェムトセル基地局10のセル内に存在している。そして、端末100−1〜100−nは、フェムトセル基地局10から送信され、フェムトセル基地局10を識別する情報である位置情報を受信する。つまり、端末100−1〜100−nは、フェムトセル基地局10のセル内に存在する場合、フェムトセル基地局10と無線によって接続されている。同様に、端末200−1〜200−nは、フェムトセル基地局20と無線によって接続されている。
【0025】
また、本実施形態においては、説明をわかりやすくするために、フェムトセル基地局が2台の場合について説明するが、フェムトセル基地局の数は2台に限定されない。
【0026】
図2は、図1に示した通信システムが備える各装置の構成の一例を示すブロック図であり、(a)は端末100−1の構成の一例を示すブロック図、(b)はフェムトセル基地局10の構成の一例を示すブロック図、(c)はゲートウェイ40の構成の一例を示すブロック図である。なお、端末100−2〜100−n,200−1〜200−nは、端末100−1と同様の構成であり、フェムトセル基地局20は、フェムトセル基地局10と同様の構成である。
【0027】
また、図3は、図2と同様に、図1に示した通信システムが備える各装置の構成の一例を示すブロック図であり、(a)は移動体交換機50の構成の一例を示すブロック図、(b)は加入者管理サーバ60の構成の一例を示すブロック図である。
【0028】
まず、図2(a)を参照すると、端末100−1は、エアIF(InterFace)部101と、記憶部102と、呼処理部103とを備えている。
【0029】
エアIF部101は、端末100−1とフェムトセル基地局10との間の無線による通信を仲介する。
【0030】
記憶部102は、端末100−1を識別する端末ID(IDentification)と、通信を行う際に端末100−1を識別する第2の形式の端末番号である外線番号とを予め記憶している。また、呼処理部103の指示により、通信を行う際に端末100−1を識別する第1の形式の端末番号である内線番号を記憶する。なお、外線番号と内線番号とは例えば、番号の桁数が異なる。つまり、外線番号と内線番号とでは形式が異なっている。
【0031】
呼処理部103は、発信及び着信に関わる呼処理を行う。具体的には、呼処理部103は、フェムトセル基地局10から送信された位置情報を受信すると、受信した位置情報と、記憶部102に記憶された端末IDとを含む位置登録要求をフェムトセル基地局10を介して移動体交換機50へ送信する。また、呼処理部103は、移動体交換機50から送信され、位置登録要求に対する応答である位置登録応答を受信し、受信した位置登録応答に含まれる内線番号情報が示す内線番号を記憶部102に記憶させる。この内線番号は、端末100−1に付与された内線番号である。また、呼処理部103は、端末100−1が発信側端末として通信を開始する際、その通信の着信側端末の端末番号の入力をユーザから受け付ける。なお、ユーザとは移動体通信事業者の加入者のことである。また、ユーザから受け付ける端末番号は、外線番号または内線番号である。以降、内線番号を用いた通信のことを内線通信という。そして、呼処理部103は、記憶部102に記憶された端末IDと、受け付けた端末番号とを含む発信要求をフェムトセル基地局10を介して移動体交換機50へ送信する。
【0032】
次に、図2(b)を参照すると、フェムトセル基地局10は、エアIF部11と、ゲートウェイIF部12と、呼処理部13と、データ制御部14とを備えている。
【0033】
エアIF部11は、フェムトセル基地局10と端末100−1〜100−nとの間の無線による通信を仲介する。
【0034】
ゲートウェイIF部12は、フェムトセル基地局10とゲートウェイ40との間の通信を仲介する。
【0035】
呼処理部13は、端末100−1〜100−n、ゲートウェイ40及び移動体交換機50との間での呼処理を行う。具体的には、呼処理部13は、フェムトセル基地局10を識別する位置情報をフェムトセル基地局10のセル内に存在する端末へ送信する。また、呼処理部13は、端末100−1〜100−nから送信された位置登録要求や発信要求等を受信してゲートウェイ40へ送信する。また、呼処理部13は、ゲートウェイ40から送信された位置登録応答等を該当する端末100−1〜100−nへ送信する。また、呼処理部13は、移動体交換機50から送信された経路制御要求を受信する。なお、経路制御要求は、発信側端末と着信側端末との間の通信を中継する中継ノードとして決定されたノードへ送信される。経路制御要求には例えば、その通信において当該ノードと対向する中継ノードに関する情報が含まれる。
【0036】
データ制御部14は、端末100−1〜100−n、ゲートウェイ40から送信されたユーザデータを受信する。そして、呼処理部13にて受信された経路制御要求に含まれる情報に従い、端末100−1〜100−n、ゲートウェイ40へ受信したユーザデータを転送する。具体的には例えば、データ制御部14は、経路制御要求に含まれるポート番号を指定し、当該経路制御要求に含まれるIP(Internet Protocol)アドレスのゲートウェイへ端末100−1〜100−nから受信したユーザデータを転送する。
【0037】
次に、図2(c)を参照すると、ゲートウェイ40は、フェムトセル基地局IF部41と、移動体交換機IF部42と、呼処理部43と、データ制御部44とを備えている。
【0038】
フェムトセル基地局IF部41は、ゲートウェイ40とフェムトセル基地局10,20との間の通信を仲介する。
【0039】
移動体交換機IF部42は、ゲートウェイ40と移動体交換機50との間の通信を仲介する。
【0040】
呼処理部43は、フェムトセル基地局10,20及び移動体交換機50との間での呼処理を行う。具体的には、呼処理部43は、フェムトセル基地局10,20から送信された位置登録要求や発信要求等を受信して移動体交換機50へ送信する。また、呼処理部43は、移動体交換機50から送信された位置登録応答等を受信してフェムトセル基地局10,20へ送信する。また、呼処理部43は、移動体交換機50から送信された経路制御要求を受信する。
【0041】
データ制御部44は、フェムトセル基地局10,20、移動体交換機50、他のゲートウェイ(不図示)から送信されたユーザデータを受信する。そして、呼処理部43にて受信された経路制御要求に含まれる情報に従い、フェムトセル基地局10,20、移動体交換機50、他のゲートウェイへ受信したユーザデータを転送する。具体的には例えば、データ制御部44は、経路制御要求に含まれるポート番号を指定し、当該経路制御要求に含まれるIP(Internet Protocol)アドレスのフェムトセル基地局へ受信したユーザデータを転送する。
【0042】
次に、図3(a)を参照すると、移動体交換機50は、ゲートウェイIF部51と、加入者管理サーバIF部52と、呼処理部53と、内線制御部54とを備えている。
【0043】
ゲートウェイIF部51は、移動体交換機50とゲートウェイ40との間の通信を仲介する。
【0044】
加入者管理サーバIF部52は、移動体交換機50と加入者管理サーバ60との間の通信を仲介する。
【0045】
呼処理部53は、フェムトセル基地局10,20、ゲートウェイ40及び加入者管理サーバ60との間での呼処理を行う。具体的には、呼処理部53は、ゲートウェイ40から送信された位置登録要求を受信する。そして、受信した位置登録要求に含まれる位置情報及び端末IDを含み、その端末IDにて識別される端末の位置情報を更新するための更新要求を加入者管理サーバ60へ送信する。また、呼処理部53は、加入者管理サーバ60から送信され、更新要求に対する応答である内線番号情報を受信する。そして、受信した内線番号情報を含み、位置登録要求に対する応答である位置登録応答をゲートウェイ40へ送信する。また、呼処理部53は、ゲートウェイ40から送信された発信要求を受信する。
【0046】
内線制御部54は、呼処理部53にて受信された発信要求に含まれる端末ID及び端末番号を含み、加入者管理サーバ60に記憶された情報を取得するための情報取得要求を加入者管理サーバ60へ送信する。また、内線制御部54は、加入者管理サーバ60から送信され、情報取得要求に対する応答である情報取得応答を受信する。そして、受信した情報取得応答に含まれる情報に基づき、発信側端末と着信側端末との間の通信を中継する中継ノードを決定する。なお、中継ノードを決定する動作については、後述する動作フローにおいて詳しく説明する。また、内線制御部54は、中継ノードへ経路制御要求を送信する。
【0047】
最後に、図3(b)を参照すると、加入者管理サーバ60は、移動体交換機IF部61と、制御部62と、データベース63とを備えている。
【0048】
移動体交換機IF部61は、加入者管理サーバ60と移動体交換機50との間の通信を仲介する。
【0049】
データベース63は、移動体通信事業者の全加入者の端末IDと、外線番号、内線番号及び位置情報とが対応付けられた加入者情報テーブルを有する。また、データベース63は、フェムトセル基地局を識別する位置情報をグループ化したグループ情報テーブルを有する。
【0050】
図4は、図3(b)に示したデータベース63が有するテーブルの構成の一例を示す図であり、(a)は加入者情報テーブルの構成の一例を示す図、(b)はグループ情報テーブルの構成の一例を示す図である。
【0051】
図4に示すテーブルにおいて位置情報は例えば、「A」がフェムトセル基地局10を識別する位置情報であり、「B」がフェムトセル基地局20を識別する位置情報である。この場合、図4(b)に示すように、位置情報「A」と「B」とが同じグループ1に属している。つまり、ゲートウェイ40に接続されたフェムトセル基地局10,20が同じグループに属していることとなる。
【0052】
再度、図3(b)を参照すると、制御部62は、移動体交換機50から送信された更新要求を受信する。そして、データベース63が有する加入者情報テーブルにおいて、受信した更新要求に含まれる端末IDに対応する位置情報を、受信した更新要求に含まれる位置情報で更新する。そして、受信した更新要求に含まれる端末IDに対応付けられた内線番号を加入者情報テーブルから取得し、取得した内線番号を示す内線番号情報を移動体交換機50へ送信する。なお、ここでは、内線番号は予め決められているものとするが、他の端末の内線番号と重複しないランダムな番号を内線番号として生成してもよい。また、制御部62は、移動体交換機50から送信された情報取得要求を受信する。そして、受信した情報取得要求に含まれる端末ID及び端末番号に対応する情報を、データベース63が有する加入者情報テーブル及びグループ情報テーブルから取得する。そして、制御部62は、データベース63から取得した情報を含む情報取得応答を移動体交換機50へ送信する。
【0053】
以下に、上記のように構成された通信システムの動作について説明する。
【0054】
まず、図1に示した端末100−1がフェムトセル基地局10のセル内に移動してきたときの動作について説明する。
【0055】
図5は、図1〜図4に示した通信システムにおいて、端末100−1がフェムトセル基地局10のセル内に移動してきたときの動作を説明するためのシーケンス図である。
【0056】
まず、端末100−1がフェムトセル基地局10のセル内に移動してくると、端末100−1の呼処理部103は、フェムトセル基地局10から送信され、フェムトセル基地局10を識別する位置情報201を受信する。
【0057】
次に、呼処理部103は、受信した位置情報201と記憶部102に記憶された端末IDとを含む位置登録要求202をフェムトセル基地局10を介して移動体交換機50へ送信する。
【0058】
端末100−1から送信された位置登録要求202を受信した移動体交換機50の呼処理部53は、受信した位置登録要求202に含まれる位置情報及び端末IDを含む更新要求203を加入者管理サーバ60へ送信する。
【0059】
加入者管理サーバ60の制御部62は、移動体交換機50から送信された更新要求203を受信する。そして、制御部62は、データベース63が有する加入者情報テーブルにおいて、受信した更新要求203に含まれる端末IDに対応付けられた端末100−1の位置情報を、受信した更新要求203に含まれるフェムトセル基地局10を識別する位置情報で更新する。
【0060】
また、制御部62は、受信した更新要求203に含まれる端末IDに対応付けられた内線番号を加入者情報テーブルから取得し、取得した内線番号を示す内線番号情報204を移動体交換機50へ送信する。
【0061】
加入者管理サーバ60から送信された内線番号情報を受信した移動体交換機50の呼処理部53は、受信した内線番号情報を含む位置登録応答205を端末100−1へ送信する。
【0062】
移動体交換機50から送信された位置登録応答205をフェムトセル基地局10を介して受信した端末100−1の呼処理部103は、受信した位置登録応答205に含まれる内線番号情報が示す内線番号を記憶部102に記憶させる。
【0063】
次に、図1〜図4に示した通信システムにおいて通信を行う場合の動作について説明する。
【0064】
図6は、図1〜図4に示した通信システムにおいて内線通信を行う場合の動作を説明するためのシーケンス図である。なお、図6は、フェムトセル基地局10のセル内に存在する端末100−1から、同じフェムトセル基地局10のセル内に存在する端末100−2への内線通信における動作を示している。つまり、端末100−1が発信側端末となり、端末100−2が着信側端末となる。
【0065】
また、図7は、図6と同様に、図1〜図4に示した通信システムにおいて内線通信を行う場合の動作を説明するためのシーケンス図である。なお、図7は、フェムトセル基地局10のセル内に存在する端末100−1から、フェムトセル基地局20のセル内に存在する端末200−1への内線通信における動作を示している。つまり、端末100−1が発信側端末となり、端末200−1が着信側端末となる。また、フェムトセル基地局10を識別する位置情報と、フェムトセル基地局20を識別する位置情報とは、データベース63が有するグループ情報テーブルにおいて同一のグループに属しているものとする。
【0066】
また、図8は、図1〜図4に示した通信システムにおいて、移動体交換機50が中継ノードを決定する動作を説明するためのフローチャートである。
【0067】
まず、端末100−1の呼処理部103は、着信側端末の端末番号の入力をユーザから受け付ける。
【0068】
次に、呼処理部103は、記憶部102に記憶された端末IDと、受け付けた端末番号とを含む発信要求301をフェムトセル基地局10を介して移動体交換機50へ送信する。
【0069】
移動体交換機50の呼処理部53は、端末100−1から送信された発信要求301を受信する(ステップS1)。
【0070】
次に、移動体交換機50の内線制御部54は、呼処理部53にて受信された発信要求に含まれる端末ID及び端末番号を含む情報取得要求302を加入者管理サーバ60へ送信する。
【0071】
移動体交換機50から送信された情報取得要求302を受信した加入者管理サーバ60の制御部62は、受信した情報取得要求302に含まれる端末ID及び端末番号に対応する情報を、データベース63が有する加入者情報テーブル及びグループ情報テーブルから取得する。なお、図6に示した動作の場合、端末100−1及び端末100−2に関する情報が取得される。一方、図7に示した動作の場合には、端末100−1及び端末200−1に関する情報が取得される。
【0072】
そして、制御部62は、取得した情報を含む情報取得応答303を移動体交換機50へ送信する。
【0073】
移動体交換機50の内線制御部54は、加入者管理サーバ60から送信された情報取得応答303を受信する(ステップS2)。
【0074】
次に、内線制御部54は、ステップS1において受信した発信要求に含まれる端末番号の形式を確認する(ステップS3)。
【0075】
ステップS3における確認の結果、端末番号の形式が外線番号の形式である場合、内線制御部54は、その旨を呼処理部53へ通知する。そして、通知を受けた呼処理部53は外線番号による接続を行う(ステップS4)。
【0076】
一方、ステップS3における確認の結果、端末番号の形式が内線番号の形式である場合には、内線制御部54は、受信した情報取得応答303に含まれる情報に基づき、受信した発信要求に含まれる端末番号に対応付けられた位置情報と、受信した発信要求に含まれる端末IDに対応付けられた位置情報とを比較する(ステップS5)。
【0077】
ステップS5における比較の結果、2つの位置情報が一致する場合、移動体交換機50の内線制御部54は図6に示すように、フェムトセル基地局10へ経路制御要求306を送信する(ステップS6)。
【0078】
なお、フェムトセル基地局10へ送信される経路制御要求306には、端末100−1と端末100−2との間の通信におけるユーザデータをフェムトセル基地局10で折り返す指示が含まれる。これにより、フェムトセル基地局10が中継ノードとなり、ゲートウェイ40及び移動体交換機50には、ユーザデータが送信されない。また、移動体交換機50から送信された経路制御要求306を受信したフェムトセル基地局10は図6に示すように、経路制御要求306を受信した旨を示す経路制御応答307を移動体交換機50へ送信する。
【0079】
一方、ステップS5における比較の結果、2つの位置情報が一致しない場合、内線制御部54は、受信した情報取得応答303に含まれる情報から、2つの位置情報が同一のグループに属しているかどうかを確認する(ステップS7)。
【0080】
ステップS7における確認の結果、2つの位置情報が同一のグループに属している場合、移動体交換機50の内線制御部54は、図7に示すように、フェムトセル基地局10へ経路制御要求308を送信し、フェムトセル基地局20へ経路制御要求309を送信する。さらに、内線制御部54は、ゲートウェイ40へ経路制御要求310を送信する(ステップS8)。
【0081】
なお、フェムトセル基地局10,20へ送信される経路制御要求308,309には、ゲートウェイ40のIPアドレス及びポート番号が含まれる。また、ゲートウェイ40へ送信される経路制御要求310には、フェムトセル基地局10,20のIPアドレス及びポート番号が含まれる。これにより、フェムトセル基地局10〜ゲートウェイ40〜フェムトセル基地局20の通信経路が設定される。つまり、フェムトセル基地局10,20及びゲートウェイ40が中継ノードとなり、移動体交換機50には、ユーザデータが送信されない。
【0082】
また、移動体交換機50から送信された経路制御要求308〜310を受信したフェムトセル基地局10,20及びゲートウェイ40は図7に示すように、経路制御要求308〜310を受信した旨を示す経路制御応答311〜313を移動体交換機50へ送信する。
【0083】
一方、ステップS7における確認の結果、2つの位置情報が同一のグループに属していない場合には、内線制御部54は、その旨を呼処理部53へ通知する。そして、通知を受けた呼処理部53は、切断処理を行う(ステップS9)。
【0084】
なお、経路制御要求306,308〜310が送信される前には、移動体交換機50の呼処理部53から着信側端末へ呼び出し信号304が送信されている。図6に示した動作の場合、呼び出し信号304は、着信側端末である端末100−2へ送信され、図7に示した動作の場合には、呼び出し信号304は、着信側端末である端末200−1へ送信される。そして、着信側端末から送信された呼び出し応答信号305を移動体交換機50が受信した場合に、上述したような中継ノードによってユーザデータが中継される。
【0085】
このように本実施形態の通信システムにおいては、通信を行う端末が接続されたフェムトセル基地局のそれぞれに応じ、階層化された複数のノードのうち、当該通信を中継する中継ノードが決定される。
【0086】
これにより、ネットワークを経由する通信を最小限に抑制することが可能となる。従って、構内交換機を設けることなく、ネットワーク上のトラヒックの低減と、ユーザが支払う通信料の低減とを実現することができる。
【0087】
また、端末100−1〜100−n,200−1〜200−nのユーザは、内線番号または外線番号を用いることにより、内線通信なのか、外線番号を用いた外線通信なのかを認識した上で通信を行うことができる。内線通信の場合には、ユーザは、通信料を気にすることなく通信を行うことができる。
【0088】
また、ネットワーク上のトラヒックが低減されることにより、フェムトセル基地局を介した通信の通信品質の向上に寄与することができる。
【0089】
なお、本実施形態では、ゲートウェイが1台である場合について説明したが、ゲートウェイの台数は1台に限定されない。
【0090】
図9は、本発明の通信システムの他の実施形態の構成を示すブロック図である。
【0091】
図9に示す通信システムは、2台のゲートウェイ40−1,40−2を備えている。そして、フェムトセル基地局10とフェムトセル基地局20とは、相互に異なるゲートウェイに接続されている。
【0092】
このような構成の場合でも、ゲートウェイ40−1に接続されたフェムトセル基地局10と、ゲートウェイ40−2に接続されたフェムトセル基地局20とを同一のグループにしておくことにより、上述したような移動体交換機50によって中継されない内線通信を行うことが可能である。具体的には、移動体交換機50が、経路制御要求をゲートウェイ40−1,40−2及びフェムトセル基地局10,20へ送信することによって実現できる。
【0093】
この場合、ゲートウェイ40−1へ送信される経路制御要求には、フェムトセル基地局10及びゲートウェイ40−2のIPアドレス等が含まれる。また、ゲートウェイ40−2へ送信される経路制御要求には、フェムトセル基地局20及びゲートウェイ40−1のIPアドレス等が含まれる。また、フェムトセル基地局10へ送信される経路制御要求には、ゲートウェイ40−1のIPアドレス等が含まれ、フェムトセル基地局20へ送信される経路制御要求には、ゲートウェイ40−2のIPアドレス等が含まれる。これらにより、フェムトセル基地局10〜ゲートウェイ40−1〜ゲートウェイ40−2〜フェムトセル基地局20の通信経路が設定される。
【0094】
また、端末に付与される内線番号は、必ずしも端末IDと1対1で対応付けられている必要はなく、同一のグループ内でランダムに付与してもよい。ランダムな内線番号を付与することにより、公共施設等の訪問者の端末と、その公共施設等に設置された電話(フェムトセル基地局のセル内に存在する端末)との間で内線通信を行うことが可能となる。
【0095】
また、1つの端末に付与される内線番号は、1つに限定されるものではなく、複数の内線番号が付与されてもよい。
【符号の説明】
【0096】
10,20 フェムトセル基地局
11,101 エアIF部
12,51 ゲートウェイIF部
13,43,53,103 呼処理部
14,44 データ制御部
30 インターネット
40,40−1,40−2 ゲートウェイ
41 フェムトセル基地局IF部
42,61 移動体交換機IF部
50 移動体交換機
52 加入者管理サーバIF部
54 内線制御部54
60 加入者管理サーバ
62 制御部
63 データベース
100−1〜100−n,200−1〜200−n 端末
102 記憶部
201 位置情報
202 位置登録要求
203 更新要求
204 内線番号情報
205 位置登録応答
301 発信要求
302 情報取得要求
303 情報取得応答
304 呼び出し信号
305 呼び出し応答信号
306,308〜310 経路制御要求
307,311〜313 経路制御応答

【特許請求の範囲】
【請求項1】
階層化され、隣接する階層のノードと接続された複数のノードと、複数の端末とを有し、前記階層化された複数のノードのうち最下層のノードが複数存在し、前記複数の端末のそれぞれが前記複数の最下層のノードのいずれかに接続され、前記複数の端末間の通信を前記ノードを用いて中継する通信システムであって、
通信を行う前記複数の端末が接続された前記最下層のノードのそれぞれに応じ、前記階層化された複数のノードのうち、当該通信を中継する中継ノードを決定する通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載の通信システムにおいて、
前記複数の端末のそれぞれを識別する端末IDと、前記複数の端末のそれぞれが接続された前記最下層のノードを識別する位置情報と、通信を行う際に前記複数の端末のそれぞれを識別する第1及び第2の形式の端末番号とを対応付けて加入者情報として記憶するサーバを有し、
通信の発信側である発信側端末は、当該発信側端末の端末IDを予め記憶し、通信を開始する際、当該通信の着信側である着信側端末の端末番号を受け付け、該受け付けた端末番号と前記記憶された端末IDとを送信し、
前記階層化された複数のノードのうち最上層のノードである最上層ノードは、前記発信側端末から送信された端末番号と端末IDとを受信し、該受信した端末番号が前記第1の形式である場合、前記加入者情報に基づき、前記受信した端末番号に対応付けられた位置情報と、前記受信した端末IDに対応付けられた位置情報とを比較し、該比較の結果、当該2つの位置情報が一致する場合、該一致した位置情報にて識別される前記最下層のノードを前記中継ノードとする通信システム。
【請求項3】
請求項2に記載の通信システムにおいて、
前記サーバは、前記位置情報をグループ化したグループ情報をさらに記憶し、
前記最上層ノードは、前記比較の結果、当該2つの位置情報が一致しない場合、前記グループ情報に基づき、当該2つの位置情報が同一のグループに属するかどうかを確認し、該確認の結果、当該2つの位置情報が同一のグループに属する場合、当該2つの位置情報のそれぞれにて識別される前記最下層のノードのそれぞれと、該それぞれの前記最下層のノードが接続されたノードとを前記中継ノードとする通信システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の通信システムにおいて、
前記複数の端末のそれぞれと前記最下層のノードとは、無線によって接続された通信システム。
【請求項5】
階層化され、隣接する階層のノードと接続された複数のノードと、複数の端末とを有し、前記階層化された複数のノードのうち最下層のノードが複数存在し、前記複数の端末のそれぞれが前記複数の最下層のノードのいずれかに接続され、前記複数の端末間の通信を前記ノードを用いて中継する通信システムにおける中継制御方法であって、
通信を行う前記複数の端末が接続された前記最下層のノードのそれぞれに応じ、前記階層化された複数のノードのうち、当該通信を中継する中継ノードを決定する中継ノード決定処理を有する中継制御方法。
【請求項6】
請求項5に記載の中継制御方法において、
前記中継ノード決定処理は、
通信の発信側である発信側端末が、通信を開始する際、当該通信の着信側である着信側端末の端末番号を受け付け、該受け付けた端末番号と、予め記憶された当該発信側端末の端末IDとを送信する処理と、
前記階層化された複数のノードのうち最上層のノードである最上層ノードが、前記発信側端末から送信された端末番号と端末IDとを受信する処理と、
前記最上層ノードが、前記複数の端末のそれぞれを識別する端末IDと、前記複数の端末のそれぞれが接続された前記最下層のノードを識別する位置情報と、通信を行う際に前記複数の端末のそれぞれを識別する第1及び第2の形式の端末番号とが対応付けられた加入者情報に基づき、前記受信した端末番号が前記第1の形式である場合、前記受信した端末番号に対応付けられた位置情報と、前記受信した端末IDに対応付けられた位置情報とを比較する処理と、
前記最上層ノードが、前記比較の結果、当該2つの位置情報が一致する場合、該一致した位置情報にて識別される前記最下層のノードを前記中継ノードとする処理と、を含む中継制御方法。
【請求項7】
請求項6に記載の中継制御方法において、
前記中継ノード決定処理は、
前記最上層ノードが、前記比較の結果、当該2つの位置情報が一致しない場合、前記位置情報をグループ化したグループ情報に基づき、当該2つの位置情報が同一のグループに属するかどうかを確認する処理と、
前記最上層ノードが、前記確認の結果、当該2つの位置情報が同一のグループに属する場合、当該2つの位置情報のそれぞれにて識別される前記最下層のノードのそれぞれと、該それぞれの前記最下層のノードが接続されたノードとを前記中継ノードとする処理と、をさらに含む中継制御方法。
【請求項8】
請求項5乃至7のいずれか1項に記載の中継制御方法において、
前記複数の端末のそれぞれと前記最下層のノードとは、無線によって接続された中継制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−101221(P2011−101221A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−254828(P2009−254828)
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】