説明

通信モジュール

【課題】簡単な構成で通常の通信と、ファームウエアのダウンロードを実行できモジュールの小型化に適した通信モジュールを提供する。
【解決手段】少なくとも1組の通信回路と、バスコンバータ及びファームウエアを格納するフラッシュメモリと備えたコントローラとを備えた通信モジュールであって、前記バスコンバータ及び前記フラッシュメモリに共通のバスと、1本の制御線とを含むコネクタで外部回路基板との接続部を構成し、前記バスコンバータに対するデータルートと前記フラッシュメモリに対するファームウエアのダウンロードルートとの切替えを、前記通信モジュール内に設けられたアナログスイッチに対する前記外部回路基板からの前記制御線を介した信号で実行することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は無線通信装置などの機器に組み込まれるファームウエアが格納されるフラッシュメモリ(EEPROM)を備えた無線通信モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、パーソナルコンピュータ、プリンタ、ルータなどを含むローカルエリアネットワークに無線通信によりアクセスするために所謂無線LANアクセスポイントと呼ばれる無線通信装置が設けられている。
【0003】
このような無線通信装置を構成する場合、ローカルエリアネットワークの他のノードとの間で通信制御を行う通信制御回路と、ローカルエリアネットワークとして組み込まれる無線装置との間で無線通信を行う無線通信回路とで構成することになる。この通信制御回路と無線通信回路とは、互いに独立した機能を実現する回路であるので、回路設計上個別に設計でき、別の回路基板に構成することによって、機能の異なった通信制御回路と無線通信回路とを組み合わせて複数種の無線通信装置を構成することができる。
【0004】
このような2つの回路(通信制御回路と無線通信回路)の接続部は、物理的には複数ピンの信号線を有するコネクタで接続し、論理的には所定のインタフェースで接続することになる。
【0005】
従来、2つの回路間のインタフェースを切り替えるものが知られている。
【0006】
しかし、従来の方式では、マルチプレクサを用いて信号を切り替えることによって、カードに複数の機能を持たせることができるが、その構成はCF規格やPCMCIA規格のカードに適用するものであるので、無線通信装置の機器内に組み込む無線通信モジュールとして適用できるものではなかった。また、カードのサイズやインタフェースの規格も規定されているので、仮にそのカードを何らかの機器内に組み込むとしても、装置全体が小型化できないという問題があった。
【0007】
この問題を解決するものとして無線通信装置内へ組み込む小型の無線通信モジュール、およびそれを備えた小型の無線通信装置が知られている。(特許文献1参照)
【0008】
上記特許文献1に記載の無線通信モジュールは、ネットワークの他のノードとの間で通信制御を行う通信制御回路とともに、無線通信装置内に組み込まれるものであって、無線装置との間で無線通信を行う無線通信回路と、前記通信制御回路またはその他の外部回路との接続を行うコネクタと、前記無線通信回路に接続され、複数の異なるインタフェースで前記通信制御回路またはその他の外部回路との間でベースバンドの通信を行うベースバンド信号処理回路と、前記複数のインタフェース回路の各信号線を前記コネクタに選択的に接続するマルチプレクサとを備えている。(請求項1)
【0009】
上記従来の通信モジュールについて説明する。
図4は従来の無線通信モジュールの構成を示すブロック図である。
無線通信モジュール100には、後に示す通信制御回路またはその他の外部回路と接続するためのコネクタ1を備えている。またこの無線通信モジュール100には、2つのアンテナ10A,10Bを接続するための同軸コネクタ9A,9Bを備えている。この無線通信モジュール100は単一の回路基板に構成している。その基板上に実装する電子部品としては、マルチプレクサ2、ベースバンドIC3、RAM4、フラッシュROM5、高周波IC(RFIC)6A,6B、高周波スイッチ(RF−SW)7A,7B、ダイプレクサ8A,8Bを備えている。
【0010】
ベースバンドIC3は後述する通信制御回路またはその他の外部回路との間でベースバンドの通信を行う回路であり、MII(Medium Independent Interface),JTAG(Joint European Test Action Group),UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter),GPIO(General Purpose Input/Output)などの各種インタフェースで通信可能なように構成している。
【0011】
ここでJTAGやUARTなどのインタフェースは、この無線通信モジュール100の開発時やファームウェアのバージョンアップの際に用いる。また、MIIインタフェースは通信制御回路との間で通常のイーサネット(登録商標)を用いた通信を行う際に用いる。
さらにGPIOは通信制御以外の制御用に用いる。
【0012】
マルチプレクサ2は上記JTAG,UART,GPIOのいずれかのインタフェース用にコネクタ1の複数本の信号線に切り替えて接続する。なお、MIIインタフェースの信号はそのままコネクタ1の所定の複数のピンに直接接続している。このマルチプレクサ2はGPIOの一部の信号によって切り替えるようにしている。
【0013】
フラッシュROM5にはベースバンドIC3が実行するファームウェアを書きこむ。RAM4はそのファームウェアの実行に際してワーキングエリアとして用いる。
【0014】
高周波IC6Aは、802.11a規格の5GHz帯を用いる無線信号を処理する。もう1つの高周波IC6Bは、802.11b,g規格の2.4GHz帯を用いる無線信号を処理する。ダイプレクサ8A,8Bは2つの周波数帯域2.4GHz帯と5GHz帯を分離する。また、高周波スイッチ7A,7Bは、ベースバンドIC3からの切り替え信号に応じて送受信信号の切り替えを行うとともに、必要に応じてアンテナ10A,10Bの選択(切替)も行う。これによりアンテナダイバシティを構成している。
【0015】
以上に示した構成のうち、高周波IC6A,6B、高周波スイッチ7A,7B、ダイプレクサ8A,8Bで、この発明に係る「無線通信回路」を構成している。
【0016】
図5は図4に示した無線通信モジュールと共に用いて無線通信装置を構成する通信制御回路の構成を示すブロック図である。この通信制御回路200は、図4に示した無線通信モジュールのコネクタ1を接続するコネクタ20を備えている。この通信制御回路200は単一の回路基板上に構成していて、その回路基板にはイーサネット(登録商標)の物理層制御回路(PHY:physical layer)回路25、LANケーブルのプラグを挿入するRJ−45タイプのコネクタ21、各種動作表示用LED22,23、および各種動作設定用スイッチ24を備えている。
【0017】
コネクタ20は上記回路基板の所定の面に設けていて、図4に示した無線通信モジュールのコネクタ1をこの通信制御回路200のコネクタ20に装着した状態で、通信制御回路200を構成する回路基板と無線通信モジュール100を構成する回路基板とが重なるように、両者のコネクタ1,20を配置している。
【0018】
イーサネット(登録商標)物理層制御回路25は、コネクタ20および図4に示したコネクタ1を介してベースバンドIC3との間でMIIインタフェースで通信を行う。またLED22,23、スイッチ24と図1に示したベースバンドIC3との間はGPIOインタフェースで信号の入出力を行う。
【0019】
図6は、図4に示した無線通信モジュール100のベースバンドIC3のデバッグおよびファームウェアの書き変え時の構成を示すブロック図である。ここでデバッグ用回路300には、図4に示した無線通信モジュール100のコネクタ1を装着するコネクタ30を備えている。このデバッグ用回路300は回路基板に構成していて、その回路基板にはLANケーブルのプラグが装着されるRJ−45タイプのコネクタ31、JTAGまたはUARTのインタフェースで通信を行うコネクタ32,33、およびイーサネット(登録商標)物理層制御回路34を備えている。イーサネット(登録商標)物理層制御回路34は、図4に示したベースバンドIC3との間でMIIインタフェースに従って通信を行う。
【0020】
上記コネクタ32にはJTAGインタフェースで通信を行うデバッガ400を接続する。またコネクタ33にはRS−232C等のシリアルインタフェースで通信を行うパソコン500を接続する。デバッガ400を用いて図1に示した無線通信モジュールのベースバンドIC3のデバッグを行う場合、JTAGインタフェースにしたがってベースバンドIC3と通信する。またパソコン500を用いて図4に示したフラッシュROM5に書き込んでいるベースバンドIC3のファームウェアを書き替える場合には、UARTインタフェースでベースバンドIC3と通信する。
【0021】
図4に示したコネクタ1およびそれを接続するコネクタ20,30は、選択可能な通信インタフェースで用いる信号線の数だけ備えれば良く、しかも信号ラインの割り付けを任意に行えるので、コネクタを必要最小限の大きさとすることができ、無線通信モジュール100およびそれを備える無線通信装置(無線通信モジュール100+通信制御回路200+アンテナ10A,10B)の小型化を図ることができる。
【0022】
図7は図4に示した無線通信モジュール100に設けたベースバンドIC3の処理手順の例を示すフローチャートである。電源投入時、まず無線通信モジュール100各部の初期設定を行う(S1)。ベースバンドIC3が実行するコマンドには、マルチプレクサ2の切り替えコマンドを備えていて、上記MIIインタフェースでイーサネット(登録商標)物理層制御回路34を介して与えられるコマンドを判断する(S2)。マルチプレクサ切り替えコマンドであれば、マルチプレクサ2をそのコマンドに応じて、JTAG,UART,GPIOのいずれかに切り替える。たとえば図3に示したデバッガ400でデバッグを行う際、上記マルチプレクサ2をJTAGに切り替える(S3)。このJTAGインタフェースによってデバッグコマンドを受信した場合には、デバッグ処理を行う(S4)。また、各種インタフェースによって通信コマンドを受信すれば、それに応じて通信処理を行う(S5)。
【0023】
例えば、量産段階ではファームウェアの一部に検査用プログラムを書き込み、検査時にUARTインタフェースでの接続に切り替え、上記検査用プログラムを実行する。この検査に合格すれば、例えば図6に示したパソコン500はファームウェアを製品バージョンに書き換える。その際、マルチプレクサをGPIOに切り替えることにより、製品として、図5に示した各種LED22,23およびスイッチ24の入出力を行えるようにする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0024】
【特許文献1】特開2006−195839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
図4に示した従来の無線通信モジュールはベースバンドIC3のデバッグおよびファームウェアの書き変えが可能であるが、不揮発性メモリ(EEPROM)のファームウエアのダウンロード実行するためには、通信モジュールのコネクタ(1)に接続される異なった種類のコネクタ(20,30)を備えた外部回路(200,300)を必要としてシステム全体が複雑で小型化には適さないという問題があった。
【0026】
本発明の課題(目的)は、簡単な構成で通常の通信と、ファームウエアのダウンロード
を実行できモジュールの小型化に適した通信モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明の通信モジュールは、少なくとも1組の通信回路と、バスコンバータ及びファームウエアを格納するフラッシュメモリと備えたコントローラとを備えた通信モジュールであって、前記バスコンバータ及び前記フラッシュメモリに共通のバスと、1本の制御線とを含むコネクタで外部回路基板との接続部を構成し、前記バスコンバータに対するデータルートと前記フラッシュメモリに対するファームウエアのダウンロードルートとの切替えを、前記通信モジュール内に設けられたアナログスイッチに対する前記外部回路基板からの前記制御線を介した信号で実行することを特徴とする。
【0028】
また、前記アナログスイッチを前記バスの各線毎に反対極性の一対の半導体スイッチで構成し、通常状態では当該一対の半導体スイッチの制御端子ラインをHレベルのプルアップ状態にして一方の半導体スイッチをオン状態、他方の半導体スイッチをオフ状態に保持して、外部からの前記制御線を介した信号で一対の半導体スイッチの制御端子ラインをLレベルにして一方の半導体スイッチをオフ状態、他方の半導体スイッチをオン状態に切り替えることを特徴とする。
【0029】
また、前記アナログスイッチを前記バスの各線毎に反対極性の一対の半導体スイッチで構成し、通常状態では当該一対の半導体スイッチの制御端子ラインをLレベルのプルダウン状態にして一方の半導体スイッチをオン状態、他方の半導体スイッチをオフ状態に保持して、外部からの前記制御線を介した信号で一対の半導体スイッチの制御端子ラインをHレベルにして一方の半導体スイッチをオフ状態、他方の半導体スイッチをオン状態に切り替えることを特徴とする。
【0030】
また、前記バスは、2線式のシリアルバスであり、前記制御線は前記通信モジュールにコネクタを介して接続される外部基板に設けられたスイッチに接続されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
本発明の通信モジュールによれば、簡単な構成で通常の通信と、ファームウエアのダウンロードを実行できモジュールの小型化に適した通信モジュールが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の通信モジュール及び当該通信モジュールに接続される外部回路基板を含む基本的なシステム構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の通信モジュール及び当該通信モジュールに接続される外部回路基板を含む具体的な第1の実施例の回路図である。
【図3】本発明の通信モジュール及び当該通信モジュールに接続される外部回路基板を含む具体的な第2の実施例の回路図である。
【図4】従来の無線通信モジュールの構成を示すブロック図である。
【図5】図4に示した従来の無線通信モジュールと共に用いて無線通信装置を構成する通信制御回路の構成を示すブロック図である。
【図6】図4に示した従来の無線通信モジュール100のベースバンドIC3のデバッグおよびファームウェアの書き変え時の構成を示すブロック図である。
【図7】図4に示した従来の無線通信モジュール100に設けたベースバンドIC3の処理手順の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の通信モジュール及び当該通信モジュールに接続される外部回路基板を含む基本的なシステム構成を図1を用いて説明する。
図1は、本発明の通信モジュール及び当該通信モジュールに接続される外部回路基板を含む基本的なシステム構成を示すブロック図である。
無線通信モジュール100には、少なくとも1個のドライバ及びレシーバとコントローラ3を含み外部回路基板200と接続するためのコネクタ1を備えている。
なお、ドライバまたはレシーバの一方のみであっても良い。
【0034】
また、本発明のコントローラ3には、前記ドライバ及びレシーバとバスで接続されたバスコンバータ6とフラッシュメモリ(EEPROM)5を備えていて、当該フラッシュメモリにはファームウエアを書き換え可能に格納されている。
また、本発明の特徴は、前記コントローラ3と外部回路基板200との接続を共通のデータ経路(バス)101で接続して切替スイッチ(アナログスイッチ)2でバスコンバータ6に対するデータ経路102と、フラッシュメモリ(EEPROM)5に対するファームウエアのダウンロード経路103とを外部回路基板に設けられたスイッチの操作によって切替える構成を採用している点である。
この構成を採用することによって、同時に使用することのコントローラのバスコンバータ6に対するデータ経路102と、ファームウエアダウンロードルート103に個別のコネクタ接続部を設ける必要が無くなりコネクタ1の構成を簡素化することが可能になる。
【0035】
図1において、本発明の通信モジュール100にコネクタ1を介して接続される外部回路基板200は、コネクタ1に接続される共通経路(バス)101に対して使用状態に応じて異なった通信アダプタ(202,203)が接続される。
【0036】
通信アダプタ(市販品)202は、本発明の通信モジュール100のバスコンバータ6と通常の通信を実行するためのアダプタであって、市販品のGUIソフトa204等に接続されて使用される。
また、ファームウエア書込みアダプタ(市販品)203は、本発明の通信モジュール100コントローラ3の不揮発性メモリEEPROM5にファームウエアを書込む時に使用するアダプタであって、市販品のGUIソフトb205等に接続されて使用される。
【0037】
ファームウエアの書込みは、通信モジュールの製造時及び通信回路の仕様の変更時に実行される。
また、外部回路基板200には、通信モジュールに設けられた前記切替スイッチ(アナログスイッチ)によってバスコンバータに対するルート102と、フラッシュメモリに対するファームウエアのダウンロードルート103との切替を指示するスイッチ201が設けられている。
【0038】
次に、本発明の通信モジュール及び当該通信モジュールに接続される外部回路基板を含む具体的な第1の実施例の回路図を図2を用いて説明する。
図2は、本発明の通信モジュール及び当該通信モジュールに接続される外部回路基板を含む具体的な第1の実施例の回路図である。
無線通信モジュールと街路回路基板とは、コネクタ1を介して接続されている。
コネクタ1は、外部回路基板側と通信モジュール側とのデータバス(この場合は2線式のシリアルバス)101と制御線104の接続を行う。
【0039】
図2において、図1と同様に本発明の通信モジュール100にコネクタ1を介して接続される外部回路基板200は、コネクタ1に接続される共通経路(バス)に対して使用状態に応じて異なったアダプタ(202,203)が接続される。
【0040】
通信アダプタ(市販品)202は、本発明の通信モジュール100のバスコンバータ6と通常の通信を実行するためのアダプタであって、市販品のGUIソフトa204等に接続されて使用される。
また、ファームウエア書込みアダプタ(市販品)203は、本発明の通信モジュール100コントローラ3の不揮発性メモリEEPROM5にファームウエアを書込む時に使用するアダプタであって、市販品のGUIソフトb205等に接続されて使用される。
【0041】
ファームウエアの書込みは、通信モジュールの製造時及び通信回路の仕様の変更時に実行される。
また、外部回路基板200には、通信モジュールに設けられた前記切替スイッチ(アナログスイッチ)によってバスコンバータ6に対するデータ経路102と、フラッシュメモリ5に対するファームウエアのダウンロードルート103との切替を指示するスイッチ201が設けられ、スイッチ201の一方(外部回路基板側)の電位は電源電圧(例えば、3.3V)に保持されている。
また、スイッチの他方(通信モジュール側)の制御線104は、例えば5.1KΩの抵抗(R9)を介して接地(GND)され、制御線104はプルダウンされている。
【0042】
図2では、通常時(スイッチ201がオフ)には、制御線は接地電位(L)に保持され、アナログスイッチを構成する半導体スイッチの一方(データ経路102側)が導通状態で、外部回路基板の通信アダプタ202とバスコンバータ6を介したドライバ及びレシーバとのデータの送受が可能になっている。
なお、この状態ではアナログスイッチ2を構成する半導体スイッチの他方(ダウンロードルート側)が遮断状態になっているので、フラッシュメモリ5に対するファームウエアのダウンロードは実行できない。
【0043】
これに対して、スイッチ201をオンにした時には、制御線の電位は3.3V(H)になり、アナログスイッチ2を構成する半導体スイッチの一方(データ経路102側)が遮断状態になって外部回路基板の通信アダプタ202とバスコンバータ6を介したドライバ及びレシーバとのデータの送受ができない状態になっている。
また、この状態ではアナログスイッチを構成する半導体スイッチの他方(ダウンロード側)が導通状態になるので、フラッシュメモリ5に対するファームウエア書込みアダプタ203からコントローラへの経路が導通状態になって市販のGUIソフトb205からのファームウエアのダウンロードが可能な状態になっている。
【0044】
次に、本発明の通信モジュール及び当該通信モジュールに接続される外部回路基板を含む具体的な第2の実施例の回路図を図3を用いて説明する。
図3は、本発明の通信モジュール及び当該通信モジュールに接続される外部回路基板を含む具体的な第1の実施例の回路図である。
無線通信モジュールと街路回路基板とは、コネクタ1を介して接続されている。
コネクタ1は、外部回路基板側と通信モジュール側とのデータバス(この場合は2線式のシリアルバス)101と制御線104の接続を行う。
【0045】
図3において、図1と同様に本発明の通信モジュール100にコネクタ1を介して接続される外部回路基板200は、コネクタ1に接続される共通経路(バス)に対して使用状態に応じて異なったアダプタ(202,203)が接続される。
【0046】
通信アダプタ(市販品)202は、本発明の通信モジュール100のバスコンバータ6と通常の通信を実行するためのアダプタであって、市販品のGUIソフトa204等に接続されて使用される。
また、ファームウエア書込みアダプタ(市販品)203は、本発明の通信モジュール100コントローラ3の不揮発性メモリEEPROM5にファームウエアを書込む時に使用するアダプタであって、市販品のGUIソフトb205等に接続されて使用される。
【0047】
ファームウエアの書込みは、通信モジュールの製造時及び通信回路の仕様の変更時に実行される。
また、外部回路基板200には、通信モジュールに設けられた前記切替スイッチ(アナログスイッチ)によってバスコンバータ6に対する通信ルート102と、フラッシュメモリ5に対するファームウエアのダウンロードルート103との切替を実行するスイッチ201が設けられ、スイッチ201の一方(外部回路基板側)の電位は電源電圧(例えば、3.3V)に保持されている。
また、スイッチの他方(通信モジュール側)の制御線104は、例えば5.1KΩの抵抗(R9)を介して3.3Vに保持され、制御線104はプルアップされている。
【0048】
図3では、通常時(スイッチ201がオフ)には、制御線は電源電圧の電位(H)に保持され、アナログスイッチを構成する半導体スイッチの一方(データ経路102側)が導通状態で、外部回路基板の通信アダプタ202とバスコンバータ6を介したドライバ及びレシーバとのデータの送受が可能になっている。
なお、この状態ではアナログスイッチ2を構成する半導体スイッチの他方(ダウンロードルート側)が遮断状態になっているので、フラッシュメモリ5に対するファームウエアのダウンロードは実行できない。
【0049】
これに対して、スイッチ201をオンにした時には、制御線の電位は接地電位(L)になり、アナログスイッチ2を構成する半導体スイッチの一方(データ経路102側)が遮断状態になって外部回路基板の通信アダプタ202とバスコンバータ6を介したドライバ及びレシーバとのデータの送受ができない状態になっている。
また、この状態ではアナログスイッチを構成する半導体スイッチの他方(ダウンロード側)が導通状態になるので、フラッシュメモリ5に対するファームウエア書込みアダプタ203からコントローラへの経路が導通状態になって市販のGUIソフトb205からのファームウエアのダウンロードが可能な状態になっている。
【符号の説明】
【0050】
1:コネクタ
2:切替スイッチ
3:コントローラ
5:フラッシュメモリ
6:バスコンバータ
100:通信モジュール
101,102,103,105:共通バス
104:制御線
200:外部回路基板
201:スイッチ
202:通信アダプタ(市販品)
203:ファームウエアダウンロード(書込み)アダプタ
204:GUIソフトa(市販品)
205:GUIソフトb(市販品)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1組の通信回路と、バスコンバータ及びファームウエアを格納するフラッシュメモリと備えたコントローラとを備えた通信モジュールであって、
前記バスコンバータ及び前記フラッシュメモリに共通のバスと、1本の制御線とを含むコネクタで外部回路基板との接続部を構成し、
前記バスコンバータに対するデータルートと前記フラッシュメモリに対するファームウエアのダウンロードルートとの切替えを、前記通信モジュール内に設けられたアナログスイッチに対する前記外部回路基板からの前記制御線を介した信号で実行することを特徴とする通信モジュール。
【請求項2】
前記アナログスイッチを前記バスの各線毎に反対極性の一対の半導体スイッチで構成し、通常状態では当該一対の半導体スイッチの制御端子ラインをHレベルのプルアップ状態にして一方の半導体スイッチをオン状態、他方の半導体スイッチをオフ状態に保持して、
外部からの前記制御線を介した信号で一対の半導体スイッチの制御端子ラインをLレベルにして一方の半導体スイッチをオフ状態、他方の半導体スイッチをオン状態に切り替えることを特徴とする請求項1に記載の通信モジュール。
【請求項3】
前記アナログスイッチを前記バスの各線毎に反対極性の一対の半導体スイッチで構成し、通常状態では当該一対の半導体スイッチの制御端子ラインをLレベルのプルダウン状態にして一方の半導体スイッチをオン状態、他方の半導体スイッチをオフ状態に保持して、
外部からの前記制御線を介した信号で一対の半導体スイッチの制御端子ラインをHレベルにして一方の半導体スイッチをオフ状態、他方の半導体スイッチをオン状態に切り替えることを特徴とする請求項1に記載の通信モジュール。
【請求項4】
前記バスは、2線式のシリアルバスであり、前記制御線は前記通信モジュールにコネクタを介して接続される外部基板に設けられたスイッチに接続されている、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の通信モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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