説明

通信ユニットおよび物品管理システム

【課題】 物品の表面に刻印されたマークを読み取るマーク読取装置を、異なる位置で容易に使用することを可能にする通信ユニットおよび物品管理システムを提供する。
【解決手段】 通信ユニット2のバッテリ2aは、ケーブル5を介して、マーク読取装置1に電源電圧を供給する。また、通信ユニット2のPHSモデム2cは、制御部2bがマーク読取装置1からデコード情報を受け付けると、そのデコード情報を無線信号で送信する。このため、通信ユニット2は、マーク読取装置1への電源電圧の供給と、マーク読取装置1にて生成されたデコード情報の通信とを、まとめて制御することが可能になる。このため、通信ユニット2がマーク読取装置1とともに移動されれば、電源電圧の供給に関する不都合と、情報の通信に関する不都合とを、一度に解決することが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信ユニットおよび物品管理システムに関し、特には、金属等の物品の表面に刻印されたマークを読み取るマーク読取装置と接続される通信ユニットおよびそれらを用いた物品管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属等の物品の表面に刻印されたマーク(例えば、2次元コード)を読み取るマーク読取装置が知られている(特許文献1(特開2000−298698号公報)参照)。
【0003】
このマーク読取装置は、電源用配線を介して商用電源から電源電圧を受け付け、また、データ送信用配線を介してPC(パーソナルコンピュータ)に接続される。
【0004】
マーク読取装置は、物品の表面に刻印されたマークを読み取ると、その読み取ったマークを、データ送信用配線を介してPCに送信する。
【0005】
PCは、マーク読取装置からマークを受け付けると、その受け付けたマークをデコードしてデコード情報を生成する。PCは、そのデコード情報を、通信ネットワークを介して管理装置に送信する。
【0006】
管理装置は、PCからデコード情報を受け付けると、その受け付けたデコード情報を用いて、そのデコード情報を示すマークが設けられた物品を管理する。
【0007】
マーク読取装置にて読み取られるマークは、物品の表面に刻印されているため、耐久性に優れる。このため、このマークは、様々な分野で利用可能である。
【0008】
例えば、メス等の手術用器具の表面に識別用のマークが刻印されると、手術用器具の使用履歴を管理することが可能になる。
【0009】
また、自動車部品の表面に識別用のマークが刻印されると、自動車部品を管理することが可能になる。
【特許文献1】特開2000−298698号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、物品の表面に刻印されたマークを読み取るマーク読取装置が、移動されて異なる位置で使用される場合、以下のような問題が生じる。
【0011】
マーク読取装置は、データ送信用配線を介してPCに接続される。このため、マーク読取装置が異なる位置で使用される場合、マーク読取装置の移動に合わせてPCを移動しなければならない。なお、PCが固定されている場合には、マーク読取装置の移動を規制しない長さのデータ送信用配線が必要となる。よって、データ送信用配線が邪魔になる可能性が高い。
【0012】
また、マーク読取装置は、電源用配線を介して、商用電源から電源電圧を受け付ける。このため、マーク読取装置の移動を規制しない長さの電源用配線が必要となる。よって、電源用配線が邪魔になる可能性が高い。
【0013】
したがって、マーク読取装置を異なる位置で使用する場合、情報の通信において不都合が発生し、また、電源電圧の取得においても不都合が発生する。従来、これらの不都合に対して別々に対処しなければならなかった。
【0014】
本発明の目的は、物品の表面に刻印されたマークを読み取るマーク読取装置を、異なる位置で容易に使用することを可能にする通信ユニットおよび物品管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するため、本発明の通信ユニットは、物品の表面に刻印されたマークを読み取ってデコード情報を生成するマーク読取装置と接続される通信ユニットであって、前記マーク読取装置に電源電圧を供給するバッテリと、前記マーク読取装置が前記バッテリから供給された電源電圧にて動作した際に生成した前記デコード情報を受け付ける制御部と、前記制御部が前記デコード情報を受け付けると、その受け付けられたデコード情報を無線信号で送信する無線送信部とを含む。
【0016】
上記の発明によれば、通信ユニットは、マーク読取装置へ電源電圧を供給し、かつ、マーク読取装置にて生成されたデコード情報を無線通信する。このため、通信ユニットがマーク読取装置とともに移動されれば、電源電圧の供給に関する不都合と、情報の通信に関する不都合とを、一度に解決することが可能になる。したがって、マーク読取装置を異なる位置で容易に使用することが可能になり、マーク読取装置の機動性が向上する。
【0017】
また、本発明の通信ユニットは、物品の表面に刻印されたマークを読み取るマーク読取装置と接続される通信ユニットであって、前記マーク読取装置に電源電圧を供給するバッテリと、前記マーク読取装置が前記バッテリから供給された電源電圧にて動作した際に読み取った前記マークを受け付ける制御部と、前記制御部にて受け付けられたマークをデコードしてデコード情報を生成するデコード部と、前記デコード部にて生成されたデコード情報を無線信号で送信する無線送信部とを含む。
【0018】
上記の発明によれば、通信ユニットは、マーク読取装置へ電源電圧を供給し、マーク読取装置にて読み取られたマークをデコードしたデコード情報を無線通信する。このため、通信ユニットがマーク読取装置とともに移動されれば、電源電圧の供給に関する不都合と、情報の通信に関する不都合とを、一度に解決することが可能になる。したがって、マーク読取装置を異なる位置で容易に使用することが可能になり、マーク読取装置の機動性が向上する。
【0019】
また、本発明の物品管理システムは、物品の表面に刻印されたマークを読み取ってデコード情報を生成するマーク読取装置と、前記マーク読取装置と接続された通信ユニットと、前記通信ユニットと無線通信する通信部と、前記通信部と接続された管理装置と、を含み、前記管理装置が、前記マーク読取装置にて生成されたデコード情報を、前記通信ユニットおよび前記通信部を介して受け付け、その受け付けられたデコード情報を用いて前記物品を管理する、物品管理システムであって、前記通信ユニットは、前記マーク読取装置に電源電圧を供給するバッテリと、前記マーク読取装置が前記バッテリから供給された電源電圧にて動作した際に生成した前記デコード情報を受け付ける制御部と、前記制御部が前記デコード情報を受け付けると、その受け付けられたデコード情報を無線信号で送信する無線送信部とを含み、前記通信部は、前記無線送信部から無線信号で送信されたデコード情報を受け付けるアンテナ部と、前記アンテナ部が前記デコード情報を受け付けると、その受け付けられたデコード情報を前記管理装置に出力する出力部とを含み、前記管理装置は、前記出力部から出力されたデコード情報を受け付ける入力部と、前記入力部が前記デコード情報を受け付けると、その受け付けられたデコード情報を用いて前記物品を管理する管理部とを含む。
【0020】
また、本発明の物品管理システムは、物品の表面に刻印されたマークを読み取るマーク読取装置と、前記マーク読取装置と接続された通信ユニットと、前記通信ユニットと無線通信する通信部と、前記通信部と接続された管理装置と、を含み、前記通信ユニットが前記マーク読取装置にて読み取られたマークをデコードしてデコード情報を生成し、前記管理装置が、前記通信ユニットにて生成されたデコード情報を、前記通信部を介して受け付け、その受け付けられたデコード情報を用いて前記物品を管理する、物品管理システムであって、前記通信ユニットは、前記マーク読取装置に電源電圧を供給するバッテリと、前記マーク読取装置が前記バッテリから供給された電源電圧にて動作した際に読み取った前記マークを受け付ける制御部と、前記制御部にて受け付けられたマークをデコードしてデコード情報を生成するデコード部と、前記デコード部にて生成されたデコード情報を無線信号で送信する無線送信部とを含み、前記通信部は、前記無線送信部から無線信号で送信されたデコード情報を受け付けるアンテナ部と、前記アンテナ部が前記デコード情報を受け付けると、その受け付けられたデコード情報を前記管理装置に出力する出力部とを含み、前記管理装置は、前記出力部から出力されたデコード情報を受け付ける入力部と、前記入力部が前記デコード情報を受け付けると、その受け付けられたデコード情報を用いて、前記物品を管理する管理部とを含む。
【0021】
上記の発明によれば、マーク読取装置を異なる位置で容易に使用することが可能になるため、マーク読取装置の機動性が向上し、物品の管理が容易になる。
【0022】
なお、前記物品は、手術用器具であり、前記アンテナ部は、前記手術用器具が使用される部屋ごとに設けられ、前記出力部は、前記アンテナ部が前記デコード情報を受け付けると、その受け付けられたデコード情報を、該デコード情報を受け付けたアンテナ部を識別するための識別情報とともに前記管理装置に出力し、前記入力部は、前記デコード情報および前記識別情報を前記出力部から受け付け、前記管理部は、前記入力部が前記デコード情報および前記識別情報を受け付けると、その受け付けられたデコード情報および識別情報を用いて前記手術用器具の使用履歴を管理することが望ましい。
【0023】
上記の発明によれば、手術用器具が使用される部屋で、マーク読取装置が手術用器具のマークを読み取れば、手術用器具の使用履歴を自動的に管理することが可能になる。
【0024】
また、前記物品は、自動車部品であることが望ましい。
【0025】
上記の発明によれば、自動車部品を簡単に管理することが可能になる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、通信ユニットは、マーク読取装置へ電源電圧を供給し、デコード情報を無線通信する。このため、通信ユニットがマーク読取装置とともに移動されれば、マーク読取装置への電源電圧の供給に関する不都合と、情報の通信に関する不都合とを、一度に解決することが可能になる。したがって、マーク読取装置を異なる位置で容易に使用することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施例について図面を参照して詳細に説明する。
【0028】
図1は、本発明の第1実施例の物品管理システムを示すブロック図である。
【0029】
図1において、本物品管理システムは、マーク読取装置1と、通信ユニット2と、複数の通信部31および32と、管理装置4とを含む。
【0030】
マーク読取装置1と通信ユニット2とは、ケーブル5で接続される。なお、図1では、ケーブル5は2本になっているが、ケーブル5は、この2本のケーブルを含む1本のケーブルであることが望ましい。
【0031】
複数の通信部31および32は、通信ユニット2と無線通信する。また、複数の通信部31および32は、LAN6を介して管理装置4と接続される。
【0032】
通信部31および32のそれぞれは、手術用器具7が使用される部屋に設けられる。例えば、通信部31は、第1手術室に設置され、通信部32は、第2手術室に設置される。なお、本実施例では、通信部の台数を2台としたが、通信部の数は2台に限らず適宜変更可能である。
【0033】
マーク読取装置1は、物品としての手術用器具(例えば、メス)7の表面に刻印されたマーク8を読み取る。
【0034】
マーク8は、例えば、2次元コードであるQRコードまたはデータマトリクスコードである。なお、マーク8は、2次元コードに限らず適宜変更可能であり、例えば、バーコード等の1次元コードでもよい。本実施例では、マーク8は、マーク8が刻印された手術用器具7を識別するための器具識別情報をコード化したコード情報である。
【0035】
マーク8が刻印される物品は、手術用器具に限らず適宜変更可能である。例えば、マーク8が刻印される物品は、自動車部品でもよいし、何らかの金属物品でもよい。
【0036】
マーク読取装置1は、読取部1aと、デコード部1bと、デコード情報提供部1cとを含む。通信ユニット2は、バッテリ2aと、制御部2bと、無線通信部としてのPHSモデム2cと、アンテナ2dと、エラーランプ2eと、異常ランプ2fと、ブザー2gとを含む。通信部31は、アンテナ部31aと、出力部31bとを含む。通信部32は、アンテナ部32aと、出力部32bとを含む。マーク読取装置1の上位システムである管理装置4は、通信部4aと、管理部4bとを含む。
【0037】
通信ユニット2のバッテリ2aは、充電可能なバッテリであり、通信ユニット2の電源として機能し、また、ケーブル5を介して、マーク読取装置1に電源電圧を供給する。
【0038】
マーク読取装置1の読取部1aは、例えばカメラであり、バッテリ2aから供給された電源電圧を用いて動作し、例えば、手術用器具7に刻印されたマーク8を読み取る。読取部1aは、その読み取られたマーク8をデコード部1bに提供する。例えば、読取部1aは、マーク8を示す映像信号をデコード部1bに提供する。
【0039】
デコード部1bは、バッテリ2aから供給された電源電圧を用いて動作する。
【0040】
デコード部1bは、まず、読取部1aから受け付けた映像信号を解析して、その映像信号にて示されたマーク8を特定する。続いて、デコード部1bは、その特定されたマーク8をデコードしてデコード情報を生成する。例えば、読取部1aが手術用器具7のマーク8を読み取ったとき、デコード部1bは、デコード情報として、そのマーク8が示す器具識別情報を生成する。
【0041】
続いて、デコード部1bは、その生成されたデコード情報をデコード情報提供部1cに提供する。
【0042】
デコード情報提供部1cは、バッテリ2aから供給された電源電圧を用いて動作する。
【0043】
具体的には、デコード情報提供部1cは、デコード部1bからデコード情報を受け付けると、そのデコード情報を、ケーブル5を介して、通信ユニット2の制御部2bに供給する。
【0044】
制御部2bは、例えばCPUであり、バッテリ2aから供給された電源電圧を用いて動作し、通信ユニット2全体を制御する。
【0045】
例えば、制御部2bは、デコード情報提供部1cからデコード情報を受け付ける。制御部2bは、デコード情報を受け付けると、そのデコード情報をPHSモデム2cに提供する。
【0046】
なお、本実施例では、制御部2bは、PHSモデム2cに提供した最新のデコード情報を格納する格納部(不図示)を有する。
【0047】
制御部2bは、マーク読取装置1からデコード情報を受け付けると、その受け付けられたデコード情報を、格納部に格納されているデコード情報と比較する。
【0048】
制御部2bは、その受け付けられたデコード情報が、格納部に格納されているデコード情報と異なる場合、その受け付けられたデコード情報をPHSモデム2cに提供するとともに、格納部に格納されているデコード情報を削除し、その後、格納部に、その受け付けられたデコード情報を格納する。
【0049】
PHSモデム2cは、バッテリ2aから供給された電源電圧を用いて動作し、制御部2bからデコード情報を受け付ける。PHSモデム2cは、制御部2bからデコード情報を受け付けると、そのデコード情報を無線信号でアンテナ2dから送信する。
【0050】
アンテナ部31aは、アンテナ2dから無線信号で送信されたデコード情報を受け付ける。例えば、通信ユニット2が、通信部31が設置されている第1手術室に存在するときにデコード情報(器具識別情報)を送信すると、アンテナ部31aは、その送信されたデコード情報を受け付ける。
【0051】
アンテナ部31aは、デコード情報を受け付けると、その受け付けられたデコード情報を出力部31bに提供する。
【0052】
出力部31bは、アンテナ部31aからデコード情報を受け付けると、その受け付けられたデコード情報を、LAN6を介して管理装置4に提供する。
【0053】
本実施例では、出力部31bは、アンテナ部31aを識別するアンテナ識別情報を有する。出力部31bは、アンテナ部31aからデコード情報を受け付けると、その受け付けられたデコード情報をアンテナ部31aのアンテナ識別情報とともに、管理装置4に提供する。
【0054】
また、アンテナ部32aは、アンテナ2dから無線信号で送信されたデコード情報を受け付ける。例えば、通信ユニット2が、通信部32が設置されている第2手術室に存在するときにデコード情報を送信すると、アンテナ部32aは、その送信されたデコード情報を受け付ける。
【0055】
アンテナ部32aは、デコード情報を受け付けると、その受け付けられたデコード情報を出力部32bに提供する。
【0056】
出力部32bは、アンテナ部32aからデコード情報を受け付けると、その受け付けられたデコード情報を、LAN6を介して管理装置4に提供する。
【0057】
本実施例では、出力部32bは、アンテナ部32aを識別するアンテナ識別情報を有する。出力部32bは、アンテナ部32aからデコード情報を受け付けると、その受け付けられたデコード情報を、アンテナ部32aのアンテナ識別情報とともに、管理装置4に提供する。
【0058】
管理装置4の通信部4aは、LAN6を介して、デコード情報とアンテナ識別情報とを受け付けると、そのデコード情報とアンテナ識別情報とを管理部4bに出力する。
【0059】
管理部4bは、そのデコード情報とアンテナ識別情報とを受け付けると、そのデコード情報(器具識別情報)とアンテナ識別情報とを関連づけて格納する。このため、管理部4bは、デコード情報(器具識別情報)にて識別される手術用器具がどの部屋で使用されたかを示す手術用器具の使用履歴を、管理することになる。
【0060】
次に、第1実施例の動作を説明する。
【0061】
図2は、通信ユニット2の動作を説明するためのフローチャートであり、図3は、図2のステップ23を説明するためのフローチャートであり、図4は、図2のステップ24を説明するためのフローチャートである。
【0062】
以下、図2ないし4を参照して、動作を説明する。なお、マーク読取装置1は、通信ユニット2に接続されているものとする。
【0063】
ユーザが通信ユニット2の電源スイッチ(不図示)をオンにすると、バッテリ2aは、ステップ21を実行する。
【0064】
ステップ21では、バッテリ2aは、制御部2b、PHSモデム2c、読取部1a、デコード部1bおよびデコード情報提供部1cに、電源電圧を供給する。制御部2bは、電源電圧を受け付けると、ステップ22を実行する。
【0065】
ステップ22では、制御部2bは、セルフテストを行う。
【0066】
例えば、制御部2bは、まず、マーク読取装置1に動作確認信号を送信し、その後、マーク読取装置1から動作確認信号の応答があるか否かを確認する。マーク読取装置1から動作確認信号の応答があると、制御部2bは、マーク読取装置1が動作可能であると判定する。
【0067】
続いて、制御部2bは、PHSモデム2cに動作確認信号を送信し、その後、PHSモデム2cから動作確認信号の応答があるか否かを確認する。PHSモデム2cから動作確認信号の応答があると、制御部2bは、PHSモデム2cが動作可能であると判定する。
【0068】
制御部2bは、マーク読取装置1およびPHSモデム2cが動作可能であると判定すると、ステップ23を実行する。
【0069】
ステップ23では、制御部2bは、管理装置4に接続する。具体的には、制御部2bは、PHSモデム2cを使用して、予め制御部2bに登録された管理装置4の電話番号に電話し、管理装置4に接続する。
【0070】
ここで、図3を参照して、ステップ23の一例を説明する。
【0071】
ステップ31では、制御部2bは、予め制御部2bに登録された管理装置4の番号へダイヤルする旨のダイヤルコマンドをPHSモデム2cに送信する。PHSモデム2cは、そのダイヤルコマンドを受け付けると、管理装置4の番号を示す接続要求をアンテナ2dから送信する。
【0072】
制御部2bは、ダイヤルコマンドを送信すると、ステップ32を実行する。
【0073】
ステップ32では、制御部2bは、PHSモデム2cの出力に基づいて、管理装置4と接続したか否か(PHS回線が接続したか否か)を判断する。制御部2bは、管理装置4との接続が失敗した場合にはステップ33を実行し、一方、管理装置4との接続が成功した場合にはステップ34を実行する。
【0074】
ステップ33では、制御部2bは、異常ランプ2fを点灯させ、数秒後にステップ31を実行して再接続を試みる。
【0075】
一方、ステップ34では、制御部2bは、管理装置4に接続完了を通知する。具体的には、制御部2bは、通信ユニット2が管理装置4に接続した旨の接続完了情報を管理装置4へ通知する通知処理を、PHSモデム2cに実行させる。
【0076】
管理装置4は、通信部31または32を介して接続完了情報を受け付けると、接続完了情報を受け付けた旨の受取情報を通信ユニット2宛に通信部31または32から送信する。
【0077】
なお、制御部2bは、接続完了情報を、管理装置4に通知すると、ステップ35を実行する。
【0078】
ステップ35では、制御部2bは、PHSモデム2cが受取情報を受け付けたか否かを判断する。制御部2bは、PHSモデム2cが受取情報を受け付けないとステップ36を実行し、一方、PHSモデム2cが受取情報を受け付けるとステップ37を実行する。
【0079】
ステップ36では、制御部2bは、PHS回線を切断し、異常ランプ2fを点灯させ、数秒後にステップ31を実行して再接続を試みる。
【0080】
一方、ステップ37では、制御部2bは、管理装置4との接続処理を完了し、図2に示したステップ23を終了する。
【0081】
制御部2bは、ステップ23を終了すると、ステップ24を実行する。
【0082】
ステップ24では、制御部2bは、デコード情報を送信する。具体的には、制御部2bは、マーク読取装置1から受け付けたデコード情報を管理装置4へ送信する。
【0083】
ここで、図4を参照して、ステップ24の一例を説明する。
【0084】
ステップ401では、制御部2bは、PHSモデム2cと管理装置4との接続状態を監視する。制御部2bは、ステップ401を終了すると、ステップ402を実行する。
【0085】
ステップ402では、制御部2bは、PHSモデム2cが管理装置4と切断されているとステップ403を実行し、一方、PHSモデム2cが管理装置4と接続されているとステップ404を実行する。
【0086】
ステップ403では、制御部2bは、マーク読取装置1からのデコード情報の受付をやめ、管理装置4への接続を開始する。
【0087】
一方、ステップ404では、制御部2bは、マーク読取装置1からデコード情報を受け付ける。
【0088】
このとき、マーク読取装置1の読取部1aは、手術用器具7のマーク8を読み取ると、その読み取られたマーク8を示す映像信号をデコード部1bに提供する。
【0089】
デコード部1bは、読取部1aから受け付けた映像信号を解析して、その映像信号にて示されたマーク8を特定する。続いて、デコード部1bは、その特定されたマーク8をデコードしてデコード情報(器具識別情報)を生成する。続いて、デコード部1bは、その生成されたデコード情報をデコード情報提供部1cに提供する。
【0090】
デコード情報提供部1cは、デコード部1bからデコード情報を受け付けると、そのデコード情報を、ケーブル5を介して、通信ユニット2の制御部2bに供給する。
【0091】
制御部2bは、ステップ404を終了すると、ステップ405を実行する。
【0092】
ステップ405では、制御部2bは、デコード情報を受け付けたか否かを判断し、デコード情報を受け付けていない場合にはステップ401を実行し、一方、デコード情報を受け付けた場合にはステップ406を実行する。
【0093】
ステップ406では、制御部2bは、その受け付けられたデコード情報を、格納部に格納されているデコード情報と比較して、デコード情報の重複をチェックする。制御部2bは、ステップ406を終了すると、ステップ407を実行する。
【0094】
ステップ407では、制御部2bは、その受け付けられたデコード情報が格納部に格納されているデコード情報と重複している場合にはステップ401を実行し、一方、その受け付けられたデコード情報が格納部に格納されているデコード情報と異なる場合にはステップ408を実行する。
【0095】
ステップ408では、制御部2bは、その受け付けられたデコード情報を管理装置4のフォーマットにしてPHSモデム2cに提供する。PHSモデム2cは、制御部2bからデコード情報を受け付けると、そのデコード情報を無線信号でアンテナ2dから送信する。
【0096】
以下では、通信ユニット2およびマーク読取装置1が、第1手術室にあるときの動作を説明する。なお、通信ユニット2は、マーク読取装置1とともに、例えば、第2手術室に移動されてもよい。
【0097】
第1手術室に設置されている通信部31のアンテナ部31aは、デコード情報を受け付けると、その受け付けられたデコード情報を出力部31bに提供する。
【0098】
出力部31bは、アンテナ部31aからデコード情報を受け付けると、その受け付けられたデコード情報を、アンテナ部31aのアンテナ識別情報とともに管理装置4に提供する。
【0099】
管理装置4の通信部4aは、LAN6を介して、デコード情報とアンテナ識別情報とを受け付けると、そのデコード情報とアンテナ識別情報とを管理部4bに出力する。
【0100】
管理部4bは、そのデコード情報とアンテナ識別情報とを受け付けると、そのデコード情報とアンテナ識別情報とを関連づけて格納する。
【0101】
管理部4bは、そのデコード情報とアンテナ識別情報とを関連づけて格納すると、通信部31または32を介して、正常応答を通信ユニット2に送信する。
【0102】
なお、そのデコード情報またはそのアンテナ識別情報にエラーがある場合、管理部4bは、通信部31または32を介して、エラー応答を通信ユニット2に送信する。なお、エラーの有無は、例えば、デコード情報およびアンテナ識別情報にチェックビットが設けられた場合、そのチェックビットに基づいて判定される。
【0103】
制御部2bは、ステップ408を終了すると、ステップ409を実行する。
【0104】
ステップ409では、制御部2bは、管理装置4より応答を受信する。制御部2bは、管理装置4より応答を受信すると、ステップ410を実行する。
【0105】
ステップ410では、制御部2bは、管理装置4の応答が正常応答であるかエラー応答であるか判断する。制御部2bは、管理装置4の応答が正常応答であるとステップ411を実行し、一方、管理装置4の応答がエラー応答であるとステップ412を実行する。
【0106】
ステップ411では、制御部2bは、管理装置4への送信が完了したと判断し、デコード情報受付待機状態になり、ステップ401を実行する。
【0107】
一方、ステップ412では、制御部2bは、デコード情報の受付順に問題があったなどが原因でエラー応答を受け付けたと判断し、エラーランプ2eを数秒点灯しブザー2gを鳴らすなどしてエラー状態を通知し、その後、デコード情報受付待機状態になり、ステップ401を実行する。
【0108】
その後、ユーザが通信ユニット2の電源スイッチ(不図示)をオフにすると、通信ユニット2は、ステップ25を実行する。
【0109】
ステップ25では、通信ユニット2は動作を終了する。
【0110】
本実施例によれば、通信ユニット2は、マーク読取装置1へ電源電圧を供給し、マーク読取装置1にて生成されたデコード情報を無線通信する。このため、通信ユニット2がマーク読取装置1とともに移動されれば、電源電圧の供給に関する不都合と、情報の通信に関する不都合とを、一度に解決することが可能になる。したがって、マーク読取装置1を異なる位置で容易に使用することが可能になり、マーク読取装置1の機動性が向上する。よって、物品の管理が容易になる。
【0111】
また、手術用器具7が使用される部屋で、マーク読取装置1が手術用器具7のマーク8を読み取れば、手術用器具7の使用履歴を自動的に管理することが可能になる。
【0112】
次に、第2実施例を説明する。
【0113】
図5は、第2実施例の物品管理システムを示したブロック図である。なお、図5において、図1に示したものと同一のものには同一符号を付してある。
【0114】
第2実施例では、第1実施例と異なり、マーク読取装置10がデコード部を含まず、通信ユニット20がデコード部2hを含む。
【0115】
以下、第2実施例を、第1実施例と異なる点を中心に説明する。
【0116】
図5において、マーク読取装置10は、読取部1aと情報提供部1dとを含む。また、通信ユニット20は、バッテリ2aと、制御部2bと、PHSモデム2cと、アンテナ2dと、エラーランプ2eと、異常ランプ2fと、ブザー2gと、デコード部2hとを含む。
【0117】
通信ユニット20のバッテリ2aは、充電可能なバッテリであり、通信ユニット20の電源として機能し、また、ケーブル5を介して、マーク読取装置10に電源電圧を供給する。
【0118】
情報提供部1dは、バッテリ2aから供給された電源電圧を用いて動作する。情報提供部1dは、読取部1aから映像信号を受け付けると、その映像信号を、ケーブル5を介して、通信ユニット2の制御部2bに供給する。
【0119】
制御部2bは、情報提供部1dから映像信号を受け付けると、その映像信号をデコード部2hに提供する。
【0120】
デコード部2hは、制御部2bから映像信号を受け付けると、その受け付けられ映像信号を解析して、その映像信号にて示されたマーク8を特定する。続いて、デコード部2hは、その特定されたマーク8をデコードしてデコード情報を生成する。例えば、映像信号が手術用器具7のマーク8を示すとき、デコード部2hは、デコード情報として、そのマーク8が示す器具識別情報を生成する。
【0121】
デコード部2hは、その生成されたデコード情報を制御部2bに提供する。
【0122】
制御部2bは、デコード部2hからデコード情報を受け付けると、そのデコード情報をPHSモデム2cに提供する。
【0123】
なお、本実施例でも、制御部2bは、PHSモデム2cに提供した最新のデコード情報を格納する格納部(不図示)を有する。
【0124】
制御部2bは、デコード部2hからデコード情報を受け付けると、その受け付けられたデコード情報を、格納部に格納されているデコード情報と比較する。
【0125】
制御部2bは、その受け付けられたデコード情報が、格納部に格納されているデコード情報と異なる場合、その受け付けられたデコード情報を、PHSモデム2cに提供するとともに、格納部に格納されているデコード情報を削除し、その後、格納部に、その受け付けられたデコード情報を格納する。
【0126】
次に、第2実施例の動作を説明する。
【0127】
なお、第2実施例の動作は、図2ないし4に示した第1実施例の動作とほぼ同じであるが、例えば、マークのデコードを、マーク読取装置ではなく、通信ユニットが行う点が異なる。
【0128】
具体的には、図4のステップ403では、第2実施例の制御部2bは、マーク読取装置1からの映像信号の受付をやめ、管理装置4への接続を開始する。
【0129】
また、図4のステップ404では、第2実施例の制御部2bは、マーク読取装置1から映像信号を受け付け、その受け付けられた映像信号をデコード部2hに提供し、その後、デコード部2hからデコード情報を受け付ける。
【0130】
本実施例によれば、通信ユニット20は、マーク読取装置10へ電源電圧を供給し、マーク読取装置10にて読み取られたマークをデコードしたデコード情報を無線通信する。このため、通信ユニット20がマーク読取装置10とともに移動されれば、電源電圧の供給に関する不都合と、情報の通信に関する不都合とを、一度に解決することが可能になる。したがって、マーク読取装置10を異なる位置で容易に使用することが可能になり、マーク読取装置10の機動性が向上する。よって、物品の管理が容易になる。
【0131】
また、手術用器具7が使用される部屋で、マーク読取装置10が手術用器具7のマーク8を読み取れば、手術用器具7の使用履歴を自動的に管理することが可能になる。
【0132】
以上説明した各実施例において、図示した構成は単なる一例であって、本発明はその構成に限定されるものではない。
【0133】
例えば、上記各実施例において、マーク8が刻印される物品は、自動車部品でもよい。この場合、自動車部品を簡単に管理することが可能になる。
【0134】
また、上記各実施例において、通信ユニットと通信部との通信は、PHS通信に限らず適宜変更可能である。例えば、携帯電話用の通信を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】本発明の第1実施例の物品管理システムを示したブロック図である。
【図2】通信ユニットの動作を説明するためのフローチャートである。
【図3】通信ユニットの動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】通信ユニットの動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明の第2実施例の物品管理システムを示したブロック図である。
【符号の説明】
【0136】
1、10 マーク読取装置
1a 読取部
1b デコード部
1c デコード情報提供部
1d 情報提供部
2、20 通信ユニット
2a バッテリ
2b 制御部
2c PHSモデム
2d アンテナ
2e エラーランプ
2f 異常ランプ
2g ブザー
2h デコード部
31、32 通信部
31a、32a アンテナ部
31b、32b 出力部
4 管理装置
4a 通信部
4b 管理部
5 ケーブル
6 LAN
7 手術用器具
8 マーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品の表面に刻印されたマークを読み取ってデコード情報を生成するマーク読取装置と接続される通信ユニットであって、
前記マーク読取装置に電源電圧を供給するバッテリと、
前記マーク読取装置が前記バッテリから供給された電源電圧にて動作した際に生成したデコード情報を受け付ける制御部と、
前記制御部が前記デコード情報を受け付けると、その受け付けられたデコード情報を無線信号で送信する無線送信部と、を含む通信ユニット。
【請求項2】
物品の表面に刻印されたマークを読み取るマーク読取装置と接続される通信ユニットであって、
前記マーク読取装置に電源電圧を供給するバッテリと、
前記マーク読取装置が前記バッテリから供給された電源電圧にて動作した際に読み取った前記マークを受け付ける制御部と、
前記制御部にて受け付けられたマークをデコードしてデコード情報を生成するデコード部と、
前記デコード部にて生成されたデコード情報を無線信号で送信する無線送信部と、を含む通信ユニット。
【請求項3】
物品の表面に刻印されたマークを読み取ってデコード情報を生成するマーク読取装置と、前記マーク読取装置と接続された通信ユニットと、前記通信ユニットと無線通信する通信部と、前記通信部と接続された管理装置と、を含み、前記管理装置が、前記マーク読取装置にて生成されたデコード情報を、前記通信ユニットおよび前記通信部を介して受け付け、その受け付けられたデコード情報を用いて前記物品を管理する、物品管理システムであって、
前記通信ユニットは、
前記マーク読取装置に電源電圧を供給するバッテリと、
前記マーク読取装置が前記バッテリから供給された電源電圧にて動作した際に生成した前記デコード情報を受け付ける制御部と、
前記制御部が前記デコード情報を受け付けると、その受け付けられたデコード情報を無線信号で送信する無線送信部と、を含み、
前記通信部は、
前記無線送信部から送信されたデコード情報を受け付けるアンテナ部と、
前記アンテナ部が前記デコード情報を受け付けると、その受け付けられたデコード情報を前記管理装置に出力する出力部と、を含み、
前記管理装置は、
前記出力部から出力されたデコード情報を受け付ける入力部と、
前記入力部が前記デコード情報を受け付けると、その受け付けられたデコード情報を用いて前記物品を管理する管理部と、を含む物品管理システム。
【請求項4】
物品の表面に刻印されたマークを読み取るマーク読取装置と、前記マーク読取装置と接続された通信ユニットと、前記通信ユニットと無線通信する通信部と、前記通信部と接続された管理装置と、を含み、前記通信ユニットが前記マーク読取装置にて読み取られたマークをデコードしてデコード情報を生成し、前記管理装置が、前記通信ユニットにて生成されたデコード情報を、前記通信部を介して受け付け、その受け付けられたデコード情報を用いて前記物品を管理する、物品管理システムであって、
前記通信ユニットは、
前記マーク読取装置に電源電圧を供給するバッテリと、
前記マーク読取装置が前記バッテリから供給された電源電圧にて動作した際に読み取った前記マークを受け付ける制御部と、
前記制御部にて受け付けられたマークをデコードしてデコード情報を生成するデコード部と、
前記デコード部にて生成されたデコード情報を無線信号で送信する無線送信部と、を含み、
前記通信部は、
前記無線送信部から送信されたデコード情報を受け付けるアンテナ部と、
前記アンテナ部が前記デコード情報を受け付けると、その受け付けられたデコード情報を前記管理装置に出力する出力部と、を含み、
前記管理装置は、
前記出力部から出力されたデコード情報を受け付ける入力部と、
前記入力部が前記デコード情報を受け付けると、その受け付けられたデコード情報を用いて、前記物品を管理する管理部と、を含む物品管理システム。
【請求項5】
請求項3または4に記載の物品管理システムにおいて、
前記物品は、手術用器具であり、
前記アンテナ部は、前記手術用器具が使用される部屋ごとに設けられ、
前記出力部は、前記アンテナ部が前記デコード情報を受け付けると、その受け付けられたデコード情報を、該デコード情報を受け付けたアンテナ部を識別するための識別情報とともに、前記管理装置に出力し、
前記入力部は、前記デコード情報および前記識別情報を前記出力部から受け付け、
前記管理部は、前記入力部が前記デコード情報および前記識別情報を受け付けると、その受け付けられたデコード情報および識別情報を用いて、前記手術用器具の使用履歴を管理する、物品管理システム。
【請求項6】
請求項3または4に記載の物品管理システムにおいて、
前記物品は、自動車部品である、物品管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−343967(P2006−343967A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−168512(P2005−168512)
【出願日】平成17年6月8日(2005.6.8)
【出願人】(505214205)株式会社エムネクスト (3)
【Fターム(参考)】