説明

通信制御システムおよびアクセス制御装置

【課題】閉域網に含まれ当該閉域網より小さいエリアに設置されている複数の端末装置にサービスを提供する際の設定負担を軽減することにある。
【解決手段】設置されているエリアに応じた端末アドレスが割り当てられ、固有のサービス名を記憶し、端末アドレスとサービス名とを含む要求信号を閉域網を介してアクセス制御装置に送信する端末装置と、サービス名と、エリア毎に割り当てられているソースアドレスと、ソースアドレスに応じたエリアに提供されるサービス名のサービス提供装置の接続先を特定する応答情報とを対応づけて記憶する記憶部と、要求信号を受信して記憶部に記憶されている情報を参照し、要求信号に含まれる端末アドレスに対応するソースアドレスと、要求信号に含まれるサービス名との組み合わせに応じた応答情報を端末装置に送信するサービス名解決部とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末装置とサービス提供装置とが閉域網を介して接続されるものであり、特に、閉域網を介して端末装置に各種サービスを提供する通信制御システムおよびアクセス制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、閉域網と接続されている端末装置にサービス提供装置からサービスを提供するシステムとして、例えば、図7に示すように、一般社団法人IPTVフォーラムによって仕様が検討されている映像配信システムがある。この映像配信のシステムの仕様は、予め端末装置の記憶部に閉域網でのみ使用されるサービス名(iptvf.jp)を記憶させておくことで、端末装置側ではインターネット等を介したネットワーク通信に用いる実世界の位置情報が不要となる等、端末側でネットワークを意識しない実装が可能となる。
また、このサービス名に基づき端末装置から網内DNS( Domain Name System)に問い合わせがあった場合、網内DNSがサービス名に該当するサービス提供装置と当該端末装置とを接続することにより、閉域網毎に異なるサービス(例えばコンテンツ)を提供することができる(非特許文献1参照)。
このようなIPSPでは、端末装置毎に与えられているサービス名が閉域網内の網内DNSでのみ利用することができるアドレスであるため、サービスを提供するサービス提供装置が閉域網毎に設けられている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】一般社団法人IPTVフォーラム、“IPTVフォーラム技術仕様”、[online]、[平成21年3月13日検索]、インターネット〈URL:http://www.iptvforum.jp/standard/index.html〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、閉域網に含まれ当該閉域網より小さいエリアに設置されている複数の端末装置にサービスを提供する場合、端末装置やサービス提供装置に、提供されるサービスに応じた送信先を特定する等の設定作業が必要となり、サービス提供装置の管理負担や、端末装置のユーザの作業が煩雑となる問題がある。
また、操作部等の機能が充実しているコンピュータやテレビ等の場合、上述のようなエリア毎のサービス提供に応じた設定が可能である。しかし、冷蔵庫や電子レンジ等の一般的な家電では、コストの面や、利用者の習慣容易度の観点から、サービス提供に応じた設定等を行うための複雑なインターフェースが搭載されていない方が望ましいと考えられている。このように、サービス設定を行うためのインターフェース等が搭載されていない一般的な家電では、エリア毎のサービス提供に応じた設定ができない問題がある。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮し、上記の問題を解決すべくなされたものであって、その目的は、閉域網に含まれ当該閉域網より小さいエリアに設置されている複数の端末装置にサービスを提供する際の設定負担を軽減することができる通信制御システムおよびアクセス制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明に係る通信制御システムは、複数の端末装置とサービス提供装置とに閉域網を介して接続されるアクセス制御装置を備える通信制御システムであって、前記アクセス制御装置は、前記サービス提供装置によって提供されるサービスを特定するサービス名と、前記端末装置が設置されるエリア毎に割り当てられた端末アドレスを表すソースアドレスと、前記ソースアドレスに応じた前記エリアに提供されるサービス名に対応する前記サービス提供装置の接続先を特定する応答情報とを対応づけて記憶する解決情報記憶部と、前記端末装置から送信される要求信号を受信する受信部と、前記受信部が受信する要求信号に基づいて、前記解決情報記憶部に記憶されている情報を参照し、前記要求信号に含まれる端末アドレスに対応するソースアドレスと、前記要求信号に含まれるサービス名との組み合わせに応じた応答情報を前記解決情報記憶部から読み出すサービス名解決部と、前記サービス名解決部が読み出した応答情報を前記端末装置に送信する送信部と、を有し、前記端末装置は、サービス名と自身が設置されているエリアに応じて自身に割り当てられた端末アドレスとを記憶する端末記憶部と、前記端末記憶部に記憶された端末アドレスとサービス名とを含む要求信号を前記閉域網を介して前記アクセス制御装置に送信する送信部と、前記アクセス制御装置から送信される応答情報を受信する受信部と、を有することを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る通信制御システムは、前記端末装置によって生成される前記要求信号に応じて、前記要求信号を前記閉域網に送信するか否かを判定し、前記要求信号を前記閉域網に送信しない場合、前記アクセス制御装置とは異なるアクセス制御装置であって前記閉域網に接続されるインターネットに接続されたアクセス制御装置に、前記要求信号を送信する中継装置をさらに備えることを特徴とする。
【0008】
さらに、本発明に係るアクセス制御装置は、複数の端末装置とサービス提供装置とに閉域網を介して接続されるアクセス制御装置であって、前記サービス提供装置によって提供されるサービスを特定するサービス名と、前記端末装置が設置されるエリア毎に割り当てられた端末アドレスを表すソースアドレスと、前記ソースアドレスに応じた前記エリアに提供されるサービス名に対応する前記サービス提供装置の接続先を特定する応答情報とを対応づけて記憶する解決情報記憶部と、前記端末装置から送信される要求信号を受信する受信部と、前記受信部が受信する要求信号に基づいて、前記解決情報記憶部に記憶されている情報を参照し、前記要求信号に含まれる端末アドレスに対応するソースアドレスと、前記要求信号に含まれるサービス名との組み合わせに応じた応答情報を前記解決情報記憶部から読み出すサービス名解決部と、前記サービス名解決部が読み出した応答情報を前記端末装置に送信する送信部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、サービス名と端末装置に付与された端末アドレスとを端末装置から受信して参照し、そのサービス名と端末アドレス名との組み合わせに応じた応答情報を特定し、要求元の端末装置に送信するようにしたので、エリアに応じた応答情報を、端末アドレスに応じて変更することができる。これにより、閉域網に含まれ当該閉域網より小さいエリアに設置されている複数の端末装置にサービスを提供する際の設定負担を軽減することができる。
また、端末装置に付与される端末アドレスを用いるようにしたので、端末装置から各種情報を入力デバイスを介して入力してもらう必要がない。これにより、端末装置に入力デバイスが許容されていないものであっても、端末装置の設置エリアに応じた柔軟なサービスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態によるサービス提供システムの構成の一例を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態によるサービスアクセス制御装置が管理する情報の一例を説明するための概略図である。
【図3】本発明の一実施形態によるサービス提供システムの構成の一例を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態によるサービス提供方法の一例を説明するためのシーケンスフローである。
【図5】本発明の一実施形態によるサービス提供方法の他の例を説明するためのシーケンスフローである。
【図6】本発明の一実施形態によるサービス提供方法の他の例を説明するためのシーケンスフローである。
【図7】従来例を説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本実施形態に係るサービス提供システム100の一例を説明するブロック図である。
図1に示す通り、サービス提供システム100は、サービスアクセス制御装置1と、複数の端末装置21,22,・・・,2p(以下、2Pと記す)と、複数の中継装置31,・・・,3q(以下、3Qと記す)と、複数のサービス提供装置41,42,・・・,4r(以下、4Rと記す)と、閉域網500と、インターネット600と、サービス提供装置7とサービスアクセス制御装置8とを備える。
【0012】
サービスアクセス制御装置1は、閉域網500によって接続される中継装置3Qを介して端末装置2Pと接続され、閉域網500を介してサービス提供装置4Rとに接続されている。また、サービスアクセス制御装置1は、端末装置2Pから送信される解決要求信号を受信し、受信した解決要求信号に応じたサービス提供装置4Rを特定し、そのサービス提供装置4Rを示す応答情報を、解決要求信号を送信した端末装置2Pに送信する。
また、サービスアクセス制御装置1は、端末装置2Pに予め与えられるサービスの名前(以下、サービス名と記す)と、端末装置2Pのうち少なくとも1つが設置されるエリア毎に割り当てられているソースアドレスと、ソースアドレスに応じたエリアに提供されるサービス名のサービス提供装置4Rの接続先を特定する応答情報とをそれぞれ対応付けるサービス名解決情報1Aを記憶する。
【0013】
ここで、サービスアクセス制御装置1に記憶されているサービス名解決情報1Aについて詳細に説明する。
図2は、サービス名解決情報のデータを表す図である。この図に示す通り、サービス名解決情報1Aでは、サービス提供装置によって提供されるサービスを特定するサービス名と、端末装置が設置されるエリア毎に割り当てられた端末アドレスを表すソースアドレスと、ソースアドレスに応じたエリアに提供されるサービス名に対応するサービス提供装置の接続先を特定する応答情報とが対応づけられる。例えば、サービス名「ad.local」と、複数のソースアドレス「12.34.56.0/24」、「34.56.78.0/24」、「56.78.90.0/24」、「78.90.12.0/24」とが対応付けられており、これらソースアドレスのそれぞれには応答情報「xx.xx.xx.1」、「xx.xx.xx.2」、「xx.xx.xx.3」、「xx.xx.xx.4」が対応付けられている。また、サービス名「recipe.local」は応答情報「xx.xx.xx.2」と、サービス名「presence.local」は応答情報「ps.com」と、それぞれ対応付けられている。
【0014】
これにより、サービスアクセス制御装置1は、サービス名解決情報1Aを参照して、同一のサービス名「ad.local」を含む解決要求信号を受信した場合であっても、当該解決要求信号の送信元を示すソースアドレスに応じた応答情報を特定することができ、この応答情報を、解決要求信号を送信した端末装置2Pに送信することができる。
また、サービスアクセス制御装置1は、サービス名が「recipe.local」あるいは「presence.local」の解決要求信号を受信した場合、ソースアドレスに関わらず、それぞれ応答情報「xx.xx.xx.2」あるいは「ps.com」を送信元の端末装置2Pに送信する。
【0015】
ここで、サービス名とは、端末装置4Rから端末装置2Pに提供されるサービスを特定する名前である。本実施の形態におけるサービス名は、例えば「ad.local」「recipe.local」「presence.local」であって、端末装置2Pからサービスアクセス制御装置1に送信するためのドメイン名である。
ソースアドレスは、例えば、閉域網500内にある複数のエリア(以下、地域ブロックと記す)のアドレスを特定する情報であって、後述する端末装置2P毎に割り振られる端末アドレスを少なくとも1つ含む。なお、地域ブロックとは、閉域網500内の分割された小さな地域エリアであって、例えば、町や都市、通信基地局がカバーするエリア、同一の中継装置を利用する端末装置が設置されるエリアである。このソースアドレスは、そのエリア内に接続される端末装置に対して付与可能なアドレス群であり、端末装置が接続されると、そのエリア内で付与可能なソースアドレスのうち、いずれか1つの端末アドレスが、閉域網500のエッジに配置される収容ルータ(エッジルータ)によって割り当てられる。従って、端末装置に割り当てられた端末アドレスを参照し、どのソースアドレスに該当するかを判定することにより、その端末装置が設置されたエリアを特定することが可能である。
【0016】
応答情報は、例えば、ソースアドレスによって特定される端末装置2Pと、当該端末装置2Pから送信されるサービス名の組み合わせに応じて決定されるサービス提供装置4RのIPアドレスである。
【0017】
端末装置2Pは、設置されているエリアに応じた端末アドレスが、自身が接続した先の中継装置によって割り当てられており、サービス提供装置4R,7によって提供されるサービスを特定するサービス名を記憶する端末記憶部を備える。端末装置2Rは、自身に割り当てられた端末アドレスと、記憶部に記憶されているサービス名とを含む解決要求信号を生成し、中継装置3Qに出力する。ここで端末アドレスとは、端末装置2Pが閉域網500と接続されると、ネットワーク側(例えば中継装置)から端末装置2P毎に割り当てられるアドレスである。また、解決要求信号は、例えばサービスアクセス制御装置1あるいはサービスアクセス制御装置8に送信するためのドメイン名であって、例えば、サービスアクセス制御装置1にサービス提供装置4Rとの接続を要求する場合はドメイン名が「.local」であるサービス名が、サービスアクセス制御装置8にサービス提供装置7との接続を要求する場合はドメイン名が「.com」であるサービス名が予め記憶部に記憶されている。
【0018】
この実施の形態において、端末装置2Pは、各家庭で使用される家庭用電化製品であって、端末装置21は冷蔵庫、端末装置22はテレビ、端末装置2pは電子レンジである場合について説明する。
端末装置21の端末記憶部には、特定の広告Aを提供するサービスの名前であるサービス名「ad.local」と、冷蔵庫内に保存してある内容を登録されている携帯電話に送信するサービスの名前であるサービス名「presence.local」が記憶されている。また、端末装置21は、ソースアドレス「12.34.56.0/24」の地域ブロック内のエリアに設置されており、ソースアドレス「12.34.56.0/24」に含まれる端末アドレス21adが割り当てられている。
【0019】
端末装置22の記憶部(図示せず)には、特定の広告Bを提供するサービスの名前であるサービス名「ad.local」が記憶されている。また、端末装置22は、ソースアドレス「34.56.78.0/24」の地域ブロック内のエリアに設置されており、ソースアドレス「34.56.78.0/24」に含まれる端末アドレス22adが割り当てられている。
端末装置2pの記憶部(図示せず)には、特定のレシピCを提供するサービスの名前であるサービス名「recipe.local」が記憶されている。また、端末装置23は、ソースアドレス「56.78.90.0/24」の地域ブロック内のエリアに設置されており、ソースアドレス「56.78.90.0/24」に含まれる端末アドレス23adが割り当てられている。
なお、これらのサービス名は、例えは、各端末装置2Pの製造段階において予め設定される情報である。
【0020】
中継装置3Qは、サービス提供装置2Pから送信される解決要求信号に応じて、当該解決要求信号の送信先がサービスアクセス制御装置1あるいはサービスアクセス制御装置8であるかを判断する。中継装置3Qは、例えば、端末装置2Pから受信する解決要求信号に含まれるサービス名が「.local」を含む場合、閉域網500を介してサービスアクセス制御装置1に解決要求信号を送信し、解決要求信号に含まれるサービス名が「.local」を含まない場合、インターネット600を介してサービスアクセス制御装置8に解決要求信号を送信する。
また、中継装置3Qは、各端末装置2Pが接続されることで、接続された端末装置2Pに対して端末アドレスを割り振り、割り振られた端末アドレスと、中継装置3Qと各端末装置2Pとを接続する通信回線の回線番号とを関連付ける。
【0021】
サービス提供装置41,42,・・・,4rは、それぞれ固有のサービスを提供するサーバであって、それぞれに閉域網500を介して通信するドメイン「xx.xx.xx.1」,「xx.xx.xx.2」,・・・,「xx.xx.xx.r」が与えられている。
【0022】
閉域網500は、端末装置2Pとサービス提供装置4Rとを接続するネットワークであって、サービスアクセス制御装置1によって通信が制御される。また、閉域網500はインターネット600と接続されている。
【0023】
サービスアクセス制御装置8は、インターネット600と接続され、インターネット側の通信を制御する。また、サービスアクセス制御装置8は、サービス名解決情報8Aに基づき、インターネット600を介して解決要求信号のサービス名「ps.com」を受信した場合、サービス提供装置7のドメイン名「yy.yy.yy.1」を端末装置2Pに送信する。
サービス提供装置7は、サービス名「ps.com」に応じたサービスを提供するサーバである。
【0024】
次に、図3を用いてサービス提供システム100の各構成と機能について、さらに説明する。
図3に示す通り、サービスアクセス制御装置1は、アクセス制御DB(データベース)11と、制御情報登録部12と、サービス名解決部13と、受信部15と送信部16とを備える。
アクセス制御DB11は、サービス名解決情報1Aを記憶する制御情報記憶部14(解決情報記憶部)を含む。
制御情報登録部12は、ソースアドレス毎に提供されるサービスのサービス名と、当該サービスを提供するサービス提供装置4Rを、制御情報記憶部14に記憶させる。これにより、エリア毎に提供されるサービスがサービス名解決情報1Aに登録される。なお、この場合、操作部(図示せず)を介して、サービスアクセス制御装置1の管理者によって、登録情報が入力されてもよい。
【0025】
サービス名解決部13は、受信部15が受信する要求信号に基づいて、制御情報記憶部14に記憶されているサービス名解決情報1Aを参照して、要求信号に含まれる端末アドレスに対応するソースアドレスと、要求信号に含まれるサービス名との組み合わせに応じた応答情報を制御情報記憶部14から読み出す。
送信部16は、サービス名解決部13が読み出した応答情報を閉域網500を介して、解決要求信号に含まれる端末アドレスの端末装置に送信する。
【0026】
各中継装置3Qは、中継部301,・・・,30q(以下、中継部30Qという)をそれぞれ備える。各中継部30Qは、接続された端末装置2Pに対して、端末装置2Pが設定されているエリアを特定する端末アドレスを割り振る。
また上述の通り、各中継部30Qは、各端末装置2Pから受信した解決要求信号のサービス名に従って、解決要求信号の送信先がサービスアクセス制御装置1あるいはサービスアクセス制御装置8であるかを判断する。
【0027】
サービスアクセス制御装置8は、アクセス制御DB(データベース)81と、制御情報登録部82と、サービス名解決部33とを備え、各構成は、サービスアクセス制御装置1の各構成と概ね同様の機能を有する。つまり、アクセス制御DB81は、サービス名と応答情報とが対応付けられたサービス名解決情報8Aを記憶する制御情報記憶部14を含み、制御情報登録部82は、サービス名解決情報8Aにサービス提供装置7が提供するサービス名とサービス提供装置7のアドレスを示す応答情報を登録する。また、サービス名解決部83は、インターネット600を介して端末装置2Pから送信された解決要求信号を受信し、サービス名解決情報8Aに基づき、解決要求信号に含まれるサービス名と対応付けられている応答情報を検出し、検出した応答情報を解決要求信号に含まれる端末アドレスの端末装置2Pに送信する。
【0028】
端末装置2pにおいて、端末記憶部21aは、サービス名と自身が設置されているエリアに応じて自身に割り当てられた端末アドレスとを記憶する。送信部21bは、端末記憶部21aに記憶された端末アドレスとサービス名とを含む要求信号を閉域網500を介してアクセス制御装置1に送信する。受信部21cは、アクセス制御装置1から送信される応答情報を受信する。
【0029】
次に、図4〜6を用いて、本実施の形態に係るサービス提供方法について説明する。
図4は、本発明の一実施形態によるサービス提供方法の一例を説明するためのシーケンスフローである。
図4に示す通り、端末装置21が、ソースアドレス「12.34.56.0/24」の地域ブロックに含まれる端末アドレス21adとサービス名「ad.local」を含む解決要求信号を出力すると(ステップST1)、中継装置31は、解決要求信号に含まれるサービス名「ad.local」が「.local」を含むか否かを判断する。ここで解決要求信号のサービス名は「.local」を含むものであるため、中継装置31は、閉域網500と接続されているサービスアクセス制御装置1に解決要求信号を送信する(ステップST2)。
サービスアクセス制御装置1が解決要求信号を受信すると、サービス名解決部13は、制御情報記憶部14に記憶されているサービス名解決情報1Aを参照して、解決要求信号に含まれる端末アドレス21adに対応するソースアドレス「12.34.56.0/24」と、解決要求信号に含まれるサービス名「ad.local」との組み合わせに応じた応答情報「xx.xx.xx.1」を検出する(ステップST3)。そして、サービスアクセス制御装置1は、端末アドレス21adと応答情報「xx.xx.xx.1」を含む応答信号を生成し、中継装置31を介して端末装置21に送信する(ステップST4)。
これにより、端末装置21は、受信した応答情報「xx.xx.xx.1」に従ってサービス提供装置41にアクセスし、サービスの提供を受ける(ステップST5)。
【0030】
一方、端末装置22が、ソースアドレス「34.56.78.0/24」の地域ブロックに含まれる端末アドレス22adとサービス名「ad.local」を含む解決要求信号を出力すると(ステップST6)、中継装置31は、解決要求信号に含まれるサービス名「ad.local」が「.local」を含むか否かを判断する。ここで解決要求信号のサービス名は「.local」を含むものであるため、中継装置31は、閉域網500と接続されているサービスアクセス制御装置1に解決要求信号を送信する(ステップST7)。
サービスアクセス制御装置1が解決要求信号を受信すると、サービス名解決部13は、制御情報記憶部14に記憶されているサービス名解決情報1Aを参照して、解決要求信号に含まれる端末アドレス22adに対応するソースアドレス「34.56.78.0/24」と、解決要求信号に含まれるサービス名「ad.local」との組み合わせに応じた応答情報「xx.xx.xx.2」を検出する(ステップST8)。そして、サービスアクセス制御装置1は、端末アドレス22adと応答情報「xx.xx.xx.2」を含む応答信号を生成し、中継装置31を介して端末装置22に送信する(ステップST9)。
これにより、端末装置22は、受信した応答情報「xx.xx.xx.2」に従ってサービス提供装置41にアクセスし、コンテンツを受信することによって、サービスの提供を受ける(ステップST10)。
【0031】
次に、図5を用いて、本発明の一実施形態によるサービス提供方法の他の例を説明する。図5は、本発明の一実施形態によるサービス提供方法の他の例を説明するためのシーケンスフローである。
図5に示す通り、端末装置21が、ソースアドレス「12.34.56.0/24」の地域ブロックに含まれる端末アドレス21adとサービス名「presence.local」を含む解決要求信号を出力すると(ステップST21)、中継装置31は、解決要求信号に含まれるサービス名「presence.local」が「.local」を含むか否かを判断する。ここで解決要求信号のサービス名は「.local」を含むものであるため、中継装置31は、閉域網500と接続されているサービスアクセス制御装置1に解決要求信号を送信する(ステップST22)。
サービスアクセス制御装置1が解決要求信号を受信すると、サービス名解決部13は、制御情報記憶部14に記憶されているサービス名解決情報1Aを参照して、解決要求信号に含まれる端末アドレス21adに対応するソースアドレス「12.34.56.0/24」と、解決要求信号に含まれるサービス名「presence.local」との組み合わせに応じた応答情報「ps.com」を検出する(ステップST23)。そして、サービスアクセス制御装置1は、端末アドレス21adと応答情報「ps.com」を含む応答信号を生成し、中継装置31を介して端末装置21に送信する(ステップST24)。
【0032】
これにより、端末装置21は、受信した応答情報「ps.com」と端末アドレス21adを含む解決要求信号を中継装置31に送信する(ステップST25)。そして、中継装置31は、サービス名「ps.com」が「.local」を含むか否かを判断する。ここで解決要求信号のドメインは「.local」ではないため、インターネット600を介してサービスアクセス制御装置8に解決要求信号を送信する(ステップST26)。
サービスアクセス制御装置8は、解決要求信号を受信すると、サービス名「ps.com」に基づき、サービス名解決情報8Aを参照して、応答情報「yy.yy.yy.1」を検出する(ステップST27)。そして、サービスアクセス制御装置8は、中継装置31を介して、解決要求信号に含まれる端末アドレス21adの端末装置21に応答情報「yy.yy.yy.1」を送信する(ステップST28)。
これにより、端末装置22は、受信した応答情報「yy.yy.yy.1」に従ってサービス提供装置7にアクセスし、コンテンツを受信することによって、サービスの提供を受ける(ステップST29)。
【0033】
なお、例えば、端末装置2Pは、予めインターネット600を介してサービスアクセス制御装置8にサービスを要求するサービス名「ps.com」が設定されてものであってもよい。
この場合、図6に示す通り、端末装置21は、サービス名「ps.com」を含む解決要求信号を中継装置31に送信する(ステップST41)。そして、中継装置31は、解決要求信号に含まれるサービス名「ps.com」が「.local」を含むか否かを判断し、「.local」を含まないため、インターネット600を介してサービスアクセス制御装置8に解決要求信号を送信する(ステップST42)。
サービスアクセス制御装置8は、解決要求信号を受信すると、サービス名「ps.com」に基づき、サービス名解決情報8Aを参照して、応答情報「yy.yy.yy.1」を検出する(ステップST43)。そして、サービスアクセス制御装置8は、中継装置31を介して端末装置22に応答情報「yy.yy.yy.1」を送信する(ステップST44)。
これにより、端末装置21は、受信した応答情報「yy.yy.yy.1」に従ってサービス提供装置7にアクセスし、サービスの提供を受ける(ステップST45)。
【0034】
なお、本実施の形態に係るサービスアクセス制御装置1やサービス提供システム100は、上述の構成に限られず、種々の変更や置換え等が可能である。
例えば、中継装置3Qは、端末装置2Pと閉域網500との間に接続されるものとして説明したが、本発明はこれに限られず、例えば、端末装置2P内に組み込まれる構成であってもよい。
また、サービス提供装置4Rは、1つのサービス提供装置において複数のドメインが設定可能な場合、少なくとも1つのサービス提供装置を含むものであればよい。
さらに、閉域網500は、インターネット600と接続される任意の閉域網であって、インターネット600には、他の閉域網が接続されていてもよい。
【0035】
また、ソースアドレスは、中継装置3Q毎に与えられる固有のIPアドレスであってもよく、現実世界において特定の地域に存在する複数の中継装置3Qに対して同一のソースアドレスが与えられてもよい。
さらに、サービス提供装置が提供するサービスは、上述のサービスに限らず、サービス提供装置4Rに様々なサービスを設定、変更、追加することができる。なお、上述のサービス名「presence.local」のサービスは、端末装置21の冷蔵庫が、保存している食品の種類や数等をデータとして管理している場合、冷蔵庫内の食品等の情報が更新されると、サービス名「presence.local」を含む解決要求信号を送信するものである。この場合、サービス提供装置7は、インターネット600を介してユーザの携帯電話に冷蔵庫内の食品の情報を送信するサービスを提供するものである。
【0036】
上述の通り、本実施の形態に係るサービスアクセス制御装置1は、少なくとも1つの端末アドレスに対応するエリアを特定するソースアドレスと、サービス提供装置のサービス名と、サービス提供装置のアドレス(応答情報)とを対応付けるサービス名解決情報1Aを備えることにより、サービスアクセス制御装置1が、解決要求信号を受信することで、当該解決要求信号を送信する端末装置2Pの現実世界での位置を特定し、当該端末装置2Pとサービス提供装置4Rとの通信を制御することができる。これにより、サービスアクセス制御装置1は、閉域網500内を分割する地域ブロック毎に、サービス提供装置4Rの設定変更が可能となり、閉域網500よりも小さい地域ブロック単位でのアクセス制御を行うことができる。
【0037】
よって、サービスアクセス制御装置1は、閉域網500単位や地域ブロック単位で、地域特性のあるサービス(例えば、端末装置2Pの近所にあるお店の広告情報や、地域の味やメニューに特化したレシピ情報の配信)を提供することができる。
さらに、サービス提供装置4Rは、地域ブロック単位で提供するサービスを追加する場合であっても、サービスアクセス制御装置1のサービス名解決情報1Aに、自身のアドレスとサービス名と対応付けて、各地域ブロックに応じたソースアドレス毎に登録されることで、端末装置2Pに提供するサービスを追加することができ、サービスの追加や増設を容易に行うことができる。
従って、本実施の形態に係るサービス提供システム100は、サービス提供装置4Rから複数のサービスを(例えば、複数のサービス提供装置4Rからそれぞれ固有のサービスを、あるいは、サービス提供装置41から複数のサービスを)、端末装置2Pに提供する場合、サービスアクセス制御装置1に、サービス名に対応するソースアドレスや応答等を登録すればよく、サービス毎に、中継装置3Qや閉域網500の設定を変更する必要がない。
このため、サービス提供装置4Rが、複数のサービスを端末装置2Pに提供する際の設定負荷を軽減することができる。
【0038】
また、中継装置3Qによって、中継装置3Qが設置されている現実世界におけるエリアに基づく端末アドレスが端末装置2Pに与えられる。このため、端末装置2P側から操作部等を用いてサービスアクセス制御装置1やサービス提供装置4R等に対して、エリアの登録を行うことなく、端末装置2Pのアドレス(ネットワーク上での位置)と位置情報(現実世界における位置)を関連付けることができる。これにより、冷蔵庫や電子レンジ等の自由度の高い情報の入力を許容する構成を有しない家電であっても、本実施の形態に係る端末装置2Pとして、サービス提供システム100を利用することができる。
【0039】
さらに、端末装置2Pが、閉域網500内に存在しないサービス提供装置からサービスを受けたい場合は、インターネット600を介してサービスアクセス制御装置8に対してサービス提供装置7のサービスの提供を要求することができる。これにより、閉域網500内のサービス提供装置4Rのサービスに加えて、インターネット600側のサービス提供装置7によるサービスも端末装置2Pに提供することができる。
【0040】
また、サービスアクセス制御装置1のサービス名解決情報1Aに登録される応答情報を、閉域網500上のアドレスあるいはインターネット600上のドメインにすることで、ネットワーク網ごとにサービス提供装置を使い分けることができる。例えば、地域に関する情報を提供するサービスの場合は閉域網500を利用し、地域に関する情報でない情報を提供するサービスの場合はインターネット600を利用することができる。これにより、閉域網500内でのサービス提供装置4Rの増設が不要となり、インターネット600側のサービス提供装置7を利用してサービスの充実を図ることができる。
【0041】
なお、本実施の形態において、ソースアドレスによって特定される地域ブロックは、例えば、同一の中継装置に対して複数の端末装置が接続されるエリアであってもよく、中継装置が回線毎に接続される家庭単位であってもよい。
【符号の説明】
【0042】
1…サービスアクセス制御装置、11…アクセス制御DB、12…制御情報登録部、13…サービス名解決部、14…制御情報記憶部、2P…端末装置、3Q…中継装置、4R…サービス提供装置、500…閉域網、600…インターネット、7…サービス提供装置、8…サービスアクセス制御装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端末装置とサービス提供装置とに閉域網を介して接続されるアクセス制御装置を備える通信制御システムであって、
前記アクセス制御装置は、
前記サービス提供装置によって提供されるサービスを特定するサービス名と、前記端末装置が設置されるエリア毎に割り当てられた端末アドレスを表すソースアドレスと、前記ソースアドレスに応じた前記エリアに提供されるサービス名に対応する前記サービス提供装置の接続先を特定する応答情報とを対応づけて記憶する解決情報記憶部と、
前記端末装置から送信される要求信号を受信する受信部と、
前記受信部が受信する要求信号に基づいて、前記解決情報記憶部に記憶されている情報を参照し、前記要求信号に含まれる端末アドレスに対応するソースアドレスと、前記要求信号に含まれるサービス名との組み合わせに応じた応答情報を前記解決情報記憶部から読み出すサービス名解決部と、
前記サービス名解決部が読み出した応答情報を前記端末装置に送信する送信部と、
を有し、
前記端末装置は、
サービス名と自身が設置されているエリアに応じて自身に割り当てられた端末アドレスとを記憶する端末記憶部と、
前記端末記憶部に記憶された端末アドレスとサービス名とを含む要求信号を前記閉域網を介して前記アクセス制御装置に送信する送信部と、
前記アクセス制御装置から送信される応答情報を受信する受信部と、
を有することを特徴とする通信制御システム。
【請求項2】
前記通信制御システムは、
前記端末装置によって生成される前記要求信号に応じて、前記要求信号を前記閉域網に送信するか否かを判定し、前記要求信号を前記閉域網に送信しない場合、前記アクセス制御装置とは異なるアクセス制御装置であって前記閉域網に接続されるインターネットに接続されたアクセス制御装置に、前記要求信号を送信する中継装置
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の通信制御システム。
【請求項3】
複数の端末装置とサービス提供装置とに閉域網を介して接続されるアクセス制御装置であって、
前記サービス提供装置によって提供されるサービスを特定するサービス名と、前記端末装置が設置されるエリア毎に割り当てられた端末アドレスを表すソースアドレスと、前記ソースアドレスに応じた前記エリアに提供されるサービス名に対応する前記サービス提供装置の接続先を特定する応答情報とを対応づけて記憶する解決情報記憶部と、
前記端末装置から送信される要求信号を受信する受信部と、
前記受信部が受信する要求信号に基づいて、前記解決情報記憶部に記憶されている情報を参照し、前記要求信号に含まれる端末アドレスに対応するソースアドレスと、前記要求信号に含まれるサービス名との組み合わせに応じた応答情報を前記解決情報記憶部から読み出すサービス名解決部と、
前記サービス名解決部が読み出した応答情報を前記端末装置に送信する送信部と、
を有することを特徴とするアクセス制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−44865(P2011−44865A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−191073(P2009−191073)
【出願日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【出願人】(399041158)西日本電信電話株式会社 (215)
【Fターム(参考)】