説明

通信機器

【課題】電子メール作成中において電子メールを受信した場合、受信した電子メールの必要な情報を反映し、効率よく電子メールの作成を行うことができる通信機器を提供する。
【解決手段】電子メールの送受信を行う電子メール送受信手段と、送信先の電子メールアドレスを指定して電子メールを作成するメール作成手段と、メール作成手段による電子メール作成中において電子メール送受信手段により電子メールが受信された場合、受信された電子メールの送信元の電子メールアドレスと、作成中である電子メールの送信先の電子メールアドレスとが一致するか否かを判定する判定手段と、判定手段により受信された電子メールの送信元の電子メールアドレスと、作成中である電子メールの送信先の電子メールアドレスとが一致すると判定された場合、作成中の電子メールを表示する作成メール表示領域と、受信された電子メールを表示する受信メール表示領域とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信機器に係り、特に、電子メールの送受信機能を備えた通信機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機などの通信機器は、電子メールの送受信機能を備えたものが広く用いられている。また、ユーザ間における電子メールのやり取りが頻繁に行われ、音声通話と同様にリアルタイムにコミュニケーションを行う手段としても用いられるようになった。このような通信機器では、電子メールの作成と並行して、電子メールが受信される場合も起こり得る。
【0003】
従来、通信機器の表示画面の限られたスペースを有効に利用し、受信メールの内容をユーザに通知する技術が知られている。
【0004】
例えば、特許文献1には、未読の受信メールの内容などをユーザに報知するために表示すべき情報を、ユーザによる所定の操作を経なくても、自動的に表示画面に表示することができる携帯電話端末が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、電子メールの受信時に、あらかじめ設定された条件に基づき受信メールを検索し、条件に合致した場合には、必要な情報をテロップとして受信者の画面上に表示して、内容や重要度を判断できるようにする電子メールの着信通知方式が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−42698号公報
【特許文献2】特開平10−269154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
通信機器は、電子メールの作成中において、作成中の電子メール(作成メール)の送信先と一致する送信元から送信された電子メールを受信する可能性がある。例えば、通信機器は、ある送信元より受信した電子メールAに対する返信としての電子メールを作成中である場合、さらに同一の送信元より電子メールBを受信する可能性がある。このときユーザは、電子メールAに対する返信を送信する前に、電子メールBの内容を確認し、必要であれば作成メールに反映することを望む場合がある。
【0008】
特許文献1および2に開示された技術は、電子メールの作成を含む操作中に電子メールを受信した場合において、ピクト表示エリアなどの表示画面中にスクロール(テロップ)などを利用して、受信した電子メールの内容を表示するものであった。しかし、作成中の電子メールに関連性のない電子メールであっても表示画面に表示されるものであり、ユーザにとっては不必要な電子メールの内容までもが表示されていた。また、受信された電子メールが作成メールに関連性のある電子メールであり、ユーザにとって必要な情報であったとしても、ピクト表示エリアなどの限られた表示領域にスクロール(テロップ)表示することによりユーザに通知するものであり、視認性に劣るものであった。
【0009】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、電子メール作成中において電子メールを受信した場合、受信した電子メールの必要な情報を反映し、効率よく電子メールの作成を行うことができる通信機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る通信機器は、上述した課題を解決するために、電子メールの送受信を行う電子メール送受信手段と、送信先の電子メールアドレスを指定して電子メールを作成するメール作成手段と、前記メール作成手段による前記電子メール作成中において前記電子メール送受信手段により電子メールが受信された場合、前記受信された電子メールの送信元の電子メールアドレスと、前記作成中である電子メールの前記送信先の電子メールアドレスとが一致するか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により前記受信された電子メールの前記送信元の電子メールアドレスと、前記作成中である電子メールの前記送信先の電子メールアドレスとが一致すると判定された場合、前記作成中の電子メールを表示する作成メール表示領域と、前記受信された電子メールを表示する受信メール表示領域とを表示する表示手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る通信機器は、電子メールの送受信を行う電子メール送受信手段と、送信先の電子メールアドレスを指定して電子メールを作成し、かつ既に受信された電子メールである既受信メールの少なくとも一部が引用された電子メールを作成するメール作成手段と、前記メール作成手段による前記電子メール作成中において、前記電子メール送受信手段により電子メールが受信された場合、前記受信された電子メールの送信元の電子メールアドレスと、前記作成中である電子メールが引用した前記既受信メールの送信元の電子メールアドレスとが一致するか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により前記受信された電子メールの前記送信元の電子メールアドレスと、作成中である前記電子メールが引用した前記既受信メールの送信元の電子メールアドレスとが一致すると判定された場合、前記作成中である電子メールで引用された前記既受信メールを、受信された前記電子メールに差し替え、または追加する引用制御手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る通信機器は、電子メール作成中において電子メールを受信した場合、受信した電子メールの必要な情報を反映し、効率よく電子メールの作成を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る通信機器の一例である折り畳み式の携帯電話機の外観の構成を示す図。
【図2】本発明に係る通信機器の一例である折り畳み式の携帯電話機の他の外観の構成を示す図。
【図3】本実施形態における携帯電話機の内部の構成を示す図。
【図4】本実施形態における携帯電話機の制御部により実行されるメール受信時処理を説明するフローチャート。
【図5】本実施形態における携帯電話機の電子メール作成時における受信メール表示例を示す図。
【図6】本実施形態における携帯電話機の電子メール作成時における他の受信メール表示例を示す図。
【図7】本実施形態における携帯電話機の電子メール作成時に複数のメールを受信した場合の受信メール表示例を示す図。
【図8】本実施形態における携帯電話機の電子メール作成時に複数のメールを受信した場合の他の受信メール表示例を示す図。
【図9】本実施形態における携帯電話機の電子メール作成時に複数のメールを受信した場合のさらに他の受信メール表示例を示す図。
【図10】本実施形態における携帯電話機の制御部により実行される引用メール作成時におけるメール受信時処理を説明するフローチャート。
【図11】本実施形態における携帯電話機の引用メール作成時における受信メール表示例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る通信機器の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は、本発明に係る通信機器の一例である折り畳み式の携帯電話機1の外観の構成を示す図である。図1(A)は、携帯電話機1を約180度に開いた開状態のときの正面から見た外観の構成を示し、図1(B)は、携帯電話機1を開状態としたときの側面から見た外観の構成を示す。
【0016】
図1(A)および(B)に示されるように、携帯電話機1は、中央のヒンジ部11を境に第一の筐体12と第二の筐体13とがヒンジ結合されており、ヒンジ部11を介して矢印X方向に折り畳み可能に形成される。携帯電話機1の内部の所定の位置には、送受信用のアンテナ(後述する図3のアンテナ31)が設けられており、内蔵されたアンテナを介して基地局(図示せず)との間で電波を送受信する。
【0017】
第一の筐体12には、その表面に操作キー14が設けられる。操作キー14は、特に、「0」から「9」の数字や「あ」行から「わ」行のかな文字、「A」から「Z」のアルファベットの入力が可能な数字キー15や、上下左右方向キーを備えた十字キー16、確定キー17、左ソフトキー20、右ソフトキー21、メールキー18などで構成される。
【0018】
十字キー16は、上下左右方向に操作されることによりメインディスプレイ23に表示されたカーソルなどを上下左右方向に移動させることができる。また、確定キー17が押下されることにより、種々の処理の確定処理が実行される。確定キー17には、メインディスプレイ23の下部に設けられた確定キー機能表示部23aに表示される処理も割り当てられる。
【0019】
さらに、第一の筐体12の十字キー16および確定キー17の上部には、左ソフトキー20および右ソフトキー21が設けられる。第一の筐体12の側面には、携帯電話機1の操作を行うサイドキー22が設けられる。左ソフトキー20、右ソフトキー21およびサイドキー22は、第一の筐体12の内部方向に押下されることによって、それぞれ所定の処理が割り当てられている。特に左ソフトキー20および右ソフトキー21は、メインディスプレイ23の下部に設けられた左ソフトキー機能表示部23bおよび右ソフトキー機能表示部23cに表示される処理が割り当てられる。メールキー18は、電子メール機能を利用する際のメニュー画面を表示する処理が割り当てられたキーである。ユーザは、電子メール機能を利用する際、まずこのメールキー18を押下し、メニュー画面を開く操作を行う。
【0020】
第一の筐体12には、操作キー14の下部にマイクロフォン24が設けられており、マイクロフォン24によって通話時のユーザの音声を集音する。
【0021】
なお、第一の筐体12は、背面側に図示しないバッテリパックが挿着されており、終話・電源キーが押下されてオン状態になると、バッテリパックから各回路部に対して電力が供給されて動作可能な状態に起動する。
【0022】
一方、第二の筐体13には、その大部分の面積を占めるメインディスプレイ23が設けられる。メインディスプレイ23には、電波の受信状態、電池残量などを表示するピクト行23dや各機能表示部23a、23b、23cが設けられる。なお、メインディスプレイ23は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(ElectroLuminescence)ディスプレイ、無機ELディスプレイにより構成されるディスプレイである。メインディスプレイ23は、表示手段として機能する。
【0023】
第二の筐体13のメインディスプレイ23の上部の所定の位置にはレシーバ(受話器)25が設けられており、これにより、ユーザは音声通話することが可能である。なお、携帯電話機1の所定の位置には、レシーバ25以外の音声出力部としてのスピーカ(図示せず)も設けられている。さらに、第二の筐体13のレシーバ25上部には、内部CCDカメラ26が設けられており、これにより、所望の撮影対象を撮影することができる。
【0024】
図2は、本発明に係る通信機器の一例である折り畳み式の携帯電話機1の他の外観の構成を示す図である。図2の携帯電話機1は、図1の携帯電話機1の状態から矢印X方向に回動させた閉状態を構成する。図2(A)は、携帯電話機1が閉状態のときの正面から見た外観の構成を示し、図2(B)は、携帯電話機1が閉状態のときの側面から見た外観の構成を示す。
【0025】
第二の筐体13の上部には、外部CCDカメラ27が設けられており、これにより、所望の撮影対象を撮影することができる。本実施形態における内部CCDカメラ26および外部CCDカメラ27は、撮影手段として機能する。外部CCDカメラ27の下部には、例えばLCDで構成されるサブディスプレイ28が設けられており、現在のアンテナの感度のレベルを示すアンテナピクト、携帯電話機1の現在の電池残量を示す電池ピクト、現在の時刻などが表示される。
【0026】
図3は、本実施形態における携帯電話機1の内部の構成を示す図である。図示せぬ基地局から送信されてきた無線信号は、アンテナ31で受信された後、アンテナ共用器(DUP)32を介して受信回路(RX)33に入力される。受信回路33は、受信された無線信号を周波数シンセサイザ(SYN)34から出力された局部発振信号とミキシングして中間周波数信号に周波数変換(ダウンコンバート)する。そして、受信回路33は、このダウンコンバートされた中間周波数信号を直交復調して受信ベースバンド信号を出力する。なお、周波数シンセサイザ34から発生される局部発振信号の周波数は、制御部41から出力される制御信号SYCによって指示される。
【0027】
受信回路33からの受信ベースバンド信号は、CDMA信号処理部36に入力される。CDMA信号処理部36は、図示せぬRAKE受信機を備える。このRAKE受信機では、受信ベースバンド信号に含まれる複数のパスがそれぞれの拡散符号(すなわち、拡散された受信信号の拡散符号と同一の拡散符号)で逆拡散処理される。そして、この逆拡散処理された各パスの信号は、位相が調停された後、コヒーレントRake合成される。Rake合成後のデータ系列は、デインタリーブおよびチャネル復号(誤り訂正復号)が行われた後、2値のデータ判定が行われる。これにより、所定の伝送フォーマットの受信パケットデータが得られる。この受信パケットデータは、圧縮伸張処理部37に入力される。
【0028】
圧縮伸張処理部37は、DSP(Digital Signal Processor)などにより構成され、CDMA信号処理部36から出力された受信パケットデータを図示せぬ多重分離部によりメディアごとに分離し、分離されたメディアごとのデータに対してそれぞれ復号処理を行う。例えば通話モードにおいては、受信パケットデータに含まれる通話音声などに対応するオーディオデータをスピーチコーデックにより復号する。また、例えばテレビ電話モードなどのように、受信パケットデータに動画像データが含まれていれば、この動画像データをビデオコーデックにより復号する。さらに、受信パケットデータがダウンロードコンテンツであれば、このダウンロードコンテンツを伸張した後、伸張されたダウンロードコンテンツを制御部41に出力する。
【0029】
復号処理により得られたディジタルオーディオ信号はPCMコーデック38に供給される。PCMコーデック38は、圧縮伸張処理部37から出力されたディジタルオーディオ信号をPCM復号し、PCM復号後のアナログオーディオデータ信号を受話増幅器39に出力する。このアナログオーディオ信号は、受話増幅器39にて増幅された後、レシーバ25により出力される。
【0030】
圧縮伸張処理部37によりビデオコーデックにて復号されたディジタル動画像信号は、制御部41に入力される。制御部41は、圧縮伸張処理部37から出力されたディジタル動画像信号に基づく動画像を、図示せぬビデオRAM(例えばVRAMなど)を介してメインディスプレイ23に表示させる。なお、制御部41は、受信された動画像データだけでなく、CCDカメラ26、27(内部CCDカメラ26、外部CCDカメラ27)により撮像された動画像データに関しても、図示せぬビデオRAMを介してメインディスプレイ23に表示させることも可能である。
【0031】
また、圧縮伸張処理部37は、受信パケットデータが電子メールである場合、この電子メールを制御部41に供給する。制御部41は、圧縮伸張処理部37から供給された電子メールを記憶部42に記憶させる。そして、制御部41は、ユーザによる入力部としての操作キー14の操作に応じて、記憶部42に記憶されているこの電子メールを読み出し、読み出された電子メールをメインディスプレイ23に表示させる。
【0032】
一方、通話モードにおいて、マイクロフォン24に入力された話者(ユーザ)の音声信号(アナログオーディオ信号)は、送話増幅器40により適正レベルまで増幅された後、PCMコーデック38によりPCM符号化される。このPCM符号化後のディジタルオーディオ信号は、圧縮伸張処理部37に入力される。また、CCDカメラ26、27から出力される動画像信号は、制御部41によりディジタル化されて圧縮伸張処理部37に入力される。さらに、制御部41にて作成されたテキストデータである電子メールも、圧縮伸張処理部37に入力される。
【0033】
圧縮伸張処理部37は、PCMコーデック38から出力されたディジタルオーディオ信号を所定の送信データレートに応じたフォーマットで圧縮符号化する。これにより、オーディオデータが生成される。また、圧縮伸張処理部37は、制御部41から出力されたディジタル動画像信号を圧縮符号化して動画像データを生成する。そして、圧縮伸張処理部37は、これらのオーディオデータや動画像データを図示せぬ多重分離部で所定の伝送フォーマットに従って多重化した後にパケット化し、パケット化後の送信パケットデータをCDMA信号処理部36に出力する。なお、圧縮伸張処理部37は、制御部41から電子メールが出力された場合にも、この電子メールを送信パケットデータに多重化する。
【0034】
CDMA信号処理部36は、圧縮伸張処理部37から出力された送信パケットデータに対し、送信チャネルに割り当てられた拡散符号を用いてスペクトラム拡散処理を施し、スペクトラム拡散処理後の出力信号を送信回路(TX)35に出力する。送信回路35は、スペクトラム拡散処理後の信号をQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)方式などのディジタル変調方式を使用して変調する。送信回路35は、ディジタル変調後の送信信号を、周波数シンセサイザ34から発生される局部発振信号と合成して無線信号に周波数変換(アップコンバート)する。そして、送信回路35は、制御部41により指示される送信電力レベルとなるように、このアップコンバートにより生成された無線信号を高周波増幅する。この高周波増幅された無線信号は、アンテナ共用器32を介してアンテナ31に供給され、このアンテナ31から図示せぬ基地局に向けて送信される。また、携帯電話機1には、現在の正確な時刻や所定の時間を測定する時計回路45が設けられている。
【0035】
制御部41は、CPU(central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、およびRAM(Random Access Memory)などからなり、CPUは、ROMに記憶されているプログラムまたは記憶部42からRAMにロードされた各種のアプリケーションプログラムに従って各種の処理を実行するとともに、種々の制御信号を生成し、各部に供給することにより携帯電話機1を統括的に制御する。RAMは、CPUが各種の処理を実行する上において必要なデータなどを適宜記憶する。また、制御部41はビデオRAMも備え、メインディスプレイ23に表示される映像に関する情報が一時的に格納される。
【0036】
記憶部42は、例えば、電気的に書換えや消去が可能な不揮発性メモリであるフラッシュメモリ素子やHDD(Hard Disc Drive)などからなり、制御部41のCPUにより実行される種々のアプリケーションプログラムや種々のデータ群を格納している。電源回路44は、バッテリ43の出力を基に所定の動作電源電圧Vccを生成して各回路部に供給する。
【0037】
本実施形態における携帯電話機1は、電子メールの送受信機能を備えている。以下、携帯電話機1において、電子メールの受信時に実行されるメール受信時処理について説明する。
【0038】
図4は、本実施形態における携帯電話機1の制御部41により実行されるメール受信時処理を説明するフローチャートである。このメール受信時処理は、携帯電話機1が電子メールを受信した場合に開始される。
【0039】
ステップS1において、制御部41は、新規メールおよび返信メールなどの送信するための電子メール(作成メール)が作成中であるか否かの判定を行う。作成メールは、操作キー14より入力を受け付けた文字列などを、メインディスプレイ23に設けられた作成メール表示領域で表示しながら作成される。このとき、作成メール表示領域は、メインディスプレイ23のピクト行23dや各機能表示部23a、23b、23c以外の表示領域で構成されている。
【0040】
制御部41は電子メール作成中であると判定した場合、ステップS2において、受信された電子メール(受信メール)の送信元の電子メールアドレス(アドレス)と、作成メールの送信先のアドレスとが一致するか否かを判定する。制御部41は、作成メールの送信先のアドレスが複数個である場合には、いずれかの送信先のアドレスと一致するか否かを判定する。また、制御部41は、電子メールの通常の送信先として「To:」に指定されたアドレス以外にも、「Cc:(Carbon Copy)」および「Bcc:(Blind Carbon Copy)」で指定されたアドレスについても、受信メールの送信元のアドレスと一致するか否かを判定する。
【0041】
制御部41は、受信メールの送信元のアドレスと、作成メールの送信先のアドレスとが一致すると判定した場合、ステップS3において、受信メールの内容を作成メールとともにメインディスプレイ23に表示させる。制御部41は、表示されている作成メール表示領域を縮小し、受信メール表示領域を新たに設けて受信メールを表示する。
【0042】
一方、制御部41は、作成判定ステップS1において電子メールの作成中ではないと判定した場合、およびアドレス判定ステップS2において受信メールの送信元のアドレスと、作成メールの送信先のアドレスとが一致しないと判定した場合、ステップS4において、電子メール受信時に実行される通常の処理を実行する。例えば、制御部41は、タイトルなどの受信した電子メールの概要をメインディスプレイ23やサブディスプレイ28に表示したり、受信した電子メールがある旨を示す受信メールアイコンやピクトをメインディスプレイ23やサブディスプレイ28に表示したり、着信音の報知やバイブレータの振動で受信を通知する処理を行う。
【0043】
図5は、本実施形態における携帯電話機1の電子メール作成時における受信メール表示例を示す図である。図5(A)は、通常の電子メール作成時のメインディスプレイ23の表示例を示す図である。図5(B)は、電子メール作成時に受信メールを表示する場合のメインディスプレイ23の表示例を示す図である。
【0044】
図5(A)に示すように、ユーザはAさんを送信先とする電子メールを作成中である。メインディスプレイ23のピクト行23dと各機能表示部23a、23b、23c以外の表示領域は、作成メール表示領域51として構成されている。このとき、制御部41は電子メールを受信し、かつ、受信メールの送信元のアドレスと、作成メールの送信先のアドレスとが一致した場合、図5(B)に示すように、作成メール表示領域51を縮小し、受信メール表示領域52を新たに設けて受信メールを表示する。例えば、制御部41は、図5(B)に示すように、作成メール表示領域51として設けられていた表示領域を二分割し、作成メール表示領域51と受信メール表示領域52とを新たに設けることで、受信メールを表示する。
【0045】
なお、携帯電話機1は、既に受信された受信メール(既受信メール)の中から選択された少なくとも一の既受信メールを表示させながら、電子メールの作成を行うように構成してもよい。図6は、本実施形態における携帯電話機1の電子メール作成時における他の受信メール表示例を示す図である。図6(A)は、既受信メールを表示しながら電子メール作成を行う場合のメインディスプレイ23の表示例を示す図である。図6(B)は、電子メール作成時に受信メールを表示する場合のメインディスプレイ23の表示例を示す図である。
【0046】
図6(A)に示すように、携帯電話機1は、メインディスプレイ23に既受信メール表示領域53を設けることにより、既受信メールを表示しながら電子メールを作成する。このため、ユーザは、既受信メールに対する返信としての電子メールの作成をスムーズに行うことができる。このとき、電子メールを受信し、かつ受信した電子メールの送信元のアドレスと、作成メールの送信先のアドレスとが一致する場合、図6(B)に示すように、制御部41は、メインディスプレイ23の既受信メール表示領域53を、上述した受信メール表示領域52に変更して、受信メールを表示させることができる。
【0047】
ここで、メインディスプレイ23に設けられた受信メール表示領域52に、受信メールを表示している際に、複数の電子メールを受信し、かつ受信メールの送信元のアドレスと、作成メールの送信先のアドレスとが一致する場合が起こり得る。以下、本実施形態における携帯電話機1により、受信した電子メールのうち、最新の受信メールが受信メール表示領域52に表示される例を説明する。
【0048】
図7は、本実施形態における携帯電話機1の電子メール作成時に複数のメールを受信した場合の受信メール表示例を示す図である。図7(A)は、電子メール作成時に受信メールを表示する場合のメインディスプレイ23の表示例を示す図である。図7(B)は、電子メール作成時にさらに他の受信メールを表示する場合のメインディスプレイ23の表示例を示す図である。
【0049】
図7(A)に示すように、メインディスプレイ23には、作成メール表示領域51と受信メール表示領域52とが設けられている。このとき、制御部41は複数の電子メールを受信し、かつ、受信メールの送信元のアドレスと、作成メールの送信先のアドレスとが一致した場合、図7(B)に示すように、現在受信メール表示領域52に表示されている受信メールに替えて、さらに受信した電子メールを表示する。
【0050】
図7では受信した電子メールのうち、最新の受信メールを受信メール表示領域52に表示する例を説明した。これに対し、受信メール表示領域52に表示する受信メールを所定時間毎に切り替えるように構成することもできる。
【0051】
図8は、本実施形態における携帯電話機1の電子メール作成時に複数のメールを受信した場合の他の受信メール表示例を示す図である。図8(A)は、電子メール作成時に受信メールを表示する場合のメインディスプレイ23の表示例を示す図である。図8(B)は、電子メール作成時にさらに他の受信メールを表示する場合のメインディスプレイ23の表示例を示す図である。
【0052】
図8(A)に示すように、メインディスプレイ23の受信メール表示領域52には、一の受信メールが表示されている。このとき、制御部41は複数の電子メールを受信し、かつ、受信メールの送信元のアドレスと、作成メールの送信先のアドレスとが一致した場合、図8(B)に示すように、受信メール表示領域52に表示する受信メールを所定時間毎(例えば5秒毎)に切り替えて表示する。
【0053】
また、所定の操作キー14の入力操作を受け付けることにより、受信メール表示領域52に表示する受信メールを所定時間毎に切り替えるように構成することもできる。
【0054】
図9は、本実施形態における携帯電話機1の電子メール作成時に複数のメールを受信した場合のさらに他の受信メール表示例を示す図である。図9(A)は、電子メール作成時に受信メールを表示する場合のメインディスプレイ23の表示例を示す図である。図9(B)は、電子メール作成時にさらに他の受信メールを表示する場合のメインディスプレイ23の表示例を示す図である。
【0055】
図9(A)に示すように、メインディスプレイ23の受信メール表示領域52には、一の受信メールが表示されている。このとき、制御部41は複数の電子メールを受信し、かつ、受信メールの送信元のアドレスと、作成メールの送信先のアドレスとが一致した場合、図9(B)に示すように、所定の操作キー14の入力操作を受け付けることにより、受信メール表示領域52に表示する受信メールを切り替えて表示する。なお、所定の操作キー14は、受信メールを切り替える指示の入力を受け付けるキーであればいずれの操作キー14でもよく、例えばソフトキー20、21に割り当てることができる。
【0056】
本実施形態における携帯電話機1は、受信メールの送信元のアドレスと、作成メールの送信先の電子メールアドレスとが一致した場合に、メインディスプレイ23に受信メール表示領域52を設けることにより、受信メールの内容を確認して効率よく電子メールの作成を行う構成とした。これに対し、携帯電話機1は、既に受信された既受信メールの少なくとも一部が引用された電子メールが作成中である場合においても、受信メールの送信元のアドレスと、作成中である電子メールが引用した既受信メールの送信元のアドレスとが一致する場合や、受信メールの送信元のアドレスと、作成メールの送信先の電子メールアドレスとが一致した場合においても、受信メールの内容を反映させて電子メールの作成を行ってもよい。
【0057】
図10は、本実施形態における携帯電話機1の制御部41により実行される、引用メール作成時におけるメール受信時処理を説明するフローチャートである。なお、図4のメール受信時処理と重複する箇所については省略して説明する。
【0058】
ステップS11において、制御部41は、既受信メールの少なくとも一部(例えば本文の少なくとも一部)が引用された電子メール(引用メール)が作成中であるか否かの判定を行う。引用メールが作成中であると判定した場合に実行されるアドレス判定ステップS12は、図4の電子メール受信時処理とほぼ同様であるため説明を省略する。
【0059】
アドレス判定ステップS12において、受信メールの送信元のアドレスと、作成中メールの送信先のアドレスとが一致すると判定した場合、ステップS13において、引用された既受信メールの送信元アドレスと、作成メールの送信先のアドレスとが一致するか否かの判定を行う。制御部41は、引用された既受信メールの送信元アドレスと、作成メールの送信先のアドレスとが一致すると判定した場合、ステップS14において、作成メールで引用された既受信メールを、受信メールに差し替える処理を行う。または、制御部41は、引用された既受信メールに加え、受信メールを追加する処理を行う。
【0060】
一方、制御部41は、作成判定ステップS11において引用メールの作成中ではないと判定した場合、およびアドレス判定ステップS12およびS13において受信メールおよび引用された既受信メールの送信元のアドレスと、作成メールの送信先のアドレスとが一致しないと判定した場合、ステップS15において、電子メール受信時に実行される通常の処理を実行する。以上で引用メール作成時におけるメール受信処理を終了する。
【0061】
図11は、本実施形態における携帯電話機1の引用メール作成時における受信メール表示例を示す図である。図11(A)は、通常の引用メール作成時のメインディスプレイ23の表示例を示す図である。図11(B)および(C)は、引用メール作成時に受信メールを表示する場合のメインディスプレイ23の表示例を示す図である。
【0062】
図11(A)に示すように、ユーザはAさんより既に受信した受信メール(既受信メール)の本文を引用したメールを作成中である。このとき、制御部41は電子メールを受信し、かつ、受信メールおよび引用された既受信メールの送信元のアドレスと、作成メールの送信先のアドレスとが一致した場合、図11(B)に示すように、引用されていた既受信メールの本文を、新たな受信メールの本文に差し替える。または、制御部41は図11(C)に示すように、引用されていた既受信メールの内容に、新たな受信メールの本文を追加する。
【0063】
なお、制御部41は、メール受信時処理のアドレス判定ステップS12において受信メールの送信元アドレスと作成メールの送信先アドレスとが一致するか否かを判定し、さらにアドレス判定ステップS13において引用された既受信メールの送信元アドレスと作成メールの送信先アドレスとが一致するか否かの判定を行ったが、いずれか一方の判定ステップのみを実行するように構成してもよい。
【0064】
この携帯電話機1によれば、電子メール作成中において電子メールを受信した場合、受信した電子メールの必要な情報を反映し、効率よく電子メールの作成を行うことができる。すなわち、電子メール作成中であっても、作成メールの送信先と一致する送信元より電子メールを受信した場合には、その受信メールの内容を知ることができるため、必要に応じて受信メールの内容を作成メールに反映することができる。このため、ユーザは、入れ違いによる不適切な内容の電子メールの送受信を防ぐことができる。
【0065】
一方では、電子メール作成中に表示される受信メールは、作成メールの送信先と送信元が一致する受信メールに限定したため、不必要に電子メール作成のための表示領域を妨げることがない点で有効である。
【0066】
また、引用メールについても同様に、受信メールの内容を反映して作成することができる点で、電子メールの作成を効率よく行うことができる。
【0067】
また、作成メールの送信先と一致する電子メールが複数受信された場合であっても、自動または手動で切り替えて表示することにより、視認性を維持することができる。
【0068】
上述した本実施形態における携帯電話機1は、本発明の効果を奏する範囲内で個別にまたは適宜組み合わせて構成することができる。
【0069】
本発明は携帯電話機以外にも、PDA(Personal Digital Assistant)、パーソナルコンピュータ、携帯型ゲーム機、携帯型音楽再生機、携帯型動画再生機、その他の電子メール機能を備えた通信機器にも適用することができる。
【0070】
さらに、本発明の各実施形態において説明した一連の処理は、ソフトウェアにより実行させることもできるが、ハードウェアにより実行させることもできる。
【0071】
さらにまた、本実施形態では、フローチャートのステップは記載された順序に沿って時系列的に行われる処理の例を示したが、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別実行される処理をも含むものである。
【符号の説明】
【0072】
1 携帯電話機
11 ヒンジ部
12 第一の筐体
13 第二の筐体
14 操作キー
18 メールキー
20 左ソフトキー
21 右ソフトキー
23 メインディスプレイ
23b 左ソフトキー機能表示部
23c 右ソフトキー機能表示部
23d ピクト行
41 制御部
42 記憶部
51 作成メール表示領域
52 受信メール表示領域
53 既受信メール表示領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子メールの送受信を行う電子メール送受信手段と、
送信先の電子メールアドレスを指定して電子メールを作成するメール作成手段と、
前記メール作成手段による前記電子メール作成中において前記電子メール送受信手段により電子メールが受信された場合、前記受信された電子メールの送信元の電子メールアドレスと、前記作成中である電子メールの前記送信先の電子メールアドレスとが一致するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記受信された電子メールの前記送信元の電子メールアドレスと、前記作成中である電子メールの前記送信先の電子メールアドレスとが一致すると判定された場合、前記作成中の電子メールを表示する作成メール表示領域と、前記受信された電子メールを表示する受信メール表示領域とを表示する表示手段とを備えたことを特徴とする通信機器。
【請求項2】
前記電子メールが作成中である場合に、前記判定手段により複数の前記受信された電子メールの前記送信元の電子メールアドレスと、前記作成中である電子メールの前記送信先の電子メールアドレスとが一致すると判定された場合、前記受信メール表示領域に前記受信された電子メールのうち最新の前記電子メールを表示させる表示制御手段をさらに備えた請求項1記載の通信機器。
【請求項3】
前記電子メールが作成中である場合に、前記判定手段により複数の前記受信された電子メールの前記送信元の電子メールアドレスと、前記作成中である電子メールの前記送信先の電子メールアドレスとが一致すると判定された場合、前記受信メール表示領域に複数の前記受信された電子メールを所定時間ごとに切り替えて表示させる請求項1記載の通信機器。
【請求項4】
前記電子メールが作成中である場合に、前記判定手段により複数の前記受信された電子メールの前記送信元の電子メールアドレスと、前記作成中である電子メールの前記送信先の電子メールアドレスとが一致すると判定された場合、所定の入力操作を受け付けることにより、前記受信メール表示領域に複数の前記受信された電子メールを切り替えて表示させる請求項1記載の通信機器。
【請求項5】
前記表示手段は、前記電子メールが作成中である場合に、前記作成中の電子メールを表示する作成メール表示領域と、既に受信された既受信メールの中から選択された少なくとも一の前記既受信メールを表示する既受信メール表示領域とを備え、
前記判定手段により前記受信された電子メールの前記送信元の電子メールアドレスと前記作成中である電子メールの前記送信先の電子メールアドレスとが一致すると判定された場合、前記既受信メール表示領域に代えて、前記受信メール表示領域を設ける表示制御手段をさらに備えた請求項1記載の通信機器。
【請求項6】
前記作成中の電子メールの前記送信先の電子メールアドレスは、CcおよびBccで指定された前記電子メールアドレスを含む請求項1記載の通信機器。
【請求項7】
電子メールの送受信を行う電子メール送受信手段と、
送信先の電子メールアドレスを指定して電子メールを作成し、かつ既に受信された電子メールである既受信メールの少なくとも一部が引用された電子メールを作成するメール作成手段と、
前記メール作成手段による前記電子メール作成中において、前記電子メール送受信手段により電子メールが受信された場合、前記受信された電子メールの送信元の電子メールアドレスと、前記作成中である電子メールが引用した前記既受信メールの送信元の電子メールアドレスとが一致するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記受信された電子メールの前記送信元の電子メールアドレスと、作成中である前記電子メールが引用した前記既受信メールの送信元の電子メールアドレスとが一致すると判定された場合、前記作成中である電子メールで引用された前記既受信メールを、受信された前記電子メールに差し替え、または追加する引用制御手段とを備えたことを特徴とする通信機器。
【請求項8】
前記判定手段は、前記受信された電子メールの送信元の電子メールアドレスと、前記作成中である電子メールの前記送信先の電子メールアドレスとが一致するか否かをさらに判定し、
前記判定手段により前記受信された電子メールの前記送信元の電子メールアドレスと、前記作成中である電子メールの前記送信先の電子メールアドレスとが一致すると判定された場合、前記引用制御手段は前記作成中である電子メールで引用された前記既受信メールを、受信された前記電子メールに差し替え、または追加する請求項7記載の通信機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−165126(P2010−165126A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−6109(P2009−6109)
【出願日】平成21年1月14日(2009.1.14)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】