説明

通信用筺体

【課題】同一の外形で内部の容積をさらに増加させることができる通信用筺体を提供する。
【解決手段】一方の側面が開放されていて、開放面の端部の厚さが0.5〜2.5mmのボディー部と、前記ボディー部の開放面を密閉するカバー部とを含む。本発明は、ボディーとカバーを相互締結するねじを含む構造において当該ねじが締結されるボディーの一部を除いて、その厚さを減少させて、同一の外形のサイズを有する筺体において内部容積を増加させることができるので、通信用部品の重量を低減し、内部空間活用をさらに容易にすることができると共に、その特性を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信用筺体に関し、より詳細には、通信特性をさらに向上させることができる通信用筺体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、通信用筺体は、無線通信システムに用いられるフィルタやアンテナなど個別部品のケースと、フィルタやアンテナなどの個別部品の集合体を内蔵するケースを総称する。
【0003】
最近、通信用基地局の代わりに、1つの筺体内に多数の個別部品を実装する研究が進行されているが、個別部品のサイズと重量が大きいため、集積化することが困難であるという不都合がある。
【0004】
また、個別部品の例として通信用フィルタの場合には、筺体内の空間が通信信号の存在または伝達経路として使用されるので、筺体ボディーと筺体カバーの密着度を高め、信号の漏洩を防止するために、多数のねじを用いてボディーとカバーを締結している。
【0005】
しかしながら、ねじを締結するために、各個別部品の筺体は、ねじを締結した時、安定性を確保するために、各面が所定の厚さ以上に設計されている。
【0006】
例えば、ねじの直径が3mmの場合、少なくとも4〜4.5mm以上の先端厚さを有する筺体が要求されている。
【0007】
これにより、筺体の外形に比べて、筺体の内部容積が相対的に小さくなり、また、当該筺体内に複雑な幾何学的形状を有する構造物が配置され、所望の特性のフィルタを実現しなければならないが、その内部容積が相対的に小さいため、構造物の配置が容易でないという問題点があった。
【0008】
また、通信用フィルタの場合、内部の容積が大きいほど共振度Qが向上するなどの特性が向上するが、通常、外形のサイズが設置面積によって制限されるフィルタの共振度を向上させるために内部容積を増加させることが容易ではないという問題点があった。
【0009】
このような特性の向上を考慮して、従来の通信用フィルタの場合、銀を筺体にメッキする方法を使用したが、これは、製造費用を増加させるという問題点があった。
【0010】
また、通信用フィルタは、ボディー及びカバーにねじが締結される部分は完全な密着が行われるが、ねじとねじの間の領域では、微細にボディーとカバーとの間に隙間が発生することができ、そのため、接触の非線形性に起因する受動相互変調歪み(PIMD)を発生させる問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、前述のような問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、同一の外形で内部の容積をさらに増加させることができる通信用筺体を提供することにある。
【0012】
また、本発明の他の目的は、内部容積の増加によって移動通信部品の特性を向上させ、したがって、メッキしないか、またはさらに低価の素材でメッキしても、従来の銀をメッキした移動通信装置に比べてさらに優れた特性を示すことができる通信用筺体を提供することにある。
【0013】
本発明のさらに他の目的は、筺体を構成するボディーとカバーとの間に接触非線形性の発生を防止し、移動通信部品の特性劣化を防止することができる通信用筺体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明による通信用筺体は、一方の側面が開放されていて、開放面の端部の厚さが0.5〜2.5mmのボディー部と、前記ボディー部の開放面を密閉するカバー部とを含む。
【0015】
前記ボディー部には、前記端部よりさらに厚いねじ締結部が設けられることができる。
【0016】
前記ボディー部と前記カバー部との間には、段差または相互噛合される凹凸部をさらに含むことができる。
【0017】
前記カバー部には、前記ボディー部の端部が挿入される溝をさらに含むことができる。
【0018】
前記ボディー部と前記カバー部との間には、前記ボディー部及び前記カバー部より軟質の金属シール部をさらに含むことができる。
【0019】
前記ボディー部及び前記カバー部は、前記ボディー部及び前記カバー部より溶融点が低い気密層によって相互接合されることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明による通信用筺体は、ボディーとカバーを相互締結するねじを含む構造において当該ねじが締結されるボディーの一部を除いて、その厚さを減少させて、同一の外形のサイズを有する筺体において内部容積を増加させることができるので、通信用部品の重量を低減し、内部空間の活用をさらに容易にすることができると共に、その特性を向上させることができるという効果がある。
【0021】
また、本発明による通信用筺体は、内部容積の増加によってメッキが不要であるか、または銅などの低価の金属メッキを用いて非常に優れた特性を示すことができるので、製造費用を節減することができるという効果がある。
【0022】
さらに、本発明による通信用筺体は、ボディーとカバーの接触部分に接触非線形性を防止するパターンを設けることによって、ねじの締結時にも、接触非線形性の発生を防止することができるので、特性の劣化を防止することができ、特に鉛を用いた接合またはレーザー溶接などの気密接合が可能な方法を使用してボディーとカバーとを気密状態が維持されるように固定することによって、ねじを使用しなくても、製作が可能にして、製造費用を節減することができると共に、生産性を向上させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の好ましい実施形態による通信用筺体の斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態による通信用筺体の分離斜視図である。
【図3】図2のねじ締結部の他の実施形態を示す構成図である。
【図4】各々本発明の他の実施形態による通信用筺体の断面構成図である。
【図5】各々本発明の他の実施形態による通信用筺体の断面構成図である。
【図6】各々本発明の他の実施形態による通信用筺体の断面構成図である。
【図7】各々本発明の他の実施形態による通信用筺体の断面構成図である。
【図8】各々本発明の他の実施形態による通信用筺体の断面構成図である。
【図9】各々本発明の他の実施形態による通信用筺体の断面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、 添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態による通信用筺体を詳しく説明する。
【0025】
図1は、本発明の好ましい実施形態による通信用筺体の分離斜視図である。
図1を参照すれば、本発明の好ましい実施形態による通信用筺体は、一面が開放されて開放面が形成されたボックス形状の構造を有し、前記開放面の端部の厚さtが0.5〜2.5mmのボディー部10と、前記開放面を覆って密閉する板状のカバー部20とを含む。
【0026】
前記ボディー部10の構造は、通信用筺体の内部空間を最大化し、当該ボディー部10の開放面を成す端部の厚さtを0.5〜2.5mmに薄くして、加工時に端部の平坦度を高め、ボディー部10とカバー部20の気密性を向上させるようになる。
【0027】
また、ボディー部10の厚さを薄くして、加熱時にボディー部10の全体に温度の均一性の確保がさらに容易になり、多様な方法でボディー部10とカバー部20の気密を維持しつつ、結合固定することができ、結合時に気密を維持するための機械的な構造の加工がさらに容易になる。
【0028】
前記ボディー部10及び前記カバー部20は、多様な構造または方法で気密を維持しつつ固定されることができ、以下では、ボディー部10とカバー部20の気密を維持しつつ固定することができる多様な実施形態について説明する。
【0029】
図2は、本発明の一実施形態による通信用筺体の分離斜視図である。
図2を参照すれば、本発明の好ましい実施形態による通信用筺体は、多数のねじ締結部11を除いた厚さtが0.5〜2.5mmであり、上面が開放されたボックス形状のボディー部10と、前記ボディー部10の開放された上面を覆って密閉する板状のカバー20と、前記カバー20に設けられた締結孔21と前記ねじ締結部11を締結する多数のねじ30とを備えて構成される。
【0030】
以下、前述のように構成される本発明の好ましい実施形態による通信用筺体の構成と作用をさらに詳しく説明する。
【0031】
まず、ボディー部10及びカバー部20は、各々アルミニウム合金またはマグネシウム合金などの金属素材で製作されることができる。
【0032】
前記ボディー部10の形状は、上面が開放されたボックス形状の構造であり、前記開放面にカバー部20が載置結合されて密閉される。前記カバー部20との接触面には、多数のねじ締結部11が設けられていて、当該ねじ締結部11を除いたカバー部20との接触面の厚さtは、ねじ30の厚さとは関係なく、0.5〜2.5mmの厚さにする。
【0033】
前記ねじ締結部11は、ねじ30が挿入締結される締結孔の周辺に0.5〜1mmの厚さをもって当該ボディー部10が取り囲んでいる形状となっていて、3mm直径のねじ30を使用する場合、最小4〜5mmの厚さになる。
【0034】
従来、前記ねじの締結のために全体ボディー部の厚さtを4〜5mmに形成しなければならなかったが、本発明では、その厚さを大幅に減少させることができる。
【0035】
このようにボディー部10の厚さを減少させることによって得られる物理的な効果は、ボディー部10の重量を低減することができ、設置、保管及び運搬が容易になる。また、通信用筺体を製作する時に必要な費用を大幅に低減することができるようになる。
【0036】
また、ボディー部10の外形が同一のサイズに製作された場合には、従来に比べて内部容積をさらに増加させることができ、その内部に他の部品などを装着することがさらに容易になる。
【0037】
これは、フィルタの筺体だけでなく、基地国用筺体にも適用されることができ、特にフィルタの筺体の内部容積を増加させることは、フィルタの更なる特性の向上をもたらすことができる。
【0038】
上記のように、本発明は、ボディー部10の厚さをさらに薄くして内部容積を増加させ、容積の増加によるフィルタの特性を向上させるようになり、これにより、フィルタの特性向上のために銀メッキをせずに、銅メッキまたは無メッキの状態でも、従来、銀メッキを行ったフィルタに比べてさらに優れた特性を有するようにすることができる。
【0039】
したがって、本発明は、相対的に低価の金属メッキをするか、またはメッキをしなくても、規定された特性を発現することができるようになり、製造費用を節減することができるようになる。
【0040】
図2では、ねじ締結部11の締結孔の中心が前記カバー部20に当接するボディー部10の中央に位置する例を示し、当該ねじ締結部11は、ボディー部10の内側及び外側から各々半円柱形状に突出した構造である。
【0041】
他の例として、図3に示されたように、前記ねじ締結部11をボディー部10の外側だけに突出するように、その中心を図1に比べて外側に移動させた構造を有することができる。
【0042】
このような構造は、ボディー部10の内面から半円柱形状に突出するねじ締結部11がないため、内側面が平坦な形状であり、その内部容積をさらに増加させることができるようになる。また、ねじ締結部11をボディー部10の内側だけに突出するようにすることも、当業者が当然に類推することができる。これは、ボディー部10の外形に対する寸法、通常のデメンション(Dimension)が決定された状態の場合、前記ねじ締結部11を外側に突出するようにすることは、前記デメンションが変更される場合が発生するようになるので、前記ねじ締結部11が内側だけに突出するようにすることができる。
【0043】
前記ねじ締結部11が設けられたボディー部10の開放面側にカバー部20を覆い、ねじ30をカバー部20の締結孔21と前記ねじ締結部11に締結することによって、当該ボディー部10上にカバー部20が気密に結合される。
【0044】
図4は、前述のような本発明の好ましい実施形態の結合状態の断面構成図である。
図4を参照すれば、前記ボディー部10とカバー部20が当接する面には、接触非線形性(contact nonlinearity)の発生を防止する気密維持部12が設けられている。
【0045】
前述したように、前記ボディー部10とカバー部20がねじ30によって相互締結される時、当該ねじ30が締結される前記ねじ締結部11では、接触非線形性が発生しないように完全な気密状態を維持することができるが、当該ねじ締結部11の間では、ボディー部10とカバー部20との間に微細な隙間が発生することができ、接触非線形性による信号の歪みが発生することができる。
【0046】
これを防止するために、本発明は、その厚さtが0.5〜2.5mmのボディー部10の上端部の中央側に先端が鋭い段差を設け、この段差に噛合される段差をカバー部20の下端部側に設けることによって、ねじ30の締結時に、当該2つの段差が完全に噛合され、気密を維持し、接触非線形性の発生を防止するようになる。
【0047】
前記先端が鋭い段差よりなる気密維持部12は、各面を鋭い金属で引っ掻いてスクラッチを発生させることによって容易に得られることができる。
【0048】
図4では、段差をボディー部10及びカバー部20の両方に形成したが、ボディー部10またはカバー部20のうち一方にのみ形成しても、接触非線形性の発生を防止することができる。
【0049】
図5は、前記気密維持部12の他の実施形態を示す一部断面構成図である。
図5を参照すれば、前記気密維持部12の他の実施形態は、前記ボディー部10とカバー部20の接触面に凹凸構造を設け、相互噛合される構造である。
【0050】
このような構造も、ボディー部10とカバー部20との間に微細な隙間が発生することを防止し、通信用フィルタの筺体に適用した時、その微細な隙間から信号の漏洩が発生し、歪みが生ずることを防止することができる構造である。
【0051】
図6は、前記気密維持部12のさらに他の実施形態を示す一部断面構成図である。
図6を参照すれば、前記気密維持部12の他の実施形態は、前記カバー部20の下端部には、前記ボディー部10の上端部が挿入される挿入溝が設けられるように構成することができる。
【0052】
すなわち、ボディー部10にカバー部20を押し込むことによって、精密な状態に固定されることができるようにして、微細な隙間の発生を防止する。
【0053】
図7は、本発明の他の実施形態による通信用筺体を示す断面構成図である。
図7を参照すれば本発明の他の実施形態による通信用筺体は、ボディー部10とカバー部20との間にシール部40をさらに含む。
【0054】
シール部40は、前記ボディー部10及びカバー部20の金属よりも軟質の金属を使用することが好ましく、できるだけ類似の特性の金属を使用して材料の差異による材料非線形性が発生しないようにする。
【0055】
前記シール部40をボディー部10とカバー部20との間に載置した後、当該カバー部20とボディー部10をねじで締結すれば、前記シール部40の表面は、微細に押圧され、当該シール部40とボディー部10との間、及びシール部40とカバー部10との間で微細な隙間が発生しないようになる。
【0056】
したがって、シール部40を使用して本発明による通信用筺体の接触非線形性の発生を防止することができ、信号の歪み発生を防止することができる。
【0057】
図7で、シール部40がカバー部20の下部全体に設けられたものとして示したが、当該シール部40をウィンドウフレーム形態で加工し、前記カバー部20とボディー部10の接触面の間にのみ適用することができる。
【0058】
このように本発明は、気密維持部12またはシール部40をボディー部10とカバー部20との間に適用し、接触非線形性の発生を防止することによって、前記ボディー部10とカバー部20を締結するねじ30の数を低減することができるようになる。
【0059】
すなわち、ねじ締結方式で接触非線形性が発生する部分は、ねじ30の間の領域であり、当該領域で気密維持部12やシール部40を用いて接触非線形性の発生を防止することができるようになり、当該ねじ30間の設置距離をさらに遠くすることができ、したがって、ねじ30の使用量を大幅に減少させることができるようになる。
【0060】
前記ねじ30の使用量の減少は、筺体の製作費用を低減することができると共に、ねじ30の締結に要求される費用と時間を節減することができ、生産性を向上させることができるようになる。
【0061】
前述の例においては、ボディー部10とカバー部20をねじ30で締結した構造について説明したが、本発明の他の態様として、ねじ30を使用せずに、ボディー部10とカバー部20を完全に気密して固定する構造について提案する。
【0062】
図8は、本発明の他の実施形態による通信用筺体を示す断面構成図である。
図8を参照すれば、本発明の他の実施形態による通信用筺体は、前述の例とは異なって、ボディー部10にねじ30の締結のためのねじ締結部11が設けられていないし、ボディー部10の内面及び外面ば、平坦な面となっている。
【0063】
前記ボディー部10の厚さは、前述の例のように、厚さが0.5〜2.5mmであり、これは、ボディー部10の熱伝導性をさらに改善し、さらに早い時間内にボンディングが行われるようにするもので、これに関する説明は、より詳細に後述する。
【0064】
前記ボディー部10とカバー部20の接触面の間には、前記ボディー部10及びカバー部20に比べて溶融点が低い金属材質の気密層50が設けられている。
【0065】
前記気密層50の例として、溶融点が160℃の錫とビスマス合金を使用することができる。このような気密層50は、前記ボディー部10の上端部のカバー部20との接触面にペースト状態で塗布され、この塗布状態でカバー部20が載置され、全体に熱を加えて、当該気密層50を溶融させた後、さらに固化させて、ボディー部10とカバー部20を接合する。
【0066】
前記気密層50は、ボディー部10に塗布されるか、カバー部20に塗布されるか、またはボディー部10及びカバー部20の両方に塗布されることができ、塗布時に定量のペーストを速く塗布するために、マスクを使用した状態で該当位置にのみ塗布することができる。
【0067】
前記ペーストの塗布後、ボディー部10にカバー部20が載置された状態で加熱炉に装入するか、コンベヤーを利用して加熱炉を通過すれば、当該気密層50を成す金属ペーストが溶融された後、さらに冷却しながら、当該ボディー部10とカバー部20を接合するようになる。
【0068】
この時、前記気密層50を用いたボディー部10とカバー部20の接合が正確に行われるためには、気密層50が溶融されなければならないことは勿論であり、ボディー部10及びカバー部20自体の温度も適当な温度に加熱されなければならない。
【0069】
また、気密層50が速く溶融及び冷却することによって、当該ボディー部10とカバー部20の接合がさらに容易になる。溶融時間が長くなれば、溶融された気密層50が側面に流れるようになるか、または添加物(例えば、フラックス)の一部が燃焼し、良好に接合されないおそれがあり、特にボディー部10とカバー部20との間に微細な隙間が発生することができる。
【0070】
このようにボディー部10を早い溶融時間内に適正な温度に加熱する必要がある。本発明の通信用筺体のボディー部10は、その厚さが0.5〜2.5mmのものとして詳しく説明したが、ボディー部10自体の熱伝導特性を、従来のボディー部の厚さである少なくとも3.5mm以上での熱伝導特性に比べてさらに改善したものであって、早い溶融時間内に当該ボディー部10の温度を接着に適した温度に加熱することができるようになる。
【0071】
これは、熱の伝導は、媒質の全方向を通じて行われるようになり、媒質であるボディー部10の厚さが薄いほど熱伝導率が向上することが容易に分かる。
【0072】
前記気密層50の溶融点は、前記ボディー部10及びカバー部20の溶融点より低いことが要求されると共に、当該ボディー部10とカバー部20の結合された状態である筺体内に位置する他の部品に使用された金属の溶融点より低くなければならない。
【0073】
これは、気密層50を溶融させる時、他の部品を熱損傷させることを防止するためのものである。
【0074】
また、前記気密層50を用いた接合のために、ボディー部10及びカバー部20は、接合がさらに容易に行われることができる金属メッキが施されたことが好ましい。
【0075】
前記金属メッキとしては、銅メッキを使用することが好ましく、銅メッキされたアルミニウム合金またはマグネシウム合金材質のボディー部10及びカバー部20は、さらに容易に接合されることができ、また、特性が向上することができる。
【0076】
前記ボディー部10の厚さを0.5〜2.5mmにして、筺体の内部容積をさらに大きくして得られる特性の向上効果によって、前記銅メッキをした場合にも、従来の銀メッキをした場合に比べて特性がさらに優れている。
【0077】
また、銅をメッキしたボディー部10を前記気密層50を利用してカバー部20と接着する場合、加熱炉で加熱される時間が所定の時間以上になれば、銅メッキが変色するが、本発明では、ボディー部10の厚さを従来に比べて薄くすることによって、接合に必要な時間を低減し、銅メッキの変色を防止することができるので、工程の信頼性をさらに高めることができる。
【0078】
このように本発明は、ねじを使用しなくても、接触非線形性を防止した状態でボディー部10とカバー部20を堅固に接着することが可能になり、多数のねじを使用する方式に比べて製造費用を節減することができると共に、ねじを締結する時間などを節約することができ、生産性を向上させることができるようになる。
【0079】
その他、ねじを使用せず、ボディー部10とカバー部20を接合することができる方法、例えば、レーザー溶接法などによってボディー部10とカバー部20を接合するものの、それらの間で接触非線形性が発生しないように、微細な隙間の発生を防止する。
【0080】
前記ねじを使用せず、気密層50を使用する時にも、前記ボディー部10とカバー部20の接触面には、先端が鋭い段差構造、挿入溝が設けられた構造または相互噛合される凹凸が形成された構造のすべてに適用することができる。
【0081】
図9は、本発明の他の実施形態による通信用筺体を示す断面構成図である。
図9を参照すれば、本発明の他の実施形態による通信用筺体は、ボディー部10の上端部側に多数の結合突起60を設け、カバー部20には、前記結合突起60が貫通する貫通孔が設けられる。
【0082】
このような構成は、ボディー部10の結合突起60がカバー部20の貫通孔に貫通するように、当該カバー部20をボディー部10上に載置した後、当該カバー部20をかしめして、ボディー部10とカバー部20を結合する。
【0083】
前記ボディー部10の厚さを0.5〜2.5mmにすれば、前記結合突起60のかしめが容易になり、ねじや溶接などの接合法を使用することなく、容易にボディー部10とカバー部20を密着固定することができるようになる。
【0084】
また、結合突起60を用いた締結方法は、必要に応じてボディー部10とカバー部20を容易に分離し、内在された部品を修理するか、または交替する時に、ねじを使用する方式に比べてさらに早い時間内に作業を行うことができるようになる。
【0085】
以上説明したように、本発明による通信用筺体は、厚さを全体的に低減し、移動通信部品の特性を向上させ、重量が軽く、且つ材料費を節減することができる。
【0086】
前述したように、本発明の好ましい実施形態により本発明を詳しく説明したが、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求範囲と発明の詳細な説明及び添付の図面の範囲内で様々に変形して実施することが可能であり、これも本発明に属する。
【符号の説明】
【0087】
10 ボディー部
11 ねじ締結部
20 カバー部
21 締結孔
30 ねじ
40 シール部
50 気密層
60 結合突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の側面が開放されていて、開放面の端部の厚さが0.5〜2.5mmのボディー部と、
前記ボディー部の開放面を密閉するカバー部と、を含む通信用筺体。
【請求項2】
前記ボディー部には、前記端部の厚さより厚いねじ締結部が設けられ、ねじによって前記カバー部と締結されることを特徴とする請求項1に記載の通信用筺体。
【請求項3】
前記ねじ締結部は、
前記ねじが挿入される締結孔の中心が前記端部の中心線に位置し、前記ボディー部の側面の内側及び外側から垂直方向の半円柱形状に突出することを特徴とする請求項2に記載の通信用筺体。
【請求項4】
前記ねじ締結部は、
前記ねじが挿入される締結孔の中心が前記端部の中心線から外側または内側に位置し、前記ボディー部の外側面から垂直方向の半円柱形状または前記ボディー部の内側面から垂直方向の半円柱形状に突出することを特徴とする請求項2に記載の通信用筺体。
【請求項5】
前記ボディー部と前記カバー部が相互当接する面には、
先端が鋭い段差または相互噛合される凹凸面である気密維持部をさらに含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の通信用筺体。
【請求項6】
前記カバー部の下端部には、前記ボディー部の上端部が嵌着される溝が設けられることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の通信用筺体。
【請求項7】
前記ボディー部と前記カバー部との間には、
前記ボディー部及び前記カバー部に比べてさらに軟質のシール部が設けられることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の通信用筺体。
【請求項8】
前記ボディー部と前記カバー部とは、
前記ボディー部及び前記カバー部の溶融点に比べてさらに低い温度の溶融点を有する気密層によって接合されることを特徴とする請求項1に記載の通信用筺体。
【請求項9】
前記気密層は、ペースト状に前記ボディー部または前記カバー部の一側に塗布されるか、またはボディー部及びカバー部の両方に塗布され、
前記ボディー部及び前記カバー部とともに加熱されて溶融された後、冷却され、前記ボディー部と前記カバー部を接合することを特徴とする請求項8に記載の通信用筺体。
【請求項10】
前記ボディー部及び前記カバー部の表面は、銅メッキされることを特徴とする請求項8または9に記載の通信用筺体。
【請求項11】
前記気密層は、錫とビスマスの合金であることを特徴とする請求項8または9に記載の通信用筺体。
【請求項12】
前記ボディー部と前記カバー部は、レーザー溶接されることを特徴とする請求項1に記載の通信用筺体。
【請求項13】
前記ボディー部の端部には、多数の結合突起が設けられていて、
前記カバー部に設けられた貫通孔に前記多数の結合突起各々が貫通するように、前記カバー部を前記ボディー部上に載置し、前記結合突起をかしめして固定することを特徴とする請求項1に記載の通信用筺体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−104797(P2012−104797A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−68215(P2011−68215)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(508112782)ケーエムダブリュ・インコーポレーテッド (28)
【Fターム(参考)】