説明

通信端末装置、通信端末装置の制御方法、通信端末装置の制御プログラム、および通信端末装置の制御プログラムを格納したコンピュータ読取可能な記憶媒体

【課題】 煩雑な操作を行なうことなく電子メールの受信を行なえ、受信した電子メールを読み易い状態で記録出力する。また、プライバシーの問題やユーザの使用環境を考慮して、受信した電子メールを自動印字するか否かを選択できるようにする。
【解決手段】 定期的にインターネットN上の電子メールサーバに接続し、電子メールを受信し、記録部106により記録紙に記録出力する。この記録出力の際の文字の大きさを操作部107によりユーザ設定可能とし、設定に応じた文字の大きさで受信電子メールを記録出力する。また、操作部107により受信した電子メールを自動的に記録出力する自動印字モードを設定/解除可能とし、該モード設定に応じて受信した電子メールを自動的に記録出力するか否かを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターネット接続手段を介してインターネット上の電子メールサーバに接続し、SMTPプロトコルにより電子メールを受信し、受信した電子メールの文字コードを画像データに変換して記録出力する通信端末装置、その制御方法、その制御プログラム、および通信端末装置の制御プログラムを格納したコンピュータ読取可能な記憶媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットの普及により、インターネットを利用した電子メール通信が頻繁に行われるようになっている。この電子メールの受信は、パーソナルコンピュータ(以下PCという)などの通信端末で、モデムなどのインターネット手段を制御してTCP/IPプロトコルを用い、インターネットプロバイダなどのメールサーバに接続して行われるのが一般的である。また、LAN(ローカルエリアネットワーク)に接続された通信端末であれば、LAN接続された電子メールサーバからイーサネット(商標名)経由で受信する方法もある。
【0003】
受信した電子メールをユーザが読むためには、PC上のメールソフトを起動して、PCに接続されているCRTや液晶などで構成されたディスプレイ装置に表示させる必要がある。また、データ通信が可能な携帯電話においても、電子メール受信が可能であるが、この場合も受信した電子メールを読む場合は、携帯電話に付随している液晶ディスプレイによって受信した電子メールを表示して読むことになる。
【0004】
また、受信した電子メールの記録出力に関しては、ヘッダなどの読みやすさなどを考慮して、電子メールを構成する文字データに応じてレイアウトを変更する、たとえば記録時の字体や文字の大きさを変更するような技術が知られている(下記の特許文献1)。
【特許文献1】特開平10−93618号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術では、通常、PCあるいは携帯電話のような通信端末が無いと電子メールの通信ができず、そのため、そもそもPCの操作ができないユーザは、電子メールという便利な通信手段を使用できないと言う欠点があった。さらに高齢者など視力の弱いユーザにとっては、ディスプレイ装置に表示された文字は非常に読み難いと言った問題があった。携帯電話の場合は、PCに比べると操作が簡単なので、PCを扱えないユーザであっても容易に電子メール通信が可能になると言うメリットがあるが、ディスプレイが小さいために非常に文字が読み難く、視力の弱いユーザにとっては、PCよりもさらに扱い難いものとなり、また携帯電話の場合は、受信できる文字数に制限があるという欠点もある。
【0006】
なお、上記特許文献1の技術は、主としてヘッダーと本文の文字書体を変えるなど、電子メールを紙に印字するときの文字レイアウトの美しさを追及したものである。特許文献1には文字の大きさを変更する記載もあるが、メールを1枚の記録紙に収めて印字ができそうな場合は、文字フォントを縮小して印字し、また1枚の記録紙に収めて印字をすると文字フォントが小さくなりすぎるような場合は、標準サイズのフォントを使用して印字する点が主に記載されている。したがって、特許文献1の技術では、後述する本発明のようにユーザが見やすい大きなサイズに文字を変換することができず、前述の問題点は改善されない。
【0007】
さらには、携帯電話やモバイルPCなど、持ち運び可能な通信端末を持たない場合は、外出先などで電子メールを読みたければ、あらかじめ読みたい電子メールを一件一件プリンタなどで出力しておかなければならないという問題があった。
【0008】
この記録出力操作の煩雑さという問題に関しては、受信した電子メールを例えばユーザの留守中などに自動印字しておく構成が考えられる。しかしながら、プライバシー保護の観点からは、常に受信した電子メールを自動印字させたくない場合もありうるし、また、ユーザの使用形態、使用環境によって、受信したらすぐに印字したい場合や、あとからまとめて印字したい場合などさまざまな利用形態が考えられ、常に受信した電子メールを自動印字してしまう構成は一概に好ましいものとはいえない。
【0009】
上述のような問題に関して、まず、電子メール通信の可能な通信端末に取り扱いが複雑なPCのような構成を用いず、たとえば旧来のファクシミリ装置のように手軽に取り扱える構成を採用することが考えられる。たとえば、一定時間おきに自動的にインターネット上の電子メールサーバに接続し、受信すべき電子メールがあればこれをダウンロードし、また、ディスプレイ表示による受信メール閲覧をユーザに強要することなく、記録出力を標準の出力方法とすれば旧来のファクシミリ装置のように装置を手軽に取り扱えると考えられる。
【0010】
また、さらに高齢者など視力の弱いユーザを考慮し、記録出力の際の文字サイズを設定可能とし、ユーザの好みに応じて大きな文字サイズを選択できるようにすることが考えられる。
【0011】
また、プライバシーの問題やユーザの使用環境を考慮して、記録出力が標準の出力方法であっても、自動出力(自動印字)を行なわないように設定できるようにしておくことが考えられる。
【0012】
さらに、ユーザが自動出力(自動印字)を所望する場合は、ユーザが不在の場合に出力(印字)されることが多いため、ユーザが所望する文字サイズを予め選択しておける方が好ましい。もしこのような所望の文字サイズを予め選択しておく機能が欠けていると、ユーザは安心して自動出力(自動印字)モードを選択することができない。
【0013】
すなわち、本発明の第1の課題は、煩雑な操作を行なうことなく電子メールの受信を行なえる装置を提供するとともに、受信した電子メールをどのようなユーザにも読みやすく出力できるようにすることにある。
【0014】
また、本発明の第2の課題は、プライバシーの問題やユーザの使用環境を考慮して、受信した電子メールを自動印字するか否かを選択できるようにし、ユーザの必要な時に受信した電子メールを得られるようにし、ユーザのさまざまな利用形態に対応できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するため、本発明では、インターネット接続手段を介してインターネット上の電子メールサーバに接続し、SMTPプロトコルにより電子メールを受信し、受信した電子メールの文字コードを画像データに変換して記録出力する通信端末装置、その制御方法、その制御プログラム、およびその制御プログラムを格納したコンピュータ読取可能な記憶媒体において、所定のタイミングでインターネット接続手段を介してインターネット上の電子メールサーバに接続し、SMTPプロトコルにより電子メールを受信し、受信した電子メールの文字コードを画像データに変換して前記画像データを記録紙に記録出力する動作に関し、前記画像データを記録出力する際の文字の大きさを設定可能とし、電子メールを受信した時、受信した電子メールの文字コードを設定された文字の大きさの文字に変倍して記録紙に記録出力させる構成を採用した。
【0016】
あるいはさらに、電子メールを受信した時、受信した電子メールを自動的に前記記録手段により記録紙に記録出力させる構成を採用した。
【0017】
あるいは、所定のタイミングでインターネット接続手段を介してインターネット上の電子メールサーバに接続し、SMTPプロトコルにより電子メールを受信し、受信した電子メールの文字コードを画像データに変換して前記画像データを記録紙に記録出力する動作に関し、受信した電子メールを自動的に記録出力する自動印字モードを設定、あるいは該自動印字モードを解除可能とし、電子メールを受信した時、自動印字モードが設定されていた場合のみ、受信した電子メールの文字コードを画像データに変換して記録紙に記録出力させる構成を採用した。
【0018】
あるいはさらに、電子メールを記録出力する際の文字の大きさを設定可能とし、かつ、自動印字モードを設定/解除設定可能とし、自動印字モードが設定されている場合は、設定された文字の大きさで電子メールを記録出力する構成を採用した。
【発明の効果】
【0019】
以上の構成によれば、電子メールサーバにアクセスして電子メールを受信し、記録紙に記録出力する構成により、PCを扱えないユーザでも、特別な操作をすることなく簡単に電子メールを受け取ることができる。また、記録出力する際の文字の大きさをユーザの好みの大きさに設定できるよう構成することにより、ディスプレイ装置に表示された文字を読むのが苦手なユーザや、高齢者などの視力の弱いユーザにとって読みやすい形で電子メールを受け取ることが可能となる。
【0020】
あるいはさらに、電子メールを受信した時、受信した電子メールを自動的に前記記録手段により記録紙に記録出力させる構成とした場合、確実にあらかじめ設定した文字の大きさで電子メールを記録出力することができるから、ユーザは安心して自動印字を行なわせることができる。
【0021】
また、受信した電子メールを自動的に記録出力する自動印字モードを設定、あるいは該自動印字モードを解除できるよう構成することにより、プライバシーの問題やユーザの使用環境を考慮して、自動印字を行なうか否かを適切に設定することができ、また、自動印字モードの設定に応じてユーザの必要な時に受信した電子メールの情報を得られ、ユーザのさまざまな利用形態に対応することができる。
【0022】
あるいはさらに、電子メールを記録出力する際の文字の大きさを設定可能とし、かつ、自動印字モードを設定/解除設定可能とし、自動印字モードが設定されている場合は、設定された文字の大きさで電子メールを記録出力するよう構成することにより、自動印字モードを選択した場合は確実にあらかじめ設定した文字の大きさで電子メールを記録出力することができるから、ユーザは安心して自動印字モードを選択することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施例として、電子メール通信が可能な通信端末装置を示す。以下の実施例において、通信端末装置はインターネット接続が可能であるとともに、受信情報を記録出力するための記録部を有する。以下の実施例において通信端末装置の多くの部分はファクシミリ装置と共通しており、したがって、この通信端末装置はファクシミリ装置や複合画像処理(画像通信)装置として構成することができる。
【実施例1】
【0024】
図1は本発明を採用した通信端末装置の構成を示している。図1において符号101はROM102に記憶された制御プログラムにしたがって装置全体を制御する制御部で、マイクロプロセッサなどにより構成される。
【0025】
符号103は制御上の演算に使用されたりインターネットから受信した電子メール情報を一時記憶するためのRAMである。
【0026】
符号104は受信した電子メールの文字コードを、キャラクタジェネレータROMなどを用いて該当する文字のビットマップの画像に変換する文字変換部で、この文字変換部104には文字コードに該当する文字のフォントを格納しておく。
【0027】
符号105はビットマップ画像に変換された文字画像を記憶するためのページメモリで、記録紙1ページ分のビットマップデータを記憶することができる。
【0028】
符号106はビットマップ画像に変換された文字画像を記録紙に印字する記録部で、この記録部106は電子写真方式やインクジェット方式など任意の記録方式により構成することができる。
【0029】
符号107はユーザが装置を操作するための操作部である。本実施例では、操作部107の所定操作により電子メールを記録部106により記録出力するときの文字の大きさを設定できるようにしておく。この設定のためのユーザーインターフェースの構成は任意であるが、たとえば、最も単純な構成としては操作部107に「文字大」、「文字中」、「文字小」のようなキーを設けておくことが考えられる。もちろん、このようなユーザーインターフェース方式としては、その他、キー操作ないしマウスなどのポインティングデバイスによるメニュー選択方式など、装置の仕様などに応じて当業者が適当なものを選択すればよい。
【0030】
また、操作部107は電子メールの自動印字モードを選択するための選択操作を行なうためにも用いられる。この選択は、受信した電子メールを自動的に記録出力するか否かを設定できればよい。設定操作のためのユーザーインターフェースは上記同様任意である。
【0031】
本実施例では、インターネットNと接続するためにデータモデム108およびNCU110を用いている。データモデム108はたとえばITU−T勧告V.34bisなどのプロトコルにしたがってインターネットプロバイダとデータの授受を行なえるように構成する。NCU110はアナログ電話回線の接続交換を行なうためのものである。
【0032】
なお、インターネットNとの接続には、必ずしも上記のデータモデム108およびNCU110を用いる必要はなく、たとえば回線がISDN、ADSLなどであれば、それぞれTA(ターミナルアダプタ)、ADSLモデムのような回線に適合したインターネット接続手段を用いればよいのは言うまでもない。
【0033】
また、LANなどを経由してインターネットNと接続する構成であってもよく、この場合にはNIC(ネットワークインターフェースカード)などによりインターネット接続手段を構成することになる(この場合には後述のダイアルアップ処理は省略できる)。
【0034】
符号111は現在時刻を計時する(あるいはタイマ計時など)ためのRTC(Real Time Clock)である。このRTC111は本実施例では電子メールのダウンロード間隔の制御に用いる。
【0035】
次に以上の構成における動作につき説明する。
【0036】
本実施例の通信端末装置では、操作部107から受信した電子メールを印字する際の文字の大きさを設定しておく。文字の大きさはたとえば「大」、「中」、「小」の3段階として、「小」の大きさを基準にして、「中」は「小」の1.5倍、「大」は「小」の2倍とする。「小」の文字の大きさはたとえば11ポイント程度として、この大きさのフォントデータを文字変換部104に記憶しておく。
【0037】
図2は図1の制御部101が実行する本実施例の通信制御の流れを示している。図2の制御手順は、制御部101が実行するプログラムとしてあらかじめROM102などに格納しておく。
【0038】
図2のステップS101において、制御部101はRTC111により経過時間を監視する。すなわち、ステップS101ではあらかじめ設定された所定時間(たとえば数分〜数10分あるいは数時間)が経過したかを判定し、所定時間の経過が認められるとステップS102においてあらかじめ設定されたインターネットプロバイダの電話番号にダイヤルアップして、ステップS103で所定のTCP/IPプロトコル(たとえばPPPなど)を用いてインターネットプロバイダとネットワーク接続する。
【0039】
続いて、ステップS104において、プロバイダのメールボックスに電子メールの有無を確認し、電子メールがあればダウンロードする。このメールボックスのチェックやダウンロードはPOPやIMAPのようなプロトコルを用いて行なう。ダウンロードした電子メールは、ステップS105で、一旦RAM103に記憶する。
【0040】
電子メールを受信すると、ステップS106で、記憶した電子メールの文字コードをRAM103から1文字読み出し、ステップS107においてその文字コードを文字変換部104に転送して文字コードに対応した文字画像に変換する。この時、「小」の一番小さい文字サイズで文字画像への変換を行なう。
【0041】
このとき、ステップS108〜S112において、先に操作部107を用いて設定した電子メールを印字する際の文字の大きさに応じて文字変換部104による文字画像データのサイズ変換を行なわせる。
【0042】
すなわち、ステップS108およびS109において、まず、設定された文字の大きさを判定する。ここで設定された文字の大きさが「小」であると判定したら、ステップS110に進んで、ステップS107で変換済みの「小」サイズの文字画像データをページメモリ105に記憶する。
【0043】
また、ステップS109で設定された文字の大きさが「中」であると判定したら、ステップS111においてステップS107で変換された文字画像データを「中」のサイズに変換した後、ステップS110で、ページメモリ105に記憶する。
【0044】
また、ステップS109で、設定された文字の大きさが「大」であると判定したら、ステップS112においてステップS107で変換された文字画像データを「大」のサイズに変換した後、ステップS110で、ページメモリ105に記憶する。
【0045】
ここで、図3を用いて上記ステップS111およびS112における文字画像のサイズ変換方法について説明する。まず、文字サイズ設定が「小」ならば、文字変換部104に記憶されている基準の文字画像(たとえば図3符号31の8×8ドットサイズの文字画像)を、そのままページメモリ105に記憶する。
【0046】
また、文字サイズ設定が「中」であれば、基準の文字画像に対して2画素に1画素の割り合いで画素を増やして得られた文字画像(たとえば図3符号32の12×12ドットサイズの文字画像)をページメモリ105に記憶する。
【0047】
また、文字サイズ設定が「大」であれば、基準の文字画像の1画素を2画素に増やして得られた文字画像(たとえば図3符号33の16×16ドットサイズの文字画像)をページメモリ105に記憶する。
【0048】
すなわち、図3の符号31の8×8ドットサイズの「1」という文字を基準の画像とすると、文字の大きさ「中」が設定されている場合は符号32のように基準の画像(31)に対して2画素に1画素の割り合いで縦方向、横方向ともに画素を増やし、この結果12×12ドットサイズの文字画像が得られる。このとき増やす画素は2画素目と同じ画素(2画素目が白なら白画素、黒なら黒画素)を増やす。
【0049】
また、文字の大きさの設定が「大」であれば、図3の符号33のように基準の画像(31)の1つの画素を縦方向、横方向ともに単純に2倍にする。この結果、16×16ドットサイズの文字画像が得られる。
【0050】
以上のステップS106〜ステップS110までの文字コードの読み出し〜文字画像をページメモリに記憶するまでの作業を、ステップS113で1通の電子メールの変換が終了したと判断されるまで、もしくは1ページ分の文字の変換が終了したと判定されるまで1文字ずつ繰り返す。
【0051】
1通の電子メールの文字変換が終了したら、もしくは1ページ分の文字変換が終了したら、ステップS114に進み、ページメモリに記憶したビットマップデータを1ラインごとにラスターデータで記録部106に転送して記録出力させる。
【0052】
以上のように本実施例によれば、自動的に電子メールをダウンロードし、自動的に記録出力することができ、PCを扱えないユーザでも、特別な操作をすることなく簡単に電子メールを受け取ることができる。旧来のファクシミリ装置と同様、特に操作を必要とせず受信があれば記録出力が行なわれるので、装置の取り扱いが容易であり、また、ディスプレイ装置に表示された文字を読むのが苦手な人にとっても読みやすい形で電子メールを受け取ることが可能となる。
【0053】
また、あらかじめ電子メール記録出力の際の文字サイズを設定しておくだけで、ユーザは煩雑な操作を行なうことなく電子メールを受信し、ユーザが読みやすい文字の大きさで出力することができる。たとえば、高齢者など視力に問題があるユーザでは、文字サイズを「大」に設定しておけば、読みやすい文字で電子メールを記録出力することができる。また、図2の制御手順に示したように、電子メールの受信に応じて、受信した電子メールを自動的に記録部106により記録紙に記録出力させる場合、確実にあらかじめ設定した文字の大きさで電子メールを記録出力することができるから、ユーザは安心して自動印字を行なわせることができる。
【0054】
なお、以上の実施例において、印字する文字画像の大きさの設定はあくまでも一例にすぎず、倍率設定は増やす画素数によってさまざまに設定することが可能である。また、「小」、「中」、「大」の3段階ではなく、文字の拡大(縮小)倍率を設定するようにしてもよい。また、文字変倍の処理アルゴリズムも上記の構成は一例に過ぎず、画素の増やし方も、単純に対象の画素を増やすのではなく、その領域の白画素と黒画素の割り合いから増やす画素を決定するようにしてもよい。
【0055】
また、上記実施例では説明を簡単にするために、ページメモリ105は1ページ分のビットマップデータが記憶できるものとして説明したが、このメモリは任意のサイズのバッファメモリに置換することができ、たとえば、最も大きい文字を選択したときの一行分の幅のビットマップデータを記憶するだけの容量があれば、上記の文字の変倍/記録出力の処理は実施することができる。
【実施例2】
【0056】
本実施例では、図1に示した通信端末において電子メールの自動印字をどのように制御するかについて示す。
【0057】
本実施例では、ユーザは操作部107を用いて、受信した電子メールを自動的に印字するか否か、すなわち自動印字モードを設定するか否かを選択する。このモード選択のユーザーインターフェースは操作部107のキー/ポインティングデバイスの操作により適宜構成しておけばよい。このユーザの自動印字モードに関する設定結果はRAM103に記憶しておく。
【0058】
図4は図1の制御部101が実行する本実施例の通信制御の流れを示している。図4の制御手順は、制御部101が実行するプログラムとしてあらかじめROM102などに格納しておく。
【0059】
図4のステップS201〜S205の処理は、図2のステップS101〜S105の処理と同じで、RTC111により経過時間を監視し、あらかじめ設定された所定時間(たとえば数分〜数10分あるいは数時間)ごとにインターネットプロバイダの電話番号にダイヤルアップして、電子メールをダウンロードするものである。ダウンロードした電子メールは一旦RAM103に記憶される。
【0060】
電子メールを受信すると、ステップS206で、自動印字モードが選択されているか否かを判定し、自動印字モードが選択されていれば、ステップS207に進み、ステップS207〜S211の自動印字処理を行なうが、自動印字モードが選択されていなければ図4の処理を終了する。
【0061】
自動印字モードが選択されていない場合は、ユーザは別途、操作部107で適当な印字操作を行なうことにより、全てあるいは選択した電子メールを記録部106で記録出力させることになる。あるいは自動印字を行なわない場合でも操作部107の表示部による受信電子メールの表示は行なうようにしてもよい。
【0062】
一方、自動印字処理においては、まずステップS207で記憶した電子メールの文字コードをRAM103から1文字読み出して、ステップS208で、その文字コードを文字変換部104に転送して文字コードに対応した文字画像に変換してステップS209でページメモリ105に記憶する。
【0063】
以上の、ステップS207による文字コードの読み出しから、ステップS209の文字画像をページメモリに記憶するまでの作業を、ステップS210で、1通の電子メールの変換が終了したと判断されるまで、もしくは1ページ分の文字の変換が終了したと判定されるまで、1文字ずつ繰り返す。
【0064】
1通の電子メールの文字変換が終了したら、もしくは1ページ分の文字変換か終了したら、ステップS211に進み、ページメモリに記憶したビットマップデータを1ラインごとにラスターデータで記録部106に転送して印字を行なう。
【0065】
なお、図4の処理では、図2に示したような文字の変倍処理を行なっていないが、もちろん前述の実施例1同様の文字サイズ設定に基づく電子メールの出力文字の変倍を行なうことができる。このためには、図4のステップS207〜S211を図2のステップS106〜S114に置換すればよい。
【0066】
このように実施例1および実施例2を組合せる、すなわち、電子メールを記録出力する際の文字の大きさを設定可能とし、かつ、自動印字モードを設定/解除設定可能とし、自動印字モードが設定されている場合は、設定された文字の大きさで電子メールを記録出力する構成を採用することにより、ユーザは自動印字モードを選択した場合は確実にあらかじめ設定した文字の大きさで電子メールを記録出力することができるから、安心して自動印字モードを選択することができる。
【0067】
以上のように、本実施例の通信端末装置は受信した電子メールを自動印字するか否かを選択できるように構成されているので、プライバシーの問題やユーザの使用環境を考慮して、自動印字を行なうか否かを適切に設定することができ、また、自動印字モードの設定に応じてユーザの必要な時に受信した電子メールの情報を得られ、ユーザのさまざまな利用形態に対応することができる、という優れた効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は電子メールを受信する機能を有する種々の通信端末装置に適用できる。本発明の方法およびプログラムを実現するためのソフトウェアは、通信端末装置のROM(あるいはHDDなど)などの記憶媒体にあらかじめ出荷時から実装しておく他、外部記憶媒体(フレキシブルディスク、MO、CDROM、DVDROMなど)経由、あるいはネットワーク経由でこれらの装置に導入し、また、アップデートを行なうよう構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明を採用した通信端末装置のハードウェア構成を示したブロック図である。
【図2】図1の通信端末装置における通信制御を示したフローチャート図である。
【図3】図1の通信端末装置における文字画像の変換処理を示した説明図である。
【図4】図1の通信端末装置における異なる通信制御を示したフローチャート図である。
【符号の説明】
【0070】
101 制御部
102 ROM
103 RAM
104 文字変換部
105 ページメモリ
106 記録部
107 操作部
108 モデム
109 システムバス
110 NCU
111 リアルタイムクロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のタイミングでインターネット接続手段を介してインターネット上の電子メールサーバに接続し、SMTPプロトコルにより電子メールを受信する受信手段と、
受信した電子メールの文字コードを画像データに変換する変換手段と、
前記画像データを記録紙に記録出力する記録手段と、
前記記録手段により前記画像データを記録出力する際の文字の大きさを設定する文字設定手段と、
受信した電子メールの文字コードを前記文字設定手段により設定された文字の大きさの文字に変倍して前記記録手段により記録紙に記録出力させる制御手段を有することを特徴とする通信端末装置。
【請求項2】
前記受信手段により電子メールを受信した時、前記制御手段は、受信した電子メールを自動的に前記記録手段により記録紙に記録出力させることを特徴とする請求項1に記載の通信端末装置。
【請求項3】
所定のタイミングでインターネット接続手段を介してインターネット上の電子メールサーバに接続し、SMTPプロトコルにより電子メールを受信する受信手段と、
受信した電子メールの文字コードを画像データに変換する変換手段と、
前記画像データを記録紙に記録出力する記録手段と、
受信した電子メールを自動的に記録出力する自動印字モードを設定、あるいは該自動印字モードを解除するモード設定手段と、
前記受信手段により電子メールを受信した時、モード設定手段により自動印字モードが設定されている場合、受信した電子メールの文字コードを前記変換手段により画像データに変換して前記記録手段により記録紙に記録出力させる制御手段を有することを特徴とする通信端末装置。
【請求項4】
前記記録手段により前記画像データを記録出力する際の文字の大きさを設定する文字設定手段を有し、
前記受信手段により電子メールを受信した時、前記制御手段は、前記モード設定手段により自動印字モードが設定されている場合、受信した電子メールの文字コードを前記文字設定手段により設定された文字の大きさの文字に変倍して前記記録手段により記録紙に記録出力させる制御手段を有することを特徴とする請求項3に記載の通信端末装置。
【請求項5】
所定のタイミングでインターネット接続手段を介してインターネット上の電子メールサーバに接続し、SMTPプロトコルにより電子メールを受信する受信ステップと、
受信した電子メールの文字コードを画像データに変換する変換ステップと、
前記画像データを記録紙に記録出力する記録ステップと、
前記記録ステップにより前記画像データを記録出力する際の文字の大きさを設定する文字設定ステップと、
受信した電子メールの文字コードを前記文字設定ステップにより設定された文字の大きさの文字に変倍して前記記録ステップにより記録紙に記録出力させる制御ステップを含むことを特徴とする通信端末装置の制御方法。
【請求項6】
所定のタイミングでインターネット接続手段を介してインターネット上の電子メールサーバに接続し、SMTPプロトコルにより電子メールを受信する受信ステップと、
受信した電子メールの文字コードを画像データに変換する変換ステップと、
前記画像データを記録紙に記録出力する記録ステップと、
受信した電子メールを自動的に記録出力する自動印字モードを設定、あるいは該自動印字モードを解除するモード設定ステップと、
前記受信ステップにより電子メールを受信した時、前記モード設定ステップにより自動印字モードが設定されている場合、受信した電子メールの文字コードを前記変換ステップにより画像データに変換して前記記録ステップにより記録紙に記録出力させる制御ステップを含むことを特徴とする通信端末装置の制御方法。
【請求項7】
所定のタイミングでインターネット接続手段を介してインターネット上の電子メールサーバに接続し、SMTPプロトコルにより電子メールを受信する受信ステップと、
受信した電子メールの文字コードを画像データに変換する変換ステップと、
前記画像データを記録紙に記録出力する記録ステップと、
前記記録ステップにより前記画像データを記録出力する際の文字の大きさを設定する文字設定ステップと、
受信した電子メールの文字コードを前記文字設定ステップにより設定された文字の大きさの文字に変倍して前記記録ステップにより記録紙に記録出力させる制御ステップを含むことを特徴とする通信端末装置の制御プログラム。
【請求項8】
所定のタイミングでインターネット接続手段を介してインターネット上の電子メールサーバに接続し、SMTPプロトコルにより電子メールを受信する受信ステップと、
受信した電子メールの文字コードを画像データに変換する変換ステップと、
前記画像データを記録紙に記録出力する記録ステップと、
受信した電子メールを自動的に記録出力する自動印字モードを設定、あるいは該自動印字モードを解除するモード設定ステップと、
前記受信ステップにより電子メールを受信した時、前記モード設定ステップにより自動印字モードが設定されている場合、受信した電子メールの文字コードを前記変換ステップにより画像データに変換して前記記録ステップにより記録紙に記録出力させる制御ステップを含むことを特徴とする通信端末装置の制御プログラム。
【請求項9】
所定のタイミングでインターネット接続手段を介してインターネット上の電子メールサーバに接続し、SMTPプロトコルにより電子メールを受信する受信ステップと、
受信した電子メールの文字コードを画像データに変換する変換ステップと、
前記画像データを記録紙に記録出力する記録ステップと、
前記記録ステップにより前記画像データを記録出力する際の文字の大きさを設定する文字設定ステップと、
受信した電子メールの文字コードを前記文字設定ステップにより設定された文字の大きさの文字に変倍して前記記録ステップにより記録紙に記録出力させる制御ステップを記憶させたことを特徴とする通信端末装置の制御プログラムを格納したコンピュータ読取可能な記憶媒体。
【請求項10】
所定のタイミングでインターネット接続手段を介してインターネット上の電子メールサーバに接続し、SMTPプロトコルにより電子メールを受信する受信ステップと、
受信した電子メールの文字コードを画像データに変換する変換ステップと、
前記画像データを記録紙に記録出力する記録ステップと、
受信した電子メールを自動的に記録出力する自動印字モードを設定、あるいは該自動印字モードを解除するモード設定ステップと、
前記受信ステップにより電子メールを受信した時、前記モード設定ステップにより自動印字モードが設定されている場合、受信した電子メールの文字コードを前記変換ステップにより画像データに変換して前記記録ステップにより記録紙に記録出力させる制御ステップを記憶させたことを特徴とする通信端末装置の制御プログラムを格納したコンピュータ読取可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−99496(P2006−99496A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−285668(P2004−285668)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】