説明

通信経路選択装置、通信経路選択方法及びプログラム

【課題】複数の通信経路を有するクライアント端末の接続先通信経路を適応的に選択する。
【解決手段】通信経路選択装置1は、クライアント端末に設定された携帯電話網及び無線LANの接続設定と、クライアント端末の情報とを取得する通信部10と、前記接続設定を判定する接続設定確認部201と、前記クライアント端末の情報と、携帯電話網又は無線LANアクセスポイントを示す接続先とを対応付けたテーブルを格納するデータベース203と、接続設定確認部201により前記接続状態が携帯電話網及び無線LANともにオンであるか、又は無線LANのみオンであると判定された場合には、データベース203を参照し、前記クライアント端末の情報に対応付けられた接続先を接続先通信経路として決定する通信経路決定部202と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の通信経路を有するクライアント端末の接続先通信経路を適応的に選択する、通信経路選択装置、通信経路選択方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンに代表される携帯端末は、複数の通信経路を有することが多くなっている。具体的には、3G回線等の携帯電話網、WiFi(登録商標)等の無線LAN、Bluetooth(登録商標)(モバイルルータとの接続向け)等の通信経路を有する。携帯電話網は契約したキャリアとの接続に限定されるが、無線LANはFON、Freespot、飲食店等、無料で利用可能な公衆無線LAN環境も増加している。また、ポータブル無線LANアクセスポイント(以下、単に「ポータブルアクセスポイント」と記す)も増加してきている。このような複数の通信経路を有する環境において、通信状況に応じて無線LANアクセスポイント(AP)を切替える技法が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
また、位置情報を利用して無線LANアクセスポイントへの接続性を判断し、携帯電話の位置が無線LANの圏内であれば無線LANを使用し、無線LANの圏外であれば3G回線を使用する技法も提案されている(例えば、非特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献1】森岡、東野、塚本、小牧、“無線LANにおけるAP選択エージェントシステムの提案”、電子情報通信学会技術研究報告、MoMuC2007−05(2007−05)、p.21−26
【非特許文献2】今井、磯村、吉原、“デュアル端末における無線LAN 省電力待受け方式の実装と評価”、FIT2010(第9回情報科学技術フォーラム)、(第4分冊)、p.385−386
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
無線LANと携帯電話網の両方を利用可能な場合においては、従来は必ず無線LANを利用していた。現在の端末では、ほとんどの場合、まず無線LANへのデータ送信を試み、何らかの問題(例えば、認証等)でデータを送信できない場合に、携帯電話網にデータを送信する。そのため、接続が不安定な無線LANやブラウザ認証を用いた無線LANが周辺にあり、端末がそのアクセスポイントに接続してしまった場合、無線LANのタイムアウト待ちが発生する。接続が不安定な無線LANでは、IPアドレスの付与まではうまくいったが、肝心のデータを送る時点では受信電波強度が不足して通信速度を速くできないことがある。例えば、大学において、建物内から屋外の駐車場に向かう場合、無線LANの受信電波強度が低下傾向にあり、接続が不安定になるにもかかわらず、その接続をつかんだままだと、なかなか携帯電話網に切り替わらない。また、ブラウザ認証による無線LANは、公衆無線LANや主要空港のラウンジ等至る所で用いられているが、認証前にIPアドレスが付与されてしまうため、アプリケーションレイヤから見ると通信可能と認識されてしまうが、実際はデータを送信できないことがある。
【0006】
また、複数の無線LANを利用できる場合においては、従来は必ず受信電波強度の強いアクセスポイントを選択していた。複数の利用可能なアクセスポイント(例えば、大学では、学部・学科ごと、研究室ごと等のアクセスポイント)が存在し、例えば、研究室の無線LAN内のプリンタやサーバにアクセスしたい場合に、研究室のアクセスポイントよりも強度が強い学科のアクセスポイントをつかんでしまうことがある。この場合、本来の目的である研究室の無線LANに接続できないこととなり、改めて接続先を切り替えるという手順が発生してしまう。
【0007】
また、ポータブルアクセスポイントを保有している場合においては、ポータブルアクセスポイントは身近な鞄等に入っているため、端末から見ると、ポータブルアクセスポイントは受信電波強度が最も強いアクセスポイントになる。そのため、受信強度の強いアクセスポイントを選択する従来手法の場合、ユーザの意図した無線LANではなく、ポータブルアクセスポイントに接続されてしまう。例えば、社内において、社内無線LANにアクセスしているつもりでも、実際には手持ちのポータブルアクセスポイントに接続されてしまったために、プリンタやネットワークドライブに繋がらなかったりするという事例も多い。また,ポータブルアクセスポイントの先は携帯電話網であるため、通信速度が遅いと思ったらポータブルアクセスポイントに繋がっていたという事例も多い。
【0008】
本発明の目的は、上記問題を解決するため、携帯電話網、無線LAN、及び複数の無線LANアクセスポイントの切り替えを動的(適応的)に行うことが可能な、通信経路選択装置、通信経路選択方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明に係る通信経路選択装置は、複数の通信経路を有するクライアント端末の接続先通信経路を適応的に選択する通信経路選択装置であって、クライアント端末に設定された携帯電話網及び無線LANの接続設定と、クライアント端末の情報とを取得する通信部と、前記接続設定が、携帯電話網及び無線LANともにオンであるか、携帯電話網のみオンであるか、無線LANのみオンであるか、又は携帯電話網及び無線LANともにオフであるかを判定する接続設定確認部と、前記クライアント端末の情報と、携帯電話網又は無線LANアクセスポイントを示す接続先と、を対応付けたテーブルを格納するデータベースと、前記接続設定確認部により、前記接続状態が携帯電話網及び無線LANともにオンであるか、又は無線LANのみオンであると判定された場合には、前記データベースを参照し、前記クライアント端末の情報に対応付けられた接続先を接続先通信経路として決定する通信経路決定部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、上記課題を解決するため、本発明に係る通信経路選択方法は、通信部と、接続設定確認部と、通信経路決定部とを備える通信経路選択装置により、複数の通信経路を有するクライアント端末の接続先通信経路を適応的に選択する通信経路選択方法であって、前記通信部により、クライアント端末に設定された携帯電話網及び無線LANの接続設定と、クライアント端末の情報とを取得するステップと、前記接続設定確認部により、前記接続設定が、携帯電話網及び無線LANともにオンであるか、携帯電話網のみオンであるか、無線LANのみオンであるか、又は携帯電話網及び無線LANともにオフであるかを判定するステップと、前記接続設定確認部により、前記接続状態が携帯電話網及び無線LANともにオンであるか、又は無線LANのみオンであると判定された場合には、前記クライアント端末の情報と、携帯電話網又は無線LANアクセスポイントを示す接続先とを対応付けたテーブルとを格納するデータベースを参照し、前記クライアント端末の情報に対応付けられた接続先を接続先通信経路として決定するステップと、を含むことを特徴とする。
【0011】
また、上記課題を解決するために、本発明は、複数の通信経路を有するクライアント端末の接続先通信経路を適応的に選択する通信経路選択装置として機能するコンピュータに、クライアント端末に設定された携帯電話網及び無線LANの接続設定と、クライアント端末の情報とを取得するステップと、前記接続設定が、携帯電話網及び無線LANともにオンであるか、携帯電話網のみオンであるか、無線LANのみオンであるか、又は携帯電話網及び無線LANともにオフであるかを判定するステップと、前記接続状態が携帯電話網及び無線LANともにオンであるか、又は無線LANのみオンであると判定された場合には、前記クライアント端末の情報と、携帯電話網又は無線LANアクセスポイントを示す接続先とを対応付けたテーブルとを格納するデータベースを参照し、前記クライアント端末の情報に対応付けられた接続先を接続先通信経路として決定するステップと、を実行させるためのプログラムとしても特徴付けられる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数の通信経路を有するクライアント端末において、通信デバイスが使用されている状況(通信コンテキスト)に応じて、適切な通信経路を動的(適応的)に選択することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】無線LANと携帯電話網の両方を利用できる例を示す図である。
【図2】複数の無線LANアクセスポイントを利用できる例を示す図である。
【図3】本発明による第1の実施形態の通信経路選択装置の概略構成を示すブロック図である。
【図4】本発明による第1の実施形態の優先設定データベースの一例を示す図である。
【図5】本発明による第1の実施形態の通信経路選択装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明による第1の実施形態の通信経路選択部の起動例を示すフローチャートである。
【図7】本発明による第1の実施形態の接続状態確認例を示すフローチャートである。
【図8】本発明による第1の実施形態の通信経路選択装置の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明による第1の実施形態の判定例を示すフローチャートである。
【図10】本発明による第1の実施形態のアクセスポイント決定例を示すフローチャートである。
【図11】本発明による第2の実施形態の通信経路選択装置の構成を示すブロック図である。
【図12】本発明による第2の実施形態のポリシーデータベースの一例を示す図である。
【図13】本発明による第2の実施形態の判定例を示すフローチャートである。
【図14】本発明による第2の実施形態のアクセスポイント決定例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
本発明では、クライアント端末が複数の通信経路を有する場合に、通信経路を適応的に選択する。そこで、最初に、本発明の理解を助けるために、クライアント端末が複数の通信経路を有する例を説明する。図1は、無線LANと携帯電話網の両方を利用できる例を示す図である。図1(a)は、屋内無線LANを利用している屋内のユーザが、その後屋外に移動している例を示す図である。無線LANアクセスポイントから遠ざかるため、無線LANの受信電波は減衰傾向であるが、かろうじて接続が繋がっている場合、たとえ屋外で携帯電話網の基地局からの受信電波強度のほうが強くても、従来であれば、無線LANを継続して利用する。
【0016】
図1(b)は、FONやMobilePointといったブラウザ認証型公衆無線LANのアクセスポイントに接続してしまった例を示す図である。従来、このような認証型公衆無線LAN接続は、たまに利用した場合であってもクライアント端末に接続履歴が残る。そのため、クライアント端末は履歴を参照し、2回目以降も当該認証型公衆無線LANに接続を試みる。また、ブラウザ認証を行うため、認証前にIPアドレスは付与されることから、認証型公衆無線LAN接続が未認証であっても、アプリケーションから見た場合は通信可能であると誤認し、たとえ携帯電話網の基地局からの受信電波強度のほうが強くても、従来であれば、未認証の当該認証型公衆無線LANにデータを送ろうとしてしまう。
【0017】
そこで、本発明では、無線LANと携帯電話網の両方を利用できる場合、常に無線LANを選択するのではなく、位置や時間と行った通信デバイスの状況(通信コンテキスト)に応じて、無線LANか携帯電話網かを適応的に選択する。
【0018】
図2は、複数の無線LANアクセスポイント(AP)を利用できる例を示す図である。ここで、アクセスポイントを利用可能とは、過去に接続したことがあるアクセスポイントを指す。複数のアクセスポイントを利用可能な場合、従来であれば、利用可能なアクセスポイントの中で、最も受信電波強度の強いアクセスポイントが必ず選択される。このため、例えば、オフィスにおいて、席の配置の関係で隣部署のアクセスポイントの方が近い場合や、鞄にモバイルアクセスポイントを入れている場合等では、本来接続したい社内の自身の部署のアクセスポイントではなく、受信電波強度の強いそれらのアクセスポイントに接続されてしまう。
【0019】
そこで、本発明では、複数の無線LANアクセスポイントを利用できる場合、必ずしも受信電波強度に応じて選択するのではなく、減衰傾向や位置や時間といった通信デバイスの状況(通信コンテキスト)に応じて、無線LANを適応的に選択する。
【0020】
(第1の実施形態)
以下、本発明による第1の実施形態について説明する。図3は、通信経路選択装置1の概略構成を示す図である。通信経路選択装置1は、通信部10と、通信経路選択部20とを備える。なお、実施形態においては、通信経路選択装置1がクライアント端末に実装されることを想定している。
【0021】
まず、通信部10の構成について説明する。通信部10は、通信状態取得部101と、3Gモジュール102と、WiFiモジュール103と、GPS受信部104とを備える。
【0022】
3Gモジュール102は、携帯電話網に対する通信状態を取得する。ここで、携帯電話網に対する通信状態とは、基地局からの受信電波強度等の情報であり、圏内/圏外の情報を含めてもよい。また、通信経路選択部20からの指示に基づいて、基地局を介して携帯電話網に接続する。
【0023】
WiFiモジュール103は、無線LANとの通信状態を取得する。ここで、無線LANとの通信状態とは、アクセスポイントからの受信電波強度、SSID(Service Set Identifier)等の情報であり、圏内/圏外の情報を含めてもよい。また、通信経路選択部20からの指示に基づいて、アクセスポイントを介して無線LANに接続する。
【0024】
通信状態取得部101は、3Gモジュール102及びWiFiモジュール103からそれぞれの通信状態を取得し、取得した通信状態を通信経路選択部20に出力する。また、通信状態取得部101は、クライアント端末の位置情報を取得し、取得した位置情報を通信経路選択部20に出力する。なお、位置情報に加えて時間(時刻)情報も取得し、通信経路選択部20に出力するようにしてもよい。位置情報は、無線LANアクセスポイントの位置や、GPS受信部104により受信したGPS(Global Positioning System)信号等から取得する。また、時間情報は、クライアント端末に内蔵された時計や、GPS受信部104により取得したGPS信号等から取得する。なお、図3では通信部10がGPS受信部104を備える構成としているが、クライアント端末に内蔵されているGPS受信部からGPS信号のみを取得する構成としてもよい。
【0025】
また、通信状態取得部101は、ある基準となる状態の変化をトリガー(この場合、定期的にトリガーとなる値を監視する)として、通信経路選択部20を起動する。例えば、通信の切断、受信電波強度の変化、位置の変化、といった基準となる状態の変化をトリガーとすることができる。受信電波強度や位置の変化をトリガーとする場合には、常時、受信電波強度や位置を監視する必要があるため、一般的には通信の切断をトリガーとする。
【0026】
次に、通信経路選択部20の構成について説明する。通信経路選択部20は、接続設定確認部201と、通信経路決定部202と、データベース203とを備える。
【0027】
接続設定確認部201は、ユーザにより設定されるクライアント端末の接続設定を確認する。接続設定には、(1)3G(携帯電話網)オン、WiFi(無線LAN)オン、(2)3Gオン、WiFiオフ、(3)3Gオフ、WiFiオン、(4)3Gオフ、WiFiオフの4種類がある。接続設定確認部201は、この組み合わせごとに通信経路の選択方法を決定する。
【0028】
データベース203は、クライアント端末の端末情報と通信経路とを対応付けたテーブルを格納する。第1の実施形態の通信経路選択装置1においては、データベース203が、端末情報である位置情報(及び時間情報)と、接続先と、最低受信電波強度とを対応付けたテーブルである場合について説明する。後述する第2の実施形態のデータベースと区別するため、以下では優先設定データベースと称する。優先設定データベース203は、優先する特定の接続先(携帯電話網又は無線LANアクセスポイント)を明記している。
【0029】
位置情報と接続先とを対応付けることで、クライアント端末の位置に近いアクセスポイントを接続先とすることができる。また、時間情報は必ずしも必要ではないが、時間情報と接続先とを対応付けることで、ある特定の時間帯においては必ず携帯電話端末網に接続するといった制御が可能となる。また、これらを組み合わせ、ある一定時間以上ある場所に滞留している場合は、3Gからブラウザ認証型公衆無線LANに切り替えるといった制御も可能となる。
【0030】
図4は、優先設定データベース203に蓄積されたデータベースの一例を示す図である。各設定は、その並び順が優先度を表しており、優先度の高い設定順に配置される。複数の設定と一致する場合は、最も上位に登録されている設定を適用する。なお、図中のap1やap3はアクセスポイントの識別子であるSSIDを示している。
【0031】
通信経路決定部202は、優先設定データベース203を参照し、クライアント端末の位置情報(及び時間情報)に対応付けられた接続先を接続先通信経路として決定する。ここで、「接続先通信経路」とは、複数の通信可能な通信経路のうち、実際に接続する通信経路のことである。つまり、クライアント端末の位置情報に対応付けられた接続先が携帯電話網の場合には、接続先通信経路は携帯電話網であり、クライアント端末の位置情報に対応付けられた接続先が無線LANアクセスポイントの場合には、接続先通信経路はその無線LANアクセスポイントを介して接続可能な無線LANである。
【0032】
次に、このように構成される通信経路選択装置1の動作について説明する。図5は、通信経路選択装置1の動作を示すフローチャートである。通信経路選択装置1は、通信部10により、基準となる状態の変化に基づいて通信経路選択部20を起動する。(ステップS101)。次に、通信経路選択装置1は、接続設定確認部201により、ユーザにより設定されたクライアント端末の接続状態を確認する(ステップS102)。次に、通信経路選択装置1は、通信経路決定部202により、接続先を決定する(ステップS103)。通信経路選択装置1は、通信部10により、ステップS103にて決定された接続先に接続して通信を開始する(ステップS104)。
【0033】
図6は、図5のステップS101の動作を詳細に示すものであり、通信部10(通信状態取得部101)による通信経路選択部20の起動例を示すフローチャートである。ここに示す例では、通信の切断、受信電波強度の変化、及び位置の変化をトリガーとしている。
【0034】
まず、通信状態取得部101は、通信経路に対する接続が維持されているか否かを判定し(ステップS201)、接続が維持されていない、すなわち未接続である(未接続になった)と判定した場合には、通信経路選択部20を起動する(ステップS206)。
【0035】
一方、ステップS201にて、接続が維持されていると判定した場合には、通信状態取得部101は、受信電波強度を取得して単位時間当たりの変化量を求める(ステップS202)。そして、通信状態取得部101は、単位時間当たりの受信電波強度の減衰量が閾値を超えるか否かを判定し(ステップS203)、受信電波強度の減衰量が閾値を超えると判定した場合には通信経路選択部20を起動する(ステップS206)。
【0036】
一方、ステップS203にて、受信電波強度の減衰量が閾値以下であると判定した場合には、通信状態取得部101は、クライアント端末の位置情報を取得して単位時間当たりの移動距離(すなわち移動速度)を求める(ステップS204)。なお、移動速度は加速度センサにより取得してもよい。
【0037】
そして、通信状態取得部101は、単位時間当たりのクライアント端末の移動距離が閾値を超えるか否かを判定し(ステップS205)、移動距離が閾値を超えると判定した場合には、通信経路選択部20を起動する(ステップS206)。一方、ステップS205にて、移動距離が閾値以下であると判定した場合には、処理をステップS201に戻し、上記処理を繰り返す。
【0038】
なお、通信状態取得部101は、定期的に通信状態を取得し、定期的に通信経路選択部20を起動するようにしてもよい。この場合、更新間隔はユーザにより設定できるものとするが、更新間隔を短くすると、常に最適な経路を選択できる一方で、電池の消耗及び頻繁な経路変更(変更のたびに、各レイヤでの通信開始に伴うオーバーヘッド発生)を伴うことになる。
【0039】
図7は、図5のステップS102の動作を詳細に示すものであり、接続設定確認部201による接続状態確認例を示すフローチャートである。接続設定確認部201は、通信状態取得部101から携帯電話網及び無線LANの接続状態を取得する(ステップS301)。ステップS302にて携帯電話網(3G)及び無線LAN(WiFi)ともオフであると判定した場合には、接続設定確認部201は、通信不能であるため通信経路を選択しない(ステップS303)。携帯電話網(3G)のみオンであると判定した場合には(ステップS304−Yes)、接続先通信経路を携帯電話網と決定する(ステップS305)。
【0040】
また、接続設定確認部201は、携帯電話網(3G)と無線LAN(WiFi)の両方ともオンの場合、又は無線LAN(WiFi)のみオンの場合は(ステップS304−No)、通信経路決定部202に対し、通信経路決定処理を行うように指示する(ステップS306)。
【0041】
図8は、通信経路選択装置1の構成を示すブロック図であり、通信経路決定部202の構成をより詳細に示したものである。通信経路決定部202は、優先設定データベース203を参照し、クライアント端末の位置情報(及び時間情報)に対応付けられた通信経路を一意に決定することもできるが、ここでは、無線LANを選択する場合には利用可能なアクセスポイントを抽出し、再度、優先設定データベース203を参照して、最終的な接続先のアクセスポイントを決定する手法について説明する。この場合には、通信経路決定部202は、判定部204と、AP抽出部205と、AP決定部206とを備える。
【0042】
判定部204は、優先設定データベース203を参照し、位置情報に対応付けられた優先経路があるか否かを判定する。ここで、優先経路とは、携帯電話網又は無線LANのいずれか一方である。例えば、優先設定データベース203を参照し、最も優先度の高い設定が3Gである場合には、優先経路を携帯電話網とし、それ以外の場合には、優先経路を無線LANとする。
【0043】
AP抽出部205は、利用可能なアクセスポイントを抽出し、利用可能なアクセスポイントのリストをAP決定部206に出力する。従来は、使用履歴があれば利用可能なAPとしていた。しかし、AP抽出部205は、使用履歴があり、かつ、受信電波強度が閾値を超えるアクセスポイントを、利用可能なアクセスポイントとして抽出する。これは、受信電波強度が弱いアクセスポイントに接続しないようにするためである。また、利用可能なアクセスポイントの条件に、受信電波強度の単位時間の変化量等のパラメータを更に加えてもよい。
【0044】
AP決定部206は、AP抽出部205から入力される利用可能なアクセスポイントのリストに対して、再度、優先設定データベース203との照合を行い、利用可能なアクセスポイントに一致するアクセスポイントを決定し、接続先通信経路を該アクセスポイントを介して接続可能な無線LANと決定する。
【0045】
図5のステップS103の通信経路決定部202による通信経路動作を、図9及び10を参照して詳細に説明する。図9は、判定部204による判定例を示すフローチャートである。判定部204は、通信状態取得部101から、通信状態及び位置・時間情報を取得し(ステップS401)、位置・時間情報をキーとして優先設定データベース203を参照する(ステップS402)。そして、判定部204は、優先経路があるか否かを判定する(ステップS403)。ステップS403にて優先経路があると判定した場合には、判定部204は、優先経路が携帯電話網であるか否かを判定する(ステップS404)。ステップS404にて優先経路が携帯電話網であると判定した場合には、判定部204は、接続先通信経路を携帯電話網と決定する(ステップS405)。
【0046】
一方、ステップS403にて優先経路がないと判定した場合、又はステップS402にて優先経路が無線LANであると判定した場合には、判定部204は、通信経路を無線LANと決定し(ステップS406)、AP抽出部205を起動する。ここで、「優先経路がない」とは、優先設定データベース203に、取得した位置・時間情報に対応付けられた通信経路が存在しない場合をいう。なお、優先経路がない場合に無線LAN接続を優先するのは従来と同様である。
【0047】
図10は、AP決定部206によるアクセスポイント決定例を示すフローチャートである。AP決定部206は、位置・時間情報と、通信状態とを通信状態取得部101から取得し(ステップS501)、AP抽出部205から利用可能なアクセスポイントのリストを取得する(ステップS502)。そして、AP決定部206は、ステップS501にて取得した位置・時間情報と、受信電波強度に基づいて、優先設定データベース203を参照し(ステップS503)、取得したアクセスポイントに一致するアクセスポイントが存在するか否かを判定する(ステップS504)。
【0048】
ステップS504にて一致するアクセスポイントが存在すると判定した場合には、AP決定部206は、接続先通信経路をそのアクセスポイントを介して接続可能な無線LANと決定する(ステップS505)。一致するアクセスポイントが複数存在する場合には、優先設定データベース203の最も上位に登録されているアクセスポイントを適用する。一方、ステップS504にて一致する設定が存在しないと判定した場合には、AP決定部206は、従来と同様に、受信電波強度と使用履歴に基づいて接続先通信経路を決定する(ステップS506)。
【0049】
なお、ステップS403にて優先設定データベース203に優先経路がないと判定した場合には、ステップS504にて一致するアクセスポイントは存在しないと判定されるため、ステップS506にて受信電波強度と使用履歴に基づいて接続先通信経路を決定することになる。そのため、ステップS403にて優先経路がないと判定した場合には、直接、判定部204により、受信電波強度と使用履歴に基づいて接続先通信経路を決定するようにしてもよい。
【0050】
ここで、通信経路選択装置1として機能させるために、コンピュータを好適に用いることができ、そのようなコンピュータは、通信経路選択装置1の各機能を実現する処理内容を記述したプログラムを、当該コンピュータの記憶部に格納しておき、当該コンピュータの中央演算処理装置(CPU)によってこのプログラムを読み出して実行させることで実現することができる。
【0051】
このように、第1の実施形態の通信経路選択装置1によれば、複数の通信経路を有するクライアント端末において、通信デバイスが使用されている状況(通信コンテキスト)に応じて、適切な通信経路を適応的に選択することが可能となる。
【0052】
例えば、位置情報に基づいて優先度を決定することで、ポータブルアクセスポイントを利用していても、他の無線LANアクセスポイントからの受信電波強度が閾値を超える場合には、他の無線LANアクセスポイントに接続を切り替えることが可能となる。
【0053】
また、ある通信経路の受信電波強度が、複数の通信経路のうちで最も強くなくても、受信電波強度がある閾値を超える場合には、通信デバイスの選択ポリシーに従って、優先的に接続することが可能となる。例えば、隣の部署のアクセスポイントの方が近く、受信電波強度も高い場合であっても、位置情報に基づいて優先度を決定することで、自分の部署のアクセスポイントに接続することができる。
【0054】
また、最低受信電波強度や移動速度情報も優先度を決定する際の指標としているため、無線LANアクセスポイントからの受信電波強度が弱い場合、あるいは受信電波強度の変化が大きい場合に、携帯電話網との接続が安定しているときには、携帯電話網を優先するようにすることが可能となる。さらに、位置情報に基づいて優先度を決定することで、ある特定の場所では必ず携帯電話網を優先するといった制御も可能となる。
【0055】
(第2の実施形態)
次に、本発明による第2の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同じ構成要素には同一の参照番号を付して説明を省略する。第1の実施形態の通信経路選択装置1では、位置・時間情報に基づいて通信経路を選択したが、第2の実施形態の通信経路選択装置2では、クライアント端末に設定された通信モード設定に基づいて通信経路を自動選択する。
【0056】
図11は、本発明による第2の実施形態の通信経路選択装置2の構成を示すブロック図である。通信経路選択装置2の通信部10は、第1の実施形態と同様である。通信経路選択装置2の通信経路選択部20は、接続設定確認部201と、通信経路決定部202と、ポリシーデータベース208とを備える。
【0057】
ポリシーデータベース208は、利用する通信経路を選択するための複数からなる条件を蓄積したデータベースであり、通信モードと、優先する通信経路(優先経路)と、最低受信電波強度と、優先するAP(優先AP)と、優先するAPポイントがない場合のAP選択手法とを対応付けた情報(データベース)を蓄積する。
【0058】
図12は、ポリシーデータベース208に蓄積されたデータベースの一例を示す図である。ここで、通信モードとは、ユーザによりクライアント端末に設定されるものであり、省電力モード、無線LANオンリーモード、最大通信速度モード等である。通信モードは、代表的なものを予め用意しておいてもよいし、さらに、ユーザが独自に追加登録できるようにしてもよい。ユーザは、通信をするにあたり、予め一つの通信モードを設定しているものとする。
【0059】
通信経路決定部202は、ポリシーデータベース208を参照し、通信モードに対応付けられた通信経路を一意に決定することもできるが、ここでは、無線LANを選択する場合には利用可能なアクセスポイントを抽出し、再度、ポリシーデータベース208を参照して、最終的な接続先のアクセスポイントを決定する手法について説明する。この場合には、通信経路決定部202は、判定部204と、AP抽出部205と、AP決定部206と、モード確認部207とを備える。モード確認部207は、ユーザにより設定されるクライアント端末の通信モード設定を確認する。
【0060】
図13は、判定部204の動作を示すフローチャートである。判定部204は、通信状態取得部101から通信状態及び位置情報を取得するとともに、モード確認部207から通信モードを取得し(ステップS601)、通信モードをキーとしてポリシーデータベース208を参照する(ステップS602)。そして、判定部204は、優先経路があるか否かを判定する(ステップS603)。優先経路は、図12に示すように通信モードごとに設定される。ステップS603にて優先経路があると判定した場合には、判定部204は、優先経路が携帯電話網であるか否かを判定する(ステップS604)。ステップS604にて優先経路が携帯電話網であると判定した場合には、判定部204は、通信経路を携帯電話網と決定する(ステップS605)。
【0061】
一方、ステップS603にて優先経路がないと判定した場合、又はステップS602にて優先経路が無線LANであると判定した場合には、判定部204は、通信経路を無線LANと決定し(ステップS606)、AP抽出部205を起動する。
【0062】
図14は、AP決定部206によるアクセスポイント決定例を示すフローチャートである。AP決定部206は、通信状態取得部101から通信状態及び位置情報を取得するとともに、モード確認部207から通信モードを取得する(ステップS701)。また、AP決定部206は、AP抽出部205から利用可能なアクセスポイントのリストを取得する(ステップS702)。そして、AP決定部206は、ステップS701にて取得した通信モードに基づいて、ポリシーデータベース208を参照し(ステップS703)、取得したアクセスポイントに一致するアクセスポイントが存在するか否かを判定する(ステップS704)。ステップS704にて一致するアクセスポイントが存在すると判定した場合には、AP決定部206は、そのアクセスポイントを接続先の無線LANアクセスポイントと決定する(ステップS705)。
【0063】
一方、ステップS704にて一致する設定が存在しないと判定した場合には、AP決定部206は、ポリシーデータベース208に登録された選択手法に基づいて接続先のアクセスポイントを決定する(ステップS706)。図12を例に説明すると、通信モードが省電力モードの場合、優先アクセスポイントとしてap1が登録されているが、AP抽出部205から取得した利用可能なアクセスポイントのリストにap1が存在しない場合には、通信モードに対応付けられたアクセスポイント選択(ここでは、頻度優先)に基づいて、接続先のアクセスポイントを決定する。
【0064】
アクセスポイント選択には、接続頻度、位置優先、時間優先等がある。ここで、アクセスポイント選択が「接続頻度」であるときは、接続頻度の高いアクセスポイントを接続先とする。通信経路選択部20が、第1の実施形態で説明した優先設定データベース203を更に備える場合には、アクセスポイント選択に「位置優先」「時間優先」を加えることもできる。アクセスポイント選択が「位置優先」である場合には、優先設定データベース203を参照し、位置情報に対応付けられた接続先を取得する。アクセスポイント選択が「時間優先」である場合には、優先設定データベース203を参照し、時間情報に対応付けられた接続先を取得する。
【0065】
なお、ステップS603にてポリシーデータベース208に優先経路がないと判定した場合には、ステップS704にて一致するアクセスポイントは存在しないと判定されるため、ステップS706にてポリシーデータベース208に登録された選択手法に基づいて接続先通信経路を決定することになる。そのため、ステップS603にて優先経路がないと判定した場合には、直接、判定部204により、ポリシーデータベース208に登録された選択手法に基づいて接続先通信経路を決定するようにしてもよい。
【0066】
ここで、第1の実施形態と同様に、第2の実施形態の通信経路選択装置2として機能させるために、コンピュータを好適に用いることができ、そのようなコンピュータは、通信経路選択装置2の各機能を実現する処理内容を記述したプログラムを、当該コンピュータの記憶部に格納しておき、当該コンピュータのCPUによってこのプログラムを読み出して実行させることで実現することができる。
【0067】
このように、第2の実施形態の通信経路選択装置2によれば、通信モードに応じて優先度を決定することが可能となる。例えば、通信モードを最大通信速度モードに設定していれば、携帯電話網よりも高速な無線LANのみに接続することができる。
【0068】
上述の実施形態は代表的な例として説明したが、本発明の趣旨及び範囲内で、多くの変更及び置換ができることは当業者に明らかである。従って、本発明は、上述の実施形態によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【0069】
例えば、通信経路選択部は、優先設定データベース203を利用した「位置や時間に応じた選択方法」と、ポリシーデータベース208を利用した「通信モード設定に基づく自動選択方法」とを組み合わせて通信経路を決定することも可能である。例えば、最初に優先設定データベース203を利用して、接続先が見つからない場合にポリシーデータベース208を利用するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0070】
このように、本発明によれば、どの通信経路を用いるかを状況に応じて適用的に選択することができるので、複数の通信経路と接続可能な端末(例えば、スマートフォン)において利用可能である。
【符号の説明】
【0071】
1,2 通信経路選択装置
10 通信部
20 通信経路選択部
101 通信状態取得部
102 3Gモジュール
103 WiFiモジュール
104 GPS受信部
201 接続設定確認部
202 通信経路決定部
203 優先設定データベース
204 判定部
205 AP抽出部
206 AP決定部
207 モード確認部
208 ポリシーデータベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の通信経路を有するクライアント端末の接続先通信経路を適応的に選択する通信経路選択装置であって、
クライアント端末に設定された携帯電話網及び無線LANの接続設定と、クライアント端末の情報とを取得する通信部と、
前記接続設定が、携帯電話網及び無線LANともにオンであるか、携帯電話網のみオンであるか、無線LANのみオンであるか、又は携帯電話網及び無線LANともにオフであるかを判定する接続設定確認部と、
前記クライアント端末の情報と、携帯電話網又は無線LANアクセスポイントを示す接続先と、を対応付けたテーブルを格納するデータベースと、
前記接続設定確認部により、前記接続状態が携帯電話網及び無線LANともにオンであるか、又は無線LANのみオンであると判定された場合には、前記データベースを参照し、前記クライアント端末の情報に対応付けられた接続先を接続先通信経路として決定する通信経路決定部と、
を備えることを特徴とする通信経路選択装置。
【請求項2】
前記クライアント端末の情報は、クライアント端末の位置情報であることを特徴とする、請求項1に記載の通信経路選択装置。
【請求項3】
前記クライアント端末の情報は、クライアント端末に設定された通信モード設定であることを特徴とする、請求項1に記載の通信経路選択装置。
【請求項4】
前記通信経路決定部は、前記接続設定確認部により前記接続状態が携帯電話網及び無線LANともにオンであると判定された場合には、前記データベースを参照し、前記位置情報に対応付けられた接続先があるか否かを判定し、接続先が携帯電話網である場合には、接続先通信経路を携帯電話網と決定する判定部と、
前記接続設定確認部により前記接続状態が無線LANのみオンであると判定された場合、及び前記判定部により接続先が無線LANアクセスポイントであると判定された場合には、利用可能なアクセスポイントを抽出するAP抽出部と、
前記データベースを参照し、前記位置情報に対応付けられた接続先のうち、前記AP抽出部により抽出された利用可能なアクセスポイントに一致するアクセスポイントを決定し、接続先通信経路を該アクセスポイントを介して接続可能な無線LANと決定するAP決定部と、
を備えることを特徴とする、請求項2に記載の通信経路選択装置。
【請求項5】
前記通信経路決定部は、前記通信モード設定を取得するモード確認部と、
前記接続設定確認部により、前記接続状態が携帯電話網及び無線LANともにオンであると判定された場合には、前記データベースを参照し、前記通信モード設定に対応付けられた接続先があるか否かを判定し、接続先が携帯電話網である場合には、接続先通信経路を携帯電話網と決定する判定部と、
前記接続設定確認部により前記接続状態が無線LANのみオンであると判定された場合、及び前記判定部により接続先が無線LANアクセスポイントであると判定された場合には、利用可能なアクセスポイントを抽出するAP抽出部と、
前記データベースを参照し、前記通信モード設定に対応付けられた接続先のうち、前記AP抽出部により抽出された利用可能なアクセスポイントに一致するアクセスポイントを取得し、接続先通信経路を該取得したアクセスポイントを介して接続可能な無線LANと決定するAP決定部と、
を備えることを特徴とする、請求項3に記載の通信経路選択装置。
【請求項6】
前記データベースは、前記通信モード設定に対応付けられた、アクセスポイントの選択手法を示すアクセスポイント選択情報を有しており、
前記AP決定部は、前記AP抽出部により抽出された利用可能なアクセスポイントに一致するアクセスポイントを取得できない場合には、前記アクセスポイント選択情報に基づいてアクセスポイントを選択し、接続先通信経路を該選択したアクセスポイントを介して接続可能な無線LANと決定することを特徴とする、請求項5に記載の通信経路選択装置。
【請求項7】
前記AP抽出部は、使用履歴があり、かつ、受信電波強度が閾値を超えるであるアクセスポイントを、前記利用可能なAPとして抽出することを特徴とする、請求項4〜6のいずれか一項に記載の通信経路選択装置。
【請求項8】
前記通信部は、通信経路に対する接続が維持されているか否か、受信電波強度の減衰量が閾値を越えるか否か、又はクライアント端末の移動速度が閾値を越えるか否か、のうち少なくとも1つの条件に従って、前記通信経路決定部の動作を繰り返し行うことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の通信経路選択装置。
【請求項9】
通信部と、接続設定確認部と、通信経路決定部とを備える通信経路選択装置により、複数の通信経路を有するクライアント端末の接続先通信経路を適応的に選択する通信経路選択方法であって、
前記通信部により、クライアント端末に設定された携帯電話網及び無線LANの接続設定と、クライアント端末の情報とを取得するステップと、
前記接続設定確認部により、前記接続設定が、携帯電話網及び無線LANともにオンであるか、携帯電話網のみオンであるか、無線LANのみオンであるか、又は携帯電話網及び無線LANともにオフであるかを判定するステップと、
前記接続設定確認部により、前記接続状態が携帯電話網及び無線LANともにオンであるか、又は無線LANのみオンであると判定された場合には、前記クライアント端末の情報と、携帯電話網又は無線LANアクセスポイントを示す接続先とを対応付けたテーブルとを格納するデータベースを参照し、前記クライアント端末の情報に対応付けられた接続先を接続先通信経路として決定するステップと、
を含むことを特徴とする通信経路選択方法。
【請求項10】
複数の通信経路を有するクライアント端末の接続先通信経路を適応的に選択する通信経路選択装置として機能するコンピュータに、
クライアント端末に設定された携帯電話網及び無線LANの接続設定と、クライアント端末の情報とを取得するステップと、
前記接続設定が、携帯電話網及び無線LANともにオンであるか、携帯電話網のみオンであるか、無線LANのみオンであるか、又は携帯電話網及び無線LANともにオフであるかを判定するステップと、
前記接続状態が携帯電話網及び無線LANともにオンであるか、又は無線LANのみオンであると判定された場合には、前記クライアント端末の情報と、携帯電話網又は無線LANアクセスポイントを示す接続先とを対応付けたテーブルとを格納するデータベースを参照し、前記クライアント端末の情報に対応付けられた接続先を接続先通信経路として決定するステップと、
を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−169971(P2012−169971A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−30658(P2011−30658)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【出願人】(504145342)国立大学法人九州大学 (960)
【Fターム(参考)】