説明

通信装置、ネットワーク及びそれらに用いる疎通停止監視方法

【課題】 疎通ルートに監視フレームを流すことなく、疎通停止を監視可能とし、その構成を小規模回路で実現することが可能な通信装置を提供する。
【解決手段】 通信装置(1)は、自装置内の疎通停止監視対象(疎通停止監視対象部12)に入力されるパケットをパルス信号に変換する第1の手段(入力処理部11)と、疎通停止監視対象(疎通停止監視対象部12)から出力されるパケットをパルス信号に変換する第2の手段(出力処理部13)と、第1及び第2の手段(入力処理部11及び出力処理部13)各々のパルス信号の監視結果を基に疎通停止監視対象(疎通停止監視対象部12)の疎通停止を監視する手段(出力処理部13)とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は通信装置及びそれに用いる疎通停止監視方法に関し、特にネットワークの疎通ルートにおける疎通停止の監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に関連するネットワークにおいては、例えば、図5に示すようなネットワークにおいて、端末aから端末bに通信している場合、ノード(Node)Aが故障すると、端末aと端末bとの間が通信断となる。
【0003】
この場合、ノードAが装置故障を通知(表示)することができれば、当該ネットワークの保守を行うことができるが、ノードAの部分故障が起きた場合は、故障通知を行うことができない可能性もある。
【0004】
つまり、端末aと端末bとの間で実際に通信できるかできないかは、上記のネットワークの疎通ルート(端末a→ノードA→ノードB→ノードC→端末bのルート)に通信データを流してチェックしない限りわからないということになる。
【0005】
そこで、図6及び図7に示すように、ネットワーク内の装置(上記の例では、ノードA〜C)が監視フレームを疎通ルートにInsert/Dropし、疎通ルートにおける疎通状態を確認する必要がある。図6は、装置間における疎通ルートへの監視フレームの送出を示し、図7は装置内における疎通ルートへの監視フレームの送出を示している。
【0006】
上記の疎通状態を確認する技術としては、各ハブのパケット送信ポートで、伝送すべき管理情報を送信パケットの極性情報として送出するようにし、パケット受信ポートで、受信したパケットの極性情報から管理情報を検出するようにし、ネットワークにおけるハブの接続状態を認識する技術がある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平07−147587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明に関連するネットワークでは、疎通停止を監視するために、疎通ルートに監視フレームを流すので、監視フレームを流入させる分の帯域を確保する必要があり、それを実現する回路が大きくなる。
【0009】
上記の特許文献1に記載の技術では、送信パケット毎に極性を反転させて、受信側でキャリアを検出しているだけなので、上記の本発明に関連するネットワークにおける疎通停止監視の課題を解決することができない。
【0010】
そこで、本発明の目的は上記の問題点を解消し、疎通ルートに監視フレームを流すことなく、疎通停止を監視することができ、その構成を小規模回路で実現することができる通信装置、ネットワーク及びそれらに用いる疎通停止監視方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による通信装置は、自装置内の疎通停止監視対象に入力されるパケットをパルス信号に変換する第1の手段と、前記疎通停止監視対象から出力されるパケットをパルス信号に変換する第2の手段と、前記第1及び第2の手段各々のパルス信号の監視結果を基に前記疎通停止監視対象の疎通停止を監視する手段とを備えている。
【0012】
本発明によるネットワークは、上記の通信装置を含むことを特徴とする。
【0013】
本発明による疎通停止監視方法は、通信装置が、当該通信装置内の疎通停止監視対象に入力されるパケットをパルス信号に変換する第1の処理と、前記疎通停止監視対象から出力されるパケットをパルス信号に変換する第2の処理と、前記第1及び第2の処理各々のパルス信号の監視結果を基に前記疎通停止監視対象の疎通停止を監視する処理とを実行している。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、上記のような構成及び動作とすることで、疎通ルートに監視フレームを流すことなく、疎通停止を監視することができ、その構成を小規模回路で実現することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施の形態による通信装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における疎通ルートに流れるパケットをパルスとして扱う方法を示す図である。
【図3】図1の出力処理部で処理する状態遷移を示す図である。
【図4】図1の出力処理部での疎通停止の検出論理を示す図である。
【図5】本発明に関連するネットワークの通信状態を説明するための図である。
【図6】本発明に関連するネットワークにおける疎通監視の一例を示す図である。
【図7】本発明に関連するネットワークにおける疎通監視の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。本発明によるネットワークを構成する通信装置の概略について説明する。本発明による通信装置では、ネットワークの疎通ルートに流れるパケットをパルスとして扱い、パルス監視を通信装置の入力と出力とで行うことで、監視フレームを流すことなく、疎通停止を監視することができる。
【0017】
この場合、本発明による通信装置では、入力と出力とでパルス監視を行っているだけなので、小規模回路にて疎通停止の監視を実現することができる。
【0018】
図1は本発明の第1の実施の形態による通信装置の構成例を示すブロック図である。図1において、通信装置1は、入力処理部11と、疎通停止監視対象部12と、出力処理部13とから構成されている。尚、図中の矢印はパケット及び信号の流れを示している。
【0019】
通信装置1では、疎通停止監視対象部12の疎通停止を監視するために、その入力側に入力処理部11を設け、出力側に出力処理部13を設けている。入力処理部11から出力処理部13へは入力パケット通知101の信号を通知する。
【0020】
図2は本発明の第1の実施の形態における疎通ルートに流れるパケットをパルスとして扱う方法を示す図である。図2において、矢印はパケットの流れを示している。
【0021】
図3は図1の出力処理部13で処理する状態遷移を示す図であり、図4は図1の出力処理部13での疎通停止の検出論理を示す図である。これら図1〜図4を参照して通信装置1における疎通停止の監視方法について説明する。
【0022】
本実施の形態では、疎通ルート(疎通停止監視対象部12)に流れるパケットをパルス信号201(図2参照)として扱う。パルス信号201は、パケットが流れている時と流れていない時とで論理を反転させた信号とする。
【0023】
本実施の形態では、このパルス信号201に対する処理を入力処理部11及び出力処理部13にて実施し、入力処理部11で処理したパルス信号201を入力パケット通知101として出力処理部13に通知する。
【0024】
疎通停止監視対象部12の入力パケット監視は、入力処理部11に流れているパケットを、図2に示すように、パルス信号201として扱い、入力パケット通知101にて出力処理部13へ通知し、入力パケット通知101を出力処理部13にて監視する。
【0025】
疎通停止監視対象部12からの出力パケット監視は、出力処理部13に流れているパケットを、図2に示すように、パルス信号201として扱い、出力処理部13で監視する。
【0026】
出力処理部13での入力パケット監視及び出力パケット監視は、図3に示す状態遷移に従って処理する。図3において、パケット未受信状態21はパケットを受信していない状態、パケット受信状態22はパケットを受信している状態を示す。
【0027】
パケット未受信状態21の状態で、パルス信号201が一定の値から変化せず、パルス反転検出がない場合はパケット未受信状態21を維持し、パルス信号201の値が反転した場合はパケット受信状態22に状態遷移する。
【0028】
パケット受信状態22の状態で、パルス信号201の値が反転した場合はパケット受信状態22を維持し、一定時間の間、パルス信号201が一定の値から反転しない場合はパケット未受信状態21に状態遷移する。
【0029】
出力処理部13では、この状態遷移の処理を入力パケット通知101と出力処理部13に流れているパケットのパルス信号201との2つに対して実施し、入力パケット通知101に対しての処理が入力パケット監視、出力処理部13に流れているパケットのパルス信号201に対しての処理が出力パケット監視を意味する。
【0030】
出力パケット監視にて、パケット未受信状態21の場合の入力パケット監視の状態で、疎通停止を判断する。図4の状態#1のように、入力パケット監視が未受信状態の場合は、疎通停止監視対象部12への入力パケットがないと判断し、この場合は疎通停止とはみなさない。
【0031】
図4の状態#2のように、出力パケット監視にてパケット未受信状態でかつ入力パケット監視にてパケット受信状態の場合は、疎通停止監視対象部12で疎通が停止したと判断する。
【0032】
入力処理部11から出力処理部13への入力パケット通知101(パルス)の到達時刻と、疎通停止監視対象部12から出力処理部13へのパケットの到達時刻とのずれが生じる場合について述べる。
【0033】
この場合、予め時間差を見越した監視時間差Tを設定し、出力処理部13は入力パケット通知101の到達時刻より監視時間差Tまでの間に疎通停止監視対象部12からパケットが到達しなければ疎通停止とみなす。
【0034】
監視時間差Tは、疎通停止監視対象部12でのパケット処理時間の予測値を設定することも可能であり、また統計的な手法により疎通停止監視対象部12でのパケット処理時間を計測し、時間単位で変更することも可能である。
【0035】
出力処理部13は、入力側でパケットを検出した(on)場合、出力側がパケットを検出する(on)と、「パケットあり(正常)」と判定する。また、出力処理部13は、入力側でパケットを検出した(on)場合、出力側パケットを検出しなければ(off)、「パケットなし(疎通停止)」と判定する。
【0036】
これを基にパケット受信状態監視を状態遷移図にしたものを図3に示し、疎通停止の判断条件を図4に示す。総合的に、本発明の原理は、「入力パケット:on」、「出力パケット:on」であれば、「監視結果:正常」と判定し、「入力パケット:on」、「出力パケット:off」であれば、「監視結果:疎通停止」と判定し、「入力パケット:off」、「出力パケット:on」であれば、「監視結果:入力パケット通知情報障害等」と判定し、「入力パケット:off」、「出力パケット:off」であれば、「監視結果:正常」と判定する。
【0037】
このように、本実施の形態では、入力処理部11に流れているパケットを図2のパルス信号201として扱って入力パケット通知101にて出力処理部13に通知して出力処理部13にて疎通停止監視対象部12への入力パケット監視を行い、出力処理部13に流れているパケットを図2のパルス信号201として扱って出力処理部13にて疎通停止監視対象部12からの出力パケットの監視を行うことで、疎通ルートに監視フレームを流すことなく、疎通停止を監視することができ、その監視のための構成を小規模回路で実現することができる。
【0038】
本発明は、上述した通信装置1の疎通停止監視対象部12の構成にとらわれず、疎通停止監視対象部12の疎通停止監視を行うことが可能であり、パルス信号201の正論理、負論理にとらわれることなく、疎通停止監視を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 通信装置
11 入力処理部
12 疎通停止監視対象部
13 出力処理部
21 パケット未受信状態
22 パケット受信状態
101 入力パケット通知
201 パルス信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自装置内の疎通停止監視対象に入力されるパケットをパルス信号に変換する第1の手段と、前記疎通停止監視対象から出力されるパケットをパルス信号に変換する第2の手段と、前記第1及び第2の手段各々のパルス信号の監視結果を基に前記疎通停止監視対象の疎通停止を監視する手段とを有することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記第1及び第2の手段各々は、前記パケットの有無に応じて前記パルス信号の論理を反転させることを特徴とする請求項1記載の通信装置。
【請求項3】
前記第1の手段は、流れているパケットを前記パルス信号として扱って入力パケット通知にて前記第2の手段に通知することでを入力パケット監視を行うことを特徴とする請求項2記載の通信装置。
【請求項4】
前記第2の手段は、流れているパケットを前記パルス信号として扱って前記疎通停止監視対象からの出力パケットの監視を行うことを特徴とする請求項2または請求項3記載の通信装置。
【請求項5】
上記の請求項1から請求項4のいずれかに記載の通信装置を含むことを特徴とするネットワーク。
【請求項6】
通信装置が、当該通信装置内の疎通停止監視対象に入力されるパケットをパルス信号に変換する第1の処理と、前記疎通停止監視対象から出力されるパケットをパルス信号に変換する第2の処理と、前記第1及び第2の処理各々のパルス信号の監視結果を基に前記疎通停止監視対象の疎通停止を監視する処理とを実行することを特徴とする疎通停止監視方法。
【請求項7】
前記第1及び第2の処理各々において、前記パケットの有無に応じて前記パルス信号の論理を反転させることを特徴とする請求項6記載の疎通停止監視方法。
【請求項8】
前記第1の処理において、流れているパケットを前記パルス信号として扱って入力パケット通知にて前記第2の処理に通知することでを入力パケット監視を行うことを特徴とする請求項7記載の疎通停止監視方法。
【請求項9】
前記第2の処理において、流れているパケットを前記パルス信号として扱って前記疎通停止監視対象からの出力パケットの監視を行うことを特徴とする請求項7または請求項8記載の疎通停止監視方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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