説明

通信装置、及び通信方法

【課題】人体通信と他の通信手段とを搭載した機器の一部構成を共通化することが可能な通信装置を提供すること。
【解決手段】第1の通信方式に対応し、第1の周波数帯の信号を無線送信する第1の送信部と、第2の通信方式に対応し、人体に接触又は近接された信号電極から電圧を印加し、静電結合を利用して第2の周波数帯の信号を送信する第2の送信部と、第1の周波数帯の信号を第2の周波数帯の信号に変換する周波数変換部とを備える通信装置が提供される。当該通信装置は、第2の通信方式が選択された場合、第1の通信方式に基づいて生成された第1の周波数帯の信号を周波数変換部により第2の周波数帯に変換して第2の送信部から送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
情報化社会の進展に伴い、様々な場面において個人の所有する電子情報が交換されることが多くなってきている。例えば、娯楽施設等に入場する際、認証情報、電子チケット、電子マネー等の電子情報が交換される。こうした電子情報の交換機会は、ユビキタス社会の到来と共に益々増加していくものと考えられる。個人の所有する電子情報をシステム側との間で交換するための通信手段としては、例えば、磁気カードや非接触ICカード等が用いられている。しかし、このような通信手段では、情報交換の度に磁気カードや非接触ICカード等を出し入れする手間が掛かってしまう。
【0003】
このような手間を低減するための通信手段として、近年、人体通信と呼ばれる通信手段が注目を集めている。例えば、下記の特許文献1、2にも記載されているように、この人体通信は、人体を導線がわりに利用して通信を行うというものである。この技術を用いると、例えば、利用者がドアノブを握っただけで、意識せずに認証処理が完了してロックが解除されるといったことが実現され、利用者の利便性が大きく向上する。
【0004】
一方、各種の携帯機器には、無線LAN(Local Area Network)等の無線通信手段が標準的に搭載されるようになってきている。また、こうした無線方式に対応した通信インフラも様々な場所で整備されてきた。例えば、2.4GHz帯の周波数領域を用いるIEEE802.11bや、5GHz帯の周波数領域を用いるIEEE802.11a等については、オフィス内、家庭内、或いは、ホットスポットと呼ばれる街頭の通信エリア等で利用が可能になってきている。
【0005】
【特許文献1】特開2004−260800号公報
【特許文献2】特開2006−352318号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の通り、人体通信は、非常に利便性の高い通信手段として注目されている。一方で、多くの携帯機器には、無線LANやBluetooth(登録商標)(以下、BT)等の通信手段が搭載されている。そのため、無線LANやBT等のように広く普及している通信手段を全て人体通信に置き換えてしまうと、かえってユーザの利便性を低下させてしまうことになる。また、無線LANやBT等の既存の通信手段と人体通信との間には通信特性の顕著な違いがあるため、両者を携帯機器に搭載して相補的に利用することで、それぞれを単独利用する場合に比べてユーザの利便性を向上させることができるものと期待される。
【0007】
ところが、複数の通信手段を小型の携帯機器に搭載すると、その分だけ消費電力が増大し、携帯機器のバッテリー駆動時間が短くなるという問題がある。さらに、人体通信に用いる通信手段を他の通信手段と独立に設けると、その分だけ回路規模が大きくなり、製造コストが増大してしまう。そこで、人体通信機能を実現させるための構成要素を他の通信手段と共用し、人体通信に単独で利用される構成要素を減らすと共に、回路規模を簡略化する技術が求められている。
【0008】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、人体通信と他の通信手段とを共に搭載した機器におけるレイヤー構成の一部を共通化することが可能な、新規かつ改良された通信装置、及び通信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、第1の通信方式に対応し、第1の周波数帯の信号を無線送信する第1の送信部と、第2の通信方式に対応し、人体に接触又は近接された信号電極から電圧を印加し、静電結合を利用して第2の周波数帯の信号を送信する第2の送信部と、前記第1の周波数帯の信号を前記第2の周波数帯の信号に変換する周波数変換部と、を備え、前記第2の通信方式が選択された場合、前記第1の通信方式に基づいて生成された前記第1の周波数帯の信号が前記周波数変換部により前記第2の周波数帯に変換され、前記第2の送信部から送信される、通信装置が提供される。
【0010】
このように、上記の通信装置は、第1の通信方式に対応する第1の送信部により、第1の周波数帯の信号を無線送信することができる。また、当該通信装置は、第2の通信方式に対応する第2の送信部により、人体に接触又は近接された信号電極から電圧を印加し、静電結合を利用して第2の周波数帯の信号を送信することができる。さらに、上記の通信装置は、周波数変換部により、前記第1の周波数帯の信号を前記第2の周波数帯の信号に変換することができる。
【0011】
そこで、上記の通信装置は、前記第2の通信方式が選択された場合、前記第1の通信方式に基づいて生成された前記第1の周波数帯の信号を前記周波数変換部により前記第2の周波数帯に変換して前記第2の送信部から送信する。一方で、上記の通信装置は、前記第1の通信方法が選択された場合、前記第1の通信方式に基づいて生成された前記第1の周波数帯の信号を前記第1の送信部から送信する。
【0012】
また、上記の通信装置は、第3の通信方式に対応し、コイルに電流が印加されることで形成される電磁結合を用いて前記第2の周波数帯の信号を送信する第3の送信部をさらに備えていてもよい。この場合、上記の通信装置は、前記第3の通信方式が選択された場合に、前記第1の通信方式に基づいて生成された前記第1の周波数帯の信号、又は前記周波数変換部から出力された前記第2の周波数帯の信号を前記第3の送信部により送信する。
【0013】
また、上記の通信装置は、所定の符号化方式及び変調方式に基づいて送信データを符号化及び変調することで前記第1の周波数帯の信号を生成する信号生成部をさらに備えていてもよい。この場合、前記信号生成部は、前記第1の通信方式とは異なる通信方式が選択された場合でも、前記第1の通信方式と同じ符号化方式及び変調方式に基づいて前記第1の周波数帯の信号を生成する。
【0014】
また、上記の通信装置は、前記第1の通信方式とは異なる通信方式が選択された場合でも、前記第1の通信方式と同じMAC層(Madia Access Control layer)により前記送信データが処理されるように構成されていてもよい。
【0015】
また、前記第2及び第3の送信部は、前記第1の通信方式が周波数ホッピングを用いる方式であっても、当該周波数ホッピングを行わずに所定の周波数で信号を送信するように構成されていてもよい。
【0016】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、第1の通信方式に対応し、第1の周波数帯の信号を無線受信する第1の受信部と、第2の通信方式に対応し、静電結合により人体を介して送信された第2の周波数帯の信号を前記人体に接触又は近接された信号電極を利用して受信する第2の受信部と、前記第2の周波数帯の信号を第2の周波数帯の信号に変換する周波数変換部と、を備えていてもよい。この場合、上記の通信装置は、前記第2の通信方式が選択された場合、前記第2の受信部により受信した前記第2の周波数帯の信号が前記周波数変換部により前記第1の周波数帯の信号に変換され、当該信号から送信データが復元されるように構成される。
【0017】
このように、上記の通信装置は、第1の通信方式に対応する第1の受信部により、第1の周波数帯の信号を無線受信することができる。また、上記の通信装置は、第2の通信方式に対応する第2の受信部により、静電結合により人体を介して送信された第2の周波数帯の信号を前記人体に接触又は近接された信号電極を利用して受信することができる。さらに、上記の通信装置は、周波数変換部により、前記第2の周波数帯等の信号を前記第1の周波数帯の信号に変換することができる。
【0018】
そこで、上記の通信装置は、前記第2の通信方式が選択された場合、前記第2の受信部により受信した前記第2の周波数帯の信号を前記周波数変換部により前記第1の周波数帯の信号に変換して当該信号から送信データを復元する。一方で、上記の通信装置は、前記第1の通信方式が選択された場合、前記第1の受信部により受信した前記第1の周波数帯の信号から送信データを復元する。
【0019】
また、上記の通信装置は、第3の通信方式に対応し、コイルに電流が印加されることで形成される電磁結合を用いて送信された前記第2の周波数帯の信号を受信する第3の受信部をさらに備えていてもよい。この場合、上記の通信装置は、前記第3の受信部で前記第2の周波数帯の信号が受信された場合、当該第2の周波数帯の信号が前記周波数変換部により前記第1の周波数帯の信号に変換され、当該変換後の信号から送信データが復元されるように構成される。
【0020】
また、上記の通信装置は、所定の変調方式及び符号化方式に基づいて復調処理及び復号処理を施すことで前記第1の周波数帯の信号から送信データを復元するデータ復元部をさらに備えていてもよい。この場合、前記データ復元部には、前記第1の受信部又は前記周波数変換部から前記第1の周波数の信号が入力される。さらに、前記データ復元部は、前記第1の通信方式とは異なる通信方式で送信されたものである場合においても、前記第1の通信方式と同じ変調方式及び符号化方式に基づいて前記送信データを復元する。
【0021】
また、上記の通信装置は、前記データ復元部に入力された前記第1の周波数帯の信号が前記第2又は第3の通信方式で送信されたものである場合においても、前記第1の通信方式と同じMAC層(Madia Access Control layer)により、復元された前記送信データを処理するように構成されていてもよい。
【0022】
また、上記の通信装置は、前記MAC層にCSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access/Collision Avoidance)の機能が含まれており、前記第1の通信方式とは異なる通信方式で通信する場合、前記MAC層におけるCSMA/CAの機能がオフにされるように構成されていてもよい。
【0023】
また、上記の通信装置は、前記第2又は第3の通信方式を用いて通信している際に通信品質の劣化が検出された場合、前記第2又は第3の通信方式のうち、通信に用いている通信方式とは異なる方式に切り替えて通信を行うように構成されていてもよい。
【0024】
また、前記所定の変調方式は、直交周波数分割多重(OFDM;Orthogonal Frequency Division Multiplex)方式、又はGFSK(Gaussian filtered frequency shift keying)であってもよい。
【0025】
また、前記第2の周波数帯は短波帯であってもよい。
【0026】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、無線アンテナを介して第1の周波数帯の信号を受信する受信部と、前記受信部により受信された信号を所定時間だけ保持する信号保持部と、前記信号保持部で保持された信号を第2の周波数帯に変換する周波数変換部と、人体に接触又は近接された信号電極から電圧を印加して静電結合を形成し、当該静電結合を利用して前記第2の周波数帯の信号を送信する送信部と、を備え、前記信号保持部は、前記第1の周波数帯の信号を受信する際に用いたタイムスロットの次以降のタイムスロットで前記第2の周波数帯の信号が送信されるように前記信号を所定時間だけ保持する、通信装置が提供される。
【0027】
このように、上記の通信装置は、受信部により、無線アンテナを介して第1の周波数帯の信号を受信する。また、当該通信装置は、信号保持部により、前記受信部により受信された信号を所定時間だけ保持する。さらに、当該通信装置は、周波数変換部により、前記信号保持部で保持された信号を第2の周波数帯に変換する。そして、当該通信装置は、送信部により、人体に接触又は近接された信号電極から電圧を印加して静電結合を形成し、当該静電結合を利用して前記第2の周波数帯の信号を送信する。
【0028】
特に、前記信号保持部は、前記第1の周波数帯の信号を受信する際に用いたタイムスロットの次以降のタイムスロットで前記第2の周波数帯の信号が送信されるように前記信号を所定時間だけ保持する。
【0029】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、第1の通信方式に基づいて第1の周波数帯の信号が生成される信号生成ステップと、前記第1の通信方式が選択された場合、前記信号生成ステップで生成された前記第1の周波数帯の信号が無線アンテナを介して送信される第1の送信ステップと、第2の通信方式が選択された場合、前記信号生成ステップで生成された第1の周波数帯の信号が第2の周波数帯の信号に変換される周波数変換ステップと、前記周波数変換ステップで変換された第2の周波数帯の信号が、人体に接触又は近接された信号電極からの印加電圧による静電結合を用いて送信される第2の送信ステップと、を含む、通信方法が提供される。
【0030】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、第1の通信方式が選択された場合、第1の周波数帯の信号が無線アンテナを介して受信される第1の受信ステップと、第2の通信方式が選択された場合、静電結合により人体を介して送信された第2の周波数帯の信号が前記人体に接触又は近接された信号電極を用いて受信される第2の受信ステップと、前記第2の受信ステップで受信された前記第2の周波数帯の信号が前記第1の周波数帯の信号に変換される周波数変換ステップと、前記第1の受信ステップ又は前記周波数変換ステップで得られた前記第1の周波数帯の信号から前記第1の通信方式に基づいて送信データが復元されるデータ復元ステップと、を含む、通信方法が提供される。
【0031】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、無線アンテナを介して第1の周波数帯の信号が受信される受信ステップと、前記受信ステップで受信された信号が所定時間だけ保持される信号保持ステップと、前記信号保持ステップで保持された信号が第2の周波数帯に変換される周波数変換ステップと、人体に接触又は近接された信号電極から電圧が印加されて静電結合が形成され、当該静電結合を利用して前記第2の周波数帯の信号が送信される送信ステップと、を含み、前記信号保持ステップでは、前記第1の周波数帯の信号が受信される際に利用されたタイムスロットの次以降のタイムスロットで前記第2の周波数帯の信号が送信されるように前記信号が所定時間だけ保持される、通信方法が提供される。
【発明の効果】
【0032】
以上説明したように本発明によれば、人体通信と他の通信手段とを共に搭載した機器におけるレイヤー構成の一部を共通化することが可能になる。この効果により、機器の小型化や製造コストの低減が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0034】
(説明項目)
本稿では、以下の順序で説明が行われる。
1:携帯端末の無線LAN機能について
2:人体通信の原理について
3:第1実施形態
3−1:ステーション400の機能構成
3−2:周波数帯について
3−3:プロトコルスタックについて
3−4:応用例1ー1
3−5:応用例1−2
4:第2実施形態
4−1:ステーション1100の機能構成
4−2:応用例2−1(ハンドオーバの適用)
4−3:応用例2−2(BTの適用)
【0035】
[1:携帯端末の無線LAN機能について]
本発明に係る実施形態について説明するに先立ち、携帯端末に搭載される無線LAN機能について簡単に説明する。もちろん、無線LAN機能が搭載される電子機器の種類は携帯端末に限定されない。このような電子機器としては、携帯端末以外にも、例えば、パーソナルコンピュータのような情報処理装置や、種々の情報家電等も含まれるであろう。但し、以下の説明においては、説明の都合上、携帯端末を用いて説明する。
【0036】
(無線LANシステムの概要)
近年、2.4GHz帯を用いるIEEE802.11bや、5GHz帯を用いるIEEE802.11aに代表される無線LANの需要が急速に拡大してきている。実際、こうした無線LANは、オフィス内、家庭内、街中のホットスポット等の様々な場面で利用されている。ユーザは、パーソナルコンピュータやPDA(Personal Digital Assistant)等の情報処理端末に搭載された無線LAN機能を利用してネットワーク上の情報を取得することができる。
【0037】
こうした無線LANの特性としては、次のようなものが挙げられる。例えば、IEEE802.11bの場合、CCK(Complimentary Code Keying)と呼ばれるコーディング技術が利用されている。また、変調方式としては、直接拡散方式が利用されている。この方式を利用することで、11Mbpsの最大伝送速度が実現されている。
【0038】
一方、IEEE802.11aの場合、変調方式としては、直交周波数分割多重(OFDM;Orthogonal Frequency Division Multiplex)方式が利用されている。この方式を利用することで、54Mbpsの最大伝送速度が実現されている。さらに、IEEE802.11nにおいては、MIMO(Multiple Input Multiple Output)方式が利用される。この方式を利用することで、100Mbps以上の高速な伝送が実現される。
【0039】
上記のような無線LANは、例えば、図1に示すようなシステム構成により実現される。図1は、無線LAN機能を実現するためのシステム構成の一例を示す説明図である。
【0040】
図1に示すように、無線LANシステムは、ネットワーク102と、基地局104と、携帯機器106とを含んでいる。ネットワーク102は、インターネットやイントラネット等の通信網である。基地局104は、アクセスポイント(AP)の一例である。また、携帯機器106は、ユーザが情報の取得に利用する電子機器の一例である。図1の例では、携帯機器106は、アクセスポイントに対するステーションとしての役割を果たす。
【0041】
携帯機器106には、無線アンテナ108が接続された無線LANカードが搭載されている。携帯機器106は、この無線LANカードの機能により、無線アンテナ108を介して基地局104と無線通信することができる。また、基地局104は、ネットワーク102に有線又は無線で接続されている。そのため、基地局104は、携帯機器106からの要求を受けてネットワーク102上の情報を携帯機器106に伝送することができる。
【0042】
つまり、ユーザ操作に応じて携帯機器106から基地局104に情報の取得要求が無線送信され、その取得要求を受けた基地局104により取得されたネットワーク102上の情報が携帯機器106に無線伝送される。ユーザは、基地局104との間で無線通信が可能な位置であれば、携帯機器106を用いて自由にネットワーク102上の情報を取得できる。そのため、最近では、人が多く集まる公衆の場所に無線LANのアクセスポイントが設置され、安価なインターネット接続サービスが提供されるようになってきている。
【0043】
(ST/APの機能構成)
上記の基地局104、及び携帯機器106にそれぞれ対応するアクセスポイント(AP)、及びステーション(ST)の機能構成例について、図2を参照しながら説明する。但し、アクセスポイント(AP)及びステーション(ST)の機能構成は一部を除いて共通している部分が多いため、両者を纏めて説明する。図2は、ステーション又はアクセスポイント200(ST/AP)の機能構成例を示す説明図である。
【0044】
図2に示すように、ステーション又はアクセスポイント200は、主に、無線アンテナ202と、スイッチ204と、受信部206と、変復調部208(OFDM MODEM部)と、アンプ214と、送信部216と、通信制御部218とを備える。ステーションの場合、さらに、ホストインターフェース部222を備える。一方、アクセスポイントの場合、さらに、ネットワークインターフェース部226を備える。さらに、通信制御部218は、CPU220を備えている。
【0045】
無線アンテナ202は、スイッチ204に接続されており、信号の送信又は受信に利用される。例えば、無線アンテナ202は、2.4GHz帯又は5GHz帯の信号受信又は信号送信に利用される。無線アンテナ202により受信された信号は、スイッチ204に入力される。スイッチ204は、無線アンテナ202により受信された信号が受信部206に入力されるように信号の伝送経路を切り替える。そのため、無線アンテナ202により受信された信号は、受信部206に入力される。
【0046】
受信部206は、無線アンテナ202を介して受信した信号を受信すると、当該信号を同相(In−phase)成分Ir、及び直交(Quadrature−phase)成分Qrで構成される直交ベースバンド信号に変換する。そして、受信部206により変換された直交ベースバンド信号Ir、Qrは変復調部208に入力される。なお、以下の説明の中で、直交ベースバンド信号のことをベースバンドOFDM信号と呼ぶ場合がある。
【0047】
変復調部208は、復調部210(DEM部)、及び変調部212(MOD部)を備えている。受信部206から直交ベースバンド信号Ir、Qrが入力されると、変復調部208は、復調部210により直交ベースバンド信号Ir、Qrに復調処理を施してデジタルデータを生成する。復調部210により生成されたデジタルデータは、通信制御部218に入力される。
【0048】
通信制御部218は、CPU220により、変復調部208から入力されたデジタルデータを分解してペイロード部分を抽出する。ステーションの場合、通信制御部218により抽出されたデジタルデータのペイロード部分は、ホストインターフェース部222に入力される。アクセスポイントの場合、通信制御部218により抽出されたデジタルデータのペイロード部分は、ネットワークインターフェース部226に入力される。
【0049】
ホストインターフェース部222は、例えば、PC Card Busインターフェース等の接続インターフェースを有しており、当該接続インターフェースを介してパーソナルコンピュータ等のホスト機器224に接続されている。そこで、ホストインターフェース部222は、その接続インターフェースを介して通信制御部218から入力されたデジタルデータのペイロード部分をホスト機器224に伝送する。
【0050】
逆に、ホスト機器224から伝送されてきた送信データは、ホストインターフェース部222を介して通信制御部218に入力される。
【0051】
一方で、ネットワークインターフェース部226は、例えば、Ethernet(登録商標)等のネットワークインターフェースを有しており、インターネット等のネットワーク228に接続されている。実際には、ネットワークインターフェース部226は、ネットワークハブ、ルータ、又はADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)モデム等の機器を経由してネットワーク228に接続されている。そこで、ネットワークインターフェース部226は、ネットワーク228を介して通信制御部218から入力されたデジタルデータのペイロード部分を伝送する。
【0052】
逆に、ネットワーク228を介して伝送されてきた送信データは、ネットワークインターフェース部226を介して通信制御部218に入力される。
【0053】
ホストインターフェース部222、又はネットワークインターフェース部226から送信データが入力されると、通信制御部218は、CPU220により、その送信データにPHYヘッダ及びMACヘッダを付加して送信用の無線フレームを生成する。そして、通信制御部218により生成された無線フレームは、変復調部208に入力される。
【0054】
通信制御部218から無線フレームが入力されると、変復調部208は、変調部212により、無線フレームから直交ベースバンド信号It、Qtを生成する。変調部212により生成された直交ベースバンド信号It、Qtは送信部216に入力される。送信部216は、変復調部208により入力された直交ベースバンド信号It、Qtから所定の周波数帯の送信信号を生成する。送信部216により生成された送信信号は、アンプ214に入力される。所定の周波数帯としては、例えば、2.4GHz帯又は5GHz帯が利用される。
【0055】
アンプ214は、送信部216から入力された送信信号を増幅する。アンプ214により増幅された送信信号は、スイッチ204に入力される。信号が送信される場合、スイッチ204は、無線アンテナ202に通じる信号の伝送経路が送信部216に通じるように切り替える。そのため、アンプ214により増幅された送信信号は、スイッチ204を経由して無線アンテナ202から送信される。
【0056】
このようにしてステーション又はアクセスポイント200は、無線アンテナ202を介して受信した信号をホスト機器224又はネットワーク228に伝送したり、ホスト機器224又はネットワーク228から取得したデータを送信する。
【0057】
ここで、通信制御部218の機能構成について補足する。通信制御部218は、上記のように無線フレーム(デジタルデータ)からペイロード部分を抽出したり、送信データにヘッダを付加して無線フレームを形成する機能を有する。さらに、通信制御部218は、無線伝送に関する通信制御や、ホスト機器224との間の通信制御、或いは、ネットワーク228に接続された機器との間の通信制御等、ステーション又はアクセスポイント200の全般的な通信制御機能を有する。例えば、通信制御部218は、送信部216、受信部206を制御する機能を有する。
【0058】
次に、変復調部208の機能構成について補足する。本実施形態では、変調方式の一例としてOFDMを採用している。そのため、復調部210は、入力される複素信号列(直交ベースバンド信号Ir、Qr)を直並列変換し、並列信号を離散フーリエ変換して複素シンボル列を生成し、その複素シンボル列を並直列変換し、変換後のシンボル列を判定してデータビット列を復元する。逆に、変調部212は、送信データビット列を複素シンボル列に変換し、直並列変換した後で逆離散フーリエ変換してOFDMシンボルの標本値を生成し、並直列変換することでベースバンドOFDM信号を生成する。
【0059】
以上、無線LAN機能を有するステーション又はアクセスポイント200の機能構成について説明した。無線LANに使用される周波数帯(2.4GHz帯や5GHz帯)はチャネル数が限られている。しかしながら、多数のユーザが同時に通信しようとすると、ユーザ間でストリームの相互干渉が発生して伝送品質が低下してしまう。また、チャネル内を伝送する情報が他のユーザに盗聴される危険もあり、セキュリティの低下も懸念されている。そのため、このように限られた周波数資源を多くのユーザで共用するために様々な技術の開発が進められている。
【0060】
一方で、無線LANほどの広いサービスエリアを持たず、身の回りの限られたエリアだけで通信を行うPAN(Personal Area Network)と呼ばれる技術に注目が集まっている。例えば、Bluetooth(登録商標)は、PANの一形態であり、約5〜10m程度の比較的狭いサービスエリアで通信を行う技術である。
【0061】
さらに、PANよりもサービスエリアが狭い通信技術として、BAN(Body Area Network)が知られている。この技術は、人体を伝送路として利用し、身に付けている複数の電子機器間で通信したり、身に付けている電子機器と外部機器とで通信したりする技術である。BANは人体を介在した通信であるため、究極のPANであるとも言える。以下の説明において、BANのことを人体通信と呼ぶ場合がある。
【0062】
[2:人体通信の原理]
ここで、図3を参照しながら、人体通信の原理について説明する。図3は、人体通信の原理を説明するための説明図である。人体通信には、大きく分けて2通りの方式がある。1つは電界方式と呼ばれる方式であり、もう1つは電流方式と呼ばれる方式である。ここでは、主に、電界方式の原理について説明する。もちろん、後述する実施形態の技術は、電界方式に限定されるものではない。
【0063】
まず、人体通信を実現させるためのシステム構成について説明する。
【0064】
図3に示すように、人体Mには、送信機300と、受信機310とが装着されている。また、人体Mの足下には、送信機320に接続された信号電極324が設置されている。送信機300には、信号電極302と、基準電極304とが設けられている。同様に、受信機310には、信号電極312と、基準電極314とが設けられている。但し、送信機300の信号電極302、受信機310の信号電極312、及び信号電極324は、人体Mに直接接触されていなくてもよい。また、送信機320に接続された信号電極324は、グランド330に載置されている。さらに、送信機320には、基準電極322が設けられている。
【0065】
送信機300の信号電極302から電圧が印加されると、信号電極302と人体Mとの間に静電結合が形成される。上記の通り、信号電極302と人体Mとの間には空気や衣服が存在するが、電圧の印加により信号電極302で発生した電界が人体Mに作用する。このような電界の作用により、人体Mに電荷の偏りが発生する。簡単に言えば、非導電体を挟んで配置された信号電極302と人体Mとによりコンデンサが形成されるのである。
【0066】
このように非導電体を挟んで離れた位置にある導電体間に電荷の偏りが誘起される現象を静電結合と呼ぶ。信号電極302に印加される電圧が変動すると、発生する電界強度が変化する。そこで、この電界強度の変動を利用して信号を送受信することができる。
【0067】
信号電極302から送信された信号は、例えば、伝達パスP01を通って受信機310の信号電極312に伝送される。このとき、受信機310の信号電極312は、人体Mとの間の静電結合を利用して信号を受信する。また、送信機300の基準電極304は、グランド330に対して静電結合C0を形成する。同様に、受信機310の基準電極314は、グランド330に対して静電結合C1を形成する。そのため、送信機300の基準電極304と、受信機310の基準電極314との間で、グランド330を介して伝達パスP01の帰線が形成される。そのため、信号が送信機300から受信機310に伝達されるのである。
【0068】
一方で、送信機320から受信機310に信号が伝達される伝達パスP12も存在する。この場合、送信機320に接続された信号電極324と人体Mとの間で静電結合が形成され、この静電結合を利用して送信機320から受信機310に信号が伝達される。このとき、送信機320の基準電極322とグランド330との間で静電結合C2が形成されており、基準電極322と受信機310の基準電極314との間で伝達パスP12の帰線が形成されている。そのため、信号が送信機320から受信機310に伝達されるのである。
【0069】
以上、電界方式の人体通信の原理について説明した。一方の電流方式は、人体Mの内部に電流を流して通信する方式である。電流方式の一例としては、送信機300から受信機310に信号を伝達するために、送信機300の信号電極302及び基準電極304と、受信機310の信号電極とが人体Mに接触させる方式がある。この場合、送信機300の信号電極302と受信機310の信号電極312との間で電流が流れる。一方、受信機310の基準電極314とグランド330との間で静電結合C1が形成され、人体Mを介してグランド330に接続された送信機300の基準電極304と受信機310の基準電極314との間で帰線が形成される。
【0070】
電流方式と電界方式とは、それぞれ実施の態様に応じて適宜選択される。電界方式は、上記の通り、電極が人体に接触していなくても良く、電極と人体との間に絶縁体が挟まっていても良いため、利便性が比較的高い。例えば、服の上に送信機や受信機を装着しても通信が可能であるし、椅子や机等の一部に送信機を設置しておき、人体に装着した受信機で信号を受信するといった応用が容易に実現できる。また、送信機や受信機が設置された部材に人が触れたり、踏んだりすることで通信可能になるため、非常に利便性の高いユーザインターフェースが実現できる。このような性質を利用して、人体通信を通信開始のトリガーに利用したり、認証システムと組み合わせたりすることで、新たな応用形態が実現される。
【0071】
また、人体通信は、周囲で同時に同じような人体通信システムが稼働していても、信号の伝送経路が主に人体に限られるため、人体が接触しない限り互いのチャネルが干渉することが無い。そのため、無線LAN等とは異なり、人体通信においては、チャネル干渉による伝送品質の劣化が生じない。さらに、無線LAN等のように電波を周囲に撒き散らさないため、他人に情報を傍受されにくく、セキュアな通信を実現することができる。また、人体通信は、無線LAN等よりも低消費電力であるという利点もある。
【0072】
上記のようなメリットを生かすためには、人体通信に適した周波数帯、及び変調方式を用いることが好ましい。人体通信に適した周波数帯としては、人体を介さずに電極間で電波が発信されず、人体に共振し難い周波数帯が好ましい。さらに、電極を人体に近づけたり、接触させたりすることで人体を介して信号が伝搬され、空間伝搬よりも人体内でロスが少なくなるような周波数帯が好ましい。こうした要件から、人体通信に用いる周波数帯には、短波帯(3〜30MHz付近)が選ばれる。また、人体通信は、人体を介して信号を伝搬するために周波数特性が変動し易い。そこで、変調方式としては、周波数特性の変動に強いOFDMが選ばれる。
【0073】
このように、人体通信は、広く普及している無線LAN等に比べて多くの利点がある。また、人体通信と無線LAN等とはサービスエリアの広さや伝送特性に顕著な違いがあり、利用される場面も互いに異なるものと考えられる。従って、両通信方式にはそれぞれの特性に適したアプリケーションが存在し、両者が相補的に利用されることで高い利便性と新たな利用分野の開拓が実現されるであろう。
【0074】
しかしながら、無線LAN機能等と人体通信機能とを共に1台の電子機器に搭載すると、通信手段が機器に占める実装面積が増大してしまい、ユーザは、コストの面で大きな負担を強いられることになる。また、これらの通信手段がPDAや携帯電話、或いは、携帯音楽プレーヤ等のモバイル端末に搭載される場合、コストの面はもちろんのこと、大きさの面でもユーザに負担を強いることになる。そこで、両通信手段をモバイル機器等に実装したとしても回路規模が増大せず、製造コストを低減させることが求められている。以下で説明する本発明の一実施形態に係る構成は、このような要望に対して1つの解決手段を提供するものである。
【0075】
<3:第1実施形態>
ここで、本発明の一実施形態(第1実施形態)について説明する。本実施形態は、無線LANで利用されるOFDMのベースバンド信号を短波帯の周波数に変換する機構を設け、当該機構により無線LANとBANとを切り替えて利用する構成に技術的な特徴がある。また、BANを利用する場合でも、無線LANのMAC層等をそのまま流用する構成としており、無線LANとBANとが低コストで共存できるようにしている。もちろん、無線LANの回路とBANの回路とを個別に設けるよりも回路規模が大幅に縮小されるため、機器の小型化が実現される。
【0076】
[3−1:ステーション400の機能構成]
まず、図4を参照しながら、本実施形態に係るステーション400の機能構成について説明する。図4は、本実施形態に係るステーション400の機能構成を示す説明図である。なお、ステーション400は、通信装置の一例である。また、図2と同様に、ホストインターフェースに代えてネットワークインターフェースを設けることにより、本実施形態に係る技術をアクセスポイントに応用することができる。
【0077】
図4に示すように、ステーション400は、主に、無線アンテナ402と、スイッチ404(B)と、WLAN受信部406と、切替器408、416と、変復調部410と、WLAN送信部418と、アンプ420、424とを有する。さらに、ステーション400は、BAN送信部422と、スイッチ426(A)と、信号電極428と、BAN受信部430と、通信制御部432と、選択スイッチ436と、ホストインターフェース部438と、基準電極440とを有する。
【0078】
WLAN送信部418は、第1の送信部の一例である。WLAN受信部406は、第1の受信部の一例である。BAN送信部422は、第2の送信部の一例である。BAN受信部430は、第2の受信部の一例である。また、BAN送信部422、BAN受信部430は、周波数変換部の一例である。さらに、変復調部410は、信号生成部、及びデータ復元部の一例である。変復調部410は、受信したベースバンドOFDM信号を一時的に保持しておくことが可能であり、信号保持部の一例である。
【0079】
なお、本実施形態に係るステーション400と、ステーション又はアクセスポイント200との主な対応関係は次の通りである。スイッチ404(B)は、スイッチ204に対応する。WLAN受信部406は、受信部206に対応する。変復調部410は、変復調部208に対応する。WLAN送信部418は、送信部216に対応する。ホストインターフェース部438は、ホストインターフェース部222に対応する。これらの構成要素が持つ機能構成は実質的に同等である。
【0080】
(無線LAN信号の受信処理)
まず、無線LANの信号を受信する処理について説明する。無線LANの信号は、スイッチ404(B)に接続された無線アンテナ402により受信される。そして、無線アンテナ402により受信された信号はスイッチ404(B)に入力される。受信処理の場合、スイッチ404(B)は、無線アンテナ402により受信された信号がWLAN受信部406に入力されるように信号の伝送経路を切り替える。そのため、無線アンテナ402により受信された信号は、スイッチ404(B)を経由してWLAN受信部406に入力される。
【0081】
WLAN受信部406は、入力された信号を同相(In−phase)成分Ir1、及び直交(Quadrature−phase)成分Qr1で構成される直交ベースバンド信号に変換する。このとき、WLAN受信部406は、直交ベースバンド信号の周波数を無線LANの周波数帯から所定の周波数に変換してもよい。但し、所定の周波数として無線LANの周波数帯を基準にする場合、無線LANの直交ベースバンド信号Ir1、Qr1は周波数変換されずにそのまま出力される。WLAN受信部406により変換された直交ベースバンド信号Ir1、Qr1は切替器408に入力される。
【0082】
切替器408は、無線LAN機能が選択されているか、又はBAN機能が選択されているかに応じて、変復調部410に接続する構成要素をWLAN受信部406にするか、又はBAN受信部430にするかを切り替える。ここでは、無線LAN機能が選択されているものとする。従って、WLAN受信部406から出力された直交ベースバンド信号Ir1、Qr1は変復調部410に入力される。
【0083】
変復調部410は、復調部412(DEM部)、及び変調部414(MOD部)を備えている。切替器408から直交ベースバンド信号Ir1、Qr1が入力されると、変復調部410は、復調部412により直交ベースバンド信号Ir1、Qr1に復調処理を施してデジタルデータを生成する。復調部412により生成されたデジタルデータは、通信制御部432に入力される。
【0084】
通信制御部432は、CPU434により、変復調部410から入力されたデジタルデータを分解してペイロード部分を抽出する。通信制御部432により抽出されたデジタルデータのペイロード部分は、ホストインターフェース部438に入力される。ホストインターフェース部438は、接続されているホスト機器224に対し、通信制御部432から入力されたデジタルデータのペイロード部分を伝送する。
【0085】
このようにして、ステーション400は無線LANの信号を受信し、ホスト機器224に伝送する。次に、BANの信号を受信する処理について説明する。
【0086】
(BAN信号の受信処理)
BANの信号は、スイッチ426(A)に接続された信号電極428により受信される。そして、信号電極428により受信された信号はスイッチ426(A)に入力される。受信処理の場合、スイッチ426(A)は、信号電極428により受信された信号がBAN受信部430に入力されるように信号の伝送経路を切り替える。そのため、信号電極428により受信された信号は、スイッチ426(A)を経由してBAN受信部430に入力される。
【0087】
BAN受信部430は、入力された信号を同相(In−phase)成分Ir2、及び直交(Quadrature−phase)成分Qr2で構成される直交ベースバンド信号に変換する。このとき、BAN受信部430は、直交ベースバンド信号の周波数を短波帯の周波数帯から所定の周波数に変換する。例えば、所定の周波数として無線LANの周波数帯を基準にする場合、BANの直交ベースバンド信号Ir2、Qr2は無線LANの周波数帯に周波数変換される。BAN受信部430により周波数変換された直交ベースバンド信号Ir2、Qr2は切替器408に入力される。
【0088】
切替器408は、無線LAN機能が選択されているか、又はBAN機能が選択されているかに応じて、変復調部410に接続する構成要素をWLAN受信部406にするか、又はBAN受信部430にするかを切り替える。ここでは、BAN機能が選択されているものとする。従って、BAN受信部430から出力された直交ベースバンド信号Ir2、Qr2は変復調部410に入力される。
【0089】
切替器408から直交ベースバンド信号Ir2、Qr2が入力されると、変復調部410は、復調部412により直交ベースバンド信号Ir2、Qr2に復調処理を施してデジタルデータを生成する。復調部412により生成されたデジタルデータは、通信制御部432に入力される。通信制御部432は、CPU434により、変復調部410から入力されたデジタルデータを分解してペイロード部分を抽出する。通信制御部432により抽出されたデジタルデータのペイロード部分は、ホストインターフェース部438に入力される。ホストインターフェース部438は、接続されているホスト機器224に対し、通信制御部432から入力されたデジタルデータのペイロード部分を伝送する。
【0090】
このようにして、ステーション400はBANの信号を受信し、ホスト機器224に伝送する。上記の通り、BANの信号を受信する処理においても、切替器408の後段における処理は実質的に無線LANのものと変わらない。そのため、無線LANの機能とBANの機能とが共存する構成であるにも関わらず、無線LANの機能を単独で持つ場合に比べて、それほど多くの構成要素が追加されていない。つまり、BANの機能を実現するために追加される構成要素の数が少なくて済んでいる。
【0091】
(無線LAN信号の送信処理)
次に、無線LANの信号を送信する処理について説明する。まず、送信データがホスト機器224からホストインターフェース部438に伝送される。ホスト機器224から伝送されてきた送信データは、ホストインターフェース部438を介して通信制御部432に入力される。
【0092】
ホストインターフェース部438から送信データが入力されると、通信制御部432は、CPU434により、その送信データにPHYヘッダ及びMACヘッダを付加して送信フレームを生成する。通信制御部432により生成された送信フレームは、変復調部410に入力される。
【0093】
通信制御部432から送信フレームが入力されると、変復調部410は、変調部414により、送信フレームから直交ベースバンド信号It、Qtを生成する。変調部414により生成された直交ベースバンド信号It、Qtは切替器416に入力される。切替器416は、無線LAN機能が選択されているか、又はBAN機能が選択されているかに応じて、変復調部410に接続される構成要素をWLAN送信部418にするか、又はBAN送信部422にするかを切り替える。ここでは、無線LAN機能が選択されているものとする。従って、変調部414により生成された直交ベースバンド信号It、QtはWLAN送信部418に入力される。
【0094】
WLAN送信部418は、変復調部410から入力された直交ベースバンド信号It1、Qt1の周波数を無線LANの周波数帯に変換して送信信号を生成する。但し、変復調部410により出力される直交ベースバンド信号It1、Qt1が無線LANの周波数帯の信号である場合、直交ベースバンド信号It1、Qt1から生成された送信信号は周波数変換されずにアンプ420に入力される。アンプ420は、WLAN送信部418から入力された送信信号を増幅する。
【0095】
アンプ420により増幅された送信信号は、スイッチ404(B)に入力される。信号が送信される場合、スイッチ404(B)は、無線アンテナ402に信号の伝送経路が通じるように切り替える。そのため、アンプ420により増幅された送信信号は、スイッチ404(B)を経由して無線アンテナ402から送信される。このようにして、ステーション400は無線LANの信号を無線アンテナ402から送信する。次に、BANの信号を送信する処理について説明する。
【0096】
(BAN信号の送信処理)
まず、送信データがホスト機器224からホストインターフェース部438に伝送される。ホスト機器224から伝送されてきた送信データは、ホストインターフェース部438を介して通信制御部432に入力される。
【0097】
ホストインターフェース部438から送信データが入力されると、通信制御部432は、CPU434により、その送信データにPHYヘッダ及びMACヘッダを付加して送信フレームを生成する。通信制御部432により生成された送信フレームは、変復調部410に入力される。
【0098】
通信制御部432から送信フレームが入力されると、変復調部410は、変調部414により、送信フレームから直交ベースバンド信号It、Qtを生成する。変調部414により生成された直交ベースバンド信号It、Qtは切替器416に入力される。切替器416は、無線LAN機能が選択されているか、又はBAN機能が選択されているかに応じて、変復調部410に接続される構成要素をWLAN送信部418にするか、又はBAN送信部422にするかを切り替える。ここでは、BAN機能が選択されているものとする。従って、変調部414により生成された直交ベースバンド信号It、QtはBAN送信部422に入力される。
【0099】
BAN送信部422は、変復調部410から入力された直交ベースバンド信号It2、Qt2の周波数をBANの周波数帯に変換して送信信号を生成する。BAN送信部422により生成された送信信号はアンプ424に入力される。アンプ424は、BAN送信部422から入力された送信信号を増幅する。例えば、BANの周波数帯としては短波帯が用いられる。アンプ424により増幅された送信信号は、スイッチ426(A)に入力される。信号が送信される場合、スイッチ426(A)は、信号電極428に信号の伝送経路が通じるように接続を切り替える。そのため、アンプ424により増幅された送信信号は、スイッチ426(A)を経由して信号電極428から送信される。
【0100】
このようにして、ステーション400はBANの信号を信号電極428から送信する。なお、ステーション400には、信号電極428を利用して人体通信を実現するために、基準電極440が設けられている。この基準電極440は、図3の原理説明図に示した送信機300の基準電極304、受信機310の基準電極314、送信機320の基準電極322に対応する。従って、基準電極440は、信号電極428が形成する信号の伝達パスに対応する帰線を形成する役割を果たす。
【0101】
さらに、ステーション400には、選択スイッチ436が設けられている。この選択スイッチ436は、通信制御部432に接続されており、無線LAN機能とBAN機能とを通信制御部432に切り替えさせるためのものである。例えば、ユーザが選択スイッチ436を操作して無線LAN機能を利用するか、BAN機能を利用するかを選択する。但し、無線LAN機能とBAN機能との間の切替制御が自動化されていてもよい。例えば、BAN機能が利用可能な状況の場合に優先的にBAN機能を利用して通信するように構成されていてもよいし、逆に、無線LAN機能を優先的に利用するように構成されていてもよい。また、無線LAN機能で受信したパケットをトリガーにしてBAN機能が有効になるように構成されていてもよい。
【0102】
このように、選択スイッチ436の切替により無線LAN機能又はBAN機能が選択されると、通信制御部432は、切替器416、WLAN送信部418、BAN送信部422等を制御して信号の周波数帯、及び信号伝送路を制御する。また、通信制御部432は、利用される機能に応じて、WLAN送信部418及びBAN送信部422の起動/停止制御等を行うように構成されていてもよい。
【0103】
例えば、BAN機能を利用する場合、WLAN送信部418及びWLAN受信部406を停止させたり、或いは、電力供給を低減させたりすることで、ステーション400の消費電力を抑制することができる。同様に、無線LAN機能が利用される場合、BAN送信部422、BAN受信部430の電力供給が低減又は停止されるように構成してもよい。アンプ420、424についても、同様に電力制御することで、ステーション400の電力消費量を低減させることが可能になる。
【0104】
なお、上記の説明の中で、直交ベースバンド信号の周波数変換がBAN送信部422等において実行されるものとして説明した。しかし、直交ベースバンド信号の周波数変換は、変復調部410において実行されてもよい。例えば、変調部414にて直交変調された後、変復調部410にて所定の中間周波数(IF;Intermediate Frequency)まで周波数変換された直交ベースバンド信号がBAN送信部422等に入力されるように構成されていてもよい。同様に、受信処理においても、直交ベースバンド信号がBAN受信部430等で中間周波数まで周波数変換されてから変復調部410に入力されるように構成されていてもよい。
【0105】
[3−2:周波数帯について]
ここで、図5を参照しながら、無線LAN及びBANに利用される周波数帯について説明する。図5は、無線LAN及びBANの周波数スペクトラムを示す説明図である。
【0106】
既に述べた通り、BANでは、おおよそ3〜30MHzの周波数帯が利用される。一例として、中心周波数が10MHzの周波数帯でBANによる通信が行われるものと仮定する。一方で、無線LANについては、例えば、中心周波数5.2GHzの周波数帯が利用される。この場合、ステーション400は、中心周波数10MHzのBAN用周波数帯と、中心周波数帯5.2GHzの無線LAN用周波数帯とを切り替えて利用する。
【0107】
また、ステーション400は、例えば、データ伝送用のサブキャリアを48本、パイロット信号用のサブキャリアを4本利用し、合計で52本のサブキャリアを利用する。この場合、ステーション400は、個々のサブキャリアを0.25MHzの変調速度で個別に変調し、これらのサブキャリアの全体を用いてデータを伝送する。例えば、IEEE802.11aで使用されるOFDMの占有帯域幅は16MHz程度になる。
【0108】
[3−3:プロトコルスタックについて]
次に、図6を参照しながら、無線LANとBANとを共用する本実施形態のプロトコルスタック600について説明する。図6は、本実施形態に係るプロトコルスタック600の構成を示す説明図である。
【0109】
図6に示すように、最下位にPHY層602、604、606が存在する。その中で、PHY1(PHY層604)は、無線LAN機能で利用されるPHY層の一部であり、例えば、周波数が5GHz帯、変調方式がOFDMに規定されている。一方、PHY2(PHY層606)は、BAN機能で利用されるPHY層の一部であり、例えば、周波数がHF帯(例えば、中心周波数15MHz)、変調方式がOFDMに規定されている。
【0110】
PHY層602の上位には、PHY1、PHY2の区別に関係なく、共通のMAC層608が規定されている。MAC層608としては、例えば、IEEE802.11のCSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access/Collision Avoidance)により規定されるMAC層が用いられる。MAC層608の上位には、TCP/IPやアプリケーションから成る上位層610が規定される。
【0111】
このように、本実施形態に係るプロトコルスタックは、BANを利用する場合でも、無線LANと同じMAC層608の構成を使用できるため、無線LANを搭載した電子機器にBAN機能を追加する上で製造コストを低減させることができる。もちろん、MAC層608、及びPHY層の一部(PHY層602)が共通化されることで回路規模が増大せずに済み、BAN機能が追加された電子機器のサイズを低減させることができる。その結果、携帯電話や携帯情報端末の他にも、小型のゲーム機や音楽プレーヤ、或いは、各種の撮像装置、映像プレーヤ等にもBANを搭載することが可能になる。
【0112】
また、BAN機能を利用して1対1の通信を行う場合、基本的には他のシステムとの間の干渉による影響を考えなくてもよい。このような場合、CSMA/CAのキャリアセンスを省略し、即時送信を行うことでスループットを高めることができる。このような制御については、例えば、選択スイッチ436の切り替えにより通信制御部432で判断され、BANが選択された場合に通信制御部432がキャリアセンス機能をオフにすることで実現される。
【0113】
[3−4:応用例1ー1]
上記のように、本実施形態は、様々な小型の電子機器に適用され、無線LAN等とBANとの共用を実現するために大きく貢献する。その結果、電子機器への実装形態に応じて、様々なアプリケーションが考えられる。ここでは、図7を参照しながら、本実施形態の1つの応用例について説明する。図7は、本実施形態に係る一応用例(応用例1ー1)を示す説明図である。
【0114】
図7には、特定の場所で、本実施形態が適用された電子機器700にBANを利用してコンテンツをダウンロードするケースが模式的に示されている。特定の場所としては、例えば、街中に設置された次のようなコンテンツのダウンロードスポットが考えられる。このダウンロードスポットには、例えば、床面に信号電極710が設置されており、この信号電極710から発信されたコンテンツデータが人体を経由して電子機器700に配信される。
【0115】
このような形態の1つの利点としては、多数のダウンロードスポットが近接して設けられていても互いに干渉が発生しないため、高い伝送品質が維持されることが挙げられる。また、相互干渉が無いため、セキュリティが容易に確保されるという利点もある。また、提供されるサービス毎にダウンロードスポットを設ければ、ユーザが所望のサービスを容易に見つけだすことができるようになるという利点もある。
【0116】
さらに、本実施形態が適用された電子機器700には、BAN機能の他に無線LAN機能が搭載されている。そこで、例えば、無線LAN機能を利用してBANのダウンロードスポットの位置を検索し、そのダウンロードスポットでBANによるサービスの提供を受けるといった利用形態も考えられる。また、混雑したイベントスペースや街中では、無線LANによる通信環境は相互干渉の影響により劣悪である。そのため、混雑した環境ではBANを利用し、電波干渉の少ないエリアでは無線LANを利用するといった利用形態も考えられる。このように、無線LANとBANとを相補的に利用することで、ユーザの利便性を大きく向上させることが可能になる。
【0117】
[3−5:応用例1−2]
次に、図8を参照しながら、本実施形態の他の1つの応用例について説明する。図8は、本実施形態に係る一応用例(応用例1−2)を示す説明図である。上記の応用例1ー1は、電子機器700がBANを利用して信号を受信する形態であった。しかし、本実施形態は、送信機能、及び受信機能の双方において、無線LANとBANとを共用できる構成にしている。そのため、複数の電子機器800、810を連携させる利用形態も考えられる。
【0118】
電子機器800、810は、本実施形態が適用された電子機器の一例である。但し、電子機器810は、BANの機能のみが搭載された電子機器であってもよい。図8の例では、電子機器810として、BAN機能を搭載したハードディスクドライブが想定されている。もちろん、電子機器810は、ハードディスクドライブ以外の磁気記録装置、光記録装置、光磁気記録装置、或いは、半導体記録装置等であってもよい。
【0119】
携帯電話や携帯情報端末等の小型の電子機器800は、内部に記録できるデータ量が少ない場合が多い。一方で、高画質な映像データや音楽データは、データ量が非常に大きい。また、電子辞書データやゲームプログラム等もデータ量が大きい。そのため、これらのデータを全て電子機器800の内蔵メモリに記録しておくのが難しい場合がある。こうした場合、ユーザは、電子機器800の内蔵メモリに記録しておくデータを最小限に抑えたり、利用するアプリケーションを重要なもののみに限定することになる。
【0120】
その結果、電子機器800の用途が限定され、ユーザの利便性が大きく低下してしまう。一方で、電子機器800に大容量の記憶装置を内蔵すると、電子機器800のサイズが非常に大きくなってしまい、電子機器800のモビリティが損なわれてしまう。そこで、大容量の記憶装置(電子機器810)を鞄等に入れ、データ量の大きなアプリケーションやユーザデータを大容量の記憶装置に記録するといった利用形態の実現が望まれる。
【0121】
このとき、大容量の記憶装置と電子機器800との間の通信手段は、無線LANよりもBANの方が適している。なぜなら、無線LANは、利用環境に応じて伝送品質が変化してしまうため、データの書き込み中に伝送エラー等が頻発してデータが失われる可能性が高いからである。さらに、伝送中のデータが他人に傍受される危険性もある。こうした観点から、どのような環境でも相互干渉が生じにくく、伝送データが他人に傍受されにくいBANの利用が適しているのである。
【0122】
また、本実施形態が適用された電子機器800には、無線LAN機能とBAN機能とが搭載されていることから、例えば、無線LAN機能を利用してダウンロードしたコンテンツをBAN機能を利用して電子機器810に伝送するという利用形態も考えられる。より具体的に、例えば、ストリーミング配信されているビデオ映像を電子機器800の無線LAN機能により受信し、BAN機能を利用して電子機器810に録画するといった利用形態が考えられる。そして、電子機器810に取り溜めた映像データをBAN機能を利用して電子機器800に伝送し、電子機器800で映像データを視聴するのである。
【0123】
このように、無線LAN機能とBAN機能とを組み合わせて利用することで、ユーザの利便性を大きく向上させると共に、新たな電子機器の利用形態を創造することができる。このような組み合わせを実現するためには、両機能を搭載した電子機器の小型化、及び製造コストの低減が欠かせない。しかし、本実施形態に係る技術を適用することで、両機能を搭載した電子機器の小型化、及び製造コストの低減が図れる。その結果として、上記のようなユーザの利便性の向上が得られるのである。
【0124】
なお、図7の例は、インフラストラクチャモードによる通信形態の一例である。図8の例は、アドホックモードによる通信形態の一例である。また、これらの応用例を実施する上で、BANの電極構成は、人体に非接触の電界方式である方が好ましい。
【0125】
(データ転送時のタイミング制御について)
図8に示した電子機器800は、無線LANで受信したパケットをBANで電子機器810に転送する構成を採っていた。このような転送処理をする場合、電子機器800は、無線LANでパケットを受信する際に利用したタイムスロットと、BANでパケットを伝送するために利用するタイムスロットとを分ける。
【0126】
例えば、図9に示すように、タイムスロットTを利用してアクセスポイント(AP)からパケット(Data)が電子機器800(Cellular phone)に伝送された場合について考える。このとき、電子機器800は、タイムスロットTの次のタイムスロットTでパケットを伝送するためにパケットを一時的に保持し、次のタイムスロットTで電子機器810(Storage)にパケットを伝送する。そのため、電子機器800は、パケットを一時的に保持するためのキャッシュを有している。このキャッシュは、信号保持部の一例である。
【0127】
<4:第2実施形態>
次に、本発明の他の一実施形態(第2実施形態)について説明する。上記の第1実施形態においては、ステーション400等の回路規模を増大させずに、無線LANとBANとを共存させる技術が提案された。但し、当該第1実施形態に係る技術の適用範囲は、無線LANとBANとの組み合わせに限定されるものではない。既に述べた通り、最終的に同技術の目的とするところは、特性の異なる通信技術を組み合わせ、用途や利用環境に応じて切り替えられるようにすることにある。例えば、BANに代えて、或いは、BANと組み合わせて、他の近接通信技術を用いることも想定している。本実施形態は、上記の第1実施形態で例示した無線LANとBANとの組み合わせに、電磁結合を用いる通信方式を更に組み合わせる技術を提案するものである。
【0128】
このような組み合わせ技術を用いることで、図10に示すようなデバイスエリアネットワークに応用することができる。ここで言うデバイスエリアネットワークとは、近接通信を用いて機器間で直接的に通信を行う技術である。デバイスエリアネットワークに含まれる機器としては、例えば、図10に示す例のように、携帯電話1005、デジタルカメラ1003、ノートPC1001等が考えられる。
【0129】
この例では、ノートPC1001と、デジタルカメラ1003又は携帯電話1005とが電磁結合による近接通信を行うようにデバイスエリアネットワークが構成されている。また、相互に電磁結合を行うためにノートPC1001にはコイル1002が、デジタルカメラ1003にはコイル1004が、携帯電話1005にはコイル1006が設けられる。
【0130】
例えば、ノートPC1001からデジタルカメラ1003に電磁結合を用いてデータを伝送する場合、ノートPC1001のコイル1002には、データに基づいて変調が施された電流が印加される。コイル1002に電流が印加されると、印加された電流に応じた誘導磁場が形成される。そのため、デジタルカメラ1003のコイル1004がノートPC1001のコイル1002に近接されると、コイル1002で形成された誘導磁場によりコイル1004に電流が誘起される。つまり、コイル1002、1004の間で電磁結合が形成される。
【0131】
そして、コイル1004に誘起された電流の変化からデータが復調される。このように、電磁結合を用いた通信方式を用いる場合、近接した機器に通信対象が制限されるため、他の機器との間でチャネルの干渉が生じたり、通信内容が傍受されたりする危険性が低い。このような利点はBANと同様である。但し、電磁結合を用いる場合、BANの場合とは異なり、無線LANと同じ周波数帯の電流信号をコイルに印加して通信することも可能である。なお、電磁結合を用いた通信方式は、第3の通信方式の一例である。
【0132】
[4−1:ステーション1100の機能構成]
ここで、図11を参照しながら、本実施形態に係るステーション1100の機能構成について説明する。なお、上記の第1実施形態に係るステーション400と実質的に同じ機能を有する構成要素については同一の符号を付することにより詳細な説明を省略する。
【0133】
図11は、本実施形態に係るステーション1100の機能構成を示す説明図である。図11に示すステーション1100は、無線LAN通信、人体通信、及び電磁結合通信の3種類の通信が可能な通信装置の一例である。また、図2と同様に、ホストインターフェースに代えてネットワークインターフェースを設けることにより、本実施形態に係る技術をアクセスポイントに応用することができる。
【0134】
図11に示すように、ステーション1100は、無線アンテナ402と、スイッチ404(SW1)と、WLAN受信部406と、切替器408、416と、変復調部410(OFDM MODEM部)とを有する。さらに、ステーション1100は、WLAN送信部418と、アンプ420、424と、BAN送信部422と、スイッチ426(SW2)とを有する。そして、ステーション1100は、BAN受信部430と、通信制御部432と、選択スイッチ436と、ホストインターフェース部438とを有する。
【0135】
さらに、ステーション1100は、バラン1101と、スイッチ1102(SW3)と、整合回路1103、1105と、平衡電極1104と、電磁結合用コイル1106とを有する。なお、スイッチ404(SW1)は、上記のスイッチ404(B)に対応する。同様に、スイッチ426(SW2)は、上記のスイッチ426(A)に対応する。また、図11では、ホストインターフェース部438に接続されるホスト機器224の記載を省略している。
【0136】
上記のステーション400との主な違いは、バラン1101、スイッチ1102(SW3)、整合回路1103、1105、平衡電極1104、電磁結合用コイル1106の構成にある。また、ステーション1100は、3種類の通信方式に対応しているため、選択スイッチ436で切り替え可能な通信方式が2通りから3通りに増えている点も1つの違いである。選択スイッチ436で無線LANが選択されている場合の送受信処理は、上記のステーション400と実質的に同様である。そこで、以下では、選択スイッチ436で人体通信又は電磁結合通信が選択されている場合の送受信処理について説明する。
【0137】
(BAN又は電磁結合通信における送信処理)
まず、送信処理について説明する。送信データがホスト機器224からホストインターフェース部438に伝送されると、当該送信データは、ホストインターフェース部438を介して通信制御部432に入力される。ホストインターフェース部438から送信データが入力されると、通信制御部432は、CPU434により、その送信データにPHYヘッダ及びMACヘッダを付加して送信フレームを生成する。通信制御部432により生成された送信フレームは、変復調部410に入力される。
【0138】
通信制御部432から送信フレームが入力されると、変復調部410は、変調部414により、送信フレームから直交ベースバンド信号It、Qtを生成する。変調部414により生成された直交ベースバンド信号It、Qtは切替器416に入力される。切替器416は、無線LANが選択されているか、或いは、BAN又は電磁結合通信が選択されているかに応じて、変復調部410に接続される構成要素をWLAN送信部418にするか、又はBAN送信部422にするかを切り替える。ここでは、BAN又は電磁結合通信が選択されているため、変調部414により生成された直交ベースバンド信号It、QtはBAN送信部422に入力される。
【0139】
BAN送信部422は、変復調部410から入力された直交ベースバンド信号It2、Qt2の周波数をBANの周波数帯に変換して送信信号を生成する。BANの周波数帯としては、例えば、短波帯が用いられる。但し、電磁結合通信が選択されている場合に、周波数帯の変換無しに送信信号が生成されるよう構成されていてもよい。BAN送信部422により生成された送信信号はアンプ424に入力される。アンプ424は、BAN送信部422から入力された送信信号を増幅する。アンプ424により増幅された送信信号は、スイッチ426(SW2)に入力される。信号が送信される場合、スイッチ426(SW2)は、バラン1101に信号の伝送経路が通じるように接続を切り替える。
【0140】
そのため、アンプ424により増幅された送信信号は、スイッチ426(SW2)を経由してバラン1101に入力される。バラン1101は、入力された短波帯の信号を不平衡から平衡に変換する回路である。バラン1101により平衡に変換された送信信号は、スイッチ1102(SW3)に入力される。スイッチ1102(SW3)は、BANと電磁結合通信とを切り替えるスイッチである。選択スイッチ436でBANが選択されている場合、スイッチ1102(SW3)は、整合回路1103に信号の伝送経路が通じるように接続を切り替える。一方、選択スイッチ436で電磁結合通信が選択されている場合、スイッチ1102(SW3)は、整合回路1105に信号の伝送経路が通じるように接続を切り替える。
【0141】
選択スイッチ436でBANが選択されている場合、バラン1101から出力された送信信号は、スイッチ1102(SW3)を経由して整合回路1103に入力される。整合回路1103では、送受側の特性インピーダンスを合わせるために送信信号に対してインピーダンス整合が施される。そして、整合回路1103でインピーダンス整合が施された送信信号は、平衡電極1104に印加される。一方、選択スイッチ436で電磁結合通信が選択されている場合、バラン1101から出力された送信信号は、スイッチ1102(SW3)を経由して整合回路1105に入力され、インピーダンス整合が施される。そして、整合回路1105から出力された送信信号は、電磁結合用コイル1106に印加される。なお、スイッチ1102(SW3)の切り替え制御は、通信制御部432により行われる。
【0142】
(BAN又は電磁結合通信の受信処理)
次に、受信処理について説明する。BANの信号は、平衡電極1104により受信される。平衡電極1104で受信された信号は、整合回路1103を通じてスイッチ1102(SW3)に入力される。一方、電磁結合通信の信号は、電磁結合用コイル1106により受信される。電磁結合用コイル1106で受信された信号は、整合回路1105を通じてスイッチ1102(SW3)に入力される。
【0143】
スイッチ1102(SW3)は、選択スイッチ436の切り替え又は通信制御部432による自動制御により、適宜切り替えられる。そして、スイッチ1102(SW3)の接続状態に応じて、適宜、BANの信号又は電磁結合通信の信号がバラン1101に入力される。バラン1101に入力された受信信号は、非平衡から平衡に変換され、スイッチ426(SW2)に入力される。受信処理の場合、スイッチ426(SW2)は、受信信号がBAN受信部430に入力されるように信号の伝送経路を切り替えられる。そのため、BAN又は電磁結合通信の受信信号は、スイッチ426(SW2)を経由してBAN受信部430に入力される。
【0144】
BAN受信部430は、入力された信号を同相(In−phase)成分Ir2、及び直交(Quadrature−phase)成分Qr2で構成される直交ベースバンド信号に変換する。このとき、BAN受信部430は、直交ベースバンド信号の周波数を短波帯の周波数帯から所定の周波数に変換する。例えば、所定の周波数として無線LANの周波数帯を基準にする場合、BANの直交ベースバンド信号Ir2、Qr2は無線LANの周波数帯に周波数変換される。BAN受信部430により周波数変換された直交ベースバンド信号Ir2、Qr2は切替器408に入力される。
【0145】
切替器408は、無線LAN機能が選択されているか、又はBAN機能が選択されているかに応じて、変復調部410に接続する構成要素をWLAN受信部406にするか、又はBAN受信部430にするかを切り替える。ここではBAN機能が選択されているため、BAN受信部430から出力された直交ベースバンド信号Ir2、Qr2は変復調部410に入力される。
【0146】
切替器408から直交ベースバンド信号Ir2、Qr2が入力されると、変復調部410は、復調部412により直交ベースバンド信号Ir2、Qr2に復調処理を施してデジタルデータを生成する。復調部412により生成されたデジタルデータは、通信制御部432に入力される。通信制御部432は、CPU434により、変復調部410から入力されたデジタルデータを分解してペイロード部分を抽出する。通信制御部432により抽出されたデジタルデータのペイロード部分は、ホストインターフェース部438に入力される。ホストインターフェース部438は、接続されているホスト機器224に対し、通信制御部432から入力されたデジタルデータのペイロード部分を伝送する。
【0147】
以上、BAN及び電磁結合通信における送受信処理について説明した。上記の通り、BAN又は電磁結合通信の信号を送受信する処理においても、切替器416の前段、及び切替器408の後段における処理は実質的に無線LANのものと変わらない。そのため、無線LANの機能とBAN及び電磁結合通信の機能とが共存する構成であるにも関わらず、無線LANの機能を単独で持つ場合に比べて、それほど多くの構成要素が追加されていない。つまり、BAN及び電磁結合通信の機能を実現するために追加される構成要素の数が少なくて済んでいる。このように、上記の第1実施形態に係る技術を拡張し、回路規模の増大を抑えつつ、無線LAN、BAN、及び電磁結合通信が可能なステーション1100を構成することが可能である。
【0148】
ここで、電磁結合通信による利点について説明を補足する。既に図10を参照しながら説明した通り、電磁結合通信は、近接された機器間で実現される通信方式である。図10の例では、ノートPC1001に内蔵されたコイル1002に対して携帯電話1005が翳された場合にコイル1002、1006の間で形成される電磁結合を用いて近接通信が実現される。既に述べた通り、電磁結合による通信は、コイルで発生した磁場を利用して実現される。そのため、コイル間の距離が離れると、その距離の3乗に比例して急激に磁場の強さが減衰する。そのため、同様のシステムが近くに存在しても伝送品質の劣化が生じ難いという利点がある。さらに、無線LAN等のように電波を周囲に撒き散らさないため、他人に情報を傍受されにくく、セキュアな通信を実現することができる。そして、無線LAN等よりも低消費電力であるという利点もある。
【0149】
[4−2:応用例2−1(ハンドオーバの適用)]
ここで、図12を参照しながら、本実施形態に係る技術の一応用例として、人体通信と電磁結合通信との間でハンドオーバを行う構成について説明する。図12は、人体通信と電磁結合通信との間でハンドオーバを行うことが好適な状況の一例を模式的に示した説明図である。
【0150】
図12の例は、ユーザのポケットに入っている携帯電話1201と、机上に載置されたノートPC1202との間で通信が行われている様子を示している。但し、ノートPC1202は、机上に置かれた人体通信用の電極1203に接続されており、BANによって携帯電話1201との間の通信を行っているものとする。また、携帯電話1201、ノートPC1202がステーション1100と実質的に同じ機能構成を有し、BANと電磁結合通信とに対応しているものとする。このような状況では、携帯電話1201が上着のポケットに入っているため、人体と携帯電話1201との間の距離が離れてしまうことがある。人体と携帯電話1201との間の距離が離れると、BANによる通信品質を良好に保てない場合が生じてしまう。
【0151】
そこで、ノードPC1202、携帯電話1201の一方又は両方で、通信状況の劣化を検出し、ユーザにアラームを通知するように構成することが好ましい。つまり、アラームによりBANから電磁結合通信への切り替えを促すのである。例えば、この通知を受けたユーザは、ポケットの携帯電話1201を取り出してノートPC1202の上に載置する。携帯電話1201がノートPC1202に載置されたことが検知されると、BANから電磁結合通信に通信方式が切り替えられ、電磁結合通信が開始される。その結果、ユーザは、携帯電話1201をポケットから取り出してノートPC1202に載置する手間と引き換えに、通信品質の向上、及び継続的な通信という効果を享受することができるようになる。
【0152】
なお、BANから電磁結合通信への切り替えは、上記のように携帯電話1201がノートPC1202に載置されたことを検知して自動的に実行されるように構成されていてもよいし、ユーザ操作に応じて切り替え処理が実行されるように構成されていてもよい。例えば、ユーザにより選択スイッチ436が操作された場合に、そのユーザ操作を通信制御部432が検知して切り替え制御するように構成されていてもよい。なお、通信品質の劣化状況は、検知された信号レベルやパケット誤り率等に基づいて判断される。例えば、パケット誤り率が所定の閾値を越えたか否かが判定され、所定の閾値を越えた場合に劣化したものと判断される。
【0153】
以上、本実施形態の一応用例として、ステーション1100の一例である携帯電話1201、ノートPC1202にハンドオーバを適用するケースについて説明した。BANと電磁結合通信との間のハンドオーバは、図11に示したスイッチ1102(SW3)の切り替え制御により実現される。このようなハンドオーバが容易に実現されるのは、両通信方式でMAC層、及び周波数帯以外のPHY層を共用しているためである。つまり、本実施形態に係る技術を適用することで、簡単な切り替え制御によりハンドオーバが実現されるのである。そして、同技術を用いることにより、用途や通信環境に応じて、通信の継続や補完を図るために3種類(例えば、無線LAN、BAN、電磁結合通信)の通信方式を切り換えて使用することが可能になる。その結果、ユーザの利便性が向上する。
【0154】
[4−3:応用例2−2(BTの適用)]
次に、図13を参照しながら、本実施形態に係る技術の一応用例として、無線LANをBTに置き換える構成について説明する。図13は、無線LANの代わりにBTを採用したステーション1300の機能構成を示す説明図である。ステーション1300の基本的な構成は、多くの部分で図11に示したステーション1100と実質的に同じである。そのため、上記のステーション1100と実質的に同じ機能を有する構成要素には同一の符号を付することにより詳細な説明を省略する。
【0155】
図13に示すように、ステーション1300は、無線アンテナ402と、スイッチ404(SW1)と、切替器408、416と、アンプ420、424と、BAN送信部422と、スイッチ426(SW2)とを有する。そして、ステーション1300は、BAN受信部430と、通信制御部432と、選択スイッチ436と、ホストインターフェース部438とを有する。また、ステーション1300は、バラン1101と、スイッチ1102(SW3)と、整合回路1103、1105と、平衡電極1104と、電磁結合用コイル1106とを有する。
【0156】
さらに、ステーション1300は、BT受信部1305と、BT送信部1309と、変復調部1313(GFSK MODEM部)と、周波数シンセサイザ1320とを有する。なお、図13では、ホストインターフェース部438に接続されるホスト機器224の記載を省略している。上記のステーション1100との主な違いは、BT受信部1305、BT送信部1309、変復調部1313、及び周波数シンセサイザ1320の構成にある。以下、これらの構成要素について説明する。
【0157】
BTの場合、変調方式としてGFSKが用いられる。GFSKは、ベースバンド信号をガウスフィルタで帯域制限した位相連続FSKである。GFSKは、Gaussian filtered Frequency Shift Keyingの略である。なお、変調方式としてFM変調を用いてもよいが、変調指数を安定に保つために直交変調方式を用いる方が好適である。GFSKによる変調/復調処理は、変復調部1313で実行される。つまり、送信信号は、変調部1315によりGFSK方式で変調され、BT送信部1309により送信される。一方、BT受信部1305で受信された受信信号は、復調部1314によりGFSK方式に則って復調される。
【0158】
BTの場合、通信時に周波数ホッピングが行われる。周波数ホッピングとは、非常に短い時間間隔(例えば、0.1秒程度)で送信周波数を変更しながら送信処理を行う方法である。この方法では時々刻々と送信周波数が変更されるため、ある周波数でノイズが発生しても、他の周波数で送信したデータを用いて訂正したりすることができるため、ノイズの影響を低減することが可能になる。ステーション1300には、周波数ホッピングに対応するための周波数シンセサイザ1320が設けられている。この周波数シンセサイザ1320は、通信制御部432による制御に応じて通信相手側の装置と同期を取りつつ、周波数ホッピングを行う。なお、BTで用いる2.4GHz帯はISM(Industry Science Medical band)バンドであり、各種無線システムからの干渉を回避する目的で周波数ホッピングが用いられている。
【0159】
さて、ステーション1300は、BTと、BAN又は電磁結合通信とを切り替えて用いる。BTの場合、BT送信部1309、BT受信部1305において周波数ホッピングが用いられる。しかし、BAN又は電磁結合通信の場合、通信範囲が限られており、被干渉の可能性が低いため、周波数ホッピングの必要性は無い。そのため、BAN又は電磁結合通信の場合、通信制御部432は、周波数シンセサイザ1320に周波数ホッピングの中止を指示する。また、BAN送信部422、及びBAN受信部430は、周波数ホッピングを行わず、ステーション1100の場合と同様に所定の周波数(短波帯)で送受信処理を実行する。このような構成にすることで、回路規模を増大させずにBT、BAN、及び電磁結合通信を共存させることが可能になる。
【0160】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0161】
例えば、上記実施形態の説明においては、(1)無線LAN+BAN、(2)無線LAN+BAN+電磁結合通信、(3)BT+BAN+電磁結合通信の例が示されていたが、本実施形態に係る技術は他の組み合わせにも適用できる。例えば、(4)無線LAN+電磁結合通信、(5)BT+BAN、(6)BT+電磁結合通信が例として挙げられる。さらに、無線LAN及びBTとは異なる種々の無線通信と、BANや電磁結合通信を組み合わせる場合にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0162】
【図1】携帯端末の無線LAN機能を説明するための説明図である。
【図2】ST又はAPの機能構成例を示す説明図である。
【図3】人体通信の原理を説明するための説明図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係るステーションの機能構成例を示す説明図である。
【図5】無線LAN及びBANの周波数スペクトラムの一例を示す説明図である。
【図6】本実施形態に係るプロトコルスタックの構成を示す説明図である。
【図7】携帯端末のBAN機能の1つの応用例を説明するための説明図である。
【図8】携帯端末のBAN機能の1つの応用例を説明するための説明図である。
【図9】本実施形態に係るタイミング制御方法を示す説明図である。
【図10】電磁結合通信に対応する通信機器及びシステム構成例を示す説明図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係るステーションの機能構成例を示す説明図である。
【図12】本実施形態の一応用例に係るハンドオーバ機能を説明するための説明図である。
【図13】本実施形態の一応用例(BTの適用)に係るステーションの機能構成例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0163】
102、228 ネットワーク
104 基地局
106 携帯機器
108、202 無線アンテナ
200 ステーション又はアクセスポイント(ST/AP)
204 スイッチ
206 受信部
208 変復調部(OFDM MODEM部)
210 復調部(DEM部)
212 変調部(MOD部)
214 アンプ
216 送信部
218 通信制御部
220 CPU
222 ホストインターフェース部
224 ホスト機器
226 ネットワークインターフェース部
300、320 送信機
302、312、324 信号電極
304、314、322 基準電極
310 受信機
330 グランド
M 人体
P01、P12 伝達パス
C0、C1、C2 静電結合
400 ステーション
402 無線アンテナ
404 スイッチ
406 WLAN受信部
408、416 切替器
410 変復調部
412 復調部
414 変調部
418 WLAN送信部
420、424 アンプ
422 BAN送信部
426 スイッチ
428 信号電極
430 BAN受信部
432 通信制御部
434 CPU
436 選択スイッチ
438 ホストインターフェース部
440 基準電極
600 プロトコルスタック
602、604、606 PHY層
608 MAC層
610 上位層
700、800 電子機器
1001、1202 ノートPC
1002、1004、1006 コイル
1003 デジタルカメラ
1005、1201 携帯電話
1100 ステーション
1101 バラン
1102 スイッチ
1103、1105 整合回路
1104 平衡電極
1106 電磁結合用コイル
1203 電極
1305 BT受信部
1309 BT送信部
1313 変復調部
1314 復調部
1315 変調部
1320 周波数シンセサイザ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の通信方式に対応し、第1の周波数帯の信号を無線送信する第1の送信部と、
第2の通信方式に対応し、人体に接触又は近接された信号電極から電圧を印加し、静電結合を利用して第2の周波数帯の信号を送信する第2の送信部と、
前記第1の周波数帯の信号を前記第2の周波数帯の信号に変換する周波数変換部と、
を備え、
前記第2の通信方式が選択された場合、前記第1の通信方式に基づいて生成された前記第1の周波数帯の信号が前記周波数変換部により前記第2の周波数帯に変換され、前記第2の送信部から送信される、通信装置。
【請求項2】
第3の通信方式に対応し、コイルに電流が印加されることで形成される電磁結合を用いて前記第2の周波数帯の信号を送信する第3の送信部をさらに備え、
前記第3の通信方式が選択された場合、前記第1の通信方式に基づいて生成された前記第1の周波数帯の信号、又は前記周波数変換部から出力された前記第2の周波数帯の信号が前記第3の送信部により送信される、請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
所定の符号化方式及び変調方式に基づいて送信データを符号化及び変調することで前記第1の周波数帯の信号を生成する信号生成部をさらに備え、
前記信号生成部は、前記第1の通信方式とは異なる通信方式が選択された場合でも、前記第1の通信方式と同じ符号化方式及び変調方式に基づいて前記第1の周波数帯の信号を生成する、請求項1又は2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記第1の通信方式とは異なる通信方式が選択された場合でも、前記第1の通信方式と同じMAC層(Madia Access Control layer)により前記送信データが処理される、請求項3に記載の通信装置。
【請求項5】
前記第2及び第3の送信部は、前記第1の通信方式が周波数ホッピングを用いる方式であっても、当該周波数ホッピングを行わずに所定の周波数で信号を送信する、請求項2に記載の通信装置。
【請求項6】
第1の通信方式に対応し、第1の周波数帯の信号を無線受信する第1の受信部と、
第2の通信方式に対応し、静電結合により人体を介して送信された第2の周波数帯の信号を前記人体に接触又は近接された信号電極を利用して受信する第2の受信部と、
前記第2の周波数帯の信号を第2の周波数帯の信号に変換する周波数変換部と、
を備え、
前記第2の通信方式が選択された場合、前記第2の受信部により受信した前記第2の周波数帯の信号が前記周波数変換部により前記第1の周波数帯の信号に変換され、当該信号から送信データが復元される、通信装置。
【請求項7】
第3の通信方式に対応し、コイルに電流が印加されることで形成される電磁結合を用いて送信された前記第2の周波数帯の信号を受信する第3の受信部をさらに備え、
前記第3の受信部で前記第2の周波数帯の信号が受信された場合、当該第2の周波数帯の信号が前記周波数変換部により前記第1の周波数帯の信号に変換され、当該変換後の信号から送信データが復元される、請求項6に記載の通信装置。
【請求項8】
所定の変調方式及び符号化方式に基づいて復調処理及び復号処理を施すことで前記第1の周波数帯の信号から送信データを復元するデータ復元部をさらに備え、
前記データ復元部には、前記第1の受信部又は前記周波数変換部から前記第1の周波数の信号が入力され、
前記データ復元部は、前記第1の通信方式とは異なる通信方式で送信されたものである場合においても、前記第1の通信方式と同じ変調方式及び符号化方式に基づいて前記送信データを復元する、請求項6又は7に記載の通信装置。
【請求項9】
前記データ復元部に入力された前記第1の周波数帯の信号が前記第2又は第3の通信方式で送信されたものである場合においても、前記第1の通信方式と同じMAC層(Madia Access Control layer)により、復元された前記送信データを処理する、請求項8に記載の通信装置。
【請求項10】
前記MAC層にCSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access/Collision Avoidance)の機能が含まれており、前記第1の通信方式とは異なる通信方式で通信する場合、前記MAC層におけるCSMA/CAの機能がオフにされる、請求項9に記載の通信装置。
【請求項11】
前記第2又は第3の通信方式を用いて通信している際に通信品質の劣化が検出された場合、前記第2又は第3の通信方式のうち、通信に用いている通信方式とは異なる方式に切り替えて通信を行う、請求項2又は7に記載の通信装置。
【請求項12】
前記所定の変調方式は、直交周波数分割多重(OFDM;Orthogonal Frequency Division Multiplex)方式、又はGFSK(Gaussian filtered frequency shift keying)である、請求項3に記載の通信装置。
【請求項13】
前記第2の周波数帯は短波帯である、請求項1又は6に記載の通信装置。
【請求項14】
無線アンテナを介して第1の周波数帯の信号を受信する受信部と、
前記受信部により受信された信号を所定時間だけ保持する信号保持部と、
前記信号保持部で保持された信号を第2の周波数帯に変換する周波数変換部と、
人体に接触又は近接された信号電極から電圧を印加して静電結合を形成し、当該静電結合を利用して前記第2の周波数帯の信号を送信する送信部と、
を備え、
前記信号保持部は、前記第1の周波数帯の信号を受信する際に用いたタイムスロットの次以降のタイムスロットで前記第2の周波数帯の信号が送信されるように前記信号を所定時間だけ保持する、通信装置。
【請求項15】
第1の通信方式に基づいて第1の周波数帯の信号が生成される信号生成ステップと、
前記第1の通信方式が選択された場合、前記信号生成ステップで生成された前記第1の周波数帯の信号が無線アンテナを介して送信される第1の送信ステップと、
第2の通信方式が選択された場合、前記信号生成ステップで生成された第1の周波数帯の信号が第2の周波数帯の信号に変換される周波数変換ステップと、
前記周波数変換ステップで変換された第2の周波数帯の信号が、人体に接触又は近接された信号電極からの印加電圧による静電結合を用いて送信される第2の送信ステップと、
を含む、通信方法。
【請求項16】
第1の通信方式が選択された場合、第1の周波数帯の信号が無線アンテナを介して受信される第1の受信ステップと、
第2の通信方式が選択された場合、静電結合により人体を介して送信された第2の周波数帯の信号が前記人体に接触又は近接された信号電極を用いて受信される第2の受信ステップと、
前記第2の受信ステップで受信された前記第2の周波数帯の信号が前記第1の周波数帯の信号に変換される周波数変換ステップと、
前記第1の受信ステップ又は前記周波数変換ステップで得られた前記第1の周波数帯の信号から前記第1の通信方式に基づいて送信データが復元されるデータ復元ステップと、
を含む、通信方法。
【請求項17】
無線アンテナを介して第1の周波数帯の信号が受信される受信ステップと、
前記受信ステップで受信された信号が所定時間だけ保持される信号保持ステップと、
前記信号保持ステップで保持された信号が第2の周波数帯に変換される周波数変換ステップと、
人体に接触又は近接された信号電極から電圧が印加されて静電結合が形成され、当該静電結合を利用して前記第2の周波数帯の信号が送信される送信ステップと、
を含み、
前記信号保持ステップでは、前記第1の周波数帯の信号が受信される際に利用されたタイムスロットの次以降のタイムスロットで前記第2の周波数帯の信号が送信されるように前記信号が所定時間だけ保持される、通信方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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