説明

通信装置、通信制御方法、および通信制御プログラム

【課題】通信コストを抑えると共に、通話が途切れることを防止する通信装置、通信制御方法、および通信制御プログラムを提供する。
【解決手段】IPネットワーク11の通信品質が劣化していない場合、画像データと音声データとを含む合成データが、IPネットワーク11を介して、通信装置2と他の拠点の通信装置との間で送受信される。IPネットワーク11の通信品質が劣化すると、音声データが送受信される経路が、IPネットワーク11からPSTN網12に切り替えられる。これによって、画像データは、IPネットワークを介して送受信される(経路73)。音声データは、PSTN網12を介して送受信される(経路74)。また、合成データが、テレビ電話装置4とCPU21との間で送受信される(経路72)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自装置とは異なる通信装置と自装置との間で、音声データと画像データとを送受信する通信装置、通信制御方法、および通信制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自装置とは異なる通信装置と自装置との間で、音声データと画像データとを送受信する通信装置が知られている。例えば、特許文献1に記載のテレビ会議システムでは、テレビ会議のビデオデータを送受信するためにインターネットプロトコル(IP)ベースの通信チャネルを使用し、テレビ会議の音声データを送受信するために、PSTN網を使用して、テレビ会議を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2005−524301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の通信装置では、音声データの送受信に、PSTN網(公衆回線網)を使用しているため、時間が経過する毎に使用料金が発生する。このため、通信コストが大きくなるという問題点があった。また、音声データと画像データとの送受信を、IPネットワークを使用して行った場合、IPネットワークの通信品質が劣化することによって、通話が途切れる場合があるという問題点があった。
【0005】
本発明の目的は、通信コストを抑えると共に、通話が途切れることを防止する通信装置、通信制御方法、および通信制御プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る通信装置は、自装置から、自装置とは異なる装置である他装置に送信される画像のデータである第一画像データと、自装置から前記他装置に送信される音声のデータである第一音声データと、前記他装置から自装置に送信される画像のデータである第二画像データと、前記他装置から自装置に送信される音声のデータである第二音声データとを、前記他装置と自装置との間で送受信する通信装置であって、前記他装置に前記第一音声データと前記第一画像データとを送信する第一データ送信手段と、前記他装置から送信される前記第二画像データと前記第二音声データとを受信する第一データ受信手段と、前記他装置と自装置との間におけるIP(Internet Protocol)ネットワークの通信品質が所定の値より劣化したか否かを判断する劣化判断手段とを備え、前記劣化判断手段によって前記他装置と自装置との間における前記IPネットワークの前記通信品質が前記所定の値より劣化していないと判断された場合に、前記第一データ送信手段は、前記第一画像データと前記第一音声データとが合成されたデータである第一合成データを、前記IPネットワークを介して前記他装置に送信することで、前記第一画像データと前記第一音声データとを、前記IPネットワークを介して前記他装置に送信し、前記第一データ受信手段は、前記IPネットワークを介して前記他装置から送信される、前記第二画像データと前記第二音声データとが合成されたデータである第二合成データを受信することで、前記IPネットワークを介して前記他装置から送信される、前記第二画像データと前記第二音声データとを受信し、前記劣化判断手段によって前記他装置と自装置との間における前記IPネットワークの前記通信品質が前記所定の値より劣化したと判断された場合に、前記第一データ送信手段は、前記第一画像データを、前記IPネットワークを介して前記他装置に送信し、前記第一音声データを、公衆回線網を介して前記他装置に送信し、前記第一データ受信手段は、前記IPネットワークを介して前記他装置から送信される前記第二画像データを受信し、前記公衆回線網を介して前記他装置から送信される前記第二音声データを受信する。
【0007】
この場合において、他装置と自装置との間におけるIPネットワークの通信品質が劣化していない場合、第一合成データと第二合成データとがIPネットワークを介して送受信される。これによって、第一音声データ、第二音声データ、第一画像データ、および第二画像データがIPネットワークを介して送受信される。また、他装置と自装置との間におけるIPネットワークの通信品質が劣化した場合、第一音声データと第二音声データとが、公衆回線網を介して送受信される。つまり、第一音声データと第二音声データとを送受信する経路が、IPネットワークから公衆回線網に切り替えられる。このように、IPネットワークの通信品質が劣化した場合にのみ公衆回線網が使用されるので、常に公衆回線網を使用する場合に比べて通信コストを抑えることができる。また、IPネットワークの通信品質が劣化した場合に、第一音声データと第二音声データとを送受信する経路が公衆回線網に切り替えられるため、IPネットワークの通信品質の劣化によって通話が途切れることを防止できる。
【0008】
前記通信装置は、音声取得手段によって取得された音声と、画像取得手段によって取得された画像とを符号化して前記第一合成データを作成し、前記通信装置に送信する第一合成データ送信手段と、前記通信装置から送信された前記第二合成データに含まれる前記第二画像データに基づく画像を表示手段に表示させる表示制御手段と、前記第二合成データに含まれる前記第二音声データに基づく音声を音声出力手段に出力させる音声出力制御手段とを備えたテレビ電話装置に接続する接続手段と、前記接続手段によって接続された前記テレビ電話装置に前記第二合成データを送信する第二データ送信手段と、前記テレビ電話装置の前記第一合成データ送信手段によって作成されて送信される前記第一合成データを受信する第二データ受信手段と、前記劣化判断手段によって前記他装置と自装置との間における前記IPネットワークの前記通信品質が前記所定の値より劣化していると判断された場合に、前記第二データ受信手段によって受信された前記第一合成データを前記第一画像データと前記第一音声データとに分離する分離手段と、前記劣化判断手段によって前記他装置と自装置との間における前記IPネットワークの前記通信品質が前記所定の値より劣化していると判断された場合に、前記第一受信手段によって前記IPネットワークを介して受信された前記第二画像データと、前記第一受信手段によって前記公衆回線網を介して受信された前記第二音声データとを合成して、前記第二合成データを作成する合成手段とを備え、前記劣化判断手段によって前記他装置と自装置との間における前記IPネットワークの前記通信品質が前記所定の値より劣化していないと判断された場合に、前記第一データ送信手段は、前記第二データ受信手段によって受信された前記第一合成データを、前記IPネットワークを介して前記他装置に送信することで、前記第一画像データと前記第一音声データとを、前記IPネットワークを介して前記他装置に送信し、前記第二データ送信手段は、前記第一データ受信手段によって受信された、前記他装置から前記IPネットワークを介して送信される前記第二合成データを、前記テレビ電話装置に送信し、前記劣化判断手段によって前記他装置と自装置との間における前記IPネットワークの前記通信品質が前記所定の値より劣化していると判断された場合に、前記第一データ送信手段は、前記分離手段によって前記第一合成データから分離された前記第一画像データと前記第一音声データとのうち、前記第一画像データを、前記IPネットワークを介して前記他装置に送信し、前記第一音声データを、前記公衆回線網を介して前記他装置に送信し、前記第二データ送信手段は、前記合成手段によって作成された前記第二合成データを前記テレビ電話装置に送信してもよい。
【0009】
この場合、テレビ電話装置が通信経路を切り替える機能を備えていない場合でも、通信装置が第一音声データと第二音声データとを送受信する経路を、IPネットワークから公衆回線網に切り替えることで、テレビ電話装置において通話が途切れることを防止することができる。
【0010】
前記通信装置は、前記劣化判断手段によって前記他装置と自装置との間における前記IPネットワークの前記通信品質が前記所定の値より劣化したと判断された場合に、前記第一音声データと前記第二音声データとを送受信する経路を、前記IPネットワークから前記公衆回線網に切り替えることについてのユーザによる指示である切り替え指示を検出する指示検出手段を備え、前記劣化判断手段によって前記他装置と自装置との間における前記IPネットワークの前記通信品質が前記所定の値より劣化していると判断され、且つ、前記指示検出手段によって前記切り替え指示が検出されていない場合に、前記第一データ送信手段は、前記合成データを、前記IPネットワークを介して前記他装置に送信することで、前記第一画像データと前記第一音声データとを、前記IPネットワークを介して前記他装置に送信し、前記第一データ受信手段は、前記IPネットワークを介して前記他装置から送信される、前記第二合成データを受信することで、前記IPネットワークを介して前記他装置から送信される前記第二画像データと前記第二音声データと受信し、前記劣化判断手段によって前記他装置と自装置との間における前記IPネットワークの前記通信品質が前記所定の値より劣化していると判断され、且つ、前記指示検出手段によって前記切り替え指示が検出された場合に、前記第一データ送信手段は、前記第一画像データを、前記IPネットワークを介して前記他装置に送信し、前記第一音声データを、前記公衆回線網を介して前記他装置に送信し、前記第一データ受信手段は、前記IPネットワークを介して前記他装置から送信される前記第二画像データを受信し、前記公衆回線網を介して前記他装置から送信される前記第二音声データを受信してもよい。
【0011】
この場合、第一音声データと第二音声データとを送受信する経路を、IPネットワークから公衆回線網に切り替えるか否かをユーザに選択させることができる。
【0012】
前記通信装置は、前記劣化判断手段によって前記他装置と自装置との間における前記IPネットワークの前記通信品質が前記所定の値より劣化していると判断された場合において、前記第一データ送信手段が、前記第一画像データを、前記IPネットワークを介して前記他装置に送信し、前記第一音声データを、前記公衆回線網を介して前記他装置に送信し、前記第一データ受信手段が、前記IPネットワークを介して前記他装置から送信される前記第二画像データを受信し、前記公衆回線網を介して前記他装置から送信される前記第二音声データを受信する場合に、前記第一音声データと前記第二音声データとを送受信する経路を、前記IPネットワークから前記公衆回線網に切り替えたことをユーザに報知する報知手段を備えてもよい。この場合、第一音声データと第二音声データとを送受信する経路を、IPネットワークから公衆回線網に切り替える場合に、ユーザに報知することができる。
【0013】
本発明の第2の態様に係る通信制御方法は、自装置から、自装置とは異なる装置である他装置に送信される画像のデータである第一画像データと、自装置から前記他装置に送信される音声のデータである第一音声データと、前記他装置から自装置に送信される画像のデータである第二画像データと、前記他装置から自装置に送信される音声のデータである第二音声データとを、前記他装置と自装置との間で送受信する通信装置において行われる通信制御方法であって、前記他装置に前記第一音声データと前記第一画像データとを送信する第一データ送信ステップと、前記他装置から送信される前記第二画像データと前記第二音声データとを受信する第一データ受信ステップと、前記他装置と自装置との間におけるIP(Internet Protocol)ネットワークの通信品質が所定の値より劣化したか否かを判断する劣化判断ステップとを備え、前記劣化判断ステップによって前記他装置と自装置との間における前記IPネットワークの前記通信品質が前記所定の値より劣化していないと判断された場合に、前記第一データ送信ステップは、前記第一画像データと前記第一音声データとが合成されたデータである第一合成データを、前記IPネットワークを介して前記他装置に送信することで、前記第一画像データと前記第一音声データとを、前記IPネットワークを介して前記他装置に送信し、前記第一データ受信ステップは、前記IPネットワークを介して前記他装置から送信される、前記第二画像データと前記第二音声データとが合成されたデータである第二合成データを受信することで、前記IPネットワークを介して前記他装置から送信される、前記第二画像データと前記第二音声データとを受信し、前記劣化判断ステップによって前記他装置と自装置との間における前記IPネットワークの前記通信品質が前記所定の値より劣化したと判断された場合に、前記第一データ送信ステップは、前記第一画像データを、前記IPネットワークを介して前記他装置に送信し、前記第一音声データを、公衆回線網を介して前記他装置に送信し、前記第一データ受信ステップは、前記IPネットワークを介して前記他装置から送信される前記第二画像データを受信し、前記公衆回線網を介して前記他装置から送信される前記第二音声データを受信する。
【0014】
この場合、IPネットワークの通信品質が劣化した場合にのみ公衆回線網が使用されるので、常に公衆回線網を使用する場合に比べて通信コストを抑えることができる。また、IPネットワークの通信品質が劣化した場合に、第一音声データと第二音声データとを送受信する経路が公衆回線網に切り替えられるため、IPネットワークの通信品質の劣化によって通話が途切れることを防止できる。
【0015】
本発明の第3の態様に係る通信制御プログラムは、自装置から、自装置とは異なる装置である他装置に送信される画像のデータである第一画像データと、自装置から前記他装置に送信される音声のデータである第一音声データと、前記他装置から自装置に送信される画像のデータである第二画像データと、前記他装置から自装置に送信される音声のデータである第二音声データとを、前記他装置と自装置との間で送受信する通信装置において実行される通信制御プログラムであって、前記通信装置のCPUに、前記他装置に前記第一音声データと前記第一画像データとを送信する第一データ送信ステップと、前記他装置から送信される前記第二画像データと前記第二音声データとを受信する第一データ受信ステップと、前記他装置と自装置との間におけるIP(Internet Protocol)ネットワークの通信品質が所定の値より劣化したか否かを判断する劣化判断ステップとを備え、前記劣化判断ステップによって前記他装置と自装置との間における前記IPネットワークの前記通信品質が前記所定の値より劣化していないと判断された場合に、前記第一データ送信ステップは、前記第一画像データと前記第一音声データとが合成されたデータである第一合成データを、前記IPネットワークを介して前記他装置に送信することで、前記第一画像データと前記第一音声データとを、前記IPネットワークを介して前記他装置に送信し、前記第一データ受信ステップは、前記IPネットワークを介して前記他装置から送信される、前記第二画像データと前記第二音声データとが合成されたデータである第二合成データを受信することで、前記IPネットワークを介して前記他装置から送信される、前記第二画像データと前記第二音声データとを受信し、前記劣化判断ステップによって前記他装置と自装置との間における前記IPネットワークの前記通信品質が前記所定の値より劣化したと判断された場合に、前記第一データ送信ステップは、前記第一画像データを、前記IPネットワークを介して前記他装置に送信し、前記第一音声データを、公衆回線網を介して前記他装置に送信し、前記第一データ受信ステップは、前記IPネットワークを介して前記他装置から送信される前記第二画像データを受信し、前記公衆回線網を介して前記他装置から送信される前記第二音声データを受信する処理を実行させることを特徴とする。
【0016】
この場合、IPネットワークの通信品質が劣化した場合にのみ公衆回線網が使用されるので、常に公衆回線網を使用する場合に比べて通信コストを抑えることができる。また、IPネットワークの通信品質が劣化した場合に、第一音声データと第二音声データとを送受信する経路が公衆回線網に切り替えられるため、IPネットワークの通信品質の劣化によって通話が途切れることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】通信システム1の構成を示す図である。
【図2】通信装置2の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】テレビ電話装置4の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】テレビ電話メイン処理を示すフローチャートである。
【図5】第一メイン処理を示すフローチャートである。
【図6】データの送受信の経路を示すブロック図である。
【図7】データの送受信の経路を示すブロック図である。
【図8】第一切替後通信処理を示すフローチャートである。
【図9】通信システム1の構成を示す図である。
【図10】通信装置2の電気的構成を示すブロック図である。
【図11】データの送受信の経路を示すブロック図である。
【図12】第二メイン処理を示すフローチャートである。
【図13】第二メイン処理を示すフローチャートである。
【図14】データの送受信の経路を示すブロック図である。
【図15】第二切替後通信処理を示すフローチャートである。
【図16】図13に示す第二メイン処理の変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る通信装置および制御プログラムを具現化した通信システムおよび通信装置について、図面を参照して説明する。なおこれらの図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものであり、記載されている通信装置の構成、各種処理のフローチャートなどは、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0019】
図1を参照して、第一実施形態における通信装置2,3を構成要素とする通信システム1について説明する。通信システム1は、通信装置2,3とテレビ電話装置4,5とを備えている。通信装置2とテレビ電話装置4とは、拠点6に設けられている。通信装置3とテレビ電話装置5とは、拠点7に設けられている。拠点6と拠点7は、それぞれ離れた拠点である。拠点6と拠点7との間には、IP(Internet Protocol)ネットワーク11、および公衆回線網12(以下、「PSTN(Public Switched Telephone Networks)網12」という。)が存在している。IPネットワーク11は、インターネットプロトコルを使用する種々の機器を、相互接続して構築されたネットワークである。
【0020】
通信装置2,3には、それぞれ後述するWANポート27、LANポート28、FXO29が設けられている。通信装置2,3のWANポート27は、IPネットワーク11に接続されている。通信装置2,3は、IPネットワーク11を介して接続され、通信を行うことができる。通信装置2,3のFXO29は、PSTN網12に接続されている。通信装置2,3は、PSTN網12を介して接続され、通信を行うことができる。通信装置2のLANポート28は、テレビ電話装置4に接続されている。通信装置3のLANポート28は、テレビ電話装置5に接続されている。通信システム1では、テレビ電話装置4,5において取得される音声のデータや画像のデータが相互に送受信され、テレビ電話が実行される。以下の説明では、音声データと画像データとが合成されたデータを合成データという。
【0021】
図2を参照して、通信装置2,3の電気的構成について説明する。通信装置2,3の電気的構成は、略同一であるので、通信装置2の電気的構成について説明する。図2に示すように、通信装置2は、通信装置2にて実行される各処理の制御を司るCPU21、CPU21にて実行されるプログラム等が記憶される不揮発性記憶素子であるROM22、CPU21が処理を実行するために必要となる一時的な記憶領域を提供するための揮発性記憶素子であるRAM23、種々のデータが記憶される記憶装置24(例えば、メモリーカードやフラッシュメモリなど)が設けられている。ROM22、RAM23、および記憶装置24と、CPU21とは、バス25を介して電気的に接続されている。CPU21は、ROM22、RAM23、および記憶装置24の記憶領域にアクセスすることができる。
【0022】
通信装置2は、イーサネット(登録商標)インタフェース(イーサネット(登録商標)I/F)26を備えている。イーサネット(登録商標)I/FとCPU21とは、バス25を介して電気的に接続されている。イーサネット(登録商標)I/F26には、WANポート27、LANポート28がそれぞれ電気的に接続されている。WANポート27は、IPネットワーク11(図1参照)と電気的に接続されている。通信装置2のCPU21は、イーサネット(登録商標)I/F26、WANポート27、およびIPネットワーク11を介して、通信装置3と通信を行うことができる。また、通信装置2のCPU21は、イーサネット(登録商標)I/F26およびLANポート28を介して、テレビ電話装置4と通信を行うことができる。
【0023】
通信装置2は、PSTN網12(図1参照)と接続するためのアナログ電話回線用インタフェース(Foreign Exchange Office、FXO)29を備えている。CPU21とFXO29とは、バス25を介して電気的に接続されている。通信装置2のCPU21は、FXO29およびPSTN網12を介して、通信装置3と通信を行うことができる。
【0024】
通信装置2は、LED(Light Emitting Diode)37を備えている。CPU21とLED37とはバス25を介して電気的に接続されている。CPU21は、LED37を制御して、LEDを点灯させることができる。
【0025】
上述のように本実施の形態では、通信装置2は、イーサネット(登録商標)I/F35およびFXO29の両方を備えることにより、IPネットワーク11を介した通信、および、PSTN網12を介した通信の両方が実行可能となっている。
【0026】
図3を参照して、テレビ電話装置4,5の電気的構成について説明する。テレビ電話装置4,5の電気的構成は、略同一であるので、テレビ電話装置4の電気的構成について説明する。図3に示すように、テレビ電話装置4は、テレビ電話装置4にて実行される各処理の制御を司るCPU41、CPU41にて実行されるプログラム等が記憶される不揮発性記憶素子であるROM42、CPU41が処理を実行するために必要となる一時的な記憶領域を提供するための揮発性記憶素子であるRAM43、および、種々のデータが記憶される記憶装置44(例えば、メモリカードやフラッシュメモリなど)が設けられている。ROM42、RAM43、および記憶装置44と、CPU41とは、バス52を介して電気的に接続されている。CPU41は、ROM42、RAM43、および記憶装置44の記憶領域にアクセスすることができる。
【0027】
テレビ電話装置4は、共通の入出力制御(インピーダンス変換、タイミング制御等)を行うための入出力部45を備えている。入出力部45とCUP41とは、バス52を介して電気的に接続されている。テレビ電話装置4は、画像を取得するためのカメラ46、音声を取得するためのマイク47、音声を出力するためのスピーカ48、所望の画像を表示させることが可能なディスプレイ49、および、ユーザからの指示を取得するための操作部50を備えている。これらのインタフェースは、それぞれ入出力部45と電気的に接続されている。CPU41は、それぞれのインタフェースからの入力信号を認識することができる。また、CPU41は、それぞれのインタフェースを制御することができる。
【0028】
テレビ電話装置4は、通信装置3のLANポート28(図2参照)と接続して、通信を行うための通信I/F51を備えている。CPU41は、通信装置2および通信装置3を介して、テレビ電話装置5との間で各種データを送受信することができる。
【0029】
次に、図4〜図8を参照して、本実施形態における処理について説明する。なお、以下の説明において、音声データ、画像データ、合成データの例として、自拠点音声データ、自拠点画像データ、自拠点合成データ、他拠点音声データ、他拠点画像データ、および他拠点合成データ等について述べている。以下の説明では、同じデータでも、拠点6を基準にするか、拠点7を基準にするかによって、「自拠点」「他拠点」の記述が変わってくる。例えば、通信装置2とテレビ電話装置4とが存在する拠点6を基準にすると、自拠点画像データ、自拠点音声データ、および自拠点合成データは、拠点6において取得された音声や画像を含んだデータである。また、他拠点画像データ、他拠点音声データ、および他拠点合成データは、拠点7において取得された音声や画像を含んだデータである。一方、通信装置3とテレビ電話装置5とが存在する拠点7を基準にすると、自拠点画像データ、自拠点音声データ、および自拠点合成データは、拠点7において取得された音声や画像を含んだデータである。また、他拠点画像データ、他拠点音声データ、および他拠点合成データは、拠点6において取得された音声や画像を含んだデータである。例えば、拠点6から拠点7に合成データが送信される場合、拠点6を基準にすると、拠点6において作成された自拠点合成データが拠点7に送信されることなる。一方、拠点7を基準にすると、拠点6において作成された他拠点合成データが、拠点6から拠点7に送信されることになる。
【0030】
図4に示すフローチャートを参照して、テレビ電話装置4,5のCPU41によるテレビ電話メイン処理について説明する。テレビ電話装置4とテレビ電話装置5とにおいて行われるテレビ電話メイン処理は、略同一であるので、ここでは、テレビ電話装置4のテレビ電話メイン処理について説明する。テレビ電話メイン処理は、例えば、ユーザによって操作部50を介して、通話先の電話番号が入力されることを契機に開始される。
【0031】
図4に示すように、テレビ電話メイン処理では、まず、テレビ電話装置4とテレビ電話装置5の間のIPネットワーク11を介した通信が確立される(S11)。詳細には、テレビ電話装置4,5のS11の処理と、通信装置2,3のS31の処理(図5参照)によって通信が確立される。S11の処理とS31の処理における通信の確立には、種々の方法を使用することができる。
【0032】
一例として、以下のような手順で、通信が確立される。テレビ電話装置4のユーザが、操作部50を介して、テレビ電話装置5の電話番号を入力する。入力された電話番号は、通信装置2に送信される。通信装置2は、IPネットワーク11上のSIP(Session Initiation Protocol)サーバ(図示外)に呼び出し要求(INVITE)を送信する。呼び出し要求を受信したSIPサーバは、通信装置3に呼び出し要求(INVITE)を送信する。呼び出し要求を受信した通信装置3は、テレビ電話装置5に、呼び出し音を出力するように指示する。テレビ電話装置5は、呼び出し音を出力する。呼び出し音に応じてユーザが、テレビ電話装置5の受話器をとると、通信装置3は、SIPサーバに呼び出し成功の信号(200 OK)を送信する。SIPサーバは、通信装置2に呼び出し成功の信号(200 OK)を送信する。通信装置2は、通信の開通を了解するためにACK信号をSIPサーバに送信する。SIPサーバは通信装置3にACK信号を送信する。通信装置3はACK信号を受信する。そして、通信が開始される。
【0033】
以上の手順により通信が開始されると、以後の通信では、SIPサーバを介することなく、テレビ電話装置4とテレビ電話装置5との間のIPネットワーク11を介した通信が行われる。これによって、テレビ電話装置4とテレビ電話装置5との間でテレビ電話が行われる。
【0034】
通信が確立されると(S11)、マイク47(図3参照)を介して音声が取得される(S12)。これによって、例えば、ユーザの話し声が取得される。次いで、カメラ46(図3参照)を介して画像が取得される(S13)。これによって、例えば、ユーザの姿の画像が取得される。なお、取得される画像は、静止画でもよいし、動画でもよい。次いで、S12およびS13の処理において取得された音声と画像とに基づいて、自拠点合成データが作成される(S14)。自拠点合成データは、S12の処理において取得された音声に基づく自拠点音声データと、S13の処理において取得された画像に基づく自拠点画像データとが合成されたデータである。次いで、S14の処理において作成された自拠点合成データが、通信装置2に送信される(S15)。これによって、自拠点画像データと自拠点音声データとが、通信装置2に送信される(S15)。自拠点合成データには、自拠点画像データと自拠点音声データとが含まれているからである。
【0035】
S15の処理で送信された自拠点合成データは、後述する通信装置2のS33の処理において受信され、S34の処理において通信装置3に送信される(図5参照)。そして、通信装置3のS35の処理において受信され、S36の処理によってテレビ電話装置5に送信される(図5参照)。そして、テレビ電話装置5の後述するS16の処理において受信される。これによって、テレビ電話装置4のS15の処理において送信された自拠点合成データが、テレビ電話装置5のS16の処理において受信される。なお、音声データの送受信の経路が変更された場合については、後で詳述する。
【0036】
S15の処理が行われたら、次いで、テレビ電話装置5のS15の処理において送信された、他拠点合成データが受信されたか否かが判断される(S16)。なお、他拠点合成データは、テレビ電話装置5のS15の処理において通信装置3に送信され、通信装置3のS33の処理(図5参照)において受信される。そして、通信装置3のS34の処理において通信装置2に送信され、通信装置2のS35の処理(図5参照)において受信される。そして、通信装置2のS36の処理(図5参照)においてテレビ電話装置4に送信され、テレビ電話装置4のS16の処理において受信される。これによって、テレビ電話装置5のS15の処理において送信された他拠点合成データが、テレビ電話装置4のS16の処理において受信される。なお、音声データの送受信の経路が変更された場合については、後で詳述する。
【0037】
他拠点合成データが受信されていない場合には(S16:NO)、S12に戻り、処理が繰り返される。他拠点合成データが受信された場合には(S16:YES)、受信された他拠点合成データに含まれる他拠点音声データが復号され、スピーカ48(図3参照)から出力される(S16)。次いで、S16の処理において受信された他拠点合成データに含まれる他拠点画像データが復号され、ディスプレイ49(図3参照)に表示される(S18)。次いで、S12に戻り、処理が繰り返される。S12〜S18の処理が継続されることによって、テレビ電話装置4,5相互間において、テレビ電話が継続される。
【0038】
次に、図5〜図8を参照して、通信装置2,3による処理について説明する。まず、図5に示すフローチャートを参照して、通信装置2、3のCPU21による第一メイン処理について説明する。通信装置2,3において行われる第一メイン処理は、略同一なので、ここでは、主に、通信装置2の第一メイン処理について説明する。第一メイン処理は、テレビ電話装置4,5のS11の処理において、通信の確立の処理が開始されることを契機に開始される。
【0039】
第一メイン処理では、まず、通信が確立される(S31)。通信の確立方法は、S11の処理(図4参照)において説明した通りである。次いで、電話番号がRAM23(図2参照)に記憶される(S32)。S11の処理(図4参照)、およびS31の処理(図5参照)において通信が確立される場合、通信を確立するために送受信される信号には、テレビ電話装置4,5の電話番号が含まれている。S32の処理では、S31の処理において送受信される信号に含まれるテレビ電話装置4,5の電話番号がRAM25に記憶される。本実施形態の場合、一例として、テレビ電話装置4の電話番号が「000−111−2222」であるとし、テレビ電話装置5の電話番号が「000−333−4444」であるとする。
【0040】
次いで、テレビ電話装置4のS15の処理(図4参照)において送信される、自拠点合成データが受信されたか否かが判断される(S33)。自拠点合成データが受信されていない場合には(S33:NO)、後述するS35の処理が行われる。自拠点合成データが受信された場合には(S33:YES)、受信された自拠点合成データが、IPネットワーク11を介して通信装置3に送信される(S34)。送信された自拠点合成データは、通信装置3のS35の処理(後述)において受信される。
【0041】
次いで、通信装置3のS34の処理において送信される他拠点合成データが受信されたか否かが判断される(S35)。他拠点合成データが受信されていない場合には(S35:NO)、後述するS37の処理が実行される。他拠点合成データが受信された場合には(S35:YES)、受信された他拠点合成データが、テレビ電話装置4に送信される(S36)。送信された他拠点合成データは、テレビ電話装置4のS16の処理(図4参照)において受信される。
【0042】
次いで、通信装置2と通信装置3とのIPネットワーク11を介した通信の遅延時間が測定される(S37)。遅延時間の測定方法としては、公知の種々の測定方法を用いることができる。次いで、S37の処理において測定された遅延時間が、所定の閾値以上であるか否かが判断されることで、通信装置2および通信装置3の間のIPネットワーク11の通信品質が劣化したか否かが判断される(S38)。所定の閾値は、例えば、通信品質が劣化したことによって、画像や音声が乱れる可能性がある値(例えば、150ms(ミリ秒))に設定されている。所定の閾値は、記憶装置24に予め記憶されている。S37の処理において測定された遅延時間が、所定の閾値より小さい場合には、通信品質が劣化していないと判断され(S38:NO)、通信装置3のS40の処理(後述)において、PSTN網12を介して送信される接続要求信号(後述)が受信されたか否かが判断される(S39)。接続要求信号が受信されていない場合には(S39:NO)、S33に戻り、処理が繰り返される。
【0043】
上述のように、S33〜S39の処理が繰り返されることで、IPネットワーク11を介して、合成データの送受信が行われ、テレビ電話が実行される。S33〜S36の処理において、合成データの送受信が行われる経路を図6に示す。図6において、経路71は、合成データが送受信される経路である。なお、図6では、拠点6側の通信装置2およびテレビ電話装置4における経路71のみを図示しているが、拠点7側の通信装置3およびテレビ電話装置5においても同様の経路で、データが送受信される(後述する図7、図11、および図14における経路の場合も同様)。図6の経路71に示すように、合成データ(自拠点合成データ、他拠点合成データ)は、通信装置2のLANポート28、CPU21、WANポート27、IPネットワーク11を介して送受信される。つまり、PSTN網12は、使用されていない。
【0044】
図5のS38の処理において、通信品質が劣化したと判断された場合には(S38:YES)、接続要求信号が、PSTN網12を介して、通信装置3に送信される(S40)。S40の処理では、例えば、S32の処理において記憶された通信装置3の電話番号「000−333−4444」が使用されて、通信装置3に対して、PSTN網12を介して接続要求信号が送信される。接続要求信号は、PSTN網12を介して音声データの送受信を行うために、PSTN網12を介しての接続を要求する信号である。S40の処理において送信された接続要求信号は、通信装置3のS39の処理において受信される。
【0045】
次いで、通信装置3のS43の処理(後述)においてPSTN網12を介して送信される、接続応答信号(後述)が受信されたか否かが判断される(S41)。接続応答信号が受信されていない場合には(S41:NO)、S41に戻り、処理が繰り返される。接続応答信号が受信された場合には(S41:YES)、後述するS44の処理が行われる。
【0046】
S39の処理において、通信装置3のS40の処理によってPSTN網12を介して送信される、接続要求信号が受信された場合には(S39:YES)、オフフックを行い、PSTN網12における通信を開始する(S42)。次いで、S42の処理でオフフックを行って、PSTN網12を介して通信が可能になったことを示す信号である接続応答信号が、通信装置3に送信される(S43)。送信された接続応答信号は、通信装置3のS41の処理において受信される。次いで、S44の処理が行われる。
【0047】
通信装置2においてS38、S40、およびS41の処理が行われ、通信装置3においてS39、S42,およびS43の処理が行われると、PSTN網12を介した通信が可能となる。同様に、通信装置3においてS38、S40、およびS41の処理が行われ、通信装置2においてS39、S42,およびS43の処理が行われると、PSTN網12を介した通信が可能となる。すなわち、通信装置2のCPU21が、通信装置3のCPU21より先に通信品質の劣化を検出した場合には(S38:YES)、通信装置2は、S40およびS41の処理を行う。逆に、通信装置3のCPU21が、通信装置2のCPU21より先に通信品質の劣化を検出した場合には、通信装置3のS40の処理によって接続要求信号が送信されるため、通信装置2は、S39、S42、S43の処理を行う。以上のようにしてPSTN網12を介した通信が可能となる。以後の処理では、音声データはPSTN網12を介して送受信され、画像データはIPネットワーク11を介して送受信される。つまり、音声データを送受信する経路が、IPネットワーク11からPSTN網12に切り替えられる。
【0048】
S41の処理またはS43の処理が行われると、次いで、LED37(図2参照)が点滅される(S44)。これによって、自拠点音声データと他拠点音声データとを送受信する経路が、IPネットワーク11からPSTN網12に切り替えられたことをユーザに報知することができる。次いで、第一切替後通信処理が行われる(S45)。
【0049】
図7および図8を参照して、第一切替後通信処理について説明する。第一切替号通信処理では、画像データがIPネットワーク11を介して送受信され、音声データがPSTN網12を介して送受信される。
【0050】
まず、図7を参照して、第一切替後通信処理において各データが送受信される経路について説明する。図7において、経路72は、LANポート28を介してテレビ電話装置4とCPU21とを結ぶ経路である。経路73は、WANポート27およびIPネットワーク11を介して、通信装置2のCPU21と通信装置3とを結ぶ経路である。経路74は、FXO29とPSTN網12を介して、通信装置2のCPU21と通信装置3とを結ぶ経路である。経路72は、合成データ(自拠点合成データおよび他拠点合成データ)が送受信される経路である。経路73は、画像データ(自拠点画像データおよび他拠点画像データ)が送受信される経路である。経路74は、音声データ(自拠点音声データおよび他拠点音声データ)が送受信される経路である。CPU21は、経路72を介して受信された自拠点合成データを、自拠点画像データと自拠点音声データとに分離している(S52、後述)。また、CPU21は、経路73を介して受信された他拠点画像データと、経路74を介して受信された他拠点音声データとを合成して、他拠点合成データを作成している(図8のS56、後述)。
【0051】
図7を参照しながら図8に示す第一切替後処理について説明する。なお、以下の説明では、処理の符号と共に、各データが送受信される経路を示しながら説明する。第一切替後通信処理では、まず、S33の処理(図5参照)と同様に、テレビ電話装置4のS15の処理(図4参照)において送信される、自拠点合成データが受信されたか否かが判断される(S51、経路72)。自拠点合成データが受信されていない場合には(S51:NO)、後述するS55の処理が行われる。自拠点合成データが受信された場合には(S51:YES)、受信された自拠点合成データから、自拠点合成データに含まれる自拠点音声データと自拠点画像データとが分離される(S52)。
【0052】
次いで、S52の処理において分離された自拠点画像データが、IPネットワーク11を介して通信装置3に送信される(S53、経路73)。送信された自拠点画像データは、通信装置3のS55の処理(後述)において受信される。次いで、S52の処理において分離された自拠点音声データが、PSTN網12を介して通信装置3に送信される(S54、経路74)。送信された自拠点音声データは、通信装置3のS55の処理において受信される。
【0053】
S54の処理が行われたら、通信装置3のS53の処理において、IPネットワーク11を介して送信される他拠点画像データ(経路73)と、通信装置3のS54の処理において、PSTN網12を介して送信される他拠点音声データ(経路74)とが、受信されたか否かが判断される(S55)。他拠点画像データと他拠点音声データとが受信されていない場合には(S55:NO)、S51に戻り、処理が繰り返される。他拠点画像データと他拠点音声データとが受信された場合には(S55:YES)、他拠点画像データと他拠点音声データとが合成され、他拠点合成データが作成される(S56)。次いで、作成された他拠点合成データが、テレビ電話装置4に送信される(S57、経路72)。送信された他拠点画像データは、テレビ電話装置のS16の処理(図4参照)において受信され、音声が出力され(S17)、画像が表示される(S18)。次いで、S51に戻り、処理が繰り返される。
【0054】
上述のように、S51〜S57の処理が繰り返されることで、IPネットワーク11を介して画像データが送受信され(経路73)、PSTN網12を介して音声データが送受信される(経路74)。また、テレビ電話装置4と通信装置2との間で合成データが送受信される(経路72)。これによって、テレビ電話が継続される。
【0055】
以上、説明したように、第一実施形態における処理が行われる。本実施形態では、通信装置2と通信装置3との間のIPネットワーク11の通信品質が劣化していない場合(S38:NO、図5参照)、自拠点合成データと他拠点合成データとがIPネットワーク11を介して送受信される(図5のS34およびS35参照)。言い換えると、自拠点音声データ、他拠点音声データ、自拠点画像データ、他拠点画像データがIPネットワーク11を介して送受信される。合成データには、音声データと画像データとが含まれているからである。
【0056】
また、通信装置2と通信装置3との間のIPネットワーク11の通信品質が劣化している場合(S38:YES、図5参照)、自拠点音声データと他拠点音声データとが、PSTN網12を介して送受信される(図8のS54およびS55参照)。つまり、自拠点音声データと他拠点音声データとを送受信する経路が、IPネットワーク11からPSTN網12に切り替えられる。このように、IPネットワーク11の通信品質が劣化した場合にのみPSTN網12が使用される。PSTN網12を使用する場合は、時間が経過するごとに使用料金が発生する。本実施形態では、IPネットワーク11の通信品質が劣化した場合にのみPSTN網12が使用されるので、常にPSTN網12を使用する場合に比べて通信コストを抑えることができる。また、IPネットワーク11の通信品質が劣化した場合に、自拠点音声データと他拠点音声データとを送受信する経路が、PSTN網12に切り替えられるため、IPネットワーク11の通信品質の劣化によって、通話が途切れることを防止できる。
【0057】
また、IPネットワーク11の通信品質が劣化した場合に、自拠点音声データと他拠点音声データとを送受信する経路がPSTN網12に切り替えられる。このため、IPネットワーク11では、自拠点画像データと他拠点画像データのみが送受信される(図8のS53およびS55参照)。このため、自拠点合成データと他拠点合成データとをIPネットワーク11を介して送受信する場合に比べて、IPネットワーク11における通信量が少なくなる。このため、IPネットワーク11への負荷が減少し、例えば、画像が途切れることを防止できる。
【0058】
また、本実施形態では、音声データを送受信する経路を切り替えるか否かに関わらず、テレビ電話装置4,5が行う処理は同じである(図4参照)。言い換えると、通信装置2,3を使用することで、テレビ電話装置4,5が通信経路を切り替える機能を備えていない場合でも、自拠点音声データと他拠点音声データとを送受信する経路を、IPネットワーク11からPSTN網12に切り替えることができる。このため、テレビ電話装置4,5において通話が途切れることを防止することができる。また、一般的に販売されているテレビ電話装置4,5を用いた場合でも、通信装置2,3を使用することで、自拠点音声データと他拠点音声データとを送受信する経路を切り替える機能を実現することができる。
【0059】
次に、第一実施形態における通信システム1の変形例である、第二実施形態について説明する。第一実施形態では、通信装置2,3とは別にテレビ電話装置4,5が設けられていた(図1参照)。第二実施形態では、通信装置2,3自体が、テレビ電話の機能を有する場合について述べる。
【0060】
図9を参照して、第二実施形態における通信システム1について説明する。図9に示すように、第一実施形態の場合(図1参照)と異なり、テレビ電話装置4,5が設けられていない。通信装置2,3自体が、テレビ電話機能の機能を有するからである。また、第一実施形態と同様に、通信装置2,3は、IPネットワーク11、PSTN網12を介して接続されている。
【0061】
図10を参照して、通信装置2,3の電気的構成について説明する。通信装置2,3の電気的構成は、略同一であるので、通信装置2の電気的構成について説明する。図10に示すように、第二実施形態における通信装置2は、第一実施形態の通信装置2の電気的構成(図2参照)に加え、第一実施形態におけるテレビ電話装置4(図3参照)と同様に、入出力部45、カメラ46、マイク47、スピーカ48、ディスプレイ49、および操作部50を備えている。入出力部45は、バス25を介してCPU21に接続されている。カメラ46、マイク47、スピーカ48、ディスプレイ49、および操作部50は、それぞれ入出力部45に接続されている。CPU21は、それぞれのインタフェースからの入力信号を認識することができる。また、CPU21は、それぞれのインタフェースを制御することができる。
【0062】
また、通信装置2,3には、第一実施形態の場合(図2参照)と異なり、LANポート28とLED37とが設けられていない。なお、LANポート28およびLED37を設けてもよい。
【0063】
次に、図11、図12、および図13を参照して、通信装置2、3のCPU21による第二メイン処理について説明する。まず図11を参照して、第二メイン処理において各データが送受信される経路について説明する。図11において、経路81は、通信装置2のCPU21から、WANポート27およびIPネットワーク11を介して、通信装置3に向かう経路である。経路82は、通信装置3から、IPネットワーク11およびWANポート27を介して、通信装置2のCPU21に向かう経路である。経路83は、カメラ46からCPU21に向かう経路である。経路84は、マイク47からCPU21に向かう経路である。経路85は、CPU21からディスプレイ49に向かう経路である。経路86は、CPU21からスピーカ48に向かう経路である。経路81は、自拠点合成データが送信される経路である。経路82は、他拠点合成データが受信される経路である。また、CPU21は、経路83および経路84を介して取得された画像と音声とに基づいて、自拠点合成データを作成する(図12のS14参照)。また、CPU21は、経路82を介して受信された他拠点合成データを復号する(図12のS17およびS18参照)。なお、後述する処理によって、音声データが送受信する経路が切り替えられると、図14に示す経路で各データが送受信される。詳細については、後述する。
【0064】
図11を参照しながら、図12および図13に示す第二メイン処理について説明する。通信装置2,3のCPU21によって行われる第二メイン処理は、略同一なので、ここでは、主に、通信装置2の第二メイン処理について説明する。第二メイン処理は、例えば、ユーザによって操作部50を介して、通話先の電話番号が入力されることを契機に開始される。なお、第二メイン処理において、テレビ電話メイン処理(図4参照)および第一メイン処理(図5参照)と同様の処理は、同じ符号で示し、詳細の説明は省略する。
【0065】
図12および図13に示すように、第二メイン処理では、まず、通信装置2と通信装置3の間のIPネットワーク11を介した通信が確立される(S61)。S61の処理では、第一実施形態の場合のS11の処理(図4参照)およびS31の処理(図5参照)と同様に、通信の確立のために、種々の方法を使用することができる。
【0066】
次いで、通話先の電話番号がRAM23(図10参照)に記憶される(S62)。S62の処理では、ユーザによって入力される通信装置3の電話番号、または、S61の処理において送受信される通信装置3の電話番号が記憶される。
【0067】
次いで、テレビ電話メイン処理(図4参照)と同様に、S12〜S18の処理が行われる。なお、第一実施形態の場合には、S15およびS16の処理において合成データが送受信される場合、通信装置2,3を介して、テレビ電話装置4,5間で送受信されていた。しかし、第二実施形態では、通信装置2が、テレビ電話の機能を有しているため、S15およびS16の処理において、通信装置2,3の間で直接、合成データの送受信が行われる(経路81および経路82)。また、S12およびS13の処理では、音声がマイク47を介して取得され(経路84)、画像がカメラ46を介して取得される(経路83)。また、S17の処理およびS18の処理では、音声がスピーカ48(図10参照)で出力され(経路86)、画像がディスプレイ49(図10参照)で表示される(経路85)。
【0068】
S18の処理が行われたら、次いで、遅延時間が測定される(S37)。S16の処理において、他拠点合成データが受信されていないと判断された場合にも(S16:NO)、S37の処理が行われる。次いで、第二実施形態の場合と同様に、S38〜S43の処理が行われる。なお、S40の処理では、S62の処理において記憶された通信装置3の電話番号が使用される。また、S39の処理において、接続要求信号が受信されていないと判断された場合には(S39:NO)、S12に戻り、処理が繰り返される。つまり、通信品質が劣化しておらず(S38:NO)、接続要求信号が受信されていない場合には(S39:NO)、S12〜S18、S37、S38、およびS39の処理が繰り返されて、テレビ電話が継続される。この場合、IPネットワーク11を介して合成データが送受信される(経路81および経路82)。また、通信品質が劣化した場合には、第一実施形態で述べたように、音声データを送受信する経路が、IPネットワーク11からPSTN網12に切り替えられる(S38〜S43)。
【0069】
S41またはS43の処理が行われると、次いで、音声データを送受信する経路が、IPネットワーク11からPSTN網12に切り替えられた旨を示す表示が、ディスプレイ49に表示される(S63)。これによって、音声データを送受信する経路が、IPネットワーク11からPSTN網12に切り替えられたことをユーザに報知することができる。S63の処理では、例えば、「通信品質が劣化しているため、音声データの送受信の経路を切り替えました」というテキストがディスプレイ49に表示される。なお、例えば、LED37(図2参照)を設けて、第一実施形態のS44の処理(図5参照)と同様に、LED37を点滅させることで、ユーザに報知してもよい。次いで、第二切替後通信処理が実行される(S64)。
【0070】
図14および図15を参照して、第二切替後通信処理について説明する。第二切替後通信処理では、画像データが、IPネットワーク11を介して送受信され、音声データが、PSTN網12を介して送受信される。
【0071】
まず、図14を参照して、第二切替後通信処置において各データが送受信される経路について説明する。図14において、経路83〜86は、図11と同様である。経路87は、通信装置2のCPU21から、WANポート27およびネットワーク11を介して、通信装置3に向かう経路である。経路88は、通信装置2のCPU21から、FXO29およびPSTN網12を介して、通信装置3に向かう経路である。経路89は、通信装置3から、IPネットワーク11およびWANポート27を介して、通信装置2のCPU21に向かう経路である。経路90は、PSTN網12およびFXO29を介して、通信装置2のCPU21に向かう経路である。
【0072】
経路87は、自拠点画像データが送信される経路である。経路88は、自拠点音声データが送信される経路である。経路89は、他拠点画像データが受信される経路である。経路90は、他拠点音声データが受信される経路である。CPU21は、経路83および経路84を介して取得された画像と音声とをそれぞれ符号化し、自拠点画像データと自拠点音声データとを作成する(図15のS72およびS75)。また、CPU21は、経路89および経路90を介して受信された他拠点画像データと自拠点音声データとをそれぞれ復号し、ディスプレイ49に表示し、スピーカ48から出力する(図15のS78およびS80)。
【0073】
図14を参照しながら、図15に示す第二切替後通信処理について説明する。図15に示すように、第二切替後通信処理では、まず、マイク47を介して音声が取得される(S71、経路84)。これによって、例えば、ユーザの話し声が取得される。次いで、S71の処理によって取得された音声が符号化され、自拠点音声データが作成される(S72)。次いで、S72において作成された自拠点音声データが、PSTN網12を介して、通信装置3に送信される(S73、経路88)。S73の処理において送信された自拠点音声データは、通信装置3のS77の処理(後述)において受信される。
【0074】
次いで、カメラ46を介して画像が取得される(S74、経路83)。これによって、例えば、ユーザの姿の画像が取得される。次いで、S74の処理によって取得された画像が符号化され、自拠点画像データが作成される(S75)。次いで、S75の処理において作成された自拠点画像データが、IPネットワーク11を介して、通信装置3に送信される(S76、経路87)。S76の処理において送信された自拠点画像データは、通信装置3のS79の処理(後述)において受信される。
【0075】
次いで、通信装置3のS73の処理においてPSTN網12を介して送信される、他拠点音声データが受信されたか否かが判断される(S77、経路90)。他拠点音声データが受信されていない場合には(S77:NO)、後述するS79の処理が行われる。他拠点音声データが受信された場合には(S77:YES)、受信された他拠点音声データが復号され、スピーカ48において出力される(S78、経路86)。
【0076】
次いで、通信装置3のS76の処理においてIPネットワーク11を介して送信される、他拠点画像データが受信されたか否かが判断される(S79、経路89)。他拠点画像データが受信されていない場合には(S79:NO)、S71に戻り、処理が繰り返される。他拠点画像データが受信された場合には(S79:YES)、受信された他拠点画像データが復号され、ディスプレイ49に表示される(S80、経路85)。次いで、S71に戻り、処理が繰り返される。
【0077】
以上、第二実施形態における処理が行われる。本実施形態では、第一実施形態の場合と同様に、通信装置2と通信装置3との間のIPネットワーク11の通信品質が劣化していない場合(S38:NO、図13参照)、自拠点合成データと他拠点合成データとがIPネットワーク11を介して送受信される(図12のS15およびS16参照)。言い換えると、自拠点音声データ、他拠点音声データ、自拠点画像データ、他拠点画像データがIPネットワーク11を介して送受信される。合成データには、音声データと画像データとが含まれているからである。
【0078】
また、通信装置2と通信装置3との間のIPネットワーク11の通信品質が劣化している場合(S38:YES、図13参照)、自拠点音声データと他拠点音声データとが、PSTN網12を介して送受信される(図15のS73およびS77参照)。つまり、自拠点音声データと他拠点音声データとを送受信する経路が、IPネットワーク11からPSTN網12に切り替えされる。このように、IPネットワーク11の通信品質が劣化した場合にのみPSTN網12が使用される。このため、常にPSTN網12を使用する場合に比べて通信コストを抑えることができる。また、IPネットワーク11の通信品質が劣化した場合に、自拠点音声データと他拠点音声データとを送受信する経路が、PSTN網12に切り替えられるため、IPネットワーク11の通信品質の劣化によって、通話が途切れることを防止できる。
【0079】
また、IPネットワーク11の通信品質が劣化した場合に、自拠点音声データと他拠点音声データとがPSTN網12に切り替えられることによって、IPネットワーク11では、自拠点画像データと他拠点画像データのみが送受信される(図15のS76およびS79参照)。このため、自拠点合成データと他拠点合成データとをIPネットワーク11を介して送受信する場合に比べて、IPネットワーク11における通信量が少なくなる。このため、IPネットワーク11への負荷が減少し、例えば、画像が途切れることを防止できる。
【0080】
上記実施形態において、自拠点画像データが、本発明の「第一画像データ」に相当し、自拠点音声データが、本発明の「第一音声データ」に相当する。他拠点画像データが、本発明の「第二画像データ」に相当し、他拠点音声データが、本発明の「第二音声データ」に相当する。自拠点合成データが、本発明の「第一合成データ」に相当し、他拠点合成データが、本発明の「第二合成データ」に相当する。図5のS34、図8のS53、S54、図12のS15、図15のS73、S76の処理を行うCPU21が、本発明の「第一データ送信手段」に相当し、図5のS35、図8のS55、図12のS16、図15のS77、S79の処理を行うCPU21が、本発明の「第一データ受信手段」に相当する。図5および図13のS38の処理を行うCPU21が、本発明の「劣化判断手段」に相当する。
【0081】
図4のS14およびS15の処理を行うCPU41が、本発明の「第一合成データ送信手段」に相当し、図3のディスプレイ49が本発明の「表示手段」に相当する。図4のS18の処理を行うCPU41が、本発明の「表示制御手段」に相当し、図3のスピーカ48、が本発明の「音声出力手段」に相当する。図4のS17の処理を行うCPU41が、本発明の「音声出力制御手段」に相当し、図2のLANポート28が、本発明の「接続手段」に相当する。図5のS36および図8のS57の処理を行うCPU21が、本発明の「第二データ送信手段」に相当し、図5のS33および図8のS51の処理を行うCPU21が、本発明の「第二データ受信手段」に相当する。図8のS52の処理を行うCPU21が、本発明の「分離手段」に相当し、図8のS56の処理を行うCPU21が、本発明の「合成手段」に相当する。図5のS44、図13のS63の処理を行うCPU21が、本発明の「報知手段」に相当する。
【0082】
図5のS34、図8のS53、S54、図12のS15、図15のS73、S76の処理が、本発明の「第一データ送信ステップ」に相当し、図5のS35、図8のS55、図12のS16、図15のS77、S79の処理が、本発明の「第一データ受信ステップ」に相当する。図5および図13のS38の処理が、本発明の「劣化判断ステップ」に相当する。
【0083】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、通信品質として、遅延時間が測定され(図5等のS37)、遅延時間の閾値が所定の閾値以上であるか否かが判断されることで、通信品質が劣化したか否かが判断されていた(図5等のS38)。しかし、これに限定されない。例えば、通信品質として、使用している通信帯域である通信使用帯域やエラーレートなどを測定してもよい。そして、通信使用帯域やエラーレートなどが所定の閾値より劣化したか否かによって、通信品質が劣化したか否かを判断してもよい。なお、通信品質が劣化する原因としては、例えば、IPネットワーク11におけるデータの通信量が多くなったことが挙げられる。
【0084】
また、図5のS32および図12のS62の処理で、電話番号が記憶され、それぞれ、図5のS40および図13のS40の処理で使用されていたが、これに限定されない。例えば、電話番号を、予め通信装置2,3の記憶装置24に記憶しておき、記憶されている電話番号を使用してもよい。また、電話番号を、予めテレビ電話装置4,5の記憶装置44に記憶しておき、通信装置2,3がテレビ電話装置4,5から電話番号を取得して、使用してもよい。
【0085】
また、通信品質が劣化した場合に、図5および図13のS38〜S43の処理において、音声データの送受信する経路が、自動で、IPネットワーク11からPSTN網12に切り替えられていたが、これに限定されない。例えば、音声データの送受信する経路を、IPネットワーク11からPSTN網12に切り替えるか否かを、ユーザに選択させるようにしてもよい。以下、詳細に説明する。
【0086】
図16は、第二メイン処理のうち、図13に示すフローチャートの変形例である。以下の説明では、図13との相違点のみについて説明する。また、図13と同様の処理は同じ符号で示し、詳細の説明は省略する。
【0087】
図16において、通信品質が劣化したと判断された場合には(S38:YES)、通信品質が劣化したことを報知するための表示と、音声データの送受信の経路を入れ替えるか否かの判断をすることをユーザに促すための表示がディスプレイ49に表示される(S91)。S91の処理では、例えば、「通信品質が劣化しています。音声データの送受信の経路を切り替えますか?」というテキストが、ディスプレイ49に表示される。
【0088】
次いで、ユーザによって操作部50(図10参照)を介して入力される、音声データの送受信の経路を切り替える指示である切り替え指示、もしくは、音声データの送受信の経路を切り替えない指示である切り替え拒否指示が入力されたか否かが判断される(S92)。切り替え指示、もしくは切り替え拒否指示が入力されていない場合には(S92:NO)、S92に戻り、処理が繰り返される。切り替え指示、もしくは切り替え拒否指示が入力された場合には(S92:YES)、S92の処理において入力された指示が、切り替え指示であるか否かが判断される(S93)。切り替え指示である場合には(S93:YES)、S40以降の処理が実行され、音声データの送受信の経路が、IPネットワーク11からPSTN網12に切り替えられる。
【0089】
切り替え拒否指示である場合には、切り替え指示ではないと判断され(S93:NO)、図12のS12に戻り、処理が繰り返される。つまり、音声データの送受信の経路は切り替えられないまま、テレビ電話が継続される。なお、一度、切り替え拒否指示が入力された場合には、あらためて切り替え指示が入力されるまで、S12〜S18、S37、S38の「NO」、およびS39の「NO」の処理が繰り返されて、テレビ電話が継続される。
【0090】
以上、変形例においての処理が行われる。変形例では、自拠点音声データと他拠点音声データとを送受信する経路を、IPネットワーク11からPSTN網12に切り替えるか否かをユーザに選択させることができる。なお、図16のS92およびS93の処理において切り替え指示を検出する処理を行うCPU21が、本発明の「指示検出手段」に相当する。
【符号の説明】
【0091】
1 通信システム
2,3 通信装置
4,5 テレビ電話装置
11 IPネットワーク
12 PSTN網
21,41 CPU
46 カメラ
47 マイク
48 スピーカ
49 ディスプレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自装置から、自装置とは異なる装置である他装置に送信される画像のデータである第一画像データと、自装置から前記他装置に送信される音声のデータである第一音声データと、前記他装置から自装置に送信される画像のデータである第二画像データと、前記他装置から自装置に送信される音声のデータである第二音声データとを、前記他装置と自装置との間で送受信する通信装置であって、
前記他装置に前記第一音声データと前記第一画像データとを送信する第一データ送信手段と、
前記他装置から送信される前記第二画像データと前記第二音声データとを受信する第一データ受信手段と、
前記他装置と自装置との間におけるIP(Internet Protocol)ネットワークの通信品質が所定の値より劣化したか否かを判断する劣化判断手段と
を備え、
前記劣化判断手段によって前記他装置と自装置との間における前記IPネットワークの前記通信品質が前記所定の値より劣化していないと判断された場合に、
前記第一データ送信手段は、前記第一画像データと前記第一音声データとが合成されたデータである第一合成データを、前記IPネットワークを介して前記他装置に送信することで、前記第一画像データと前記第一音声データとを、前記IPネットワークを介して前記他装置に送信し、
前記第一データ受信手段は、前記IPネットワークを介して前記他装置から送信される、前記第二画像データと前記第二音声データとが合成されたデータである第二合成データを受信することで、前記IPネットワークを介して前記他装置から送信される、前記第二画像データと前記第二音声データとを受信し、
前記劣化判断手段によって前記他装置と自装置との間における前記IPネットワークの前記通信品質が前記所定の値より劣化したと判断された場合に、
前記第一データ送信手段は、前記第一画像データを、前記IPネットワークを介して前記他装置に送信し、前記第一音声データを、公衆回線網を介して前記他装置に送信し、
前記第一データ受信手段は、前記IPネットワークを介して前記他装置から送信される前記第二画像データを受信し、前記公衆回線網を介して前記他装置から送信される前記第二音声データを受信することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
音声取得手段によって取得された音声と、画像取得手段によって取得された画像とを符号化して前記第一合成データを作成し、前記通信装置に送信する第一合成データ送信手段と、前記通信装置から送信された前記第二合成データに含まれる前記第二画像データに基づく画像を表示手段に表示させる表示制御手段と、前記第二合成データに含まれる前記第二音声データに基づく音声を音声出力手段に出力させる音声出力制御手段とを備えたテレビ電話装置に接続する接続手段と、
前記接続手段によって接続された前記テレビ電話装置に前記第二合成データを送信する第二データ送信手段と、
前記テレビ電話装置の前記第一合成データ送信手段によって作成されて送信される前記第一合成データを受信する第二データ受信手段と、
前記劣化判断手段によって前記他装置と自装置との間における前記IPネットワークの前記通信品質が前記所定の値より劣化していると判断された場合に、前記第二データ受信手段によって受信された前記第一合成データを前記第一画像データと前記第一音声データとに分離する分離手段と、
前記劣化判断手段によって前記他装置と自装置との間における前記IPネットワークの前記通信品質が前記所定の値より劣化していると判断された場合に、前記第一受信手段によって前記IPネットワークを介して受信された前記第二画像データと、前記第一受信手段によって前記公衆回線網を介して受信された前記第二音声データとを合成して、前記第二合成データを作成する合成手段と
を備え、
前記劣化判断手段によって前記他装置と自装置との間における前記IPネットワークの前記通信品質が前記所定の値より劣化していないと判断された場合に、
前記第一データ送信手段は、前記第二データ受信手段によって受信された前記第一合成データを、前記IPネットワークを介して前記他装置に送信することで、前記第一画像データと前記第一音声データとを、前記IPネットワークを介して前記他装置に送信し、
前記第二データ送信手段は、前記第一データ受信手段によって受信された、前記他装置から前記IPネットワークを介して送信される前記第二合成データを、前記テレビ電話装置に送信し、
前記劣化判断手段によって前記他装置と自装置との間における前記IPネットワークの前記通信品質が前記所定の値より劣化していると判断された場合に、
前記第一データ送信手段は、前記分離手段によって前記第一合成データから分離された前記第一画像データと前記第一音声データとのうち、前記第一画像データを、前記IPネットワークを介して前記他装置に送信し、前記第一音声データを、前記公衆回線網を介して前記他装置に送信し、
前記第二データ送信手段は、前記合成手段によって作成された前記第二合成データを前記テレビ電話装置に送信することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記劣化判断手段によって前記他装置と自装置との間における前記IPネットワークの前記通信品質が前記所定の値より劣化したと判断された場合に、前記第一音声データと前記第二音声データとを送受信する経路を、前記IPネットワークから前記公衆回線網に切り替えることについてのユーザによる指示である切り替え指示を検出する指示検出手段を備え、
前記劣化判断手段によって前記他装置と自装置との間における前記IPネットワークの前記通信品質が前記所定の値より劣化していると判断され、且つ、前記指示検出手段によって前記切り替え指示が検出されていない場合に、
前記第一データ送信手段は、前記合成データを、前記IPネットワークを介して前記他装置に送信することで、前記第一画像データと前記第一音声データとを、前記IPネットワークを介して前記他装置に送信し、
前記第一データ受信手段は、前記IPネットワークを介して前記他装置から送信される、前記第二合成データを受信することで、前記IPネットワークを介して前記他装置から送信される前記第二画像データと前記第二音声データと受信し、
前記劣化判断手段によって前記他装置と自装置との間における前記IPネットワークの前記通信品質が前記所定の値より劣化していると判断され、且つ、前記指示検出手段によって前記切り替え指示が検出された場合に、
前記第一データ送信手段は、前記第一画像データを、前記IPネットワークを介して前記他装置に送信し、前記第一音声データを、前記公衆回線網を介して前記他装置に送信し、
前記第一データ受信手段は、前記IPネットワークを介して前記他装置から送信される前記第二画像データを受信し、前記公衆回線網を介して前記他装置から送信される前記第二音声データを受信することを特徴とする請求項1または2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記劣化判断手段によって前記他装置と自装置との間における前記IPネットワークの前記通信品質が前記所定の値より劣化していると判断された場合において、前記第一データ送信手段が、前記第一画像データを、前記IPネットワークを介して前記他装置に送信し、前記第一音声データを、前記公衆回線網を介して前記他装置に送信し、前記第一データ受信手段が、前記IPネットワークを介して前記他装置から送信される前記第二画像データを受信し、前記公衆回線網を介して前記他装置から送信される前記第二音声データを受信する場合に、前記第一音声データと前記第二音声データとを送受信する経路を、前記IPネットワークから前記公衆回線網に切り替えたことをユーザに報知する報知手段を備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の通信装置。
【請求項5】
自装置から、自装置とは異なる装置である他装置に送信される画像のデータである第一画像データと、自装置から前記他装置に送信される音声のデータである第一音声データと、前記他装置から自装置に送信される画像のデータである第二画像データと、前記他装置から自装置に送信される音声のデータである第二音声データとを、前記他装置と自装置との間で送受信する通信装置において行われる通信制御方法であって、
前記他装置に前記第一音声データと前記第一画像データとを送信する第一データ送信ステップと、
前記他装置から送信される前記第二画像データと前記第二音声データとを受信する第一データ受信ステップと、
前記他装置と自装置との間におけるIP(Internet Protocol)ネットワークの通信品質が所定の値より劣化したか否かを判断する劣化判断ステップと
を備え、
前記劣化判断ステップによって前記他装置と自装置との間における前記IPネットワークの前記通信品質が前記所定の値より劣化していないと判断された場合に、
前記第一データ送信ステップは、前記第一画像データと前記第一音声データとが合成されたデータである第一合成データを、前記IPネットワークを介して前記他装置に送信することで、前記第一画像データと前記第一音声データとを、前記IPネットワークを介して前記他装置に送信し、
前記第一データ受信ステップは、前記IPネットワークを介して前記他装置から送信される、前記第二画像データと前記第二音声データとが合成されたデータである第二合成データを受信することで、前記IPネットワークを介して前記他装置から送信される、前記第二画像データと前記第二音声データとを受信し、
前記劣化判断ステップによって前記他装置と自装置との間における前記IPネットワークの前記通信品質が前記所定の値より劣化したと判断された場合に、
前記第一データ送信ステップは、前記第一画像データを、前記IPネットワークを介して前記他装置に送信し、前記第一音声データを、公衆回線網を介して前記他装置に送信し、
前記第一データ受信ステップは、前記IPネットワークを介して前記他装置から送信される前記第二画像データを受信し、前記公衆回線網を介して前記他装置から送信される前記第二音声データを受信することを特徴とする通信制御方法。
【請求項6】
自装置から、自装置とは異なる装置である他装置に送信される画像のデータである第一画像データと、自装置から前記他装置に送信される音声のデータである第一音声データと、前記他装置から自装置に送信される画像のデータである第二画像データと、前記他装置から自装置に送信される音声のデータである第二音声データとを、前記他装置と自装置との間で送受信する通信装置において実行される通信制御プログラムであって、
前記通信装置のCPUに、
前記他装置に前記第一音声データと前記第一画像データとを送信する第一データ送信ステップと、
前記他装置から送信される前記第二画像データと前記第二音声データとを受信する第一データ受信ステップと、
前記他装置と自装置との間におけるIP(Internet Protocol)ネットワークの通信品質が所定の値より劣化したか否かを判断する劣化判断ステップと
を備え、
前記劣化判断ステップによって前記他装置と自装置との間における前記IPネットワークの前記通信品質が前記所定の値より劣化していないと判断された場合に、
前記第一データ送信ステップは、前記第一画像データと前記第一音声データとが合成されたデータである第一合成データを、前記IPネットワークを介して前記他装置に送信することで、前記第一画像データと前記第一音声データとを、前記IPネットワークを介して前記他装置に送信し、
前記第一データ受信ステップは、前記IPネットワークを介して前記他装置から送信される、前記第二画像データと前記第二音声データとが合成されたデータである第二合成データを受信することで、前記IPネットワークを介して前記他装置から送信される、前記第二画像データと前記第二音声データとを受信し、
前記劣化判断ステップによって前記他装置と自装置との間における前記IPネットワークの前記通信品質が前記所定の値より劣化したと判断された場合に、
前記第一データ送信ステップは、前記第一画像データを、前記IPネットワークを介して前記他装置に送信し、前記第一音声データを、公衆回線網を介して前記他装置に送信し、
前記第一データ受信ステップは、前記IPネットワークを介して前記他装置から送信される前記第二画像データを受信し、前記公衆回線網を介して前記他装置から送信される前記第二音声データを受信する処理を実行させることを特徴とする通信制御プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate