説明

通信装置、通信方法、および、通信プログラム

【課題】リンクロスの発生から通信の再開までの時間を短くする。
【解決手段】通信装置は、送信部、受信部、第1の通信部、第2の通信部、および、制御部を備える。送信部は、第1および第2の通信方式で用いられる信号を送信する。受信部は、第1および第2の通信方式で用いられる信号を受信する。第1の通信部は、第1の通信方式による認証に成功した装置から選択された対向装置との間で、第1の通信方式を用いて通信する。第2の通信部は、対向装置との間でデータを送受信するために、第2の通信方式を用いて通信する。制御部は、第1の通信方式による接続が切断された時刻から、第1の通信部が対向装置に再度接続するための処理を終了する時刻までの時間である再接続時間の間、第2の通信部が第2の通信方式による通信を行わないように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、通信方法、および、通信プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータや携帯電話などの通信装置の間でデータを送受信する際にBluetooth(商標登録)通信が用いられることがある。Bluetooth通信の規格の中には、Bluetooth Core Specification Version 3.0 High Speed(BT3.0+HS)がある。BT3.0+HS通信では、Bluetooth通信と高速無線通信が併用される。BT3.0+HS通信を行う通信装置は、Bluetooth接続によって端末間の認証やデータの暗号化に用いられるキーを生成する。高速無線通信を用いて通信装置間でデータの送受信が行われる際には、Bluetooth通信で生成されたキーがデータの暗号化に使用される。例えば、高速無線通信が無線LAN(Local Area Network、WLAN)である場合、Bluetooth通信によってSecure Simple Profile(SSP)の認証が行われた後、Bluetooth通信上で無線LANのアドレス、チャネル等の情報が送受信される。Bluetooth接続を介して送受信された情報を用いて、無線LANによるPeer to Peer(P2P)接続が確立される。確立されたP2P接続を介して大容量のデータを送受信できるため、BT3.0+HS通信では、通信装置間で高速通信が実現される。
【0003】
また、Bluetooth通信とIEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11AMP(Alternative MAC/PHY)に対応する高速無線通信を併用する装置も開発されている。さらにこの装置について、動作を切り替えずに、802.11AMPに対応する通信とIEEE802.11b/g/nに対応する通信を行う方法が考案されている。さらに、携帯電話、Global Positioning System(GPS)、Bluetoothを含む一体型端末も開発されている。この一体型端末は、携帯電話装置、GPS装置、Bluetooth端末装置の3つがオンに設定されることを検出すると、携帯電話装置、GPS装置、Bluetooth端末装置のうちの2つをオン、残りの1つをオフに設定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−35632号
【特許文献2】特開2002−94436号
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Bluetooth Special Interest Group(SIG)"Core Version 3.0+HS"、April 2009
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
背景技術で述べたとおり、BT3.0+HSに対応した通信装置は、Bluetooth通信と高速無線通信が併用できるため、高速通信が可能である。しかし、Bluetooth通信中に、通信装置が通信圏外に移動したことや、Bluetooth通信デバイスの電源が落ちたこと等が原因で、ユーザの意思に反して切断状態に陥る場合がある。BT3.0+HS接続中にBluetooth接続の切断(リンクロス)が発生した場合、通信装置は、リンクロスが発生した通信装置との間で確立した無線LANでの物理リンクを、Supervision Timeout後に切断することが非特許文献1で規定されている。
【0007】
ところで、通信装置は、無線LANの物理デバイスを用いて、BT3.0+HS通信以外の通信も行うことができる場合がある。例えば、通信装置は、BT3.0+HS通信に用いられる無線LANデバイスを使用して、アクセスポイントに接続するインフラストラクチャネットワークや、端末間接続を用いたアドホックネットワークも構築できる場合がある。また、BT3.0+HS接続中にリンクロスによるBluetoothの切断が発生し無線LANが切断された後、その後の無線LANの動作に制約はない。そこで、例えば、BT3.0+HS接続時のリンクロスによる切断後、通信装置αが通信装置βとの間でBluetooth通信のリンクを復旧している間に、通信装置αの無線LANデバイスは、通信装置β以外の通信装置γとの間で通信を確立してしまうことがある。すると、通信装置αが通信装置βとの間でBT3.0+HS接続を再開するために、通信装置αと通信装置γとの間の接続を終了してから、通信装置αの無線LANデバイスと通信装置βの無線LANデバイスとの間で接続を確立することになる。このため、BT3.0+HS通信の復旧に時間がかかるという問題がある。以上の記載では、BT3.0+HS通信の場合を例として述べたが、同様の問題は、複数の通信を組み合わせて行われる任意の通信方法でも起こりえる。
【0008】
本発明は、リンクロスの発生から通信の再開までの時間を短くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ある実施形態に係る通信装置は、送信部、受信部、第1の通信部、第2の通信部、および、制御部を備える。送信部は、第1および第2の通信方式で用いられる信号を送信する。受信部は、前記第1および第2の通信方式で用いられる信号を受信する。第1の通信部は、前記第1の通信方式による認証に成功した装置から選択された対向装置との間で、前記第1の通信方式を用いて通信する。第2の通信部は、前記対向装置との間でデータを送受信するために、前記第2の通信方式を用いて通信する。制御部は、前記第1の通信方式による接続が切断された時刻から、前記第1の通信部が前記対向装置に再度接続するための処理を終了する時刻までの時間である再接続時間の間、前記第2の通信部が前記第2の通信方式による通信を行わないように制御する。
【発明の効果】
【0010】
リンクロスの発生から通信の再開までの時間が短くなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】ある実施形態で行われる通信の例を説明する図である。
【図2】通信装置の構成の例を示す図である。
【図3】通信装置が対向装置等と確立する接続の例を示す図である。
【図4A】第1の実施形態による再接続が行われる場合の例を示すシーケンス図である。
【図4B】第1の実施形態による再接続が行われる場合の例を示すシーケンス図である。
【図5】リンクロスが発生した場合の例を説明する図である。
【図6】接続制御部が保持する情報の例を示すテーブルである。
【図7】接続制御部が保持する情報の例を示すテーブルである。
【図8】第1の実施形態で行われる動作の例を説明するフローチャートである。
【図9】第2の実施形態に係る通信の例を説明する図である。
【図10A】第2の実施形態による再接続が行われる場合の動作の例を説明するシーケンス図である。
【図10B】第2の実施形態による再接続が行われる場合の動作の例を説明するシーケンス図である。
【図10C】第2の実施形態による再接続が行われる場合の動作の例を説明するシーケンス図である。
【図11】第2の実施形態で行われる動作の例を説明するフローチャートである。
【図12A】第3の実施形態に係る通信の例を説明する図である。
【図12B】第3の実施形態に係る通信の例を説明する図である。
【図13】候補テーブルの例を示す図である。
【図14A】第3の実施形態で行われる動作の例を説明するシーケンス図である。
【図14B】第3の実施形態で行われる動作の例を説明するシーケンス図である。
【図15】接続制御部が保持する情報の例を示すテーブルである。
【図16A】第3の実施形態で行われる動作の例を説明するフローチャートである。
【図16B】第3の実施形態で行われる動作の例を説明するフローチャートである。
【図17】候補テーブルの例を示す図である。
【図18】接続制御部の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、ある実施形態で行われる通信の例を示す。図1において、通信装置10と対向装置1は、第1の通信方式による通信(矢印A)、および、第2の通信方式による通信(矢印B)を行うことができるものとする。また、通信装置5は、第2の通信方式による通信を行う装置であるとする。さらに、以下の説明では、ある装置から送信された報知情報(ビーコン)を受信できる範囲を、その装置の「近傍」と記載することがある。例えば、通信装置αから送信された報知情報を受信できる位置に通信装置βがいる場合、通信装置βは通信装置αの近傍に位置する。なお、通信装置βが通信装置αの近傍にいるとき、通信装置αも通信装置βから送信された報知情報を受信できるものとする。さらに、以下の説明では、第1の通信方式による接続が切断された時刻から、第1の通信方式による通信を行う第1の通信部が、対向装置との再接続を完了する時刻、または再接続できずにタイムアウトする時刻までの時間を「再接続時間」と記載することがある。
【0013】
まず、通信装置10は、対向装置1と第1および第2の通信方式を用いて通信していたとする。ここで、通信装置10と対向装置1は、第1の通信方式を用いた通信で第2の通信方式の制御情報を送受信することにより、第2の通信方式による接続を確立し、データの送受信を行うものとする。
【0014】
次に、図1(a)に示すように、通信装置10と対向装置1の間で第1の通信方式の接続が切断されたとする(リンクロス)。すると、通信装置10は、対向装置1との間の第2の通信方式による接続を切断する。さらに、通信装置10は、対向装置1との間で第1の通信方式による接続を再度確立しようとする。
【0015】
このとき、図1(b)に示すように、通信装置10の近傍に位置する通信装置5が、通信装置10に報知情報を送信して、第2の通信方式による通信を開始しようとしたとする。しかし、通信装置10は、対向装置1との間で第1の通信方式による接続を再度確立しようとしている状態であるため、通信装置5との間で第2の通信方式による通信を行わない。言い換えると、通信装置10は、再接続時間の間は、第2の通信方式による通信を行わない。図1(c)に示すように、通信装置10は、対向装置1との間で第1の通信方式による接続(矢印A)が再度確立すると、対向装置1との間で第2の通信方式による通信(矢印B)を開始する。
【0016】
このように、リンクロスの復旧中に通信装置10が第2の通信方式による通信を行わない。このため、通信装置10と対向装置1の間での接続が復旧した後で、通信装置10と対向装置1の間で第1の通信方式と第2の通信方式を併用する通信を迅速に再開することができる。
【0017】
<装置構成>
以下、第1の通信方式がBluetooth通信、第2の通信方式が無線LAN通信である場合を例として説明する。従って、以下の説明では、第1および第2の通信方式を併用した通信は、BT3.0+HS通信である。また、以下の例では、「再接続時間」は、リンクロスによりBluetooth接続が切断された時刻から、対向装置1との間のBluetooth接続を復旧するための処理が終了される時刻までとなる。ここで、Bluetooth接続を復旧するための処理を終了する場合には、対向装置1と通信装置10の間の接続が再度確立された場合と、接続に失敗したために接続処理を終了する場合があるものとする。
【0018】
図2は、通信装置10の構成の例を示す。通信装置10は、プロファイル部11、メモリ12、サービス部13、BT3.0+HS処理部20、接続制御部30、WLAN処理部60を備える。BT3.0+HS処理部20は、Logical Link Control and Adaptation Layer Protocol(L2CAP)部21、AMP Manager22、Host Controller Interface(HCI)23(23a、23b)、AMP通信部40、Basic Rate/ Enhanced Data Rate(BR/EDR)通信部50を有する。AMP通信部40は、Physical Layer(PHY)部41、Media Access Control(MAC)部42、AMP Protocol Adaptation Layer(AMP PAL)部44を有する。MAC部42には検出部61が含まれる。なお、図2の例では、PHY部41、MAC部42、検出部61は、AMP通信部40とWLAN処理部60により共通に使用される。そこで、区別しやすくするために、以下の説明では、AMP通信部40により確立される接続を「AMP接続」、WLAN処理部60により確立される接続を「WLAN接続」と記載することがある。また、AMP接続を介して行われる通信を「AMP通信」、WLAN接続を介して行われる通信を「WLAN通信」と記載することがある。
【0019】
BR/EDR通信部50は、他の装置との間でBluetooth通信を行う。BR/EDR通信部50は、Bluetooth通信とAMP通信が併用される際には、AMP通信を確立するために使用される制御情報などを、対向装置1との間で送受信する。図3は、通信装置10が対向装置1や通信装置5と確立する接続の例を示す。通信装置10のBR/EDR通信部50aは、対向装置1のBR/EDR通信部50bとの間で、図3の矢印Cで表されるBluetooth接続を確立する。なお、BR/EDR通信部50は、PHY部(図示せず)を備えており、PHY部は、Bluetooth通信で送受信される信号の送信部および受信部として動作するものとする。
【0020】
AMP通信部40は、通信装置10と対向装置1の間で、PHY部41を介したデータの送受信を行う。このとき、PHY部41は、送信部および受信部として動作するものとする。AMP通信部40は、AMP接続を確立する際に、BR/EDR通信部50を介して送受信された制御情報を用いる。例えば、AMP通信の際にデータの暗号化や認証に用いられるリンクキーは、Bluetooth通信を用いて、通信装置10と対向装置1で生成される。AMP PAL部44は、BluetoothのコマンドをWLANで扱えるように変換するなど、AMP通信のための処理を行う。AMP PAL部44で変換されたコマンドに応じて、PHY部41、MAC部42を介して通信が行われる。すなわち、図3の矢印Dに示すように、通信装置10のAMP通信部40aは、対向装置1のAMP通信部40bとの間でAMP接続を確立する。
【0021】
WLAN処理部60は、WLAN通信を行う。検出部61は、報知情報のスキャンを行う。さらに、検出部61は、通信装置10が受信した信号から報知情報を検出する。WLAN接続が確立される場合、適宜、検出部61で検出された報知情報が用いられる。WLAN処理部60を介して通信が行われる場合、AMP通信は併用されない。例えば、図3の矢印Eに示すように、通信装置10のWLAN処理部60は、WLAN通信を行う通信装置5との間で、WLAN接続を確立する。
【0022】
接続制御部30は、AMP通信部40、BR/EDR通信部50、WLAN処理部60の各々から接続の状況の通知を受ける。さらに、接続制御部30は、AMP通信部40、BR/EDR通信部50、WLAN処理部60から通知された情報に基づいて、AMPネゴシエーションの指示、接続要求、接続の切断の要求などを行う。また、接続制御部30は、検出部61に動作の停止を要求することもできる。接続制御部30の動作については、後で詳しく説明する。
【0023】
プロファイル部11は、通信装置10がBluetooth通信やAMP通信を利用してデータ送受信を行うサービス処理部である。例えば、OPP(Object Push Profile)やBIP(Basic Image Profile)に従って、静止画像や電話帳等のデータの送受信処理を行う。メモリ12は、通信装置10で用いられるデータ、制御情報などを記憶する。サービス部13は、適宜、アプリケーションを用いた処理を行うことができる。
【0024】
L2CAP部21は、送受信されるパケットを処理する。通信装置10のAMP Manager22は、Bluetooth通信とAMP通信が併用される場合(BT3.0+HS通信)に、Bluetooth通信で対向装置1のAMP Manager22とAMPネゴシエーションを行う。AMPネゴシエーションに成功すると、通信装置10と対向装置1の間で、AMP通信の接続が行われ、BT3.0+HSの接続が確立する。HCI23aは、L2CAP部21とBR/EDR通信部50のインタフェースとして動作する。またHCI23bは、L2CAP部21とAMP通信部40の間のインタフェースとして動作する。
【0025】
なお、通信装置10は、Central Processing Unit(CPU)などのプロセッサ(図示せず)を備えているものとする。プロセッサは、プログラムを実行することにより、接続制御部30、プロファイル部11、サービス部13、AMP Manager22、L2CAP部21、HCI23として動作する。さらに、プロセッサは、BT3.0+HS処理部20、AMP通信部40、WLAN処理部60として動作することもできる。
【0026】
<第1の実施形態>
図4Aおよび図4Bは、第1の実施形態による再接続が行われる場合の例を示すシーケンス図である。以下の説明では、通信装置10と対向装置1の間でBluetooth通信(図3の矢印C)とAMP通信(図3の矢印D)が行われるものとする。なお、図4Aおよび図4Bは、動作の一例であり、例えば、手順(4)と手順(5)の順序が入れ替わるなど、動作が変更される場合がある。
【0027】
(1)まず、通信装置10のBR/EDR通信部50aは、対向装置1のBR/EDR通信部50bと接続処理を行い、通信装置10と対向装置1との間でBluetooth接続を確立する。BR/EDR通信部50aは、対向装置1との間の接続が確立すると、BR/EDR通信部50bのMACアドレス(BTMAC1)と、接続に成功したことを接続制御部30に通知する。さらに、通信装置10は、Bluetooth接続を介して、対向装置1との間でAMP接続を行うときに通信を要求するデバイス(AMP通信部40b)のMACアドレスを取得する。ここでは、AMP通信部40bのMACアドレスはWMAC1であるとする。
【0028】
次に、接続制御部30は、AMP Manager22aを介してAMP通信部40aに、対向装置1との間でのAMP接続の確立を要求する。AMP通信部40aは、Bluetooth接続を介して取得された制御情報を用いて、対向装置1のAMP通信部40bとの間で、AMP接続を確立する。従って、図5(a)に示すように、通信装置10と対向装置1の間では、BT3.0+HS通信が行われている。
【0029】
ここで、AMP通信部40aも、対向装置1との間の接続が確立すると、AMP通信部40bのMACアドレスと、接続の成功を接続制御部30に通知する。接続制御部30は、BR/EDR通信部50a、および、AMP通信部40aから通知された情報を、対向装置1に対応付けて記憶する。例えば、対向装置1の情報が「No.1」のID(identifier)に対応付けられている場合、接続制御部30は、例えば、図6(a)に示すテーブルのようなデータを記憶している。なお、図6に示す例では、通信装置10は、対向装置1の他にNo.2とNo.3の装置とBluetooth通信をしている場合を示している。
【0030】
(2)次に、対向装置1と通信装置10の間のBluetooth接続が切断されたとする。ここでは、例えば、図5(b)に示すように、対向装置1が移動したことに伴い、対向装置1が通信装置10のBluetooth通信の通信エリアから出たために、リンクロスが発生したものとする。
【0031】
(3)BR/EDR通信部50aは、Bluetooth接続がリンクロスにより切断されていることをAMP Manager22aに通知する。このとき、BR/EDR通信部50aは、切断されたリンクを識別できる識別情報も、AMP Manager22aに通知するものとする。以下の説明では、識別情報の例として、対向装置1のBR/EDR通信部50bのMACアドレス(BTMAC1)が通知されるものとする。
【0032】
(4)AMP Manager22aは、BTMAC1との間のBluetooth接続が切断されたことを、接続制御部30に通知する。すると、接続制御部30で保持している情報は、図6(b)に示すように変更される。すなわち、接続制御部30は、再接続時間が開始したことを認識する。
【0033】
(5)AMP Manager22aは、リンクロスにより対向装置1とのBluetooth接続が切断されたため、対向装置1とのAMP接続を切断することを決定する。そこで、AMP Manager22aは、AMP通信部40aに対向装置1と確立中のAMP接続の切断を要求する。
【0034】
(6)AMP通信部40aは、切断要求を受けると、対向装置1のAMP通信部40bとの間でAMP接続の切断処理を行う。通信装置10と対向装置1の間のAMP接続が切断された場合の例を図5(c)に示す。
【0035】
(7)対向装置1と通信装置10の間のAMP接続を切断すると、AMP通信部40aは、AMP接続を切断したことをAMP Manager22aに通知する。
【0036】
(8)AMP Manager22aは、AMP接続が切断されたことを、接続制御部30に通知する。すると、接続制御部30で保持している情報は、図6(c)に示すように変更される。
【0037】
(9)接続制御部30は、再接続時間の間は、WLAN通信が行われないように制御する。ここでは、WLAN処理部60によるWLAN接続の確立を防ぐために、接続制御部30は、検出部61に動作の停止を要求する。
【0038】
(10)検出部61は、接続制御部30からの要求に応じて動作を停止する。検出部61が停止すると、アクセスポイントや通信装置5などから送信された報知情報が検出されない。従って、検出部61は、報知情報をWLAN処理部60に通知しない。このため、WLAN処理部60は、報知情報に含まれている情報を取得することができず、WLAN接続を確立できなくなる。
【0039】
(11)接続制御部30は、BR/EDR通信部50aに対して、対向装置1との間のBluetooth接続の復旧を要求する。また、接続制御部30は、BR/EDR通信部50aに対して、BR/EDR通信部50bのMACアドレス(BTMAC1)を接続先として通知する。接続制御部30は、BR/EDR通信部50aへの接続要求を出すと、Bluetooth接続の復旧中であることを記憶する。このとき、接続制御部30が記憶している情報は、図7(a)に示すように変更される。
【0040】
(12)BR/EDR通信部50aは、BR/EDR通信部50bとの間でBluetooth接続処理を開始する。
【0041】
(13)その後、対向装置1が移動したことなどにより、BR/EDR通信部50aとBR/EDR通信部50bの間でBluetooth接続の確立に成功したとする。
【0042】
(14)BR/EDR通信部50aは、接続制御部30に、Bluetooth接続の結果を通知する(BT接続通知)。ここでは、BT接続通知には、Bluetooth接続の確立に成功したことが表されているものとする。接続制御部30は、通知を受け取ると、保持しているデータを図7(b)に示すように変更する。
【0043】
(15)接続制御部30は、AMP Manager22aに対して、対向装置1との間のAMP接続を要求する。接続制御部30は、AMP Manager22aへの接続要求を出すと、AMP接続を確立している途中であることを記憶する。このとき、接続制御部30が記憶している情報は、図7(c)に示すように変更される。
【0044】
(16)AMP Manager22aは、対向装置1のAMP Manager22bとの間でAMPネゴシエーションを行う。ネゴシエーション処理が成功すると、AMP Manager22aは、AMP通信部40aに対して、対向装置1との間でAMP接続を確立するように要求する。このとき、AMP Manager22aは、AMP接続を行うために用いられる情報を適宜、AMP通信部40aに通知する。
【0045】
(17)AMP通信部40aは、対向装置1のAMP通信部40bとの間でAMP接続を確立する。
【0046】
(18)AMP接続を確立すると、AMP通信部40aは、AMP接続に成功したことをAMP Manager22aに通知する。
【0047】
(19)AMP Manager22aは、AMP接続に成功したことを接続制御部30に通知する。接続制御部30が保持している情報は、AMP Manager22aからの通知を受けたことにより、図6(a)のように変更される。
【0048】
図8は、第1の実施形態で行われる動作の例を説明するフローチャートである。接続制御部30は、Bluetooth通信(BT)のリンクロス通知と、AMP接続の切断通知を受け取っているかを確認する(ステップS1)。リンクロス通知と切断通知の両方を受け取っていない場合、接続制御部30は、両方を受け取るまで待機する(ステップS1でNo)。リンクロス通知と切断通知の両方を受け取った場合、接続制御部30は検出部61に動作の停止を要求する(ステップS2)。さらに、接続制御部30は、BR/EDR通信部50に、切断されたBluetooth接続の復旧を要求する(ステップS3)。接続制御部30は、BT接続通知を受け取るまで待機する(ステップS4)。Bluetoothの接続に成功した場合、接続制御部30は、AMP通信部40に、対向装置1へのAMP接続を要求する(ステップS5でYes、ステップS6)。一方、Bluetoothの接続に失敗した場合、接続制御部30は、検出部61に動作の開始を要求する(ステップS5でNo、ステップS7)。ステップS7の処理により、検出部61は、報知情報の検知を再開する。
【0049】
このように、第1の実施形態によると、図4Bの手順(10)以降では検出部61が動作を停止するため、WLAN処理部60は、WLAN接続を確立しない。このため、WLAN処理部60は、手順(13)でBluetooth接続が復旧されてから、遅滞無く、対向装置1との間のAMP接続処理を行うことができる。従って、再接続時間中にWLAN処理部60がWLAN接続を確立している場合に比べて、Bluetooth通信でのリンクロスが発生してから、BT3.0+HSによる通信を再開するまでの時間が短い。
【0050】
<第2の実施形態>
第2の実施形態では、再接続時間中であっても、接続制御部30は、検出部61の動作を停止させない場合の通信装置10の動作について説明する。
【0051】
図9は、第2の実施形態に係る通信の例を説明する図である。BT3.0+HS通信が行われている間にBluetooth通信でリンクロスが発生すると、通信装置10は、対向装置1との間のAMP接続を切断する。AMP接続の切断は、第1の実施形態と同様に行われる。図9(a)は、Bluetooth通信のリンクロスに従ってAMP接続が切断される場合の動作の例を示す。
【0052】
第2の実施形態では、再接続時間中であっても、接続制御部30は、検出部61の動作を停止させない。このため、検出部61は、再接続時間中であっても、報知情報を取得してWLAN処理部60に通知する。WLAN処理部60は、検出部61で検出された報知情報を用いて、WLAN接続を確立することができる。例えば、通信装置10の近傍に位置する通信装置5が報知情報を送信しているとする。ここで、通信装置5は、例えば、アクセスポイントであっても良く、また、WLAN通信によるアドホックネットワークを形成する通信装置などでも良い。検出部61は、通信装置5から送信された報知情報を検出し、WLAN処理部60に出力する。WLAN処理部60は、報知情報を用いて、通信装置5とWLAN接続(矢印E)を確立する。再接続時間中に、通信装置10と通信装置5の間でWLAN接続が確立された場合の例を図9(b)に示す。
【0053】
次に、WLAN処理部60は、WLAN接続を確立したことを接続制御部30に通知する。WLAN処理部60からの通知を受けると、接続制御部30は、Bluetooth接続の復旧中(再接続時間)であるかを確認する。WLAN接続の確立が再接続時間中に通知された場合、接続制御部30は、WLAN処理部60に切断要求を出力することにより、WLAN接続の切断を要求する。WLAN処理部60は、切断要求が入力されると、通信装置5との間のWLAN接続を切断する。
【0054】
一方、WLAN接続を確立したことが通知されたときは再接続時間中ではない場合、接続制御部30は、WLAN処理部60に切断要求を出力しない。WLAN処理部60は、切断要求が入力されない場合、WLAN接続を用いた通信を行う。
【0055】
図10A〜図10Cは、第2の実施形態による再接続が行われる場合の動作の例を説明するシーケンス図である。なお、図10A〜図10Cは、動作の一例であり、例えば、手順(24)と手順(25)の順序が入れ替わるなど、動作が変更される場合がある。手順(21)〜(28)の動作は、図4Aを参照しながら説明した手順(1)〜(8)と同様である。従って、手順(28)が終了したときには、接続制御部30は、図6(c)に示す情報を保持している。
【0056】
(29)接続制御部30は、WLAN処理部60に、WLANネットワークに参加するための動作の開始を要求する。WLAN処理部60は、検出部61に報知情報のスキャンの開始を要求する。
【0057】
(30)検出部61は、報知情報の検出を開始する。検出部61は、通信装置10で受信された信号から報知情報を検出し、WLAN処理部60に出力する。
【0058】
(31)接続制御部30は、BR/EDR通信部50aに対して、BR/EDR通信部50bのMACアドレス(BTMAC1)を通知し、対向装置1との間のBluetooth接続の復旧を要求する。ここで、接続制御部30が記憶している情報は、図7(a)に示すように変更される。
【0059】
(32)BR/EDR通信部50aは、BR/EDR通信部50bとの間でBluetooth接続処理を開始する。
【0060】
(33)Bluetooth接続の復旧が開始された後で、通信装置10が通信装置5から送信されたビーコンを受信したとする。検出部61は、受信されたビーコンから報知情報を取得し、通信装置5のMACアドレスなどの情報をWLAN処理部60に出力する。
【0061】
(34)WLAN処理部60は、検出部61から入力された情報を用いて、通信装置5との間のWLAN接続を確立する。従って、例えば、図9(b)の矢印Eで示すWLAN接続が確立される。
【0062】
(35)WLAN処理部60は、通信装置5との間でWLAN接続を確立したことを接続制御部30に通知する。このとき、WLAN処理部60は、通信装置5を識別する情報を通信装置10に通知するものとする。以下では、WLAN処理部60は、通信装置5のMACアドレスを接続制御部30に通知したものとする。
【0063】
(36)接続制御部30は、WLAN処理部60から通知を受け取る。しかし、図7(a)に示すように、Bluetooth接続の復旧中(再接続時間中)であるため、接続制御部30は、通信装置10は通信装置5と通信しないことを決定する。そこで、接続制御部30は、WLAN処理部60に、通信装置5のMACアドレスを含む切断要求を出力し、通信装置5とのWLAN接続の切断を要求する。
【0064】
(37)WLAN処理部60は、切断要求を受け取ると、切断要求に含まれているMACアドレスで識別できる通信装置との接続を切断する。なお、WLAN処理部60は、切断される接続の接続先からの報知情報を記憶することができる。例えば、WLAN処理部60は、通信装置5との接続を切断する前に、通信装置5のMACアドレスを記憶することができる。
【0065】
(38)その後、BR/EDR通信部50aとBR/EDR通信部50bの間でBluetooth接続の確立に成功したとする。
【0066】
(39)BR/EDR通信部50aは、接続制御部30に、BT接続通知を出力することにより、Bluetooth接続の成功を通知する。接続制御部30で保持されている情報は、図7(b)のように変更される。
【0067】
(40)接続制御部30は、WLAN処理部60に、WLANネットワークに参加するための動作の停止を要求する。
【0068】
(41)WLAN処理部60は、接続制御部30からの要求に応じて、検出部61に報知情報のスキャンを停止させる。
【0069】
(42)検出部61での報知情報のスキャンが停止されると、WLAN処理部60は、接続制御部30にネットワークの探索を停止したことを通知する。
【0070】
(43)接続制御部30は、WLAN処理部60からの通知により、WLAN処理部60の動作が停止したことを確認する。
【0071】
図10Cの手順(44)〜(48)は、図4Bを参照しながら説明した手順(15)〜(19)と同様である。
【0072】
図11は、第2の実施形態で行われる動作の例を説明するフローチャートである。接続制御部30は、Bluetooth通信のリンクロス通知と、AMP接続の切断通知を受け取っているかを確認する(ステップS11)。リンクロス通知と切断通知の両方を受け取っていない場合、接続制御部30は、両方を受け取るまで待機する(ステップS11でNo)。リンクロス通知と切断通知の両方を受け取った場合、接続制御部30は、WLAN処理部60にWLAN通信を行うための動作を開始させる(ステップS12)。さらに、接続制御部30は、BR/EDR通信部50に、切断されたBluetooth接続の復旧を要求する(ステップS13)。
【0073】
次に、接続制御部30は、Bluetooth接続の復旧中であるかを判定する(ステップS14)。Bluetooth接続の復旧中ではなく、Bluetoothの再接続に失敗した場合、接続制御部30は処理を終了する(ステップS14でNo)。一方、再接続時間の間は、接続制御部30は、Bluetooth接続の復旧中であると判定する(ステップS14でYes)。この場合、接続制御部30は、さらに、WLAN接続が確立されているかを確認する(ステップS15)。WLAN接続が確立されている場合、再接続時間中にWLAN接続が確立したことになるので、接続制御部30は、WLAN処理部60にWLAN接続を切断させる(ステップS15でYes、ステップS16)。なお、このとき、WLAN処理部60は、切断した接続先との接続に用いた情報を記憶しておくことができる。WLAN接続の切断後、接続制御部30は、BT接続通知が通知されたかを確認する(ステップS17)。また、ステップS16でWLAN接続が確立されていないと判断した場合も、接続制御部30は、BT接続通知が通知されたかを確認する(ステップS15でNo、ステップS17)。接続制御部30は、BT接続通知を受け取っていない場合、ステップS15以降の処理を行う(ステップS17でNo)。
【0074】
BT接続通知が入力されると、接続制御部30は、Bluetoothの接続に成功したかを確認する(ステップS18)。Bluetoothの接続に成功した場合、接続制御部30は、WLAN処理部60の動作を停止させる(ステップS18でYes、ステップS19)。次に、接続制御部30は、AMP通信部40に、対向装置1へのAMP接続を要求する(ステップS20)。一方、Bluetoothの接続に失敗した場合、接続制御部30は、WLAN処理部60からWLAN接続の確立が通知されても、接続を拒否せず、WLAN通信を許可する(ステップS18でNo、ステップS21)。
【0075】
本実施形態では、再接続時間の間もWLAN処理部60や検出部61を動作させておくことにより、再接続時間中に通信装置5の報知情報を取得することができる。また、前述のとおり、再接続中に確立したWLAN接続を切断するときに、WLAN処理部60は、WLAN接続の確立に用いた情報を記憶することができる。このため、Bluetooth接続の復旧に失敗しても、すでにWLAN処理部60が記憶している情報を用いて、WLAN処理部60が通信装置5と迅速に接続を確立できる。従って、再接続中に検出部61が動作していない場合とは異なり、リンクロス復旧に失敗してもWLAN通信がスムーズに開始される。
【0076】
<第3の実施形態>
図12Aおよび図12Bは、第3の実施形態に係る通信の例を説明する図である。第3の実施形態では、再接続時間中に通信装置10が、通信装置70との間でBluetooth接続を確立した場合の動作について説明する。以下の説明では、通信装置70は、BT3.0+HS通信に対応しているものとする。
【0077】
第3の実施形態でも、BT3.0+HS通信が行われている間にBluetooth通信でリンクロスが発生すると、図12Aの(a)に示すように、AMP通信が切断される。AMP接続の切断は、第1および第2の実施形態と同様に行われる。
【0078】
通信装置10が対向装置1との間でBluetooth接続を復旧しているときに、通信装置10の近傍に通信装置70が来て、通信装置70と通信装置10の間でBluetooth接続が確立されたとする。通信装置70は、通信装置10とBT3.0+HS通信を行うために、通信装置10にAMP接続を要求する。このとき、通信装置70は、例えば、通信装置70に備えられているAMP通信部40cのMACアドレスなど、AMP接続を確立するために用いられる情報を通信装置10に通知する。
【0079】
通信装置70からのAMP接続要求を受信したとき、通信装置10は、通信装置10と対向装置1の間のBluetooth通信の復旧処理中である。そこで、通信装置10は、図12Aの(b)に示すように、通信装置70との間のAMP接続の要求を拒否する。このため、通信装置10と通信装置70の間では、Bluetooth通信は行われるが、AMP通信は行われない。しかし、通信装置10は、対向装置1との間でBluetooth接続を復旧できない場合に備えて、通信装置70から通知された情報を候補テーブルに記憶する。図13は、候補テーブルの例を示す。候補テーブルは、通信装置10の再接続時間中に通信装置10にAMP接続の確立を要求した装置を識別する情報と、要求されたAMP接続の接続元のMACアドレスを格納する。図13の例では、候補テーブルは、AMP通信部40cのMACアドレス(WMAC4)を、通信装置70を識別する番号(No.4)、および、通信装置70のBR/EDR通信部50cのMACアドレス(BTMAC4)と対応付けて記憶している。候補テーブルは、メモリ12に備えられるか、もしくは、接続制御部30によって記憶される。
【0080】
図12Bに示すように、対向装置1と通信装置10の間でBluetooth接続に失敗すると、通信装置10は、候補テーブルに格納されている情報を用いて、通信装置70にAMP接続を要求する。通信装置10と通信装置70の間でAMP接続が確立されると、通信装置10は、通信装置70とBT3.0+HS通信を行う。
【0081】
一方、対向装置1と通信装置10の間でBluetooth接続が確立されると、通信装置10は、対向装置1にAMP接続を要求する。通信装置10と対向装置1の間でAMP接続が確立されると、通信装置10と対向装置1の間のBT3.0+HS通信が行われる。
【0082】
図14Aおよび図14Bは、第3の実施形態で行われる動作の例を説明するシーケンス図である。図14Aおよび図14Bは、Bluetooth接続のリンクロスに伴って、AMP接続が切断された後に、通信装置10が行う動作を示している。以下の説明では、第2の実施形態で説明したように、再接続時間中でもWLAN処理部60が動作する場合について説明する。
【0083】
(51)通信装置10と対向装置1の間では、リンクロスによりBluetooth接続とAMP接続のいずれも切断されているので、通信装置10の接続制御部30は、図6(c)に示す情報を保持している。接続制御部30は、AMP接続が確立されていないので、WLAN処理部60に動作を開始するように要求する。
【0084】
(52)接続制御部30からの要求に応じて、WLAN処理部60は動作を開始する。また、検出部61は、報知情報のスキャンを開始する。
【0085】
(53)通信装置10は、対向装置1との間のBluetooth接続の復旧を開始する。まず、接続制御部30は、BR/EDR通信部50aに、対向装置1のBR/EDR通信部50bと接続するように要求する。このとき、接続制御部30は、BR/EDR通信部50aに、BR/EDR通信部50bのMACアドレス(BTMAC1)を通知するものとする。
【0086】
(54)BR/EDR通信部50aは、BR/EDR通信部50bと接続するための処理を行う。
【0087】
(55)通信装置10と対向装置1の間のBluetooth接続が復旧する前に、通信装置70と対向装置1の間でBluetooth接続が確立したとする。
【0088】
(56)BR/EDR通信部50aは、通信装置70のBR/EDR通信部50cと接続を確立したことを接続制御部30に通知する。このとき、BR/EDR通信部50aは、BR/EDR通信部50cのMACアドレス(BTMAC4)を接続制御部30に通知する。BR/EDR通信部50aからの通知を受けると、接続制御部30が保持する情報は、図15(a)に示すように変更される。
【0089】
(57)次に、通信装置70が通信装置10にAMP通信の開始を要求したとする。このとき、BR/EDR通信部50cは、BR/EDR通信部50aにAMP接続を要求する。BR/EDR通信部50cは、通信装置70に備えられているAMP通信部40cのMACアドレス(WMAC4)など、AMP接続を開始する際に用いられる情報をBR/EDR通信部50aに通知する。
【0090】
(58)BR/EDR通信部50aは、通信装置70からAMP接続が要求されたことと、BR/EDR通信部50cのMACアドレスなどの情報を、AMP Manager22aに通知する。
【0091】
(59)AMP Manager22aは、通信装置70からAMP接続が要求されたことと、BR/EDR通信部50cのMACアドレスなどの情報を、接続制御部30に通知する。
【0092】
(60)接続制御部30は、通信装置10と対向装置1の間のBluetooth接続の復旧中であるため、通信装置10と対向装置1の間でリンクが復旧した後で対向装置1とAMP接続をする可能性があると判断する。そのため、接続制御部30は、通信装置70とAMP接続を確立しないことを決定する。接続制御部30は、AMP Manager22aに、通信装置70とAMP接続をしないことを通知する。
【0093】
(61)接続制御部30は、手順(59)でAMP Manager22aから通知されたMACアドレスなどの情報を、通信装置70を特定できる情報と対応付けて候補テーブル(図13)に記憶する。この処理により、通信装置70は、通信装置10が対向装置1との間でBluetooth通信のリンクの復旧に失敗した場合に、通信装置10とAMP接続する候補とされる。
【0094】
(62)AMP Manager22aは、通信装置10と通信装置70の間のAMP接続が拒否されたことをBR/EDR通信部50aに通知する。
【0095】
(63)BR/EDR通信部50aは、BR/EDR通信部50cに対して、AMP接続の拒否を通知する。
【0096】
(64)その後、対向装置1と通信装置10の間でBluetooth接続に失敗したとする。
【0097】
(65)BR/EDR通信部50aは、接続制御部30にBT接続通知を出力する。ここで出力されるBT接続通知では、対向装置1と通信装置10のBluetooth接続に失敗したことが示されている。
【0098】
(66)接続制御部30は、候補テーブルから、AMP接続を要求されたが拒否した装置についての情報を取得する。例えば、接続制御部30は、図13の候補テーブルを参照することにより、通信装置70がAMP接続を要求する候補であることと、通信装置70に備えられているAMP通信部40cのMACアドレスを取得する。このとき、接続制御部30が保持する情報は、図15(b)の通りである。
【0099】
(67)接続制御部30は、通信装置10と通信装置70との間のAMP接続を開始するために、WLAN処理部60に動作の停止を要求する。
【0100】
(68)WLAN処理部60は、接続制御部30からの要求に応じて動作を停止する。また、検出部61は、報知情報のスキャンを停止する。
【0101】
(69)WLAN処理部60は、動作を停止したことを接続制御部30に通知する。
【0102】
(70)WLAN処理部60が動作を停止したことを確認すると、接続制御部30は、AMP Manager22aに、通信装置70との間のAMP接続を確立することを要求する。このとき、接続制御部30は、BR/EDR通信部50cとAMP通信部40cのMACアドレスなどの情報を、AMP Manager22aに通知する。
【0103】
(71)AMP Manager22aは、通信装置70のAMP Manager22cとの間でAMPネゴシエーションを行う。ネゴシエーション処理が成功すると、AMP Manager22aは、AMP通信部40aに対して、通信装置70との間でAMP接続を確立するように要求する。このとき、AMP Manager22aは、AMP接続を行うために用いられる情報を適宜、AMP通信部40aに通知する。
【0104】
(72)AMP通信部40aは、通信装置70のAMP通信部40cとの間でAMP接続を確立する。
【0105】
(73)AMP接続を確立すると、AMP通信部40aは、AMP接続に成功したことをAMP Manager22aに通知する。
【0106】
(74)AMP Manager22aは、AMP接続に成功したことを接続制御部30に通知する。接続制御部30が保持している情報は、AMP Manager22aからの通知を受けたことにより、図15(c)のように変更される。
【0107】
なお、図14Aおよび図14Bには示していないが、再接続時間中に検出部61が報知情報を検出したことによりWLAN接続が行われると、第2の実施形態と同様に、WLAN処理部60は、接続制御部30にWLAN接続をしたことを通知する。接続制御部30は、再接続時間中にWLAN処理部60から通知を受けた場合、WLAN接続の切断を要求する。従って、第2の実施形態と同様に、再接続時間中には、WLAN通信が行われない。
【0108】
図16Aおよび図16Bは、第3の実施形態で行われる動作の例を説明するフローチャートである。ステップS31〜S33は、図11を参照しながら説明したステップS11〜S13と同様である。次に、通信装置10と通信装置70との間のBluetooth接続が確立されると、通信装置10は、通信装置70からAMP接続を要求される(ステップS34)。接続制御部30は、再接続時間中であるかを確認する(ステップS35)。再接続時間中ではない場合、通信装置10は、通信装置70との間でAMP接続を確立し、BT3.0+HS通信を行う(ステップS35でNo、ステップS36)。
【0109】
一方、通信装置70からのAMP接続の要求を、対向装置1との間のBluetooth接続の再接続時間中に受信した場合、通信装置10は、通信装置70に接続を拒否する(ステップS35でYes、ステップS37)。接続制御部30は、ステップS37で接続を拒否した通信装置70の情報を候補テーブルに保存する(ステップS38)。その後、再接続時間が終わると、接続制御部30はBT接続通知を受け取る(ステップS39)。接続制御部30は、BT接続通知で通知された結果を確認する(ステップS40)。対向装置1と通信装置10の間でBluetooth接続の復旧に成功した場合、BT接続通知により接続成功が通知される(ステップS40でYes)。そのため、通信装置10は、対向装置1との間でAMP接続を確立するための処理を行う(ステップS41)。
【0110】
対向装置1と通信装置10の間でBluetooth接続の復旧に失敗した場合、BT接続通知により接続失敗が通知される(ステップS40でNo)。すると、通信装置10の接続制御部30は、候補テーブルを参照して、再接続時間中にAMP接続の要求を受けたかを確認する(ステップS42)。再接続時間中にAMP接続の要求を受けていた場合、接続制御部30は、候補テーブルからAMP接続の要求元の装置の情報を取得する(ステップS43)。さらに、接続制御部30は、WLAN処理部60の動作を停止させる(ステップS44)。その後、通信装置10は、ステップS43で情報を取得した装置に対して、AMP接続を要求する(ステップS45)。通信装置10は、AMP接続に成功したかを確認し、接続に成功した場合は処理を終了する(ステップS46でYes)。一方、AMP接続に失敗した場合、WLAN処理部60の動作を再開させる(ステップS46でNo、ステップS47)。
【0111】
ステップS42で接続時間中にAMP接続の要求を受けていないと判定された場合も、通信装置10は、WLAN処理部60の動作を再開させる(ステップS42でNo、ステップS47)。また、通信装置10と対向装置1の間でBluetooth接続に成功した場合、ステップS46以降の処理が行われる。
【0112】
第3の実施形態では、対向装置1と通信装置10の間のリンクの復旧に失敗すると、通信装置10は、再接続時間中にAMP接続を拒否した通信装置70との間でAMP接続を確立することができる。従って、通信装置10と対向装置1との間でリンクの復旧に失敗しても、通信装置10は、対向装置1とは異なる通信装置70とのBT3.0+HS通信を迅速に開始することができる。一方、通信装置10と対向装置1の間でリンクの復旧に成功した場合でも、再接続時間中にAMP通信やWLAN通信を確立していないため、通信装置10と対向装置1の間でBT3.0+HS通信を迅速に開始することができる。
【0113】
<その他>
なお、実施形態は上記に限られるものではなく、様々に変形可能である。以下にその例をいくつか述べる。
【0114】
図13に示した候補テーブルは一例であり、候補テーブルに含まれる情報は、実装に応じて変更される場合がある。例えば、再接続時間が終了した後でも、AMP接続の要求で通知されたリンクキーを用いてAMP接続を確立することができる場合は、図17に示すような候補テーブルが用いられる。この場合、接続制御部30は、候補テーブルに、MACアドレスとリンクキーを対応付けて記憶する。
【0115】
また、第3の実施形態は、第2の実施形態とAMP接続を拒否した装置の情報を記憶する処理が組み合わされているが、第1の実施形態とAMP接続を拒否した装置の情報を記憶する処理が組み合わされても良い。
【0116】
第1の実施形態では、検出部61が動作を停止する場合について説明したが、通信装置10の動作を、検出部61が報知情報を検出してもWLAN処理部60が報知情報に基づいて接続を形成しないような他の動作に変形することができる。例えば、検出部61が報知情報をWLAN処理部60に出力し、WLAN処理部60が接続制御部30に接続の許可を求めるように動作を変形することができる。この場合、WLAN処理部60は、報知情報に含まれている接続先などの情報を接続制御部30に通知して接続の許可を求める。接続制御部30は、再接続時間中ではない場合は、接続要求を出力する。WLAN処理部60は、接続制御部30に接続の許可を求める通知をした時刻から所定の時間以内に接続要求が入力されない場合は、接続が許可されないものと判断して、接続を確立せずに処理を終了する。
【0117】
さらに、検出部61は報知情報に含まれている情報を接続制御部30に出力するように変形されても良い。この場合、接続制御部30は、検出部61から入力された情報に基づいてWLAN接続を許可するかを判断する。再接続時間ではないためWLAN接続を許可する場合、接続制御部30は、WLAN処理部60にWLAN接続の接続要求を出力する。WLAN処理部60は、接続制御部30からの要求に応じて通信装置5との間でWLAN接続を確立する。
【0118】
図2に示した接続制御部30は、複数の処理部を備えても良い。例えば、図18の例では、接続制御部30は、接続状態管理部31、BR/EDR接続制御部32、AMP接続制御部33、WLAN接続制御部34を備える。この場合、接続状態管理部31は、BR/EDR接続制御部32、AMP接続制御部33、WLAN接続制御部34から取得した情報に基づいて、接続状態を監視する。さらに、接続状態管理部31は、適宜、新たに接続を確立する要求や許可を、BR/EDR接続制御部32、AMP接続制御部33、WLAN接続制御部34に出す。接続状態管理部31は、例えば、Bluetooth接続が確立される際には、BR/EDR接続制御部32に接続要求の指示を出し、AMP接続が確立される際には、AMP接続制御部33に指示を出す。また、WLAN接続が要求された場合などには、接続状態管理部31はWLAN接続制御部34に接続の許可もしくは接続の拒否を通知する。また、BR/EDR接続制御部32はBR/EDR通信部50を制御する。さらに、AMP接続制御部33はAMP通信部40を制御し、WLAN接続制御部34はWLAN処理部60を制御する。
【符号の説明】
【0119】
1 対向装置
5 通信装置
10 通信装置
11 プロファイル部
12 メモリ
13 サービス部
20 BT3.0+HS処理部
21 L2CAP部
22 AMP Manager
23 HCI
30 接続制御部
31 接続状態管理部
32 BR/EDR接続制御部
33 AMP接続制御部
34 WLAN接続制御部
40 AMP通信部
41 PHY部
42 MAC部
44 AMP PAL部
50 BR/EDR通信部
60 WLAN処理部
61 検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1および第2の通信方式で用いられる信号を送信する送信部と、
前記第1および第2の通信方式で用いられる信号を受信する受信部と、
前記第1の通信方式による認証に成功した装置から選択された対向装置との間で、前記第1の通信方式を用いて通信する第1の通信部と、
前記対向装置との間でデータを送受信するために、前記第2の通信方式を用いて通信する第2の通信部と、
前記第1の通信方式による接続が切断された時刻から、前記第1の通信部が前記対向装置に再度接続するための処理を終了する時刻までの時間である再接続時間の間、前記第2の通信部が前記第2の通信方式による通信を行わないように制御する制御部
を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記受信部で受信された信号から、前記第2の通信方式による接続を確立するための報知情報を検出するとともに、前記報知情報が含まれている場合、前記報知情報を前記第2の通信部に出力する検出部をさらに備え、
前記制御部は、前記再接続時間の間、前記検出部の動作を停止させる
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記受信部で受信された信号から、前記第2の通信方式による接続を確立するための報知情報を検出するとともに、前記報知情報が含まれている場合、前記報知情報を前記第2の通信部に出力する検出部をさらに備え、
前記第2の通信部は、前記報知情報を用いて前記報知情報の送信元との間で前記第2の通信方式による接続を確立し、
前記第2の通信部は、前記送信元との間の通信を確立したことを通知する接続通知を前記制御部に出力し、
前記制御部は、前記再接続時間の間に前記接続通知が入力された場合、前記第2の通信部に、前記送信元との接続の切断を要求する切断要求を出力し、
前記第2の通信部は、前記切断要求が入力されると、前記送信元との接続を切断する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
前記受信部で受信された信号から、前記第2の通信方式による接続を確立するための報知情報を検出するとともに、前記報知情報が含まれている場合、前記報知情報を前記第2の通信部に出力する検出部をさらに備え、
前記第2の通信部は、前記報知情報の送信元への接続の許可を前記制御部に求め、
前記制御部は、前記再接続時間の間は、前記送信元への接続を要求する接続要求を出力せず、
前記制御部に接続の許可を求めた時刻から所定の時間以内に前記接続要求が入力されない場合、前記第2の通信部は、前記第2の通信方式による接続を確立せずに処理を終了する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項5】
前記第2の通信方式を要求する候補とする装置の情報を格納する候補テーブルをさらに備え、
前記第1の通信部と前記第1の通信方式により通信している装置であり、かつ、前記第2の通信方式での通信が可能な装置から、前記第2の通信を開始するために用いられる制御情報を受信すると、前記第1の通信部は、前記制御情報を前記制御部に通知し、
前記制御情報が前記再接続時間に通知された場合、前記制御部は、前記制御情報を送信した装置との間で前記第2の通信方式による通信を開始させずに、前記候補テーブルに、前記制御情報を記憶し、
前記第1の通信部から前記対向装置への接続に失敗したことが通知されると、前記制御部は、前記制御情報を用いて前記候補装置との間で前記第2の通信方式による通信を開始させる
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項6】
第1の通信方式による認証に成功した装置から選択された対向装置との間で、前記第1の通信方式を用いて通信し、
データを送受信するために、前記対向装置と第2の通信方式を用いて通信し、
前記第1の通信方式による接続が切断された時刻から、前記第1の通信部が前記対向装置に再度接続するための処理を終了する時刻までの時間である再接続時間の間、前記第2の通信部が前記第2の通信方式による通信を行わないように制御する
処理を通信装置が行うことを特徴とする通信方法。
【請求項7】
第1の通信方式による認証に成功した装置から選択された対向装置との間で、前記第1の通信方式を用いて通信し、
データを送受信するために、前記対向装置と第2の通信方式を用いて通信し、
前記第1の通信方式による接続が切断された時刻から、前記第1の通信部が前記対向装置に再度接続するための処理を終了する時刻までの時間である再接続時間の間、前記第2の通信部が前記第2の通信方式による通信を行わないように制御する
処理を通信装置に行わせることを特徴とする通信プログラム。

【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11】
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【図16B】
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【図17】
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【図18】
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【図1】
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【図5】
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【図9】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15】
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【図16A】
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