説明

通信装置、通信装置の消費電力低減方法および通信装置の消費電力低減プログラム

【課題】装置本体に接続していても使用していない付加装置に関連する電力の消費を抑えることのできる通信装置、通信装置の消費電力低減方法および消費電力低減プログラムを得ること。
【解決手段】通信装置10は物理回線ごとに設けられたインタフェースモジュールを備えた付加装置を、予め定めた数の範囲内で任意数だけ接続するコネクタ部11を有する。ポート制御手段13は、装置接続検出手段12で接続を検出しない付加装置に対応するポートを閉塞する。オフライン時電源遮断手段15は、オンライン・オフライン判別手段14でオフラインと判別する付加装置への電源供給を遮断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、通信装置の消費電力低減方法および通信装置の消費電力低減プログラムに係わり、特にインタフェースモジュールを備えた付加装置を任意の数だけ通信装置本体に接続して使用する場合に好適な通信装置、そのような通信装置の消費電力低減方法および消費電力低減プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ブロードバンド環境の急速な普及と、需要増大による装置の低価格化に伴って、データの送受信やデータの交換を行う各種の通信装置の需要が着実な伸びを見せている。また、使用するデバイスの高速化・大容量化・多電源化が進んでおり、これらの通信装置の消費電力は増大する傾向にある。この一方で、通信装置も他の電気製品と同様に低消費電力化が必須の状況にあり、性能を維持しながら消費電力を削減することが求められている。
【0003】
そこで、たとえば拡張スロットというコネクタ部を備えたノート型パソコンでは、接続されたボードにのみ電源を供給する技術が本発明の第1の関連技術として提案されている(たとえば特許文献1参照)。この第1の関連技術では、所定の手順でコネクタ部に接続されているボードを順に認識していき、接続が認識されたボードにのみ電源が供給されるようになっている。
【0004】
また、本発明の第2の関連技術では、OS(Operating System)の起動中に付加装置が装置本体に接続されているかをチェックするようにしている(たとえば特許文献2参照)。このチェックの結果として付加装置が装置本体から取り外されたことが検出されると、コネクタ部への画像信号の出力を遮断することで、付加装置に供給されていた不必要な電力が遮断されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−242498号公報(第0024段落〜第0026段落、図4)
【特許文献2】特開2005−321976号公報(第0054段落、第0055段落、図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
通信装置は、その機能を効率的に拡張するためにスロット等のコネクタ部を備えており、これらのコネクタ部に必要な通信カード等の付加装置を装着できるようになっている。このため、第1および第2の関連技術では、装置本体に接続された付加装置にのみ電源を供給したり、付加装置が取り外された場合にはそれに対する信号の送出を停止することで、電力の消費の無駄を軽減することができる。
【0007】
しかしながら、スロット等のコネクタ部に付加装置が接続されている場合であっても、通信装置が実行している処理との関係で必ずしもその付加装置が使用されているとは限らない。したがって、たとえばAという付加装置とBという付加装置が通信装置に接続されていて、アプリケーションソフトウェアがAという付加装置のみを用いて通信を行っている場合には、Bという付加装置に電源を供給することは電力の供給の無駄となる。
【0008】
そこで本発明の目的は、装置本体に接続していても使用していない付加装置に関連する電力の消費を抑えることのできる通信装置、通信装置の消費電力低減方法および通信装置の消費電力低減プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、(イ)物理回線と接続され、その接続された物理回線を伝送されるバイト単位のシリアルデータとパケットデータの間でデータ変換を行う前記した物理回線ごとに設けられたインタフェースモジュールを備えた付加装置を、予め定めた数の範囲内で任意数だけ挿抜自在に接続するコネクタ部と、(ロ)このコネクタ部に接続された前記した付加装置を検出する装置接続検出手段と、(ハ)この装置接続検出手段で接続を検出しない付加装置に対応するポートを閉塞し、これら接続を検出しない付加装置に対するデータの転送を行えない状態に設定するポート制御手段と、(ニ)このポート制御手段で閉塞されていないポートの付加装置が対応する前記した物理回線によるデータ通信のサービスを受け得る状態であるかを判別するオンライン・オフライン判別手段と、(ホ)このオンライン・オフライン判別手段が前記した物理回線によるデータ通信のサービスを受け得る状態でないと判別するとき該当する付加装置への電源供給を遮断するオフライン時電源遮断手段とを通信装置が具備する。
【0010】
また、本発明では、(イ)物理回線と接続され、その接続された物理回線を伝送されるバイト単位のシリアルデータとパケットデータの間でデータ変換を行うインタフェースモジュールを備えた付加装置のそれぞれが所定のコネクタ部に接続されているかを判別する装置接続検出ステップと、(ロ)この装置接続検出ステップで接続を検出しない付加装置に対応するポートを閉塞し、これら接続を検出しない付加装置に対するデータの転送を行えない状態に設定するポート制御ステップと、(ハ)このポート制御ステップで閉塞されていないポートの付加装置が対応する前記した物理回線によるデータ通信のサービスを受け得る状態であるかを判別するオンライン・オフライン判別ステップと、(ニ)このオンライン・オフライン判別ステップで前記した物理回線によるデータ通信のサービスを受け得る状態でないと判別するとき該当する付加装置への電源供給を遮断するオフライン時電源遮断ステップとを通信装置の消費電力低減方法が具備する。
【0011】
更に本発明では、コンピュータに、通信装置の消費電力低減プログラムとして、(イ)物理回線と接続され、その接続された物理回線を伝送されるバイト単位のシリアルデータとパケットデータの間でデータ変換を行うインタフェースモジュールを備えた付加装置のそれぞれが所定のコネクタ部に接続されているかを判別する装置接続検出処理と、(ロ)この装置接続検出処理で接続を検出しない付加装置に対応するポートを閉塞し、これら接続を検出しない付加装置に対するデータの転送を行えない状態に設定するポート制御処理と、(ハ)このポート制御処理で閉塞されていないポートの付加装置が対応する前記した物理回線によるデータ通信のサービスを受け得る状態であるかを判別するオンライン・オフライン判別処理と、(ニ)このオンライン・オフライン判別処理で前記した物理回線によるデータ通信のサービスを受け得る状態でないと判別するとき該当する付加装置への電源供給を遮断するオフライン時電源遮断処理とを実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように本発明によれば、予め定めた数の範囲内で任意数だけ付加装置を接続することのできる通信装置の通信状況に応じて、接続を検出しない付加装置のポートを閉塞したり、接続を検出している付加装置であってもオフラインのときにはその付加装置への電源供給を遮断することにした。これにより、従来見過ごされていた領域まで省電力化が可能になり、特に携帯型の通信装置のように電池を使用する装置の電池寿命を長時間化することができる。
【0013】
また、通信装置のユーザは使用中のアプリケーションソフトウェアを考えながら付加装置を選択的に着脱する必要がないので、付加装置を装置本体に接続する接続機構の磨耗や劣化を防止することができ、また、一時的に使用しない付加装置を取り外す手間や、取り外した際の紛失のリスクを解消することができる。
【0014】
更に通信装置に複数の付加装置を装着していても使用する付加装置のみに電力が供給されて発熱が生じるので、通信装置全体の発熱量を軽減することができる。これにより、ファンの使用数量を減少させたり、通信装置によってはファン自体の使用を不要とすることも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の通信装置のクレーム対応図である。
【図2】本発明の通信装置の消費電力低減方法のクレーム対応図である。
【図3】本発明の通信装置の消費電力低減プログラムのクレーム対応図である。
【図4】本発明の実施の形態による通信装置の構成の要部を表わしたブロック図である。
【図5】本実施の形態のCPUモジュールの機能的な構成を表わしたブロック図である。
【図6】本実施の形態の通信装置の電源が投入された時点でCPUモジュールが実行する節電のための処理の流れを表わした流れ図である。
【図7】本実施の形態におけるファンの制御を示す流れ図である。
【図8】本発明の変形例における通信装置の構成の要部を表わしたブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明の通信装置のクレーム対応図を示したものである。本発明の通信装置10は、コネクタ部11と、装置接続検出手段12と、ポート制御手段13と、オンライン・オフライン判別手段14と、オフライン時電源遮断手段15を備えている。ここで、コネクタ部11は、物理回線と接続され、その接続された物理回線を伝送されるバイト単位のシリアルデータとパケットデータの間でデータ変換を行う前記した物理回線ごとに設けられたインタフェースモジュールを備えた付加装置を、予め定めた数の範囲内で任意数だけ挿抜自在(着脱自在)に接続する。装置接続検出手段12は、コネクタ部11に接続された前記した付加装置を検出する。ポート制御手段13は、装置接続検出手段12で接続を検出しない付加装置に対応するポートを閉塞し、これら接続を検出しない付加装置に対するデータの転送を行えない状態に設定する。オンライン・オフライン判別手段14は、ポート制御手段13で閉塞されていないポートの付加装置が対応する前記した物理回線によるデータ通信のサービスを受け得る状態であるかを判別する。オフライン時電源遮断手段15は、オンライン・オフライン判別手段14が前記した物理回線によるデータ通信のサービスを受け得る状態でないと判別するとき該当する付加装置への電源供給を遮断する。
【0017】
図2は、本発明の通信装置の消費電力低減方法のクレーム対応図を示したものである。本発明の通信装置の消費電力低減方法20は、装置接続検出ステップ21と、ポート制御ステップ22と、オンライン・オフライン判別ステップ23と、オフライン時電源遮断ステップ24を備えている。ここで、装置接続検出ステップ21では、物理回線と接続され、その接続された物理回線を伝送されるバイト単位のシリアルデータとパケットデータの間でデータ変換を行うインタフェースモジュールを備えた付加装置のそれぞれが所定のコネクタ部に接続されているかを判別する。ポート制御ステップ22では、装置接続検出ステップ21で接続を検出しない付加装置に対応するポートを閉塞し、これら接続を検出しない付加装置に対するデータの転送を行えない状態に設定する。オンライン・オフライン判別ステップ23では、ポート制御ステップ22で閉塞されていないポートの付加装置が対応する前記した物理回線によるデータ通信のサービスを受け得る状態であるかを判別する。オフライン時電源遮断ステップ24では、オンライン・オフライン判別ステップ23で前記した物理回線によるデータ通信のサービスを受け得る状態でないと判別するとき該当する付加装置への電源供給を遮断する。
【0018】
図3は、本発明の通信装置の消費電力低減プログラムのクレーム対応図を示したものである。本発明の通信装置の消費電力低減プログラム30は、コンピュータに、装置接続検出処理31と、ポート制御処理32と、オンライン・オフライン判別処理33と、オフライン時電源遮断処理34を実行させるようにしている。ここで、装置接続検出処理31では、物理回線と接続され、その接続された物理回線を伝送されるバイト単位のシリアルデータとパケットデータの間でデータ変換を行うインタフェースモジュールを備えた付加装置のそれぞれが所定のコネクタ部に接続されているかを判別する。ポート制御処理32では、装置接続検出処理31で接続を検出しない付加装置に対応するポートを閉塞し、これら接続を検出しない付加装置に対するデータの転送を行えない状態に設定する。オンライン・オフライン判別処理33では、ポート制御処理32で閉塞されていないポートの付加装置が対応する前記した物理回線によるデータ通信のサービスを受け得る状態であるかを判別する。オフライン時電源遮断処理34では、オンライン・オフライン判別処理33で前記した物理回線によるデータ通信のサービスを受け得る状態でないと判別するとき該当する付加装置への電源供給を遮断する。
【0019】
<発明の実施の形態>
【0020】
次に本発明の実施の形態を説明する。
【0021】
図4は、本発明の実施の形態による通信装置の構成の要部を表わしたものである。本実施の形態による通信装置100は、制御プログラムとしてのソフトウェアを搭載して装置の全体的な制御や設定を行うためのCPUモジュール101を備えている。CPUモジュール101は、パケットデータの転送処理を行う共通部モジュール102と、第1〜第Mの物理回線1031〜103Mと接続する第1〜第Mのインタフェースモジュール1041〜104M、ならびに空冷用のファン1051、1052を制御するファン駆動部106と接続している。
【0022】
ここで第1〜第Mのインタフェースモジュール1041〜104Mは、第1〜第Mの物理回線1031〜103Mと共に通信装置本体107内に配置されたコネクタ部108に対して着脱自在な構造となっている。すなわち、通信装置100のユーザは、通信装置本体107に第1〜第Mのインタフェースモジュール1041〜104Mのうちの必要数を、スロット等の接続構造となったコネクタ部108に装着することができ、これにより第1〜第Mの物理回線1031〜103Mのうちの必要数を使用した通信が可能となっている。
【0023】
共通部モジュール102は、電源供給回路111と、第1〜第Mのインタフェースブロック1121〜112Mによって構成されている。第1〜第Mのインタフェースブロック1121〜112Mは、第1〜第Mのインタフェースモジュール1041〜104Mに対応して設けられたもので、これらの間ではデジタルデータを1ビットずつ伝送するシリアル伝送が行われるようになっている。電源供給回路111は、第1〜第Mのインタフェースブロック1121〜112Mと1つずつ対応したスイッチ部1131〜113Mを備えている。スイッチ部1131〜113Mは、第1〜第Mのインタフェースブロック1121〜112Mの対応するものに対する電源供給をイネーブル(スイッチオン)あるいはディセーブル(スイッチオフ)の状態に設定する。スイッチ部1131〜113Mは、トランジスタ等のスイッチ回路で構成することができる。
【0024】
第1〜第Mのインタフェースモジュール1041〜104Mは、それぞれ同一の回路構成となっており、インタフェースブロック121と、これに接続された電源供給回路122を備えている。インタフェースブロック121は、コネクタ部108を介して第1〜第Mのインタフェースブロック1121〜112Mの対応するものと接続し、これらの間でシリアルインタフェースによる通信を行う。
【0025】
電源供給回路122は、対応するインタフェースブロック121に対して電源を供給する回路である。共通部モジュール102内の電源供給回路111および第1〜第Mのインタフェースモジュール1041〜104M内の電源供給回路122は、共に通信装置本体107内の図示しない電源回路から図示しない電源ラインによって電源の供給を受けている。
【0026】
電源供給回路122はそれぞれスイッチ部123を備えている。スイッチ部123は、対応するインタフェースブロック121に対する電源の供給をオン・オフ制御するスイッチによって構成されている。スイッチ部123自体はスイッチ部1131〜113Mと同様の回路構成を採ることができる。
【0027】
ファン駆動部106は、通信装置本体107内の空冷を行うファン1051、1052の風量と駆動する個数を、CPUモジュール101により制御するようになっている。本実施の形態では2個のファン1051、1052が配置されているが、これらの個数は任意に定めることができる。
【0028】
図5は、本実施の形態のCPUモジュールの機能的な構成を表わしたものである。CPUモジュール101は、CPU(Central Processing Unit)131およびメモリ132を備えた主制御部133を備えている。メモリ132にはCPU131が実行する制御プログラムが格納されている。CPU131はこの制御プログラムを実行することで、以下に説明する各機能部をソフトウェア的に実現するようになっている。
【0029】
このうち実装状態判別部134は、図4に示した第1〜第Mのインタフェースモジュール1041〜104Mのいずれが通信装置本体107に装着されているかの判別を行うようになっている。オフライン判別部135は、通信装置100の該当するインタフェースモジュール104がオンラインであるかオフラインであるかの判別を行うようになっている。ここでオンラインであるとは、該当するインタフェースモジュール104とインタフェースブロック112の間で対応する物理回線103によるデータ通信のサービスを受けられる状態にあることをいう。
【0030】
ポート閉塞指示部136は、実装状態判別部134によってインタフェースモジュール104が実装されていない未実装の状態であると判別した場合に、第1〜第Mのインタフェースブロック1121〜112Mのうちの該当するポートを閉塞する指示を行う。ポートの閉塞とはポートの開放の反対語であり、そのポートあるいはインタフェースモジュール104を使用してデータの転送が行えない状態をいう。
【0031】
ディセーブル処理部137は、スイッチ部1131〜113Mおよびスイッチ部123のうちの該当するものをディセーブルにする。この結果、第1〜第Mのインタフェースブロック1121〜112Mのうちの対応するものや、第1〜第Mのインタフェースモジュール1041〜104Mにおける対応するインタフェースブロック121への電源供給が停止する。ファン制御テーブル138には、通信装置100の状況に応じて図4に示した空冷用のファン1051、1052を制御するデータが格納されている。
【0032】
図6は、本実施の形態の通信装置の電源が投入された時点でCPUモジュールが実行する節電のための処理の流れを表わしたものである。図4および図5と共に説明する。
【0033】
まず、CPUモジュール101内のCPU131は、ポートのチェックのためのパラメータPを「1」に初期化して(ステップS201)、実装状態判別部134によって第Pのインタフェースモジュール104P(この場合には、Pが「1」なので1041)の実装状態をチェックする(ステップS202)。たとえばコネクタ部108におけるインタフェースモジュール104側の所定の2箇所のピンの位置にジャンパ線を連結しておき、共通部モジュール102側の対応する2つのピンの間が導通するかしないかによって実装の有無をチェックすることができる。
【0034】
実装状態のチェックの結果、第Pのインタフェースモジュール104Pが通信装置本体107に未実装である場合には(ステップS203:Y)、共通部モジュール102内の第Pのインタフェースブロック112Pを用いて、ポート閉塞指示部136が第Pの物理回線103Pに対応する第Pのポートの閉塞を指示する(ステップS204)。第Pのインタフェースモジュール104Pが通信装置本体107に実装されていると判別した場合には(ステップS203:N)、CPU131はステップS204の処理を行わずにステップS205に進む。
【0035】
ステップS205では、オフライン判別部135を用いて、第Pのインタフェースモジュール104Pがオフラインであるかの判別が行われる。オフラインであると判別した場合(Y)、ディセーブル処理部137は、第Pのスイッチ部113Pおよび第Pのインタフェースモジュール104Pのスイッチ部123を共にディセーブルに設定する(ステップS206)。これは、第Pのインタフェースモジュール104Pに対応する第Pのポートの処理を行う必要がないので、オンラインになるまで第Pのインタフェースブロック112Pおよび対応するインタフェースブロック121への電力の供給を絶ち、通信装置100の電力消費の節減を図るためである。
【0036】
ステップS206による処理を行ったら、CPU131はステップS207の処理に進む。ステップS205で第Pのインタフェースモジュール104Pがオンラインであると判別した場合(N)、CPU131はステップS206の処理を行わずに直ちにステップS207の処理に進む。
【0037】
ステップS207では、パラメータPが本実施の形態で実装できるインタフェースモジュール104の最大値「M」以上であるかをCPU131が判別する。現在、パラメータPは「1」であり、「M」以上ではない(N)。そこでこの場合、パラメータPを「1」だけ加算して(ステップS208)、パラメータPが「2」となる。この後、処理がステップS202に戻って、先と同様の処理が繰り返される。
【0038】
このようにしてパラメータPの加算と、ステップS202〜ステップS207の処理が繰り返される。パラメータPが「M」となった後のステップS207の処理で、パラメータPがインタフェースモジュール104の最大値「M」以上となり、起動時の節電処理が終了する(エンド)。もちろん、図6に示した節電処理は、通信装置100の電源投入時のみで起動される必要はなく、ユーザが図示しない節電スイッチを押したような所定の時点で起動してもよいことは当然である。
【0039】
図7は、ファンの制御に関する処理の流れを表わしたものである。図4および図5と共に説明する。
【0040】
CPU131は、図6で説明した処理の結果としてのポートの閉塞数と、第1〜第Mのインタフェースブロック1121〜112Mおよびインタフェースブロック121におけるディセーブルとなって電源の供給が行われていない数を判別する(ステップS221)。これとは逆に、開いているポートの数や第1〜第Mのインタフェースブロック1121〜112Mおよびインタフェースブロック121での電源の供給されている数を判別してもよい。
【0041】
ステップS221の判別が行われたら、通信装置100の内部における各種のデバイスの発熱量の概要が求められることになる。そこで、CPU131はファン制御テーブル138を参照して、通信装置本体107の内部でその発熱量の発熱が生じたときに必要とされる空冷用のファンの数と回転数を求める(ステップS222)。本実施の形態では2台のファン1051、1052が用意されている。そこで、ファン制御テーブル138には最も消費電力が少なくなる形で2台のファン1051、1052を駆動するための空冷用データが、ポートの数や第1〜第Mのインタフェースブロック1121〜112Mおよびインタフェースブロック121での電源の供給されている数と対応付けて格納されている。もちろん、環境温度等の他の測定結果を追加した形でファン制御テーブル138が作成されていてもよい。
【0042】
CPU131はファン制御テーブル138から読み出した空冷用データをファン駆動部106に送って(ステップS223)、ファン1051、1052の制御を行わせる。この後、CPU131は閉塞されるポートの数や第1〜第Mのインタフェースブロック1121〜112Mおよびインタフェースブロック121での電源の供給されている数といった状況の変化が生じるかを監視する(ステップS224)。そして、状況の変化が生じたら(Y)、ステップS221に処理を戻す(リターン)。
【0043】
一方、ファン駆動部106は、CPUモジュール101から図7のステップS223で空冷用データが送られてくると、これを前に送られてきた空冷用データに上書きする。そして、現在保持されている空冷用データを基にして2台のファン1051、1052の駆動制御を行うことになる。
【0044】
これにより、本実施の形態の通信装置100によれば、第1〜第Mのインタフェースモジュール1041〜104Mの実装状態や、オンラインあるいはオフラインの状態に応じて最小限の電源供給による電力消費の節減を図ることができる。しかも、この電力消費の節減は、CPU131の実行する制御プログラムによって実現するので、ハードウェアの変更を要せず、既存の装置であってもソフトウェアの変更によって実現可能である。
【0045】
更に本実施の形態によれば、通信装置本体107内部の発熱量の減少に併せてファン1051、1052の組み合わせあるいは単独による駆動制御を行うので、通信装置100の更なる省電力制御が可能になる。また、本実施の形態ではファン1051、1052の電力消費の低減を図るので、これらのファン1051、1052の駆動時の騒音を従来に比して減少させることができ、特別な遮蔽部材を通信装置本体107に配置することなく低騒音化を期待することができる。
【0046】
<発明の変形可能性>
【0047】
図8は、本発明の変形例における通信装置の構成の要部を表わしたものである。図8で図4と同一部分には同一の符号を付しており、これらの説明を適宜省略する。
【0048】
この変形例の通信装置100Aでは、パケットデータの転送処理を行う共通部モジュール102Aが、図4に示した共通部モジュール102とCPUモジュール101を統合した形となっている。共通部モジュール102A内のCPU制御部301は、図4に示したCPUモジュール101と実質的に同一である。
【0049】
変形例の通信装置100Aでは、通信装置本体107Aにおいて、共通部モジュール102Aがソフトウェアによってポートの閉塞や電源供給回路111に対するディセーブル処理を行うCPU制御部301を一体化したことにより、実施の形態の通信装置100と同様に電力消費を低減した装置を実現することができる。
【0050】
なお、実施の形態および変形例では第1〜第Mのインタフェースモジュール1041〜104MのそれぞれについてCPUの搭載についての説明をしなかったが、これらにCPUが搭載されている場合にも本発明を適用することができることは当然である。
【0051】
また、実施の形態では図4における第1〜第Mのインタフェースブロック1121〜112Mと第1〜第Mのインタフェースモジュール1041〜104Mのそれぞれ対応するものの間でシリアル伝送が行われることを説明した。しかしながら本発明はシリアル伝送に限定するものではない。すなわち、たとえば第1〜第Mのインタフェースブロック1121〜112Mと第1〜第Mのインタフェースモジュール1041〜104Mのそれぞれ対応するものの間でパラレル伝送が行われる場合であっても、ポートの閉塞や電源供給回路111に対するディセーブル処理による電力消費を低減した装置の実現が可能である。
【0052】
更に実施の形態では、図6で第Pのインタフェースモジュール104Pが通信装置本体107に未実装の場合にステップS204の処理を行った後にステップS205でオンラインであるかの判別を行ったが、これに限るものではない。たとえば、第Pのインタフェースモジュール104Pが通信装置本体107に未実装の場合には、ステップS204で第Pのポートの閉塞を指示すると共に、ステップS206の処理も同時に行ってステップS207に処理を進めてもよい。これは、第Pのインタフェースモジュール104Pが未実装の場合には、そのポートで通信を行わないという前提で該当するスイッチをディセーブルにできるからである。
【0053】
また、実施の形態および変形例では、通信装置に空冷用のファン1051、1052を使用したが、水冷等の他の冷却手段を使用する通信装置に本発明を適用することができることも当然である。
【0054】
以上説明した実施の形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されるが、以下の記載に限定されるものではない。
【0055】
(付記1)
物理回線と接続され、その接続された物理回線を伝送されるバイト単位のシリアルデータとパケットデータの間でデータ変換を行う前記物理回線ごとに設けられたインタフェースモジュールを備えた付加装置を、予め定めた数の範囲内で任意数だけ挿抜自在に接続するコネクタ部と、
このコネクタ部に接続された前記付加装置を検出する装置接続検出手段と、
この装置接続検出手段で接続を検出しない付加装置に対応するポートを閉塞し、これら接続を検出しない付加装置に対するデータの転送を行えない状態に設定するポート制御手段と、
このポート制御手段で閉塞されていないポートの付加装置が対応する前記物理回線によるデータ通信のサービスを受け得る状態であるかを判別するオンライン・オフライン判別手段と、
このオンライン・オフライン判別手段が前記物理回線によるデータ通信のサービスを受け得る状態でないと判別するとき該当する付加装置への電源供給を遮断するオフライン時電源遮断手段
とを具備することを特徴とする通信装置。
【0056】
(付記2)
前記ポート制御手段によるポートの制御および前記オフライン時電源遮断手段による電源供給を遮断する付加装置の数に応じて、最小限の消費電力となるように自装置内の熱を外部に排出するファンの駆動状態を設定するファン駆動状態設定手段を具備することを特徴とする付記1記載の通信装置。
【0057】
(付記3)
前記ファンは複数台設置されており、前記ファン駆動状態設定手段は各状況に応じてこれら複数台のファンの使用電力が最低となるように駆動するファンの台数およびそれぞれのファンの回転数を設定したファン制御テーブルを基にしてファンの駆動を行うことを特徴とする付記1記載の通信装置。
【0058】
(付記4)
前記付加装置に1対1で対応したインタフェース回路を前記コネクタ部に最大で接続される付加装置の数だけ内蔵した共通的なモジュールが配置されていることを特徴とする付記1記載の通信装置。
【0059】
(付記5)
前記共通的なモジュールには、前記装置接続検出手段、ポート制御手段、オンライン・オフライン判別手段およびオフライン時電源遮断手段の一部または全部の機能をソフトウェア的に実現するCPUが内蔵されていることを特徴とする付記4記載の通信装置。
【0060】
(付記6)
前記付加装置と前記共通的なモジュールの間でシリアル伝送が行われることを特徴とする付記5記載の通信装置。
【0061】
(付記7)
前記付加装置と前記共通的なモジュールの間でパラレル伝送が行われることを特徴とする付記5記載の通信装置。
【0062】
(付記8)
物理回線と接続され、その接続された物理回線を伝送されるバイト単位のシリアルデータとパケットデータの間でデータ変換を行うインタフェースモジュールを備えた付加装置のそれぞれが所定のコネクタ部に接続されているかを判別する装置接続検出ステップと、
この装置接続検出ステップで接続を検出しない付加装置に対応するポートを閉塞し、これら接続を検出しない付加装置に対するデータの転送を行えない状態に設定するポート制御ステップと、
このポート制御ステップで閉塞されていないポートの付加装置が対応する前記物理回線によるデータ通信のサービスを受け得る状態であるかを判別するオンライン・オフライン判別ステップと、
このオンライン・オフライン判別ステップで前記物理回線によるデータ通信のサービスを受け得る状態でないと判別するとき該当する付加装置への電源供給を遮断するオフライン時電源遮断ステップ
とを具備することを特徴とする通信装置の消費電力低減方法。
【0063】
(付記9)
前記ポート制御ステップによるポートの制御および前記オフライン時電源遮断ステップによる電源供給を遮断する付加装置の数に応じて、最小限の消費電力となるように自装置内の熱を外部に排出するファンの駆動状態を設定するファン駆動状態設定ステップを具備することを特徴とする付記8記載の通信装置の消費電力低減方法。
【0064】
(付記10)
コンピュータに、
物理回線と接続され、その接続された物理回線を伝送されるバイト単位のシリアルデータとパケットデータの間でデータ変換を行うインタフェースモジュールを備えた付加装置のそれぞれが所定のコネクタ部に接続されているかを判別する装置接続検出処理と、
この装置接続検出処理で接続を検出しない付加装置に対応するポートを閉塞し、これら接続を検出しない付加装置に対するデータの転送を行えない状態に設定するポート制御処理と、
このポート制御処理で閉塞されていないポートの付加装置が対応する前記物理回線によるデータ通信のサービスを受け得る状態であるかを判別するオンライン・オフライン判別処理と、
このオンライン・オフライン判別処理で前記物理回線によるデータ通信のサービスを受け得る状態でないと判別するとき該当する付加装置への電源供給を遮断するオフライン時電源遮断処理
とを実行させることを特徴とする通信装置の消費電力低減プログラム。
【0065】
(付記11)
前記ポート制御処理によるポートの制御および前記オフライン時電源遮断処理による電源供給を遮断する付加装置の数に応じて、最小限の消費電力となるように自装置内の熱を外部に排出するファンの駆動状態を設定するファン駆動状態設定処理を更にコンピュータに実行させることを特徴とする付記10記載の通信装置の消費電力低減プログラム。
【符号の説明】
【0066】
10、100、100A 通信装置
11 コネクタ部
12 装置接続検出手段
13 ポート制御手段
14 オンライン・オフライン判別手段
15 オフライン時電源遮断手段
20 通信装置の消費電力低減方法
21 装置接続検出ステップ
22 ポート制御ステップ
23 オンライン・オフライン判別ステップ
24 オフライン時電源遮断ステップ
30 通信装置の消費電力低減プログラム
31 装置接続検出処理
32 ポート制御処理
33 オンライン・オフライン判別処理
34 オフライン時電源遮断処理
101 CPUモジュール
102、102A 共通部モジュール
103 物理回線
104 インタフェースモジュール
105 ファン
106 ファン駆動部
107 通信装置本体
111、122 電源供給回路
112、121 インタフェースブロック
113、123 スイッチ部
131 CPU
132 メモリ
133 主制御部
134 実装状態判別部
135 オフライン判別部
136 ポート閉塞指示部
137 ディセーブル処理部
138 ファン制御テーブル
301 CPU制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物理回線と接続され、その接続された物理回線を伝送されるバイト単位のシリアルデータとパケットデータの間でデータ変換を行う前記物理回線ごとに設けられたインタフェースモジュールを備えた付加装置を、予め定めた数の範囲内で任意数だけ挿抜自在に接続するコネクタ部と、
このコネクタ部に接続された前記付加装置を検出する装置接続検出手段と、
この装置接続検出手段で接続を検出しない付加装置に対応するポートを閉塞し、これら接続を検出しない付加装置に対するデータの転送を行えない状態に設定するポート制御手段と、
このポート制御手段で閉塞されていないポートの付加装置が対応する前記物理回線によるデータ通信のサービスを受け得る状態であるかを判別するオンライン・オフライン判別手段と、
このオンライン・オフライン判別手段が前記物理回線によるデータ通信のサービスを受け得る状態でないと判別するとき該当する付加装置への電源供給を遮断するオフライン時電源遮断手段
とを具備することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記ポート制御手段によるポートの制御および前記オフライン時電源遮断手段による電源供給を遮断する付加装置の数に応じて、最小限の消費電力となるように自装置内の熱を外部に排出するファンの駆動状態を設定するファン駆動状態設定手段を具備することを特徴とする請求項1記載の通信装置。
【請求項3】
前記ファンは複数台設置されており、前記ファン駆動状態設定手段は各状況に応じてこれら複数台のファンの使用電力が最低となるように駆動するファンの台数およびそれぞれのファンの回転数を設定したファン制御テーブルを基にしてファンの駆動を行うことを特徴とする請求項1記載の通信装置。
【請求項4】
前記付加装置に1対1で対応したインタフェース回路を前記コネクタ部に最大で接続される付加装置の数だけ内蔵した共通的なモジュールが配置されていることを特徴とする請求項1記載の通信装置。
【請求項5】
前記共通的なモジュールには、前記装置接続検出手段、ポート制御手段、オンライン・オフライン判別手段およびオフライン時電源遮断手段の一部または全部の機能をソフトウェア的に実現するCPUが内蔵されていることを特徴とする請求項4記載の通信装置。
【請求項6】
前記付加装置と前記共通的なモジュールの間でシリアル伝送が行われることを特徴とする請求項5記載の通信装置。
【請求項7】
前記付加装置と前記共通的なモジュールの間でパラレル伝送が行われることを特徴とする請求項5記載の通信装置。
【請求項8】
物理回線と接続され、その接続された物理回線を伝送されるバイト単位のシリアルデータとパケットデータの間でデータ変換を行うインタフェースモジュールを備えた付加装置のそれぞれが所定のコネクタ部に接続されているかを判別する装置接続検出ステップと、
この装置接続検出ステップで接続を検出しない付加装置に対応するポートを閉塞し、これら接続を検出しない付加装置に対するデータの転送を行えない状態に設定するポート制御ステップと、
このポート制御ステップで閉塞されていないポートの付加装置が対応する前記物理回線によるデータ通信のサービスを受け得る状態であるかを判別するオンライン・オフライン判別ステップと、
このオンライン・オフライン判別ステップで前記物理回線によるデータ通信のサービスを受け得る状態でないと判別するとき該当する付加装置への電源供給を遮断するオフライン時電源遮断ステップ
とを具備することを特徴とする通信装置の消費電力低減方法。
【請求項9】
前記ポート制御ステップによるポートの制御および前記オフライン時電源遮断ステップによる電源供給を遮断する付加装置の数に応じて、最小限の消費電力となるように自装置内の熱を外部に排出するファンの駆動状態を設定するファン駆動状態設定ステップを具備することを特徴とする請求項8記載の通信装置の消費電力低減方法。
【請求項10】
コンピュータに、
物理回線と接続され、その接続された物理回線を伝送されるバイト単位のシリアルデータとパケットデータの間でデータ変換を行うインタフェースモジュールを備えた付加装置のそれぞれが所定のコネクタ部に接続されているかを判別する装置接続検出処理と、
この装置接続検出処理で接続を検出しない付加装置に対応するポートを閉塞し、これら接続を検出しない付加装置に対するデータの転送を行えない状態に設定するポート制御処理と、
このポート制御処理で閉塞されていないポートの付加装置が対応する前記物理回線によるデータ通信のサービスを受け得る状態であるかを判別するオンライン・オフライン判別処理と、
このオンライン・オフライン判別処理で前記物理回線によるデータ通信のサービスを受け得る状態でないと判別するとき該当する付加装置への電源供給を遮断するオフライン時電源遮断処理
とを実行させることを特徴とする通信装置の消費電力低減プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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