説明

通信装置およびその給電方法

【課題】これまでの省電力化の限界を克服し、かつ地球温暖化対策に対しても十分に寄与できる通信装置およびその給電方法を提供。
【解決手段】通信装置の各々は、給電システム24を備え、給電システム24は、少なくとも、太陽光発電モジュール34を持つ電源装置26から制御部28に給電し、制御部28の監視機能部52で電源装置26からの給電信号42、46、50の電力を監視し、電源制御機能部54で監視機能部52からのデータ66、68、70とIP通信システムの給電条件に応じて切替制御信号72を生成し、電圧変換機能部56で変換した電圧の給電信号76、78、80を、電源切替機能部58で切替制御信号72に応じて切り替え、給電信号82を出力し、演算機能部60では給電の監視結果を基に省電力量を計算し、計算結果を情報管理装置に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置およびその給電方法に関し、本発明に係る通信装置は、太陽光発電の利用により省電力化、かつCO2排出量の削減といった地球環境問題の解決に貢献する通話装置に関するものである。また、本発明に係る通信装置における給電方法は、ハイブリッド型の電源からの給電を電源それぞれの状態に応じて切り替える方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のIP(Internet Protocol)電話システムは、IP電話装置、無線LAN(Local Area Network)基地局および各種の端末装置である電話機で構築されている。IP電話装置は、AC(Alternate Current)電源で駆動され、接続されたアナログ電話機や多機能電話機それぞれに対して駆動電源として機能している。また、IP電話装置に接続された無線LAN基地局、無線IP多機能電話機およびIP多機能電話機は、ACアダプタを介して電源が供給されている。このような一例が特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開2006−033477号公報
【特許文献2】特開2006−319699号公報
【非特許文献1】「環境省、温室効果ガス排出量算定・報告マニュアル、第II編 温室効果ガス排出量算定方法」、「3.2.1 他人から供給された電気の使用」、第II-25頁、[オンライン]平成18年11月15日、改訂版2.3、平成20年5月30日、インターネット検索、2008年8月7日、http://www.env.go.jp/earth/ghg-santeikohyo/manual/index.html.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、IP電話システムは低消費電力化を進めているが、IP電話装置のようにAC電源からの電力供給では省電力化には限界がある。このため、たとえばCO2排出量の削減という地球温暖化対策に十分に寄与するものではなかった。
【0004】
本発明はこのような課題に鑑み、これまでの省電力化の限界を克服し、かつ地球温暖化対策に対しても十分に寄与できるIP通信システムにおける通信装置およびその給電方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上述の課題を解決するために、IP(Internet Protocol)端末装置および/または電話機を端末装置として用い、この端末装置間の通信を中継するおよび/または無線LAN(Local Area Network)基地局を介して中継するIP電話装置と複数の前記端末装置をIP通信システムの構成要素に用いて相互に通信する各構成要素となる通信装置において、この通信装置を駆動させる給電手段を具備し、この給電手段は、少なくとも、太陽光を電気信号に変換し、発電し、電源として供給する太陽光発電手段を有する電源手段と、電源としての給電を制御する制御手段とを含み、制御手段は、電源手段から供給される給電信号の電圧および電流を監視する監視機能ブロックと、この監視機能ブロックから供給される監視結果とこの通信装置における給電条件に応じて電源の供給源を切り替える切替制御信号を生成する電源制御機能ブロックと、記給電信号の電圧を所定の電圧に変換する電圧変換機能ブロックと、変換された所定の電圧を切替制御信号に応じて切り替える電源切替機能ブロックと、切り替えた電源の供給源における監視結果を基に省エネルギー量を計算し、計算結果を情報として管理する情報管理手段に出力する演算機能ブロックとを含むことを特徴とする。
【0006】
また、本発明は上述の課題を解決するために、IP(Internet Protocol)端末装置および/または電話機を端末装置として用い、この端末装置間の通信を中継および/または無線LAN(Local Area Network)基地局を介して中継するIP電話装置と複数の前記端末装置をIP通信システムの構成要素に用いて相互に通信する各構成要素となる通信装置における給電方法において、この通信装置は、給電手段として、太陽光を電気信号に変換し、発電し、電源として供給する太陽光発電手段と、充放電機能を有する電池と、通常の交流信号を給電する交流電源手段とを含む複合型の電源手段を具備し、この方法は、太陽光発電における最大発電である第1の給電電力、この通信装置の運用上、要求される太陽光発電における発電である第2の給電電力、消費電力が所定の電力値を閾値として太陽光発電における給電に切り替える第3の給電電力および太陽光発電からの給電を交流電源手段からの給電に切り替える第4の給電電力を、あらかじめ閾値に設定し、監視結果として得られた給電電力に対して、第1ないし第4の給電電力の順に切替における優先順位を設けて、給電を切り替えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る通信装置およびその給電方法によれば、表示手段を有するIP通信システムの各構成要素となる通信装置それぞれに給電手段を具備し、この給電手段は、少なくとも、太陽光発電手段を有する電源装置からの給電を、制御手段により制御し、この制御において制御手段は、監視機能ブロックで電源装置から供給される給電信号の電圧および電流、すなわち電力を監視し、電源制御機能ブロックで監視機能ブロックから供給される監視結果とこの通信装置における給電条件に応じて電源の供給源を切り替える切替制御信号を生成し、電圧変換機能ブロックで給電信号の電圧を所定の電圧に変換し、電源切替機能ブロックで変換された所定の電圧を切替制御信号に応じて切り替え、演算機能ブロックで切り替えた電源の供給源における監視結果を基に省エネルギー量を計算し、計算結果を表示手段および計算結果を情報として管理する情報管理装置に出力することにより、給電条件に応じて給電する電源を切り替えて、電源装置から適切な電力をシステムの構成要素それぞれにて給電され、システムの運用上、問題なく、太陽光発電を有効利用して、これまでの省電力化の限界を克服し、かつ地球温暖化対策に対しても十分に寄与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に添付図面を参照して本発明による通信装置の一実施例を詳細に説明する。図1を参照すると、本発明による通信装置の実施例は、IP電話システムに適用したものであり、表示部30を有するIP電話システムの構成要素それぞれに給電システム24を具備し、この給電システム24は、少なくとも、太陽光発電モジュール34を有する電源装置26からの給電を、制御部28により制御し、この制御において制御部28は、監視機能部52で電源装置26から供給される給電信号42、46および50の電圧および電流、すなわち電力を監視し、電源制御機能部54で監視機能部52から供給される監視結果66、68および70とこのIP通信システムにおける給電条件に応じて電源の供給源を切り替える切替制御信号72を生成し、電圧変換機能部56で給電信号の電圧を所定の電圧に変換し、電源切替機能部58で変換された所定の電圧を切替制御信号72に応じて切り替え、演算機能部60で切り替えた電源の供給源における監視結果を基に省エネルギー量を計算し、計算結果を表示部30および計算結果を情報として管理する図示しない情報管理装置に出力することにより、給電条件に応じて給電する電源を切り替えて、電源装置から適切な電力をシステムの構成要素それぞれにて給電され、システムの運用上、問題なく、太陽光発電を有効利用して、これまでの省電力化の限界を克服し、かつ地球温暖化対策に対しても十分に寄与することができる。
【0009】
本実施例は、本発明の通信装置をIP電話システム10に適用した場合である。本発明と直接関係のない部分について図示および説明を省略する。以下の説明で、信号はその現れる接続線の参照番号で指示する。
【0010】
IP電話システム10は、図2に示すように、IP電話装置12、アナログ電話機14、多機能電話機16、無線LAN基地局18、IP多機能電話機20および無線IP多機能電話機22で構築されている。IP電話システム10自体の構成要素は、従来の構成要素と同じである。
【0011】
アナログ電話機14および多機能電話機16には、前述した従来の場合と同様に、IP電話装置12からAC電源が給電されている。IP電話装置12はこのようにアナログ電話機14が収容可能である。アナログ電話機14はすべての電源供給源から給電できない場合、図示しない公衆電話回線直結に切り替えて、公衆電話回線からの給電によりアナログ電話機を使用可能にする。IP電話装置12は、端末装置間を中継し、通信をつなぐ機能を有する。
【0012】
IP電話システム10は、太陽光発電を利用した電源の給電システムに特徴がある。IP電話システム10は、図2に示すように、IP電話装置12、多機能電話機16、無線LAN基地局18、IP多機能電話機20および無線IP多機能電話機22のそれぞれに給電システム24を備えている。給電システム24は、IP電話装置12、多機能電話機16、無線LAN基地局18、IP多機能電話機20および無線IP多機能電話機22のそれぞれに、電源装置26、制御部28および表示部30を含む。給電システム24は、基本的に、同じ構成要素で構築されている。ただし、無線LAN基地局18、IP多機能電話機20および無線IP多機能電話機22には、ACアダプタ32を介してAC電源が給電されている。
【0013】
そこで、同じ構成の記載の繰り返しによる煩雑さを避けるため、IP電話装置12における給電システム24を図1に示す。給電システム24をIP電話装置12以外の個々の機器に適用した場合については、後述する。電源装置26は、基本として、太陽光発電モジュール34、蓄電池36およびAC電源装置38を含む。太陽光発電モジュール34は、筐体面に貼り付けられたパネルで受光し、受光した光エネルギーを電気エネルギーに変換する機能を有する。
【0014】
蓄電池36は、充放電機能を有する。AC電源装置38は、従来の給電を受電する機能を有する。
【0015】
図1に示すように、太陽光発電モジュール34、蓄電池36およびAC電源装置38は、給電ライン40、44および48を介して制御部28に給電し、給電モニタ用信号42、46および50を制御部28に供給している。
【0016】
制御部28は、電源装置の電圧・電流を監視し、電源装置から供給される電圧を所定の電圧に変換し、電源をどれから供給するか制御し、この制御に応じて選択された電源装置から電源供給するように電源の供給元を切り替える機能を有する。また、制御部28は、給電された電圧・電流の値を計測し、計測した値を基に、CO2の削減量を換算する機能も有する。さらに、制御部28は、充放電に対応するように入出力インタフェース機能も有する。
【0017】
制御部28は、これらの機能を実現させるため、監視機能部52、電源制御機能部54、電圧変換機能部56、電源切替機能部58、演算機能部60、通話制御機能62および入出力インタフェース回路64を含む。制御部28は、MPU(Micro-Processor Unit)を用いることが好ましい。
【0018】
監視機能部52は、電源装置それぞれの電圧・電流を監視する機能を有する。本実施例において監視機能部52は、3つの給電された電圧・電流の値を計測し、計測した値をデータ66、68および70として電源制御機能部54に供給する。監視機能部52は、たとえば太陽光による給電ができない夜に電流電圧の低下を検知し、検知した結果66を電源制御機能部54に出力する。
【0019】
電源制御機能部54は、内蔵する太陽光発電モジュール34、蓄電池36およびAC電源装置38の順に優先順位を付けて管理し、消費電力モードの動作中/待機中といった動作モードの判別に応じて供給元である電源装置のいずれか一つを選択する切替制御信号を生成する機能を有する。電源制御機能部54は、供給されるデータ66、68および70を基に、給電条件の一つである優先順位に応じて生成した切替制御信号72を電源切替機能部58に出力する。電源制御機能部54は、選択する電源による給電情報74を演算機能部60に出力する。
【0020】
また、電源制御機能部54は、供給される給電情報74を基に演算機能部60で算出された消費電力を常時監視することにより供給電源の切替時に消費電力モードに応じて電力P1,P2およびP3で電力供給を切り替えるように切替制御信号72を生成している。給電システム24は、このように制御することにより節電を図っている。
【0021】
具体例として、電源制御機能部54は、太陽光発電モジュール34による給電ができず、かつ停電の場合、蓄電池36からの供給に切り替えるように制御して、蓄電池に蓄えられた電気エネルギーにより給電させる。電源制御機能部54は、蓄電池36とAC電源装置38の切り替えを優先順位に基づき柔軟に設定を変更することも可能であり、停電時でなくとも蓄電池36からの供給もできる。
【0022】
電源制御機能部54においてCO排出削減量の計数管理は、電力P2を越えたとき計測開始し、電力P2〜(電力P3)〜(電力P1)〜電力P0では、太陽電池モジュールで発電した電力量に応じて計数する。また、電力P1ないしP0では余剰の電力量として計数する。給電条件については後段でさらに記述する。
【0023】
電圧変換機能部56は、電源として供給される給電信号を所定の電圧に変換して、電圧変換した信号を出力する機能を有する。また、電圧変換機能部56は、放電による給電だけでなく、充電において供給される信号に対して電圧変換して出力する機能も有する。電圧変換機能部56は、給電ライン40、44および48を介して、供給される給電信号それぞれを所定の電圧信号に変換して、給電ライン76、78および80それぞれを介して、変換した所定の電圧信号を電源切替機能部58に出力する。
【0024】
電源切替機能部58は、複数種類の電源から供給された給電信号を切替制御信号に応じて切り替えて、選択した給電信号を出力する機能を有する。電源切替機能部58は、入力した給電信号76、78および80を切替制御信号72に応じて通話機能部62などIP電話装置12の各部に出力する。
【0025】
なお、図1においては、図面の構成上、主な制御対象の一つである給電ライン82を介して通話機能部62に給電する構成のみを記載する。
【0026】
また、電源切替機能部58には、通話機能部62に対して給電ライン82を介して給電しながら、入出力インタフェース回路64との間に充電用ライン84および余剰放電ライン86が配設され、入出力インタフェース回路64に対し、充放電のモード制御に応じて入力または出力を切り替えている。充放電のモード切替は、たとえばMPUが選択するモードに応じて供給される切替制御信号72により制御される。
【0027】
演算機能部60は、太陽光発電による省エネルギー量、すなわちCO2排出削減量を算出する演算機能、演算結果のサーバへの転送機能および演算結果の表示部30への出力機能を有する。演算機能部60は、電源制御機能部54からの給電情報74を基にCO2排出削減量を算出する。CO2排出削減量に関する算出は、非特許文献1に記載の方法に基づいている。演算機能部60は、算出したCO2排出削減量をデータ88および90として図示しないサーバと表示部30に出力する。また、演算機能部60は、算出したCO2排出削減量を基に給電条件に応じて電源制御機能部54を計数管理してもよい。
【0028】
なお、電源制御機能部54および演算機能部60は、とくに、MPUに持たせることが好ましい。
【0029】
通話機能部62は、給電により配設された装置の動作、すなわち待機/通話を実行する機能を有する。通話機能部62は、電源としての給電82により配設された装置の待機電力を供給し、信号92の送受信により相手と通話する。
【0030】
入出力インタフェース回路64は、汎用太陽光発電システムの電気エネルギーを受電する機能と余剰の電気エネルギーを他装置に提供する機能を有する。入出力インタフェース回路64は、太陽光発電によって給電できない、たとえば当該装置が消灯された場合または暗室などに設置されている場合、入力インタフェースとして、信号ライン94を介して、汎用太陽光発電システムの電気エネルギーを受電し、充電用ライン84を介して、受電した電気エネルギーを電源切替機能部58に出力する。入出力インタフェース回路64は、余剰放電ライン86を介して入力し、信号ライン94を介して、出力インタフェースとして、余剰の電気エネルギーを他装置に出力し、給電する。
【0031】
表示部30は、供給される情報を表示する機能を有する。表示部30には、LCD(Liquid Crystal Device)を用いるとよい。表示部30は、LCDの上に透明な太陽光発電モジュールを重ねて配設するようにしてもよい。表示部30は、データ90を入力し、算出したCO2排出削減量を表示する。
【0032】
次に本発明に係る通信装置を適用したIP電話システム10のIP電話装置12における給電システム24の状態遷移について、図3を参照しながら記述する。給電システム24は、監視したデータを基に電源制御機能部54で4つの電力P0ないしP3の状態を判断して、状態遷移させるように切替制御信号72を生成している。
【0033】
ここで、4つの電力P0ないしP3、それぞれについて定義する。電力P0は、太陽光発電における最大発電の電力値である。電力P1は、システムの運用上、要求される太陽光発電における発電の電力値である。また、電力P2は、太陽光発電から従来の給電に切り替える電力値である。さらに、電力P3は、消費電力が設定値(小)での太陽光発電における給電に切り替える電力値である。したがって、4つの電力P0ないしP3に対する電力値の大小関係は、図3(a)から明らかなように、P0>P1>P3>P2である。
【0034】
電力供給源は、太陽光発電モジュール34、蓄電池36およびAC電源装置38を有する。図3(b)に示す電力供給源は、参照符号で表わす。CO2の削減量に対する演算または計算は、図3(c)のON/OFFで示す。
【0035】
CO2の排出削減量は、図3(d)に余剰電力量に対して余剰電力ゼロ、余剰電力の第1設定値(中)、余剰電力の第2設定値(大)を、それぞれ0、+Mおよび+Lで表わし、余剰電力による削減量を表わす。また、図3(d)に示すように、CO消費電力量に対して発電不可、消費電力の第1設定値(小)および消費電力の第2設定値(大)を、それぞれGEN_0、-Sおよび-Lで表わす。すなわち、消費電力モードの大小による削減量を表わしている。
【0036】
さらに、蓄電池36によるCO2の排出削減量は、フル充電および充電要を、それぞれFULL CHGおよびCHG REQで表わし、PV(PhotoVoltaics)発電による蓄電池の充電に寄与している削減量を表わしている。
【0037】
消費電力モードの動作は、図3(e)に示すように、ON/OFFで表わす。太陽光発電モジュール34、蓄電池36およびAC電源装置38は、それぞれ、図3(f)、図3(g)および図3(h)において、発電状態、充電状態および給電状態を表わす。
【0038】
給電は、電源制御機能部54で電力供給量、太陽光発電モジュール34の発電状態、蓄電池36の充電状態で表わされる使用状態およびAC電源装置38の給電状態を条件に用いる。電源制御機能部54は、これらの給電条件に基づいて切替制御信号72を生成する。
【0039】
図3に示すように、区間Aで給電システム24は、太陽光発電モジュール34により給電(PV給電)している。給電システム24は、監視機能部52、電源制御機能部54を介して、演算機能部60に供給される給電情報74を基に演算機能部60でCO2排出削減量を計数している。区間Bで給電システム24は、監視機能部52で検知された太陽光発電量が電力P2以下と不足していることから、給電は、PV給電からAC電源に切り替える。このとき、演算機能部60でのCO2排出削減量の計数は停止している。
【0040】
この区間Bの後半部分ではPV発電を開始しているが、給電システム24における消費電力モードがON、すなわち動作中にあり、大きな電力が消費されている。このため、給電システム24は、電源制御機能部54において切替時のバタツキを考慮して、PV給電切替電力値P3を越えても、PV給電せずに、AC電源による給電を継続している。
【0041】
区間Cでは、太陽光発電モジュール34がPV発電の最大発電力P0を発電しており、給電システム24が供給する電力P1を上回ったことから、この分は余剰電力量(P0-P1)になる。この余剰電力は、監視機能部52で検出し、電源制御機能部54で制御され、太陽光発電モジュールから供給された電力48に対して電圧変換機能部56で電圧変換した信号80を電源切替機能部58に出力する。電源切替機能部58は、切替制御信号72に応じて余剰電力に対応する信号86を入出力インタフェース回路64に出力する。入出力インタフェース回路64は、供給された信号86を出力信号94として、多機能電話機16、無線LAN基地局18、IP多機能電話機20および無線IP多機能電話機22を含む他のシステムに電力を供給する。ここで、図3(d)および図3(g)の充電状態が示すように、蓄電池36はフル充電状態にある。
【0042】
区間Dでは、図3(f)が示すように、太陽光発電モジュール34はPV発電ができない状態にある。このため、給電システム24は、AC電源により電力供給されている。この後、太陽光発電モジュール34でPV発電が開始され、図3(e)の消費電力モードが待機中であるため、電力P3を越えると、電源制御機能部54は、切替制御信号72によりAC電源をPV発電に切り替える。
【0043】
区間Eでは、区間Cと同様に太陽光発電モジュール34がPV発電の最大発電力P0に達しているから、余剰電力の信号80が発生する。ただし、図3(g)の充電状態が要充電となっている。このため、電源切替機能部58は、他システムに電力供給するのではなく、電圧変換機能部56に給電信号76を供給する。電圧変換機能部56は、給電信号44を充電信号として蓄電池36に供給する。蓄電池36は、充電信号44を充電する。
【0044】
ただし、監視機能部52で蓄電池36の充電状態がたとえば50%未満のように低い数値を検出した場合、太陽光発電による充電だけでなく、AC電源装置38による充電も併用し、PV発電不可、かつ停電のような緊急時に備えるものとする。また、蓄電池36のたとえば50%以上の充電状態が高い場合、太陽光発電だけで充電する。区間Eの後半、AC電源装置38は、給電状態が停電を示している。電源切替機能部58は、切替制御信号72で制御し、電源切替機能部58でPV発電に切り替える。このように切り替えても電力供給は安定している。
【0045】
区間Fでは、図3(f)に示すように、PV発電ができず、図3(h)に示すように、停電が継続中でAC電源からも電力を供給することができない。このため、電源切替機能部58は、蓄電池36から給電するように制御する。監視機能部52は、停電の復旧を検出した場合、電源切替機能部58にデータ70を供給する。電源切替機能部58は、この復旧を受けて、蓄電池36からAC電源の給電に切り替えるように制御する。電源切替機能部58は、この制御によりAC電源の給電を開始する。
【0046】
区間Gでは、太陽光発電モジュール34がPV発電で給電している。給電システム24は、一時停電になってもPV発電により安定的に電源を供給する。
【0047】
次に各区間におけるCO排出削減量について記述する。
【0048】
(1) 各区間におけるCO排出削減量は、図3(d)に示すように、計算機能のON状態は、PV発電による電力が供給されている状態であり、計算機能のOFF状態は、AC電源および蓄電池のいずれかにより給電されている場合である。
【0049】
また、CO削減量において余剰電力の場合、区間Cと区間Eで給電システム24は、太陽光発電モジュール34の最大発電電力量P0を発電している。このため、給電システム24は、IP電話装置12で消費する最大電力量P1を越える電力量(P0-P1)を余剰電力として他システムに電力供給している。給電システム24は、この余剰電力量がCO排出の削減に寄与している。区間Gでも、給電システム24は、最大発電量ではないが、電力P1を越えた余剰電力分のCOを削減し、地球環境における温暖化防止に寄与することができる。
【0050】
(2) 消費電力モードにおいて、区間Aでは消費電力量が“大”であることから、CO排出量は、区間Gの消費電量“小”の場合よりも一層多く削減している。区間Cでは消費電力量が大→小に、そして、区間Eでは消費電力量が小→大→小と変化している。COの削減量は、それぞれに応じた消費電力量になる。
【0051】
(3) 蓄電池36は、フル充電ではない場合、PV発電で得られた余剰電力を蓄電池36に供給して、充電することができることを表わしている。よって、給電システム24で削減できるCO排出量は、(1)、(2)および(3)の総和になる。CO排出量は、非特許文献1に基づいて算出するとよい。
【0052】
次に本発明に係る通信装置を適用したIP電話システム10におけるIP電話装置12の給電システム24の基本的な動作について、図4を参照しながら記述する。初期状態では、電源切替機能部58によりAC電源装置38から給電する(ステップS10)。
【0053】
次に電力P3以上か否かを判定する(ステップS12)。監視機能部52で太陽光発電モジュール34から供給される電力を検出し、電源制御機能部54で検出した電力が電力P3以上の場合(YES)、消費電力モードの動作判定に進む(ステップS14へ)。また、監視機能部52で太陽光発電モジュール34から供給される電力を検出し、電源制御機能部54で検出した電力が電力P3未満の場合(NO)、停電判定処理に進む(ステップS16へ)。
【0054】
消費電力モードの動作判定は、電源制御機能部54で消費電力モードがON/OFFのいずれにあるか判定する(ステップS14)。消費電力モードがONと判定した場合(YES)、電力P1判定処理に進む(ステップS18へ)。また、消費電力モードがOFFと判定した場合(NO)、電力P3判定処理に進む(ステップS20へ)。
【0055】
電力P1判定処理は、監視機能部52で太陽光発電モジュール34から供給される電力を検出し、電源制御機能部54で検出した電力が電力P1以上かを判定する処理である(ステップS18)。電源制御機能部54で太陽光発電モジュール34から供給される電力が電力P1以上と判定した場合(YES)、電源制御機能部54は太陽光発電モジュール34から給電するように切替制御信号72を生成する。また、電源制御機能部54で太陽光発電モジュール34から供給される電力が電力P1未満と判定した場合(NO)、AC電源の給電に戻る(ステップS10へ)。
【0056】
電力P3判定処理は、監視機能部52で太陽光発電モジュール34から供給される電力を検出し、電源制御機能部54で検出した電力が電力P3以上かを判定する処理である(ステップS20)。電源制御機能部54で太陽光発電モジュール34から供給される電力が電力P3以上と判定した場合(YES)、電源制御機能部54は太陽光発電モジュール34から給電するように切替制御信号72を生成する。また、電源制御機能部54で太陽光発電モジュール34から供給される電力が電力P3未満と判定した場合(NO)、AC電源の給電に戻る(ステップS10へ)。
【0057】
次に給電システム24は、生成した切替制御信号72に応じて太陽光発電モジュール34から給電、すなわちPV給電する(ステップS22)。電源切替機能部58は、供給される切替制御信号72に応じて太陽光発電モジュール34から給電する。
【0058】
次に電力P2以下か否かを判定する(ステップS24)。監視機能部52で太陽光発電モジュール34から供給される電力を検出し、電源制御機能部54で検出した電力が電力P2以下の場合(YES)、AC電源の給電に戻る(ステップS10へ)。また、監視機能部52で太陽光発電モジュール34から供給される電力を検出し、電源制御機能部54で検出した電力が電力P2より大きい場合(NO)、太陽光発電モジュール34からの給電に戻る(ステップS22へ)。
【0059】
停電判定処理は、監視機能部52でAC電源装置38からの給電の有無を判定する処理である(ステップS16)。停電の場合(YES)、蓄電池36による給電判定処理に進む(ステップS26へ)。また、給電が可能な場合(NO)、AC電源の給電に戻る(ステップS10へ)。
【0060】
蓄電池36による給電判定処理は、監視機能部52で蓄電池36から供給される電力を検出し、電源制御機能部54で検出した電力が十分な充電状態にあるか否か判定する処理である(ステップS26)。蓄電池36の電力が十分な充電状態にある場合(YES)、電源制御機能部54で蓄電池36から給電できるように切替制御信号72を生成する。また、蓄電池36からの給電が不可な場合(NO)、AC電源の給電に戻る(ステップS10へ)。
【0061】
給電システム24は、生成した切替制御信号72に応じて切り替えて、蓄電池36から給電する(ステップS28)。電源切替機能部58は、供給される切替制御信号72に応じて蓄電池36から給電する。この後、給電しながら、蓄電池36の使用が可能かを判定する処理に進む(ステップS30へ)。
【0062】
蓄電池36の使用が可能かを判定する処理は、監視機能部52で蓄電池36から供給される電力を検出し、電源制御機能部54で検出した電力が使用可能か否か判定する処理である(ステップS30)。検出した電力が使用可能な状態と判定した場合(NO)、電源制御機能部54は、蓄電池36からの給電を継続させる。検出した電力が使用不可な状態と判定した場合(YES)、電源制御機能部54は、AC電源の給電に戻る(ステップS10へ)。
【0063】
このように動作させることにより、大幅な省エネルギー化を図り、地球環境問題解決に貢献することができる。
【0064】
次に本発明に係る通信装置を、IP電話装置12を除く個々の機器に適用した場合の給電システム24について記述する。ただし、記述の繰り返しを避けるため、上述したIP電話装置12の給電システム24と相違する点についてのみ記述する。
【0065】
個々の機器として、多機能電話機16、無線LAN基地局18、IP多機能電話機20および無線IP多機能電話機22は、それぞれ、IP電話装置12と通話機能部62とをLAN(Local Area Network)ケーブル92でつなぐ。LANケーブル92は、8線において、LAN回線の通信に用いていない4線の2線を発電により得られた余剰エネルギーを、たとえばIP電話装置12に提供する給電として用い、残りの2線を受電用に使用してもよい。具体的には、特許文献2のLAN回線に用いない、LANコネクタの4、6、7および8ピンを給電および受電用に用いるとよい。
【0066】
また、多機能電話機16、無線LAN基地局18、IP多機能電話機20および無線IP多機能電話機22は、余剰電力として他システムに電力供給せず、(2) 消費電力モードにおける消費電力量と(3) 蓄電池36による充電状態に応じた給電がCO2削減に貢献させることができる。したがって、給電システム24における多機能電話機16、無線LAN基地局18、IP多機能電話機20および無線IP多機能電話機22で削減できるCO排出量は、(2)および(3)の総和になる。
【0067】
なお、本発明は、本実施例に記載したような企業内ネットワークにおける電話システムに限定されるものでなく、太陽光発電を利用できるすべての電化製品に適用可能なことはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明に係る通信装置を適用したIP電話システムのIP電話装置における給電システムの概略的な構成を示すブロック図である。
【図2】図1の給電システムを適用したIP電話システムの概略的な構成を示すブロック図である。
【図3】図2の給電システムにおける状態繊維を示す図である。
【図4】図2の給電システムにおける動作手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0069】
10 IP電話システム
12 IP電話装置
14 アナログ電話機
16 多機能電話機
18 無線LAN基地局
20 IP多機能電話機
22 無線IP多機能電話機
24 給電システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
IP(Internet Protocol)端末装置および/または電話機を端末装置として用い、該端末装置間の通信を中継するおよび/または無線LAN(Local Area Network)基地局を介して中継するIP電話装置と複数の前記端末装置をIP通信システムの構成要素に用いて相互に通信する各構成要素となる通信装置において、
該通信装置を駆動させる給電手段を具備し、
該給電手段は、少なくとも、太陽光を電気信号に変換し、発電し、電源として供給する太陽光発電手段を有する電源手段と、
電源としての給電を制御する制御手段とを含み、
前記制御手段は、前記電源手段から供給される給電信号の電圧および電流を監視する監視機能ブロックと、
該監視機能ブロックから供給される監視結果と該通信装置における給電条件に応じて電源の供給源を切り替える切替制御信号を生成する電源制御機能ブロックと、
前記給電信号の電圧を所定の電圧に変換する電圧変換機能ブロックと、
変換された所定の電圧を前記切替制御信号に応じて切り替える電源切替機能ブロックと、
切り替えた電源の供給源における監視結果を基に省エネルギー量を計算し、計算結果を情報として管理する情報管理手段に出力する演算機能ブロックとを含むことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の通信装置において、前記電源手段は、さらに、充放電機能を有する電池と、
通常の交流信号を給電する交流電源手段とを含む複合型の電源手段であることを特徴とする通信装置。
【請求項3】
請求項2に記載の通信装置において、該通話装置となるIP電話装置は、前記太陽光発電手段により該IP電話装置における所定の動作電力量を越えた発電に応じて余剰分を前記電池に蓄え、
前記太陽光発電手段の発電の停止状態に応じて前記電池および前記交流電源手段のいずれか一方から給電することを特徴とする通信装置。
【請求項4】
請求項2に記載の通信装置において、該通話装置となるIP電話装置は、前記監視機能ブロックで前記太陽光発電手段による発電電力量を検出し、前記電源制御機能ブロックで検出した発電電力量が示す余剰状態に応じて剰余分の電力を他の周辺機器に給電し、検出した発電が停止状態にあり、かつ前記電池の充電不足状態に応じて外部から給電する入出力手段を含むことを特徴とする通信装置。
【請求項5】
請求項2に記載の通信装置において、前記給電手段は、前記電源制御機能ブロックで該給電手段が配設された構成要素が動作中および待機中のいずれの状態にあるかに応じて供給する電源を切り替えることを特徴とする通信装置。
【請求項6】
請求項1に記載の通信装置において、該通信装置は、前記計算結果を表示する表示パネル上に透明な太陽光発電パネルが重ねて配設されている表示手段を有することを特徴とする通信装置。
【請求項7】
請求項1に記載の通信装置において、該通信装置となるIP電話装置は、前記太陽光発電による給電が停止状態において、前記端末装置であるアナログ電話機に対して公衆電話回線からの給電に切り替えることを特徴とする通信装置。
【請求項8】
請求項1に記載の通信装置において、該通信装置は、前記電源切替機能ブロックからの給電を受けて、待機/通話を実行する通信機能ブロックを含むことを特徴とする通信装置。
【請求項9】
IP(Internet Protocol)端末装置および/または電話機を端末装置として用い、該端末装置間の通信を中継および/または無線LAN(Local Area Network)基地局を介して中継するIP電話装置と複数の前記端末装置をIP通信システムの構成要素に用いて相互に通信する各構成要素となる通信装置における給電方法において、
該通信装置は、給電手段として、太陽光を電気信号に変換し、発電し、電源として供給する太陽光発電手段と、
充放電機能を有する電池と、
通常の交流信号を給電する交流電源手段とを含む複合型の電源手段を具備し、
該方法は、前記太陽光発電における最大発電である第1の給電電力、
該通信装置の運用上、要求される太陽光発電における発電である第2の給電電力、
消費電力が所定の電力値を閾値として前記太陽光発電における給電に切り替える第3の給電電力および
前記太陽光発電からの給電を前記交流電源手段からの給電に切り替える第4の給電電力を、あらかじめ閾値に設定し、監視結果として得られた給電電力に対して、第1ないし第4の給電電力の順に切替における優先順位を設けて、給電を切り替えることを特徴とする通信装置における給電方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法において、該方法は、交流電源を給電する第1の工程と、
前記太陽光発電における電力が第3の給電電力以上か否かを判定する第2の工程と、
第2の工程の判定が真の場合に進む、動作中および待機中のいずれかを示す消費電力モードの動作を判定する第3の工程と、
第2の工程の判定が偽の場合に進む、前記交流電源装置の停電を判定する第4の工程と、
第3の工程の判定が真の場合に進む、前記太陽光発電における電力が第2の給電電力以上かを判定する第5の工程と、
第3の工程の判定が偽の場合に進む、前記太陽光発電における電力が第3の給電電力以上か否かを判定する第6の工程と、
第5の工程の判定が真の場合に進む、前記太陽光発電手段から給電する切替制御信号を生成する第7の工程と、
第5の工程の判定が偽の場合、第1の工程に戻し、
第6の工程の判定が真の場合に進む、前記太陽光発電手段から給電する切替制御信号を生成する第8の工程と、
第7および第8の工程のそれぞれ以降、生成した切替制御信号に応じて前記太陽光発電手段から給電する第9の工程と、
前記太陽光発電における電力が第4の給電電力以下か否かを判定する第10の工程と、
第4の工程の判定が真の場合に進む、前記電池による給電を判定する第11の工程と、
第11の工程の判定が真の場合に進む、前記電池から給電する切替制御信号を生成する第12の工程と、
生成した切替制御信号に応じて前記電池から給電する第13の工程と、
前記電池からの給電を監視して、前記電池の電力が使用可能な状態か否かを判定する第14の工程とを含み、
該方法は、第6の工程の判定が偽の場合、第10の工程の判定が真の場合、第4の工程の判定が偽の場合、第11の工程の判定が偽の場合、および第14の工程の判定が偽の場合、動作手順を第1の工程に戻し、
第10の工程の判定が偽の場合、第9の工程に戻し、
第14の工程の判定が真の場合、前記電池からの給電を継続させることを特徴とする通信装置における給電方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−81200(P2010−81200A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−246009(P2008−246009)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】