説明

通信装置及び通信方法

【課題】複数のアンテナを用いて信号を送信する際の送信性能を向上することが可能な技術を提供する。
【解決手段】通信部13は、干渉数取得部124で求められた干渉源の数がしきい値よりも小さい場合には、複数のアンテナ110での送信指向性に関して、ヌルステアリング及びビームフォーミングのうちの少なくともヌルステアリングを行う。一方で、通信部13は、干渉数取得部1234で求められた干渉源の数がしきい値よりも大きい場合には、複数のアンテナ110aでの送信指向性に関して、ヌルステアリング及びビームフォーミングのうちのビームフォーミングだけを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のアンテナでの送信指向性を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から通信装置に関して様々な技術が提案されている。例えば特許文献1には、複数のアンテナから成るアレイアンテナの指向性を適応的に制御するアダプティブアレイアンテナ方式を用いて通信する通信装置に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−223516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さて、特許文献1にも記載されているように、アレイアンテナの送信指向性に関する制御方式としては、ビームフォーミング(ビームステアリングとも呼ばれる)とヌルステアリングが知られている。ビームフォーミングでは、所望方向、つまり通信相手装置が存在する方向にビームが向くようにアレイアンテナの送信指向性が制御され、ヌルの制御は意図的に行われない。一方で、ヌルステアリングでは、送信時に干渉を与えたくない方向(以後、「与干渉抑制方向」と呼ぶ)、つまり通信相手装置以外の通信装置が存在する方向にヌルが向くようにアレイアンテナの送信指向性が制御され、ビームの制御は意図的に行われない。
【0005】
ヌルステアリングにおいては、アレイアンテナの送信指向性において送信利得が落ち込む部分(ヌル)を意図的に形成することから、この部分の影響により、所望方向での送信利得がビームステアリングと比較して小さくなる傾向にある。また、ヌルステアリングとビームフォーミングを同時に行う場合にも、所望方向での送信利得がビームステアリングだけを行う場合と比較して小さくなる傾向にある。そのため、通信装置の送信性能が低下することがある。
【0006】
そこで、本発明は上述の点に鑑みて成されたものであり、複数のアンテナを用いて信号を送信する際の送信性能を向上することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る通信装置は、複数のアンテナを用いて通信を行い、信号を送信する際には当該複数のアンテナでの送信指向性を制御する通信部と、前記通信部で受信される受信信号に基づいて、干渉源の数を求める干渉数取得部とを備え、前記通信部は、前記干渉源の数がしきい値よりも小さい場合には、前記複数のアンテナでの送信指向性に関して、ヌルステアリング及びビームフォーミングのうちの少なくともヌルステアリングを行い、前記干渉源の数が前記しきい値よりも大きい場合には、前記複数のアンテナでの送信指向性に関して、ヌルステアリング及びビームフォーミングのうちのビームフォーミングだけを行う。
【0008】
また、本発明に係る通信装置の一態様では、前記通信部で受信される、通信相手装置からの受信信号についての受信電力を求める受信電力取得部がさらに設けられ、前記通信部は、前記受信電力が第2のしきい値よりも大きく、かつ前記干渉源の数が前記しきい値よりも小さい場合には、前記通信相手装置に信号を送信する際の前記複数のアンテナでの送信指向性に関して、ヌルステアリング及びビームフォーミングのうちの少なくともヌルステアリングを行い、前記受信電力が前記第2のしきい値よりも小さい場合、あるいは前記干渉源の数が前記しきい値より大きい場合には、前記通信相手装置に信号を送信する際の前記複数のアンテナでの送信指向性に関して、ヌルステアリング及びビームフォーミングのうちのビームフォーミングだけを行う。
【0009】
また、本発明に係る通信装置は、複数のアンテナを用いて通信を行い、信号を送信する際には当該複数のアンテナでの送信指向性を制御する通信部と、前記通信部で受信される受信信号に基づいて、干渉源の数を求める干渉数取得部とを備え、前記通信部は、前記複数のアンテナでの送信指向性に関してヌルステアリング及びビームフォーミングを同時に行い、前記干渉源の数が大きいほど、当該ヌルステアリングでの抑圧効果を低減する。
【0010】
また、本発明に係る通信装置は、複数のアンテナを用いて通信を行い、信号を送信する際には当該複数のアンテナでの送信指向性を制御する通信部と、前記通信部で受信される、通信相手装置からの受信信号についての受信電力を求める受信電力取得部とを備え、前記通信部は、前記受信電力がしきい値よりも大きい場合には、前記通信相手装置に信号を送信する際の前記複数のアンテナでの送信指向性に関して、ヌルステアリング及びビームフォーミングのうちの少なくともヌルステアリングを行い、前記受信電力が前記しきい値よりも小さい場合には、前記通信相手装置に信号を送信する際の前記複数のアンテナでの送信指向性に関して、ヌルステアリング及びビームフォーミングのうちのビームフォーミングだけを行う。
【0011】
また、本発明に係る通信装置は、複数のアンテナを用いて通信を行い、信号を送信する際には当該複数のアンテナでの送信指向性を制御する通信部と、前記通信部で受信される、通信相手装置からの受信信号についての受信電力を求める受信電力取得部とを備え、前記通信部は、前記通信相手装置に信号を送信する際の前記複数のアンテナでの送信指向性に関してヌルステアリング及びビームフォーミングを同時に行い、前記受信電力が小さいほど、当該ヌルステアリングでの抑圧効果を低減する。
【0012】
また、本発明に係る通信方法は、(a)複数のアンテナを用いて通信を行い、信号を送信する際には当該複数のアンテナでの送信指向性を制御する工程と、(b)前記工程(a)で受信される受信信号に基づいて、干渉源の数を求める工程とを備え、前記工程(a)では、前記干渉源の数がしきい値よりも小さい場合には、前記複数のアンテナでの送信指向性に関して、ヌルステアリング及びビームフォーミングのうちの少なくともヌルステアリングが行われ、前記干渉源の数が前記しきい値よりも大きい場合には、前記複数のアンテナでの送信指向性に関して、ヌルステアリング及びビームフォーミングのうちのビームフォーミングだけが行われる。
【0013】
また、本発明に係る通信方法は、(a)複数のアンテナを用いて通信を行い、信号を送信する際には当該複数のアンテナでの送信指向性を制御する工程と、(b)前記工程(a)で受信される受信信号に基づいて、干渉源の数を求める工程とを備え、前記工程(a)では、前記複数のアンテナでの送信指向性に関してヌルステアリング及びビームフォーミングが同時に行われ、前記干渉源の数が大きいほど、当該ヌルステアリングでの抑圧効果が低減される。
【0014】
また、本発明に係る通信方法は、(a)複数のアンテナを用いて通信を行い、信号を送信する際には当該複数のアンテナでの送信指向性を制御する工程と、(b)前記工程(a)で受信される通信相手装置からの受信信号についての受信電力を求める工程とを備え、前記工程(a)では、前記受信電力がしきい値よりも大きい場合には、前記通信相手装置に信号を送信する際の前記複数のアンテナでの送信指向性に関して、ヌルステアリング及びビームフォーミングのうちの少なくともヌルステアリングが行われ、前記受信電力が前記しきい値よりも小さい場合には、前記通信相手装置に信号を送信する際の前記複数のアンテナでの送信指向性に関して、ヌルステアリング及びビームフォーミングのうちのビームフォーミングだけが行われる。
【0015】
また、本発明に係る通信方法は、(a)複数のアンテナを用いて通信を行い、信号を送信する際には当該複数のアンテナでの送信指向性を制御する工程と、(b)前記工程(a)で受信される通信相手装置からの受信信号についての受信電力を求める工程とを備え、前記工程(a)では、前記通信相手装置に信号を送信する際の前記複数のアンテナでの送信指向性に関してヌルステアリング及びビームフォーミングが同時に行われ、前記受信電力が小さいほど、当該ヌルステアリングでの抑圧効果が低減される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、複数のアンテナを用いて信号を送信する際の送信性能が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施の形態に係る基地局を備える通信システムの構成を示す図である。
【図2】実施の形態に係る基地局の構成を示す図である。
【図3】ヌルステアリングを行っている基地局の送信指向性の一例を示す図である。
【図4】ビームフォーミングを行っている基地局の送信指向性の一例を示す図である。
【図5】ヌルステアリングを行っている基地局の送信指向性の一例を示す図である。
【図6】ビームフォーミングを行っている基地局の送信指向性の一例を示す図である。
【図7】実施の形態に係る基地局の動作を示すフローチャートである。
【図8】ヌルステアリングでの抑圧効果を変化させた際の基地局の送信指向性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は本実施の形態に係る通信装置を備える通信システム100の構成を示す図である。本実施の形態に係る通信装置は、例えば、通信端末と通信を行う基地局である。以後、本実施の形態に係る通信装置を「基地局1」と呼ぶ。
【0019】
図1に示されるように、通信システム100は複数の基地局1を備えており、各基地局1は複数の通信端末2と通信を行う。各基地局1のサービスエリア10は、周辺基地局1のサービスエリア10と部分的に重なっている。図1では、4つの基地局1だけしか示されていないため、1つの基地局1に対して周辺基地局1が2つあるいは3つだけしか存在していないが、実際には、1つの基地局1に対して例えば6つの周辺基地局1が存在する。
【0020】
複数の基地局1は、図示しないネットワークに接続されており、当該ネットワークを通じて互いに通信可能となっている。また、ネットワークには図示しないサーバ装置が接続されており、各基地局1は、ネットワークを通じてサーバ装置と通信可能となっている。
【0021】
図2は各基地局1の構成を示す図である。基地局1は、送受信アンテナとしてアレイアンテナを有し、アダプティブアレイアンテナ方式を用いてアレイアンテナの指向性を制御することが可能である。
【0022】
図2に示されるように、基地局1は、無線処理部11と、当該無線処理部11を制御する制御部12とを備えている。無線処理部11は、複数のアンテナ110aから成るアレイアンテナ110を有している。無線処理部11は、アレイアンテナ110で受信される複数の受信信号のそれぞれに対して増幅処理、ダウンコンバート及びA/D変換処理等を行って、ベースバンドの複数の受信信号を生成して出力する。
【0023】
また、無線処理部11は、制御部12で生成されるベースバンドの複数の送信信号のそれぞれに対して、D/A変換処理、アップコンバート及び増幅処理等を行って、搬送帯域の複数の送信信号を生成する。そして、無線処理部11は、生成した搬送帯域の複数の送信信号を、アレイアンテナ110を構成する複数のアンテナ110aにそれぞれ入力する。これにより、各アンテナ110aから送信信号が無線送信される。
【0024】
制御部12は、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)及びメモリなどで構成されている。制御部12は、機能ブロックとして、送信信号生成部120、受信データ取得部121、送信ウェイト処理部122、受信ウェイト処理部123、干渉数取得部124及び受信電力取得部125を備えている。
【0025】
送信信号生成部120は、基地局1の通信相手装置である、通信対象の通信端末2に送信する送信データを生成する。そして、送信信号生成部120は、生成した送信データを含むベースバンドの送信信号を生成する。この送信信号は、アレイアンテナ110を構成する複数のアンテナ110aの数だけ生成される。
【0026】
送信ウェイト処理部122は、アレイアンテナ110での送信指向性を制御するための複数の送信ウェイトを算出する。そして、送信ウェイト処理部122は、送信信号生成部120で生成された複数の送信信号に対して、算出した複数の送信ウェイトをそれぞれ設定する。送信ウェイト処理部122は、複数の送信ウェイトがそれぞれ設定された複数の送信信号を無線処理部11に出力する。
【0027】
受信ウェイト処理部123は、アレイアンテナ110での受信指向性を制御するための複数の受信ウェイトを算出する。そして、受信ウェイト処理部123は、無線処理部11から入力される複数の受信信号に対して、算出した複数の受信ウェイトをそれぞれ設定する。受信ウェイト処理部123は、複数の受信ウェイトがそれぞれ設定された複数の受信信号を合成して新たな受信信号を生成する。
【0028】
受信データ取得部121は、受信ウェイト処理部123で生成された新たな受信信号に対して復調処理等を行って、当該受信信号に含まれる制御データ及びユーザデータを取得する。
【0029】
本実施の形態に係る基地局1では、無線処理部11、送信ウェイト処理部122及び受信ウェイト処理部123によって、アレイアンテナ110の指向性を適応的に制御しながら通信端末2と通信を行う通信部13が構成されている。通信部13は、通信端末2と通信する際に、アレイアンテナ110の受信指向性及び送信指向性のそれぞれを制御する。具体的には、通信部13は、受信ウェイト処理部123において、受信信号に乗算する受信ウェイトを調整することより、アレイアンテナ110での受信指向性を制御する。また、通信部13は、送信ウェイト処理部122において、送信信号に乗算する送信ウェイトを調整することより、アレイアンテナ110での送信指向性を制御する。送信ウェイトは受信ウェイトから求めることができ、受信ウェイトは通信端末2から出力されるパイロット信号などの既知信号に基づいて求めることができる。
【0030】
干渉数取得部124は、通信部13で受信される受信信号に基づいて、基地局1に対して干渉波を送信する干渉源の数を求める。例えば、干渉数取得部124は、無線処理部11から出力される、複数のアンテナでそれぞれ受信された複数の受信信号のいずれか一つに基づいて干渉源の数を求める。この干渉源の数の求め方については後で詳細に説明する。
【0031】
受信電力取得部125は、通信部13で受信される、通信対象の通信端末2からの受信信号についての受信電力を求める。例えば、受信電力取得部125は、無線処理部11から出力される、複数のアンテナ110aでそれぞれ受信された複数の既知信号(既知の複素信号)の振幅(大きさ)を求めて、これらの振幅の総和を、通信部13で受信された受信信号の受信電力とする。
【0032】
<アレイアンテナの送信指向性の制御に関する問題点>
<第1の問題点>
本実施の形態に係る基地局1は、アレイアンテナ110の送信指向性の制御(以後、「アレイ送信制御」と呼ぶことがある)に関して、ビームフォーミング及びヌルステアリングのそれぞれを行うことが可能である。送信時のビームフォーミングでは、所望方向、つまり通信相手装置が存在する方向にビームが向くようにアレイアンテナの送信指向性が制御される。送信時のビームフォーミングでは、アレイアンテナの送信指向性について、ヌルの制御は意図的に行われないが、ビームを制御した結果、ヌルが形成されることがある。一方で、送信時のヌルステアリングでは、与干渉抑制方向、つまり通信相手装置以外の通信装置が存在する方向にヌルが向くようにアレイアンテナの送信指向性が制御される。送信時のヌルステアリングでは、アレイアンテナの送信指向性について、ビームの制御は意図的に行われないが、ヌルを制御した結果、ビームが形成されることがある。アレイアンテナの送信指向性に関して、ビームフォーミング及びヌルステアリングの両方が同時に行われる際には、ビームとヌルの両方が意図的に制御されることになる。
【0033】
ここで、基地局1が通信対象の通信端末2(以後、「通信対象端末2」と呼ぶことがある)と通信する場合に、周辺基地局1と通信する通信端末2(以後、「周辺端末2」と呼ぶことがある)が当該基地局1と近い位置に存在すると、基地局1が通信対象端末2からの信号を受信する際に、周辺端末2からの信号が干渉波として受信されることがあり、周辺端末2が干渉源となり得る。そして、基地局1が通信対象端末2に対して信号を送信する際には、受信時の干渉源である周辺端末2に信号が届きやすいことから、周辺端末2が与干渉を抑制する対象(以後、「与干渉抑制対象」と呼ぶことがある)となる。つまり、基地局1での通信対象端末2に信号を送信する際のヌルステアリングでは、通信対象端末2からの信号の受信時の干渉源に対してヌルを向けることになる。
【0034】
一方で、送信時のヌルステアリングにおいては、アレイアンテナ110の送信指向性において送信利得が落ち込む部分(ヌル)を意図的に形成することから、この部分の影響により、所望方向での送信利得が小さくなる傾向にある。そして、送信時のヌルステアリングにおいては、ヌルを向ける対象が多くなるにつれて、所望方向での送信利得が小さくなる傾向にある。したがって、基地局1での通信対象端末2に信号を送信する際のヌルステアリングでは、受信時の干渉源が多くなるについて、通信対象端末2に対する送信利得が小さくなる傾向にある。その結果、通信対象端末2に基地局1からの信号が届かない可能性がある。図3はその様子を示す図である。
【0035】
図3には、基地局1aが通信対象端末2aに信号を送信する際にヌルステアリングを行った際のアレイアンテナ110の送信指向性200が示されている。図3の例では、周辺基地局1bと通信する周辺端末2bと、周辺基地局1cと通信する周辺端末2cと、周辺基地局1dと通信する周辺端末2dとが、受信時の干渉源となっており、送信時の与干渉抑制対象となっている。
【0036】
図3に示されるように、基地局1aのアレイアンテナ110の送信指向性200においては、周辺端末2b〜2cのそれぞれにヌル200Nが向いている。一方で、当該送信指向性200においては、ヌル200Nを向ける対象が多いため、基地局1aの通信対象端末2aには、ビーム200Bが届いておらず、基地局1aの送信信号が、通信対象端末2aに届かなくなってしまっている。
【0037】
このように、基地局1においては、干渉源が多くなると、アレイ送信制御にヌルステアリングを使用すると、通信対象端末2に信号が届かない可能性がある。なお、ヌルステアリング及びビームフォーミングを同時に行ってアレイアンテナ110から信号を送信する場合も同様である。
【0038】
そこで、本実施の形態では、干渉源の数がしきい値よりも小さい場合には、アレイアンテナ110の送信指向性に関して、ヌルステアリング及びビームフォーミングのうちの少なくともヌルステアリングを行う。そして、干渉源の数がしきい値よりも大きい場合には、アレイアンテナ110の送信指向性に関して、ヌルステアリング及びビームフォーミングのうちのビームフォーミングだけを行う。ただし、後述するように、通信対象端末2からの受信信号の受信電力がしきい値以下の場合には、干渉源の数を問わず、アレイアンテナ110の送信指向性に関してビームフォーミングだけを行う。
【0039】
図4は、図3とは異なり、基地局1aが、干渉源が多い場合に、通信対象端末2aに信号を送信する際にビームフォーミングだけを行っている様子を示す図である。図4に示されるように、基地局1aが、干渉源が多い場合に、通信対象端末2aに信号を送信する際にビームフォーミングだけを行うことによって、アレイアンテナ110に送信指向性200に関するビーム200Bを通信対象端末2aに到達させることができる。よって、基地局1aは、通信対象端末2aに信号を確実に届けることができる。その結果、基地局1aの送信性能が向上する。
【0040】
なお、ビームフォーミングだけを行う場合には、ヌルは意図的に制御されないことから、図4に示されるように、送信指向性200に関するビーム200Bが周辺端末2b〜2dに到達してしまうことがある。その結果、周辺端末2b〜2dに干渉を与える可能性がある。しかしながら、通信対象端末2aは基地局1aからの信号を確実に受信することができるため、通信対象端末2aと基地局1aとの間の通信性能は向上する。
【0041】
本実施の形態では、干渉源の数がしきい値よりも小さい場合には、基地局1は、例えば、通信対象端末2への信号の送信時にヌルステアリング及びビームフォーミングの両方を同時に行う。受信ウェイトを求める手法として、SMI(Sample Matrix Inversion)やLMS(Least Mean Square)などの最小二乗誤差法(MMSE:Minimum Mean Square Error)が知られている。この最小二乗誤差法を用いて受信ウェイトを算出し、当該受信ウェイトに基づいて送信ウェイトを算出することによって、基地局1の通信部13は、通信対象端末2への信号の送信時にヌルステアリング及びビームフォーミングの両方を同時に行うことができる。
【0042】
また、干渉源の数がしきい値と同じ場合には、アレイアンテナ110の送信指向性に関して、ヌルステアリング及びビームフォーミングのうちの少なくともヌルステアリングを行っても良いし、ビームフォーミングだけを行ってもよい。本実施の形態では、干渉源の数がしきい値以上の場合には、アレイアンテナ110の送信指向性に関してビームフォーミングだけを行うこととする。以後、干渉源の数と比較されるしきい値を「第1のしきい値」と呼ぶ。
【0043】
<第2の問題点>
上述のように、送信時のヌルステアリングにおいては、所望方向での送信利得が小さくなる傾向にあることから、基地局1の通信対象端末2が当該基地局1よりも遠い場所に存在する場合には、通信対象端末2に基地局1からの信号が届かない可能性がある。図5はその様子を示す図である。
【0044】
図5には、基地局1aが、当該基地局1aから遠い位置に存在する通信対象端末2aに信号を送信する場合にヌルステアリングを行った際のアレイアンテナ110の送信指向性200が示されている。図5では、周辺端末2の図示は省略している。
【0045】
図5に示されるように、基地局1aにおいては、通信対象端末2aが存在する方向の送信利得が不十分であって、送信指向性200のビーム200Bが通信対象端末2aに届いていない。したがって、この場合には、基地局1aの送信信号が、通信対象端末2aに届かない。
【0046】
そこで、本実施の形態に係る基地局1では、通信対象端末2からの受信信号の受信電力がしきい値よりも大きい場合には、当該通信対象端末2は当該基地局1の近くに存在すると判断して、アレイアンテナ110の送信指向性に関して、ヌルステアリング及びビームフォーミングのうちの少なくともヌルステアリングを行う。そして、通信対象端末2からの受信信号の受信電力がしきい値よりも小さい場合には、当該通信対象端末2は当該基地局1の遠くに存在すると判断して、アレイアンテナ110の送信指向性に関して、ヌルステアリング及びビームフォーミングのうちのビームフォーミングだけを行う。ただし、後述するように、通信対象端末2についての受信電力がしきい値よりも大きい場合であっても、干渉源の数が第1のしきい値以上の場合には、アレイアンテナ110の送信指向性に関してビームフォーミングだけを行う。
【0047】
図6は、図5とは異なり、基地局1aが、通信対象端末2aについての受信電力がしきい値よりも小さい場合に、通信対象端末2aに信号を送信する際にビームフォーミングだけを行っている様子を示す図である。図6に示されるように、基地局1aが、通信対象端末2aについての受信電力がしきい値よりも小さい場合に、通信対象端末2aに信号を送信する際にビームフォーミングだけを行うことによって、アレイアンテナ110に送信指向性200に関するビーム200Bを通信対象端末2aに到達させることができる。よって、基地局1aは、通信対象端末2aに信号を確実に届けることができる。その結果、基地局1aの送信性能が向上する。
【0048】
本実施の形態では、通信対象端末2からの受信信号の受信電力がしきい値よりも大きい場合には、基地局1は、例えば、通信対象端末2への信号の送信時にヌルステアリング及びビームフォーミングの両方を同時に行う。
【0049】
また、通信対象端末2についての受信電力がしきい値と同じ場合には、アレイアンテナ110の送信指向性に関して、ヌルステアリング及びビームフォーミングのうちの少なくともヌルステアリングを行っても良いし、ビームフォーミングだけを行ってもよい。本実施の形態では、通信対象端末2についての受信電力がしきい値以下の場合には、アレイアンテナ110の送信指向性に関してビームフォーミングだけを行うこととする。以後、通信対象端末2についての受信電力と比較されるしきい値を「第2のしきい値」と呼ぶ。
【0050】
<干渉源の数を求める方法>
次に干渉数取得部124の動作について詳細に説明する。以下では、説明の対象となる基地局1を「対象基地局1」と呼ぶことがある。
【0051】
本実施の形態では、対象基地局1の周辺に位置する複数の周辺基地局1のそれぞれについて、当該周辺基地局1と通信する複数の通信端末2のうち、対象基地局1にその送信信号が届くほど対象基地局1の近くに存在する一つあるいは複数の通信端末2については、一つの干渉源として対象基地局1で検出される。言い換えれば、複数の周辺基地局1のそれぞれについて、当該周辺基地局1と通信する通信端末2であって、対象基地局1にその送信信号が届くほど対象基地局1の近くに存在する通信端末2については、それが一つであろうが複数であろうが、対象基地局1では一つの干渉源として検出される。したがって、対象基地局1の周辺に例えば6つの周辺基地局1が存在する場合には、対象基地局1では最大で6つの干渉源が検出されることになる。
【0052】
本実施の形態に係る通信システム100では、各基地局1に対して、当該基地局1が通信する通信端末2が使用するユニークワード(UW)が個別に割り当てられている。基地局1と通信する各通信端末2は、当該基地局1に個別に割り当てられているユニークワードを送信する。ユニークワードは、基地局1が通信端末2と同期する際に使用される既知信号である。本実施の形態では、このユニークワードを使用して干渉源の数を求める。各基地局1では、その周辺に位置する各周辺基地局1に割り当てられているユニークワードが認識されている。
【0053】
対象基地局1では、干渉数取得部124が、無線処理部11から出力される、通信対象端末2からの受信信号と、周辺基地局1に割り当てられているユニークワードとの相関値を、当該ユニークワードの位置を時間方向に少しずつずらしながら算出する。そして、干渉数取得部124は、算出した相関値の最大値がしきい値以上であるなら、つまり、そのユニークワードが割り当てられた周辺基地局1と通信する複数の通信端末2において、対象基地局1にその送信信号が届くほど対象基地局1の近くに位置する通信端末2が存在するなら、1つの干渉源が存在すると判断する。干渉数取得部124は、このような干渉源の検出を、対象基地局1の周辺に存在する複数の周辺基地局1にそれぞれ割り当てられている複数のユニークワードのそれぞれを用いて行う。これにより、干渉数取得部124では、通信対象端末2からの信号を受信する際の干渉源の数が求められる。
【0054】
<基地局のアレイ送信制御>
次に、対象基地局1が通信対象端末2に対するアレイ送信制御を行う際の一連の動作について説明する。図7は当該動作を示すフローチャートである。
【0055】
図7に示されるように、ステップs1において、対象基地局1の通信部13が通信対象端末2からの受信信号をアレイアンテナ110で受信すると、ステップs2において、干渉数取得部124は、上述のようにして、当該受信信号に基づいて干渉源の数を求める。
【0056】
次にステップs3において、受信電力取得部125は、上述のようにして、通信対象端末2からの受信信号についての受信電力を求める。
【0057】
次にステップs4において、通信部13では、受信ウェイト処理部123が、ステップs3で求められた受信電力が第2のしきい値以下であるか否かを判定する。ステップs4において、受信電力が第2のしきい値以下であると判定されると、つまり、通信対象端末2が基地局1から遠い位置に存在する場合には、通信部13の受信ウェイト処理部123は、アレイ送信制御にビームフォーミングを採用することを決定する。
【0058】
その後、受信ウェイト処理部123は、ビームフォーミングに対応したアルゴルズムで受信ウェイトを算出し、当該受信ウェイトに基づいて送信ウェイト処理部122が送信ウェイトを算出する。本実施の形態に係る送信ウェイト処理部122は、受信ウェイト処理部123で求められた受信ウェイトをキャリブレーション情報に基づいて補正し、補正後の受信ウェイトを送信ウェイトとする。キャリブレーション情報は、対象基地局1での送信系回路と受信系回路の特性の相違に基づいて生成される情報である。受信ウェイト処理部123で求められた受信ウェイトをそのまま送信ウェイトとして使用することも可能であるが、送信系回路と受信系回路の特性に相違(例えば、送信系回路と受信系回路の増幅部の特性の相違)があるため、キャリブレーション情報を使用して、その相違を吸収するように受信ウェイトを補正することによって、最適な送信ウェイトを得ることができる。
【0059】
その後、ステップs8において、通信部13は、ステップs7で求められた送信ウェイトを送信信号に設定して、送信ウェイトが設定された送信信号をアレイアンテナ110から送信する。これにより、対象基地局1は通信対象端末2に信号を送信する際にビームフォーミングだけを行う。
【0060】
ステップs4において、受信電力が第2のしきい値以下ではないと判定されると、つまり、通信対象端末2が基地局1に近い位置に存在する場合には、ステップs5において、通信部13の受信ウェイト処理部123は、干渉数取得部124で取得された干渉源の数が第1のしきい値以上であるか否かを判定する。第1のしきい値は、アレイアンテナ110の構成する複数のアンテナ110aの数をNとすると、例えば、(N−1)/2に設定される。なお、アレイアンテナ110の送信指向性においてヌルを設定できる数は(N−1)である。
【0061】
ステップs5において、干渉源の数が第2のしきい値以上であると判定されると、つまり、干渉源が多いと判定されると、上述のステップs7が実行されて、アレイ送信制御にビームフォーミングが採用されることが決定される。その後、ステップs8が実行され、対象基地局1は通信対象端末2に信号を送信する際にビームフォーミングだけを行う。
【0062】
一方で、ステップs5において、干渉源の数が第2のしきい値以上ではないと判定されると、つまり、干渉源が少ないと判定されると、ステップs6において、通信部13の受信ウェイト処理部123は、アレイ送信制御にヌルステアリング及びビームフォーミングを採用することを決定する。その後、受信ウェイト処理部123は、最小二乗誤差法など、ヌルステアリング及びビームフォーミングの両方に対応したアルゴルズムで受信ウェイトを算出し、当該受信ウェイトに基づいて送信ウェイト処理部122が送信ウェイトを算出する。
【0063】
その後、ステップs8において、通信部13は、ステップs6で求められた送信ウェイトを送信信号に設定して、送信ウェイトが設定された送信信号をアレイアンテナ110から送信する。これにより、対象基地局1は、通信対象端末2に信号を送信する際にヌルステアリング及びビームフォーミングを同時に行う。
【0064】
以上のように、本実施の形態に係る基地局1では、干渉源の数が第1のしきい値よりも大きい場合には、アレイアンテナ110の送信指向性に関してビームフォーミングだけを行っているため、アレイアンテナ110の送信指向性200に関するビームを通信対象端末2に到達させて、通信対象端末2に信号を確実に届けることができる。その結果、基地局1の送信性能が向上する。
【0065】
また、本実施の形態に係る基地局1では、通信対象端末2からの受信信号についての受信電力が第2のしきい値よりも小さい場合には、アレイアンテナ110の送信指向性に関してビームフォーミングだけを行っているため、アレイアンテナ110に送信指向性200に関するビームを通信対象端末2に到達させて、通信対象端末2に信号を確実に届けることができる。その結果、基地局1の送信性能が向上する。
【0066】
<各種変形例>
以下に、実施の形態に係る基地局1についての各種変形例を説明する。
【0067】
<第1変形例>
上記の例では、干渉源の数と通信対象端末2についての受信電力との両方を使用してアレイ送信制御の方式を決定していたが、干渉源の数と通信対象端末2についての受信電力のどちらか一方だけを使用してアレイ送信制御の方式を決定してもよい。
【0068】
干渉源の数と通信対象端末2についての受信電力のうち干渉源の数だけを使用する場合には、例えば、干渉源の数が第1のしきい値よりも小さい場合には、アレイ送信制御にヌルステアリング及びビームフォーミングの両方を採用し、干渉源の数が第1のしきい値以上の場合にはアレイ送信制御にビームフォーミングだけを採用する。
【0069】
また、干渉源の数と通信対象端末2についての受信電力のうち当該受信電力だけを使用する場合には、例えば、当該受信電力が第2のしきい値よりも大きい場合には、アレイ送信制御にヌルステアリング及びビームフォーミングの両方を採用し、当該受信電力が第2のしきい値以下の場合にはアレイ送信制御にビームフォーミングだけを採用する。
【0070】
<第2変形例>
基地局1が通信対象端末2に信号を送信する場合に、ヌルステアリング及びビームフォーミングを同時に行う際には、当該ヌルステアリングでの抑圧効果を調整することができる。つまり、アレイアンテナ110の送信指向性における、与干渉抑制方向の送信利得を調整することができる。そして、当該ヌルステアリングでの抑圧効果を減少させると、所望方向の送信利得が増加する傾向になる。上述のSMIやLMSなどの最小二乗誤差法を用いてヌルステアリング及びビームフォーミングを同時に行う際には、受信ウェイトの算出に使用する式には、アレイアンテナ110の指向性を調整することが可能なパラメータ(以後、「アレイパラメータ」と呼ぶ)が含まれている。このアレイパラメータの値を調整することによって、ヌルステアリングでの抑圧効果を調整できる。
【0071】
図8は、基地局1が通信対象端末2に信号を送信する場合に、ヌルステアリング及びビームフォーミングを同時に行う場合において、当該ヌルステアリングでの抑圧効果を変化させた際のアレイアンテナ110の送信指向性を示す図である。図8では、横軸にはアレイアンテナ110の周囲の方向が角度で示されており、縦軸には横軸に示される方向(角度)での、所定の基準値に対するアレイアンテナ110の相対的な送信利得が示されている。図8では、二点鎖線で示される送信指向性特性303、実線で示される送信指向性特性302、一点鎖線で示される送信指向性特性301及び波線で示される送信指向性特性300の順に、ヌルステアリングでの抑圧効果が減少している。つまり、この順で、与干渉方向でのアレイアンテナ110の送信利得が小さくなっている。
【0072】
図8に示されるように、ヌルステアリング及びビームフォーミングを同時に行う場合において、当該ヌルステアリングでの抑圧効果を減少させると、所望方向でのアレイアンテナ110の利得が増加する傾向にある。
【0073】
そこで、本変形例では、基地局1がアレイアンテナ110の送信指向性を制御して通信対象端末2に信号を送信する場合には、必ずヌルステアリング及びビームフォーミングを同時に行うこととし、基地局1は、干渉源の数が大きいほど、当該ヌルステアリングでの抑圧効果を低減する。例えば、アレイパラメータの値として、それらを使用して送信ウェイトを算出すればヌルステアリングの抑圧効果が互いに異なるようになる4つの値を予め通信部13に記憶させておく。そして、通信部13は、干渉源の数が零の場合には、ヌルステアリングでの抑圧効果が最も高くなるようなアレイパラメータの値を用いて送信ウェイトを算出する(より正確には、当該アレイパラメータの値に基づいて受信ウェイトを算出し、当該受信ウェイトに基づいて送信ウェイトを算出する)。また、通信部13は、干渉源の数が“1”の場合には、ヌルステアリングでの抑圧効果が次に高くなるようなアレイパラメータの値を用いて送信ウェイトを算出し、干渉源の数が“2”の場合には、ヌルステアリングでの抑圧効果が次に高くなるようなアレイパラメータの値を用いて送信ウェイトを算出する。そして、干渉源の数が“3”以上の場合には、ヌルステアリングでの抑圧効果が最も低くなるようなアレイパラメータの値を用いて送信ウェイトを算出する。
【0074】
このように、干渉源の数が大きいほど、ヌルステアリングでの抑圧効果を低減することによって、干渉源の増加によって所望方向でのアレイアンテナ110の送信利得が低下することを抑制することができる。これにより、上記の例と同様に、アレイアンテナ110の送信指向性に関するビームを通信対象端末2に到達させて、通信対象端末2に信号を確実に届けることができる。その結果、基地局1の送信性能が向上する。
【0075】
また、基地局1がアレイアンテナ110の送信指向性を制御して通信対象端末2に信号を送信する場合には、必ずヌルステアリング及びビームフォーミングを同時に行うこととし、通信対象端末2からの受信信号についての受信電力が小さいほど、当該ヌルステアリングでの抑圧効果を低減しても良い。ヌルステアリングでの抑圧効果の低減方法の具体例については、上述の干渉源の数を使用する場合と同様である。これにより、上記の例と同様に、アレイアンテナ110の送信指向性に関するビームを通信対象端末2に到達させて、通信対象端末2に信号を確実に届けることができる。その結果、基地局1の送信性能が向上する。
【0076】
<その他の変形例>
上記の例では、対象基地局1の周辺に位置する周辺基地局1と通信する複数の通信端末2において、対象基地局1に干渉を与える通信端末2が存在すれば、その通信端末2の数にかかわらず、一つの干渉源が存在すると判定していたが、対象基地局1に干渉を与える複数の通信端末2が存在すれば、当該複数の通信端末2のそれぞれを個別に干渉源として判定しても良い。
【0077】
また、上記の例では、本願発明を基地局に適用する場合について説明したが、複数のアンテナの送信指向性を制御する通信装置であれば、他のどのような通信装置であっても本願発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0078】
1 基地局
2 通信端末
13 通信部
110a アンテナ
124 干渉数取得部
125 受信電力取得部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアンテナを用いて通信を行い、信号を送信する際には当該複数のアンテナでの送信指向性を制御する通信部と、
前記通信部で受信される受信信号に基づいて、干渉源の数を求める干渉数取得部と
を備え、
前記通信部は、
前記干渉源の数がしきい値よりも小さい場合には、前記複数のアンテナでの送信指向性に関して、ヌルステアリング及びビームフォーミングのうちの少なくともヌルステアリングを行い、
前記干渉源の数が前記しきい値よりも大きい場合には、前記複数のアンテナでの送信指向性に関して、ヌルステアリング及びビームフォーミングのうちのビームフォーミングだけを行う、通信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の通信装置であって、
前記通信部で受信される、通信相手装置からの受信信号についての受信電力を求める受信電力取得部をさらに備え、
前記通信部は、
前記受信電力が第2のしきい値よりも大きく、かつ前記干渉源の数が前記しきい値よりも小さい場合には、前記通信相手装置に信号を送信する際の前記複数のアンテナでの送信指向性に関して、ヌルステアリング及びビームフォーミングのうちの少なくともヌルステアリングを行い、
前記受信電力が前記第2のしきい値よりも小さい場合、あるいは前記干渉源の数が前記しきい値より大きい場合には、前記通信相手装置に信号を送信する際の前記複数のアンテナでの送信指向性に関して、ヌルステアリング及びビームフォーミングのうちのビームフォーミングだけを行う、通信装置。
【請求項3】
複数のアンテナを用いて通信を行い、信号を送信する際には当該複数のアンテナでの送信指向性を制御する通信部と、
前記通信部で受信される受信信号に基づいて、干渉源の数を求める干渉数取得部と
を備え、
前記通信部は、前記複数のアンテナでの送信指向性に関してヌルステアリング及びビームフォーミングを同時に行い、前記干渉源の数が大きいほど、当該ヌルステアリングでの抑圧効果を低減する、通信装置。
【請求項4】
複数のアンテナを用いて通信を行い、信号を送信する際には当該複数のアンテナでの送信指向性を制御する通信部と、
前記通信部で受信される、通信相手装置からの受信信号についての受信電力を求める受信電力取得部と
を備え、
前記通信部は、
前記受信電力がしきい値よりも大きい場合には、前記通信相手装置に信号を送信する際の前記複数のアンテナでの送信指向性に関して、ヌルステアリング及びビームフォーミングのうちの少なくともヌルステアリングを行い、
前記受信電力が前記しきい値よりも小さい場合には、前記通信相手装置に信号を送信する際の前記複数のアンテナでの送信指向性に関して、ヌルステアリング及びビームフォーミングのうちのビームフォーミングだけを行う、通信装置。
【請求項5】
複数のアンテナを用いて通信を行い、信号を送信する際には当該複数のアンテナでの送信指向性を制御する通信部と、
前記通信部で受信される、通信相手装置からの受信信号についての受信電力を求める受信電力取得部と
を備え、
前記通信部は、前記通信相手装置に信号を送信する際の前記複数のアンテナでの送信指向性に関してヌルステアリング及びビームフォーミングを同時に行い、前記受信電力が小さいほど、当該ヌルステアリングでの抑圧効果を低減する、通信装置。
【請求項6】
(a)複数のアンテナを用いて通信を行い、信号を送信する際には当該複数のアンテナでの送信指向性を制御する工程と、
(b)前記工程(a)で受信される受信信号に基づいて、干渉源の数を求める工程と
を備え、
前記工程(a)では、
前記干渉源の数がしきい値よりも小さい場合には、前記複数のアンテナでの送信指向性に関して、ヌルステアリング及びビームフォーミングのうちの少なくともヌルステアリングが行われ、
前記干渉源の数が前記しきい値よりも大きい場合には、前記複数のアンテナでの送信指向性に関して、ヌルステアリング及びビームフォーミングのうちのビームフォーミングだけが行われる、通信方法。
【請求項7】
(a)複数のアンテナを用いて通信を行い、信号を送信する際には当該複数のアンテナでの送信指向性を制御する工程と、
(b)前記工程(a)で受信される受信信号に基づいて、干渉源の数を求める工程と
を備え、
前記工程(a)では、前記複数のアンテナでの送信指向性に関してヌルステアリング及びビームフォーミングが同時に行われ、前記干渉源の数が大きいほど、当該ヌルステアリングでの抑圧効果が低減される、通信方法。
【請求項8】
(a)複数のアンテナを用いて通信を行い、信号を送信する際には当該複数のアンテナでの送信指向性を制御する工程と、
(b)前記工程(a)で受信される通信相手装置からの受信信号についての受信電力を求める工程と
を備え、
前記工程(a)では、
前記受信電力がしきい値よりも大きい場合には、前記通信相手装置に信号を送信する際の前記複数のアンテナでの送信指向性に関して、ヌルステアリング及びビームフォーミングのうちの少なくともヌルステアリングが行われ、
前記受信電力が前記しきい値よりも小さい場合には、前記通信相手装置に信号を送信する際の前記複数のアンテナでの送信指向性に関して、ヌルステアリング及びビームフォーミングのうちのビームフォーミングだけが行われる、通信方法。
【請求項9】
(a)複数のアンテナを用いて通信を行い、信号を送信する際には当該複数のアンテナでの送信指向性を制御する工程と、
(b)前記工程(a)で受信される通信相手装置からの受信信号についての受信電力を求める工程と
を備え、
前記工程(a)では、前記通信相手装置に信号を送信する際の前記複数のアンテナでの送信指向性に関してヌルステアリング及びビームフォーミングが同時に行われ、前記受信電力が小さいほど、当該ヌルステアリングでの抑圧効果が低減される、通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−209615(P2012−209615A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−71386(P2011−71386)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】