説明

通信装置及び通信方法

【課題】複数の電力供給装置からの逆潮流電力量を売電するための管理を行うことが可能な通信装置及び通信方法を提供する。
【解決手段】通信装置は、複数の電力供給装置を備える需要家に設けられ、需要家から電力系統に逆潮流された逆潮流電力量を管理する外部装置と通信する。通信装置は、需要家から外部装置に逆潮流された総逆潮流電力量を取得する逆潮流取得部と、総逆潮流電力量に基づいて、複数の電力供給装置それぞれから電力系統に逆潮流される逆潮流電力量を決定する決定部と、外部装置に複数の電力供給装置それぞれの逆潮流電力量を通知する通知部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池、燃料電池、風力発電機、あるいは蓄電池などの複数の電力供給装置を備える需要家に設けられ、需要家から電力系統に逆潮流された逆潮流電力量を管理する外部装置と通信する通信装置及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、一般家庭等の需要家において、太陽電池(PV)に限らず、蓄電池、或いは、燃料電池などの電力供給装置を備える電力制御システムが普及しつつある。
【0003】
このような電力制御システムの中で、太陽電池から供給された電力は、電力系統に逆潮流することによって、売電することができる(例えば特許文献1参照)。
【0004】
かかる電力制御システムでは、太陽電池から電力系統に逆潮流された逆潮流電力量を検出するとともに、電力事業者に設けられる系統側管理装置に対して、逆潮流電力量を通知するように構成されている。電力事業者は、系統側管理装置に通知された逆潮流電力量と、所定の売電単価とに基づいて、売電金額(又は買電金額)を算出して、当該売電金額を需要家に支払を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−297959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、最近、大規模な地震の発生などに起因して電力系統の電力供給能力の低下が問題となっており、需要家から電力系統に逆潮流された電力を用いて、電力供給能力を補うことも検討されつつある。
【0007】
ここで、日本における現行の制度では、太陽電池以外の電力供給装置から供給される電力を電力系統に逆潮流することはできないが、昨今の電力供給能力の低下を鑑みると、太陽電池以外の電力供給装置から供給される電力も逆潮流することを可能にせざるを得ない状況になることも十分に考えられる。
【0008】
しかしながら、従来技術に係る電力制御システムでは、このような状況に対応した売電の管理が行えない。具体的には、太陽電池から出力される電力と太陽電池以外の電力供給装置から出力される電力とを電力系統に逆潮流(売電)する場合、各々の電力の売電価格が異なることが想定される。
【0009】
このような場合、太陽電池からの逆潮流電力量と、太陽電池以外の電力供給装置からの逆潮流電力量とを分けて管理する必要があるが、従来技術に係るシステムでは、各々の逆潮流電力量を分ける機能を有していない。つまり、従来技術では、複数の電力供給装置からの逆潮流電力量を売電するための管理が行えないという問題があった。
【0010】
そこで、本発明は、上述した状況を鑑みてなされたものであり、複数の電力供給装置からの逆潮流電力量を売電するための管理を行うことが可能な通信装置及び通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するために、本発明は以下のような特徴を有している。まず、本発明に係る第1の特徴は、複数の電力供給装置(例えば、燃料電池141及び太陽電池143)を備える需要家(需要家10)に設けられ、前記需要家から電力系統(電力系統20)に逆潮流された逆潮流電力量を管理する外部装置(例えば、系統側管理装置50)と通信する通信装置(例えば、マルチPCS200)であって、前記需要家から前記外部装置に逆潮流された総逆潮流電力量を取得する逆潮流取得部(逆潮流取得部243)と、前記総逆潮流電力量に基づいて、前記複数の電力供給装置それぞれから前記電力系統に逆潮流される逆潮流電力量(例えば、PV逆潮流電力量及びFC逆潮流電力量)を決定する決定部(逆潮流決定部244)と、前記外部装置に前記複数の電力供給装置それぞれの逆潮流電力量を通知する通知部(逆潮流通知部245)とを備えることを要旨とする。
【0012】
本発明に係る他の特徴は、前記複数の電力供給装置それぞれから出力される電力量(PV電力量及びFC電力量)を検出する出力取得部(出力取得部242)を更に備え、前記決定部は、前記複数の電力供給装置それぞれの電力量の比率と、前記総逆潮流電力量とに基づいて、前記複数の電力供給装置それぞれの逆潮流電力量を決定することを要旨とする。
【0013】
本発明に係る他の特徴は、前記複数の電力供給装置それぞれの逆潮流電力量の単位電力量(例えば、1kWh)あたりの売電単価(例えば、PV売電単価及びFC売電単価)を取得する価格取得部を更に備え、前記決定部は、前記複数の電力供給装置それぞれの売電単価を用いて算出される前記総逆潮流電力量の売電金額が最大になるように、前記複数の電力供給装置それぞれの逆潮流電力量を決定することを要旨とする。
【0014】
本発明に係る他の特徴は、前記逆潮流取得部は、前記総逆潮流電力量と、前記複数の電力供給装置それぞれの逆潮流電力量とを取得し、前記決定部は、前記総逆潮流電力量と、前記複数の電力供給装置それぞれの逆潮流電力量とに基づいて、前記複数の電力供給装置それぞれの逆潮流電力量を決定することを要旨とする。
【0015】
本発明に係る第2の特徴は、複数の電力供給装置を備える需要家において、前記需要家から電力系統に逆潮流された逆潮流電力量を管理する外部装置と通信する通信装置における通信方法であって、前記需要家から前記外部装置に逆潮流された総逆潮流電力量を取得するステップ(ステップS110)と、前記総逆潮流電力量に基づいて、前記複数の電力供給装置それぞれから前記電力系統に逆潮流される逆潮流電力量を決定するステップ(ステップS120)と、前記外部装置に前記複数の電力供給装置それぞれの逆潮流電力量を通知するステップ(ステップS140)とを含むことを要旨とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、複数の電力供給装置(例えば、太陽電池と燃料電池)からの逆潮流電力量を売電するための管理を行うことが可能な通信装置及び通信方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る電力制御システムの全体構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係るマルチPCSの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係るマルチPCSが逆潮流情報を通知する際の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の他の実施形態に係る電力制御システムの全体構成図である。
【図5】本発明の他の実施形態に係る電力制御システムの全体構成図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係るマルチPCSの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の実施形態における図面において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付す。
【0019】
[第1実施形態]
(1)電力制御システムの構成
図1は、第1実施形態に係る電力制御システム1の全体構成図である。以下の図面において、電力ラインは太線で示し、制御信号ラインは破線で示している。なお、制御信号ラインは有線に限らず無線であってもよい。
【0020】
図1に示すように、本実施形態に係る電力制御システム1は、電力会社の電力系統20からAC電力の供給を受ける一般家庭などの需要家10に設けられており、需要家10内の機器の電力制御を行うことができる。
【0021】
図1に示すように、電力制御システム1は、スマートメータ110、分電盤120、燃料電池141、蓄電池142、太陽電池143、マルチPCS200、負荷300を有する。なお、電力制御システム1は、電気自動車などに搭載される蓄電池を有していてもよい。
【0022】
また、本実施形態に係る電力制御システム1では、燃料電池141から出力された電力(以下、FC電力)、蓄電池142から出力された電力(以下、BT電力)、及び、太陽電池143から出力された電力(以下、PV電力)を、電力系統20に逆潮流することができる。つまり、本実施形態では、太陽電池143から出力されたPV電力のみを電力系統20に逆潮流するだけでなく、FC電力及びBT電力も電力系統20に逆潮流する場合を想定している。
【0023】
スマートメータ110は、電力制御システム1から電力系統20に逆潮流された総逆潮流電力量を測定することができる。スマートメータ110は、マルチPCS200に総逆潮流電力量を通知することができる。スマートメータ110は、広域通信網80を介して、系統側管理装置50と通信することもできる。
【0024】
ここで、総逆潮流電力量は、燃料電池141から電力系統20に逆潮流されたFC逆潮流電力と、蓄電池142から電力系統20に逆潮流されたBT逆潮流電力と、太陽電池143から電力系統に逆潮流されたPV逆潮流電力とを合計した電力量である。
【0025】
なお、系統側管理装置50は、電力事業者が需要家10から電力系統20に逆潮流された逆潮流電力量を管理するために設けられている。本実施形態において、系統側管理装置50は、外部装置を構成する。また、系統側管理装置50は、電力事業者によって管理されるCEMS(Community Energy Management System)と称される装置であってもよい。なお、広域通信網80は、専用回線網でもよいし、インターネットでもよい。
【0026】
分電盤120は、マルチPCS200の制御にしたがって、電力の分配を行う。分電盤120は、マルチPCS200が出力するAC電力が負荷300によって消費される消費電力未満であるときには、不足分のAC電力を電力系統20から受電して、マルチPCS200が出力するAC電力と電力系統20から受電したAC電力とを負荷300に供給する。また、分電盤120は、マルチPCS200が出力するAC電力が負荷300の消費電力を超えるときには、超過分のAC電力を電力系統20に逆潮流する。
【0027】
なお、マルチPCS200からの電力及び電力系統20からの電力の両電力を負荷300に供給する運転状態は「連系運転」と称され、マルチPCS200からの電力のみを負荷300に供給する運転状態は「自立運転」と称される。つまり、自立運転時には、FC電力、PV電力、及び、BT電力が、マルチPCS200から負荷300に供給される。
【0028】
分電盤120は、電力系統20から供給される電力が停電する場合、電力系統20との解列を行って、連系運転から自立運転に移行することもできる。なお、連系運転から自立運転への切り替えには、分電盤120が、別途設けられた自立運転用電力ライン(図示せず)に電力の供給先を切り替える方法と、分電盤120が、電力系統20との解列を行って、家庭内配電ライン150を電力の供給先とする方法とがある。本実施形態では、家庭内配電ライン150を電力の供給先とする方法を例に挙げて説明する。
【0029】
電力センサ130は、負荷300が消費する消費電力の電力値を定期的に測定し、測定した電力値をマルチPCS200に通知する。
【0030】
燃料電池141は、図示を省略するガスラインを介して入力される都市ガス又はプロパンガスなどのガスを用いて負荷に供給する電力を発電する家庭用燃料電池である。燃料電池141は、マルチPCS200との間に設けられた電力ラインを介して、発電により得られたDC電力(FC電力)をマルチPCS200に出力する。
【0031】
蓄電池142は、電力を蓄えるものであり、マルチPCS200との間に設けられた電力ラインを介して、放電により得られたDC電力(BT電力)をマルチPCS200に出力すると共に、マルチPCS200からのDC電力を充電する。また、蓄電池142は、マルチPCS200との間に設けられた制御信号ライン(図示せず)を介して、蓄えている電力を示す情報をマルチPCS200に出力すると共に、充放電を行うための制御信号を入力する。
【0032】
太陽電池143は、太陽光を受光して発電した電力をマルチPCS200に出力する。具体的に、太陽電池143は、マルチPCS200との間に設けられた電力ラインを介して、発電により得られたDC電力(PV電力)をマルチPCS200に出力する。なお、太陽電池143は、1又は複数のパネルにより構成される。また、太陽電池143は、複数のパネルにより構成されたストリングを複数用いて構成されていてもよい。
【0033】
マルチPCS200は、分電盤120との間に設けられた電力ラインを介して、AC電力を分電盤120の間で入出力する。具体的に、マルチPCS200は、燃料電池141、蓄電池142、及び、太陽電池143から供給されるDC電力をAC電力に変換して出力する機能と、電力系統20からのAC電力をDC電力に変換して出力する機能とを有する。このようなマルチPCS200は、ハイブリッドPCSと称されることがある。
【0034】
マルチPCS200から出力されたAC電力は、分電盤120を介して、家庭内配電ライン150へ送り出され、適宜、負荷300において使用され、あるいは、電力系統20への逆潮流の電力となる。
【0035】
なお、本実施形態では、燃料電池141から供給されるDC電力と、当該DC電力を変換したAC電力とを、適宜、FC電力として説明する。同様に、蓄電池142から放電されたDC電力と、当該DC電力を変換したAC電力とを、適宜、BT電力として説明し、太陽電池143から供給されるDC電力と、当該DC電力を変換したAC電力とを、適宜、PV電力として説明する。
【0036】
負荷300は、例えば、照明、エアコン、冷蔵装置、テレビ等の家電機器に加え、蓄熱器などを想定している。負荷300は、分電盤120との間に設けられた家庭内配電ライン150を介してAC電力が供給され、供給されたAC電力を消費して動作する。負荷300は、1つであってもよく、複数であってもよい。
【0037】
(2)マルチPCSの構成
図2を参照して、マルチPCS200の構成について説明する。図2は、マルチPCS200の構成を示すブロック図である。図2に示すように、マルチPCS200は、電力変換部210と、送受信部220と、記憶部230と、処理部240とを備える。なお、本実施形態において、マルチPCS200は、需要家10から電力系統20に逆潮流された逆潮流電力量を管理する系統側管理装置50と通信する通信装置を構成する。
【0038】
電力変換部210は、分電盤120との間に設けられた電力ラインを介して、AC電力を分電盤120との間で入出力する。電力変換部210は、燃料電池141、蓄電池142、及び、太陽電池143から供給されるDC電力をAC電力に変換して、AC電力を分電盤120に出力する。なお、電力変換部210は、処理部240の制御に従って、動作する。具体的に、電力変換部210は、燃料電池変換部211と、蓄電池変換部212と、太陽電池変換部213とを備える。
【0039】
燃料電池変換部211は、燃料電池141によって発電されるDC電力(FC電力)をAC電力に変換して、分電盤120に出力する。燃料電池変換部211は、図示を省略するガスラインを介して入力される都市ガス又はプロパンガスなどのガスの供給量を制御して、燃料電池141によって発電されるFC電力の電力量を制御できる。燃料電池変換部211は、燃料電池141によって発電されるFC電力の電力量(以下、FC電力量)を検出して、処理部240に通知することもできる。
【0040】
蓄電池変換部212は、蓄電池142から出力されるDC電力(BT電力)をAC電力に変換して、分電盤120に出力する。蓄電池変換部212は、蓄電池142との間に設けられた電力ラインを介して、蓄電池142を蓄電(充電)するためのDC電力を蓄電池142に出力する。蓄電池変換部212は、燃料電池141によって発電されたFC電力、又は、太陽電池143によって発電されたPV電力を、蓄電池142を蓄電(充電)するためのDC電力として蓄電池142に出力することもできる。蓄電池変換部212は、蓄電池142から供給されたBT電力の電力量(以下、BT電力量)を検出して、処理部240に通知することもできる。蓄電池変換部212は、蓄電池142に蓄電される電力量(蓄電量)を検出して、処理部240に通知することもできる。
【0041】
太陽電池変換部213は、太陽電池143によって発電されたDC電力(PV電力)をAC電力に変換して、分電盤120に出力する。太陽電池変換部213は、太陽電池143によって発電されたPV電力の電力量(以下、PV電力量)を検出して、処理部240に通知することもできる。
【0042】
送受信部220は、家庭内通信回線60に接続する。送受信部220は、家庭内通信回線180を介して、スマートメータ110や電力センサ130などの各機器と通信を行う。また、送受信部220は、スマートメータ110を介して、系統側管理装置50と通信することもできる。
【0043】
記憶部230は、処理部240が実行するプログラムを記憶すると共に、処理部240でのプログラム実行中にワークエリアとして使用される。
【0044】
処理部240は、マルチPCS200の各種機能を制御するものであり、CPUやメモリを用いて構成される。処理部240は、電力系統20に逆潮流された逆潮流電力量を取得して、系統側管理装置50に通知することができる。処理部240は、電力制御部241と、出力取得部242と、逆潮流取得部243と、逆潮流決定部244と、逆潮流通知部245とを備える。
【0045】
電力制御部241は、電力変換部210を制御する。また、電力制御部241は、連系運転と自立運転との切り替えを制御することができる。例えば、電力制御部241は、電力系統20から供給される電力が停電した旨の通知を、スマートメータ110や系統側管理装置50などから受けると、分電盤120に自立運転への切り替えを指示することができる。
【0046】
出力取得部242は、太陽電池143から出力されるPV電力量(第1電力量)と、燃料電池141から出力されるFC電力量(第2電力量)と、蓄電池142から出力されるBT電力量(第3電力量)とを取得する。具体的に、出力取得部242は、燃料電池変換部211から、FC電力量を取得する。出力取得部242は、蓄電池変換部212から、BT電力量を取得する。出力取得部242は、太陽電池変換部213から、PV電力量を取得する。出力取得部242は、取得したPV電力量とFC電力量とBT電力量とを、逆潮流決定部244に通知する。
【0047】
逆潮流取得部243は、太陽電池143から電力系統20に逆潮流されたPV逆潮流電力量(第1逆潮流電力量)と、燃料電池141から電力系統20に逆潮流されたFC逆潮流電力量(第2逆潮流電力量)と、蓄電池142から電力系統20に逆潮流されたBT逆潮流電力量(第3逆潮流電力量)との合計である総逆潮流電力量を取得する。
【0048】
具体的に、逆潮流取得部243は、スマートメータ110によって検出された総逆潮流電力量を取得する。逆潮流取得部243は、取得した総逆潮流電力量を逆潮流決定部244に通知する。
【0049】
逆潮流決定部244は、総逆潮流電力量に基づいて、太陽電池143から電力系統20に逆潮流されたPV逆潮流電力量(第1逆潮流電力量)と、燃料電池141から電力系統20に逆潮流されたFC逆潮流電力量(第2逆潮流電力量)と、蓄電池142から電力系統20に逆潮流されたBT逆潮流電力量(第3逆潮流電力量)との各々を決定する。
【0050】
具体的に、逆潮流決定部244は、PV電力量とFC電力量とBT電力量との各々の比率と、総逆潮流電力量とに基づいて、PV逆潮流電力量とFC逆潮流電力量とBT逆潮流電力量との各々を決定する。
【0051】
例えば、逆潮流総電力量が、“500kW”であり、PV電力の電力量が“500kW”、FC電力の電力量が“200kW”、BT電力の電力量が“300kw”である場合を例に挙げて説明する。かかる場合、逆潮流決定部244は、PV電力量とFC電力量とBT電力量との比率を、「5:2:3」として算出する。
【0052】
逆潮流決定部244は、総逆潮流電力量を算出した比率に応じて分配することによって、PV逆潮流電力量を“250kW”とし、FC逆潮流電力量を“100kW”とし、BT逆潮流電力量を“150kW”として算出する。
【0053】
逆潮流通知部245は、需要家10ごとの逆潮流電力量を管理する系統側管理装置50に対して、PV逆潮流電力量とFC逆潮流電力量とBT逆潮流電力量とを通知する。具体的に、逆潮流通知部245は、PV逆潮流電力量とFC逆潮流電力量とBT逆潮流電力量とを含む逆潮流情報を生成する。逆潮流通知部245は、スマートメータ110を介して、系統側管理装置50に逆潮流情報を通知する。
【0054】
(3)マルチPCSの動作
次に、マルチPCS200の動作について説明する。図3は、マルチPCS200の動作を示すシーケンス図である。ここで、図3には、電力制御システム1において、マルチPCS200が逆潮流情報を系統側管理装置50に通知する際の動作が示されている。
【0055】
ステップS100において、マルチPCS200では、出力取得部242が、電力変換部210から、PV電力量と、FC電力量と、BT電力量とを取得する。具体的には、出力取得部242は、燃料電池変換部211からFC電力量を取得し、蓄電池変換部212からBT電力量を取得し、太陽電池変換部213からPV電力量を取得する。
【0056】
ステップS110において、逆潮流取得部243は、スマートメータ110から総逆潮流電力量を取得する。
【0057】
ステップS120において、逆潮流決定部244は、PV電力量、FC電力量、及び、BT電力量の各々の比率と、逆潮流総電力量とに基づいて、PV逆潮流電力量、FC逆潮流電力量、及び、BT逆潮流電力量を決定する。
【0058】
具体的に、逆潮流決定部244は、PV電力量と、FC電力量と、BT電力量との比率を算出する。逆潮流決定部244は、算出した比率に基づいて、総逆潮流電力量を分配することによって、PV逆潮流電力量とFC逆潮流電力量とBT逆潮流電力量との各々を算出する。
【0059】
ステップS140において、逆潮流通知部245は、PV逆潮流電力量とFC逆潮流電力量とBT逆潮流電力量とを含む逆潮流情報を生成する。逆潮流通知部245は、スマートメータ110を介して、逆潮流情報を系統側管理装置50に通知する。
【0060】
なお、上述したステップS100乃至S140の動作は、定期的(例えば、1日毎や1ヶ月毎)に実行してもよいし、マルチPCS200のユーザによる所定の操作を受け付けて実行してもよいし、系統側管理装置50からの指示に応じて実行してもよい。
【0061】
(4)作用及び効果
本実施形態に係る電力制御システム1において、マルチPCS200では、出力取得部242は、PV電力量と、FC電力量と、BT電力量とを取得する。逆潮流取得部243が、総逆潮流電力量を取得する。
【0062】
逆潮流決定部244は、PV電力量と、FC電力量と、BT電力量との比率を算出する。逆潮流決定部244は、比率に基づいて、総逆潮流電力量を分配することによって、太陽電池143から逆潮流されたPV逆潮流電力量と、燃料電池141から逆潮流されたFC逆潮流電力量と、蓄電池142から逆潮流されたBT逆潮流情報とを決定する。
【0063】
逆潮流通知部245は、PV逆潮流電力量とFC逆潮流電力量とBT逆潮流電力量とを含む逆潮流情報を生成する。逆潮流通知部245は、スマートメータ110を介して、逆潮流情報を系統側管理装置50に送信する。
【0064】
このように、マルチPCS200は、PV逆潮流電力量とFC逆潮流電力量とBT逆潮流電力量とを別々に決定して、需要家10からの逆潮流電力を管理する系統側管理装置50に通知するので、系統側管理装置50は、PV逆潮流電力量とFC逆潮流電力量とBT逆潮流電力量とを別々に把握できる。
【0065】
つまり、マルチPCS200によれば、例えば、PV逆潮流電力の売電単価と、FC逆潮流電力の売電単価と、BT逆潮流電力の売電単価が異なる場合であっても、系統側管理装置50によってPV逆潮流電力の売電金額と、FC逆潮流電力の売電金額と、BT逆潮流電力の売電単価とを別々に管理できる。
【0066】
このように、本実施形態に係るマルチPCS200によれば、電力事業者側において、太陽電池143からのPV逆潮流電力と、太陽電池以外の燃料電池141からのFC逆潮流電力と、蓄電池142からのBT逆潮流電力とを売電するための管理を適切に行うことができる。
【0067】
なお、本実施形態および以降の他の実施形態において、複数の電力供給装置として燃料電池141、蓄電池142、および太陽電池143を用いた場合について説明するが、風力発電装置等の他の電力供給装置を用いてもよく、さらにはいずれか2つの組み合わせであってもよい。
【0068】
[変更例1]
次に、第1実施形態に係る変更例1について説明する。本変更例に係る電力制御システム1では、マルチPCS200の処理部240の構成を除き、他の構成は、第1実施形態に係る電力制御システム1と同様である。
【0069】
本変更例に係るマルチPCS200では、処理部240が、価格取得部246を更に備える。価格取得部246は、PV逆潮流電力量の単位電力量あたりのPV売電単価(第1売電単価)と、FC逆潮流電力量の単位電力量あたりのFC売電単価(第2売電単価)と、BT逆潮流電力量の単位電力量あたりのBT売電単価(第3売電単価)とを取得する。
【0070】
具体的に、価格取得部246は、スマートメータ110及び送受信部220を介して、系統側管理装置50から、PV売電単価とFC売電単価とBT売電単価とを含む売電単価情報を受信する。価格取得部246は、売電価格情報に含まれるPV売電単価とFC売電単価とBT売電単価とを取得して、逆潮流決定部244に通知する。
【0071】
逆潮流決定部244は、PV売電単価とFC売電単価とBT売電単価とを用いて算出される総逆潮流電力量の売電金額が最大になるように、PV逆潮流電力量とFC逆潮流電力量とBT逆潮流電力量とを決定する。
【0072】
具体的に、逆潮流決定部244は、PV売電単価によって算出されるPV逆潮流電力量の売電金額と、FC売電単価によって算出されるFC逆潮流電力量の売電金額と、BT売電単価によって算出されるBT逆潮流電力量の売電金額との合計である総逆潮流電力量の売電金額が最大になるように、PV逆潮流電力量とFC逆潮流電力量とBT逆潮流電力量とを決定する。
【0073】
このとき、逆潮流決定部244は、PV逆潮流電力量とFC逆潮流電力量とBT逆潮流電力量との合計が、総逆潮流電力量よりも大きくならないようにして、各々の逆潮流電力量を算出する。また、逆潮流決定部244は、PV逆潮流電力量をPV電力量以下とし、FC逆潮流電力量をFC電力量以下とし、BT逆潮流電力量をBT電力量以下として、各々の逆潮流電力量を決定する。
【0074】
具体的に、逆潮流決定部244は、単価の大きさに基づいて、PV売電単価とFC売電単価とBT売電単価との順位を特定する。なお、PV逆潮流電力量とFC逆潮流電力量とBT逆潮流電力量との内、単価の大きい逆潮流電力量が多いほど、総逆潮流電力量の売電金額が、大きくなる。
【0075】
例えば、PV売電単価が最も大きく、FC売電単価が次に大きく、BT売電単価が最も小さい場合を例に挙げて、以下に説明する。この場合、総逆潮流電力量に対するPV逆潮流電力量の割合を可能な限り大きくすれば、売電金額を大きくすることができる。よって、逆潮流決定部244は、PV逆潮流電力量が最大になるPV電力量を、PV逆潮流電力量として決定する。
【0076】
続いて、逆潮流決定部244は、次に単価が大きいFC逆潮流電力量を可能な限り大きくする。つまり、逆潮流決定部244は、FC電力量をFC逆潮流電力量として決定する。
【0077】
また、逆潮流決定部244は、総逆潮流電力量から、PV逆潮流電力量とFC逆潮流電力量とを減算することによって、最も単価が小さいBT逆潮流電力量を決定する。
【0078】
なお、逆潮流決定部244は、BT逆潮流電力量を“0kWh”とする場合もあり得る。具体的に、PV逆潮流電力量としたPV電力量(例えば、150kWh)と、FC逆潮流電力量としたFC電力量(例えば、100kWh)との合計が、総逆潮流電力量(例えば、200kWh)よりも大きくなる場合もありうる。
【0079】
この場合、逆潮流決定部244は、総逆潮流電力量(例えば、200kWh)からPV逆潮流電力量としたPV電力量(例えば、150kWh)を減算して、FC逆潮流電力量(例えば、50kWh)を取得するとともに、BT逆潮流電力量を“0kWh”として取得する。
【0080】
さらに、PV逆潮流電力量としたPV電力量(例えば、150kWh)が、総逆潮流電力量(例えば、120kWh)よりも大きくなる場合もあり得る。この場合、逆潮流決定部244は、総逆潮流電力量(例えば、120kWh)をPV逆潮流電力量として決定するとともに、FC逆潮流電力量とBT逆潮流電力量との各々を“0kWh”とする。
【0081】
本変更例に係るマルチPCS200によれば、総逆潮流電力量の売電金額が最大になるように決定した、PV逆潮流電力量とFC逆潮流電力量とBT逆潮流電力量とを系統側管理装置50に通知するので、需要家10が売電によって得る収益を増加させることができる。
【0082】
なお、上述のマルチPCS200では、逆潮流決定部244が、総逆潮流電力量の売電金額が最大になるように、PV逆潮流電力量とFC逆潮流電力量とBT逆潮流電力量とを決定していたが、総逆潮流電力量の売電金額が最小になるようにしてもよい。この場合、逆潮流決定部244は、PV売電単価とFC売電単価とBT売電単価との内、単価の小さい逆潮流電力量を多くするようにして、PV逆潮流電力量とFC逆潮流電力量とBT逆潮流電力量とを決定する。かかるマルチPCS200によれば、電力事業者が需要家10に支払う売電金額を可能な限り低くすることができる。
【0083】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る電力制御システム1ついて説明する。ここで、図4には、電力制御システム1が、需要家10内の電力を制御するHEMS(Home Energy Management System)400を備え、HEMS400が、上述した処理部240の機能を有している。本実施形態では、HEMS400が、通信装置を構成する。
【0084】
また、本実施形態に係る電力制御システム1では、マルチPCS200に変えて、太陽電池用PCS200Aと蓄電池用PCS200Bと燃料電池用PCS200Cとを備える場合の例が示されている。
【0085】
太陽電池用PCS200Aは、太陽電池変換部213を備える。太陽電池用PCS200Aは、太陽電池143から出力されたDC電力(PV電力)をAC電力に変換して、分電盤120に出力する。
【0086】
蓄電池用PCS200Bは、蓄電池変換部212を備える。蓄電池用PCS200Bは、蓄電池142から出力されたDC電力(BT電力)をAC電力に変換して、分電盤120に出力する。
【0087】
燃料電池用PCS200Cは、燃料電池変換部211を備える。燃料電池用PCS200Cは、燃料電池141から出力されたDC電力(FC電力)をAC電力に変換して、分電盤120に出力する。
【0088】
また、HEMS400では、出力取得部242は、太陽電池用PCS200Aと蓄電池用PCS200Bと燃料電池用PCS200Cとの各々から、PV電力量とFC電力量とBT電力量との各々を取得する。なお、逆潮流取得部243と逆潮流決定部244と逆潮流通知部245との構成は、上述した第1実施形態の構成と同様である。
【0089】
本実施形態に係るHEMS400においても、PV逆潮流電力量とFC逆潮流電力量とBT逆潮流電力量とを別々に決定して、需要家10からの逆潮流電力を管理する系統側管理装置50に通知するので、系統側管理装置50は、PV逆潮流電力量とFC逆潮流電力量とBT逆潮流電力量とを別々に把握できる。
【0090】
よって、本実施形態に係るHEMS400によれば、電力事業者側において、太陽電池143からのPV逆潮流電力と、太陽電池以外の燃料電池141からのFC逆潮流電力と、蓄電池142からのBT逆潮流電力とを売電するための管理を適切に行うことができる。
【0091】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態に係る電力制御システム1ついて説明する。ここで、図5には、電力制御システム1のスマートメータ110が、処理部240の機能を有する場合の一例が示されている。本実施形態では、スマートメータ110が通信装置を構成する。
【0092】
また、本実施形態に係る電力制御システム1は、マルチPCS200に変えて、太陽電池用PCS200Aと蓄電池用PCS200Bと燃料電池用PCS200Cとを備えるとともに、太陽電池用PCS200Aと蓄電池用PCS200Bと燃料電池用PCS200Cとの各々が、分電盤120を介さずに家庭内配電ライン150に接続する。なお、太陽電池用PCS200Aと蓄電池用PCS200Bと燃料電池用PCS200Cとの各々の構成は、上述した第2実施形態と同様である。
【0093】
また、本実施形態に係る電力制御システム1では、家庭内配電ライン150上に電力センサ131乃至133が配置されている。具体的に、太陽電池用PCS200Aの家庭内配電ライン150の接続点と、電力系統20との間に、電力センサ131が配置されている。太陽電池用PCS200Aの家庭内配電ライン150の接続点と、蓄電池用PCS200Bの家庭内配電ライン150の接続点との間に、電力センサ132が配置されている。蓄電池用PCS200Bの家庭内配電ライン150の接続点と、燃料電池用PCS200Cの家庭内配電ライン150の接続点との間に、電力センサ133が配置されている。
【0094】
電力センサ131は、PV逆潮流電力量(例えば、A(kw))、BT逆潮流電力量(例えば、B(kw))、及び、FC逆潮流電力量(例えば、C(kw))の合計である総逆潮流電力量(A+B+C(kw))を検出する。電力センサ132は、BT逆潮流電力量(例えば、B(kw))、及び、FC逆潮流電力量(例えば、C(kw))の合計値(B+C(kw))を検出する。電力センサ133は、FC逆潮流電力量(例えば、C(kw))を検出する。
【0095】
本実施形態に係るスマートメータ110では、逆潮流取得部243は、総逆潮流電力量と、BT逆潮流電力量とFC逆潮流電力量の合計値と、FC逆潮流電力量とを、電力センサ131乃至133から取得して、逆潮流決定部244に通知する。このように、逆潮流取得部243は、PV逆潮流電力量とBT逆潮流電力量とFC逆潮流電力量との内、一の逆潮流電力量と、一の逆潮流電力量に対して他の逆潮流電力量の各々が一つずつ加わった逆潮流電力量とを取得して、取得結果を逆潮流決定部244に通知する。
【0096】
逆潮流決定部244は、総逆潮流電力量と、BT逆潮流電力量とFC逆潮流電力量の合計値と、FC逆潮流電力量とに基づいて、PV逆潮流電力量とFC逆潮流電力量とBT逆潮流電力量とを決定する。具体的に、逆潮流決定部244は、総逆潮流電力量(A+B+C(kw))から、BT逆潮流電力量とFC逆潮流電力量の合計値(B+C(kw))を減算して、PV逆潮流電力量(A(kw))を算出する。逆潮流決定部244は、BT逆潮流電力量とFC逆潮流電力量の合計値(B+C(kw))から、FC逆潮流電力量(C(kw))を減算して、BT逆潮流電力量(例えば、B(kw))を算出する。
【0097】
このようにして、逆潮流決定部244は、PV逆潮流電力量と、BT逆潮流電力量と、FC逆潮流電力量とを決定する。なお、逆潮流通知部245の構成は、上述した実施形態と同様である。
【0098】
本実施形態に係るスマートメータ110によれば、PV逆潮流電力量とFC逆潮流電力量とBT逆潮流電力量とを別々に決定して、需要家10からの逆潮流電力を管理する系統側管理装置50に通知するので、系統側管理装置50は、PV逆潮流電力量とFC逆潮流電力量とBT逆潮流電力量とを別々に把握できる。
【0099】
よって、本実施形態に係るスマートメータ110によれば、電力事業者側において、太陽電池143からのPV逆潮流電力と、太陽電池以外の燃料電池141からのFC逆潮流電力と、蓄電池142からのBT逆潮流電力とを売電するための管理を適切に行うことができる。
【0100】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態に係る電力制御システム1では、マルチPCS200は、負荷300の消費電力の増減に追従して、燃料電池141から出力されるFC電力を増減するように構成されている。
【0101】
また、本実施形態では、燃料電池141から供給されるFC電力と、蓄電池142から供給されるBT電力とは、共通の電力線である家庭内配電ライン150を介して負荷に供給される。このような構成によって、FC電力とBT電力との内、電力値の大きい電力ほど、負荷300に供給される。
【0102】
ここで、図6には、本実施形態に係るマルチPCS200の構成が示されている。マルチPCS200において、処理部240の構成を除き、他の構成は、上述した第1実施形態と同様である。以下に、上述した第1実施形態との変更点を主に説明する。
【0103】
本実施形態に係る処理部240では、電力制御部241は、連系運転と自立運転との切り替えを制御する。具体的に、電力制御部241は、電力系統20から供給される電力が停電した旨の通知を、スマートメータ110から受けると、分電盤120に自立運転への切り替えを指示する。また、電力制御部241は、燃料電池制御部2411と、蓄電池制御部2412とを備える。
【0104】
燃料電池制御部2411は、燃料電池141及び燃料電池変換部211を制御する。燃料電池制御部2411は、負荷300によって消費される消費電力の増加に追従したFC電力を負荷300に供給するように燃料電池141を制御する。
【0105】
具体的に、燃料電池制御部2411は、送受信部220を介して、電力センサ130から負荷の消費電力を定期的に取得する。燃料電池制御部2411は、取得した消費電力の増減に応じて、燃料電池141によって発電するFC電力を増減するように燃料電池変換部211に指示する。なお、燃料電池制御部2411は、連系運転及び自立運転のいずれの運転状態においても、消費電力の増減に追従して、燃料電池変換部211を制御する。
【0106】
また、燃料電池制御部2411は、出力取得部242によってBT電力が検出された際、BT電力を小さくするようにFC電力を増加させる。具体的に、燃料電池制御部2411は、自立運転が実行される場合に、出力取得部242によって検出されたBT電力を取得する。
【0107】
詳細には、燃料電池制御部2411は、燃料電池141によって発電可能なFC電力の増減量の閾値、すなわち、消費電力に追従可能なFC電力の増加量の閾値を予め記憶している。燃料電池制御部2411は、負荷300の消費電力の増加量が、追従可能なFC電力の増加量の閾値よりも大きい場合、出力取得部242によって検出されたBT電力を取得する。燃料電池制御部2411は、取得したBT電力の分だけ、燃料電池141によって発電されるFC電力を増加するように、燃料電池変換部211に指示する。また、この指示を受けた燃料電池変換部211は、FC電力を増加するように燃料電池141を制御する。
【0108】
ここで、FC電力とBT電力とは、共通の電力線である家庭内配電ライン150を介して負荷に供給されるため、上述のようにFC電力を増加させることで、BT電力を小さくすることが可能になる。なお、本実施形態において、燃料電池制御部2411は、第1制御部を構成する。
【0109】
蓄電池制御部2412は、蓄電池142及び蓄電池変換部212を制御する。蓄電池制御部2412は、自立運転が実行される場合で、消費電力の増加量が燃料電池141によって追従可能な増加量以上になる場合に、消費電力の増加量に応じたBT電力を負荷300に供給するように蓄電池142を制御する。
【0110】
より詳細には、蓄電池制御部2412は、電力制御部241から、自立運転を実行する旨の通知を受けると、蓄電池変換部212に対して、蓄電池142に蓄電されている電力を放電するように指示する。なお、本実施形態において、蓄電池制御部2412は、第2制御部を構成する。
【0111】
本実施形態に係るマルチPCS200では、自立運転を実行する際、燃料電池141によって発電されるFC電力の増加量が、負荷300の消費電力の増加量に追従できない場合、蓄電池142から出力されるBT電力が負荷300に供給される。
【0112】
このように、マルチPCS200では、燃料電池141によって発電されるFC電力が負荷300の消費電力の増加に追従できない場合であっても、負荷300に継続して電力を供給することができる。
【0113】
また、マルチPCS200では、蓄電池142から負荷300に出力されるBT電力を小さくするように、燃料電池141から出力されるFC電力を増加する。ここで、例えば、電力系統20から供給される電力が停電し、自立運転を実行する場合、蓄電池142に蓄電される電力をできるだけ残すことが好ましい。
【0114】
このような場合を想定して、本実施形態に係るマルチPCS200は、蓄電池142から負荷に供給されるBT電力が検出された際、BT電力を小さくするように燃料電池141から出力されるFC電力を増加する。つまり、マルチPCS200は、燃料電池141によって発電されるFC電力を積極的に用いることで、蓄電池142に蓄電される電力を可能な限り残すことができる。
【0115】
なお、マルチPCS200では、価格取得部246を更に備えていてもよい。この場合、マルチPCS200では、燃料電池制御部2411は、連系運転時において、FC売電単価が、PV売電単価やBT売電単価よりも高くなる場合に、FC電力を増加するように燃料電池変換部211及び燃料電池141を制御する。
【0116】
このようなマルチPCS200によれば、FC売電単価が高い場合に、FC電力を増加することによって、電力系統20に逆潮流するFC逆潮流電力量を増やすことができるので、需要家10が売電によって得る収益を増加させることができる。
【0117】
[その他の実施形態]
上記のように、本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0118】
また、上述した実施形態において、マルチPCS200の処理部240の機能は、HEMS400やスマートメータ110だけでなく、BEMS(Building Energy Management System)等、スマートグリッド技術における様々な装置に備えてもよい。
【0119】
また、上述した実施形態における処理部240の機能は、需要家10に限らず、例えば、電力系統20に電力を逆潮流することによって、電力を売電する事業者に設けられる電力制御システムに備えていてもよい。つまり、処理部240の機能は、複数の電力供給装置を備え、電力系統20に電力を逆潮流する様々なシステムにおいて適用可能である。
【0120】
また、上述した実施形態及び変更例は組み合わせることも可能である。このように本発明は、ここでは記載していない様々な実施形態等を包含するということを理解すべきである。したがって、本発明はこの開示から妥当な特許請求の範囲の発明特定事項によってのみ限定されるものである。
【符号の説明】
【0121】
1…電力制御システム、20…電力系統、50…系統側管理装置、110…スマートメータ、120…分電盤、130…電力センサ、141…燃料電池、142…蓄電池、143…太陽電池、150…家庭内配電ライン、180…家庭内通信回線、200…マルチPCS、210…電力変換部、211…燃料電池変換部、212…蓄電池変換部、213…太陽電池変換部、220…送受信部、230…記憶部、240…処理部、241…電力制御部、242…出力取得部、243…逆潮流取得部、244…逆潮流決定部、245…逆潮流通知部、300…負荷

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電力供給装置を備える需要家に設けられ、前記需要家から電力系統に逆潮流された逆潮流電力量を管理する外部装置と通信する通信装置であって、
前記需要家から前記外部装置に逆潮流された総逆潮流電力量を取得する逆潮流取得部と、
前記総逆潮流電力量に基づいて、前記複数の電力供給装置それぞれから前記電力系統に逆潮流される逆潮流電力量を決定する決定部と、
前記外部装置に前記複数の電力供給装置それぞれの逆潮流電力量を通知する通知部と
を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記複数の電力供給装置それぞれから出力される電力量を検出する出力取得部を更に備え、
前記決定部は、前記複数の電力供給装置それぞれの電力量の比率と、前記総逆潮流電力量とに基づいて、前記複数の電力供給装置それぞれの逆潮流電力量を決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記複数の電力供給装置それぞれの逆潮流電力量の単位電力量あたりの売電単価を取得する価格取得部を更に備え、
前記決定部は、前記複数の電力供給装置それぞれの売電単価を用いて算出される前記総逆潮流電力量の売電金額が最大になるように、前記複数の電力供給装置それぞれの逆潮流電力量を決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
前記逆潮流取得部は、前記総逆潮流電力量と、前記複数の電力供給装置それぞれの逆潮流電力量とを取得し、
前記決定部は、前記総逆潮流電力量と、前記複数の電力供給装置それぞれの逆潮流電力量とに基づいて、前記複数の電極供給装置それぞれの逆潮流電力量を決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項5】
複数の電力供給装置を備える需要家において、前記需要家から電力系統に逆潮流された逆潮流電力量を管理する外部装置と通信する通信装置における通信方法であって、
前記需要家から前記外部装置に逆潮流された総逆潮流電力量を取得するステップと、
前記総逆潮流電力量に基づいて、前記複数の電力供給装置それぞれから前記電力系統に逆潮流される逆潮流電力量を決定するステップと、
前記外部装置に前記複数の電力供給装置それぞれの逆潮流電力量を通知するステップと
を含むことを特徴とする通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−31236(P2013−31236A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−163738(P2011−163738)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】