説明

通信装置

【課題】 相手通信装置に適した形式でのみ通信を可能とし、相手通信装置におけるデータ受信時のデコードエラーなどの発生を低減できる信頼性の高い通信装置を提供する。
【解決手段】 電子メールの宛先と、宛先の相手通信装置がデコード可能な形式を示すデコード形式情報と、をアドレス帳25に登録する登録受付部23と、電子メールの宛先を受け付ける宛先受付部27と、電子メールに添付する添付ファイルの形式を受け付ける形式受付部31と、宛先受付部27で受け付けた宛先に該当するデコード形式情報をアドレス帳25から取得し、宛先でデコード可能な形式を判定する判定部29と、形式受付部31で受け付けた形式の添付ファイルを取得する原稿取得部17と、添付ファイルを添付して宛先に電子メールを送信する送信部21と、を備え、形式受付部31は、判定部29で判定されたデコード可能な形式のみを受け付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置に関し、特に、電子メールで原稿を送信するインターネットファクシミリ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のインターネットファクシミリ装置としては、たとえば特許文献1に記載されたものがある。同文献に記載されたインターネットファクシミリ装置は、相手端末装置の受信能力情報を取得し、受信能力情報を取得したときその受信能力情報に係る相手端末装置の宛先情報が予め記憶してある場合に、取得した受信能力情報を当該相手端末装置の宛先情報に関連付けて記憶する電話帳テーブルを備えている。
【0003】
これにより従来のインターネットファクシミリ装置は、相手端末装置の受信能力を自動的に登録可能とすることにより、オペレータの手間を省くことができる。
【特許文献1】特開2003−324575号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記文献記載の従来技術は、以下の点で改善の余地を有していた。
【0005】
第一に、上記文献記載のインターネットファクシミリ装置にあっては、通信を行う装置がともに上述の受信能力情報を送受信可能な構成を有する必要があり、たとえば、同じ機種間での通信に特化された技術であった。
【0006】
第二に、一般的にインターネットファクシミリ装置では、通常、ユーザはアドレス帳などから宛先として電子メールアドレスを指定して、原稿を読み取り、インターネットファクシミリ送信を行う。しかし、この場合、指定された宛先の相手端末装置は、インターネットファクシミリ装置以外の通信端末たとえば、パーソナルコンピュータなどである可能性がある。宛先の電子メールアドレス情報だけでは、相手端末装置が、インターネットファクシミリ装置なのかパーソナルコンピュータなのかを従来のインターネットファクシミリ装置では判断することができなかった。
【0007】
そのため、相手端末装置がインターネットファクシミリ装置であるにもかかわらず、所謂、Scan to E−mailにより取得したカラー画像データを送信してしまう可能性があった。この場合、相手端末装置であるインターネットファクシミリ装置では、受信したカラー画像データをデコードすることができず、エラーが発生してしまうといった問題点があった。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、相手通信装置に適した形式でのみ通信を可能とし、相手通信装置におけるデータ受信時のデコードエラーなどの発生を低減できる信頼性の高い通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、電子メールの宛先と、前記宛先の相手通信装置がデコード可能な形式を示すデコード形式情報と、を宛先テーブルに登録する登録部と、前記電子メールの宛先を受け付ける宛先受付部と、電子メールに添付する添付ファイルの形式を受け付ける形式受付部と、前記宛先受付部で受け付けた前記宛先に該当する前記デコード形式情報を前記宛先テーブルから取得し、前記宛先でデコード可能な前記形式を判定する判定部と、前記形式受付部で受け付けた前記形式の前記添付ファイルを取得する取得部と、前記添付ファイルを添付して前記宛先に前記電子メールを送信する送信部と、を備え、前記形式受付部は、前記判定部で判定された前記デコード可能な前記形式のみを受け付けることを特徴とする通信装置が提供される。
【0010】
ここで、宛先の相手通信装置とは、インターネットファックスや、パーソナルコンピュータなどのインターネットなどのネットワークを経由して電子メールを受信可能な装置である。相手通信装置がインターネットファクシミリ装置であった場合、受信可能な電子メールの添付ファイルの形式は、たとえば、TIFF(Tagged Image File Format)形式である。一方、相手通信装置がパーソナルコンピュータであった場合は、電子メールの添付ファイルの形式は、基本的にどのような形式も受信可能である。
【0011】
このように添付ファイルの形式は、たとえば、画像データのカラー、モノクロの区別や、画像データの解像度、用紙サイズ、圧縮形式などを含む。あるいは、添付ファイルの形式とは、たとえば画像データであれば、例として、TIFF形式やJPEG形式などの区別であってもよい。
【0012】
また、デコード可能な形式を示す情報とは、宛先の装置がどの形式のファイルをデコードすることが可能かを示す情報である。宛先テーブルにデコード可能なファイルの形式を情報として登録してもよいが、実際には相手通信装置の種類によってデコード可能な形式が決まるので、たとえば、パーソナルコンピュータかインターネットファックスかなどの装置の種類を宛先テーブルに登録することができる。すなわち、宛先テーブルには、装置の種類(インターネットファックス/パーソナルコンピュータ/携帯電話など)をデコード形式情報として登録すればよい。
【0013】
また、宛先テーブルのデコード形式情報として、相手通信装置がカラー受信可能か否か(カラー/モノクロなど)や、受信可能な画像データの解像度(200dpi/400dpiなど)を登録してもよい。あるいは、宛先テーブルのデコード形式情報として、相手通信装置が受信可能なファイル形式(TIFF/その他など)を登録してもよい。あるいは、宛先テーブルのデコード形式情報として、相手通信装置が通信可能なモード(シンプル/拡張など)を登録してもよい。
【0014】
この発明によれば、宛先毎にデコード可能な形式の情報を有しているので、データを取得する前にデータがデコード可能か否かを判定し、デコード可能なもののみを取得して送信することができるので、電子メールの送信エラーの発生を防ぐことができ、通信装置の信頼性が向上する。
【0015】
上記通信装置において、前記取得部は、原稿を読み取り、前記形式受付部で受け付けた前記形式の前記添付ファイルを取得する読取部を含むことができる。
【0016】
この構成によれば、読取部で原稿を読み取る前に宛先でデコード可能な形式を判定するので、宛先に合った形式で原稿を読み取ってから電子メールを送信することが可能となり、宛先に合わない形式の原稿を無駄に読み込むこともなくなり、通信装置の使い勝手が向上する。
【0017】
上記通信装置において、前記添付ファイルを格納する格納部を備え、前記取得部は、前記格納部から前記形式受付部で受け付けた前記形式の前記添付ファイルを読み出して取得する読出部を含むことができる。
【0018】
この構成によれば、読出部で添付ファイルを読み出す前に宛先でデコード可能な形式を判定するので、宛先に合った形式の添付ファイルを読み出してから電子メールを送信することが可能となり、宛先に合わない形式のファイルを間違って添付することがなくなり、通信装置の信頼性が向上する。これにより、予めスキャナなどで読み込まれ保存されていたファイルを送信する場合でも、宛先でデコード可能な形式のファイルのみを送信することができるので、相手通信装置側でのエラーの発生を防ぐことができる。
【0019】
上記通信装置において、前記宛先受付部は、前記宛先を複数受け付け、前記判定部は、前記宛先受付部で受け付けたすべての前記宛先に該当する前記デコード形式情報を前記宛先テーブルから取得し、前記すべての前記宛先でデコード可能な前記形式を判定し、前記形式受付部は、前記判定部で判定された前記すべての前記宛先でデコード可能な前記形式のみを受け付けることができる。
【0020】
この構成によれば、同報指定された宛先のうち、指定された形式でデコード不可能な宛先が1件でも存在した場合は、その形式のデータの取得を行わないので、指定された宛先すべてに確実にデコード可能な形式のデータのみを送信することが可能となり、通信装置の信頼性が向上する。
【0021】
また、前記送信部は、ネットワーク上のメールサーバを経由して前記相手通信装置に前記電子メールを送信することができる。この構成によれば、相手通信装置は、インターネットなどのネットワーク上のメールサーバにアクセス可能であれば、通信装置から送信された電子メールを受信し、デコードすることが可能となり、システムの汎用性が増す。
【0022】
上記通信装置において、前記判定部で判定された前記デコード可能な前記形式以外の形式を前記形式受付部が受け付けたとき、前記形式は受け付けられないことを報知する報知部を含むことができる。
【0023】
ここで、報知部とは、メッセージを表示する表示部や、アラーム音や音声を出力する音声出力部などである。この構成によれば、デコード不可能な形式をユーザが指定しようとしたとき、その形式は受け付けられないことを報知することができ、使い勝手が向上する。
【0024】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、相手通信装置に適した形式でのみ通信を可能とし、相手通信装置におけるデータ受信時のデコードエラーなどの発生を低減できる信頼性の高い通信装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
(第一の実施の形態)
図1は、本実施の形態に係る通信装置のシステム構成を示す概略ブロック図である。
【0027】
通信装置10は、インターネットなどのネットワーク1に接続される。通信装置10は、たとえば、ネットワークファクシミリ装置、MFP(Multi Functional Peripheral)、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、携帯電話、PDAなどである。
【0028】
通信装置10は、ネットワーク1上の相手通信装置、たとえば、パーソナルコンピュータ3(図中、「PC」と示す)やインターネットファックス5(図中、「I−FAX」と示す)に電子メールを送信する。パーソナルコンピュータ3やインターネットファックス5宛に送信された電子メールは、通信装置10から一旦メールサーバ7に送信され、メールサーバ7を経由して各宛先に送信される。
【0029】
相手通信装置は、ネットワーク1を経由して通信装置10から送信された電子メールを受信可能な構成を有する。相手通信装置は、たとえば、パーソナルコンピュータ3、インターネットファックス5の他に、MFP(Multi Functional Peripheral)、ワークステーション、携帯電話、PDAを含む。
【0030】
相手通信装置は、インターネットなどのネットワーク上のメールサーバにアクセス可能であれば、通信装置から送信された電子メールを受信し、デコードすることが可能となり、システムの汎用性が増す。
【0031】
相手通信装置がパーソナルコンピュータ3の場合、通信装置10は、Scan to E−mail機能によって取得したファイルを電子メールに添付してパーソナルコンピュータ3の電子メールアドレス宛に送信する。この場合、電子メールの添付ファイルの形式は特に限定されない。パーソナルコンピュータ3は、添付ファイルをデコードする機能を有するアプリケーションソフトウェアを有してさえいればよい。
【0032】
一方、相手通信装置がインターネットファックス5の場合、受信可能な電子メールの添付ファイル形式は、たとえば、TIFF形式に限定される。本実施の形態において、インターネットファックス5は、ITU−T(International Telecommunication Union)勧告T.37に準拠しているものとする。インターネットファックス5は、原稿をスキャナで読み取り、TIFF形式の添付ファイルとして電子メールで送信するとともに、メールサーバ7から定期的に電子メールを受信し、電子メールに添付されているTIFFファイルを印刷するものである。
【0033】
インターネットファックス5で受信可能なTIFFファイルは、RF2301で定義されているTIFF−FX プロファイルSと呼ばれるミニマムセットに対応している。このミニマムセットでは、モノクロ画像、MH圧縮形式、用紙サイズはA4、解像度は100dpiまたは200dpiなどであることが規定されている。なお、以下、このミニマムセットに対応した通信モードは「シンプルモード」と呼び、カラー画像などにも対応した通信モードは「フルモード」と呼ぶことにする。フルモード通信では、装置間で能力情報を交換する必要がある。
【0034】
なお、以下の図において、本発明の本質に関わらない部分の構成については省略してあり、たとえば、ファクシミリ装置の構成であるモデム部、画像処理部、および記録部などは図示されていない。
【0035】
また、通信装置10の各構成要素は、任意のコンピュータのCPU、メモリ、メモリにロードされた本図の構成要素を実現するプログラム、そのプログラムを格納するハードディスクなどの記憶ユニット、ネットワーク接続用インタフェースを中心にハードウェアとソフトウェアの任意の組合せによって実現される。そして、その実現方法、装置にはいろいろな変形例があることは、当業者には理解されるところである。以下説明する各図は、ハードウェア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。
【0036】
通信装置10は、インタフェース部11(図中、「I/F」と示す)と、表示部13と、操作部15と、原稿取得部17と、一時記憶部19と、送信部21と、登録受付部23と、アドレス帳25と、宛先受付部27と、判定部29と、形式受付部31と、開始指示受付部33と、を含む。
【0037】
インタフェース部11は、ネットワーク1に接続するためのインタフェースである。表示部13は、各種情報表示、操作画面表示、通信装置10の動作や状態表示などを行う。表示部13は、たとえば、ランプ、LED、CRTモニタ、液晶ディスプレイなどである。操作部15は、通信装置10のユーザから各種設定および入力等の指示を受け付ける。操作部15は、たとえば、操作ボタン、スイッチ、レバー、キーボード、タッチパネルなどである。なお、図1において、表示部13および操作部15と各構成要素との間の制御ラインは省略してある。
【0038】
原稿取得部17は、電子メールに添付する添付ファイルを取得する。詳細については後述する。一時記憶部19は、原稿取得部17で取得した添付ファイルを一時的に記憶する。一時記憶部19に記憶された添付ファイルは、電子メールが送信された後、あるいは、送信後一定時間経過した後に、削除される。送信部21は、一時記憶部19に記憶された添付ファイルを添付した電子メール作成し、指定された宛先に送信する。電子メールは、ネットワーク1を介してメールサーバ7に送達され、その後、宛先の通信装置がメールサーバ7にアクセスし、電子メールを受信する。
【0039】
登録受付部23は、電子メールの宛先と、宛先の相手通信装置がデコード可能な形式を示すデコード形式情報と、を受け付け、アドレス帳25に対応付けて登録する。
【0040】
ここで、デコード可能な形式を示すデコード形式情報とは、宛先の装置がどの形式のファイルをデコードすることが可能かを示す情報である。アドレス帳25にデコード可能なファイルの形式を情報として登録してもよいが、実際には相手通信装置の種類によってデコード可能な形式が決まるので、たとえば、パーソナルコンピュータかインターネットファックスかなどの装置の種類をアドレス帳25に登録することができる。
【0041】
たとえば、インターネットファックスは、上述のようにシンプルモードで通信を行い、TIFF−FXプロファイルSのミニマムセットのデータをデコードできるが、その他のデータ、たとえばカラー高解像度のTIFFファイルなどはデコードできない。一方、パーソナルコンピュータは、カラー高解像度のTIFF形式、JPEG形式などの各種画像データファイル形式、その他の文書ファイル形式などの様々な形式のデータを受信してデコードできる。
【0042】
したがって、アドレス帳25には、相手通信装置の種類(インターネットファックス/パーソナルコンピュータなど)をデコード形式情報として登録すればよい。あるいは、アドレス帳25のデコード形式情報として、相手通信装置がカラー受信可能か否か(カラー/モノクロなど)や、受信可能な画像データの解像度(200dpi/400dpiなど)を登録してもよい。あるいは、アドレス帳25のデコード形式情報として、相手通信装置が受信可能なファイル形式(TIFF/その他など)を登録してもよい。あるいは、アドレス帳25のデコード形式情報として、相手通信装置が通信可能なモード(シンプル/拡張など)を登録してもよい。
【0043】
図2は、本実施の形態のアドレス帳25の一例を示す図である。アドレス帳25は、宛名41(図中、「Name」と示す。)と、メールアドレス43(図中、「Address」と示す。)と、装置名45(図中、「PC/I−FAX」と示す。)と、が対応付けて登録されている。装置名45は、メールアドレス43を有する相手通信装置の装置がパーソナルコンピュータ3かインターネットファックス5かを示している。装置名45は、パーソナルコンピュータ3の場合は「PC」、インターネットファックス5の場合は「I−FAX」となる。
【0044】
図1に戻り、宛先受付部27は、電子メールの宛先を受け付ける。判定部29は、宛先受付部27で受け付けた宛先に該当するデコード形式情報をアドレス帳25から取得し、宛先でデコード可能な形式を判定する。
【0045】
形式受付部31は、電子メールに添付する添付ファイルの形式を受け付ける。たとえば、形式受付部31は、原稿取得部17で取得する原稿の画像データがカラーかモノクロかを選択する操作部15の操作ボタンの指示を受け付ける。あるいは、形式受付部31で受け付ける添付ファイルの形式は、たとえば、原稿取得部17で取得する原稿の画像データの解像度、用紙サイズ、圧縮形式などを含む。あるいは、形式受付部31で受け付ける添付ファイルの形式は、原稿取得部17で取得する原稿のファイル形式、たとえば、TIFF、JPEGなどの各種画像データファイル形式、その他の文書ファイル形式などを含む。形式受付部31は、表示部13に指定画面を設け、ユーザに形式を指定させて、指定された形式を受け付けることもできる。開始指示受付部33は、ユーザが操作部15に設けられたスタートボタンを操作したとき、送信開始操作指示を受け付ける。
【0046】
図3は、本実施の形態の通信装置10で、インターネットファックスを送信するときの操作パネルの一例を示す図である。本実施の形態において、送信時操作画面51は、表示部13に表示され、主宛先入力欄53と、同報宛先入力欄55と、カラーモノクロ選択ボタン57と、スタートボタン59と、を有する。
【0047】
主宛先入力欄53は、主宛先のメールアドレスを指定する欄であり、ここに操作部15によって入力された宛先は、宛先受付部27により受け付けられる。同報宛先入力欄55は、同報宛先のメールアドレスを指定する欄であり、ここに操作部15によって入力された宛先は、宛先受付部27により受け付けられる。主宛先入力欄53および同報宛先入力欄55には、直接メールアドレスを入力することもできるし、アドレス帳25から選択して入力することもできる。
【0048】
カラーモノクロ選択ボタン57は、原稿取得部17で取得する原稿の画像データがカラーかモノクロかを選択する操作ボタンであり、操作部15を構成する。カラーモノクロ選択ボタン57での選択は、形式受付部31によって受け付けられる。
【0049】
スタートボタン59は、原稿取得部17での原稿の読み取りおよび電子メール送信の開始を指示する操作ボタンであり、操作部15を構成する。スタートボタン59の操作による開始指示は、開始指示受付部33によって受け付けられる。
【0050】
図4は、本実施の形態の通信装置10の原稿取得部17の詳細を示す機能ブロック図である。原稿取得部17は、読取部61と、ファイル指定受付部63と、を含む。読取部61は、たとえば、スキャナであり、原稿を読み取り、形式受付部31で受け付けた形式で添付ファイルを取得する。たとえば、形式受付部31がモノクロ指定を受け付けている場合、読取部61は、原稿をモノクロで読み取り、TIFF形式で添付ファイルを取得し、一時記憶部19に記憶する。一方、形式受付部31がカラー指定を受け付けている場合、読取部61は、原稿をカラーで読み取り、カラー高解像度のTIFF形式やあるいはJPEG形式などで添付ファイルを取得し、一時記憶部19に記憶する。
【0051】
ファイル指定受付部63は、原稿保存部65に予め記憶されている各種ファイルの中から添付ファイルとして送信するファイルの指定を受け付け、原稿保存部65から指定されたファイルを読み出し、取得する。原稿保存部65は、通信装置10に含まれてもよいし、あるいは、通信装置10が参照可能な記憶領域に含まれてもよい。たとえば、原稿保存部65は、通信装置10と図示されないネットワークを介して接続された共有ファイル記憶領域であってもよい。ファイル指定受付部63で指定されたファイルは一時記憶部19に記憶される。
【0052】
このように構成された通信装置10の動作について以下に説明する。図5は、通信装置10の動作の一例を示すフローチャートである。以下、図1乃至図5を参照して説明する。ここでは、原稿取得部17の読取部61で原稿をスキャンしてファイルを取得し、パーソナルコンピュータ3またはインターネットファックス5に送信する場合について説明する。
【0053】
まず、宛先受付部27は、電子メールの宛先を受け付ける(S11)。図3の送信時操作画面51では、主宛先入力欄53に入力された宛先を1件受け付ける。なお、宛先受付部27は、主宛先入力欄53および同報宛先入力欄55に入力された宛先を複数受け付けることもできる。つづいて、判定部29は、宛先受付部27で受け付けた宛先に該当する装置名45をアドレス帳25から取得し、宛先の中に1件以上インターネットファックス5が含まれるか否かを判定する(S13)。
【0054】
インターネットファックス5が1件でも含まれる場合(S13のYES)、その宛先でデコード可能な形式は、モノクロのTIFF形式のみとなり、形式受付部31は、モノクロ指定のみ受け付け可能とする(S15)。すなわち、形式受付部31は、判定部29で判定されたすべての宛先でデコード可能な形式のみを受け付けるので、1件でもインターネットファックスが含まれれば、カラー指定は拒否される。
【0055】
具体的には、図3のカラーモノクロ選択ボタン57でカラーボタンの操作を禁止する。また、カラーモノクロ選択ボタン57を自動的にカラーからモノクロに切り替えてもよい。また、「宛先にインターネットファックスが指定されているので、カラー指定はできません。」などのメッセージを表示部13に表示して、ユーザにカラー指定はできないことを報知してもよい。
【0056】
この構成によれば、同報指定された宛先のうち、指定された形式でデコード不可能な宛先が1件でも存在した場合は、その形式のデータの取得を行わないので、指定された宛先すべてに確実にデコード可能な形式のデータのみを送信することが可能となり、通信装置の信頼性が向上する。
【0057】
一方、インターネットファックス5が含まれない場合(S13のNO)、すなわち相手通信装置は、パーソナルコンピュータ3のみの場合、宛先でデコード可能な形式は制限されないので、形式受付部31は、モノクロおよびカラーの両方の指定を受け付け可能とする(S17)。したがって、ユーザはカラーおよびモノクロのいずれかを指定できる。
【0058】
ステップS15およびステップS17で、形式受付部31が添付ファイルの形式を受け付けた後、開始指示受付部33は、スタートボタン59の押下による開始指示を受け付け(S19)、読取部61は、形式受付部31で受け付けた形式で原稿を読み取り、一時記憶部19に記憶する(S21)。たとえば、形式受付部31でモノクロ指定を受け付けた場合は、原稿はモノクロでスキャンされ、TIFF形式で保存される。一方、形式受付部31でカラー指定を受け付けた場合は、原稿はカラーでスキャンされ、予め指定されているファイル形式、たとえば、カラー高解像度TIFF形式やJPEG形式などで保存される。これらのファイル形式の指定は、送信時操作画面51に詳細設定メニュー(不図示)などを設け、指定し、形式受付部31で受け付けることができる。
【0059】
つづいて、一時記憶部19に記憶されたファイルを添付ファイルとして、登録受付部23で受け付けた宛先に電子メールを送信する(S23)。
【0060】
以上説明したように、本実施の形態によれば、宛先毎にデコード可能な形式の情報を有しているので、データを取得する前にデータがデコード可能か否かを判定し、デコード可能なもののみを取得して送信することができるので、電子メールの送信エラーの発生を防ぐことができ、通信装置10の信頼性が向上する。
【0061】
また、判定部29は、読取部61で原稿を読み取る前に宛先でデコード可能な形式を判定するので、宛先に合った形式でのみ原稿を読み取ってから電子メールを送信することが可能となり、宛先に合わない形式で原稿を無駄に読み込むこともなくなり、通信装置10の使い勝手が向上する。
(第二の実施の形態)
図6は、本実施の形態の通信装置10の動作の他の例を示すフローチャートである。また、図7は、本実施の形態の通信装置10で、インターネットファックスを送信するときの操作画面表示の他の例を示す図である。以下、図1、図2、図6および図7を参照して説明する。ここでは、原稿取得部17の読取部61で原稿をスキャンしてファイルを取得するだけでなく、原稿保存部65に予め記憶されているファイルからファイル指定受付部63で指定されたファイルを取得し、パーソナルコンピュータ3またはインターネットファックス5に送信する場合について説明する。
【0062】
図7に示すように、送信時操作画面71は、図3の送信時操作画面51と同様な、主宛先入力欄53、同報宛先入力欄55、カラーモノクロ選択ボタン57と、スタートボタン59と、を含むとともに、添付ファイル指定欄73と、解像度指定欄75と、を含む。
【0063】
添付ファイル指定欄73は、主宛先入力欄53および同報宛先入力欄55で指定した宛先に送信する電子メールに添付する添付ファイルを指定する欄であり、ここに操作部15によって指定された添付ファイルは、ファイル指定受付部63によって受け付けられる。解像度指定欄75は、原稿取得部17で取得する画像ファイルの解像度を指定する欄であり、ここに操作部15によって指定された解像度は、形式受付部31によって受け付けられる。
【0064】
また、図6のステップS11、ステップS13、ステップS17、およびステップS23は、図5のステップと同様であるので詳細な説明は省略する。
【0065】
図6において、ステップS13で宛先にインターネットファックス5が含まれる場合(S13のYES)、形式受付部31は、モノクロ指定と200dpi以下の解像度のみ受け付ける(S29)。ここで、図7の送信時操作画面71において、解像度指定欄75の指定を自動的に200dpiに切り替えてもよいし、「解像度を下げてください。」とのメッセージを表示して、ユーザに報知してもよい。あるいは、解像度指定欄75をブリンクさせたり、アラーム音を出力させたりすることによりユーザに報知することもできる。
【0066】
つづいて、ファイル指定受付部63は、原稿保存部65のファイルから添付するファイルの指定を受け付ける(S31)。添付ファイルの指定をファイル指定受付部63が受け付けた場合(S31のYES)、判定部29は、そのファイルの形式がTIFF形式か否かを判定する(S33)。TIFF形式の場合(S33のYES)、ファイル指定受付部63は、そのファイルを一時記憶部19に保存する(S35)。
【0067】
一方、ファイル指定受付部63が、添付ファイルの指定を受け付けなかった場合(S31のNO)、ステップS41に進む。また、指定されたファイルの形式がTIFF形式以外であった場合(S33のNO)、指定されたファイルは拒否され、一時記憶部19には保存されず、ステップS41に進む。ここで、「指定されたファイルは送信できません。」などのメッセージを表示部13に表示することもできる。
【0068】
また、ステップS13で宛先にインターネットファックス5が含まれない場合(S13のNO)、形式受付部31がカラーおよびモノクロの両方の指定を受け付け可能となり、形式受付部31はカラーまたはモノクロの指定と、解像度の指定を受け付ける(S17)。つづいて、原稿保存部65のファイルから添付するファイルの指定を受け付ける(S37)。添付ファイルの指定をファイル指定受付部63が受け付けた場合(S37のYES)、ファイル指定受付部63は、指定されたファイルを一時記憶部19に保存する(S39)。ファイル指定受付部63が、添付ファイルの指定を受け付けなかった場合(S37のNO)、ステップS41に進む。
【0069】
つづいて、開始指示受付部33は、スタートボタンの押下による開始指示を受け付ける(S41)。なお、本実施の形態において、読取部61は原稿がセットされているか否かを検知する検知部(不図示)を含む。検知部により、読取原稿がセットされていると検知された場合(S43のYES)、読取部61は原稿をステップS15およびステップS17で形式受付部31が受け付けた形式(カラー/モノクロ、解像度など)で読み取り、一時記憶部19に記憶する(S45)。一方、検知部により、読取原稿が検知されなかった場合(S43のNO)、ステップS23に進む。
【0070】
この構成によれば、宛先毎にデコード可能な形式の情報を有しているので、データを取得する前にデータがデコード可能か否かを判定し、デコード可能なもののみを取得して送信することができるので、電子メールの送信エラーの発生を防ぐことができ、通信装置10の信頼性が向上する。
【0071】
また、ファイル指定受付部63で添付ファイルを読み出す前に宛先でデコード可能な形式を判定するので、宛先に合った形式のファイルのみを読み出してから添付して電子メールを送信することが可能となり、宛先に合わない形式のファイルを間違って添付することがなくなり、通信装置10の信頼性が向上する。これにより、予めスキャナなどの読取部61で読み込まれ保存されていたファイルを送信する場合でも、宛先でデコード可能な形式のファイルのみを送信することができるので、相手通信装置側でのエラーの発生を防ぐことができる。
【0072】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0073】
たとえば、登録受付部23で宛先を受け付けるとき、アドレス帳25を表示部13に表示させ、アドレス帳25から宛先を選択して指定することもできるが、その際、宛名41およびメールアドレス43とともに、装置名45を表示することもできる。
【0074】
この構成によれば、ユーザは相手通信装置の装置名45を確認し認識した上で、電子メールを送信することが可能となり、図5のステップS15でモノクロのみが受け付け可能となった場合でも、ユーザは何故カラーが受け付け不可能なのか理由を認識しやすくなる。
【0075】
また、上記実施の形態では、判定部29で判定されたデコード可能な形式以外の形式を形式受付部31が受け付けたとき、その形式は受け付けられないことを報知する報知部として、表示部にメッセージを表示する場合について述べたが、この他にもアラーム音や音声を出力する音声出力部などであってもよい。この構成によれば、デコード不可能な形式をユーザが指定しようとしたとき、その形式は受け付けられないことを報知することができ、使い勝手が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】実施の形態に係る通信装置のシステム構成を示す概略ブロック図である。
【図2】図1の通信装置のアドレス帳の一例を示す図である。
【図3】図1の通信装置のインターネットファックスを送信時の操作画面表示の一例を示す図である。
【図4】図1の通信装置原稿取得部の詳細を示す機能ブロック図である。
【図5】図1の通信装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図6】図1の通信装置の動作の他の例を示すフローチャートである。
【図7】図1の通信装置のインターネットファックスを送信時の操作画面表示の他の例を示す図である。
【符号の説明】
【0077】
1 ネットワーク
3 パーソナルコンピュータ
5 インターネットファックス
7 メールサーバ
10 通信装置
11 インタフェース部
13 表示部
15 操作部
17 原稿取得部
19 一時記憶部
21 送信部
23 登録受付部
25 アドレス帳
27 宛先受付部
29 判定部
31 形式受付部
33 開始指示受付部
41 宛名
43 メールアドレス
45 装置名
51 送信時操作画面
53 主宛先入力欄
55 同報宛先入力欄
57 カラーモノクロ選択ボタン
59 スタートボタン
61 読取部
63 ファイル指定受付部
65 原稿保存部
71 送信時操作画面
73 添付ファイル指定欄
75 解像度指定欄

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子メールの宛先と、前記宛先の相手通信装置がデコード可能な形式を示すデコード形式情報と、を宛先テーブルに登録する登録部と、
前記電子メールの宛先を受け付ける宛先受付部と、
電子メールに添付する添付ファイルの形式を受け付ける形式受付部と、
前記宛先受付部で受け付けた前記宛先に該当する前記デコード形式情報を前記宛先テーブルから取得し、前記宛先でデコード可能な前記形式を判定する判定部と、
前記形式受付部で受け付けた前記形式の前記添付ファイルを取得する取得部と、
前記添付ファイルを添付して前記宛先に前記電子メールを送信する送信部と、
を備え、
前記形式受付部は、前記判定部で判定された前記デコード可能な前記形式のみを受け付けることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の通信装置において、
前記取得部は、原稿を読み取り、前記形式受付部で受け付けた前記形式の前記添付ファイルを取得する読取部を含むことを特徴とする通信装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の通信装置において、
前記添付ファイルを格納する格納部を備え、
前記取得部は、前記格納部から前記形式受付部で受け付けた前記形式の前記添付ファイルを読み出して取得する読出部を含むことを特徴とする通信装置。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれかに記載の通信装置において、
前記宛先受付部は、前記宛先を複数受け付け、
前記判定部は、前記宛先受付部で受け付けたすべての前記宛先に該当する前記デコード形式情報を前記宛先テーブルから取得し、前記すべての前記宛先でデコード可能な前記形式を判定し、
前記形式受付部は、前記判定部で判定された前記すべての前記宛先でデコード可能な前記形式のみを受け付けることを特徴とする通信装置。
【請求項5】
請求項1乃至4いずれかに記載の通信装置において、
前記判定部で判定された前記デコード可能な前記形式以外の形式を前記形式受付部が受け付けたとき、前記形式は受け付けられないことを報知する報知部を含むことを特徴とする通信装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2006−5635(P2006−5635A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−179604(P2004−179604)
【出願日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】