説明

通信装置

【課題】通信可能領域を拡大すると共に通信装置の移動に伴う通信エラーを防止することができる通信装置を提供することを課題とする。
【解決手段】通信装置は、無線通信を行う通信装置であって、通信装置の動きを検出する動き検出部と、動き検出部により検出された動きが閾値未満のときには、第1の通信強度で他の通信装置と無線通信可能であるときには他の通信装置と無線通信を行い、第1の通信強度で他の通信装置と無線通信可能でないときには他の通信装置と無線通信を行わず、動き検出部により検出された動きが閾値以上のときには、第2の通信強度で他の通信装置と無線通信可能であるときには他の通信装置と無線通信を行い、第2の通信強度で他の通信装置と無線通信可能でないときには他の通信装置と無線通信を行わない通信部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信装置は、他の無線通信装置に対して、通信可能領域の境界近傍で通信を確立すると、無線通信装置を持った人の移動により、 通信が途切れる場合がある。通信が途絶すると、データの再送が必要になり、 電力の無駄になる。
【0003】
また、相互に交信を行う通信基地局と複数のセンサ端末とを備えると共に、通信基地局にネットワークを介して接続された集計サーバを備え、センサ端末が、設置された箇所における環境に関するデータを計測するデータ計測手段と、センサ端末固有のセンサ識別データを記憶するセンサ識別データ記憶手段と、計測した環境データをセンサ識別データと共に計測データとして通信基地局に対して送信する計測データ送信手段とを備える環境データ計測システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、移動端末により固定センサ装置を無線により起動し、固定センサ装置により収集された環境情報をネットワーク経由でセンタ装置へ送信し、センタ装置で環境情報を蓄積し、ネットワークに接続された情報読出し装置からの要求に基づき蓄積した環境情報を提供する情報収集・提供手段、を具備した情報収集・提供システムが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
また、センサノードが基地局に送信するセンシング情報(第1の送信データ)をロケータノードが傍受したとき、ロケータノードはセンサノードが送信する情報から抽出したノードIDと、自身のロケータノードIDを含むデータ(第2の送信データ)を基地局に送信し、基地局は、第1の送信データ及び第2の送信データの少なくとも1つから抽出したID情報をサーバに送信し、サーバは自身が保有するロケータノードID情報とロケータの位置を対応付けるテーブルを用いてノードの位置を特定するセンサネットワークシステムが知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
また、人間または動物の位置を検知し、位置検知信号として発信するため位置検知手段と、人間または動物の姿勢および/または行動状態を検知するための姿勢・行動検知手段と、姿勢および/または行動状態の検知による状態検知信号を発信するための検知信号発信手段とを有する、人間または動物に装着可能な端末と、位置検知信号および状態検知信号を受信し処理する、所定の領域に設けられた信号受信処理手段とを備え、処理の結果に基づいて、人間または動物の状態を示す状態情報を得る状態情報収集システムが知られている(例えば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−147953号公報
【特許文献2】特開2005−311716号公報
【特許文献3】特開2007−300571号公報
【特許文献4】特開2002−132948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、実効的な通信可能領域を拡大すると共に通信装置の移動に伴う通信エラーを防止することができる通信装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
通信装置は、無線通信を行う通信装置であって、前記通信装置の動きを検出する動き検出部と、前記動き検出部により検出された動きが閾値未満のときには、第1の通信強度で他の通信装置と無線通信可能であるか否かを判定し、前記第1の通信強度で前記他の通信装置と無線通信可能であるときには前記他の通信装置と無線通信を行い、前記第1の通信強度で前記他の通信装置と無線通信可能でないときには前記他の通信装置と無線通信を行わず、前記動き検出部により検出された動きが閾値以上のときには、前記第1の通信強度とは異なる第2の通信強度で前記他の通信装置と無線通信可能であるか否かを判定し、前記第2の通信強度で前記他の通信装置と無線通信可能であるときには前記他の通信装置と無線通信を行い、前記第2の通信強度で前記他の通信装置と無線通信可能でないときには前記他の通信装置と無線通信を行わない通信部とを有する。
【発明の効果】
【0010】
動き検出部により検出された通信装置の動きに応じて実効的な通信可能領域を拡大することができ、通信装置の移動に伴う通信エラーを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1(A)及び(B)は第1の実施形態による通信システムを示す図である。
【図2】図2(A)及び(B)は第1の実施形態による通信システムを示す図である。
【図3】図3(A)はセンサユニットの構成例を示すブロック図であり、図3(B)は通信装置の構成例を示すブロック図である。
【図4】図4(A)及び(B)は第2の実施形態による通信システムを示す図である。
【図5】図5(A)及び(B)は第3の実施形態による通信システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
図1(A)及び(B)は、第1の実施形態による通信システムを示す図である。圃場101は、作物を栽培する田畑であり、道路102により区分けされている。センサユニット111は、圃場101毎に設けられ、圃場101の土の温度及び湿度等を定期的に検出し、その温度及び湿度等のデータを記憶し、通信を行うことができる通信装置である。作業者113は、通信装置112を携帯して、 圃場101の見回りを行う。通信装置112は、 圃場101に設置したセンサユニット111に対して自動的に無線通信により接続し、センサユニット111内のデータを無線受信する。温度及び湿度等のデータを収集することにより、各圃場101で栽培する作物の栽培方法に役立たせることができる。通信装置112は、センサユニット111からの距離が近ければ無線通信が可能であるが、センサユニット111からの距離が遠くなると無線信号が弱くなるので通信ができなくなる。通信装置112は、センサユニット111を中心とした通信限界領域124の中に位置すれば、センサユニット111との通信が可能である。これに対し、通信装置112は、センサユニット111を中心とした通信限界領域124の外に位置すれば、センサユニット111との通信ができない。
【0013】
図1(B)は、通信装置112及びセンサユニット111の間の距離に対する受信信号の電波強度の関係を示す図である。距離が長くなるほど、受信信号の電波強度が小さくなる。通信装置112は、センサユニット111からの受信信号の電波強度が第1の通信強度Th1以上であれば通信装置112が通信限界領域124の中に位置すると判断し、センサユニット111からの受信信号の電波強度が第1の通信強度Th1未満であれば通信装置112が通信限界領域124の外に位置すると判断することができる。
【0014】
しかし、通信装置112を持った作業者113は、移動することが可能である。通信装置112がセンサユニット111に対して通信限界領域124の境界近傍で無線通信を確立すると、その後の作業者113の移動により、通信装置112が通信限界領域124の外に出てしまい、無線通信が途切れる場合がある。通信が途切れると、センサユニット111は通信装置112に対してデータの再送が必要になり、 電力の無駄になる。
【0015】
この問題を解決するために、通信安定領域114を設定する。通信安定領域114は、通信装置112が移動したとしても無線通信を継続することができる余裕分を見込んだ安全領域であり、通信限界領域124より狭い領域である。通信安定領域114は、通信限界領域124に対して、センサユニット111から近い領域である。通信装置112は、通信安定領域114の中に位置するときには、センサユニット111との通信を確立し、センサユニット111からデータを受信する。これに対し、通信装置112は、通信安定領域114の外に位置するときには、センサユニット111との通信を行わない。
【0016】
具体的には、図1(B)に示すように、通信装置112は、センサユニット111からの受信信号の電波強度が第2の通信強度Th2以上であれば通信装置112が通信安定領域114の中に位置すると判断し、センサユニット111からの受信信号の電波強度が第2の通信強度Th2未満であれば通信装置112が通信安定領域114の外に位置すると判断することができる。第2の通信強度Th2は、第1の通信強度Th1より余裕分130だけ大きい値である。通信装置112は、受信信号の電波強度が十分大きい場合にのみ通信を行うので、通信装置112の移動による通信エラーを低減することができる。
【0017】
しかし、作業者123が持った通信装置122が通信限界領域124の中かつ通信安定領域114の外に位置する場合には、本来的に通信可能であっても、作業者123は通信安定領域114の中に移動しなければ、センサユニット111からデータを取得することができない。例えば、作業者123が道路102の位置からデータを取得したいとしても、通信装置122が通信安定領域114の外に位置する場合には、圃場101の中の作業者113の位置まで移動しなければならない。作業者113が圃場101の中に入らなければ、データを取得できないのは不便である。
【0018】
そこで、通信安定領域114の外であっても、通信限界領域124の中に通信装置122が位置する場合には、作業者123が移動しないことが予測されれば、通信装置122はセンサユニット111からデータを取得してもよい。これにより、通信装置122は、道路102から圃場101の中に移動する必要がなくなり、実効的な通信可能領域を拡大すると共に通信装置122の移動に伴う通信エラーを防止することができる。以下、それを実現するための通信システムを説明する。
【0019】
図2(A)及び(B)は、第1の実施形態による通信システムを示す図である。図2(A)は、図1(A)内の圃場101を示す図である。以下、図2(A)が図1(A)と異なる点を説明する。センサユニット201は図1(A)のセンサユニット111に対応し、通信装置202及び作業者203はそれぞれ図1(A)の通信装置122及び作業者123に対応する。センサユニット201は、圃場101毎に設けられ、圃場101の土の温度及び湿度等を定期的に検出し、その温度及び湿度等のデータを記憶し、通信を行うことができる通信装置である。通信装置202は、 圃場101に設置したセンサユニット201に対して自動的に無線通信により接続し、センサユニット201内のデータを無線受信する。
【0020】
図3(A)は、図2(A)のセンサユニット201の構成例を示すブロック図である。センサユニット201は、マイクロプロセッサユニット(MPU)301、通信制御部302、通信回路303、センサ制御部304、データ保存部305、第1のセンサ306及び第2のセンサ307を有する。MPU301は、通信制御部302、センサ制御部304及びデータ保存部305を制御する。第1のセンサ306は、例えば温度センサであり、圃場101の土の温度を検出する。第2のセンサ307は、例えば湿度センサであり、圃場101の土の湿度を検出する。センサ制御部304は、第1のセンサ306及び第2のセンサ307を制御する。通信回路303は、通信装置202に対して無線送信及び無線受信を行う。通信制御部302は、通信回路303を制御する。MPU301は、定期的に、第1のセンサ306が検出した温度のデータ及び第2のセンサ307が検出した湿度のデータを読み出し、データ保存部305に保存する。通信回路303は、通信装置202からデータ要求信号を無線受信すると、データ保存部305に保存されているデータを通信装置202に無線送信する。
【0021】
図3(B)は、図2(A)の通信装置202の構成例を示すブロック図である。通信装置202は、MPU311、通信制御部312、通信回路313、動き検出部314及びデータ保存部315を有する。MPU311、通信制御部312及び通信回路313は、通信を行う通信部である。通信制御部312は、受信強度処理部321及び送信出力制御部322を有する。通信回路313は、受信回路323及び送信回路324を有する。動き検出部314は、センサ制御部325、加速度センサ326、地磁気センサ327及びGPS(グローバルポジショニングシステム:Global Positioning System)328を有する。MPU311は、通信制御部312、センサ制御部325及びデータ保存部315を制御する。加速度センサ326は、通信装置202の加速度を検出する。地磁気センサ327は、通信装置202の向きを検出する。GPS328は、通信装置202の位置を検出する。加速度センサ326、地磁気センサ327及びGPS328は、定期的に、それぞれ加速度、向き及び位置を検出する。動き検出部314は、加速度センサ326により検出される通信装置202の加速度の変動、地磁気センサ327により検出される通信装置202の向きの変動、又はGPS328により検出される通信装置202の位置の変動を基に、通信装置202の動きを検出する。受信回路323は、センサユニット201に対して無線受信処理を行う。受信強度処理部321は、受信回路323が受信した信号の受信強度が図1(B)の第1の通信強度Th1又は第2の通信強度Th2以上であるか否かを判定する。送信回路324は、センサユニット201に対して無線送信処理を行う。送信出力制御部322は、送信回路324が送信する送信強度を第1の通信強度又は第2の通信強度に設定する。MPU311は、受信回路323を介してセンサユニット201から受信したデータをデータ保存部315に保存する。
【0022】
図2(B)は、通信装置202の処理方法を示すフローチャートである。通信装置202は、定期的に、図2(B)の処理を繰り返し行う。具体的には、通信装置202は、タイマにより所定時間が経過すると、図2(B)の処理を開始する。ステップS211では、通信装置202のMPU311は、加速度センサ326により定期的に検出された通信装置202の加速度の変動が加速度変動閾値未満か否かを判定し、加速度変動閾値未満であるときには動き検出部314により検出された動きが閾値未満であるとしてステップS212へ進み、加速度変動閾値以上であるときには動き検出部314により検出された動きが閾値以上であるとしてステップS214へ進む。
【0023】
ステップS212では、通信装置202のMPU311は、地磁気センサ327により定期的に検出された通信装置202の向きの変動が向き変動閾値未満か否かを判定し、向き変動閾値未満であるときには動き検出部314により検出された動きが閾値未満であるとしてステップS213へ進み、向き変動閾値以上であるときには動き検出部314により検出された動きが閾値以上であるとしてステップS214へ進む。
【0024】
ステップS214では、通信装置202のMPU311は、動き検出部314により検出された動きが閾値以上であると判定されたので、通信装置202が通信限界領域124の外に移動する可能性が大きいと判断し、大きい受信閾値として第2の通信強度Th2(図1(B))を受信強度処理部321に対して設定する。その後、ステップS215へ進む。
【0025】
ステップS213では、通信装置202のMPU311は、動き検出部314により検出された動きが閾値未満であると判定されたので、通信装置202が通信限界領域124の外に移動する可能性が小さいと判断し、小さい受信閾値として第1の通信強度Th1(図1(B))を受信強度処理部321に対して設定する。なお、第1の通信強度Th1は、通信限界領域124の通信強度である必要はなく、余裕を持たせ、通信限界領域124より狭い通信可能領域の通信強度であってもよい。ただし、第2の通信強度Th2は、第1の通信強度Th1よりも大きいことが必要である。その後、ステップS215へ進む。
【0026】
ステップS215では、通信装置202のMPU311は、送信回路324を介して、通信要求の信号をセンサユニット201に対して無線送信する。センサユニット201は、通信装置202から通信要求の信号を無線受信すると、それに対する応答の信号を通信装置202に無線送信する。
【0027】
次に、ステップS216では、通信装置202のMPU311は、受信回路323を介して、センサユニット201から応答の信号を無線受信する。通信装置202がセンサユニット201に対して近い位置に存在する場合には、無線装置202が受信する応答の信号の強度は大きい。これに対し、通信装置202がセンサユニット201に対して遠い位置に存在する場合には、無線装置202が受信する応答の信号の強度は小さい。
【0028】
次に、ステップS217では、通信装置202のMPU311は、受信強度処理部321を介して、センサユニット201から受信した応答の信号の受信強度が受信閾値以上か否かを判定し、受信閾値以上であれば通信装置202が通信可能領域の中に位置すると判断してステップS218へ進み、受信閾値未満であれば通信装置202が通信可能領域の外に位置すると判断してセンサユニット201と無線データ通信を行わずに処理を終了する。
【0029】
具体的には、ステップS213で受信閾値が第1の通信強度Th1に設定されている場合、通信装置202のMPU311は、センサユニット201から受信した応答の信号の受信強度が第1の通信強度Th1以上であるか否かを判定し、第1の通信強度Th1以上であるときには通信装置202が通信限界領域124の中に位置すると判断してステップS218へ進み、第1の通信強度Th1未満であるときには通信装置202が通信限界領域124の外に位置すると判断してセンサユニット201と無線データ通信を行わずに処理を終了する。
【0030】
また、ステップS214で受信閾値が第2の通信強度Th2に設定されている場合、通信装置202のMPU311は、センサユニット201から受信した応答の信号の受信強度が第2の通信強度Th2以上であるか否かを判定し、第2の通信強度Th2以上であるときには通信装置202が通信安定領域114の中に位置すると判断してステップS218へ進み、第2の通信強度Th2未満であるときには通信装置202が通信安定領域114の外に位置すると判断してセンサユニット201と無線データ通信を行わずに処理を終了する。
【0031】
ステップS218では、通信装置202のMPU311は、送信回路324を介して、データ要求の信号をセンサユニット201に無線送信する。センサユニット201は、通信装置202からデータ要求の信号を無線受信すると、データ保存部305に保存されている温度及び湿度等のデータを読み出し、通信回路303を介して通信装置202に無線送信する。通信装置202のMPU311は、受信回路323を介してセンサユニット201からデータを無線受信し、受信したデータをデータ保存部315に保存し、処理を終了する。
【0032】
以上のように、動きが閾値以上であるときには、受信信号が第2の通信強度(大きい受信閾値)Th2以上か否かを判定し、通信装置202が通信安定領域114の中に位置するときのみデータ通信を行う。これに対し、動きが閾値未満であるときには受信信号が第1の通信強度(小さい受信閾値)Th1以上か否かを判定し、通信装置202が通信限界領域124の中に位置するときのみデータ通信を行う。動きが閾値未満であれば、通信装置202の位置が通信安定領域114の外であっても通信限界領域124の中であれば、データ通信を行うので、実効的な通信可能領域を広げることができる。作業者は、通信装置202を動かさなければ、圃場101の中に入らなくても、道路102からセンサユニット201のデータを取得することが可能になる。
【0033】
(第2の実施形態)
図4(A)及び(B)は、第2の実施形態による通信システムを示す図である。図4(A)は、図2(A)と同様に、センサユニット201及び通信装置202を示す図である。図4(B)は、通信装置202の処理方法を示すフローチャートである。図4(B)は、図2(B)に対して、ステップS213、S214及びS217の代わりに、ステップS413、S414及びS417を設けた点が異なる。以下、本実施形態が第1の実施形態と異なる点を説明する。ステップS211及びS212は、図2(B)と同じである。
【0034】
ステップS413は、図2(B)のステップS213の代わりに設けられる。ステップS413では、通信装置202のMPU311は、動き検出部314により検出された動きが閾値未満であると判定されたので、通信装置202が通信限界領域124の外に移動する可能性が小さいと判断し、標準の送信電力として第1の通信強度を送信出力制御部322に対して設定する。その後、ステップS215では、通信装置202のMPU311は、送信回路324を介して、第1の通信強度(標準の送信電力)で通信要求の信号をセンサユニット201に対して無線送信する。第1の通信強度を設定することにより、通信装置202が通信限界領域124内に位置する場合に、センサユニット201は、通信装置202からの通信要求を受信することができる。センサユニット201は、通信装置202から通信要求の信号を無線受信すると、それに対する応答の信号を通信装置202に無線送信する。次に、ステップS216では、上記と同様に、通信装置202のMPU311は、受信回路323を介して、センサユニット201から応答の信号を無線受信しているか否かを判定する。次に、ステップS417では、通信装置202のMPU311は、センサユニット201から応答の信号を受信した場合には、通信装置202が通信限界領域124内に位置すると判断し、ステップS218で、上記と同様に、センサユニット201との間でデータの無線通信を行う。これに対し、通信装置202のMPU311は、センサユニット201から応答の信号を受信しない場合には、通信装置202が通信限界領域124の外に位置すると判断し、センサユニット201との間で無線データ通信を行わずに処理を終了する。
【0035】
ステップS414は、図2(B)のステップS214の代わりに設けられる。ステップS414では、通信装置202のMPU311は、動き検出部314により検出された動きが閾値以上であると判定されたので、通信装置202が通信限界領域124の外に移動する可能性が大きいと判断し、小さい送信電力として第2の通信強度を送信出力制御部322に対して設定する。本実施形態では、第2の通信強度は、第1の通信強度よりも小さいことが必要である。その後、ステップS215では、通信装置202のMPU311は、送信回路324を介して、第2の通信強度(小さい送信電力)で通信要求の信号をセンサユニット201に対して無線送信する。第2の通信強度を設定することにより、通信装置202が通信安定領域114内に位置する場合に、センサユニット201は、通信装置202からの通信要求を受信することができる。センサユニット201は、通信装置202から通信要求の信号を無線受信すると、それに対する応答の信号を通信装置202に無線送信する。通信装置202が通信安定領域114の外に位置する場合には、センサユニット201は、通信要求を受信することができず、応答の信号を無線送信しなくて済むので、無駄な送信電力を削減することができる。次に、ステップS216では、上記と同様に、通信装置202のMPU311は、受信回路323を介して、センサユニット201から応答の信号を無線受信しているか否かを判定する。次に、ステップS417では、通信装置202のMPU311は、センサユニット201から応答の信号を受信した場合には、通信装置202が通信安定領域114内に位置すると判断し、ステップS218で、上記と同様に、センサユニット201との間でデータの無線通信を行う。これに対し、通信装置202のMPU311は、センサユニット201から応答の信号を受信しない場合には、通信装置202が通信安定領域114の外に位置すると判断し、センサユニット201との間で無線データ通信を行わずに処理を終了する。
【0036】
以上のように、本実施形態は、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、ステップS414で第2の通信強度(小さい送信電力)を設定することにより、通信装置202が通信安定領域114の外に位置する場合には、センサユニット201は、通信要求を受信することができない。その場合、センサユニット201は、応答の信号を無線送信しなくて済むので、無駄な送信電力を削減することができる。
【0037】
(第3の実施形態)
図5(A)及び(B)は、第3の実施形態による通信システムを示す図である。図5(A)は、図2(A)と同様に、センサユニット201及び通信装置202を示す図である。図5(B)は、通信装置202の処理方法を示すフローチャートである。図5(B)は、図4(B)に対して、ステップS211の代わりに、ステップS501〜S503を設けた点が異なる。以下、本実施形態が第2の実施形態と異なる点を説明する。
【0038】
通信装置202は、上記と同様に、定期的に、図5(B)の処理を繰り返し行う。まず、ステップS501では、通信装置202のMPU311は、図5(A)に示すように、GPS328により過去に定期的に検出された通信装置202の位置500を取得する。次に、ステップS502では、通信装置202のMPU311は、過去に検出された通信装置202の位置500を基に、通信装置202の移動方向を算出する。図5(A)の場合、通信装置202がセンサユニット201へ向かう方向に移動していることが分かる。
【0039】
次に、ステップS503では、GPS328により検出された通信装置202の位置500の変動がセンサユニット201へ向かう方向の閾値範囲内であるか否かを判定し、閾値範囲内であるときには動き検出部314により検出された動きが閾値未満であるとしてステップS212へ進み、閾値範囲外であるときには動き検出部314により検出された動きが閾値以上であるとしてステップS414へ進む。
【0040】
ステップS212では、上記と同様に、通信装置202のMPU311は、地磁気センサ327により定期的に検出された通信装置202の向きの変動が向き変動閾値未満か否かを判定し、向き変動閾値未満であるときには動き検出部314により検出された動きが閾値未満であるとしてステップS413へ進み、向き変動閾値以上であるときには動き検出部314により検出された動きが閾値以上であるとしてステップS414へ進む。
【0041】
ステップS413では、上記と同様に、通信装置202のMPU311は、動き検出部314により検出された動きが閾値未満であると判定されたので、通信装置202が通信限界領域124の外に移動する可能性が小さいと判断し、標準の送信電力として第1の通信強度を送信出力制御部322に対して設定する。その後、ステップS215では、通信装置202のMPU311は、送信回路324を介して、第1の通信強度(標準の送信電力)で通信要求の信号をセンサユニット201に対して無線送信する。次に、ステップS216では、上記と同様に、通信装置202のMPU311は、受信回路323を介して、センサユニット201から応答の信号を無線受信しているか否かを判定する。次に、ステップS417では、通信装置202のMPU311は、センサユニット201から応答の信号を受信した場合には、通信装置202が通信限界領域124内に位置すると判断し、ステップS218で、上記と同様に、センサユニット201との間でデータの無線通信を行う。これに対し、通信装置202のMPU311は、センサユニット201から応答の信号を受信しない場合には、通信装置202が通信限界領域124の外に位置すると判断し、センサユニット201との間で無線データ通信を行わずに処理を終了する。
【0042】
ステップS414では、上記と同様に、通信装置202のMPU311は、動き検出部314により検出された動きが閾値以上であると判定されたので、通信装置202が通信限界領域124の外に移動する可能性が大きいと判断し、小さい送信電力として第2の通信強度を送信出力制御部322に対して設定する。その後、ステップS215では、通信装置202のMPU311は、送信回路324を介して、第2の通信強度(小さい送信電力)で通信要求の信号をセンサユニット201に対して無線送信する。次に、ステップS216では、上記と同様に、通信装置202のMPU311は、受信回路323を介して、センサユニット201から応答の信号を無線受信しているか否かを判定する。次に、ステップS417では、通信装置202のMPU311は、センサユニット201から応答の信号を受信した場合には、通信装置202が通信安定領域114内に位置すると判断し、ステップS218で、上記と同様に、センサユニット201との間でデータの無線通信を行う。これに対し、通信装置202のMPU311は、センサユニット201から応答の信号を受信しない場合には、通信装置202が通信安定領域114の外に位置すると判断し、センサユニット201との間で無線データ通信を行わずに処理を終了する。
【0043】
以上のように、第1〜第3の実施形態によれば、通信装置202のMPU311は、動き検出部314により検出された動きが閾値未満のときには、第1の通信強度でセンサユニット(他の通信装置)201と無線通信可能であるか否かを判定する。そして、通信装置202のMPU311は、第1の通信強度でセンサユニット201と無線通信可能であるときにはセンサユニット201と無線通信を行い、第1の通信強度でセンサユニット201と無線通信可能でないときにはセンサユニット201と無線通信を行わない。
【0044】
また、通信装置202のMPU311は、動き検出部314により検出された動きが閾値以上のときには、第1の通信強度とは異なる第2の通信強度でセンサユニット201と無線通信可能であるか否かを判定する。そして、通信装置202のMPU311は、第2の通信強度でセンサユニット201と無線通信可能であるときにはセンサユニット201と無線通信を行い、第2の通信強度でセンサユニット201と無線通信可能でないときにはセンサユニット201と無線通信を行わない。
【0045】
第1〜第3の実施形態によれば、動き検出部314により検出された通信装置202の動きに応じて実効的な通信可能領域を拡大することができ、通信装置202の移動に伴う通信エラーを防止することができる。
【0046】
なお、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。第1〜第3の実施形態は、種々の組み合わせが可能である。
【符号の説明】
【0047】
201 センサユニット
202 通信装置
301 MPU
302 通信制御部
303 通信回路
304 センサ制御部
305 データ保存部
306 第1のセンサ
307 第2のセンサ
311 MPU
312 通信制御部
313 通信回路
314 動き検出部
315 データ保存部
321 受信強度処理部
322 送信出力制御部
323 受信回路
324 送信回路
325 センサ制御部
326 加速度センサ
327 地磁気センサ
328 GPS

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信を行う通信装置であって、
前記通信装置の動きを検出する動き検出部と、
前記動き検出部により検出された動きが閾値未満のときには、第1の通信強度で他の通信装置と無線通信可能であるか否かを判定し、前記第1の通信強度で前記他の通信装置と無線通信可能であるときには前記他の通信装置と無線通信を行い、前記第1の通信強度で前記他の通信装置と無線通信可能でないときには前記他の通信装置と無線通信を行わず、前記動き検出部により検出された動きが閾値以上のときには、前記第1の通信強度とは異なる第2の通信強度で前記他の通信装置と無線通信可能であるか否かを判定し、前記第2の通信強度で前記他の通信装置と無線通信可能であるときには前記他の通信装置と無線通信を行い、前記第2の通信強度で前記他の通信装置と無線通信可能でないときには前記他の通信装置と無線通信を行わない通信部と
を有することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記通信部は、前記動き検出部により検出された動きが閾値未満のときには、前記他の通信装置からの受信強度が前記第1の通信強度以上であるか否かを判定し、前記第1の通信強度以上であるときには前記他の通信装置と無線通信を行い、前記第1の通信強度未満であるときには前記他の通信装置と無線通信を行わず、前記動き検出部により検出された動きが閾値以上のときには、前記他の通信装置からの受信強度が前記第1の通信強度より大きい前記第2の通信強度以上であるか否かを判定し、前記第2の通信強度以上であるときには前記他の通信装置と無線通信を行い、前記第2の通信強度未満であるときには前記他の通信装置と無線通信を行わないことを特徴とする請求項1記載の通信装置。
【請求項3】
前記通信部は、前記動き検出部により検出された動きが閾値未満のときには、前記第1の通信強度で通信要求を前記他の通信装置へ無線送信し、前記通信要求に対する前記他の通信装置からの応答を無線受信したか否かを判定し、前記応答を無線受信したときには前記他の通信装置と無線通信を行い、前記応答を無線受信しないときには前記他の通信装置と無線通信を行わず、前記動き検出部により検出された動きが閾値以上のときには、前記第1の通信強度より小さい前記第2の通信強度で通信要求を前記他の通信装置へ無線送信し、前記通信要求に対する前記他の通信装置からの応答を無線受信したか否かを判定し、前記応答を無線受信したときには前記他の通信装置と無線通信を行い、前記応答を無線受信しないときには前記他の通信装置と無線通信を行わないことを特徴とする請求項1記載の通信装置。
【請求項4】
前記動き検出部は、加速度センサにより検出される前記通信装置の加速度の変動、地磁気センサにより検出される前記通信装置の向きの変動、又はGPSにより検出される前記通信装置の位置の変動を基に、前記通信装置の動きを検出することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項5】
前記動き検出部は、加速度センサにより検出される前記通信装置の加速度の変動、及び地磁気センサにより検出される前記通信装置の向きの変動を基に、前記通信装置の動きを検出する場合、
前記通信部は、前記加速度センサにより検出される前記通信装置の加速度の変動が加速度変動閾値以上、又は前記地磁気センサにより検出される前記通信装置の向きの変動が向き変動閾値以上であるときに、前記動き検出部により検出された動きが前記閾値以上であると判定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項6】
前記動き検出部は、GPSにより検出される前記通信装置の位置の変動、及び地磁気センサにより検出される前記通信装置の向きの変動を基に、前記通信装置の動きを検出する場合、
前記通信部は、前記GPSにより検出される前記通信装置の位置の変動が前記他の通信装置へ向かう方向の閾値範囲外、又は前記地磁気センサにより検出される前記通信装置の向きの変動が向き変動閾値以上であるときに、前記動き検出部により検出された動きが前記閾値以上であると判定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−134830(P2012−134830A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−286156(P2010−286156)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】