説明

通信装置

【課題】さらなる低消費電力化を図ることができる通信装置を提供すること。
【解決手段】MFPは、発呼側の発信者情報を通知するサービスを有する通信回線に接続されるとともに、外付電話50を接続する電話接続端子を有する。リレーは、電源供給されていない状態では外付電話を電話回線に接続し、電源供給されている状態では外付電話を電話回線から切断する。CPUは、外付電話が発信者情報を通知するサービスに対応しているか否かを判断する。CPUは、電話回線の極性反転を検出する。CPUは、待機状態においては外付電話を電話回線に接続させている状態を維持させるとともに、外付電話が発信者情報を通知するサービスに対応していないと判断される場合には、極性反転が検出されることに応じて、外付電話を電話回線から切断する制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、外部通信装置を接続可能な通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電話回線を介して通信を行うファクシミリ装置等の通信装置であって、交換機から発呼側の発信者情報が送信されてくるサービスに対応した通信装置が開示されている。当該開示の通信装置は、通信装置に更に外部通信装置(音声通話用の電話機など)が接続される場合に、無鳴動着信動作を行うことができる通信装置である。無鳴動着信動作とは、外部通信装置を全く鳴動させることなく、ファクシミリ受信を行う動作である。特許文献1の通信装置では、待機状態では、CML(回線閉結/開放)スイッチによって外部通信装置を電話回線から切り離した状態とする。電話回線から信号を受信すると、CAR信号(情報受信端末起動信号)であるか、IR信号(呼出信号)であるか、その他の信号であるかを判断する。CAR信号であった場合には、電話回線に外部通信装置を接続(回線閉結)し、ナンバーディスプレイのデータを受信する。その後、電話回線と外部通信装置を切り離す(回線開放)する制御を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−13535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
外部通信装置を電話回線に接続するCMLスイッチは、通常は、電源が供給されていない状態では外部通信装置を電話回線に接続し、電源が供給されている状態では外部通信装置を電話回線から切断する構成を有している。これは、外部通信装置が、電話回線から電源供給を受けることで通信可能な構成を有している場合が多いためである。すなわち、停電等によって通信装置に電源供給がされない場合には、外部通信装置を電話回線に接続されている状態とすることで、外部通信装置を用いた通信を可能とするためである。すると、特許文献1の通信装置のように、待機状態においてCMLスイッチによって外部通信装置を電話回線から切り離しておく形態では、常にCMLスイッチに電源を供給する必要が生じるため、さらなる低消費電力化が困難である。本明細書では、このような不便性を解消することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の通信装置は、発呼側の発信者情報を通知するサービスを有する通信回線に接続されるとともに、外部通信装置を接続する接続手段を有する通信装置において、電源供給されていない状態では外部通信装置を通信回線に接続し、電源供給されている状態では外部通信装置を通信回線から切断する接続手段と、外部通信装置が発信者情報を通知するサービスに対応しているか否かを判断する第1判断手段と、通信回線の極性反転を検出する検出手段と、を備える。また、制御部は、接続手段に、待機状態においては外部通信装置を通信回線に接続させている状態を維持させるとともに、第1判断手段で外部通信装置が発信者情報を通知するサービスに対応していないと判断される場合には、検出手段で極性反転が検出されることに応じて外部通信装置を通信回線から切断する制御を行うことを特徴とする。
【0006】
極性反転は、各種の信号が通信回線から到来開始する旨を、通信装置側へ報知するための動作である。外部通信装置が発信者情報を通知するサービスに非対応の場合には、例えば、発信者情報が到来する旨を報知する信号を外部通信装置が受信した場合に、外部通信装置が当該信号を認識できずに、当該信号に応じて鳴動してしまう場合がある。そこで、極性反転の検出に応じて外部通信装置を通信回線から切断することで、各種の信号が外部通信装置で受信されないようにすることができる。これにより、外部通信装置を全く鳴動させることのない、無鳴動着信動作を実現することが可能となる。また、待機状態では、外部通信装置を通信回線に接続させているため、待機状態において接続手段に電源が供給されていない状態とすることができる。よって、通信装置のさらなる低消費電力化を図ることが可能となる。
【0007】
また、請求項2に記載の通信装置において、発信者情報が外部通信装置の専用の情報である場合には、その後に到来する信号によって外部通信装置を鳴動させてもよい場合であると判断できる。よって、発信者情報が外部通信装置の専用の情報であると判断されることに応じて、外部通信装置を通信回線に接続する。これにより例えば、通信装置が発信者情報の後に到来する信号に応じて通信を開始する前に、受信した発信者情報が外部通信装置を利用するための専用の情報であるか否かを判断し、外部通信装置を利用するための専用の情報である場合には、外部通信装置を通信回線に接続するため、通信装置が着信してから外部通信装置を鳴動させる、という形態に比べると、より早い段階で外部通信装置を鳴動させることが可能となる。
【0008】
また、請求項3に記載の通信装置では、受信した発信者情報が外部通信装置を利用するための専用の情報でない場合は、その後に到来する信号によって外部通信装置を鳴動させずに通信装置が着信する場合であると判断できる。よって、外部通信装置が通信回線から切断された状態が維持される。これにより、外部通信装置を全く鳴動させることのない、無鳴動着信動作を実現することが可能となる。
【0009】
また、請求項4に記載の通信装置において、発信者情報が外部通信装置を利用するための専用の情報である場合には、その後に到来する信号によって外部通信装置を鳴動させてもよい場合であると判断できる。よって、外部通信装置が通信回線に接続されている状態が、待機状態から継続して維持されるため、発信者情報を外部通信装置で受信することが可能となる。
【0010】
また、請求項5に記載の通信装置では、発信者情報が外部通信装置を利用するための専用の情報でない場合は、その後に到来する信号によって外部通信装置を鳴動させない方が良い場合であると判断できる。よって、発信者情報が外部通信装置を利用するための専用の情報ではないと判断されることに応じて、外部通信装置を通信回線から切断する。これにより、外部通信装置を全く鳴動させることのない、無鳴動着信動作を実現することが可能となる。
【0011】
また、請求項6に記載の通信装置では、記憶制御手段に記憶されている識別情報と、取得手段で取得した発信者情報とが比較される。これにより、第2判断手段において、発信者情報が外部通信装置を利用するための専用の情報であるか否かを判断することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】MFPの構成を表すブロック図である。
【図2】外付電話のモード設定の具体例を示すフロー図である。
【図3】待機状態からの着信時動作の具体例を示すフロー図(その1)である。
【図4】待機状態からの着信時動作の具体例を示すフロー図(その2)である。
【図5】待機状態からの着信時動作の具体例を示すフロー図(その3)である。
【図6】待機状態からの着信時動作の具体例を示すフロー図(その4)である。
【図7】登録テーブルの具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<MFPの構成>
本実施形態に係るMFP(Multifunction Peripheral)(多機能機)1の構成を表すブロック図を、図1に示す。図1は、回線接続端子12に電話回線70が接続され、外付電話接続端子11に外付電話50が接続された状態を示す図である。MFP1は、電話回線70を介して交換機71に接続される。交換機71は、発呼側の発信者情報を通知するサービスを実行する交換機である。発呼側の発信者情報の一例としては、電話番号や発信者の氏名などが挙げられる。
【0014】
MFP1は、外付電話50を接続可能な外付電話接続端子11と、電話回線70を接続可能な回線接続端子12とを備えている。外付電話50は、外部通信装置の一例である。外付電話接続端子11、回線接続端子12は、いずれもMFP1の外部に露出した同一形状のモジュラージャックとして構成されており、2つの接点11Aおよび11Bと、接点12Aおよび12Bをそれぞれ備えている。また、接点12AとSDAA16の一端とを接続する通電経路13Aと、接点12BとSDAA16の他端とを接続する通電経路13Bとが備えられる。
【0015】
リレー15は、外付電話接続端子11側に設けられる。リレー15は、リレー切替信号RSSに基づいて、接点Xと接点Yとを選択可能に切り替えるリレーである。CPU30からリレー切替信号RSSが出力されることに応じて、リレー15のコイルに電力が供給されて磁力が発生し、接点Xから接点Yへ切り替えられる。CPU30からリレー切替信号RSSが出力されない期間においては、リレー15のコイルに電力が供給されないため、リレー15の接続先が接点Xに維持される。リレー15の接点Xは、接点11Aを通電経路13Aに第1ノードN1で接続し、接点11Bを通電経路13Bに第2ノードN2で接続する。よって接点Xが選択されると、外付電話接続端子11の接続先が、SDAA16および回線接続端子12とされる。また、リレー15の接点Yは、鳴動回路18に接続される。よって接点Yが選択されると、外付電話接続端子11の接続先が鳴動回路18とされる。
【0016】
このようにリレー15は、電力が供給されていない状態では外付電話50を電話回線70に接続し、電力が供給されている状態では外付電話50を電話回線70から切断する構成を有している。これは、外付電話50が、電話回線70から電源供給を受けることで通信可能な構成を有しているためである。すなわち、停電等によってMFP1に電源供給がされない場合には、外付電話50を電話回線70に接続されている状態とすることで、外付電話50を用いた音声通話を可能とすることができる。
【0017】
鳴動回路18は、電話回線70を介して入力される呼出信号の代わりとなる擬似呼出信号を、CPU30からの指令に基づいて出力する周知の回路である。すなわち、リレー15の接続先を接点Yとしておけば、鳴動回路18から外付電話50に擬似呼出信号を出力することができ、着信の有無に関わらず外付電話50を鳴動させることができる。
【0018】
また、外付電話接続端子11とリレー15と間の通電経路上には、電流検出回路19が備えられる。電流検出回路19は、通電経路に流れる電流の有無を検出し、検出結果を電流検出信号IDSとしてCPU30へ出力する。
【0019】
トランス17は、電話回線70からSDAA16に入力された通信データを、絶縁状態を保持しつつモデム部39に伝達する回路である。また、モデム部39は、デジタル信号とアナログ信号とを相互に変換する周知の回路である。
【0020】
SDAA(Silicon Data Access Arrangement)16は、電話回線用のインターフェースモジュールであり、CPU30からモデム部39を介して入力される制御信号に応じて、電話回線の閉結及び開放動作を行う回路である。また、SDAA16には回線電圧検出回路が内蔵されており、測定された回線電圧が回線電圧検出信号としてモデム部39へ出力される。またSDAA16は、交換機71から送信されてくる、情報受信端末起動信号(CAR信号)や呼出信号(CI信号)などの各種の信号を、検出することが可能に構成されている。
【0021】
SDAA16をオンにすることで、直流ループが形成され、モデム部39が電話回線70と閉結される。また、外付電話50のデータ経路(接点12A、第1ノードN1、電流検出回路19、接点11A、外付電話50、接点11B、電流検出回路19、第2ノードN2、接点12B)によって、外付電話50が電話回線70と閉結される。データ経路によって外付電話50が発信者情報などの各種情報を受信している際には、SDAA16を用いることによって、外付電話50が受信した情報をモデム部39でもモニタすることができる。なお、SDAA16のモニタ経路はハイインピーダンスであるため、交換機71側からはモニタ経路の直流ループの存在を検知することができない。よって、外付電話50の応答動作に影響を与えることなく、外付電話50が受信している発信者情報を、MFP1でも取得することができる。
【0022】
主制御部29には、CPU30、ROM31、RAM32、NVRAM(Non Volatile RAM)33が備えられる。CPU30は、ROM31に記憶されたプログラムに基づき、MFP1を制御する回路である。CPU30には、モデム部39、鳴動回路18、表示部41、操作部44などが接続される。RAM32には、各種の情報が記憶される。
【0023】
NVRAM33には、登録テーブル34、モード記憶領域35、無鳴動着信設定記憶領域36が記憶される。図7に、登録テーブル34の一例を示す。登録テーブル34には、登録アドレス101、名前102、電話/FAX番号103、番号カテゴリ104、が記憶される。登録アドレス101は、登録内容の各々を識別するためのシリアル番号である。名前102は、通信相手を特定するための名称である。電話/FAX番号103は、通信相手の電話番号やFAX番号である。MFP1から発呼する場合には、電話/FAX番号103を用いて発呼を行う。またMFP1が着信する場合には、発信者情報として、電話/FAX番号103を受信する。
【0024】
番号カテゴリ104は、電話/FAX番号103のカテゴリを示す情報である。電話/FAX番号103のカテゴリには、「電話(音声通話)専用」、「FAX専用」、「電話とFAXで共用」、などのカテゴリがある。発信者情報として受信した電話/FAX番号103の番号カテゴリ104が「電話専用」である場合には、外付電話50を用いて通信を行う必要がある場合であると認識できる。すなわちこの場合、発信者情報が外付電話50を利用するための専用の情報であると判断することができる。また、発信者情報として受信した電話/FAX番号103の番号カテゴリ104が「FAX専用」である場合には、MFP1を用いて通信を行う必要がある場合であると認識できる。すなわちこの場合、発信者情報がMFP1の専用の情報であると判断することができる。また、発信者情報として受信した電話/FAX番号103の番号カテゴリ104が「電話とFAXで共用」である場合には、MFP1を用いて一度閉結して通信内容を確認した上で、電話である場合には外付電話50を用いて通信し、FAXである場合にはMFP1を用いて通信する必要がある場合であると判断することができる。なお、登録テーブル34の内容は、ユーザによって予め登録されるとしてもよい。
【0025】
モード記憶領域35は、MFP1の動作モードが、モードAないしCのうちの何れに設定されているかを記憶する領域である。モードAは、ナンバーディスプレイ機能を有する外付電話50が、外付電話接続端子11に接続されている場合の動作モードである。モードBは、ナンバーディスプレイ機能を有さない外付電話50が、外付電話接続端子11に接続されている場合の動作モードである。モードCは、外付電話50が外付電話接続端子11に非接続の場合の動作モードである。
【0026】
無鳴動着信設定記憶領域36は、MFP1の無鳴動着信設定の有無を記憶する領域である。無鳴動着信設定とは、呼出信号(CI信号)が電話回線70から到来した時に、着信0回でMFP1が回線閉結して応答する設定である。これにより、無鳴動着信設定が「有」の場合には、MFP1や外付電話50を全く鳴動させることなく、MFP1でFAXを受信することができる。
【0027】
表示部41は、MFP1の筐体表面(不図示)に設けられた、液晶パネルなどの装置である。操作部44は、MFP1の筐体表面に設けられた、テンキーなどの入力装置である。また、CPU30からはリレー切替信号RSSが出力され、CPU30には電流検出信号IDSが入力される。
【0028】
<外付電話のモード設定>
本実施例に係るMFP1の外付電話のモード設定を、図2のフローを用いて説明する。外付電話のモード設定は、MFP1に接続される外付電話50の動作モードを、モードAないしCのうちから選択して設定するものである。図2のフローは、ユーザが操作部44を操作し、メニューから外付電話50の設定を変更するモードを選択するものである。
【0029】
S2において、CPU30は、外付電話50が外付電話接続端子11に接続されているか否かを判断する。接続されていない場合(S2:NO)にはS4に進み、CPU30は、MFP1の動作モードが「モードC」である旨を、モード記憶領域35に記憶させる。そしてフローが終了される。一方、外付電話50が接続されている場合(S2:YES)にはS6へ進み、CPU30は、外付電話50がナンバーディスプレイ機能を有するか否かを判断する。当該判断は、例えば、外付電話50がナンバーディスプレイ機能を有するか否かの情報の入力を受け付けることで行っても良い。外付電話50がナンバーディスプレイ機能を有すると判断される場合(S6:YES)にはS10へ進み、CPU30は、MFP1の動作モードが「モードA」である旨を、モード記憶領域35に記憶させる。また、ナンバーディスプレイ機能を有しないと判断される場合(S6:NO)にはS8へ進み、CPU30は、MFP1の動作モードが「モードB」である旨を、モード記憶領域35に記憶させる。そしてフローが終了される。
【0030】
<待機状態からの着信時動作>
本実施例に係るMFP1の待機状態からの着信時動作を説明する。待機状態からの着信時動作について、図3ないし図6のフロー図を用いて説明する。待機状態からの着信時動作は、交換機71から電話回線70を介して、音声通話やFAX通信のための着信があった場合に行われる動作である。なお、本実施例では、無鳴動着信設定記憶領域36に記憶されている無鳴動着信設定が「有」とされている場合の動作を説明する。また、図3ないし図6のフローは、MFP1の電源投入期間中(待機状態)において常に動作するフローである。またMFP1の初期状態では、リレー15の接続先が接点Xに接続維持され、外付電話50が電話回線70に接続されている状態である。
【0031】
S12において、CPU30は、各種処理を実行する。各種処理の一例としては、着信以外の割り込み処理などが挙げられる。S13において、CPU30は、MFP1の動作モードを判断する。具体的には、モード記憶領域35に記憶されている動作モードを読み出す。読み出された動作モードが「モードC」である場合にはS14へ進む。読み出された動作モードが「モードB」である場合にはS15へ進む。読み出された動作モードが「モードA」である場合にはS16へ進む。
【0032】
<モードAの動作>
S16において、CPU30は、SDAA16で電話回線70の極性反転が検出されたか否かを判断する。極性反転は、各種の信号が交換機71から送出開始される旨を、MFP1へ知らせるための信号である。各種の信号の一例としては、情報受信端末起動信号(CAR信号)、呼出信号(CI信号)、CNG信号などが挙げられる。極性反転が検出されない場合(S16:NO)にはS12へ戻り、極性反転が検出された場合(S16:YES)にはS18へ進む。
【0033】
S18において、CPU30は、CAR信号がSDAA16で検出されたか否かを判断する。CAR信号が検出されない場合(S18:NO)にはS12へ戻り、CAR信号が検出された場合(S18:YES)にはS20へ進む。
【0034】
CAR信号が到来する時点において、リレー15の接続先が接点X側に維持されているため、外付電話50は電話回線70に接続されている状態である。よってCAR信号は外付電話50に入力され、外付電話50が一次閉結することで、外付電話50がCAR信号に対して一次応答する。 また、外付電話50による一次閉結の実行は、SDAA16によって検出することができる。外付電話50での一次応答が交換機71で受信されると、MFP1側がナンバーディスプレイサービスに対応していると判断される。そして、交換機71から外付電話50へは、発信者情報を含んだモデム信号が送信されてくる。
【0035】
S20において、CPU30は、外付電話50のデータ経路をSDAA16を用いてモニタすることで、外付電話50が受信している発信者情報を取得する。外付電話50は、発信者情報の受信が完了すると、回線開放する。これにより、交換機71へ受信完了信号が送出される。また、外付電話50による回線開放の実行を、SDAA16によって検出することができ、CPU30は、その検出により、CI信号の到来を待ち受ける状態となる。
【0036】
S22において、CPU30は、取得した発信者情報が外付電話50を利用するための専用の情報であるか否かを判断する。具体的には、モニタ経路で受信した発信者情報を取得し、その取得した発信者情報が電話/FAX番号103の登録テーブル34に登録されているか否か検索する。電話/FAX番号103に受信した発信者情報が検索された場合には、登録テーブル34の番号カテゴリ104の欄を参照して、番号カテゴリ104が「電話専用」であるか否かを判断する。そして、番号カテゴリ104が「電話専用」である場合には、モニタ経路で受信した発信者情報が外付電話50を利用するための専用の情報であると判断される。発信者情報が外付電話50を利用するための専用の情報であると判断された場合(S22:YES)には、その後に到来する信号によって外付電話50を鳴動させてもよい場合であると判断できる。よってS23に進み、CPU30は、リレー15を接点X側に接続維持することで、外付電話50を電話回線70に接続されている状態が維持される。
【0037】
S24において、CPU30は、MFP1の無鳴動着信設定を解除する。具体的には、無鳴動着信設定記憶領域36に記憶されている無鳴動着信設定を、「有」から「無」へ変更する。これにより、CI信号の到来時に、着信0回でMFP1が回線閉結して応答してしまうことが防止される。すなわち、CPU30は、CI信号の検出をしても無鳴動着信動作を行わない制御を行うことができる。
【0038】
その後、交換機71からCI信号が到来する。外付電話50が電話回線70に接続されている状態が維持されているため、そのCI信号により外付電話50が鳴動される。また、外付電話50の表示部には、取得した発信者情報(電話番号等)が表示される。
【0039】
S26において、CPU30は、外付電話50のハンドセットが上げられ、オフフック状態とされたか否かを、SDAA16からの情報に基づいて判断する。オフフック状態とされていない場合(S26:NO)にはS28へ進み、CI信号が検出されているか否かを判断する。CI信号が検出されている場合(S28:YES)には、呼び出し中であると判断され、S26へ戻る。一方、CI信号が検出されない場合(S28:NO)には呼び出しが終了したと判断され、S32へ進む。またS26において、オフフック状態とされたと判断される場合(S26:YES)にはS30へ進む。
【0040】
S30において、CPU30は、外付電話50がオンフックされたか否かを、SDAA16からの情報に基づいて判断する。オンフックされていない場合(S30:NO)には、通話中であると判断され、S30へ戻って待機する。一方、オンフックされた場合(S30:YES)には、S32へ進む。S32において、CPU30は、無鳴動着信設定記憶領域36に記憶されている無鳴動着信設定を、「無」から「有」へ戻す。そしてS12へ戻る。
【0041】
一方、S22において、モニタ経路で受信した発信者情報が外付電話50を利用するための専用の情報ではないと判断される場合(S22:NO)には、その後に到来するCI信号によって外付電話50を鳴動させない方が良い場合であると判断できる。よってS42(図4)へ進み、CPU30は、リレー切替信号RSSを出力することで、リレー15に電力を供給する。これにより、リレー15が接点X側から接点Y側へ倒され、外付電話50が電話回線70から切り離された状態とされる。
【0042】
その後、交換機71からCI信号が到来する。外付電話50が電話回線70から切り離された状態とされているため、CI信号は外付電話50で受信されず、外付電話50が鳴動されることはない。S44において、CPU30は、無鳴動着信動作を行う。具体的には、着信0回でMFP1側が回線閉結して応答する。これにより、外付電話50を全く鳴動させることのない、無鳴動着信動作を実現することが可能となる。
【0043】
S45において、CPU30は、MFP1の表示部41に、取得した発信者情報(電話番号等)を表示する。S46において、CPU30は、CNG信号がSDAA16で検出されたか否かを判断する。CNG信号は、送信側のFAX装置が送信する信号であり、受信側に対し自機がFAX装置であることを通知するのに用いられる識別信号である。
【0044】
CNG信号が検出された場合(S46:YES)には、FAX信号を受信する場合であると判断され、S48へ進む。S48において、CPU30は、モデム部39を介してFAX信号を受信する。S50において、CPU30は、FAX信号の受信を完了する。S52において、CPU30が、接点Y側から接点X側へ接続を切り替える指示をリレー切替信号RSSによって出力することで、リレー15への電力供給が停止されてリレー15が接点Y側から接点X側へ倒され、外付電話50が電話回線70に接続されている状態となる。そしてS12(図3)へ戻る。
【0045】
一方、S46において、CNG信号が検出されない場合(S46:NO)には、音声通話を行う場合であると判断され、S62へ進む。S62において、CPU30は、鳴動回路18から外付電話50に擬似呼出信号を出力する。これにより、外付電話50を鳴動させることができる。S64において、CPU30は、外付電話50のハンドセットが上げられ、オフフック状態とされたか否かを、SDAA16からの情報に基づいて判断する。オフフック状態とされていない場合(S64:NO)にはS64へ戻り待機し、オフフック状態とされた場合(S64:YES)にはS66へ進む。
【0046】
S66において、CPU30が、接点Y側から接点X側へ接続を切り替える指示をリレー切替信号RSSによってリレー15に出力することで、リレー15への電力供給が停止されてリレー15が接点Y側から接点X側へ倒され、外付電話50が電話回線70に接続されている状態となる。またCPU30は、鳴動回路18から出力していた擬似呼出信号を停止する。S68において、CPU30は、外付電話50がオンフックされたか否かを、SDAA16からの情報に基づいて判断する。オンフックされていない場合(S68:NO)には、通話中であると判断され、S68へ戻って待機する。一方、オンフックされた場合(S68:YES)には、S12(図3)へ戻る。
【0047】
<モードBの動作>
S13(図3)において、MFP1の動作モードが「モードB」であると判断された場合には、S15へ進み、モードBの動作が実行される。モードBは、ナンバーディスプレイ機能を有さない外付電話50が、外付電話接続端子11に接続されている場合の動作モードである。図5のフローを用いて、モードB時のMFP1の動作を説明する。S112において、CPU30は、SDAA16で電話回線70の極性反転が検出されたか否かを判断する。極性反転が検出されない場合(S112:NO)にはS12へ戻り、極性反転が検出された場合(S112:YES)にはS114へ進む。
【0048】
S114において、CPU30が、接点X側から接点Y側へ接続を切り替える指示をリレー切替信号RSSによってリレー15に出力することで、リレー15に電力が供給され、リレー15が接点X側から接点Y側へ倒され、外付電話50が電話回線70から切り離された状態となる。S116において、CPU30は、CAR信号がSDAA16で検出されたか否かを判断する。CAR信号が検出されない場合(S116:NO)にはS12へ戻り、CAR信号が検出された場合(S116:YES)にはS118へ進む。
【0049】
CAR信号が到来する時点において、リレー15は接点Y側に維持され、外付電話50は電話回線70から切り離されている。よってS118において、CPU30は、SDAA16を用いて一次閉結を行うことで、CAR信号に対して一次応答する。これによりCPU30は、その後に送信されてくる発信者情報を取得することができる。
【0050】
S120において、CPU30は、発信者情報が外付電話50を利用するための専用の情報であるか否かを判断する。外付電話50を利用するための専用の情報であると判断される場合(S120:YES)には、S122へ進む。S122において、CPU30は、接点Y側から接点X側へ接続を切り替える指示をリレー切替信号RSSによってリレー15に出力することで、リレー15への電力供給が停止され、リレー15が接点Y側から接点X側へ倒されることで、外付電話50が電話回線70に接続されている状態となる。
【0051】
S124において、CPU30は、回線開放を実行する。これにより、交換機71へ受信完了信号が送出されるため、CI信号の受信が可能な状態とされる。S126において、CPU30は、MFP1の無鳴動着信設定を解除する。これにより、CI信号の到来時に、着信0回でMFP1が回線閉結して応答してしまうことが防止される。その後、交換機71からCI信号が到来する。外付電話50が電話回線70に接続されている状態が維持されているため、外付電話50が鳴動する。そしてS26(図3)へ進む。
【0052】
一方、S120において、発信者情報が外付電話50を利用するための専用の情報ではないと判断された場合(S120:NO)には、その後に到来する信号によって外付電話50を鳴動させない方が良い場合であると判断できる。よってS132へ進み、CPU30は、リレー切替信号RSSによって接点X側から接点Y側へ接続を切り替える指示をすることで、リレー15に電力を供給し続ける。よって、リレー15が接点Y側へ倒された状態が維持され、外付電話50が電話回線70から切り離された状態が維持される。
【0053】
S134において、CPU30は、MFP1の回線開放を実行する。これにより、交換機71へ受信完了信号が送出される。その後、交換機71からCI信号が到来する。外付電話50が電話回線70から切り離された状態とされているため、CI信号は外付電話50では受信できず、外付電話50が鳴動されることはない。これにより、外付電話50を全く鳴動させることがなく、MFP1は、無鳴動着信動作を実現することが可能となる。そしてS44(図4)へ進む。
【0054】
<モードCの動作>
S13(図3)において、MFP1の動作モードが「モードC」であると判断された場合には、S14へ進み、モードCの動作が実行される。モードCは、外付電話50が外付電話接続端子11に非接続の場合の動作モードである。図6のフローを用いて、モードC時のMFP1の動作を説明する。S212において、CPU30は、SDAA16で電話回線70の極性反転が検出されたか否かを判断する。極性反転が検出されない場合(S212:NO)にはS12(図3)へ戻り、極性反転が検出された場合(S212:YES)にはS216へ進む。S216において、CPU30は、CAR信号がSDAA16で検出されたか否かを判断する。CAR信号が検出されない場合(S216:NO)にはS12(図3)へ戻り、CAR信号が検出された場合(S216:YES)にはS218へ進む。
【0055】
S218において、CPU30は、SDAA16を用いて一次閉結を行うことで、CAR信号に対して一次応答する。これによりCPU30は、その後に送信されてくる発信者情報を取得することができる。S220において、CPU30は、回線開放を実行する。これにより、交換機71へ受信完了信号が送出されるため、CI信号の受信が可能とされる。その後、交換機71からCI信号が到来する。S224において、CPU30は、無鳴動着信動作を行う。また、CPU30は、MFP1の表示部41に、取得した発信者情報(電話番号等)を表示する。S226において、CPU30は、モデム部39を介してFAX信号を受信する。S228において、CPU30は、FAX信号の受信を完了する。そしてS12(図3)へ戻る。
【0056】
<効果>
本実施形態の説明例に係るMFP1の効果を説明する。外付電話50が発信者情報を通知するサービス(ナンバーディスプレイサービス)に非対応の場合(モードBの場合)には、発信者情報が到来する旨を報知するCAR信号を外付電話50が受信した場合に、外付電話50が当該CAR信号を認識できずに、CAR信号に応じて鳴動してしまう場合がある。そこで、極性反転の検出(S112:Y)に応じて外付電話50を電話回線70から切断(S114)することで、各種の信号が外付電話50で受信されないようにすることができる。これにより、外付電話50を全く鳴動させることのない、無鳴動着信動作を実現することが可能となる。
【0057】
また、MFP1の待機状態では、リレー15への電力供給が停止され、リレー15が接点X側に倒された状態が維持されることで、外付電話50が電話回線70に接続されている状態とされる。これにより、MFP1の待機状態において、リレー15に電力が供給されていない状態とすることができる。よって、MFP1のさらなる低消費電力化を図ることが可能となる。
【0058】
また、発信者情報が外付電話50を利用するための専用の情報である場合(S22:Y、S120:Y)には、その後に到来する信号によって外付電話50を鳴動させてもよい場合であると判断できる。この場合、外付電話50が電話回線70に接続されている状態とする(S23、S122)。これにより例えば、発信者情報の後に到来する信号に応じてMFP1が通信を開始し、CPU30から外付電話50を鳴動させる、という形態に比べると、より早い段階で外付電話50を鳴動させることが可能となる。
【0059】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0060】
<変形例>
S26、S30、S64、S68等において、CPU30は、外付電話50のオフフック状態やオンフック状態を、SDAA16からの情報に基づいて判断するとしたが、この形態に限られない。電流検出回路19から送信される電流検出信号IDSに基づいて、直流ループが検出されるか否かによって、外付電話50がオフフック状態であるか否かを検出する形態であってもよい。
【0061】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【0062】
なお、MFP1は通信装置の一例である。外付電話50は外部通信装置の一例である。電話回線70は通信回線の一例である。外付電話接続端子11は接続手段の一例である。リレー15は接続手段の一例である。SDAA16、モデム39は検出手段の一例である。CPU30は制御部の一例である。モデム部39は取得手段の一例である。SDAA16、モデム部39は通信手段の一例である。CI信号は呼出信号の一例である。NVRAM33は記憶制御手段の一例である。番号カテゴリ104は識別情報の一例である。
【0063】
また、S13を実行するCPUは第1判断手段の一例である。S112を実行するCPUは検出手段の一例である。S118を実行するCPUは取得手段の一例である。S22、S120を実行するCPUは第2判断手段の一例である。S23、S42、S122、S132を実行するCPUは接続手段の一例である。S44、S124を実行するCPUは通信手段の一例である。
【符号の説明】
【0064】
1:MFP、11:電話接続端子、15:リレー、16:SDAA、30:CPU、33:NVRAM、39:モデム部、50:外付電話、70:電話回線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発呼側の発信者情報を通知するサービスを有する通信回線に接続されるとともに、外部通信装置を接続する接続手段を有する通信装置において、
電源供給されていない状態では前記外部通信装置を前記通信回線に接続し、電源供給されている状態では前記外部通信装置を前記通信回線から切断する接続手段と、
前記外部通信装置が前記発信者情報を通知するサービスに対応しているか否かを判断する第1判断手段と、
前記通信回線の極性反転を検出する検出手段と、
を備え、
制御部は、前記接続手段に、待機状態においては前記外部通信装置を前記通信回線に接続させている状態を維持させるとともに、前記第1判断手段で前記外部通信装置が前記発信者情報を通知するサービスに対応していないと判断される場合には、前記検出手段で前記極性反転が検出されることに応じて前記外部通信装置を前記通信回線から切断する制御を行うことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記発信者情報を取得する取得手段と、
前記取得手段で取得した前記発信者情報が前記外部通信装置の専用の情報であるか否かを判断する第2判断手段と、
前記発信者情報を取得した後に前記通信回線から到来する呼出信号に応じて、前記通信回線を用いた通信を開始する通信手段と、
を備え、
前記第1判断手段で前記外部通信装置が前記発信者情報を通知するサービスに対応していないと判断される場合には、前記第2判断手段で前記発信者情報が前記外部通信装置の専用の情報であると判断されることに応じて、前記接続手段は前記外部通信装置を前記通信回線に接続し、前記制御部は、前記通信手段に、前記呼出信号の検出を可能にする制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記第1判断手段で前記外部通信装置が前記発信者情報を通知するサービスに対応していないと判断される場合において、
前記第2判断手段で前記発信者情報が前記外部通信装置の専用の情報ではないと判断される場合には、
前記接続手段は、前記外部通信装置を前記通信回線から切断された状態を維持し、
前記通信手段は、前記呼出信号の検出を可能にし、
前記制御部は、無鳴動着信動作を行い、前記通信手段を用いて通信を行うことを特徴とする請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記第1判断手段で外部通信装置が前記発信者情報を通知するサービスに対応していると判断される場合において、
前記第2判断手段で前記発信者情報が前記外部通信装置の専用の情報であると判断される場合には、
前記接続手段は前記外部通信装置が前記通信回線に接続されている状態を維持し、
前記通信手段は前記呼出信号の検出が可能であり、
前記制御部は、前記呼出信号の検出をしても無鳴動着信動作を行わない制御を行うことを特徴とする請求項2または3に記載の通信装置。
【請求項5】
前記第1判断手段で外部通信装置が前記発信者情報を通知するサービスに対応していると判断される場合において、前記第2判断手段で前記発信者情報が前記外部通信装置の専用の情報ではないと判断される場合には、
前記制御部は、前記接続手段に前記外部通信装置を前記通信回線から切断させ、前記呼出信号に対して無鳴動着信動作を行い、前記通信手段を用いて通信を行うことを特徴とする請求項4に記載の通信装置。
【請求項6】
複数の前記発信者情報の各々について、前記外部通信装置の専用の情報であるか否かの識別情報を記憶する記憶制御手段を備え、
前記第2判断手段は、前記記憶制御手段に記憶されている前記識別情報と、前記取得手段で取得した前記発信者情報とを比較することを特徴とする請求項2ないし5の何れか1項に記載の通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−186687(P2012−186687A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−48853(P2011−48853)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】