説明

通帳取扱装置

【課題】搬送される通帳を検出するセンサによって磁気ストライプを検出することにより、構成を複雑にすることなく、磁気ストライプの貼(ちょう)付位置や貼付方向のタイプを判断することができ、無駄な磁気ストライプのリード又はライトを行う必要がなく、通帳の処理時間を短縮することができるようにする。
【解決手段】搬送路25内の通帳を搬送する搬送装置と、搬送される前記通帳を検出する通帳走行監視センサ11と、前記通帳に貼付された磁気ストライプのリード又はライトを行う複数の磁気ヘッドとを有し、前記通帳走行監視センサ11による磁気ストライプの検出結果に基づいて磁気ストライプの貼付態様を判断し、該磁気ストライプの貼付態様に対応する磁気ヘッドによって磁気ストライプのリード又はライトを行う位置にまで通帳を搬送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通帳取扱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、銀行、郵便局、信用金庫等の金融機関においては、預金通帳等の通帳に記帳するために通帳記帳機等の通帳取扱装置が使用されている。該通帳取扱装置においては、媒体としての通帳の所定位置に印字して記帳するために、開いた状態で挿入口から通帳取扱装置に挿入された通帳を、搬送路に配設された搬送ローラ等のローラによって印字部まで搬送する。なお、前記通帳取扱装置は、必ずしも独立して使用されるものではなく、例えば、利用者が、入金、出金、振込、残高照会等の金融取引を行うために、前記金融機関の支店、すなわち、営業店に配設されたATM(Automatic Teller Machine:現金自動預払機)、CD(Cash Dispenser:現金自動支払機)等の自動取引装置に組み込まれて使用されることもある。
【0003】
また、前記通帳の表又は裏の表紙には、顧客の口座番号、金融機関の支店番号等の情報が記録されている磁気ストライプが貼(ちょう)付されている。そして、前記通帳取扱装置の搬送路には、磁気ストライプに記録された情報を読み取ったり書き込んだりする磁気ストライプリーダ・ライタが配設されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
ところで、通帳における磁気ストライプの貼付位置や貼付方向は、必ずしも統一されておらず、金融機関によって異なっている。そして、近年では、金融機関の統合等の影響によって、1つの通帳取扱装置で、様々な磁気ストライプ仕様の通帳を取り扱うケースが増加している。
【0005】
しかし、磁気ストライプの貼付位置や貼付方向が異なる複数種類の通帳を取り扱う通帳取扱装置では、挿入された通帳の種類を判別することができないので、まず、いずれかの磁気ヘッドによって磁気ストライプのリードを行い、正常にリードができない場合には、磁気ストライプの貼付位置や貼付方向が該当するタイプの通帳でないと判断して、他の磁気ヘッドによって磁気ストライプのリードを行うようになっている。
【0006】
図2は従来の通帳取扱装置の通帳処理の動作を示すフローチャートである。
【0007】
まず、通帳取扱装置は、挿入口の近傍に配設された挿入検出センサがオンであるか否かの判断を繰り返し、挿入口から通帳が挿入されたか否かを判断する。そして、挿入検出センサがオンになると、通帳が挿入口から挿入されたと判断して、第1のMSタイプのリード位置に通帳を搬送する。ここで、MSタイプとは、磁気ストライプの貼付位置や貼付方向のタイプのことである。
【0008】
そして、通帳取扱装置は、第1のMSタイプのリードを行い、第1のMSタイプに対応する磁気ヘッドによって磁気ストライプのリードを行う。
【0009】
続いて、通帳取扱装置は、磁気ストライプのリードを正常に行うことができたか否かを判断し、正常に行うことができた場合には、開いた状態で挿入された通帳の頁(ページ)マークのリード、行リード等の次の処理に移行して、磁気ストライプのリードの処理を終了する。
【0010】
また、正常に行うことができなかった場合、通帳取扱装置は、第2のMSタイプのリード位置に通帳を搬送し、第2のMSタイプのリードを行い、第2のMSタイプに対応する磁気ヘッドによって磁気ストライプのリードを行う。
【0011】
続いて、通帳取扱装置は、磁気ストライプのリードを正常に行うことができたか否かを判断し、正常に行うことができた場合には、開いた状態で挿入された通帳の頁マークのリード、行リード等の次の処理に移行して、磁気ストライプのリードの処理を終了する。
【0012】
また、正常に行うことができなかった場合、通帳取扱装置は、通帳を返却して磁気ストライプのリードの処理を終了する。
【0013】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 挿入検出センサがオンであるか否かの判断を繰り返し、挿入検出センサがオンになった場合はステップS2に進む。
ステップS2 第1のMSタイプのリード位置に通帳を搬送する。
ステップS3 第1のMSタイプのリードを行う。
ステップS4 正常にリードを行うことができたか否かを判断する。正常にリードを行うことができた場合はステップS8に進み、正常にリードを行うことができなかった場合はステップS5に進む。
ステップS5 第2のMSタイプのリード位置に通帳を搬送する。
ステップS6 第2のMSタイプのリードを行う。
ステップS7 正常にリードを行うことができたか否かを判断する。正常にリードを行うことができた場合はステップS8に進み、正常にリードを行うことができなかった場合はステップS9に進む。
ステップS8 頁マーク、行リード等の次の処理に移行し、処理を終了する。
ステップS9 通帳を返却し、処理を終了する。
【0014】
また、通帳発行機能を有する通帳取扱装置においては、カセットに通帳をセットする際の裏表や上下向きの間違いを検出するために、通帳発行後に磁気ストライプのリード又はライトを行うようになっている。そして、正常にリード又はライトを行うことができない場合、通帳取扱装置は、通帳が正しい向きでないと判断し、発行した通帳を回収し、再度通帳を発行するようになっている。
【特許文献1】特開平8−7206号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、前記従来の通帳取扱装置においては、無駄な磁気ストライプのリード又はライトを行う必要があるので、通帳の処理時間が長くなってしまう。
【0016】
本発明は、前記従来の通帳取扱装置の問題点を解決して、搬送される通帳を検出するセンサによって磁気ストライプを検出することにより、構成を複雑にすることなく、磁気ストライプの貼付位置や貼付方向のタイプを判断することができ、無駄な磁気ストライプのリード又はライトを行う必要がなく、通帳の処理時間を短縮することができる通帳取扱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
そのために、本発明の通帳取扱装置においては、搬送路内の通帳を搬送する搬送装置と、搬送される前記通帳を検出する通帳走行監視センサと、前記通帳に貼付された磁気ストライプのリード又はライトを行う複数の磁気ヘッドとを有し、前記通帳走行監視センサによる磁気ストライプの検出結果に基づいて磁気ストライプの貼付態様を判断し、該磁気ストライプの貼付態様に対応する磁気ヘッドによって磁気ストライプのリード又はライトを行う位置にまで通帳を搬送する。
【0018】
本発明の他の通帳取扱装置においては、さらに、前記磁気ストライプの貼付態様は、少なくとも、磁気ストライプが通帳の搬送方向と直交する方向に延在する第1の貼付態様及び磁気ストライプが通帳の搬送方向に延在する第2の貼付態様を含み、前記磁気ヘッドは、少なくとも、第1の貼付態様に対応する第1の磁気ヘッド及び第2の貼付態様に対応する第2の磁気ヘッドを含む。
【0019】
本発明の更に他の通帳取扱装置においては、さらに、前記通帳走行監視センサは、検出光を射出するとともに反射された検出光を受光する発光/受光センサを備え、通帳の表紙によって反射された検出光の受光レベルと磁気ストライプの表面によって反射された検出光の受光レベルとの差に基づいて磁気ストライプを検出する。
【0020】
本発明の更に他の通帳取扱装置においては、さらに、前記発光/受光センサを上下動可能に保持する上下可動機構を更に有し、該上下可動機構は、通帳が発光/受光センサの上を覆っていない場合に該発光/受光センサを上昇させる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、通帳取扱装置においては、搬送される通帳を検出するセンサによって磁気ストライプを検出するようになっている。これにより、構成を複雑にすることなく、磁気ストライプの貼付位置や貼付方向のタイプを判断することができ、無駄な磁気ストライプのリード又はライトを行う必要がなく、通帳の処理時間を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
図1は本発明の第1の実施の形態における通帳取扱装置の概略図、図3は本発明の第1の実施の形態における第1のMSタイプの通帳の例を示す図、図4は本発明の第1の実施の形態における第2のMSタイプの通帳の例を示す図である。
【0024】
図1において、10は本実施の形態における通帳取扱装置であり、銀行、郵便局、信用金庫等の金融機関において、通帳30に記帳するための通帳記帳機等である。なお、前記通帳取扱装置10は、独立に構成されたものであってもよいし、前記金融機関の営業店等に配設されたATM、CD等の自動取引装置のような他の装置の一部として構成されたものであってもよい。
【0025】
そして、前記通帳取扱装置10は、通帳30を挿入する挿入口26、該挿入口26から奥に向けて延在し、内部を通帳30が搬送される搬送路25、並びに、該搬送路25に沿って複数個配設された搬送装置としての搬送ローラ17及びプレッシャローラ18を有する。前記搬送ローラ17は、ベルト、プーリ等を介して伝達される搬送モータ19の駆動力を受けて回転し、搬送路25の通帳30を搬送する。なお、前記プレッシャローラ18は、通帳30を搬送ローラ17に押圧する。
【0026】
また、前記挿入口26には、発光部14a及び受光部14bから成る挿入検出センサ14が配設され、挿入された通帳30を検出する。そして、前記挿入検出センサ14よりも奥には、搬送ローラ17によって搬送され、搬送路25内を搬送される通帳30を検出する通帳走行監視センサ11が配設されている。該通帳走行監視センサ11は、搬送路25の上側に配設されたプリズム11aと、搬送路25の下側に配設され、検出光を射出するとともに反射された検出光を受光する発光/受光センサ11bとから成り、該発光/受光センサ11bから射出された検出光は、プリズム11aによって反射され、再び、発光/受光センサ11bに入射する。そして、通帳30が通帳走行監視センサ11を通過すると、前記検出光が通帳30によって遮られるので、これにより、通帳走行監視センサ11は通帳30を検出することができる。
【0027】
さらに、通帳走行監視センサ11よりも奥には、第1の磁気ヘッドとしての第1のMSヘッド15及び第2の磁気ヘッドとしての第2のMSヘッド16が配設されている。前記第1のMSヘッド15及び第2のMSヘッド16は、それぞれ、第1のMSタイプ及び第2のMSタイプの通帳30の磁気ストライプ31に記録された情報を読み取ったり書き込んだり、すなわち、リード又はライトする磁気ストライプリーダ・ライタの磁気ヘッドである。
【0028】
なお、前記磁気ストライプ31は、通帳30の表又は裏の表紙に貼付され、顧客の口座番号、金融機関の支店番号等の情報が記録される記憶手段である。そして、通帳30における磁気ストライプ31の貼付位置や貼付方向、すなわち、貼付態様には種々のタイプが存在するが、ここでは、説明の都合上、図3に示されるような第1の貼付態様としての第1のMSタイプと、図4に示されるような第2の貼付態様としての第2のMSタイプとについてのみ説明する。
【0029】
第1のMSタイプの場合、磁気ストライプ31は、通帳30の表紙の折り目32と平行な方向に延在し、表又は裏の表紙における前記折り目32と反対側の長辺に沿うように貼付される。また、第2のMSタイプの場合、磁気ストライプ31は、通帳30の表紙の折り目32と垂直な方向に延在し、表又は裏の表紙における前記折り目32と垂直な短辺のいずれかに沿うように貼付される。なお、図3及び4において、通帳30は、二つ折りに折り畳んだ状態ではなく、挿入口26に挿入するために開いた状態となっている。
【0030】
そして、前記第1のMSヘッド15は、搬送路25内における通帳30の走行方向に対して垂直な方向(図1における図面に垂直な方向)、すなわち、搬送される通帳30の幅方向(図3における横方向)に移動可能に配設されている。これにより、通帳30の表紙の折り目32と平行な方向、すなわち、搬送される通帳30の幅方向に延在する磁気ストライプ31のリード又はライトを行うことができる。
【0031】
また、前記第2のMSヘッド16は、搬送路25内における通帳30の走行方向(図1における横方向)、すなわち、搬送される通帳30の前後方向(図3における縦方向)に移動可能に配設されている。これにより、通帳30の表紙の折り目32と垂直な方向、すなわち、搬送される通帳30の前後方向に延在する磁気ストライプ31のリード又はライトを行うことができる。
【0032】
次に、前記構成の通帳取扱装置10の動作について説明する。
【0033】
図5は本発明の第1の実施の形態における通帳走行監視センサの受光レベルの変化を示す図、図6は本発明の第1の実施の形態における通帳取扱装置の通帳処理の動作を示すフローチャートである。なお、図5(a)は通帳と通帳走行監視センサの発光/受光センサとの位置関係の変化を示し、図5(b)は発光/受光センサの受光レベルの変化を示す。そして、図5(b)において、横軸に位置関係、縦軸に受光レベルを採ってある。
【0034】
まず、金融機関の顧客、営業店の係員等が通帳取扱装置10の挿入口26に開いた状態の通帳30を挿入する。ここで、通帳取扱装置10は、挿入口26に配設された挿入検出センサ14がオンであるか否かの判断を繰り返し、挿入口26から通帳30が挿入されたか否かを判断する。そして、挿入検出センサ14がオンになると、通帳30が挿入口26から挿入されたと判断し、搬送モータ19を作動させて搬送ローラ17を回転させ、通帳30の搬送を開始する。これにより、通帳30は、搬送路25内に引き込まれ、第1のMSヘッド15又は第2のMSヘッド16によって磁気ストライプ31のリード又はライトを行うための位置としてのMSリード位置までの搬送が開始される。なお、搬送路25内を走行する通帳30の位置は、挿入口26の奥に配設された通帳走行監視センサ11、及び、更にその奥に配設された図示されない他の通帳走行監視センサのオン・オフ情報に基づいて把握され、管理される。
【0035】
そして、通帳取扱装置10は、通帳走行監視センサ11がオンであるか否かの判断を繰り返し、通帳走行監視センサ11がオンになると、さらに、通帳走行監視センサ11による第1のMSタイプの検出を開始し、第1のMSタイプであるか否かを判断する。
【0036】
ここで、通帳走行監視センサ11の発光/受光センサ11bは、搬送路25内を搬送される通帳30の幅方向のほぼ中央に位置するように配設されている。そして、前記発光/受光センサ11bは、該発光/受光センサ11bから射出された後にプリズム11aによって反射された検出光を受光する。そのため、通帳30の走行によって、発光/受光センサ11bが図5(a)における矢印で示されるように、通帳30に対して相対的に移動して、通帳30の下に到達すると、プリズム11aによって反射された検出光を受光することができなくなるので、図5(b)に示されるように、受光レベルが低下する。
【0037】
したがって、発光/受光センサ11bの受光レベルの低下によって、通帳30が通帳走行監視センサ11の位置に到達したことを検出することができる。この場合の閾(しきい)値は、図5(b)に示されるようなスライスレベル1としてあらかじめ設定されており、発光/受光センサ11bの受光レベルがスライスレベル1よりも低下すると、通帳30が通帳走行監視センサ11の位置に到達したとして、通帳走行監視センサ11がオンになる。
【0038】
そして、該通帳走行監視センサ11がオンになった後、通帳30が更に奥にまで搬送されると、発光/受光センサ11bが通帳30に対して相対的に移動して、磁気ストライプ31の下に到達する。なお、図5に示される例においては、通帳30の磁気ストライプ31が第1のMSタイプとなっている。一般に、磁気ストライプ31の表面は、通帳30の表紙よりも光の反射率が高くなっている。そのため、磁気ストライプ31の表面によって反射される発光/受光センサ11bから射出された検出光の光量は、通帳30の表紙によって反射される発光/受光センサ11bから射出された検出光の光量よりも多くなる。
【0039】
したがって、発光/受光センサ11bが磁気ストライプ31の下に到達すると、発光/受光センサ11bの受光レベルが増加して、図5(b)に示されるようなスライスレベル2よりも上昇する。なお、該スライスレベル2は、磁気ストライプ31を検出するための閾値としてあらかじめ設定されている。また、スライスレベル2は、前記スライスレベル1よりは低くなるように設定されている。
【0040】
そして、通帳取扱装置10は、発光/受光センサ11bの受光レベルがスライスレベル2よりも上昇すると、磁気ストライプ31を検出したとして、第1のMSタイプであると判断する。これは、発光/受光センサ11bが搬送路25内を搬送される通帳30の幅方向のほぼ中央に位置するように配設されているので、通帳30の磁気ストライプ31が図4に示されるような第2のMSタイプである場合には、発光/受光センサ11bの受光レベルの変化によって磁気ストライプ31を検出することができず、第1のMSタイプである場合にのみ受光レベルの変化によって磁気ストライプ31を検出することができるからである。
【0041】
第1のMSタイプであると判断すると、通帳取扱装置10は、通帳30を第1のMSタイプのリード位置、すなわち、第1のMSヘッド15によって通帳30の幅方向に延在する磁気ストライプ31のリード又はライトを行うことができる位置にまで搬送する。そして、第1のMSタイプのリードを行い、第1のMSヘッド15によって磁気ストライプ31のリードを行う。
【0042】
また、第1のMSタイプでないと判断すると、通帳取扱装置10は、通帳30を第2のMSタイプのリード位置、すなわち、第2のMSヘッド16によって通帳30の前後方向に延在する磁気ストライプ31のリード又はライトを行うことができる位置にまで搬送する。そして、第2のMSタイプのリードを行い、第2のMSヘッド16によって磁気ストライプ31のリードを行う。
【0043】
続いて、通帳取扱装置10は、磁気ストライプ31のリードを正常に行うことができたか否かを判断し、正常に行うことができた場合には、開いた状態で挿入された通帳30の頁マークのリード、行リード等の次の処理に移行して、磁気ストライプ31のリードの処理を終了する。
【0044】
また、正常に行うことができなかった場合、通帳取扱装置10は、通帳30を返却して磁気ストライプ31のリードの処理を終了する。
【0045】
なお、通帳取扱装置10が通帳30を発行する機能を有する場合も、前述の動作と同様に、発行直後のセンサを配設し、該センサによって通帳30の走行監視と同時に磁気ストライプ31の貼付の有無を検出することにより、通帳30の誤セットを検出することができる。
【0046】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS11 挿入検出センサ14がオンであるか否かの判断を繰り返し、挿入検出センサ14がオンになった場合はステップS12に進む。
ステップS12 通帳30の搬送を開始する。
ステップS13 通帳走行監視センサ11がオンであるか否かの判断を繰り返し、通帳走行監視センサ11がオンになった場合はステップS14に進む。
ステップS14 通帳走行監視センサ11による第1のMSタイプの検出を開始する。
ステップS15 第1のMSタイプであるか否かを判断する。第1のMSタイプである場合はステップS16に進み、第1のMSタイプでない場合はステップS18に進む。
ステップS16 第1のMSタイプのリード位置に通帳30を搬送する。
ステップS17 第1のMSタイプのリードを行う。
ステップS18 第2のMSタイプのリード位置に通帳30を搬送する。
ステップS19 第2のMSタイプのリードを行う。
ステップS20 正常にリードを行うことができたか否かを判断する。正常にリードを行うことができた場合はステップS21に進み、正常にリードを行うことができなかった場合はステップS22に進む。
ステップS21 頁マーク、行リード等の次の処理に移行し、処理を終了する。
ステップS22 通帳30を返却し、処理を終了する。
【0047】
このように、本実施の形態においては、挿入口26に挿入された通帳30を磁気ストライプ31のリード又はライトを行うことができる位置にまで搬送するまでの間に、磁気ストライプ31が所定の位置に貼付されているか否かを判断することができるので、無駄な磁気ストライプ31のリード又はライトを行う必要がなく、通帳30の処理時間を短縮することができる。
【0048】
また、磁気ストライプ31の貼付されている位置を検出するためのセンサを配設することなく、通帳走行監視センサ11を利用するので、通帳取扱装置10の構成を複雑にすることなく、コストを低減することができる。
【0049】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、前記第1の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0050】
図7は本発明の第2の実施の形態における通帳走行監視センサの状態を示す第1の図、図8は本発明の第2の実施の形態における通帳走行監視センサの状態を示す第2の図である。
【0051】
前記第1の実施の形態においては、発光/受光センサ11bによって磁気ストライプ31の表面により反射される検出光の光量の変化を検出するために、発光/受光センサ11bの位置を下げているので、通帳30の表紙に光を反射するシール等が貼(は)られていたりして、通帳30の表紙によって反射される検出光の光量が大きくなると、通帳30が通帳走行監視センサ11の位置に到達したことを正確に検出することができなくなる可能性が考えられる。
【0052】
そこで、本実施の形態においては、図7及び8に示されるように、発光/受光センサ11bを上下動可能に保持する上下可動機構22が配設されている。この場合、発光/受光センサ11bは、図示されないガイド部材に沿って上下方向にスライドすることができる。そして、前記発光/受光センサ11bは、通常は、その上端面が搬送路25の下面とほぼ同等の高さとなるように、コイルスプリング等から成る付勢部材23によって上方に付勢されている。
【0053】
また、前記発光/受光センサ11bには、略コ字状の形状を備える間隔保持部材24が揺動可能に取り付けられている。該間隔保持部材24は、搬送路25内における通帳30の搬送方向に関して発光/受光センサ11bの前後に位置して上方に延出する当接部24aを2つ備える。
【0054】
そして、図7に示されるように、挿入口26から挿入された通帳30の前端が発光/受光センサ11bの上方を通過するまで、発光/受光センサ11bの上端面は搬送路25の下面とほぼ同等の高さとなっている。そのため、プリズム11aによって反射された検出光を受光することができなったことによる受光レベルの低下を正確に検出することができ、これにより、通帳30が通帳走行監視センサ11の位置に到達したことを正確に検出することができる。
【0055】
また、図8に示されるように、通帳30が更に搬送され、該通帳30の前端が発光/受光センサ11bの後に位置する当接部24aの上に到達して通帳30の表面が2つの当接部24aに当接すると、すなわち、通帳30が発光/受光センサ11bの上を覆うようになると、該発光/受光センサ11bは、間隔保持部材24を介して、矢印で示されるように、下向きの付勢力を通帳30から受ける。これにより、発光/受光センサ11bは、下方に移動し、磁気ストライプ31の表面によって反射される検出光の光量の変化を正確に検出することができる。
【0056】
このように、本実施の形態においては、発光/受光センサ11bを上下動可能とし、通帳30が発光/受光センサ11bの上を覆っていない場合には発光/受光センサ11bが上昇するようになっている。そのため、通帳30が通帳走行監視センサ11の位置に到達したことをより正確に検出することができる。
【0057】
なお、本実施の形態においては、発光/受光センサ11bを上下させる上下可動機構22を配設する場合について説明したが、発光/受光センサ11b間に仕切り板を配設し、該仕切り板を上下させるような機構にしてもよい。
【0058】
また、前記第1及び第2の実施の形態においては、磁気ストライプ31の表面によって反射される検出光の光量の変化を検出する場合について説明したが、通帳30の種類を識別する目的で反射率の高いシール等を通帳30に貼付し、前記シールの有無を検出するようにしてもよい。
【0059】
なお、本発明は前記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の第1の実施の形態における通帳取扱装置の概略図である。
【図2】従来の通帳取扱装置の通帳処理の動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第1の実施の形態における第1のMSタイプの通帳の例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における第2のMSタイプの通帳の例を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態における通帳走行監視センサの受光レベルの変化を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態における通帳取扱装置の通帳処理の動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施の形態における通帳走行監視センサの状態を示す第1の図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態における通帳走行監視センサの状態を示す第2の図である。
【符号の説明】
【0061】
10 通帳取扱装置
11 通帳走行監視センサ
11b 発光/受光センサ
15 第1のMSヘッド
16 第2のMSヘッド
17 搬送ローラ
18 プレッシャローラ
22 上下可動機構
25 搬送路
30 通帳
31 磁気ストライプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)搬送路内の通帳を搬送する搬送装置と、
(b)搬送される前記通帳を検出する通帳走行監視センサと、
(c)前記通帳に貼付された磁気ストライプのリード又はライトを行う複数の磁気ヘッドとを有し、
(d)前記通帳走行監視センサによる磁気ストライプの検出結果に基づいて磁気ストライプの貼付態様を判断し、該磁気ストライプの貼付態様に対応する磁気ヘッドによって磁気ストライプのリード又はライトを行う位置にまで通帳を搬送することを特徴とする通帳取扱装置。
【請求項2】
前記磁気ストライプの貼付態様は、少なくとも、磁気ストライプが通帳の搬送方向と直交する方向に延在する第1の貼付態様及び磁気ストライプが通帳の搬送方向に延在する第2の貼付態様を含み、
前記磁気ヘッドは、少なくとも、第1の貼付態様に対応する第1の磁気ヘッド及び第2の貼付態様に対応する第2の磁気ヘッドを含む請求項1に記載の通帳取扱装置。
【請求項3】
前記通帳走行監視センサは、検出光を射出するとともに反射された検出光を受光する発光/受光センサを備え、
通帳の表紙によって反射された検出光の受光レベルと磁気ストライプの表面によって反射された検出光の受光レベルとの差に基づいて磁気ストライプを検出する請求項1に記載の通帳取扱装置。
【請求項4】
前記発光/受光センサを上下動可能に保持する上下可動機構を更に有し、
該上下可動機構は、通帳が発光/受光センサの上を覆っていない場合に該発光/受光センサを上昇させる請求項3に記載の通帳取扱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−226013(P2008−226013A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−65357(P2007−65357)
【出願日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】