説明

通帳類印刷装置及び通帳類印刷方法

【課題】ICチップに記録された通帳類に対応する固有情報を読み取る前に、ICチップが正常であるか否かを事前に判別し、異常である場合には、印刷動作を停止させるようにする。
【解決手段】通帳類に対応する固有情報が記録されたICチップを有する通帳類Tを搬送する搬送手段と、この搬送手段によって搬送される通帳類TのICチップとの間で通信し、この通信状態の良否に基づいてICチップが正常、或いは異常であるかを判別し、正常であると判別するのに基づいて通帳類に対応する固有情報を読み取り、異常であると判別するのに基づいて通帳類に対応する固有情報の読み取りを停止する第1の無線IC R/W部5と、この第1の無線IC R/W部5によって読み取られた通帳類に対応する固有情報を通帳類Tに印刷するもので、ICチップが異常であると判別されるのに基づいて該ICチップを有する通帳類Tの印刷動作を停止する中間転写印刷部8とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICチップを実装する通帳類の印刷装置及び印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ICチップを実装し、セキュリティ情報を含む固有記載情報が印刷される通帳類において、通帳類のセキュリティ性の重要性の向上を考える場合、固有記載情報が印刷される前の通帳類そのものの盗難とこの盗難に伴う偽変造などに対する対策が求められている。
【0003】
その対策の一つとして、通帳類の製造工程で、通帳類そのものに固有の情報を付与しておくことが考えられる。
【0004】
この通帳類固有情報と、後から印刷、記録するセキュリティ情報を含む固有記載情報の両方を同時に組み合わせて管理することで、未使用通帳類の盗難で偽造されたセキュリティ通帳類の発見、加えて、変造や全ての偽造通帳類の発見や抑止にも効果がある。
【0005】
この場合、さらに望ましくは、通帳類固有情報をそのまま、もしくは加工して、後から印刷するセキュリティ情報を含む固有記載情報の一部に加えて印刷、記録することであり、本提案はこの場合に適用される。
【0006】
ところで、このICチップを実装する通帳類には、通帳類固有情報を事前にICチップに記録するものがある。このICチップに記録された通帳類固有情報は無線IC R/W部で読み取られ、後から印刷されるセキュリティ情報の一部に加えられて印刷、記録されるようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2002−283598号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来においては、通帳類に実装されるICチップに記録されている通帳類固有情報を読み取るのに先立ち、ICチップが正常であるか、否かの判別を行なっていなかった。このため、ICチップが元々故障していた場合には、無線IC R/W部においては正しい通帳類固有情報を読み取ることができなくなり、誤ったデータを送信してしまう。この場合には、通帳類に誤った通帳類固有情報を印刷してしまい、通帳類が無駄になるという問題があった。
【0008】
本発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、ICチップに記録された通帳類固有情報を読み取る前に、ICチップが正常であるか否かを事前に判別し、異常である場合には、印刷動作を停止させるようにした通帳類印刷装置及び通帳類印刷装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の通帳類印刷装置は、通帳類に対応する固有情報が記録されたICチップを有する通帳類を搬送する搬送手段と、この搬送手段によって搬送される前記通帳類の前記ICチップとの間で通信し、この通信結果の良否に基づいて前記ICチップが正常、或いは異常であるかを判別し、正常であると判別するのに基づいて前記通帳類に対応する固有情報を読み取り、異常であると判別するのに基づいて前記通帳類に対応する固有情報の読み取りを停止する無線読取手段と、この無線読取手段によって読み取られた前記通帳類に対応する固有情報を前記通帳類に印刷するもので、前記ICチップが異常であると判別されるのに基づいて該ICチップを有する通帳類に対する印刷動作を停止する印刷手段とを具備する。
【0010】
本発明の通帳類印刷方法は、通帳類に対応する固有情報が記録されたICチップを有する通帳類を搬送し、この搬送される通帳類の前記ICチップとの間で通信し、その通信結果の良否に基づいて前記ICチップが正常、或いは異常であるかを判別し、前記ICチップが正常であると判別されるのに基づいて前記通帳類に対応する固有情報を読み取り、異常であると判別されるのに基づいて前記通帳類に対応する固有情報の読み取りを停止し、
前記通帳類に対応する固有情報が読み取られた場合には、該通帳類に対応する固有情報を前記通帳類に印刷し、前記通帳類に対応する固有情報の読み取りが停止された場合には前記通帳類に対する印刷動作を停止する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、通帳類に誤った通帳類に対応する固有情報を印刷することがなく、通帳類を無駄に消費することがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の一実施の形態である通帳類印刷装置1を示す全体構成図である。
【0013】
この通帳類印刷装置1は通帳類取込部4を備え、この通帳類取込部4には通帳類Tが閉じた状態で複数冊積層されてセットされ、一冊ずつ取り込まれるようになっている。この取込まれた通帳類Tは搬送手段としての複数個の搬送ローラ対2によって搬送路3に沿って搬送される。搬送路3中には通帳類Tの搬送方向に沿って無線読取手段としての第1の無線IC R/W部5、ページ捲り部6、直接印刷部7、印刷手段としての中間転写印刷部8、OCR読取部9、及び無線読取手段としての第2の無線IC R/W部10が配設されている。
【0014】
また、第2のICリードライト部10の排出端側には通帳類Tの排出方向を第1の方向と第2の方向に切り換える排出ゲート11が設けられ、第1の方向には正常な通帳類Tを集積させる正常集積部12、第2の方向には不良な通帳類を集積させる不良集積部13が配設されている。
【0015】
図2は、上記した中間転写印刷部8を示すものである。
【0016】
中間転写印刷部8は機能的に情報印刷部(以下、印刷部という)16と、オーバーコート転写部(以下、転写部という)17とを有して構成されている。
【0017】
印刷部16としては熱溶融転写印刷方式のものが採用されている。即ち、サーマルヘッド19とプラテンローラ20に挟まれるように中間転写フィルム21と溶融インクリボン22を配置し、これら中間転写フィルム21と溶融インクリボン22によって中間転写フィルム21の表面に情報等を印刷する。
【0018】
この熱溶融転写方式の特徴としては、画像耐久性が高いこと、インク材料に機能性材料を適用することが比較的容易なこと(例えば蛍光顔料、アルミ蒸着薄膜)などがあり、偽造防止を目的とする印刷物に適している。
【0019】
溶融インクリボン22のベースフィルム厚やインク層厚は、印刷ドット再現性に極めて重要なパラメータであり、インクリボン総厚としては3〜25μmであり、望ましくは4〜10μmである。
【0020】
一方、中間転写フィルム21の後述するベースフィルムの厚さや、受像兼接着総厚は、接着性や膜切れ特性に影響を与えるパラメータであり、中間転写フィルム21の総厚は、10〜100μmであり、望ましくは25〜50μmである。
【0021】
プラテンローラ20は硬質のゴム材料を表面に用いたローラで、ゴム硬度が上がるほどに微小ドットの再現性が向上するが、同時に最適なプラテンローラ20とサーマルヘッド19の位置関係を得ることが難しくなる。このため、硬度は75°以上、望ましくは85〜97°とされている。同時に研磨したゴム表面の表面粗さも、表面平滑性が上がるほどに微小ドットの再現性が向上する。このため、表面粗さは中心線平均粗さRaで1μm以下、望ましくは0.5μm程度であることが要求される。
【0022】
中間転写フィルム21を搬送する駆動力は、一般的にプラテンローラ20に駆動機構を設けることが多いが、上記の硬度と平滑性から中間転写フィルム21とプラテンローラ20の摩擦係数が上がらず、また安定しない。
【0023】
このため、プラテンローラ20の下流(ヒートローラ側)直近に別途、フィルム駆動ローラ23を設ける。フィルム駆動ローラ23としては硬度30〜60度のローラが用いられる。中間転写フィルム21はフィルム駆動ローラ23に対して出来るだけ巻付き角が大きいほうが良く、実施例では90°から130°の巻き付き角をえられるようにテンショナ24を配置する。
【0024】
テンショナ24には図示しないバネ機構が設けられ、限られた可動範囲内で中間転写フィルム21にテンションを与えて、フィルム駆動ローラ23と中間転写フィルム21が常に適切に接触する状態を作り出す。
【0025】
フィルム駆動ローラ23の駆動は5相ステッピングモータ、タイミングベルト、プーリによる減速機構の組み合わせにより、正確に搬送が行われる。また、サーマルヘッド19はニアエッジ、またはコーナエッジタイプのヘッドを用い、熱時剥離による印刷を行うことが望ましい。
【0026】
一方、転写部17は通帳類搬送路3を介して対向配置されるヒートローラ35とバックアップローラ36を備えている。ヒートローラ35はDCサーボモータ若しくはステッピングモータにより正確に一定速度で駆動可能になっており、回転自在なバックアップローラ36との間にはコイルバネ37で発生された圧力が付与されるようになっている。
【0027】
図3(a)〜(c)は中間転写フィルム21の構成を示す断面図である。
【0028】
図3(a)に示す中間転写フィルム21は、基材としてのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム26の表面に、透明樹脂によるホログラム形成層と金属化合物の蒸着層による透明ホログラム層28、受像層兼接着層としてのポリエステル系樹脂29を積層したものである。
【0029】
また、図3(b)に示す中間転写フィルム21は、基材としてのPETフィルム26の表面に、剥離層としてのフェノキシ系樹脂27、透明樹脂によるホログラム形成層と金属化合物の蒸着層による透明ホログラム層28、受像層兼接着層としてのポリエステル系樹脂29を積層したものである。
【0030】
さらに、図3(c)に示す中間転写フィルム21は、基材としてのPETフィルム26の表面に、剥離層としてのフェノキシ系樹脂27、保護層30、透明樹脂によるホログラム形成層と金属化合物の蒸着層による透明ホログラム層28、受像層兼接着層としてのポリエステル系樹脂29を積層したものである。
【0031】
その他、中間転写フィルム21としては紫外線によって発光する蛍光発色層などの機能層を設け、転写対象への転写と同時にこれらの機能層も転写するものであってもよい。
【0032】
図6は上記した通帳類取込部4にセットされる通帳類Tを開いた状態で示すものである。この通帳類TにはICチップ43が内蔵され、このICチップ43には予め、通帳類固有情報が記録されている。通帳類固有情報は例えば、「A1B2C3D4E5」などの固有番号などである。
【0033】
図7は上記した通帳類印刷装置1の駆動制御系を示すブロック図である。
【0034】
図中51はデータ入力制御部で、このデータ入力制御部51に印刷装置1が接続されている。データ入力制御部51には主制御部52が設けられ、この主制御部52には制御回路を介してメモリ53、インターフエース部54、操作パネル55、及び画像入力部56が接続されている。
【0035】
印刷装置1には装置制御部58が設けられ、この装置制御部58には制御回路を介して直接印刷画像処理部67、中間転写画像処理部68、ヒータ温度制御部60、通帳類搬送制御部61、画像形成制御部62、光学式文字認識部69、無線IC制御部73が配設されている。
【0036】
上記した直接印刷画像処理部67にはサーマルヘッド7aの印字動作を制御するヘッド制御部64が接続されている。中間転写画像処理部68にはサーマルヘッド19の印字動作を制御するヘッド制御部64が接続されている。
【0037】
ヒータ温度制御部60には制御回路を介してヒートローラ35のヒータ65が接続されている。通帳類搬送制御部61には制御回路を介して通帳類搬送機構2a、通帳類取込機構4a、ページ検知部4b、ページ捲り機構6a及び排出ゲート制御部11aが接続されている。
【0038】
画像形成制御部62には制御回路を介して転写リボン搬送機構32a、サーマルヘッド19を移動させるヘッド昇降機構19a、ヒートローラ35を回転させる回転機構35aが接続されている。
【0039】
光学式文字認識部69には読み取り光学系9が接続されている。無線IC制御部73には、第1及び第2の無線IC R/Wユニット5,10が接続されている。
【0040】
次に、上記したように構成される通帳類印刷装置1の動作について説明する。
【0041】
まず、図1に示すように通帳類取込部4から通帳類Tが1冊ずつ取出されてページめくり部6に搬送され、ここで、通帳類Tの表紙が捲られて所定のページが開いた状態となる。この後、第1の無線IC R/W部5と通帳類TのICチップ43との間で通信処理が行なわれ、この通信処理結果を制御部73を経由して印刷装置制御部58に送信し、印刷装置制御部58でICチップ43が正常であるか否かが判別される。
【0042】
即ち、実装されるICチップ43の仕様によって異なるが、無線IC R/W部5とICチップ43とは決まったプロトコルにて通信処理が行なわれる。通常、実際のデータ通信を行なう前に、ICチップ43の活性化等を行ない、仕様に沿った手順で通信を行なうため、その手順を踏む段階でICチップ43と正常に通信できなかった場合はICチップ43が異常であることを確認できる。
【0043】
ICチップ43に異常があった場合、ICチップ43に記録されている正常な通帳固有情報を読み取ることができないため、その該当通帳類に関する画像情報は生成することができない。よって、この場合には、ICチップ43が異常であることをオペレータに通知し、印刷動作が停止される。
【0044】
一方、ICチップ43が正常であると判別された場合には、通帳類TのICチップ43に予め記録されている通帳類固有情報が第1の無線ICR/W部5によって読み取られて認識され、この認識結果が印刷装置制御部58に送信される。
【0045】
また、印刷装置制御部58には、画像入力部56で取得された所持人のカラー顔画像データ、及び操作パネル55で入力された所持人の記載固有情報としてのセキュリティ文字情報が送信される。
【0046】
印刷装置制御部58では、送信されてきたセキュリティ文字情報に通帳類固有情報を加えた印刷データを生成し、この印刷データをカラー顔画像データとともに中間転写画像処理部68に送信する。
【0047】
このときには、図2に示すように送出側リール32から中間転写フィルム21が繰り出され、そのホログラム位置を示すマークがセンサ33によって検知される。このマーク検知結果を用いて中間転写フィルム21が印刷開始位置に制御される。
【0048】
そして、中間転写画像処理部68に送信された印刷データとカラー顔画像データに基づいてサーマルヘッド19が発熱されて中間転写フィルム21にセキュリティ文字情報と通調理固有情報、さらに、カラー顔画像情報が印刷される。
【0049】
中間転写フィルム21はY(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン)の三原色に加えて黒の4色を有し、セキュリティ文字情報と通帳類固有情報は黒印字され、顔画像情報はカラー印刷される。カラー印刷は、Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン)の三原色に加えて黒の4色の重ね合せにより行なわれる。即ち、中間転写フィルム21がサーマルヘッド19を色数と同じ回数往復することで、重ね合わせ印刷が行われる。また、印刷される情報は、反転画像であるという特徴がある。なお、印刷色は上記4色に加えて、蛍光顔料を含んだインクなど機能性インクを付与してもよい。
【0050】
このようにしてセキュリティ文字情報、通帳類固有情報、顔画像情報が印刷された中間転写フィルム21は順方向(ヒートローラ35の方向)に巻き取られ、図4(a)に示すように経路途中の転写部マーク検知センサ39によって中間転写フィルム21の位置が把握される。この把握結果に基づいて転写開始位置まで中間転写フィルム21が送られる。
【0051】
また、このとき通帳類Tは、転写されるページが開かれた状態で図4(b)に示すように取り込まれて、ヒートローラ35に対して決められた位置に搬送される。転写されるページは、表紙見返しページでも、他の中紙ページでもかまわない。
【0052】
このように互いに位置決めされた中間転写フィルム21と通帳類Tの該当ベージは、図4(c)に示すように円周の一部が切り欠かれた形状の金属製ヒートローラ35の回転と共に合わされ、搬送と同時に加圧されるとともに加熱される。その後、図5に示すように通帳類Tに対して60°〜110°の角度をもって転写フィルムベース26が引き上げられて、セキュリティ文字情報、通帳類固有情報、顔画像情報とともに、受像兼接着層29、ホログラム層28の転写が完了し、図8に示すようにセキュリティ情報46、通帳類固有情報45、所持人のカラー顔画像44が印刷される。
【0053】
セキュリティ情報46及び通帳類固有情報(A1B2C3D4E5)45さらにカラー顔画像情報44の印刷が完了した通帳類Tは、図4(d)に示すようにページが開かれた状態のまま次のOCR読取部9に搬送されてセキュリティ情報46及び通帳類固有情報(A1B2C3D4E5)45が読み取られる。
【0054】
OCR読取部9で読み取られた通帳類固有情報45と、セキュリティ情報46とは光学式文字認識部69で認識され、この認識結果が印刷装置制御部58に送信される。印刷装置制御部58では送信されてきた認識結果と、上記した操作パネル55で入力された入力情報及びICチップ43から読み取られた通帳類固有情報とを照合する。照合結果が合致した場合には、通帳類は正常に作成されたものとして第2の無線IC R/W部10に送られ、ここでさらに追記したい固有情報がある場合には、これをICチップ43に書き込んで正常通帳集積部12に集積する。
【0055】
一方、照合結果が合致しない場合は、何らかの原因から正常な通帳作成がされなかったものと判断して排出ゲート11によって搬送方向が振り分けられ、ICチップ43ヘアクセスしないか、もしくは異常通帳であることを示す内容をICチップ43へ書き込んで不良通帳集積部13に集積する。
【0056】
なお、直接印刷部7においては、以下に示すような直接印刷動作を行なうようにしてもよい。
【0057】
(a)図8で示す通帳類の上側ページに、所持人セキュリティ情報に関係しない運用管理番号など、改ざんのメリットがなく、かつ下側ページに加えられない情報を印刷する。
【0058】
(b)図8で示された薄膜オーバーコート層が付与されるページ以外のページを通帳めくり部6で開き、このページに必要に応じて追加情報などを印刷する。追加情報のセキュリティ重要度が高くない場合、高価なホログラムパターンを持つ薄膜オーバーコートを用いなくても追加情報が印刷可能となり、通帳印刷の運用に自由度が加わる。
【0059】
また、通帳めくり部6と組み合わされることで、追加情報の有無によらず、通帳の自動作成が可能となる
なお、本実施例では、「直接印刷部7」「中間転写印刷部8」「OCR読取部9」「通帳12,13」などのユニットは全て動作に依存がないため、印刷機1台として考えれば複数の通帳を同時に処理することが可能である。
【0060】
上記したように、この実施の形態によれば、ICチップ43に記録されている通帳類固有情報を読取る前に、ICチップ43が正常であるか否かを判別し、異常であると判別された場合には、通帳類固有情報を読み取ることなく、その通帳類の印刷を停止する。
【0061】
従って、異常データをもとに中間転写フィルム21ヘの印刷動作を行なわないため、中間転写フィルム21や印刷リボン22の無駄な消費を抑えることが可能となる。
【0062】
また、異常データから生成された固有印刷情報が転写された通帳類の作成を防ぐことができる。
【0063】
さらに、ICチップ43の異常が検知された通帳類に先行して印刷動作が進められてる通帳類がある場合には、その作成動作を止めずに継続することができ、先行する印刷動作中の通帳類を無駄に破棄してしまうことがない。
【0064】
なお、この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせても良い。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の一実施の形態である通帳類印刷装置を概略的に示す構成図。
【図2】図1の同通帳類印刷装置に備えられる転写印刷部を示す構成図。
【図3】図2の転写印刷部で用いられる転写フィルムを示すもので、(a)はその第1の例、(b)はその第2の例、(c)はその第3の例を示す構成図。
【図4】図2の転写印刷部の転写動作を示す図。
【図5】図2の転写印刷部の転写動作の一部を拡大して示す図。
【図6】図1の通帳類印刷装置で印刷される通帳類を開いた状態で示す平面図。
【図7】図1の通帳類印刷装置の制御部を示すブロック図。
【図8】図1の通帳類印刷装置で印刷された通帳類を示す平面図。
【符号の説明】
【0066】
2…搬送ローラ対(搬送手段)、5…第1の無線IC R/W部(無線読取手段)、8…中間転写印刷部(印刷手段)、43…ICチップ、45…(通帳類固有情報)、T…通帳類。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通帳類に対応する固有情報が記録されたICチップを有する通帳類を搬送する搬送手段と、
この搬送手段によって搬送される前記通帳類の前記ICチップとの間で通信し、この通信結果の良否に基づいて前記ICチップが正常、或いは異常であるかを判別し、正常であると判別するのに基づいて前記通帳類に対応する固有情報を読み取り、異常であると判別するのに基づいて前記通帳類に対応する固有情報の読み取りを停止する無線読取手段と、
この無線読取手段によって読み取られた前記通帳類に対応する固有情報を前記通帳類に印刷するもので、前記ICチップが異常であると判別されるのに基づいて該ICチップを有する通帳類に対する印刷動作を停止する印刷手段と、
を具備することを特徴とする通帳類印刷装置。
【請求項2】
前記無線読取手段により前記ICチップが異常であると判別された通帳類に先行する印刷途中の通帳類がある場合には、その印刷動作を継続させることを特徴とする請求項1記載の通帳類印刷装置。
【請求項3】
前記無線読取手段により前記ICチップが異常であると判別されるのに基づいて前記ICチップの異常を通知することを特徴とする請求項1記載の通帳類印刷装置。
【請求項4】
通帳類に対応する固有情報が記録されたICチップを有する通帳類を搬送し、
この搬送される通帳類の前記ICチップとの間で通信し、その通信結果の良否に基づいて前記ICチップが正常、或いは異常であるかを判別し、
前記ICチップが正常であると判別されるのに基づいて前記通帳類に対応する固有情報を読み取り、異常であると判別されるのに基づいて前記通帳類に対応する固有情報の読み取りを停止し、
前記通帳類に対応する固有情報が読み取られた場合には、該通帳類に対応する固有情報を前記通帳類に印刷し、前記通帳類に対応する固有情報の読み取りが停止された場合には前記通帳類に対する印刷動作を停止することを特徴とする通帳類印刷方法。
【請求項5】
前記ICチップが正常でない判別された通帳類に先行する印刷途中の通帳類がある場合には、その印刷動作を継続させることを特徴とする請求項4記載の通帳類印刷方法。
【請求項6】
前記ICチップが異常であると判別されるのに基づいて前記ICチップの異常を通知することを特徴とする請求項4記載の通帳類印刷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−152692(P2007−152692A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−349643(P2005−349643)
【出願日】平成17年12月2日(2005.12.2)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】